〔パチンコ遊技機の全体構造〕
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図5を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ遊技機1の外枠2に対して本体枠3を閉塞し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ遊技機1の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ遊技機1の正面図であり、図4は、パチンコ遊技機1の背面図であり、図5は、パチンコ遊技機1の平面図である。
図1及び図2において、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域20を遊技者が視認し得る透明板ユニットとしてのガラスユニット190と該ガラスユニット190の下方に配置され且つ遊技の結果発生した賞球を受け入れて発射レール38の発射位置に供給する皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板6aによって被覆されている下部装飾板6が固着されており(図63参照)、また、詳細に図示しないが、外枠2は、上下の木製の上枠板及び下枠板と左右の軽合金(アルミニュウム)製の側枠板とを、それぞれの端部を連結するための連結部材で連結することによって方形状に組み付けられるものである。なお、外枠2の上部に設けられる上支持金具7と下部装飾板6の一側上面に設けられる下支持金具8に、本体枠3の上下に固定される上軸支金具47及び下軸支金具48とを係合することにより、本体枠3が外枠2に対して開閉自在に軸支されている。
また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、図4に示すように、その裏面に賞球を払い出すための賞球タンク50、タンクレール部材51、球通路ユニット52、及び賞球ユニット53が取り付けられ、その裏面下部に発射装置57と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット54が取り付けられ、更に、本体枠3の後面開口を覆うカバー体58が着脱自在に設けられている。なお、本体枠3は、その前面に開閉自在に設けられる扉枠5との間で、不正行為に対する防犯構造等が採用されているが、この点を含め本体枠3については、後に詳述する。
更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300に、ハンドルユニット318が設けられている。そして、本実施形態の特徴は、扉枠5に設けられる皿ユニット300が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドルユニット318が扉枠5側である皿ユニット300に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくした点である。以下、パチンコ遊技機1を構成する部材のうち、本体枠3と扉枠5について詳細に説明する。
〔本体枠〕
まず、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、発射装置57と、賞球を払い出すための賞球タンク50とタンクレール部材51と球通路ユニット52と賞球ユニット53と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う錠装置60と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット54と、後面開口222を覆うカバー体58等の各種の部品が装着される本体枠3について、主として図4乃至図6を参照して説明する。図4及び図5は、前述した通りであり、図6は、本体枠3の正面図である。
まず、本体枠3に着脱自在に装着される遊技盤4の構成について説明すると、遊技盤4は、ほぼ正方形状の遊技板10と、該遊技板10の前面に遊技領域20を囲むように取り付けられる遊技板飾り枠11と、から構成されている。遊技板10の表面には、装飾セルともいわれる装飾板が貼付されると共に遊技領域20に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に遊技板飾り枠11が遊技板10の前面に取り付けられるが、その遊技板飾り枠11は、遊技板10の周囲を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形が遊技板10の外形に沿った形状に形成されており、その下辺中程から上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外レールユニット22として形成され、その外レールユニット22の終端に設けられる衝止部26の下部位置から上辺の前記衝止部26の対称の逆流防止部材13が設けられる位置までが内レールユニット12として形成されている。つまり、遊技板飾り枠11は、外レールユニット22と内レールユニット12とを組み合わせて遊技板10の表面に取り付けることにより構成されている。
外レールユニット22は、その始端部に後述する発射レール38の延長状に設けられたレール接続部材44に連接する接続通路部27が斜め状に形成されており、その接続通路部27に隣接してファール口23が形成されている。また、ファール口23の上流端から衝止部26までの外レールユニット22には、金属製のレールが密着して取り付けられている。なお、衝止部26は、勢いよく外レールユニット22を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域20の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材13は、一端発射されて遊技領域20の内側に取り入れられた打球が再度外レールユニット22に逆流しないように防止するものである。更に、外レールユニット22の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起15が突設されている。この防犯突起15は、扉枠5が閉じられた状態で後述する防犯カバー210に突設される防犯後端部突片215と上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の軸支側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
また、内レールユニット12の下部中央には、アウト口21が設けられ、そのアウト口21から逆流防止部材13までの内レールユニット12と外レールユニット22との間は、発射された打球が遊技領域20まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域20に到達せずに外レールユニット22を逆流した打球はファール口23に取り込まれて再度皿ユニット300の皿体360に排出されるようになっている。なお、遊技領域20は、実質的に内レールユニット12によって囲まれる領域である。また、内レールユニット12のアウト口21から衝止部26に向かう途中の遊技板飾り枠11には、レール防犯溝14が形成されている。このレール防犯溝14は、扉枠5が閉じられた状態で後述する防犯カバー210に突設される防犯後突片214の一部が進入するように溝状に形成されており、このレール防犯溝14と防犯後突片214との凹凸係合により、上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の開放側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止するものである。
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される盤位置決め突起37に嵌合する位置決め凹部16が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される盤止め具挿入穴(図示しない)に挿入される遊技盤止め具17が設けられている。遊技盤止め具17は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴に挿入されるようになっている。しかして、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部16が盤位置決め突起37に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の後述する収納壁31に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具17を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴に挿入して固定する。その後、本体枠3の板部32の前面上部に回動自在に設けられる遊技盤固定具46を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。ただし、図示の実施形態の場合には、遊技盤4の下方側の下端辺の一部を切り欠いて締結部19が形成されており、この締結部19と本体枠3の板部32に形成される締結穴41とを図示しない締結具で締結することにより、その締結具を切断しない限り遊技盤4を本体枠3から取り外せないようにすることも可能となっている。
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に前記扉枠5の裏面に設けられるスピーカ144a,144bの後方突出部分を受け入れるようにスピーカ用切欠部18が形成され、また、ファール口23の側方斜め下に賞球を排出するための通路の一部が挿入される通路用切欠部28が形成されている。また、遊技板飾り枠11の下方左右には、証明確認用の証紙を貼付する証紙貼付部29が設けられている。
一方、遊技盤4の裏面下部には、図63に示すように、盤用基板ホルダー24が固定されている。この盤用基板ホルダー24は、その前方に入賞球を集めるように空間部が形成され、その空間部の底面に落下口(図示しない)が形成されている。この落下口は、前記アウト口21の後面部分で合流して後述する基板ユニット54に形成されるアウト球通路(図示しない)に連通するものである。また、盤用基板ホルダー24には、その裏面に遊技動作を制御する遊技制御基板を収納する遊技制御基板ボックス25が取り付けられている。
上記した遊技盤4が取り付けられる本体枠3の構成について説明すると、本体枠3は、合成樹脂によって一体的に成形されるものであり、本体枠3の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具47及び下軸支金具48が取り付けられている。この軸支金具47,48を外枠2に取り付けられる上支持金具7及び下支持金具8にそれぞれ係合することにより、本体枠3を外枠2に対して開閉自在に軸支することができる。
ところで、本体枠3は、正面から見た場合に、図6に示すように、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部30となっており、その遊技盤設置凹部30の下方のやや奥まった領域が板部32となっている。遊技盤設置凹部30の後方には、図60に示すように、遊技盤設置凹部30の空間を形成するために収納壁31が後方に向って突設され、この収納壁31によって囲まれる空間に、遊技盤4及び該遊技盤4に設けられる液晶表示装置等の各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。
また、遊技盤設置凹部30を囲む前面側の前面上辺部及び前面右側辺部は、扉枠5の裏面と対面するように所定幅を有して形成されており、前面上辺部には、横方向に平行状に突設される突起によって上部防犯二重溝33が形成され、正面から見て前面右側辺部である開放辺部には、外側に側部防犯溝34が形成されると共に内側に後端が収納壁31に接続される傾斜面となっている内壁によって形成される防犯凹部35が形成され、正面から見て前面左側辺部である軸支辺部は、前面上辺部や前面右側辺部と異なり扉枠5の裏面と対面する所定幅を有するように形成されていないが、本体枠3自体の前面左側辺部が前面上辺部や前面右側面部に比べて前方への突出量が多い軸支辺部49となっている。
より詳細に説明すると、前面上辺部に形成される上部防犯二重溝33は、図60に示すように、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金161の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片165,166がそれぞれ挿入されるようになっているものである。また、前面右側辺部に形成される側部防犯溝34及び防犯凹部35は、図65に示すように、扉枠5の開放部裏面に取付固定される開放側補強板金163の両長辺端を後方に向って折曲される開放側外折曲突片173及び開放側内折曲突片174がそれぞれ挿入されるようになっているものである。更に、前面左側辺部の軸支辺部49には、図64に示すように、扉枠5の軸支側裏面に取付固定される軸支側補強板金162の軸支側L字状折曲突片167の先端部が当接するようになっている。そして、上記した構造によって扉枠5と本体枠3との当接面の隙間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を防止することができ、特に、最も不正行為が行われやすい開放側辺部や次いで不正行為が行われやすい上辺部における不正行為の防止をはかることができる構造となっている。もちろん、軸支側における軸支側補強板金162と軸支側L字状折曲突片167との当接による不正行為の防止も充分に機能するが、多くの場合、軸支側は、頑丈な支持金具7,8と軸支金具47,48とで本体枠3と扉枠5とが連結されているため、上辺部及び開放側辺部に比べて本体枠3と扉枠5との間に隙間が作り難い。このため、本実施形態においては、二重の防犯構造ではなく、一重の防犯構造としている。これらの点については、後に詳述する。
また、遊技盤設置凹部30を囲む前面側の前面上辺部、前面右側辺部、及び前面左側辺部には、上記した構成以外に開放側である前面右側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取り付けられる後述する施錠装置60に設けられる扉用フック部61(図15参照)を貫通させて前方に飛び出させるためのフック用開口36が開設されており、また、図6に示すように、軸支側である前面左側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部16と係合するための上下2つの盤位置決め突起37が設けられている。更に、軸支側である前面左側辺部の前記盤位置決め突起37のやや下方位置の内側前方面に、扉枠5を閉じた状態で軸支側補強板金162の軸支側L字状折曲突片167の先端が挿入される上下2つの規制突起63が突設されている。この規制突起63の作用については後に詳述する。
