JP5076727B2 - 断熱容器 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、燃料電池システムにおいて、固体電解質型の燃料電池スタックのような発熱体を収容するのに用いられる断熱容器に関するものである。
この種の断熱容器としては、例えば、燃料電池スタックを収容する函体の内部に、反応用ガス(燃料ガス、酸化剤ガス)の流路となる予熱空洞を形成し、空洞内に流入する反応用ガスを燃料電池スタックからの放射熱で予熱するようにしたものがあった(特許文献1参照)。
特開2004−139960号公報
ところで、上記したような従来の断熱容器は、燃料電池スタックからの放射熱を有効利用することができるが、高負荷運転時には燃料電池スタックが非常に高温になるので、これを冷却する必要がある。この冷却手段としては、例えば、発電に必要なガス流量よりも充分に多いガスを導入する方法がある。しかし、この方法では、ポンプロスやガス利用率の低下によるエネルギーロスが大きいという問題点があった。
また、上記のような断熱容器は、それ自体が高断熱性である場合には、当該容器からの放熱量が少ないので、燃料電池スタックの高負荷運転時の対策として上記の如き冷却(放熱)手段が必要となり、逆に、それ自体が低断熱性である場合には、当該容器からの放熱量が多いので、燃料電池スタックの起動時に必要な熱量を確保するのが難しかった。つまり、従来のこの種の断熱容器は、収容した燃料電池スタックの発熱温度に応じた制御をすることが困難であるという問題点があった。
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、収容した発熱体の発熱温度に応じて断熱及び放熱を制御することができ、予熱や冷却のいずれにおいてもエネルギーロスを低減することができる断熱容器を提供することを目的としている。
本発明の断熱容器は、閉空間を形成して発熱体を収容する断熱容器であって、容器殻の少なくとも一部に、容器殻表面を平坦面状態と微細な凹凸面状態とに切り替える表面可変機構を備え、表面可変機構が、多数の微細な開口部を規則的に配列させた第1部材と、この第1部材の内側から各開口部に対して挿脱可能な多数の微細な凸部を有する第2部材を備えると共に、第1及び第2の部材の間に、いずれか一方の部材に対して他方の部材を近接離間する方向に移動させる往復駆動手段を備えており、発熱体の発熱温度の増減に応じて、表面形状を変えて容器外側の表面からの熱の放射率を変化させることを特徴としている。
すなわち、当該断熱容器は、発熱体の発熱温度が低い場合には、表面形状を平坦面状態にして断熱性を維持し、発熱体の発熱温度が高い場合には、表面形状を微細な凹凸面状態に切り替え、これにより容器外側の表面温度を高め、容器外側への熱の放射を高めて放熱性を得ることとなる。
本発明の断熱容器によれば、収容した発熱体の温度に応じて断熱及び放熱を制御することができ、予熱及び冷却のいずれにおいてもエネルギーロスを低減することができる。
これにより、当該断熱容器は、例えば、発熱体として固体電解質型の燃料電池スタックを収容した場合に、低温である低負荷運転時の断熱性と高温になる高負荷運転時の放熱性を兼ね備えたものとなる。より詳しくは、低温である起動時や低負荷運転時には、断熱性を維持して所定の熱量を確保することができ、また、高温となる高負荷運転時には、容器外側の表面からの熱の放射率を高めて放熱性を確保することができ、多量の冷却ガスを直接導入しなくても、エネルギーロスを極力少なくして冷却することが可能となる。
本発明の断熱容器は、閉空間を形成して、例えば固体電解質型の燃料電池スタックのような発熱体を収容するのに適したものであって、容器殻の少なくとも一部に、容器殻表面を平坦面状態と微細な凹凸面状態とに切り替える表面可変機構を備えている。
表面可変機構は、容器殻に直接形成しても良いし、それ自体が容器殻の一部を形成するものでも良く、または、容器殻とは別部品にして、溶接、ろう付け、拡散接合及び接着剤等の適宜の接合手段により容器殻に接合しても良い。さらに、表面可変機構により形成する微細な凹凸は、三角形状、四角形状及びそれ以上の多角形状や、円形状及び楕円形状などの様々な形状にすることができる。表面可変機構及びその凹凸の形状は、これらに限定されるものではない。
上記の断熱容器は、表面可変機構により容器外側の表面を平坦面状態にしたときには熱の放射率が小さくなり、容器外側の表面からの熱放射を抑制を維持する。また、表面可変機構により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にしたときには熱の放射率が大きくなり、容器外側の表面からの熱放射を促進させる。
このように、断熱容器は、表面形状の変化により、主に断熱性を発揮する状態と主に放熱性を発揮する状態とを選択的に得ることができ、収容した発熱体の発熱温度が低くて当該容器が受ける放射熱が小さい場合には断熱性を維持し、同発熱温度が高くて当該容器が受ける放射熱が大きい場合には放熱性を確保し得る。
ここで、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、それ自体の温度に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える表面可変機構を採用することができる。
この場合、表面可変機構には、熱膨張率が異なる二部材を平坦面状態と凹凸面状態の両方が得られる形状にして反復動作可能に組み合わせた機構、バイメタルを用いた機構、TiN系合金等から成る形状記憶合金を用いた機構、密封した気体や液体の膨張・収縮を利用してダイヤフラムを動作させる機構などを用いることが可能である。
上記の表面可変機構は、発熱体の発熱温度の上昇により放射熱が高まると、それ自体が受動的に動作して容器外側の表面を微細な凹凸面状態にし、熱の放射性を促進させる。
