JP5081884B2 - 複数炭素繊維束巻取体の製造方法 - Google Patents
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Description
炭素繊維は、その前駆体糸条であるポリアクリロニトリル等の前駆体繊維を紡糸する紡糸工程、200〜300℃の空気、酸化窒素等の酸化性雰囲気中で前記前駆体繊維を加熱して酸化繊維に転換する耐炎化工程、更に、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気中で300〜3000℃に加熱して炭素化する炭素化工程を経て製造される。
中でも、耐炎化工程や炭素化工程等の焼成工程は、焼成処理に長時間を要するため、炭素繊維束の走行速度が、他の紡糸工程に比べて遅い。そのため、炭素繊維を高効率で製造するためには、焼成工程が律速となっていた。従って、フィラメント数の少ない炭素繊維束を効率的に生産するために、1つの製造設備に走行させる炭素繊維束の本数を増加する試みが行われてきた。
例えば、前駆体繊維束の焼成工程での仕掛け設備を増設することなく、フィラメント数の少ない炭素繊維束を効率的に生産する方法として、複数の炭素繊維前駆体束を合糸して太い炭素繊維前駆体糸条とし、まとめて1つの焼成工程に導入する方法がある(特公昭62−3246号公報、特開平9−273032等)。
しかし、複数の炭素繊維前駆体束を合糸し、焼成して得た炭素繊維糸条は、各炭素繊維束が部分的に並列又は上下に重なり合い、炭素繊維束間で構成フィラメントが絡み合う構造を有するため、高速で元の各炭素繊維束に分割しようとすると、毛羽立ち、繊維の切断等が生じ、炭素繊維束の品質が低下する原因になっていた。また、焼成して得た炭素繊維糸条を、一度単一のボビンに巻き取って、別途繊維を分繊する装置を使用して分割することもできるが、そのためには、多数の分繊装置が必要になり、効率的でなかった。特に繊維は、取り扱いの手数が多くなるほど毛羽立ち、品質が低下するので、上記炭素繊維糸条は、単一のボビンに巻き取られることなく、焼成後、その場で各炭素繊維束ごとに分割され、各炭素繊維束ごとにボビンに巻き取られていた。
一方、毛羽立ちや繊維の切断を生じることなく、高速で各炭素繊維束に分割することができれば、複数の炭素繊維束を直接ボビンに巻き取っても、多数の分繊装置が必要になる等の上記不利益は生じない。また、焼成した炭素繊維束を直接ボビンに巻き取ることができれば、炭素繊維束巻取り用のワインダー数を削減できる。
また、炭素繊維糸条から複数の炭素繊維束への分割性を向上させる方法として、紡糸工程で加撚して、各繊維束の収束性を高める方法がある。しかしながら、その場合には、焼成工程の後で炭素繊維束を解撚しなければならず、そのための設備投資が必要となり、好ましくない。
従って、本発明は、少なくとも2本の収束性が付与された炭素繊維束が、引き揃えることなく単一のボビンに巻き取られてなることを特徴とする複数炭素繊維束巻取体を提供する。
また、本発明は、少なくとも2本の収束性が付与された炭素繊維束が、互いに並列に配置されていて、かつ単一のボビンに巻き取られてなることを特徴とする複数炭素繊維束巻取体を提供する。
また、本発明は、互いに隣接する上記炭素繊維束同士が、サイズ剤によって接着されていることを特徴とする複数炭素繊維束巻取体を提供する。
また、本発明は、これらの複数炭素繊維束巻取体の複数炭素繊維束を各炭素繊維束に分割する分繊装置であって、前記複数炭素繊維束巻取体を回転可能に支持する支持手段と、この支持手段により支持された前記複数炭素繊維束巻取体に巻き取られた複数炭素繊維束を各炭素繊維束ごとに分割する分繊手段と、この分繊手段により分割された各炭素繊維束を張力により引き出す引出手段と、この張力を所定周期で変動させる張力変動手段とを有することを特徴とする分繊装置を提供する。
さらに、本発明は、これらの複数炭素繊維束巻取体の複数炭素繊維束を各炭素繊維束ごとに分割する際に、この複数炭素繊維束を張力変動を与えながら引き出すことを特徴とする複数炭素繊維束の分繊方法を提供する。
<複数炭素繊維束巻取体>
