JP5077033B2 - 内燃機関の排気再循環装置 - Google Patents

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Description

この発明は、排気を吸気系に再循環させる内燃機関の排気再循環装置に関する。
近年、内燃機関の排気に含まれるNOx(窒素酸化物)を低減させるべく、排気をインテークマニホールド等の吸気系に再循環させるとともに、EGRクーラによって機関冷却水と熱交換させて冷却する排気再循環装置が広く知られている。
こうした内燃機関の排気再循環装置において、冷却されたEGRガスが吸気系に再循環される際に、EGRガス中の水分が結露するおそれがある。そこで、こうした課題を解決するべく、内燃機関に除滴装置を配設するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。同特許文献1に記載の装置では、EGRガス中の水分を除滴装置によって常に除去するようにしている。
特開平9‐324707号公報
ところで、外気温が低温である場合には、EGRガス中の水分が結露し易くなるだけでなく、結露した水分が吸気系内で凍結するおそれがある。こうした水分の凍結が生じると、吸気系内の通路断面積が小さくなり、吸気系内を流れる吸気量の制御に影響がおよぶことも考えられる。
一方、上記特許文献1に記載の装置のように、外気温等の条件に限らず常に除滴装置による除滴操作を行った場合には、上述のような水分の凍結が生じない条件のもとであっても過剰に除滴操作が行われることとなる。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は吸気系に再循環されたEGRガス中の水分が吸気によって冷却されて凍結することを必要十分に抑制する内燃機関の排気再循環装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、排気系から排気の一部を吸気系に導入してEGRガスとして再循環させる排気再循環装置において、機関の冷却水を流通させることによりEGRガスを冷却する水冷部と冷媒を流通させることによりEGRガスを除湿する熱交換機とを併せ有するEGRクーラを備え、前記吸気系を流通する吸気の温度が同吸気系に導入されたEGRガス中の水分凍結する凍結温度より高いときに前記熱交換機による冷媒の流通を停止させることをその要旨とする。
上記構成によれば、前記制御手段は前記吸気系を流通する吸気の温度が同吸気系に導入されたEGRガス中の水分を凍結させると推定される凍結温度以下であることを条件に、前記熱交換機によって同EGRガスを除湿させるため、前記EGRガス中の水分が前記吸気系内で凍結するおそれのある場合に限りその凍結を抑制する。すなわち、前記吸気系を流通する吸気の温度が凍結温度を超える場合には前記EGRガスを除湿させないため、前記EGRガスを除湿する必要のない場合には除湿しない。したがって、前記吸気系に再循環された前記EGRガス中の水分が吸気によって冷却されて凍結することを必要十分に抑制することが可能となる。なお、前記吸気系を流通する吸気の温度が凍結温度以下であることは、吸気の温度を測定することにより判定してもよいし、EGRガス導入部の温度を測定することにより間接的に判定してもよいし、吸気の温度に相関関係のあるその他の温度に基づいて判定してもよい。
求項に記載の発明は、請求項に記載の内燃機関の排気再循環装置において、前記EGRクーラの前記水冷部には前記EGRガスが常時流通することをその要旨とする。
ところで、低温の吸気がその内部を流れる吸気系に高温のEGRガスが導入されると、特に吸気系部材が樹脂製である場合にはその温度差により吸気系部材の耐久性能の低下を招くおそれがある。
そこで、上記構成によれば、前記吸気系を流通する吸気の温度が前記凍結温度以下であるときに、前記水冷部によって前記EGRガスを冷却させるため、吸気系部材の耐久性能の低下を抑制しつつ、前記EGRガス中の水分が吸気によって冷却されて凍結することを好適に抑制することが可能となる。
また、上記構成によれば、前記吸気系を流通する吸気の温度が前記凍結温度以下であるときは前記熱交換機による除湿及び前記水冷部による冷却を、凍結温度を超えるときは水冷部による冷却のみを行うようにして、それぞれの場合に適した制御態様とすることが可能となる。その結果、さらに好適に前記EGRガス中の水分の凍結を抑制することができる。
