〔パチンコ遊技機の全体構造〕
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図8を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ遊技機1の外枠2に対して本体枠3を開放し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ遊技機の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ遊技機1の正面図であり、図4は、パチンコ遊技機1の側面図であり、図5は、パチンコ遊技機1の平面図であり、図6は、パチンコ遊技機1の背面図であり、図7は、パチンコ遊技機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の後方から見た分解斜視図であり、図8は、パチンコ遊技機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の前方から見た分解斜視図である。
図1乃至図8において、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域605を遊技者が視認し得る遊技窓101と該遊技窓101の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿としての皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板15によって被覆されている下部前面板14が固着されている。また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、その裏面下部に打球発射装置650と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100が取り付けられ、本体枠3の後面開口580(図7参照)を覆うカバー体1250が着脱自在に設けられている。更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300の他に、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250と、ハンドル装置460とが設けられている。そして、本実施形態の特徴は、扉枠5に設けられる皿ユニット300が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドル装置460が扉枠5に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくした点である。以下、パチンコ遊技機1を構成する部材について詳細に説明する。
〔外枠〕
外枠2について、主として図9乃至図21を参照して説明する。図9は、外枠2の正面斜視図であり、図10は、同外枠2の正面から見た分解斜視図であり、図11は、同外枠2の正面図であり、図12は、同外枠2の背面図であり、図13は、図11のB−B断面図(A)と図13(A)のC−C断面図(B)、D−D断面図(C)、E−E断面図(D)であり、図14は、他の実施形態に係る外枠2の正面図であり、図15は、同外枠2の背面図であり、図16は、同外枠2の正面から見た斜視図であり、図17は、外枠2の正面図(A)、正面図のB−B線で切断した断面図(B)、正面図のA−A線で切断した側枠板12の端面図(C)であり、図18は、本体枠3の上軸支金具503と外枠2の上支持金具45との脱着構造を説明するための斜視図であり、図19は、外枠2の上支持金具45の裏面に設けられるロック部材58の取付状態を示す分解斜視図(A)と下方から見た斜視図(B)であり、図20は、軸支ピン504とロック部材58との関係を説明するための上支持金具45部分の裏面図であり、図21は、ロック部材58の作用を説明するための上支持金具45部分の裏面図である。
図9及び図10において、本実施形態に係る外枠2は、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とを、それぞれの端部を連結するための連結部材19で連結することによって方形状に組み付けられるものである。具体的には、連結部材19は、中央と左右とに段差のある表彰台状に形成され、突出した中央の部分が上枠板10及び下枠板11の両端部中央に形成された係合切欠部20に嵌合され、一段下がった左右の部分の平面に上枠板10の裏面と下枠板11の上面とが当接し且つ一段下がった左右の部分の一側面に側枠板12,13の内側面が当接するようになっている。そして、その状態で、上枠板10の係合切欠部20の両側方及び下枠板11の係合切欠部20の両側方にそれぞれ形成される挿通穴21と連結部材19の一段下がった左右の部分の平面に形成される複数(図示の場合2個)の連結穴22(図10の上枠板10と側枠板12とを連結する連結部材19に表示するが、他の連結部材19にも存在する)とを一致させて上方又は下方から複数(図示の場合2本)の連結ビス23で止着し、更に、側枠板12,13の上下端部分に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴24と連結部材19の一段下がった左右の部分の側面に形成される複数(図示の場合3個)の連結穴25とを一致させて側方外側から複数(図示の場合3本)の連結ビス26,27で止着することにより、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とが強固に連結固定される。ただし、3本の連結ビス26,27のうち、1本の連結ビス27は、側枠板12,13と連結部材19とを連結するものではなく、上枠板10及び下枠板11と連結部材19とを側方から直接連結するものである。
外枠2を構成する上枠板10と下枠板11、及び側枠板12,13のうち、上枠板10と下枠板11とは従来と同じ木製であり、側枠板12,13は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板10及び下枠板11を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ遊技機1を遊技場に列設される島に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くするためである。一方、側枠板12,13をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べ強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるため、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の側面壁540〜543(図97参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができる。このため左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができることになり、結果的に遊技盤4の遊技領域605を大きく形成することができるからである。ただし、側枠板12,13をアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図13(C)に示すように、側枠板12(側枠板13も全く同じ構造である。)の後方部分内側にリブによって後方が開放した空間部28(側枠板13の空間部28は図12に表示)を形成して後方部分の肉厚h1が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h1は、従来の木製の肉厚と同等若しくは若干薄い寸法となっている。また、図13(B),(D)に示すように、側枠板12の空間部28の前方には、連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる溝部29(側枠板13の溝部29は図9に表示)が形成されている。側枠板12の溝部29から前端部までは、図13(B)〜(D)に示すように、その内側面が連結部材19の一段下がった左右の部分の他方の部分が当接する平板状をなすものであるが、その平板部に材料軽減のための浅い凹部が形成されている。更に、前記溝部29が形成される反対側の面(外側面)には、図9及び図13(B)に示すように、上支持金具45の垂下片部53が挿入される凹部30(側枠板13の凹部30は図10に表示)が形成されている。
そして、上記のように形成される軸支側の側枠板12には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に上支持金具45の垂下片部53を側枠板12の外側に止着ビス32で止着するための取付穴31が穿設されると共に、その下部に下支持金具66の垂直当接片72に形成される取付穴69と一致させて止着ビス34で止着するための取付穴33が穿設されている。また、取付穴33の下部であって側枠板12の前方部分に側枠板12と下部前面板14とを止着ビス36で止着するための取付穴35が形成されている。一方、開放側の側枠部13には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に閉鎖用突起38を取付ネジ39で取り付けるための取付穴37が穿設され、その下部に閉鎖用突起41を取付ネジ42で取り付けるための取付穴40が穿設されると共に、さらに最下方に側枠板13と下部前面板14とを止着ビス44で止着するための取付穴43が形成されている。なお、この閉鎖用突起38,41は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図147参照)と係合するものであり、後に詳述するように錠装置1000のシリンダー錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖用突起38,41との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
また、下枠板11と左右の側枠板12,13の下部前面に固定される下部前面板14は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものであり、下部前面板14の表面及び側面は、装飾カバー板15によって被覆されているが、装飾カバー板15の裏面に、その後端に弾性爪が形成される止着突起16(図12参照)が突設され、その止着突起16が下部前面板14に貫通される止着穴17に貫通させられることにより下部前面板14に取り付けられている。なお、外枠2の装飾カバー板15の開放側の上面には、本体枠3の閉止時に該本体枠3をスムーズに案内するための案内板18が交換可能に装着されている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10と側枠板12とを連結する機能も兼用する上支持金具45と下部前面板14の一側上面に沿って取り付けられる下支持金具66とが設けられている。上支持金具45には、前方に突出している支持突出片46に該支持突出片46の側方から先端中央部に向かって屈曲して形成された支持鉤穴47が形成されており、この支持鉤穴47に本体枠3の後述する上軸支金具503の軸支ピン504(図18参照)が着脱自在に係合されるようになっている。この支持鉤穴47と軸支ピン504との係合関係については、後に詳述する。また、下支持金具66も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起68が突設され、この支持突起68に本体枠3の後述する枠支持板506(図100参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具66の支持突起68に本体枠3の枠支持板506に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504を支持鉤穴47に掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
また、上支持金具45は、上枠板10の軸支側の上面及び前面に凹状に形成される取付段部49に装着されるものであるが、その装着に際し、上支持金具45に形成される複数(図示の場合2個)の取付穴48と取付段部49に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴50とを一致させて取付ビス51を上方から差し込み、上枠板10の裏面から押し当てられる挟持板52に止着することにより上支持金具45が上枠板10に堅固に固定される。また、上支持金具45の外側側方には、側枠板12の外側に当接する垂下片部53があり、その垂下片部53にも取付穴54(図19(A)参照)が穿設され、この取付穴54と前記取付穴31とを止着ビス32で止着することにより、上支持金具45と側枠板12とを固定すると共に、上枠板10と側枠板12とを上支持金具45を介して連結している。一方、下支持金具66は、前述したように側枠板12の取付穴33と垂直当接片72の取付穴69とを一致させた状態で取付ビス34で止着し、さらに、下支持金具66の水平面の中程に穿設される取付穴70に取付ネジ71を差し込むことにより、前記装飾カバー板15を介して前記下部前面板14の上面に止着されるものである。
上記のように構成される外枠2において、その構成部材である上枠板10と下枠板11と側枠板12,13とを連結部材19で連結することにより、連結部材19が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材19と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、その組み付け強度が高く頑丈な方形状の枠組みとすることができる。上記した連結部材19と上枠板10及び下枠板11との係合状態に加え、連結部材19の側枠板12,13への取り付けに際し、溝部29に連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる構造であるため、連結部材19の側枠板12,13への取り付けが強固となり、これによっても方形状の枠組みの強度を向上することができると共にその位置決めを正確に行うことができる。また、連結部材19によって上枠板10、下枠板11、側枠板12,13を連結した後、上支持金具45を所定の位置に取り付けたときに、図11及び図12に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材は存在しないので、パチンコ遊技機1を図示しないパチンコ島台に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸器)と密着して取り付けることができる。また、下支持金具66を取り付けたときにも、下部前面板14の上面と下支持金具66の上面とがほぼ同一平面となるようになっている。
〔外枠の他の実施形態〕
上記した図9〜図13に示した実施形態に係る外枠2(以下、第1実施形態に係る外枠2と称す。)は、4つの枠板10〜13を連結部材19で連結したものを示したが、上下の枠板を木製とし、左右の側枠板を軽量金属製とした他の実施形態に係る外枠2(以下、第2実施形態に係る外枠2と称す。)について、主として図14乃至図17を参照して説明する。
第2実施形態に係る外枠2は、上下の上枠板80及び下枠板81と左右の側枠板82,83とを、それぞれの端部を連結するためのコーナー金具88〜91で連結することによって方形状に組み付けられるものである。具体的には、開放側の上部は、上枠板80の端部上面及び後面と側枠板13の端部外側面及び後面に差し渡されるコーナー金具90をビス止めすることにより連結し、開放側の下部は、下枠板81の端部底面及び後面と側枠板83の端部外側面及び後面に差し渡されるコーナー金具91をビス止めすることにより連結し、軸支側の上部は、上枠板80の端部上面と側枠板82の端部外側面に差し渡される支持突出片92(第1実施形態に係る外枠2の支持突出片46に相当)を有するコーナー金具88をビス止めすることにより連結し、軸支側の下部は、下枠板81の端部底面及び後面と側枠板82の端部外側面及び後面に差し渡されるコーナー金具89をビス止めすることにより連結される。
外枠2を構成する上枠板80と下枠板81、及び側枠板82,83のうち、第1実施形態に係る外枠2と同様に、上枠板80と下枠板81とは従来と同じ木製であり、側枠板82,83は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板80及び下枠板81を従来と同じ木製で構成した理由は、第1実施形態に係る外枠2と同じであり、側枠板82,83をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由も、第1実施形態に係る外枠2と同じである。ただし、側枠板82,83をアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図17(C)に示すように、側枠板82,83の後方部分内側にリブによって空間部96を形成して後方部分の肉厚h2が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h2は、従来の木製の肉厚よりも薄い寸法となっている。
また、下枠板81と左右の側枠板82,83の下部前面に固定される装飾カバー板15は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものである。下部前面板84の表面は、装飾カバー板85によって被覆されているが、装飾カバー板85の裏面に、その後端に弾性爪が形成される止着突起86(図15、図17(B)参照)が突設され、その止着突起86が下部前面板84に貫通される取付穴に貫通させられることにより下部前面板84に取り付けられている。また、下部前面板84の裏面上部には、後当て板87が固着され、本体枠3が載置される下部前面板84の強度を補強している。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板80と側枠板82とを連結するための支持突出片92を有するコーナー金具88と下部前面板84の一側上面に沿って取り付けられる下支持金具93とが設けられている。コーナー金具88には、前方に突出している支持突出片92に屈曲した支持鉤穴98が形成されており、第1実施形態に係る外枠2と同じように、この支持鉤穴98に本体枠3の後述する上軸支金具503の軸支ピン504が係合されるようになっている。また、下支持金具936も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起99が突設され、第1実施形態に係る外枠2と同じように、この支持突起68に本体枠3の後述する枠支持板506に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具93の支持突起99に本体枠3の枠支持板506に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504を支持鉤穴98に掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
一方、開放側の側枠板83の内側上下には、閉鎖用突起94,95が固着されている。この閉鎖用突起94,95は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置1000のフック部1054,1065と係合するものである。そして、錠装置1000のシリンダー錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖用突起94,95との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、外枠2を構成する上枠板80、下枠板81、側枠板82,83を連結するためのコーナー金具88〜91をそれぞれ所定の位置に取り付けたときに、図14及び図15に示すように、各金具88〜91の外側面と各枠板80〜83の外側面とがほぼ同一平面となるように、各金具88〜91の取付部分に対応する各枠板80〜83の端部が凹状に形成されている。また、下支持金具93を取り付けたときにも、下部前面板84の上面と下支持金具93の上面とがほぼ同一平面となるようになっている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支するための上支持金具45の支持突出片46(第2実施形態においては、コーナー金具88の支持突出片92)の裏面には、図19に示すようにロック部材58が回動自在に軸支されている。より詳細に説明すると、図19(A)に示すように、上支持金具45の支持突出片46は、先端部が円弧状の平板として形成されると共に支持突出片46の外側縁に沿って直角に折り曲げられた垂下壁55が形成される。この垂下壁55により、上支持金具45の支持突出片46の強度を向上させることができると共に、正面から見たときに次に説明するロック部材58が視認できないようにして外観を良くし、更に、次に説明するロック部材58の弾性片61の先端当接部が当接する部位として利用したりロック部材58が支持突出片46から外側に飛び出さないように停止部として利用している。また、支持突出片46に形成される支持鉤穴47は、垂下壁55が形成されない反対側の側方から内側にやや向ってさらに先端中央部に向かって傾斜状となるように屈曲して形成されている。そして、支持鉤穴47の傾斜状穴部の溝寸法は、軸支ピン504の直径よりもやや大きな寸法に形成されている。また、上記した垂下壁55は、支持鉤穴47の前方の入口端部から支持突出片46及び上支持金具45の外側縁に沿って直角に折り曲げられて形成されていると共に、支持鉤穴47の前方の入口端部の部分で内側に向って折り曲げられて停止垂下部56となっている。また、支持突出片46のほぼ中央に取付穴57が穿設され、該取付穴57にロック部材58がリベット63によって回転自在に軸支されている。ロック部材58は、合成樹脂によって成型されるものであり、ストッパー部59と操作部60とがL字状に形成され、また操作部60と反対側に円弧状の弾性片61が一体的に延設されている。そして、ストッパー部59と操作部60とがなすL字状の基部に前記リベット63が挿通される取付穴25dが形成されている。しかして、ロック部材58がリベット63によって取付穴57に取り付けられて支持突出片46の裏面に回転自在に固定した状態においては、図19(B)に示すように、弾性片61の先端当接部が垂下壁55の内側面と当接しており、ストッパー部59が支持鉤穴47の傾斜状穴部を閉塞するようになっている。また、このときストッパー部59の先端部分は、支持鉤穴47の傾斜状穴部の先頭空間部分を閉塞した状態となっていない。即ち、通常の状態で支持鉤穴47の先頭空間部分には、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504が挿入される空間が形成されている。
ところで、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の先端空間部分に挿入されてストッパー部59の先端側方が入口端部の停止垂下部56に対向している状態(この状態ではストッパー部59の先端側方と停止垂下部56との間に僅かな隙間があり当接した状態となっていない)である通常の軸支状態においては、屈曲して形成される支持鉤穴47の傾斜状穴部の先端空間部分に位置する軸支ピン504とストッパー部59の先端面64とのそれぞれの中心が斜め方向にずれて対向した状態となっている。そして、この通常の軸支状態においては、重量のある本体枠3を軸支している軸支ピン504が支持鉤穴47の先端部分に当接した状態となっているので、軸支ピン504からストッパー部59の先端面64への負荷がほとんどかかっていないため、ロック部材58の弾性片61に対し負荷がかかっていない状態となっている。また、図20(A)に示すように、ストッパー部59の先端面64が操作部60を操作して回動したときにロック部材58がスムーズに回動するように円弧状に形成されている。図示の場合、この円弧状先端面64の円弧中心は、リベット63の中心(ロック部材58の回転中心)である。このため、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面64に当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン504と円弧状の先端面64との当接部分に作用する分力F1(円弧状先端面64の円弧の法線方向)と、軸支ピン504と支持鉤穴47の傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けたときに、分力F1の方向がリベット63の中心(ロック部材58の回転中心)を向くため、ロック部材58のストッパー部59の先端部が支持突出片46から外れる方向(図示の時計方向)に回転させるモーメントが働かず、軸支ピン504がロック部材58のストッパー部59の先端部と支持鉤穴47の傾斜状穴部の一側内面との間に挟持された状態を保持する。このため、通常の軸支状態でもあるいは軸支ピン504の作用力がロック部材58にかかった状態でも、ロック部材58の弾性片61に常時負荷がかからず、合成樹脂で一体形成される弾性片61のクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン504の支持鉤穴47からの脱落を防止することができる。なお、仮に無理な力がかかってロック部材58のストッパー部59の先端部が支持突出片46から外れる方向(図示の時計方向)に回転させられても、ストッパー部59の先端部の一側方が停止垂下部56に当接してそれ以上外れる方向に回転しないので、ロック部材58が支持突出片46の外側にはみ出ることはない。
また、図20(A)に示す実施形態においては、ストッパー部59の円弧状先端面64の円弧中心がリベット63の中心(ロック部材58の回転中心)であることにより、軸支ピン504に対し支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向の作用力Fがかかってもロック部材58に回転モーメントが生じないものについて説明したが、図20(B)に示すように、ストッパー部59の円弧状先端面25fの曲率半径をさらに小さくし、且つロック部材58のリベット63による軸支位置を支持突出片46の内側にした場合に、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面64aに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン504と円弧状の先端面64aとの当接部分に作用する分力F1(円弧状先端面64aの円弧の法線方向)と、軸支ピン504と支持鉤穴47の傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けた場合において、分力F1によって回転モーメントが働いてロック部材58を図示の矢印方向(時計回転方向)に回転させるが、ロック部材58が回転してもストッパー部59の先端一側方が停止垂下部56に当接するだけであるため、ロック部材58が支持突出片46の外側にはみ出ることもないし、ロック部材58の弾性片61に対しても負荷がかかることもない。
つまり、図20(A)及び図20(B)に示す実施形態から理解することができる点は、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって先端面64,64aに当接したとき、その作用力Fの軸支ピン504と先端面64,64aとの当接部分に作用する分力F1によってロック部材58を回転させる回転モーメントが生じない位置若しくはロック部材58をその先端部が支持突出片46の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材58の回転中心(リベット63により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材58の弾性片61に対しても負荷がかかることはないし、ロック部材58が回転してもストッパー部59の先端一側方が停止垂下部56に当接するだけであるため、ロック部材58が支持突出片46の外側にはみ出ることもない。なお、ストッパー部59の先端面の形状が円弧状でなくても、上記した分力F1の作用により回転モーメントが生じない位置又はロック部材58をその先端部が支持突出片46の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材58の回転中心(リベット63により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材58の弾性片61に対しても負荷がかかることはないし、ロック部材58が回転してもストッパー部59の先端一側方が停止垂下部56に当接するだけであるため、ロック部材58が支持突出片46の外側にはみ出ることもないという点を本出願人は確認している。
上記のように構成されるロック部材58の作用について図21を参照して説明する。外枠2に本体枠3を開閉自在に軸支する前提として、本体枠3の枠支持板506(図99参照)に形成される支持穴(図示しない)に下支持金具66の支持突起68が挿通されていることが必要である。そのような前提において、図21(A)に示すように、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504をロック部材58のストッパー部59の側面に当接させて押し込むことにより、図21(B)に示すように、ロック部材58が弾性片61を変形させながら反時計方向に回動させるので、軸支ピン504を支持鉤穴47に挿入することができる。そして、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の先頭空間部分に到達すると、図21(C)に示すように、軸支ピン504とストッパー部59の先端側面とが当接しなくなるためロック部材58が弾性片61の弾性力に付勢されて時計方向に回動し、ロック部材58のストッパー部59が再度通常の状態に戻って支持鉤穴47の入口部分を閉塞すると同時に、ストッパー部59の先端部分が軸支ピン504と対向して軸支ピン504が支持鉤穴47から抜け落ちないようになっている。そして、この状態は、図21(D)に示すように、本体枠3が完全に閉じられた状態でもあるいは本体枠3の通常の開閉動作中も保持される。次いで、軸支ピン504を支持鉤穴47から取り外すためには、図21(E)に示すように、指を支持突出片46の裏面に差し入れてロック部材58の操作部60を反時計方向に回動することにより、ロック部材58が弾性片61の弾性力に抗して回動し、ストッパー部59の先端部分が支持鉤穴47から退避した状態となるため、軸支ピン504を支持鉤穴47から取り出すことができる。その後、本体枠3を持ち上げて、枠支持板506に形成される支持穴と下支持金具66の支持突起68との係合を解除することにより、本体枠3を外枠2から取り外すことができる。
上記したように、外枠2の上支持金具45に設けられるロック部材58は、ストッパー部59と操作部60と弾性片61とが合成樹脂によって一体的に形成されているので、上支持金具45の裏面に極めて簡単に取り付けることができると共に、極めて簡単な構造であるため故障も少なく且つ製造コストの低減を計ることができる。また、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって先端面64,64aに当接したとき、その作用力Fの軸支ピン504と先端面64,64aとの当接部分に作用する分力F1によってロック部材58を回転させる回転モーメントが生じない位置若しくはロック部材58をその先端部が支持突出片46の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材58の回転中心(リベット63により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材58の弾性片61に対しても負荷がかかることはなく、合成樹脂で一体形成される弾性片61のクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン504の支持鉤穴47からの脱落を防止することができると共に、ロック部材58が回転してもストッパー部59の先端一側方が停止垂下部56に当接するだけであるため、ロック部材58が支持突出片46の外側にはみ出ることもない。なお、このロック部材58は、第2実施形態に係る外枠2のコーナー金具88の支持突出片92にもそのまま適用されている。
〔扉枠〕
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図22乃至図87を参照して説明する。図22は、扉枠5の正面図であり、図23は、扉枠5の背面図であり、図24は、図22に表示されるA−A断面図であり、図25は、図22に表示されるB−B断面図であり、図26は、図22に表示されるC−C断面図であり、図27は、図22に表示されるD−D断面図であり、図28は、図23に表示されるE−E断面図であり、図29は、図23に表示されるF−F断面図であり、図30は、図29と同じ断面図の部位における従来の補強板金163の開放側外折曲突片223の形状を示す断面図であり、図31は、扉枠5の正面から見た分解斜視図であり、図32は、扉枠5の背面から見た分解斜視図であり、図33は、扉枠5の前面側に取り付けられる扉レンズユニット120の正面から見た分解斜視図であり、図34は、扉レンズユニット120に設けられるレンズベース体121と冷陰極管131との関係を示す平面図であり、図35は、冷陰極管131の支持構造を説明するための拡大平面図であり、図36は、レンズベース体121と冷陰極管131との関係を示す斜視図であり、図37は、扉レンズユニット120のレンズカバー150と皿ユニット300に設けられるレンズカバー310との関係を示すパチンコ遊技機1の正面斜視図であり、図38は、扉枠5の防犯カバー270を取り外した状態の背面図であり、図39は、扉枠5とガラスユニット250との関係を示す分解斜視図であり、図40は、扉枠5に着脱自在に取り付けられるガラスユニット250の正面図(A)・背面図(B)であり、図41は、ガラスユニット250の分解斜視図であり、図42は、ガラスユニット250の乾燥剤挿入部分の拡大斜視図であり、図43は、図42の乾燥剤挿入部分の断面図であり、図44は、扉枠5に取り付けられる防犯カバー270の正面から見た斜視図(A)と背面から見た斜視図(B)であり、図45は、扉枠5の一側上部に設けられるスピーカを覆うスピーカカバー165部分の拡大正面図であり、図46は、スピーカ163の斜視図であり、図47は、扉枠5の一側上部に設けられるスピーカ163部分の背面から見た従来例(A)と本実施形態例(B)の拡大斜視図であり、図48は、スピーカカバー165及び装飾部材185を構成する部材のうち、LEDに照射される部材を取り除いた場合の扉枠5の正面図であり、図49は、一方のスピーカカバー165及び装飾部材185の前面から見た斜視図であり、図50は、一方のスピーカカバー165及び装飾部材185の背面から見た斜視図であり、図51は、扉枠5の前面に設けられる皿ユニット300の正面図であり、図52は、図51に表示されるA−A断面図であり、図53は、図51に表示されるB−B断面図であり、図54は、図51に表示されるC−C断面図であり、図55は、皿ユニット300の正面から見た分解斜視図であり、図56は、皿ユニット300の背面から見た分解斜視図であり、図57は、皿ユニット300の内部に設けられる下部スピーカユニット340の正面図(A)・平面図(B)・背面図(C)であり、図58は、下部スピーカユニット340の右側面図(A)・正面から見た斜視図(B)・背面から見た斜視図(C)であり、図59は、下部スピーカユニット340の正面から見た分解斜視図であり、図60は、下部スピーカユニット340の背面から見た分解斜視図であり、図61は、下部スピーカボックス330の正面図(A)とその正面図中に表示されるB−B断面図(B)であり、図62は、下部スピーカボックス330とその上部に位置する皿体380との関係を示す背面から見た斜視図であり、図63は、皿体380の背面図であり、図64は、下部スピーカボックス330と皿体380とを組み付けた状態での背面から見た斜視図であり、図65は、下部スピーカボックス330と皿体380とを組み付けた状態での背面図であり、図66は、皿体380に設けられる第2球抜弁398と第2球抜ボタン421との関係を示す正面から見た斜視図であり、図67は、皿体380に設けられる第2球抜弁398と第2球抜ボタン421との関係を示す平面図であり、図68は、皿体380に設けられる第2球抜弁398と第2球抜ボタン421との関係を示す背面から見た斜視図であり、図69は、第2球抜弁398と第2球抜ボタン421とを連結するためのリンク機構を示す背面図であり、図70は、第2球抜弁398と第2球抜ボタン421の作用を説明するための平面図であり、図71は、皿ユニット300に設けられる操作ボタンユニット329の斜視図であり、図72乃至図74は、皿ユニット300を組み立てる工程を説明するための背面から見た斜視図であり、図75は、皿ユニット300への操作ボタンユニット329の組み付けを説明するための斜視図(A)・正面図(B)であり、図76は、皿ユニット300への操作ボタンユニット329の組み付けを説明するための断面図であり、図77は、パチンコ遊技機1の正面図であり、図78は、図77に表示されるA−A断面図であり、図79は、図77に表示されるB−B断面図であり、図80は、図77に表示されるC−C断面図であり、図81は、図77に表示されるD−D断面図であり、図82は、図77に表示されるE−E断面図であり、図83は、図77に表示されるF−F断面図であり、図84は、図77に表示されるG−G断面図であり、図85は、図77に表示されるH−H断面図であり、図86は、図77に表示されるI−I断面図であり、図87は、図77に表示されるJ−J断面図である。
図22、図23、図31及び図32に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体100の上部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、該遊技窓101の前面周囲に扉レンズユニット120が取り付けられ、また、遊技窓101の下方の板状部の前面に扉枠本体100に皿ユニット300が設けられ、その皿ユニット300の一側(開放側)にハンドル装置460の操作ハンドル部461が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金210が固定され、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250が取り付けられると共に、前記遊技窓101の下方の板状部の裏面に、前記操作ハンドル部461に対応するジョイントユニット480、装着台280、及び枠装飾中継基板290がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット250の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー270も装着されている。以下、扉板5を構成する上記の各構成部材のより詳細な構造について説明する。
<扉枠本体>
図31及び図32に示すように、扉枠本体100は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、その遊技窓101の下方が板状部となっている。遊技窓101の上部左右には、後述するスピーカ163を貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成され、そのスピーカ用開口102の下方に後述するガラスユニット250の止め片254を係止するための止めレバー108(図38参照)が回動自在に設けられている。なお、本実施形態に係る遊技窓101は、従来に比べて上下方向及び左右方向の寸法が大きくなった遊技盤4が取り付けられるため、遊技窓101の上下方向及び左右方向の寸法も大きくなっている。このため、後述する扉枠レンズユニット120の形状が従来一般的に知られているものと大きく相違する。
一方、遊技窓101の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット300の賞球連絡樋451(図56参照)が貫通する賞球通過口103が開設され、その斜め中央寄りに後述する側面開口蓋406(図56参照)を脱着するための蓋用開口105が開設され、その蓋用開口105の開放側の隣接する位置に球送りユニット287を装着するための球送り開口104が開設され、さらに球送り開口104のさらに開放側寄りに前記シリンダー錠1010が貫通するための錠穴106が開設されている。また、球送り開口104の下方の板状部の裏面側にジョイントユニット480を取り付けるためのジョイントユニット装着凹部107が形成され、同じく下方の板状部の裏面側の遊技窓101の下部左右にガラスユニット250の掛止突片255を掛け止めるための係合受片109(図38参照)が形成され、その係合突片109の側方に防犯カバー270の後述する装着弾性片273が装着される装着開口部110が形成されている。また、板状部の前面中央には、前方に向って後述する皿ユニット300の案内穴456(図24参照)に挿入される係合突起111が形成されている。更に、扉枠本体100の下辺は、後方に突出した扉枠突片112となっており、後述するように、この扉枠突片112と本体枠3に形成される係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
<扉レンズユニット>
次に、上記した扉枠本体100の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット120の構成について主として図26乃至図37を参照して説明する。扉レンズユニット120は、図33に示すように、前面側を反射面とするリフレクタ122,133,134と、該リフレクタ122,133,134の前面及び内側に取り付けられる冷陰極管131,137,138及びLED基板142,144,146と、前記リフレクタ122,133,134の前方を覆う光透過性のあるレンズカバー150と、該レンズカバー150に取り付けられるスピーカ163と、前記レンズカバー150のベースとなるレンズベース体121と、から構成されている。
レンズベース体121は、平面視で前方が円弧で後方が直線の後面が開放した内部中空の三角形状に合成樹脂によって形成され、その中空内部に冷陰極管131,137,138に高電圧の電流を供給するインバータ基板141が収納固定されている。また、レンズベース体121の前面及び底面に当接するように断面L字状の上リフレクタ122が取り付けられている。この上リフレクタ122は、白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとしている。つまり、上リフレクタ122の表面は、上冷陰極管131及びLED143から発せられた光を反射する反射面となっている。次に説明する側方リフレクタ133,134も同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されている。ところで、図36に示すように、上リフレクタ122の両端部に、上冷陰極管131の両端を支持するための電極支持部127が形成され、さらに上リフレクタ122の垂直前面壁123の前面に適宜間隔を置いて上冷陰極管131を支持するために先端部がU字状に形成された陰極管支持片125が突設されている。これは、上冷陰極管131の中央が屈曲された「く」字状に屈曲して形成されているので、中央の屈曲部に応力がかかって破損しやすいため、両端の電極支持部127だけではなく適宜間隔を置いて陰極管支持片125で支持し、しかも、上冷陰極管131を陰極管支持片125に支持する際には、図36(A)に示すように、耐熱性ゴムパッキン126に挟んで上冷陰極管131が動かないように支持することにより、より破損し難い支持構造とすることができる。また、両端の電極支持部127は、図35に示すように、上方が開放されていると共に、内側に向いている周壁に上冷陰極管131の端部を受け入れるように一辺が開口した電極挿入孔128が形成されており、この電極挿入孔128に上冷陰極管131の配線が接続された端部に取り付けられた弾性変形し得るゴム製スリーブ132を開口部分の対面方向である上方から挿入し、その後、電極支持部127の上方から電極蓋129を嵌め込むことにより、上冷陰極管131を上リフレクタ122の前面に装着することができる。このように上リフレクタ122の両端部にゴム製スリーブ132を装着し、そのゴム製スリーブ132部分を電極支持部127の電極挿入孔128に遊嵌状態で支持させることにより、図35(C)に示すように、上冷陰極管131が衝撃等により振動しても、ゴム製スリーブ132がその振動を吸収する際に、上冷陰極管131の端部が電極支持部127の部分で揺動あるいは摺動して破壊応力が弱められるので、電極支持部127部分及び上冷陰極管131の屈曲部での上冷陰極管131の破損を防止することができる。なお、上リフレクタ122の左右両端には、スピーカ163を貫通させるスピーカ貫通穴130が形成されている。