本発明における複数炭素繊維束巻取体の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態における複数炭素繊維束巻取体1は炭素繊維束4が、単一のボビン2に巻き取られてなるものである。
炭素繊維束4は、500〜12000本、好ましくは、1000〜8000本の炭素繊維フィラメントからなる。本発明における炭素繊維束は、通常、ポリアクリロニトリル、ピッチおよびセルロース等の炭素繊維前駆体束を焼成して得られる既存の炭素繊維束が使用できる。
さらに、本実施形態の炭素繊維束4は、収束性が付与されたものである。ここで、「収束性が付与された」とは、炭素繊維束がそれを構成する各フィラメントごとにばらけることなくまとまっている状態をいう。例えば3000本の炭素繊維に収束性を付与することにより、1本のまとまりある繊維形態を形成する。収束性を付与することにより、毛羽の発生やロールへの巻付き等を防止し、焼成工程通過性や後述の分繊工程通過性を改善するという利点が生ずる。収束性を付与する手段としては、例えば、気体交絡処理、ニードルパンチ処理等のフィラメント同士を交絡させる手段及び仮撚り等による手段等、公知の手段を用いることができる。好ましくは、80〜650kPaの気体圧力で気体交絡処理を行うことが、十分な収束性の付与、及び炭素繊維束の毛羽発生防止のためには好適である。
このように複数炭素繊維束を巻き取ることにより、後述する分繊装置で各炭素繊維束に分割する際、毛羽立ち及び繊維の切断を抑えつつ、任意の速度で分割することができる。
また、本発明における複数炭素繊維巻取体の実施形態としては、図2に示すように、少なくとも2本、好ましくは、2〜6本の炭素繊維束4を、互いに並列に配置した状態を保持したまま単一のボビン2に巻き取られたものであってもよい。ここで、「互いに並列に配置した」とは、図2に示すように、各炭素繊維束が互いに重なり合うことなく、互いに並列に隣接して存在していることを意味する。例えば、2本の炭素繊維束4は、上下に重ね合わせることなく、互いに隙間なく並列に配列される。このように複数炭素繊維束を巻き取ることにより、後述する分繊装置で各炭素繊維束に分割する際、毛羽立ち及び繊維の切断を抑えつつ、任意の速度で分割することができる。
ここで使用されるサイズ剤としては特に限定はしないが、例えば、エポキシ系、ウレタン系、エステル系及びそれらの混合系等を主成分としたものを使用できる。水に不溶な化合物からなるサイズ剤溶液を調製する際には、分散の安定性のため、界面活性剤を利用することが好ましい。ここで使用される界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系及びアニオン系等のいずれのものも用いることができる。また、脂肪酸エチレンオキシド付加物等の柔軟剤を配合することにより、分繊性の点でより優れた炭素繊維にすることができる。なお、このときに添加する柔軟剤としては、水溶性タイプのものを選択することが好ましい。
複数炭素繊維束3を、並列に配置した状態を保持したまま、ボビン2に巻き取ることによって、本発明の一実施形態である複数炭素繊維束巻取体1が得られる。
本発明の分繊装置の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。図4及び図5に示すように、本実施形態の分繊装置は、複数炭素繊維束巻取体1を回転可能に支持する支持手段と、この支持手段により支持された複数炭素繊維束巻取体1に巻き取られた複数炭素繊維束3を各炭素繊維束ごとに分割する分繊手段と、この分繊手段により分割された各炭素繊維束4を張力により引き出す引出手段と、この張力を所定周期で変動させる張力変動手段とを有する。
本実施形態の複数炭素繊維束巻取体1は、この複数炭素繊維束巻取体を回転可能に支持する支持手段によって支持される(図示せず)。ここで、この支持手段は、複数炭素繊維束巻取体1が回転できるように支持するものであれば、その種類は問わないが、一般的にはクリール等が使用される。
