JP5072780B2 - 酸化チタン及びメタチタン酸を用いるフッ素排水処理方法 - Google Patents

酸化チタン及びメタチタン酸を用いるフッ素排水処理方法 Download PDF

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本発明はアモルファス酸化チタン及び/又はメタチタン酸を用いるフッ素排水処理方法に関し、更に詳しくはアモルファス酸化チタン及び/又はメタチタン酸を用いて低濃度のフッ素を含有するフッ素排水処理方法に関する。
フッ素は、近年、半導体、シリコンなどの電気部品洗浄工程、アルミニウムの電解精錬工程、リン酸肥料の製造工程などの排水やごみ焼却場などの排煙洗浄排水などに含まれている。更には身近なところでは、石鹸、歯みがき粉などに用いられ、その需要が増加している。従来、これらの廃水は、カルシウム塩を添加して凝集沈澱を行う一次処理によりフッ素を数十ppm程度まで除去し、次にアルミニウム塩やマグネシウム塩、その他の吸着剤などで二次処理を行う方法が一般的に行われている(非特許文献1参照)。排出を制限される有害物質の一つであるフッ素は、水質汚濁防止法に定められている排水基準によって、排出量が1リットル当り8mg(8ppm)と規制されている(非特許文献2参照)。しかし、この規制値を達成するためには大規模な処理設備を必要とすることから、温泉旅館などの中小企業ではコスト面で負担が大きすぎるため、簡便な方法及び設備で規制値を達成する技術の確立が求められている。また、人の健康に関する環境基準によればフッ素に対する規制値は0.8ppm以下であり、土壌環境基準においても溶出試験検液1リットル当り0.8mg以下とされており、更なる低濃度領域でのフッ素処理方法及び設備の開発が望まれている。
従来の方法としては、例えばカルシウム塩法やアルミニウム塩法が知られており、カルシウム塩法では原水中F-濃度数百〜数千ppmを処理水中F-濃度10〜20ppmに、そしてアルミニウム塩法では原水中F-濃度10〜20ppmを数ppmまで低下させることができるに過ぎない。
現場で役立つ無機排水処理技術、恵藤良弘、中原敏次著第101〜115頁(工業調査会発行) 環境省HP(一律排水基準)(環境省>水・土壌・地盤環境の保全>水環境関係参照)
従って、本発明の目的は、比較的簡便な方法及び設備を用いて廃液中のフッ素を8ppm以下、好ましくは0.8ppm以下の濃度まで処理する技術を開発することにある。
本発明に従えば、低濃度(好ましくは10ppm以下、更に好ましくは1〜5ppm)のフッ素を含む排水を、アモルファス酸化チタン及び/又はメタチタン酸を捕集剤として用いて、処理する排水中のフッ素の除去方法が提供される。
本発明に従えば、更にフッ素を含む排水を、メタチタン酸と水酸化カルシウムとを捕集剤として用いて、処理する排水中のフッ素の除去方法が提供される。
本発明によれば、低濃度のフッ素を含む排水をアモルファス酸化チタン及び/又はメタチタン酸を捕集剤として処理することにより、従来の簡便なフッ素処理法では困難だった10ppm以下の濃度域までの処理が可能であり、その多くの業界における波及効果は多大であるといえる。従来はフッ素処理が困難な濃度領域では多量の捕集剤を使用したり大規模な設備を用いて処理しているが、本発明の処理法を用いることによって薬剤添加量及び汚泥発生量が低減できるため、運転費の低減を図ることができる。本発明の方法は2段処理が効果的であるが、1段処理も可能であり、処理設備の簡素化による設備費の低減も可能となる。
本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を進め、例えば水酸化カルシウムなどの従来の捕集剤ではフッ素を所定の低濃度域、例えば8ppm以下まで処理するには大量の薬剤の使用を必要としたり、また酸化マグネシウムなどの捕集能力が高い薬剤は高価であったりするなどの問題点が多いため、本発明者らはその問題点を改善する捕集剤の条件を以下の通り検討した。