また、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、容器内の発熱量及び温度の少なくとも一方に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える表面可変機構を採用することができる。
この場合、表面可変機構には、静電力制御による機構、電磁力制御による機構、流体の圧力制御による機構などを用いることが可能である。また、容器内の発熱量は、例えば発熱体が燃料電池スタックである場合には、容器内部を制御する制御回路から情報を取得し、容器内の温度は、容器内などに設けた温度センサーから取得する。
上記の表面可変機構は、発熱体の発熱温度の上昇により、容器内の発熱量や温度が高まると、それ自体が能動的に動作して容器外側の表面を微細な凹凸面状態にし、熱の放射性を促進させる。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、表面可変機構が、多数の微細な開口部を規則的に配列させた第1部材と、この第1部材の内側から各開口部に対して挿脱可能な多数の微細な凸部を有する第2部材を備えると共に、第1及び第2の部材の間に、いずれか一方の部材に対して他方の部材を近接離間する方向に移動させる往復駆動手段を備えたものとすることができる。
この場合、表面可変機構の往復駆動手段は、第1部材及及び第2部材のいずれか一方の部材に対して他方の部材を反復動作させるもので、上記した表面可変機構の一構成、すなわち容器内の発熱量や温度に応じて能動的に動作する機構を用いることが可能である。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、表面可変機構において、平坦面状態と凹凸面状態との切り替えにより、近赤外線波長から遠赤外線波長に至る領域内の少なくとも一波長の放射率が0.1以上変化するものとする。換言すれば、断熱容器は、容器外側の表面からの単色放射率(単波長の放射率)が0.7μm〜1mmの波長を持つ電磁波である近〜遠赤外波長域において、放射率が0.1以上変化する表面可変機構を備えているものとすることができる。
この表面可変機構による容器外側の表面の放射率は、フーリエ変換赤外分光度系により測定することが可能であり、微細な凹凸の有無に起因する単色放射率の変化のみを調べるうえでは、材料の温度変化に対する単色放射率の変化と分けるために、平坦面での放射率を測定し、その結果と微細な凹凸面での放射率とを比べることで、微細凹凸の形成による単色放射率の変化を測定することができる。
上記の断熱容器は、微細な凹凸の有無による近〜遠赤外波長域の単色放射率の変化を0.1以上とすることで、放熱及び断熱の制御をより効果的に行うことができる。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、表面可変機構において、微細な凹凸面状態の凹凸のピッチを0.7μm〜1mmとすることができる。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、表面可変機構において、微細な凹凸面状態の凹凸の最大高低差を凹部の面積の正の平方根の半分以上とすることができる。
すなわち、断熱容器の表面可変機構では、容器外側の表面を微細な凹凸面形状にすると、凹部に入射した電磁波のうち、凹部の面積の正の平方根の長さの自然数分の1の波長が顕著に共振して吸収される。その反対に、吸収される波長と同様の波長が放射される。それ故、凹凸のピッチを0.7μm〜1mmとすることで、電磁波のうちの熱放射の主である近〜遠赤外波長域の波長を選択的に放射することが可能となる。また、凹凸の最大高低差を凹部の面積の正の平方根の半分以上とすることで、放射率の変化が顕著になる。
なお、凹凸のピッチを0.7μm未満とした場合には、放射率は近赤外よりも短い波長(可視光〜紫外波長域)の波長域で変るものの、近赤外波長域よりも長い波長における放射率は殆んど変化せず、室温〜1273[K]程度の範囲において、放射される熱放射を変化させることができず、また、凹凸のピッチを1mmよりも大きくした場合には、赤外波長域の放射率は変るものの、その変化は小さく、凹凸のピッチが0.7μm未満としたときと同様に、室温〜1273[K]程度の範囲において、放射される熱放射を大きく変化させることは困難になるので、凹凸のピッチを0.7μm〜1mmとするのが良い。さらに、凹凸の最大高低差を凹部の面積の正の平方根の半分未満にすると、凹部に入射する電磁波が凹凸の高低差方向に定在波が発生しなくなって吸収されにくくなり、その反対に放射されにくくなるので、上記の如く半分以上とするのが良い。
さらに、本発明の断熱容器は、表面可変機構に用いる材料が、低熱伝導材料よりも高熱伝導材料が好ましく、材料の板厚は厚いよりも薄い方が好ましい。
ここで、高熱伝導材料としては、シリコン等の半導体や、貴金属、銅、ニッケル、アルミニウム、フェライト系ステンレンス、ニッケル系ステンレス、インコネル、モリブデン、及びタングステン等の金属を用いることができ、これらに限るものではない。
また、低熱伝導材料としては、アルミナ、シリカ、及び炭化ケイ素などを用いることができ、これら限るものではない。とくに、成形には半導体プロセス技術を適用することができる。この際、シリコンやシリカ等は微細加工をするうえでより好ましい材料である。
上記のように、表面可変機構の材料を選択して、構造自体の良好な熱伝導性と低熱容量化を図ることで、容器内部の温度変化に追従し易くして、容器内部からの熱を効率良く放射させることができる。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、表面可変機構において、外側の表面に金属被膜を設けたものとすることができる。
