JP5070741B2 - 液体供給型燃料電池による発電方法および液体供給型燃料電池 - Google Patents

液体供給型燃料電池による発電方法および液体供給型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、液体燃料を供給する燃料電池の耐久性向上、発電性能向上および発電システムの小型化に関するものである。
燃料電池は、排出物が少なく、かつエネルギー効率が高く、環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。この燃料電池を用いると、従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散型発電施設とすることができ、また、自動車や船舶など移動体用の発電装置としても適用でき、将来的にも期待されている。また、小型移動機器、携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池の代替として、あるいは二次電池の充電器として、さらにまた二次電池と併用(ハイブリッド)する電源として、携帯電話などの携帯機器やパソコンなどへの搭載が期待されている。
高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、以下、PEFCと略称する場合がある)においては、水素ガスを燃料とする従来のPEFCに加えて、メタノールなどの燃料を直接供給する直接型燃料電池も注目されてきている。直接型燃料電池は、従来のPEFCに比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器を用いないために、エネルギー密度が高くなり、一充填あたりの携帯機器の使用時間が長時間になるという利点がある。
高分子電解質型燃料電池には、通常、発電ユニットとして、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソードとの間でプロトン伝導体となる高分子電解質膜とから構成される膜電極複合体(以下、MEAと略称する場合がある)をセパレーターによって挟んでなるセルが配設されている。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、実際に電気化学的反応場となる触媒層とから構成されている。
たとえばPEFCのアノード電極では、水素ガスなどの燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材へと伝導し、プロトンは高分子電解質膜へと伝導する。このため、アノード電極には、ガスの拡散性、電子伝導性、プロトン伝導性が良好なことが要求される。
一方、カソード電極では、酸素や空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、高分子電解質膜から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソード電極においては、ガス拡散性、電子伝導性、プロトン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
また、PEFCの中でも、メタノールなどを燃料とする直接型燃料電池の場合は、水素ガスを燃料とする従来のPEFCとは異なる性能が要求される。すなわち、直接型燃料電池においては、アノード電極ではメタノール水溶液などの燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトン、電子、二酸化炭素を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは高分子電解質に伝導し、二酸化炭素は電極基材を通過して系外へ放出される。このため、従来のPEFCのアノード電極の要求特性に加えて、メタノール水溶液などの燃料透過性や二酸化炭素の排出性も要求される。特に、電極の触媒層で発生する水や二酸化炭素は、触媒と燃料の接触を阻害し、電圧の低下や電極内反応の不均一化を生じ、燃料電池の出力や耐久性の低下の原因となる。
従来、このような反応生成物を除去するために、電極の構造や燃料流路を種々工夫することが検討されてきた(特許文献1〜3参照)。例えば、特許文献1では、カソード電極で発生した水を排出させるために、カソード電極への空気供給溝に毛細管体(凧糸)を配設している。しかし、このように改善しても、高電流密度を取り出すような用途では、必要な燃料だけではなく、反応生成物の発生量が多くなることから、水等の反応生成物を十分に除去することは困難であった。
また、特許文献2では、生成物や余剰燃料を排出するための配管を効率的に配置することが記載されている。特許文献3では、カソード側の電解質膜の表面に疎水性の拡散層を配置することが記載されている。しかし、これらの装置構造を採用しても、カソード電極で発生した水等の生成物を十分に除去することは困難であった。
また、特許文献4では、直接メタノール型燃料電池が提案されている。しかしながら、カソードの生成水回収用タンクが必要であり燃料電池システムとしての小型化が困難であった。また、アノード側より電解質膜を透過してカソードに到達した未反応燃料が再利用できないため、燃料利用率が劣るシステムとない、発電時間が短くなると推定される。
特開2004−342534号明細書 特開2004−71414号明細書 特開2005−11635号明細書 特開平9−161810号明細書
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、液体供給型燃料電池により高電流密度の電気を取り出す場合でも反応生成物の除去を容易に行うことができ、高出力による発電を優れた耐久性で行うことができる方法、および小型でかつ発電時間を長くできる液体供給型燃料電池を提供しようとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、少なくとも一方の電極に、活物質または活物質を含有する液体からなる液体燃料を供給する発電時に、電極内で生成物が発生する液体供給型燃料電池によって、電流密度(=電流/電極投影面積)が0.07(A/cm)以上で発電を行う際、液体燃料の供給量X(ml/sec/cm)と、取り出す電流I(A)とが下記式1を満足する液体供給型燃料電池による発電方法である。
