JP5079440B2 - 板状不織繊維構造体およびこれからなるシート状蝶番ならびにこれを備える物品 - Google Patents
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蝶番は、金属である場合が多く、この場合、例えば扉と扉枠との回転連結部との間の全長に渡ってつなごうとすると非常に重量が重くなるとともに、その回転軸において極めて高い寸法精度必要となる。また、材料の金属が錆たり、曲げ伸ばし動作の時にきしみ音が発生して問題になる場合がある。
更には、蝶番は、特に折れ曲がった時に、軸部が扉及び扉枠に接触しないようにするために、これらの間に隙間をあけたり、或いはこの隙間が生じたりしないように扉や扉枠を複雑な形状に加工することが必要になるという問題がある。
また、この発明の蝶番を、特許文献2の図5、7あるいは8のように、曲面を持たせることで曲げ伸ばし部が一箇所に集中しないようにする事で揺動動作に伴う曲げ伸ばしに伴う劣化を抑えることが可能である。しかしながら、このような使い方では、連結部の曲げ伸ばし部が一定せず、動きによるぶれ、いわゆる「遊び」が大きく、幅を持って揺動するため扉を扉枠に納めるような正確な位置が決まらない。或いは特に板材の重量が大きくなると顕著になるが、片持ちで開閉する通常の扉とした時に、該蝶番部が歪み、非連結部端が床に接触するなどして使用が困難なことが容易に推定できる。
また、該部が充分な強度を保持するように、蝶番である樹脂シートを厚くすることも考えられるが、この場合は樹脂シートの応力が高く、揺動のために力が必要になるため、特に軽量な板材を使用する場合には、任意の位置に屏風を広げる事が困難になる。
そして、従来多く用いられている金属製の蝶番が固定板部と回転軸とから組み合わされた可動連結体に対し、単一の板材からなり、そしてその可動部位が、その取付け環境に応じてその位置を取付け時に任意に設定することが可能で、軽量で、更には、開閉動作に伴う回転軸の摩擦による軋み音の発生や、酸化劣化による錆びの発生がなく、これらを防ぐためのメンテナンスを必要としないシート状蝶番を提供する事である。
また該シート状蝶番を備える物品を提供することである。
また本発明の第2の発明が提供する板状不織繊維構造体は、第1の発明が提供する板状不織繊維構造体の主面上を分断するように直線状の折り曲げ部を有し、該の折り曲げ部における155度屈曲応力が5.0mm2以下であると共に、任意の折り目において1万回曲げ伸ばしした後の折り目における屈曲部引裂強度が3.0N以上である。
本発明の板状不織繊維構造体は、湿熱接着性繊維を含み、かつ不織繊維構造を有している。この板状不織繊維構造体は、前記湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された板状体であり、構成繊維の配列とこれら繊維同士の接着状態を所定の範囲とすることにより、高い剛性と優れた形態安定性を有すると共に優れた軽量性の有する板状不織繊維構造体である。
そして本発明の板状不織繊維構造体を用いて少なくとも2つの物品を係合するとともに、これら係合した物品の間で特定の曲げ位置を設定し、この位置において多数回の曲げ伸ばし動作を繰り返すことが可能な耐久性のあるシート状蝶番である。
このシート状蝶番は、後述するように前記湿熱接着性繊維を含むウェブに高温水蒸気を作用させ、湿熱接着性繊維の融点以下の温度で接着作用を発現し、繊維同士が言わば「スクラム」を組むように繊維同士を部分的に接着させることにより得られる板状不織繊維構造体である。この繊維構造体の任意の位置に折り目を設ける事により、固定の軸を待たないにも関わらず精度の高い動きを実現するシート状蝶番である。
本発明のシート状蝶番の稼動部は主面のどこであってもよいが、通常は主面の面積を2分する真中付近であることで、固定部の耐久性上有利である。
