JP5072139B2 - 微弱信号抽出用フィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部で縦続接続される複数のSAWフィルタが1つの容器に搭載された弾性表面波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、SAWフィルタ(以下、SAWフィルタと称す)素子は多くの通信分野で用いられ、高性能、小型、量産性等の特徴を有することから携帯電話等の普及の一翼を担っている。そして、これらの小型、高性能化の要求はますます厳しさを増し、複数の表面波フィルタを1つの容器に搭載した製品も製品化されている。
【0003】
複数のSAWフィルタを1つの容器に搭載した製品としては、これまで、受信周波数帯と送信周波数帯の信号を分離するデュプレクサや複数の周波数帯の信号を分離するデュアルバンド、あるいはトリプルバンドの弾性表面波装置が存在している。
【0004】
これらのデュプレクサ、微弱信号抽出用フィルタ等に用いられる弾性表面波装置を小型化するためには、例えば、前段のSAWフィルタと後段SAWフィルタとを同一容器に搭載することが考えられるが、従来から存在していた、デュプレクサやデュアルバンド、あるいはトリプルバンドの弾性表面波装置は、各SAWフィルタ素子が互いに異なる中心周波数を有しており、しかも片側のSAWフィルタ素子が駆動時には、他のSAWフィルタ素子は駆動しておらず、相互のSAWフィルタの電磁的干渉は大きな問題とはならなかった。
【0005】
また、デュプレクサやデュアルバンド、あるいはトリプルバンドの弾性表面波装置は、駆動する1つのSAWフィルタ素子における入力外部端子と出力外部端子間のアイソレーションがフィルタの減衰量にほぼ支配されているものが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、微弱信号抽出用フィルタのように前段のSAWフィルタと後段のSAWフィルタとを外部配線に接続されたアンプを介して縦続接続して用いる構成の弾性表面波装置においては、各々のSAWフィルタ素子の入力外部端子と出力外部端子間のアイソレーションが十分であっても、互いのSAWフィルタ素子間のアイソレーションが不充分であると、例えば、2つのSAWフィルタ素子を縦続結合した場合の減衰量は、相互干渉により2つのSAWフィルタの各々から期待できる減衰量をそのまま得る事が出来ないという問題点がある。
【0007】
さらに、これまでは、各SAWフィルタ素子間のアイソレーションは殆ど問題とされていなかった為、その入力外部端子と出力外部端子の配置に関しては、配線基板に実装するユーザで使い勝手を優先して考えられていた。その結果、縦続接続して用いる前段のSAWフィルタ素子と後段のSAWフィルタ素子が1つの容器に搭載された弾性表面波においては、図14に示すように前段のSAWフィルタ素子100の入力外部端子41と後段のSAWフィルタ素子200の出力外部端子44が容器300の同一側面側に配置されていた。
【0008】
上述のようなSAWフィルタ素子の相互の干渉を低減する方法としては、例えば、特開平11−205077号などに開示されている。
【0009】
同号公報の技術は、2つのSAWフィルタ素子を容器のキャビティー部内に収容し、前記容器の入力パッド、出力パッド、グランドパッドとSAWフィルタ素子の入力電極、出力電極、グランド電極とを電気的に接続して弾性表面波装置を構成したものである。特に、前記容器のキャビティー部内に複数のグランドパッドを設け、一方のSAWフィルタ素子のグランド電極と他方のSAWフィルタ素子のグランド電極とを別のグランドパッドに接続することが開示されている。
【0010】
しかしながら、本発明者が種々実験を行ったところ、各SAWフィルタ間の相互干渉は、従来技術のようにSAWフィルタ素子のグランド電極と容器のグランドパッド間との接続方法以外に、外部端子の配置に起因する相互干渉が発生することを知見した。
【0011】
上述した特開平11−205077号に示される弾性表面波装置では、各SAWフィルタ素子のグランド電極とグランドパッドとの接続構造を規定するに過ぎず、入出力外部端子の配置位置については全く開示されていない。
【0012】
