JP5083129B2 - 内燃機関の燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御システム - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御システム Download PDF

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本発明は、内燃機関の燃料噴射弁の噴射特性のずれを学習する学習手段を備える内燃機関の燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御システムに関する。
ディーゼル機関の各気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁に共通の蓄圧容器(コモンレール)を備えるコモンレール式の燃料噴射制御システムが周知である。コモンレール内の燃圧は、機関駆動式の燃料ポンプからコモンレールへの燃料吐出量の操作によって制御される。これによれば、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力を自由に制御することができ、ひいてはディーゼル機関の燃焼制御の自由度を向上させることができる。
ただし、燃料噴射制御をすべく燃料噴射弁に対する噴射期間の指令値や噴射量の指令値(指令噴射量)等を同一としたとしても、燃料噴射弁の個体差に起因して、実際に噴射される燃料量にはばらつきが生じ得る。
そこで従来は、例えば下記特許文献1に見られるように、アイドル回転速度制御時において、内燃機関の実際の回転速度を目標回転速度にフィードバック制御する際の指令噴射量と所望される噴射量との差を、燃料噴射弁の噴射特性のずれを補償するための学習値として学習する制御装置も提案されている。
特開2003−254139号公報
ところで、上記学習値によって噴射特性のずれを補償しつつ燃料噴射弁の使用を継続する場合、経時劣化が進行するおそれがある。特に、燃料噴射弁の内壁とノズルニードル等の可動部材との間に付着物が介在するようになる経時劣化は、使用とともに進行する傾向にある。こうした経時劣化は、燃料噴射弁を電子操作した際の可動部材の変位に異常を生じさせる要因となり、こうした経時劣化が重度となる場合には、内燃機関の燃焼制御の制御性が過度に低下することが懸念される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、内燃機関の燃料噴射弁内の可動部材の変位異常の有無を好適に判断することのできる内燃機関の燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、内燃機関の燃料噴射弁の噴射特性のずれを学習する学習手段と、前記噴射特性のずれの学習結果に基づき、前記噴射特性のずれの経時変化を検出する経時変化検出手段と、該経時変化検出手段の検出結果に基づき、前記経時変化が基準となる変化に沿うか否かを判断する変化傾向判断手段と、前記変化に沿うと判断されることを条件に、前記燃料噴射弁内の可動部材に変位異常が生じている旨判断する異常判断手段とを備え、前記基準となる変化は、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高い場合に前記燃料噴射弁から実際に噴射される燃料量が増加側に変化するというものであり、前記変化傾向判断手段は、前記燃料噴射弁に供給される燃料についての互いに相違する複数の圧力領域のそれぞれにおける前記経時変化の検出結果に基づき、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が低い場合には前記経時変化が小さいにもかかわらず前記圧力が高い場合には実際に噴射される燃料量が増加側に変化するか否かを定量評価することで、前記基準となる変化に沿うか否かの判断を行うものであることを特徴とする。
燃料噴射弁の内壁とノズルニードル等の可動部材との間に付着物が介在するようになる経時劣化が生じると、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高い場合に実際に噴射される燃料量が増加側に変化することが発明者らによって見出されている。上記発明では、この点に鑑み、この変化の傾向を基準となる傾向とすることで、実際の経時変化がこの変化に沿うか否かに基づき可動部材の変位異常の有無を好適に判断することができる。
ところで、燃料噴射弁の内壁とノズルニードル等の可動部材との間に付着物が介在するようになる経時劣化が生じる場合、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が低い場合には実際に噴射される燃料量の増加側の変化は見られない傾向にあることが発明者らによって見出されている。上記発明では、この点に鑑み、低圧側での経時変化が小さいことを加味して上記異常の有無を判断することで、噴射特性の経時変化として、上記変位異常に起因したものを高精度に識別することができる。
請求項3記載の発明は、内燃機関の燃料噴射弁の噴射特性のずれを学習する学習手段と、前記噴射特性のずれの学習結果に基づき、前記噴射特性のずれの経時変化を検出する経時変化検出手段と、該経時変化検出手段の検出結果に基づき、前記経時変化が基準となる変化に沿うか否かを判断する変化傾向判断手段と、前記変化に沿うと判断されることを条件に、前記燃料噴射弁内の可動部材に変位異常が生じている旨判断する異常判断手段とを備え、前記基準となる変化は、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高い場合に前記燃料噴射弁から実際に噴射される燃料量が増加側に変化するというものであり、前記変化傾向判断手段は、前記経時変化検出手段の検出結果に基づき、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が規定値以上である際の前記経時変化の検出結果が前記燃料噴射弁から実際に噴射される燃料量の増加側の変化である旨の条件と、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が前記規定値よりも小さい所定値以下である際の前記経時変化の検出結果が所定以下である旨の条件との論理積条件が成立する場合、前記基準となる変化に沿うと判断することを特徴とする。
