JP5082100B2 - 全芳香族ポリエステル極細フィラメントの製造手段 - Google Patents

全芳香族ポリエステル極細フィラメントの製造手段 Download PDF

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Description

本発明は、延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントおよびその製造方法およびその製造装置に関し、特にそれらの簡便な延伸手段によって得られる7倍以上で、さらに15倍以上の高倍率で延伸され、20μm以下の極細全芳香族ポリエステルフィラメントの製造に関する。
全芳香族ポリエステル繊維は、その高強度高弾性率、高耐熱性等の優れた特性より、工業資材等として各方面で使用されている。しかし、全芳香族ポリエステル繊維は紡糸性や延伸性が悪いため、繊維径を細くすることが困難であった。したがって、従来の全芳香族ポリエステルフィラメントは繊維径が大きいため、ロープ等の工業用資材に使用した場合に、しなやかさに欠け、使用特性において問題があった。そして、全芳香族ポリエステル繊維径を細くすることは、従来は、全芳香族ポリエステル繊維の紡糸条件を検討することによって行われていた(例えば、特開昭62−177211号、特開平1−272812号)。
一方、本発明は赤外線加熱によるフィラメントの延伸技術に関するものであるが、それらの技術は、従来、種々行われていた(例えば、特開2003−166115号公報、国際公開第00/73556号パンフレット、鈴木章泰、他1名 Journal of Applied Polymer Science、vol.83、p.1711−1716、2002年、鈴木章泰、他1名 高分子学会予稿集、高分子学会2001年5月7日、50巻4号、p787、鈴木章泰、他1名 Journal of Applied Polymer Science、vol.88、p.3279−3283、2003年、鈴木章泰、他1名 Journal of Applied Polymer Science、vol.90、p.1955−1958、2003年)。しかし、これらは全芳香族ポリエステルフィラメントを、高倍率に、しかも高度に分子配向された形態で、延伸されることを実現するには十分ではなかった。
また、従来の全芳香族ポリエステル繊維からなる不織布は、全芳香族ポリエステル繊維を数センチメータに切断し、カードウェブにして積層し、ニードルパンチして不織布としており、切断、カードウェブ化、ニードルパンチなど、工程が多く、コストアップになっているばかりでなく、短繊維からなるため、不織布の強度が繊維の絡み合いに依存しており、全芳香族ポリエステル繊維が本来有している高強度を有効に利用していなかった。
本発明は、上記従来技術をさらに発展させたものであって、その目的とするところは、特殊な紡糸法を採用することなく、簡便な手段で容易に延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントを得ることができるようにすることにある。また他の目的は、全芳香族ポリエステルフィラメントを、高品質でフィラメント径細く、安定して製造可能とすることにある。さらに他の目的は、全芳香族ポリエステルフィラメントからなる長繊維不織布を製造可能とすることにある。
本発明は、延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントに関する。全芳香族ポリエステルフィラメントとは、全芳香族ポリエステルポリマーを主成分とするフィラメントを意味する。フィラメントは、実質的に連続した長さを持つ繊維で、長さの短い(数ミリメータから数センチメータ)からなる短繊維とは区別される。なお、本発明におけるフィラメントは、一本のフィラメントからなるシングルフィラメントである場合と、複数のフィラメントからなるマルチフィラメントである場合が含められる。一本のフィラメントにかかる張力等では、「単糸あたり」と表現するが、一本のフィラメントでは、「その一本のフィラメントあたり」を意味し、マルチフィラメントでは、それを構成する「個々のフィラメント一本あたり」を意味する。
繊維となるポリエステルの代表格はポリエチレンレフテレフタレートであるが、分子中にエチレン基を有するため屈曲性がある。本発明における全芳香族ポリエステルポリマーとは、分子中にこのようなメチレン基やエチレン基を全て芳香族基に置き換えた合成高分子で、ポリアリレートとも呼ばれる。これらの全芳香族ポリエステルは、融点が高く、また分子配向させることにより、高強度、高弾性率を有するフィラメントとなることに特徴がある。また、全芳香族ポリエステルの多くが、サーモトロピック液晶を形成する。全芳香族ポリエステルポリマーには、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)と6−ヒドロキシ−2ナフトエ酸(HNA)からエステル交換反応で合成された商品名ベクトランがある。また、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)とジアセトキシビフェニール、テレフタル酸、イソフタル酸の共重合で合成された商品名エコノールがある。しかし、これらの例示にとどまらず、上記定義に示した全芳香族ポリエステルからなるフィラメントであれば、本発明の全芳香族ポリエステルフィラメントに含まれる。