仮に、前段のSAWフィルタ素子と後段のSAWフィルタ素子とを外部配線によって縦続接続して用いる弾性表面波装置において、入出力外部端子の配置を考慮せずに図14に示した様な入出力外部端子の配置を実施してしまうと、従来技術で示されたような措置を講じても、各フィルタから期待される十分な縦続接続特性が得られない可能性が高い。即ち、前段と後段のSAWフィルタ素子を縦続接続した時の電気特性の減衰量が、前段SAWフィルタの入力外部端子と後段SAWフィルタの出力外部端子間のアイソレーション特性に支配されるのである。これは、図14に示した様な外部端子配置を実施してしまうと、前段のSAWフィルタ素子100の入力外部端子41と後段のSAWフィルタ素子200の出力外部端子44間の距離が近くなるだけでなく、容器300内に設けられたボンディングワイヤのパッド間の干渉やSAWフィルタ素子100、200の入出力電極とパッドとを電気的に接続するボンディングワイヤ間の相互干渉も、距離、配置的要因から見て大きくなってしまう為でもある。
【0013】
本発明は、上述の課題に鑑みて案出されたものであり、その目的には、容器の入出力外部端子の配置において、複数の入力外部端子の内、最前段のSAWフィルタ素子の入力外部端子と、最後段のSAWフィルタ素子の出力外部端子との配置を規定することにより、各SAWフィルタ素子間の相互干渉の影響を有効に抑え、もって、良好な縦続接続減衰特性が導出できる弾性表面波装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の微弱信号抽出用フィルタは、弾性表面波装置とアンプとから成る。前記弾性表面波装置は、外周面に複数の入力外部端子、出力外部端子およびグランド外部端子を、キャビティー部内に、前記入力外部端子、前記出力外部端子および前記グランド外部端子に夫々導通した複数の入力パッド、複数の出力パッドおよび複数のグランドパッドを有する矩形状の容器と、該容器の前記キャビティー部内に収容された、第1のSAWフィルタ素子および第2のSAWフィルタ素子を含む複数のSAWフィルタ素子と、前記容器の前記キャビティー部を封止する金属製蓋体とから成り、各前記SAWフィルタ素子の入力電極が前記複数の入力パッドに、出力電極が前記複数の出力パッドに、グランド電極が前記複数のグランドパッドに夫々接続されている。そして、前記複数のSAWフィルタ素子のうち前記第1のSAWフィルタ素子に導通した前記入力外部端子が前記容器の前記外周面の第1角部又はその近傍に形成されていると共に、前記第2のSAWフィルタ素子に導通した前記出力外部端子が前記第1角部に対して対角線方向にある第2角部又はその近傍であって、前記第1のSAWフィルタ素子に導通した前記入力外部端子が形成された面と反対側の面に形成されており、前記第1のSAWフィルタ素子に導通した前記出力外部端子が前記容器の前記外周面の第1角部と隣り合う第3角部又はその近傍に形成されていると共に、前記第2のSAWフィルタ素子に導通した前記入力外部端子が前記第3角部に対して対角線方向にある第4角部又はその近傍に形成されている。さらに、前記アンプは、前記第1のSAWフィルタ素子に導通した前記出力外部端子と前記第2のSAWフィルタ素子に導通した前記入力外部端子との間に接続されることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の弾性表面波装置を図面に基づいて説明する。尚、実施例は、微小信号抽出用フィルタを用いて説明する。微小信号とは、例えば、人工衛星などから地上に送信される信号などが例示される。
【0016】
この微小信号抽出用フィルタは、例えば、図1に示すように、アンテナ回路Aに接続され、且つ増幅手段Pとともに用いられる。具体的には、アンテナ回路Aに、特定周波数帯域を通過させ得る前段(フロントエンド)SAWフィルタ素子(以下、単に前段SAWフィルタ素子)1、この特定周波数の信号成分を抽出した信号を増幅する増幅手段P、増幅した信号を再度抽出処理する後段(インターステージ)SAWフィルタ素子(以下、単に後段SAWフィルタ素子)2を順次接続する。これにより、微弱信号を増幅した信号が、通常のスイッチ回路や受信回路で処理できる程度のレベルの信号となり、しかも、ノイズ成分が抑制された信号が得られることになる。
【0017】
このような微小信号抽出用フィルタの構成において、少なくとも増幅手段Pは、ICチップなどによって別部品で扱うことになる。そして、前段SAWフィルタ素子と後段SAWフィルタ素子とを同一容器内に収容して、1つの部品と取り扱う。
【0018】
本発明の弾性表面波装置SWは、この前段SAWフィルタ素子1と後段SAWフィルタ素子2とを一体化した部品をいう。尚、SAWフィルタ素子とは、それ自体がフィルタ機能を持つもので、個々で共振器の機能を有して、これらを接続することでフィルタとなるものは含まれない。
【0019】