燃料噴射弁の内壁とノズルニードル等の可動部材との間に付着物が介在するようになる経時劣化が生じると、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高い場合に実際に噴射される燃料量が増加側に変化することが発明者らによって見出されている。上記発明では、この点に鑑み、この変化の傾向を基準となる傾向とすることで、実際の経時変化がこの変化に沿うか否かに基づき可動部材の変位異常の有無を好適に判断することができる。
ところで、燃料噴射弁の内壁とノズルニードル等の可動部材との間に付着物が介在するようになる経時劣化が生じる場合、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が低い場合には実際に噴射される燃料量の増加側の変化は見られない傾向にあることが発明者らによって見出されている。上記発明では、この点に鑑み、低圧側での経時変化が小さいことを加味して上記異常の有無を判断することで、噴射特性の経時変化として、上記変位異常に起因したものを高精度に識別することができる。
なお、燃料噴射制御に際して燃料噴射弁に供給される圧力を可変制御するものの場合、上記規定値以上の圧力と所定値以下の圧力とのそれぞれは、可変制御される圧力領域の中央よりも高圧側と低圧側とであることが望ましい。
請求項記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記経時変化検出手段は、前記燃料噴射弁のノズルニードルの最大リフト量がフルリフト量よりも小さい規定量以下となる燃料噴射に関する前記経時変化を検出するものであることを特徴とする。
燃料噴射弁の内壁とノズルニードル等の可動部材との間に付着物が介在するようになる経時劣化が生じると、ノズルニードルの最大リフト量が小さい燃料噴射において上記基準となる変化を特に顕著に示すことが発明者らによって見出されている。上記発明では、この点に鑑み、最大リフト量が規定リフト量以下となる燃料噴射についての経時変化を用いることで、異常の有無の判断を高精度に行うことができる。
請求項記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記変化傾向判断手段は、前記燃料噴射弁に供給される燃料についての互いに相違する3つ以上の圧力領域のそれぞれにおける前記経時変化の検出結果に基づき、前記基準となる変化に沿うか否かを判断することを特徴とする。
上記発明では、3つ異常の圧力領域のそれぞれにおける経時変化の検出結果を用いることで、基準となる変化に沿うか否かを好適に判断することができる。なお、燃料噴射制御に際して燃料噴射弁に供給される圧力を可変制御するものの場合、互いに相違する3つ以上の圧力領域は、可変制御される圧力領域の中央よりも高圧側と低圧側とを含むことが望ましい。
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の発明において、前記異常判断手段は、前記変化傾向判断手段によって前記基準となる変化に沿うと判断される場合、前記変位異常がある旨の判断を行うに先立ち、前記学習手段による学習、及び前記経時変化検出手段による経時変化の検出、前記変化傾向判断手段による判断を再度実行させ、該再実行の前後における前記変化傾向判断手段の判断結果に基づき、前記異常の有無を判断することを特徴とする。
上記発明では、変化傾向判断手段によって上記基準となる変化に沿うと判断される場合、再度の学習を行うことで、変化傾向判断手段による複数の判断結果に基づき異常の有無を判断する。このため、異常の有無の判断をいっそう高精度に行うことができる。
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の発明において、前記学習手段は、前記内燃機関の回転速度を目標回転速度にフィードバック制御する際の前記燃料噴射弁の操作量と基準となる操作量との相違に基づき、前記噴射特性のずれを学習することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置と、前記燃料噴射弁とを備えることを特徴とする。
上記発明では、異常判断手段を備えることで、燃料噴射弁の異常の有無を判断することができるため、燃料噴射弁を、信頼性を維持しつつ使用することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる燃料噴射制御装置をディーゼル機関の燃料噴射制御装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。
図示されるように、燃料タンク10内の燃料(軽油)は、クランク軸12の回転に伴って駆動される機関駆動式の燃料ポンプ14によって汲み上げられる。燃料ポンプ14から吐出される燃料は、コモンレール16に加圧供給(圧送)される。コモンレール16は、燃料ポンプ14から圧送された燃料を高圧状態で蓄え、これを高圧燃料通路26を介して各気筒の燃料噴射弁20に供給するための気筒間で共有される蓄圧容器である。
燃料噴射弁20は、その噴射口24がディーゼル機関の燃焼室に突出するようにして配置されている。そして、燃料噴射弁20は、噴射口24を開閉するノズルニードル22を備えている。ノズルニードル22には、コモンレール16から高圧燃料通路26を介して供給される高圧燃料の燃圧が印加される。詳しくは、ノズルニードル22には、噴射口24の開閉のそれぞれに対応した変位方向の双方に対して燃圧が印加される。ここで、ノズルニードル22を閉弁させる側に圧力を印加する燃料を充填する背圧室28は、電磁ソレノイド30によって駆動されるバルブ32の開弁によって、低圧系(燃料タンク10側)に連通される。こうした構成によれば、バルブ32の開閉によって、ノズルニードル22の変位方向のそれぞれに燃料が加える力の相対的な大小関係を調節することで、燃料噴射弁20を開閉させることができる。
