JP5068279B2 - 軟化装置およびその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、海水、かん水、工業排水、表流水、地下水、下水処理水等の軟化処理に用いることができる軟化装置に関するものであり、特には、逆浸透膜分離装置などを用いた膜ろ過プロセスの前段に設置する前処理装置として好適に使用し得る軟化装置に関するものである。また、その軟化装置を好適に運転するための運転方法に関するものである。
従来、被処理水中に含まれているカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の硬度成分を除去して水を軟化する軟化処理が、逆浸透膜分離装置などを用いた膜ろ過プロセスの前処理に利用されている。
具体的には、逆浸透膜を用いて海水、かん水等の被処理水から水分子を分離する膜ろ過プロセスにおいて、被処理水中に含まれている硬度成分に起因する逆浸透膜へのスケール付着によるトラブルを防止するために、軟化装置と、軟化装置の後段に設けられたろ過装置とからなる前処理装置が用いられている。
ここで、このような前処理装置としては、例えば、晶析反応槽と被処理水導入槽とを備える流動式カルシウム除去装置と、流動式カルシウム除去装置の後段に設けられた凝集装置と、凝集装置の後段に設けられた砂ろ過装置とを備える前処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、この前処理装置では、晶析反応槽においてカルシウムを除去すると共に、凝集装置において懸濁物質を凝集させ、凝集した懸濁物質を砂ろ過装置でろ過することにより、被処理水の前処理を行っている。
しかしながら、この前処理装置では、固液分離手段として砂ろ過装置を使用しているため、ろ過の対象となる粒子の粒子径が精密ろ過膜や限外ろ過膜を固液分離手段として使用した場合に比べて大きく、且つ、砂ろ過装置の使用により前処理装置が大型化するという問題があった。
特開2000−24673号公報
これに対し、本発明者は、後段の逆浸透膜のスケール形成を有効に抑制することができ、ランニングコストが安く、且つ、構成が簡素な高硬度原水膜ろ過の前処理装置として、図3に示す前処理装置を開発した。この前処理装置は、精密ろ過膜または限外ろ過膜からなる膜ろ過装置70の前段に二段構造からなる晶析反応槽60を配置した前処理装置50であって、晶析反応槽60は、原水(被処理水)が流入する第1槽61と、その上部に接続され、且つ、第1槽61の槽内水が底面から注入される上向流式の第2槽62とからなり、第1槽61にはアルカリ注入手段63と原水供給手段64とが設けられており、第2槽62の上部には凝集剤注入手段65と撹拌機66とが、第2槽62の下部には上部から沈降してくる沈殿物の集積部67と排泥手段68とが設けられているものである。ここで、この前処理装置50では晶析反応槽60において原水の軟化処理が行われており、晶析反応槽60では、原水供給手段64を用いて供給された原水と、アルカリ注入手段63を用いて注入された水酸化ナトリウム等のアルカリ剤とが第1槽61で接触し、原水中の硬度成分が炭酸塩等の形で析出する。そして、析出した炭酸塩は、凝集剤注入手段65を用いて注入された塩化第二鉄等の凝集剤によりフロック化されて、或いは、自重により、第2槽62内を沈降して集積部67に集積され、その後、排泥手段68により晶析反応槽60外へ排出される。
しかし、この前処理装置の晶析反応槽では、第2槽内に水理学的な死水域(第1槽におけるアルカリ剤の添加により析出した炭酸塩等の析出物が沈降することなく滞留する領域)が生じるため、析出物の槽内滞留時間を適切に制御することができず、また、第1槽で析出した析出物(炭酸塩等)が第2槽で沈降することなく晶析反応槽から流出してしまう恐れがあった。即ち、晶析反応槽60から流出した析出物により、後段の膜ろ過装置70や、晶析反応槽60と膜ろ過装置70との間に設置されたポンプ69および配管においてスケーリングが発生する恐れがあるという点において改善の余地があった。
また、この前処理装置の晶析反応槽では、第1槽においてアルカリ剤の注入により被処理水のpHを例えばpH9以上まで急激に上昇させているため、pHの急激な上昇に伴い晶析反応が急激に進行し、炭酸塩等が流出し易い微細な結晶として析出してしまうと共に槽内の浮遊性物質(SS)濃度が高くなってしまうという点においても改善の余地があった。