1≦αX/I≦10 ・・・(式1)
(式1において、α=(B×F×E)/(W×V)であり、また、各記号は次の通りである。)
B:電極投影面積(cm
F:ファラデー定数(C/mol)
E:活物質1molに対して発生する電子数
W:活物質1molに対して生成する生成物のmol数
V:理想気体モル体積(ml/mol)
ここで、F(ファラデー定数)は、96484 C/molである。また、V(理想気体モル体積)は、22414 ml/molである。
液体供給型燃料電池による発電を本発明法によって行うと、高電流密度の電気を取り出す高出力発電を、電圧の経時的低下を抑制しつつ実施することでき、高出力発電を高耐久性でもって行うことができる。
また、本発明の液体供給型燃料電池は、燃料利用効率が向上し発電時間の延長が可能であり、簡便なシステムで高出力が得られるため搭載機器の小型化にも有効である。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明法において用いる燃料電池は、少なくとも一方の電極に、活物質または活物質を含む液体を燃料として供給する燃料電池であって、該活物質が電極中の触媒で酸化または還元され、電子やプロトン等のイオン以外に生成物を電極内で発生するタイプの燃料電池である。特に、供給燃料が液体であって、発生する生成物が気体である燃料電池を用いて発電する場合に、本発明法は好ましく適用できる。
例えば、アノード活物質として、メタノールと水とからなるメタノール水溶液を供給する場合、アノードでは電子、プロトン以外に二酸化炭素が発生する。ここでの二酸化炭素発生量は、取り出す電流量や電極面積によって変化するが、電流量が増加すると、二酸化炭素の発生が増え、触媒粒子と活物質との接触を阻害する可能性が高くなる。その結果として、電圧低下を起こし高出力が得られなくなったり、電極内での反応が不均一となり燃料電池の耐久性に悪影響したり、滞留した二酸化炭素で電解質膜が乾燥し電解質膜と電極界面が剥離しやすくなり、性能が急激に低下する。
本発明法は、アノードで発生する生成物を効率的に除去するため、特に複雑なMEA構造としなくても生成物を効率的に除去できる手段として、供給する液体燃料を特定範囲内とすることにより、発電に必要な活物質を供給しつつ、かつ、アノードで発生する二酸化炭素などを効率的に除去可能としたものである。
燃料電池から取り出す電流密度が小さい場合、例えば、電流密度が0.07A/cm未満の場合には、発生する二酸化炭素の量が小さく、自然な除去でも特に問題は発生しない。しかし、高出力が必要な用途では、燃料電池から0.07A/cm以上の電流密度を取り出すことが必要であり、この場合には、前述したように、アノードで発生する二酸化炭素などを効率的に除去することが必要となる。
本発明法の場合、液体燃料型燃料電池による発電を行う際に、活物質または活物質を含有する液体からなる液体燃料の供給量X(ml/sec/cm)を、取り出す電流I(A)と関連づけて特定する下記式1の範囲内とすることにより、発電に必要な燃料を供給するとともに、アノードで発生する生成物を効率的に除去させることができる。
1≦αX/I≦10 ・・・(式1)
(式1において、α=(B×F×E)/(W×V)であり、また、各記号は次の通りである。)
B:電極投影面積(cm
F:ファラデー定数(=96484C/mol)
E:活物質1molに対して発生する電子数
W:活物質1molに対して生成する生成物のmol数
V:理想気体モル体積(=22414ml/mol)
本発明法では、液体燃料の供給量X(ml/sec/cm)が、前記した式1の左辺の条件(1≦αX/I)を満足することにより、高出力での発電を優れた耐久性でもって実現することができる。また、前記した式1の右辺の条件(αX/I≦10)を満足することにより、液体燃料による触媒層の流出を防止することができる。好ましい範囲は、1≦αX/I≦5 であり、さらに好ましくは、1≦αX/I≦2 である。
液体燃料の供給量は式1の範囲内の一定量としてもよいし、また、取り出す電流の値により供給量を変化させるシステムを使用してもよい。好ましくは、取り出す電流により供給量を変化させる方がよく、無駄に大流量を流すことを防止でき、電極や補機に対する負荷を少なくできる。
電極投影面積Bは、発電に関係する触媒が付着した範囲の投影面積であり、MEAを重ねたスタックや横に並べたサイドバイサイドなどでは直列、並列に関係なくその合計値である。
本発明法は、特に、アノード側に液体燃料を供給する液体燃料供給型燃料電池によって発電を行う場合に好適であり、さらにメタノールと水をアノード活物質として使用する燃料電池による場合に好適である。何故なら、該タイプの燃料電池ではアノードで二酸化炭素が発生し、この二酸化炭素の体積は、供給する活物質の体積に比べかなり大きいので、前述した問題が起こり易いからである。
本発明法において、燃料電池に供給する燃料の活物質としては、アノード用に、水素および水、メタン、エタン、プロパン、ブタン、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、グリセリン、エチレングリコール、ギ酸、酢酸、ジメチルエーテル、ハイドロキノン、シクロヘキサン、グルコール酸などの炭素数1〜6の有機化合物およびこれらの混合物等が挙げられ、それらの2種以上の混合物を用いてもよい。特に発電効率や電池全体のシステム簡素化の観点から、水素、炭素数1〜6の有機化合物を含む燃料が好適に使用され、発電効率の点でとりわけ好ましいのはメタノール水溶液である。
本発明法では、液体燃料の供給方法に特に制限はないが、その燃料を燃料電池へ供給する際には補機を利用することが好ましく、通常公知のポンプなどが利用できる。本発明法で特定した燃料供給量が確保できればできるだけ小型のポンプが好ましく、プランジャーポンプ、渦巻きポンプ、タービンポンプ、カスケードポンプ、手押しポンプ、ダイアフラムポンプ、シリンジポンプ、歯車ポンプ、ロータリーポンプなどが挙げられる。
