JP5076147B2 - リビングカチオンポリマーの製造方法およびポリマー - Google Patents

リビングカチオンポリマーの製造方法およびポリマー Download PDF

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Description

本発明は、リビングカチオンポリマーの製造方法に関する。
本発明者は、有機テルル化合物を開始剤として用いたリビングラジカル重合を報告している(例えば、非特許文献1参照)。リビングラジカル重合は、ラジカル重合の簡便性と汎用性を保ちつつ分子構造の精密制御を可能にする重合法で、新しい高分子材料の合成に大きな威力を発揮している。
J. Am. Chem. Soc.2002, 124, 2874.
この非特許文献1の方法は、種々の有機テルル化合物を開始剤として用い、一般にラジカル重合可能なビニルモノマーであるスチレンを加熱下、リビングラジカル重合することにより、生成するリビングラジカルポリマーの分子量分布(PDI=Mw/Mn)を制御している。
本発明の課題は、リビングラジカル重合では、精密な分子量分布制御が困難であったビニルモノマーを、有機テルル化合物およびルイス酸を用いて、リビングカチオン重合することにより、精密に分子量分布が制御されたリビングカチオンポリマーを製造する方法を提供することにある。
本発明は以下の発明に係る。
1. 式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤。
Figure 0005076147
(式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。RおよびRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、C〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基を示す。)
2. 上記式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤を用いて、ビニルモノマーを重合することを特徴とするリビングカチオンポリマーの製造方法。
3. 上記式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤およびルイス酸を用いて、ビニルモノマーを重合することを特徴とするリビングカチオンポリマーの製造方法。
4. ルイス酸が、(A)rDYs(Aは、C〜Cのアルキル基又はアリール基、Dは、2族、ランタノイドを含む3族、4族、11族、12族、13族、14族、15族および16族から選ばれる1種の元素、Yは、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホナート、トリフルイミド、テトラアリルボレート、テトラハロボレート、ヘキサハロアンチモナート、ヘキサハロホスフェート、r=0、1、2または3、s=1、2、3または4である。)で表されるリビングカチオンポリマーの製造方法。
5. さらに、ルイス塩基を含有することを特徴とするリビングカチオンポリマーの製造方法。
本発明によれば、リビングラジカル重合では、精密な分子量分布制御が困難であったビニルモノマーを、有機テルル化合物、または有機テルル化合物とルイス酸を用いて、リビングカチオン重合することにより、精密に分子量分布が制御されたリビングカチオンポリマーを製造する方法を提供することができる。
また、得られたリビングカチオンポリマーは、様々な応用分野で興味のある製品を製造することができる。
本発明は、有機テルル化合物およびルイス酸を用いて、ビニルモノマーを重合することを特徴とするリビングカチオンポリマーの製造方法である。
本発明で使用するリビングカチオン重合開始剤は、式(1)で表される有機テルル化合物である。
Figure 0005076147
(式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。RおよびRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、C〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基を示す。)
で示される基は、具体的には次の通りである。
〜Cのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を挙げることができる。
好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が良い。
より好ましくは、メチル基、エチル基又はn−ブチル基が良い。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
好ましいアリール基としては、フェニル基が良い。
置換アリール基としては、置換基を有しているフェニル基、置換基を有しているナフチル基等を挙げることができる。
上記置換基を有しているアリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、−CORで示されるカルボニル含有基(R=C〜Cのアルキル基、アリール基、C〜Cのアルコキシ基、アリーロキシ基)、スルホニル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
好ましい置換アリール基としては、アルコキシ置換フェニル基が良い。
また、これら置換基は、1個又は2個置換しているのが良く、パラ位若しくはオルト位が好ましい。
芳香族へテロ環基としては、ピリジル基、ピロール基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
およびRで示される各基は、具体的には次の通りである。
〜Cのアルキル基としては、上記と同じアルキル基を挙げることができる。
好ましいアルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基が良い。
で示される各基は、具体的には次の通りである。
〜Cのアルキル基としては、上記と同じアルキル基を挙げることができる。
好ましいアルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基が良い。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基を挙げることができる。
好ましいアルコキシ基としては、炭素数1〜6の直鎖状のアルコキシ基が良い。
より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基又はn−ブトキシ基が良い。
を挙げることができる。
好ましい式(1)で表される有機テルル化合物としては、Rが、C〜Cのアルキル基を示し、RおよびRが、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、Rが、アルコキシ基で示される化合物が良い。
式(1)で表される有機テルル化合物は、具体的な代表例は次の通りである。
2−メチル−2−メチルテラニル−プロパン、2−メチル−2−メチルテラニル−ブタン、2−メチル−2−メチルテラニル−ペンタン、2−メチル−2−メチルテラニル−ヘキサン、2−メチル−2−メチルテラニル−ヘプタン、2−メチル−2−メチルテラニル−オクタン、2−メチル−2−メチルテラニル−ノナン、2−メチル−2−メチルテラニル−デカン、メトキシ−メチルテラニル−メタン、1−メトキシ−1−メチルテラニル−エタン、1−メトキシ−1−メチルテラニル−プロパン、1−メトキシ−1−メチルテラニル−ブタン、1−メトキシ−1−メチルテラニル−ペンタン、1−メトキシ−1−メチルテラニル−ヘキサン、1−メトキシ−1−メチルテラニル−ヘプタン、1−メトキシ−1−メチルテラニル−オクタン、1−メトキシ−1−メチルテラニル−ノナン、2−メトキシ−2−メチルテラニル−プロパン、2−メトキシ−2−メチルテラニル−ブタン、2−メトキシ−2−メチルテラニル−ペンタン、2−メトキシ−2−メチルテラニル−ヘキサン、2−メトキシ−2−メチルテラニル−ヘプタン、2−メトキシ−2−メチルテラニル−オクタン、2−メトキシ−2−メチルテラニル−ノナン、2−メトキシ−2−メチルテラニル−デカン等を挙げることができる。
また、上記において、メチルテラニルの部分が、エチルテラニル、n−ブチルテラニル、フェニルテラニル等と変更した化合物も全て含まれる。
式(1)で表される有機テルル化合物は、例えば、式(2)の化合物と式(3)の化合物を反応させることにより製造することができる。
上記、式(2)で表される化合物としては、具体的には次の通りである。
Figure 0005076147
〔式中、R、R及びRは、上記と同じ。Xは、ハロゲン原子を示す。〕
、R及びRで示される各基は、上記に示した通りである。
Xで示される基としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素等のハロゲン原子を挙げることができる。好ましくは、塩素、臭素、ヨウ素が良い。
具体的な化合物としては、2−ブロモプロパン、2−ブロモブタン、2−ブロモペンタン、2−ブロモヘキサン、2−ブロモヘプタン、2−ブロモオクタン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、2−ブロモ−2−メチルブタン、2−ブロモ−2−メチルペンタン、2−ブロモ−2−メチルヘキサン、2−ブロモ−2−メチルヘプタン、2−ブロモ−2−メチルオクタン、2−ブロモ−2−メチルノナン、2−ブロモ−2−メチルデカン、ブロモメトキシメタン、1−ブロモ−1−メトキシ−エタン、1−ブロモ−1−メトキシ−プロパン、1−ブロモ−1−メトキシ−ブタン、1−ブロモ−1−メトキシ−ペンタン、1−ブロモ−1−メトキシ−ヘキサン、1−ブロモ−1−メトキシ−ヘプタン、1−ブロモ−1−メトキシ−オクタン、1−ブロモ−1−メトキシ−ノナン、2−ブロモ−2−メトキシ−エタン、2−ブロモ−2−メトキシ−プロパン、2−ブロモ−2−メトキシ−ブタン、2−ブロモ−2−メトキシ−ペンタン、2−ブロモ−2−メトキシ−ヘキサン、2−ブロモ−2−メトキシ−ヘプタン、2−ブロモ−2−メトキシ−オクタン、2−ブロモ−2−メトキシ−ノナン、2−ブロモ−2−メトキシ−デカン等を挙げることができる。また、上記において、ブロモの部分が、クロロ、ヨード等と変更した化合物も全て含まれる。
上記、式(3)で表される化合物としては、具体的には次の通りである。
M(R)m (3)
〔式中、Rは、上記と同じ。Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は銅原子を示す。Mがアルカリ金属の時、mは1、Mがアルカリ土類金属の時、mは2、Mが銅原子の時、mは1または2を示す。〕
で示される基は、上記に示した通りである。
Mで示されるものとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、銅を挙げることができる。好ましくは、リチウムが良い。
なお、Mがマグネシウムの時、化合物(4)はMg(Rでも、或いはRMgX(Xは、ハロゲン原子)で表される化合物(グリニャール試薬)でもよい。Xは、好ましくは、クロロ原子、ブロモ原子がよい。
具体的な化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウム、p−メトキシフェニルリチウム等を挙げることができる。好ましくは、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウムが良い。
本発明で使用するルイス酸は、(A)rDYsで表される。
Aは、C〜Cのアルキル基、アリール基を挙げることができる。C〜Cのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