本発明のシート状蝶番の固定部は部材にシート状蝶番を固定する部分であり、釘やネジで固定するための穴に類するものや、接着剤による固定に好適な平面や粘着性を有する面であっても良い。
本発明の物品の第1の部材および第2の部材は特に限定はなく、前記シート状蝶番の固定部に固定できればよい。また一方が布など可撓性、変形性を有していても良く、変形困難なものであっても良いが、双方に可撓性、変形性がない場合は、少なくとも一方の部材はその端部付近でシート状蝶番に固定されることが望ましい。
本発明の板状不織繊維構造体に用いる湿熱接着性繊維の表面を被覆する湿熱接着性樹脂としては、約95〜100℃の熱水で軟化して自己接着または他の繊維に接着する樹脂成分であることや、過熱蒸気により容易に実現できる温度において、流動ないし容易に変形して接着機能を発現可能なエチレンービニルアルコール系共重合体であることが必要である。
本発明の板状不織繊維構造体は、その剛性と形態安定性を実現するために、繊維ウェブを構成する繊維の配列状態および接着状態を適度に調整する必要がある。すなわち、構成繊維が概ね不織布シート面に対して平行に配列しさらにこれら繊維同士をできるだけそれらの交点において接着させることが重要である。特に、繊維同士が「スクラム」を組んだような構造を有し、かかる構造が厚さ方向に沿って均一に分布するような形態とすることが望ましい。これは、厚さ方向(シート面に対し垂直方向)に沿って配向している繊維が多く存在すると周辺に繊維配列の乱れが生じて不織布内に不要な空隙を生じ、シートの硬さを低減させてしまうからである。従って、できるだけこの空隙を少なくすることが必要であり、このために繊維を可能な限りシート面に対して平行に配列させることが望ましい。
なお、ここでいう「概ねシート面に対し平行に配列している」とは、例えばニードルパンチ不織布のように、局部的に多数の繊維が厚さ方向に沿って配列している部分が繰り返し存在するようなことがない状態を示す。より具体的には、不織布における任意の断面を顕微鏡観察した際に、その面方向に対して概ね垂直に、表から裏まで連続して延びる繊維の存在割合が10%以下である状態をいう。
この時折り曲げ部に交叉する繊維は折り曲げ部断面に存在する繊維の40〜90%程度である事が好ましい。更には、50〜80%であることがより好ましく、60〜80%であることが最も好ましい。この繊維が、40%未満であると、折り曲げ部での曲げ伸ばしが続いた場合に繊維間接着が剥離し、シートが破損する可能性が高くなる。また、90%を超えると、今度は、曲げ方向と垂直の方向にシートが破損しやすくなる。
この値は、50N/5cm以上である事が好ましく、より好ましくは75N/5cm以上であり、更に好ましくは100N/5cm以上であり、最も好ましくは100〜200N/5cmである。
この値が50N/5cmに満たない場合には、例えば、鞄に使用した場合に、鞄の中の荷物の重さに耐え切れずに破損したり、扉の場合においても、扉の自重に耐えられずに扉の下端が床面に当たってしまう可能性が生ずる。一方、200N/5cm以上の強度を保持させるためには、本発明の蝶番の目付あるいは厚さを極めて大きくする事が必要となり、本発明の目的を達成できなくなる可能性が高くなる。
すなわち、一度折り曲げた後の曲げ応力は、5.0N/25mm以下である事が好ましく、より好ましくは3.0N/25mm以下であり、更に好ましくは2.0N/25mm以下であり、より好ましくは2.0〜0.1N/25mmである。
特に5.0N/25mm以上の曲げ応力を有する場合は、蓋や扉の開閉に力を必要としすぎて開閉しにくくなるため好ましくない。
この場合、曲がりきった時の応力として、折り曲げ部における175度曲げ応力を用いることができ、この力が折り曲げ部における155度曲げ応力曲げ伸ばし応力の動作の1.3倍以上である事で緩和力が得られ、この値は、好ましくは1.5倍以上であり、より好ましくは2倍以上である。実際の曲げ止り効果としては、ドアや蓋の重さにより違いを生ずるため、明確な上限を規定できないが、1.5倍以下の場合には、極めて軽量な蓋やドアであったとしても、その動きを軽減する事が極めて困難であると予想できる。
