JP5074241B2 - 非水系インクジェット用インク組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、非水系インクジェット用インク組成物に関し、より詳しくは、インクジェットプリンタにより印刷する際にプリンタヘッド部のノズルへの詰まりが生じることがなく、優れた印字品質の印刷物が得られるインクの吐出安定性に優れた無機蛍光顔料含有の非水系インクジェット用インク組成物に関する。
従来、種々の溶媒を用いたインクジェット印刷用顔料インク組成物が多数提案されているが、そのような顔料インク組成物を用いてインクジェットプリンタにより印刷物を作製する際に、インクジェットプリンタのノズルに詰まりが生じて、印字品質上好ましくない印刷物が得られたり、また、そのような顔料インク組成物を用いて印刷物を作製しても色の発現が必ずしも充分ではなかった。
特に、インクジェット印刷用インクに無機蛍光顔料を用いた場合、無機蛍光顔料は有機顔料より比重が大きいのでインク中で沈降し易く、有機顔料より一次粒子径が大きいので、インクジェットプリンタのノズルが詰まり易いという課題があった。そこで超微粒子の無機系蛍光体をインクに使用することで上記課題を解決する技術が報告されているが、これらのインクは画像堅牢性が乏しいという課題があった(特許文献1、2)。また、無機蛍光顔料を微粒子に粉砕すると発光強度が極端に低下するといった課題も生じていた。
特開平10−130558号公報 特開2000−256591号公報
本発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、インクジェットプリンタにより印刷する際にプリンタヘッド部のノズルへの詰まりが生じることがなく、優れた印字品質の印刷物が得られるインクの吐出安定性に優れた無機蛍光顔料含有の非水系インクジェット用インク組成物を提供することである。
本発明者等は、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、インク組成物中にアミノ基含有アルコールを含むことにより、優れた吐出安定性の無機蛍光顔料を含有した非水系インクジェット用インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の非水系インクジェット用インク組成物は、無機蛍光顔料、樹脂、顔料分散剤、有機溶媒及びアミノ基含有アルコールを含有し、該アミノ基含有アルコールの含有量が全体の0.01〜3質量%であり、該アミノ基含有アルコールが2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールからなる群から選択されることを特徴とする。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物を用いることにより、インクジェットプリンタにより印刷する際にプリンタヘッド部のノズルへの詰まりが生じることがなく、優れた印字品質の印刷物が得られる。
以下に、本発明の非水系インクジェット用インク組成物について具体的に説明する。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物においては、無機蛍光顔料、樹脂、顔料分散剤、有機溶媒と共にアミノ基含有アルコールを用いることが必要である。
以下、本発明の非水系インクジェット用インク組成物の各成分について、説明する。
本発明で用いることのできる無機蛍光顔料としては、公知のものを特に制限なく挙げることができ、3原色の赤(R)、青(B)、緑(G)の3種類を用いるのが一般的である。具体的には、
赤色の蛍光体としてYS:Eu、Y:Eu、YSiO:Eu、YAlO12:Eu、Zn(PO:Mn、YBO:Eu、(Y、Gd)BO:Eu、GdBO:Eu、ScBO:Eu、LuBO:Eu等があり、
青色の蛍光体としてBaMgAl1627:Eu、YSiO:Ce、CaWO:Pb、BaMgAl1423:Eu等があり、
緑色の蛍光体としてBaMgAl1627:(Eu,Mn)、(Ba,Mg)Al1627:(Eu,Mn)、ZnSiO:Mn、BaAl1219:Mn、SrAl1319:Mn、CaAl1219:Mn、YBO:Tb、BaMgAl1423:Mn、LuBO:Tb、GdBO:Tb、ScBO:Tb、SrSi14:Eu等がある。
無機蛍光顔料の配合量は、使用する無機蛍光顔料の種類等により任意に決定できるが、通常はインク組成物の0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%である。
本発明で用いる無機蛍光顔料の体積平均粒子径は、300〜800nmであることが好ましく、500〜700nmがより好ましい。体積平均粒子径が300nm未満であると、発光強度が低下する傾向にあり、一方、体積平均粒子径が大きくなるにつれて発光強度は強くなるが800nmを超えるとノズル詰まりが生じ易いので好ましくない。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物は、通常のインク組成物と同様にバインダーとして樹脂を含有する。そのような樹脂は、通常のインク組成物に普通に用いられているバインダー用樹脂でよく、特には限定されないが、中でも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂のいずれかを含むことが、印字したときの基材との密着性が向上するため好ましい。
ポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル樹脂の両方を用いることができる。ポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとの縮合反応により得られる。
ポリエステル樹脂に用いられる多塩基酸としては、例えば、
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、9,10−アントラセンジカルボン酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸;
p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸;
コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ダイマー酸、トリマー酸、テトラマー酸等の脂肪族不飽和多価カルボン酸;
ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の脂環族ジカルボン酸;
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸
等を例示できる。また、多塩基酸に一部、一塩基酸を併用してもよい。一塩基酸類としては、例えば、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、t−ブチル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、3−メチル安息香酸、4−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、t−ブチルナフタレンカルボン酸、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸等を例示できる。
ポリエステル樹脂に用いられる多価アルコール類としては、例えば、
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等のトリオール及びテトラオール類等の脂肪族多価アルコール類;
1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール等の脂環族多価アルコール類;
パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール等の芳香族多価アルコール類
を例示できる。また、多価アルコールに一部、一価アルコールを併用してもよい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂の数平均分子量は1000〜50000の範囲が好ましく、更には2000〜20000の範囲がより好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量が1000より小さい場合は、インク印字被膜の耐エタノール性評価が劣り、50000より大きい場合は、インクの糸曳き現象が発生し易くインク吐出性が安定しない等の不具合が生ずることがあるので好ましくない。
アクリル樹脂としては、通常用いられるラジカル重合性単量体を共重合させたものを用いることができる。ラジカル重合性単量体としては、例えば、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
ビニルピロリドン等の複素環式ビニル化合物;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;
エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類
等が例示される。
また、酸や塩基等の官能基を含む重合性単量体も用いることができる。官能基含有単量体としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノn−ブチル、イタコン酸モノn−ブチル、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸(2−ヒドロキシメチル)エチル、アクリル酸(2−ヒドロキシメチル)ブチル、(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸アミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;
メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有単量体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;
ブタジエン、イソプレン等のジエン類;
アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル等の水酸基含有アリル化合物;
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等の3級アミノ基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基含有単量体類
等が挙げられる。また、フタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、アクリル酸アリル、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の1分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体類等も使用できる。これらの単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせても使用できる。
