JP5082502B2 - プラズマディスプレイ装置とその駆動方法 - Google Patents

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Description

本発明は、壁掛けテレビや大型モニター等に用いられるプラズマディスプレイ装置とその駆動方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)として代表的な交流面放電型パネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。
前面板には走査電極と維持電極とからなる表示電極対が前面ガラス基板上に互いに平行に複数対形成され、背面板にはデータ電極が背面ガラス基板上に平行に複数形成されている。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入されている。ここで表示電極対とデータ電極との対向する部分に放電セルが形成される。
パネルを駆動する方法としては、サブフィールド法、すなわち、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって画像を表示する方法が一般に用いられている。各サブフィールドは、初期化期間、書込み期間および維持期間を有し、初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み動作に必要な壁電荷を各電極上に形成する。書込み期間では、表示を行うべき放電セルで選択的に書込み放電を発生させ壁電荷を形成する。そして維持期間では、サブフィールド毎にあらかじめ決められた輝度重みに比例係数(以下、「輝度倍率」と称する)を乗じた数の維持パルスを表示電極対に交互に印加し、書込み放電を起こした放電セルで維持放電を発生させ発光させることにより画像表示を行う。
サブフィールド法を用いて画像表示輝度を向上させる技術の一つとして、維持期間に表示電極対に印加する維持パルスのパルス数を制御する技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、画像信号の平均輝度レベル(以下、「APL」と記す)にもとづき輝度倍率を設定し、各サブフィールドの維持パルス数をそれぞれ1倍、2倍、3倍、・・・と増加させて輝度を向上させる方法が記載されている。
しかし、維持パルス数を増加させて輝度を上げるとプラズマディスプレイ装置の消費電力も増大し、筐体内部の温度が上昇する。そしてパネル温度や駆動回路の温度が上がりすぎると、保護回路が動作する等により画像表示動作を停止することがあった。そのため、プラズマディスプレイ装置の温度を検出し、温度が上がりすぎると維持パルス数を制限して温度を下げる方法が開示されている(例えば、特許文献2)。
特開平8−286636号公報 特開2004−325568号公報
しかしながら、検出した温度の値と温度しきい値とを単純に比較して、プラズマディスプレイ装置の温度が温度しきい値以下になるように輝度倍率をフィードバック制御すると、検出した温度が温度しきい値に近い温度になったときに画像表示輝度が頻繁に変化して、画像表示品質を低下させるという課題があった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、画像表示輝度を頻繁に変化させることなく、検出温度を温度しきい値以下になるように制御するプラズマディスプレイ装置とその駆動方法を提供することを目的とする。
本発明は、表示電極対を有する放電セルを複数備えたパネルと、輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対に印加して放電セルで維持放電を発生させる維持期間を有するサブフィールドを複数用いて画像を表示する駆動回路とを備えたプラズマディスプレイ装置であって、駆動回路は、プラズマディスプレイ装置の内部の温度を検出して検出温度を出力する温度センサと、検出温度にもとづき輝度倍率制限値以下となるように輝度倍率を設定する輝度倍率設定回路とを備え、輝度倍率設定回路は、検出温度が温度しきい値以上でありかつ検出温度が低下しない場合には輝度倍率制限値を減少させ、検出温度が温度しきい値未満でありかつ検出温度が上昇しない場合には輝度倍率制限値を増加させることを特徴とする。この構成により、画像表示輝度を頻繁に変化させることなく、検出温度を温度しきい値以下になるように制御するプラズマディスプレイ装置を提供することを目的とする。
また本発明のプラズマディスプレイ装置の輝度倍率設定回路は、画像信号のAPLを算出するAPL算出部と、APLにもとづき基本輝度倍率を設定する基本倍率設定部と、検出温度をあらかじめ定められた温度しきい値と比較する温度比較部と、検出温度の上昇または低下を判定する温度変化判定部と、温度比較部と温度変化判定部との出力にもとづき輝度倍率制限値を設定する制限値設定部と、基本倍率設定部から出力される基本輝度倍率を輝度倍率制限値以下に制限する輝度倍率制限部とを備えた構成であってもよい。
また本発明は、内部の温度を検出するとともに輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対に印加して維持放電を発生させ画像を表示するプラズマディスプレイ装置の駆動方法であって、輝度倍率は、検出した内部の温度にもとづき輝度倍率制限値以下となるように設定され、また内部の温度が温度しきい値以上でありかつ内部の温度が低下していない場合には輝度倍率制限値を減少させ、検出温度が温度しきい値未満でありかつ検出温度が上昇していない場合には輝度倍率制限値を増加させることを特徴とする。この方法により、画像表示輝度を頻繁に変化させることなく、検出温度を温度しきい値以下になるように制御するプラズマディスプレイ装置の駆動方法を提供することができる。
