以下、図面を参照して、本発明に係る車両検出装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態に係る車両検出装置は、自車両の前方に存在する先行車両を検出し、検出した先行車両情報をACC[Adaptive Cruise Control]装置などの運転支援装置に提供する。本実施の形態では、夜間において、路上障害物を検知するレーダセンサなどの検出範囲を超えた距離(例えば、自車両から600m〜700m前方の距離)に存在する四輪の先行車両の検出も可能である。
図1〜図8を参照して、第1の実施の形態に係る車両検出装置1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る車両検出装置を示す構成図である。図2は、図1に示すCCDカメラの撮像可能な波長領域を示すグラフである。図3は、自車両の前方における可視光画像の一例を示す図である。図4は、自車両の前方における近赤外線画像の一例を示す図である。図5は、図3の可視光画像と図4の近赤外線画像との先行車両候補領域内の差分を示す図である。図6は、自車両の前方における可視光画像の他の例を示す図である。図7は、自車両の前方における近赤外線画像の他の例を示す図である。図8は、図6の可視光画像と図7の近赤外線画像との先行車両候補領域内の差分を示す図である。なお、図3、図4、図6、及び図7において、実線は、画像に写っているもの(例えば、光を放つ先行車両のテールライトや光を反射しているリフレクタ)を示しており、破線は、画像に写っていないが、存在するもの(例えば、先行車両の車体や道路沿いの建物)を示す。また、図3〜図5と図6〜図8とは、先行車両のリフレクタの位置及び形状についてのみ異なっている。図3〜図5に示された先行車両20のリフレクタ22は、円形状をなし、テールランプ21の下方に備えられている。図6〜図8に示された先行車両30のリフレクタ32は、円環形状をなし、テールランプ31の周囲を囲むように備えられている。
車両検出装置1は、可視光の波長領域から近赤外線の波長領域まで撮像できるカメラによって、自車両の前方の可視光画像及び近赤外線画像を取得し、可視光画像と近赤外線画像とにおける画素間の輝度(明るさ)の差分から、自車両の前方に存在する先行車両20を検出する。そのために、車両検出装置1は、CCDカメラ4、近赤外線投光器5、運転支援装置6、及び車両検出ECU[Electric Control Unit]10を備えており、車両検出ECU10に可視光画像取得部13a、先行車両候補領域抽出部14a、近赤外線画像取得部15a、先行車両検出部16aが構成される。
なお、第1の実施の形態では、近赤外線投光器5が特許請求の範囲に記載する赤外線投光手段に相当し、CCDカメラ4及び可視光画像取得部13aが特許請求の範囲に記載する可視光画像取得手段に相当し、CCDカメラ4及び近赤外線画像取得部15aが特許請求の範囲に記載する近赤外線画像取得手段に相当し、先行車両候補領域抽出部14aが特許請求の範囲に記載する抽出手段に相当し、先行車両検出部16aが先行車両検出手段に相当する。
CCDカメラ4は、自車両の前方(例えば、ルームミラーのフロントガラス側)に備えられ、自車両の前方の画像を撮像する。CCDカメラ4には、光の波長領域を限定する光カットフィルタが取り付けられており、600nm〜1000nm(可視光の赤色領域から近赤外線領域)の光波長の画像を撮像する。CCDカメラ4は、撮像した自車両の前方の画像を画像信号として車両検出ECU10に送信する。
近赤外線投光器5は、自車両の前面(例えば、ヘッドライト収納部内)に備えられ、自車両の前方に近赤外線(800nm〜1000nmの波長領域の光)を照射する。近赤外線投光器5は、自車両の600m〜700m先まで近赤外線を照射するが、可視光を含まない近赤外線であるため対向車両などに眩惑などの影響を及ぼすことはない。このような近赤外線投光器5には、例えばハロゲン灯が用いられる。また、近赤外線投光器5は、車両検出ECU10から送信されるON信号によって点灯状態になると共に、車両検出ECU10から送信されるOFF信号によって消灯状態になる。
運転支援装置6は、自車両に備えられて、運転者による自車両の運転を支援する。このような運転支援装置6としては、例えば認識した先行車両に追従して自車両の走行制御を行うACC[Adaptive Cruise Control]装置や車内のディスプレイに先行車両を強調表示するなどにより運転者に対して注意喚起を行う注意喚起装置がある。
