JP5072533B2 - 運転支援装置および運転支援方法 - Google Patents

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Description

本発明は、運転支援装置および運転支援方法に関し、例えば、車庫や駐車場に車を入れるとき、運転者の運転操作を支援することができる運転支援装置に用いて好適なものである。
車両を狭い車庫や駐車スペースに入れるとき、運転者は周囲の物体と自車両とを接触させないように細心の注意をして運転しなければならず、熟練を要する。このような運転を支援するため、様々な技術が提案されている。例えば、車両に搭載した複数台のカメラにより車両周辺を撮像し、この撮像画像を視点変換処理することによって車両上方の仮想視点から見た画像(以下、車両周辺画像という)を形成して自車両の画像と共に表示するようにした技術が提案されている。この技術によれば、自車両の周囲の状態が当該自車両を中心とした実際の画像で表示されるため、運転者は周囲の障害物を画面上で確認しながら運転をすることができる。
さらに、ハンドルの操舵角の情報に基づいて、自車両を前方または後方側に進行させた場合の走行軌跡を予測し、当該予測された走行軌跡を車両周辺画像に重ねて表示するシステムが提案されている。また、自車両を後退させるときの運転者の運転を補助するためのシステムとして、ハンドルの操舵角の情報に基づいて自車両の後退軌跡を予測し、その後退軌跡をリアカメラから得られる映像に重ねて表示するシステムも提案されている。
このようなシステムでは、ハンドルの中立位置(各タイヤの向きが車体前後方向と揃うときのハンドル位置)を検出し、その中立位置を基準としたハンドルの操舵角を求めることにより、自車両の走行軌跡を予測している。すなわち、ハンドルが中立位置にあるときに車両は前方または後方に正しく直進するものとし、その中立位置に対するハンドルの操舵角に応じて車両の走行軌跡を予測している。ここで、ハンドルの中立位置は、以下のようにして検出される。例えば、ステアリングシャフトに組み込まれた角度センサによりハンドルの操舵角を検出するとともに、各タイヤに取り付けた回転速度センサによりタイヤ毎の回転速度を検出する。そして、タイヤ毎の回転速度差がないときのハンドルの操舵角の位置を、ハンドルの中立位置としている。
しかしながら、ハンドルが中立位置にあっても、実際に車両が正しい状態で直進走行しているとは限らない場合がある。例えば、各タイヤの空気圧が同じでなかったり、左右の車両重量バランス差により各タイヤの軸から接地面までの距離が同じにならなかったりすることにより、ハンドルを中立位置にした場合でも、実際には車両が前方または後方に正しく直進走行していないときが挙げられる。この場合、中立位置を基準としたハンドルの操舵角の情報に基づいて生成される予測走行軌跡は、実際の自車両の走行軌跡と異なってしまうという問題があった。
なお、車両が正しい状態で直進していることを検出し、そのときのハンドルの位置を中立位置として求めるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、特許文献1に記載の技術では、まず、車両に搭載されたカメラにより一定時間間隔で撮像された路面画像から路面に設置されたレーンマーカの位置をそれぞれ検出する。次に、検出されたレーンマーカの位置のデータに基づいて、一定時間内におけるレーンマーカの位置の変位量を算出し、算出された変位量と予め設定された所定の閾値とを対比する。もし、算出された変位量が所定の閾値以下の場合には、現在、車両が正しく直進進行中であると判断し、当該車両に搭載された操舵角センサの出力値に対応する車両のハンドルの位置をハンドルの中立位置として求めるようにしている。
特開2005−335573号公報
特許文献1に記載の技術を用いれば、各タイヤの向きが車体前後方向と揃っていないながらも、車両が正しい状態で直進走行していることを検出し、そのときのハンドルの位置を中立位置として求めることが可能となり、自車両を進行させた場合の予測走行軌跡は、実際の自車両の走行軌跡と一致したものとなる。しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いて求められたハンドルの中立位置は、本来意味するところの「各タイヤの向きが車体前後方向と揃うときのハンドル位置」とはかけ離れたものとなってしまう。そうすると、車両の走行制御にハンドルの中立位置を使用している車両制御装置の動作に影響を与えてしまうという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、車両制御装置の動作に影響を与えることなく車両の予測走行軌跡を正しく生成することができるようにすることを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明では、車両周辺画像内に含まれる道路上の特徴領域の軌跡の直進性があると判定された場合に、当該特徴領域の軌跡を用いて車両の予測走行軌跡を補正するための補正値を求め、当該補正値と操舵角検出部により検出される車両のステアリング操舵角とに基づいて、車両の予測走行軌跡を生成するようにしている。ここで、特徴領域の軌跡の方向と車両の前後方向とが一致するか否かを判定し、一致する場合には、車両のステアリング操舵角を取得し、その取得した車両のステアリング操舵角に基づき補正値を求める。