支持手段で支持された複数炭素繊維束巻取体1から複数炭素繊維束巻取体3が引き出され、分繊手段において炭素繊維束4ごとに分割される。分繊手段としては、まず、図4に示すように、分繊位置6を中心とした、炭素繊維束4の流れ方向と複数炭素繊維束3の流れ方向とがなす角度θが、例えば1〜30°、好ましくは2〜15°となるように各炭素繊維束4を引き出す手段が挙げられる。ここで、分繊位置6は、分割操作中に前後に移動することがあるが、この場合は平均の分繊位置とする。このように各炭素繊維束を引き出すことにより、例えば炭素繊維束同士がサイズ剤によって接着されていたり、炭素繊維束から生ずる毛羽同士が絡み合っている場合であっても、該接着等は容易に剥離し、炭素繊維束ごとの分割を円滑かつ連続的に行うことができる。例えば、複数炭素繊維束に炭素繊維束が2本含まれる場合は、各炭素繊維束をθが1〜30°、好ましくは2〜15°となるように引き出すことが好適である。複数炭素繊維束に炭素繊維束が3本以上含まれる場合は、各炭素繊維束を同時に3方向に分けて引き出して3本の炭素繊維束に分割してもよいし、1本ごと又は複数の炭素繊維束ごとに順次分割してもよい。さらに、炭素繊維束4の引き出し方向は、同一平面方向の他、空間的に異なる方向に引き出される等、いかなる方向であってもよい。
また、引き出し速度は、例えば、10〜200m/s、好ましくは30〜120m/sである。このとき、複数炭素繊維束3から分割された各炭素繊維束4を同一速度で同時に引き出すことが好ましい。このように引き出すことによって、複数炭素繊維束3を1本の束として存在するように複数炭素繊維束巻取体1から引き出すことができる。
張力変動は、例えば図5において、少なくとも複数炭素繊維束巻取体1とワインダー7との間、好ましくは、分繊ガイド8の前であって分繊位置6の前後に与えられる。複数炭素繊維束巻取体1の直後に張力変動を与えることにより、複数炭素繊維束巻取体1から複数炭素繊維束3を引き出す際に生じ得るリンガー、毛羽立ち及び糸切れ等の問題を回避できる。また、分繊位置6の前後に張力変動を与えることにより、複数炭素繊維束を分割する際に生じ得る毛羽立ち及び糸切れ等の問題を回避して、複数炭素繊維束の分割を安定かつ確実に行うことができる。
張力変動手段には、例えば、張力変動装置を用いた張力変動手段の他、複数炭素繊維束巻取体を偏心回転可能に支持する支持手段、炭素繊維束の引出速度が変動可能な引出手段等を用いて張力変動を与えることができる。
張力変動装置は、例えば図5において、複数炭素繊維束巻取体1上、複数炭素繊維束巻取体1から引き出された複数炭素繊維束3上又は炭素繊維束4上等の任意の位置に設置することができ、好ましくは、分繊位置6の前方に設置される。
また、複数炭素繊維束巻取体を偏心回転可能に支持する支持手段としては、偏心した軸を有するボビンを用いて偏心回転させる手段、ボビン自体を軸の周りに公転させて偏心回転する手段、およびボビンの軸受けと軸との間に隙間を設けてボビンの回転を偏心させる手段等がある。
炭素繊維束の引出速度が変動可能な引出手段としては、例えば、引き出し速度を周期的に変動させることができる上述のワインダーやゴデッドロール、ニップロール、ネルソンロール等がある。
炭素繊維束に与えられる張力は、例えば、0.25〜2.5mN/dtex、好ましくは、0.5〜1.5mN/dtexである。張力が、2.5mN/dtex以下であれば、複数炭素繊維束巻取体1の巻きが崩れて糸切れが起こる可能性が少ないため、好ましい。また、0.25mN/dtex以上であれば、炭素繊維束に十分な張力が働き、良好な分繊性が得られるので好ましい。一方、張力変動は、例えば、0.05〜2秒、好ましくは、0.1〜0.5秒の周期で、±0.12〜1.25mN/dtex、好ましくは、±0.25〜0.75mN/dtexの張力変動振幅で与えることが好適である。周期が、0.05秒以上もしくは2秒以下、張力変動振幅が、±0.12mN/dtex以上もしくは±1.25mN/dtex以下であれば、十分な張力変動を与えることができるので好ましい。
本発明の一実施形態は、複数炭素繊維束巻取体に巻き取られた複数炭素繊維束を各炭素繊維束ごとに分割し、分割された各炭素繊維束を張力変動を与えながら引き出すことを特徴とする複数炭素繊維束の分繊方法を提供する。