車両検出ECU10は、演算処理を行うCPU[Central Processing Unit]、記憶部となるROM[Read Only Memory]及びRAM[Random Access Memory]、画像処理チップなどから構成される電子制御ユニットであり、CCDカメラ4、近赤外線投光器5、及び運転支援装置6と電気的に接続されて車両検出装置1を統括制御する。車両検出ECU10は、ROMに格納されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することにより、可視光画像取得部13a、先行車両候補領域抽出部14a、近赤外線画像取得部15a、先行車両検出部16aを構成する。
可視光画像取得部13aは、近赤外線投光器5が消灯の状態でCCDカメラ4から送信された画像信号に基づいて、自車両の前方における可視光の赤色領域(600nm〜800nm)の画像(以下、可視光画像Aと呼ぶ)を取得する(図3及び図6参照)。この可視光画像Aには、先行車両20,30の円形のテールランプ21,31や道路沿いの建物(例えば、コンビニエンスストアなどの店舗や住宅)25の照明26などの光源から出る赤色領域の光が明確に写る。なお、図3及び図6に示す先行車両20,30及び建物25は、いずれも自車両のヘッドライトの有効照射距離(例えば、100m)以上離れており、例えば先行車両20,30のリフレクタ22,32や建物25自体は可視光画像Aに写り込んでいないものとする。
先行車両候補領域抽出部14aは、可視光画像取得部13aが取得した可視光画像Aに基づいて、画像中において先行車両が存在すると推定される領域である先行車両候補領域Tを抽出する。具体的には、先行車両候補領域抽出部14aは、可視光画像A中の各画素について、各画素の輝度(明るさ)が所定の輝度閾値よりも明るいか否かによって区別する二値化処理(輝度が輝度閾値以上の画素を1、輝度が輝度閾値以下の画素を0とする処理)を行う。そして、画像内においては先行車両20,30のテールランプ21,31が略水平方向に並ぶ左右一対で面積の等しい光源として写ることから、二値化処理後の画像内で輝度が1の画素の集合領域に対し、その形状、画像内における水平位置及び垂直位置、複数の画素集合領域間における水平距離や面積比などに関してラベリング処理を行う。その後、ラベリング処理の結果に基づき先行車両20,30のテールランプ21,31と推定される2つの画素集合をテールランプ候補として検出し、画像中においてテールランプ候補の画素集合とその周辺を囲む矩形領域を先行車両候補領域Tとして抽出する。この先行車両候補領域Tの大きさは、一定であってもよいが、例えばテールランプ候補として検出された画素集合の面積の大きさに応じて変化する態様であってもよく、またテールランプ候補として検出された2つの画素集合間の水平距離(すなわち左右一対のテールランプ21,31の間隔)に応じて変化する態様であってもよい。
近赤外線画像取得部15aは、先行車両候補領域抽出部14aが先行車両候補領域Tを抽出した場合に、近赤外線投光器5にON信号を送信する。近赤外線画像取得部15aは、近赤外線投光器5が点灯した状態でCCDカメラ4から送信された画像信号に基づき、自車両の前方における可視光の赤色領域から近赤外線領域の画像(以下、近赤外線画像Bと呼ぶ)を取得する。この近赤外線画像Bには、先行車両20,30のテールランプ21,31や道路沿いの建物25の照明26に加えて、先行車両20,30においてテールランプ21,31の下方に備えられたリフレクタ22,32や道路沿いのガードレール27に設けられた路上反射器28が近赤外線を反射して明確に写る(図4及び図7参照)。
ここで、近赤外線投光器5がON状態になった直後は、照射する近赤外線の量が安定しないため、先行車両20,30のリフレクタ22,32やガードレール27の路上反射器28における反射光も安定せず、近赤外線画像Bに明確に写りこまない慮がある。そこで、先行車両検出部16aは、近赤外線画像取得部15aが近赤外線画像Bを取得した場合、近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量(例えば、1秒当たりの輝度の変化量)が所定の輝度変化閾値(第2の閾値)以下であるか否かを判定する。この輝度変化閾値は、時間経過に伴う近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量の減少、すなわち近赤外線投光器5の照射する近赤外線の反射光の単位時間変化量の減少から近赤外線投光器5が照射する近赤外線の量が安定したか否かを判断するために用いられ、実験等によりその値が決定される。
先行車両検出部16aは、近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量が輝度変化閾値以下であると判定した場合、近赤外線投光器5の照射する近赤外線の量が安定した状態の近赤外線画像Bを取得できたと判断して近赤外線投光器5にOFF信号を送信する。