従って、ランニングコストが安く、且つ、構成が簡素であると共に、被処理水へのアルカリ剤の添加により析出した炭酸塩等が流出し難い軟化装置が求められていた。また、当該軟化装置を効率的に運転するための運転方法も求められていた。
本発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の軟化装置は、硬度成分を含む被処理水を軟化する装置であって、被処理水を貯留する被処理水貯留部と、前記被処理水とアルカリ剤とを接触させて被処理水中の硬度成分を析出物として析出させるアルカリ接触部と、前記被処理水貯留部から前記アルカリ接触部へ前記被処理水を供給する被処理水供給手段と、前記アルカリ接触部へ前記アルカリ剤を注入するアルカリ剤注入手段と、前記アルカリ接触部から流出した析出物含有水と、凝集剤とを混合し、前記析出物を凝集させて凝集物とする凝集混和部と、前記凝集混和部へ前記凝集剤を注入する凝集剤注入手段と、前記凝集混和部から流出した凝集物含有水が上向流で流れる沈降部と、前記沈降部内を流れる前記凝集物含有水の一部を引き抜くと共に、引き抜いた凝集物含有水の少なくとも一部を前記被処理水貯留部へ返送し、残りの凝集物含有水を排出する引抜・返送手段とを備えることを特徴とする。このような軟化装置によれば、アルカリ接触部において被処理水に対してアルカリ剤を添加し、被処理水のpHを例えば9以上まで高めることにより、被処理水中に含まれている硬度成分が炭酸塩や水酸化物として析出する。そして、アルカリ接触部で析出した析出物は、凝集混和部での凝集剤の添加により凝集(フロック化)して凝集物とされ、沈降部の引抜・返送手段により軟化装置から排出される。即ち、被処理水の軟化が達成される。なお、析出物の凝集時には、被処理水中の浮遊性物質(SS)および有機物も凝集物中に取り込まれて除去される。ここで、本発明の軟化装置においては、引抜・返送手段を用いて沈降部から凝集物含有水を引き抜いているので、引抜・返送手段の周囲に局所的な下向流が発生し、沈降部内で死水域が発生することがない。また、本発明の軟化装置では引抜・返送手段を用いて凝集物含有水の少なくとも一部を被処理水貯留部へと返送しているところ、凝集物含有水のpHはアルカリ接触部でのアルカリ剤の添加により上昇している(即ち、被処理水のpHより高くなっている)ので、被処理水貯留部において被処理水と凝集物含有水とが接触することにより、pHを予め高めた状態で被処理水をアルカリ接触部へと供給することができる。即ち、凝集物含有水を返送しない場合と比較して、アルカリ接触部において被処理水のpHが急に上昇して急激な晶析反応が起こることがなく、微細な析出物が発生し難いと共に槽内の浮遊性物質(SS)濃度が高くならない。従って、本発明の軟化装置によれば、析出した炭酸塩等が流出し難い。なお、本発明において、硬度成分を含む水とは、カルシウムイオンおよびマグネシウムの少なくとも一方を含む水を指す。また、本発明において、軟化とは水中の硬度成分が除去されて水の硬度が低下することを指す。
ここで、本発明の軟化装置は、前記凝集混和部が前記アルカリ接触部の上部に設けられており、前記沈降部が前記凝集混和部の上部に設けられていることが好ましい。下から順にアルカリ接触部、凝集混和部、沈降部が配置された三段構造を採用することにより、軟化装置の設置に必要な面積を大幅に削減することができるからである。
また、本発明の軟化装置は、前記引抜・返送手段が、前記アルカリ接触部および前記凝集混和部を通って前記沈降部まで延在する配管を備えていることが好ましい。アルカリ接触部、凝集混和部および沈降部が三段構造で配置された軟化装置では被処理水が上向流で流れることとなるところ、アルカリ接触部および凝集混和部内を通る配管が存在する場合、アルカリ接触部および凝集混和部において被処理水が配管の周囲を旋回する流れを生じて良好に混合されるからである。