本発明によれば、画像表示輝度を頻繁に変化させることなく、検出温度を温度しきい値以下になるように制御するプラズマディスプレイ装置とその駆動方法を提供することが可能となる。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面基板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして表示電極対24を覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。背面基板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色、緑色および青色の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
これら前面基板21と背面基板31とは、微小な放電空間をはさんで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、例えばネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。
図2は、本発明の実施の形態におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作について説明する。プラズマディスプレイ装置は、サブフィールド法、すなわち1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって画像を表示する。それぞれのサブフィールドは初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み放電に必要な壁電荷を各電極上に形成する。書込み期間では、発光させるべき放電セルで選択的に書込み放電を発生し壁電荷を形成する。そして維持期間では、サブフィールド毎にあらかじめ決められた輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対に交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させて発光させる。
本実施の形態においては、1フィールドを10のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第10SF)に分割し、各サブフィールドはそれぞれ、例えば(1、2、3、6、11、18、30、44、60、80)の輝度重みを持つものとする。また、第1SFの初期化期間では全ての放電セルで初期化動作を行い、第2SF〜第10SFの初期化期間では維持放電を発生した放電セルで選択的に初期化動作を行うものとする。しかし、本発明はサブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではない。
図3は、本発明の実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図である。図3には、2つのサブフィールドの駆動電圧波形を示しているが、他のサブフィールドにおける駆動電圧波形もほぼ同様である。
第1SFの初期化期間前半部では、データ電極D1〜Dm、維持電極SU1〜SUnにそれぞれ0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下の電圧Vi1から、放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。この傾斜波形電圧が上昇する間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜Dm上および維持電極SU1〜SUn上には正の壁電圧が蓄積される。ここで、電極上の壁電圧とは電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜SUnに正の電圧Ve1を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。この間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。以上により、初期化動作が終了する。
なお、初期化期間の駆動電圧波形としては、図3の第2SFの初期化期間に示したように、初期化期間後半部の電圧波形だけを印加してもよく、この場合には直前のサブフィールドの維持期間において維持放電を行った放電セルで選択的に初期化放電が発生する。
続く書込み期間では、維持電極SU1〜SUnに電圧Ve2を、走査電極SC1〜SCnに電圧Vcを印加する。
次に、1行目の走査電極SC1に負の走査パルスVaを印加するとともに、データ電極D1〜Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルスVdを印加する。このときデータ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(Vd−Va)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧の差とが加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、データ電極Dkと走査電極SC1との間および維持電極SU1と走査電極SC1との間に書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
このようにして、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルスVdを印加しなかったデータ電極D1〜Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。以上の書込み動作を走査電極SCnのn行目の放電セルに至るまで行い、書込み期間が終了する。