先行車両検出部16aは、近赤外線投光器5にOFF信号を送信した場合、先行車両候補領域抽出部14aが抽出した先行車両候補領域T内において、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分を算出する、すなわち近赤外線を照射することによって画像内に現れたリフレクタ22の輝度を認識する(図5及び図8参照)。具体的には、図5に示される図3の可視光画像Aと図4の近赤外線画像Bとの先行車両候補領域T内の差分として、先行車両20においてテールランプ21の下方に備えられた円形状のリフレクタ22の反射光及び路上反射器28の反射光の一部が算出される。また、図8に示される図6の可視光画像Aと図7の近赤外線画像Bとの先行車両候補領域T内の差分として、先行車両30においてテールランプ31の周囲に備えられた円環形状のリフレクタ32の反射光及び路上反射器28の反射光の一部が算出される。
先行車両検出部16aは、先行車両候補領域T内において、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分が所定の差分閾値(第1の閾値)より大きいものが有るか否かを判定する。この差分閾値は、リフレクタ22,32以外のもの(例えば、ガードレール27の表面)による近赤外線の反射光をノイズとして除去するために用いられ、実験によりその値が決定される。
先行車両検出部16aは、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分が所定の差分閾値より大きい先行車両候補領域Tが有ると判定した場合、当該先行車両候補領域Tにはテールランプ21,31及びリフレクタ22,32を備えた先行車両20が存在するとして先行車両20を検出する。先行車両検出部16aは、検出した先行車両20,30の情報を先行車両情報として運転支援装置6に送信する。
次に、図1〜図5及び図9を参照して、車両検出装置1における動作の流れについて詳細に説明する。図9は、第1の実施形態に係る車両検出装置の動作の流れを示すフローチャートである。
この車両検出装置1では、先行車両の検出開始時において近赤外線投光器5は消灯状態となっている。まずCCDカメラ4は、近赤外線投光器5が消灯された状態で自車両前方の画像を撮像し、画像信号を車両検出ECU10に送信する。そして、車両検出ECU10における可視光画像取得部13aは、近赤外線投光器5が消灯した状態でCCDカメラ4から送信された画像信号に基づいて、自車両の前方における可視光画像Aを取得する(S1)。
先行車両候補領域抽出部14aは、可視光画像取得部13aが取得した可視光画像Aに基づいて、画像中において先行車両が存在すると推定される領域である先行車両候補領域Tを抽出する(S2)。
ステップS3において、先行車両候補領域抽出部14aは、先行車両候補領域Tが抽出できない場合、先行車両は存在しないと判断してステップS11に移行する。一方、先行車両候補領域抽出部14aによって先行車両候補領域Tが抽出できた場合、近赤外線画像取得部15aは、近赤外線投光器5にON信号を送信する(S4)。
ON信号を送信された近赤外線投光器5は、点灯状態となり、自車両の前方に近赤外線を照射する。CCDカメラ4は、近赤外線投光器5が点灯した状態で自車両前方の画像を撮像し、画像信号を車両検出ECU10に送信する。車両検出ECU10における近赤外線画像取得部15aは、CCDカメラ4から送信された画像信号に基づき、自車両の前方における近赤外線画像Bを取得する(S5)。
続いて、先行車両検出部16aは、近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量が所定の輝度変化閾値以下であるか否かを判定する(S6)。先行車両検出部16aは、近赤外線画像Bの各画素における輝度の単位時間変化量が輝度変化閾値以下ではないと判定した場合、輝度の単位時間変化量が輝度変化閾値以下であると判定するまで上記輝度の単位時間変化量に関する判定を繰り返す。
先行車両検出部16aは、近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量が輝度変化閾値以下であると判定した場合、近赤外線投光器5にOFF信号を送信する(S7)。OFF信号を送信された近赤外線投光器5は、消灯状態になる。その後、先行車両検出部16aは、先行車両候補領域抽出部14aが抽出した先行車両候補領域T内において、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分を算出する(S8)。