また、供給した液体燃料は、循環して使用してもよいし、一度電極を通過した燃料をそのまま排出してもよい。燃料電池を搭載する機器のシステムや燃料濃度により適宜選択できる。また、循環する場合は、発電や燃料クロスオーバーなどにより消費した活物質を補充するシステムがあった方がよく、また、循環用の媒体として大過剰の水やグリセリン、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブタンジオールなどの多価アルコール類やポリエチレングリコール、ポリブタジエンなどの液状ポリマー、流動パラフィン、イオン性液体などを使用することができる。
また、本発明法において用いる燃料電池は、発電を担う反応の起こるアノードとカソードの電極と、アノードとカソードとの間でプロトン伝導体となる高分子電解質膜とから構成される膜電極複合体(MEA)をセパレーターによって挟んでなるセル(燃料電池単セル)が配列されたものである。
その電極としては通常公知のものが使用でき、触媒(触媒担持カーボン)をバインダーで固めたものが挙げられる。
触媒としては、一般公知のものが使用でき、例えば、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、金などの貴金属が好ましく用いられる。これらの内の1種類を単独で用いてもよいし、合金、混合物など、2種類以上を併用してもよい。また、上記金属を担持した粒子を使用することで、金属触媒の利用効率が向上し、電池性能の向上および低コスト化に寄与できることがある。担持体としては、炭素材料、SiO、TiO、ZrO、RuO、ゼオライトなどが使用できるが電子伝導性観点からの炭素材料が好ましい。
炭素材料としては、非晶質、結晶質の炭素材料が挙げられる。例えば、チャネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。ファーネスブラックとしては、キャボット社製“バルカン(登録商標)XC−72”、“バルカン(登録商標)P”、“ブラックパールズ(登録商標)880”、“ブラックパールズ(登録商標)1100”、“ブラックパールズ(登録商標)1300”、“ブラックパールズ(登録商標)2000”、“リーガル(登録商標)400”、ケッチェンブラック・インターナショナル社製“ケッチェンブラック(登録商標)”EC、EC600JD、三菱化学社製#3150、#3250などが挙げられ、アセチレンブラックとしては電気化学工業社製“デンカブラック(登録商標)”などが挙げられる。またカーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、フラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素なども使用することができる。これらの炭素材料の形態としては、不定形粒子状のほか繊維状、鱗片状、チューブ状、円錐状、メガホン状のものも用いることができる。また、これら炭素材料を後処理加工したものを用いてもよい。これらは、前記、金属の担持体として使用しても、触媒層の電子伝導向上剤として単独で使用してもよい。
触媒のバインダーとしては、“ナフィオン(登録商標)”(デュポン社製)に代表されるパーフルオロ系プロトン伝導性ポリマーや炭化水素系電解質ポリマーなどを使用することができる。
炭化水素系電解質ポリマーとしては、イオン性基含有ポリフェニレンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリフェニレンスルフィド、イオン性基含有ポリアミド、イオン性基含有ポリイミド、イオン性基含有ポリエーテルイミド、イオン性基含有ポリイミダゾール、イオン性基含有ポリオキサゾール、イオン性基含有ポリフェニレンなどの、イオン性基を有する芳香族炭化水素系ポリマーが挙げられ、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン由来の成分および/または4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン由来の成分を含有するスルホン酸基含有芳香族炭化水素系高分子が、耐燃料性の観点から好ましい。
また、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ビニル硫酸、ビニル酢酸、ビニルアルコール、スチレンスルホン酸などのイオン性基含有ビニル化合物やこれらを含有するビニル重合系高分子材料、およびこれらを多官能モノマーとの共重合や電子線などで架橋構造を導入した材料なども挙げられる。また、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ素系ポリアクリレート、フッ素系ポリメタクリレートなどのフッ素原子を含むポリマーを使用することもできる。特に、メタノール水溶液を燃料として用いる場合には、結着剤として、耐燃料性、コストの観点からポリフッ化ビニリデンが好ましい。
また、作業環境や、生産性、コスト等の観点からはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの親水性高分子の選択も好ましく、金属カップリング剤やエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、グルタルアルデヒドなどによる架橋で耐燃料性を向上できる。
以上に例示した結着剤は、さらに、必要に応じて、放射線や金属アルコキシドなどを用いて架橋構造を導入してもよいし、多官能モノマーなどで架橋体のネットワークを形成されていてもよい。また、結着剤は一種でも二種以上の組み合わせで使用してもよい。
電極は、液体や気体の燃料を使用する場合には、該液体や気体が透過しやすい構造を有していることが好ましく、電極反応に伴う副生成物質の排出も促す構造が好ましい。その例として、不織布や織物、抄紙、多孔膜などの空隙のある基材に電極ペーストを塗布、乾燥する方法により作製される電極が挙げられる。