次に、本発明のシート状蝶番の製造法について説明する。
本発明の板状不織繊維構造体の製造方法では、まず、湿熱接着性繊維あるいは湿熱接着性樹脂を一成分とする複合繊維をウェブ化し、このウェブの繊維を固定して目的のシート状蝶番とするのであるが、ウェブ形成に関しては、特に限定される事は無く、スパンボンド法、メルトブロー法のような直接法を用いてもよいし、ステープル繊維を用いてカード法、エアレイ法などの乾式法を用いてウェブを形成してもよい。ステープル繊維ウェブとしては、ランダムウェブ、セミランダムウェブ、パラレルウェブ、クロスラップウェブ等が好ましく用いられる。
次に得られた繊維ウェブは、ベルトコンベアにより次工程へ送られ、次いで過熱蒸気(高圧スチーム)流に晒されることで、本発明の硬質不織布が得られる。ここで使用するベルトコンベアは、基本的には加工に用いる繊維ウェブをその形態を乱すことなく運搬できるものであれば特に限定はないが、エンドレスコンベアが好適に用いられる。もちろん一般的な単独のベルトコンベアであってもよいし、必要に応じてもう一台のベルトコンベアを用意し、両コンベアの間にウェブを挟むようにして運搬する方法でもよい。このようにすることでウェブを処理する際に、処理に用いる水、過熱蒸気あるいはコンベアの振動などの外力により、運搬してきたウェブの形態が変形するのを抑えるのである。また、処理後の不織布の密度や厚さをこのベルトの間隔を調整することにより制御することも可能になる。
この高温蒸気は、気流であるため被処理体であるウェブ中の繊維を(水流絡合処理や、ニードルパンチ処理の様に)大きく移動させることなく、ウェブ内部へ進入する。このウェブ中への蒸気流の進入作用および湿熱作用によって、蒸気流がウェブ内に存在する各繊維の表面を湿熱状態で効率的に覆い、均一な熱接着が可能になると考えられる。また、この処理は高速気流下で極めて短時間に行われるため、蒸気の繊維表面への熱伝導は速いが、繊維内部への熱伝導はさほど速くなく、そのため過熱蒸気の圧力や熱により、処理されるウェブ自体の厚みが損われるような変形も起こりにくい。その結果、ウェブを潰すことなく、表面および厚さ方向における接着の程度が概ね均一になるように湿熱接着される。
このとき、ウェブを挟んでノズルと反対側のエンドレスベルトの裏側をステンレス板等にし、蒸気が通過できない構造とすれば、被処理体であるウェブを通過した蒸気がここで反射するので、蒸気の保温効果によってより強固に接着される。逆に軽度の接着が必要な場合には、サクションボックスを配置し、余分な水蒸気を室外へ排出してもよい。
例えば、プレートにオリフィスを開けたタイプのノズルを使用する場合、プレートの厚さは、0.5〜1.0mm程度のものが主に用いられる。この場合には、オリフィスの径やピッチに関しては、目的とする繊維固定ができる条件であれば特に制限はないが、通常、直径0.05〜2.0mmのものを使用するケースが多く、好ましくは0.1〜1.0mm、より好ましくは0.2〜0.5mmである。一方、オリフィスのピッチについては、通常0.5〜3.0mmで使用するケースが多いが、好ましくは1.0〜2.5mm、より好ましくは1.0〜1.5mmである。
オリフィスの径が0.05mmより小さい場合には、ノズルの加工精度が低くなり、加工が困難になるという設備的な問題点と、目詰まりを起こしやすくなるという運転上の問題点が生じるため好ましくない。逆に、2.0mmを超える場合には、十分な水蒸気噴射力を得ることが難しくなってしまうため好ましくない。一方、ピッチが0.5mm未満の場合は、ノズル孔が密になりすぎるため、ノズルそのものの強度が低下してしまい好ましくない。一方で、ピッチが3mmを超えるような場合には、過熱蒸気がウェブに十分当らなくなるケースが出てくるため、十分なウェブ強度を確保しにくいという問題点がある。