図2には、本発明の弾性表面波装置SWの外観図である。また、図3は、金属製蓋体を省略した状態の平面図であり、図7、図9は、容器の断面構造を示し、図6、図8は、容器の主要部分の平面図である。尚、図5(a)、(b)は、本発明のSAWフィルタ素子の等価回路を示す。
【0020】
図2において、本発明の弾性表面波装置SWは、容器3と容器上面に被着封止された金属製蓋体6とから構成されている。また、容器3外側の4つの端面には、外部端子を形成するための平面から見た形が半円形の溝部が例えば8つ(一対の辺には夫々3つ、もう一対の辺には1つ)形成されている。
【0021】
この外部端子を形成する半円形の溝部は容器3の厚み方向に形成されており、この溝部内に外部端子41〜48が形成されている。例えば、一対の対向しあう端面の一方面には、前段SAWフィルタ素子用入力パッドに導通する前段用入力外部端子41、後段SAWフィルタ素子用グランドパッドに導通するグランド外部端子45、後段SAWフィルタ素子用入力パッドに導通した後段用入力外部端子43が形成されている。
【0022】
また、一対の対向しあう端面の他方面には、前段SAWフィルタ素子用出力パッド(後述)に導通する前段用出力外部端子42、前段SAWフィルタ素子用グランドパッド(後述)に導通するグランド外部端子46、後段SAWフィルタ素子用出力パッド(後述)に導通した後段用出力外部端子44が形成されている。
【0023】
さらに、もう一対の端面の一方面には、前段SAWフィルタ素子用グランドパッドに導通するグランド外部端子47が配置されている。また、もう一対の端面の他方面には、後段SAWフィルタ素子用グランドパッドに導通するグランド外部端子48が配置されている。
【0024】
このような容器3の上面には、図3に示すように、例えば2つのSAWフィルタ素子1、2が実装される実装面3C及び両側面に段差部3a、3bを有するキャビティー部30が形成されている。そして、この実装面3Cには、SAWフィルタ素子1、2が配置されている。また、キャビティー部30の段差部3aには、図3の上側から、前段SAWフィルタ素子1の入力電極(後述)と接続する入力パッド31、前段SAWフィルタ素子1のグランド電極(後述)と接続するグランドパッド35、後段SAWフィルタ素子2のグランド電極と接続するグランドパッド36、後段SAWフィルタ素子2の入力電極と接続する入力パッド33、後段SAWフィルタ素子2のグランド電極と接続するグランドパッド37が配置されている。
【0025】
また、他方の段差部3bには、図3の上側から、前段SAWフィルタ素子1のグランド電極と接続するグランドパッド38、前段SAWフィルタ素子1の出力電極と接続する出力パッド32、前段SAWフィルタ素子1のグランド電極と接続するグランドパッド39、後段SAWフィルタ素子2のグランド電極と接続するグランドパッド40、後段SAWフィルタ素子2の出力電極と接続する出力パッド34が配置されている。
【0026】
また、キャビティー部30で、この段差部3a、3bに囲まれたキャビティー部の実装面3Cには、2つのSAWフィルタ素子1、2が接合される領域において、グランド導体膜51が形成されている(図11参照)。
【0027】
このSAWフィルタ素子1、2は、図4に示すようにタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶基板などの圧電基板53、54の表面に、互いに噛み合う1組の櫛型電極指からなるインターデジタル電極PS、接続導体PPS、入力電極11、21、出力電極12、22、グランド電極13、14、23〜25、必要に応じて反射器電極(図中、×の記号を指す)が形成されている。
【0028】
そして、このインターデジタル電極PSにより、1つの共振部を構成することになる。そして、この共振部は直列共振部、並列共振部に分類され、接続導体を介して、直列共振部、並列共振部とが互いに接続される。
【0029】
例えば、図4の上部に示す前段SAWフィルタ素子1は、圧電基板53上に3つの直列共振部S11〜S13と4つの並列共振部P11〜P14とが接続導体PPSによってラダー状に接続されている。この等価回路図を図5(a)に示す。
【0030】
そして、このSAWフィルタ素子1には、1つの入力電極11、1つの出力電極12、2つのグランド電極13、14が被着形成されている。
【0031】
図4の下部に示す後段SAWフィルタ素子2は、圧電基板54上に2つの直列共振部S21〜S22と3つの並列共振部P21〜P23とが接続導体(符号を省略する)によってラダー状に接続されている。この等価回路図を図5(b)に示す。
【0032】