この場合、金属材料としては、白金、金、銀、アルミニウム、及び銅等を用いることができ、これらを蒸着、メッキ及びスパッタ等の手段により成膜する。このように表面可変機構の外側の表面に金属被膜を設けることにより、凹面及び凸面夫々の熱の放射率を低減させ、微細な凹凸面状態を形成した際の熱の放射率の変化を大きくすることができる。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、複数の容器殻を有する多重構造の断熱容器とすることができ、この場合、最内側の容器殻の少なくとも一部に、表面可変機構を備えたものとすることができる。このように、最内側の容器殻に表面可変機構を設けることで、容器内部の熱の制御を直接行うことができる。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、容器殻の少なくとも一対の相対向部分に表面可変機構を設けたものとすることができる。このように、一対の表面可変機構を設けることで、容器殻間の熱放射の制御幅をより大きくすることができる。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、表面可変機構を設けた容器殻の内部に不活性ガスを充填したものとすることができる。これにより、表面可変機構を形成する材料が金材料属や半導体材料である場合に、酸化や腐食を防ぐこと熱の放射率の変化幅を大きくすることができる。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、不活性ガスを充填した容器殻の内部の圧力を大気圧よりも低くしたものとすることができる。これにより、表面可変機構を形成する材料が金材料属や半導体材料である場合に、酸化や腐食を防ぐこと熱の放射率の変化幅を大きくしたうえで、対流伝熱を低下させて断熱性能を向上させて、断熱と放熱の制御をより良好にし得るものとなる。
さらに、本発明の断熱容器は、より好ましい実施形態として、ガスを充填した容器殻の内部の圧力を1×10−3atm以下にしたものとすることができる。ここでガスは、空気等の酸化性ガス、水素等の還元性ガス、及び窒素等の不活性ガスのいずれも用いることができる。これにより、対流伝熱をより一層低下させて断熱性能を向上させることができ、断熱と放熱の制御をより一層良好にすることができる。また、ガスが酸化性ガスであったとしても、ガスが非常に低圧であるため、表面可変機構を形成する材料が金材料属や半導体材料とした場合でも、上記材料表面の酸化や腐食の反応が非常に遅くなるため、耐久性の向上にもなる。
さらに、本発明の断熱容器の熱放射制御方法は、断熱時には表面可変機構により容器外側の表面を平坦面状態にし、放熱時には表面可変機構により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にすることを特徴としている。
すなわち、断熱容器に収容した発熱体の起動、昇温及び保温を行う際には、主として断熱性が必要となるため、表面可変機構により容器外側の表面を平坦面状態にする。また、発熱体が高温である場合又は高温になって冷却を必要とする際には、主として放熱性が必要となるため、表面可変機構により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にする。
上記の断熱容器の熱放射制御方法によれば、表面可変機構により容器外側の表面を平坦面状態にすることで、容器外側の表面からの熱放射を極力抑えて、熱のエネルギーロスを低減させることができ、また、表面可変機構により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にすることで、容器外側の表面からの熱放射性を高めて、冷却によるエネルギーロスの低減にも貢献することができる。
図1及び図6は、本発明の断熱容器の一実施例を説明する図である。
図1に示す断熱容器B1は、例えば燃料電池システムにおいて、発熱体である固体電解質型の燃料電池スタックを収容するのに用いるものであって、閉空間を形成する立方体型の容器殻C1を有すると共に、その上下に、反応用ガス(燃料ガス及び酸化ガス)の供給排気を行う流通管Pを貫通状態で備えており、容器殻C1が、容器外側となる表面を平坦面状態と微細な凹凸面状態とに切り替える多数の表面可変機構F1で構成してある。
この実施例の表面可変機構F1は、それ自体の温度に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える機構であって、とくに、熱膨張率が異なる二部材を平坦面状態と凹凸面状態の両方が得られる形状にして反復動作可能に組み合わせた機構になっている。
具体的には、表面可変機構F1は、図6に示すように、多数の微細な開口部11aを規則的に配列させた第1部材11と、この第1部材11の内側(図中下側)から各開口部11aに対して挿脱可能な多数の微細な凸部12aを有する第2部材12を備えており、第1部材11の主要部を銅で形成すると共に、第2部材12をシリコンで形成している。
第1部材11は、扁平な凹部11bを有する銅製の基板部11cと、凹部11bの上側を閉塞するように設けたシリコン製の格子部11dを有し、格子部11dにおいて多数の開口部11aを縦横に配列させている。他方、第2部材12は、第1部材11の凹部11bに収容される基板部12bを有し、基板部12bの上面に多数の凸部12aを縦横に配列させている。
ここで、第1部材11の開口部11aのピッチは7μmであり、第2部材12の厚さは0.5mmである。
また、表面可変機構F1の外側の表面、すなわち第1部材11の格子部11dの上面、及び第2部材12の凸部12aの上面には、金属被膜が設けてあり、この実施例では、蒸着、メッキ及びスパッタ等の手段によって白金製の被膜が設けてある。