上記のように構成した本発明によれば、道路上の特徴領域の軌跡から求められた補正値とステアリング操舵角とに基づいて、車両の予測走行軌跡が補正されるため、ハンドルを中立位置にした場合に実際には車両が正しい状態で直進走行していないときでも、本来意味するところのハンドルの中立位置を補正することなく正しい予測走行軌跡を生成することができる。これにより、車両制御装置の動作に影響を与えることなく車両の予測走行軌跡を正しく生成することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下、本実施形態という)を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による運転支援装置100の構成例を示す図である。図1に示すように、運転支援装置100は、車両の予測走行軌跡を生成してモニタ180に表示するための装置であり、本実施形態では、車両に搭載されて利用される。車両は、運転支援装置100の他に、走行速度検出部120、撮像部140、操舵角検出部160およびモニタ180を備えている。
走行速度検出部120は、車両の走行速度を検出する。本実施形態では、走行速度検出部120は、車両の各タイヤに取り付けられた回転速度センサの検出結果に基づいて車両の走行速度を検出する。
撮像部140は、車両の前後左右に設置された4つの撮像装置からなり、車両の周辺において複数箇所をフロントビュー画像、左サイドビュー画像、右サイドビュー画像およびバックビュー画像として撮像する。具体的には、撮像部140は、自車両の前方を撮影するためのフロントカメラ、自車両の左側方を撮影するための左サイドカメラ、自車両の右側方を撮影するための右サイドカメラおよび自車両の後方を撮影するためのバックカメラを備えて構成されている。なお、撮像部140の各撮像装置で撮影したい範囲は主に自車両周辺の路面である。そのため、各撮像装置は、その撮影範囲に路面が多く含まれるような姿勢で車両に設置される。
操舵角検出部160は、車両のステアリング操舵角を検出する。本実施形態では、操舵角検出部160は、ステアリングシャフトに組み込まれた角度センサの検出結果に基づいて車両のステアリング操舵角を検出する。モニタ180は、運転支援装置100により出力された運転支援画像を表示する。ここで、運転支援画像とは、車両の予測走行軌跡(自車両を走行させた場合に予測される車両の走行軌跡)を運転支援装置100の車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像に重畳した画像のことをいう。
次に、運転支援装置100の内部構成について説明する。運転支援装置100は、撮像制御部200、車両周辺画像生成部220、軌跡抽出部240、直進性判定部260、補正値算出部280、補正値記憶部300、予測走行軌跡生成部320、運転支援画像生成部340および運転支援画像出力部360を備えて構成される。
撮像制御部200は、撮像部140に含まれる複数の撮像装置に車両周囲の画像を撮像させる制御を行う。本実施形態では、撮像制御部200は、走行速度検出部120により検出された車両の走行速度に応じて、撮像部140の各撮像装置のシャッター速度および撮影タイミング(複数枚の画像を撮像する場合にシャッターを切る時間間隔)等を制御する。
車両周辺画像生成部220は、撮像部140に含まれる複数の撮像装置によって撮像された車両周囲の画像を視点変換処理することにより、車両の上方の仮想視点から見た車両周辺画像を生成する。図2は、本実施形態による車両周辺画像の例を示す図である。図2に示すように、車両周辺画像は、車両周囲の各画像(フロントビュー画像、左サイドビュー画像、右サイドビュー画像、バックビュー画像)をそれぞれ視点変換処理した画像500(フロントビュー画像に対応)、520(左サイドビュー画像に対応)、540(右サイドビュー画像に対応)および560(バックビュー画像に対応)を繋ぎ合わせ、その中心に車両の画像580を合成することにより生成される。