(1)先ずフッ化物イオン(F-)との反応性が大きい物質であることが望ましい。これはHSAB(Hard Soft Acid Base)則より、硬い塩基であるフッ化物イオンは硬い酸とより強い結合を生成すると考えられるからである。かかる観点から、例えばマグネシウムやアルミニウムなどを含む物質であることが望ましい。
(2)次にフッ化物イオンとの反応生成物の溶解度が小さいことが望ましい。これはフッ化物イオンと捕集剤との反応によって生成した物質の溶解度が大きい場合は、捕集されたフッ化物イオンが再溶出してしまうおそれがあるからである。このことから凝集反応生成物は難溶性の物質であることが望ましい。
(3)寿命・耐久性が良いことが望ましい。フッ化物イオン捕集後の捕集剤はそのままでは廃棄物となるため、再生処理を行ない、再び捕集剤として利用することは重要である。このことから捕集剤は寿命・耐久性が良く、リサイクルに適した素材であることが求められる。そのためには無機化合物であることが望ましい。
(4)安価で高性能の捕集剤が望ましい。単位量当りの処理効果が高いことに加え、全業種一律の新基準が適用になることを考慮して、中小企業でも導入可能となるように安価な物質であるのが望ましい。例えば捕集効果の高い物質を含む廃棄物を捕集剤として使用することが可能であれば、コスト及びリサイクル促進の面で非常に有益である。
(5)捕集剤が無害であることが望ましい。フッ化物イオン捕集後の汚泥を再生処理して再び捕集剤として使用したり、コンクリートの混和剤などに再利用することを前提とすれば、捕集剤自身が有害な物質を含んでいないことが要求される。
以上のような観点から、本発明者らはフッ化物イオンの捕集剤として様々な無機化合物について検討し、アモルファス状の酸化チタン及び含水酸化物であるメタチタン酸がフッ素を低濃度まで処理できることを見出した。本発明者らは、また、処理濃度域の拡大及び処理コストの抑制の見地から、従来高濃度域のフッ化物イオンの処理に用いられている水酸化カルシウムとメタチタン酸とを組み合せて凝集剤として同時に用いた場合に優れたフッ素の捕集効果を見出した。
チタンはフッ化物イオン(F-)とより強い結合を生成するため、フッ化物イオンの捕集に有効であると考えられるが、廃液中のフッ素の捕集剤として実用化された例は知られていない。本発明では、フッ化物イオンの捕集剤として、酸化チタン(TiO2)に加えて含水酸化物の一種であり、両性イオン交換体のメタチタン酸(TiO(OH)2)を用いる。
二酸化チタン(TiO2)にはアナターゼ型、ルチル型、アモルファスの3タイプがあり、本発明者らはフッ素の捕集実験により、アナターゼ型及びルチル型は強酸性条件下であれば僅かにフッ化物イオンを捕集することを認めた。また、酸化マグネシウム(MgO)を除く酸化物では低濃度フッ化物イオンの捕集ができなかったが、アモルファスTiO2の場合にはpHが中性でも低濃度のフッ化物イオンを捕集することができることを見出した。また、pHが、1〜5、好ましくはpH3程度であれば、捕集前のフッ化物イオン濃度が3ppmのとき、NaF溶液100mlに対してアモルファスTiO20.1gを加えて捕集剤として用いることによって、廃液中のフッ化物イオンを0.1ppmまで低下させることができる。このようにアモルファスがアナターゼ型やルチル型TiO2より優れているのは、本発明をこれに限定するものではないが、表面の状態が異なっていることと、粒子径が0.05μmと非常に小さく、表面積が大きいことが影響しているものと考えられる。以上の通り、アモルファスTiO2は低濃度のフッ化物イオンの捕集に有効であることを確認した。