そして、本発明の軟化装置の運転方法は、上述した軟化装置を運転する方法であって、前記引抜・返送手段で前記沈降部から引き抜く前記凝集物含有水の量を、前記アルカリ接触部へ供給される前記被処理水の量と、前記アルカリ接触部へ注入されるアルカリ剤の量と、前記凝集混和部に注入される凝集剤の量との合計の0.01〜0.5倍とすることを特徴とする。被処理水貯留部から供給される水の量(A)と、アルカリ接触部で注入されるアルカリ剤の量(B)と、凝集混和部で注入される凝集剤の量(C)との合計(A+B+C)に対する沈降部から引き抜く凝集物含有水の量(D)の体積比(D/(A+B+C))を0.01以上(1vol%以上)として引き抜き量を好適化することで、軟化装置からの析出物の流出を十分に抑制することが可能になるからである。また、比を0.5超とすると、水の引き抜きに使用するポンプ等の負荷が増加するからである。
ここで、本発明の運転方法においては、前記被処理水貯留部へ返送する凝集物含有水の量を、前記引抜・返送手段で前記沈降部から引き抜いた凝集物含有水の量の0.8〜0.99倍とすることが好ましい。沈降部から引き抜いた凝集物含有水の量(D)に対する被処理水貯留部へ返送する凝集物含有水の量(E)の比(E/D)が0.99超の場合、単位時間当たりに軟化することができる被処理水量が減少すると共に、軟化装置内で析出物が濃縮されるからである。また、比が0.8未満の場合、アルカリ接触部におけるpHの急激な上昇を抑制する効果が低くなるからである。
本発明によれば、ランニングコストが安く、且つ、構成が簡素であると共に、被処理水へのアルカリ剤の添加により析出した炭酸塩等が流出し難い軟化装置を提供することができる。また、当該軟化装置を効率的に運転するための運転方法を提供することができる。
本発明の軟化装置の一例を用いた前処理装置を示す説明図である。 本発明の軟化装置の他の例を用いた前処理装置を示す説明図である。 発明者が開発した高硬度原水膜ろ過の前処理装置の一例を示す説明図である。 本発明の実施例におけるろ過時間と膜間差圧およびSDIとの関係を示すグラフである。 本発明の比較例におけるろ過時間と膜間差圧およびSDIとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1に示す前処理装置は、本発明の軟化装置の一例を用いたものであり、逆浸透(RO)膜を用いた膜ろ過の前処理等に用いられるものである。
図1に示す前処理装置1は、本発明に係る軟化装置2と、軟化装置2の後段に設けられた膜ろ過装置3とからなり、被処理水は軟化装置2において硬度成分を除去された後、膜ろ過装置3でろ過される。そして、膜ろ過装置3でろ過された被処理水は、図示しない逆浸透膜装置でろ過される。
ここで、軟化装置2は、被処理水貯留部としての被処理水槽4と、軟化槽5とを備えており、軟化槽5は、下から順にアルカリ接触部としてのアルカリ接触槽6と、凝集混和部としての凝集混和槽7と、沈降部としての沈降槽8とを被処理水が流通可能なように配置した三段構造を有している。即ち、軟化装置2においては、アルカリ接触槽6の上部に凝集混和槽7が設けられており、凝集混和槽7の上に沈降槽8が設けられている。そして、被処理水は、軟化装置2内を上向流で流れて沈降槽8の上側部分から流出する。なお、被処理水槽4は、その水面が軟化槽5の水面より低くなる位置に設置されている。
被処理水槽4は、被処理水を貯留するためのものであり、前処理装置1で処理される被処理水としては、硬度成分を含有する水、例えば海水、かん水、工業排水、表流水、地下水、下水処理水等を挙げることができる。そして、被処理水槽4中の被処理水は、被処理水供給手段としてのポンプ9を用いてアルカリ接触槽6の下部へと供給される。
本実施形態におけるアルカリ接触槽6は、円柱状で、アルカリ接触槽6内へアルカリ剤を注入するためのアルカリ剤注入手段10を備えている。ここで、アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム等の既知のアルカリ剤を用いることができる。また、アルカリ剤注入手段としてはポンプ等を用いることができる。そして、アルカリ接触槽6内では、被処理水とアルカリ剤とが接触して、被処理水のpHが例えば9.5まで上昇する。なお、アルカリ接触槽6内での被処理水とアルカリ剤との接触は、槽内に流入する水の流れ(水流)自体を用いた水流撹拌により行われている。具体的には、槽内の水理学的な乱れの指標であるレイノルズ数(Re数)が10000以上となるように被処理水およびアルカリ剤の設計流入量に対して槽の断面積を設定することで、被処理水とアルカリ剤との水流撹拌を実現している。