一方、制御装置40は、ディーゼル機関を制御対象とする制御装置である。制御装置40は、常時記憶保持装置40aを備えている。常時記憶保持装置40aとは、制御装置40が主電源に接続されているか否かにかかわらず給電状態が維持されるバックアップRAMや、給電の有無にかかわらず記憶を保持するEEPROM等の不揮発性メモリのことである。
制御装置40は、コモンレール16内の燃圧を検出する燃圧センサ42や、クランク軸12の回転速度を検出するクランク角センサ44等、エンジンシステムの各種状態を検出するセンサの検出値を取り込む。更に、制御装置40は、ユーザからの指示がなされるユーザインターフェース46の出力信号を取り込む。ここで、ユーザインターフェース46としては、例えば、アクセル操作部材、クラッチ操作部材、ブレーキ操作部材、イグニッションスイッチ、パワーウィンドウの操作部材等がある。また、ユーザインターフェース46の出力信号とは、上記各種操作手段の操作状態を示す信号のことであり、例えばアクセル操作部材、クラッチ操作部材、ブレーキ操作部材の各操作量の検出値等のことである。
上記制御装置40では、上記各種入力信号に基づき、ディーゼル機関の各種アクチュエータを操作することで、ディーゼル機関の燃焼制御を行う。すなわち、上記燃料ポンプ14を操作することで、コモンレール16内の燃圧を制御しつつ、燃料噴射弁20の電磁ソレノイド30を操作することで、燃料噴射制御を行う。詳しくは、アクセル操作部材の操作量とクランク角センサ44の検出値に基づくクランク軸12の回転速度とに基づき、要求噴射量を算出する。そして、要求噴射量を、パイロット噴射、メイン噴射、アフタ噴射等のための複数回の噴射量に分割し、これら各噴射量を燃料噴射弁20に対する噴射量の指令値(指令噴射量)とする。次に、指令噴射量と燃圧センサ42の検出値とに基づき、燃料噴射弁20に対する噴射期間の指令値(指令噴射期間)を設定する。そして、指令噴射期間に応じて燃料噴射弁20を開弁させることで、要求噴射量の燃料噴射を行う。
ちなみに、パイロット噴射は、極微小な燃料が噴射されて着火の直前の燃料と空気との混合を促進させるとともに、メイン噴射後の着火時期の遅れを短縮して窒素酸化物(NOx)の発生を抑制し、燃焼音及び振動を低減する目的でなされるものである。一方、メイン噴射は、ディーゼル機関のトルクの生成に寄与して且つ多段噴射中の最大の噴射量を有するものである。アフタ噴射は、微粒子物質(PM)を再燃焼させるためになされるものである。
上記制御装置40は、パイロット噴射やアフタ噴射等の微少噴射における燃料噴射弁20の噴射特性を学習する処理をも行う。ここで、噴射特性の学習とは、燃料噴射制御において基準とされる噴射特性に対する実際の噴射特性のずれを学習することである。図2に、上記学習の処理手順を示す。
この一連の処理においては、まずステップS10において、学習条件が成立しているか否かを判断する。この学習条件は、アイドル回転速度制御等の定回転速度制御がなされているとの条件や、クランク軸12に付与されている負荷の変動量が許容範囲内にあるとの条件がある。また、学習値が前回更新されてからの走行距離が規定値となったか否かとの条件もある。この条件は、過度に学習が繰り返されることを回避するためのものである。ここで、規定値は、前回学習値が更新された時点での走行距離に応じて可変設定される。詳しくは、更新された時点での走行距離が短いほど規定値を小さくする。これは、燃料噴射弁20の使用時間が短いほど噴射特性の経時変化が顕著となる傾向に鑑みてなされる設定である。
続く、ステップS12では、実際の回転速度を目標とする回転速度に制御する際に要求される基準となる噴射量である基本噴射量を算出する。ここで、基準となる噴射量とは、燃料噴射制御において想定する燃料噴射弁20の基準となる特性によって定まる噴射量である。続くステップS14は、ステップS12で算出された基本噴射量をn個に均等に分割することで、n回に分割して燃料噴射を実施する。ここでは、基本的には、基本噴射量の「1/n」の量の噴射量に前回の学習値を加算した指令噴射量による燃料噴射をn回行なう。ただし、噴射量から定まる指令噴射期間を、これら各噴射間のインターバルの影響等を考慮して補正してもよい。
一方、ステップS16では、各気筒における燃焼エネルギに起因したクランク軸12の回転速度の変動量のばらつきを補償すべく、各気筒の指令噴射量を補正する(FCCB補正量)。詳しくは、n回の各々の噴射量を「FCCB補正量/n」にて補正する。続くステップS18においては、クランク軸12の平均的な回転速度を目標とする回転速度とすべく、全気筒の指令噴射量を同一の補正量(ISC補正量)にて補正する。詳しくは、n回の各々の噴射量を「ISC補正量/n」にて補正する。
続くステップS20では、上記ステップS10によって学習条件が成立していると判断されてから今までの間にクランク軸12の負荷を変動させる状況が生じていないかどうかを判断する。更にステップS22では、ディーゼル機関の運転状態が安定しているか否かを判断する。ここでは、例えば上記FCCB補正量やISC補正量の変化量が所定の範囲内であるか否か等を判断する。
続くステップS24では、現在の燃料の圧力における学習値を算出する。この学習値は、前回の学習値に、「FCCB補正量/n」と「ISC補正量/n」とを加えることで算出される。続くステップS26では、今回算出された学習値と前回の学習値との差が予め定められた範囲内にあるか否かを判断する。そして、定められた範囲内にあると判断されるときには、今回算出された学習値が正常であるとして、ステップS28に移行する。ステップS28では、コモンレール16の燃圧として、学習を行うために定められた燃圧レベルの全て(全領域)において、学習がなされているか否かを判断する。そして、ステップS28において否定判断される場合には、ステップS12〜S26の処理を繰り返す。