上記の表面可変機構F1は、室温においては、図6(a)〜(c)に示すように、第1部材11の開口部11aに第2部材12の凸部12aが入り込んで、第1部材11の格子部11dの上面と第2部材12の凸部12aの上面とが同一平面状に連なり、その表面を平坦面状態にしている。
また、表面可変機構F1は、加熱されてその温度が923Kを超えると、銅とシリコンの熱膨張率の相違から、第1部材11の銅製の基板部11cがその厚さを増大するように膨張し、図6(d)及び(e)に示すように、第1部材11の格子部11dが上昇して、その表面を微細な凹凸面状態にする。
このとき、表面可変機構F1は、微細な凹凸面状態の凹凸の最大高低差が、凹部の面積の正の平方根の半分以上であると共に、平坦面状態と凹凸面状態との切り替えにより、近赤外線波長から遠赤外線波長に至る領域内の少なくとも一波長の放射率が0.1以上変化することとなり、具体的には、凹凸の高低差が3.9μmであると共に、表面からの全放射率が0.1から0.5に変化して、放熱量が約2倍になる。
したがって、上記の表面可変機構F1で容器殻C1を構成している断熱容器B1は、発熱体として固体電解質型の燃料電池スタックを収容した場合、燃料電池スタックの起動、昇温及び保温を行う際には、主として断熱性が必要となるため、表面可変機構F1により容器外側の表面を平坦面状態にし、容器外側の表面からの熱放射を極力抑えて、熱のエネルギーロスを低減させることができる。
また、断熱容器B1は、燃料電池スタックが高温である場合又は高温になって冷却を必要とする際には、主として放熱性が必要となるため、表面可変機構F1により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にし、容器外側の表面からの熱放射性を高めて、冷却のエネルギーロスを低減させることができる。
このように、断熱容器B1は、低温時は断熱性を有し、高温時は放熱性が高まる放熱制御容器として有効であって、高温動作型反応器である固体電解質型燃料電池において、起動時には断熱性を確保して省エネルギーで昇温することができ、運転時には放熱量を能動的に増加させることで、当該燃料電池を冷却するために反応用ガスを多量に導入することなく放熱(冷却)することができる。
図7は、上記実施例における表面可変機構F1の第1部材11及び第2部材12の製造方法を説明する図である。
図7(a)に示すように、凹部11bを有する銅製の基板部11cに対して、その凹部11bにシリコン製の基板部12bを収容し、図7(b)にも示すように、双方の隙間をSpin on Glass(G)にて充填する。次に、図7(c)に示すように、基板部11c,12bの上面にレジスト(R)を設けて、図7(d)に示すように、KOHにてシリコン異方性エッチングを行うことにより、第2部材12の基板部12bの上面に多数の凸部12aを形成する。
次に、図7(e)に示すように、レジスト(R)を除去した後、エッチングした部分にSpin on Glass(G)を塗布して乾燥させる。そして、レジスト(R)を銅以外の領域(第2部材12)に設け、銅とシリコンの密着性を向上させるために、チタンナイトライド(TiN)をスパッタにより厚さ0.1μmに成膜する。
この後、図7(f)に示すように、レジスト(R)を除去してから、第1部材11の格子部11dとなるシリコンをスパッタにより厚さ10μmに成膜し、図7(g)に示すようにレジスト(R)を施した後、図7(h)に示すように、KOHにてシリコン異方性エッチングを施すことにより、格子部11dに開口部11aを形成する。
そして、図7(i)に示すように、HFにてSpin on Glass(G)に等方性エッチングを施すことにより、最終的に、互いに反復動作可能に組み合わせた第1部材11及び第2部材12が得られる。
図8は、本発明の断熱容器における表面可変機構の他の実施例を説明する図である。
この実施例の表面可変機構F2は、それ自体の温度に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える機構であり、多数の微細な開口部21aを規則的に配列させたシリコン製の第1部材21と、この第1部材21の内側(図中下側)から各開口部21aに対して挿脱可能な多数の微細な凸部22aを有するシリカ製の第2部材22を備えている。
また、第2部材22は、その外側面(図中上側面)の適数箇所に、上方に開放された凹型突起22bを有しており、この凹型突起22bの開放部分をダイヤフラム23で閉塞して内部にガスを封入している。そして、ダイヤフラム23の中央部を第1部材21に接着している。
ここで、第1部材21の開口部21aのピッチは20μmであり、第1部材21の厚さは20μmであり、ダイヤフラム23の幅は0.8mmである。
また、表面可変機構F2の外側の表面、すなわち第1部材21の上面、及び第2部材22の凸部22aの上面には、金属被膜が設けてあり、この実施例では、銀製の被膜が設けてある。
上記の表面可変機構F2は、室温においては、図8(a)(b)に示すように、第1部材21の開口部21aに第2部材22の凸部22aが入り込んで、第1部材21の上面と第2部材22の凸部22aの上面とが同一平面状に連なり、その表面を平坦面状態にしている。
また、表面可変機構F2は、加熱されると、凹型突起22b内のガスが膨張してダイヤフラム23が外側へ膨出し、これにより、図8(c)に示すように、第1部材21が上昇して、その表面を微細な凹凸面状態にする。このとき、凹凸の高低差は例えば20μmである。さらに、温度が低下すれば、ガスの収縮とともにダイヤフラム23が平面状態に復帰し、表面可変機構F2の表面は平坦面状態に戻る。