特に、該基材としては、電気抵抗が低く、集電あるいは給電を行えるものを用いることが好ましい。たとえば、炭素質、導電性無機物質からなる基材が挙げられる。さらに、具体的には、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛及び膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデン、チタンなどが例示される。これらの、形態は特に限定されず、たとえば繊維状あるいは粒子状で用いられるが、燃料透過性の点から炭素繊維などの繊維状導電性物質(導電性繊維)が好ましい。導電性繊維を用いた電極基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。たとえば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズ、SOシリーズ、E-TEK社製カーボンクロスなどが用いられる。
かかる織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織、綴織など、特に限定されること無く用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法、メルトブロー法によるものなど特に限定されること無く用いられる。また編物であってもよい。これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から不織布、やクロスを用いるのが好ましい。
かかる電極基材に用いられる炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維などがあげられる。
また、かかる電極基材には、水の滞留によるガス拡散・透過性の低下を防ぐための撥水処理や、水の排出路を形成するための部分的撥水、親水処理や、抵抗を下げるための炭素粉末の添加等を行うこともできる。また、電極基材と触媒層の間に、少なくとも無機導電性物質と疎水性ポリマーを含む導電性中間層を設けることもできる。特に、電極基材が空隙率の大きい炭素繊維織物や不織布である場合、導電性中間層を設けることで、電極ペーストが電極基材にしみ込むことによる性能低下を抑えることができる。
また、電解質膜上に電極を形成する場合でも、前記基材を電極上に重ねて使用し、集電効率や燃料や副生成物の拡散性の向上を促しても特に問題ない。また、前記基材を使用しなくてもよい。
電解質膜としては、“ナフィオン(登録商標)”(デュポン社製)に代表されるパーフルオロ系電解質膜や炭化水素系電解質膜など特に制限無く適用できる。
特に、アノードにメタノール水などの液体燃料を供給するタイプの燃料電池の場合には、パーフルオロ系電解質膜よりも、高耐熱性、高強度、高引っ張り弾性率および低含水率の電解質膜を使用することの方が好ましい。その理由は、パーフルオロ系電解質膜では、メタノールの濃度が高くなると、メタノールが電解質膜を透過する量が多くなり過ぎ(燃料クロスオーバー現象)、燃料電池の性能を低下させるためである。
使用する電解質膜としては、具体的にはガラス転移温度130℃以上、引っ張り弾性率100MPa以上、含水率40重量%以下などの膜が好ましく、イオン性基含有ポリフェニレンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルケトン、イオン性基含有ポリエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルエーテルスルホン、イオン性基含有ポリエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリエーテルエーテルホスフィンオキシド、イオン性基含有ポリフェニレンスルフィド、イオン性基含有ポリアミド、イオン性基含有ポリイミド、イオン性基含有ポリエーテルイミド、イオン性基含有ポリイミダゾール、イオン性基含有ポリオキサゾール、イオン性基含有ポリフェニレン、イオン性基含有ポリアゾメチン、イオン性基含有ポリイミドアゾメチン、イオン性基含有ポリスチレン、イオン性基含有スチレン−マレイミド共重合体およびイオン性基含有ポリオレフィン等やそれらの架橋体等の、イオン性基を有する炭化水素系高分子が挙げられる。これらの高分子材料は単独、あるいは二種以上併用して使用でき、ポリマーブレンド、ポリマーアロイ、また二層以上の積層膜として使用できる。
さらに具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン由来の成分および/または4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタン由来の成分を含有するスルホン酸基含有炭化水素系高分子が、耐燃料性、イオン伝導性、機械的強度の観点から最も好ましい例として挙げることができる。
また、イオン性基としては、前述のようにスルホン酸基が最も好ましい。スルホン酸基を有する高分子材料を使用した膜の一例として、−SOM基(Mは金属)含有のポリマーを溶液状態より製膜し、その後高温で熱処理し溶媒を除去し、プロトン置換して製造される膜が挙げられる。前記の金属Mはスルホン酸と塩を形成しうるものであればよいが、価格および環境負荷の点からは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Mo、Wなどが好ましく、これらの中でもLi、Na、K、Ca、Sr、Baがより好ましく、Li、Na、Kがさらに好ましい。これらの金属塩の状態で製膜することで高温での熱処理が可能となり、該方法は高ガラス転移点、低吸水率が得られる高分子材料系には好適である。
前記熱処理の温度としては、得られる膜の吸水性の点で100〜500℃が好ましく、200〜450℃がより好ましく、250〜400℃がさらに好ましい。100℃以上とするのは、低吸水率を得る上で好ましい。一方、500℃以下とすることで、高分子材料が分解するのを防ぐことができる。
使用する電解質膜の膜厚としては、通常3〜2000μmのものが好適に使用される。実用に耐える膜の強度を得るには3μm以上の厚みが好ましく、膜抵抗の低減つまり発電性能の向上のためには2000μm以下が好ましい。膜厚のより好ましい範囲は5〜1000μm、さらに好ましい範囲は10〜500μmである。