塩化ビニル樹脂としては、種々のものを使用することができ、例えば、塩化ビニルと酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル、マレイン酸等の他のモノマーとの共重合樹脂を挙げることができる。好ましい塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルとを共重合させた塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂であり、特に好ましくは分子量30,000以下の共重合樹脂を挙げることができる。
上記以外の樹脂としては、特に制限はなく、通常のインク組成物に用いられる樹脂は何れも使用することができる。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、メラミン、ベンゾグアナミン等のアミノ樹脂、ポリアミド樹脂、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ニトロセルロース、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、トリチルセルロース、シアンエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボシキエチルセルロース、アミノエチルセルロース等のセルロースエーテル樹脂等を挙げることができる。また、これら樹脂は、併用して用いることができる。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物に用いる樹脂の含有量は、1〜20質量%が好ましく、更には1〜15質量%がより好ましい。樹脂の含有量が1質量%より少ない場合は、基材との密着性が不足するおそれがあり、20質量%より多い場合は、インク組成物の粘度が高くなり吐出性が不安定になる等の不都合が生じることがあり、好ましくない。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物は、無機蛍光顔料の分散性を向上するため、顔料分散剤を使用する。
顔料分散剤としては、ポリアミド系樹脂、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物においては、顔料分散剤として1分子中に2個以上のアミド基を有し、且つ、数平均分子量が700〜15000であるポリエステルポリアミド樹脂を用いることが好ましい。この顔料分散剤の配合量は、使用する顔料の種類等により異なるが、通常はインク組成物中0.1〜15質量%が好ましく、更には0.5〜10質量%であることが、より顔料分散性を向上するのに好ましい。
ポリエステルポリアミド樹脂は、酸末端ポリエステル樹脂と1分子中に2個以上のアミノ基を有するポリアミン化合物とを反応させることにより製造される。例えば、ルーブリゾール社製のソルスパース32000、ソルスパース32500、ソルスパース32600、ソルスパース33500、ソルスパース34750、ソルスパース35100、ソルスパース37500等や、ビックケミー社製のBYK9077等を挙げることができる。
なお、ポリエステルポリアミド樹脂のアミド基が1分子中に2個未満の場合には、顔料分散性において好ましくない。また、数平均分子量が700未満の場合には、顔料分散性が低下し、数平均分子量が15000を超える場合には、インク中への分散性が低下するため好ましくない。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物は、通常の溶剤系インクに用いられる有機溶媒を使用する。
有機溶媒としては、例えば、
メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、トリデシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキシルアルコール等のアルコール類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等のグリコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;
酢酸エチル、酢酸イソプロピレン、酢酸n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジアセトンアルコール等のケトン類;
その他トルエン、キシレン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン
等が挙げられる。これらは、印刷時のヘッドノズルの特性への適合性、安全性、乾燥性の観点から種々の溶剤が選択され、必要に応じて複数の溶剤を混合して用いることができる。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物は、有機溶媒としてグリコールエーテル類を含むことが好ましい。中でも、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが、印刷特性に優れるため好ましい。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物は、アミノ基含有アルコールを含むことにより、インクジェットプリンタにより印刷する際にプリンタヘッド部のノズルへの詰まりが生じることがなく優れた印字品質の印刷物が得られる。