以下、この発明にかかる内燃機関の排気再循環装置を具体化した一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1は本実施形態における内燃機関の排気再循環装置の全体構成を示す模式図である。同図1に示すように、本実施形態における内燃機関は、吸気通路10、燃焼室20及び排気通路30を備えているとともに、同排気通路30内を流れる排気の一部(以下EGRガスと称する)を吸気通路10に導入するべく、同排気通路30から吸気通路10へ連通されるEGR通路40が設けられて構成されている。こうした内燃機関について、以下に詳しく説明する。
上述の内燃機関の吸気系における吸気通路10にあって、その吸気管12(同図1の左方)内には、該吸気通路10を流れる空気の量、すなわち内燃機関の吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ11が配設されている。また、吸気管12におけるスロットルバルブ11の設置位置よりも上流側には、同吸気管12、すなわち吸気通路10を介して内燃機関に吸入される空気の温度を検知する吸気温度センサ76が設けられている。そして、吸気管12におけるスロットルバルブ11の設置位置よりも下流側は、吸気脈動を抑制するためのサージタンクと一体となって形成された樹脂製の吸気マニホールド13に接続されている。この吸気マニホールド13は、その上流側に一本の集合管を、その下流側に複数の管をそれぞれ備えるとともに、その上流側の集合管に接続する上記吸気管12を、該吸気マニホールド13の下流側の管にて気筒別に分離させて、各吸気ポート15に連通させている。そして、吸気通路10は吸気ポート15を介して各気筒の燃焼室20に連通されている。
一方、上述の内燃機関の排気系における排気通路30は、排気ポート31を介して各気筒の燃焼室20に連通するとともに、同排気ポート31の下流側は排気マニホールド32に接続されている。この排気マニホールド32は、上述の吸気マニホールド13と同様の形状をなし、その上流側に複数の管を、その下流側に一本の集合管をそれぞれ備えている。すなわち、同排気マニホールド32は、その上流側の管に接続される排気ポート31を、該排気マニホールド32の下流側の集合管にて合流させて、一本の排気管33に連通させている。また、この排気管33には、排気を浄化するための2つの排気浄化触媒34a,34bが設けられている。
ここで、上記排気通路30にあって、上記排気管33における2つの排気浄化触媒34a,34bの間には、上述のEGR通路40が接続されている。このEGR通路40は、上記排気管33と、上述の吸気通路10の吸気マニホールド13(厳密にはそのサージタンク部分)とを連通するよう配設されている。すなわち、EGR通路40は同EGR通路40を通じて排気通路30から吸気通路10へEGRガスを再循環させるように設けられている。
さらに、本実施形態における排気再循環装置においては、上記EGR通路40の途中に同EGR通路40内を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ50(同図1の右方)が備えられている。このEGRクーラ50について、同図1、図2及び図3を参照して次に詳しく説明する。
図1に示されるEGRクーラ50について、図2は図1の紙面に対して平行方向における断面図を示している。同図2に示されるように、EGRクーラ50は、同図の横方向における両端部が開口して断面が円形をなす中空円柱状をなす筒体51を有している。また、同筒体51の両端部は、その開口断面が筒体51の両端に近付くほど縮小するようにテーパ状にそれぞれ形成されている。そして、そのテーパ状をなす各端部にあって、その一方端部(同図2の左端)は排気通路30に接続されるEGR通路40A(図1においてはEGRクーラ50の下方のEGR通路40)に、その他方端部(同図2の右端)は吸気通路10に接続されるEGR通路40B(図1におけるEGRクーラ50の上方のEGR通路40)にそれぞれ接続されている。
また、同図2に示されるように、EGRクーラ50における筒体51内には、同筒体51の上記両端部の開口を塞ぐように側壁56a,56bがそれぞれ設けられている。この側壁56a,56bは円形平面状をなし、その外周縁が筒体51の内周に固定されてそれぞれ配設されている。なお、側壁56aは上記排気通路30に接続されるEGR通路40Aの開口断面と対向するように、側壁56bは上記吸気通路10に接続されるEGR通路40Bの開口断面と対向するように、それぞれ配設されている。