上記の上リフレクタ122の両端に側方リフレクタ133,134が垂下するように連結されている。この側方リフレクタ133,134も上リフレクタ122と同様に白色に着色されたポリカーボネート樹脂で形成されており、この白色着色樹脂によって反射率を高めた表面を有するものとしている。つまり、側方リフレクタ133,134の表面は、側方冷陰極管137,138及びLED145,147から発せられた光を反射する反射面となっている。側方リフレクタ133,134の前方に取り付けられる側方冷陰極管137,138は、直線状のものであるため、その側方冷陰極管137,138を支持する電極支持部135,136が、側方リフレクタ133,134の上下端部の2箇所に形成されている。もちろん、電極支持部135,136に側方冷陰極管137,138が支持される際には、上冷陰極管131と電極支持部127との関係を同じように、側方冷陰極管137,138の端部にゴム製スリーブ139,140が装着され、そのゴム製スリーブ139,140が電極支持部135,136に当接して支持されるようになっている。これにより、側方冷陰極管137,138が振動しても破損し難い支持構造とすることができる。
上記した上リフレクタ122及び側方リフレクタ133,134の内側(遊技窓101を縁取る位置)には、多数のLED143,145,147が実装されたLED基板142,144,146が取り付けられている。このLED基板142,144,146に実装されるLED143,145,147によって次に説明するレンズカバー150の内周面が装飾される。
上記したレンズベース体121と上冷陰極管131及び側方冷陰極管137,138が装着された上リフレクタ122及び側方リフレクタ133,134とは、レンズカバー150の裏面側に固定される。レンズカバー150は、前記レンズベース体121と上冷陰極管131が装着された上リフレクタ122に対応する上レンズカバー部151と、前記側方冷陰極管137,138が装着された側方リフレクタ133,134に対応する側方レンズカバー部156,157とが透過性の樹脂によって形成されている。そして、前述したように扉枠本体100に形成される遊技窓101の開口寸法が従来よりも大きく形成されているため、扉枠本体100の外周辺と遊技窓101の内周辺との間の寸法、換言するならば、レンズカバー150が取り付けられるための寸法(特に、左右両側部の寸法)が狭くなっているため、本実施形態におけるレンズカバー150は、上レンズカバー部151と側方レンズカバー部156,157のすべての最大前方突出部において、その基部寸法(扉枠本体100に当接する部分の幅寸法)に対して前方に向って突出する突出寸法が大きくなるような断面楔形状となっている。より詳細に説明すると、上レンズカバー部151及び側方レンズカバー部156,157は、共に白色レンズ部として断面楔状の前方膨出部が合成樹脂で成形され、その白色レンズ部151,156,157の下部後端の遊技窓101を縁取る内側に着色の異なる合成樹脂で成形された赤色レンズ部155(図26参照)及び赤色レンズ部161(図27参照;なお、左右の側方レンズカバー部156,157の内側の赤色レンズ部の符号は、同一の「161」と表示する。)を連結して構成されるものである。そして、この赤色レンズ部155,161を前記上LED基板142及び側方LED基板144,146に直線状に実装される複数のLED143,145,147によって照明するものである。
ところで、上レンズカバー部151は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に平面視においてブーメラン形状に構成されるものであり、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管131とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、上レンズカバー部151の楔状先端部外側には、銀色に着色された不透明な先頭モール部材154が固着されており、上レンズカバー部151のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を上冷陰極管131で照明している。また、側方レンズカバー部156,157は、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部151と同様であるが、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部151に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものであり、前述した直線状に形成される側方冷陰極管137,138とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、側方レンズカバー部156,157の楔状先端部外側には、銀色に着色された不透明な先頭モール部材160が固着されており、側方レンズカバー部156,157のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を側方冷陰極管137,138で照明している。
より詳細に上レンズカバー部151及び側方レンズカバー部156,157と上リフレクタ122及び側方リフレクタ133,134との関係を説明すると、図26に示すように、断面楔状に形成される上レンズカバー部151の裏面側に上リフレクタ122を取り付けた状態では、断面L字状に形成される上リフレクタ122が上レンズカバー部151の内部空間を、上冷陰極管131で光装飾される前方装飾空間152と上LED基板142に直線状に実装される複数のLED143で光装飾される内側装飾空間153とに区画するように構成され、また、上リフレクタ122の垂直前面壁123の前面に上冷陰極管131が取り付けられ、上リフレクタ122の下部水平壁124の後方下部裏面に上LED基板142が取り付けられている。これによって断面楔形状に形成される上レンズカバー部151を前後方向に離れて位置する上冷陰極管131とLED143とによって区画して照射することができるため、上冷陰極管131とLED143とを上下方向に平行状に配置した場合に比較して上レンズカバーの後端上下幅寸法を小さく形成することができ、そのため、遊技窓101の大きな扉枠5の表面に取り付けることが可能となる。また、上冷陰極管131で照射される前方装飾空間152とLED143で照射される内側装飾空間153とが上リフレクタ122によって完全にセパレートされるので、それぞれの発光源による光装飾を遊技者が明確に認識することができる。なお、本実施形態においては、図26に示すように、上冷陰極管131から照射された光は、直接上レンズカバー部151の前方膨出面に照射されると共に上リフレクタ122の垂直前面壁123によって反射された光も上レンズカバー部151の前方膨出面方向に照射され、LED143から照射された光は、直接上レンズカバー部151の赤色レンズ部155に照射されると共に上リフレクタ122の下部水平壁124によって反射された光も赤色レンズ部155方向に照射されるようになっている。
また、図27及び図29に示すように、断面楔状に形成される側方レンズカバー部156,157(図27及び図29においては、一方の側方レンズカバー157について示しているが、他方の側方レンズカバー156においても同じ。)の裏面側に側方リフレクタ133,134を取り付けた状態では、側方リフレクタ133,134が側方レンズカバー部156,157の内部空間を、側方冷陰極管137,138で光装飾される前方装飾空間158とLED基板138a,138bに直線状に実装される複数のLED145,147で光装飾される内側装飾空間159とに区画するように構成され、また、側方リフレクタ133,134の外側前面に側方冷陰極管137,138が取り付けられ、側方リフレクタ133,134の内側裏面にLED基板138a,138bが取り付けられている。これによって断面楔形状に形成される側方レンズカバー部156,157を前後方向に離れて位置する側方冷陰極管137,138とLED145,147とによって区画して照射することができるため、側方冷陰極管137,138とLED145,147とを平行状に配置した場合に比較して側方レンズカバー部156,157の後端左右幅寸法を小さく形成することができ、そのため、遊技窓101の大きな扉枠5の表面に取り付けることが可能となる。また、側方冷陰極管137,138で照射される前方装飾空間158とLED145,147で照射される内側装飾空間159とが側方リフレクタ133,134によって完全にセパレートされるので、それぞれの発光源による光装飾を遊技者が明確に認識することができる。なお、本実施形態においては、図27及び図29に示すように、側方冷陰極管137,138から照射された光は、直接側方レンズカバー部156,157の前方膨出面に照射されると共に側方リフレクタ133,134の垂直前面壁133a,134aによって反射された光も側方レンズカバー部156,157の前方膨出面方向に照射され、LED145,147から照射された光は、側方レンズカバー部156,157の赤色レンズ部161に直接照射されると共に側方リフレクタ133,134の内側傾斜壁133b、134bの裏面によって反射された光も赤色レンズ部161方向に照射されるようになっている。
上記した実施形態においては、リフレクタ122,133,134によって区画される空間に配置される発光源として、冷陰極管131,137,138とLED143,145,147とし、それぞれに対応するレンズカバー部151,156,157として色彩の異なる合成樹脂で成形して連結しているので、レンズカバー部151,156,157を冷陰極管131,137,138とLED143,145,147とによって好適に照射される構造及び色彩で成形することができるものである。もちろん、種類の異なる発光源として、冷陰極管131,137,138とLED143,145,147の組み合わせに限らず、両者ともLEDとして構成してもよい。
また、本実施形態において、扉枠5の前面周囲を装飾する照明手段として冷陰極管を使用している理由は、以下の通りである。扉枠5の前面周囲を装飾する際に、発光源とその発光源の前面に配置されるレンズカバーの距離をあまり大きく取ることができないという制約がある。この制約は、扉枠5は常に開閉されるため、あまり突出量を大きくすると、開放時における作業等に支障を来たすおそれがあるからである。しかして、発光源とレンズカバーとの間の距離があまりとれない状況において、従来のように、発光源として、ランプやLEDを点在させた場合に、レンズカバーを通して視認できる光装飾は、連続した状態の光装飾が視認できるものではなく光が強い部分と弱い部分との斑模様に視認できるに過ぎない。これに対し、本実施形態のように、発光源として連続した冷陰極管131,137,138を使用した場合に、冷陰極管131,137,138とレンズカバー150との距離が短くても、レンズカバー150を通して視認できる光装飾は、連続した状態の美しい光装飾が視認できるものである。このため、正に遊技盤4を囲む領域が連続した美しい光装飾により縁取られた状態となるので、従来のパチンコ遊技機にはない装飾効果を奏することができる。なお、発光源とレンズカバーとの距離をある程度とることができる場合には、LED等の点在する発光源を使用しても光が拡散してレンズカバーの全域をあまり強弱がなく照明することができるので、本実施形態においても、図37に示すように、皿ユニット300の前面上部を縁取るレンズカバー310に対応する発光源はLED基板309(図25参照)に設けられた複数のLEDによって行われている。この点については、後に詳述する。
図33に戻って、レンズカバー150の上レンズカバー部151と側方レンズカバー部156,157との連結部分には、スピーカ163を取り付けるためのスピーカ取付穴162が穿設されている。スピーカ163は、図46に示すように、スピーカコーン164が前面に設けられるものであり、そのスピーカコーン164を支持するコーン支持体を取付部材(図示しない)によってスピーカ取付穴162の裏面から取り付けるようになっている。また、スピーカ取付穴162の前面は、網目状カバー182がその前面に取り付けられたスピーカカバー165によって覆われている。このようにスピーカ163の前面は、網目状カバー182(パンチングメタル)を有するスピーカカバー165によって覆われているので、後述するように網目状カバー182の前方からピアノ線等の不正具を差し込み、スピーカコーン164に不正穴203(図45(B)参照)をあけて遊技盤4の表面若しくは遊技盤4の裏面に不正具を差し込む不正行為が行われる可能性があるが、本実施形態においては、そのような不正行為を防止する構成が採用されている。この点については、後に詳述する。
更に、レンズカバー150の側方レンズカバー部156,157の下方に装飾部材取付領域184が形成され、その装飾部材取付領域184に装飾部材185が取り付けられている。この装飾部材185は、上記したスピーカカバー165と類似した形状にして、レンズカバー150を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、レンズカバー150の上部左右と下部左右とがバランスのとれた印象を与えるために取り付けられるものである。
ところで、上記したスピーカカバー165及び装飾部材185は、上記したように単にスピーカ163の前方を覆ったり、あるいはレンズカバー150の下部を装飾したりするだけではなく、その周囲がLEDで光装飾される構造となっている。この構造について図48乃至図50を参照して説明する。まず、スピーカカバー165について説明する。図49(A)及び図50(A)は、2つのスピーカカバー165のうち、一方のスピーカカバー165の分解斜視図を示しているが、他方のスピーカカバー165の構造も全く同じであるので、一方のスピーカカバー165について説明する。スピーカカバー165は、合成樹脂で平板状に成形されたカバーベース板166の裏面にLED基板170を密着させる一方、カバーベース板166の前方にスピーカ枠179を内蔵した状態でインナーレンズ175、前面レンズ177で覆い、前面を網目状カバー182で閉塞する構成となっている。
より詳細に説明すると、カバーベース板166には、裏面側に位置するスピーカ163のスピーカコーン164が臨むスピーカ開口167が開設されると共に該スピーカ開口167の周囲に複数個のLED172をそれぞれ臨ませる複数個のLED穴168が形成されている。更に、カバーベース板166の裏面には、スピーカカバー165の全体をスピーカ取付穴162に取り付けるための取付ボス169が上下2箇所に形成されている。また、LED基板170にも、スピーカ163のスピーカコーン164が臨むスピーカ開口171が開設されると共に該スピーカ開口171の周囲の前面に複数個のLED172が実装されている。LED基板170の裏面には、コネクタ173が実装されている。また、LED基板170には、前記取付ボス169を貫通させる逃げ孔174が形成されている。
一方、カバーベース板166の前方に配置されるインナーレンズ175は、拡散剤が混入されて乳白色となっている合成樹脂によって膨出状に形成され、そのほぼ中央にスピーカ枠179が嵌め合わされる枠開口176が開設されている。このインナーレンズ175は、前面レンズ177の内周面に密着して設けられるものであり、インナーレンズ175及び前面レンズ177の内周面は共にレンズカット加工されてLED172からの光を拡散するようになっている。なお、前面レンズ177のほぼ中央にもスピーカ枠179が嵌め合わされる枠開口178が開設されている。
上記した前面レンズ177及びインナーレンズ175の枠開口178,176に嵌め合わされるスピーカ枠179は、合成樹脂によって逆三角形上の筒状に形成され、その筒状の前面開口であるカバー開口180の前面をパンチングメタルで構成される網目状カバー182によって閉塞され、その筒状の周壁であるスピーカ筒部181の後端がカバーベース板166の表面に当接するようになっている。つまり、スピーカカバー165を組み付けた状態では、カバーベース板166とLED基板170のスピーカ開口167,171に臨むスピーカ163の効果音がスピーカ枠179のスピーカ筒部181を通って網目状カバー182の前方に向って発声されると共に、スピーカ筒部181の外周を覆うインナーレンズ175及び前面レンズ177の全域がLED172に照射されて光装飾されるようになっている。なお、網目状カバー182には、後方に向って差し込み片183が突設され、その差し込み片183をスピーカ枠179の前面に形成される差し込み溝(図示しない)に差し込むことにより、網目状カバー182が装着されている。
次に、装飾部材185について説明する。図49(B)及び図50(B)は、2つの装飾部材185のうち、一方の装飾部材185の分解斜視図を示しているが、他方の装飾部材185の構造も全く同じであるので、一方の装飾部材185について説明する。装飾部材185は、合成樹脂で平板状に成形された装飾ベース板186の裏面にLED基板189を密着させる一方、装飾ベース板186の前方に装飾枠197を内蔵した状態でインナーレンズ193、装飾レンズ195で覆い、前面を装飾板200で閉塞する構成となっている。
より詳細に説明すると、装飾ベース板186には、外周縁の内側に沿って複数個のLED190をそれぞれ臨ませる複数個のLED穴187が形成されていると共に、装飾ベース板186の裏面に、装飾部材185の全体を装飾部材取付領域184に取り付けるための取付ボス188が上下2箇所に形成されている。また、LED基板189にも、その前面の外周に沿って複数個のLED190が実装されている。LED基板189の裏面には、コネクタ191が実装されている。また、LED基板189には、前記取付ボス188を貫通させる逃げ孔192が形成されている。
一方、装飾ベース板186の前方に配置されるインナーレンズ193は、拡散剤が混入されて乳白色となっている合成樹脂によって膨出状に形成され、そのほぼ中央に装飾枠197が嵌め合わされる枠開口194が開設されている。このインナーレンズ193は、装飾レンズ195の内周面に密着して設けられるものであり、インナーレンズ193及び装飾レンズ195の内周面は共にレンズカット加工されてLED190からの光を拡散するようになっている。なお、装飾レンズ195のほぼ中央にも装飾枠197が嵌め合わされる枠開口196が開設されている。
上記した装飾レンズ195及びインナーレンズ193の枠開口196,194に嵌め合わされる装飾枠197は、合成樹脂によって逆三角形上の筒状に形成され、その筒状の前面開口であるカバー開口198の前面を装飾板200によって閉塞され、その筒状の周壁である装飾筒部199の後端が装飾ベース板186の表面に当接するようになっている。つまり、装飾部材185を組み付けた状態では、装飾筒部199の外周を覆うインナーレンズ193及び装飾レンズ195の全域がLED190に照射されて光装飾されるようになっている。なお、装飾板200には、後方に向って取付ボス201が突設され、その取付ボス201を装飾ベース板186の前記取付ボス188の前面側に一致させ、取付ボス188の裏面から長尺なビス(図示しない)で締着することにより、装飾板200が装着されている。
以上、詳述したように、本実施形態に係るスピーカカバー165及び装飾部材185は、扉枠5の遊技窓101を囲む領域において、前述した冷陰極管131,137,138及びLED基板142,144,146による光装飾とは別に四隅を重点的に光装飾するように構成されているので、遊技窓101の下辺を除く全周が漫然と光によって装飾されるのではなく、強弱のある光装飾とすることができる。特に、扉枠5の左右上部における光装飾は、従来、スピーカだけが配置される傾向が強く、そのスピーカ周りの光装飾が行われないため遊技窓101の外周周りの光装飾に斑がある印象を与えていたが、本実施形態のように構成することにより、遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。
<補強板金>
扉枠本体100の前面側には、上記した扉レンズユニット120が取り付けられると共にその下方に皿ユニット300が取り付けられる。ここで、皿ユニット300の構造を説明する前に、扉枠本体100の裏面側に取り付けられる補強板金210、ガラスユニット250、防犯カバー270、装着台280、枠装飾中継基板290、ハンドル装置460について順次説明する。まず、補強板金210について主として図31、図32、及び図23乃至図30を参照して説明する。
補強板金210は、図31及び図32に示すように、扉枠本体100の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金211と、扉枠本体100の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金212と、扉枠本体100の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金213と、扉枠本体100の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金214と、が相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。
上側補強板金211は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲した上折曲突片215、下折曲突片216となっている。この上折曲突片215及び下折曲突片216は、本体枠3の後述する上部防犯二重溝581に嵌合されるものであり、図示の実施形態においては、図26及び図78に示すように、上折曲突片215の方が下折曲突片216よりも僅かにその突出量が大きくなるように形成されている。これは、上折曲突片215と上部防犯二重溝581の上溝との凹凸係合の度合いを大きくしてピアノ線等の侵入をさせ難くする一方、仮に、この外側の防犯凹凸係合をピアノ線が侵入した場合に、内側の凹凸係合の度合いが小さくても、不正具を操作しながら内側の凹凸係合をすり抜けるのは極めて困難であるからである。もちろん、上辺部からの不正具の挿入が、後述する開放側の不正具の挿入よりも店側に発見され易いので、その分、内側の凹凸係合の度合いを外側の凹凸係合の度合いよりも小さくしてもよいと言う考えにも基いている。しかし、外側と内側の凹凸係合の度合いが一緒となるようにしても良い。
軸支側補強板金212も、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲されているが、内側の軸支側短折曲突片222は極めて短く、外側の折曲突片が、図82に示すように折曲部から先がL字状に形成された軸支側L字状折曲突片217となっている。この軸支側L字状折曲突片217は、そのL字状に曲がった先端部が本体枠3の軸支側の延設された軸支辺部587の内側に当接するようになっており、扉枠5と本体枠3との当接面からピアノ線等の不正具が挿入された場合に、不正具の先端が軸支側L字状折曲突片217と軸支辺部587の内側の当接部分を容易にすり抜けないようにしている。特に、扉枠5の軸支側は、後述するように本体枠3との間で隙間があけにくく且つ不正な作業が行い難い反面、開閉軸側であるため上辺部や開放側辺部のように凹凸係合する構造にすると開閉動作に支障を来たすおそれがあるため、軸支側L字状折曲突片217と軸支辺部587の内側の当接構造としたものである。また、図31に示すように、軸支側補強板金212の上下端部には、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン219を有する上軸支部218と、その下面に軸ピン221(図23参照)を有する下軸支部220と、が一体的に形成されている。そして、上下の軸ピン219,221が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具503及び下軸支金具509に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に設けられるものである。
ただし、本体枠3との間で隙間があけにくいものであるとしても、扉枠5に設けられる皿ユニット300の上面に体重をかけて押圧することにより、上記した軸ピン219,221と上軸支金具503及び下軸支金具509との軸支部を変形させて扉枠5と本体枠3との軸支側の隙間を意図的に形成される場合があるので、本実施形態においては、後述するように、本体枠3の軸支側に規制突起577を上下2箇所に突設している。即ち、図82及び図84に示すように、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態においては、軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端部の一部が規制突片577の後方に挿入された状態となっている。このため、遊技者が皿ユニット300を上方から下方に向けて押圧しても、軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217が規制突片577と当接して前方へ移動しないように規制するため、軸ピン219,221と本体枠3に固定される上軸支金具503及び下軸支金具509との軸支部への作用力を弱めることができ、これによって軸ピン219,221と上軸支金具503及び下軸支金具509との軸支部の変形を防止して本体枠3と扉枠5の軸支側における隙間が意図的に形成されないようにしている。なお、規制突起577が突設されていても、扉枠5を開放するときに軸支側L字状折曲突片217が規制突起577に接触することなく回動移動するので、扉枠5の開閉動作をスムーズに行うことができる。
開放側補強板金213は、所定幅を有して扉枠本体100の縦長寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁が後方に向って折曲した開放側外折曲突片223、開放側内折曲突片225となっている。開放側外折曲突片223は、後述する本体枠3の側部防犯溝582に挿入されるものであり、開放側内折曲突片225は、本体枠3の防犯凹部583に挿入されるものである。しかして、開放側外折曲突片223と側部防犯溝582とは、図83及び図85に示すように、凹凸係合するようになっているが、開放側内折曲突片225と防犯凹部583とは、凹凸係合とはいえないものの、開放側内折曲突片225が防犯凹部583内に侵入した状態で開放側内折曲突片225の先端がガラスユニット250よりも遊技盤4に近い位置であって遊技盤4の飾り枠601の前端面からやや遊技盤4寄りの位置まで侵入される長さに設定されているため、仮に上記した開放側外折曲突片223と側部防犯溝582との凹凸係合部をすり抜けて不正具が侵入したとしても、開放側内折曲突片225によって案内される不正具の先端がガラスユニット250と遊技盤4の飾り枠601との間から遊技盤4の表面に侵入することはない。
更に、本実施形態における開放側補強板金213には、従来にはない構造を採用している。即ち、開放側補強板金213の上部、中間部、下部に錠装置1000の扉枠用フック部1041が侵入しえるように係合開口226が形成され、その係合開口226の裏面側を覆うように扉枠用フック部1041が係合するフックカバー227が固定されている。したがって、扉枠5を本体枠3に対して施錠した状態では、図29に示すように、錠装置1000の扉枠用フック部1041がフックカバー227に係合すると共に、扉枠用フック部1041の先端が係合開口226の内部に侵入した状態となっている。この状態で開放側補強板金213と扉枠本体100との間に無理やり不正具を差し込んだ場合には、図30に示すように、その不正具が係合開口226の内部に侵入した扉枠用フック部1041に到達し、その扉枠用フック部1041を引き上げたりして錠装置1000を開錠する不正を行うことが可能である。しかし、本実施形態の場合には、図29に示すように、開放側補強板金213の係合開口226の外側の開口縁に沿って前方に突出するように防犯開口曲片部224を開放側補強板金213に一体的に形成したので、開放側補強板金213と扉枠本体100との間に無理やり不正具を差し込んだ場合であっても、その不正具の先端が防犯開口曲片部224によって係合開口226の内部に侵入することできないため、扉枠用フック部1041を引き上げたりして錠装置1000を開錠する不正を行うことができない。このように本実施形態に係る扉枠5においては、錠装置1000における扉枠用フック部1041の不正な操作を防止することができるようになっている。なお、図30に示す場合のように、防犯開口曲片部224が形成されていない場合には、扉枠用フック部1041に対する不正操作を行うことができるばかりではなく、熟練することにより係合開口226からさらに不正具の先端を後方に向けて侵入させ、遂には、図95に示す扉用フック穴549から錠装置1000内に不正具を侵入させて、扉枠5だけではなく、本体枠3を開閉させる連結杆をも上下動させる不正行為を行うことも可能である。しかし、本実施形態のように防犯開口曲片部224を設けることにより、錠装置1000に対する不正行為を確実に防止することができるものである。
下側補強板金214は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片229となっており、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片230となっているものの、その両側部の上折曲突片230に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片231となっている。下折曲突片229の突出量はあまり大きくなく、この下折曲突片229が溝部や凹部と係合して凹凸係合をなすものではなく、強度を高めるために形成されているのに対し、両側部の上折曲突片230の突出量は下折曲突片229の突出量よりもやや大きく下方からの不正具の侵入を多少防止するが、むしろ、本実施形態における下側補強板金214の構成で最も特徴的な構成は、垂直折曲突片231である。この垂直折曲突片231は、その上端縁形状が後述するガラスユニット250のユニット枠251の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット250を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片231の上端片がガラスユニット250のユニット枠251の幅方向のほぼ中央の外周に沿って形成される係合溝261に係合するようになっている(図25参照)。この構造については、ガラスユニット250の欄で説明する。なお、下側補強板金214には、扉枠本体100に形成される賞球通過口103の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部228が形成されている。
<ガラスユニット(透明板ユニット)>
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット250について、図38〜図43及び図45〜図47を参照して説明する。ガラスユニット250は、図38及び図39に示すように、遊技窓101よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状のユニット枠251と、該ユニット枠251の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板262(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を接着することにより構成されるものである。まず、ユニット枠251について詳細に説明すると、図38乃至図41に示すように、ユニット枠251の斜め上部左右には、止め片254が環状の外側に向かって突設形成され、下部左右には、掛止突片255が環状の外側に向かって突設形成されている。この止め片254と掛止突片255とは、前述したように、ガラスユニット250を扉枠5の裏面に取り付けるためのものである。また、ユニット枠251の外周前後面部には、図41に示すように、ガラス板262を嵌め込むためのガラス当接段部256が周設されており、このガラス当接段部256にガラス板262を接着剤(ホットメルト系接着剤)で接着したときに、ユニット枠251の幅寸法内に2枚のガラス板262が収納された状態となる。更に、ユニット枠251には、図40及び図41に示すように、内部に乾燥剤257を封入する乾燥剤封入空間部253がユニット枠251の内周面と連通するようにその一側下部側方に環状の外部に突出するように形成され、その乾燥剤封入空間部253を閉塞するために多数の通気孔が形成された開閉蓋258がユニット枠251の内周面に係止爪259によって着脱自在に取り付けられるようになっている。なお、乾燥剤封入空間部253は、環状のユニット枠251の上下左右部を除く斜め左右上下部のいずれかの部位に環状の外部に突出するように形成すればよい。
しかして、ガラスユニット250を組み付けるには、ユニット枠251の乾燥剤封入空間部253に乾燥剤257を封入し、その後、乾燥剤封入空間部253を閉塞するために開閉蓋258をユニット枠251の内周面側から挿入して係止爪259を係止させ、さらにユニット枠251の両面からガラス板262をガラス当接段部256に収納当接するように接着剤で接着する。これにより、2枚のガラス板262を一体化したガラスユニット250を簡単に組み付けることができる。そして、上記のように組み付けられたガラスユニット250を扉枠5に取り付けるには、ガラスユニット250の掛止突片255を扉枠5の係合受片109に上方から掛け止めた後、ガラスユニット250の止め片254に対し扉枠5の止めレバー108を閉止位置に回動して止め片254の裏面を押圧する。これによって、ガラスユニット250を扉枠5の裏面に簡単に取り付けることができる。逆に、ガラスユニット250を取り外す場合には、止めレバー108を開放位置に回動させた後、ガラスユニット250全体を上方に持ち上げるようにすることにより、掛止突片255を係合受片109から外してガラスユニット250を扉枠5から簡単に取り外すことができる。
また、本実施形態におけるガラスユニット250には、2つの大きな構成を有している。第1番目に、ユニット枠251の後端面の前記止め片254の上部であってスピーカ163の側方位置と、軸支側の中間位置に外側に向って突設される防犯用突出板部260をユニット枠251と一体的に形成した構造を採用した点であり、第2番目に、ユニット枠251の外周面の中央に係合溝261を周設した構造を採用した点である。
まず、第1番目の防犯用突出板部260について説明すると、図38に示すように、左右のスピーカ163の側方位置に突設される防犯用突出板部260は、スピーカ163の円柱状のヨーク部の外周の一部と密接するように各スピーカ163の側方を閉塞するものである。このため、図45(A)に示すように、例えば、極めて小径の孔が多数穿設形成されたパンチングメタルで構成されるスピーカ163の網目状カバー182(図45(A)に示す網目は模式図的に表したもので、実際には、1mm前後の小孔で形成されている。)の前方からピアノ線等の針金状の不正具を差し込んで不正穴202を形成し、そして、図45(B)に示すように、スピーカコーン164にも不正穴203を穿設した場合において、仮に防犯用突出板部260がユニット枠251と一体的に形成されていない構造であると、図47(A)に示すように、不正穴203からスピーカ163の裏面に不正具を導き、さらにガラスユニット250の裏面側である遊技盤4の表面まで不正具を到達させることが可能となってしまう。これに対し、本実施形態のように防犯用突出板部260がユニット枠251と一体的に形成されている構造であると、図47(B)に示すように、スピーカコーン164に穿設された不正穴203の先が防犯用突出板部260によって閉塞されているため、不正具をガラスユニット250の裏面側である遊技盤4の表面まで到達させることができない。この場合、防犯用突出板部260によってスピーカ163周りの一部しか閉塞していないので、閉塞されていない上部や開放端部から不正具を侵入させる可能性もなくはないが、それらの位置は遊技盤4の表面から離れた位置であるため、遊技盤4の表面に到達させることはほとんど不可能である。したがって、本実施形態におけるガラスユニット250においては、不正行為が行われる可能性のある上部左右のスピーカからの不正具の侵入をも防止する構造を採用している。なお、上記の説明では一方のスピーカ163について説明したが、他方のスピーカ163についても同じことが言える。
また、軸支側の中間位置に外側に向って突設される防犯用突出板部260は、図82に示すように、扉枠5を閉じた状態で遊技盤4の軸支側に位置する飾り枠601の前面を覆うようになる。これは、前述したように軸支側の補強板金162による防犯構造が他の辺と異なり二重構造にし難く又は最も不正行為を行い難い辺であることに鑑み、全体として手薄な防犯構造となっているが、反面その構造に着目して不正行為をなされる可能性もある。そこで、軸支側の中間位置に防犯用突出板部260を突設させて飾り枠601の前面を覆うことにより、図82に示すように、軸支側L字状折曲突片217と軸支辺部587との隙間を無理やり侵入してきた不正具を飾り枠601から遊技盤4の表面に到達させないように飾り枠601の前面を覆うようにしたものである。これにより、軸支側の防犯機能の向上を図ることができる。なお、軸支側の中間部より下方の防犯機能を向上させる構造は、後述する防犯カバー270及び装着台280によって図られている。
次に、第2番目のユニット枠251の外周面の中央に周設した係合溝261について説明する。係合溝261は、図41に示すように、ユニット枠251の外周面の中央全周(下方部の係合溝261については、図25参照)に周設されている。そして、この係合溝261の深さは、図25に示すように、ガラス板262が収納されるガラス当接段部256よりも内周側となるような深さとなっている。つまり、ガラスユニット250を扉枠5に装着したときに、ユニット枠251の底辺部分の係合溝261に下側補強板金214の垂直折曲突片231の上部が侵入するものであるが、その垂直折曲突片231の上端部分とガラス板262の下端部分とが前方から見て重複するような位置関係を有するように係合溝261の深さを形成している。これによって、例えば、皿ユニット300の上端部に熱した棒状金属を押し当てて合成樹脂製のユニット枠301、扉枠本体100、及びユニット枠251に穴をあけるという不正行為に対し、ユニット枠251部分において、熱に強いガラス板262と垂直折曲突片231とが重複しているので、穴をあけることができず、扉枠5の前面からの穴あけ不正行為を防止することができる。なお、この意味で、係合溝261は、ユニット枠251の下辺部に沿って形成されておれば充分であり、全周に形成する必要はない。
ところで、上記したガラスユニット250の乾燥剤封入空間部253は、ガラス板262をガラス当接段部256に接着したときに密封された状態となるものであるが、図42及び図43に示すように、乾燥剤封入空間部253に外部と連通する単一の空気穴263を形成してもよい。しかして、2枚目のガラス板262を接着する際に、2枚のガラス板262で挟まれる密閉空間の空気が開閉蓋258の通気孔、乾燥剤封入空間部253、空気穴263を介して外部に逃げるので、2枚目のガラス板262の接着作業が2枚のガラス板262によって挟まれる密閉空間の空気の圧力によって影響を受けることなく容易に行うことができ、最終的に、2枚のガラス板262を一体化したガラスユニット250を簡単に組み付けることができる。そして、乾燥剤封入空間部253と2枚のガラス板262によって形成される密閉空間とを完全に密封する必要がある場合には、小さな空気穴263を密閉するだけの簡単な作業で密封状態を完了することができる。なお、空気穴263を密閉することに代えて、空気穴263に2枚のガラスの空間部から外部に向かう一方向にのみ空気が流れる弁を設けても良い。
以上詳述したように、本実施形態における透明板ユニットとしてのガラスユニット250は、予めユニット枠251の乾燥剤封入空間部253に乾燥剤257を封入した後で、ガラス板262をユニット枠251の両面に接着剤で貼り付けるだけで組み付けることができるので、従来のようにユニット枠にガラス板を接着した後に、乾燥剤をユニット枠に外側から挿入して乾燥剤の挿入口の周囲を密閉する構造のものに比べて、密閉するにしても極めて小さな空気穴263だけを密閉すればよい(図42及び図43に示す構造のユニット枠251に限る)ため、ガラスユニット250の製造を簡単に行うことができ、ガラスユニット250の生産性が向上するというメリットがある。そして、この場合、乾燥剤封入空間部253が環状のユニット枠251の外部に突出するように一体的に形成されているので、特殊な形状のガラス板を用意する必要はなく、極めて汎用性の高いガラスユニット250を提供することができる。
また、本実施形態においては、従来のように、ユニット枠そのものに通気孔を形成する場合に比べて、開閉蓋258という小さな部品に通気孔を形成したので、成型が容易であると共に成型後の通気孔の大きさが歪み等で変形することがなく、粒状の乾燥剤257を乾燥剤封入空間部253に封入しても、乾燥剤257が2枚のガラス板262によって形成される密閉空間に零れ落ちることはない。また、本実施形態においては、乾燥剤封入空間部253は、環状のユニット枠251の上下左右部を除く斜め左右上下部のいずれかの部位に環状の外部に突出するように形成されることにより、一般的に円形状に形成される遊技窓101の斜め左右上下部の遊技窓101として利用されない領域に乾燥剤封入空間部253を配置することができ、結果的に遊技窓101を大きく形成することができる。
<防犯カバー>
次に、上記したガラスユニット250の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与された防犯カバー270について、主として図23、図25、及び図44を参照して説明する。防犯カバー270は、図23及び図44(B)に示すように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金212,213の間のガラスユニット250の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内滑走面603の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部271として形成されていると共に、その当接凹部271に沿って後方に向って防犯後突片274が突設されている。また、防犯カバー270を取り付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片275が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー270の前面には、図44(A)に示すように、防犯カバー270を取り付けた状態で前記ガラスユニット250のユニット枠251の下方形状に沿った防犯前突片272が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片273が前方に向けて突設形成されている。
上記のように構成される防犯カバー270は、装着弾性片273を扉枠本体100に形成される装着開口部110に装着することにより、扉枠5の裏面側に着脱自在に取り付けられる。そして、取り付けた状態では、図25に示すように、防犯前突片272がガラスユニット250のユニット枠251の後方下片面と対面するようになっている。また、防犯前突片272の前端は、垂直折曲突片231と当接している。また、防犯後突片274及び防犯後端部突片275は、後方へ突出した状態となっているが、扉枠5を閉じたときに、防犯後突片274の軸支側の半分は、図84に示すように、遊技盤4に固定される内滑走面603の下側面に侵入して対面した状態となるが、防犯後突片274の開放側の半分は、図81及び図85に示すように、飾り枠601の内滑走面603に形成されたレール防犯溝607に挿入された状態となり、また、防犯後端部突片275は、図84に示すように、本体枠3の軸支側に形成される前記防犯突起608の上面に沿って重合状の位置となる。