アミノ基含有アルコールとしては、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられるが、特に2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール又は2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールが印刷特性に優れるため好ましい。
アミノ基含有アルコールは、上記の化合物を複数用いてもよく、インク組成物全体の0.01〜3質量%含有することが必要であり、更には0.1〜2質量%含有することが好ましい。アミノ基含有アルコール含有量がインク組成物全体の0.01質量%より少ないときには、ノズルへの詰まりが生じ易くなり、3質量%を超えると顔料凝集によるインクの増粘の不都合が生じることがあるため、好ましくない。
また、アミノ基含有アルコールの含有量は、有機溶媒100質量%に対して0.01〜5質量%であることが好ましく、更には0.1〜3質量%であることが好ましい。有機溶媒100質量%に対して、その含有量が、0.01質量%より少ないとノズルへの詰まりとヘッド部の腐食が生じ易くなり、5質量%を超えると顔料凝集によるインクの増粘とインク印字被膜の耐エタノール性評価が劣る等の不都合が生じることがあり、好ましくない。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物の水抽出物について、pHが6.0〜10.0であることが、印刷する際のノズルへの詰まりが生じることがなく優れた印字品質の印刷物が得られるため好ましい。水抽出物のpHが、6.0より小さいと、プリンタヘッド部の腐食が発生し易くなり、pHが10.0より大きいと顔料凝集によるインクの増粘等の不都合が生じることがあり、好ましくない。水抽出物のpHは、6.5〜8.5であることが更に好ましい。
pHの測定方法は次の通りである。インク組成物の水抽出物は、蒸留水100gに対して、インク組成物1gを添加して良く撹拌する。しばらく静置後その水抽出物を、pHメーターにて測定する。
また、インク組成物の水抽出物のpHは、インク組成物に配合するアミノ基含有アルコールの量を微妙に調節することで、pH6.0〜10.0に調整することができる。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物は、無機蛍光顔料、樹脂、顔料分散剤、有機溶媒及びアミノ基含有アルコールを含有することを基本とするが、用途等によっては染料、有機顔料、表面調整剤、UV吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、可塑剤等の添加剤を併用してもよい。
本発明の非水系インクジェット用インク組成物は、種々のインクジェットプリンタに使用することができる。このようなインクジェットプリンタとして、例えば、荷電制御方式、インクオンデマンド方式によりインク組成物を噴出させる方式等を挙げることができる。
本発明のインク組成物は、特にラージフォーマットを用いた大型インクジェットプリンタによる印刷、例えばサインディスプレイ等の屋外用物品に印刷することを目的としたインクジェットプリンタの印刷にも好適に適用できる。更には、インクジェット法によるプラズマディスプレイ用基板の製造、情報記録媒体や切手等の偽造防止にも用いることができる。
インクジェット印刷した後の印刷面(インク組成物)は、常温〜数百℃で乾燥することにより乾燥被膜を形成する。
本発明で印刷の対象となる基材については、印刷面(インク組成物)を乾燥する条件下で変形もしくは変質しないものであれば特に制限されることはない。そのような基材として、例えば、紙、金属、ガラス及びプラスチック等が挙げられ、より詳しくは表面を樹脂でコーティングした紙、プラスチックのシートやフィルム、を挙げることができる。
以下に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものとする。
<実施例1〜15及び比較例1〜4>
表1に示す成分と配合量(質量部)で含有する混合物をそれぞれサンドミルで0.5〜3時間練合して、実施例1〜15及び比較例1〜4のインク組成物を調製した。
使用した無機蛍光顔料は、赤(R)がルミライトファインピグメント レッド(YS:Eu、シンロイヒ社製)、緑(G)がルミライトファインピグメント グリーン(BaMgAl1627:(Eu,Mn)、シンロイヒ社製)、青(B)がルミライトファインピグメント ブルー(BaMgAl1627:Eu、シンロイヒ社製)を用いた。樹脂については、ポリエステル樹脂がバイロンGK810(東洋紡社製、数平均分子量=6000、Tg=46℃、酸価=5mgKOH/g、水酸基価=19mgKOH/g)、アクリル樹脂がダイヤナールMB2660(三菱レーヨン社製、重量平均分子量=65000、Tg=52℃、酸価=3mgKOH/g)、塩化ビニル樹脂がソルバインCL(日信化学社製、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、数平均分子量=25000、Tg=70℃)であり、顔料分散剤は、ポリエステルポリアミド樹脂Aがソルスパース32000(ルーブリゾール社製、固形分濃度100%、数平均分子量=1500)、ポリエステルポリアミド樹脂BがBYK9077(ビックケミー社製、固形分濃度99%、数平均分子量=1400)であった。
得られた実施例1〜15及び比較例1〜4の各インク組成物に対して、粘度、粒子径、水抽出物のpH、分散安定性、ノズル吐出安定性、耐エタノール性、相対発光強度をそれぞれ下記の方法で測定し、下記の基準で評価した。