軌跡抽出部240は、車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像の一部分(本実施形態では、画像500)内に含まれる道路上の特徴領域の軌跡を抽出する。ここで、特徴領域とは、道路上の細かい凹凸や模様等であって、周辺領域と明らかに区別できる特徴を持った領域のことをいう。また、特徴領域の軌跡とは、車両周辺画像上における特徴領域の動きを表す跡のことをいう。
直進性判定部260は、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡に直進性があるか否かを判定する。ここで、特徴領域の軌跡に直進性があるとは、当該特徴領域の軌跡がある方向に向かってまっすぐ直線状に伸びていることをいう。一方、特徴領域の軌跡に直進性がないとは、当該特徴領域の軌跡がある方向に向かってまっすぐ直線状に伸びておらず、例えば、特徴領域の軌跡内にぎざぎざの部分や湾曲した部分等の非直線部分が含まれていることをいう。例えば、車両が左折または右折をする場合、特徴領域の軌跡は曲線になる。また、道路に凹凸等があって当該道路上を走行する車両が揺れている場合、特徴領域の軌跡はぎざぎざになる。
補正値算出部280は、直進性判定部260により特徴領域の軌跡に直進性があると判定された場合に限って、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡を用いて、車両の予測走行軌跡を補正するための補正値を求めて補正値記憶部300に記憶させる。ここで、補正値を求める条件を特徴領域の軌跡に直進性があると判定された場合に限る理由は、そのときにこそ本来意味するところの(ハンドルの)中立位置からの一定な誤差量が現れ、正確に補正値を求めることが可能となるからである。
補正値算出部280は、特徴領域の軌跡の方向が車両の前後方向(例えば、図2の車両周辺画像において車両の画像580の上端面と下端面とを直線で垂直に結んだ方向)と一致するか否かを判定する。ここで、特徴領域の軌跡が車両の前後方向と一致するとは、例えば、特徴領域の軌跡の方向に対する車両の前後方向の傾きが所定角度(例えば、1度)未満であることをいう。一方、特徴領域の軌跡が車両の前後方向と一致しないとは、例えば、特徴領域の軌跡の方向に対する車両の前後方向の傾きが所定角度以上であることをいう。
ハンドルが中立位置にあっても車両の重量バランスやタイヤの空気圧等により車両の前後方向に正しく直進しない場合、特徴領域の軌跡が車両の前後方向と一致するのは、ハンドルを切った状態で車両が道路の車両進行方向に沿って直進している状況のときである。一方、特徴領域の軌跡が車両の前後方向と一致しないのは、ハンドルを切らない状態で車両が道路の車両進行方向に対して斜めに直進している状況のときである。
補正値算出部280は、例えば、特徴領域の軌跡が車両の前後方向と一致する場合には操舵角検出部160から車両のステアリング操舵角(本実施形態では、ハンドルの中立位置を基準として時計回り方向を正の値とする)を取得し、そのステアリング操舵角を逆符号にした値を補正値として求める。例えば、ハンドルを中立位置から半時計回り方向(負の方向)にX度切ったときの補正値は+X度になり、ハンドルを中立位置から時計回り方向(正の方向)にX度切ったときの補正値は−X度になる。
一方、特徴領域の軌跡が車両の前後方向と一致しない場合には、補正値算出部280は、車両の前後方向に対する特徴領域の軌跡の傾き角度(本実施形態では、車両の前後方向を基準として半時計回り方向を正の値とする)を補正値として求める。例えば、ハンドルが中立位置にあって車両が右斜めに直進しているときの補正値は+X度になり、車両が左斜めに直進しているときの補正値は−X度となる。
予測走行軌跡生成部320は、補正値算出部280により求められた補正値および操舵角検出部160により検出される車両のステアリング操舵角に基づいて、車両の予測走行軌跡を生成する。具体的には、予測走行軌跡生成部320は、操舵角検出部160により検出される車両のステアリング操舵角に、補正値記憶部300に記憶された補正値(角度)を加算した角度(加算角度)に基づいて、車両の予測走行軌跡を生成する。
例えば、ハンドルの中立位置を基準として時計回り方向を正(半時計回り方向を負)とした場合、車両のステアリング操舵角が−X度であり、補正値記憶部300に記憶された補正値が+X度であるとき、予測走行軌跡生成部320は、加算角度(0度=−X+X)に基づいて、車両の前後方向に伸びる直線状の予測走行軌跡を生成する。また、車両のステアリング操舵角が+X度であり、補正値記憶部300に記憶された補正値が−Y度であるとき、予測走行軌跡生成部320は、加算角度である(X−Y)度に基づいて、車両の前後方向に対して湾曲した予測走行軌跡を生成する。