先行車両検出部16aは、先行車両候補領域T内において、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分が所定の差分閾値より大きいものが有るか否かを判定する(S9)。先行車両検出部16aは、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分が差分閾値より大きい先行車両候補領域Tがないと判定した場合、先行車両は存在しないと判断して、ステップS11に移行する。
先行車両検出部16aは、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分が差分閾値より大きい先行車両候補領域Tが有ると判定した場合、当該先行車両候補領域Tにはテールランプ21及びリフレクタ22を備えた先行車両20が存在するとして先行車両20を検出する。ステップS11において、先行車両検出部16aは、検出した先行車両20に関する情報又は先行車両が存在しないとの判断を先行車両情報として運転支援装置6に送信する。
以上説明した車両検出装置1によれば、近赤外線投光器5から近赤外線が照射されない状態の自車両前方における可視光画像Aと、近赤外線投光器5から近赤外線が照射された状態の自車両前方における近赤外線画像Bとが取得される。可視光画像Aには、先行車両20の背面のリフレクタ22や道路沿いのガードレール27に設けられた路上反射器28が自車両のヘッドライトなどを反射した光が写る場合があるが、道路沿いの建物25の照明26や先行車両20のテールランプ21から放たれる光はリフレクタ22などの反射光と比べて強く写る。そして、近赤外線画像Bには、先行車両20のリフレクタ22や路上反射器28が近赤外線を反射した光が強く写る一方、先行車両20のテールランプ21や道路沿いの建物25の照明26は近赤外線をあまり出さないため可視光画像Aと比べて写り方にあまり差が生じない。したがって、これらの可視光画像A及び近赤外線画像Bを比較してテールランプ21などの光源とリフレクタ22などの反射器とを区別し、その形状や位置関係などを認識することで、リフレクタ22とテールランプ21とを備える先行車両20を高精度に検出することができる。このような車両検出装置1は、画像情報のみに基づく先行車両の検出を可能にするので、路上障害物を検知するレーダセンサなどの検出範囲を超えて自車両から離れた距離に存在する先行車両も検出できる。
また、車両検出ECU10における先行車両候補領域抽出部14aでは、可視光画像Aの各画素における輝度を認識し、画像中で高い輝度を有する画素集合の形状や位置などから先行車両のテールランプの候補となる画素集合を検出し、そのテールランプ候補を含む周辺の領域を先行車両候補領域Tとして抽出する。このように先行車両候補領域Tを予め抽出することにより、画像内で車両のテールランプの形状や位置関係と大きく異なるものを予め検出対象から外すことが可能となり、先行車両20をより高精度に検出することができる。更に、画像中の先行車両候補領域T以外の領域における各画素の輝度の差分算出が不要になるので、車両検出ECU10における演算処理の負荷を軽減することができる。
また、車両検出ECU10における先行車両検出部16aでは、可視光画像取得部13aが取得した可視光画像A及び近赤外線画像取得部15aが取得した近赤外線画像Bにおける画素間の輝度の差分が所定の差分閾値以上である場合に、先行車両を検出する。これにより、先行車両検出部16aは、近赤外線画像Bの輝度と可視光画像Aの輝度との差が差分閾値以上、すなわち近赤外線画像Bにおいて輝度の大きく、可視光画像Aにおいて輝度の小さいリフレクタ22を検出することができる。更に、近赤外線画像Bの輝度と可視光画像Aの輝度との差が差分閾値以下、すなわちリフレクタ22以外のガードレール27の表面などによる近赤外線の反射光をノイズとして除去することができるので、可視光画像Aと近赤外線画像Bとに基づきリフレクタ22とテールランプ21とを備える先行車両20の検出が好適に実現される。
また、車両検出ECU10における近赤外線画像取得部15aでは、先行車両候補領域抽出部14aが可視光画像Aに基づいて先行車両候補領域を抽出した場合に、近赤外線投光器5にON信号を送信して、近赤外線投光器5を消灯状態から点灯状態に切り換える。このように、先行車両候補領域Tが抽出されるまでの間、近赤外線投光器5を消灯状態としておくことで、車両検出装置1の省エネルギー化が図られる。