一方、設定された圧力水準の全てについてステップS12〜S26の処理が完了すると(ステップS28:YES)、ステップS30において、上述した所定の走行距離内に規定回数Nfの学習が完了したか否かを判断する。ここで、規定回数Nf(≧2)は、学習値の信頼性を要求される水準とするための値に設定されている。そして、ステップS30において、規定回数Nf未満であると判断される場合には、ステップS12〜S28の処理を繰り返す。これに対し、規定回数Nfの学習が完了したと判断される場合、ステップS32において、各圧力水準における規定回数Nf個の学習値に基づき、学習値を更新する。ここでは、例えばNf個の学習値の平均値によって更新すればよい。この学習値は、図3(a)に示されるように、各気筒毎であって且つ各燃圧領域毎の値として、常時記憶保持装置40aに書き込まれる。ちなみに、本実施形態では、常時記憶保持装置40aに、図3(b)に示す初期学習値gijをも記憶している。この初期学習値gijは、上記学習処理の初回の値であってもよいし、製品出荷前に工場等でなされる学習処理による学習値であってもよい。
なお、ステップS10,S20,S22,S26において否定の判断がなされるときや、ステップS32の処理が完了するときには、この一連の処理を一旦終了する。
上記学習処理は、ユーザによって車両が運転操作される状況下にあっては、図4(a1)及び図4(b1)に示す態様にて行われる。図4(a1)は、燃圧の推移を示し、図4(b1)は、回転速度の推移を示す。図示されるように、この場合、アイドル回転速度制御時に学習がなされるために、学習を行う燃圧レベルのうちの低レベル側から3つの燃圧レベルPL1、PL2,PL3のみで学習がなされる。これは、燃料ポンプ14の焼き付きに起因したコモンレール16内の燃圧の上限値が回転速度が低いほど低くなることに鑑みたものである。このため、燃圧レベルPL1,PL2,PL3は、いずれも、アイドル回転速度(ここでは、「800rpm」と例示)に応じた燃圧の上限値以下の燃圧レベルである。これら燃圧レベルPL1,PL2,PL3のみにおいて学習がなされるモードがユーザモードである。なお、図4(a1)及び図4(b1)では、アイドル回転速度制御が長期にわたって継続しているために、一回のアイドル回転速度制御期間によって複数回の学習がなさている場合を例示している。
上記燃圧レベルPL1〜PL3よりも高い燃圧レベルでの学習は、ユーザによる車両の運転操作時にはなされず、車両がディーラに持ちこまれたときにおいて行われる。これがサービスモードである。図4(a2)及び図4(b2)に、サービスモードにおける学習態様を例示する。なお、図4(a2)及び図4(b2)は、それぞれ図4(a1)及び図4(b1)に対応している。図示されるように、サービスモードにおいては、ユーザモードにおける燃圧レベルPL1〜PL3を含む5つの燃圧レベルPL1〜PL5にて学習がなされる。ここで、ユーザモードにおける燃圧レベルPL1〜PL3よりも高い燃圧レベルPL4,PL5は、クランク軸12の回転速度をアイドル時よりも上昇させた状態で実現される。これにより、燃料ポンプ14の焼き付き等を回避しつつも、高い燃圧において学習を実行することができる。ちなみに、図4(a2)及び図4(b2)では、回転速度を「1200rpm」としつつ燃圧レベルPL4を実現し、回転速度を「1450rpm」としつつ燃圧レベルPL5を実現する例を示している。
ちなみに、サービスモードは、ディーラにおいて制御装置40が専用の機器に接続されることで実行されるものとしてもよいし、ユーザインターフェース46が所定のパターンに従って操作されることで実行されるようにしてもよい。
ところで、先の図1に示した燃料噴射弁20の可動部材であるノズルニードル22やバルブ32と、燃料噴射弁20の内壁との間には、付着物が介在する(デポジットが付着する)ことがある。そして、この場合には、可動部材の変位により多くの力を要するために、燃料噴射弁20の噴射特性が上記基準となる特性からずれるおそれがある。特に、デポジットの付着は、時間とともに進行する傾向にある。このため、デポジットの付着による燃料噴射特性の変化を学習値によって補償し続ける場合、デポジットの付着が進行することで、学習によっては補償することができない事態が生じる懸念がある。
図5に、デポジットが付着した場合の燃料噴射特性を示す。詳しくは、図5(a)に、高圧・小噴射量の場合の噴射率の推移を示し、図5(b)に、低圧・小噴射量の場合の噴射率の推移を示し、図5(c)に高圧・大噴射量についての噴射率の推移を示す。
図5(a)に示されるように、高圧・小噴射量の場合には、デポジットが付着している場合には付着していない場合と比較して、燃料噴射弁20から実際に噴射される噴射量が増える傾向にある。これは、デポジットが付着することでノズルニードル22の閉弁側への変位を妨げる力が働くことによる。詳しくは、ノズルニードル22が開弁方向に変位する際には、高圧燃料がノズルニードル22を開弁方向に変位させる力が勝るため、デポジットの影響をほとんど受けない。これに対し、ノズルニードル22が閉弁方向に変位する際には、ノズルニードル22がコモンレール16内の高圧燃料のアシストを受けることがないため、デポジットの影響によって変位速度が鈍る。このため、噴射開始タイミングは変化せず、噴射終了タイミングが遅れるために、燃料噴射期間が伸張し、ひいては実際に噴射される燃料量が増加する。
一方、図5(b)に示されるように、低圧・小噴射量の場合には、デポジットの付着の有無にかかわらず、燃料噴射弁20から実際に噴射される燃料量が変化しない。これは、デポジットが付着している場合には、噴射開始タイミング及び噴射終了タイミングの双方が遅れるためである。すなわち、コモンレール16内の燃圧による力によってノズルニードル22が開弁方向に変位する際、同燃圧が低いために、デポジットに起因したノズルニードル22の変位を妨げる力が顕著となるため、噴射開始タイミングも遅れる。このため、噴射終了タイミングの遅れの影響が噴射開始タイミングの遅れによって相殺され、噴射期間は変化しない。このため、実際に噴射される燃料量は変化しない。