膜厚は、種々の方法で制御できる。例えば、溶媒キャスト法で製膜する場合は、溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御することができるし、また、例えばキャスト重合法で製膜する場合は板間のスペーサー厚みによって調製することもできる。
また、必要に応じて放射線照射などの手段によって高分子構造全体あるいは一部を架橋せしめることもできる。架橋せしめることにより、燃料クロスオーバーおよび燃料に対する膨潤をさらに抑制する効果が期待でき、機械的強度が向上し、より好ましくなる場合がある。放射線照射の種類としては例えば、電子線照射やγ線照射を挙げることができる。架橋構造を有することにより、水分や燃料の浸入に対する高分子鎖間の広がりを抑えることができる。吸水量を低く抑えることができ、また、燃料に対する膨潤も抑制できることから、結果的に燃料クロスオーバーを低減できる。また、高分子鎖を拘束できるため耐熱性や剛性も付与できる。ここでの架橋は、化学架橋であっても物理架橋であってもよい。この架橋構造は通常公知の方法で形成でき、例えば、多官能単量体の共重合や電子線照射によって形成できる。特に多官能単量体による架橋が経済的観点から好ましく、単官能ビニル単量体と多官能単量体の共重合体やビニル基やアリル基を有する高分子を多官能単量体で架橋したものが挙げられる。ここでの架橋構造とは、熱に対しての流動性が実質的に無い状態か、溶剤に対して実質的に不溶の状態を意味する。
また、電解質膜中には、イオン伝導性や燃料クロスオーバーの抑制効果を阻害しない範囲内において、機械的強度の向上、イオン性基の熱安定性向上、加工性の向上などの目的のために、フィラーや無機微粒子を含有しても、ポリマーや金属酸化物からなるネットワークや微粒子を形成させても構わないし、支持体などに含浸した膜でも差し支えない。
本発明法において、燃料電池の液体燃料として、メタノール水溶液を用いる場合、メタノールの濃度としては、使用する燃料電池のシステムによって適宜選択されるが、できる限り高濃度のほうが長時間駆動の観点から好ましい。例えば、送液ポンプや送風ファンなど発電に必要な媒体を膜電極複合体に送るシステムや、冷却ファン、燃料希釈システム、生成物回収システムなどの補機を有するアクティブ型燃料電池はメタノールの濃度30〜100%の燃料を燃料タンクや燃料カセットにより注入し、0.5〜29%程度に希釈して、またはそのまま膜電極複合体に送ることが好ましい。
例えば、燃料電池を電源システムとして機器に搭載する場合、カソードの活物質が空気などの酸素を含む気体、アノードの活物質がメタノールなどの液体であり、液体燃料循環用タンクを介して発電セル内に液体燃料を循環して供給する液体供給型燃料電池が好ましく使用される。この場合、少なくとも以下のいずれか一つ以上の構造を有する液体供給型燃料電池が好ましい。
(1)ファンを有し、カソードのセパレーター中の気体の流れがダウンフローとなる構造
(2)カソードの活物質が空気であり、空気をカソードセパレーターの気体吸入口よりファンによってカソードセパレーター内を負圧化して吸い込む構造
(3)カソードから排気される空気が液体燃料循環用タンク内を通過する構造
(4)カソードから排気される空気およびアノードから排気される反応ガスの排出口が同じである構造
(5)カソードでの発生水、およびアノードより電解質膜を透過した水および燃料を、発電セルの底面にある気体排出口のさらに下部に設置した液体燃料循環用タンク内に回収する構造
(6)液体燃料循環用タンクに供給した燃料原液を、循環している液体燃料または新たに追加する水で、多段階希釈する構造
図1に発電セルのスタック構成の一例を示す。複数の膜電極複合体1を燃料流路8と空気流路7を表裏に兼ね備えた炭素材または金属などの導電性材料からなるバイポーラーセパレーター3で挟み込むようにセット(スタック)することにより直列化し(ただし最外のセパレーターは片面に燃料流路8か空気流路7のどちらか一方のみ)、燃料電池に用いる発電セルとする。液体燃料や空気が反対の極に回り込まないようにガスケット2でシールすることが好ましい。ガスケットはフッ素ゴム、オレフィンゴムなどのエラストマーや発泡ウレタンシートなどの弾力性がある材料からなるものが好ましいが、接着剤で接着してもよい。また、電解質膜とガスケットをあらかじめプレスやコーティングによって一体化させたり、あるいは、膜電極複合体とガスケットを一体化させたりすることも、発電セルの組み立て工程が簡便になることから好ましい。
液体燃料は各種液体ポンプPを利用して燃料タンク等より供給しても良いし、燃料流路8にフェルトや不織布などを設置し毛細管現象を利用して供給してもよい。空気はファン15などで強制的に供給してもよいし、空気流路7に自然に存在する空気を利用できる。膜電極複合体1のスタック数は駆動する機器の出力により任意に決定する事ができる。また、冷却板やヒーターなどを積層しても差し支えない。
このようなスタック構成の発電セル10を図2に示すような発電セル10内から排気される空気の経路Aと液体燃料の経路Eが同一の燃料循環タンク筐体14内に存在する構造の液体供給型燃料電池とすることができる。カソードを通過した空気およびアノードで発生した炭酸ガスを排出するファン15の背圧(吸引力)を利用し発電セル10の上部より発電セル10の周囲の空気を吸引し、カソードのセパレーター内の気体の流れがダウンフローとなる構造が好ましい。ダウンフローにすることにより、カソードで発生した生成水やアノードから電解質膜を透過した未反応燃料や水が空気の流れに伴って下部に流れやすくなる。
図3は図2のG−F線断面イメージ図であり、液体燃料流路17aと空気流路17bが膜電極複合体を挟む形で開口しており、カソードの空気流路は発電セルを貫通するように空いている。つまり、カソードの空気流路は発電セルを上下に貫通していることがダウンフローの流れを形成する観点から好ましい。
ここでのダウンフローとは、電極表面に設置されたセパレーター内を流れる空気の流れのことであり、電極上部から下部に向かって直線的に気体が流れることを意味する。ダウンフローとなる流路の形状としては、気体吸入口と出口が直線で発電セル設置面に対し垂直となり、複数の溝状になっていることが好ましい。角度を持っていても曲がっていても気体が上から下の流れを維持できれば特に問題ない。