しかして、防犯カバー270を取り付けて扉枠5を閉じた状態においては、前述した扉枠突片112と係合溝584,585とによる防犯構造、及び後述する防犯突片285と防犯空間586とによる防犯構造に加えて、ガラスユニット250の下方から不正具を侵入させようとしても、防犯前突片272とユニット枠251との重合により、防犯カバー270の前面下方方向からの不正具の侵入が防止され、防犯後突片274と飾り枠601を構成する内滑走面603との重合により、防犯カバー270の後面下方方向からの不正具の侵入が防止される。特に、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起608と防犯後端部突片275との重合構造によって外滑走面602への不正具の侵入が阻止され、さらに内滑走面603と防犯後突片274との重合構造によって遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。同様に、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、前述した開放側補強板金213の二重の折曲突片223,225による防犯構造に加えて、レール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。なお、防犯カバー270の裏面側の防犯後突片274と防犯後端部突片275との間の垂直面は、図84に示すように、扉枠5を閉じた状態で外滑走面602と内滑走面603とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うものであるため、当該誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板262への衝突を防止する機能も有している。
<装着台>
装着台280は、図23、図31、及び図32に示すように、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー270と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台280は、発射レール515から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台280の後面と本体枠3の板部511とによって発射レール515を挟持するように形成されるものであり、このため、装着台280の後面に球飛送誘導面286が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台280には、その軸支側上部に下側補強板金214に形成される賞球通過口被覆部228の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口281が形成され、その開放側下部に球送りユニット287を取り付ける球送りユニット取付凹部282が形成されている。この球送りユニット取付凹部282から斜め方向の領域が前記球飛送誘導面286となっている。また、球送りユニット取付凹部282に取り付けられる球送りユニット287は、後述する打球発射装置650の打球槌687の往復動差に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット300の誘導通路部382(図64参照)の流下端にある球を発射レール515の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台280の中程下部に後述する側面開口蓋406(図56参照)を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口283が形成されている。更に、装着台280の上辺の一部に垂直に立設される立壁284が形成されている。この立壁284は、図23に示すように、前記防犯カバー270を取り付けたときに、該防犯カバー270の前面と当接して防犯カバー270の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
更に、本実施形態に係る装着台280の特徴は、上述した球飛送誘導面286の下方から前記賞球通過口用開口281にかけて斜め状に防犯突起285が後方に向って突設される構造である。この防犯突起285は、前述したように、本体枠3の板部511に形成される防犯空間586との間で、扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
<枠装飾中継基板>
上記した装着台280の下部の軸支側には、図23及び図31に示すように、枠装飾中継基板290が取り付けられ、その枠装飾中継基板290の後面を覆う中継基板カバー291が取り付けられている。この枠装飾中継基板290は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管131,137,138、LED基板142,144,146,170,189,309、スピーカ163,351、操作ハンドル部461内に設けられるスイッチ、貸球ユニット327、操作ボタンユニット329等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継基板290からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット1100に組み込まれる扉中継基板1102等を介しての賞球払出制御基板や遊技盤4に取り付けられる遊技制御基板ボックス624の遊技制御基板に接続されている。
<皿ユニット>
次に、主として図51乃至図76を参照して皿ユニット300の構成について説明する。図55及び図56に示すように、皿ユニット300は、大きく分けて外観を構成するユニット枠301と、該ユニット枠301の内部に取り付けられる下部スピーカユニット340と、該下部スピーカユニット340の上部に配置され且つ前記ユニット枠301の上面に臨むように設けられる皿体380と、該皿体380に設けられる第2球抜弁398の球抜き動作をするための第2球抜きリンクユニット420(図67参照)と、ユニット枠301の後面を閉塞する皿蓋板450と、から構成されている。そこで、まずユニット枠301について説明する。
図51、図52、図55、及び図56に示すように、ユニット枠301は、上面が手前側に向って緩やかに傾斜する平面視半楕円形状の上面カバー部302と、該上面カバー部302の手前側から連続して前面と底面とを構成する前面カバー部304と、が合成樹脂によって一体的に成形されている。上面カバー部302の奥側には、扉枠本体100の前面側に当接する垂直カバー部303も一体的に形成されている。この垂直カバー部303には、その中央に貸球ボタンユニット用開口326が開設され、この貸球ボタンユニット用開口326に貸球ユニット327が裏面側から装着し得るようになっている。貸球ユニット327は、パチンコ遊技機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。
また、上面カバー部302の垂直カバー部303の立ち上がり部から前方に皿体上面開口部306が開設され、その前方中央に操作ボタンユニット用凹空間部307が形成され、該操作ボタンユニット用凹空間部307から左右の上面カバー部302の前端部に沿ってLED装飾空間部308が穿設され、さらに皿体上面開口部306の側方に第1球抜ボタン316を取り付けるための第1球抜ボタン用開口318が設けられている。上記した皿体上面開口部306には、後述する皿体380の貯留部381及びこれに連通する誘導通路部382の上面開口と同一形状に形成され、ユニット枠301に皿体380を取り付けたときに、皿体上面開口部306に皿体380の貯留部381及び誘導通路部382が臨むようになっている。なお、皿体380については後に詳述する。
上記した操作ボタンユニット用凹空間部307には、空間部形成部材311が取り付けられ、該空間部形成部材311に操作ボタンユニット329が装着されるようになっている。空間部形成部材311には、操作ボタンユニット329の係合突片332(図71参照)を係合するための係合穴315と、操作ボタンユニット329の固定ネジ穴331(図71参照)を止着するためのネジ止め部314と、さらに操作ボタンユニット329を空間部形成部材311内に差し込んだときに操作ボタンユニット329の底面に設けられるコネクタ333(図71参照)と接続される配線のコネクタ312を収納する配線収納開口313が形成されている。しかして、操作ボタンユニット329を空間部形成部材311に取り付けるためには、コネクタ312が設けられる配線を引き出して操作ボタンユニット329のコネクタ333と接続した後、操作ボタンユニット329を空間部内に挿入しつつ係合突片332と係合穴315とを係合させ且つ相互のコネクタ333,312を配線収納開口313に収納した後、図54に示すように、前面カバー部304の底面部に形成される締具挿入穴328からネジ334をドライバー工具335によって差し込み当該ネジ334をネジ止め部314及び固定ネジ穴331に螺着することにより取り外しできないように固定する。また、操作ボタンユニット329を取り外す場合には、上記と逆の順序によって行うことができる。このように操作ボタンユニット329を固定するためのネジ止め部314を表面ではなく内部に設けたので、簡単に取り外すことができず、結果的に操作ボタンユニット329を取り外して操作ボタンユニット用凹空間部307を利用した不正な行為を防止することができる。なお、操作ボタンユニット329は、複数(図示の場合は3個)の操作ボタン330を有して構成されているが、この複数の操作ボタン330は、遊技盤4に設けられる液晶表示器等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。
また、LED装飾空間部308には、前述したようにレンズカバー310がその表面を覆っている(図37参照)が、そのLED装飾空間部308の底面部を構成するようにレンズカバー310の下方にLED基板309が設けられている。レンズカバー310とLED基板309との距離は、前述した冷陰極管131,137,138とそれに対応するレンズカバー150との間の距離よりも長く設定されており、LED基板309上に所定間隔離れて直線状に点在する(LED基板309上に所定間隔を置いて直線状に実装された)LEDが点灯した場合であっても、レンズカバー310まで充分な距離があるため、レンズカバー310における光装飾は、レンズカバー310が連続してほぼ均一に照明されているように視認できるものである。なお、レンズカバー310と前記空間部形成部材311とは、ユニット枠301を構成する合成樹脂の色彩(例えば、白色)とは異なる色彩(例えば、赤色)で形成されており、皿ユニット300の上面カバー部302の前端縁に沿って地色とは異なる色彩のラインが設けられているものとして視認できるようになっている。
更に、第1球抜ボタン316は、図62乃至図65(ユニット枠301の表示を省略している。)に示すように、上面カバー部302の第1球抜ボタン用開口318に装着された摺動支持部材317を介して上面カバー部302に取り付けられるものであり、その摺動支持部材317内を上下方向に摺動するようになっている。そして、図63に示すように、第1球抜ボタン316が遊技者によって押圧操作されると、該第1球抜ボタン316の下方に位置する回動部材386が回動軸387を中心にして時計回転方向に回動し、その回動部材386の下端に連携されるスライド弁385が移動する。スライド弁385は、常にはバネ389により付勢されて皿体380の誘導通路部382の下流端部を閉塞した位置にあるが、上記のように第1球抜ボタン316の操作により移動したときには、誘導通路部382から退避し、誘導通路部382と該誘導通路部382の下流側に連続する第1球抜通路部384とを連通させる。これにより皿体380の貯留部381及び誘導通路部382に貯留されていた球を皿体380から球抜きすることができる。この構造については、皿体380の説明の際にさらに詳述する。
次に、ユニット枠301の前面カバー部304の構成について説明すると、図51、図55及び図56に示すように、前面カバー部304は、上記したように上面カバー部302の手前側から連続して前面と底面とを構成するように構成されているため、前面カバー部304の前面部分は、中央部分が最も前方に突出し左右に離れるほど奥側に傾斜している。しかして、前面カバー部304の前面部分の中央突出部の左右には、スピーカ用開口319が開設され、そのスピーカ用開口319が網目状のスピーカカバー320(パンチングメタルで構成されている。)によって被覆されている。そして、スピーカカバー320の後方には、後述する下部スピーカユニット340に収納固定される2つのスピーカ351が位置することになる。なお、スピーカ用開口319は、前面カバー部304の前面中央の突出部から左右奥側に向って傾斜する傾斜状面に形成されるものであるから、正面から見た場合に、パチンコ遊技機1の中心縦ラインから外側に向って開放していることになる。そして、前面カバー部304の前面中央の突出部からスピーカ用開口319の上部及び下部の開口縁までを縁取るように前面装飾板305が取り付けられている。
また、前面カバー部304の開放側端部下方にハンドル装置460を構成する操作ハンドル部461を取り付けるためのハンドル取付穴321が開設されている。操作ハンドル部461は、周知のように、打球の弾発力を調節するためのものであり、このため遊技者が操作し得る回動操作部材464が設けられ、その回動操作部材464を回動操作することにより、回転軸465の後端に固定されるカム466が回動する。そして、カム466の回動運動をジョイントユニット480のスライド体483のスライド移動運動に変換することにより打球発射装置650の弾発力の強弱を調節することができるようになっている。この構成については、後に詳述する。また、ハンドル取付穴321の上部に後述する錠装置1000のシリンダー錠1010が臨む錠穴336が形成されている。
更に、図51に示すように、前面カバー部304の中央下部には、第2球抜リンクユニット420の一部を構成する第2球抜ボタン421を臨ませるための第2球抜ボタン用開口322が開設されている。この第2球抜ボタン用開口322には、図53に示すようにその内部に周壁323が形成されるが、この周壁323が単に筒状となっているだけではなく後端部が内側に折曲された状態で貫通しており、この折曲周壁323が第2球抜ボタン421部分からの不正具の侵入を防止する構造となっている。なお、折曲周壁323の上部であって前面カバー部304の裏面には、第2球抜リンクユニット420の一部を構成する押圧揺動部材423の揺動軸425(図68参照)を軸支する軸受支持片324(図72参照)が突設されている。また、前面カバー部304の底面中央には、前記第1球抜ボタン316及び第2球抜ボタン421を操作したときに球抜きされた球を皿ユニット300の外部に排出するための球排出口325が形成され、その球排出口325の斜め前方に前記操作ボタンユニット329を取り付けるための締具挿入穴328が形成されている。なお、本実施形態において、第1球抜ボタン316と第2球抜ボタン421の2つの球抜ボタン316,421を設けたのは、第1球抜ボタン316の操作によって、皿体380の貯留部381及び誘導通路部382に貯留されているすべての球を球抜きすることができるものの、その球抜動作は、誘導通路部382で一列状に整列された球を球抜するために多少時間がかかるのに対し、第2球抜ボタン421の操作によって、皿体380の貯留部381から上流側の球を径の大きな第2球抜開口392から素早く球抜することができるため、球抜時間を短くすることができる。このため、遊技者が球抜きにかける時間の長短を選択することができるものである。また、遊技中に大当りとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる満タンスイッチ916(図131参照)が機能して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当り中であるにもかかわらず遊技が継続できなくなるおそれがあり、このような場合に、第2球抜ボタン421の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当り中の遊技を継続することができるようになっている。
以上説明したユニット枠301の内部に取り付けられる下部スピーカユニット340について主として図57乃至図61を参照して説明する。図59及び図60に示すように、下部スピーカユニット340は、スピーカボックス本体341と、該スピーカボックス本体341の内部に固定される左右のスピーカ351と、該スピーカ351を取り付けるためのスピーカ取付部材352と、それぞれのスピーカ351の裏面側でスピーカボックス本体341の裏面を閉塞するスピーカ蓋板354,356と、から構成されている。
スピーカボックス本体341は、図57(B),(C)に示すように、左右2つのスピーカ351を取り付けるためのエンクロージャ空間342(図60参照)が離れて合成樹脂によって形成され、そのエンクロージャ空間342の間には、所定幅の球抜通路前樋347が一体的に形成されている。球抜通路前樋347の途中には、誘導樋348が後方に向って突設され、後述する皿蓋体450に形成される球抜通路後樋453との間で前記球排出口325に連通する球抜通路を構成している。なお、球抜通路前樋347の上部及び側方には、皿蓋体450を取り付けるための取付ボス349が後方に向って突設されている。また、エンクロージャ空間342の前方部分は、平面視が円弧状で且つ正面視で前方に突出した三角形状の突出空間となっており、その突出空間にスピーカ開口343が開設されている。このスピーカ開口343には、スピーカ351のスピーカコーンが臨むようになっている。また、三角形状の突出空間には、スピーカ開口343の外側にスピーカダクト344が形成されている。このスピーカダクト344は、図60に示すように、後方に向って筒状に形成され、その後端口が図61(B)に示すスピーカ蓋体354,356の前面側に一体的に形成されるスピーカダクト358の接続口360に接続されるようになっている。
また、エンクロージャ空間342の内部には、スピーカ開口343の周囲に複数(図示の場合は3個)の取付ボス345が適宜間隔をおいて取り付けられ、その取付ボス345にスピーカ351が環状のスピーカ取付部材352によって取り付けられている。具体的には、スピーカ351の円筒状のヨーク部を貫通してコーン支持部に嵌合するスピーカ取付部材352の環状部に取付片部353が外側に突設され、その取付片部353を取付ボス345に一致させて図示しないビスで止着することによりスピーカ351を取り付けることができる。この場合、スピーカ351のスピーカコーンの向きは、斜め状に形成されるスピーカ開口343と平行な外側に向いた状態に取り付けられている。なお、スピーカボックス本体341の両端上下には、下部スピーカユニット340をユニット枠301に取り付けるための取付片350が外側に向って突設されている。
上記のしたようにスピーカ351を取り付けた状態でスピーカボックス本体341の裏面には、スピーカ蓋板354,356が取り付けられる。即ち、スピーカ蓋板354,356は、平板状に形成され、それぞれの前面に角筒状のスピーカダクト358が形成されている。このスピーカダクト358は、図59に示すように、スピーカ蓋体354,356の中程から底辺に沿って外側に向って横方向に形成され、その端部から上方に向って直角状に曲折されており、その上端前面に円形状の接続口360が穿設形成されている。また、このスピーカダクト358の下辺の横向きの部分の底面及び内側面が開放された状態となっているが、スピーカ蓋板354,356をスピーカボックス本体341に取り付けた状態で横向き部分の底面がエンクロージャ空間342を構成するスピーカボックス本体341の内周面によって閉塞されるため、下辺の横向き部分の内側面がダクト入口359となる。したがって、スピーカ蓋板354,356をスピーカボックス本体341に取り付けた状態では、図61(B)に示すように(この図では一方のスピーカダクト344,358について説明しているが、他方のスピーカダクト344,358についても同じである。)、ダクト入口359がエンクロージャ空間342と連通し、そのダクト入口359が筒状のスピーカダクト344,358を介して外部と連通した状態となる。このため本実施形態における下部スピーカユニット340は、スピーカダクト344,358によりバスレフ方式のスピーカシステムとすることができ、優れた低音域の音を明瞭に外部に向けて発生することができる。なお、低音域の音は、高音域の音に比べて指向性が低いため、本実施形態のようにスピーカ351のスピーカコーンが外側を向いていても音の聞き取り度合いに悪影響を及ぼすことは少ない。
また、本実施形態におけるスピーカ蓋板354,356には、それぞれの上部に凹部355,357が形成されている。正面から向って左側のスピーカ蓋板354に形成される凹部355は、下部スピーカユニット340の上部に次に説明する皿体380の第2球抜通路部396が位置するため、この第2球抜通路部396との接触を避けるために形成される皿体逃げ凹部355であり、正面から向って右側のスピーカ蓋体356に形成される凹部357は、皿体380の影響を僅かに受けるものの、むしろ左右のエンクロージャ空間342の空間容積を一致させるために形成される調整凹部357となっている。つまり、左側のエンクロージャ空間342が皿体逃げ凹部355の影響により小さくなっているが、そのエンクロージャ空間342の空間容積と右側のエンクロージャ空間342の空間容積とを一致させために調整凹部357が形成されるものである。このように、左右のエンクロージャ空間342の空間容積を一致させることにより、左右のスピーカ351から同質の音を発生することができる。なお、スピーカ蓋板354,356は、隅角部に形成される取付穴361をスピーカボックス本体341に形成される取付部346(図60参照)に一致させて図示しないビスを螺着することによりスピーカボックス本体341に固定することができる。
また、上記のように組付け構成される下部スピーカユニット340をユニット枠301に取り付けるには、スピーカボックス本体341の四隅に突設される取付片350をユニット枠301の内部裏面に形成される取付ボス(図示しない)に取り付けることによりユニット枠301に組み付けられるが、この組み付けた状態においては、図24に示すように、スピーカ351のスピーカコーンが外側に向いているのに対し、エンクロージャ空間342を構成する後壁を構成するスピーカ蓋板354,356が正面を向いている。つまり、スピーカ351のスピーカコーンに対してエンクロージャ空間342を構成する後壁が平行状ではなく斜めに対向する位置となっている。このように配置することにより、スピーカ351のスピーカコーンの後方に発生する音波をエンクロージャ空間342を構成する壁面で乱反射させ易くして、スピーカも正面を向けられ且つスピーカのスピーカコーンと後壁とが平行状に配置された場合に発生しやすい定在波の発生を抑制し、特定の周波数の音が強調されたり弱められたりしてしまうことを防止している。また、スピーカ351をエンクロージャ空間342内に斜めに配置することにより、限られたユニット枠301の内部空間内に比較的寸法の大きなスピーカ351(一般的にスピーカユニットと言われている。)を配置することができる。更に、本実施形態における皿ユニット300は、扉枠5に一つだけ設けられているため、従来の上皿と下皿とに分けて設けられたパチンコ遊技機と比較して皿ユニット300の外殻を構成するユニット枠301の内部空間を極めて大きく形成することができ、その大きなユニット枠301の内部空間に、左右一対のスピーカ351を別々に内蔵する左右のエンクロージャ空間342が形成された下部スピーカユニット340が内蔵され、しかもそのエンクロージャ空間342を形成する際に、皿ユニット300の内部空間において干渉し得る第2球抜通路部396を避けるように皿体逃げ凹部355を形成したので、エンクロージャ空間342が皿ユニット300の内部空間で最大となるように下部スピーカユニット340を構成することができる。そして、スピーカ351が収納固定され且つ内部にスピーカダクトが形成されるエンクロージャ空間342の容積を大きく形成することができるため、低音域の音を効果的に発生することができる。
次に、主として図62乃至図65を参照して皿体380について説明する。皿体380は、前述したようにユニット枠301の皿体上面開口部306に皿体380の上面が臨み、且つ上記した下部スピーカユニット340の上部に位置するように設けられるものである。そして、皿体380は、図62に示すように、その上面一側に後述する賞球ユニット800から払いだされた球を貯留する半楕円形状の貯留部381が形成され、該貯留部381に連続して貯留された球を一列状に整列する誘導通路部382を有するように合成樹脂で一体的に成形される。誘導通路部382の下流端は、屈曲通路部383で屈曲されて誘導通路部382と逆方向に形成される第1球抜通路部384となっている。第1球抜通路部384は、皿体380のほぼ中程下方にその出口が形成され、その出口が後述する皿蓋体450の球抜通路後樋453の上誘導樋454のやや上部に臨んでいる。また、屈曲通路部383には、前述した第1球抜ボタン316によって作動されるスライド弁385が設けられている。このスライド弁385は、前述したように皿体380の他端側に回動軸387によって回動自在に軸支される回動部材386に連結されている。回動部材386には、回動部材386に形成されるバネ係止部388と皿体380に形成されるバネ係止部390との間に差し渡されるバネ389によって常にスライド弁385が屈曲通路部383を閉塞する方向に付勢されている。
また、上記した貯留部381から誘導通路部382の境目の底面が段差部391となっており、その段差部391の下流側に球の直径の約3倍の径寸法の半円形状の第2球抜開口392が形成され、その第2球抜開口392に第2球抜弁398が貯留部381の裏面から段差部391を利用して出没自在に設けられている。この第2球抜弁398は、図66及び図68に示すように、皿体380の裏面側に取り付けられる第2球抜ユニット393に一体的に組み込まれるものである。ここで第2球抜ユニット393について説明すると、第2球抜ユニット393は、上面が開放した断面コ字状の通路主体394と該通路主体394の上面を被覆する通路カバー体395とによって形成される断面ロ字状の第2球抜通路部396が皿体380の裏面に固定されていることにより構成されている。また、通路カバー体395の上流側であって該通路カバー体395と皿体380との間には、半円形状の第2球抜弁398の後端に一体的に連結される連結片399が通路カバー体395の上面に軸支される支軸400によって揺動自在に設けられている。連結片399の第2球抜弁寄りに形成されるバネ係止部402と通路カバー体395に形成されるバネ係止部404との間にバネ403が差し渡され、常に第2球抜弁398が第2球抜開口392を閉塞する方向に付勢している。なお、通路カバー体395には、皿体380の第2球抜開口392に対応する下方位置に半円形状の第2球抜連通口397(図70参照)が形成されている。したがって、第2球抜弁398は、皿体380の第2球抜開口392と第2球抜連通口397との間を閉塞したり開放したりするものである。なお、連結片399の他端には係合ピン401が下向きに突設されている。そして、この係合ピン401が第2球抜ボタン421の球抜き動作を伝達する第2球抜リンクユニット420の係合凹部443に係合するようになっている。
ところで、第2球抜ユニット393の通路主体394の奥側側壁に第2球抜通路部396と連通する長方形状の側壁開口405が開設され、該側壁開口405は、後述するように皿蓋体450の開口蓋取付窓452に着脱自在に取り付けられる視認窓407が形成された側面開口蓋406によって閉塞されるようになっている。なお、皿体380の一端部と他端部であって貯留部381の下方には、皿ユニット300内に設けられる配線を整理するための配線処理用爪410が形成されている。また、図62〜図65及び図68に示す側面開口蓋406(二点鎖線で示す)は、該側面開口蓋406が皿蓋体450の開口蓋取付窓452に取り付けられた状態で側壁開口405を閉塞している状態を想像線で示すものである。
上記のように構成される皿体380は、該皿体380に形成される取付部(図示しない)をユニット枠301の空間内部に突設される取付ボス(図示しない)に止着することにより、ユニット枠301に取り付けることができる。そして、皿体380をユニット枠301に取り付けた状態において、第1球抜通路部384と下部スピーカユニット340の調整凹部357との関係は、図65に示すように、第1球抜通路部384の下面の一部が調整凹部357とほぼ接した状態となっているが、第2球抜通路部396と皿体逃げ凹部355との関係は、図65及び図52に示すように、接することなく空間が形成されている。これは、第2球抜通路部396による球抜き動作が大当り等の遊技の継続中であって下部スピーカユニット340による効果音が出力されている場合が多く、効果音が出力されている最中に第2球抜通路部396を転動する球の振動によって効果音が乱れたりしないようにする一方、第1球抜通路部384による球抜き動作が遊技終了時に行われて効果音が出力されていない場合が多いので、球抜き時による効果音への影響が少ないからという理由によるものである。もちろん、第1球抜通路部384による球抜き動作により球抜きされる球数が少ない場合が多いということも理由の一つである。なお、第1球抜通路部384と下部スピーカユニット340の調整凹部357とが接しないように構成しても良い。
次に、第2球抜弁398に第2球抜ボタン421の球抜き動作を伝達する第2球抜リンクユニット420について図66乃至図70、及び図72を参照して説明する。第2球抜リンクユニット420は、第2球抜ボタン421と、該第2球抜ボタン421が係止されて揺動する押圧揺動部材423と、該押圧揺動部材423の押圧動作を前記第2球抜弁398の球抜き揺動動作として伝達するためにリンク部材取付板428に取り付けられる第1リンク435及び第2リンク440と、から構成されている。以下、第2球抜リンクユニット420を構成する各部材について順次説明する。
第2球抜ボタン421は、前述したように皿ユニット300のユニット枠301の前面カバー部304の中央下部に開設される第2球抜ボタン用開口322に臨ませて取り付けられるものであるが、図72(A)に示すように、第2球抜ボタン421は、第2球抜ボタン用開口322の前方から差し込むようになっている。第2球抜ボタン421には、図68に示すように当該第2球抜ボタン421の内部に後方に向って係止爪422が突設されており、この係止爪422がユニット枠301の裏面中央に形成される軸受支持片324(図72(A)参照)に軸支される押圧揺動部材423の下部筒部424に係合する。第2球抜ボタン421と押圧揺動部材423とが係合連結した状態は、図53に示すように、第2球抜ボタン421の外周が第2球抜ボタン用開口322に周接し、第2球抜ボタン用開口322の折曲周壁323によって形成される開口に押圧揺動部材423の下部筒部424が周接するようになっている。このため、第2球抜ボタン421と第2球抜ボタン用開口322との隙間からピアノ線等の不正具を侵入させても、不正具の先端が折曲周壁323に当接してそれ以上内部に進めようとすれば、折曲周壁323によって形成される開口と押圧揺動部材423の下部筒部424との間に不正具を通す技術が必要となり、極めて困難である。仮に折曲周壁323によって形成される開口と押圧揺動部材423の下部筒部424との間を上手く通したとしても、図53に示すように、その通した先が後に説明するリンク部材取付板428によって覆われているので、第2球抜ボタン421と第2球抜ボタン用開口322との隙間からピアノ線等の不正具を侵入させて皿ユニット300の内部に到達させることは困難である。
ところで、ユニット枠301の裏面中央に形成される軸受支持片324に軸支される押圧揺動部材423は、図68に示すように、上端に水平状の揺動軸425が形成され、その揺動軸425から下方に板状部が垂下し、その板状部の下方に楕円形状の下部筒部424が形成されている。また、下部筒部424には、後方に向って押圧当接突片427が突設されている。
上記したユニット枠301の裏面中央に形成される軸受支持片324(図72(A)参照)に軸支された押圧揺動部材423の後面を覆うように、第1リンク435及び第2リンク440を予め組み込んだリンク部材取付板428が取り付けられる。リンク部材取付板428は、図69(A)に示すように、方形状の合成樹脂製平板の裏面一側の上端から下端にかけて一対の間隔保持突片429が突設され、その間隔保持突片429の側方に垂直状に配置される第1リンク435の上下端を保持するための第1リンク上保持部430及び第1リンク下保持部431が一体的に突設されている。また、リンク部材取付板428には、前記第1リンク上保持部430の側方に水平状に配置される第2リンク440を軸支するための第2リンク軸支部432が突設されている。第1リンク上保持部430は、図68に示すように、第1リンク435の上端部の左右及び上端を挟持するように突設され、第1リンク下保持部431は、第1リンク435の下端部の左右及び下端を挟持するように突設されている。第2リンク軸支部432は、第2リンク440の中程より少しずれた位置に固定される軸ピン441の上端と下端とを挟持するように突設されている。なお、第2リンク軸支部432を横切るように逃げ用凹部434が凹設され、第2リンク440の揺動時における動作を邪魔しないようになっている。また、第1リンク下保持部431と間隔保持突片429との間には、第1リンク435の下端に固定される当接突片436に突設される当接突起437が貫通移動し得る当接用開口433が開設されている。
上記したリンク部材取付板428の第1リンク上保持部430及び第1リンク下保持部431に保持される第1リンク435は、図68及び図69(B)に示すように、円柱棒状の下端にその一側に向って延設される当接突片436が嵌着され、上端にその他側に向って延設される係合突片438が嵌着されている。当接突片436には、図70に示す当接突起437が前方に向って突設され、係合突片438には、係合ピン439が上方に向って突設されている。当接突起437は、前記リンク部材取付板428に開設された当接用開口433内に進退しえるものであり、前記押圧揺動部材423の押圧当接突片427と当接するものである。また、係合ピン439は、第2リンク440の一端部に形成される係合長穴442に係合するものである。
一方、リンク部材取付板428の第2リンク軸支部432に軸支される第2リンク440は、図68及び図69(B)に示すように、水平棒状の一端部に第1リンク435の係合ピン439と係合する係合長穴442が形成され、他端部に後方が開放した箱状の係合凹部443が形成されている。この係合凹部443には、第2球抜弁398の連結片399の末端に形成された前記係合ピン401を受け入れて係合するようになっている。
リンク部材取付板428の後面側の構成は上記した通りであるが、該リンク部材取付板428を皿ユニット300の裏面側に取り付けたときには、リンク部材取付板428の前方に前記押圧揺動部材423が自由に揺動できる揺動空間が形成されている。
しかして、上記した第2球抜ユニット393を有する皿体380及び第2球抜リンクユニット420が皿ユニット300のユニット枠301に取り付けられた状態において、通常の状態では、図70(A)に示すように、第2球抜弁398が第2球抜開口392と第2球抜連通口397との間に挿入されてその連通状態を閉塞するようにバネ403によって付勢されている。このとき連結片399の末端に突設される係合ピン401は時計回転方向に付勢された位置となっているので、この係合ピン401と係合する係合凹部443を有する第2リンク440は、軸ピン441を中心として反時計回転方向に付勢された状態で停止している。すると、第2リンク440の他端に形成される係合長穴442と第1リンク435の係合ピン439との係合により、第1リンク435が時計回転方向に付勢されるので、第1リンク435の当接突片436の前方に突設される当接突起437がリンク部材取付板428に開設された当接用開口433から前方に進入し押圧揺動部材423の押圧当接突片427と当接して押圧揺動部材423の下端の下部筒部424が前方に向って付勢された状態となっている。このとき、当然のことながら、押圧揺動部材423の下部筒部424に係合固定されている第2球抜ボタン421も前方に向って付勢された状態となっている。
これに対し、第2球抜ボタン421を後方に向って遊技者が押圧すると、図70(B)に示すように、押圧揺動部材423の下部筒部424が後方に向って揺動されるので、押圧当接突片427が当接突起437を押圧し第1リンク435を反時計回転方向に回動させる。すると第1リンク435の係合ピン439との係合により第2リンク440が時計回転方向に回動するので、係合凹部443が係合ピン401を押圧して連結片399をバネ403の付勢力に抗して反時計回転方向に回動させ、これによって第2球抜弁398が第2球抜連通口397の上面から退避し、皿体380に形成された第2球抜開口392と第2球抜連通口397とを連通させて皿体380の貯留部381に貯留された球を第2球抜ユニット393に形成される第2球抜通路部396に導く。第2球抜通路部396に導かれた球は、次に説明する皿蓋板450の前面側に形成される球抜通路後樋453の上誘導樋454のやや上部側に放出され、最終的にユニット枠301の底面中央に形成される球排出口325からパチンコ遊技機1の外部(例えば、パチンコ島台のカウンターに載置される玉箱等)に玉抜きされるようになっている(図52参照)。
次に、皿ユニット300のユニット枠301の裏面を閉塞する皿蓋体450の構成について図55及び図56を参照して説明する。皿蓋体450は、ユニット枠301の裏面のほぼ全域を閉塞するように長方形状の平板として合成樹脂によって成形され、その前面側のほぼ中央に球抜通路後樋453が一体的に突設形成されている。球抜通路後樋453には、上下に球を前方に誘導する湾曲状の上誘導樋454と下誘導樋455とが形成され、皿蓋体450をユニット枠301の裏面に取り付けた状態において、図52に示すように、下部スピーカユニット340のスピーカボックス本体341に形成される球抜通路前樋347と対面して皿内球抜通路を構成しているものである。このとき、球抜通路前樋347に形成される誘導樋348が球抜通路後樋453の上誘導樋454と下誘導樋455との間に位置するようになっているので、皿内球抜通路は蛇行状に形成されることとなり、球抜きされた球が勢いを弱めながら球排出口325から外部に排出されるようになっている。
また、皿蓋体450には、上記した球抜通路後樋453の上部側方に開口蓋取付窓452が開設され、また、一端側(軸支側)上部裏面に四角筒状の賞球連絡樋451が突設されている。賞球連絡樋451は、皿ユニット300を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、扉枠本体100の軸支側下部に形成された賞球通過口103(図31参照)を貫通して扉枠本体100の裏面側にまで貫通するものであり、本体枠3に対して扉枠5を閉じた状態で本体枠3に形成される満タンユニット900の前方誘導通路920の出口921と重合状に対面するものである。また、開口蓋取付窓452は、皿体380の第2球抜通路部396の側壁開口405を閉塞する側面開口蓋406を着脱自在に取り付けるための開口であり、扉枠本体100に形成される蓋用開口105に対応する位置に設けられるものである。側面開口蓋406の取付構造を具体的に説明すると、側面開口蓋406の長手方向一端部に係合突片408が突設され、長手方向他端部に係合弾性片409が形成されているので、係合突片408を開口蓋取付窓452の一側縁の内側に係合させ、係合弾性片409を開口蓋取付窓452の他側縁の内側に弾性係合させることにより側面開口蓋406を開口蓋取付窓452に取り付け、取り外す場合には、まず係合弾性片409を弾性変形させて開口蓋取付窓452の他側縁との係合を解除して引き出すことにより係合突片408と開口蓋取付窓452の一側縁との係合を簡単に解除することができる。この側面開口蓋406は、第2球抜弁398を開放して異物を第2球抜通路部396に詰めるイタズラをされた場合等に扉枠5を開放することにより、異物を簡単に取り出すことができるように設けられているものである。さらに、皿蓋体450には、図56に示すように、前記球抜通路後樋453の側方に案内穴456が形成されている。この案内穴456は、図24に示すように、皿ユニット300を扉枠本体100の表面に取り付ける際に、その取付位置を正確に行うために扉枠本体100の板部のほぼ中央に前方に向って突設される前記係合突起111が挿入されるものである。
以上、ハンドル装置460を除く皿ユニット300に係る構成について説明してきたが、上記のように構成される皿ユニット300の組付け構造について図72乃至図76を参照して説明する。最初に、図72(A)に示すように、ユニット枠301の裏面中央に形成される軸受支持片324に押圧揺動部材423の揺動軸425を嵌合支持し、その後、ユニット枠301の前方から第2球抜ボタン用開口322に第2球抜ボタン421を挿入して係止爪422を押圧揺動部材423の下部筒部424に係止する。その状態で図72(B)に示すように、リンク部材取付板428を所定の位置に取り付けて押圧揺動部材423の押圧当接突片427と第1リンク435の当接突起437とを当接させる。次いで、図73(A)に示すように下部スピーカユニット340をユニット枠301の裏面側から所定の位置に取り付け、さらに図73(B)に示すように、皿体380をユニット枠301の裏面側から下部スピーカユニット340の上部の所定位置に取り付ける。この際、第2リンク440の係合凹部443が後方に向って開放した状態となっているため、皿体380に設けられる第2球抜ユニット393の連結片399の末端下部に突設される係合ピン401が、皿体380をユニット枠301の裏面側から所定の位置に取り付けるだけで自然に係合した状態となる。このため、本実施形態においては、ユニット枠301に押圧揺動部材423、第2球抜ボタン421、リンク部材取付板428、皿体380の順に取り付けるだけで皿ユニット300の前面下部に設けられる第2球抜ボタン421と皿体380に設けられる第2球抜弁398との連携を自然に行うことができる。
ユニット枠301に皿体380を取り付けた後には、図74(A)に示すように、皿蓋体450をユニット枠301の裏面から固定することにより、図74(B)に示すように、ユニット枠301への裏面側からの作業は終了する。次いで、図75(A),(B)に示すように、コネクタ312が設けられる配線を引き出して操作ボタンユニット329のコネクタ333と接続した後、操作ボタンユニット用凹空間部307に操作ボタンユニット329を上方から挿入しつつ係合突片332と係合穴315とを係合させ且つ操作ボタンユニット329のコネクタ333とコネクタ312を配線収納開口313に収納し、その後、図54に示すように、前面カバー部304の底面部に形成される締具挿入穴328からネジ334をドライバー工具335によって差し込み当該ネジ334をネジ止め部314及び固定ネジ穴331に螺着することにより操作ボタンユニット329を取り外しできないように固定することができる。そして、上記のように組み付けた皿ユニット300を扉枠本体100の下部の板部に取り付けることにより、皿ユニット300を備えた扉枠5が完成する。
以上、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の扉枠5の構成について説明してきたが、最後に図77乃至図87を参照して、本実施形態に係るパチンコ遊技機1の扉枠5の特徴的な構成について説明する。