次に、本体枠3の前面側の構成であって遊技盤設置凹部30の下方に位置する板部32に設けられる構成について説明すると、図6に示すように、板部32の前面の中央部から開放側の端部に向かって発射レール38がビス止め固定されている。この発射レール38の先端位置に対応する板部32の前面には、レール接続部材44が突設され、遊技盤設置凹部30に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の外レールユニット22の下流端である接続通路部27と隣接するようになっている。レール接続部材44の側方位置(発射レール38と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具46が回動自在に取り付けられている。この遊技盤固定具46は、前記遊技盤設置凹部30に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具46を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。一方、遊技盤4を取り外す場合には、遊技盤固定具46を反時計方向に回すことにより、遊技盤4の下部の固定の解除を簡単に行うことができる。更に、遊技盤固定具46の軸支側の側方に賞球払出ストッパー機構39が設けられている。この賞球払出ストッパー機構39は、後述する賞球ユニット53から払出された賞球を扉枠5側の皿ユニット300に払い出す賞球通路の途中に設けられるもので、扉枠5を開放したときに、自動的に賞球通路を閉塞して賞球通路から外部に球がこぼれ落ちないようにする一方、扉枠5を閉じたときに自動的に賞球通路を連通させて賞球ユニット53から払出された賞球を皿ユニット300に払い出すものである。なお、発射レール38の発射位置の上方の板部32には、前述したように遊技盤4に形成される締結部19と図示しない締結具で締結するための締結穴41が形成されている。
また、板部32の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部40が形成されており、この発射装置取付部40に本体枠3の裏面から発射装置57が固定されている。また、発射装置取付部40の前面壁部分には、扉枠5の裏面側に取り付けられる後述するスライドユニット230のスライド係脱片231(図1参照)が挿入されるハンドル連結窓40aが形成され、扉枠5を閉じたときにスライド係脱片231がハンドル連結窓40aに挿入されて扉枠5の下部前面に設けられるハンドルユニット318と発射装置57とが連携されて、ハンドルユニット318の回動操作量に応じた強さで発射装置57の弾発力を調節することができるようになっており、それによって発射レール38の発射位置にある球を弾発して遊技領域20の所望の位置に打ち出すことができる。
また、板部32の最下端辺部には、扉枠5を閉じたときに、扉枠本体100の下辺を後方に向けて折曲した扉枠突片112(図17参照)が挿入される係合溝42,43が形成されている。係合溝42は、前述した発射装置取付部40の下方に形成される溝であり、係合溝43は、前記係合溝42の一端から軸支側に向って形成される溝である。なお、扉枠突片112は、係合溝43に対応する部分(図8において「112a」と表示した部分)の突出量が係合溝42に対応する部分(図8において「112b」と表示した部分)の突出量よりも大きくなるように後方に向って突設されている。ただし、開放端下部には、突出量の多い扉枠突片112aが僅かに形成されている。そして、上記した扉枠突片112と係合溝42,43とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
上記のように板部32には、発射レール38や賞球払出ストッパー機構39が設けられ且つレール接続部材44や発射装置取付部40が突設形成されているが、発射装置取付部40及び発射レール38の板部32における配置位置が開放側に偏り、しかもそれらが板部32の表面よりも突出して形成されている。このため、扉枠5を閉じた状態において、発射装置取付部40及び発射レール38が配置される板部32のほぼ中央部から開放側にいたる領域は、扉枠5の裏面と発射装置取付部40及び発射レール38の前面とが密着した状態となるため、前述した扉枠突片112と係合溝42との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具を扉枠5の裏面と発射装置取付部40及び発射レール38の前面との間をさらに上手にすり抜けさせて遊技盤4の表面側若しくは遊技盤4の裏面側に到達させることは極めて困難である。
一方、発射装置取付部40及び発射レール38が配置されない板部32のほぼ中央部から軸支側にいたる領域は、板部32の表面に突出した部分がないため、扉枠5を閉じた状態において、扉枠5の裏面と板部32の前面との間に空間45が生じてしまう。このため、前述した扉枠突片112(ただし、この扉枠突片112aは不正具が侵入し難いように突出量が大きく形成されている。)と係合溝43との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具が扉枠5の裏面と板部32の前面との間の空間45を簡単にすり抜けてしまうことができるため、この空間45を不正具が上方に向ってすり抜けないように、扉枠5の裏面下部に取り付けられる装着台220には、扉枠5を閉じた状態で該空間45に進入する防犯突片225が形成されている。この防犯突片225は、板部32のほぼ中程から軸支側端部までいたるように装着台220に形成されている。したがって、発射レール38及び遊技盤4に取り付けられる外レールユニット22の下方空間は、装着台220に突設される防犯突片225を受け入れる防犯空間45を構成している。そして、この防犯突片225と防犯空間45とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
本体枠3の前面構造は、概ね上記した通りであるが、次に、主として図4を参照して本体枠3の裏面構造について説明する。図4に示すように、本体枠3の裏面上部には、賞球又は貸球として払い出すための球を貯留する賞球タンク50が着脱自在に装着され、その賞球タンク50の下方に該賞球タンク50からの球を横傾斜状に誘導するタンクレール部材51が配置され、さらにタンクレール部材51の流下端から下方に向けて球通路ユニット52及び賞球ユニット53が設けられている。タンクレール部材51は、賞球タンク50からの球を前後方向に2列に整列させながら下流側に誘導するものであり、そのタンクレール部材51の下流端から球通路ユニット52に球が移動する際に1列となって球通路ユニット52内を落下する。そして、球通路ユニット52から賞球ユニット53に導かれた球は、次に説明する賞球払出基板ボックス55に収納される賞球払出基板によって実行される払出制御プログラムに応じて所定個数の賞球や貸球を払出し、その払出した球を扉枠5の前面側に設けられる皿ユニット300に排出するようになっている。なお、賞球ユニット53には、詳細に図示しないが払出モータと該払出モータによって回転駆動されて球を1個単位で払い出す回転払出部材が設けられている。
更に、本体枠3の裏面には、その下部に基板ユニット54が取り付けられている。この基板ユニット54には、賞球払出基板ボックス55、外部接続端子基板56、電源基板ボックス(図示しないが賞球払出基板ボックス55及び外部接続端子基板56の奥側に固定されている。)等の遊技盤4に設けられない基板ボックスが集約して設けられている。つまり、遊技盤4が交換されても交換する必要のない制御基板を収納する基板ボックスが集約して設けられるものである。そして、遊技盤4を遊技盤設置凹部30に収納設置した際に、遊技盤4側に設けられる遊技制御回路基板と基板ユニット54に設けられる基板であって遊技制御回路基板と接続する必要のある基板との電気的な接続が自動的に行われるようになっている。上記した基板ユニット54の下方であって前記発射装置取付部40には、ユニット化された発射装置57が取り付けられている。さらに、本体枠3の前述した収納壁31の後端に沿って形成される後面開口には、カバー体58が開閉自在に設けられている。このカバー体58は、遊技盤4の後方部の全域を覆うものであり、このカバー体58を取り付けて閉じた状態では、図5に示すように、パチンコ遊技機1の最も後方へ突出している前記タンクレール部材51の後端部とほぼ同一垂直面となるように形成されている。
また、本体枠3の開放側裏面には、施錠装置60が固定されている。この施錠装置60は、本体枠3の外枠2に対する施錠、及び扉枠5の本体枠3に対する施錠の両方の施錠を行う、所謂W錠といわれるものであり、この施錠装置60から本体枠3の前方に向けて複数(本実施形態においては3個)の扉枠用フック部61とシリンダー錠62(共に図1参照)とが突出するように設けられている。
〔扉枠〕
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図7乃至図69を参照して説明する。図7は、扉枠5の正面図であり、図8は、扉枠5の背面図であり、図9は、図7に表示されるA−A断面図であり、図10は、図7に表示されるB−B断面図であり、図11は、図7に表示されるC−C断面図であり、図12は、図7に表示されるD−D断面図であり、図13は、図8に表示されるE−E断面図であり、図14は、図8に表示されるF−F断面図であり、図15は、図14と同じ断面図の部位における従来の補強板金163の開放側外折曲突片173の形状を示す断面図であり、図16は、扉枠5の正面から見た分解斜視図であり、図17は、扉枠5の背面から見た分解斜視図であり、図18は、扉枠5の前面側に取り付けられる扉レンズユニット120の正面から見た分解斜視図であり、図19は、扉レンズユニット120に設けられるレンズベース体121と冷陰極管132との関係を示す平面図であり、図20は、冷陰極管132の支持構造を説明するための拡大平面図であり、図21は、レンズベース体121と冷陰極管132との関係を示す斜視図であり、図22は、扉レンズユニット120のレンズカバー140と皿ユニット300に設けられるレンズカバー309との関係を示すパチンコ遊技機1の正面斜視図であり、図23は、扉枠5の防犯カバー210を取り外した状態の背面図であり、図24は、扉枠5に着脱自在に取り付けられるガラスユニット190の正面図(A)・背面図(B)であり、図25は、ガラスユニット190の分解斜視図であり、図26は、扉枠5に取り付けられる防犯カバー210の正面から見た斜視図(A)と背面から見た斜視図(B)であり、図27は、扉枠5の一側上部に設けられるスピーカを覆うスピーカカバー146b部分の拡大正面図であり、図28は、スピーカ144aの斜視図であり、図29は、扉枠5の一側上部に設けられるスピーカ144b部分の背面から見た従来例(A)と本実施形態例(B)の拡大斜視図であり、図30は、スピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bを構成する部材のうち、LEDに照射される部材を取り除いた場合の扉枠5の正面図であり、図31は、一方のスピーカカバー146b及び装飾部材149bの前面から見た斜視図であり、図32は、一方のスピーカカバー146b及び装飾部材149bの背面から見た斜視図であり、図33は、扉枠5の前面に設けられる皿ユニット300の正面図であり、図34は、図33に表示されるA−A断面図であり、図35は、図33に表示されるB−B断面図であり、図36は、図33に表示されるC−C断面図であり、図37は、皿ユニット300の正面から見た分解斜視図であり、図38は、皿ユニット300の背面から見た分解斜視図であり、図39は、皿ユニット300の内部に設けられる下部スピーカユニット330の正面図(A)・平面図(B)・背面図(C)であり、図40は、下部スピーカユニット330の右側面図(A)・正面から見た斜視図(B)・背面から見た斜視図(C)であり、図41は、下部スピーカユニット330の正面から見た分解斜視図であり、図42は、下部スピーカユニット330の背面から見た分解斜視図であり、図43は、下部スピーカボックス330の正面図(A)とその正面図中に表示されるB−B断面図(B)であり、図44は、下部スピーカボックス330とその上部に位置する皿体360との関係を示す背面から見た斜視図であり、図45は、皿体360の背面図であり、図46は、下部スピーカボックス330と皿体360とを組み付けた状態での背面から見た斜視図であり、図47は、下部スピーカボックス330と皿体360とを組み付けた状態での背面図であり、図48は、皿体360に設けられる第2球抜弁375と第2球抜ボタン401との関係を示す正面から見た斜視図であり、図49は、皿体360に設けられる第2球抜弁375と第2球抜ボタン401との関係を示す平面図であり、図50は、皿体360に設けられる第2球抜弁375と第2球抜ボタン401との関係を示す背面から見た斜視図であり、図51は、第2球抜弁375と第2球抜ボタン401とを連結するためのリンク機構を示す背面図であり、図52は、第2球抜弁375と第2球抜ボタン401の作用を説明するための平面図であり、図53は、皿ユニット300に設けられる操作ボタンユニット326の斜視図であり、図54乃至図56は、皿ユニット300を組み立てる工程を説明するための背面から見た斜視図であり、図57は、皿ユニット300への操作ボタンユニット326の組み付けを説明するための斜視図(A)・正面図(B)であり、図58は、皿ユニット300への操作ボタンユニット326の組み付けを説明するための断面図であり、図59は、パチンコ遊技機1の正面図であり、図60は、図59に表示されるA−A断面図であり、図61は、図59に表示されるB−B断面図であり、図62は、図59に表示されるC−C断面図であり、図63は、図59に表示されるD−D断面図であり、図64は、図59に表示されるE−E断面図であり、図65は、図59に表示されるF−F断面図であり、図66は、図59に表示されるG−G断面図であり、図67は、図59に表示されるH−H断面図であり、図68は、図59に表示されるI−I断面図であり、図69は、図59に表示されるJ−J断面図である。
図7、図8、図16及び図17に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体100の上部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、該遊技窓101の前面周囲に扉レンズユニット120が取り付けられ、また、遊技窓101の下方の板状部の前面に扉枠本体100に皿ユニット300が設けられ、その皿ユニット300の一側(開放側)にハンドルユニット318が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金160が固定され、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット190が取り付けられると共に、前記遊技窓101の下方の板状部の裏面に、前記ハンドルユニット318に対応するスライドユニット230、装着台220、及び枠装飾中継基板240がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット190の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー210も装着されている。以下、扉板5を構成する上記の各構成部材のより詳細な構造について説明する。
<扉枠本体>
図16及び図17に示すように、扉枠本体100は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、その遊技窓101の下方が板状部となっている。遊技窓101の上部左右には、後述するスピーカ144a,144bを貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成され、そのスピーカ用開口102の下方に後述するガラスユニット190の止め片194を係止するための止めレバー108(図23参照)が回動自在に設けられている。