そして、このSAWフィルタ素子2には、1つの入力電極21、1つの出力電極22、3つのグランド電極23〜25が被着形成されている。
【0033】
尚、前段SAWフィルタ素子1及び後段SAWフィルタ素子2は、夫々通過帯域での特性、及び選択性を考慮して、接続段数が若干相違している。
【0034】
このようなSAWフィルタ素子1、2は、絶縁性接着材を介して、キャビティー部30の実装面3cのグランド導体膜51に接合されている。
【0035】
また、前段SAWフィルタ素子1の入力電極11は、図3の右側の段差部3aに形成した入力パッド31にボンディングワイヤを介して接続され、出力電極12は、左側の段差部3bに形成した出力パッド32にボンディングワイヤを介して接続されている。また、グランド電極13は、段差部3aのグランドパッド35にボンディングワイヤを介して接続され、グランド電極14は、段差部3bのグランドパッド38にボンディングワイヤを介して接続されている。
【0036】
また、後段SAWフィルタ素子2の入力電極21は、図3の右側の段差部3aに形成された入力パッド33にボンディングワイヤを介して接続され、出力電極22は、段差部3bに形成した出力パッド34にボンディングワイヤを介して接続されている。また、グランド電極23は、段差部3aに形成したグランドパッド36にボンディングワイヤを介して接続され、グランド電極24は、段差部3bに形成したグランドパッド40にボンディングワイヤを介して接続され、グランド電極25は、段差部3aに形成したグランドパッド37にボンディングワイヤを介して接続されている。
【0037】
このような容器3は、少なくとも3層のセラミック層から構成されており、上述のように容器3の一対の外側端面には、図6に示すように、容器3の外部端子41、45、43が厚み方向に形成されている。この外部端子41、45、43は、断面半円形状の溝部の内部に、底面から所定位置まで導体が形成されている。例えば、図6〜図9に示すように前段SAWフィルタ素子1の入力電極11(図4参照)と接続する入力外部端子41及び後段SAWフィルタ素子2の入力電極21(図4参照)と接続する入力外部端子43は、容器3の底面から外側端面にかけて容器3の厚みの途中まで延びている。また、容器3外側端面の幅方向の略中央部分に位置するグランド外部端子45は、容器3の底面から外側端面を通って容器3の厚み方向全域に延びて形成され、さらに、容器3の上面に形成したシールリング接合用の導体膜61に導通している。
【0038】
また、容器3のもう一方の外側端面は、側面図を省略しているが、図6と同様、出力外部端子42、44は、底面から容器の厚みの途中にまで延び、グランド外部端子46は、容器3の底面から容器の上面にまで延び、さらに、容器3の上面に形成したシールリング接合用の導体膜61に導通している。
【0039】
尚、図7において、61は、上述したようにシールリング接合用導体膜(グランド電位)であり、62はシールリングであり、7は、金属蓋体である。
【0040】
また、図8は、図6と直交する外側端面である。この外側端面には、グランド外部端子47のみが形成されている。これに対向する容器3の端面には、グランド外部端子48のみが形成されている。このグランド外部端子47、48は、容器3の底面から上面に延びて形成されている。
【0041】
図7、図9に示す容器3は、最上面のセラミック層3xは、キャビティー部30(図3参照)の開口を形成するためにリング状を成しており、その上面の全面にわたり、コバール(登録商標)、42アロイなどからなるシールリング62をロウ付により接合する導体膜61が被着形成されている。
【0042】
ここで、図7に示すように最上層のセラミック層3xに形成された溝部30xには、例えば入力外部端子41となる導体膜が被着されていない。これは、他の入出力外部端子42、43、44についても同様な構造である。
【0043】
これに対して、図9に示すように、グランド外部端子45〜48については、3つのセラミック層3x〜3zの厚みに跨がって導体膜が形成されている。尚、図8は、グランド外部端子47が形成された側面を示している。
【0044】