図78、図80、及び図87は、それぞれ図77のA−A、C−C、J−Jで切断した断面図であり、いずれもパチンコ遊技機1の上側辺部の断面図である。そして、これらの断面図に現われる構成において特徴的なのは、扉枠5の上部防犯二重溝581に、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金211の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片215,216がそれぞれ挿入されるようになっている点である。つまり、本実施形態に係るパチンコ遊技機1における扉枠5と本体枠3との上側辺部における防犯構造が二重の防犯構造となってピアノ線等の不正具を挿入する不正行為の防止が図られている点である。また、図87に示すように、上部の左右のスピーカ163に対応する位置の遊技盤4にスピーカ用切欠部612が形成されているので、スピーカ163から発せられる音が本体枠3の裏面側の側面壁540〜543によって形成される空間及びカバー体1250の放熱穴を介してパチンコ遊技機1の裏面にも通るようになっている。即ち、開放型のスピーカシステムを構成するものである。このため、上部の左右のスピーカ163から発せられる主として中高音域の音として、スピーカコーン164の振動によって前から発せられる音と後ろから発せられる音とが干渉せず、クリアな中高音域の音を遊技者に向けて発することができる。特に、本実施形態においては、上部の左右のスピーカ163によってクリアな中高音域の音を発生し、下部の下部スピーカユニット340に設けられるスピーカ351によってバスレフ型のスピーカシステムとして優れた低音域の音を明瞭に外部に向けて発生することができる。なお、本実施形態においては、上部のスピーカ163と下部のスピーカ351とは、同じ型番の同じスピーカ(フルレンジスピーカ)を用いているが、上部のスピーカ163を収納する構造(開放型)と、下部のスピーカ351を収納する構造(バスレフ型)とを違えることにより、上部のスピーカ163を中高音用として使用し、下部のスピーカ351を低音用として使用している点も特徴的なものである。
図82、及び図84は、それぞれ図77のE−E、G−Gで切断した断面図であり、いずれもパチンコ遊技機1の軸支側辺部の断面図である。そして、これらの断面図に現われる構成において特徴的なことは、軸支側辺部の中程の断面図を示す図82においては、軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217は、そのL字状に曲がった先端部が本体枠3の軸支側の延設された軸支辺部587の内側に当接するようになっており、扉枠5と本体枠3との当接面からピアノ線等の不正具が挿入された場合に、不正具の先端が軸支側L字状折曲突片217と軸支辺部587の内側の当接部分を容易にすり抜けないようにしているが、軸支側の補強板金162による防犯構造が他の辺と異なり二重構造にし難く又は最も不正行為を行い難い辺であることに鑑み、全体として手薄な防犯構造となっている。反面その構造に着目して不正行為をなされる可能性もある。そこで、本実施形態においては、軸支側の中間位置に防犯用突出板部260を突設させて飾り枠601の前面を覆うことにより、軸支側L字状折曲突片217と軸支辺部587との隙間を無理やり侵入してきた不正具を飾り枠601から遊技盤4の表面に到達させないように飾り枠601の前面を覆うようにし、軸支側の防犯機能の向上を図っている。また、軸支側の中央より下方の断面図を示す図84においては、上記と同様に、軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217は、そのL字状に曲がった先端部が本体枠3の軸支側の延設された軸支辺部587の内側に当接するようになっており、扉枠5と本体枠3との当接面からピアノ線等の不正具が挿入された場合に、不正具の先端が軸支側L字状折曲突片217と軸支辺部587の内側の当接部分を容易にすり抜けないようにしているものの、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起608と防犯後端部突片275との重合構造によって飾り枠601の外滑走面602への不正具の侵入が阻止され、さらに飾り枠601の内滑走面603と防犯後突片274との重合構造によって遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。
図83、図85、及び図86は、それぞれ図77のF−F、H−H、I−Iで切断した断面図であり、いずれもパチンコ遊技機1の開放側辺部の断面図である。そして、これらの断面図に現われる構成において特徴的なことは、開放側補強板金213の開放側外折曲突片223が本体枠3の側部防犯溝582に挿入され、開放側内折曲突片225が本体枠3の防犯凹部583に挿入されることにより、二重の防犯構造を有して不正具の侵入を防止している。しかし、開放側外折曲突片223と側部防犯溝582とは、凹凸係合するものの、開放側内折曲突片225と防犯凹部583とは、完全な凹凸係合とはいえないため、最初の凹凸係合部分を突破されたときに次の不完全な凹凸係合を簡単に突破される可能性もあるところ、本実施形態においては、図83及び図85に示すように、開放側内折曲突片225が防犯凹部583内に侵入した状態で開放側内折曲突片225の先端がガラスユニット250よりも遊技盤4に近い位置であって遊技盤4の飾り枠601の前端面からやや遊技盤4寄りの位置まで侵入される長さに設定されているため、仮に開放側外折曲突片223と側部防犯溝582との凹凸係合部をすり抜けて不正具が侵入したとしても、開放側内折曲突片225によって案内される不正具の先端がガラスユニット250と遊技盤4の飾り枠601との間から遊技盤4の表面に侵入することはない。また、本実施形態においては、図85及び図86に示すように、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、開放側補強板金213の二重の折曲突片223,225による防犯構造に加えて、レール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。
図79、及び図81は、それぞれ図77のB−B、D−Dで切断した断面図であり、いずれもパチンコ遊技機1の下側辺部の断面図である。そして、これらの断面図に現われる構成において特徴的なことは、図79に示すように、扉枠本体100の扉枠突片112,113と本体枠3の係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成し、扉枠5の裏面下部に取り付けられる装着台280に形成される防犯突片285と発射レール515及び遊技盤4に取り付けられる外滑走面602の下方空間である防犯空間586とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成しており、これら二重の防犯構造により不正具の侵入を防止することができる点である。さらに、図79及び図81に示すように、ガラスユニット250を扉枠5に装着したときに、ユニット枠251の底辺部分の係合溝261に下側補強板金214の垂直折曲突片231の上部が侵入し、その垂直折曲突片231の上端部分とガラス板262の下端部分とが前方から見て重複するような位置関係を有するように係合溝261の深さを形成しているので、例えば、皿ユニット300の上端部に熱した棒状金属を押し当てて合成樹脂製のユニット枠301、扉枠本体100、及びユニット枠251に穴をあけるという不正行為に対し、ユニット枠251部分において、熱に強いガラス板262と垂直折曲突片231とが重複しているので、穴をあけることができず、扉枠5の前面からの穴あけ不正行為を防止することができるものである。
<ハンドル装置>
次に、扉枠5の開放側下部の前記ハンドル取付穴321に取り付けられるハンドル装置460について、主として図88〜図94を参照して説明する。図88は、扉枠5の取り付けられるハンドル装置460の断面図であり、図89は、ハンドル装置460を構成する操作ハンドル部461とジョイントユニット480との関係を示す斜視図であり、図90は、操作ハンドル部461の分解斜視図であり、図91は、ジョイントユニット480の斜視図(A)、分解斜視図(B)であり、図92は、操作ハンドル部461とジョイントユニット480の動作を説明するための動作図であり、図93は、ハンドル装置460と本体枠3に設けられる打球発射装置650との関係を示す斜視図であり、図94は、ハンドル装置460と打球発射装置650とを連結する状態を説明するための断面図である。ハンドル装置460は、扉枠5の開放側下部前面に設けられる操作ハンドル部461と、該操作ハンドル部461に対応する扉枠5の裏面に組み付けられて操作ハンドル部461の回動操作に応じて回転する回転軸465と連携され且つ該回転軸465の回転運動をスライド運動に変化させるジョイントユニット480と、から構成されている。
まず、操作ハンドル部461は、図88に示すように、前記皿ユニット300のユニット枠301の開放側下部に形成されるハンドル取付穴321に挿入固定される。このハンドル取付穴321は、パチンコ遊技機1の上方から見た平面視で外側(右側)に向くように傾斜して形成されているため、ハンドル取付穴321に挿入固定される操作ハンドル部461も平面視で外側に傾斜(換言するならば、パチンコ遊技機1の前面垂直面に直交する線に対してその先端部がパチンコ遊技機の外側に向かうように傾斜している。)して扉枠5に取付固定されることになる。このように、操作ハンドル部461を平面視で外側に向けて傾斜させることにより、遊技者が操作ハンドル部461を握り易く、回動動作に違和感がなく回動操作が行いやすいという利点がある。そして、本実施形態においては、後述するように、操作ハンドル部461を傾斜設置しても、操作ハンドル部461の回転軸465の回転運動がスムーズに伝達されて打球発射装置650の弾発力を調整することができる構造が採用されている。なお、操作ハンドル部461のハンドル取付穴321への挿入後、ハンドル取付穴321と操作ハンドル部461(正確には、後握り部材463)とをビス等で連結して操作ハンドル部461がハンドル取付穴321から引き抜きできないようになっている。
また、操作ハンドル部461は、図90に示すように、前握り部材462と、後握り部材463と、前握り部材462と後握り部材463との間で回動自在に軸支される回動操作部材464と、該回動操作部材464にその一端部が固定される直線円柱状の回転軸465と、該回転軸465の他端部に固定されるカム466と、から構成されている。後握り部材463は、前記ハンドル取付穴321に嵌合される小径部と該小径部の前方の大径部とが一体的に形成され、その中心に回転軸465が貫通される軸貫通穴468が形成されている。回転軸465が軸貫通穴468に挿通される際には、軸受ブッシュ467が軸貫通穴468の後端に嵌めこまれ、その軸受ブッシュ467に回転軸465が挿通される。一方、軸受ブッシュ467を介して軸貫通穴468に貫通された回転軸465は、後握り部材463の前面側に固定される固定軸受部材473の軸受穴474を貫通して回転操作部材464の中心に形成される軸嵌合穴476に嵌合される。
また、後握り部材463の前面側には、タッチセンサ470、マイクロスイッチ472、フック478を固定するための突起や取付穴(共に図示しない)が設けられると共に、単発ボタン471が揺動自在に支持される揺動ピン(図示しない)が形成され、それらの突起や取付穴及び揺動ピンにタッチセンサ470、マイクロスイッチ472、フック478及び単発ボタン471が取り付けられている。そして、それらが取り付けられた状態でタッチセンサ470やマイクロスイッチ472からの配線がフック478で纏められて後握り部材463の軸貫通穴468の側方に形成される配線通し穴469、後述する配線通し筒部材498(図89参照)及び配線開口490(図91参照)から扉枠5の裏面に導き出されるようになっている。また、固定軸受部材473と回動操作部材464との間には、付勢スプリング475が回転軸465に周設されるように設けられ、この付勢スプリング475が回動操作部材464を常に元の位置に復帰させるようになっている。更に、回動操作部材464の軸嵌合穴476の外側にはスイッチ接触凸部477が突設され、回動操作部材464が付勢スプリング475の付勢力により元位置にある場合に、スイッチ接触凸部477がマイクロスイッチ472のアクチュエータに接触してマイクロスイッチ472をOFFとし、回動操作部材464が遊技者によって回動操作されるとスイッチ接触凸部477がマイクロスイッチ472のアクチュエータと離れてONとする。また、マイクロスイッチ472がONとなっている状態で単発ボタン471が揺動可能になるので、単発ボタン471を押圧することにより、マイクロスイッチ472のアクチュエータをOFF操作することができるようになっている。なお、回動操作部材464の外周表面には、導電性のメッキが施されており、遊技者が回動操作部材464に接触することによりタッチセンサ470が接触を検出するようになっている。そして、遊技者が回動操作部材464を回動してマイクロスイッチ472がONとなり且つタッチセンサ470が接触を検出しているときに打球発射装置650の後述する発射モータ695(図111参照)が回転駆動されるようになっている。
また、回転軸465の先端に固定されるカム466は、勾玉状に形成され、回転軸465の回転にしたがって後述するジョイントユニット480のスライド体483(図89及び図90参照)のカム当接部497を押圧して一方向にスライドさせるようになっている。そして、本実施形態においては、この回転軸465の先端に固定されるカム466とジョイントユニット480のスライド体483との連携構造によって前述したような操作ハンドル部461の平面視での傾斜状取付けが可能となっている。
そこで、次に操作ハンドル部461と連結されるハンドル装置460の他方の構成要素であるジョイントユニット480について説明する。ジョイントユニット480は、図91に示すように、収納体481と、該収納体481の内部に収納されて横方向にスライド可能なスライド体483と、該スライド体483が収納された状態で収納体481の前面を被覆するカバー体482と、から構成されている。
収納体481は、前面が開放した直方体の箱状に形成され、その後面にカム挿通開口484が開設されている。また、収納体481の上辺及び下辺には、ジョイントユニット480を扉板5の扉枠本体100のジョイントユニット装着凹部107に取り付けるための取付ボス穴485がそれぞれ2個ずつ外側に向かって突設形成され、左右の両辺にカバー体482を取り付けるための取付穴486が外側に向かって突設されている。更に、収納体481の上辺及び下辺の内側面には、スライド体483の上下辺の外側面と当接してスライド体483がスムーズに移動しえるようにするために円弧状の当接凸部487(図91(B)では下辺の当接凸部487だけを図示し、上辺の当接凸部487は図示省略されている。)が突設されている。
また、カバー体482は、後面が開放した直方体の箱状に形成され、その前面にスライド体483の前面に突設される円筒ボス状の案内突起494が挿入されてスライド体483の移動を案内する2つの案内横溝488と、スライド体483の前面に突設されるスライド突片492が挿通される挿通横穴489と、前記操作ハンドル部461の後握り部材463の後端に取り付けられて前記カム挿通開口484から挿入される配線通し筒部材498の後端部が臨む配線開口490と、が開設されている。また、カバー体482の左右側方には、収納体481の前記取付穴486に対応する取付穴491が形成され、両者の取付穴486,491とを対応させた状態でビス(図示しない)を止着することにより、カバー体482を収納体481に取り付けることができるようになっている。
更に、収納体481とカバー体482とによって形成される空間内に左右方向に移動可能に収納されるスライド体483は、収納体481よりも小さな後面が開放した直方体の箱状に形成され、その前面壁の前面には、前記案内横溝488に挿入される2つの案内突起494と、前記挿通横穴489に挿通されるスライド突片492が突設されている。スライド突片492は、薄板状に形成され、スライド時の進行方向が傾斜辺493となっている。また、スライド体483の前面壁には、前記2つの案内突起494の間に前記配線通し筒部材498が貫通する筒部材貫通開口495が穿設されている。この筒部材貫通開口495は、固定状態にある配線通し筒部材498がスライド体483のスライドを邪魔しないように横長な長方形状の開口とされている。一方、スライド体483の前面壁の裏面には、前記回転軸465の先端部に固定されるカム466が収納されるカム係合凹部496がリブによって逆L字形状に形成されている。そして、カム係合凹部496を形成するリブの一部の垂直部分がカム係合凹部496内に突出するように円弧状のリブとして形成され、その部分がカム466と当接するカム当接部497となっている。
以上説明した収納体481とスライド体483とカバー体482とを組み付けるには、収納体481にスライド体483を収納し、その状態でカバー体482を前方から被覆する。被覆する際には、案内突起494が案内横溝488に、スライド突片492が挿通横穴489に、それぞれ挿通するように被覆される。被覆した後には、取付穴491,486をビスで螺着することにより、スライド体483を内部に収納した状態でジョイントユニット480の組み付けが終了する。そして、上記のように組みつけられたジョイントユニット480を、図93に示すように、扉枠5の裏面の前記操作ハンドル部461の取付位置に対応して形成されるジョイントユニット装着凹部107(図32参照)に収納して取付ボス穴485をビス等で螺着してジョイントユニット480を扉枠5に取り付ける。
以上説明してきたように、操作ハンドル部461を扉枠5の前面側からハンドル取付穴321に挿通支持し、ジョイントユニット480を扉枠5の裏面側からジョイントユニット装着凹部107に取り付けることにより、図88に示すように、回転軸465の先端部に固定されるカム466がスライド体483のカム係合凹部496に収納されるようになっている。この場合、操作ハンドル部461が平面視で傾斜状に取り付けられることにより、カム466も扉枠5の垂直面に対して傾斜状となっているが、カム係合凹部496が前後方向に所定の空間幅を有しているので、傾斜したカム466の全体をカム係合凹部496の空間内に収納できるようになっている。また、その収納状態は、図92(A)に示すように、カム466の回転中心がカム当接部497の側方に位置し、勾玉状のカム466の先端がカム係合凹部496の下方空間内に位置するようになっている。
しかして、操作ハンドル部461の回動操作部材464を遊技者が回動操作すると、回転軸465が回動し、それにつれてカム466も回転するので、図92(B)に示すように、カム係合凹部496のカム当接部497とカム466の一側外形面(回転前方の外形面)との当接によってスライド体483が一方向(図92の場合には、図示の右側方向)にスライド移動する。つまり、回転軸465の回転運動がスライド体483のスライド運動に変換される。このため、図92(A)に示す初期状態(回動前)におけるカム466の回転中心とスライド体483のスライド突片492の進行方向の端辺との距離S1が、カム466の最大限の回転によって距離S1よりも大きな距離S2となる。つまり、スライド体483のスライド突片492が「S2−S1」の距離だけスライドすることになる。そして、ジョイントユニット480のスライド突片492のスライド移動が、図88、図93、図94に示すように、打球発射装置650のスライド部材710に伝達されて打球発射装置650の付勢バネ684(図111参照)の張力を調節し、もって打球槌687の付勢力の強弱を調整して遊技者の望む打球の弾発力を得ることができる。なお、ハンドル装置460と打球発射装置650との関係については、打球発射装置650についての説明の後で詳細に説明する。
なお、操作ハンドル部461の内部から配線通し穴469、配線通し筒部材498及び配線開口490を通って扉枠5の裏面に導出された配線は、扉枠5の裏面下辺に沿って軸支側に引き回され、その後、本体枠3の裏面側に取り付けられる基板ユニット1100に集約して取り付けられる払出制御基板1186の操作ハンドル用端子1195(図158参照)に接続されるようになっている。
〔本体枠〕
次に、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、打球発射装置650と、賞球を払い出すための賞球タンク720とタンクレール部材740と球通路ユニット770と賞球ユニット800と満タンユニット900と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う錠装置1000と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100と、後面開口580を覆うカバー体1250と、等の各種の部品が本体枠主体500に装着されることにより構成される本体枠3について、図面を参照して説明する。
まず、図95〜図103を参照して、上記した各種の部品が装着される本体枠主体500及び各種の部品が装着された本体枠3について説明する。図95は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の正面図であり、図96は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面図であり、図97は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の側面図であり、図98は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面から見た斜視図であり、図99は、部品を取り付けた本体枠3の前方から見た斜視図であり、図100は、部品を取り付けた本体枠3を外枠2に軸支した状態を前方から見た斜視図であり、図101は、部品を取り付けた本体枠3の背面図であり、図102は、部品を取り付けた本体枠3の背面から見た斜視図であり、図103は、パチンコ遊技機1の中程(遊技制御基板ボックス624部分)の水平線で切断したパチンコ遊技機の断面平面図である。
図95において、本体枠主体500の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具503及び下軸支金具509(共に図99参照)を取り付けるための軸支金具取付段部501,502が形成され、この軸支金具取付段部501,502に上軸支金具503及び下軸支金具509を取り付けた状態では、本体枠主体500の上辺及び側辺が上軸支金具503の上辺及び側辺とほぼ同一平面状となり、本体枠主体500の下辺及び側辺が下軸支金具509の下辺及び側辺とほぼ同一平面状となっている(図101参照)。ここで、上軸支金具503と下軸支金具509について図99と図101を参照して説明する。上軸支金具503は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその上端辺が前方に突出し、その前方に突出した上面に軸支ピン504が立設固定され、その軸支ピン504の側方に扉軸支穴505が穿設されている。一方、下軸支金具509は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその下端辺及びやや上部に2つの支持板506,507が一体的に突設されている。下方に位置する支持板506は、本体枠3を外枠2の下支持金具66に支持するための枠支持板506を構成するものであり、上方に位置する支持板507は、扉枠5の下軸支部220を本体枠3に支持するための扉支持板507を構成するものである。このため、枠支持板506に外枠2の下支持金具66の支持突起68を挿入するための軸支穴(図示しない)が形成され、扉支持板507に扉枠5の下軸支部220に突設される軸ピン221を挿入するための軸支穴508が穿設されている。
ところで、本体枠主体500は、正面から見た場合に、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部510(図99参照)となっており、その遊技盤設置凹部510の下方のやや奥まった領域が板部511となっている。また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部及び前面開放側辺部は、扉枠5の裏面と対面するように所定幅を有して形成されており、前面上辺部には、横方向に平行状に突設される突起によって上部防犯二重溝581が形成され、正面から見て右側の前面開放側辺部には、外側に側部防犯溝582が形成されると共に内側に後端が第1側面壁540に接続される傾斜面となっている内壁によって形成される防犯凹部583が形成され、正面から見て左側の前面軸支側辺部は、前面上辺部や前面開放側辺部と異なり扉枠5の裏面と対面する所定幅を有するように形成されていないが、本体枠主体500の前面軸支側辺部が前面上辺部や前面開放側面部に比べて前方への突出量が多い軸支辺部587となっている。
より詳細に説明すると、前面上辺部に形成される上部防犯二重溝581は、図78に示すように、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金211の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片215,216がそれぞれ挿入されるようになっているものである。また、前面開放側辺部に形成される側部防犯溝582及び防犯凹部583は、図83に示すように、扉枠5の開放部裏面に取付固定される開放側補強板金213の両長辺端を後方に向って折曲される開放側外折曲突片223及び開放側内折曲突片225がそれぞれ挿入されるようになっているものである。更に、前面軸支側辺部の軸支辺部587には、図82に示すように、扉枠5の軸支側裏面に取付固定される軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端部が当接するようになっている。そして、上記した構造によって扉枠5と本体枠3との当接面の隙間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を防止することができ、特に、最も不正行為が行われやすい開放側辺部や次いで不正行為が行われやすい上辺部における不正行為の防止をはかることができる構造となっている。もちろん、軸支側における軸支側補強板金212と軸支側L字状折曲突片217との当接による不正行為の防止も充分に機能するが、多くの場合、軸支側は、頑丈な支持金具35,66と軸支金具503,509とで本体枠3と扉枠5とが連結されているため、上辺部及び開放側辺部に比べて本体枠3と扉枠5との間に隙間が作り難い。このため、本実施形態においては、二重の防犯構造ではなく、一重の防犯構造としている。これらの点については、後に詳述する。
また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部、前面開放側辺部、及び前面軸支側辺部には、上記した構成以外に前面開放側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取り付けられる後述する錠装置1000に設けられる扉用フック部1041(図147参照)を貫通させて前方に飛び出させるための扉用フック穴549が開設されており、また、前面軸支側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部611と係合するための盤位置決め突起576が設けられている。更に、前面軸支側辺部の盤位置決め突起576のやや下方位置の内側前方面に、扉枠5を閉じた状態で軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端が挿入される上下2つの規制突起577が突設されている。この規制突起577の作用については前述した通りである。また、図95に示すように、開放側の平面部分と遊技盤設置凹部510との境目の上下に遊技盤4に設けられる遊技盤止め具614の端部が係合される盤止め具挿入穴578が形成されている。
次に、板部511の構成について図95乃至図100を参照して説明する。板部511の上面は、遊技盤4を載置するための遊技盤載置部512となっており、その遊技盤載置部512のほぼ中央に、当該載置部512に遊技盤4を載置したときに遊技盤4に形成されるアウト口606(図104参照)の下面を支持する通路支持突起513が突設されている。また、図95に示すように、板部511の前面の中央部から開放側の端部に向かってレール取付ボス514が所定間隔を置いて突設され、このレール取付ボス514に発射レール515(図99参照)がビス止め固定されている。また、発射レール515の先端位置に対応する板部511の前面には、レール接続部材516が突設され、遊技盤設置凹部510に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の内滑走面603の下流端である接続通路部609(図104参照)と隣接するようになっている。また、レール接続部材516の側方位置(発射レール515と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具519(図99参照)の上端部を取り付けるための固定具取付ボス517が突設され、その斜め下方にストッパー518が突設されている。即ち、遊技盤固定具519は、固定具取付ボス517を中心にして回転自在に設けられ、前記遊技盤載置部512に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具519を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。また、遊技盤を取り外す場合には、遊技盤固定具519を反時計方向に回して取り外すことにより、簡単に行うことができる。この場合、遊技盤固定具519はストッパー518により反時計方向の余分な回転ができないようになっている。
また、板部511の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部520が形成されており、この発射装置取付部520に本体枠主体500の裏面から打球発射装置650が固定されている。この点については、後に詳述する。上記した発射装置取付部520の前面壁部分には、前述したジョイントユニット480のスライド突片492と連携されるスライド部材710(図115参照)が収納されるハンドル連結窓522が形成され、該ハンドル連結窓522の隣接する位置に打球槌687の軸受689(図111参照)の端面が臨む軸用穴523が開設されている。また、発射装置取付部520の上壁部分には、打球発射装置650の打球槌687が上方に突出するための槌貫通開口521が切欠形成され、その槌貫通開口521の斜め上方の板部511の前面に錠装置1000のシリンダー錠1010が貫通するシリンダー錠貫通穴526が開設されている。
一方、板部511の裏面には、図96に示すように、軸支側の上部から板部511の中央部分に向けて延設された後下方に向かう球抜排出通路524が形成されている。この球抜排出通路524は、後述する球抜接続通路880(図99参照)から排出される球をパチンコ遊技機1の下方から島の内部に排出するためのものである。また、上述した発射装置取付部520の上方には、円柱状の案内突起525が後方に向かって突設され、この案内突起525に後述する基板ユニット1100の案内孔1212(図154参照)が差し込まれて基板ユニット1100の取付けを容易にしている。また、基板ユニット1100をビスで取り付けるための取付穴部527が板部511の左右上下に形成され、この取付穴部527に基板ユニット1100の取付片1122を対応させてビスで止着する。また、発射装置取付部520の凹状の内部には、打球発射装置650を取り付けるための発射装置取付ボス529が後方に向かって突設され、更に、開放側の最下端部には、図98に示すように、本体枠3を外枠2に対して閉じる際に、装飾カバー板15の上面に当接しながら本体枠3の閉止動作を案内するために先端が先細状で縦長形状の案内突片528が後方に向かって突設されている。
板部511には、以上説明した構成以外に、図98に示すように、軸支側の端部上面に前記球抜排出通路524の上流端の開口である球抜接続開口530が形成されている。この球抜接続開口530に球抜接続通路880の下流端が接続されるようになっている。また、球抜接続開口530に隣接する部分は、後に詳述する満タンユニット900(図99参照)を載置するための満タンユニット載置部531が板部511と直交するように水平状に形成され、その満タンユニット載置部531の前方部分に満タンユニット900の係合片924(図131参照)と係合するユニット係合溝532が形成されている。更に、図99に示すように、満タンユニット載置部531の前方の板部511の前面には、扉枠5の開放時に満タンユニット900の出口921から排出される賞球を堰き止める出口開閉装置579が設けられている。この出口開閉装置579については、詳細に説明しないが、扉枠5が閉じているときには、扉枠5の裏面に当接するレバーによって開閉板が下降した状態となっているが、扉板5が開放されるとレバーへの当接がなくなるため開閉板が上昇して出口921を閉塞するものである。このため、扉枠5の開放時においても満タンユニット900内に貯留された賞球が出口921から零れ落ちることがない。また、図99に示すように、板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている。この締結連杆534は、本体枠3からの遊技盤4の取り外しを防止するための機構である。
次に、遊技盤設置凹部510の構成について説明する。遊技盤設置凹部510は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第1側面壁540と、該第1側面壁540から後方に周設される第2側面壁541と、該第2側面壁541から後方に周設される第3側面壁542と、該第3側面壁542から後方に周設される第4側面壁543、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。なお、第1側面壁540〜第4側面壁543は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第1側面壁540から第4側面壁543に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図103参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第1側面壁540から第4側面壁543までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第4側面壁543の最後端部が外枠2の側枠板13の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第1側壁面190から第4側面壁543までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。それと同時に開放側の第1側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けを第1側面壁540の後端辺に設けられる錠取付穴547(図143参照)を利用して行うため、その錠取付穴547を形成するためにも開放側の第1側面壁540から第4側面壁543を傾斜段差状に形成したものである。更に、第1側面壁540〜第4側面壁543の段差の寸法も、第1側面壁540と第2側面壁541との段差は、後述する遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。もちろん、第2側面壁541〜第4側面壁543までは段差を形成することなく連続的に形成してもよい。
そして、上記した側面壁540〜543は、図97に示すように、それぞれ奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約135mmとなっている。特に、第1側面壁540の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第2側面壁541と第3側面壁542と第4側面壁543とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。つまり、第1側面壁540は、遊技盤4の厚さとほぼ同じ奥行寸法を有する前側面壁を構成し、第2側面壁541〜第4側面壁543は、遊技盤4の周辺部裏面と当接する段差部を有して第1側面壁540から後方に向かってほぼ当該第1側面壁540と平行状に延設され且つ遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁を構成するものである。特に、本実施形態の場合には、図5に示すように、第2側面壁541〜第4側面壁543のすべての部位の後方への突出量が、本体枠3の裏面側上部に固定される賞球タンク720の球を貯留する貯留部728の後面壁722とほぼ同じ位置となるように形成されている。これにより、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第2側面壁541と第3側面壁542と第4側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。
また、図96及び図98に示すように、第4側面壁543の後端辺からは背面から見てその左辺(開放側)、上辺及び右辺(軸支側)に、開放側後面壁544、上後面壁545及び後面壁としての軸支側後面壁546がそれぞれパチンコ機の正面と平行となるように内側に向かって突設されている。軸支側後面壁546は、その前面が平板状(図95参照)となっており、その後面に球払出機構を構成する後述の球通路ユニット770と賞球ユニット800とが着脱自在に取り付けられるようになっている。したがって、軸支側後面壁546の内側への突出幅寸法は、球通路ユニット770と賞球ユニット800とを取り付ける幅があれば充分である。また、上後面壁545は、その前面が平板状(図95参照)となっており、その後面に後述するタンクレール部材740が取り付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。したがって、上後面壁545の内側への突出幅は、傾斜状に取り付けられるタンクレール部材740の高さ幅寸法があれば充分である。更に、開放側後面壁544には、その前面が平板状(図95参照)となっており、その後面に後述するカバー体1250を軸支するカバー体支持筒部575が形成されている。したがって、開放側後面壁544の内側への突出幅寸法は、カバー体支持筒部575を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第4側面壁543の後端辺から内側に向かって突設される開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第2側面壁541と第3側面壁542と第4側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の内側は、後面開口580となっており、この後面開口580が後述するカバー体1250によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
次に、遊技盤設置凹部510の更に詳細な構成について説明すると、前述したように、開放側の平面部分には、錠装置1000の扉枠用フック部1041が貫通する扉用フック穴549が上中下の3箇所開設されているが、その上下の扉用フック穴549のさらに上中下に錠装置1000の後述する係止突起1004が係合される錠係止穴548(図96参照)が形成されている。また、開放側の第1側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けをビスで行うための錠取付穴547(図96参照)が第1側面壁540の後端部の上部と中程に形成されている。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させてビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、図98に示すように、第1側面壁540の上辺前方の左右には、本体枠3を外枠2に対して閉止する際に、外枠2の上枠板10の内周面と当接する案内円弧突起552が突設され、第1側面壁540の後端辺中央に後述する賞球タンク720の切欠部729と連通する逃げ凹部551が形成され、第1側面壁540と第2側面壁541と接続する垂直面にタンク取付溝550が形成されている。そして、このタンク取付溝550に賞球タンク720の取付鍔部733を取り付けたときには、図102に示すように、賞球タンク720の切欠部729が逃げ凹部551と連通して賞球タンク720内に貯留された球の球圧が増加したときに圧抜きして球詰まりが発生しないように機能する。また、賞球タンク720を本体枠3に取り付けたときには、平面視で賞球タンク720の正面側から見て奥側の後面壁722と第4側面壁543の後端辺がほぼ一致(図5参照)するようになっている。なお、上記した案内円弧突起552は、本体枠3の上辺を外枠2の上枠板10の内周面と当接させることにより、本体枠3を持ち上げて本体枠3の下辺と装飾カバー板15との間に隙間を形成し、その隙間から不正器具を挿入するような不正行為を防止するためのものである。
また、前述した上後面壁545には、タンクレール部材740を取り付けるためのレール係止溝553が後面開口580の開口縁に沿って形成されており、また、第4側面壁543と上後面壁545の屈曲部にレール係止溝554が形成されている。そして、これらレール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750(図119参照)を係止させることにより、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けることができる。また、タンクレール部材740を取り付けたときの下流側に対応する上後面壁545の上部には、レール掛止弾性片555が形成され、レール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750を係止させて、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けたときに、その係止状態が外れないようにレール掛止弾性片555がタンクレール部材740の下流側上端の上から当接するようになっている。タンクレール部材740を取り外すときには、レール掛止弾性片555を後方へ押圧しておいてからレール係止溝553,554と係止突片749,750との係止状態を解除すべくタンクレール部材740を上方に持ち上げればよい。また、レール掛止弾性片555の側方に逃げ穴556が穿設され、レール掛止弾性片555の下方にアース線接続具557形成されている。逃げ穴556は、タンクレール部材740に設けられる整列歯車747の軸ピン748の端部を逃がすために穿設されるものであり、また、アース接続具207は、タンクレール部材740の内部に貼着される金属製の導電板(図示しない)に接触していると共に、後述する電源基板1144に設けられるアース用コネクタ1148(図159参照)に接続される配線が接続されるものである。
また、軸支側後面壁546には、図96及び図98に示すように、軸支側後面壁546の左右両端に垂直状の立壁560を立設し、その立壁560の間に球通路ユニット770と賞球ユニット800とが取り付けられる。また、左右の立壁560の間の最上流部から中流部よりやや上方まで賞球案内突起561が屈曲状に突設されている。この賞球案内突起561は、軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように後方に向かって突設され、後述する球通路ユニット770を取り付けたときに、該球通路ユニット770の球落下通路772(図124参照)に対応するもので、賞球を一列状に誘導するものである。また、賞球案内突起561の左右には、球通路ユニット770をビスで止着するための通路ユニット取付ボス562、及び位置決めするための位置決めピン574が突設されると共に、後述する球切れスイッチ778(図124参照)に対面するスイッチ対応突起563が突設されている。通路ユニット取付ボス562及び位置決めピン574については、後に詳述する。