Dは、2族、ランタノイドを含む3族、4族、11族、12族、13族、14族、15族および16族から選ばれる1種の元素である。具体的には、マグネシウム、スカンジウム、イットリウム、サマリウム、イッテルビウム、ルテニウム、スカンジウム、チタン、ハフニウム、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、ビスマス、テルル等を挙げることができる。
Yは、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホナート(トリフラート:OTf)、トリフルイミド、テトラアリルボレート、テトラハロボレート、ヘキサハロアンチモナート、ヘキサハロフォスフェート等を挙げることができる。r=0、1、2または3、s=1、2、3または4である。
(A)rDYsで表される、具体的な化合物は、例えば、臭化マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸ビスマス、トリフルオロメタンスルホン酸ガリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イットリウム、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム、トリフルオロメタンスルホン酸インジウム、トリフルオロメタンスルホン酸ハフニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリブチル錫等を挙げることができる。
本発明で使用するルイス塩基としては、エステル、エーテル、チオエーテル、ピリジン類が上げられる。具体的には、エステル類においては酢酸エチル、クロロ酢酸エチル、ジクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸エチル、エーテル類においてはテロラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジエトキシエタン、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、チオエーテルにおいてはジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジ−n−プロピルスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−i−ブチルスルフィド、ピリジン類においては2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ルチジン(2,6−ジメチルピリジン)等を挙げることができる。
本発明で使用するビニルモノマーとしては、カチオン重合可能なもの(例えば、電子供与性置換基をもつビニルモノマー)であれば特に制限なく使用することができる。
例えば、下記のものを挙げることができる。
炭素数3〜12のオレフィン類、共役ジエン類、ビニルエーテル類、エノールシリルエーテル、芳香族ビニル化合物類(ここではスチレン類ともいう)等を挙げることができる。
具体的には、例えば、イソブチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−2−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、5−エチリデンノルボルネン、ビニルシクロヘキサン等の炭素数3〜12のオレフィン類、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン等の共役ジエン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ビニロキシトリメチルシラン等のエノールシリルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、β−ピネン、インデン等の芳香族ビニル化合物類を挙げることができる。
好ましくは、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、インデン、イソプレン、シクロペンタジエン等が良い。
本発明のリビングカチオンポリマーの製造方法は、具体的には次の通りである。
不活性ガスで置換した容器で、ビニルモノマーおよび式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤を混合する。
また、ルイス酸を加えても良い。ルイス酸を加えることによりPDI値の制御が向上する。あるいは、ルイス酸およびルイス塩基を加えても良い。ルイス塩基を加えることにより、ルイス酸のみを加えた時よりも更に、PDI値の制御が向上する。
次に、上記混合物を撹拌する。反応温度、反応時間は、適宜調節すればよいが、通常、反応温度は−150〜+20℃で行う。具体的には、−100〜+10℃で、1秒〜5時間撹拌する。好ましくは、−80〜0℃で、1分〜2時間撹拌するのが良い。この時、圧力は、通常、常圧で行われるが、加圧或いは減圧しても構わない。この時、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。
ビニルモノマーと式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤の使用量としては、得られるリビングカチオンポリマーの分子量あるいは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤1molに対して、ビニルモノマーを5〜10,000mol、好ましくは50〜5,000molとするのが良い。
式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤とルイス酸の使用量としては、通常、式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤1molに対して、ルイス酸を0.01〜500mol、好ましくは0.1〜50molとするのが良い。