また、一つのファン15で空気およびアノードで発生した炭酸ガスや不純物ガスを一箇所から発電システム系外に排出できることから省スペース化が可能であり、メタノール、や蟻酸やホアルデヒドなど未反応の有機物が混入しても、系内から排出される箇所がこのファンのみとなるので、排出ガスをトラップする機構を設置することで、環境汚染物質の除去が容易となり環境面でも有効である。また、必要な出力によっては、コンプレッサーやブロワーなどで空気をファンより強制的に送る構造もとれる。省スペース、低騒音などの観点からファンによる吸引力を利用することが好ましい。
ここでのファンとは気体に運動エネルギーを与え、ファン前後の圧力を変化させる流体機械である。遠心ファン、軸流ファン、斜流ファン、クロススローファンなどが挙げられ、ファンと電動機が一体化されたモーターファンなどが省スペース化の観点から好ましい。このファンの向きにより、発電セルのカソード流路(セパレーター)および燃料循環用タンク内を負圧(大気圧より低い圧)にし、発電セルの空気吸入口より空気を吸い込む構造が好ましい。この方式により、ファンの出力が小さくても空気の流れが作れるため、補機の分も同じ燃料電池の出力でまかなう場合、出力ロスが抑えられ、また、過剰な空気の流れで電解質膜が乾燥することも抑制できる。逆に、空気の吸入をファンで行い、燃料循環用タンク内に送風し、カソードのセパレーター内に空気を送り、発電セルの空気吸入口から排出するような、空気の流れが逆の場合でも発電が可能であり、燃料の利用効率などが不問の場合には選択しても差し支えない。
また、発電セル10の底部に設置した気体排出口の下部には、液体燃料循環用タンクを設置し、発電セルの気体排出口から空気と伴って排出されるカソードで発生した生成水やアノード側から電解質膜を透過した未反応燃料や水が、該タンクを循環する液体燃料中に回収するような構造が好ましい。これにより、発電に必要な水や燃料が再利用でき、燃料の使用効率が向上する。電解質膜を透過する燃料が再利用可能なシステムとなるので、燃料の高濃度化が可能となり、発電時間の延長タンクの小型化、つまり燃料電池システムの小型化が可能となり、搭載機器の小型化に有効である。
本発明の液体燃料循環用タンクとは、発電セルより還ってきた液体燃料を回収し再循環する部分であり、発電中は液体燃料の流路の一つであり、発電休止中は燃料保管タンクとなる。この液体燃料循環用タンク内部で発電セル内に供給する燃料濃度や温度を制御することが好ましい。発電セルと一体になっていても、配管で接続され発電部とは離れていてもよく、タンクの大きさは発電時間や搭載機器のスペースなどにより任意に決定できる。液体燃料循環用タンク中の液体燃料は使用状況により増減するが、タンクを満たすほどの液体燃料は必要なく、液体燃料排出口13が液体燃料で満たされていることが好ましい。
この液体燃料循環用タンクは燃料供給口11により供給した燃料原液Iを循環している液体燃料または新たに追加する水Cなどで希釈する構造となっていることが好ましい。特に多段階希釈構造を有することで、燃料濃度むらが低減し、燃料原液に近い状態の燃料が発電セルに入ることを防止でき、膜電極複合体の破損による出力の低下や、異常発熱などを防止できる。
多段階希釈構造は、燃料循環用タンクの液体燃料排出口13から離れるほど燃料濃度が薄くなるように燃料循環用タンク内を細分化した構造を有する構造であり、液体燃料排出口13から最も遠い部分に液体燃料供給口11を設置することが好ましい。細分化部分は燃料が滞留するようそれぞれ燃料が流れる小さな出口を有し、液体燃料排出口13に近い方向へ希釈されながら移動する。また、細分化は小部屋のように仕切られていても良いし、仕切り板などで蛇行流路になるような構造でもよいし、多数の突起などで燃料の流れを阻害し希釈する構造などが例示される。
希釈する方法の具体的な例を図4〜図10に示す。図4は図2中のZ−Yの断面を上部から見た図であるが、燃料入口11から燃料出口13までの間が小部屋で仕切られており、小部屋の側面には図5から図6のような液体燃料が通過できるゲートや孔が空いている。上述した、カソードより発生した生成水やアノード側から電解質膜を透過した未反応燃料や水が滴下し循環中の液体燃料と混ざり合いやすいように各小部屋間に隙間を設置することも好ましく、小部屋と発電セルの間にも液体燃料の揮発を防止する目的で仕切りがあることも好ましい。この仕切りには、カソードより発生した生成水やアノード側から電解質膜を透過した未反応燃料や水が入りやすいように孔が空いていたり、すり鉢状になっていたり、屋根のように傾いていたりしてもよい。
供給した燃料原液は、各小部屋の中で循環している液体燃料水溶液や新たに加える水などで多段階に希釈し、0.5〜29%程度の水溶液として出口より排出されポンプを介してセル内に供給する。このような小部屋の数や仕切りのような構造は任意に設定でき、燃料原液が希釈できるような構造であれば特に限定されない。例えば、図7や図9のような、蛇行流路や柱状の突起などが挙げられる。
図8、図10はそれぞれ図7のK−L線断面のイメージ図、図9のN−M線断面のイメージ図である。図8は蛇行流路の壁26となる仕切り板の一方の端が液体燃料循環用タンク筐体と一体となっており、もう一方が離れているパターンで、これを交互にすることによって蛇行流路とすることが製造の観点から好ましい。図10は液体燃料循環用タンク筐体のそこから円柱状の突起が複数本立っていることを表しており、この高さや数は液体燃料循環用タンクの大きさ、供給する燃料やセルの大きさなどにより、適宜実験的に決めることができる。
また、燃料原液Iや水Cの追加は別タンクから液体燃料循環用タンクの液体燃料供給口11を通して行ってもよいし、液体燃料循環用タンクに別の専用供給口を設け、サテライトカートリッジ方式で注入してもよい。
また、発電セル内への液体燃料供給ラインで燃料濃度をセンサーでモニタリングしたり、液体燃料循環用タンク内の液面をセンサーでモニタリングしたりし、液体燃料循環用タンクに新たに供給する燃料原液と水の供給量を自動的に制御する機構を有することも好ましい。さらに、発電セルが一定角度以上傾いたり、振動したりした場合、液体燃料の循環を停止または循環量を低減したり、液体燃料循環用タンクが密閉される機構を有することも好ましい。燃料漏れなどが防止できる。さらに液体燃料が通る部分の一部または全部にスポンジやフェルトなどを充填し容易に燃料が漏れないようにすることも可能である。