一方、遊技窓101の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット300の賞球連絡樋431(図38参照)が貫通する賞球通過口103が開設され、その斜め中央寄りに後述する側面開口蓋383(図38参照)を脱着するための蓋用開口105が開設され、その蓋用開口105の開放側の隣接する位置に球送りユニット226を装着するための球送り開口104が開設され、さらに球送り開口104のさらに開放側寄りに前記シリンダー錠62が貫通するための錠穴106が開設されている。また、球送り開口104の下方の板状部の裏面側にスライドユニット230を取り付けるためのスライドユニット装着凹部107が形成され、同じく下方の板状部の裏面側の遊技窓101の下部左右にガラスユニット190の掛止突片195を掛け止めるための係合受片109(図23参照)が形成され、その係合突片109の側方に防犯カバー210の後述する装着弾性片213が装着される装着開口部110が形成されている。また、板状部の前面中央には、前方に向って後述する皿ユニット300の案内穴436(図9参照)に挿入される係合突起111が形成されている。更に、扉枠本体100の下辺は、後方に突出した扉枠突片112となっており、前述したように、この扉枠突片112と本体枠3に形成される前記係合溝42,43とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
<扉レンズユニット>
次に、上記した扉枠本体100の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット120の構成について主として図16乃至図22を参照して説明する。扉レンズユニット120は、図18に示すように、前面を反射面とするリフレクタ122,130a,130bと、該リフレクタ122,130a,130bの前面及び内側に取り付けられる冷陰極管132,134a,134b及びLED基板137,138a,138bと、前記リフレクタ122,130a,130bの前方を覆う光透過性のあるレンズカバー140と、該レンズカバー140に取り付けられるスピーカ144a,144bと、前記レンズカバー140のベースとなるレンズベース体121と、から構成されている。
レンズベース体121は、平面視で前方が円弧で後方が直線の後面が開放した内部中空の三角形状に合成樹脂によって形成され、その中空内部に冷陰極管132,134a,134bに高電圧の電流を供給するインバータ基板136が収納固定されている。また、レンズベース体121の前面及び底面に当接するように断面L字状の上リフレクタ122が取り付けられている。この上リフレクタ122は、白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとしている。次に説明する側方リフレクタ130a,130bも同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されている。ところで、上リフレクタ122の前面は、反射面となっているが、図21に示すように、上リフレクタ122の両端部に、上冷陰極管132の両端を支持するための電極支持部125が形成され、さらに上リフレクタ122の前面に適宜間隔を置いて上冷陰極管132を支持するために先端部がU字状に形成された陰極管支持片123が突設されている。これは、上冷陰極管132の中央が屈曲された「く」字状に屈曲して形成されているので、中央の屈曲部に応力がかかって破損しやすいため、両端の電極支持部125だけではなく適宜間隔を置いて陰極管支持片123で支持し、しかも、上冷陰極管132を陰極管支持片123に支持する際には、図21(A)に示すように、耐熱性ゴムパッキン124に挟んで上冷陰極管132が動かないように支持することにより、より破損し難い支持構造とすることができる。また、両端の電極支持部125は、図20に示すように、上方が開放されていると共に、内側に向いている周壁に上冷陰極管132の端部を受け入れるように一辺が開口した電極挿入孔126が形成されており、この電極挿入孔126に上冷陰極管132の配線が接続された端部に取り付けられた弾性変形し得るゴム製スリーブ133を開口部分の対面方向である上方から挿入し、その後、電極支持部125の上方から電極蓋127を嵌め込むことにより、上冷陰極管132を上リフレクタ122の前面に装着することができる。このように上リフレクタ122の両端部にゴム製スリーブ133を装着し、そのゴム製スリーブ133部分を電極支持部125の電極挿入孔126に遊嵌状態で支持させることにより、図20(C)に示すように、上冷陰極管132が衝撃等により振動しても、ゴム製スリーブ133がその振動を吸収する際に、上冷陰極管132の端部が電極支持部125の部分で揺動あるいは摺動して破壊応力が弱められるので、電極支持部125部分及び上冷陰極管132の屈曲部での上冷陰極管132の破損を防止することができる。なお、上リフレクタ122の左右端には、スピーカ144a,144bを貫通させるスピーカ貫通穴128a,128bが形成されている。
上記の上リフレクタ122の両端に側方リフレクタ130a,130bが垂下するように連結されている。この側方リフレクタ130a,130bも上リフレクタ122と同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されているが、側方リフレクタ130a,130bの前方に取り付けられる側方冷陰極管134a,134bは、直線状のものであるため、その側方冷陰極管134a,134bを支持する電極支持部131a,131bが、側方リフレクタ130a,130bの上下端部の2箇所に形成されている。もちろん、電極支持部131a,131bに側方冷陰極管134a,134bが支持される際には、上冷陰極管132と電極支持部125との関係を同じように、側方冷陰極管134a,134bの端部にゴム製スリーブ135a,135bが装着され、そのゴム製スリーブ135a,135bが電極支持部131a,131bに当接して支持されるようになっている。これにより、側方冷陰極管134a,134bが振動しても破損し難い支持構造とすることができる。
上記した上リフレクタ122及び側方リフレクタ130a,130bの内側には、多数のLEDが実装されているLED基板137,138a,138bが取り付けられている。このLED基板137,138a,138bに実装されるLEDによって次に説明するレンズカバー140の内周面が装飾される。
上記したレンズベース体121と上冷陰極管132及び側方冷陰極管134a,134bが装着された上リフレクタ122及び側方リフレクタ130a,130bとは、レンズカバー140の裏面側に固定される。レンズカバー140は、前記レンズベース体121と上冷陰極管132が装着された上リフレクタ122に対応する上レンズカバー部141と、前記側方冷陰極管134a,134bが装着された側方リフレクタ130a,130bに対応する側方レンズカバー部142a,142bとが透過性の樹脂によって形成されている。より詳細に説明すると、上レンズカバー部141及び側方レンズカバー部142a,142bは、共に白色レンズ部として構成され、その白色レンズ部141,142a,142bの内側に赤色レンズ部141d(図11参照)及び赤色レンズ部142d(図12参照;なお、左右の側方レンズカバー部142a,142bの内側の赤色レンズ部の符号は、同一の「142d」と表示する。)を重ね合わせて構成されるものである。そして、この赤色レンズ部141d,142dを前記上LED基板137及び側方LED基板138a,138bに設けられる多数のLEDによって照明するものである。
ところで、上レンズカバー部141は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に平面視においてブーメラン形状に構成されるものであり、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管132とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、上レンズカバー部141の楔状先端部外側には、銀色に着色された先頭レンズ部141cが接着されており、上レンズカバー部141の全体を上冷陰極管132で照明している。また、側方レンズカバー部142a,142bは、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部141と同様であるが、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部141に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものであり、前述した直線状に形成される側方冷陰極管134a,134bとその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、側方レンズカバー部142a,142bの楔状先端部外側には、銀色に着色された先頭レンズ部142cが接着されており、側方レンズカバー部142a,142bの全体を側方冷陰極管134a,134bで照明している。
このように本実施形態において、扉枠5の前面周囲を装飾する照明手段として冷陰極管を使用している理由は、以下の通りである。扉枠5の前面周囲を装飾する際に、発光源とその発光源の前面に配置されるレンズカバーの距離をあまり大きく取ることができないという制約がある。この制約は、扉枠5は常に開閉されるため、あまり突出量を大きくすると、開放時における作業等に支障を来たすおそれがあるからである。しかして、発光源とレンズカバーとの間の距離があまりとれない状況において、従来のように、発光源として、ランプやLEDを点在させた場合に、レンズカバーを通して視認できる光装飾は、連続した状態の光装飾が視認できるものではなく光が強い部分と弱い部分との斑模様に視認できるに過ぎない。これに対し、本実施形態のように、発光源として連続した冷陰極管132,134a,134bを使用した場合に、冷陰極管132,134a,134bとレンズカバー140との距離が短くても、レンズカバー140を通して視認できる光装飾は、連続した状態の美しい光装飾が視認できるものである。このため、正に遊技盤4を囲む領域が連続した美しい光装飾により縁取られた状態となるので、従来のパチンコ遊技機にはない装飾効果を奏することができる。なお、発光源とレンズカバーとの距離をある程度とることができる場合には、LED等の点在する発光源を使用しても光が拡散してレンズカバーの全域をあまり強弱がなく照明することができるので、本実施形態においても、図22に示すように、皿ユニット300の前面上部を縁取るレンズカバー309に対応する発光源はLED基板308(図10参照)に設けられた複数のLEDによって行われている。この点については、後に詳述する。
図18に戻って、レンズカバー140の上レンズカバー部141と側方レンズカバー部142a,142bとの連結部分には、スピーカ144a,144bを取り付けるためのスピーカ取付穴143a,143bが穿設されている。スピーカ144a,144bは、図28に示すように、スピーカコーン145aが前面に設けられるものであり、そのスピーカコーン145aを支持するコーン支持体を取付部材(図示しない)によってスピーカ取付穴143a,143bの裏面から取り付けるようになっている。また、スピーカ取付穴143a,143bの前面は、網目状カバー147a,147bがその前面に取り付けられたスピーカカバー146a,146bによって覆われている。このようにスピーカ144a,144bの前面は、網目状カバー147a,147b(パンチングメタル)を有するスピーカカバー146a,146bによって覆われているので、後述するように網目状カバー147a,147bの前方からピアノ線等の不正具を差し込み、スピーカコーン145a,145bに不正穴150(図28参照)をあけて遊技盤4の表面若しくは遊技盤4の裏面に不正具を差し込む不正行為が行われる可能性があるが、本実施形態においては、そのような不正行為を防止する構成が採用されている。この点については、後に詳述する。
更に、レンズカバー140の側方レンズカバー部142a,142bの下方に装飾部材取付領域148a,148bが形成され、その装飾部材取付領域148a,148bに装飾部材149a,149bが取り付けられている。この装飾部材149a,149bは、上記したスピーカカバー146a,146bと類似した形状にして、レンズカバー140を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、レンズカバー140の上部左右と下部左右とがバランスのとれた印象を与えるために取り付けられるものである。
ところで、上記したスピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bは、上記したように単にスピーカ144a,144bの前方を覆ったり、あるいはレンズカバー140の下部を装飾したりするだけではなく、その周囲がLEDで光装飾される構造となっている。この構造について図30乃至図32を参照して説明する。まず、スピーカカバー146a,146bについて説明する。図31(A)及び図32(A)は、2つのスピーカカバー146a,146bのうち、一方のスピーカカバー146bの分解斜視図を示しているが、他方のスピーカカバー146aの構造も全く同じであるので、一方のスピーカカバー146bについて説明する。スピーカカバー146bは、合成樹脂で平板状に成形されたカバーベース板151の裏面にLED基板152を密着させる一方、カバーベース板151の前方にスピーカ枠154を内蔵した状態でインナーレンズ153、前面レンズ129で覆い、前面を網目状カバー147bで閉塞する構成となっている。
より詳細に説明すると、カバーベース板151には、裏面側に位置するスピーカ144bのスピーカコーン145bが臨むスピーカ開口151aが開設されると共に該スピーカ開口151aの周囲に複数個のLED152bをそれぞれ臨ませる複数個のLED穴151bが形成されている。更に、カバーベース板151の裏面には、スピーカカバー146bの全体をスピーカ取付穴143bに取り付けるための取付ボス151cが上下2箇所に形成されている。また、LED基板152にも、スピーカ144bのスピーカコーン145bが臨むスピーカ開口152aが開設されると共に該スピーカ開口152aの周囲の前面に複数個のLED152bが実装されている。LED基板152の裏面には、コネクタ152cが実装されている。また、LED基板152には、前記取付ボス151cを貫通させる逃げ孔152dが形成されている。
一方、カバーベース板151の前方に配置されるインナーレンズ153は、拡散剤が混入されて乳白色となっている合成樹脂によって膨出状に形成され、そのほぼ中央にスピーカ枠154が嵌め合わされる枠開口153aが開設されている。このインナーレンズ153は、前面レンズ129の内周面に密着して設けられるものであり、インナーレンズ153及び前面レンズ129の内周面は共にレンズカット加工されてLED152bからの光を拡散するようになっている。なお、前面レンズ129のほぼ中央にもスピーカ枠154が嵌め合わされる枠開口129aが開設されている。
上記した前面レンズ129及びインナーレンズ153の枠開口129a,153aに嵌め合わされるスピーカ枠154は、合成樹脂によって逆三角形上の筒状に形成され、その筒状の前面開口であるカバー開口154aの前面をパンチングメタルで構成される網目状カバー147bによって閉塞され、その筒状の周壁であるスピーカ筒部154bの後端がカバーベース板151の表面に当接するようになっている。つまり、スピーカカバー146bを組み付けた状態では、カバーベース板151とLED基板152のスピーカ開口151a,152aに臨むスピーカ144bの効果音がスピーカ枠154のスピーカ筒部154bを通って網目状カバー147bの前方に向って発声されると共に、スピーカ筒部154bの外周を覆うインナーレンズ153及び前面レンズ129の全域がLED152bに照射されて光装飾されるようになっている。なお、網目状カバー147bには、後方に向って差し込み片147cが突設され、その差し込み片147cをスピーカ枠154の前面に形成される差し込み溝(図示しない)に差し込むことにより、網目状カバー147bが装着されている。