更に、左右の立壁560の中流部から下流部にかけて賞球ユニット800の係合部としての鉤状係合部824(図126参照)と係合する係止部としての係合突片565と、賞球ユニット800のボタン挿通係合穴821(図126参照)と係合するロック用弾性爪564と、が形成されると共に、賞球ユニット800のスプロケット807の回転軸808(図126参照)の端部が受け入れられる逃げ穴566が形成されている。また、軸支側後面壁546の下方には、払出モータ用逃げ開口部572が形成されており、この払出モータ用逃げ開口部572に賞球ユニット800の駆動モータとしての払出モータ815が臨むようになっている(図99参照)。そして、賞球ユニット800は、軸支側後面壁546の裏面最下端に形成される係止溝573のその下端を係止して前記係合突片565及びロック用弾性爪564によって軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けられるようになっている。この着脱自在の構成については、後に詳述する。
また、軸支側後面壁546の開放側の端部には、そのカバー体1250の開放側の端辺が入り込むカバー体当接溝567が形成されていると共に、該カバー体当接溝567の下方に施錠壁569が突設されている。カバー体当接溝567には、カバー体1250の止め穴1253(図102参照)に対応する止め穴568が形成されており、これら止め穴1253,568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができるようになっている。また、施錠壁569には、平面視U字状の施錠用突出鉤片570が突設され、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570をカバー体1250に形成される貫通穴1254(図102参照)を貫通させ、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
以上、遊技盤設置凹部510及び板部511とからなる本体枠主体500の構成について説明してきたが、上記に説明した以外に、板部511の最下端辺部に、扉枠5を閉じたときに、扉枠本体100の下辺を後方に向けて折曲した扉枠突片112,113(図32参照)が挿入される係合溝584,585(図95参照)が形成されている。係合溝584は、前述した発射装置取付部520の下方に形成される溝であり、係合溝585は、前記係合溝584の一端から軸支側に向って形成される溝である。なお、係合溝585に対応する扉枠突片112は、係合溝584に対応する扉枠突片113の突出量よりも大きくなるように後方に向って突設されている。ただし、開放端下部には、突出量の多い扉枠突片112が僅かに形成されている。そして、上記した扉枠突片112,113と係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
上記のように板部511には、発射レール515や出口開閉装置579が設けられ且つレール接続部材516や発射装置取付部520が突設形成されているが、発射装置取付部520及び発射レール515の板部511における配置位置が開放側に偏り、しかもそれらが板部511の表面よりも突出して形成されている。このため、扉枠5を閉じた状態において、発射装置取付部520及び発射レール515が配置される板部511のほぼ中央部から開放側にいたる領域は、扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面とが密着した状態となるため、前述した扉枠突片112と係合溝585との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具を扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面との間をさらに上手にすり抜けさせて遊技盤4の表面側若しくは遊技盤4の裏面側に到達させることは極めて困難である。
一方、発射装置取付部520及び発射レール515が配置されない板部511のほぼ中央部から軸支側にいたる領域は、板部511の表面に突出した部分がないため、扉枠5を閉じた状態において、扉枠5の裏面と板部511の前面との間に空間586が生じてしまう。このため、前述した扉枠突片112と係合溝584との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具が扉枠5の裏面と板部511の前面との間の空間586を簡単にすり抜けてしまうことができるため、この空間586を不正具が上方に向ってすり抜けないように、扉枠5の裏面下部に取り付けられる装着台280には、扉枠5を閉じた状態で該空間586に侵入する防犯突片285が形成されている。この防犯突片285は、板部511のほぼ中程から軸支側端部までいたるように装着台280に形成されている。したがって、発射レール515及び遊技盤4に取り付けられる外滑走面602の下方空間は、装着台280に突設される防犯突片285を受け入れる防犯空間586を構成している。そして、この防犯突片285と防犯空間586とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
本体枠3は、上記したように、遊技盤4、打球発射装置650、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、満タンユニット900、錠装置1000、基板ユニット1100及びカバー体1250が取り付けられるが、以下、これらを順次説明する。
<遊技盤>
遊技盤4の構成について図104乃至図109を参照して説明する。図104は、遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図105は、遊技盤4の正面図であり、図106は、遊技盤4の背面図であり、図107は、遊技盤4の平面図であり、図108は、遊技盤4に形成される取り外し防止機構部分の拡大斜視図であり、図109は、遊技盤4の取り外し防止機構に対する本体枠側の構造を示す本体枠3の部分斜視図である。
図104において、遊技盤4は、ほぼ正方形状のベニヤ盤600と、該ベニヤ盤600の前面に遊技領域605を囲むように取り付けられる飾り枠601と、から構成されている。ベニヤ盤600の表面には、装飾セルともいわれる装飾板が貼付されると共に遊技領域605に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に飾り枠601がベニヤ盤600の前面に取り付けられるが、その飾り枠601は、ベニヤ盤600の周囲を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形がベニヤ盤600の外形に沿った形状に形成されており、その下辺中程から上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外滑走面602として形成され、その外滑走面602の終端に設けられる衝止部620の下部位置から上辺の前記衝止部620の対称の逆流防止部材604が設けられる位置までが内滑走面603として形成されている。外滑走面602は、その始端部に前記発射レール515の延長状に設けられたレール接続部材516に連接する接続通路部609が斜め状に形成されており、その接続通路部609に隣接してファール口610が形成されている。また、ファール口610の上流端から衝止部620までの外滑走面602には、金属製のレールが密着して取り付けられている。なお、衝止部620は、勢いよく外滑走面602を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域605の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材604は、一端発射されて遊技領域605の内側に取り入れられた打球が再度外滑走面602に逆流しないように防止するものである。更に、外滑走面602の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起608が突設されている。この防犯突起608は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後端部突片275と上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の軸支側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
また、内滑走面603の下部中央には、アウト口606が設けられ、そのアウト口606から逆流防止部材604までの内滑走面603と外滑走面602との間は、発射された打球が遊技領域605まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域605に到達せずに外滑走面602を逆流した打球はファール口610に取り込まれて後述する満タンユニット900のファール球入口923に導かれて再度皿ユニット300に排出されるようになっている。なお、遊技領域605は、実質的に内滑走面603によって囲まれる領域である。また、内滑走面603のアウト口606から衝止部620に向かう途中の飾り枠601には、レール防犯溝607が形成されている。このレール防犯溝607は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後突片274の一部が侵入するように溝状に形成されており、このレール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合により、上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の開放側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止するものである。
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される前記盤位置決め突起576に嵌合する位置決め凹部611が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される前記盤止め具挿入穴578に挿入される遊技盤止め具614が設けられている。遊技盤止め具614は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴578に挿入されるようになっている。しかして、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部611が盤位置決め突起576に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の第1側面壁540に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具614を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴578に挿入して固定する。その後、遊技盤固定具519を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。
ところで、本実施形態における遊技盤4は、遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを極めて簡単に防止する構成を有している。即ち、図104及び図108に示すように、遊技盤4の下方の前記通路用切欠部613と反対側の下端部に遊技盤4の前後に貫通する取付用切欠部616を形成し(正確には、飾り枠601に取付用切欠部616が形成されている。)、その取付用切欠部616の下部に水平方向に締結バー617を掛け渡し固定する。締結バー617には、そのほぼ中央に締結バンド619を掛け止めるための帯溝状の締結部618が形成されている。一方、本体枠3に設けられる取り外し防止機構としては、前述したように、本体枠3下方の板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている(図109参照)。
上記のように構成される遊技盤4を本体枠3の遊技盤設置凹部510に収納配置したときには、図108に示すように、締結バー617が遊技盤載置部512に当接して載置した状態になると共に、締結部618と締結連杆534とが一致した状態となる。そして、その状態で締結部618と締結連杆534との一致している部分に対して、締結バー617の上方から一般的に市販されている締結バンド619の先端を取付用切欠部616に差し込んで下方に向けて締結穴533に差し込み前方に導き、その先端を締結バンド619の締結具部分に係合させる。そして、締結バンド619の締結具より前方に飛び出した不必要な先端部分を切断しておく。このようにすれば、締結バンド619を切断しない限り、遊技盤止め具614と遊技盤固定具519等の固定を解除しても、遊技盤4を本体枠3から取り外すことができない。締結バンド619を切断すれば、遊技盤4を本体枠3から取り外すことはできるものの、例えば、締結バンド619をパチンコ店独特のものを使用することにより、異なる締結バンドが締結されていれば、遊技盤4を取り外して何らかの不正行為を行われたことが容易に理解することができるものである。このように極めて簡単な取り外し防止機構により遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを防止することができる。
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に前記扉枠5の裏面に設けられるスピーカ34の後方突出部分を受け入れるようにスピーカ用切欠部612が形成され、また、ファール口610の側方斜め下に後述する満タンユニット900の前方誘導通路920部分の一部が挿入される通路用切欠部613が形成されている。また、飾り枠601の下方左右には、証明確認用の証紙を貼付する証紙貼付部615が設けられている。
一方、遊技盤4の裏面には、遊技領域605に設けられる各種の遊技装置(例えば、大入賞口装置や一般入賞口等の入賞口)に入賞した球を下流側に整列して誘導する入賞空間形成カバー体621が取り付けられており、その入賞空間形成カバー体621の裏面に遊技領域605のほぼ中央に配置される表示装置としての液晶表示器(図示しない)の表示を制御する表示装置制御基板が収納される表示制御基板ボックスとしての液晶表示制御基板ボックス622が取り付けられている。
更に、遊技盤4の裏面には、入賞空間形成カバー体621の下方に盤用基板ホルダー623が固定されている。この盤用基板ホルダー623は、その前方に前記入賞空間形成カバー体621によって整列誘導された入賞球を集めるように空間部(この空間部は、前後方向の幅が入賞空間形成カバー体621の幅よりも比較的広いものとして形成されている。)が形成され、その空間部の底面に落下口629(図103参照)が形成されている。この落下口629は、前記アウト口606の後面部分で合流して後述する基板ユニット1100に形成されるアウト球通路1119(図154参照)に連通するものである。また、盤用基板ホルダー623には、その裏面に遊技動作を制御する遊技制御基板を収納する遊技制御基板ボックス624と、後述する基板ユニット1100に設けられる払出制御基板1186や電源基板1144(図154参照)等と接続するための中継端子板625と、が取り付けられている。中継端子板625には、遊技盤4を本体枠3に装着するだけで自動的に前記基板ユニット1100に設けられるドロワコネクタ1200,1202と接続されるドロワコネクタ626,627が設けられている。また、盤用基板ホルダー623には、ドロワコネクタ626,627の間から中継端子板625を貫通するように後方に向かって突出する接合案内突起628が形成されている。この接合案内突起628は、後に詳述するように遊技盤4を本体枠3に装着する作業を行ったときに、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627とが自然に接続されるように基板ユニット1100の枠用基板ホルダー1101に形成される接合案内孔1213に挿入される(図154参照)ものである。なお、これらドロワコネクタの接続については、後に詳述する。
<打球発射装置>
打球発射装置650について図110乃至図115を参照して説明する。図110は、打球発射装置650の全体の斜視図(A),発射モータ部分を取り外した状態の斜視図(B)であり、図111は、打球発射装置650の分解斜視図であり、図112は、打球発射装置650と発射レール515との関係を示す正面図(A),発射モータ部分の斜視図(B)であり、図113は、操作ハンドル部461を操作していない状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図114は、操作ハンドル部461を操作している状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図115は、打球発射装置650に設けられるスライド部材710の平面図(A),正面図(B),正面から見た斜視図(C),正面図(B)のA−A断面図(D)である。
打球発射装置650は、発射ベース枠651に打球槌687を回動自在に軸支すると共に、その打球槌687に往復回動を付与する発射モータ695を発射ベース枠651に取り付け、さらに打球槌687に復帰する付勢力を付与する付勢バネ684の付勢力を調節するスライド杆677及びスライド部材710が発射ベース枠651に設けられることにより構成される。
より詳細に説明すると、図111に示すように、発射ベース枠651は、合成樹脂によって横長な長方形状に成型されるものであり、そのほぼ中心に打球槌687の軸受689が嵌合される軸受筒652が形成され、その上部及び側方に打球槌687の発射原点位置を規制するゴムストッパー部材653,654が取り付け固定されている。即ち、ゴムストッパー部材653,654は、打球槌687が付勢バネ684の付勢力により発射原点位置に戻ったときに打球槌687の衝撃を受け止めるものである。また、発射ベース枠651の後方(発射レール515の下方に対応する部位の反対側)の上方に横長細溝状のスライド案内孔655が形成され、そのスライド案内孔655の下方にスライド部材収納空間656が形成されている。スライド案内孔655は、後述するスライド杆677の後端上部に突設される案内係止片678が挿入されてスライド杆677のスライド移動を案内するものであり、スライド部材収納空間656には、スライド部材710が左右方向に移動可能に収納されるものである。なお、スライド杆677の前方部分のスライド案内は、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682によって発射ベース枠651に形成される止め穴662に止着される案内ブッシュ681を貫通させることにより行われる。また、スライド部材収納空間656の底面には、図112に示すように、長方形状の連結開口664が形成されている。
また、発射ベース枠651の上辺の前方部分には、発射ベース枠651の本体に対して庇部が形成されており、前記軸受筒652の上方の庇部に作動片用開口657が穿設されている。この作動片用開口657には、前記扉枠5の皿ユニット300の下流側の打球供給口288(図23参照)に臨んで設けられている供給揺動片289(図23参照)と当接する作動片658が作動片用開口657の開口縁の後方上部に突設されている取付部660に止めピン659によって揺動自在に設けられるものである。作動片658は、「て」字状に形成され、その上辺の後端部が止めピン659によって軸支され、その軸支部から下方の円弧部に打球槌687と一体的に回動するベース板690に突設される作動片当接部693と当接し、打球槌687の往復動作に連動して上辺部が供給揺動片289を揺動させ、供給揺動片289の揺動動作により打球供給口288から流出する打球を1個ずつ発射レール614の発射位置に供給するようになっている。
更に、発射ベース枠651には、発射モータ695を内蔵するモータカバー694を止着するためのモータ取付ボス661が後方下部に2箇所と前方上部に1箇所の合計3箇所に突設されていると共に、前記スライド部材収納空間656の下部後方にスライド杆677をスライドさせるためにスライド部材710と連結される揺動片672の下端の軸穴673が挿入される揺動片用ボス663が突設されている。
上記した発射ベース枠651には、打球発射装置650の剛性を高めるために金属プレート665がほぼ密着するように取り付けられている。このため、金属プレート665には、軸受筒652、下方のゴムストッパー部材653、スライド案内孔655、案内ブッシュ681、及び揺動片用ボス663にそれぞれ対応する貫通孔666,667,668,669,671が形成されていると共に、スライド部材710の連結凸部712が貫通する横長楕円状の貫通孔670も貫通されている。上記のように構成される金属プレート665は、スライド部材710をスライド部材収納空間656に収納した後、それぞれの貫通孔666〜671がそれに対応する部材652,653,655,681,712,663を貫通あるいは一致させるように発射ベース枠651に密着させてビス止めすることにより発射ベース枠651に固定されるものである。
金属プレート665が取り付けられた発射ベース枠651の揺動片用ボス663の先端部分が貫通孔671から頭を出しているが、その頭の部分に揺動片672の軸穴673が挿通されて、揺動片672が下端を中心にして揺動自在に軸支される。揺動片672は、図111に示すように、縦長杆状に形成され、その下端に前記軸穴673が形成され、その中程にスライド部材710の連結凸部712が挿入されるやや縦長穴形状の連結穴674が形成されている。そして、その連結穴674より上方の前方面がスライド杆677の一端(後端)と当接する当接部675となっている。しかして、揺動片672を揺動片用ボス663に挿通し、且つ貫通孔670から頭を出しているスライド部材710の連結凸部712に連結穴674を挿入してワッシャ付きピン676を連結凸部712に止着することにより、揺動片672が発射ベース枠651に取り付けられる。そして、取り付けられた揺動片672は、スライド部材710のスライドに伴って下端を中心にしてその上方部分が揺動するようになっている。
また、金属プレート665の上部前面には、横長杆状のスライド杆677が左右方向にスライド可能に取り付けられる。即ち、スライド杆677の後方上部に突設されるL字状の案内係止片678を金属プレート665の貫通孔668に貫通係合させ、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682を有する案内ブッシュ681を貫通させて止めネジ682を止め穴662に止着する。上記した案内係止片678と貫通孔668、及び案内長孔680と案内ブッシュ681とにより、スライド杆677が金属プレート665を介して発射ベース枠651にスライド可能に装着される。また、スライド杆677には、その一端(後端)に上述した揺動片672の当接部675と当接する被当接部679が形成され、その他端(前端)に付勢バネ684の一端の係止輪685を掛け止めるためのバネ係止部683が突設されている。
金属プレート665が取り付けられた発射ベース枠651の軸受筒652が貫通孔666から突出しているが、その軸受筒652には、打球槌687の軸受689が抜け落ちないように嵌合されている。軸受689の軸には、打球槌687の下端部が固着されると共に同時にベース板690が固着される。ベース板690には、その前方裏面側に前記作動片658と当接する作動片当接部693が突設され、その前方前面に付勢バネ684の他端の係止輪686を掛け止めるためのバネ係止部692が突設され、さらにその後方前面に発射モータ695のモータカム697と係脱するモータ当接突片691が突設されている。打球槌687の上端には、合成樹脂製の槌先688が固着されており、この槌先688が発射レール515の下端部とその上方に固着される発射位置ストッパー702とによって形成される発射位置に突入するように臨んでいる。
一方、発射ベース枠651の前述したモータ取付ボス661には、モータカバー694に収納された発射モータ695が取り付けられる。より具体的には、図112(B)に示すように、モータカバー694は、内部に発射モータ695を収納するように形成された円筒部と、該円筒部の前方に拡大して前記モータ取付ボス661に取り付けるための取付固定穴699が形成される取付部と、が一体的に形成され、円筒部の内部に収納される発射モータ695のモータ軸696の先端に逆回転防止カム698とモータカム697とが固定されている。逆回転防止カム698の外周には、多数の逆歯が形成されており、ストッパー片取付ボス701に揺動自在に固定されるストッパー片700(図113参照)と係合して発射モータ695の逆方向の回転を防止している。これは、モータカム697が逆方向に回転してモータカム697とモータ当接突片691とが噛み合って打球発射装置650が駆動できなくなる故障が発生しないように防止するためである。また、モータカム697は、勾玉状に形成されており、発射モータ695の回転に伴いモータ当接突片691と係脱しながら打球槌687を往復動作させる。なお、モータカバー694をモータ取付ボス313に取り付けたときには、図110(A)に示すように、打球発射装置650の主たる構成が後面から見て被覆されたような状態となっている。
ところで、前述したスライド部材収納空間656に収納されてスライド移動するスライド部材710は、図115に示すように、後方が開放した直方体状に形成され、その前面に楕円形状の楕円凸部711が突設され、さらに該楕円凸部711の後方位置に円形状の連結凸部712が突設されている。また、上面及び下面には、スライド部材収納空間656内をスライドし易いように断面円弧状のスライド用当接突部713がその両端に突設されている。一方、直方体状に形成されるスライド部材710の空間は、前記扉枠5の裏面下部に設けられるジョイントユニット480のスライド突片492が挿入される挿入空間714となっている。しかして、この挿入空間714は、スライド方向前方の側壁手前側に第1傾斜面715が形成されると共に、その第1傾斜面715のやや後方寄りに上面及び下面の内側から内部に向かって突設され且つ相互の先端間に所定の間隔が形成される挟持片716が形成されている。挟持片716の手前側にも奥に向かって側方視でハ字状に傾斜する第2傾斜面717も形成されている。しかして、スライド突片492が挿入空間714に挿入された状態では、図115(B)に示すように、スライド突片492の傾斜辺493側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態となっている。なお、スライド部材710の挿入空間714の側方に空間部718が形成されているが、この空間部718は、特に機能を奏しているわけではない。
しかして、上記のように構成されるスライド部材710は、スライド部材収納空間656に収納された状態で、図112(A)に示すように、スライド部材収納空間656の底面に形成される楕円形状の連結開口664に挿入空間714が臨むように形成されていると共に、スライド部材710がスライド部材収納空間656の一方の空間内壁に当接した状態(図112(A)では左の空間内壁に当接しているように図示されているが、通常の状態では右の空間内壁に当接した状態となっている。)となっている。
そこで、まず、スライド部材710と打球発射装置650の付勢バネ684の強弱を調整する関係について説明すると、スライド部材710がスライド部材収納空間656の内部の初期位置(図112(A)において右の空間内壁に当接した位置)にあるときには、図113に示すように、該スライド部材710の連結凸部712に連結された揺動片672がほぼ垂直状態となっている。このため、揺動片672と当接しているスライド杆677も付勢バネ684の付勢力により一方向(図113において左側方向)に付勢された状態で揺動片672の当接部675とスライド杆677の被当接部679とが当接した状態となっている。この状態では、付勢バネ684が張力されていないので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動しても、打球槌687の復帰力も弱く、発射位置にある打球が弾発されても遊技盤4の遊技領域605に到達することはない。
一方、スライド部材収納空間656の内部をスライド部材710が初期位置から他方方向に移動したとき(図112(A)において左の空間内壁方向に向かって移動したとき)、図114に示すように、揺動片672が下端の軸穴673を軸として揺動して傾動するため、当接部675と被当接部679との当接によりスライド杆677が他方向(図114において右側方向)に向かってスライド移動する。すると、スライド杆677のバネ係止部683に係止されている付勢バネ684も張力されて伸びた状態となる。この状態では、付勢バネ684が張力されているので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動したときの打球槌687の復帰力が強くなり、発射位置にある打球が強く弾発されて遊技盤4の遊技領域605に到達する。そして、この打球の弾発力の強弱は、スライド部材710のスライド部材収納空間656内でのスライド量に応じて調整することができる。
上記したように、スライド部材710を移動させることにより、打球発射装置650による弾発力を調整することができるが、このスライド部材710の移動は、前述したハンドル装置460の操作ハンドル部461の回動操作部材464の回動操作に応じて移動するジョイントユニット480のスライド体483の移動と連動するようになっている。この点について図88、図89、図93、図94を参照して説明する。
前述したように、ハンドル装置460の操作ハンドル部461の回動操作部材464を回転させることにより、回転軸465の先端に固着される勾玉状のカム466も回転するため、ジョイントユニット480のスライド体483が収納体481の内部を一方向(図94において左方向)に向かってスライド移動する。このため、スライド体483の前面に突設されるスライド突片492も同じ方向にスライド移動することになる。スライド体483のスライド突片492は、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態では、本体枠5の発射装置取付部520に形成される連結開口664を貫通してスライド部材710の挿入空間714に挿入されるようになっている。この場合の挿入状態は、前述したようにスライド突片492の傾斜辺493側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態である(図94(A)に示す状態)。したがって、スライド突片492が一方向に向かってスライド移動すると、スライド部材710も同一方向に向かってスライド移動することになる。図面で言えば、図94(A)に示す状態から図94(B)に示す状態になる。このとき、前述したように、スライド部材710のスライド移動に伴ってスライド杆677もスライド移動するので、付勢バネ684の付勢力を調整することができる。つまり、ハンドル装置460の回動操作部材464を回動操作することにより、打球発射装置650の打球の弾発力を調整することができるものである。
ところで、本実施形態においては、ハンドル装置460が扉枠5に設けられ、打球発射装置650が本体枠3に設けられているので、扉枠5を開閉する毎にハンドル装置460のスライド突片492と打球発射装置650のスライド部材710とが連携したり離れたりすることになる。しかし、本実施形態においては、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じることにより、スライド突片492がスライド部材710の挿入空間714に自動的に挿入されてハンドル装置460と打球発射装置650とが連携され、逆に、本体枠3に対して扉枠5を開放することにより、スライド突片492が挿入空間714から離れてハンドル装置460と打球発射装置650とを分離することができるので、極めて簡単に扉枠5の開閉に伴ってハンドル装置460と打球発射装置650との連携・分離を行うことができる。特に、スライド突片492が挿入空間714に挿入される際には、スライド突片492の位置が上下方向に多少ずれていても、挿入空間714内に突設される挟持片716の第2傾斜面717によってスライド突片492がスムーズに挟持位置に挿入されるようになっている。
また、時として、操作ハンドル部461の回動操作部材464に遊技者が詰め物を詰めてある程度回動した位置で固定している場合があるが、遊技場の店員がその詰め物を知らずに扉枠5を開閉する場合がある。このような場合でも、扉枠5を開放する場合には、単にスライド突片492が挿入空間714から離れるだけであるので問題はないが、扉枠5を閉める場合に、図94(C)に示すように、スライド突片492の位置が多少一方向にずれた状態(図94の左側にずれた状態)となっているものの、スライド突片492の傾斜辺493とスライド部材710の第1傾斜面715との協働作用により、扉枠5の閉止動作に伴ってスライド部材710を一方向に移動させながら最終的にスライド突片492とスライド部材710とが係合するようになっている。つまり、本実施形態においては、操作ハンドル部461の回動操作部材464がどのような回動位置で固定されていても、操作ハンドル装置460と打球発射装置650との連携を行うことができるものである。
<賞球タンク>
次に、本体枠3の裏面上部に取り付けられる賞球タンク720について、主として図116を参照して説明する。図116は、賞球タンク720の斜視図(A)、平面図(B)、側面図(C)である。賞球タンク720は、前述したように、本体枠3の裏面上部に形成されるタンク取付溝550(図98参照)に着脱自在に取り付けられるものである。しかして、賞球タンク720は、長方形状の箱状に形成され、パチンコ遊技機1の正面側から見て、その前面壁721に切欠部729が形成され、その底面が上流側壁724から下流側壁723に向かって傾斜する第1傾斜底面726と前面壁721から次に説明する排出口730に向かって傾斜する第2傾斜底面727とによって貯留部728が形成されている。また、その第2傾斜底面727の傾斜下端に排出口730が形成されるが、この排出口730は、パチンコ遊技機1の正面側から見て賞球タンク720の後面壁722よりも外側に突出するように下流側壁723と後面壁722とをコ字状に連結する排出口突出壁725に囲まれるように形成されている。また、賞球タンク720の前面壁721の両端外側には、前記タンク取付溝550と係合する取付鍔部733が形成されていると共に、賞球タンク720の底面の裏面側に本体枠3の前記第4側面壁543に載置当接する載置当接片731,732が突設され、さらに、賞球タンク720の上流側の後面壁722の下部に後述する球ならし部材744を取り付けるための球ならし取付軸735が突設されている。また、排出口730を除く賞球タンク720の後面壁722及び上流側壁724には、球の跳ね飛びを防止するための溢れ防止部材734が着脱自在に取り付けられるようになっている。
上記のように構成される賞球タンク720においては、本体枠3のタンク取付溝550に対して取付鍔部733を上方から差し込むように取り付け、載置当接片731,732を本体枠3の第4側面壁543に当接させる。これによって、賞球タンク720が本体枠3の裏面側上部に載置して取り付けられるが、この取り付けられた状態においては、図102に示すように、前面壁721の切欠部729を介して貯留部728と本体枠3の裏面に形成された逃げ凹部551とが連通し、また、図5に示すように、排出口730が次に説明するタンクレール部材740の上流端部に臨むようになっている。したがって、賞球タンク720において、球を貯留する貯留部728(第1傾斜底面726及び第2傾斜底面727に対応する貯留空間部分)の前後方向の幅は、本体枠3の第2側面壁541〜第4側面壁543までの前後方向の幅とほぼ同じとなるように形成されると共に、それらの側面壁541〜543までの上部に載置されるようになっている。しかして、前述したように、本体枠3の第1側面壁540〜第4側面壁543は、遊技盤4の周辺部の後方突出空間を覆うように深く形成されているので、その側面壁541〜543の上部に載置される賞球タンク720の貯留部の深さは、従来の貯留タンクにくらべて浅く形成されているものの、賞球が貯留されて重量が増加しても賞球タンク720の全体を本体枠3の側面壁542〜543で支持しているので、傾斜底面726,727が変形することなく貯留された球をスムーズに排出口730に導くことができる。また、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているため、貯留部728に貯留された球の流れが第2傾斜底面727から外側に向かって流れるように構成されている。このため、従来のように傾斜底面の一部に開口を設けて排出口としていた賞球タンクに比べて、排出口近傍の貯留部に球詰まり解消のための球崩し突部を突出形成することなく球詰まりが発生し難い構造とすることができる。
そして、本実施形態においては、前述したように、遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に賞球タンク720の貯留部が載置された状態で、しかも、賞球タンク720の排出口730が貯留部の後面壁722よりも外側に突出して設けられているため、タンクレール部材740が賞球タンク720の貯留部の外側(パチンコ遊技機1の正面から見て奥側)に位置して、タンクレール部材740と賞球タンク720の貯留部728とが上下方向に重複しない位置となっているので、遊技盤4の裏面に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上辺を本体枠3の上辺に近い位置で後方に向って突出させることができ、これにより、遊技装置の後方突出部が遊技盤4の上辺部で突出していても後側面壁541〜543の内部に楽に収納することができる。
更に、賞球タンク720の貯留部728が遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に載置されているか否かに関係なく、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているという構成だけで従来の賞球タンクにはない独特の効果を奏するものである。これについて図117を参考にして説明する。図117は、従来の賞球タンク(A),(B)と本実施形態に係る賞球タンク(C)との排出口部分における球の圧力状態を示す平面図である。図において、通常時、賞球タンク720に貯留される球は、賞球タンク720の貯留部に貯留されて滞留した状態となっている。この場合、従来の賞球タンクのように貯留部の傾斜底面の一部を開口して排出口730Aを形成している場合、例えば、図117(A)に示すように、球崩し突部736Aと反対側に排出口730Aが形成された賞球タンクや、図117(B)に示すように、球崩し突部736Bに隣接して排出口730Bが形成されている場合には、排出口730A,730Bの部分では、貯留された球の圧力とその圧力に基づく賞球タンクの側壁からの反作用により、常に排出口730A,730B部分に四方から球圧がかかった状態となっている。このため、たまたま球の重合具合によって球同士の圧力が釣り合い、下流側の球が流れ出ても、排出口730A,730B部分で球噛み状態が発生し球詰まりが発生することがあった。これに対し、本実施形態に係る賞球タンク720では、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているので、図117(C)に示すように、排出口730部分における貯留された球の圧力は、貯留部から排出口730方向に向かう作用力とその反作用だけの二方向からの圧力であり、従来のように四方から圧力を受けるわけではない。このため、下流側の球が流れ出ても、排出口730部分における球噛み状態が発生し難く、球詰まりが発生しないという優れた効果を奏することができる。
<タンクレール部材>
上記した賞球タンク720の下方に配置されるタンクレール部材740について主として図118乃至図120を参照して説明する。図118は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ遊技機1の背面側から見た斜視図であり、図119は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ遊技機1の正面側から見た斜視図であり、図120は、タンクレール部材740の下流部と球通路ユニット770の上流部との関係を示す断面図(A)と平面図(B)である。
タンクレール部材740は、前述したように、本体枠3の上後面壁545のレール係止溝553,554(図98参照)に着脱自在に取り付けられるものである。そのため、タンクレール部材740には、その後面側の側面の左右辺及び下辺にレール係止溝553に上から差し込まれる複数の係止突片749が突設されると共に、その後面側側面の上辺中央にレール係止溝554に上から掛け止められる鉤状の係止突片750が突設されている。しかして、タンクレール部材740は、上面が開放した傾斜樋状に形成され、その上流端上面が賞球タンク720の排出口730に臨み、その下流端下面が後に詳述する球通路ユニット770に臨んでいる。また、タンクレール部材740の内部は、図5に示すように仕切壁741によって球が2列に整列して流下する通路742となっている。なお、通路742の底面は、細溝が切り欠けられており、通路742を球と一緒に転動する異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、通路742の側壁には、静電気を除去するための金属板(図示しない)が貼付されており、この金属板の下流端が前述したアース線接続具557(図96参照)に接続されている。このため、タンクレール部材740を流下する球に帯電していた静電気が金属板からアース線接続具557を介して後述する電源基板1144のアース用コネクタ1148(図159参照)を経て外部にアースされるようになっている。
また、タンクレール部材740の中流域のやや下流側に重錘を有する卵形状の球ならし部材744が揺動自在に設けられている。この球ならし部材744は、前述した賞球タンク720の球ならし取付軸735に揺動自在に軸支されるものであり、タンクレール部材740の2列のそれぞれの通路742内に向かって垂下され、各通路742を流下する球が上下方向に複数段で流下してきたときに1段となるように整流するものである。また、球ならし部材744の設置位置より下流側のタンクレール部材740の上面が球押え板745によって被覆されている。この球押え板745は、球ならし部材744によって1段とならなかった球を強制的に1段とするように傾斜円弧状に形成されるものである。更に、タンクレール部材740の下流端部には、それぞれの通路742に臨んで一対の整列歯車747が軸ピン748によって回転自在に軸支されている。この整列歯車747は、外周に複数の歯が形成され、一対の整列歯車747の歯のピッチが半ピッチずつずれるようにして軸ピン748に固定されている。このため、タンクレール部材740の各通路742を流下してきた球の上部が整列歯車747の歯と噛み合いながら下流側に流下するときに2列の通路742の球が交互に1つずつ送られることになる。この場合、図120に示すように、各通路742を流れてきた球は、整列歯車747と噛み合いながら2列の通路742の下部に形成される傾斜面743に沿って中央方向に誘導され、その誘導中に次に説明する球通路ユニット770の球落下通路772の上端入口773に2列の通路742からの球を交互に一列状にして落下するようになっている。なお、整列歯車747は、その上面を円弧状の歯車カバー746によって被覆されている。
<球通路ユニット>
上記したタンクレール部材740から一列状に落下される球を賞球ユニット800に導くための球通路ユニット770について、主として図121乃至図125を参照して説明する。図121は、本体枠3と球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す分解斜視図であり、図122は、球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す背面図であり、図123は、球通路ユニット770の背面から見た斜視図であり、図124は、球通路ユニット770の正面図であり、図125は、球通路ユニット770と賞球ユニット800との連結構造を説明するための側面図である。なお、図122及び図123において、賞球ユニット800部分は、ギヤカバー866、アルミ放熱板841、ユニットサブ板825が削除され、ユニットベース体801に形成された球通路部分をわかりやすく描いたものである。ただし、ギヤ等については、球通路との関係を理解し易くするため、一点鎖線で示してある。