一方、メタチタン酸(TiO(OH)2)は捕集前のフッ化物イオン濃度が高濃度であっても低濃度であっても排水基準である8ppm以下まで安定にフッ化物イオンを捕集することができることを見出した。特に捕集前のフッ化物イオン濃度が3ppmの場合には、TiO(OH)2が乾燥状態であれば廃水100mlに対してメタチタン酸0.5gの添加でフッ化物イオン濃度を0.1ppmまで低下できた。このようにメタチタン酸は、捕集剤として使用されているPAC(ポリ塩化アルミニウム)とほぼ同程度の費用で廃水中のフッ素の処理可能であり、十分に実用化が可能である。
フッ化物イオンはTiO(OH)2のOH基又は製造工程由来の共存イオンとして多量に含まれるSO4 2-とのイオン交換によって捕集されると予測されるが、フッ化物イオン捕集量が増加するとともに遊離するSO4 2-変化量も増加する。フッ化物イオン捕集量が0.1[mol]まではSO4 2-とフッ化物イオンが1:2で交換する。また、フッ化物イオン捕集量とpHを比較したところ、SO4 2-と同様に捕集量の増加と共にpHも上昇した。これらのことからSO4 2-との交換とOH基との交換は同時に起きていると考えられる。
本発明に従ったTiO(OH)2によるフッ化物イオンの捕集では、振とう法、撹拌法のいずれとも5分間で捕集率が95%以上となり、捕集は短時間で行なわれる。共存イオンが存在する場合には、イオン交換反応が起こり難くなることが予想されるため、混合時間は2時間以上であることが望ましく、更に望ましくは2〜6である。フッ素捕集時のpHは周囲にOH基が多く存在するアルカリ性ではイオン交換反応が起こり難いため捕集率が低下するので、弱酸性領域(pH3〜5)であることが望ましい。また、温度を変化させて焼成したところ、捕集率は400℃以上で急激に減少した。これは三酸化イオウの脱離が起こり、硫酸イオンとフッ化物イオンが交換できないこと、さらには水酸基が減少したためと考えられる。このことから、乾燥温度は400℃までが望ましく、更に望ましくは25〜100℃である。更にTiO(OH)2に含まれるSO4 2-を除去すると、水及びNaOH溶液のどちらで洗浄した場合もTiO(OH)2中のSO4 2-が減少するにしたがってフッ化物イオンの捕集量が増加した。これは周囲に存在し、妨害をしていたと考えられるSO4 2-が取り除かれたためだと考えられる。
高濃度(例えば100ppm以上)のフッ化物イオンの場合には既存の除去処理で使用されている、例えばCa(OH)2の方が少量でより多くのフッ化物イオンを捕集した。しかしながらCa(OH)2では捕集できない低濃度(例えば10ppm以下、更に3ppm以下)の領域になるとTiO(OH)2のほうがより低濃度(例えば0.1ppm)までフッ化物イオンを捕集できる。そこでTiO(OH)2とCa(OH)2の併用について検討を行ったところ、Ca(OH)2を一定(1g)とし、TiO(OH)2の添加量(0.25〜4g)を変化させた場合には、TiO(OH)2を増やすと残存フッ化物イオン濃度は減少した。
また、工場排水中のフッ化物イオンの捕集ではTiO(OH)2とCa(OH)2との混合捕集剤のほうがよりフッ化物イオンを捕集し、広いpH範囲で高い捕集率が得られた。これは両者を混合することで共存イオンから受ける影響が軽減されたと予想される。以上のことからTiO(OH)2又はTiO(OH)2とCa(OH)2の混合捕集剤はフッ素処理設備での一段処理剤として利用可能であることを確認した。
本発明に従ったフッ素処理設備の一例を図1に示す。図1は本発明に従って工場排水を処理する場合の典型的なフローを示し、反応槽に排水を入れると共にフッ素捕集剤を注入する。これに、更に、凝集剤(ポリマー)を注入し、反応槽の上澄を上澄槽へ、そして沈降物は汚泥濃縮槽に移す。反応槽の汚泥は汚泥濃縮槽を経て脱水機で脱水してスラッジとして回収する。上澄は脱水機の水と一緒に上澄槽に入れ、ろ過を行い、ろ過水は放流槽に貯めてpH調簡を行い放流する。ろ過装置からの逆洗排水は反応槽に返送し、汚泥として処理する。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