また、中間に位置するセラミック層3yの上面図を図10に示す。セラミック層3yはキャビティー部30内壁に段差部3a、3bを形成するため(図3参照)、キャビティー部30の開口部寸法に比較して若干小さい開口部を有するリング状となっている。そして、このセラミック層3yの外周には、外部端子を形成する領域を確保するための容器3の外側端面に溝部が形成される半円形の凹部(符号を省略している)が8つ形成されている。夫々の凹部には、前段SAWフィルタ素子側の入力外部端子41となる導体膜、グランド外部端子45となる導体膜、後段SAWフィルタ素子側の入力外部端子43となる導体膜、グランド外部端子48となる導体膜、後段SAWフィルタ素子側の出力外部端子34となる導体膜、グランド外部端子46となる導体膜、後段SAWフィルタ素子側の出力外部端子42となる導体膜、グランド外部端子47となる導体膜が形成されている。
【0045】
また、このセラミック層3yの開口周囲には、各SAWフィルタ素子の入力電極11、21と接続する入力パッド31、33となる導体膜、出力電極12、22と接続する出力パッド32、34となる導体膜、グランド電極13、14、23、24、25と接続するグランドパッド35、36、37、38、39、40となる導体膜が形成されている。
【0046】
例えば、最上層のセラミック層3xの開口と中間に位置するセラミック層3yの開口の差によって発生する段差部3aにおいて、例えば、図3の右側となる段差部3aに相当する部分には、図10の上から、前段SAWフィルタ素子1の入力電極11と接続する入力パッド31となる導体膜、前段SAWフィルタ素子1のグランド電極13と接続するグランドパッド35となる導体膜、後段SAWフィルタ素子2のグランド電極23と接続するグランドパッド36となる導体膜、後段SAWフィルタ素子2の入力電極21と接続する入力パッド33となる導体膜、後段SAWフィルタ素子2のグランド電極25と接続するグランドパッド37となる導体膜が形成されている。そして、この5つのパッドのうち、前段SAWフィルタ素子1の入力電極11に接続する入力パッド31となる導体膜は、この辺の外方側に延出され、溝部内の入力外部端子41となる導体膜に導通している。また、後段SAWフィルタ素子2のグランド電極23に接続するグランドパッド36となる導体膜は、この辺の外方側に延出され、溝部内のグランド外部端子45となる導体膜に導通している。また、後段SAWフィルタ素子2の入力電極21に接続する入力パッド33となる導体膜は、この辺の外方側に延出され、そのまま溝部内の入力外部端子43となる導体膜に導通している。また、後段SAWフィルタ素子2のグランド電極25に接続するグランドパッド37となる導体膜は、異なる辺に形成された溝部内のグランド外部端子48となる導体膜に導通している。
【0047】
尚、段差部3aの上から2つ目のパッドである前段SAWフィルタ素子1のグランド電極13と接続するグランドパッド35は、段差部3aの内側に導出され、その壁面に形成した半円形状凹部内に導出されている。
【0048】
また、図面の左側となる段差部3bに相当する部分の各パッドにおいて、前段SAWフィルタ素子1のグランド電極14に接続するグランドパッド38は、異なる辺に形成された溝部内のグランド外部端子47となる導体膜に導通している。また、前段SAWフィルタ素子1の出力電極12に接続する出力パッド32となる導体膜は、この辺の外方側に延出され、そのまま図面の左辺の溝部内の出力外部端子42となる導体膜に導通している。また、後段SAWフィルタ素子2の出力電極22に接続する出力パッド34となる導体膜は、この辺の外方側に延出され、そのまま図面の左辺の溝部内の出力外部端子44となる導体膜に導通している。
【0049】
尚、グランドパッド39はそのまま図面の左辺の溝部内グランド側外部端子46となる導体膜に導通している。また、グランドパッド40は、段差部3bの内側に導出され、その壁面に形成した半円形状溝部内に導出されている。
【0050】
最下層のセラミック層3zの上面図を図11に示す。セラミック層3zは平板形状となっており、各セラミック層3x、3yと同様に外周に8つの凹部が形成されている。そして、各凹部の内面には、それぞれ外部端子となる導体膜が形成されている。
【0051】
また、このセラミック層3zの上面で、キャビティー部30の実装面となる領域には、2つの平面に広がったグランド導体膜51が形成されている。グランド導体膜51は、実質的に前段SAWフィルタ素子1、後段SAWフィルタ素子2が搭載される領域に形成されている。
【0052】
さらに、グランド導体膜51は、右側段差部3aの図面上から2つ目のグランドパッド35、及び段差段3bの図面上から4つ目のグランドパッド40と接続するように、その凹部の下部にまで延出されている。また、このグランド導体膜51は、図面上、上辺と下辺に形成された凹部にまで延出され、グランド外部端子47、48となる導体膜と導通している。さらに、図面上、左右の辺中央に形成された凹部にまで延出され、グランド外部端子45、46に導通している。即ち、このグランド導体膜51は、異なる方向からグランド電位に接地する。