球通路ユニット770は、ほぼ長方形状の板材の裏面(背面から見える面を表面という。)に屈曲した一対の屈曲通路壁771によって球落下通路772が形成されている。この球落下通路772は、図120(A)に示すように、その上流が前後方向(背面から見て奥行方向)に屈曲する前後屈曲通路部772aと、該前後屈曲通路部772aに連通して左右方向(背面から見て左右方向)に屈曲する左右屈曲通路部772bと、該左右屈曲通路部772bに連通してほぼ垂直状となっている垂直通路部772cとからなっている。前後屈曲通路部772aは、図120(A)に示すように、上述したタンクレール部材740から落下する上端入口773の位置が前述したように2列の通路742のほぼ中央であるため、本体枠3の上後面壁545及び軸支側後面壁546の表面から背面側に離れた位置となっているので、前後屈曲通路部772aと軸支側後面壁546に突設される前記賞球案内突起561とによって球落下通路772を軸支側後面壁546の表面に近い位置とするように前後方向に屈曲するものである。また、左右屈曲通路部772bは、図124に示すように、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球の勢いを弱めるために球通路ユニット770のほぼ横幅一杯にコ字状に屈曲して形成されるものである。更に、垂直通路部772cもほぼ垂直状に形成されているものの若干緩やかに湾曲して形成され、その垂直通路部772cを構成する一方の屈曲通路壁771に切欠部775が形成され、その切欠部775に上端が支軸777によって軸支される球切れ検出片776が揺動自在に取り付けられている。この球切れ検出片776の側方には、球切れスイッチ778が取り付けられ、球切れスイッチ778のアクチュエータ779が球切れ検出片776に当接している。球切れ検出片776及び球切れスイッチ778によって垂直通路部772cでの球切れを検出する球切れ検出機構が構成されている。
しかして、垂直通路部772cに球が存在しているときには、垂直通路部772cに存在する球によって球切れ検出片776が押圧されてアクチュエータ779を押して球切れスイッチ778をONとするが、垂直通路部772cに球詰まりや球欠乏により球が存在しなくなると球切れ検出片776が垂直通路部772c内に向かって揺動するので、アクチュエータ779が球切れスイッチ778をOFFとする。球切れスイッチ778がOFFになると、後述する賞球ユニット800の払出モータ815の回転が停止して賞球の払出が停止されるようになっている。なお、切欠部775の下端部には、球切れ検出片776の通路部と反対側への過剰な揺動を防止するためにストッパー突起780が形成されており、また、球通路ユニット770の球切れ検出片776に対応する垂直通路部772cに球詰まり用挿入溝781が形成されている。この球詰まり用挿入溝781は、球詰まり等で球切れ検出片776の揺動動作が行われ難い場合に、球通路ユニット770の後面側からピンを差し込んで球切れ検出片776部分の球詰まりの解消を図るために設けられるものである。更に、球切れ検出片776に対面する他方の屈曲通路壁771は、若干球切れ検出片776側に向かって膨出状に形成されている。これは、垂直通路部772cに球が存在しているときに確実に球切れ検出片776を押圧して球切れスイッチ778をONにするためである。
また、球通路ユニット770には、上記した球落下通路772を避けた位置に止め穴782と位置決めボス783とが形成されている。位置決めボス783は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される位置決めピン574に係合されるものであり、止め穴782は同じく軸支側後面壁546に形成される通路ユニット取付ボス562に対応するものである。しかして、球通路ユニット770を本体枠3に取り付けるには、図121に示すように、位置決めボス783を位置決めピン574に係合させながら通路ユニット取付ボス562と止め穴782とを一致させ、その状態で止め穴782からビス784を螺着することにより行うことができる。更に、球通路ユニット770には、その一側中程にカバー体1250の係合片1272(図165参照)と係合するカバー体係合溝785が形成されていると共に、下部に賞球ユニット800と連結するための連結蓋部材786が回動自在に設けられている。
連結蓋部材786は、図123に示すように、長方形状の板材の裏面に円弧状に突設される一対の通路壁790を突設することにより構成されており、球通路ユニット770の下部表面の左右両端部に突設される軸支部としての支持突片787に、連結蓋部材786の両端部から延びる支持片788の先端に突設される回転軸部としての突起軸789を嵌合することにより回動自在に軸支されるものである。また、連結蓋部材786は、閉じることにより球通路ユニット770の下方に延長されて通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通した状態(図125(B)に示す状態)と、開放することにより通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通しない状態(図125(A)に示す状態)と、に回動し得るが、開放した状態から閉じた状態に移行する際に、連結蓋部材786の支持片788を案内する案内突起791が球通路ユニット770の後面下端部に突設されている。
しかして、球通路ユニット770を本体枠3の軸支側後面壁546に固定した状態で、しかも、後述するように賞球ユニット800を同じく軸支側後面壁546に装着した状態(図125(A)に示す状態)で、連結蓋部材786を閉じて賞球ユニット800に設けられる係止弾性爪820によってその後面を係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772と賞球ユニット800の屈曲通路803とを通路壁790にて連通して、球通路ユニット770の球落下通路772を落下する球を賞球ユニット800の屈曲通路803に導くことができるものである。このように球通路ユニット770に回動自在な連結蓋部材786を設けた理由は、後述するように賞球ユニット800を本体枠3に対して着脱自在に装着し易くすることと、その着脱自在に装着したことに起因して球通路ユニット770と賞球ユニット800との間に形成される空間が球のスムーズな落下を阻害しないようにするためである。
また、球通路ユニット770に突設される一対の屈曲通路壁771の間に本体枠3の軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように突設される賞球案内突起561を挿入することで、球落下通路772の上端入口773がタンクレール部材740の2列の通路742のほぼ中央下部に位置するように、球落下通路772の上流部を背面からみて前後方向に屈曲する前後屈曲通路部772aとして形成する。これにより、一対の整列歯車747によって2列で流下する球を交互に1個ずつ賞球ユニット800側に送り出す構成において、球落下通路772を通して球を1個ずつスムーズに賞球ユニット800に送り出すことができる。また、この構成によれば、複数の部材の組立体から球落下通路772を構成する必要がないため、球落下通路772を構成する部品点数を削減することができると共に、球落下通路772の組み付け作業性を向上することができる。
また、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球は、左右屈曲通路部772bを通過することでその勢いを弱め、その後、垂直通路部772cを通って賞球ユニット800に送られる。また、勢いが弱められた状態で球が送り込まれる垂直通路部772cには、球切れを検出するための球切れ検出機構(球切れ検出片776及び球切れスイッチ778)が設けられる。これにより、球落下通路772での球切れ、言い換えれば賞球ユニット800に供給する球が切れたこと(球切れ)を確実に検出することができる。
<賞球ユニット>
次に、上記した球通路ユニット770の下流側に配置される賞球ユニット800について、主として図126乃至図129を参照して説明する。図126は、賞球ユニット800の背面側から見た分解斜視図であり、図127は、払出モータ815と払出部材としてのスプロケット807との関係を説明するための背面図であり、図128は、賞球ユニット800の通路と駆動関係を説明するための背面図であり、図129は、図128のA−A断面図である。
図126において、賞球ユニット800は、一対の屈曲通路壁802によって球通路を構成する屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成されるユニットベース体801と、該ユニットベース体801の後面を覆うユニットサブ板825と、該ユニットサブ板825の上部表面(後面側)に取り付けられる中継基板830と、前記ユニットサブ板825のほぼ中央表面領域(後面側領域)に設けられるギヤ群843,844,847及び検出円盤850(回転伝達部材)を被覆するギヤカバー866とから構成されている。以下、これらの構成を順次説明する。
ユニットベース体801は、ほぼ長方形状の板状(この板部分を「底面」という場合がある。)に形成され、その板状のユニットサブ板825側に向かって突設される一対の屈曲通路壁802によって屈曲通路803が形成されている。屈曲通路壁802は、ユニットベース体801の上部中央から下流側のほぼ中程まで球の直径よりもやや大きな間隔で突設されるが、その中程から下流側に大きく左右に分かれて中程から下流端までユニットベース体801の両端辺の側壁を兼ねている。また、中程の屈曲通路壁802が大きく左右に分かれた部分は、球送り回転体としてのスプロケット807が配置される振分空間805を構成し、その振分空間805の下部からユニットベース体801の下流端までに左右に分かれた前記屈曲通路壁802の対をなすように通路区画壁809が突設形成されている。つまり、中程から下流側の左右の屈曲通路壁802と通路区画壁809とによって振分空間805から左右に2つの通路が構成されることなり、一方の通路が賞球通路810を構成し、他方の通路が球抜通路811を構成している。なお、通路区画壁809も左右に大きく分かれており、その分かれた通路区画壁809の内側に払出モータ815を収納するモータ収納空間814が形成されている。即ち、払出モータ815は、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)を避けた位置であって当該球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納固定される。なお、屈曲通路803は、該通路803内に停留する球のスプロケット807への圧力を弱めるために蛇行状に形成されて振分空間805に到達しているが、その振分空間805の上流側の底面に楕円形状の開口804が形成されている。この開口804は、屈曲通路803内に入った小さなゴミ等を貯留するもので、賞球ユニット800を本体枠3から取り外したときに溜まったゴミ等を取り出すことができるようになっている。
また、上記した振分空間805には、外周に球が嵌り合う複数(図示の場合は、3つ)の凹部が形成された払出部材としてのスプロケット807が回転自在に配置されるが、このスプロケット807が固定される回転軸808の他端を軸支する軸受筒806が振分空間805の底面に形成されている。また、振分空間805の底部を構成する通路区画壁809の上端部は、スプロケット807の回転円弧に沿った凹円弧状に形成され、その一方に形成される賞球通路810の上流部には、払出球検出センサ812が着脱自在に装着されている。払出球検出センサ812は、先端部に球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、その後端部の形状と合致するスイッチ嵌合凹部865を屈曲通路壁802で形成することにより、簡単に着脱自在に取り付けられるものである。なお、払出球検出センサ812からの配線(図示しない)は、後述する中継基板830に接続されるようになっている。更に、賞球通路810を構成する屈曲通路壁802の下流側には、ユニットサブ板825と一体的に形成される通路蓋板部859に形成される係止部860と係合する係止爪813が複数形成されている。ただし、複数の係止爪813のうち、通路蓋板部859の下端の一方の係止部860と係合する係止爪813は、通路区画壁809側に形成されている。
また、ユニットベース体801の下方であって賞球通路810と球抜通路811との間には、払出モータ815を収納する円形状のモータ収納空間814が形成されるが、このモータ収納空間814の内部に払出モータ815の円筒状本体が収納されるようになっている。ただし、払出モータ815は、その前面に形成される一対の取付片816によってユニットサブ板825の下方に取り付けられるアルミ放熱板841の裏面側にビス817で固着されるようになっている。そして、払出モータ815がユニットサブ板825のアルミ放熱板841に取り付けられた状態で、払出モータ815のモータ軸818は、アルミ放熱板841に穿設された軸挿通穴842を貫通して第1ギヤ843が固着されるようになっている。また、ユニットサブ板825及びアルミ放熱板841でユニットベース体801の後面側を被覆することにより、上記した屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成される奥行幅方向の空間内に払出モータ815の円筒状本体部分も収納配置されることになる。そして、払出モータ815を収納するモータ収納空間814と前述したスプロケット807が配置される振分空間805とが、上下方向の極めて近い位置関係に形成されているため、ユニットベース体801の上下方向の長さを短くすることができ、結果的に賞球ユニット800のコンパクト化を図ることができる。
更に、ユニットベース体801には、上記した球抜通路811の最下端に球抜きされた球を賞球ユニット800の裏面側に誘導する誘導突片819が突設され、この誘導突片819に誘導された球が後述する球抜接続通路880に誘導されて最終的にパチンコ遊技機1の外部(島台の下方に設けられる回収樋)に放出されるようになっている。また、ユニットベース体801の上部には、前述した球通路ユニット770の連結蓋部材786を係止する係止弾性爪820が突設されると共に、賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けるためのボタン挿通係合穴821及び鉤状係合部824と、ユニットベース体801とユニットサブ板825を挟持した状態でギヤカバー866とを連結するための取付ボス823が設けられている。ボタン挿通係合穴821には、ユニットベース体801の上部一側に設けられて棒状の着脱ボタン822が奥行幅方向に摺動自在に取り付けられるものであり、後述するように、その前方先端が本体枠3の軸支側後面壁546に形成されるロック用弾性爪564に対応している。また、ボタン挿通係合穴821の後端面は、図121に示すように、ロック用弾性爪564の先端部が入り込むように凹状となっている。また、鉤状係合部824は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される係合突片565と係合するもので、賞球ユニット800を軸支側後面壁546に押し当てて下方に押下げることにより、鉤状係合部824と係合突片565とが係合するものである。そして、その係合状態においてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合するので、賞球ユニット800の上方向の移動ができないようになっている。なお、鉤状係合部824は、ユニットベース体801の上部左右に形成されている。また、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結するための取付ボス823は、後面側に向かって長く突設され、ユニットサブ板825に穿設される貫通穴858を貫通した後、ギヤカバー866の取付穴867に対応させ、そのギヤカバー866の表面からネジ868を螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結している。
上記したユニットベース体801を被覆するユニットサブ板825の構成について説明すると、ユニットサブ板825は、ユニットベース体801の屈曲通路803部分と振分空間805部分と賞球通路810部分とを覆う合成樹脂製の板材に払出モータ815が取り付けられると共に球抜通路811の下流部分とを覆うアルミ放熱板841を取り付けることにより構成されている。そして、ユニットサブ板825の合成樹脂板部の表側(後面側)には、中継基板830を取り付けるための中継基板領域826が上部に形成され、その下方に複数のギヤ843,844,847や検出円盤850が取り付けられるギヤ領域840が形成されている。中継基板領域826は、ほぼ正方形状に形成され、その正方形状に沿って中継基板830を載置する載置リブ827が突設され、その一側垂直辺の上下に後述する基板カバー835の係合突起836と係合する係合溝部828が形成され、その他側垂直辺の中央に基板カバー835の係止突部837と係合する係止爪部829が形成されている。また、中継基板領域826には、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴834と中継基板830をビス(図示しない)で止着するための取付ボス部832が形成されている。
上記した中継基板領域826に取り付けられる中継基板830は、賞球ユニット800に設けられる上述した払出球検出センサ812、払出モータ815、及び後述するセンサ855からの配線と、後述する払出制御基板1186(図158参照)からの配線とを中継するもので、そのために複数のコネクタが設けられると共に、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴833と前記取付ボス部832に対応する取付穴831とが穿設されている。しかして、中継基板830を中継基板領域826の載置リブ827に載置した状態で取付穴831と取付ボス部832とを合致させて図示しないビスで止着することにより中継基板830をユニットサブ板825の表面(後面)に止着することができる。
また、上記のように取り付けられる中継基板830は、基板カバー835によって被覆される。基板カバー835は、ほぼ正方形状の前面側が開放したボックス状に形成され、その一側垂直辺の上下基部に係合突起836と他側垂直辺のほぼ中央側面に係止突部837が形成されている。また、基板カバー835の正方形状の垂直面には、ボタン開口838と接続開口部839とが形成されている。しかして、基板カバー835の係合突起836を中継基板領域826の係合溝部828に差し込んで係合した後、係止突部837と係止爪部829とを係合させることにより、簡単に基板カバー835で中継基板830を被覆することができる。逆に、取り外す場合には、係止爪部829を弾性変形させて係止突部837との係合を解除すると共に基板カバー835を斜め手前側に引いて係合突起836と係合溝部828との係合を解除することができる。なお、基板カバー835を被覆した状態では、ボタン挿通係合穴821に係合されている着脱ボタン822の頭部がボタン挿通穴833,834を挿通してボタン開口838から外部に僅かに臨んでいる。また、中継基板830に接続された配線は、接続開口部839から外部に引き出されるようになっている。
次に、ユニットサブ板825に形成されるギヤ領域840に設けられるギヤ843,844,847、及び検出円盤850について説明する。前述したように、払出モータ815のモータ軸818の先端は、ユニットサブ板825のアルミ放熱板841に穿設される軸挿通穴842を貫通してユニットサブ板825の表面(後面側)に突出しており、その突出した部分に第1ギヤ843(駆動ギヤ)が固着されている。第1ギヤ843の上方には、該第1ギヤ843と噛合する第2ギヤ844(回転伝達ギヤ)がギヤカバー866の裏面(前面側)に一端が圧入され且つアルミ放熱板841に穿設される軸穴846に他端が支持される軸845に回転自在に設けられ、その第2ギヤ844の上方には、該第2ギヤ844と噛合する第3ギヤ847(回転伝達ギヤ)がユニットサブ板825に形成される軸穴849に圧入された軸848に回転自在に設けられている。更に、第3ギヤ847の上方には、該第3ギヤ847と噛合するギヤ部852(従動ギヤ)を有する検出円盤850が前記スプロケット807を軸支する回転軸808に回転自在に設けられている。なお、図129に示すように、モータ軸818の先端部がギヤカバー866に形成される受穴に遊嵌されている。また、回転軸808は、その一端がユニットベース体801に形成される軸受筒806に圧入されて支持され、その他端がギヤカバー866に形成される軸受穴に支持されるものであるが、ギヤ領域840の中央よりやや下方に形成された軸貫通穴864を貫通して振分空間805においてスプロケット807を回転自在に軸支し、ユニットサブ板825とギヤカバー866とによって形成される空間において検出円盤850を回転自在に軸支している。ただし、図129に示すように、スプロケット807の後端部が検出円盤850の中心前面部と係合した状態となっているので、スプロケット807と検出円盤850とは、回転軸808を中心として一体的に回転するようになっている。したがって、払出モータ815が回転駆動すると、その回転が第1ギヤ843、第2ギヤ844、第3ギヤ847、検出円盤850のギヤ部852を介してスプロケット807を回転するように伝達される。
検出円盤850の外周は、ギヤ部852の円よりも一回り大きく形成されており、そのギヤ部852よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット807の凹部と同じ数(図示の場合には、3個)の検出切欠851が形成されている。この検出切欠851は、ユニットサブ板825の表面に形成される基板取付部857に挟持支持されるセンサ基板854に設けられる投受光方式のセンサ855(回転位置検出手段)によって検出されるものである。そして、センサ855は、払出動作時において所定のインターバル時間内に検出切欠851の検出個数を検出することにより、スプロケット807が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、センサ855により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット807による球噛み状態)には、スプロケット807を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球噛み状態)を解消するものである。なお、実際に払いだされた球の個数は、前述した賞球通路810に設けられる払出球検出センサ812によって検出して計数のために使用している。なお、図129に示すように、センサ基板854の他端辺もギヤカバー866に形成される基板取付部に挟持されるようになっている。
上述したように、ギヤ領域840に設けられる複数のギヤのうち、第2ギヤ844だけがギヤカバー866側に圧入される回転軸845に回転自在に設けられているところ、ギヤ領域840を覆うギヤカバー866には、前記ユニットベース体801に突設されてユニットサブ板825の貫通穴858を貫通する取付ボス823の先端部に対応する位置に穿設される取付穴867が形成されている。そして、ギヤカバー866側に設けられる第2ギヤ844の歯とユニットサブ板825側に設けられる第1ギヤ843及び第3ギヤ847の歯とを噛み合わせながら、取付穴867と取付ボス823とを一致させた状態でギヤカバー866の後面からネジ868で螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持する状態でベースユニット体451とギヤカバー866とが一体的に固定される。また、ギヤカバー866の一側側面には、前記中継基板830に接続される配線(例えば、中継基板830と後述する払出制御基板1186とを接続する配線等)を掛け留めて纏める配線処理片869が突設されている。
以上、賞球ユニット800の構成について説明してきたが、ユニットベース体801とユニットサブ板825と中継基板830と基板カバー835とギヤカバー866とを組み付けた状態においては、図129に示すように、払い出すべき球が導かれる屈曲通路803の下方位置に払出モータ815の円筒状の本体部分が収納されるように位置する。また、ユニットベース体801には、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)内に配置されたスプロケット807と、球通路を避けた位置であって球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納された払出モータ815と、を設け、ユニットサブ板825には、その非閉塞面側に沿って払出モータ815のモータ軸818の回転をスプロケット807の回転軸808に伝達する回転伝達部材(第1ギヤ843、第2,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)を設け、しかも、払出モータ815と屈曲通路803の振分空間805に配置される払出部材としてのスプロケット807とをユニットサブ板825の後面のギヤ領域840に設けられる複数のギヤ843,844,847,850(852)によって回転駆動するように連結した構造となっている。即ち、ユニットベース体801とユニットサブ板825との間に形成される球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)の奥行き幅内にスプロケット807と払出しモータ465とを収納し、しかも、スプロケット807と払出しモータ465とを連結する回転伝達部材(第1ギヤ843、第2,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)をユニットサブ板825の非閉塞面側の所定幅内に沿って設けたので、球通路の外側に払出モータやスプロケットの一部を配置したものに比べて、賞球ユニット800を薄型化することができる。また、このような賞球ユニット800は、当該賞球ユニット800内の球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)が一条の通路形状で形成されることにより、より一層の薄型化が図られている。即ち、従来のように、払出モータ815を賞球ユニットの前面側又は後面側又は側方側に突出させるものと異なり、本体枠3の右後面枠196の後面側に取り付けたときに、賞球ユニット800のいずれの部分もさらに後方に向かって突出することがない構造とすることができる。なお、図129において、払出モータ815の前端部分がユニットベース体801の後面よりも僅かに突出して構成されているが、この突出部分は、図99に示すように、軸支側後面壁546の下方の払出モータ用逃げ開口部572から本体枠3の前方部分に臨むようになっているため、結果的にその突出寸法から軸支側後面壁546の板厚寸法を差し引いた寸法だけ突出する程度となり、軸支側後面壁546よりも前方に向かう突出量は僅かなものとなっている。また、このような構成をとることにより、本実施形態では、賞球ユニット800が取り付けられる本体枠3の軸支側後面壁546と遊技盤4の裏面との間に、遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部分を収納する収納空間を奥行き幅方向で大きくとることができる。
また、上記のように構成される賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に取り付けるためには、図121に示すように、鉤状係合部824と係合突片565とを対応させて位置合わせした後、賞球ユニット800の下端を係止溝573に掛け止め且つ鉤状係合部824と係合突片565とを係合させるために賞球ユニット800を軸支側後面壁546に密着させたまま下方に押下げる。このとき、賞球ユニット800の下端部と係止溝573とが係合し且つ鉤状係合部824と係合突片565とが係合しているので、取付自体は完了しているが、賞球ユニット800を上方に移動させることにより簡単に上記のそれぞれの係合状態が解除されてしまうため、これを防止するために、ロック用弾性爪564がボタン挿通係合穴821に係合するようになっている。つまり、ロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合することにより、取付状態で賞球ユニット800の上方への移動を防止している。このように、賞球ユニット800を取り付けた後に、球通路ユニット770の連結蓋部材786を前述したように回動して係止弾性爪820で係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772下流端と賞球ユニット800の屈曲通路803の上流端とを一対の通路壁790によって構成される通路を介して連通化することができる。また、賞球ユニット800を取り付けた状態では、賞球通路810の下流端と後に詳述する満タンユニット900の賞球入口927とが接続され、球抜通路811の下流端が球抜接続通路880の上流端と接続される。
一方、賞球ユニット800を取り外すときは、係止弾性爪820による係合を解除して連結蓋部材786を手前側に回動し、その後、着脱ボタン822を押圧してロック用弾性爪564を前面側に移動させてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821との係合を解除させ、その後着脱ボタン822を押圧したままの状態で賞球ユニット800を上方に引き上げて賞球ユニット800の下端部と係止溝573との係合及び鉤状係合部824と係合突片565との係合を解除して賞球ユニット800を手前側に引き出すことにより、賞球ユニット800を簡単に取り外すことができる。
<満タンユニット>
上記した賞球ユニット800の下流側に配置される満タンユニット900について、主として図130乃至図136を参照して説明する。図130は、賞球ユニット800と満タンユニット900との関係を示す斜視図であり、図131は、満タンユニット900の斜視図であり、図132は、満タンユニット900の正面から見た分解斜視図であり、図133は、満タンユニット900の背面から見た分解斜視図であり、図134は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す一部破断斜視図であり、図135は、満タンユニット900に設けられる底面揺動板907部分で切断した横断面図であり、図136は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す断面図である。
満タンユニット900は、前述したように本体枠3の満タンユニット載置部531に載置固定されるものであり、図132に示すように、上面が開放したボックス状に形成されるボックス主体901と、該ボックス主体901の上面を覆う蓋体926とから構成されている。ボックス主体901は、賞球通路810の下流端から流入した球が内部をジグザグ状に誘導されて出口921から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体926に形成される賞球入口927から流入した球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路902が形成されている。側方誘導通路902の賞球入口927の直下の一端部には、球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部903が設けられ、側方誘導通路902の他端内面に側方誘導通路902を流れてきた球の衝撃を受け止めて該球を下流側に誘導する緩衝部材904が設けられている。
また、側方誘導通路902の他端内面に設けられる緩衝部材904に衝突した球は、向きを下流側に変えた後、側方誘導通路902の球の流れと逆方向に流れるように誘導される逆側方誘導通路905が形成されている。逆側方誘導通路905を流れた球は、その後、前方に向かって形成される前方誘導通路920に導かれて該前方誘導通路920の流下端に形成される出口921から前述した皿ユニット300の賞球連絡樋451に導かれる。
ところで、前記逆側方誘導通路905の上流側の底面には、その底面の全域に亘って開口する底面開口906が形成され、その底面開口906を底面揺動板907が揺動自在に閉塞している。底面開口906は、上面が開放されたほぼ正方形の凹状に形成され、その内部の正面から見て前後方向の側壁に一対の軸支突起911が突設されている。また、底面開口906の凹状の底面にバネ913の下端を位置決めするための円形状のバネ載置凹部912が形成されている。一方、底面開口906を閉塞する底面揺動板907は、ほぼ正方形状に形成され、その裏面下流側に正面から見て前記軸支突起911に嵌合することにより軸支される半円形状の軸受部908が突設形成されている。また、底面揺動板907の裏面中央には、図135に示すように、バネ913の上端が係止されるバネ係止突起910が下方に向かって突設されている。したがって、底面揺動板907は、バネ913の付勢力によりその上流側が常に上方へ揺動された方向に付勢されている。そして、バネ913は、通常の賞球の払出個数(例えば、15個)が一度に底面揺動板907上に載置したときでも底面揺動板907が下方に揺動せず、賞球の払出個数以上の所定個数の球が底面揺動板907上に載置したときに下方に揺動するようなバネ係数を有するバネ部材によって形成されている。更に、底面揺動板907の上流側に検出突片909が前方に向かって突出されている。この検出突片909は、底面揺動板907の軸受部908を軸支突起911に嵌合軸支したときに、連通孔929を貫通して次に説明するスイッチ収納空間914に位置するようになっている。
また、逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側には、満タンスイッチ916を収納するためのスイッチ収納空間914が一体的に形成されている。スイッチ収納空間914に満タンスイッチ916を取り付けるために、スイッチ収納空間914の上部であって逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側面にスイッチ取付部918が形成され、そのスイッチ取付部918に満タンスイッチ916を保持するスイッチホルダー915の取付片917がネジ919によって止着されている。満タンスイッチ916は、投光器と受光器とからなるスイッチとして構成され、その受光器と投光器との間を検出突片909が上下に揺動することによりON・OFFを検出するものである。
更に、逆側方誘導通路905の下流側の一側方にファール球通路922が形成されている。ファール球通路922は、その上流側のファール球入口923が図134に示すように、前述したファール口610に連通し、その下流側が前方誘導通路920の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口610に取り入れられたファール球は、ファール球入口923から屈曲したファール球通路922を通って前方誘導通路920に導かれ、さらに出口921及び賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に戻される。
また、ボックス主体901には、前記出口921の両側方と前記ファール球入口923の一側方に前記満タンユニット載置部531に形成されるユニット係合溝532に係合される係合片924が突設されると共に、蓋体926に形成される掛止片928と係合する掛止突起925が形成されている。この掛止突起925は、ボックス主体901の左右後方の側壁上部に適宜形成されている。
一方、蓋体926は、ボックス主体520の側方誘導通路902、逆側方誘導通路905、前方誘導通路920、及びファール球通路922の上面を覆うような板形状に形成され、前記側方誘導通路902に上流端に対応する位置に正方形状の賞球入口927が開口されている。また、蓋体926の周囲には、ボックス主体901の前記掛止突起925と係合するための掛止片928が下方に向かって突設されている。
上記のように構成される満タンユニット900においては、図130に示すように、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球が賞球入口927から側方誘導通路902の上流側に入って側方誘導受部903によって側方に向かって誘導されて緩衝部材904に衝突する。緩衝部材904に衝突した球は、そのまま下流側に向かって逆側方誘導通路905を前記側方誘導通路902の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路920に導かれ、前方誘導通路920の出口921から賞球口39を通って皿ユニット300に導かれる。また、ファール球入口923から入ったファール球も屈曲したファール球通路922によって球の勢いを弱められて前方誘導通路920に合流し、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。
そして、通常時、満タンユニット900内を球が自然に流れているときには、側方誘導通路902から逆側方誘導通路905に球が移動する際に、底面揺動板907に落下するが、通常の賞球の払出個数程度では、バネ913の弾発力が強いので、底面揺動板907が揺動することがなく、図135の実線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、皿ユニット300に賞球が貯留されて満タンユニット900内にも球が充満してきたときには、前方誘導通路920及び逆側方誘導通路905の上流側の全域に形成される底面揺動板907上に貯留された球の圧力により底面揺動板907がバネ913の付勢力に抗して下方に揺動し、図135の二点鎖線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ916がONすると、賞球ユニット800の払出モータ815の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。
上記したように、満タンユニット900においては、球が流下する通路(図示の場合には、逆側方誘導通路905)の通路底面の幅とほぼ同じ幅の底面揺動板907によって満タンスイッチ916を作動させるようにすると共に、通常時の球の流れによって揺動せずある程度の球が載置したときに底面揺動板907揺動するように付勢部材(バネ913)で付勢したので、従来のように一部の通路の底面等に球が載置したことにより球詰まりを検出するものに比べて、その一部の通路部分における球の載置が球詰まりによって検出されない事態を確実に防止することができる。このことは、球の満タンを確実に検出することができるものである。
上記したように、本実施形態に係る満タンユニット900においては、本体枠3の満タンユニット載置部531に着脱自在に取り付けるものであるため、従来のように、満タン装置を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に満タン構造のための通路を形成する必要がない。また、満タンユニット900の内部をジグザグ状の通路とすることにより、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球の勢いを弱めながら皿ユニット300に誘導することができるので、払い出された賞球が皿ユニット300から外に飛び出すこともない。更に、本実施形態に係る満タンユニット900は、ファール球を導くファール球通路922が賞球を払い出す前方誘導通路920の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
〔満タンユニットの他の実施形態〕
上記した実施形態(以下、「第1実施形態に係る満タンユニット」という。)に係る満タンユニット900は、満タンスイッチ916を作動させる底面揺動板907を逆側方誘導通路905の上流側の底面のほぼ全域に設けたものを示したが、満タンスイッチの配置位置を球が通る誘導通路の底面に設けなくても、満タン時により確実に満タン検出することができる満タンユニットに係る実施形態(以下、「第2実施形態に係る満タンユニット」という。)について、図137乃至図142を参照して説明する。図137は、賞球ユニット800と満タンユニット940との関係を示す斜視図であり、図138は、満タンユニット940の分解斜視図であり、図139は、満タンユニット940内の球の流れを示す斜視図であり、図140は、満タン揺動板951の作用を説明するための平面図であり、図141は、満タンユニット940とファール口610との関係を示す一部破断斜視図であり、図142は、同じく満タンユニット940とファール口610との関係を示す断面図である。
第2実施形態に係る満タンユニット940も、本体枠3の満タンユニット載置部531に載置固定されるものであり、図138に示すように、上面が開放したボックス状に形成されるボックス主体941と、該ボックス主体941の上面を覆う蓋体963とから構成されている。ボックス主体941は、賞球通路810の下流端から流入した球が内部をジグザグ状に誘導されて出口958から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体963に形成される賞球入口964から流入した球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路942が区画壁946によって形成されている。側方誘導通路942の賞球入口964の直下の一端部には、球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部943が設けられ、側方誘導通路942の他端内面に側方誘導通路942を流れてきた球の衝撃を受け止めて該球を下流側に誘導する緩衝部材944が設けられている。
また、側方誘導通路942の他端内面に設けられる緩衝部材944に衝突した球は、向きを下流側に変えた後、その下流側に形成される傾斜側壁947によって側方誘導通路942の球の流れと逆方向に流れるように誘導される。つまり、区画壁946と傾斜側壁947とにより逆側方誘導通路945が形成されている。逆側方誘導通路945を流れた球は、その後前方に向かって形成される前方誘導通路957に導かれて該前方誘導通路957の流下端に形成される出口958から前述した皿ユニット300の賞球連絡樋451に導かれる。
ところで、前記緩衝部材944の下流側で逆側方誘導通路945の一端部には、スイッチ収納空間948が外側に突出するように形成されている。このスイッチ収納空間948の前方下部位置には、支軸ピン949が突設され、該支軸ピン949に満タン揺動板951の軸穴953が挿通されて満タン揺動板951が揺動自在に設けられている。満タン揺動板951は、逆側方誘導通路945の一端側壁を形成するように板状に形成され、その板状の下端に軸穴953が形成されると共にその裏面に検出片952が一体的に形成されている。検出片952は、満タン揺動板951の裏面に連結される扇状の連結板の後端部分を上下方向に突設することにより形成され、その突設した検出片952が後に詳述する投受光方式の満タンスイッチ966の投光器と受光器との間を遮蔽したり導通させたりすることにより満タンスイッチ966のON・OFFを検出するようになっている。なお、支軸ピン949には、軸スプリング950も挿通され、その軸スプリング950の一端が満タン揺動板951の裏面に係止され、他端が支軸ピン949の後方に立設されるバネ係止ピン955に係止されることにより、満タン揺動板951の上端部が常時逆側方誘導通路945側に付勢されている。ただし、スイッチ収納空間948の上部には、側方誘導通路942の他端側壁の下流側延長位置とその後方位置とに2つのストッパー片534が形成されているため、満タン揺動板531の上端部は、この2つのストッパー片954の間で支軸ピン949を中心にして揺動するだけである。なお、スイッチ収納空間948の上部側壁の後方部分には、満タンスイッチ966からの配線967を外部に引き出すための配線引き出し凹部956が形成されている。