このアルカリ接触槽6内では、上述した通り被処理水とアルカリ剤とが接触して水流撹拌により混合され、被処理水のpHが上昇するので、被処理水中に含まれているカルシウムイオン、マグネシウムイオンが炭酸塩等として析出する。また、被処理水中に含まれているシリカ、フッ素、砒素、アルミニウム、有機物等も析出し得る。そして、pHの上昇により析出した析出物を含有する被処理水(析出物含有水)は、アルカリ接触槽6の上部から凝集混和槽7へと流入する。
本実施形態における凝集混和槽7は、円柱状で、アルカリ接触槽6よりも大きい断面積を有している。また、凝集混和槽7は、槽内へ凝集剤を注入するための凝集剤注入手段11を備えている。ここで、凝集剤としては、塩化第二鉄等のアルカリ条件下でも凝集効果を発揮する既知の凝集剤を用いることができ、凝集剤注入手段としてはポンプ等を用いることができる。そして、凝集混和槽7内では、析出物含有水と凝集剤とが混合されて析出物がフロック化し、凝集物となる。なお、凝集混和槽7内での析出物含有水と凝集剤との混合は、アルカリ接触槽6と同様に水流撹拌を用いて行うことができる。また、凝集剤として塩化第二鉄を用いる場合、その添加量は0.1〜10mg/L(鉄換算値)とすることができる。
この凝集混和槽7内では、上述した通り析出物含有水と凝集剤とが水流撹拌により混合され、析出物含有水中の析出物が凝集するところ、析出物の凝集時には被処理水中に含まれている浮遊性物質(SS)および有機物も凝集物中に取り込まれる。そして、凝集物を含有する被処理水(凝集物含有水)は、凝集混和槽7の上部から沈降槽8へと流入する。
本実施形態における沈降槽8は、円柱状で、凝集混和槽7よりも大きい断面積を有している。従って、凝集物含有水は、沈降槽8内をアルカリ接触槽6および凝集混和槽7よりも低い線速度の上向流で流れる。また、沈降槽8内にはホッパー12およびホッパー12の下部に接続された配管13が設けられており、これらホッパー12および配管13は、本発明の引抜・返送手段に相当する。
ここで、ホッパー12の設置位置は、例えば凝集混和槽で凝集剤を添加された析出物含有水が凝集物を形成するのに必要な時間が確保できる位置であれば任意の位置とすることができる。
また、配管13は凝集混和槽7およびアルカリ接触槽6の一部を通って延在しており、アルカリ接触槽6から軟化槽5の外部へと出ている。そして、配管13は軟化槽5の外部へと出たところで分岐しており、一方は被処理水槽4へ、他方は図示しない凝集物排出部へと接続されている。なお、配管13がアルカリ接触槽6および凝集混和槽7内を通っているので、断面積が小さく、円形であるアルカリ接触槽6内では水が配管13の周囲を旋回する流れとなり、被処理水とアルカリ剤とが良好に混合される。ここで、配管13の径(a)とアルカリ接触槽6の径(b)との比(a/b)は、例えば0.1〜0.5とすることができる。
そして、沈降槽8からは、沈降槽8内を流れる凝集物含有水の一部がホッパー12および配管13を介して引き抜かれる。具体的には、水頭差または配管13に接続した図示しないポンプを用いて凝集物含有水が引き抜かれる。なお、引き抜かれた凝集物含有水の一部は被処理水槽4へと返送され、残部は凝集物排出部へと排出される。この際、沈降槽8から引き抜く凝集物含有水の量は、沈降槽8へ流入する凝集物含有水の量の0.01〜0.5倍とすることが好ましく、0.05〜0.2倍とすることが更に好ましい。また、凝集物排出部へと排出する凝集物含有水の量は、沈降槽8から引き抜いた凝集物含有水の量の0.01〜0.2倍とすることが好ましく、0.1〜0.2倍とすることが好ましい。即ち、被処理水槽4へと返送する凝集物含有水の量は、沈降槽8から引き抜いた凝集物含有水の量の0.8〜0.99倍とすることが好ましく、0.8〜0.9倍とすることが好ましい。なお、凝集物排出部へと排出する凝集物含有水の量は、流量調整弁の設置など既知の手法を用いて調整することができる。ここで、アルカリ接触槽6におけるアルカリ剤の注入により凝集物含有水のpHは被処理水よりも高くなっているので、凝集物含有水の返送により被処理水槽4内のpHは、例えば8.7まで上昇する。従って、被処理水槽4への凝集物含有水の返送により、アルカリ接触槽6でのpHの急激な上昇および急激な晶析反応の発生、即ち軟化槽5から流出しやすい微細な析出物の析出を防止することができる。