また、車両検出ECU10における先行車両候補領域抽出部14aでは、近赤外線投光器5が点灯状態に切り換わった後、近赤外線画像取得部15aが取得した近赤外線画像Bの各画素における輝度の単位時間変化量が所定の輝度変化閾値以下である場合に、近赤外線画像Bに基づいて先行車両を検出する。このような構成によれば、近赤外線投光器5を点灯状態にした直後の近赤外線の量が不安定な状態で取得された近赤外線画像Bが先行車両の検出に利用されることを防ぎ、先行車両20をより高精度に検出することができる。
図1〜図8を参照して、第2の実施の形態に係る車両検出装置2について説明する。車両検出装置2では、第1の実施の形態に係る車両検出装置1の構成と同様の構成について、同一の符号を付与し、その説明を省略する。
車両検出装置2は、第1の実施の形態に係る車両検出装置1と比較すると、その動作の流れ及び車両検出ECU11の構成が異なり、可視光画像より先に近赤外線画像を取得し、この近赤外線画像に基づいて先行車両候補領域の抽出を行う。そのために、車両検出装置2は、CCDカメラ4、近赤外線投光器5、運転支援装置6、及び車両検出ECU11を備えており、車両検出ECU11に可視光画像取得部13b、先行車両候補領域抽出部14b、近赤外線画像取得部15b、先行車両検出部16bが構成される。
なお、第2の実施の形態では、近赤外線投光器5が特許請求の範囲に記載する赤外線投光手段に相当し、CCDカメラ4及び可視光画像取得部13bが特許請求の範囲に記載する可視光画像取得手段に相当し、CCDカメラ4及び近赤外線画像取得部15bが特許請求の範囲に記載する近赤外線画像取得手段に相当し、先行車両候補領域抽出部14bが特許請求の範囲に記載する抽出手段に相当し、先行車両検出部16bが先行車両検出手段に相当する。
可視光画像取得部13bは、近赤外線投光器5が消灯された状態でCCDカメラ4から送信された画像信号に基づいて、可視光画像Aを取得する。この可視光画像Aには、先行車両20,30のテールランプ21,31や道路沿いの建物25の照明26などの光源から出る赤色領域の光が明確に写る(図3及び図6参照)。
近赤外線画像取得部15bは、先行車両の検出の開始時に、近赤外線投光器5にON信号を送信する。近赤外線画像取得部15bは、近赤外線投光器5にON信号を送信した場合、近赤外線投光器5が点灯した状態でCCDカメラ4から送信された画像信号に基づき、近赤外線画像Bを取得する。この近赤外線画像Bには、建物25の照明26及びガードレール27の路上反射器28に加えて、先行車両20,30のテールランプ21,31及びリフレクタ22,32が写る(図4及び図7参照)。
近赤外線画像取得部15bは、取得した近赤外線画像Bについて、近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量が所定の輝度変化閾値(第2の閾値)以下であるか否かを判定する。近赤外線画像取得部15bは、近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量が輝度変化閾値以下であると判定した場合、近赤外線投光器5の照射する近赤外線の量が安定した状態の近赤外線画像Bを取得できたと判断する。
先行車両候補領域抽出部14bは、近赤外線画像取得部15bが安定した状態の近赤外線画像Bを取得できたと判断した場合、近赤外線画像取得部15bが取得した近赤外線画像Bに基づいて、先行車両候補領域Tを抽出する。具体的には、先行車両候補領域抽出部14bは、近赤外線画像B中の各画素について、各画素の輝度が所定の輝度閾値よりも明るいか否かによって二値化処理(輝度が輝度閾値以上の画素を1、輝度が輝度閾値以下の画素を0とする処理)を行う。そして、画像中において先行車両20,30のテールランプ21,31やリフレクタ22,32が略水平方向に並ぶ左右一対で面積の等しい反射器であることから、二値化処理後の画像内で輝度が1の画素の集合領域に対し、その形状、画像内における水平位置及び垂直位置、複数の画素集合領域間における水平距離や面積比などに関してラベリング処理を行う。その後、ラベリング処理の結果に基づき先行車両20,30のテールランプ21,31と推定される2つの画素集合をテールランプ候補として検出し、リフレクタ22と推定される2つの画素集合をリフレクタ候補として検出する。そして、画像中でテールランプ候補の画素集合やリフレクタ候補の画素集合とその周辺を囲む矩形領域を先行車両候補領域Tとして抽出する。この先行車両候補領域Tの大きさは、一定であってもよいが、例えばテールランプ候補やリフレクタ候補として検出された画素集合の面積の大きさに応じて変化する態様であってもよい。先行車両候補領域抽出部14bは、先行車両候補領域Tを抽出した場合、近赤外線投光器5にOFF信号を送信する。