運転支援画像生成部340は、予測走行軌跡生成部320により生成された予測走行軌跡を車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像に重畳した運転支援画像を生成する。運転支援画像出力部360は、運転支援画像生成部340により生成された運転支援画像をモニタ180に出力する。
以下に、車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像から車両の予測走行軌跡を補正するための補正値を求めるまでの動作について具体的に説明する。撮像部140の各撮像装置が所定速度(例えば、1/60[秒])より低速なシャッター速度を用いて車両周囲の画像を撮像する場合および撮像部140の各撮像装置が所定速度(例えば、1/30[秒])より高速なシャッター速度を用いて車両周囲の画像を所定時間間隔毎に複数撮像する場合について説明する。
まず、撮像部140の各撮像装置がある速度より低速なシャッター速度を用いて車両周囲の画像を撮像する場合について説明する。図3は、その場合に車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像内に含まれる道路上の特徴領域の軌跡と補正値の例を示す図である。そのうち、図3(a)、(b)は、車両周辺画像内に含まれる道路上の特徴領域の軌跡の例を示した図である。図3(e)に示すように車両が道路680の車両進行方向700に沿って直進しているときは図3(a)のような車両周辺画像になり、図3(f)に示すように車両が道路680の車両進行方向700に対して斜めに直進しているときは図3(b)のような車両周辺画像になる。なお、図3(a)、(b)に示す特徴領域の軌跡は、直進性判定部260により直進性があると判定された軌跡である。
図3(a)に示す車両周辺画像600には、道路上の特徴領域が1本の軌跡620として車両周辺画像600の上下方向に流れているように撮像されている。特徴領域が流れるように写されているのは、車両が道路を走行することにより、シャッターが比較的長く開いている時間(露光時間)中に道路上の特徴領域が撮影範囲内を相対的に移動するためである。また、図3(b)に示す車両周辺画像600には、道路上の特徴領域が1本の軌跡640として車両周辺画像600の斜め方向に流れているように撮像されている。
このように、撮像部140の各撮像装置が所定速度より低速なシャッター速度を用いて車両周囲の画像を撮像する場合、軌跡抽出部240は、車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像600から、車両周辺画像600内に含まれる道路上で特徴領域が流れるように写っている部分を特徴領域の軌跡620、640として抽出する。
この後の運転支援装置100の動作として、補正値算出部280は、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡620、640の方向が車両の前後方向と一致するか否かを判定し、その判定結果に応じて、図3(c)または図3(d)の何れかに示す方法によって補正値を求める。
図3(c)は、図3(a)に示す車両周辺画像600内の道路上の特徴領域の軌跡620の方向と、車両の前後方向660との関係を示した図である。図3(c)に示すように、道路上の特徴領域の軌跡620の方向と車両の前後方向660とが一致する場合には、補正値算出部280は、操舵角検出部160から車両のステアリング操舵角を取得し、その取得したステアリング操舵角を逆符号にした値を補正値として求める。
図3(d)は、図3(b)に示す車両周辺画像600内の道路上の特徴領域の軌跡640の方向と、車両の前後方向660との関係を示した図である。図3(d)に示すように、道路上の特徴領域の軌跡640の方向と車両の前後方向660とが一致しない場合には、補正値算出部280は、車両の前後方向660に対する特徴領域の軌跡640の傾き角度を補正値として求める。
具体的には、車両の前後方向660に対する特徴領域の軌跡640の傾き角度は、以下のようにして求められる。つまり、図3(d)に示すように、傾き角度(θ)は、車両周辺画像600の上下方向の長さ(a)と、車両周辺画像600の上端における軌跡640の左右方向の位置と車両周辺画像600の下端における軌跡640の左右方向の位置との差分の長さ(b)とを用いて以下の式(1)で求められる。
θ=tan−1(b/a)・・・(1)
次に、撮像部140の各撮像装置が所定速度より高速なシャッター速度を用いて車両周囲の画像を所定時間間隔毎に複数撮像する場合について説明する。図4は、その場合に車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像内に含まれる道路上の特徴領域を示す図である。