次に、装飾部材149a,149bについて説明する。図31(B)及び図32(B)は、2つの装飾部材149a,149bのうち、一方の装飾部材149bの分解斜視図を示しているが、他方の装飾部材149aの構造も全く同じであるので、一方の装飾部材149bについて説明する。装飾部材149bは、合成樹脂で平板状に成形された装飾ベース板155の裏面にLED基板156を密着させる一方、装飾ベース板155の前方に装飾枠158を内蔵した状態でインナーレンズ157、装飾レンズ139で覆い、前面を装飾板159で閉塞する構成となっている。
より詳細に説明すると、装飾ベース板155には、外周縁の内側に沿って複数個のLED156aをそれぞれ臨ませる複数個のLED穴155aが形成されていると共に、装飾ベース板155の裏面に、装飾部材149bの全体を装飾部材取付領域148bに取り付けるための取付ボス155bが上下2箇所に形成されている。また、LED基板156にも、その前面の外周に沿って複数個のLED156aが実装されている。LED基板156の裏面には、コネクタ156bが実装されている。また、LED基板156には、前記取付ボス155bを貫通させる逃げ孔156cが形成されている。
一方、装飾ベース板155の前方に配置されるインナーレンズ157は、拡散剤が混入されて乳白色となっている合成樹脂によって膨出状に形成され、そのほぼ中央に装飾枠158が嵌め合わされる枠開口157aが開設されている。このインナーレンズ157は、装飾レンズ139の内周面に密着して設けられるものであり、インナーレンズ157及び装飾レンズ139の内周面は共にレンズカット加工されてLED156aからの光を拡散するようになっている。なお、装飾レンズ139のほぼ中央にも装飾枠158が嵌め合わされる枠開口139aが開設されている。
上記した装飾レンズ139及びインナーレンズ157の枠開口139a,157aに嵌め合わされる装飾枠158は、合成樹脂によって逆三角形上の筒状に形成され、その筒状の前面開口であるカバー開口158aの前面を装飾板159によって閉塞され、その筒状の周壁である装飾筒部158bの後端が装飾ベース板155の表面に当接するようになっている。つまり、装飾部材149bを組み付けた状態では、装飾筒部158bの外周を覆うインナーレンズ157及び装飾レンズ139の全域がLED156aに照射されて光装飾されるようになっている。なお、装飾板159には、後方に向って取付ボス159aが突設され、その取付ボス159aを装飾ベース板155の前記取付ボス155bの前面側に一致させ、取付ボス155bの裏面から長尺なビス(図示しない)で締着することにより、装飾板159が装着されている。
以上、詳述したように、本実施形態に係るスピーカカバー146a,146b及び装飾部材149a,149bは、扉枠5の遊技窓101を囲む領域において、前述した冷陰極管132,134a,134b及びLED基板137,138a,138bによる光装飾とは別に四隅を重点的に光装飾するように構成されているので、遊技窓101の下辺を除く全周が漫然と光によって装飾されるのではなく、強弱のある光装飾とすることができる。特に、扉枠5の左右上部における光装飾は、従来、スピーカだけが配置される傾向が強く、そのスピーカ周りの光装飾が行われないため遊技窓101の外周周りの光装飾に斑がある印象を与えていたが、本実施形態のように構成することにより、遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。
<補強板金>
扉枠本体100の前面側には、上記した扉レンズユニット120が取り付けられると共にその下方に皿ユニット300が取り付けられる。ここで、皿ユニット300の構造を説明する前に、扉枠本体100の裏面側に取り付けられる補強板金160、ガラスユニット190、防犯カバー210、装着台220、スライドユニット230、枠装飾中継基板240について順次説明する。まず、補強板金160について主として図16、図17、及び図8乃至図15を参照して説明する。
補強板金160は、図16及び図17に示すように、扉枠本体100の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金161と、扉枠本体100の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金162と、扉枠本体100の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金163と、扉枠本体100の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金164と、が相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。
上側補強板金161は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲した上折曲突片165、下折曲突片166となっている。この上折曲突片165及び下折曲突片166は、本体枠3の前述した上部防犯二重溝33に嵌合されるものであり、図示の実施形態においては、図11及び図60に示すように、上折曲突片165の方が下折曲突片166よりも僅かにその突出量が大きくなるように形成されている。これは、上折曲突片165と上部二重溝33の上溝との凹凸係合の度合いを大きくしてピアノ線等の侵入をさせ難くする一方、仮に、この外側の防犯凹凸係合を侵入した場合に、内側の凹凸係合の度合いが小さくても、不正具を操作しながら内側の凹凸係合をすり抜けるのは極めて困難であるからである。もちろん、上辺部からの不正具の挿入が、後述する開放側の不正具の挿入よりも店側に発見され易いので、その分、内側の凹凸係合の度合いを外側の凹凸係合の度合いよりも小さくしてもよいと言う考えにも基いている。しかし、外側と内側の凹凸係合の度合いが一緒となるようにしても良い。
軸支側補強板金162も、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲されているが、内側の軸支側短折曲突片172は極めて短く、外側の折曲突片が、図64に示すように折曲部から先がL字状に形成された軸支側L字状折曲突片167となっている。この軸支側L字状折曲突片167は、そのL字状に曲がった先端部が前述した本体枠3の軸支側の延設された軸支辺部49の内側に当接するようになっており、扉枠5と本体枠3との当接面からピアノ線等の不正具が挿入された場合に、不正具の先端が軸支側L字状折曲突片167と軸支辺部49の内側の当接部分を容易にすり抜けないようにしている。特に、扉枠5の軸支側は、前述したように本体枠3との間で隙間があけにくく且つ不正な作業が行い難い反面、開閉軸側であるため上辺部や開放側辺部のように凹凸係合する構造にすると開閉動作に支障を来たすおそれがあるため、軸支側L字状折曲突片167と軸支辺部49の内側の当接構造としたものである。また、図16に示すように、軸支側補強板金162の上下端部には、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン169を有する上軸支部168と、その下面に軸ピン171(図8参照)を有する下軸支部170と、が一体的に形成されている。そして、上下の軸ピン169,171が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具47及び下軸支金具48に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に設けられるものである。
ただし、本体枠3との間で隙間があけにくいものであるとしても、扉枠5に設けられる皿ユニット300の上面に体重をかけて押圧することにより、上記した軸ピン169,171と上軸支金具47及び下軸支金具48との軸支部を変形させて扉枠5と本体枠3との軸支側の隙間を意図的に形成される場合があるので、本実施形態においては、前述したように、本体枠3の軸支側に規制突起63を上下2箇所に突設している。即ち、図64及び図66に示すように、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態においては、軸支側補強板金162の軸支側L字状折曲突片167の先端部の一部が規制突片63の後方に挿入された状態となっている。このため、遊技者が皿ユニット300を上方から下方に向けて押圧しても、軸支側補強板金162の軸支側L字状折曲突片167が規制突片63と当接して前方へ移動しないように規制するため、軸ピン169,171と本体枠3に固定される上軸支金具47及び下軸支金具48との軸支部への作用力を弱めることができ、これによって軸ピン169,171と上軸支金具47及び下軸支金具48との軸支部の変形を防止して本体枠3と扉枠5の軸支側における隙間が意図的に形成されないようにしている。なお、規制突起63が突設されていても、扉枠5を開放するときに軸支側L字状折曲突片167が規制突起63に接触することなく回動移動するので、扉枠5の開閉動作をスムーズに行うことができる。
開放側補強板金163は、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲した開放側外折曲突片173、開放側内折曲突片174となっている。開放側外折曲突片173は、前述した本体枠3の側部防犯溝34に挿入されるものであり、開放側内折曲突片174は、本体枠3の防犯凹部35に挿入されるものである。しかして、開放側外折曲突片173と側部防犯溝34とは、図65及び図67に示すように、凹凸係合するようになっているが、開放側内折曲突片174と防犯凹部35とは、凹凸係合とはいえないものの、開放側内折曲突片174が防犯凹部35内に進入した状態で開放側内折曲突片174の先端がガラスユニット190よりも遊技盤4に近い位置であって遊技盤4の遊技板飾り枠11の前端面からやや遊技盤4寄りの位置まで進入される長さに設定されているため、仮に上記した開放側外折曲突片173と側部防犯溝34との凹凸係合部をすり抜けて不正具が侵入したとしても、開放側内折曲突片174によって案内される不正具の先端がガラスユニット190と遊技盤4の遊技板飾り枠11との間から遊技盤4の表面に侵入することはない。
更に、本実施形態における開放側補強板金163には、従来にはない構造を採用している。即ち、開放側補強板金163の上部、中間部、下部に施錠装置60の扉枠用フック部61が進入しえるように係合開口175が形成され、その係合開口175の裏面側を覆うように扉枠フック部61が係合するフックカバー176が固定されている。したがって、扉枠5を本体枠3に対して施錠した状態では、図14に示すように、施錠装置60の扉枠フック部61がフックカバー176に係合すると共に、扉枠フック部61の先端が係合開口175の内部に進入した状態となっている。この状態で開放側補強板金163と扉枠本体100との間に無理やり不正具を差し込んだ場合には、図15に示すように、その不正具が係合開口175の内部に進入した扉枠フック部61に到達し、その扉枠フック部61を引き上げたりして施錠装置60を開錠する不正を行うことが可能である。しかし、本実施形態の場合には、図14に示すように、開放側補強板金163の係合開口175の外側の開口縁に沿って前方に突出するように防犯開口曲片部173aを開放側補強板金163に一体的に形成したので、開放側補強板金163と扉枠本体100との間に無理やり不正具を差し込んだ場合であっても、その不正具の先端が防犯開口曲片部173aによって係合開口175の内部に侵入することできないため、扉枠フック部61を引き上げたりして施錠装置60を開錠する不正を行うことができない。このように本実施形態に係る扉枠5においては、施錠装置60における扉枠用フック部61の不正な操作を防止することができるようになっている。なお、図15に示す場合のように、防犯開口曲片部173aが形成されていない場合には、扉枠フック部61に対する不正操作を行うことができるばかりではなく、熟練することにより係合開口175からさらに不正具の先端を後方に向けて侵入させ、遂には、図6に示すフック用開口36から施錠装置60内に不正具を侵入させて、扉枠5だけではなく、本体枠3を開閉させる連結杆をも上下動させる不正行為を行うことも可能である。しかし、本実施形態のように防犯開口曲片部173aを設けることにより、施錠装置60に対する不正行為を確実に防止することができるものである。
下側補強板金164は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片178となっており、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片179となっているものの、その両側部の上折曲突片179に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片180となっている。下折曲突片178の突出量はあまり大きくなく、この下折曲突片178が溝部や凹部と係合して凹凸係合をなすものではなく、強度を高めるために形成されているのに対し、両側部の上折曲突片179の突出量は下折曲突片178の突出量よりもやや大きく下方からの不正具の侵入を多少防止するが、むしろ、本実施形態における下側補強板金164の構成で最も特徴的な構成は、垂直折曲突片180である。この垂直折曲突片180は、その上端縁形状が後述するガラスユニット190のユニット枠191の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット190を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片180の上端片がガラスユニット190のユニット枠191の幅方向のほぼ中央の外周に沿って形成される係合溝200に係合するようになっている(図10参照)。この構造については、ガラスユニット190の欄で説明する。なお、下側補強板金164には、扉枠本体100に形成される賞球通過口103の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部177が形成されている。
<ガラスユニット>
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット190について、図23〜図25及び図27〜図29を参照して説明する。ガラスユニット190は、図23に示すように、遊技窓101よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状のユニット枠191と、該ユニット枠191の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板201(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を接着することにより構成されるものである。まず、ユニット枠191について詳細に説明すると、図23に示すように、ユニット枠191の斜め上部左右には、止め片194が環状の外側に向かって突設形成され、下部左右には、掛止突片195が環状の外側に向かって突設形成されている。この止め片194と掛止突片195とは、前述したように、ガラスユニット190を扉枠5の裏面に取り付けるためのものである。また、ユニット枠191の外周前後面部には、図25に示すように、ガラス板201を嵌め込むためのガラス当接段部196が周設されており、このガラス当接段部196にガラス板201を接着剤(ホットメルト系接着剤)で接着したときに、ユニット枠191の幅寸法内に2枚のガラス板201が収納された状態となる。更に、ユニット枠191には、図24及び図25に示すように、内部に乾燥剤197を封入する乾燥剤封入空間部193がユニット枠191の内周面と連通するようにその一側下部側方に環状の外部に突出するように形成され、その乾燥剤封入空間部193を閉塞するために多数の通気孔が形成された開閉蓋198がユニット枠191の内周面に係止爪198aによって着脱自在に取り付けられるようになっている。なお、乾燥剤封入空間部193は、環状のユニット枠191の上下左右部を除く斜め左右上下部のいずれかの部位に環状の外部に突出するように形成すればよい。