維持期間では、まず走査電極SC1〜SCnに維持パルスVsを印加するとともに維持電極SU1〜SUnに0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差が維持パルスVsに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
続いて、走査電極SC1〜SCnには0(V)を、維持電極SU1〜SUnには維持パルスVsをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。
以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに交互に輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを印加し、表示電極対24の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
そして、維持期間の最後には、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとの間にいわゆる細幅パルス状の電位差を与えて、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧の一部または全部を消去している。こうして維持期間における維持動作が終了する。
なお、詳細は後述するが、上記輝度倍率は画像信号のAPLにもとづいて制御されている。さらにプラズマディスプレイ装置内部に設けられた温度センサの検出温度Tに依存して制御されている。
続くサブフィールドの動作は第1SFの動作とほぼ同様であるため説明を省略する。
次に、パネル10を駆動するための駆動回路とその動作について説明する。図4は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置100の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置100は、パネル10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45、輝度倍率設定回路46、温度センサ47および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
画像信号処理回路41は、入力された画像信号をサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。データ電極駆動回路42は、サブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜Dmに対応する信号に変換し各データ電極D1〜Dmを駆動する。
温度センサ47は、温度を検出するために用いられるサーミスタ、熱電対等の一般に知られた感熱素子を備え、プラズマディスプレイ装置100内部の温度を検出して検出温度Tを出力する。本実施の形態においては、温度検出精度を高めるために、50ms毎に感熱素子の出力を読み込み20回分の平均値を算出して、5s毎に検出温度Tとして出力する。また温度センサ47はパネル10の熱が直接影響されない位置に設置されるのが好ましく、例えば表面でパネル10を支えるシャーシー部材(図示せず)の裏面に空気層をはさんで支持される各種駆動回路基板の表面に設置されている。
輝度倍率設定回路46は、画像信号のAPLに依存して輝度倍率を設定するとともに、温度センサ47が検出した検出温度Tの値とその変化にもとづいて、後述する輝度倍率制限値H以下となるように輝度倍率を設定する。
タイミング発生回路45は、輝度倍率設定回路46で設定された輝度倍率にもとづき各サブフィールドの維持期間における維持パルスの数を決定するとともに、水平同期信号、垂直同期信号をもとにして各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。走査電極駆動回路43はタイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜SCnをそれぞれ駆動し、維持電極駆動回路44はタイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜SUnを駆動する。
図5は、本発明の実施の形態における輝度倍率設定回路46の回路ブロック図である。輝度倍率設定回路46は、APL算出部51と、基本倍率設定部52と、輝度倍率制限部53と、温度比較部61と、温度変化判定部62と、絶対値記憶部63と、制限値設定部64とを備える。
APL算出部51は、画像信号のAPL(平均輝度レベル)を算出する。具体的には、例えば画像信号の輝度値を1フィールド期間、または1フレーム期間にわたって累積する等の一般に知られた手法を用いることによってAPLを算出する。なお、輝度値を用いる以外にも、赤、緑、青の原色信号のそれぞれを1フィールド期間にわたって累積し、それらの平均値を求めることでAPLを算出する方法を用いてもよい。
基本倍率設定部52は、画像信号のAPLにもとづき輝度倍率を設定し、基本輝度倍率として出力する。図6は、本発明の実施の形態における基本倍率設定部52の特性を示す図である。基本倍率設定部52は、APLが高い画像信号に対しては基本輝度倍率を小さく設定し、APLが低い画像信号に対しては基本輝度倍率を大きく設定する。本実施の形態においては、APLが10%以下の画像信号に対しては、基本輝度倍率は「3.5」倍であり、APLが増加するにしたがい基本輝度倍率を小さくなるように設定し、APLが90%以上の画像信号に対しては基本輝度倍率を「1」倍に設定している。このように、APLにもとづき基本輝度倍率を設定することにより、明るい画像信号に対しては維持パルス数を制限してプラズマディスプレイ装置100の消費電力を抑制している。また、APLの低い暗い画像に対しては基本輝度倍率を大きく設定することにより表示輝度を向上させている。