本実施形態では、図4(a)〜(e)に示すように、複数の車両周辺画像701〜705の上端部分から下端部分に向けて認識ライン1、認識ライン2、認識ライン3、認識ライン4、認識ライン5が等間隔で設けられている。各認識ライン間の間隔の長さはdである。
撮像部140の各撮像装置は、各認識ライン1〜5上に特徴領域720が位置するタイミングを見計って車両周囲の画像を撮像する。すなわち、撮像制御部200は、走行速度検出部120により検出された車両の走行速度に応じて、撮像装置により車両周囲の画像を撮像する場合における所定時間間隔を変更する。このようにすれば、車両周辺画像内において道路上の特徴領域720を認識ライン1〜5に合わせて撮像することができる。
また、撮像制御部200は、走行速度検出部120により検出された車両の走行速度に応じて、撮像装置により車両周囲の画像を撮像する場合におけるシャッター速度も合わせて変更するようにして良い。このようにすれば、車両の走行速度が高速である場合、シャッター速度を速くすることにより、図4に示すように、車両が走行することによって移動する道路上の特徴領域720の一瞬の状態を確実に撮像することができる。
図6は、車両走行速度およびシャッター速度と車両周辺画像における道路上の特徴領域の移動量との関係を示す図である。ここで、車両周辺画像における1画素あたりの路面の大きさは、0.025[m]×0.025[m]とする。
例えば、車両の走行速度が時速10kmの場合、撮像装置に1/60[秒]より高速なシャッター速度(例えば、1/125[秒])を用いれば、車両周辺画像における道路上の特徴領域の移動量は0.022[m] < 0.025[m](車両周辺画像における1画素の縦方向の長さ)となるため、車両周辺画像に道路上の特徴領域の流れは現れない。一方、撮像装置に1/60[秒]を含めてそれより低速なシャッター速度(例えば、1/30[秒])を用いれば、車両周辺画像における道路上の特徴領域の移動量は0.093[m] > 0.025[m]となるため、車両周辺画像における道路上の特徴領域の流れが現れる。つまり、車両の走行速度が時速10kmの場合、撮像装置により車両周囲の画像を撮像する場合におけるシャッター速度を1/60[秒]より高速にすることで、道路上の特徴領域720の一瞬の状態を確実に撮像することができる。
また、車両の走行速度が時速30kmの場合、撮像装置に1/250[秒]より高速なシャッター速度(例えば、1/500[秒])を用いれば、車両周辺画像における道路上の特徴領域の移動量は0.017[m] < 0.025[m]となるため、車両周辺画像における道路上の特徴領域の流れは現れない。一方、撮像装置に1/250[秒]秒を含めてそれより低速なシャッター速度(例えば、1/125[秒])を用いれば、車両周辺画像における道路上の特徴領域の移動量は0.067[m] > 0.025[m]となるため、車両周辺画像における道路上の特徴領域の流れが現れる。つまり、車両の走行速度が時速30kmの場合、撮像装置により車両周囲の画像を撮像する場合におけるシャッター速度は1/250[秒]より高速にすることで、道路上の特徴領域720の一瞬の状態を確実に撮像することができる。
図4(a)に示す1枚目の車両周辺画像701は、撮像部140の各撮像装置がある時間t1において認識ライン1上に位置する特徴領域720を撮像したときのものである。図4(b)に示す2枚目の車両周辺画像702は、撮像部140の各撮像装置が時間t2(=t1+Δt)において認識ライン2上に位置する特徴領域720を撮像したときのものである。つまり、撮像部140の各撮像装置は、特徴領域720が認識ライン1から認識ライン2までの距離dを移動するために必要な時間Δtを走行速度検出部120により検出された車両の走行速度から割り出して、当該割り出した時間Δt後に車両周囲の画像を撮像する。以下、撮像部140の各撮像装置は、車両周辺画像内の認識ライン3〜5上に特徴領域720が位置するタイミングで同様に撮像する。
図4(c)に示す3枚目の車両周辺画像703は、撮像部140の各撮像装置が時間t3(=t2+Δt)において認識ライン3上に位置する特徴領域720を撮像したときのものである。図4(d)に示す4枚目の車両周辺画像704は、撮像部140の各撮像装置が時間t4(=t3+Δt)において認識ライン4上に位置する特徴領域720を撮像したときのものである。図4(e)に示す5枚目の車両周辺画像705は、撮像部140の各撮像装置が時間t5(=t4+Δt)において認識ライン5上に位置する特徴領域720を撮像したときのものである。