複数炭素繊維束を各炭素繊維束ごとに分割する方法としては、図4に示すように、分繊位置6を中心とした、複数炭素繊維束3の流れ方向と炭素繊維束4の流れ方向とがなす角度θが、例えば1〜30°、好ましくは2〜15°となるように各炭素繊維束4を引き出す方法がある。例えば、複数炭素繊維束に炭素繊維束が2本含まれる場合は、各炭素繊維束をθ=1〜30°、好ましくは2〜15°となるように引き出すことが好適である。複数炭素繊維束に炭素繊維束が3本以上含まれる場合は、各炭素繊維束を同時に3方向に分けて引き出して3本の炭素繊維束に分割してもよいし、1本ごと又は複数の炭素繊維束ごとに順次分割してもよい。炭素繊維束の引き出し方向は、同一平面方向でも、空間的に異なる方向でもよい。複数炭素繊維束の分割を安定かつ確実に行うために、上述の分繊ガイド(図6A〜D)を用いてもよい。
炭素繊維束を引き出す方法としては、例えば、分割された炭素繊維束を巻き取るワインダー7を一定速度で駆動して引き出す方法、ゴデッドロール、ニップロール、ネルソンロール等を複数炭素繊維束巻取体1から引き出された複数炭素繊維束3上又は炭素繊維束4上の任意の位置に設置して一定速度で駆動する方法等がある。
また、複数炭素繊維束3から分割された各炭素繊維束4を同一速度で同時に引き出すことが好ましい。このように引き出すことによって、複数炭素繊維束3を1本の束として存在するように複数炭素繊維束巻取体1から引き出すことができる。
張力変動は、いかなる方法によって与えてもよいが、例えば、複数炭素繊維束巻取体を偏心回転させる方法、上述したワインダー等による炭素繊維束の引き出しの速度を変動させる方法、上述した張力変動装置を用いて張力変動させる方法等がある。複数炭素繊維束巻取体を偏心回転させる方法としては、偏心した軸を有するボビンを用いて偏心回転させる方法、ボビン自体を軸の周りに公転させて偏心回転させる方法、及びボビンの軸受けと軸との間に隙間を設けてボビンを偏心回転させる方法等がある。
<複数炭素繊維束巻取体>
(実施例1)
ポリアクリロニトリル製の炭素繊維前駆体3000本に、空気交絡処理機を用いて収束性を付与し、炭素繊維前駆体束を得た。この炭素繊維前駆体束を230〜270℃の空気中で45分間耐炎化処理を行ない、続いて1400℃で1分間炭素化処理を施した。得られた炭素繊維束を、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製、エピコート828)80部をノニオン系乳化剤20部で乳化したエポキシ系サイズ剤溶液に浸し、その後乾燥した。このとき、複数炭素繊維束は、各炭素繊維束同士がサイズ剤によって接着されていることはないが、炭素繊維束から生じる毛羽によって、炭素繊維束同士が一部で絡み合っている状態にある。この炭素繊維束の目付は、2000dtexであった。得られた複数炭素繊維束5000mを引き揃えることなく独立してかつ同一速度(100m/s)で同時に引き出しながら、内径76mm、外径82mm、長さ280mmの円筒形ボビンに巻き、直径130mm、幅260mmの複数炭素繊維束巻取体を得た。
上記実施例1と同様の炭素繊維前駆体束を用い、実施例1と同様の方法で炭素繊維束を得た。得られた2本の炭素繊維束5000mを2本を上下に重ね合わせることなく互いに並列に配置した状態を保持しつつ、実施例1と同一の円筒形ボビンに巻き、直径130mm、幅260mmの複数炭素繊維束巻取体を得た。このとき、複数炭素繊維束は、炭素繊維束から生じる毛羽によって、炭素繊維束同士が一部で絡み合っている状態にある。
(実施例3)
上記実施例1と同様の炭素繊維前駆体束を用い、この炭素繊維前駆体束2本を上下に重ね合わせることなく並列に配置し、230〜270℃の空気中で45分間耐炎化処理を行ない、続いて1400℃で1分間炭素化処理を施した。得られた2本の炭素繊維束を並列に配置した状態を保持しつつ上記エポキシ系サイズ剤溶液に浸し、その後乾燥した。このとき、複数炭素繊維束は、互いに隣接する炭素繊維束同士がサイズ剤によって接着されている状態にある。得られた2本の炭素繊維束5000mを実施例1と同一の円筒形ボビンに巻き、直径130mm、幅260mmの複数炭素繊維束巻取体を得た。