本発明における全芳香族ポリエステルフィラメントは、フィラメントの骨格(芯の部分)を前記全芳香族ポリエステルポリマーからなり、表面(鞘の部分)が他のポリマーから構成されている場合も含められる。このような構成にすることにより、全芳香族ポリエステルの紡糸性を改善することができる。この鞘部分のポリマーとして耐熱性のあるポリエステルである、ポリエチレン−2、6−ナフタレート(PEN)ポリ−1、4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)などが特に有効である。また、ポレフェニレンエーテルやその変性体などのポリエーテルも使用することができる。
本発明は、原フィラメントを延伸する手段を提供するものである。本発明における原全芳香族ポリエステルフィラメントとは、既に全芳香族ポリエステルフィラメントとして製造されて、ボビン等に巻き取られたものであってもよいし、紡糸過程において、フィラメントが冷却や凝固により全芳香族ポリエステルフィラメントとなったものを、紡糸過程に引き続き使用され、本発明の延伸手段の原料となる全芳香族ポリエステルフィラメントとして使用してもよい。したがって、紡糸工程における溶剤が若干含まれていている場合のように、溶剤や膨潤剤が含まれる場合も含められる。
本発明における原全芳香族ポリエステルフィラメントとは、既に紡糸過程や延伸工程を経て分子配向されたものであっても使用される。全芳香族ポリエステル融液はサーモトロピック液晶を示し、紡糸のみで分子配向され、このように高度に分子配向されている原フィラメントからでも、さらに高倍率に延伸できることに本発明の特徴がある。しかし、紡糸過程で紡糸条件を工夫することにより、分子配向が制限されているフィラメントである好ましい。本発明において、原フィラメントの強度が、単糸あたり、10GPa以下である未延伸フィラメントであることが好ましく、さらに、5GPa以下であることが好ましく、1GPa以下であることが最も好ましい。本発明人の先発明で明らかにしたように、ナイロンやポリエチレンテレフタレート等の汎用熱可塑性樹脂フィラメントでは、相当に分子配向した原フィラメントでも、赤外線光束で超高倍率に延伸出来、高分子配向のフィラメントが得られる。しかし、全芳香族ポリエステルフィラメントでは、分子配向度が制限されていることで、延伸性が増すことが明らかになった。
本発明の原全芳香族ポリエステルフィラメントは、赤外線加熱手段(レーザーを含む)により照射される赤外線光束により延伸適温に加熱される。赤外線は、原フィラメントを加熱するが、延伸適温に加熱される範囲が、フィラメントの中心でフィラメントの軸方向に、上下4mm(長さとして8mm)以内であることが好ましく、さらに好ましくは3mm以下、最も好ましくは2mm以下で加熱される。本発明は、狭い領域で急激に延伸することにより、高度の分子配向を伴った延伸を可能にし、しかも高倍率延伸であっても、延伸切れを少なくすることができた。なお、この赤外線光束が照射されるフィラメントが、マルチフィラメントである場合は、上記の「フィラメントの中心」は、マルチフィラメントのフィラメント束の中心を意味する。
なお、この場合の赤外線光束の照射は、複数箇所から照射されることが好ましい。全芳香族ポリエステルフィラメントにおいて、フィラメントの片側のみからの加熱は、その融解温度が高く、加熱時間が短いので、もともと延伸が困難なフィラメントが、非対称加熱により、さらに困難になるからである。このような複数箇所からの照射は、複数個の赤外線光束の光源から照射してもよいが、一つの光源からの光束を鏡によって反射させることにより、複数回、原フィラメントの通路に沿って照射させることによって達成することもできる。鏡は、固定型ばかりでなく、ポリゴンミラーのように回転するタイプも使用することができる。
また、複数箇所からの照射の別な手段として、複数光源からの光源を原フィラメントに複数箇所から照射する手段がある。比較的小規模のレーザー光源で安定してコストの安いレーザー発振装置を複数用いて、高パワーの光源とすることができる。本発明の全芳香族ポリエステルフィラメントは、高ワット密度が必要であることより、この複数光源を使用する方式は有効である。
赤外線は、波長0.78μmから1mmまでとされているが、高分子化合物のC−Cボンドの3.5μmの吸収を中心としており、0.78μmから20μm程度の近赤外の範囲が特に好ましい。これらの赤外線は、鏡やレンズにより、線状または点状に焦点を絞り、全芳香族ポリエステルフィラメントの加熱域を、フィラメントの軸方向に上下4mm以内に絞り込むスポットヒータやラインヒータと呼ばれる加熱ヒータが使用できる。特に、ラインヒータは、複数本の全芳香族ポリエステルフィラメントを同時に加熱する場合に好適である。
本発明の赤外線加熱には、レーザーによる加熱が特に好ましい。中でも、106μmの波長の炭酸ガスレーザーと、1.06μmの波長のYAG(イットリウム、アルミニウム、ガーネット系)レーザーが特に好ましい。また、アルゴンレーザーも使用することができる。レーザーは、放射範囲を小さく絞り込むことが可能であり、また、特定の波長に集中しているので、無駄なエネルギーも少ない。本発明の炭酸ガスレーザーは、パワー密度が10W/cm以上、好ましくは100W/cm以上、最も好ましくは、150W/cm以上である。狭い延伸領域に高パワー密度のエネルギーを集中することによって、本発明の高倍率延伸が可能となるからである。本発明におけるレーザーのワット密度は、本発明人の先発明に示した従来の汎用繊維ポリマーの場合より、数段大きいワット密度を必要とすることに特徴がある。なお、本発明では、複数方向からの光束を使用することを特徴とするが、その場合のワット密度は、それぞれの照射方向からのワット密度を合計して示す。