図5は、所定速度より高速なシャッター速度を用いて車両周囲の画像を撮像した場合、車両周辺画像内に含まれる道路上の特徴領域の軌跡例を示す図である。そのうち、図5(a)、(b)は、各認識ライン1〜5上に特徴領域720が位置した際に撮像された車両周囲の画像に基づいて、車両周辺画像生成部220により生成された複数の車両周辺画像を重畳した重畳画像を示す図である。図5(e)に示すように車両が道路820の車両進行方向840に沿って直進しているときは図5(a)のような重畳画像になり、図5(f)に示すように車両が道路820の車両進行方向840に対して斜めに直進しているときは図5(b)のような重畳画像になる。
図5(a)には、複数の特徴領域720を繋いだ1本の軌跡740を示している。図5(b)には、複数の特徴領域760を繋いだ1本の軌跡780を示している。なお、図5(a)、(b)に示す特徴領域の軌跡740、780は、直進性判定部260により直進性があると判定された軌跡である。このときの運転支援装置100の動作として、軌跡抽出部240は、車両周辺画像生成部220により生成された複数の車両周辺画像から各車両周辺画像における道路上の特徴領域720、760をそれぞれ抽出する。そして、軌跡抽出部240は、抽出された各車両周辺画像における道路上の特徴領域720、760を繋いだ軌跡740、780を特徴領域の軌跡として抽出する。
この後の運転支援装置100の動作として、補正値算出部280は、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡740、780の方向が車両の前後方向800と一致するか否かを判定し、その判定結果に応じて、図5(c)または図5(d)の何れかに示す方法によって補正値を求める。
図5(c)は、図5(a)に示す道路上の特徴領域の軌跡740の方向と、車両の前後方向800との関係を示した図である。図5(c)に示すように、道路上の特徴領域の軌跡740の方向と、車両の前後方向800とが一致する場合には、補正値算出部280は、操舵角検出部160から車両のステアリング操舵角を取得し、その取得したステアリング操舵角を逆符号にした値を補正値として求める。
図5(d)は、図5(b)に示す道路上の特徴領域の軌跡780の方向と、車両の前後方向800との関係を示した図である。図5(d)に示すように、道路上の特徴領域の軌跡780の方向と、車両の前後方向800とが一致しない場合には、補正値算出部280は、車両の前後方向800に対する特徴領域の軌跡780の傾き角度を補正値として求める。
具体的には、車両の前後方向800に対する特徴領域の軌跡780の傾き角度は、以下のようにして求められる。つまり、図5(d)に示すように、傾き角度(θ)は、認識ライン1から認識ライン5までの上下方向の長さ(a)と、認識ライン1における特徴領域の軌跡780の左右方向の位置と認識ライン5における特徴領域の軌跡780の左右方向の位置との差分の長さ(b)とを用いて以下の式(2)で求められる。
θ=tan−1(b/a)・・・(2)
次に、本実施形態における運転支援装置100の動作について説明する。図7は、本実施形態による運転支援装置100の動作例を示すフローチャートである。図7(a)における各処理は、車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像から車両の予測走行軌跡を補正するための補正値を求める場合における運転支援装置100の処理内容を示しており、例えば、ユーザによる操作部(図示せず)の操作を介して補正値算出機能の実行要求を受け付けることによりステップS100の処理は開始する。
まず、車両周辺画像生成部220は、撮像部140に含まれる複数のカメラによって撮像された車両周囲の画像を視点変換処理することにより、車両の上方の仮想視点から見た車両周辺画像を生成する(ステップS100)。次に、軌跡抽出部240は、車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像から当該車両周辺画像内に含まれる道路上の特徴領域の軌跡を抽出する(ステップS120)。
次に、直進性判定部260は、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡に直進性があるか否かを判定する(ステップS140)。もし、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡に直進性がないと直進性判定部260にて判定した場合(ステップS140にてNO)、処理はステップS100に遷移する。