このように、デポジットが付着する場合には、高圧領域において実際の噴射量が増加する傾向がある。この増加傾向は、ノズルニードル22のリフト量がいわゆりシート絞り領域内となる燃料噴射において特に顕著となる。ここで、シート絞り領域とは、図6に示すように、ノズルニードル22と燃料噴射弁20の内壁との間の流路面積Ssが、噴射口24の流路面積SLよりも小さくなる領域である。燃料噴射弁20の内壁とノズルニードル22の間等にデポジットが付着する状況下にあっては、噴射口24にもデポジットが付着する傾向にある。そしてこれにより、噴射口24の開口面積(流路面積SL)が小さくなる。このため、燃料噴射率が噴射口24の開口面積に依存する領域では、デポジットの付着によって実際の噴射量が減少する。このため、燃料噴射率が噴射口24の開口面積に依存する領域では、先の図5(c)に示すように、燃料噴射弁20に供給される燃圧が高いことに起因した閉弁タイミング遅延による噴射量の変化が、開口面積の減少に起因する噴射率の減少による噴射量の変化によって抑制、又は相殺される。これに対し、燃料噴射率が噴射口24の開口面積に依存せず、ノズルニードル22と燃料噴射弁20の内壁との間の流路面積Ssに依存するシート絞り領域では、燃料噴射弁20に供給される燃圧が高い場合、ノズルニードル22の変位異常に起因した噴射量の増加傾向が顕著となる。
そこで本実施形態では、シート絞り領域であって且つ燃圧が高い領域における燃料噴射弁20の噴射特性の経時変化が実際に噴射される燃料量の増加側への変化である場合に、デポジット異常と判断する。これは、上記微少噴射領域での学習結果を利用することで行うことができる。
図7に、上記デポジット異常の有無の判断処理の手順を示す。この処理は、ディーラにおいて上記サービスモードによる学習がなされる際に、制御装置40により実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、サービスモードでの学習値の更新が完了したか否かを判断する。そして、更新が完了したと判断される場合、ステップS12において、i番気筒の燃料噴射弁20のデポジット異常の有無を判断すべく、判断対象とする気筒番号iを1とする。続くステップS14においては、燃圧レベルPL1における更新された学習値G1iと初期学習値g1iとの差の絶対値が判定値Xよりも小さいとの条件と、燃圧レベルPLnにおける更新された学習値Gniから初期学習値gniを引いた値が判定値Yよりも小さいとの条件との論理積条件が成立するか否かを判断する。この処理は、i番気筒の燃料噴射弁20にデポジット異常があるか否かを判断するためのものである。ここで、高圧領域(燃圧レベルPLn)における学習値が減少傾向にあるとの条件は、高圧領域において噴射量が増加側に変化するとの条件である。低圧領域(燃圧レベルPL1)における経年変化が小さいとの条件は、デポジット以外の要因によって高圧領域の噴射量が増加する異常が生じた場合とデポジットに起因する場合とを識別するために設けられる条件である。
上記ステップS14において肯定判断される場合には、ステップS16において、i番気筒のデポジット異常である旨警告する。ここでは、先の図1に示す表示器18を通じて警告すればよい。ただし、サービスモードによる学習が、ディーラにおいて専用の機器が制御装置40に接続されることでなされるものである場合には、専用の機器に警告信号を出力するようにしてもよい。
上記ステップS16の処理が完了する場合やステップS14において否定判断される場合には、ステップS18に移行する。ステップS18においては、全気筒についてデポジット異常の有無の判断が完了したか否かを判断する。この判断は、気筒番号iが気筒数以上となっているか否かによって行うことができる。そしてステップS18において否定判断される場合には、ステップS20において、気筒番号iを「i+1」として、ステップS14に移行する。
なお、ステップS18において肯定判断される場合や、ステップS10において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)燃料噴射弁20の噴射特性の経時変化が、高圧領域における噴射量の増加側の変化であると判断される場合に、デポジット異常であると判断した。これにより、デポジット異常の有無を好適に判断することができる。しかも、デポジット付着による噴射特性の変化は、ディーラにおいて燃料噴射弁20を洗浄することで解消することができるため、デポジット付着に起因する異常と他の異常とを識別することで、燃料噴射弁20を交換する必要があるのか、洗浄するのみで使用を継続することができるのかを判断することもできる。
(2)シート絞り領域における噴射特性の経時変化に基づきデポジット異常の有無を判断した。これにより、燃料噴射弁20の噴射口24の開口面積の変化の影響を排除しつつ異常の有無を判断することができ、ひいてはデポジット異常の有無の判断を高精度に行うことができる。
(3)燃料噴射弁20に供給される燃料の圧力が低い場合には経時変化が小さいにもかかわらず圧力が高い場合には実際に噴射される燃料量が増加側に変化することを条件に、デポジット異常であると判断した。これにより、噴射特性の経時変化として、デポジット異常に起因したものと他の要因によるものとを高精度に識別することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図8に、本実施形態にかかるデポジット異常の有無の判断処理の手順を示す。この処理は、ディーラにおいて上記サービスモードによる学習がなされる際に、制御装置40により実行される。
この一連の処理では、まずステップS30において、サービスモードによる学習値の更新処理を行う。続くステップS32においては、先の図7のステップS12同様、気筒番号iを「1」とする。続くステップS34においては、(ア)低圧側の燃圧レベルPL1において更新された学習値G1iと初期学習値g1iとの差の絶対値が判定値X1よりも小さいとの条件と、(イ)、低圧側の燃圧レベルPL2において更新された学習値G2iと初期学習値g2iとの差の絶対値が判定値X2よりも小さいとの条件と、(ウ)燃圧レベルPL(n−1)において更新された学習値G(n−1)iから初期学習値g(n−1)iを引いた値が判定値Y1よりも小さいとの条件と、(エ)燃圧レベルPLnにおいて更新された学習値Gniから初期学習値gniを引いた値が判定値Y2よりも小さいとの条件との4つの条件の論理積条件が成立するか否かを判断する。この処理は、i番気筒の燃料噴射弁20にデポジット異常があるか否かを判断するためのものである。ここで、「X1≦X2」且つ「Y1≧Y2」である。