また、圧力が弱すぎる場合は、繊維の融着に必要な熱量を被処理物に与えることができなくなったり、水蒸気がウェブを貫通できず、厚さ方向に繊維融着斑を生ずる等の問題が発生したり、ノズルからの蒸気の均一噴出の制御が困難になる等の不具合が発生しやすくなる。
また、他の資材と積層したり、成型加工により希望の形態とすることも可能である。
このようにして製造した本発明のシート状蝶番は、従来の蝶番と概ね同様な用途に使用可能であり、部材の一端を回転状態に動くように固定するためのものであり、可動連結部に使用するのであれば、特に限定することなく使用可能なものであるが、湿熱接着性繊維を主体とした構成により得られる軽量性や通常の金属や樹脂板と軸とからなる蝶番のような軸部の飛び出しがない、回転軸(ピン)を使用しない蝶番である。
JIS K6760に準じ、190℃、2.16kg荷重の条件下、メルトインデクサーを用いて測定した。
JIS L1913に準じて測定した。
JIS L1913に準じて厚みを測定し、この値と(2)の方法で測定した目付とから密度を算出した。
JIS L1096に準じ、フラジール形法にて測定した。
JIS K7017に記載の方法のうちA法(3点曲げ法)に準じて測定した。この時、測定サンプルは25mm幅×80mm長のものを用い、支点間距離を50mmとし、試験速度2mm/分にて測定を行なった。本発明では、この測定結果チャートにおける最大応力(ピーク応力)を曲げ応力とした。なお、曲げ応力測定は、MD方向およびCD方向について測定した。ここで、MD方向とは、測定サンプルの長辺に対しウェブ流れ方向(MD)が平行となるよう測定サンプルを採取した状態といい、一方、CD方向とは、測定サンプルの長辺に対しウェブ幅方向(CD)が平行となるよう測定サンプルを採取した状態をいう。
JIS K6400−2「7.3圧縮たわみ測定 B法」を応用し、40mmΦの加圧板を100mm/分の速度で動かし、目的の位置での応力を測定した。
すなわち、本測定では、サンプルとして、25mm幅×80mm長のサンプルを長さ方向中央にて1/2に折り曲げた後、この上に2kgの錘を載せ24時間放置することで、明確な折り目を付けた。
このサンプルを約45度の折り曲げ角度となる様に開き、この上端に圧縮子中央が接するように圧縮試験機に配し、圧縮子と接しない方の側を試験機面に両面テープで接着固定した。そしてこの状態からサンプルの曲げ角度が25度となるまで押し下げた時の応力を「155度屈曲応力」、更に、この角度が5度となるまで押し下げた時の応力を「175度屈曲応力」とした。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維ボード断面を100倍に拡大した写真を撮影した。この写真にトレース紙を重ね、透過光を用いて写真の撮影領域と繊維(束)断面をトレースした。
このトレース図を、イメージアナライザー(東洋紡績社製)を用いて、CCDカメラからコンピュータに取り込み、画像を二値化したのち、観察した画像断面積における繊維断面積の占める割合を求め、百分率であらわした。
この観察は、繊維ボード断面を厚さ方向に3等分し、3等分した各領域(表面、中央、反対面)において1mm2の面積に相当する領域についてそれぞれ行ない、任意の3ヶ所の平均値を繊維断面充填率とした。
さらに、3等分した各領域についてそれぞれ繊維断面充填率を求め、その最大値に対すると最小値の割合(最小値/最大値)も併せて求めた。
ただし、各写真の観察領域において、繊維断面の一部しか写っていない場合でも、観察領域に含まれる部分を繊維断面積として測定した。
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて、不織布流れ(MD)方向、及び幅(CD)方向について測定した。
(6)のサンプルを、平面状に開いた状態から175度折り曲げた状態まで折り曲げ、これを平面上に開く動作を1回と数え、これを1万回繰り返した後の該折り曲げ部における引裂き強度を、JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて、不織布流れ(MD)方向、及び幅(CD)方向について測定した。