しかして、ガラスユニット190を組み付けるには、ユニット枠191の乾燥剤封入空間部193に乾燥剤197を封入し、その後、乾燥剤封入空間部193を閉塞するために開閉蓋198をユニット枠191の内周面側から挿入して係止爪198aを係止させ、さらにユニット枠191の両面からガラス板201をガラス当接段部196に収納当接するように接着剤で接着する。これにより、2枚のガラス板201を一体化したガラスユニット190を簡単に組み付けることができる。そして、上記のように組み付けられたガラスユニット190を扉枠5に取り付けるには、ガラスユニット190の掛止突片195を扉枠5の係合受片109に上方から掛け止めた後、ガラスユニット190の止め片194に対し扉枠5の止めレバー108を閉止位置に回動して止め片194の裏面を押圧する。これによって、ガラスユニット190を扉枠5の裏面に簡単に取り付けることができる。逆に、ガラスユニット190を取り外す場合には、止めレバー108を開放位置に回動させた後、ガラスユニット190全体を上方に持ち上げるようにすることにより、掛止突片195を係合受片109から外してガラスユニット190を扉枠5から簡単に取り外すことができる。
また、本実施形態におけるガラスユニット190には、2つの大きな構成を有している。第1番目に、ユニット枠191の後端面の前記止め片194の上部であってスピーカ144a,144bの側方位置と、軸支側の中間位置に外側に向って突設される防犯用突出板部199をユニット枠191と一体的に形成した構造を採用した点であり、第2番目に、ユニット枠191の外周面の中央に係合溝200を周設した構造を採用した点である。
まず、第1番目の防犯用突出板部199について説明すると、図23に示すように、左右のスピーカ144a,144bの側方位置に突設される防犯用突出板部199は、スピーカ144a,144bの円柱状のヨーク部の外周の一部と密接するように各スピーカ144a,144bの側方を閉塞するものである。このため、図27(A)に示すように、例えば、極めて小径の孔が多数穿設形成されたパンチングメタルで構成されるスピーカ144bの網目状カバー147b(図27(A)に示す網目は模式図的に表したもので、実際には、1mm前後の小孔で形成されている。)の前方からピアノ線等の針金状の不正具を差し込んで、図27(B)に示すように、スピーカコーン145bにも不正穴150を穿設した場合において、仮に防犯用突出板部199がユニット枠191と一体的に形成されていない構造であると、図29(A)に示すように、不正穴150からスピーカ144bの裏面に不正具を導き、さらにガラスユニット190の裏面側である遊技盤4の表面まで不正具を到達させることが可能となってしまう。これに対し、本実施形態のように防犯用突出板部199がユニット枠191と一体的に形成されている構造であると、図29(B)に示すように、スピーカコーン145bに穿設された不正穴150の先が防犯用突出板部199によって閉塞されているため、不正具をガラスユニット190の裏面側である遊技盤4の表面まで到達させることができない。この場合、防犯用突出板部199によってスピーカ144b周りの一部しか閉塞していないので、閉塞されていない上部や開放端部から不正具を侵入させる可能性もなくはないが、それらの位置は遊技盤4の表面から離れた位置であるため、遊技盤4の表面に到達させることはほとんど不可能である。したがって、本実施形態におけるガラスユニット190においては、不正行為が行われる可能性のある上部左右のスピーカからの不正具の侵入をも防止する構造を採用している。なお、上記の説明では一方のスピーカ144bについて説明したが、他方のスピーカ144aについても同じことが言える。
また、軸支側の中間位置に外側に向って突設される防犯用突出板部199は、図64に示すように、扉枠5を閉じた状態で遊技盤4の軸支側に位置する遊技板飾り枠11の前面を覆うようになる。これは、前述したように軸支側の補強板金162による防犯構造が他の辺と異なり二重構造にし難く又は最も不正行為を行い難い辺であることに鑑み、全体として手薄な防犯構造となっているが、反面その構造に着目して不正行為をなされる可能性もある。そこで、軸支側の中間位置に防犯用突出板部199を突設させて遊技板飾り枠11の前面を覆うことにより、図64に示すように、軸支側L字状折曲突片167と軸支辺部49との隙間を無理やり侵入してきた不正具を遊技板飾り枠11から遊技盤4の表面に到達させないように遊技板飾り枠11の前面を覆うようにしたものである。これにより、軸支側の防犯機能の向上を図ることができる。なお、軸支側の中間部より下方の防犯機能を向上させる構造は、後述する防犯カバー210及び装着台220によって図られている。
次に、第2番目のユニット枠191の外周面の中央に周設した係合溝200について説明する。係合溝200は、図25に示すように、ユニット枠191の外周面の中央全周(下方部の係合溝200については、図10参照)に周設されている。そして、この係合溝200の深さは、図10に示すように、ガラス板201が収納される当接段部196よりも内周側となるような深さとなっている。つまり、ガラスユニット190を扉枠5に装着したときに、ユニット枠191の底辺部分の係合溝200に下側補強板金164の垂直折曲突片180の上部が進入するものであるが、その垂直折曲突片180の上端部分とガラス板201の下端部分とが前方から見て重複するような位置関係を有するように係合溝200の深さを形成している。これによって、例えば、皿ユニット300の上端部に熱した棒状金属を押し当てて合成樹脂製のユニット枠301、扉枠本体100、及びユニット枠191に穴をあけるという不正行為に対し、ユニット枠191部分において、熱に強いガラス板201と垂直折曲突片180とが重複しているので、穴をあけることができず、扉枠5の前面からの穴あけ不正行為を防止することができる。なお、この意味で、係合溝200は、ユニット枠191の下辺部に沿って形成されておれば充分であり、全周に形成する必要はない。
<防犯カバー>
次に、上記したガラスユニット190の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与された防犯カバー210について、主として図8、図23、及び図26を参照して説明する。防犯カバー210は、図8及び図26(B)に示すように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金162,163の間のガラスユニット190の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内レールユニット12の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部211として形成されていると共に、その当接凹部211に沿って後方に向って防犯後突片214が突設されている。また、防犯カバー210を取り付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片215が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー210の前面には、図26(A)に示すように、防犯カバー210を取り付けた状態で前記ガラスユニット190のユニット枠191の下方形状に沿った防犯前突片212が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片213が前方に向けて突設形成されている。
上記のように構成される防犯カバー210は、装着弾性片213を扉枠本体100に形成される装着開口部110に装着することにより、扉枠5の裏面側に着脱自在に取り付けられる。そして、取り付けた状態では、図10に示すように、防犯前突片212がガラスユニット190のユニット枠191の後方下片面と対面するようになっている。また、防犯前突片212の前端は、垂直折曲突片180と当接している。また、防犯後突片214及び防犯後端部突片215は、後方へ突出した状態となっているが、扉枠5を閉じたときに、防犯後突片214の軸支側の半分は、図66に示すように、遊技盤4に固定される内レールユニット12の下側面に進入して対面した状態となるが、防犯後突片214の開放側の半分は、図63及び図67に示すように、遊技板飾り枠11の内レールユニット12に形成されたレール防犯溝14に挿入された状態となり、また、防犯後端部突片215は、図66に示すように、本体枠3の軸支側に形成される前記防犯突起15の上面に沿って重合状の位置となる。
しかして、防犯カバー210を取り付けて扉枠5を閉じた状態においては、前述した扉枠突片112と係合溝42,43とによる防犯構造、及び防犯突片225と防犯空間45とによる防犯構造に加えて、ガラスユニット190の下方から不正具を侵入させようとしても、防犯前突片212とユニット枠191との重合により、防犯カバー210の前面下方方向からの不正具の侵入が防止され、防犯後突片214と遊技板飾り枠11を構成する内レールユニット12との重合により、防犯カバー210の後面下方方向からの不正具の侵入が防止される。特に、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起15と防犯後端部突片215との重合構造によって外レールユニット22への不正具の侵入が阻止され、さらに内レールユニット12と防犯後突片214との重合構造によって遊技盤4の遊技領域20への不正具の侵入を阻止することができる。同様に、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、前述した開放側補強板金163の二重の折曲突片173,174による防犯構造に加えて、レール防犯溝14と防犯後突片214との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域20への不正具の侵入を阻止することができる。なお、防犯カバー210の裏面側の防犯後突片214と防犯後端部突片215との間の垂直面は、図66に示すように、扉枠5を閉じた状態で外レールユニット22と内レールユニット12とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うものであるため、当該誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板201への衝突を防止する機能も有している。
<装着台>
装着台220は、図8、図16、及び図17に示すように、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー210と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台220は、発射レール38から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台220の後面と板部32とによって発射レール38を挟持するように形成されるものであり、このため、装着台220の後面に球飛送誘導面227が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台220には、その軸支側上部に下側補強板金164に形成される賞球通過口被覆部の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口221が形成され、その開放側下部に球送りユニット226を取り付ける球送りユニット取付凹部222が形成されている。この球送りユニット取付凹部222から斜め方向の領域が前記球飛送誘導面227となっている。また、球送りユニット取付凹部222に取り付けられる球送りユニット226は、発射装置57の打球杆の往復動差に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット300の誘導通路部362(図38参照)の流下端にある球を発射レール38の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台220の中程下部に後述する側面開口蓋383(図38参照)を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口223が形成されている。更に、装着台220の上辺の一部に垂直に立設される立壁224が形成されている。この立壁224は、図8に示すように、前記防犯カバー210を取り付けたときに、該防犯カバー210の前面と当接して防犯カバー210の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
更に、本実施形態に係る装着台220の特徴は、上述した球飛送誘導面227の下方から前記賞球通過口用開口221にかけて斜め状に防犯突起225が後方に向って突設される構造である。この防犯突起225は、前述したように、本体枠3の板部32に形成される防犯空間45との間で、扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
<スライドユニット>
扉枠本体100のスライドユニット装着凹部107に装着されるスライドユニット230は、皿ユニット300に固定されるハンドルユニット318の回動軸後端に固定される係合カム319(図38参照)と係合して回転軸の回転運動をスライド運動に変換するスライド部材を有し、そのスライド部材と一体的に形成されるスライド係脱片231(図17参照)が後方に向って突設されている。このスライド係脱片231は、扉枠5を閉じたときに、ハンドル連結窓40aに挿入されるようになっている。そして、ハンドルユニット318の回動軸が回転操作されると、スライド係脱片231がスライド移動することにより発射装置57の弾発力の強弱を調節することができるようになっている。また、扉枠5を開放したときには、スライド係脱片231がハンドル連結窓40aから外れるようになっている。
<枠装飾中継基板>
上記した装着台220の下部の軸支側には、図8及び図16に示すように、枠装飾中継基板240が取り付けられ、その枠装飾中継基板240の後面を覆う中継基板カバー241が取り付けられている。この枠装飾中継基板240は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管132,134a,134b、LED基板137,138a,138b,308、スピーカ144a,144b,341a,341b、ハンドルユニット318内に設けられるスイッチ、貸球ユニット324、操作ボタンユニット326等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継基板240からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット54に組み込まれる中継基板等を介して賞球払出基板ボックス55の賞球払出基板や遊技盤4に取り付けられる遊技制御基板ボックス25の遊技制御基板に接続されている。