本発明においては、全芳香族ポリエステルフィラメントが延伸される張力を、非常に小さい状態に制御されることを特徴とする。本発明における延伸張力は、単糸あたり、好ましくは30MPa以下、さらに好ましくは10MPa以下、最も好ましくは5MPa以下にすることによって延伸される。30MPaを越えると、延伸切れが生じ易くなり、高倍率延伸するためには、このような張力範囲にあることが望ましい。全芳香族ポリエステルフィラメントの延伸では、通常、数百MPaの延伸張力を必要とするが、本発明では、1桁から2桁小さい延伸張力であることを特徴とする。このように小さい延伸張力で、延伸倍率を7倍以上、条件によっては20倍以上、さらには30倍以上と極端に大きな倍率が実現できるのは、延伸温度が融点前後と、極端に高い温度を維持しつつ、非常に狭い延伸領域であるため、全芳香族ポリエステルフィラメントの切断を免れて変形できるものと思われる。
このように、本発明においては、非常に小さな張力で延伸されることに特徴がある。本発明の延伸における延伸張力は、自己の自重により与えられる張力によっても延伸されることを特徴とする。これは、一般の延伸が、ローラ間の速度差によって与えられる張力や、巻き取りによる張力によって延伸されることと原理的に異なる。本発明では、加熱部に加わる全芳香族ポリエステルフィラメントの自重の大きさ(加熱部から自由落下している距離によって定まる)を、自由落下距離を変化させることで最適の張力を選択することができる。小さな延伸張力において、最適張力を見いだすことは困難であるが、本発明では、自己の自重により、落下距離という簡便な手段で、容易に延伸張力を制御できるようにしたことに特徴がある。特に、本発明の延伸のスタート時、即ち、延伸の立ち上げ時に、落下距離とレーザーパワー密度を種々に変化させて、最適延伸張力を探して、その状態と延伸倍率から、ローラ間延伸へと導いていくことができる。
本発明において、得られた延伸全芳香族ポリエステルフィラメントの延伸倍率が7倍以上、好ましくは20倍以上、さらに好ましくは30倍以上、最も好ましくは50倍以上の超高倍率で延伸されることを特徴とする。本発明では、もともと延伸性が悪い全芳香族ポリエステルフィラメントを、このような簡便な装置で30倍以上、さらには50倍以上の高倍率を実現でき、高倍率によってフィラメント径の小さいフィラメントが得られた。また、全芳香族ポリエステル繊維では一般に紡糸が困難であるが、紡糸過程で安定する比較的太いフィラメントを得ておき、本発明の延伸で高倍率に延伸することで、フィラメント径の小さい繊維を得ることは、生産系全体の安定生産にも寄与する。
本発明では、このように高倍率延伸を可能にしたことにより、フィラメント径が20μm以下、さらに10μm以下、好条件では5μm以下といった極細全芳香族ポリエステルフィラメントの製造を可能にしたことに特徴がある。全芳香族ポリエステル繊維も、強度や弾性率などの力学的特性が高くても、フィラメント径が大きいと、ロープ等の柔軟性に欠け、また防護服においては、着心地が良くない。また、フィルター等の不織布においても、フィラメント径が小さいことは、種々の性能を高め、カバリングパワーもアップする。したがって、本発明においてフィラメント径を小さくすることで、これらの製品の品質を向上させることもできた。
本発明の連続法においは、フィラメントを送り出す手段から送り出された原全芳香族ポリエステルフィラメントについて延伸が行われる。送出手段は、ニップローラや数段の駆動ローラを組み合わせることなどにより一定の送出速度で、全芳香族ポリエステルフィラメントを送り出すことが出来るものであれば種々のタイプのものが使用できる。また、延伸されたフィラメントは、必要に応じて巻き取られるが、その巻取速度は、ニップローラや数段の駆動ローラを組み合わせるなどの一定の送出速度で、全芳香族ポリエステルフィラメントを巻き取る手段が使用される。これらの送出手段または巻取手段によって構成される本発明の全芳香族ポリエステルフィラメントの製造装置は、延伸されたフィラメントの径を測定することで所定の延伸倍率になるように、フィラメントの送出速度や巻取速度、またはフィラメントの巻取速度と送出速度との両者をコントロールするように構成されている制御手段を有することが望ましい。
本発明において、赤外線光束が原フィラメントに当たる直前で、原フィラメントの位置を規制する案内具を設けることが好ましい。原フィラメントの赤外線光束による加熱は、非常に狭い範囲において加熱されることが特徴で、その狭い範囲の加熱を可能にするために、全芳香族ポリエステルフィラメントの位置を規制する必要がある。下記に述べる送風管の出口の形状によって、そのような機能を持たすことも可能であるが、送風管は全芳香族ポリエステルフィラメントを送る気体の通気や、全芳香族ポリエステルフィラメントの通し易さに重点を置き、その後に簡便な案内具によって、全芳香族ポリエステルフィラメントの位置が規制されることが好ましい。従来の通常の延伸では、延伸張力が大きいので、案内具は必要としない。しかし本発明では、延伸張力が小さくて延伸倍率が大きく、また加熱域が狭いので、延伸点のほんの少しのゆらぎや変動は、延伸の安定性に大きく影響する。したがって、延伸点の直前に案内具を設けることが、延伸の安定性に大きく寄与する。本発明における案内具は、細い管や溝、コーム、細いバーの組み合わせなどが使用できる。