実施例及び比較例
1.酸化物、水酸化物及び含水酸化物を用いたフッ化物イオン捕集実験
上記各種酸化物及び水酸化物を用いて以下の方法で低濃度(3ppm)のF-の捕集実験を行った。
Figure 0005072780
結果を表Iに示す。表Iにも示す通りMgOの効果が大きかった。この理由としてF-がMgOに吸着したためと考えられる。水酸化マグネシウムでも実験を行ったが低濃度領域では捕集されなかった。これは、水酸化物の水酸基とF-が交換し捕集されると考えたが、生成物の溶解度が高いため低濃度では捕集が困難であると考える。また、F-濃度を100ppmとして実験を行ったところ、F-濃度はMg(OH)2,FeO(OH)ではわずかに減少し、既存処理技術に用いられるCa(OH)2では5ppm程度まで減少した。
Figure 0005072780
一方、安価で高性能である物質での捕集という考えから廃棄物由来Ti化合物を実験に用いたところ、表Iに示す通り、メタチタン酸(TiO(OH)2)を用いたフッ化物イオン捕集実験では、F-濃度を環境基準、排水基準以下まで低下させることができた。このチタン化合物は水酸化チタン(Ti(OH)4)と酸化チタン(TiO2)の中間の物質であるメタチタン酸(別名:水和酸化チタン TiO(OH)2)である。また、F-との反応は(1)式のようにF-と水酸基のイオン交換反応であると推測することができる。
TiO(OH)2+2F-=TiOF2+2OH- (1)
一方、この結果はメタチタン酸の配位能により捕集が行われるとも考えられる。
TiO(OH)2+2F-=TiOF2(OH)2 (2)
従って、反応機構に関してはさらなる検討を必要とした。TiO2製造の中間物質として得られたTiO(OH)2について実験したところ、廃棄物由来Ti化合物と同等の捕集効果が得られたため、以下、前記中間物質として得られたTiO(OH)2を捕集剤として実験を行った。結果を図2に示す。
2.TiO(OH) 2 を用いたフッ化物イオン捕集の条件の検討
水酸基が多い状態であるとイオン交換が起こりにくくなるため捕集時のpHが上昇すると捕集率が低下した。このことから、捕集時のpH条件は中性〜酸性にすることとした(図3参照)。また、振とう時間の検討を行ったところ10分で捕集率が92%程度になり、30分以降はほぼ一定となった。このことから、振とう時間は120分とすることとした(図4参照)。
3.TiO(OH) 2 とCa(OH) 2 の比較
Ca(OH)2とTiO(OH)2の捕集能力の比較を以下の方法で行った(図5参照)。
実際にF-捕集剤として使用されているCa(OH)2は少量でも多くのF-を捕集するが、添加量を増加させても残存F-濃度を5ppm程度までしか低下できなかった。これに対しTiO(OH)2の場合、Ca(OH)2と比較すると0.5〜2gでは捕集能力は劣るが、それ以上の添加量であるとより低濃度まで処理できることを明らかにした。このことからTiO(OH)2はCa(OH)2よりも低濃度までF-を低減できることがわかった。しかし、高濃度の捕集では多くのTiO(OH)2を必要とすることから、既存の捕集剤と組み合わせて用いることが有効である。
4.TiO(OH) 2 による廃水中のフッ化物イオンの捕集
捕集剤としてTiO(OH)2を用いて、実際の工場排水のF-の捕集を行った。半導体製造関連企業で排出される廃水を用いて実用性について検討した。この廃水処理のフローを図6に示す。この処理技術はCa塩法とAl塩法を組み合わせた2段処理法であり、フッ化物イオンの処理方法としては広く用いられているものである。