湿熱性接着性繊維として、芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール系共重合体(エチレン含有量44モル%、鹸化度98.4モル%、芯鞘比50/50)である芯鞘型複合ステープル繊維(クラレ社製、「ソフィスタ」、3dtex、51mm長、捲縮数21個/インチ、捲縮率13.5%)を準備した。
上記芯鞘型複合ステープル繊維を用いて、カード法により目付約100g/m2のウェブを作製し、このウェブを5枚重ねて合計目付512g/m2のカードウェブとした。
このカードウェブを、50メッシュ、幅500mmのステンレス製エンドレス金網を装備したベルトコンベアに移送した。なお、該ベルトコンベアの金網の上部には同じ金網が装備されており、それぞれが同じ速度で同方向に回転し、これら両金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアを使用した。
次いで、ベルトコンベアに備えられた蒸気噴射装置へカードウェブを導入し、該装置から0.4MPaの過熱蒸気をカードウェブに対し垂直に噴出して蒸気処理を施し、本発明の硬質不織布を得た。該蒸気噴射装置は、一方のコンベア内に、コンベアネットを介して過熱蒸気をウェブに向かって吹き付けるようにノズルが設置され、もう一方のコンベアにサクション装置が設置されている。また、この噴射装置のウェブ進行方向下流側には、ノズルとサクション装置の配置が逆転した組合せである噴射装置がもう一つ設置されている。
なお、水蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、該ノズルがコンベア幅方向に1mmピッチで1列に並べられたものを使用した。加工速度は3m/分であり、ノズルとサクション側のコンベアベルトとの距離は2mmとした。
得られた板状不織繊維構造体は、ボード形状を有し、一般的な不織布に比べ非常に硬く、曲げ応力ピークを超えても破壊せず、極端な応力の低下もなかった。またさらに、形態保持性試験を行なっても形状の変化はなく、質量も減少しなかった。結果を表1に示す。
実施例1で使用した繊維ウェブを10枚重ねとしたこと以外は実施例1と同じ方法で実施例2の不織繊維構造体を得た。結果を表1に示す。
得られた板状不織繊維構造体は、ボード形状を有し、一般的な不織布に比べ非常に硬く、曲げ応力ピークを超えても破壊せず、極端な応力の低下もなかった。またさらに、形態保持性試験を行なっても形状の変化はなく、質量も減少しなかった。結果を表1に示す。
実施例1で使用した繊維ウェブを2枚重ねとし、高温蒸気により処理する際のコンベア間隔を0.3mmとしたこと以外は実施例1と同じ方法で実施例2の不織繊維構造体を得た。結果を表1に示す。
得られた板状不織繊維構造体は、ボード形状を有し、一般的な不織布に比べ非常に硬く、曲げ応力ピークを超えても破壊せず、極端な応力の低下もなかった。またさらに、形態保持性試験を行なっても形状の変化はなく、質量も減少しなかった。結果を表1に示す。
MB実施例1の樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(MI=100)と高密度ポリエチレン樹脂(MI=20)を用い、各々押出機を用いて220℃で溶融混練し、溶融した樹脂をメルトブローダイヘッドに導き、ギヤポンプで計量し、直径0.5mmφの孔内に外径0.30mmΦ内径0.25mmΦの孔を有する2重管状のノズル孔を1.50mmピッチで一列に並べたメルトブローノズルから吐出させ、同時にこの溶融樹脂に220℃の熱風を噴射して吐出した繊維流を成形コンベア上に捕集し、高密度ポリエチレン樹脂が芯、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂が鞘となるような芯鞘複合繊維からなる複合繊維メルトブローン不織布を得た。このときの樹脂の単孔吐出量は0.5g/分/孔であり、熱風量は0.20Nm3/分/cm幅であり、ノズルと捕集コンベア間の距離は30cmであった。