上記の表面可変機構F2を容器殻に用いた断熱容器は、収容した発熱体の温度が低いときには、表面可変機構F2により容器外側の表面を平坦面状態にし、容器外側の表面からの熱放射を極力抑えて断熱性を確保し、発熱体が高温になったときには、表面可変機構F2により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にし、容器外側の表面からの熱放射率を高めて放熱性を確保することができる。
図9は、本発明の断熱容器における表面可変機構の他の実施例を説明する図である。
この実施例の表面可変機構F3は、それ自体の温度に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える機構であり、多数の微細な開口部31aを規則的に配列させたシリコン製の第1部材31と、この第1部材31の内側(図中下側)から各開口部31aに対して挿脱可能な多数の微細な凸部32aを有するステンレス(SUS430)製の第2部材32を備えている。
また、第1部材31と第2部材32には、形状記憶合金(TiN)33が設けてある。この形状記憶合金33は、幅200μmの帯状を成して、第1部材31に一端部を連結するとともに第2部材32に他端部を連結しており、室温では直線状を成すと共に、所定の温度以上になると厚みの方向へ屈曲する。
ここで、第1部材31の開口部31aのピッチは5μmであり、第1部材31の厚さは10μmである。
また、表面可変機構F3の外側の表面、すなわち第1部材31の上面、及び第2部材32の凸部32aの上面には、金属被膜が設けてあり、この実施例では、アルミニウム製の被膜が設けてある。
上記の表面可変機構F3は、室温においては、図9(a)(b)に示すように、第1部材31の開口部31aに第2部材32の凸部32aが入り込んで、第1部材31の上面と第2部材32の凸部32aの上面とが同一平面状に連なり、その表面を平坦面状態にしている。
また、表面可変機構F3は、加熱されて所定の温度以上になると、それまで直線状であった形状記憶合金33が屈曲し、図9(c)に示すように、第1部材31が上昇して、その表面を微細な凹凸面状態にする。このとき、凹凸の高低差は例えば3μmである。さらに、温度が低下すれば、形状記憶合金33が直線状に復帰し、表面可変機構F3の表面は平坦面状態に戻る。
上記の表面可変機構F3を容器殻に用いた断熱容器は、収容した発熱体の温度が低いときには、表面可変機構F3により容器外側の表面を平坦面状態にし、容器外側の表面からの熱放射を極力抑えて断熱性を確保し、発熱体が高温になったときには、表面可変機構F3により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にし、容器外側の表面からの熱放射率を高めて放熱性を確保することができる。
図10は、本発明の断熱容器における表面可変機構の他の実施例を説明する図である。
この実施例の表面可変機構F4は、それ自体の温度に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える機構であり、バイメタルから成る第1部材41と、この第1部材41の内側(図中下側)を保持する第2部材42を備えている。
第1部材41は、X形状の切込み41aが規則的に配列させてある。第2部材42は、第1部材41の切込み41aの配置に対応して複数の凸部42aを有しており、各凸部42aによって各切込み41aの間の部分を保持している。
上記の表面可変機構F4は、室温においては、図10(a)〜(c)に示すように、第1部材41の表面が平坦面状態を成しており、加熱されて所定の温度以上になると、図10(d)及び(e)に示すように、各切込み41aの間の部分が第2部材42側(図中下側)へ湾曲し、第1部材41の表面が微細な凹凸面状態となる。
上記の表面可変機構F4を容器殻に用いた断熱容器は、収容した発熱体の温度が低いときには、表面可変機構F4により容器外側の表面を平坦面状態にし、容器外側の表面からの熱放射を極力抑えて断熱性を確保し、発熱体が高温になったときには、表面可変機構F4により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にし、容器外側の表面からの熱放射率を高めて放熱性を確保することができる。
図11は、本発明の断熱容器における表面可変機構の他の実施例を説明する図である。
この実施例の表面可変機構F5は、容器内の発熱量及び温度の少なくとも一方に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える機構である。
表面可変機構F5は、多数の微細な開口部51aを規則的に配列させた第1部材51と、この第1部材51の内側(図中下側)から各開口部51aに対して挿脱可能な多数の微細な凸部52aを有する第2部材52を備えると共に、第1及び第2の部材51,52の間に、いずれか一方の部材に対して他方の部材を近接離間する方向に移動させる往復駆動手段53を備えている。
第1部材51は、扁平な凹部51bを有する銅製の基板部51cと、凹部51bの上側を閉塞するように設けた格子部51dを有し、格子部51dにおいて多数の開口部51aを縦横に配列させている。第2部材52は、第1部材51の凹部51bに収容される基板部52bを有し、基板部52bの上面に多数の凸部52aを縦横に配列させている。
往復駆動手段53は、第1部材51の凹部51bの底部と第2部材52の基板部52bとの間に設けてあり、この実施例では、適数の戻しばね53aと、コンデンサ53bと、電源やスイッチなどにより構成されるコンデンサ用の回路部53cを備えている。
上記の表面可変機構F5は、コンデンサ53bに電圧を印加していない状態では、図11(a)に示すように、戻しばね53aの反発力によって第1部材51の凹部51bの底部と第2部材52の基板部52bとが離間し、第1部材51の開口部51aに第2部材52の凸部52aが入り込んで、第1部材51の格子部51dの上面と第2部材52の凸部52aの上面とが同一平面状に連なり、その表面を平坦面状態にしている。