さらに、EGRクーラ50における筒体51内には、同筒体51の内壁に沿うように複数の冷却通路52が設けられている。また、冷却通路52は中空円柱状をなすとともに、その同図の横方向における両端部は上記側壁56a,56bにそれぞれ貫通して固定されている。
図3は図2の3−3線での断面図を示している。同図3に示されるように、冷却通路52は、EGRクーラ50の筒体51の円形断面において互いに一定距離離れるように略均等に配列されている。すなわち、筒体51の側壁56a,56b(図2)には冷却通路52の外径に略等しい径の貫通孔が略均等に穿設されているとともに、同貫通孔に図2の横方向における冷却通路52の両端部がそれぞれ貫通されている。
また、図2に示されるように、本実施形態におけるEGRクーラ50の筒体51内には、上述の側壁56a,56bの形状と同様の形状をなすとともに、その平面と同側壁56a,56bの平面とが平行となるように側壁56aと側壁56bとの中間(略中央)に位置する隔壁55が設けられている。すなわち、冷却通路52は、上述の通り同図2の横方向における両端部が側壁56a,56bの貫通孔に貫通するほか、その側壁56aへの貫通部分と側壁56bへの貫通部分との中間部分が上記隔壁55の貫通孔に貫通することとなる。そして、上記隔壁55を境に、EGRクーラ50の筒体51内における冷却通路52の配設部分以外の空間は、排気通路30に接続される側の空間53(図2の左方)と吸気通路10に接続される側の空間54(図2の右方)とに仕切られる。
本実施形態におけるEGRクーラ50の筒体51内にあって、上記排気通路30に接続される側の空間53には内燃機関に備えられたウォータポンプから吐出された機関冷却水の一部が供給されるとともに、上記吸気通路10に接続される側の空間54には熱交換機60(図1)によって冷却された冷媒が供給される。なお、本実施形態においては、図示はされていないが熱交換機60はコンプレッサの他に、同コンプレッサによって圧縮された気体冷媒を空気によって冷却して液化させるコンデンサ、冷媒を一時蓄えて液体冷媒中から気体冷媒を分離する受液器、液体冷媒を噴射するとともに減圧及び霧化させる膨張弁、霧化した液体冷媒を気化させて気化熱によって冷媒の温度を低下させるエバポレータ、そして上記各部分を接続する冷媒通路が備えられている。
次に、この機関冷却水及び熱交換機60からの冷媒がEGRクーラ50の筒体51内に導入される態様について説明する。図2に示されるように、EGRクーラ50の筒体51には、上記排気通路30に接続される側の空間53、すなわち冷却通路52を流通する排気の上流側の空間に連通する冷却水導入通路81及び冷却水排出通路82と、上記吸気通路10に接続される側の空間54、すなわち冷却通路52を流通する排気の下流側の空間に連通する冷媒導入通路61及び冷媒排出通路62とがそれぞれ貫通して設けられている。詳しくは、筒体51の上記排気通路30に接続される側の空間53において、冷却水導入通路81は側壁56aの近傍に開口して設けられるとともに、冷却水排出通路82は隔壁55の近傍、すなわち上記冷却水導入通路81の筒体51内への開口から最も離れた位置に開口して設けられる。そして、図1に示されるように、上記冷却水導入通路81にはその流量を調整する調整バルブ77が設けられている。なお、EGRガスを機関冷却水により冷却する構成が水冷部としての構成に相当する。
また、筒体51の上記吸気通路10に接続される側の空間54において、冷媒導入通路61は隔壁55の近傍に開口して設けられるとともに、冷媒排出通路62は側壁56bの近傍、すなわち上記冷媒導入通路61の筒体51内への開口から最も離れた位置に開口して設けられる。
こうしたEGRクーラ50において、機関冷却水は、上記冷却水導入通路81内を通って筒体51内の上記排気通路30に接続される側の空間53に導入された後、同空間53における冷却通路52間を流れる。そして、冷却通路52間を流れた機関冷却水は、上記冷却水排出通路82内を通って筒体51外に排出される。同様に、熱交換機60からの冷媒も、上記冷媒導入通路61内を通って筒体51内の上記吸気通路10に接続される側の空間54に導入された後、同空間54における冷却通路52間を流れる。そして、冷却通路52間を流れた冷媒は、上記冷媒排出通路62内を通って筒体51外に排出される。こうして、排気通路30に接続されるEGR通路40AからEGRクーラ50内に流入したEGRガスは、冷却通路52内を通る際に上記機関冷却水及び冷媒との熱交換によって冷却されることとなる。