式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤とルイス塩基の使用量としては、通常、式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤1molに対して、ルイス塩基を0.01〜500mol、好ましくは0.1〜50molとするのが良い。
重合は、通常、カチオン重合で一般に使用される有機溶媒を使用して行うが、無溶媒でも構わない。使用できる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、塩化メチル、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ化合物、へキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の飽和炭化水素等、またはアセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等があげられる。溶媒の使用量としては適宜調節すればよいが、例えば、ビニルモノマー1gに対して、溶媒を0.01〜200ml、好ましくは、0.05〜100mlが、特に好ましくは、0.1〜50mlが良い。
反応終了後、反応液にルイス酸を失活させるかもしくはルイス酸性を弱めることができる添加物を添加するのが好ましい。添加物としては、アルコール、水等のプロトン性化合物、または脂肪族アミン等の含窒素化合物等があげられ、その具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、水、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アミンがあげられるが、中でもトリエチルアミン、メタノールまたは水が好ましく使用される。
本発明のリビングカチオンポリマーの製造方法では、ビニルモノマーを複数使用することができる。例えば、2種以上のビニルモノマーを同時に反応させるとランダム共重合体を得ることができる。また、2種のビニルモノマーを順次反応させるとブロック共重合体を得ることができる。
本発明で得られるリビングカチオンポリマーの分子量は、反応時間およびリビングカチオン重合開始剤の量により調整可能であるが、数平均分子量500〜50,000のリビングカチオンポリマーを得ることができる。
本発明で得られるリビングカチオンポリマーの分子量分布(PDI=Mw/Mn)は、1.01〜1.50の間で制御される。より好ましくは1.01〜1.40、1.01〜1.30、1.01〜1.20、1.01〜1.10、1.01〜1.05である。
本発明がリビング重合であることは、開始剤とモノマーの量比から予測される数平均分子量(Mn)を持つ重合体が得られること、狭い分子量分布(多分散度)を持つこと(Mw/Mn=PDI:1.5以下)、さらに、重合終了後にモノマーを加えることでさらに高分子鎖が伸張することから明らかである。成長末端には反応性の高い有機テルル基を持つことから、式(1)で表される化合物をリビングカチオン重合に用いることにより従来のリビングカチオン重合で得られるリビングカチオンポリマーよりも末端基を他の官能基へ変換することが容易である。これらにより、本発明で得られるリビングカチオンポリマーは、マクロリビングカチオン重合開始剤(マクロイニシエーター)として用いることができる。
本発明のリビングカチオンポリマーの製造方法では、ビニルモノマーの重合が促進され、反応時間を短縮することができる。また、得られるポリマーの分子量分布を制御し、且つ、分子量をも制御することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。また、実施例および比較例において、各種物性測定は以下の機器により測定を行った。
H−NMR:Varian Mercury puls(400MHz)分子量および分子量分布:
装置:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー Shodex GPC−104
カラム:Shodex KF−602 and Shodex KF−603
1,1−ジメトキシヘキサン:AVOCADO ORGANICS製
実施例1(1−メトキシ−1−メチルテラニル−ヘキサン)
窒素置換したフラスコ内で、1,1−ジメトキシヘキサン(7.62g、52.1mol)を塩化メチレン5mlに加え0℃に冷却した後、アセチルブロマイド(7.98g、64.9mmole)をゆっくり添加し、3時間室温で攪拌後、塩化メチレンと酢酸メチルを減圧下で留去した。
得られた混合物に、別途調製したリチウムメチルテルロラートをゆっくり添加した。
リチウムメチルテルロラートは、金属テルルパウダー6.64g(52.1mmol)をTHF30mlに懸濁させ、これにメチルリチウムのジエチルエーテル溶液53ml(0.99Mジエチルエーテル溶液52.5mmol)をゆっくり添加攪拌した。
室温で2時間攪拌後、反応液に脱気した水を加え反応を停止し、水層はシリンジで抽出操作を行う。得られた有機層を更に飽和塩化アンモニウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液でそれぞれ洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮操作を行う。減圧蒸留により精製を行い、淡黄色液体4.88gを得た。
H−NMRから1−メトキシ−1−メチルテラニル−ヘキサンであることを確認した。
H NMR (400MHz,CDCl) 0.85(t,J=7.0Hz,3H), 1.12−1.28(m,4H), 1.40−1.50(m,2H), 1.67(s,3H), 1.98−2.06(m,2H), 3.05(s,3H), 4.67(t,J=6.4Hz,1H)
実施例2〜6