更に、逆側方誘導通路945の下流側の一側方にファール球通路959が形成されている。ファール球通路959は、その上流側のファール球入口960が図141に示すように、前述したファール口610に連通し、その下流側が前方誘導通路957の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口610に取り入れられたファール球は、ファール球入口960から屈曲したファール球通路959を通って前方誘導通路957に導かれ、さらに出口958及び賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に戻される。
また、ボックス主体941には、前記出口958の両側方と前記ファール球入口960の一側方に前記満タンユニット載置部531に形成されるユニット係合溝532に係合される係合片961が突設されると共に、蓋体963に形成される掛止片968と係合する掛止突起962が形成されている。この掛止突起962は、ボックス主体941の左右後方の側壁上部に適宜形成されている。
一方、蓋体963は、ボックス主体941の側方誘導通路942、逆側方誘導通路945、スイッチ収納空間948、前方誘導通路957、及びファール球通路959の上面を覆うような板形状に形成され、前記側方誘導通路942の上流端に対応する位置に正方形状の賞球入口964が開口されている。また、スイッチ収納空間948に対応する位置には、投受光方式の満タンスイッチ966を取り付けるためのスイッチ取付部965が形成されている。満タンスイッチ966のスイッチ取付部965への取り付けは、蓋体963の下面から満タンスイッチ966の形成される係止爪をスイッチ取付部965の係止部に係止させることにより簡単に取り付けるようになっている。更に、蓋体963の周囲には、ボックス主体941の前記掛止突起962と係合するための掛止片968が下方に向かって突設されている。
上記のように構成される満タンユニット940においては、図139に示すように、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球が賞球入口964から側方誘導通路942の上流側に入って側方誘導受部943によって側方に向かって誘導されて緩衝部材944に衝突する。緩衝部材944に衝突した球は、そのまま下流側に向かって傾斜側壁947に当たって逆側方誘導通路945を前記側方誘導通路942の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路957に導かれ、前方誘導通路957の出口958から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。また、ファール球入口960から入ったファール球も屈曲したファール球通路959によって球の勢いを弱められて前方誘導通路957に合流し、前方誘導通路957の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。
上記のように、満タンユニット940内を球が自然に流れているときには、図140(A)に示すように、側方誘導通路942から逆側方誘導通路945に球が移動するときに、緩衝部材944に当たって傾斜側面947のほぼ中央位置に向かって反射されるため、球が満タン揺動板951に当たることはほとんどない。このため、軸スプリング950の付勢力により満タン揺動板951の上端が前方のストッパー片954に当接した状態となっているため、検出片952が投受光方式の満タンスイッチ966の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、皿ユニット300に賞球が貯留されて満タンユニット940内にも球が充満してきたときには、図140(B)に示すように、前方誘導通路957及び逆側方誘導通路945に貯留された球の圧力により満タン揺動板951が軸スプリング950の付勢力に抗して時計回転方向に揺動して後のストッパー片954に当接した状態となる。この状態では、検出片952が投受光方式の満タンスイッチ966の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ966がONすると、賞球ユニット800の払出モータ815の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。なお、前方誘導通路957及び逆側方誘導通路945に球が貯留された状態であっても、ファール球通路959の底面の傾斜が極めて強いため、貯留している球がファール球通路959を逆流してファール球入口960から逆流することはない。
上記したように、第2実施形態に係る満タンユニット940においては、本体枠3の満タンユニット載置部531に着脱自在に取り付けるものであるため、従来のように、満タン装置を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に満タン構造のための通路を形成する必要がない。また、満タンユニット940の内部をジグザグ状の通路とすることにより、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球の勢いを弱めながら皿ユニット300に誘導することができるので、払い出された賞球が皿ユニット300から外に飛び出すこともない。また、満タンスイッチ966を作動させる満タン揺動板951が通常の球の流れによって影響を受けることのない側方誘導通路942の流下端の下方の位置に設けられているので、通常時に満タンによる賞球の払出停止状態となることはなく、満タン時にだけ確実に賞球の払出停止状態とすることができる。更に、第2実施形態に係る満タンユニット940は、ファール球を導くファール球通路959が賞球を払い出す前方誘導通路957の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
<錠装置>
次に、本体枠3の開放側の裏側端辺に沿って垂直方向に取り付けられる錠装置1000について主として図143乃至図151を参照して説明する。図143は、錠装置1000と本体枠3との関係を示す背面斜視図であり、図144は、錠装置1000の本体枠3への掛け止め構造を示す拡大側方断面図であり、図145は、パチンコ遊技機1の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図であり、図146は、錠装置1000と本体枠3の側壁540,541との詳細な関係を示す拡大断面図であり、図147は、錠装置1000の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)であり、図148は、錠装置1000の背面側から見た斜視図(A)、錠装置1000のコ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の斜視図(B),(C)であり、図149は、錠装置1000の分解斜視図であり、図150は、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の作用を説明するための正面図であり、図151は、不正防止部材1023,1032の作用を説明するための正面図である。
錠装置1000は、本体枠3の開放側の第1側面壁540に沿って本体枠3のほぼ上端から下端にかけて取り付けられるものであり、図143に示すように、本体枠3の外周側辺と第1側面壁540の立ち上がり部との間の上下端近い部分及び中程に形成される複数(図示の場合、3個)の錠係止穴548と、第1側面壁540の垂直面の上部と中程に切り欠けられて形成される錠取付穴547とシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成される錠取付穴547と、によって次に説明する錠装置1000のコ字状基体1001が支持固定されるものである。そこで、以下、錠装置1000の構造について詳細に説明する。
図147乃至図149に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、該コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、前記コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、該本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取り付けられる不正防止部材1023,1032と、からなる。
コ字状基体1001は、金属を断面コ字状となるように折り曲げ、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設けるものであるが、その横幅寸法は従来の断面L字状に成形された基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これは、前述したように遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしたため、側面壁540と本体枠3の外周辺との間の寸法が極めて小さくなっていることにより、本実施形態に係る錠装置1000の横幅寸法を小さく形成して錠装置1000を本体枠3の裏側に取り付けることができるような取付構造として改良したためである。そして、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態の不正防止構造となっている。
まず、コ字状基体1001の開放側と反対の閉塞側上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通される長方形状のフック貫通開口1002が開設されると共に、閉塞側であって第1側面壁540と密着する側面1001b(図149参照)上部と中程に水平方向にビス止め部1003が突設され、更に、開放側の第1側面壁540と密着しない側面1001a(図149参照)の上端部及び中間部と、開放側の両側面1001a,1001bの下端部に係止突起1004が突設形成されている。ビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ(図144参照)、その状態でビス止め部1003と錠取付穴547とが一致するため、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができる。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させて図示しないビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、その取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中の2箇所に形成されたビス止め部1003及びコ字状基体1001の開放側(前方部)に形成されたビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定し且つ錠装置1000の下方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。換言するならば、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前方部と後方部との係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第1側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第1側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第1側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
また、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に挿通穴1005が形成され、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることにより、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けることができる。即ち、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されるリベット用長穴1042と本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052にそれぞれ1つずつ形成されるリベット用長穴1055,1061にリベット1006を貫通させることにより、扉枠用摺動杆1040が上方に移動できるようにし、本体枠用摺動杆1050が下方に移動できるようになっている。したがって、図148(B)に示すように本体枠用摺動杆1050のリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、図148(C)に示すように扉枠用摺動杆1040のリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通している。
更に、コ字状基体1001の下方部には、その閉塞側面に不正防止切欠部1007が形成されると共に、その開放側の本体枠3の第1側面壁540と密着する側面1001bの前端部にシリンダー錠1010を取り付けるための錠取付片1008が側方に向かって突設され、更に、第1側面壁540と密着する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022がそれぞれ形成されている。不正防止切欠部1007は、後に説明する第1不正防止部材1023のストッパー片部1027が進退するようになっている。この点については、後に詳述する。また、錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けた状態で、遊技盤設置凹部510の下端辺よりも下方の位置となるようにコ字状基体1001の側面1001bの前端部から側方に向かって突設されるが、この錠取付片1008には、シリンダー錠1010が貫通する錠挿通穴1009が形成されると共にシリンダー錠1010の錠取付基板1011に形成される取付穴1013をビス1012で取り付けるための取付穴1014が上下2箇所に穿設され、更に、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取り付けるためのビス止め部1003が穿設されている。また、挿入縦開口1020は、シリンダー錠1010に固定される係合カム1016の第1係合突片1017及び第2係合突片1018がシリンダー錠1010の回動時に侵入するための開口であり、バネ係止片1021は、不正防止部材1023,1032に設けられるバネ1035が係止されるものであり、逃げ横穴1022は、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を構成するものである。この点については後に詳述する。
上記した錠取付片1008に取り付けられるシリンダー錠1010について説明すると、シリンダー錠1010は、錠取付基板1011の前方に円筒状のシリンダー錠本体が固定され、そのシリンダー錠本体の錠軸1015が錠取付基板1011より後面に出ており、その錠軸1015の後端に係合カム1016がビス1019によって固定されている。係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、その一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第1係合突片1017となっており、その他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第2係合突片1018となっている。そして、上記のように構成されるシリンダー錠1010は、円筒状のシリンダー錠本体部分を錠挿通穴1009に挿通して錠取付基板1011の上下2箇所に形成される取付穴1013と錠取付片1008の取付穴1014とを一致させてビス1012で螺着することにより、シリンダー錠1010をコ字状基体1001に固定することができる。
次に、コ字状基体1001に取り付けられる不正防止部材1023,1032,について図149を参照して説明する。不正防止部材1023,1032は、シリンダー錠1010を正式な鍵で回動せずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。しかして、不正防止部材1023,1032は、第1不正防止部材1023と第2不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第1不正防止部材1023は、上端の揺動軸穴1025を中心にして揺動自在に構成される縦長の板状に形成され、その揺動軸穴1025を前述したコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けるための挿通穴1005及びリベット1006のうち、最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取り付けられる。
また、第1不正防止部材1023には、その板状面に前記挿入縦開口1020と重複する縦長な突片挿入穴1026が開設され、この突片挿入穴1026に第2係合突片1018が挿入し得るようになっている。つまり、突片挿入穴1026と挿入縦開口1020を第2係合突片1018が貫通することにより、コ字状基体1001の内部に設けられる扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第2係合突片1018とが係合するようになっている。また、第1不正防止部材1023の突片挿入穴1026の開設位置の斜め上方の外形線が傾斜部1024となっている。この傾斜部1024は、係合カム1016の回動時に第1係合突片1017の後面側と当接するもので、係合カム1016の回動時に第1係合突片1017と傾斜部1024とが当接することにより第1不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図151(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第1不正防止部材1023には、前記突片挿入穴1026の斜め下方の外形線上にストッパー片部1027が突設され、そのストッパー片部1027の下方に規制突片1031が突設され、該規制突片1031の前方部にピン穴1029と連結穴1030とが上下に形成されている。ストッパー片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に前記不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合して本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにするものである。また、規制突片1031は、第1不正防止部材1023と第2不正防止部材1032とはバネ1035によって連結されるが、そのバネ1035で連結されたときに第2不正防止部材1032の付勢方向への移動を規制するものである。ピン穴1029は、ガイドピン1028が固定されるものであり、ガイドピン1028が第1不正防止部材1023の裏面側からピン穴1029に固定された状態で、そのガイドピン1028を前記挿入縦開口1020の最下端部に形成される横長状開口部に係合させることにより、第1不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内するものである。更に、連結穴1030は、第1不正防止部材1023と第2不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結するためのものである。
上記した第1不正防止部材1023に連結される第2不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033が形成され、その上部他端にバネ係止穴1036が穿設され、下方端部に当接部1037が設けられている。連結穴1033は、第1不正防止部材1023の連結穴1030と一致させて連結ピン1034で連結するためのものであり、バネ係止穴1036は、一端がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されるバネ1035の他端を係止するものである。また、当接部1037は、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定される閉鎖用突起41と当接するものである。なお、上記した第1不正防止部材1023及び第2不正防止部材1032の作用については、後に詳述する。
次に、コ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050について説明する。まず、扉枠用摺動杆1040は、縦長の金属製の板状部材から構成され、その一側縦辺の上中下の3箇所に扉枠用フック部1041が前方に向かって一体的に突設されている。この扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に収納したときに、その開放側から前方に突出しているもので、錠装置1000を本体枠3の裏面に固定したときに、本体枠3に形成される扉用フック穴549(図95及び図96参照)から前方に突出し、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー227(図29参照)に係止するものである。なお、扉枠用フック部1041は、下向きの係合爪形状となっているため、扉枠用摺動杆1040を上昇させることにより扉枠用フック部1041とフックカバー227との係止状態を解除することができる。
また、扉枠用摺動杆1040の上中下の側面中央に、前記リベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042が形成され、該リベット用長穴1042のうちの最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端にガイド突起1043が突設されている。リベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が貫通されるものであり、しかも、このリベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。そして、通常状態においては、リベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通当接した状態となっている。また、ガイド突起1043は、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成される突片移動穴1056,1064に挿通されるものであり、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内するようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040の上端部にスプリングフック部1046が形成され、このスプリングフック部1046にスプリング1048の一端が係止され、そのスプリング1048の他端が本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051に形成されるスプリングフック部1057に係止される。これにより、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、それぞれ相互に付勢されている。扉枠用摺動杆1040の中程には、当接弾性片1047が凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレスで打ち出して凸状に形成したものであり、コ字状基体1001の内側面に当接して内部で扉枠用摺動杆1040がガタつかないようにするものである。更に、扉枠用摺動杆1040の下方部分の側面には、共に縦長な遊び穴1044と上昇係合穴1045とが形成されている。遊び穴1044は、係合カム1016の第1係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第1係合突片1017の先端部が移動しえる空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第2係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040の縦辺下部後方には、前記不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きな切欠である逃げ切欠部1049が形成されている。この逃げ切欠部1049は、第1不正防止部材1023のストッパー片部1027を確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合させるために邪魔しないように形成されるものである。
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1053と、から構成されている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されているわけではなく、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。このため、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができる。
ところで、上フック部材1051には、その上端部に後方に向かってフック部1054が突設され、その板面部にリベット用長穴1055と突片移動穴1056とが形成され、また、その前方の縦辺下端部にスプリングフック部1057と連結穴1058とが形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1059が形成されている。フック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に設けられる閉鎖用突起38に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、上フック部材1051が下方に向かって移動することができるようになっている。突片移動穴1056は、前述したように扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。スプリングフック部1057は、前述したようにスプリング1048の他端が係止されるものである。また、連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるものである。更に、当接部1059は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して上フック部材1051の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
一方、下フック部材1052には、その下端部に後方に向かってフック部1065が突設され、その板面部の上方から下方にかけてリベット用長穴1061と下降係合穴1062と遊び穴1063と突片移動穴1064とが順次形成され、また、その前方の縦辺上端部に連結穴1060が、その後方の縦辺下部に係合切欠部1066がそれぞれ形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1067が形成されている。フック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に設けられる閉鎖用突起41に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1061にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。下降係合穴1062は、係合カム1016の第1係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、遊び穴1063は、係合カム1016の第2係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第2係合突片1018の先端部が移動し得る空間を構成するものである。突片移動穴1064は、前述したように扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。また、連結穴1060は、連結線杆1053の下端が折り曲げられて挿入されるものである。更に当接部1067は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して下フック部材1052の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
以上、錠装置1000を構成する各部材について説明してきたが、この錠装置1000を組み付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とをコ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入する。その後、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。この際、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。ただし、最下端のリベット1006を差し込むときには、第1不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第1不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取り付ける必要がある。なお、第1不正防止部材1023をコ字状基体1001に取り付ける前に、第1不正防止部材1023と第2不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し且つガイドピン1028をピン穴1029に図示しないビスで止着しておき、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片(穴)1021,1036に掛け渡して第2不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009にシリンダー錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダー錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、このとき係合カム1016の第1係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入し、係合カム1016の第2係合突片1018の先端部が第1不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入した状態となるようにシリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付ける。
上記のようにして組み付けた錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためには、前述したように、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠3に形成される扉用フック穴549に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、図143に示すように、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第1側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第1側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第1側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
ところで、本体枠3の裏面に取り付けられた錠装置1000の作用について図150及び図151を参照して説明する。まず、図150を参照して本体枠3の開閉動作と扉枠5の開閉動作について説明する。本体枠3が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図150(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー227とが係止した状態となっている。その状態でシリンダー錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第1係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図150(B)に示すように、第1係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。このため、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止状態が解除されるため、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図150(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖用突起38,41の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、遂には、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖用突起38,41とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻る。
一方、シリンダー錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第2係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図150(C)に示すように、第2係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー227と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるため、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図150(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているため、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー227の上端部と当接するので、扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、遂には、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー227とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長とほぼ同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面のほぼ全長に亘って取り付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているため、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠が確実に行われ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないという利点もある。
上記したように、本実施形態に係る錠装置1000は、シリンダー錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。この場合、シリンダー錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させる不正行為が行われることがあるが、本実施形態においては、このような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第1番目が第1不正防止部材1023と第2不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第2番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
まず、第1番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図151を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態においては、図151(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起41と第2不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第1不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパー片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパー片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。このため、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパー片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができない。
一方、シリンダー錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図151(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第1係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第1係合突片1017の回動時に、第1不正防止部材1023の傾斜部1024と第1係合突片1017の側面とが当接するため、第1不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパー片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。このため、ストッパー片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。このとき、第2不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第1係合突片1017も回動させると、第1係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖用突起38,41との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じるときには、第2不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているため、第1不正防止部材1023と第2不正防止部材1032との位置関係は、図151(A)に示す状態とほぼ同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖用突起41と第2不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図151(A)に示す状態となる。このため、第1不正防止部材1023と第2不正防止部材1032とが本体枠3を閉じるときに邪魔になることはない。また、本実施形態においては、第1不正防止部材1023と第2不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第1番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第1不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係る錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダー錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤の下端辺よりも下方となる位置としたので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取り付けることができる。そして、断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができない。また、錠装置1000の取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003及びビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
なお、上記した実施形態においては、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成した錠取付穴547とを螺着する構造としたが、これに代えて、シリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付けるビス1012を利用して、該ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダー錠貫通穴526の上下に形成する構造でも良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付穴547との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定されることを確認している。更に、上記した実施形態においては、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものとしたが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を第1側面壁540に密着しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、第1側面壁540に密着する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第1側面壁540とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としてもよい。この場合でも、実施形態と同じような取付構造及び不正防止構造とすることができる。
<基板ユニット>
次に、本体枠3の裏面下部に取り付けられる基板ユニット1100について、主として図152乃至図162を参照して説明する。図152は、基板ユニット1100を背面側から見た斜視図であり、図153は、基板ユニット1100の背面側から見た分解斜視図であり、図154は、基板ユニット1100を前面側から見た斜視図であり、図155は、基板ユニット1100の前面側から見た分解斜視図であり、図156は、基板ユニット1100の主体をなす枠用基板ホルダー1101の前面側から見た正面図であり、図157は、枠用基板ホルダー1101の背面図であり、図158は、基板ユニット1100の背面図であり、図159は、払出制御基板ボックス1105及び端子基板ボックス1104を取り外した状態の基板ユニット1100の背面図であり、図160は、基板ユニット1100に設けられる各基板の接続関係を示す平面図であり、図161は、図162の断面図の断面箇所を説明するための遊技盤4の正面図であり、図162は、図161のC−C断面図である。