Figure 0005072780
未処理廃水のそれぞれの濃度を表IIに示した。これはF-を含む廃酸であるため強酸性を示した。
この廃水にTiO(OH)2又は工場の廃水処理設備で実際に用いられているCa(OH)2(40wt%、石灰乳)を捕集剤として捕集実験を行った(図7参照)。NaF溶液の場合と同様にTiO(OH)2では、より低濃度までF-を捕集できることがわかった。
次にpH条件について検討した結果を図8に示す。Ca(OH)2は広範囲のpHで80%前後の捕集率が得られたが、pHを2以下にすることによって急激に減少した。反対にTiO(OH)2はpHが低い領域で高い捕集率を示したが、アルカリ性にすることによって徐々に捕集率が減少した。また、F-濃度が高い場合にはTiO(OH)2のみでの捕集はコストの面から困難であるためTiO(OH)2とCa(OH)2を1:1で混合して用いることを試験した。この実験でほとんどのpHで単独で使用した場合よりも高い捕集率が得られた。反応の最初にCa(OH)2の水酸基とF-の交換によってある程度捕集され、次にTiO(OH)2がF-を捕集していることが考えられる。しかし、TiO(OH)2とCa(OH)2の複合体が生成することによって捕集率の向上につながった可能性も考えられる。
以下に本発明の設備の一例について具体的に記載する。前提条件は、24時間稼働、フッ素濃度:1日平均20ppm、排出量:1日平均24m2、1時間平均1m2、放流基準:4ppm(20ppmを4ppmまで除去する。)(但し阻害イオンは無いものとする)、処理量1m2/1時間=24m2/日、20ppm−4ppm=16ppm(20mg/L−4mg/L)=16mg/L×10(定数)×1000=160,000mg/1000L=160g/m2(1回添加量)定数は10−40
(1)原水槽(移送ポンプ及びpH測定計を備える)
24m2×1.5日=36m2(1:2の分割槽)+空間容量(1.5日分とする。)
原水槽は、原水の均一化を図るため本来一日の総排水量以上を貯留する容量にすることが望ましいが、排水量によってはスペース、設備費用等過大になりすぎるため確保できない場合が多い。従って、一日単位の中で排出濃度の高い時間帯、また、排出量の多い時間帯を調査し、ピークロード排出量を決め、それを元に出来る限り大きな水槽容量を確保する必要がある。これは処理設備の容量を決定する一番の要素となるためである。原水の均一化を図ることは、安定処理が出来るということであり、イニシャルコストとしては処理設備全体の縮小化、制御装置の単一化等が考えられる。また、ランニングコストとしては、処理薬品の一定量添加を図ることができ、不安定添加による無駄、むら、無理が無くなり全ての薬品コストの軽減化に繋がる。
(2)流量調整槽(重力式移送、pH測定計、濃度測定計、レベル測定計を備える)
1m2+空間容量(1回分)
流量調整槽は、薬品添加等の調整は行わないが、パッチ式において非常に大切な役目を果たし、ある程度の原水の均一化や、次の処理に対する液質の測定、pH測定等予備調整の情報を得ることができる。槽容量は原水の均一化を図るために一バッチ以上の容量が望ましく、ここで原水の均一化が図れれば原水槽の容量決定にも影響し原水槽の縮小化ができることになる。
(3)反応槽(反応(撹拌)時間:30分)(撹拌機、移送ポンプ、pH測定計、濃度測定計、レベル測定計を備える)
1m2+空間容量(1回分)
反応槽は、一段凝集処理か二段凝集処理かによって、或いは薬品の添加タイミングで反応槽の数が決定する。容量は処理排水量と処理回数、処理時間で決定され、また、原水槽や流量調整槽の容量によって決定する。
(4)凝集沈殿槽(オーバーフロー式で、pH測定計を備える)
1m2×4時間=4m2(4時間分)