【0053】
また、セラミック層3zの底面図を図12に示す。セラミック層3zの底面には、各端子電極41〜48と導通した平面状の端子電極41a〜48aが被着形成されている。
【0054】
このような容器3は、複数の容器3が抽出できる形状の複数類、例えば3種類のセラミックグリーンシートを用いて形成される。即ち、最上層に位置するセラミック層3x、中間層となるセラミック層3y、最下層となるセラミック層3zとなるシートは、所定位置に凹部となるスルーホールを形成し、このシート上またはスルーホールの内面に導電性ペーストを塗布する。尚、最上層に位置するセラミック層3x、中間層となるセラミック層3yとなるシートに関しては、キャビティー部30を形成する開口を形成する。
【0055】
そして、このようなセラミックシートを積層一体化し、焼成し、さらに、容器3の形状に分割または切断することによって得られる。尚、分割または切断を焼成処理前に行っても構わない。ここで、各種導体膜は、W(タングテステン)やMo(モリブデン)、Ag、Cuなどが例示できる。尚、これらの金属は、セラミックの材料(焼成温度、焼成雰囲気が相違する)によって決定される。セラミック材料がアルミナであれば、導体材料は、W(タングテステン)やMo(モリブデン)が例示できる。セラミック材料がガラス−セラミック材料であれば、Ag、Cuなどが例示できる。
【0056】
尚、Cuを用いた場合には、焼成雰囲気は還元性雰囲気でおこなう。
【0057】
また、容器3から露出するパッド31〜40、外部端子41〜48は、その表面にNiメッキ、Auメッキなどが塗着されている。これにより、パッド31〜40においては、ボンディングワイヤによる接合が容易に行え、外部端子41〜48においては半田などとの接合が容易となる。また、最上面に位置する導体膜61では、シールリングとのろう付け接合が容易且つ強固に行える。
【0058】
このような3つのセラミック層3x〜3zからなる容器3の表面に位置する導体膜61(容器4側面に位置するグランド外部端子に導通している)上には、シールリング62がろう付けによって接合されて容器3全体が構成される。
【0059】
容器3のキャビティー部30には、上述したように、前段SAWフィルタ素子1及び後段SAWフィルタ素子2が接着剤を介して、グランド導体膜51に接合される。
【0060】
そして、このように容器3のキャビティー部30内に収容された前段SAWフィルタ素子1及び後段SAWフィルタ素子2は、キャビティー部30の外部の開口周囲に配置されたシールリング62上に金属製蓋体7が載置され、金属蓋体7とシールリング62との接合部分に、所定電流を通電して、シーム溶接を行う。
【0061】
このように形成された金属蓋体7は、コバールや42アロイなどの金属平板に、表面に応じて、実装面側にAg層を形成している。実質的には、容器3側面に配置されたグランド外部端子45〜48を介してグランド電位に接地されることになる。
【0062】
以上のように、本発明の構成の弾性表面波装置SWにおいては、容器3の外周面に形成する複数の入出力外部端子41〜48の内、最前段のSAWフィルタ素子1から導通した入力外部端子41を容器3の第1角部Jの近傍に形成している。例えば、図3に示した面に形成しても良く、その面と直交する面に形成してもよい。また、第1角部Jに形成しても良い。一方、最後段のSAWフィルタ素子2から導通した出力外部端子44を、容器3の第1角部Jから出た対角線の方向に存在する第2角部Kの近傍に形成している。この形成する面も例えば図3に示した面に形成しても良く、その面と直交する面に形成してもよい。
【0063】
この構成により各SAWフィルタ素子1、2の相互干渉を抑えることができる。その理由を以下に説明する。
【0064】
前段のSAWフィルタ素子1の外部端子41と後段のSAWフィルタ素子2の出力外部端子44間の相互干渉は
(1)外部端子41から出る電磁波等が空中を伝わって、直接、出力外部端子44に伝搬することによる相互干渉
(2)前段のSAWフィルタ素子1の入力外部端子41から出る電磁波等が空中を伝わって、直接、出力外部端子42に伝搬することによる相互干渉
(3)前段のSAWフィルタ素子1の入力外部端子41から出る電磁波等が空中を伝わって、直接、後段のSAWフィルタ素子2の入力外部端子43に伝搬されることによる相互干渉