<粘度測定>
各インク組成物の粘度は、B型粘度計を用い、20℃にて測定した。
<粒子径測定>
各インク組成物の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定器(島津製作所製「SALD−7000」)を用いて平均粒子経(D50)を測定した。
<水抽出物のpH>
各インク組成物の水抽出物のpHは、分液ロートを用いてインク組成物1gを蒸留水100gへ滴下して良く混合・撹拌し、しばらく静置後その水抽出物(下層部)を取り出して、pHメーターにて20℃で測定した。
<分散安定性>
各インク組成物を密閉容器中で60℃・1ヶ月間保存した後、取り出しその粘度及び粒子径を上記のように測定し、試験前と試験後のそれぞれの変化を下記の基準で評価した。
◎:粘度及び粒子径の変化が、両方とも±5%以内。
○:粘度及び粒子径の変化が、少なくとも一方が±5%超±10%以内。
×:粘度及び粒子径の変化が、少なくとも一方が±10%超。
<ノズル吐出安定性>
ラージフォーマット用インクジェットプリンタを用いて塩化ビニルの基材に画像を1時間連続して印刷し、その後温度35℃、湿度60%の環境下で4日間放置し、再度塩化ビニルの基材に画像を連続して1時間印刷し、その印字状態を目視で下記の基準で評価した。
◎:印字したドットの内、90%以上で所定の位置に正しく印字できる。
○:印字したドットの内、70%以上90%未満で所定の位置に正しく印字できる。
△:印字したドットの内、50%以上70%未満で所定の位置に正しく印字できる。
×:印字したドットの内、50%以上でドットの曲がりが発生。
<耐エタノール性>
ラージフォーマット用インクジェットプリンタで塩化ビニルの基材に画像を印刷し乾燥させた後、50質量%エタノール水をしみ込ませた布で印刷した画像表面を擦り、その表面状態を目視で評価した。なお、ノズル詰まり等の不具合が生じて、耐エタノール性試験が実施できる程度まで印字できない場合は、「−」と表記した。
◎:全く変化なし。
○:一部インクが剥離し、印字が薄くなる。
×:インクが剥離し、素地が見える。
<相対発光強度測定>
ラージフォーマット用インクジェットプリンタで画像を印刷し乾燥させた後、その印字について蛍光分光光度計(製品名:RF−1500、島津製作所社製)を用いて蛍光発光強度を測定した。相対発光強度は、波長365nmの励起光を照射した時の蛍光発光強度について、実施例1の発光強度を100とした場合の相対値である。なお、ノズル詰まり等の不具合が生じて、発光強度が測定できる程度まで印字できない場合は、「−」と表記した。
それらの測定結果、評価結果は表1及び表2に示す通りであった。
Figure 0005074241
Figure 0005074241
表1に示すデータから明らかなように、本発明の実施例1〜15のインク組成物は、各試験項目について良い評価結果が得られ、印字の良好なインクが得られた。
一方、表2に示すデータから明らかなように、アミノ基含有アルコールの含有量が本発明の範囲より少ない比較例1のインク組成物はノズル詰まりが生じ、印字不良となった。アミノ基含有アルコールの含有量が本発明の範囲より多い比較例2及び3のインク組成物は顔料凝集によるノズル詰まりが生じ、印字不良となった。また、アミノ基含有アルコールを用いない比較例4のインクも、ノズル詰まりが生じ、印字不良となった。

Claims (8)

  1. 無機蛍光顔料、樹脂、顔料分散剤、有機溶媒及びアミノ基含有アルコールを含有し、該アミノ基含有アルコールの含有量が全体の0.01〜3質量%であり、該アミノ基含有アルコールが2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールからなる群から選択されることを特徴とする非水系インクジェット用インク組成物。
  2. 前記非水系インクジェット用インク組成物の水抽出物のpHが6.0〜10.0である請求項1に記載の非水系インクジェット用インク組成物。
  3. 前記アミノ基含有アルコールが、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール又は2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールである請求項1又は2に記載の非水系インクジェット用インク組成物。
  4. 前記有機溶媒が、グリコールエーテル類を含む請求項1〜3のいずれかに記載の非水系インクジェット用インク組成物。
  5. 前記アミノ基含有アルコールの含有量が、上記有機溶媒100質量%に対して0.01〜5質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の非水系インクジェット用インク組成物。
  6. 前記顔料分散剤が、1分子中に2個以上のアミド基を有し、且つ、数平均分子量が700〜15000のポリエステルポリアミド樹脂である請求項1〜5のいずれかに記載の非水系インクジェット用インク組成物。
  7. 前記樹脂が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂のいずれかを含む請求項1〜6のいずれかに記載の非水系インクジェット用インク組成物。
  8. 前記無機蛍光顔料の体積平均粒子経が300〜800nmである請求項1〜7のいずれかに記載の非水系インクジェット用インク組成物。
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