ステップS36では、i番気筒において、サービスモードにおける学習を再度行う旨の予約(追加学習予約)をする。そして、追加学習予約回数Niをインクリメントする。続くステップS38においては、全気筒において上記ステップS34の処理が完了したか否かを判断する。ここでは、この処理に初めて入る場合には、気筒番号iが気筒数以上となっているか否かを判断し、追加学習の後に入る場合には、追加学習予約のなされていた全気筒においてステップS34の処理が完了したか否かを判断する。そして、否定判断される場合には、ステップS40において、気筒番号iを変更して、ステップS34に戻る。ここでは、ステップS40に始めて入る場合には、気筒番号iを「1」だけインクリメントし、追加学習の後に入る場合には、追加学習予約のなされた気筒のうちの最も番号の小さい数へと気筒番号iを変化させる。
一方、上記ステップS38において肯定判断される場合には、ステップS42において、追加学習予約があって且つ学習回数が所定回数以下であるか否かを判断する。そして、ステップS42において肯定判断される場合には、ステップS30に戻ることで、追加学習予約のなされている気筒について、ステップS30〜S36の処理を繰り返す。一方、ステップS42において否定判断される場合には、ステップS44に移行する。ステップS44においては、デポジット異常の判断対象となる気筒番号jを「1」とする。続くステップS46においては、j番気筒の追加学習予約回数Njが閾値Nthよりも大きいか否かを判断する。ここで、閾値Nthは、「(ステップS42の所定回数)−2」に設定されている。そして、ステップS46において肯定判断される場合には、ステップS48においてj番気筒のデポジット異常の警告をする。
上記ステップS48の処理が完了する場合や、ステップS46において否定判断される場合には、ステップS50に移行する。ステップS50においては、全気筒についてデポジット異常の有無の判断が完了したか否かを判断する。そして、ステップS50において否定判断される場合には、ステップS52において、気筒番号jを「1」だけインクリメントし、ステップS46に戻る。これに対し、ステップS50において肯定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)の効果に加えて、更に以下の効果を得ることができる。
(4)上記ステップS34において肯定判断される場合、デポジット異常がある旨の判断を行うに先立ち、追加学習を行うことで上記ステップS34の処理を行い、複数回のステップS34の処理結果に基づき、デポジット異常の有無を判断した。これにより、デポジット異常の有無の判断をいっそう高精度に行うことができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、複数の燃圧レベルPL1,PL2,PL(n−1),PLnにおける経時変化の検出結果に基づき低圧側での経時変化が小さいにもかかわらず高圧側では噴射量が増量側に変化する傾向に沿っているか否かを単一の数値によって定量化する。
図9に、上記定量化の手法を示す。図示されるように、本実施形態では、先の図8のステップS34に示した4つの条件のそれぞれを数値評価する。ここでは、低圧側の条件(条件(ア)、(イ))については、燃圧が低い条件ほど上記傾向に沿っている旨の評価点であるデポジット異常基本定量値として高い値が設定されている。また、高圧側の条件と(条件(ウ)、(エ))については、燃圧が高い条件ほどデポジット異常基本定量値が高い値に設定されている。これは、先の図5(a)及び図5(b)に示した傾向がより顕著となる燃圧レベルにおいて条件が成立するほど上記傾向に沿っている可能性が高いと考えられることによる。
図10に、本実施形態にかかるデポジット異常の有無の判断処理の手順を示す。この処理は、ディーラにおいて上記サービスモードによる学習がなされる際に、制御装置40により実行される。なお、図10において、先の図8に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS32の処理が完了するとステップS34aにおいて、i番気筒のデポジット異常定量値miを算出する。これは、上記4つの条件のうち、満たされた全ての条件についてのデポジット異常基本定量値の合計を算出する処理である。ステップS34aの処理が完了する場合には、ステップS34bにおいて、デポジット異常定量値miが閾値mthよりも大きいか否かを判断する。この処理は、デポジット異常の可能性の有無を判断するものである。そして、ステップS34bにおいて肯定判断される場合には、デポジット異常の可能性があることから、ステップS34cにおいて、i番気筒について追加学習予約を行う。
ステップS34cの処理が完了する場合やステップS34bにおいて否定判断される場合には、ステップS38に移行する。ステップS38〜S44の処理は、先の図8に示したものと同様である。一方、本実施形態では、デポジット異常の有無の判断を、ステップS46aにおいて行う。ステップS46aでは、デポジット異常定量値miの総和M(初めの学習時のものと追加学習時のものとの和)が閾値Mthよりも大きいか否かを判断する。この閾値Mthは、総和として取り得る値の最大値未満に設定されている。換言すれば、ステップS42によって規定される最大学習回数に、先の図9に示したデポジット異常基本定量値の合計(ここでは、「16」)を乗算した値未満に設定されている。そして、ステップS46aにおいて肯定判断される場合には、ステップS48においてj番気筒にデポジット異常があると判断する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)〜(3)の効果や先の第2の実施形態の上記(4)の効果に加えて、更に以下の効果を得ることができる。
(5)低圧側での経時変化が小さいにもかかわらず高圧側では噴射量が増量側に変化する傾向に沿っているか否かを、複数の燃圧レベルのそれぞれにおいて設定される判定条件を満たしているか否かに基づき点数評価することで、低量化した。この場合、上記複数の条件の全てを満たすか否かに応じてデポジット異常があるか否かを判断する場合と比較して、よりきめ細かな評価が可能となる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記各実施形態では、規定回数Nf回の学習が完了する場合に学習値を更新したが、これに限らず、学習を行う都度学習値を更新してもよい。