また、表面可変機構F5は、コンデンサ53bに電圧を印加すると、図11(b)に示すように、戻しばね53aを圧縮しつつ第2部材52が凹部51の底部側(図中下側)へ移動し、凸部52aが下がることで、その表面を微細な凹凸面状態にする。なお、この実施例の表面可変機構F5は、コンデンサ53bに印加する電圧の大きさを調整することで、凹凸の高低差を制御することもできる。
上記の表面可変機構F5を容器殻に用いた断熱容器は、容器の内部及び表面可変機構の少なくとも一方に温度センサを設け、検出温度が低いときには、往復駆動手段53を作動させないことで容器外側の表面を平坦面状態にし、容器外側の表面からの熱放射を極力抑えて断熱性を確保する。また、検出温度が所定値以上になったときに、往復駆動手段53を作動させて容器外側の表面を微細な凹凸面状態にし、容器外側の表面からの熱放射率を高めて放熱性を確保することができる。このような検出温度に応じた往復駆動手段53の制御は、自動的に行うことができる。
ここで、本発明の断熱容器は、図2及び図3に示すように、容器殻C1,C2を二重に備えた多重構造にすることができる。この場合、図2に示す断熱容器B2のように、最内側の容器殻C1の少なくとも一部に表面可変機構Fを設けた構成としたり、図3に示す断熱容器B3のように、容器殻C,C2の少なくとも一対の相対向部分すなわち内側の容器殻C1の外側部分と外側の容器殻C2の内側部分に、表面可変機構Fを設けた構成とすることができる。また、容器殻C1,C2の内部に不活性ガスを充填したり、容器殻C1,C2の内部を減圧したりすることができる。
そして、例えば図3に示す断熱容器B3に、発熱体である固体電解質型の燃料電池スタックを収容し、図11に示す表面可変機構F5を容器殻C1,C2に設けると共に、容器殻C1,C2の内部を1×10−5atmの減圧状態にした場合、表面可変機構F5により容器外側の表面を平坦面状態から微細な凹凸面状態に変化させると、その表面からの熱の全放射率が0.1から0.5へ変化し、放熱量が約6倍になる。
また、燃料電池スタックの発電出力が2kWであると、その発熱量は約1.2kW程度になる。これに対して、一般的な真空の多重構造容器では、放熱量が0.2kW程度となるが、容器殻C1,C2に上記の表面可変機構F5を採用した断熱容器B3では、放熱量が約1.2kWとなって発熱量と等しくなる。
したがって、本発明の断熱容器B3は、燃料電池スタックの出力が低負荷から高負荷へと変動したときでも、容器外側の表面の放熱による冷却で充分となり、冷却のために反応用のガスを多量に流す必要もなく、冷却によるエネルギーロスを大幅に低減することができる。
また、図14は、図11に示す表面可変機構F5を用いた断熱容器の制御方法において、発熱体の起動、保温及び昇温プロセスを説明するフローチャートである。
まず、ステップS1において、回路部53cのスイッチをオフにし、容器内部の温度Tを計測する。ステップS2において、温度Tと目標動作温度T0を比較し、温度Tが目標動作温度T0よりも小さい場合(NO)には、ステップS3で加熱して容器内部の温度Tを測定し、その温度Tが目標動作温度T0以上になるまで処理を繰り返す。
そして、ステップS2において、温度Tが目標動作温度T0以上になった場合(YES)に、ステップS4において、目標動作温度T0と温度Tと最高動作温度T1を比較し、温度Tが目標動作温度T0以上で且つ最高動作温度T1以下では無い場合(NO)には、ステップ5において、回路部53cのスイッチをオンにして、温度Tが目標動作温度T0以上で且つ最高動作温度T1以下になるまで放熱する。
そして、ステップS4において温度Tが目標動作温度T0以上で且つ最高動作温度T1以下になった場合(YES)に、ステップS6において回路部53cのスイッチをオフにして制御を完了する。
さらに、図15は、図11に示す表面可変機構F5を用いた断熱容器の制御方法において、発熱体の運転プロセスを説明するフローチャートである。
まず、ステップS11において、制御回路から目標出力が設定されると、ステップS12において、発熱量Qを算出し、ステップS13において、容器内の温度Tをセンシングして、目標動作温度T0との差ΔTを調べる。
その後、ステップS14において、容器からの最小放熱量Q1minより、発熱量Qから流体によって移動する熱量収支と目標動作温度T0まで昇温もしくは冷却する為の容器内の熱量を引いた値Qdを算出し、その値Qdが正である場合(YES)には、ステップS15において、回路部53cのスイッチをオンにし、所望の放熱量が得られるようコンデンサ53bに印加する電圧を調整する。また、上記の値Qdが負である場合(NO)には、ステップS16において、回路部53cのスイッチをオフして、ステップS17において所定の加熱量Q3が得られるように加熱する。
上記の制御方法によれば、表面可変機構F5により容器外側の表面を平坦面状態にすることで、容器外側の表面からの熱放射を極力抑えて、熱のエネルギーロスを低減させることができ、また、表面可変機構F5により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にすることで、容器外側の表面からの熱放射性を高めて、冷却によるエネルギーロスの低減にも貢献することができる。
図12は、本発明の断熱容器における表面可変機構の他の実施例を説明する図である。
この実施例の表面可変機構F6は、容器内の発熱量及び温度の少なくとも一方に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える機構である。
表面可変機構F6は、多数の微細な開口部61aを規則的に配列させた第1部材61と、この第1部材61の内側(図中下側)から各開口部61aに対して挿脱可能な多数の微細な凸部62aを有する第2部材62を備えると共に、第1及び第2の部材61,62の間に、いずれか一方の部材に対して他方の部材を近接離間する方向に移動させる往復駆動手段63を備えている。