また、液体供給型燃料電池は、該電池からの電気供給先である機器に内蔵させてもよいし、外付けユニットとして機器に外付けしてもよい。また、燃料電池のメンテナンスの観点からは、燃料電池セルから膜電極複合体が脱着可能な構成であることも好ましい。
本発明法は、移動可能な電気機器の電力供給源としての燃料電池の発電に適用されることが好ましい。ここで、移動可能な機器としては、特に、携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ(カムコーダー)、デジタルカメラ、ハンディターミナル、RFIDリーダー、各種ディスプレー類などの携帯機器、電動シェーバー、掃除機等の家電、電動工具、家庭用電力供給機、乗用車、バスおよびトラックなどの自動車、二輪車、電動アシスト付自転車、電動カート、電動車椅子や船舶および鉄道などの移動体、各種ロボットなどが好ましい。
特に携帯用機器では、電力供給源としての燃料電池の使用だけではなく、携帯機器に搭載した二次電池の充電用としても使用され、さらには二次電池や太陽電池と併用するハイブリッド型電力供給源としても好適に利用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらの例は本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
[参考例]
(1)イオン性基を有する高分子材料(ポリマー(A))の合成例1
4,4’−ジフルオロベンゾフェノン109.1gを発煙硫酸(50%SO)150mL中、100℃で10時間反応させた。その後、多量の水中に少しずつ投入し、NaOHで中和した後、食塩200gを加え合成物を沈殿させた。得られた沈殿物を濾別し、エタノール水溶液で再結晶し、ジソジウム−3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンを合成した(収量181g、収率86%)。
炭酸カリウムを6.9g、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンを16g、および4,4'−ジフルオロベンゾフェノンを6g、および、前記のジソジウム−3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン6gを用いて、N−メチル−2−ピロリドン中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することにより精製を行い、ポリマー(A)を製造した。
(2)イオン性基を有する高分子材料(ポリマー(B))の合成例2
炭酸カリウムを6.9g、4,4’−ジヒドロキシテトラフェニルメタンを14g、および4,4'−ジフルオロベンゾフェノンを7g、および、前記合成例1にて合成したジソジウム−3,3’−ジスルホネート−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン5gを用いて、N−メチル−2−ピロリドン中、190℃で重合を行った。多量の水で再沈することで精製を行い、ポリマー(B)を製造した。
(3)電解質膜(A)および電解質膜(B)の作製例
上記したポリマー(A)をN−メチル−2−ピロリドンに溶解し固形分25%の塗液とした。当該塗液をガラス板上に流延塗布し、70℃にて30分、さらに100℃にて1時間乾燥して膜厚72μmのフィルムとした。さらに、窒素ガス雰囲気下、200〜300℃まで1時間かけて昇温し、300℃で10分間加熱する条件で熱処理した後、放冷し、1N塩酸に12時間以上浸漬してプロトン置換した後に、大過剰量の純水に1日間以上浸漬して充分洗浄し、電解質膜(A)を製造した。
また、ポリマー(A)の代わりにポリマー(B)を用い、上記と同じ方法により、電解質膜(B)を製造した。
得られた電解質膜を25℃の水中に24時間浸漬した後、長さ約5cm、幅2mmの短冊状に切り出した試験サンプルを用いて、引っ張り弾性率を、株式会社オリエンテック社製“テンシロン”により測定した。この試験は、ロードセル50N、レンジ40%、チャック間距離3cm、クロスヘッドスピード100mm/min、n=5の条件で行い、引っ張りモードの弾性率を測定した。
電解質膜(A)の引っ張り弾性率は1.3GPaであり、電解質膜(B)の引っ張り弾性率は1.5GPaであった。
(4)界面抵抗低減性ペースト(A)の作製
上記ポリマー(A)を10g、可塑剤としてN−メチル−2−ピロリドンを40g、及び、グリセリン50gを容器にとり、90℃に加熱して均一になるまで撹拌して界面抵抗低減性ペースト(A)とした。
[実施例1]
電解質膜として“ナフィオン117(登録商標)”(デュポン社製)を用い、カソード触媒に、燃料電池用触媒“TEC10V50E”(田中貴金属工業株式会社製)と“ナフィオン(登録商標)”バインダーを用い、アノード触媒に、Pt/Ruブラック“HiSPEC(登録商標)”6000と“ナフィオン(登録商標)”バインダーを用いた。基材(炭素繊維からなる織物、カーボンクロス“W1400”(米国イーテック(E−TEK)社製))上に、それぞれの触媒層を形成して電極とし、この電極で電解質膜を挟み加熱プレスにて膜電極複合体(MEA)を作製した。
得られたMEAから、電極投影面積を5cmとした燃料電池の単セルを作製し、カソードに空気を1ml/sec、アノードに10%メタノール水を供給した。この燃料電池から定電流を取り出す場合、それぞれの電極で次の反応が生じる。
アノード側:CH3OH+H2O→6H++6e-+CO2
カソード側:6H++6e-+3/2O→3H2O
この燃料電池から0.5A(電流密度0.1A/cm)の定電流を取り出すにあたり、アノードへの10%メタノール水供給量を0.005(ml/sec/cm)に設定した。この条件で、1日12時間発電、次いで12時間発電停止を30日間繰り返したところ、30日間経過時の電圧保持率は初期値に比べ98%であり、高耐久性を示した。