上記案内具においては、案内具によってフィラメントの位置を微調整できるように構成されている位置制御機構を有することが望ましい。レーザービームの狭い領域に、フィラメントの走行位置を正確にフィットさせるためには、案内具をXY方向に位置制御する必要がある。
フィラメントの送出手段により送り出された原全芳香族ポリエステルフィラメントは、さらに送風管を通して、送風管中を原全芳香族ポリエステルフィラメントの走行方向に流れる気体によって送られることが望ましい。本発明では、延伸張力が小さいため、原フィラメントが走行中に案内具等による抵抗で、延伸張力が一定に保ち得ない場合があるからである。送風管を流れる気体は、通常、室温の気体が使用されるが、原全芳香族ポリエステルフィラメントを予熱したい場合は、加熱エアーが使用される。また、原全芳香族ポリエステルフィラメントが、酸化されるのを防ぐ場合は、窒素ガス等の不活性ガスが使用される。なお、送風管は、必ずしも筒状である必要がなく、溝状であってもよく、それらの中を気体とともに原全芳香族ポリエステルフィラメントが流れればよい。管の断面は、円が好ましいが、矩形でもその他の形状でもよい。管を流れる気体は、枝分かれした管の一方より供給してもよく、管が2重になっており、外側の管から内側の管へ、孔などによって供給してもよい。合成繊維のインターレース紡糸やタスラン加工に使用されるフィラメントの空気交絡ノズルも本発明の送風管として使用される。また、本発明における不織布製造のように、自由落下により延伸する場合、本発明の送風管によるエアーの勢いで、フィラメントに延伸張力を与えることもできる。
本発明における全芳香族ポリエステルフィラメントの延伸においては、複数本の原全芳香族ポリエステルフィラメントをまとめて、同一赤外線光束中で延伸できることを特徴とする。通常、赤外線光束中で複数本の原フィラメントをまとめて延伸すると、延伸フィラメント間で膠着が生じる。また、このような膠着が原因で延伸性が阻害され、高倍率の延伸ができない場合が多い。しかし、本発明の全芳香族ポリエステルフィラメントでは、原フィラメントの耐熱性が高く、延伸されることにより、さらに耐熱性が高くなることより、複数本の原フィラメントをまとめて延伸しても、膠着が起こることなく、安定して高倍率延伸を行うことができることが、実験により確認できた。複数本とは、2本以上、場合によっては、5本以上も延伸することができた。このことにより、赤外線延伸法の効率を、著しく向上させることができた。
本発明の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントは、その後続工程で、ボビンやチーズ等に巻き取られ、ボビン巻やチーズ巻の形態の製品とされる。これらの巻き取りにおいては、延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントは、トラバースされながら巻き取られることが望ましい。トラバースされることにより、均一な巻き上げ形態を確保できるからである。極細全芳香族ポリエステルフィラメントでは、糸切れや毛羽の発生が最も問題となるが、本発明では、高度に分子配向しているためと、延伸張力が小さいため、小さな巻き取り張力で巻き取ることが可能となる。そのため、本発明では、糸切れや毛羽を少なくできることも特徴となる。なお、複数本の原フィラメントを同時に延伸して、同時に巻き取る際には、撚糸機で撚をかけながら巻いて行くこともできるが、本発明はフィラメントの走行速度が速いので、インターレース交絡法によりフィラメント間を交絡して巻き取ることが好ましい。
本発明の延伸工程の後に、加熱ゾーンを有する加熱装置を設け、延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントを熱処理することもできる。加熱は、加熱気体中を通過させる方式や、赤外線加熱等の輻射加熱、加熱ローラ上を通す方式、またはそれらの併用などで行うことができる。熱処理は、延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントの熱収縮を小さくし、結晶化度を上げ、全芳香族ポリエステルフィラメントの経時変化を小さくし、ヤング率を向上させるなど、種々の効果をもたらす。なお、本発明の不織布の場合では、熱処理は、コンベア上で行ってもよい。
本発明の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントを、さらに延伸した後に巻き取ることもできる。後段階の延伸の手段は、前の段階で行った赤外線延伸手段を用いることもできるが、前の段階で充分に高倍率延伸されて、既に極細全芳香族ポリエステルフィラメントが得られている場合は、通常のゴデットローラ等のローラ間延伸や、ピン延伸などを用いることもできる。
本発明では、一定の延伸張力、延伸倍率等を赤外線光束のワット密度をコントロールすることで、安定した延伸を制御することに特徴がある。また、延伸されたフィラメント径を測定して、それをフィードバックすることで、巻取速度または送出速度、または巻取速度と送出速度の両方をコントロールし、一定のフィラメント径の製品が得られるように制御することに特徴がある。本発明においては、延伸倍率が大きいため、延伸されたフィラメント径が変動しやすいが、それを常に制御することで、安定した生産を行うことができた。