が考えられるが、特に(3)の入力外部端子41と入力外部端子43との干渉に起因した成分は、図3に開示した構成では端子間の距離が最も近いため大きいと考えられるが、この干渉成分の大部分は、その後、後段のSAWフィルタ素子2を通って不要な成分がカットされる為、結果として殆ど影響を及ぼさない。これは(2)でも同様の理由で殆ど影響を及ぼさないものである。しかし、(1)の場合には出力外部端子44に伝搬した干渉成分が直接、弾性表面波装置SWのアイソレーション特性に影響を与える。
【0065】
しかしながら、入力外部端子41と出力外部端子44間との直接の干渉は、容器3の第1角部Jの近傍から対角線方向にある第2角部Kの近傍に形成したため、入力外部端子41と出力外部端子44の端子間距離が極大化され、干渉成分が極小に抑えこまれている。よって、非常に良好なアイソレーション特性が得られる。
【0066】
次に、容器3内部において入力外部端子41に接続する入力パッド31及びボンディングワイヤと出力外部端子44に接続する出力パッド34及びボンディングワイヤとの相互干渉については、互いに平行にならないように配置することが必要である。
【0067】
しかしながら、外部端子41と出力外部端子44の端子間距離が極大化されているため、互いに平行に配置したとしてもパッド、ボンディングワイヤ同士の干渉も極小にすることができる。逆に、パッド、ボンディングワイヤ同士を平行に形成することができるため、これにより、一方方向にパッド、ボンディングワイヤを配置させることができ弾性表面波装置SWの小型化を達成することができる。
【0068】
一方、図3のような入力外部端子41、出力外部端子44の配置をとらなかった場合として、前段SAWフィルタ素子1の外部入出力端子41はそのままに、後段SAWフィルタ2の外部入出力端子44を逆転させた場合、即ち、図14に示す外部入出力端子配置とした場合の入力外部端子41と出力外部端子44との相互干渉を考える。
【0069】
図14において、入力外部端子41と出力外部端子44間の距離的が短くなっている為に入力外部端子41から直接出力外部端子44に伝わりやくすなり、干渉成分は増大する。従って、実施例に比較して十分なアイソレーション特性が得られない。これらは、パッドやボンディングワイヤ同士の干渉も同様のことがいえる。
【0070】
本発明者は、前段SAWフィルタ素子1、後段SAWフィルタ素子2ともに、1.57GHZ帯域の中心周波数となる微小信号抽出用フィルタ装置に基づいて、アイソレーション特性をシミュレーションした。
【0071】
その結果、図3に示すような本発明の外部入出力端子41、44の配置では、図13に示すように通過帯域の低周波側(例えば、1.48GHz)において−41dBの減衰量を確保できるのに対して、図14の外部入出力端子41、44の構成をとった場合、図15に示すように通過帯域の低周波側(例えば、1.48GHz)において−37dB程度の減衰量しか確保できない。
【0072】
また、図13に示すように通過帯域の高周波側(例えば、1.68GHz)において−42dBの減衰量を確保できるのに対して、図15に示すように、−37dB程度の減衰量しか確保できない。
【0073】
このような結果は、以下の作用によって達成されると考える。
(1)本発明の外部端子配置の場合、容器3の入力外部端子41と出力外部端子44の距離、入力パッド31と出力パッド34の距離が極大化する為、前段SAWフィルタ素子1の入力外部端子41と後段SAWフィルタ素子2の出力外部端子34間の直接的な相互干渉が発生しにくい。これは、容器3内のパッドについても同様である。
(2)本発明の外部端子配置の場合、間接的な干渉成分で最も大きいと思われる容器3の入力外部端子41から入力外部端子43を経由した干渉成分は、後段のSAWフィルタ素子2により減衰されるため、間接的な相互干渉の影響が小さい。これは、容器3内のパッド、ボンディングワイヤについても同様である。
(3)ボンディングワイヤ間の直接の干渉が、距離的にも遠いため抑制され、前段のSAWフィルタ素子1の入力外部端子に接続するボンディングワイヤと後段SAWフィルタ素子2の出力外部端子に接続するボンディングワイヤとが隣接しない対角線方向に形成されているのでボンディングワイヤの相互干渉を抑えることができる。
【0074】
上述の結果から理解できるように、最前段のSAWフィルタ素子1の入力外部端子41と最後段のSAWフィルタ素子2の出力外部端子44それぞれが対向する面に配置されていることが、アイソレーション特性上重要となる。
【0075】
尚、上述の実施例では、2つのSAWフィルタ素子1、2を容器3内のキャビティー部30に収容した微小信号抽出用フィルタで説明したが、キャビティー部30内に、3つ以上のSAWフィルタを配置しても構わない。