なお、この場合、前記した式1に関係する条件値は、次のとおりであった。
I:電流=0.5(A)
F:ファラデー定数(=96484C/mol)
E:活物質1molに対して発生する電子数 =6
W:活物質1molに対して生成する生成物のmol数=1
V:理想気体モル体積(=22414ml/mol)
B:電極投影面積=5(cm
この条件下で、前記した式1を満足する液体燃料供給量(X)を算出すると、0.00387〜0.0387(ml/sec/cm)の範囲が式1を満足するものである。
[実施例2]
実施例1において、アノードへの燃料供給量を0.03ml/sec/cmに変更した以外は実施例1と同様にして断続的発電を実施し、評価した。30日間経過時の電圧保持率は初期値に比べ96%であり、高耐久性を示した。
[比較例1]
実施例1において、アノードへの燃料供給量を0.003ml/sec/cmに変更した以外は実施例1と同様に断続的発電を実施し、評価した。30日間経過時の電圧保持率は初期値に比べ89%と、出力が低下し耐久性が劣っていた。
[比較例2]
実施例1において、アノードへの燃料供給量を0.05ml/sec/cmに変更した以外は実施例1と同様に断続的発電を実施し、評価した。30日間経過時の電圧保持率は初期値に比べ70%と、出力が低下し耐久性が劣っていた。
[実施例3]
実施例1において、電解質膜を、参考例で作製した電解質膜(A)に換え、アノード電極と電解質膜(A)間およびカソード電極と電解質膜(A)間に、参考例で作製した界面抵抗低減性ペースト(A)を設けた以外は、実施例1と同様にしてMEAを作製した。
得られたMEAから、電極投影面積を25cmとした燃料電池の単セルを作製し、カソードに空気を1ml/sec、アノードに30%メタノール水を供給した。
この燃料電池から5A(電流密度0.2A/cm)の定電流を取り出すにあたり、アノードへの燃料供給量を0.009(ml/sec/cm)に設定した。この条件で、実施例1と同様の条件で断続的発電を30日間実施して評価した。30日間経過時の電圧保持率は初期値に比べ98%であり、高耐久性を示した。
なお、この場合、前記した式1を満足する液体燃料供給量(X)の範囲は、0.00774〜0.0774(ml/sec/cm)であった。
[実施例4]
実施例3において、電解質膜を、参考例で作製した電解質膜(B)に換えた以外は実施例3と同様にしてMEAを作製した。
得られたMEAから、電極投影面積を25cmとした燃料電池の単セルを作製し、カソードに空気を1ml/sec、アノードに30%メタノール水を供給した。
実施例3と同じ条件で、断続的発電を30日間実施して評価した。30日間経過時の電圧保持率は初期値に比べ97%であり、高耐久性を示した。

燃料電池による発電に関する本発明法は、移動可能な電気機器類(例えば<携帯電話、パソコン、PDA、ビデオカメラ、デジタルカメラなどの携帯機器、コードレス掃除機等の家電、玩具類、電動自転車、自動二輪、自動車、バス、トラックなどの車両や船舶、鉄道などの移動体、各種ロボットなど)の電力供給源として燃料電池を用いる場合、据え置き型の発電機など従来の一次電池、二次電池の代替として燃料電池を用いる場合、もしくはこれらや太陽電池とのハイブリッド電源として、もしくは充電用として燃料電池を用いる場合に適用することができる。
発電セルのスタック構成イメージ図 液体供給型燃料電池イメージ図 図2のG−F線断面イメージ図 図2のZ−Y線断面を上部より液体燃料循環用タンク側を見たイメージ図 仕切り板にゲートが配された場合の図4のXa−Wa、U−Va、S−T、Q−R線断面のイメージ図 仕切り板に貫通口が配された場合の図4のXa−Wa、U−Va、S−T、Q−R線断面のイメージ図 蛇行経路が配された液体燃料循環用タンクのイメージ図 図7のK−L線断面のイメージ図 柱状の突起が配された液体燃料循環用タンクのイメージ図 図9のN−M線断面のイメージ図
符号の説明
1 :膜電極複合体
2、18:ガスケット
3、19:バイポーラーセパレーター
4、20:集電板
5 :排出口
6 :締め付けネジ
7、17b:空気流路
8 :燃料流路
9 :ガスケットで挟み込まれた膜電極複合体
10 :発電セル
11:液体燃料循環用タンクの液体燃料供給口
12a,12b,12c:循環タンク内小部屋
13:液体燃料循環用タンクの液体燃料排出口
14、21:燃料循環タンク筐体
15:ファン
16:燃料供給口
17a、17b:液体燃料流路18a、18b:セパレーター
19:バイポーラーセパレーター
20:集電板
21:燃料循環タンク筐体
22:ゲートを配した仕切り板
23:ゲート部
24:貫通口を配した仕切り板
25:貫通口
26:蛇行流路の壁
27:柱状の突起
A :空気の経路
I :燃料原液
C :水
D :カソード発生水およびアノードより透過した燃料の経路
J :液体燃料の経路
H :アノード反応ガスの経路
P :液体ポンプ

Claims (3)

  1. 少なくとも一方の電極に、活物質または活物質を含有する液体からなる液体燃料を供給する発電時に、電極内で生成物が発生する液体供給型燃料電池によって、電流密度(=電流/電極投影面積)が0.07(A/cm)以上で発電を行う際、液体燃料の供給量X(ml/sec/cm)と、取り出す電流I(A)とが下記式1を満足することを特徴とする液体供給型燃料電池による発電方法。
    1≦αX/I≦10 ・・・(式1)
    (式1において、α=(B×F×E)/(W×V)であり、また、各記号は次の通りである。)
    B:電極投影面積(cm
    F:ファラデー定数(C/mol)
    E:活物質1molに対して発生する電子数
    W:活物質1molに対して生成する生成物のmol数
    V:理想気体モル体積(ml/mol)
  2. 活物質がメタノールであることを特徴とする請求項1に記載の液体供給型燃料電池による発電方法。
  3. 液体燃料を補機で供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体供給型燃料電池による発電方法
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