先行車両検出部16bは、先行車両候補領域抽出部14bが抽出した先行車両候補領域T内において、近赤外線画像Bの各画素における輝度と可視光画像Aの各画素における輝度との差分を算出する、すなわち近赤外線投光器5をOFF状態にすることによって画像に写らなくなったリフレクタ22,32の輝度を認識する(図5及び図8参照)。
先行車両検出部16bは、先行車両候補領域T内において、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分が所定の差分閾値(第1の閾値)より大きいものが有るか否かを判定する。
先行車両検出部16bは、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分が差分閾値より大きい先行車両候補領域Tが有ると判定した場合、当該先行車両候補領域Tにはテールランプ21,31及びリフレクタ22,32を備えた先行車両20,30が存在するとして先行車両20,30を検出する。先行車両検出部16bは、先行車両に関する情報を先行車両情報として運転支援装置6に送信する。
次に、図1〜図5及び図10を参照して、車両検出装置2における動作の流れについて詳細に説明する。図10は、第2の実施の形態に係る車両検出装置における動作の流れを示すフローチャートである。
車両検出ECU11における近赤外線画像取得部15bは、先行車両の検出の開始時において、近赤外線投光器5にON信号を送信する(S21)。ON信号を送信された近赤外線投光器5は、点灯状態になり、自車両の前方に近赤外線を照射する。CCDカメラ4は、近赤外線投光器5が点灯した状態で自車両の前方を撮像する。近赤外線画像取得部15bは、CCDカメラ4から送信された画像信号に基づき、自車両の前方における近赤外線画像Bを取得する(S22)。
次に、近赤外線画像取得部15bは、近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量が輝度変化閾値以下であるか否かを判定する(S23)。近赤外線画像取得部15bは、近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量が輝度変化閾値以下ではないと判定した場合、輝度の単位時間変化量が輝度変化閾値以下であると判定するまで上記輝度の単位時間変化量に関する判定を繰り返す。
近赤外線画像取得部15bは、近赤外線画像Bの各画素の輝度の単位時間変化量が輝度変化閾値以下であると判定した場合、近赤外線投光器5の照射する近赤外線の量が安定した状態の近赤外線画像Bを取得できたと判断する。先行車両候補領域抽出部14bは、近赤外線画像取得部15bが安定した状態の近赤外線画像Bを取得できたと判断した場合、近赤外線画像取得部15bが取得した近赤外線画像Bに基づいて、先行車両候補領域Tを抽出する(S24)。
ステップS25において、先行車両候補領域抽出部14bは、先行車両候補領域Tを抽出できない場合、先行車両は存在しないと判断してステップS31に移行する。先行車両候補領域抽出部14bは、先行車両候補領域Tを抽出できた場合、近赤外線投光器5にOFF信号を送信する(S26)。OFF信号を送信された近赤外線投光器5は、消灯状態になる。CCDカメラ4は、近赤外線投光器5が消灯の状態で自車両の前方を撮像する。可視光画像取得部13bは、近赤外線投光器5が消灯の状態でCCDカメラ4から送信された画像信号に基づいて、自車両の前方における可視光画像Aを取得する(S27)。
続いて、先行車両検出部16bは、先行車両候補領域抽出部14bが抽出した先行車両候補領域T内において、近赤外線画像Bの各画素における輝度と可視光画像Aの各画素における輝度との差分を算出する(S28)。
その後、先行車両検出部16bは、先行車両候補領域T内において、近赤外線画像Bの各画素における輝度と可視光画像Aの各画素における輝度との差分が所定の差分閾値より大きいものが有るか否かを判定する(S29)。先行車両検出部16bは、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分が差分閾値より大きい先行車両候補領域Tが無いと判定した場合、先行車両は存在しないと判断してステップS31に移行する。
先行車両検出部16bは、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分が差分閾値より大きい先行車両候補領域Tが有ると判定した場合、当該先行車両候補領域Tにはテールランプ21及びリフレクタ22を備えた先行車両20が存在するとして先行車両20を検出する(S30)。ステップS31において、先行車両検出部16bは、検出した先行車両20に関する情報又は先行車両が存在しないとの判断を先行車両情報として運転支援装置6に送信する。