上記実施例1と同一の炭素繊維前駆体束を用い、この炭素繊維前駆体束2本を溝ロールを用いて合糸し、230〜270℃の空気中で45分耐炎化処理を行い、続いて1400℃で1分間炭素化処理を施した。得られた複数炭素繊維束を上記エポキシ系サイズ剤溶液に浸し、その後乾燥した。このとき、得られた複数炭素繊維束は、長手方向に見たとき、ある部分は並列し、又ある部分は重なり合っているような合糸された状態にある。その後、実施例1と同一の円筒形ボビンに巻き、直径130mm、幅260mmの複数炭素繊維束巻取体を得た。
以下、図5を参考に説明する。実施例3で得られた複数炭素繊維束巻取体1をクリール(図示せず)に取り付けた。このクリールは、ボビン2自体を軸の周りに公転させて偏心回転するように支持しているので、複数炭素繊維束巻取体1を偏心回転させることができる。
次いで、この複数炭素繊維束巻取体1から引き出された2本の炭素繊維束4を、分繊ガイド8に通した。この分繊ガイドは、このクリールから3m後方の位置に設置した。分繊ガイドには、直径50mmのセラミック製ロール状ガイド(湯浅糸道工業(株)、製品番号:A01060)を使用し、分繊ガイドの中心距離は50mmである。また、分繊ガイド8の10mm前にアイガイド(湯浅糸道工業(株)、製品番号:A411007)を配置し、炭素繊維束4を開口部に通した。これにより、分繊位置6を中心とした、複数炭素繊維束3の流れ方向と炭素繊維束4の流れ方向とがなす角度θは、約3°となった。
上記分繊ガイド8を通過した2本の炭素繊維束4を、さらにワインダー7で巻き取った。
ここで、実施例1〜3の複数炭素繊維束巻取体と、比較例1の複数炭素繊維束巻取体を使用して、上記のように分繊した場合における、ワインダーの速度、炭素繊維束にかかる張力及び張力変動を表1に示す。
*試験1は、実施例1の複数炭素繊維束巻取体を使用。試験2は、実施例2の複数炭素繊維束巻取体を使用。試験3〜5は、実施例3の複数炭素繊維束巻取体を使用(但し試験5は、張力変動を行っていないので比較例)。試験6〜8は、比較例1の複数炭素繊維束巻取体を使用。
(1)分繊位置
分繊位置6から分繊ガイド8までの距離dを測定した。分繊位置6が分繊ガイドから離れているほど、複数炭素繊維束の分割を安定かつ確実に行っていることになる。ここで、分繊位置6は、分割操作中に前後に移動することがあるが、この場合は平均の分繊位置とする。分繊位置の評価は、◎:2m以上、○:1m以上2m未満、△:50cm以上1m未満、×:50cm未満との基準に従った。
(2)製品品質
ワインダーで巻き取られた炭素繊維束の毛羽立ち及び糸切れの有無を、目視により確認した。評価は、毛羽立ちについては、炭素繊維束巻取体1に毛羽立ちが生じている箇所を測定することにより行い、◎:5箇所未満、○:5箇所以上20箇所未満、×:20箇所以上との基準に従った。糸切れについては、○:糸切れなし、×:糸切れありとの基準に従った。
試験1〜8に対して行った上記評価の結果を、表2に示す。
試験1〜4で分割された炭素繊維束は、毛羽立ちや糸切れの問題がなく、良質な炭素繊維束が得られた。特に、試験1〜3は、製品品質の観点から、良好な炭素繊維束が得られた。
一方、試験5〜8で分割された炭素繊維束は、分繊の安定性及び製品品質において問題があった。
2:ボビン
3:複数炭素繊維束
4:炭素繊維束
5:隣接面
6:分繊位置
7:ワインダー
8:分繊ガイド
Claims (1)
- 炭素繊維前駆体繊維束に、空気交絡処理を施し、収束性を付与する工程、
前記炭素繊維前駆体繊維束に耐炎化処理、炭素化処理を施し、炭素繊維束とする工程、 少なくとも2本の前記炭素繊維束を、重なり合うことなく、互いに並列に配置し、かつ単一のボビンに巻き取る工程、
を有し、互いに隣接する前記炭素繊維束同士が、サイズ剤によって接着されていることを特徴とする複数炭素繊維束巻取体の製造方法。
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