そして、EGRガスの流れとしては、排気管33から取り出された後、排気通路30に接続されるEGR通路40A内を通ってEGRクーラ50内に導入され、同EGRクーラ50の筒体51内の冷却通路52内を流れる。冷却通路52内を流通した後、EGRガスは吸気通路10に接続されるEGR通路40B内を通って該EGRクーラ50外に流れ出て、EGRガスの量を調整するためのEGRバルブ75(図1)を介してEGR通路40内を流れて吸気マニホールド13(サージタンク)に導入される。
ここで、上記EGRバルブ75は、電子制御装置70により制御されている。この電子制御装置70は、EGR制御等にかかる各種の演算処理を行う中央演算処理装置(CPU)、制御用のプログラムやデータの記憶されたリードオンリーメモリ(ROM)、CPUの演算結果等が一時的に記憶されるランダムアクセスメモリ(RAM)及び外部との信号の送受にかかる入出力ポート(I/O)とを備えて構成されている。そして、こうした電子制御装置70の入力ポートには上述の吸気温度センサ76が、出力ポートには上記冷却水導入通路81に設けられた調整バルブ77、熱交換機60及びEGRバルブ75がそれぞれ接続されている。
そして、電子制御装置70は、EGRバルブ75の制御を通じて排気の再循環の実施の有無や再循環量の制御、いわゆるEGR制御を実行する。こうしたEGR制御は機関運転状況に応じて最適な量の排気が再循環されるように行われる。
こうした内燃機関の排気再循環装置において、冷却されたEGRガスが吸気系に再循環される際に、EGRガス中の水分が結露するおそれがある。とくに、外気温が低温である場合には、EGRガス中の水分が結露し易くなるだけでなく、結露した水分が吸気系内で凍結するおそれがある。こうした水分の凍結が生じると、吸気系内の通路断面積が小さくなり、吸気系内を流れる吸気量の制御に影響がおよぶことも考えられる。
上述のような問題を解決するために、例えば内燃機関に除滴装置を配設するようにすることが考えられるが、外気温等の条件に限らず常に除滴装置による除滴操作を行った場合には、上述のような水分の凍結が生じない条件のもとであっても過剰に除滴操作が行われることとなる。
そこで、本実施形態における内燃機関の排気再循環装置においては、その電子制御装置70が、吸気温度センサ76により検出される吸気管12に吸入された空気の温度、すなわち吸気通路10を流通する吸気の温度に応じて調整バルブ77の開閉及び熱交換機60の駆動を制御して、吸気系に再循環されたEGRガス中の水分が吸気によって冷却されて凍結することを必要十分に抑制するようにしている。この電子制御装置70によるEGRクーラ50及び熱交換機60の駆動の制御について、次に詳しく説明する。
図4は、除湿手段に相当する熱交換機60の駆動を制御する除湿制御の処理手順を示すフローチャートである。なお、本処理は一定時間ごとに繰り返し実行されるものである。
同図4に示されるように、制御手段に相当する本処理が開始されるとまず、ステップS110にて内燃機関において排気再循環の実行中であるか否かが判断される。なお、内燃機関が運転中であることや、EGRバルブ75が開弁していること等を条件に排気再循環の実行中であると判断される。ステップS110において排気再循環の実行中ではないと判断されると(ステップS110:NO)、 本処理は一旦終了される。
一方、ステップS110において排気再循環の実行中であると判断されると(ステップS110:YES)、本処理はステップS120に移行し、上記EGRクーラ50によるEGRガスの水冷を実行させるようにする。具体的には、上記冷却水導入通路81に設けられた調整バルブ77を開弁させるように制御している。そして、ステップS130において吸気温度が0℃以下であるか否かが判断される。ここで、本実施形態においては、吸気温度は上記吸気温度センサ76によって検出された吸気管12に吸入される空気の温度であり、EGRガス中の水分の凍結温度を0℃とする。すなわち、EGRガス中の水分は吸気温度が0℃以下であるときに吸気系内で凍結するおそれがあると推定されることとする。