以上説明した第2の実施の形態に係る車両検出装置2も第1の実施の形態の車両検出装置1と同様の効果を奏するが以下の点について異なる効果を有する。すなわち、この車両検出装置2によれば、先に近赤外線画像を取得し、その近赤外線画像から先行車両候補領域Tが抽出された後、近赤外線投光器5が消灯されて可視光画像を取得する構成であるため、先行車両候補領域Tが抽出された後において近赤外線投光器5が照射する近赤外線の量が安定することを待つ必要がない。その結果、先行車両候補領域Tを抽出してから先行車両を検出するまでの時間を短くすることが可能となり、先行車両検出の速度の向上を図ることができる。
図3、図4、図6、図7、及び図11〜図14を参照して、第3の実施の形態に係る車両検出装置3について説明する。車両検出装置3では、第1の実施の形態に係る車両検出装置1の構成と同様の構成について、同一の符号を付与し、その説明を省略する。図11は、第3の実施の形態に係る車両検出装置を示す構成図である。図12(a)は、図11に示す可視光カメラの撮像可能な波長領域を示すグラフであり、図12(b)は、図11に示す近赤外線カメラの撮像可能な波長領域を示すグラフである。図13は、第3の実施の形態に係る図3の可視光画像と図4の近赤外線画像との先行車両候補領域内の差分を示す図である。図14は、第3の実施形態に係る図6の可視光画像と図7の近赤外線画像との先行車両候補領域内の差分を示す図である。
車両検出装置3は、第1の実施の形態に係る車両検出装置1と比較すると、CCDカメラ4に代えて可視光カメラ7と近赤外線カメラ8とを有している点と、車両検出ECU12における先行車両検出部17の機能とが異なる。車両検出装置3では、可視光カメラ7によって自車両前方の可視光画像を撮像すると共に、近赤外線カメラ8によって自車両前方の近赤外線画像を撮像し、先行車両検出部17において可視光画像及び近赤外線画像から先行車両を検出する。そのために、車両検出装置3は、近赤外線投光器5、運転支援装置6、可視光カメラ7、近赤外線カメラ8、及び車両検出ECU12を備えており、車両検出ECU12に可視光画像取得部13a、先行車両候補領域抽出部14a、近赤外線画像取得部15a、先行車両検出部17が構成される。
なお、第3の実施の形態では、近赤外線投光器5が特許請求の範囲に記載する赤外線投光手段に相当し、可視光カメラ7及び可視光画像取得部13aが特許請求の範囲に記載する可視光画像取得手段に相当し、近赤外線カメラ8及び近赤外線画像取得部15aが特許請求の範囲に記載する近赤外線画像取得手段に相当し、先行車両候補領域抽出部14aが特許請求の範囲に記載する抽出手段に相当し、先行車両検出部16aが先行車両検出手段に相当する。
以下、第1の実施の形態と異なる可視光カメラ7、近赤外線カメラ8、及び車両検出ECU12における先行車両検出部17について詳細に説明する。
可視光カメラ7は、自車両の前方に備えられ、自車両の前方の画像を撮像するCCDカメラである。可視光カメラ7は、400nm〜1000nm(可視光の波長領域)の光波長の画像を撮像する(図12(a)参照)。可視光カメラ7は、撮像した自車両の前方の画像を可視光画像信号として車両検出ECU12に送信する。車両検出ECU12における可視光画像取得部13aは、可視光カメラ7が送信した可視光画像信号から可視光画像Aを取得する。この可視光カメラ7から取得された可視光画像Aには、先行車両20,30のテールランプ21,31や道路沿いの建物25の照明26などの光源から出る光が明確に写る(図3及び図6参照)。
近赤外線カメラ8は、自車両の前方に備えられ、自車両の前方の画像を撮像するCCDカメラである。近赤外線カメラ8には、光の波長領域を限定する光カットフィルタが取り付けられており、800nm〜1000nm(近赤外線の波長領域)の光波長の画像を撮像する(図12(b)参照)。近赤外線カメラ8は、近赤外線投光器5が点灯した状態で撮像した自車両の前方の画像を近赤外線画像信号として車両検出ECU12に送信する。車両検出ECU12における近赤外線画像取得部15aは、近赤外線カメラ8が送信した近赤外線画像信号から近赤外線画像Bを取得する。この近赤外線カメラ8から取得された近赤外線画像Bには、先行車両20,30のテールランプ21,31や道路沿いの建物25の照明26などの光源はほとんど近赤外線の波長領域の光を出さないため弱く写る一方、先行車両20,30のリフレクタ22,32や道路沿いのガードレール27に設けられた路上反射器28は近赤外線を反射して明確に写る(図4及び図7参照)。なお、この近赤外線画像Bにおいては、可視光が写らないため、近赤外線をほとんど出さないテールランプ21,31や照明26は第1及び第2の実施の形態と比べて輝度が小さくなる。