本発明における延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントを、走行するコンベア上に集積することによって、延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントからなる不織布を製造することができ、特に、強度や弾性率の大きな全芳香族ポリエステルフィラメントを、切断することなく、長繊維のまま不織布にできる特徴がある。全芳香族ポリエステルフィラメントからの不織布製造においては、フィラメントが自重で落下する張力に加えて、送風管からのエアーの勢いで、フィラメントの延伸張力を増加させることが好ましい。コンベア上に集積されたフィラメントは、フィラメント径が小さいため、フィラメント相互の絡み合いにより、単にプレス等でシート化される。また、必要に応じて、ニードルパンチやウオータジェット等の絡合手段や、接着剤や接着繊維による接合、熱エンボス等による熱接合等により、一体化を高めて使用することができる。
なお、本発明におけるフィラメントの配向度fは、下式のX線半価幅法により示される。
f(%)=[(90−H/2)/90]×100
ここで、Hは、全芳香族ポリエステル繊維の結晶の主ピークを有する面のデバイ環に沿っての強度分布の半価を示す。
また、本発明における延伸倍率λは、原フィラメントの径doと延伸後のフィラメントの径dより、下記の式で表される。この場合、フィラメントの密度は一定として計算する。フィラメント径の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、350倍の倍率、または1000倍での撮影写真に基づき、10点の平均値で行う。
λ=(do/d)
また、本発明におけるフィラメントの強伸度や弾性率の測定法は、JISL1013によって、単糸あたりの測定値を求める。
本発明は、全芳香族ポリエステルフィラメントについて、特殊な紡糸手段を用いることなく、簡便な手段で容易に極細の延伸フィラメントを得ることができる。これらの延伸全芳香族ポリエステルフィラメントは、生産面での安定や高品質化をもたらし、製品面では、ロープ等の工業製品の柔軟性を増し、防護服等の衣類においては、着心地を良くし、また、耐熱性フィルターにおいては、フィラメント径を小さく出来ることで、フィルター性能を高めることができる。
さらに、本発明により極細全芳香族ポリエステルフィラメントからなる長繊維不織布を、簡便に製造することができる。市場にある全芳香族ポリエステル繊維不織布は、全芳香族ポリエステル短繊維からなり、切断が困難な全芳香族ポリエステル繊維を、短繊維にする必要があり、その短繊維を、カードによりウェブ状にする必要があるなど、工程が複雑であった。また、できた不織布の強度は、短繊維の絡み合いの強度に依存し、全芳香族ポリエステル繊維の有する高強度が活かされていなかった。本発明の全芳香族ポリエステルフィラメントからなる不織布は、長繊維であり、フィラメントの延伸過程で直接不織布に製造することができる。したがって、防護服やフィルター用の不織布が直接製造される。また、長繊維のみからなる不織布であるため、短繊維に切断する際の繊維のダストが存在しない不織布である特徴も有する。
第1図は、本発明の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントを製造するための連続法のプロセス概念図で示す。
第2図は、本発明の原フィラメントに赤外線光束を複数箇所から照射するための鏡の配置の例を示し、A図は平面図、B図は側面図である。
第3図は、本発明の原フィラメントに赤外線光束を複数箇所から照射する他の例で、複数の光源を有する場合を平面図で示す。
第4図は、本発明の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントを、複数本再延伸場合をプロセスの概念図で示す。
第5図は、本発明に使用される送風管の概念図である。
第6図は、本発明の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントからなる不織布を製造するためのプロセスを概念図で示す。
第7図は、本発明によって延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントのフィラメント径と物性の変化を示す図表。
以下、本発明の実施の形態の例を、図面に基づいて説明する。第1図は、本発明の連続法のプロセスの例を示した。原全芳香族ポリエステルフィラメント1は、リール11に巻かれた状態から繰り出され、コーム12を経て、繰出ニップローラ13a、13bより一定速度で送り出される。送り出された原フィラメント1は、案内具15で位置を規制されて一定速度で下降する。案内具15は、レーザーの照射位置とフィラメントの走行位置を正確に定めるもので、図では、内径が0.5mmの注射針を使用した。その他、細いパイプやコーム、また第6図で示すスネイルワイヤなども使用できる。案内具15の直下に、走行する原フィラメント1に対して、レーザー発振装置5より一定幅の加熱域Mにレーザー光6が照射される。このレーザー光6は、第2図、第3図に示す複数箇所からの照射が好ましい。レーザー光6により加熱され、原フィラメントおよび延伸されたフィラメントの自重、または引取ニップローラ19によってもたらされる延伸張力により、原フィラメントは延伸されて、延伸された全芳香族ポリエステルフィラメント16となって下降し、下降過程に備えられている熱処理ゾーン17を通過することが望ましい。延伸された全芳香族ポリエステルフィラメント16は、滑車18を通り、引取ニップローラ19a、19bを経て、巻取リール20で巻き取られる。