<皿ユニット>
次に、図33乃至図58を参照して皿ユニット300の構成について説明する。図37及び図38に示すように、皿ユニット300は、大きく分けて外殻を構成するユニット枠301と、該ユニット枠301の内部空間に取り付けられる下部スピーカユニット330と、該下部スピーカユニット330の上部に配置され且つ前記ユニット枠301の上面に臨むように設けられる皿体360と、該皿体360に設けられる第2球抜き弁375の球抜き動作をするための第2球抜きリンクユニット400(図49参照)と、ユニット枠301の後面を閉塞する皿蓋板430と、から構成されている。そこで、まずユニット枠301について説明する。
図33、図34、図37、及び図38に示すように、ユニット枠301は、上面が手前側に向って緩やかに傾斜する平面視半楕円形状の上面カバー部302と、該上面カバー部302の手前側から連続して前面と底面とを構成する前面カバー部303と、が合成樹脂によって一体的に成形されている。上面カバー部302の奥側には、扉枠本体100の前面側に当接する垂直カバー部302aも一体的に形成されている。この垂直カバー部302aには、その中央に貸球ボタンユニット用開口323が開設され、この貸球ボタンユニット用開口323に貸球ユニット324が裏面側から装着し得るようになっている。貸球ユニット324は、パチンコ遊技機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。
また、上面カバー部302の垂直カバー部302aの立ち上がり部から前方に皿体上面開口部305が開設され、その前方中央に操作ボタンユニット用凹空間部306が形成され、該操作ボタンユニット用凹空間部306から左右の上面カバー部302の前端部に沿ってLED装飾空間部307が穿設され、さらに皿体上面開口部305の側方に第1球抜ボタン313を取り付けるための第1球抜ボタン用開口313aが設けられている。上記した皿体上面開口部305には、後述する皿体360の貯留部361及びこれに連通する誘導通路部362の上面開口と同一形状に形成され、ユニット枠301に皿体360を取り付けたときに、皿体上面開口部305に皿体360の貯留部361及び誘導通路部362が臨むようになっている。なお、皿体360については後に詳述する。
上記した操作ボタンユニット用凹空間部306には、空間部形成部材310が取り付けられ、該空間部形成部材310に操作ボタンユニット326が装着されるようになっている。空間部形成部材310には、操作ボタンユニット326の係合突片329(図53参照)を係合するための係合穴312と、操作ボタンユニット326の固定ネジ穴328(図53参照)を止着するためのネジ止め部311と、さらに操作ボタンユニット326を空間部形成部材310内に差し込んだときに操作ボタンユニット326の底面に設けられるコネクタ326a(図53参照)と接続される配線のコネクタ310aを収納する配線収納開口310bが形成されている。しかして、操作ボタンユニット326を空間部形成部材310に取り付けるためには、コネクタ310aが設けられる配線を引き出して操作ボタンユニット326のコネクタ326aと接続した後、操作ボタンユニット326を空間部内に挿入しつつ係合突片329と係合穴312とを係合させ且つ相互のコネクタ326a,310aを配線収納開口310bに収納した後、図36に示すように、前面カバー部303の底面部に形成される締具挿入穴325からネジ351をドライバー工具352によって差し込み当該ネジ351をネジ止め部311及び固定ネジ穴328に螺着することにより取り外しできないように固定する。また、操作ボタンユニット326を取り外す場合には、上記と逆の順序によって行うことができる。このように操作ボタンユニット326を固定するためのネジ止め部を表面ではなく内部に設けたので、簡単に取り外すことができず、結果的に操作ボタンユニット326を取り外して操作ボタンユニット用凹空間部306を利用した不正な行為を防止することができる。なお、操作ボタンユニット326は、複数(図示の場合は3個)の操作ボタン327を有して構成されているが、この複数の操作ボタン327は、遊技盤4に設けられる液晶表示器等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。
また、LED装飾空間部307には、前述したようにレンズカバー309がその表面を覆っている(図10参照)が、そのLED装飾空間部307の底面部を構成するようにレンズカバー309の下方にLED基板308が設けられている。レンズカバー309とLED基板308との距離は、前述した冷陰極管132,134a,134bとそれに対応するレンズカバー140との間の距離よりも長く設定されており、LED基板308上に所定間隔離れて点在するLEDが点灯した場合であっても、レンズカバー309まで充分な距離があるため、レンズカバー309における光装飾は、レンズカバー309が連続してほぼ均一に照明されているように視認できるものである。なお、レンズカバー309と前記空間部形成部材310とは、ユニット枠301を構成する合成樹脂の色彩(例えば、白色)とは異なる色彩(例えば、赤色)で形成されており、皿ユニット300の上面カバー部302の前端縁に沿って地色とは異なる色彩のラインが設けられているものとして視認できるようになっている。
更に、第1球抜ボタン313は、図44乃至図47(ユニット枠301の表示を省略している。)に示すように、上面カバー部302の第1球抜ボタン用開口313aに装着された摺動支持部材314を介して上面カバー部302に取り付けられるものであり、その摺動支持部材314内を上下方向に摺動するようになっている。そして、図45に示すように、第1球抜ボタン313が遊技者によって押圧操作されると、該第1球抜ボタン313の下方に位置する回動部材366が回動軸367を中心にして時計回転方向に回動し、その回動部材366の下端に連携されるスライド弁365が移動する。スライド弁365は、常にはバネ369により付勢されて皿体360の誘導通路部362の下流端部を閉塞した位置にあるが、上記のように第1球抜ボタン313の操作により移動したときには、誘導通路部362から退避し、誘導通路部362と該誘導通路部362の下流側に連続する第1球抜通路部364とを連通させる。これにより皿体360の貯留部361及び誘導通路部362に貯留されていた球を皿体360から球抜きすることができる。この構造については、皿体360の説明の際にさらに詳述する。
次に、ユニット枠301の前面カバー部303の構成について説明すると、図33、図37及び図38に示すように、前面カバー部303は、上記したように上面カバー部302の手前側から連続して前面と底面とを構成するように構成されているため、前面カバー部303の前面部分は、中央部分が最も前方に突出し左右に離れるほど奥側に傾斜している。しかして、前面カバー部303の前面部分の中央突出部の左右には、スピーカ用開口315a,315bが開設され、そのスピーカ用開口315a,315bが網目状のスピーカカバー316a,316b(パンチングメタルで構成されている。)によって被覆されている。そして、スピーカカバー316a,316bの後方には、後述する下部スピーカユニット330に収納固定される2つのスピーカ341a,341bが位置することになる。なお、スピーカ用開口315a,315bは、前面カバー部303の前面中央の突出部から奥側に向って傾斜する傾斜状面に形成されるものであるから、正面から見た場合に、パチンコ遊技機1の中心縦ラインから外側に向って開放していることになる。そして、前面カバー部303の前面中央の突出部からスピーカ用開口315a,315bの上部及び下部の開口縁までを縁取るように前面装飾板304が取り付けられている。
また、前面カバー部303の開放側端部下方にハンドルユニット318を取り付けるためのハンドル取付穴317が開設されている。ハンドルユニット318は、周知のように、打球の弾発力を調節するためのものであり、このため遊技者が操作し得る回動操作部材318aが設けられ、その回動操作部材318aを回動操作することにより、回動軸の後端に固定される係合カム319が回動する。そして、前述したように、係合カム319の回動運動をスライドユニット230のスライド係脱片231のスライド移動運動に変換することにより発射装置57の弾発力の強弱を調節することができるようになっている。
更に、図33に示すように、前面カバー部303の中央下部には、第2球抜リンクユニット400の一部を構成する第2球抜ボタン401を臨ませるための第2球抜ボタン用開口320が開設されている。この第2球抜ボタン用開口320には、図35に示すようにその内部に周壁320aが形成されるが、この周壁320aが単に筒状となっているだけではなく後端部が内側に折曲された状態で貫通しており、この折曲周壁320aが第2球抜ボタン401部分からの不正具の侵入を防止する構造となっている。なお、折曲周壁320aの上部であって前面カバー部303の裏面には、第2球抜リンクユニット400の一部を構成する押圧揺動部材403の揺動軸404(図50参照)を軸支する軸受支持片321(図54参照)が突設されている。また、前面カバー部303の底面中央には、前記第1球抜ボタン313及び第2球抜ボタン401を操作したときに球抜きされた球を皿ユニット300の外部に排出するための球排出口322が形成され、その球排出口322の斜め前方に前記操作ボタンユニット326を取り付けるための締具挿入穴325が形成されている。なお、本実施形態において、第1球抜ボタン313と第2球抜ボタン401の2つの球抜ボタン313,401を設けたのは、第1球抜ボタン313の操作によって、皿体360の貯留部361及び誘導通路部362に貯留されているすべての球を球抜きすることができるものの、その球抜動作は、誘導通路部362で一列状に整列された球を球抜するために多少時間がかかるのに対し、第2球抜ボタン401の操作によって、皿体360の貯留部361から上流側の球を径の大きな第2球抜開口388から素早く球抜することができるため、球抜時間を短くすることができる。このため、遊技者が球抜きにかける時間の長短を選択することができるものである。また、遊技中に大当りとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる満タンスイッチが機能して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当り中であるにもかかわらず遊技が継続できなくなるおそれがあり、このような場合に、第2球抜ボタン401の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当り中の遊技を継続することができるようになっている。
以上説明したユニット枠301の内部に取り付けられる下部スピーカユニット330について主として図39乃至図43を参照して説明する。図41及び図42に示すように、下部スピーカユニット330は、スピーカボックス本体331と、該スピーカボックス本体331の内部に固定される左右のスピーカ341a,341bと、該スピーカ341a,341bを取り付けるためのスピーカ取付部材342a,342bと、それぞれのスピーカ341a,341bの裏面側でスピーカボックス331の裏面を閉塞するスピーカ蓋板344a,344bと、から構成されている。
スピーカボックス本体331は、図39(B),(C)に示すように、左右2つのスピーカ341a,341bを収納固定するためのエンクロージャ空間332a,332b(図42参照)が離れて合成樹脂によって形成され、そのエンクロージャ空間332a,332bの間には、所定幅の球抜通路前樋337が一体的に形成されている。球抜通路前樋337の途中には、誘導樋338が後方に向って突設され、後述する皿蓋体430に形成される球抜通路後樋433との間で前記球排出口322に連通する球抜通路を構成している。なお、球抜通路前樋337の上部及び側方には、皿蓋体430を取り付けるための取付ボス339が後方に向って突設されている。また、エンクロージャ空間332a,332bの前方部分は、平面視が円弧状で且つ正面視で前方に突出した三角形状の突出空間となっており、その突出空間にスピーカ開口333a,333bが開設されている。このスピーカ開口333a,333bには、スピーカ341a,341bの振動板としてのスピーカコーンが臨むようになっている。また、三角形状の突出空間には、スピーカ開口333a,333bの外側にスピーカダクト334a,334bが形成されている。このスピーカダクト334a,334bは、図42に示すように、後方に向って筒状に形成され、その後端口が図43に示す取付蓋体344a,344bの前面側に一体的に形成されるスピーカダクト347a,347bの接続口349a,349bに接続されるようになっている。
また、エンクロージャ空間332a,332bの内部には、スピーカ開口333a,333bの周囲に複数(図示の場合は3個)の取付ボス335が適宜間隔をおいて取り付けられ、その取付ボス335にスピーカ341a,341bが環状のスピーカ取付部材342a,342bによって取り付けられている。具体的には、スピーカ341a,341bの円筒状のヨーク部を貫通してコーン支持部に嵌合するスピーカ取付部材342a,342bの環状部に取付片部343が外側に突設され、その取付片部343を取付ボス335に一致させて図示しないビスで止着することによりスピーカ341a,341bを取り付けることができる。この場合、スピーカ341a,341bのスピーカコーンの向きは、斜め状に形成されるスピーカ開口333a,333bと平行な外側に向いた状態に取り付けられている。なお、スピーカボックス本体331の両端上下には、下部スピーカユニット330をユニット枠301に取り付けるための取付片340が外側に向って突設されている。
上記のしたようにスピーカ341a,341bを取り付けた状態でスピーカボックス本体331の裏面には、スピーカ蓋板344a,344bが取り付けられる。即ち、スピーカ蓋板344a,344bは、平板状に形成され、それぞれの前面に角筒状のスピーカダクト347a,347bが形成されている。このスピーカダクト347a,347bは、図41に示すように、取付蓋体344a,344bの中程から底辺に沿って外側に向って横方向に形成され、その端部から上方に向って直角状に曲折されており、その上端前面に円形状の接続口349a,349bが穿設形成されている。また、このスピーカダクト347a,347bの下辺の横向きの部分の底面及び内側面が開放された状態となっているが、スピーカ蓋板344a,344bをスピーカボックス本体331に取り付けた状態で横向き部分の底面がエンクロージャ空間332a,332bを構成するスピーカボックス本体331の内周面によって閉塞されるため、下辺の横向き部分の内側面がダクト入口348a,348bとなる。したがって、スピーカ蓋板344a,344bをスピーカボックス本体331に取り付けた状態では、図43(B)に示すように(この図では一方のスピーカダクト334b、347bについて説明しているが、他方のスピーカダクト334a、347aについても同じである。)、ダクト入口348bがエンクロージャ空間332bと連通し、そのダクト入口348bが筒状のスピーカダクト347b,334bを介して外部と連通した状態となる。このため本実施形態における下部スピーカユニット330は、エンクロージャ空間332a,332b内に形成されたスピーカダクト334b,347bによりバスレフ方式のスピーカシステムとすることができ、優れた低音域の音を明瞭に外部に向けて発生することができる。なお、低音域の音は、高音域の音に比べて指向性が低いため、本実施形態のようにスピーカ341a,341bのスピーカコーンが外側を向いていても音の聞き取り度合いに悪影響を及ぼすことは少ない。