一方、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡に直進性があると直進性判定部260にて判定した場合(ステップS140にてYES)、補正値算出部280は、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡が車両の前後方向と一致するか否かを判定する(ステップS160)。もし、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡が車両の前後方向と一致すると補正値算出部280にて判定した場合(ステップS160にてYES)、補正値算出部280は、操舵角検出部160から車両のステアリング操舵角を取得し、そのステアリング操舵角を逆符号にした値を車両の予測走行軌跡を補正するための補正値として補正値記憶部300に記憶させる(ステップS180)。
一方、軌跡抽出部240により抽出された特徴領域の軌跡が車両の前後方向と一致しないと補正値算出部280にて判定した場合(ステップS160にてNO)、補正値算出部280は、車両の前後方向に対する特徴領域の軌跡の傾き角度を求め、当該傾き角度を車両の予測走行軌跡を補正するための補正値として補正値記憶部300に記憶させる(ステップS200)。ステップS180またはステップS200における処理が終了することにより、運転支援装置100は、図7(a)における処理を終了する。
図7(b)における各処理は、車両の予測走行軌跡を生成する場合における運転支援装置100の処理内容を示しており、例えば、車両のギアシフト操作によって、ギアが「D(前進)」から「R(後退)」に変更された場合、ステップS300の処理は開始する。
まず、車両周辺画像生成部220は、撮像部140に含まれる複数の撮像装置によって撮像された車両周囲の画像を視点変換処理することにより、車両の上方の仮想視点から見た車両周辺画像を生成する(ステップS300)。次に、予測走行軌跡生成部320は、補正値記憶部300に記憶された補正値および操舵角検出部160により検出される車両のステアリング操舵角に基づいて、車両の予測走行軌跡を生成する(ステップS320)。
次に、運転支援画像生成部340は、予測走行軌跡生成部320により生成された予測走行軌跡を車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像に重畳した運転支援画像を生成する(ステップS340)。最後に、運転支援画像出力部360は、運転支援画像生成部340により生成された運転支援画像をモニタ180に出力する(ステップS360)。これにより、運転支援装置100は、図7(b)における処理を終了する。
以上詳しく説明したように、本実施形態では、補正値算出部280が、車両周辺画像内に含まれる道路上の特徴領域の軌跡を用いて車両の予測走行軌跡を補正するための補正値を求め、予測走行軌跡生成部320が、当該補正値と操舵角検出部160により検出される車両のステアリング操舵角とに基づいて、車両の予測走行軌跡を生成している。これにより、ハンドルを中立位置にした場合に実際には車両が正しい状態で直進走行していないときでも、本来意味するところのハンドルの中立位置を補正することなく正しい予測走行軌跡を生成することができる。
なお、本実施形態では、軌跡抽出部240が車両周辺画像生成部220により生成された車両周辺画像の一部分(本実施形態では、画像500)内に含まれる道路上から特徴領域の軌跡を抽出する例について説明したが、当該車両周辺画像の一部分は、画像500の代わりに画像520、画像540または画像560を利用してもよい。
また、本実施形態では、撮像部140の各撮像装置が所定速度より高速なシャッター速度を用いて車両周囲の画像を所定時間間隔毎に複数撮像する場合、車両周辺画像生成部220により生成される車両周辺画像701〜705の上端部分から下端部分に向けて認識ライン1〜5を設ける例について説明したが、設ける認識ラインの数は5つに限らない。例えば、車両周辺画像700に設ける認識ラインの数は、5つ未満であってもよいし、または6つ以上であってもよい。
また、車両周辺画像に設けられる認識ライン1〜5の位置は固定の位置でなくても良い。例えば、1枚目の車両周辺画像の上方において特徴領域が写っているラインを画像認識により認識ライン1として設定し、順に認識ライン2、認識ライン3、認識ライン4、認識ライン5を等間隔に設けるようにしてもよい。また、車両周辺画像に設けられる認識ライン1〜5の幅は固定の幅でなくても良い。
また、本実施形態では、車両周辺画像701〜705が、各認識ライン1〜5上に特徴領域720が位置するタイミングを見計って撮像部140の各撮像装置により撮像された車両周囲の画像に基づいて生成されたものである例について説明したが、これに限定されない。例えば、車両周辺画像701〜705は、撮像部140の各撮像装置により任意のタイミングで高速な時間間隔で撮像された車両周囲の画像に基づいて生成された複数(少なくとも6つ以上)の車両周辺画像の中から、各認識ライン701〜705に特徴領域720がちょうど写っているものとして適宜選択されたものであってもよい。