基板ユニット1100は、本体枠3の裏面下部に複数形成されるホルダー用の取付穴部527(図96,図98参照)に取り付けられるものであり、図152及び図153に示すように、合成樹脂成形された枠用基板ホルダー1101に、扉中継基板1102、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、払出制御基板ボックス1105、主ドロワ中継基板1107、及び副ドロワ中継基板1108の各種基板を取り付けることにより構成されている。上記の基板のうち、扉中継基板1102、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、及び払出制御基板ボックス1105は、枠用基板ホルダー1101の後面側に前後方向に重複して取り付けられ、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108は、枠用基板ホルダー1101の前面側に取り付けられるものである。なお、払出制御基板ボックス1105の裏面には、電源基板等からの電磁波の影響を防止するためにシールド板1106が取り付けられ、また、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108は、基板カバー1109に被覆されて取り付けられている。以下、基板ユニット1100を構成する各部材について詳細に説明する。
まず、枠用基板ホルダー1101は、横長状に合成樹脂で成形され、図153及び図156に示すように、その後面側一側部(図156において右側部)に配線用開口1124が形成され、該配線用開口1124の内側に扉中継基板1102を取り付けるための中継基板用凹部1110が形成されている。この中継基板用凹部1110は、ほぼ正方形状の扉中継基板1102の外形に合致するように正方形状の凹部として形成され、この中継基板用凹部1110内の上下辺には、扉中継基板1102の裏面を支える当接突部1113が突設されると共に、中継基板用凹部1110に扉中継基板1102を収納した状態で扉中継基板1102の一側縦辺の表面と係止する止め爪1111が形成されている。また、中継基板用凹部1110の外側寄りの上下には、電源基板ボックス1103の一端辺に形成される係合係止穴1143に係合されて図示しないビスで止着するための取付ボス1112が突設されている。
また、枠用基板ホルダー1101の後面側において、上記した中継基板用凹部1110よりも中央寄りに内部に通す配線を係止して纏めるための2つの配線処理片1114が形成されている。この配線処理片1114は、垂直面に対して側方から見たときにL字状に突出形成されるもので、その垂直面とL字状突片との間に配線を掛け止めるようになっている。更に、枠用基板ホルダー1101の前記中継基板用凹部1110の上部からほぼ中央よりやや他端側に近い部分までが電源基板ボックス1103を取り付けるための領域(次に説明する右側の低い領域)となっており、その上下辺に電源基板ボックス1103の裏面と当接する当接突部1115が突設されている。したがって、この電源基板ボックス取付領域に電源基板ボックス1103を当接突部1115に当接するように取り付けた状態では、電源基板ボックス1103の裏面と枠用基板ホルダー1101の垂直面との間に空間が形成され、この空間内に基板相互を接続する配線が収納されることになり、この収納された配線を係止して纏めるものが2つの前記配線処理片1114である。
なお、電源基板ボックス1103を取り付ける領域の他端辺から枠用基板ホルダー1101の他端辺(図156において左側辺)までは、後方への突出量が大きく形成されている。つまり、枠用基板ホルダー1101は、背面から見たときに、中央よりやや左側の位置で左側が高く右側が低い段差状に形成されており、その右側の低い領域が前記電源基板ボックス1103を取り付けるための領域(以下、「電源基板ボックス取付領域」という場合がある。)となっている。そして、この電源基板ボックス取付領域の他端辺側には、電源基板ボックス1103の他端辺上下に突設される挿入突起1142が挿入される挿入口1116が形成されている。このため、電源基板ボックス1103を取り付けるためには、挿入突起1142を挿入口1116に差し込んだ後、電源基板ボックス1103の一端辺上下に形成される係合係止穴1143を取付ボス1112に上から差し込んで図示しないビスで止着することにより、電源基板ボックス1103を枠用基板ホルダー1101に固定することができる。
更に、枠用基板ホルダー1101の背面側において、上記した段差状の高い領域は、払出制御基板ボックス1105を取り付けるための領域(以下、「払出制御基板ボックス取付領域」という場合がある。)の一部を構成するものであり、この段差状の高い領域の一部には、横L字状の凹状の配線引き廻し空間1117が形成されている。この配線引き廻し空間1117の底面には、配線用開口1125(図155〜図159参照)が形成されており、前記電源基板ボックス取付領域内の2つの配線処理片1114に掛け止められた配線を配線引き廻し空間1117及び配線用開口1125から枠用基板ホルダー1101の前面側に引き出すようになっている。また、払出制御基板ボックス取付領域の他端側(図153の左端部側)には、払出制御基板ボックス1105の係合弾性片1185が係合するための係止突部1118が突設形成されている。
次に、枠用基板ホルダー1101の前面側の構成について説明すると、図154、図155、図157に示すように、枠用基板ホルダー1101の前面側のほぼ中央には、アウト球通路1119が逆さL字状に形成されている。このアウト球通路1119は、前述したアウト口606(図105参照)、球抜排出通路524(図96参照)の下流側、及び落下口629(図103参照)と対応するように上方が幅広く形成され、下流側が球を列状に排出するように幅狭く形成されている。したがって、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けたときには、図99に示すように、アウト球通路1119の幅広上流部がアウト口606の下面を支持する通路支持突起513の後方に位置するようになっている。そして、アウト球通路1119の下流端からアウト球や入賞球、あるいは球抜き球がパチンコ遊技機の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって放出されるものである。
また、枠用基板ホルダー1101の前面側であって前記払出制御基板ボックス取付領域に対応する前面側には、その上方領域に主ドロワ中継基板1107と副ドロワ中継基板1108とを横方向に所定間隔を空けて並列状に取り付けるドロワ取付領域1121が形成されている。ドロワ取付領域1121には、それぞれの中継基板1107,1108に形成された支持穴1204が貫通されて各中継基板1107,1108を支持するためのドロワ取付ボス1120が突設されると共に、それぞれの中継基板1107,1108の中間位置の上下に接合案内孔1127と案内孔1126が穿設されている。この接合案内孔1127は、図162に示すように、遊技盤4を本体枠3に装着する作業に伴って、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202(ホルダー側コネクタ)と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627(遊技盤側コネクタ)とが自然に接続されるように遊技盤4の盤用基板ホルダー623に形成される接合案内突起628(図106参照)が挿入されるものである。一方、案内孔1126は、基板ユニット1100を本体枠3に取り付ける際に、本体枠3に突設される案内突起525(図96参照)が挿入されるもので、基板ユニット1100の位置決めを行うと共に装着作業の容易化を図っているものである。また、枠用基板ホルダー1101の左右両辺及び下辺には、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けるための取付片1122が外側に向かって突設され、該取付片1122を本体枠3の前記取付穴部527(図96参照)に対応させて図示しないビスで止着することにより、基板ユニット1100が本体枠3の背面下部に取り付けられる。なお、取付穴部527は、図98に示すように、取付片1122の外形形状に合致する外周壁を有して形成されている。更に、枠用基板ホルダー1101の他端側(図154の右側)側壁の外側に、配線を係止するための配線掛止片1123が突設形成されている。
枠用基板ホルダー1101の構成は、概ね上記した通りであるが、そのような構成を有する枠用基板ホルダー1101に取り付けられる各種の基板の構成について説明する。まず、枠用基板ホルダー1101の後面側の前記中継基板用凹部1110に装着される扉中継基板1102について説明すると、扉中継基板1102には、図153に示すように、多ピンコネクタ形式の内部接続端子1130と扉枠用接続端子1131とが設けられている。扉枠用接続端子1131は、枠用基板ホルダー1101にすべての基板を取り付けた状態においても、図158に示すように、背面から見て外部から視認できるようになっており、扉枠5に設けられるランプ及びLEDからなる電飾部品やスピーカ等の扉枠用配線1220(図160参照)が配線用開口1124を通って扉枠用接続端子1131に接続されるものである。また、内部接続端子1130は、副ドロワ中継基板1108に設けられる扉枠用コネクタ1203に内部配線1221(図160参照)によって接続されるものである。ただし、この内部配線1221は、前述した配線処理片1114及び配線引き廻し空間1117、配線用開口1124を敷設されるように枠用基板ホルダー1101の内部に設けられている。
また、枠用基板ホルダー1101の後面側の前記電源基板ボックス取付領域に取り付けられる電源基板ボックス1103は、電源基板1144(図159参照)を固定するボックス主体1140と、該ボックス主体1140を被覆するカバー体1141と、から構成されている。ボックス主体1140には、その一端部の上下に前記取付ボス1112と係合する係合係止穴1143が一体的に形成され、その他端部の上下に前記挿入口1116に挿入される挿入突起1142が一体的に形成されている。また、電源基板1144のカバー体1141に被覆されない部分(図159の右側部と左下部)には、図159に示すように、電源スイッチ1145と電源線コネクタ1146とCRユニット電源コネクタ1147とアース用コネクタ1148と払出制御基板用電源コネクタ1149とが設けられている。電源スイッチ1145は、パチンコ遊技機1の全ての電気機器に電源を供給するためのスイッチであり、パチンコ遊技機1を使用する際にONとするものである。また、電源線コネクタ1146は、島内に供給されている100V又は24Vの電源用配線からの電源配線を接続するためのコネクタである。CRユニット電源コネクタ1147は、パチンコ遊技機1に隣接されるカード式球貸器(図示しない;一般的に、CRユニットと言われている。)への電源を供給するためのコネクタである。アース用コネクタ1148は、パチンコ遊技機1に設けられる帯電防止用のアース装置(例えば、前述したアース線接続具557)からのアース線が接続されて電源基板1144及び電源線コネクタ1146を介して外部に静電気がアースされるようになっている。更に、払出制御基板用電源コネクタ1149には、図160に示すように、電源供給用配線1222が接続され、該電源供給用配線1222が払出制御基板1186の電源用端子1193に接続されている。そして、この電源供給用配線1222により、払出制御基板1186を介して他の制御基板(例えば、液晶表示制御基板ボックス622に収納される液晶表示制御基板や遊技制御基板ボックス624に収納される遊技制御基板)等に電源を供給するようになっている。なお、電源供給用配線1222は、払出制御基板用電源コネクタ1149から前記配線引き廻し空間1117に導かれ払出制御基板ボックス1105の裏面から後方に引き出されて電源用端子1193に接続されるようになっている。つまり、この電源供給用配線1222も枠用基板ホルダー1101の内部に敷設された状態となっている。
ところで、電源基板ボックス1103のカバー体1141の後面は、図153に示すように、段差状に形成され、その段差の高い領域が端子基板ボックス1104を取り付けるための取付領域1150となっており、段差の低い領域が払出制御基板ボックス1105を取り付けるための取付領域1151となっている。取付領域1151は、枠用基板ホルダー1101の前述した払出制御基板ボックス取付領域と一緒になって横長の払出制御基板ボックス1105を取り付けるための取付領域を構成するものである。なお、上記した段差部のほぼ中央には、払出制御基板ボックス1105の後述する係合片1184(図155参照)が係合挿入される係合穴1154が形成されている。
端子基板ボックス1104を取り付けるための取付領域1150を構成するカバー体1141には、端子基板ボックス1104の裏面側に形成される位置決めピン1161及び係合片部1160とそれぞれ位置決め若しくは係合する位置決め穴1153及び取付係合穴1152が形成されている。係合片部1160は、断面L字状に形成される一方、取付係合穴1152は、幅広部と幅狭部とが連続する穴状に形成されているので、係合片部1160を取付係合穴1152の幅広部に挿入した後、一方向(図示の場合は、枠用基板ホルダー1101の中央方向)にスライド移動させることにより、L字状の係合片部1160と取付係合穴1152の幅狭部とが係合するようになっている。なお、端子基板ボックス1104の他側辺の下部に掛止片1162が突設され、端子基板ボックス1104がカバー体1141にスライド移動係合されたときに、掛止片1162が払出制御基板ボックス1105のボックス主体1180の一部と係合するようになっている。なお、この係合は、少し力を入れて端子基板ボックス1104を非係合方向にスライド移動させることにより、簡単に外れる程度の係合状態である。
また、端子基板ボックス1104には、図158に示すように、複数の外部情報端子1165と払出制御基板用端子1170とが設けられる情報端子基板1163と、度数表示器用端子1166と電源アース端子1167とCRユニット用端子1168と払出制御基板用端子1169とが設けられるCRユニット端子基板1164と、の2つの基板が上下方向に並列状に収納されている。情報端子基板1163に設けられる複数の外部情報端子1165は、扉開放情報信号、大当り情報信号や始動情報信号等のパチンコ遊技機1の管理に必要な各種の情報信号を外部(例えば、遊技場に設置してある管理コンピュータ)に導出するためのコネクタであり、それらの情報信号のうち扉開放情報信号を除く情報信号は、主として遊技制御基板ボックス624に収納されている遊技制御基板から後に詳述する主ドロワ中継コネクタ1200を介して払出制御基板1186に伝送され、さらに払出制御基板1186に設けられる情報端子基板用端子1189と前記払出制御基板用端子1170との接続により、最終的に複数の外部情報端子1165のそれぞれに伝達される。CRユニット端子基板1164の度数表示器用端子1166は、パチンコ遊技機1の、例えば皿ユニット300に設けられるプリペイドカードの残度数表示器、貸球スイッチ、及び返却スイッチとの配線が接続されるものである。また、電源アース端子1167は、2つのコネクタから構成され、一方のコネクタ(図158の左側)には電源基板1144のCRユニット電源コネクタ1147からの配線が接続され、他方のコネクタには電源基板1144の複数のアース用コネクタ1148のうちの1つのアース用コネクタ1148からの配線が接続されるものである。更に、CRユニット用端子1168は、図示しないCRユニットからの配線が接続されるものであり、払出制御基板1186のCR端子基板用端子1190と前記払出制御基板用端子1169とが接続されることにより、払出制御基板1186とCRユニットとが接続されることになる。
上記したように、端子基板ボックス1104は、遊技制御基板ボックス624に収納される遊技制御基板からの遊技情報を外部に導出する情報端子基板1163と、払出制御基板1186とCRユニットとの接続を中継するCRユニット端子基板1164と、の両方の基板を収納するものであり、これらは従来別々の基板ボックスに収納されてパチンコ遊技機1の裏面に別々の位置に設けられていたが、本実施形態においては、1つの端子基板ボックス1104に纏めて枠用基板ホルダー1101に装着したものである。このため、特に、本実施形態の場合、遊技制御基板と情報端子基板1163とを直接配線で接続することなく、払出制御基板1186を介して接続した独特な構成を有するものとなっている。
次に、枠用基板ホルダー1101の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス1103のカバー体1141に形成される取付領域1151とにわたって取り付けえる払出制御基板ボックス1105について、主として図153、図155及び図158を参照して説明する。払出制御基板ボックス1105は、横長の長方形状の払出制御基板1186が図示しないビス等で固定されるボックス主体1180と、該ボックス主体1180に取り付けられて払出制御基板1186の表面を覆うカバー体1181と、から構成されている。ボックス主体1180とカバー体1181とは、その一側辺(図158の右側辺)を係合させ、その他側辺(図158の左側辺)に分離切断部1183でカシメ固定している。これによってボックス主体1180とカバー体1181とを分離するためには、分離切断部1183を切断しないと分離できないようになっている。ただし、分離切断部1183におけるカシメ固定は、複数箇所(図示の場合は、1〜4の数字で示す4箇所)のうち、いずれかをカシメ部材でカシメれば良く、例えば、検査等で分離する必要がある場合には、3回まで行うことができる。もちろん、不正に分離した場合には、切断した痕跡が残ることになるので、不正行為があったか否かを直ちに知ることができる。また、ボックス主体1180の一側短辺中央には、電源基板ボックス1103のカバー体1141に形成される係合穴1154に差し込まれる係合片1184が突設形成され、他側短辺下部には、枠用基板ホルダー1101に形成される係止突部1118に弾性係合する係合弾性片1185が形成されている。したがって、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダー1101に取り付けるには、係合片1184を係合穴1154に差し込んだ後、係合弾性片1185を係止突部1118に係合させることにより、簡単に取り付けることができる。そして、枠用基板ホルダー1101の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス1103のカバー体1141に形成される取付領域1151とにわたって払出制御基板ボックス1105を取り付けた状態においては、それらの取付領域1151内に払出制御基板ボックス1105が収納された状態となり左右方向にも上下方向にも移動できないように固定された状態となっている。逆に、取り外す場合には、係合弾性片1185を弾性方向と逆方向に押圧して係合弾性片1185と係止突部1118との係合を外して払出制御基板ボックス1105を引き上げながら、係合穴1154から係合片1184を引き抜くことにより、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダー1101から外すことができる。
また、上記したボックス主体1180とカバー体1181とによって被覆される払出制御基板1186には、その一側部(図158の右側部)に扉開放スイッチ用端子1187、賞球ユニット用端子1188、情報端子基板用端子1189、CR端子基板用端子1190、及び満タンスイッチ用端子1191が設けられ、その他側下部(図158の左側部)に検査用出力端子1192、電源用端子1193、発射モータ用端子1194、操作ハンドル用端子1195、及び内部接続端子1196が設けられている。
扉開放スイッチ用端子1187は、扉枠5を開放したことを検出するスイッチ(図示しないが、本体枠3の開放側前面に設けられる)からの配線が接続されるコネクタである。賞球ユニット用端子1188は、前述した賞球ユニット800の中継基板830からの配線が接続される多ピンコネクタである。情報端子基板用端子1189は、前述したように情報端子基板1163の払出制御基板用端子1170に接続される多ピンコネクタである。CR端子基板用端子1190は、前述したようにCRユニット端子基板1164の払出制御基板用端子1169に接続される多ピンコネクタである。満タンスイッチ用端子1191は、満タンユニット900の満タンスイッチ916からの配線が接続されるコネクタである。検査用出力端子1192は、払出制御基板1186を検査する際に検査機器に接続するためのコネクタであり、検査用の各種の出力信号を出力するための端子である。電源用端子1193は、前述したように電源基板1144の払出制御基板用電源コネクタ1149に電源供給用配線1222によって接続されるコネクタである。発射モータ用端子1194は、打球発射装置650の発射モータ695からの配線が接続されるコネクタである。操作ハンドル用端子1195は、ハンドル装置460の操作ハンドル部461の内部に設けられるタッチセンサ470及びマイクロスイッチ472からの配線が接続されるコネクタである。内部接続端子1196は、主ドロワ中継基板1107に設けられる払出制御基板用コネクタ1201に信号電源配線1223によって接続されるコネクタである。
次に、枠用基板ホルダー1101の前面側に形成されるドロワ取付領域1121に取り付ける主ドロワ中継基板1107と副ドロワ中継基板1108について説明する。図155に示すように、主ドロワ中継基板1107には、遊技盤4の裏面側に取り付けられる中継端子板625に設けられる主ドロワコネクタ626(遊技盤側コネクタ;図106参照)と接続される主ドロワ中継コネクタ1200(ホルダー側コネクタ)と、払出制御基板1186の内部接続端子1196と信号電源配線1223を介して接続される払出制御基板用コネクタ1201とが上下に設けられている。また、副ドロワ中継基板1108には、遊技盤4の裏面側に取り付けられる中継端子板625に設けられる副ドロワコネクタ627(遊技盤側コネクタ;図106参照)と接続される副ドロワ中継コネクタ1202(ホルダー側コネクタ)と、扉中継基板1102の内部接続端子1130と内部配線1221を介して接続される扉枠用コネクタ1203とが上下に設けられている。また、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108には、各基板の左右両側に支持穴1204が穿設され、該支持穴1204をドロワ取付領域1121に突設されるドロワ取付ボス1120に差し込むことにより、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108をドロワ取付領域1121内に位置決め支持され、その後、基板カバー1109で被覆することにより、堅固に固定される。
ところで、基板カバー1109には、主ドロワ中継基板1107に設けられる主ドロワ中継コネクタ1200及び払出制御基板用コネクタ1201と、副ドロワ中継基板1108に設けられる副ドロワ中継コネクタ1202及び扉枠用コネクタ1203とが基板カバー1109の外側に突出するための長方形状のコネクタ用開口1205,1206,1207,1208が開設され、また、基板カバー1109の裏面側に、ドロワ取付ボス1120の先端部が挿通されるピン挿通穴1210(図153参照)が形成されると共に、左右両端に基板カバー1109を枠用基板ホルダー1101に図示しないビスで止着するための止め穴1211が形成されている。このため、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108の支持穴1204をドロワ取付領域1121に突設されるドロワ取付ボス1120に差し込み、ドロワ取付ボス1120の先端部をピン挿通穴1210に挿通しながら基板カバー1109で被覆し、止め穴1211に図示しないビスで止着することにより、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108をドロワ取付領域1121内に堅固に固定することができる。なお、基板カバー1109には、枠用基板ホルダー1101の案内孔1126、接合案内孔1127に対応する位置に案内孔1212、接合案内孔1213がそれぞれ形成されている。
以上、基板ユニット1100の構成について説明してきたが、本実施形態の場合には、パチンコ遊技機1を駆動制御するために必要な各種の基板のうち、遊技盤4の変更に伴って交換される遊技制御基板及び表示装置制御基板以外の基板である扉中継基板1102、電源基板ボックス1103に収納された電源基板1144、端子基板ボックス1104に収納された情報端子基板1163及びCRユニット端子基板1164、払出制御基板ボックス1105に収納された払出制御基板1186を、枠用基板ホルダー1101に予め組み付けてユニット化し、その組み付けてユニット化した基板ユニット1100を本体枠3の背面側下部に取り付けるだけの簡単な作業によって、従来別々に本体枠3の背面側に取り付けていた各種の基板取付作業に比べ、作業能率を向上することができる。また、この場合、基板ユニット1100にユニット化される各基板同士の配線も枠用基板ホルダー1101の内部に収めることができるので、基板同士を接続する配線が乱雑に入り乱れることがなく、整然と敷設することができる。
また、本実施形態においては、基板ユニット1100の前面に主ドロワ中継コネクタ1200(ホルダー側コネクタ)を有する主ドロワ中継基板1107と副ドロワ中継コネクタ1202(ホルダー側コネクタ)を有する副ドロワ中継基板1108とが設けられているので、図162に示すように、本体枠3に遊技盤4をその前面側から装着する作業に伴って、遊技盤4の裏面側に設けられる中継端子板625の主ドロワコネクタ626と副ドロワコネクタ627(遊技盤側コネクタ)がそれぞれ対応する主ドロワ中継コネクタ1200と副ドロワ中継コネクタ1202(ホルダー側コネクタ)とに接続されるので、遊技盤4の装着と基板間の接続とを同時に行うことができる。このため、遊技盤4の交換作業を手際よく行うことができる。
更に、本実施形態においては、基板ユニット1100を本体枠3の裏面に固定した後に、本体枠3に設けられる各種の電気機器との配線の接続作業が必要な払出制御基板ボックス1105と、外部のCRユニットや管理コンピュータとの接続作業が必要な端子基板ボックス1104と、を基板ユニット1100の最も後方の視認し易い位置に並列状に配置する一方、外部との接続作業の必要性が少ない電源基板ボックス1103や扉中継基板1102を内部に配置しているので、複数の基板を前後方向に効率よく重複配置することができ、基板ユニット1100の大きさを最小限に設計することができる。ただし、内部に配置される電源基板ボックス1103や扉中継基板1102においても、外部に接続される端子部分は、すべて外部から視認できるようになっているので、それらの接続作業が手探りになるという問題はない。
<カバー体>
次に、カバー体1250について、図6、図98及び図102を参照して説明する。カバー体1250は、本体枠3の後面開口580を覆うものであり、その一側の上中下の3箇所に本体枠3の背面一側に形成されるカバー体支持筒部575に上方から挿入される軸支ピン1251が形成され、その他側のほぼ中央に球通路ユニット770に形成されるカバー体係合溝785と係合する係合片1252が形成されている。しかして、カバー体1250の軸支ピン1251をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1250を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1252をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1250を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる各種部品の背面を保護することができる。なお、開放する場合には、係合片1252とカバー体係合溝785との係合を解除すればよい。
また、図示の場合のカバー体1250においては、開放側の係合片1252の上下に止め穴1253が形成され、また、本体枠3の施錠壁569に突設される施錠用突出鉤片570を貫通させる貫通穴1254が形成され、更に詳細に図示しないが、次に説明する第2実施形態に係るカバー体1270と同じように、接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブが形成されている。これら接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブは、第2実施形態に係るカバー体1270の接続操作用開口1283、立壁1284、当接突起1285、補強リブ1286と同じ位置に設けられて同じ機能を奏するものである。しかして、カバー体1250を閉じた状態で、カバー体1250の止め穴1253と本体枠3側の止め穴568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができる。そして、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570がカバー体1250の貫通穴1254を貫通しているので、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
<カバー体の他の実施形態>
上記した図6、図98及び図102に示したカバー体1250(以下、「第1実施形態に係るカバー体1250」という。)は、施錠用突出鉤片570を南京錠で施錠する構造のものを示したが、他の施錠構造を有するカバー体であっても良い。このようなカバー体1270(以下、「第2実施形態に係るカバー体1270」という。)を取り付けたパチンコ遊技機について、図163乃至図174を参照して説明する。図163は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1であってカバー体800を開放した状態の背面から見た斜視図であり、図164は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1の側面図であり、図165は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1であってカバー体800の開放側から見た斜視図であり、図166は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1であってカバー体800の軸支側から見た斜視図であり、図167は、第2実施形態に係るカバー体800を取り付けたパチンコ遊技機1の背面図であり、図168は、第2実施形態に係るカバー体800を取り外した状態のパチンコ遊技機1の背面図であり、図169は、第2実施形態に係るカバー体800の下辺部と重合当接する払出制御基板ボックス1105の斜視図であり、図170は、第2実施形態に係るカバー体800の内側から見た斜視図であり、図171は、第2実施形態に係るカバー体800に設けられるシリンダー錠809の作用を説明するための背面図であり、図172は、図167のA−A断面図であり、図173は、図167のB−B断面図であり、図174は、図167のC−C断面図である。なお、図163〜図174において、それ以前の図面に表示される構成と同じ機能を奏する構成には、同一の符号を付した。
まず、図170を参照して第2実施形態に係るカバー体1270について説明する。カバー体1270は、やや縦長長方形状の周辺の側壁が立ち上がった皿状に合成樹脂によって形成され(側壁部や長方形板部の上半分には、多数の空気穴が形成されている。)、その縦辺一側の側壁に本体枠3に形成される前記カバー体支持筒部575に挿入されて軸支される複数(図示の場合には4個)の軸支ピン1271が一体的に形成され、その縦辺他側の側壁のやや上部寄りに球通路ユニット770に形成される前記カバー体係合溝785に係合する係合片1272が一体的に形成されている。この軸支ピン1271と係合片1272は、第1実施形態に係るカバー体1250と同様に、カバー体1270の軸支ピン1271をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1270を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1272をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1270を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる遊技制御基板ボックス624を含む各種部品の背面を保護することができるものである。そして、この第2実施形態に係るカバー体1270が第1実施形態に係るカバー体1250と異なる点は、施錠機構として南京錠に変えてシリンダー錠1289が設けられる点である。そこで、これらの第2実施形態に係るカバー体1270の特徴的な構成(この構成は、第1実施形態に係るカバー体1250も有している。)について以下説明する。
まず、接続操作用開口1283について説明すると、接続操作用開口1283は、カバー体1270の下辺の補強リブ1286の上部に長方形状に形成されており、その大きさは、図167に示すように遊技制御基板ボックス624に外部に露出して設けられるRAMクリアボタン630と検査機器が接続される試験用端子631,632とが臨む大きさに開設されている。また、接続操作用開口1283の内側には、閉じた状態で遊技制御基板ボックス624の外周面に当接する立壁1284と当接突起1285とが突設されている。立壁1284は、接続操作用開口1283の左右開口縁に沿って比較的高く形成され、当接突起1285は、接続操作用開口1283の上開口縁から一側開口縁に沿って比較的低く突設形成されており、これらの立壁1284と当接突起1285は、図172及び図173に示すように、遊技制御基板ボックス624の外周面(遊技制御基板ボックス624に収納される遊技制御基板の表面を含む)との間に隙間が生じないようにして接続操作用開口1283から不正具を差し込んで遊技制御基板ボックス624に対して不正な行為が行えないようにしている。
次に、カバー体1270の下辺に形成される補強リブ1286について説明すると、カバー体1270を本体枠3に対して閉じたときに、補強リブ1286は、図173及び図174に示すように、枠側基板ホルダー1100に取り付けられる払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上辺部分に当接するようになっている。このため、第2実施形態に係るカバー体1270が取り付けられるパチンコ遊技機1の枠側基板ホルダー1100に装着される払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上辺部には、図169に示すように、表面より一段と低く形成される当接低段面1182が形成されている。しかして、枠側基板ホルダー1100に取り付けられる払出制御基板ボックス1105は、図168に示すように、枠用基板ホルダー1101の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス1103のカバー体1141に形成される取付領域1151とにわたって取り付けられた状態において、それらの取付領域1151内に払出制御基板ボックス1105が収納された状態となり左右方向にも上下方向にも移動できないように固定された状態となっている。このため、払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上面の一部である当接低段面1182がカバー体1270の補強リブ1286によって当接被覆されることによって、カバー体1270を開放しない限り、払出制御基板ボックス1105を枠側基板ホルダー1100から取り外すことができない構成となっている。
次に、シリンダー錠1289に関連する構成について説明する。図170において、カバー体1270の下方側の下方寄りにシリンダー錠1289を貫通するための楕円形状の錠穴1288が開設されている。この錠穴1288にシリンダー錠1289の断面楕円状のネジ部1290が貫通され、この貫通したネジ部1290に内側からナット1292が螺着されることによりシリンダー錠1289が錠穴1288に固定される。また、シリンダー錠1289には、ネジ部1290の中心から錠軸1291がカバー体1270の内側に向かって突設され、その錠軸1291を楕円形状の施錠片1293の下方部に穿設されるネジ穴1294に貫通させてナット1295で締着することにより、施錠片1293をシリンダー錠1289の後端部に固着している。この構成により、シリンダー錠1289に鍵(遊技場の管理責任者等が所持している)を差し込んで回動することにより施錠片1293を90度の範囲で回動することができるようになっている。また、錠穴1288の下部には、カバー体1270を閉じる際に、開閉を案内するための案内突起1296が内側に向かって突設されている。更に、カバー体1270の開放側の上方部であって前記係合片1272の上下にネジを螺着するためのネジ止め穴1287が形成されている。
一方、上記したネジ止め穴1287、施錠片1293、及び案内突起1296に対応するように、本体枠3側には、止め穴830、施錠穴1301、及び案内孔833が形成されている。この構成について図168を参照して説明すると、本体枠3の前述した軸支側後面壁546には、前述したようにカバー体当接溝567が形成されているが、このカバー体当接溝567の上下部(球通路ユニット770のカバー体係合溝785を挟んだ上下)に前記ネジ止め穴1287に対応する止め穴568が形成されている。更に、本体枠3の軸支側後面壁546の下方部には、図171に示すように、施錠壁1300が本体枠3の縦中心線方向に向かって延設されており、その施錠壁1300の上下に施錠穴1301と案内孔571とが開設されている。施錠穴1301は、楕円形状に形成されて前記施錠片1293が貫通するようになっていると共に、施錠穴1301の前面側周囲の施錠壁1300は、補強用のリブが突設されている。
しかして、カバー体1270を開放状態から閉止状態に回動させることにより、図171(A)に示すように、案内突起1296が案内孔833に挿入されつつ、シリンダー錠1289の施錠片1293が施錠穴1301を貫通した状態となる。その状態でシリンダー錠1289に鍵を差し込んで回動することにより、図171(B)に示すように、施錠片1293が90度回転し、施錠片1293の一端部が施錠壁1300の前面側と係合する。このため、カバー体1270が本体枠3に対して施錠されることになる。また、シリンダー錠1289によるカバー体1270の施錠は、カバー体1270の下方部であるため、カバー体1270の上方部を本体枠3に固定するために、閉じた状態で合致しているネジ止め穴1287と止め穴568に図示しないネジを螺着することにより、カバー体1270の上方部も本体枠3に固定される。なお、カバー体1270の上方部にもシリンダー錠を設けて、上下でシリンダー錠によってカバー体1270を本体枠3に施錠しても良い。
また、第2実施形態に係るカバー体1270は、図164に示すように、閉じた状態で、その背面側が賞球タンク720の最後端部(本実施形態の場合には、排出口730の後面壁)、及びタンクレール部材740の後端壁と側方から見たときに同一垂直面となっている。このため、パチンコ遊技機1の背面から見たときに、背面側の上部から下方までに凹凸がなく、きわめてスッキリした形状となっているため、パチンコ遊技機1を運搬するときに全体の厚みが均一で把握し易いため、積み込みや重ね合わせ作業が行いやすく、また、実際に遊技場の島台に設置する際も、背向列設されるパチンコ遊技機1の背面において、相手方のパチンコ遊技機の背面に突出する配線等を気にすることなく、きわめてスムーズに設置することができるものである。この点は、第1実施形態に係るカバー体1250を使用したパチンコ遊技機1においても、図4に示すように同一の効果を奏するものである。
なお、上記した第2実施形態において、カバー体1270の閉止状態を上方のネジと下方のシリンダー錠1289との両方で行った理由は、第一の理由として、被覆面積が縦方向に大きくなっているため、カバー体1270の中央だけで閉止状態を保持すると上下部分が熱によって変形するおそれがあるため、上下の2箇所で閉止状態を保持する構成にしたこと。第二の理由として、前述したようにカバー体1270の補強リブ1286によって払出制御基板ボックス1105の上辺部に当接するようにしたので、特に、カバー体1270の下辺部をこじ開けることができないようにカバー体1270の下方部の閉止状態を強固に維持することが必要であり、結果的にカバー体1270の上方部も閉止せざるを得ないこと。そして、この第二の理由により、特に下辺部の閉止状態を維持するためにシリンダー錠1289等の施錠装置(シリンダー錠に限らず、遊技場の管理者しか解錠できない施錠装置であれば良い。)を用いることが望ましい。
以上、第2実施形態に係るカバー体1270について説明してきたが、この第2実施形態に係るカバー体1270は、カバー体1270を本体枠3に対して閉じたときに、カバー体1270の下辺部である補強リブ1286が枠側基板ホルダー1100に取り付けられる払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上辺部分に当接被覆するようになっているため、カバー体1270を開放しない限り、払出制御基板ボックス1105を枠側基板ホルダー1100から取り外すことができない構成となっている。そして、カバー体1270がシリンダー錠1289によって施錠されるため、カバー体1270に被覆される遊技制御基板ボックス624に対する不正行為はもちろん、カバー体1270に被覆されない払出制御基板ボックス1105に対する不正行為も防止することができる。また、カバー体1270を閉じた状態で且つシリンダー錠1289を施錠した状態であっても、カバー体1270に接続操作用開口1283が開設されているため、試験用の試験用端子631,632に検査機器を接続したり、あるいはソフトウエア等が暴走して復旧する際に、RAMクリアボタン630を操作することができる。そして、この接続操作用開口1283の内側には、立壁1284や当接突起1285が形成されて遊技制御基板ボックス624との間に隙間が生じないようにされているので、接続操作用開口1283からピアノ線等を挿入して遊技盤4の裏面に対する不正行為を防止することができる。
更に、第2実施形態に係るカバー体1270は、閉じた状態で、その背面側が賞球タンク720の最後端部、及びタンクレール部材740の後端壁と側方から見たときに同一垂直面となっているため、パチンコ遊技機1の背面から見たときに、背面側の上部から下方までに凹凸がなく、きわめてスッキリした形状となっており、パチンコ遊技機1を運搬するときに全体の厚みが均一で把握し易いため、積み込みや重ね合わせ作業が行いやすく、また、実際に遊技場の島台に設置する際も、背向列設されるパチンコ遊技機1の背面において、相手方のパチンコ遊技機の背面に突出する配線等を気にすることなく、きわめてスムーズに設置することができる。
以上、実施形態について説明してきたが、上記した実施形態では、扉枠5に皿ユニット300が1つだけ設けられるものを示したが、必ずしも、1つでなくてもよく、従来と同じように上皿と下皿を有するパチンコ遊技機において、扉枠と本体枠とが分離可能で扉枠に操作ハンドル部を設け、本体枠に打球発射装置を設けたものにも適用することができる。また、上記した実施形態では、ハンドル装置460を構成する操作ハンドル部461及びジョイントユニット480を扉枠5に設けたものを示したが、本体枠3の前面下部に固着される取付板に操作ハンドル部461とジョイントユニット480とを設けても良い。また、この場合には、ジョイントユニット480とスライド部材710とを一体的に形成したような構造としても良い。また、ジョイントユニット480のスライド突片492とスライド部材710の挿入空間714との形状的な構成も図示した実施形態に限ることはなく、例えば、スライド突片492に変えて円柱状のスライド突起を用い、このスライド突起が挿入空間714に形成される円錐形状の穴部に係合するような構造としても良い。更に、上記した実施形態においては、ジョイントユニット480のスライド突片492のスライド移動をスライド部材710及び揺動片672を介してスライド杆677に伝達する構成を示したが、この構成に限ることはなく、例えば、スライド部材710及び揺動片672を省略して、ジョイントユニットのスライド突片がスライド杆に直接連結する構成となるようにしてもよい。この場合においても、スライド突片とスライド杆との係合がスムーズに行われるように、スライド突片を円柱状のスライド突起に形成し、スライド杆に円錐形状の穴部を形成して、スライド突起と円錐形状の穴部との係合がスムーズに行なわれるようにすれば良い。