往復駆動手段63は、第2部材62の上面に設けた凹状突起63aと、凹型突起63aの内部にガスを密閉するダイヤフラム63bと、第2部材62の内部に形成されて外部から凹型突起63aの内部に至る流通路63cと、第2部材62の外部において流通路63cに接続したポンプ63dを備えている。
上記の表面可変機構F6は、ポンプ63dを作動させていない状態では、図12(a)及び(b)に示すように、第1部材61の開口部61aに第2部材62の凸部62aが入り込んで、第1部材61の上面と第2部材62の凸部62aの上面とが同一平面状に連なり、その表面を平坦面状態にしている。
また、表面可変機構F6は、ポンプ63dを作動させて凹型突起63a内に空気等の流体を供給すると、図12(c)に示すように、ダイヤフラム63bを上方に膨出させて第1部材61を上昇させ、これにより表面を微細な凹凸面状態にする。この表面可変機構F6は、ポンプ63dによる加圧力を調整してダイヤフラム63bの膨出量を変えることで、凹凸の高低差を制御することもできる。
上記の表面可変機構F6を容器殻に用いた断熱容器は、容器の内部及び表面可変機構の少なくとも一方に温度センサを設け、検出温度が低いときには、往復駆動手段63を作動させないことで容器外側の表面を平坦面状態にし、容器外側の表面からの熱放射を極力抑えて断熱性を確保する。また、検出温度が所定値以上になったときに、往復駆動手段63を作動させて容器外側の表面を微細な凹凸面状態にし、容器外側の表面からの熱放射率を高めて放熱性を確保することができる。このような検出温度に応じた往復駆動手段63の制御は、自動的に行うことができる。
図13は、本発明の断熱容器における表面可変機構の他の実施例を説明する図である。
この実施例の表面可変機構F7は、容器内の発熱量及び温度の少なくとも一方に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える機構である。
表面可変機構F7は、多数の微細な開口部71aを規則的に配列させた第1部材71と、この第1部材71の内側(図中下側)から各開口部71aに対して挿脱可能な多数の微細な凸部72aを有する第2部材72を備えると共に、第1及び第2の部材71,72の間に、いずれか一方の部材に対して他方の部材を近接離間する方向に移動させる往復駆動手段73を備えている。
往復駆動手段73は、第1部材71と第2部材52との間に介装したバイモルフ状の圧電素子73aと、電源やスイッチなどにより構成される圧電素子用の回路部73bを備えている。
上記の表面可変機構F7は、圧電素子73aに電圧を印加していない状態では、図13(a)及び(b)に示すように、第1部材71の開口部71aに第2部材72の凸部72aが入り込んで、第1部材71の上面と第2部材72の凸部72aの上面とが同一平面状に連なり、その表面を平坦面状態にしている。
また、表面可変機構F7は、圧電素子73aに電圧を印加すると、図13(c)に示すように、圧電素子73aが上下方向に屈曲変形し、第1部材71が上昇して表面を微細な凹凸面状態にする。なお、この実施例の表面可変機構F7は、圧電素子73aに印加する電圧の大きさを調整することで、凹凸の高低差を制御することもできる。
上記の表面可変機構F7を容器殻に用いた断熱容器は、容器の内部及び表面可変機構の少なくとも一方に温度センサを設け、検出温度が低いときには、往復駆動手段73を作動させないことで容器外側の表面を平坦面状態にし、容器外側の表面からの熱放射を極力抑えて断熱性を確保する。また、検出温度が所定値以上になったときに、往復駆動手段73を作動させて容器外側の表面を微細な凹凸面状態にし、容器外側の表面からの熱放射率を高めて放熱性を確保することができる。このような検出温度に応じた往復駆動手段73の制御は、自動的に行うことができる。
本発明の断熱容器は、図1に基づいて説明したように、容器殻C1の表面に表面可変機構F1を設けた構成や、図2及び図3に基づいて説明したように、容器殻C1,C2を二重に設けてその表面や対向部分に表面可変機構Fを設けた構成とすることができ、これらの他に、図4に示す断熱容器B4のように、容器殻C1〜C3を三重(又はそれ以上)に設けていずれかの表面に表面可変機構Fを設けた構成とすることもできる。
また、図5に示す断熱容器B5のように、容器殻C1,C2を二重に設けると共に、最内側の容器殻C1の表面に、例えば図11や図13に基づいて説明した表面可変機構F5,F7を設けてこれらを複数に組分けし、各組毎に個別に制御を行う構成にしても良い。
上記の断熱容器B5は、例えば、発熱体として固体電解質型の燃料電池システムを構成する改質器を収容するのに好適である。つまり、断熱容器B5は、収容した改質器の運転モードが部分酸化改質から水蒸気改質に変わると、反応が発熱反応から吸熱反応に切り替わって改質器の温度が局所的に上がるので、これに対応して、容器外側の表面の一部のみに放熱性が得られるように制御を行うことが可能となる。
これにより、断熱容器B5は、反応用ガスによる局所的な冷却機構を設けなくても、容器内の温度分布を緩和して温度分布に起因する熱応力を低減させることができる。また、断熱容器B5は、発熱体として固体電解質型の燃料電池スタックを収容し、燃料電池スタックの負荷が部分的負荷から全体的負荷に切り替わった場合にも上記と同様の制御が可能である。
なお、本発明に係る断熱容器、断熱容器の容器殻を構成する表面可変機構、及び表面可変機構を構成する往復駆動手段等の構成は、上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、表面可変機構は、容器殻全体を形成するものでなくても良く、断熱容器の構成などに応じて容器殻の少なくとも一部に設ければ良い。