ステップS130において吸気温度が0℃以下であると判断されると(ステップS130:YES)、本処理はステップS140に移り、上記熱交換機60によるEGRガスの除湿を実行させるようにする。具体的には、熱交換機60を駆動するとともに上記冷媒導入通路61及び上記冷媒排出通路62内を冷媒が流れるようにする。
なお、こうして熱交換機60によってEGRガスが除湿されると、上記冷却通路52内に同EGRガス中の水分が結露することとなる。この冷却通路52内に生じた水滴は、EGRバルブ75が閉弁されているときや内燃機関が停止しているとき、すなわち排気再循環が行われていない状態のときにEGRクーラ50内から排気通路30に接続されるEGR通路40A(図2)内へ流れ出て、さらにEGR通路40内を流れて排気系へと戻されることとなる。こうしてEGRクーラ50内に生じる水滴を排気系へと戻すために、EGRクーラ50はその排気通路30に接続される部分の開口が吸気通路10に接続される部分の開口よりも低くなるように配設されることが望ましい。
対して、ステップS130において吸気温度が0℃を超えていると判断されると(ステップS130:NO)、本処理はステップS150に移行し、熱交換機60によるEGRガスの除湿を停止させるようにする。具体的には、熱交換機60の駆動を停止するとともに上記冷媒導入通路61及び上記冷媒排出通路62内の冷媒の流れを停止するようにする。そして、上記ステップS140又は上記ステップS150の制御を終えて、本処理は一旦終了される。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)本実施形態によれば、電子制御装置70は吸気通路10を流通する吸気の温度が同吸気通路10に導入されたEGRガス中の水分を凍結させると推定される0℃以下であることを条件に、熱交換機60によって同EGRガスを除湿させるため、EGRガス中の水分が吸気通路10内で凍結するおそれのある場合に限りその凍結を抑制する。すなわち、吸気通路10を流通する吸気の温度が0℃を超える場合にはEGRガスを除湿させないため、EGRガスを除湿する必要のない場合には除湿しない。したがって、吸気通路10に再循環されたEGRガス中の水分が吸気によって冷却されて凍結することを必要十分に抑制することが可能となる。
(2)低温の吸気がその内部を流れる吸気系に高温のEGRガスが導入されると、特に吸気系部材が樹脂製である場合にはその温度差により吸気系部材の耐久性能の低下を招くおそれがある。そこで、本実施形態によれば、電子制御装置70は吸気通路10を流通する吸気の温度が0℃以下であるときに、EGRクーラ50によるEGRガスの水冷を実行させるため、吸気系部材の耐久性能の低下を抑制しつつ、EGRガス中の水分が吸気によって冷却されて凍結することを好適に抑制することが可能となる。
(3)本実施形態によれば、吸気通路10を流通する吸気の温度が0℃以下であるときは熱交換機60による除湿及びEGRクーラ50による水冷を、0℃を超えるときはEGRクーラ50による水冷のみを行うようにして、それぞれの場合に適した制御態様とすることが可能となる。その結果、さらに好適にEGRガス中の水分の凍結を抑制することができる。
(4)本実施形態によれば、吸気通路10を流通する吸気の温度は吸入空気量制御等に使用するべく吸気通路10に通常設けられている吸気温度センサ76により検出されるため、吸気の温度を検出するために温度センサ等の専用の温度検出手段を設ける必要がなく、上記(1)〜(3)の効果を得ることができる。
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態においては、排気再循環実行中であるときには吸気温度に限らずEGRクーラ50内で機関冷却水によるEGRガスの水冷が実行され、吸気温度が0℃以下であるときに熱交換機60からの冷媒によるEGRガスの除湿が実行されるようにしていたが、吸気温度が0℃以下であるときに上記実施形態における調整バルブ77を閉弁するようにする等、機関冷却水によるEGRガスの水冷を停止し、熱交換機からの冷媒によるEGRガスの除湿のみを実行するようにしてもよい。また、機関冷却水によりEGRガスを冷却する構造を備えず、熱交換機からの冷媒のみによりEGRガスの冷却および除湿を行う構成に対しても本発明を適用することができる。