この場合において、滑車18への延伸された全芳香族ポリエステルフィラメント16の通路は、全芳香族ポリエステルフィラメントの自由落下の軌跡pとして延伸される場合と、滑車18への直線的な軌跡qとして延伸される場合と、それらの中間的な軌跡として延伸される場合がある。軌跡qおよび軌跡pと軌跡qの中間位置では、引取テンションが延伸の張力に及ぶが、その場合は、延伸張力が30MPa以下であることが望ましい。延伸張力は、滑車18に張力測定機構を設けることでも測定することができる。他の方法として、バッチ法のロードセル測定により、同一送出速度やレーザー照射条件、延伸倍率等の関係から推定することができる。巻取リール20で巻き取る前に、加熱されている延伸ロール21a、21bと延伸ロール22a、22b間で、延伸ロール21と22の速度の比によって、さらに延伸することもできる。この場合の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントの熱処理ゾーン17は、延伸ローラ22の後に設けることもできる。また、複数の原フィラメントが同時に延伸された場合は、引取リールの直前で、インターレース法などでフィラメント間を空気交絡しておくことが望ましい。また、滑車18や引取ローラ19に入る直前などの位置に、フィラメント径測定装置を設け、測定されたフィラメント径をフィードバックすることにより、引取速度または送出速度等を制御して、常に一定の延伸倍率でフィラメント径の揃った製品を得ることができる。
第2図に、本発明で採用されている赤外線光束を、複数箇所から原フィラメントに照射する手段の例を示す。図Aは平面図であり、図Bは側面図である。赤外線照射器より照射された赤外線光束31aは、原フィラメント1の通る領域P(図の点線内)を通って、鏡32に達し、鏡32で反射された赤外線光束31bとなり、鏡33で反射されて赤外線光束31cとなる。赤外線光束31cは、領域Pを通って、最初の原フィラメントの照射位置から120度後から、原フィラメントを照射する。領域Pを通過した赤外線光束31cは、鏡34で反射されて、赤外線光束31dとなり、鏡35で反射されて、赤外線光束31eとなる。赤外線光束31eは領域Pを通って、最初の原フィラメントの照射位置の先ほどの赤外線光束31cとは逆の120度後から、原フィラメント1を照射する。このように、原フィラメント1は、3つの赤外線光束31a、31c、31eにより、120度ずつ対称の位置から均等に原フィラメント1を加熱することができる。
第3図に、本発明で採用されている赤外線光束を、複数箇所から原フィラメントに照射する手段の他の例で、複数の光源を使用する例を平面図で示す。赤外線放射装置から放射された赤外線光束41aは、原全芳香族ポリエステルフィラメント1へ放射される。また、別の赤外線放射装置から放射された赤外線光束41bも、原全芳香族ポリエステルフィラメント1へ放射される。さらに別の赤外線放射装置から放射された赤外線光束41cも、原全芳香族ポリエステルフィラメント1へ放射される。このように、複数の光源からの放射は、比較的小規模の光源で安定したコストの安いレーザー発振装置を複数用いて、高パワーの光源とすることができる。なお、図では光源が3個の場合を示したが、2個でもよいし、4個以上も使用できる。特に原フィラメントが複数本である場合は、このような複数光源による延伸が特に有効である。
第4図は、既に本発明により延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントを、複数本同時に繰り出し、同時に延伸する例について示す。ボビン51a、51b、51c、51d、51eに巻かれた延伸された全芳香族ポリエステルフィラメント52a、52b、52c、52d、52eは、それぞれ送風管53とパイプ54で送られ、エアーマニホールド55に集められ、フィラメントの集合体56となる。なお、送風管53とパイプ54中の全芳香族ポリエステルフィラメント52は、図では、煩雑になるので示していない。未延伸原フィラメントは、強度やヤング率が小さく、延伸されたフィラメント52は、繊度が小さいため、張力に耐えないので、ボビン51は、一定速度で回転し、送り出し張力を小さくされていることが好ましい。送り出されたフィラメントの集合体56は、ピッチ可変機構57で、走行位置がレーザービーム58の中心になるように調整される。ピッチ可変機構57には、案内具59が設けられており、その位置を、ラック60とギア61により、フィラメントの走行位置が微調整される。ピッチ可変機構57は、図では一方向だけに調整される例を示したが、直角方向にラックとギアのセットを設けて、XY軸方向に調整させることができる。ピッチ可変機構57によって位置を調整されたフィラメント集合体56は、レーザービーム58で加熱されて延伸され、引取機構62によって引取速度を一定に調整され、モータMで駆動されている巻取ボビン63に巻き取られていく。本図において、レーザービーム58は、1本の線で示したが、第2図や第3図の複数の光束であることが望ましい。また、図では、ボビン63に直接巻かれている例を示したが、加撚して巻かれることや、インターレース等によりフィラメント間を絡ませて巻かれることが好ましい。また、第4図では、赤外線による再延伸の例を示したが、再延伸は、通常のローラ延伸やゾーン延伸等の他の延伸手段を用いることもできる。なお、送風管53やパイプ54へ導入された空気が、原フィラメント1の通路に導かれ、フィラメントが空気の流れによって送られ、エアーの送り出される風速により与えられる張力は、本発明の延伸張力に加味される。なお第4図は、延伸されたフィラメントの再延伸の例として説明したが、同様の機構で、未延伸原フィラメントの複数本延伸の手段としても使用できる。