本発明の断熱容器の一実施例を説明する斜視図である。 本発明の断熱容器の他の実施例を説明する斜視図である。 本発明の断熱容器のさらに他の実施例を説明する斜視図である。 本発明の断熱容器のさらに他の実施例を説明する斜視図である。 本発明の断熱容器のさらに他の実施例を説明する斜視図である。 本発明の断熱容器における表面可変機構の一実施例を説明する図であって、平坦面状態を示す斜視図(a)、断面図(b)、拡大断面図(c)、凹凸面状態を示す斜視図(d)及び拡大断面図(e)である。 図6に示す表面可変機構の第1及び第2の部材の製造過程を説明する各々断面図(a)〜(i)である。 本発明の断熱容器における表面可変機構の他の実施例を説明する図であって、平坦面状態を示す断面図(a)、拡大断面図(b)、及び凹凸面状態を示す拡大断面図(c)である。 本発明の断熱容器における表面可変機構のさらに他の実施例を説明する図であって、平坦面状態を示す断面図(a)、拡大断面図(b)、及び凹凸面状態を示す拡大断面図(c)である。 本発明の断熱容器における表面可変機構のさらに他の実施例を説明する図であって、平坦面状態を示す斜視図(a)、断面図(b)、拡大断面図(c)、凹凸面状態を示す斜視図(d)及び拡大断面図(e)である。 本発明の断熱容器における表面可変機構のさらに他の実施例を説明する図であって、平坦面状態を示す断面図(a)、及び凹凸面状態を示す断面図(b)である。 本発明の断熱容器における表面可変機構のさらに他の実施例を説明する図であって、平坦面状態を示す断面図(a)、拡大断面図(b)、及び凹凸面状態を示す拡大断面図(c)である。 本発明の断熱容器における表面可変機構のさらに他の実施例を説明する図であって、平坦面状態を示す断面図(a)、拡大断面図(b)、及び凹凸面状態を示す拡大断面図(c)である。 図11に示す表面可変機構を用いた断熱容器の制御方法において、発熱体の起動、保温及び昇温プロセスを説明するフローチャートである。 図11に示す表面可変機構を用いた断熱容器の制御方法において、発熱体の運転プロセスを説明するフローチャートである。
符号の説明
B1,B2,B3,B4,B5 断熱容器
C1,C2,C3 容器殻
F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7 表面可変機構
11,21,31,41,51,61,72 第1部材
11a,21a,31a,51a,61a,71a 開口部
12,22,32,42,52,62,72 第2部材
12a,22a,32a,52a,62a,72a 凸部
53,63,74 往復駆動手段

Claims (12)

  1. 閉空間を形成して発熱体を収容する断熱容器であって、容器殻の少なくとも一部に、容器殻表面を平坦面状態と微細な凹凸面状態とに切り替える表面可変機構を備え
    表面可変機構が、多数の微細な開口部を規則的に配列させた第1部材と、この第1部材の内側から各開口部に対して挿脱可能な多数の微細な凸部を有する第2部材を備えると共に、第1及び第2の部材の間に、いずれか一方の部材に対して他方の部材を近接離間する方向に移動させる往復駆動手段を備えたことを特徴とする断熱容器。
  2. 表面可変機構が、容器内の発熱量及び温度の少なくとも一方に応じて平坦面状態と微細な凹凸面状態とを切り替える機構であることを特徴とする請求項1に記載の断熱容器。
  3. 表面可変機構において、平坦面状態と凹凸面状態との切り替えにより、近赤外線波長から遠赤外線波長に至る領域内の少なくとも一波長の放射率が0.1以上変化することを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱容器。
  4. 表面可変機構において、微細な凹凸面状態の凹凸のピッチが、0.7μm〜1mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱容器。
  5. 表面可変機構において、微細な凹凸面状態の凹凸の最大高低差が、凹部の面積の正の平方根の半分以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱容器。
  6. 表面可変機構において、外側の表面に金属被膜を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の断熱容器。
  7. 複数の容器殻を有する多重構造の断熱容器であって、最内側の容器殻の少なくとも一部において、容器外側となる表面に表面可変機構を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の断熱容器。
  8. 容器殻の少なくとも一対の相対向部分に表面可変機構を設けたことを特徴とする請求項7に記載の断熱容器。
  9. 表面可変機構を設けた容器殻の内部に不活性ガスが充填してあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の断熱容器。
  10. 不活性ガスを充填した容器殻の内部の圧力が大気圧よりも低いことを特徴とする請求項9に記載の断熱容器。
  11. 酸化性ガス、還元性ガス及び不活性ガス等のガスを充填した容器殻の内部の圧力が1×10−3atm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の断熱容器。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の断熱容器の熱放射を制御するに際し、断熱時には表面可変機構により容器外側の表面を平坦面状態にし、放熱時には表面可変機構により容器外側の表面を微細な凹凸面状態にすることを特徴とする断熱容器の熱放射制御方法。
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