温度比較部61は、温度センサ47の検出した検出温度Tをあらかじめ定められた温度しきい値、本実施の形態においては70℃と比較し、検出温度Tが温度しきい値以上の場合には「1」を、検出温度Tが温度しきい値以未満の場合には「0」を温度比較信号TCとして出力する。なお、温度しきい値はプラズマディスプレイ装置の仕様等により適宜設定することが望ましい。
温度変化判定部62は、温度センサ47の検出した検出温度Tの上昇または低下を判定する。本実施の形態においては、温度センサ47から出力された検出温度Tとその前に出力された検出温度Tとを比較して、検出温度Tが上昇した場合には「+1」を、低下した場合には「−1」を、変化しなかった場合には「0」を温度変化信号TDとして出力する。
絶対値記憶部63は、輝度倍率制限値Hの最大値と最小値とを記憶する。後述するようにここで記憶されている最大値と最小値は、変動する輝度倍率制限値Hの最大値(以下、「絶対最大値Hmax」と略記する)および変動する輝度倍率制限値Hの最小値(以下、「絶対最小値Hmin」と略記する)である。本発明の実施の形態においては、絶対最大値Hmaxの値が「3.5」、絶対最小値Hminの値が「1」であるとして説明するが、絶対最大値Hmax、絶対最小値Hminはプラズマディスプレイ装置の仕様等により適宜設定することが望ましい。
制限値設定部64は、温度比較部61と温度変化判定部62との出力および絶対値記憶部63に記憶されている絶対最大値Hmax、絶対最小値Hminにもとづき輝度倍率制限値Hを設定する。図7は、本発明の実施の形態における輝度倍率制限値Hの設定の条件を示す図である。なお図7では、以前の輝度倍率制限値をH(t−1)で示し、新しく設定する輝度倍率制限値をH(t)で示している。検出温度Tが温度しきい値Tth以上でありかつ検出温度Tが低下していない場合には、それまでの輝度倍率制限値H(t−1)から所定の輝度倍率幅ΔHだけ減算して新しい輝度倍率制限値H(t)とする。ただし、新しい輝度倍率制限値H(t)が絶対最小値Hmin未満になる場合には減算しない。また、検出温度Tが温度しきい値Tth未満でありかつ検出温度Tが上昇していない場合にはそれまでの輝度倍率制限値H(t−1)に所定の輝度倍率幅ΔHを加算して新しい輝度倍率制限値H(t)とする。ただし新しい輝度倍率制限値H(t)が絶対最大値Hmaxを超える場合には輝度倍率幅ΔHを加算しない。また上記以外の条件の場合には輝度倍率制限値H(t)は輝度倍率制限値H(t−1)に等しく設定する。
図8は、本発明の実施の形態における制限値設定部64の動作を説明するためのフローチャートである。なお本実施の形態においては、以下に説明する輝度倍率制限値Hの設定を5s毎に実行する。
(ステップS11)まず温度比較信号TC、温度変化信号TD、および絶対最大値Hmax、絶対最小値Hminを取り込む。
(ステップS12)温度比較信号TCが「1」、すなわち検出温度Tが温度しきい値Tth以上であればステップS13に進み、そうでなければステップS23に進む。
(ステップS13)温度変化信号TDが、「+1」または「0」、すなわち検出温度Tが低下していない場合にはステップS14に進み、そうでなければステップS35に進む。
(ステップS14)以前の輝度倍率制限値H(t−1)から所定の輝度倍率幅ΔHを減算した値が絶対最小値Hmin以上であればステップS15に進み、そうでなければステップS35に進む。
(ステップS15)新しい輝度倍率制限値H(t)を、輝度倍率制限値H(t)=H(t−1)−ΔHに設定し、ステップS11に戻る。
(ステップS23)温度変化信号TDが、「−1」または「0」、すなわち検出温度Tが上昇していない場合にはステップS24に進み、そうでなければステップS35に進む。
(ステップS24)以前の輝度倍率制限値H(t−1)に所定の輝度倍率幅ΔHを加算した値が絶対最大値Hmax以下であればステップS25に進み、そうでなければステップS35に進む。
(ステップS25)新しい輝度倍率制限値H(t)を、輝度倍率制限値H(t)=H(t−1)+ΔHに設定し、ステップS11に戻る。
(ステップS35)新しい輝度倍率制限値H(t)を、輝度倍率制限値H(t)=H(t−1)に設定し、ステップS11に戻る。
以上のようにして、制限値設定部64は5s毎に輝度倍率制限値Hを設定する。このように温度センサ47が検出温度Tを出力する周期に同期させて輝度倍率制限値Hも設定することが望ましい。
輝度倍率制限部53は、基本倍率設定部52から出力される基本輝度倍率を輝度倍率制限値H以下に制限して、輝度倍率として出力する。このように制御することにより輝度倍率の最大値が制限され、検出温度Tが温度しきい値Tthより上昇しないように輝度倍率を制御することができる。
次に、輝度倍率設定回路46の動作を、例をあげて説明する。図9は、本発明の実施の形態における輝度倍率設定回路46の動作を説明するための図であり、図9(a)は検出温度T、図9(b)は輝度倍率制限値Hの変化の一例を示す。
検出温度Tが低いとき(時刻t1以前)は、輝度倍率制限値Hは絶対最大値Hmaxとなり、輝度倍率制限部53が基本輝度倍率を制限することはない。このときの輝度倍率は図6に示した特性にしたがって画像信号のAPLにもとづき設定される。
その後、明るい画像が表示される等により検出温度Tが上昇し始め、時刻t1に検出温度Tが温度しきい値Tthを超えると、図7または図8に示したように、輝度倍率制限部53は、輝度倍率制限値H(t)を、それまでの輝度倍率制限値H(t−1)よりも輝度倍率幅ΔHだけ小さい値、H(t−1)−ΔHに設定する。