第5図に、本発明で使用される送風管の例を示す。図Aは、原全芳香族ポリエステルフィラメント1が通過する主管71に、矢印aより導入された空気が枝管72を通じて主管71と合流する。図Bは、二重管73で、内部が空洞になっており、矢印bより導入された空気は、二重管内壁に設けられた多数の孔74により、フィラメントの通路へ導かれる。図Cは、インターレース紡糸に使用される空気交絡ノズル75として使用されているノズルの例で、両サイドc1、c2から空気が吹き込まれる。このように、フィラメントの走行方向に積極的に空気が送り込まれるようにしているのは、本発明では、延伸張力が小さいため、案内具等の抵抗によってフィラメントの走行が阻害されることのないようにするためであり、また、不織布製造の場合のように、巻取テンションで積極的に張力が付加できない場合などで、空気の勢いで、延伸張力を付加することもできる。また、図Cのノズルは、本発明の延伸後のインターレース巻取に際しても使用できる。なお、第5図の送風管は、管状のものの例を示したが、一部が解放されて、溝状になっているものも使用される。
第6図に、本発明の不織布の製造の例を示す。多数の原全芳香族ポリエステルフィラメント1が、ボビン81に巻かれた状態で、架台82に取り付けられている(煩雑さを避けるため3本のみ図示する)。これらの原全芳香族ポリエステルフィラメント1a、1b、1cは、案内具であるスネイルワイヤ83a、83b、83cを通じて、送出ニップロール84a、84bの回転により送り出されるようになっている。送り出された原全芳香族ポリエステルフィラメント1は、自重で下降する過程で、赤外線放射装置85より放射されるライン状の赤外線光束により加熱される。原全芳香族ポリエステルフィラメント1の走行過程における赤外線光束による加熱部Nの範囲を、斜線で示す。原全芳香族ポリエステルフィラメント1に吸収されずに通過した光束は、点線で示した凹面鏡86で反射して、加熱部Nに集光するように戻される。赤外線放射装置65側にも、凹面鏡を設ける(但し、赤外線放射装置よりの光束の進行部は窓が開いている)が、図では省略してある。原全芳香族ポリエステルフィラメント1は、加熱部Nにおける赤外線の放射熱により加熱され、その部分より下での全芳香族ポリエステルフィラメント自身の自重により延伸されて、延伸全芳香族ポリエステルフィラメント87a、87b、87cとなり、走行しているコンベア88上に集積し、ウェブ89を形成する。コンベア88の裏面からは、負圧吸引により、矢印dの方向にエアーが吸引され、ウェブ89の走行の安定性に寄与する。負圧dが延伸された全芳香族ポリエステルフィラメント87に及ぼす張力で牽引され、全芳香族ポリエステルフィラメントの細化や配向度のアップに寄与し、これらの張力も、本発明の自重による張力の一部と見なされる。図では省略してあるが、コンベア88の進行方向に、原全芳香族ポリエステルフィラメント1の多数のボビン81を多段に設置し、ニップローラ84や赤外線放射装置85等を多段に設けて、ウェブ89の生産性をアップするようにされている。なお、このように進行方向に多段に送出ニップロール84等を設ける場合、赤外線放射装置85や、凹面鏡86は、数段分を兼ねることもできる。なお、延伸張力が、フィラメントの自重やコンベア下からの負圧では不十分で、延伸や配向が小さい場合は、原フィラメント1が赤外線光束部へ導かれる際に、送風管によって導びかれ、送風管のエアーの送り出される風速により与えられる張力も加味して使用される。
原全芳香族ポリエステルフィラメントとして、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)と6−ヒドロキシ−2ナフトエ酸(HNA)からエステル交換反応で合成されたポリマーを通常の方式で紡糸したマルチフィラメント(フィラメント数60)を使用した。このフィラメントは紡糸過程で既に分子配向しており、フィラメント径250μm、ヤング率15.1GPa、引張強度1.19GPaであった。この原マルチフィラメントを使用し、第1図の延伸装置に、レーザー出力1Wの10.6μmレーザー放射を行い、第2図の鏡を使用する方式で、ビーム径4mmで延伸した。赤外線照射装置は第2図の鏡を使用して延伸した。この原フィラメントの送出速度0.5m/minで送り出し、レーザーパワー密度を種々変化させながら、30MPa以下の張力で、巻取速度を変化させて実験した。30MPa以上では延伸切れが多発し、10Mpa以下で延伸することが好ましかった。巻取速度9.42m/分で繊維径46μm(延伸倍率29.5)のフィラメントを得た。この延伸された引張強度は、188GPaで、ヤング率は31.6GPaであった。また、巻取速度28.3m/分で繊維径2.3μm(延伸倍率118.4)のフィラメントを得た。この延伸された引張強度は、2.12GPaで、ヤング率は39.2GPaであった。巻取速度377m/分で繊維径2.4μm(延伸倍率108.3)のフィラメントを得た。この延伸された引張強度は、1.89GPaで、ヤング率は36.9GPaであった。このように、既に分子配向しているフィラメント群であるにもかかわらず、数十倍から100倍以上の延伸倍率が得られ、従来法では20μm以下の全芳香族ポリエステルフィラメントを得るのが困難であるが、本発明では、5μ以下の極細フィラメントも容易にえることができた。また、それによって得られたフィラメントの強度や弾性率も倍増している。