また、本実施形態におけるスピーカ蓋板344a,344bには、それぞれの上部に凹部345,346が形成されている。正面から向って左側のスピーカ蓋板344aに形成される凹部345は、下部スピーカユニット330の上部に次に説明する皿体360の第2球抜通路部374が位置するため、第2球抜通路部374を転動する球の振動により発生音に悪影響を及ぼさないように第2球抜通路部374との接触を避けるために形成される皿体逃げ凹部345であり、正面から向って右側のスピーカ蓋体344bに形成される凹部346は、皿体360の影響を僅かに受けるものの、むしろ左右のエンクロージャ空間332a,332bの空間容積を一致させるために形成される調整凹部346となっている。つまり、左側のエンクロージャ空間332aが皿体逃げ凹部345の影響により小さくなっているが、そのエンクロージャ空間332aの空間容積と右側のエンクロージャ空間332bの空間容積とを一致させるために調整凹部346が形成されるものである。このように、左右のエンクロージャ空間332a,332bの空間容積を一致させることにより、左右のスピーカ341a,341bからバランスのとれた同質の音を発生することができる。なお、スピーカ蓋板344a,344bは、隅角部に形成される取付穴350をスピーカボックス本体331に形成される取付部336(図42参照)に一致させて図示しないビスを螺着することによりスピーカボックス本体331に固定することができる。また、本実施形態においては、皿体逃げ凹部345と調整凹部346とをスピーカ蓋板344a,344bに形成したものを示したが、これらの凹部345,346をスピーカボックス本体331に形成しても良い。
また、上記のように組付け構成される下部スピーカユニット330をユニット枠301に取り付けるには、スピーカボックス本体331の四隅に突設される取付片340をユニット枠301の内部裏面に形成される取付ボス(図示しない)に取り付けることによりユニット枠301に組み付けられるが、この組み付けた状態においては、図9に示すように、スピーカ341a,341bのスピーカコーンが外側に向いているのに対し、エンクロージャ空間332a,332bの後壁を構成するスピーカ蓋板344a,344bが正面を向いている。つまり、スピーカ341a,341bのスピーカコーンに対してエンクロージャ空間332a,332bを構成する後壁が平行状ではなく斜めに対向する位置となっている。このように配置することにより、スピーカ341a,341bのスピーカコーンの後方に発生する音波を壁面で乱反射させ易くして、スピーカも正面に向けられ且つスピーカのスピーカコーンと後壁とが平行状に配置された場合に発生しやすい定在波の発生を抑制し、特定の周波数の音が強調されたり弱められたりしてしまうことを防止している。また、スピーカ341a,341bをエンクロージャ空間332a,332b内に斜めに配置することにより、限られたユニット枠301の内部空間内に比較的寸法の大きなスピーカ341a,341b(一般的にスピーカユニットと言われている。)を配置することができる。更に、本実施形態における皿ユニット300は、扉枠5に一つだけ設けられているため、従来の上皿と下皿とに分けて設けられたパチンコ遊技機と比較して皿ユニット300の外殻を構成するユニット枠301の内部空間を極めて大きく形成することができ、その大きなユニット枠301の内部空間に、左右一対のスピーカ341a,341bを別々に内蔵する左右のエンクロージャ空間332a,332bが形成された下部スピーカユニット330が内蔵され、しかもそのエンクロージャ空間332a,332bを形成する際に、皿ユニット300の内部空間において干渉し得る第2球抜通路部374を避けるように皿体逃げ凹部345を形成したので、エンクロージャ空間332a,332bが皿ユニット300の内部空間で最大となるようにスピーカユニット330を構成することができる。そして、スピーカ341a,341bが収納固定され且つ内部にスピーカダクトが形成されるエンクロージャ空間332a,332bの容積を大きく形成することができるため、低音域の音を効果的に発生することができる。
次に、主として図44乃至図47を参照して皿体360について説明する。皿体360は、前述したようにユニット枠301の皿体上面開口部305に皿体360の上面が臨み、且つ上記した下部スピーカユニット330の上部に位置するように設けられるものである。そして、皿体360は、図44に示すように、その上面一側に賞球ユニット53から払いだされた球を貯留する半楕円形状の貯留部361が形成され、該貯留部361に連続して貯留された球を一列状に整列する誘導通路部362を有するように合成樹脂で一体的に成形される。誘導通路部362の下流端は、屈曲通路部363で屈曲されて誘導通路部362と逆方向に形成される第1球抜通路部364となっている。第1球抜通路部364は、皿体360のほぼ中程下方にその出口が形成され、その出口が後述する皿蓋体430の球抜通路後樋433の上誘導樋434のやや上部に臨んでいる。また、屈曲通路部363には、前述した第1球抜ボタン313によって作動されるスライド弁365が設けられている。このスライド弁365は、前述したように皿体360の他端側に回動軸367によって回動自在に軸支される回動部材366に連結されている。回動部材366には、回動部材366に形成されるバネ係止部368と皿体360に形成されるバネ係止部366との間に差し渡されるバネ369によって常にスライド弁365が屈曲通路部363を閉塞する方向に付勢されている。
また、上記した貯留部361から誘導通路部362の境目の底面が段差部389となっており、その段差部389の下流側に球の直径の約3倍の径寸法の半円形状の第2球抜開口388が形成され、その第2球抜開口388に第2球抜弁375が貯留部361の裏面から段差部389を利用して出没自在に設けられている。この第2球抜弁375は、図48及び図50に示すように、皿体360の裏面側に取り付けられる第2球抜ユニット371に一体的に組み込まれるものである。ここで第2球抜ユニット371について説明すると、第2球抜ユニット371は、上面が開放した断面コ字状の通路主体372と該通路主体372の上面を被覆する通路カバー体373とによって形成される断面ロ字状の第2球抜通路部374が皿体360の裏面に固定されていることにより構成されている。また、通路カバー体373の上流側であって該通路カバー体373と皿体360との間には、半円形状の第2球抜弁375の後端に一体的に連結される連結片376が通路カバー体373の上面に軸支される支軸377によって揺動自在に設けられている。連結片376の第2球抜弁寄りに形成されるバネ係止部379と通路カバー体373に形成されるバネ係止部381との間にバネ380が差し渡され、常に第2球抜弁375が第2球抜開口388を閉塞する方向に付勢している。なお、通路カバー体373には、皿体360の第2球抜開口388に対応する下方位置に半円形状の第2球抜連通口390(図52参照)が形成されている。したがって、第2球抜弁375は、皿体360の第2球抜開口388と第2球抜連通口390との間を閉塞したり開放したりするものである。なお、連結片376の他端には係合ピン378が下向きに突設されている。そして、この係合ピン378が第2球抜ボタン401の球抜き動作を伝達する第2球抜リンクユニット400の係合凹部422に係合するようになっている。
ところで、第2球抜ユニット371の通路主体372の奥側側壁に第2球抜通路部374と連通する長方形状の側壁開口382が開設され、該側壁開口382は、後述するように皿蓋体430の開口蓋取付窓432に着脱自在に取り付けられる視認窓384が形成された側面開口蓋383によって閉塞されるようになっている。なお、皿体360の一端部と他端部であって貯留部361の下方には、皿ユニット300内に設けられる配線を整理するための配線処理用爪387が形成されている。なお、図44〜図47及び図50に示す側面開口蓋383(二点鎖線で示す)は、該側面開口蓋383が皿蓋体430の開口蓋取付窓432に取り付けられた状態で側面開口382を閉塞している状態を想像線で示すものである。
上記のように構成される皿体360は、該皿体360に形成される取付部(図示しない)をユニット枠301の空間内部に突設される取付ボス(図示しない)に止着することにより、ユニット枠301に取り付けることができる。そして、皿体360をユニット枠301に取り付けた状態において、第1球抜通路部364と下部スピーカユニット330の調整凹部346との関係は、図47に示すように、第1球抜通路部364の下面の一部が調整凹部346とほぼ接した状態となっているが、第2球抜通路部374と皿体逃げ凹部345との関係は、図47及び図34に示すように、接することなく空間が形成されている。これは、第2球抜通路部374による球抜き動作が大当り等の遊技の継続中であって下部スピーカユニット330による効果音が出力されている場合が多く、効果音が出力されている最中に第2球抜通路部374を転動する球の振動によって効果音が乱れたりしないようにする一方、第1球抜通路部364による球抜き動作が遊技終了時に行われて効果音が出力されていない場合が多いので、球抜き時による効果音への影響が少ないからという理由によるものである。もちろん、第1球抜通路部364による球抜き動作により球抜きされる球数が少ない場合が多いということも理由の一つである。なお、第1球抜通路部364と下部スピーカユニット330の調整凹部346とが接しないように構成しても良い。
次に、第2球抜弁375に第2球抜ボタン401の球抜き動作を伝達する第2球抜リンクユニット400について図48乃至図52、及び図54を参照して説明する。第2球抜リンクユニット400は、第2球抜ボタン401と、該第2球抜ボタン401が係止されて揺動する押圧揺動部材403と、該押圧揺動部材403の押圧動作を前記第2球抜弁375の球抜き揺動動作として伝達するためにリンク部材取付板407に取り付けられる第1リンク414及び第2リンク419と、から構成されている。以下、第2球抜リンクユニット400を構成する各部材について順次説明する。
第2球抜ボタン401は、前述したように皿ユニット300のユニット枠301の前面カバー部303の中央下部に開設される第2球抜ボタン用開口320に臨ませて取り付けられるものであるが、図54(A)に示すように、第2球抜ボタン401は、第2球抜ボタン用開口320の前方から差し込むようになっている。第2球抜ボタン401には、図50に示すように当該第2球抜ボタン401の内部に後方に向って係止爪402が突設されており、この係止爪402がユニット枠301の裏面中央に形成される軸受支持片321(図54(A)参照)に軸支される押圧揺動部材403の下部筒部403aに係合する。第2球抜ボタン401と押圧揺動部材403とが係合連結した状態は、図35に示すように、第2球抜ボタン401の外周が第2球抜ボタン用開口320に周接し、第2球抜ボタン用開口320の折曲周壁320aによって形成される開口に押圧揺動部材403の下部筒部403aが周接するようになっている。このため、第2球抜ボタン401と第2球抜ボタン用開口320との隙間からピアノ線等の不正具を侵入させても、不正具の先端が折曲周壁320aに当接してそれ以上内部に進めようとすれば、折曲周壁320aによって形成される開口と押圧揺動部材403の下部筒部403aとの間に不正具を通す技術が必要となり、極めて困難である。仮に折曲周壁320aによって形成される開口と押圧揺動部材403の下部筒部403aとの間を上手く通したとしても、図35に示すように、その通した先が後に説明するリンク部材取付板407によって覆われているので、第2球抜ボタン401と第2球抜ボタン用開口320との隙間からピアノ線等の不正具を侵入させて皿ユニット300の内部に到達させることは困難である。
ところで、ユニット枠301の裏面中央に形成される軸受支持片321に軸支される押圧揺動部材403は、図50に示すように、上端に水平状の揺動軸404が形成され、その揺動軸404から下方に板状部が垂下し、その板状部の下方に楕円形状の下部筒部403aが形成されている。また、下部筒部403aには、後方に向って押圧当接突片406が突設されている。
上記したユニット枠301の裏面中央に形成される軸受支持片321(図54(A)参照)に軸支された押圧揺動部材403の後面を覆うように、第1リンク414及び第2リンク419を予め組み込んだリンク部材取付板407が取り付けられる。リンク部材取付板407は、図51(A)に示すように、方形状の合成樹脂製平板の裏面一側の上端から下端にかけて一対の間隔保持部在408が突設され、その間隔保持部在408の側方に垂直状に配置される第1リンク414の上下端を保持するための第1リンク上保持部409及び第2リンク下保持部410が一体的に突設されている。また、リンク部材取付板407には、前記第1リンク上保持部409の側方に水平状に配置される第2リンク119を軸支するための第2リンク軸支部411が突設されている。第1リンク上保持部409は、図50に示すように、第1リンク414の上端部の左右及び上端を挟持するように突設され、第1リンク保持部410は、第1リンク414の下端部の左右及び下端を挟持するように突設されている。第2リンク軸支部411は、第2リンク419の中程より少しずれた位置に固定される軸ピン420の上端と下端とを挟持するように突設されている。なお、第2リンク軸支部411を横切るように逃げ用凹部413が凹設され、第2リンク419の揺動時における動作を邪魔しないようになっている。また、第1リンク下保持部410と間隔保持突片408との間には、第1リンク414の下端に固定される当接突片415に突設される当接突起416か貫通移動しえる当接用開口142が開設されている。
上記したリンク部材取付板407の第1リンク上保持部409及び第1リンク下保持部410に保持される第1リンク414は、図50及び図51(B)に示すように、円柱棒状の下端にその一側に向って延設される当接突片415が嵌着され、上端にその他側に向って延設される係合突片417が嵌着されている。当接突片415には、図52に示す当接突起416が前方に向って突設され、係合突片417には、係合ピン418が上方に向って突設されている。当接突起416は、前記リンク部材取付板407に開設された当接用開口412内に進退しえるものであり、前記押圧揺動部材403の押圧当接突片406と当接するものである。また、係合ピン418は、第2リンク419の一端部に形成される係合長穴421に係合するものである。
一方、リンク部材取付板407の第2リンク軸支部411に軸支される第2リンク419は、図50及び図51(B)に示すように、水平棒状の一端部に第1リンク414の係合ピン418と係合する係合長穴421が形成され、他端部に後方が開放した箱状の係合凹部422が形成されている。この係合凹部422には、第2球抜弁375の連結片376の末端に形成された前記係合ピン378を受け入れて係合するようになっている。
リンク部材取付板407の後面側の構成は上記した通りであるが、該リンク部材取付板407を皿ユニット300の裏面側に取り付けたときには、リンク部材取付板407の前方に前記押圧揺動部材403が自由に揺動できる揺動空間が形成されている。