・上記各実施形態では、学習値の更新がなされることで、デポジット異常の有無を判断したが、これに限らない。例えば、学習値の更新に先立ち、学習処理の途中でデポジット異常の有無を判断してもよい。この場合、例えば先の図2のステップS26の処理に先立ち、デポジット異常の有無を判断するなら、学習値が正常範囲から外れる異常時において、その異常がデポジット異常であるか否かを特定することができる。
・上記各実施形態では、ディーラにおけるサービスモードの学習処理に際して、デポジット異常の有無を判断したがこれに限らない。例えば、ユーザモードによる学習によって、低圧側(燃圧レベルPL1)での学習値及び高圧側(燃圧レベルPL3)での学習値が更新される場合にデポジット異常判断処理の実行条件が整ったと判断し、この際にデポジット異常の有無を判断してもよい。
・上記第2の実施形態においては、追加学習予約回数Niが閾値Nth以上となる場合にデポジット異常と判断したが、これに限らず、例えば先の図8のステップS34において肯定判断される場合にデポジット異常と判断してもよい。
・上記第3の実施形態においては、学習値の更新処理の後にデポジット異常定量値miが第1閾値mthよりも大きい場合に追加学習を行ったがこれに限らず、デポジット異常定量値miが第1閾値mthよりも大きい場合にデポジット異常ありと判断してもよい。
・上記第2、第3の実施形態では、低圧側と高圧側とのそれぞれについて各2つの燃圧レベルPL1,PL2,PL(n−1),PLnにおける経時変化に基づき、デポジット異常の有無を判断したが、これに限らない。例えば低圧側と高圧側とのそれぞれについて各3つ以上ずつの燃圧における経時変化に基づきデポジット異常の有無を判断してもよい。また、経時変化の検出対象となる低圧側と高圧側との燃圧の数を互いに相違させてもよい。
・燃料噴射弁20に供給される燃料の圧力が低い場合には経時変化が小さいにもかかわらず、高い場合には実際に噴射される燃料量が増加側に変化することを定量評価する手法としては、上記各実施形態及びそれらの変形例で例示したものに限らない。例えば、上記第1の実施形態において、低圧側の経時変化を評価する判定値Xと、高圧側の経時変化を評価する判定値Yとを互いに相違する2つの値とし、これら判定値の双方について上記不等式が成立する場合の方が、一方のみについて不等式が成立する場合よりもデポジット異常基本定量値として大きい値を付与するようにしてもよい。この場合であっても、高圧側及び低圧側の双方でのデポジット異常基本定量値の和をデポジット異常定量値として算出することで上記定量化を行うことができる。
・上記実施形態では、少なくとも低圧側及び高圧側のそれぞれについて1又は複数の燃圧を設定して経時変化を検出することで、デポジット異常の有無を判断したがこれに限らない。例えば、高圧側の燃圧レベルPLn(nは偶数)と、中央の燃圧レベルPL(n/2)とのそれぞれにおける経時変化に基づきデポジット異常の有無を判断してもよい。ここでは、中央の燃圧レベルPL(n/2)における経時変化が過度に大きくない(高圧側の燃圧レベルPLnにおける経時変化よりも小さい)ことを条件に、デポジット異常がある旨判断してもよい。
また、高圧側の単一の燃圧レベルPLnにおける経時変化に基づきデポジット異常の有無を判断してもよい。すなわち、低圧側において実際に噴射される燃料量の経時変化量がある程度大きい値を示す場合であっても、その要因は、燃料噴射弁20によるものとは限らない。このため、別の要因によって低圧側の燃料噴射量が変化している場合に、高圧側の実際の噴射量が増加側に変化しているにもかかわらずデポジット異常と検出できないなら、ディーラにおける洗浄処理という比較的簡易な処理によって燃料噴射弁20の特性劣化を解消することができるにもかかわらず、これを逃すことが懸念される。このため、高圧側の実際の噴射量が増加側に変化している場合には、燃料噴射弁20内のデポジットに原因がある可能性があるとしてこれを通知することは有効である。
・噴射特性のずれを学習する学習手段としては、ディーゼル機関の回転速度を目標回転速度にフィードバック制御する際の燃料噴射弁20の操作量と基準となる操作量との相違に基づき異常の有無を判断するものに限らない。例えば、特開2005−036788号公報に記載されているように、車両が無噴射減速状態である場合に単発噴射を実施することで出力軸の回転上昇量を検出し、これに基づき検出される実際に噴射された燃料量と指令噴射量との差によって噴射特性のずれを学習するものであってもよい。
・上記各実施形態では、シート絞り領域にて燃料噴射を行う微少噴射についての噴射特性のずれの学習に基づきデポジット異常の有無を判断したが、これに限らない。例えば、ノズルニードル22のリフト量がシート絞り領域よりも大きくなる燃料噴射に関する噴射特性のずれについても、高圧領域において実際の噴射量が増加する側の経時変化が生じる傾向がある場合には、こうした燃料噴射についての噴射特性のずれの学習に基づきデポジット異常の有無を判断することができる。もっとも、ノズルコーキングの影響による異常判断精度の低下を抑制する観点からは、フルリフトとならない燃料噴射、換言すればフルリフトよりも小さい規定量以下のリフト量の燃料噴射の噴射特性のずれの学習に限って、これを用いることでデポジット異常の有無を判断する方が望ましいと考えられる。
・燃料噴射弁20としては、バルブ32を電磁ソレノイド30によって駆動するものに限らず、例えばピエゾ素子によって駆動するものであってもよい。要は、ノズルニードル22を開弁させるためにノズルニードル22に加えられる力が燃料の圧力による力であるならば、デポジットが付着した場合に、高圧側において燃料噴射量が増加する傾向を有すると考えられるため、本発明の適用が有効である。
・ディーゼル機関としては、軽油を燃料とするものに限らず、例えばバイオ燃料を用いるものであってもよい。