窒素置換したフラスコ内で、実施例1で製造した1−メトキシ−1−メチルテラニル−ヘキサン 0.10mmol、イソブチルビニルエーテル(モノマー)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(ルイス塩基)および塩化メチレン(溶媒)15mlの溶液を、インジウムトリフラート(ルイス酸)および塩化メチレン(溶媒)5mlの溶液に混合した。その後、60分攪拌した。各条件は、表1に示す。
トリエチルアミンおよびメタノールを加え重合を停止した。
反応終了後、溶媒を留去後、得られた反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と酢酸エチルを加え抽出操作を行い触媒残渣を除去した。有機層は、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行いリビングカチオンポリマーを得た。GPC分析(ポリスチレン標準サンプル基準)の結果を表1に示す。
Figure 0005076147
実施例7〜8
窒素置換したフラスコ内で、実施例1で製造した1−メトキシ−1−メチルテラニル−ヘキサン 0.20mmol、イソブチルビニルエーテル(モノマー)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(ルイス塩基)および塩化メチレン(溶媒)5mlの溶液を、インジウムトリフラート(ルイス酸)および塩化メチレン(溶媒)3mlの溶液に−72℃で混合した。その後、表2に示した条件で60分攪拌した。各条件は、表2に示す。
トリエチルアミンおよびメタノールを加え重合を停止した。
反応終了後、実施例2と同様にしてリビングカチオンポリマーを得た。GPC分析(ポリスチレン標準サンプル基準)の結果を表2に示す。
Figure 0005076147
実施例9〜20
窒素置換したフラスコ内で、実施例1で製造した1−メトキシ−1−メチルテラニル−ヘキサン 0.1mmol、イソブチルビニルエーテル(モノマー)50当量、ルイス酸1.1当量および溶媒5mlを混合後、攪拌した。各条件は、表3に示す。
トリエチルアミンおよびメタノールを加え重合を停止した。
反応終了後、実施例2と同様にしてリビングカチオンポリマーを得た。GPC分析(ポリスチレン標準サンプル基準)の結果を表3に示す。
Figure 0005076147
実施例21
窒素置換したフラスコ内で、実施例1で製造した1−メトキシ−1−メチルテラニル−ヘキサン 0.20mmol、n−ブチルビニルエーテル(モノマー)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(ルイス塩基)および塩化メチレン(溶媒)5mlの溶液を、インジウムトリフラート(ルイス酸)および塩化メチレン(溶媒)25mlの溶液に−72℃で混合した。その後、表4に示した条件で30分攪拌した。トリエチルアミンおよびメタノールを加え重合を停止した。
反応終了後、実施例2と同様にしてリビングカチオンポリマーを得た。GPC分析(ポリスチレン標準サンプル基準)の結果を表4に示す。
実施例22
窒素置換したフラスコ内で、実施例1で製造した1−メトキシ−1−メチルテラニル−ヘキサン 0.20mmol、p−メトキシスチレン(モノマー)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(ルイス塩基)および塩化メチレン(溶媒)5mlの溶液を、インジウムトリフラート(ルイス酸)および塩化メチレン(溶媒)25mlの溶液に20℃で混合した。その後、表4に示した条件で1時間攪拌した。トリエチルアミンおよびメタノールを加え重合を停止した。
反応終了後、実施例2と同様にしてリビングカチオンポリマーを得た。GPC分析(ポリスチレン標準サンプル基準)の結果を表4に示す。
Figure 0005076147

Claims (7)

  1. 式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤。
    Figure 0005076147
    (式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。RおよびRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、C〜Cのアルキル基又はC〜Cのアルコキシ基を示す。)
  2. 請求項1に記載の式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤を用いて、ビニルモノマーを重合することを特徴とするリビングカチオンポリマーの製造方法。
  3. 請求項1に記載の式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤およびルイス酸を用いて、ビニルモノマーを重合することを特徴とするリビングカチオンポリマーの製造方法。
  4. ルイス酸が、(A)rDYs(Aは、C〜Cのアルキル基又はアリール基、Dは、2族、ランタノイドを含む3族、4族、11族、12族、13族、14族、15族および16族から選ばれる1種の元素、Yは、ハロゲン、トリフルオロメタンスルホナート、トリフルイミド、テトラアリルボレート、テトラハロボレート、ヘキサハロアンチモナート、ヘキサハロホスフェート、r=0、1、2または3、s=1、2、3または4である。)で表される請求項3に記載のリビングカチオンポリマーの製造方法。
  5. さらに、ルイス塩基を含有することを特徴とする請求項3〜4のいずれか1項に記載のリビングカチオンポリマーの製造方法。
  6. 請求項1に記載の式(1)で表されるリビングカチオン重合開始剤およびルイス酸を含むことを特徴とするリビングカチオン重合開始剤。
  7. さらに、ルイス塩基を含む請求項に記載のリビングカチオン重合開始剤。
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