p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)と6−ヒドロキシ−2ナフトエ酸(HNA)から合成された全芳香族ポリエステルからなるフィラメントを芯とし、ポリエチレン−2、6−ナフタレート(PEN)からなるポリマーを鞘とする芯鞘型フィラメントを原全芳香族ポリエステルフィラメントとして、下記の延伸実験を行った。この原フィラメントのフィラメント径103.2μm、ヤング率10.4GPa、引張強度0.72GPa、伸度12.8%のフィラメントであった。この原フィラメントを使用し、第1図の延伸装置に、レーザー出力10Wの10.6μmレーザー放射を行い、第2図の鏡を使用する方式で、ビーム径4mmで延伸した。実験結果を第7図に示す。延伸倍率は、7倍以上であって20倍以上、良い条件では50倍以上に延伸されている。また、未延伸状態でも分子配向が進んでいる原フィラメントであるにもかかわらず、延伸により強度、弾性率ともに2倍以上、3倍から4倍、弾性率では6倍も上昇している。
実施例2で、送出速度0.5m/min、巻取速度18.8mで得られた延伸フィラメント(フィラメント径14.1μm)を原料にし、200℃で、フィラメント一本当たり11.7MPaの荷重をかけて熱処理(熱処理1)、フィラメント一本当たり25.2MPaの荷重をかけて熱処理(熱処理2)、フィラメント一本当たり35.1MPaの荷重をかけて熱処理(熱処理3)することによって、熱処理の効果を実験した。熱処理1により、フィラメント径13.1μm、破断強度2.81GPa、ヤング率67.2GPa、熱処理2により、フィラメント径12.7μm、破断強度3.0GPa、ヤング率70.3GPa、熱処理3により、フィラメント径12.5μm、破断強度3.12GPa、ヤング率75.4GPaの熱処理フィラメントが得られた。また、熱処理前のフィラメントの示差走査熱量(DSC)測定では、融点260.2℃であったのが、熱処理1、2、3を行うことにより、263.7℃、263.9℃、264.7℃となり、融点も向上している。
本発明による延伸された全芳香族極細フィラメントは、産業用資材として使用され、繊維径が細いので、ロープや織物などに使用された場合、柔軟で使いやすい製品となる。

Claims (7)

  1. 全芳香族ポリエステルフィラメントからなる原フィラメントが、複数方向から照射される赤外線光束で加熱され、かつ、該赤外線光束の照射位置が該原フィラメントの中心でフィラメントの軸方向にそって上下4mm以内の範囲であり、加熱された該原フィラメント、単糸あたり30MPa以下の張力20倍以上延伸倍率に延伸る、延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントの製造方法。
  2. 前記原フィラメントが、複数本のフィラメントからなる、請求項1記載の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントの製造方法。
  3. 前記延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントが、延伸後に設けられた加熱ゾーンにより熱処理される、請求項1記載の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントの製造方法。
  4. 前記延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントが、さらに延伸される、請求項1記載の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントの製造方法。
  5. 前記延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントが、走行するコンベア上に集積される、請求項1記載の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントからなる不織布の製造方法。
  6. 前記延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントが、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)と6−ヒドロキシ−2ナフトエ酸(HNA)からエステル交換反応で合成されたポリマーからなり、20倍以上の延伸倍率を有し、X線配向度が91%以上であり、フィラメント径が10μm以下である、請求項1記載の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメント。
  7. 前記延伸された全芳香族ポリエステルフィラメントが、p−ヒドロキシ安息香酸(HBA)と6−ヒドロキシ−2ナフトエ酸(HNA)から合成された全芳香族ポリエステルからなるフィラメントを芯とし、ポリエチレン−2、6−ナフタレート(PEN)からなるポリマーを鞘とする芯鞘型フィラメントからなり、20倍以上に延伸倍率されており、フィラメント径が30μm以下であり、破断強度が2GPa以上であり、ヤング率が50GPa以上である、請求項1記載の延伸された全芳香族ポリエステルフィラメント。
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