凝集沈殿槽の滞留時間と容量は、時間平均排水量の4時間以上が望ましく、水面積負荷によって決定する。凝集沈殿槽の管理は、最適凝集条件を維持することが最も重要であり、凝集試験によりその排水に最も適した凝集剤を選択し、添加量pH等の調整を行い放流水質基準を満足させなければならない。また、沈降したフロックは汚泥として排出するが、できるだけ高濃度で且つ過度の堆積がないよう、適切な間隔で引き抜かなければならない。
(5)最終放流槽(pH測定計、濃度測定計、オーバーフロー式)
1m2+空間容量(1時間分)
ここで言う最終放流槽は、フッ素排水処理を対象にした放流槽であって、その事業所が排出する全ての排水を集約する最終放流槽ではない。従って、ここで排出基準値を必ずしも満足させる必要はないが、総量規制の観点から考察すれば、その事業所が持つ全ての排水処理系ごとに排出基準値を満足させるように濃度の測定、pH測定等を日々管理できるようにすべきである。
(6)脱水機(全自動型フィルタープレス)
脱水設備は、凝集沈澱槽から回収された汚泥を個液分離し、含水率の少ないケーキ状の汚泥にし場外搬出する。また、ろ液は処理設備へ返送し再処理する設備である。
(7)ネオフィット溶解添加槽(撹拌機、添加ポンプを備える)
ペール缶20kg(35%スラリー)の4倍希釈を条件とする。20kg=約18L
18L×4=72L×2倍(追加溶解分容量)+空間容量(10日分(5日サイクル))
薬品溶解添加設備及びpH調整用薬品添加設備は、一定濃度、一定量で添加する必要があり、濃度を維持するためには、工業用水等を溶媒にしてそれぞれの薬品を規定量投入し溶解することで濃度の均一化と、一定量添加が出来ることになる。添加ポンプは、ダイヤフラムポンプ、ストロークポンプ等があるが、添加量、濃度によってその他のポンプの選定も考えられる。
(8)凝集剤溶解添加槽(複数の凝集剤を使用する場合は複数槽となる)
容量100Lで撹拌機及び添加ポンプを備える。
(9)pH調整用薬品溶解槽(2点支持の場合は2槽となる)
100Lで、撹拌機及び添加ポンプを備える。
以上の通り、本発明に従えば、比較的簡便な設備で、放出廃水中のフッ素を排出規制規準値以下に低減させることができるので、中小規模のフッ素排出業者にとって非常に重要な技術である。
本発明に従ったフッ素処理設備の一例を示すフローチャートである。 TiO(OH)2によるF-の捕集結果を示すグラフである。 TiO(OH)2によるF-の捕集に及ぼすpHの影響を示すグラフ図である。 TiO(OH)2によるF-の捕集に及ぼす振とう時間の影響を示すグラフ図である。 -の捕集に対するTiO(OH)2とCa(OH)2の比較を示すグラフ図である。 Ti(OH)2による廃水中のF-イオン捕集実験のフローを示す図面である。 Ti(OH)2及びCa(OH)2によるF-イオン捕集実験結果に及ぼす添加量の影響を示すグラフ図である。 Ti(OH)2及びCa(OH)2によるF-イオン捕集実験結果に及ぼすpHの影響を示すグラフ図である。

Claims (4)

  1. フッ化物イオンとして10ppm以下のフッ素を含む排水を、アモルファス酸化チタンを捕集剤として用いてpH1〜3で処理する排水中のフッ素の除去方法。
  2. フッ化物イオンとして10ppm以下のフッ素を含む排水を、メタチタン酸(TiO(OH) 2 捕集剤として用いて、pH2〜5処理する排水中のフッ素の除去方法。
  3. フッ化物イオンとして10ppm以下のフッ素を含む排水を、メタチタン酸(TiO(OH) 2 と水酸化カルシウムとを捕集剤として用いて、処理する排水中のフッ素の除去方法。
  4. フッ素を除去する条件がpH3〜9である請求項3に記載の方法。
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