そして、時刻t2に検出温度Tが減少に転じると、検出温度Tが温度しきい値Tthよりも大きくても、輝度倍率制限値H(t)を減ずることなく、それまでの輝度倍率制限値H(t−1)と同じ値に設定する。これは、検出温度Tが減少に転じているにもかかわらず輝度倍率制限値H(t)を減じて、さらに検出温度Tの減少を加速することを防ぐためである。その結果、温度の急激な変化を抑えることができ、したがって画像表示輝度が急激に変化することもなくなる。また、必要以上に輝度倍率を低下させて画像表示輝度が低くなりすぎることもない。
そして、時刻t3に検出温度Tが温度しきい値Tthよりも小さくなると、図7または図8に示したように、輝度倍率制限部53は、輝度倍率制限値H(t)を、それまでの輝度倍率制限値H(t−1)よりも輝度倍率幅ΔHだけ大きい値、H(t−1)+ΔHに設定する。
また、時刻t4に検出温度Tが増加に転じると、検出温度Tが温度しきい値Tthより小さくても、輝度倍率制限値H(t)を増加させることなく、それまでの輝度倍率制限値H(t−1)と同じ値に設定する。これは、検出温度Tが増加に転じているにもかかわらず輝度倍率制限値H(t)を増加して、検出温度Tの増加を加速することを防ぐためである。
以上のように駆動することにより、検出温度Tの急激な変化を抑えることができ、輝度倍率制限値Hが頻繁に変動することがなく、したがって画像表示輝度を頻繁に変化させることなく、検出温度Tを温度しきい値Tth以下になるように制御することができる。
なお、本実施の形態においては、輝度倍率幅ΔHを0.05倍に設定しているが、輝度倍率幅ΔHとしては、輝度倍率制限値Hを増減させても、画像表示輝度の変化が視覚的に気にならない程度の値に設定することが望ましく、プラズマディスプレイ装置の仕様等に応じて適宜設定することが望ましい。
また、本実施の形態において用いた具体的な各数値は、単に一例をあげたに過ぎず、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
本発明によれば、画像表示品質を大きく低下させることなく維持パルス数を制限して消費電力を抑制することができるので、プラズマディスプレイ装置として有用である。
本発明の実施の形態におけるパネルの構造を示す分解斜視図 同パネルの電極配列図 同パネルの各電極に印加する駆動電圧波形図 本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図 本発明の実施の形態における輝度倍率設定回路の回路ブロック図 本発明の実施の形態における基本倍率設定部の特性を示す図 本発明の実施の形態における輝度倍率制限値の設定の条件を示す図 本発明の実施の形態における制限値設定部の動作を説明するためのフローチャート 本発明の実施の形態における輝度倍率設定回路の動作を説明する図
符号の説明
10 パネル
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
32 データ電極
41 画像信号処理回路
42 データ電極駆動回路
43 走査電極駆動回路
44 維持電極駆動回路
45 タイミング発生回路
46 輝度倍率設定回路
47 温度センサ
51 APL算出部
52 基本倍率設定部
53 輝度倍率制限部
61 温度比較部
62 温度変化判定部
63 絶対値記憶部
64 制限値設定部
100 プラズマディスプレイ装置

Claims (3)

  1. 表示電極対を有する放電セルを複数備えたプラズマディスプレイパネルと、
    輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを前記表示電極対に印加して前記放電セルで維持放電を発生させる維持期間を有するサブフィールドを複数用いて画像を表示する駆動回路とを備えたプラズマディスプレイ装置であって、
    前記駆動回路は、
    プラズマディスプレイ装置の内部の温度を検出して検出温度を出力する温度センサと、前記検出温度にもとづき輝度倍率制限値以下となるように前記輝度倍率を設定する輝度倍率設定回路とを備え、
    前記輝度倍率設定回路は、前記検出温度が温度しきい値以上でありかつ前記検出温度が低下しない場合には前記輝度倍率制限値を減少させ、前記検出温度が前記温度しきい値未満でありかつ前記検出温度が上昇しない場合には前記輝度倍率制限値を増加させることを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
  2. 前記輝度倍率設定回路は、
    画像信号のAPLを算出するAPL算出部と、前記APLにもとづき基本輝度倍率を設定する基本倍率設定部と、前記検出温度をあらかじめ定められた温度しきい値と比較する温度比較部と、前記検出温度の上昇または低下を判定する温度変化判定部と、前記温度比較部と前記温度変化判定部との出力にもとづき前記輝度倍率制限値を設定する制限値設定部と、前記基本倍率設定部から出力される基本輝度倍率を前記輝度倍率制限値以下に制限する輝度倍率制限部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
  3. 内部の温度を検出するとともに輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを表示電極対に印加して維持放電を発生させ画像を表示するプラズマディスプレイ装置の駆動方法であって、
    前記輝度倍率は、検出した前記内部の温度にもとづき輝度倍率制限値以下となるように設定され、また前記内部の温度が温度しきい値以上でありかつ前記内部の温度が低下していない場合には前記輝度倍率制限値を減少させ、プラズマディスプレイ装置の内部の温度が検出された検出温度が前記温度しきい値未満でありかつ前記内部の温度が上昇していない場合には前記輝度倍率制限値を増加させることを特徴とするプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
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