・上記実施形態においては、吸気管12に設けられた吸気温度センサ76によって測定された吸気の温度が0℃以下であると判定するようにしていたが、EGRガス導入部の温度を測定することにより間接的に吸気系に吸入される吸気の温度を判定するようにしてもよいし、吸気の温度に相関関係のあるその他の温度に基づいて判定するようにしてもよい。
・上記実施形態においては、吸気管12に吸入される吸気の温度が0℃以下であるときに熱交換機60からの冷媒によるEGRガスの除湿を実行するようにしていたが、吸気の温度は0℃に限定されず、吸気系に導入されたEGRガス中の水分を凍結させると推定される凍結温度であればよい。
・上記実施形態においては、隔壁55は、EGRクーラ50の筒体51内にあって、EGRガスの流れ方向における側壁56a,56bの略中央に位置するようにしていたが、側壁のどちらかに近づいて位置するようにしてもよい。
・上記実施形態においては、EGRクーラ50の筒体51内に隔壁55が排気通路30に接続されるEGR通路40A及び吸気通路10に接続されるEGR通路40Bの開口断面に対して平行となるように配設され、中空円柱状の冷却通路52が複数設けられるようにしていた。しかしながら、冷却通路を区画する平面板状の部材を、排気通路に接続されるEGR通路及び吸気通路に接続されるEGR通路の開口断面に対して垂直となるように配設してもよい。なお、本形態の構成においては、冷却通路を境に仕切られた両側の空間に機関冷却水及び熱交換器からの冷媒をそれぞれ流通させるようにしてもよい。
・上記実施形態においては、隔壁55によってEGRクーラ50の筒体51内における機関冷却水が導入される空間53と熱交換機60からの冷媒が導入される空間54とが仕切られていたが、隔壁を設けないとともにEGRクーラの筒内に機関冷却水及び熱交換機からの冷媒が通る通路をそれぞれ設け、同通路を螺旋状に冷却通路の外周に沿うようにそれぞれ配設するようにしてもよい。
・上記実施形態においては、EGRクーラ50をその排気通路30に接続される部分の開口が吸気通路10に接続される部分の開口よりも低くなるように配設して、EGRクーラ50内に生じる水滴を排気系へと戻すようにしていたが、EGRクーラに水滴を排出するための管を別途設ける等、そのほかのEGRクーラの態様によってEGRクーラ外に水滴を排出するようにしてもよい。
・上記実施形態のおいては、機関冷却水及び熱交換機60からの冷媒をEGRクーラ50の筒体51内に導入するようにしていたが、冷却媒体はそれぞれの温度に互いに差がある状態でEGRクーラ内に導入されてさえいれば、その種類は限定しない。
本発明の一実施形態にかかる内燃機関の排気再循環装置の全体構成を示す模式図。 同実施形態にかかるEGRクーラの断面構造を示す断面図。 図2の3−3線における断面図。 同実施形態の電子制御装置による除湿制御の処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
10…吸気通路、11…スロットルバルブ、12…吸気管、13…吸気マニホールド、15…吸気ポート、20…燃焼室、30…排気通路、31…排気ポート、32…排気マニホールド、33…排気管、34a,34b…排気浄化触媒、40,40A,40B…EGR通路、50…EGRクーラ、51…筒体、52…冷却通路、53,54…空間、55…隔壁、56a,56b…側壁、60…熱交換機、61…冷媒導入通路、62…冷媒排出通路、70…電子制御装置、75…EGRバルブ、76…吸気温度センサ、77…調整バルブ、81…冷却水導入通路、82…冷却水排出通路。

Claims (2)

  1. 排気系から排気の一部を吸気系に導入してEGRガスとして再循環させる排気再循環装置において、
    機関の冷却水を流通させることによりEGRガスを冷却する水冷部と冷媒を流通させることによりEGRガスを除湿する熱交換機とを併せ有するEGRクーラを備え、
    前記吸気系を流通する吸気の温度が同吸気系に導入されたEGRガス中の水分凍結する凍結温度より高いときに前記熱交換機による冷媒の流通を停止させる
    ことを特徴とする内燃機関の排気再循環装置。
  2. 前記EGRクーラの前記水冷部には前記EGRガスが常時流通する
    請求項1に記載の内燃機関の排気再循環装置。
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