先行車両検出部17は、第1の実施の形態又は第2の実施の形態と同様に抽出された先行車両候補領域T内において、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分を算出する。ここで、先行車両20,30のテールランプ21,31や建物25の照明26から出る光は、可視光画像Aにおいて強く写る一方、近赤外線画像Bにおいては近赤外線をあまり含まないため弱く写る。また、先行車両20,30のリフレクタ22,32やガードレール27の路上反射器28は、自車両のヘッドライトの有効照射距離以上離れているため可視光画像Aにはほとんど写らないが、近赤外線画像Bにおいては、近赤外線投光器5の近赤外線を反射した光が強く写る。
そこで、先行車両検出部17は、先行車両候補領域T内における可視光画像Aの各画素の輝度と近赤外線画像Bの各画素の輝度との差分を算出することにより、先行車両20,30のテールランプ21,31とリフレクタ22,32とを認識する(図13及び図14参照)。具体的には、図13に示される図3の可視光画像Aと図4の近赤外線画像Bとの先行車両候補領域T内の差分として、先行車両20のテールランプ21の光、テールランプ21の下方に備えられた円形状のリフレクタ22の反射光及び路上反射器28の反射光の一部が算出され、図14に示される図6の可視光画像Aと図7の近赤外線画像Bとの先行車両候補領域T内の差分として、先行車両30のテールランプ31の光、テールランプ31の周囲に備えられた円環形状のリフレクタ32の反射光、及び路上反射器28の反射光の一部が算出される。
その後、先行車両検出部17では、先行車両候補領域T内における可視光画像Aの各画素の輝度と近赤外線画像Bの各画素の輝度との差分が所定の差分閾値より大きいものが有ると判定した場合に、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分の正負を認識し、テールランプ21,31とリフレクタ22,32とを区別する。具体的には、可視光画像Aの各画素の輝度から近赤外線画像Bにおける各画素の輝度を差し引いた場合に、正の差分値を有する画素集合(すなわち可視光画像Aにおいて輝度が高く近赤外線画像Bにおいて輝度の小さい画素集合)をテールランプ21,31などの光源と判断し、負の差分値を有する画素集合(すなわち可視光画像Aにおいて輝度が小さく近赤外線画像Bにおいて輝度の高い画素集合)をリフレクタ22,32などの反射器と判断する。このようにして、先行車両検出部17では、テールランプ21,31及びリフレクタ22,32を有する先行車両20,30が検出される。
この車両検出装置3における動作の流れは、第1の実施の形態における動作の流れと同じでもよく、また第2の実施の形態における動作の流れと同じであってもよい。
この車両検出装置3によれば、第1の実施の形態に係る車両検出装置1又は第2の実施の形態に係る車両検出装置2と同様の効果を有する。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、車両検出装置1,2,3は、四輪だけでなく二輪の先行車両を検出することができる。この場合、先行車両候補領域抽出部14a,14bは、二値化処理後の画像内で輝度が1の画素の集合領域に対し、二輪車のテールランプの形状などから画素集合をテールランプ候補として検出し、そのテールランプ候補を含む周囲の矩形領域を先行車両候補領域Tとして抽出する。その後、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像Bの各画素における輝度との差分からテールランプ及びリフレクタを有する二輪の先行車両を検出する。
また、可視光画像Aの各画素における輝度と近赤外線画像の各画素Bにおける輝度との差分を取るにあたり、予め各画像を二値化処理した後、差分を取る態様であってもよい。この場合、車両検出ECU10,11,12における演算処理の負荷を軽減することができる。
また、先行車両候補領域Tは、矩形領域に限られず、楕円形や長円形の領域であってもよく、領域の形状は特に限定されない。
1,2,3…車両検出装置、4…CCDカメラ(可視光画像取得手段,近赤外線画像取得手段)、5…近赤外線投光器(赤外線投光手段)、6…運転支援装置、7…可視光カメラ(可視光画像取得手段)、8…近赤外線カメラ(赤外線画像取得手段)、10,11,12…車両検出ECU、13a,13b…可視光画像取得部(可視光画像取得手段)、14a,14b…先行車両候補領域抽出部(抽出手段)、15a,15b…近赤外線画像取得部(赤外線画像取得手段)、16a,16b,17…先行車両検出部(先行車両検出手段)、20,30…先行車両、21,31…テールランプ、22,32…リフレクタ、照明…26、路上反射器…28。