また、本実施形態では、図7(a)のフローチャートにおいて、ステップS160における判断によりその後の処理を場合分けしているが、ステップS160の後の処理はどちらか一方だけでもよい。例えば、ステップS160における判断結果がYESの場合には次の処理はステップS180に遷移し、ステップS160における判断結果がNOの場合には次の処理はステップS100に遷移するようにしてもよい。また、ステップS160における判断結果がNOの場合には次の処理はステップS200に遷移し、ステップS160における判断結果がYESの場合には次の処理はステップS100に遷移するようにしてもよい。
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本実施形態による運転支援装置のブロック構成例を示す図である。 本実施形態による車両周辺画像の例を示す図である。 本実施形態による道路上の特徴領域の軌跡と補正値の例を示す図である。 本実施形態による道路上の特徴領域の例を示す図である。 本実施形態による道路上の特徴領域の軌跡と補正値の例を示す図である。 車両走行速度およびシャッター速度と車両周辺画像における道路上の特徴領域の移動量との関係を示す図である。 本実施形態による運転支援装置の動作例を示すフローチャートである。
符号の説明
100 運転支援装置
120 走行速度検出部
140 撮像部
160 操舵角検出部
200 撮像制御部
220 車両周辺画像生成部
240 軌跡抽出部
260 直進性抽出部
280 補正値算出部
320 予測走行軌跡生成部

Claims (3)

  1. 車両の異なる場所に設置された複数の撮像装置によって撮像された車両周囲の画像を視点変換処理することにより、前記車両の上方の仮想視点から見た車両周辺画像を生成する車両周辺画像生成部と、
    前記車両周辺画像生成部により生成された車両周辺画像から当該車両周辺画像内に含まれる道路上の特徴領域の軌跡を抽出する軌跡抽出部と、
    前記軌跡抽出部により抽出された前記特徴領域の軌跡の直進性があるか否かを判定する直進性判定部と、
    前記直進性判定部により前記特徴領域の軌跡の直進性があると判定された場合に限って、前記軌跡抽出部により抽出された前記特徴領域の軌跡を用いて、前記車両の予測走行軌跡を補正するための補正値を求める補正値算出部と、
    前記補正値算出部により求められた前記補正値および操舵角検出部により検出される前記車両のステアリング操舵角に基づいて、前記車両の予測走行軌跡を生成する予測走行軌跡生成部とを備え、
    前記補正値算出部は、前記軌跡抽出部により抽出された前記特徴領域の軌跡の方向と前記車両の前後方向とが一致するか否かを判定し、前記特徴領域の軌跡の方向と前記車両の前後方向とが一致する場合には前記操舵角検出部から前記車両のステアリング操舵角を取得し、その取得した前記車両のステアリング操舵角に基づき前記補正値を求めることを特徴とする運転支援装置。
  2. 請求項1に記載の運転支援装置において、
    前記補正値算出部は、前記特徴領域の軌跡の方向と前記車両の前後方向とが一致しない場合には前記車両の前後方向に対する前記特徴領域の軌跡の傾き角度に基づき前記補正値を求めることを特徴とする運転支援装置。
  3. 車両の異なる場所に設置された複数の撮像装置によって撮像された車両周囲の画像を視点変換処理することにより、前記車両の上方の仮想視点から見た車両周辺画像を生成する第1のステップと、
    前記第1のステップにより生成された車両周辺画像から当該車両周辺画像内に含まれる道路上の特徴領域の軌跡を抽出する第2のステップと、
    前記第2のステップにより抽出された前記特徴領域の軌跡の直進性があるか否かを判定する第3のステップと、
    前記第3のステップにより前記特徴領域の軌跡の直進性があると判定された場合に限って、前記第2のステップにより抽出された前記特徴領域の軌跡を用いて、前記車両の予測走行軌跡を補正するための補正値を求める第4のステップと、
    前記第4のステップにより求められた前記補正値および操舵角検出部により検出される前記車両のステアリング操舵角に基づいて、前記車両の予測走行軌跡を生成する第5のステップとを備え、
    前記第4のステップでは、前記第2のステップにより抽出された前記特徴領域の軌跡の方向と前記車両の前後方向とが一致するか否かを判定し、前記特徴領域の軌跡の方向と前記車両の前後方向とが一致する場合には前記操舵角検出部から前記車両のステアリング操舵角を取得し、その取得した前記車両のステアリング操舵角に基づき前記補正値を求めることを特徴とする運転支援方法。
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