【0076】
また、各SAWフィルタを同一基板上に形成しても構わない。
【0077】
また、上述の実施例では、微小信号抽出用フィルタを例にして説明したが、1つの容器に2つ以上のSAWフィルタを収容した全ての弾性表面波装置にも広く適用できる。
【0078】
【発明の効果】
本発明では、2つのSAWフィルタ間の相互干渉(クロストーク)を抑圧することが可能な弾性表面波装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の弾性表面波装置の実装形態を示す等価回路図である。
【図2】 本発明の弾性表面波装置の外観斜視図である。
【図3】 本発明の弾性表面波装置において、金属製蓋体を省略した状態の平面図である。
【図4】 本発明の弾性表面波装置に用いるSAWフィルタの配置関係を示した平面図である。
【図5】 (a)は本発明の前段SAWフィルタの等価回路図であり、(b)は、前段SAWフィルタの等価回路図である。
【図6】 本発明の弾性表面波装置における容器の一方面側の側面図である。
【図7】 本発明の弾性表面波装置における入出力外部端子部分の断面図である。
【図8】 本発明の弾性表面波装置における容器の他方の端面側の側面図である。
【図9】 本発明の弾性表面波装置におけるグランド外部端子部分の断面図である。
【図10】 本発明の弾性表面波装置の容器を構成する中間に位置するセラミック層の上面図である。
【図11】 本発明の弾性表面波装置の容器を構成する最下層に位置するセラミック層の上面図である。
【図12】 本発明の弾性表面波装置の容器を構成する最下層に位置するセラミック層の下面図である。
【図13】 本発明の弾性表面波装置におけるアイソレーション特性図である。
【図14】 従来の弾性表面波装置において、金属製蓋体を省略した状態の平面図である。
【図15】 従来の弾性表面波装置におけるアイソレーション特性図である。
【符号の説明】
1・・前段SAWフィルタ
2・・後段SAWフィルタ
3・・容器
30・・キャビティー部
41・・前段SAWフィルタ用の入力外部端子
42・・前段SAWフィルタ用の出力外部端子
46、47・・前段SAWフィルタ用グランド外部端子
43・・後段SAWフィルタ用の入力外部端子
44・・後段SAWフィルタ用の出力外部端子
45、48・・後段SAWフィルタ用グランド外部端子
31・・前段SAWフィルタ用の入力パッド
32・・前段SAWフィルタ用の出力パッド
35、38、39・・前段SAWフィルタ用グランドパッド
33・・後段SAWフィルタ用の入力パッド
34・・後段SAWフィルタ用の出力パッド
36、37、40・・後段SAWフィルタ用グランドパッド
51・・前段SAWフィルタ用のグランド導体膜
J・・・第1角部
K・・・第2角部
Claims (1)
- 外周面に複数の入力外部端子、出力外部端子およびグランド外部端子を、キャビティー部内に、前記入力外部端子、前記出力外部端子および前記グランド外部端子に夫々導通した複数の入力パッド、複数の出力パッドおよび複数のグランドパッドを有する矩形状の容器と、該容器の前記キャビティー部内に収容された、第1のSAWフィルタ素子および第2のSAWフィルタ素子を含む複数のSAWフィルタ素子と、前記容器の前記キャビティー部を封止する金属製蓋体とから成り、各前記SAWフィルタ素子の入力電極が前記複数の入力パッドに、出力電極が前記複数の出力パッドに、グランド電極が前記複数のグランドパッドに夫々接続された弾性表面波装置であって、
前記複数のSAWフィルタ素子のうち前記第1のSAWフィルタ素子に導通した前記入力外部端子が前記容器の前記外周面の第1角部又はその近傍に形成されていると共に、前記第2のSAWフィルタ素子に導通した前記出力外部端子が前記第1角部に対して対角線方向にある第2角部又はその近傍であって、前記第1のSAWフィルタ素子に導通した前記入力外部端子が形成された面と反対側の面に形成されており、前記第1のSAWフィルタ素子に導通した前記出力外部端子が前記容器の前記外周面の第1角部と隣り合う第3角部又はその近傍に形成されていると共に、前記第2のSAWフィルタ素子に導通した前記入力外部端子が前記第3角部に対して対角線方向にある第4角部又はその近傍に形成されている弾性表面波装置と、
前記第1のSAWフィルタ素子に導通した前記出力外部端子と前記第2のSAWフィルタ素子に導通した前記入力外部端子との間に接続されるアンプ、とから成る微弱信号抽出用フィルタ。
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