また、この時メルトブロー装置のノズル直下に二次エア吹付装置を設置した設備を用いて、メルトブロー繊維流中に、1m3/分/cm幅の流量で、15℃の空気流を吹き付けた。
得られたメルトブローン不織布は、目付213g/m2を有し、繊維径20.2μm、通気度63cm3/cm2/秒を有していた。このウェブを実施例1と同じく5枚重ねとし、実施例1と同条件下で高温蒸気処理を行ない、本発明の硬質不織布を得た。結果を表1に示す。
芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分が低密度ポリエチレン(MI=11)である芯鞘型複合繊維(2.2dtex、51mm長)を用いて目付約100g/m2のウェブを作製し、7枚重ねとしたこと以外は、実施例1と同様にして不織繊維構造体を得た。結果を表1に示す。
この構造体は、繊維接着により不織布の形状を維持していたものの、いわゆる不織布の形状を有しており、非常に柔らかく、いわゆるボード状にはならなかった。
実施例1の湿熱接着繊維と芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分が低密度ポリエチレン(MI=11)である芯鞘型複合繊維(2.2dtex、51mm長)を60/40の比率で混合した繊維を用い、実施例1と同様にして比較例1の不織繊維構造体を得た。
この構造体は、外観上はボード状の形態を有していたが、非常に柔らかく、一度曲げた後の屈曲応力が非常に低かった。
Claims (7)
- エチレン単位が10〜60モル%共重合されたエチレンービニルアルコール系共重合体からなる湿熱接着性樹脂をポリエステル系繊維あるいはポリオレフィン系繊維の表面に被覆してなる湿熱接着性繊維を少なくとも80%以上含み、該繊維の繊維径が1〜10dtexである板状の不織繊維構造体であって、該板状不織繊維構造体を構成する繊維の繊維充填率が40〜85%の割合で厚さ方向に均一に接着しているとともに、0.2〜0.7g/cm3の見掛密度、および0.5〜5mmの厚さを有するシート状蝶番用板状不織繊維構造体。
- 前記板状不織繊維構造体の主面上を分断するように直線状の折り曲げ部を有し、該折り曲げ部における155度屈曲応力が5.0N/25mm以下であると共に、1万回曲げ伸ばし動作を繰り返した後の折り曲げ部における屈曲部引裂強度が5.0N以上であることを特徴とする請求項1に記載のシート状蝶番用板状不織繊維構造体。
- 請求項2に記載の板状不織繊維構造体の前記折り曲げ部を稼動部とし、該板状不織繊維構造体の主面上に該稼動部を挟むように、それぞれ少なくとも1つの固定部を有するシート状蝶番。
- 請求項3に記載のシート状蝶番の稼動部を挟むそれぞれ少なくとも1つの固定部に、それぞれ第1の部材と第2の部材とを固定することでなる事を特徴とする物品。
- 前記第1の部材が蓋部材であり、前記第2の部材が開口部を有する箱状の収納部材であり、前記蓋部材が前記収納部材の開口部を覆うように配置されたことを特徴とする請求項4に記載の物品。
- 前記第1の部材が板状部材であり、前記第1の部材は少なくとも1つの前記稼動部と垂直な平面を有することを特徴とする請求項4に記載の物品。
- 前記第2の部材が板状部材であり、前記蝶番の固定部が第1の部材および/または前記第2の部材の端部付近に該端部と前記稼動部とが略平行になるように固定されてなり、前記第2の部材は少なくとも1つの前記稼動部と垂直な平面を有するとともに、該平面は前記第1の部材が有する稼動部と垂直な平面と同一の仮想平面内にあることを特徴とする請求項6に記載の物品。
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