しかして、上記した第2球抜ユニット371を有する皿体360及び第2球抜リンクユニット400が皿ユニット300のユニット枠301に取り付けられた状態において、通常の状態では、図52(A)に示すように、第2球抜弁375が第2球抜開口388と第2球抜連通口390との間に挿入されてその連通状態を閉塞するようにバネ380によって付勢されている。このとき連結片376の末端に突設される係合ピン378は時計回転方向に付勢された位置となっているので、この係合ピン378と係合する係合凹部422を有する第2リンク419は、軸支ピン420を中心として反時計回転方向に付勢された状態で停止している。すると、第2リンク419の他端に形成される係合凹部422と第1リンク414の係合ピン418との係合により、第1リンク414が時計回転方向に付勢されるので、第1リンク414の当接突片415の前方に突設される当接突起416がリンク部材取付板407に開設された当接用開口412から前方に進入し押圧揺動部材403の押圧当接突片406と当接して押圧揺動部材403の下端の下部筒部403aaが前方に向って付勢された状態となっている。このとき、当然のことながら、押圧揺動部材403の下部筒部403aaに係合固定されている第2球抜ボタン401も前方に向って付勢された状態となっている。
これに対し、第2球抜ボタン401を後方に向って遊技者が押圧すると、図52(B)に示すように、押圧揺動部材403の下部筒部403aが後方に向って揺動されるので、押圧当接凸版406が当接突起416を押圧し第1リンク414を反時計回転方向に回動させる。すると第1リンク414の係合ピン418との係合により第2リンク419が時計回転方向に回動するので、係合凹部422が係合ピン378を押圧して連結片376をバネ380の付勢力に抗して反時計回転方向に回動させ、これによって第2球抜弁375が第2球抜連通口390の上面から退避し、皿体360に形成された第2球抜開口388と第2球抜連通口390とを連通させて皿体360の貯留部361に貯留された球を第2球抜ユニット371に形成される第2球抜通路部374に導く。第2球抜通路部374に導かれた球は、次に説明する皿蓋板430の前面側に形成される球抜通路後樋433の上誘導樋434のやや上部側に放出され、最終的にユニット枠301の底面中央に形成される球排出口322からパチンコ遊技機1の外部(例えば、パチンコ島台のカウンターに載置される玉箱等)に玉抜きされるようになっている(図34参照)。
次に、皿ユニット300のユニット枠301の裏面を閉塞する皿蓋体430の構成について図37及び図38を参照して説明する。皿蓋体430は、ユニット枠301の裏面のほぼ全域を閉塞するように長方形状の平板として合成樹脂によって成形され、その前面側のほぼ中央に球抜通路後樋433が一体的に突設形成されている。球抜通路後樋433には、上下に球を前方に誘導する湾曲状の上誘導樋434と下誘導樋435とが形成され、皿蓋体430をユニット枠301の裏面に取り付けた状態において、図34に示すように、下部スピーカユニット330のスピーカボックス本体331に形成される球抜通路前樋337と対面して皿内球抜通路を構成しているものである。このとき、球抜通路前樋337に形成される誘導樋338が球抜き通路後樋433の上誘導樋434と下誘導樋435との間に位置するようになっているので、皿内球抜通路は蛇行状に形成されることとなり、球抜きされた球が勢いを弱めながら球排出口322から外部に排出されるようになっている。
また、皿蓋体430には、上記した球抜通路後樋433の上部側方に開口蓋取付窓432が開設され、また、一端側(軸支側)上部裏面に四角筒状の賞球連絡樋431が突設されている。賞球連絡樋431は、皿ユニット300を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、扉枠本体100の軸支側下部に形成された賞球通過口103(図16参照)を貫通して扉枠本体100の裏面側にまで貫通するものであり、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で本体枠3に形成される賞球通路の末端と重合状に対面するものである。また、開口蓋取付窓432は、皿体360の第2球抜通路部374の側壁開口382を閉塞する側面開口蓋383を着脱自在に取り付けるための開口であり、扉枠本体100に形成される蓋用開口105に対応する位置に設けられるものである。側面開口蓋383の取付構造を具体的に説明すると、側面開口蓋383の長手方向一端部に係合突片385が突設され、長手方向他端部に係合弾性片386が形成されているので、係合突片385を開口蓋取付窓432の一側縁の内側に係合させ、係合弾性片386を開口蓋取付窓432の他側縁の内側に弾性係合させることにより側面開口蓋383を開口蓋取付窓432に取り付け、取り外す場合には、まず係合弾性片386を弾性変形させて開口蓋取付窓432の他側縁との係合を解除して引き出すことにより係合突片385と開口蓋取付窓432の一側縁との係合を簡単に解除することができる。この側面開口蓋383は、第2球抜弁375を開放して異物を第2球抜通路部374に詰めるイタズラをされた場合等に扉枠5を開放することにより、異物を簡単に取り出すことができるように設けられているものである。さらに、皿蓋体430には、図38に示すように、前記球抜通路後壁433の側方に案内穴436が形成されている。この案内穴436は、図9に示すように、皿ユニット300を扉枠本体100の表面に取り付ける際に、その取付位置を正確に行うために扉枠本体100の板部のほぼ中央に前方に向って突設される前記係合突起111が挿入されるものである。
以上、皿ユニット300に係る構成について説明してきたが、上記のように構成される皿ユニット300の組付け構造について図54乃至図58を参照して説明する。最初に、図54(A)に示すように、ユニット枠301の裏面中央に形成される軸受支持片321に押圧揺動部材403の揺動軸404を嵌合支持し、その後、ユニット枠301の前方から第2球抜ボタン用開口320に第2球抜ボタン401を挿入して係止爪402を押圧揺動部材403の下部筒部403aに係止する。その状態で図54(B)に示すように、リンク部材取付板407を所定の位置に取り付けて押圧揺動部材403の押圧当接突片406と第1リンク414の当接突起416とを当接させる。次いで、図55(A)に示すように下部スピーカユニット330をユニット枠301の裏面側から所定の位置に取り付け、さらに図55(B)に示すように、皿体360をユニット枠301の裏面側から下部スピーカユニット330の上部の所定位置に取り付ける。この際、第2リンク419の係合凹部422が後方に向って開放した状態となっているため、皿体360に設けられる第2球抜ユニット371の連結片376の末端下部に突設される係合ピン378が、皿体360をユニット枠301の裏面側から所定の位置に取り付けるだけで自然に係合した状態となる。このため、本実施形態においては、ユニット枠301に押圧揺動部材403、第2球抜ボタン401、リンク部材取付板407、皿体360の順に取り付けるだけで皿ユニット300の前面下部に設けられる第2球抜ボタン401と皿体360に設けられる第2球抜弁375との連携を自然に行うことができる。
ユニット枠301に皿体360を取り付けた後には、図56(A)に示すように、皿蓋体430をユニット枠301の裏面から固定することにより、図56(B)に示すように、ユニット枠301への裏面側からの作業は終了する。次いで、図57(A),(B)に示すように、コネクタ310aが設けられる配線を引き出して操作ボタンユニット326のコネクタ326aと接続した後、操作ボタンユニット用凹空間部306に操作ボタンユニット326を上方から挿入しつつ係合突片329と係合穴312とを係合させ且つ操作ボタンユニット326のコネクタ326aとコネクタ310aを配線収納開口310bに収納し、その後、図36に示すように、前面カバー部303の底面部に形成される締具挿入穴325からネジ351をドライバー工具352によって差し込み当該ネジ351をネジ止め部311及び固定ネジ穴328に螺着することにより操作ボタンユニット326を取り外しできないように固定することができる。そして、上記のように組み付けた皿ユニット300を扉枠本体100の下部の板部に取り付けることにより、皿ユニット300を備えた扉枠5が完成する。
以上、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の構成について説明してきたが、最後に図59乃至図69を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の特徴的な構成について説明する。
図60、図62、及び図69は、それぞれ図59のA−A、C−C、J−Jで切断した断面図であり、いずれもパチンコ遊技機1の上側辺部の断面図である。そして、これらの断面図に現われる構成において特徴的なのは、扉枠5の上部防犯二重溝33に、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金161の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片165,166がそれぞれ挿入されるようになっている点である。つまり、本実施形態に係るパチンコ遊技機1における扉枠5と本体枠3との上側辺部における防犯構造が二重の防犯構造となってピアノ線等の不正具を挿入する不正行為の防止が図られている点である。また、図69に示すように、上部の左右のスピーカ144a,144bに対応する位置の遊技盤4にスピーカ用切欠部18が形成されているので、スピーカ144a,144bから発せられる音が本体枠3の裏面側の収納壁31によって形成される空間及びカバー体58の放熱穴を介してパチンコ遊技機1の裏面にも通るようになっている。また、本実施形態においては、下部の下部スピーカユニット330に設けられるスピーカ341a,341bによってバスレフ型のスピーカシステムとして優れた低音域の音を明瞭に外部に向けて発生することができるのに対し、上部の左右のスピーカ144a,144bによって低音の強調されない通常の中高音域を含む音域の音を発生するものである。なお、本実施形態においては、上部のスピーカ144a,144bと下部のスピーカ341a,341bとは、同じ型番の同じスピーカ(フルレンジスピーカ)を用いているが、上部のスピーカ144a,144bを収納する構造と、下部のスピーカ341a,341bを収納する構造(バスレフ型)とを違えることにより、上部のスピーカ144a,144bをフルレンジの音域の音を出力するスピーカとして使用し、下部のスピーカ341a,341bを特に低音域を強調した音域の音を出力するスピーカとして使用している点も特徴的なものである。
図64、及び図66は、それぞれ図59のE−E、G−Gで切断した断面図であり、いずれもパチンコ遊技機1の軸支側辺部の断面図である。そして、これらの断面図に現われる構成において特徴的なことは、軸支側辺部の中程の断面図を示す図64においては、軸支側補強板金162の軸支側L字状折曲突片167は、そのL字状に曲がった先端部が本体枠3の軸支側の延設された軸支辺部49の内側に当接するようになっており、扉枠5と本体枠3との当接面からピアノ線等の不正具が挿入された場合に、不正具の先端が軸支側L字状折曲突片167と軸支辺部49の内側の当接部分を容易にすり抜けないようにしているが、軸支側の補強板金162による防犯構造が他の辺と異なり二重構造にし難く又は最も不正行為を行い難い辺であることに鑑み、全体として手薄な防犯構造となっている。反面その構造に着目して不正行為をなされる可能性もある。そこで、本実施形態においては、軸支側の中間位置に防犯用突出板部199を突設させて遊技板飾り枠11の前面を覆うことにより、軸支側L字状折曲突片167と軸支辺部49との隙間を無理やり侵入してきた不正具を遊技板飾り枠11から遊技盤4の表面に到達させないように遊技板飾り枠11の前面を覆うようにし、軸支側の防犯機能の向上を図っている。また、軸支側の中央より下方の断面図を示す図66においては、上記と同様に、軸支側補強板金162の軸支側L字状折曲突片167は、そのL字状に曲がった先端部が本体枠3の軸支側の延設された軸支辺部49の内側に当接するようになっており、扉枠5と本体枠3との当接面からピアノ線等の不正具が挿入された場合に、不正具の先端が軸支側L字状折曲突片167と軸支辺部49の内側の当接部分を容易にすり抜けないようにしているものの、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起15と防犯後端部突片215との重合構造によって遊技板飾り枠11の外レールユニット22への不正具の侵入が阻止され、さらに遊技板飾り枠11の内レールユニット12と防犯後突片214との重合構造によって遊技盤4の遊技領域20への不正具の侵入を阻止することができる。
図65、図67、及び図68は、それぞれ図59のF−F、H−H、I−Iで切断した断面図であり、いずれもパチンコ遊技機1の開放側辺部の断面図である。そして、これらの断面図に現われる構成において特徴的なことは、開放側補強板金163の開放側外折曲突片173が本体枠3の側部防犯溝34に挿入され、開放側内折曲突片174が本体枠3の防犯凹部35に挿入されることにより、二重の防犯構造を有して不正具の侵入を防止している。しかし、開放側外折曲突片173と側部防犯溝34とは、凹凸係合するものの、開放側内折曲突片174と防犯凹部35とは、完全な凹凸係合とはいえないため、最初の凹凸係合部分を突破されたときに次の不完全な凹凸係合を簡単に突破される可能性もあるところ、本実施形態においては、図65及び図67に示すように、開放側内折曲突片174が防犯凹部35内に進入した状態で開放側内折曲突片174の先端がガラスユニット190よりも遊技盤4に近い位置であって遊技盤4の遊技板飾り枠11の前端面からやや遊技盤4寄りの位置まで進入される長さに設定されているため、仮に開放側外折曲突片173と側部防犯溝34との凹凸係合部をすり抜けて不正具が侵入したとしても、開放側内折曲突片174によって案内される不正具の先端がガラスユニット190と遊技盤4の遊技板飾り枠11との間から遊技盤4の表面に侵入することはない。また、本実施形態においては、図67及び図68に示すように、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、開放側補強板金163の二重の折曲突片173,174による防犯構造に加えて、レール防犯溝14と防犯後突片214との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域20への不正具の侵入を阻止することができる。
図61、及び図63は、それぞれ図59のB−B、D−Dで切断した断面図であり、いずれもパチンコ遊技機1の下側辺部の断面図である。そして、これらの断面図に現われる構成において特徴的なことは、図61に示すように、扉枠本体100の扉枠突片112と本体枠3の係合溝42,43とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成し、扉枠5の裏面下部に取り付けられる装着台220に形成される防犯突片225と発射レール38及び遊技盤4に取り付けられる外レールユニット22の下方空間である防犯空間45とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成しており、これら二重の防犯構造により不正具の侵入を防止することができる点である。さらに、図61及び図63に示すように、ガラスユニット190を扉枠5に装着したときに、ユニット枠191の底辺部分の係合溝200に下側補強板金164の垂直折曲突片180の上部が進入し、その垂直折曲突片180の上端部分とガラス板201の下端部分とが前方から見て重複するような位置関係を有するように係合溝200の深さを形成しているので、例えば、皿ユニット300の上端部に熱した棒状金属を押し当てて合成樹脂製のユニット枠301、扉枠本体100、及びユニット枠191に穴をあけるという不正行為に対し、ユニット枠191部分において、熱に強いガラス板201と垂直折曲突片180とが重複しているので、穴をあけることができず、扉枠5の前面からの穴あけ不正行為を防止することができるものである。