・内燃機関としては、ディーゼル機関に限らない。ここで、筒内噴射式内燃機関であるなら、燃料を高圧状態とする必要性が生じるため、蓄圧容器内に高圧燃料を蓄えることが有効である。そしてこの場合、蓄圧容器内の燃圧を可変制御するものであるなら、燃圧毎に燃料噴射特性を各別に学習することが望まれる状況にあると考えられるため、この要求にしたがって学習された値を流用することでデポジット異常の有無を判断することができる。もっとも、燃料噴射制御のためには蓄圧容器内の燃圧を可変制御しないものであっても、デポジット異常の有無を判断するために燃圧を強制的に可変制御することで、上記各実施形態の要領でデポジット異常の有無を判断することができる。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかる燃料噴射特性の学習処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる学習値の記憶態様を示す図。 同実施形態にかかるユーザモード及びサービスモードでの学習態様を示すタイムチャート。 同実施形態にかかる燃料噴射率の経時変化を例示するタイムチャート。 シート絞り領域での噴射を説明するための図。 上記実施形態にかかる異常検出処理の手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかる異常検出処理の手順を示す流れ図。 第3の実施形態にかかるデポジット異常の定量化手法を示す図。 同実施形態にかかる異常検出処理の手順を示す流れ図。
符号の説明
16…コモンレール、20…燃料噴射弁、40…制御装置。

Claims (7)

  1. 内燃機関の燃料噴射弁の噴射特性のずれを学習する学習手段と、
    前記噴射特性のずれの学習結果に基づき、前記噴射特性のずれの経時変化を検出する経時変化検出手段と、
    該経時変化検出手段の検出結果に基づき、前記経時変化が基準となる変化に沿うか否かを判断する変化傾向判断手段と、
    前記変化に沿うと判断されることを条件に、前記燃料噴射弁内の可動部材に変位異常が生じている旨判断する異常判断手段とを備え、
    前記基準となる変化は、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高い場合に前記燃料噴射弁から実際に噴射される燃料量が増加側に変化するというものであり
    前記変化傾向判断手段は、前記燃料噴射弁に供給される燃料についての互いに相違する複数の圧力領域のそれぞれにおける前記経時変化の検出結果に基づき、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が低い場合には前記経時変化が小さいにもかかわらず前記圧力が高い場合には実際に噴射される燃料量が増加側に変化するか否かを定量評価することで、前記基準となる変化に沿うか否かの判断を行うものであることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記変化傾向判断手段は、前記燃料噴射弁に供給される燃料についての互いに相違する3つ以上の圧力領域のそれぞれにおける前記経時変化の検出結果に基づき、前記基準となる変化に沿うか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 内燃機関の燃料噴射弁の噴射特性のずれを学習する学習手段と、
    前記噴射特性のずれの学習結果に基づき、前記噴射特性のずれの経時変化を検出する経時変化検出手段と、
    該経時変化検出手段の検出結果に基づき、前記経時変化が基準となる変化に沿うか否かを判断する変化傾向判断手段と、
    前記変化に沿うと判断されることを条件に、前記燃料噴射弁内の可動部材に変位異常が生じている旨判断する異常判断手段とを備え、
    前記基準となる変化は、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高い場合に前記燃料噴射弁から実際に噴射される燃料量が増加側に変化するというものであり、
    前記変化傾向判断手段は、前記経時変化検出手段の検出結果に基づき、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が規定値以上である際の前記経時変化の検出結果が前記燃料噴射弁から実際に噴射される燃料量の増加側の変化である旨の条件と、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が前記規定値よりも小さい所定値以下である際の前記経時変化の検出結果が所定以下である旨の条件との論理積条件が成立する場合、前記基準となる変化に沿うと判断することを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記経時変化検出手段は、前記燃料噴射弁のノズルニードルの最大リフト量がフルリフト量よりも小さい規定量以下となる燃料噴射に関する前記経時変化を検出するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記異常判断手段は、前記変化傾向判断手段によって前記基準となる変化に沿うと判断される場合、前記変位異常がある旨の判断を行うに先立ち、前記学習手段による学習、及び前記経時変化検出手段による経時変化の検出、前記変化傾向判断手段による判断を再度実行させ、該再実行の前後における前記変化傾向判断手段の判断結果に基づき、前記異常の有無を判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  6. 前記学習手段は、前記内燃機関の回転速度を目標回転速度にフィードバック制御する際の前記燃料噴射弁の操作量と基準となる操作量との相違に基づき、前記噴射特性のずれを学習することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置と、
    前記燃料噴射弁とを備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御システム。
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