沈降槽8では、凝集物含有水の引き抜きによりホッパー12近傍に発生する局所的な下向流と、凝集物の自重とにより凝集物が流出することなく沈降槽8内を沈降してホッパー12内へと引き込まれ、沈降槽8外へと排出される。この際、沈降する凝集物が晶析核となって、凝集物含有水中に残存しているカルシウムイオンやマグネシウムイオンが晶析反応により更に除去される。従って、沈降槽8の上部からは、硬度成分、有機物、SS等が低減された、凝集物を含まない低硬度の水が流出することとなる。
そして、沈降槽8から流出した水は、ポンプ14で加圧された後に膜ろ過装置3でろ過されて図示しない逆浸透膜装置へと供給される。なお、膜ろ過装置3としては、既知の精密ろ過膜または限外ろ過膜を用いることができる。
このような前処理装置1においては、軟化槽5から流出する水が硬度成分、有機物、SS等が低減された、凝集物を含まない水であるので、膜ろ過装置3が詰まり難い。従って、従来の前処理装置と比較して膜ろ過装置3を逆洗する頻度、特に酸等の薬品を用いて逆洗(CEB)する頻度を低減することができる。また、軟化槽と膜ろ過装置との間の配管やポンプにおいてスケーリングが発生し難い。
なお、本発明の軟化装置は上記実施形態に限定されることなく、適宜変更を加えることができる。例えば、アルカリ接触槽、凝集混和槽および沈降槽の断面積は同じ面積にすることができる。また、本発明の軟化装置は図2に示すような構成とすることもできる。
図2に示す前処理装置20では、軟化装置21が被処理水槽23と軟化槽24とを備えており、軟化装置21の後段にはセラミック製のろ過膜からなる膜ろ過装置22が設けられている。そして、軟化槽24は、アルカリ接触槽25と、凝集混和槽26と、沈降槽27とを並べて設置したものであり、アルカリ接触槽25と凝集混和槽26とは上部で連通しており、凝集混和槽26と沈降槽27とは下部で連通している。従って、ポンプ28を用いて被処理水槽23からアルカリ接触槽25へと供給された被処理水は、凝集混和槽26を通った後、沈降槽27を上向流で流れて流出する。
また、この軟化槽24では、アルカリ接触槽25および凝集混和槽26における混合を、撹拌機30および32を用いて行っている。具体的には、アルカリ接触槽25内はRe数が10000以上となるように撹拌機30で撹拌されており、凝集混和槽26内はGT値(撹拌勾配(攪拌強度G値)に撹拌継続時間Tを乗じた値)が1000〜10000となるように撹拌機32で撹拌されている。更に、この軟化槽24では、ホッパー34が沈降槽27の下部に設けられており、ホッパー34の下部には配管34が接続されている。なお、配管34は途中で分岐しており、一方は被処理水槽23へ、他方は図示しない凝集物排出部へと接続されている。因みに、配管34は凝集混和槽26およびアルカリ接触槽25内を通らずに設置されている。
そして、この前処理装置20では、前述した軟化装置2を用いた前処理装置1と同様の機構により被処理水が処理される。即ち、アルカリ接触槽25内では、ポンプ28を用いて供給された被処理水と、アルカリ剤注入手段29を介して注入されたアルカリ剤(NaOH等)とが撹拌機30を用いて混合され、被処理水のpHが例えば9.0以上まで高められて被処理水中の硬度成分等が析出する。そして、アルカリ接触槽25から流出した析出物含有水と、凝集剤注入手段31を介して注入された凝集剤(FeCl等)とが凝集混和槽26内で撹拌機32を用いて混合され、析出物、SSおよび有機物がフロック化して凝集物となる。その後、凝集混和槽26から流出した凝集物含有水は沈降槽27の下部へ流入し、沈降槽27内を上向流で流れる。ここで、沈降槽27からは、沈降槽27内を流れる凝集物含有水の一部がホッパー33および配管34を介して引き抜かれ、引き抜かれた凝集物含有水の一部が被処理水槽23へと返送されると共に、残部が図示しない凝集物排出部へと排出される。なお、沈降槽27の上部から流出する水は、硬度成分、有機物、SS等が低減された、凝集物を含まない水であり、ポンプ35で加圧された後に膜ろ過装置22でろ過されて図示しない逆浸透膜装置へと供給される。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例)
図1に示す軟化装置(高さ4.5m、容積230L、アルカリ接触槽:直径100mm、凝集混和槽:直径200mm、沈降槽:直径600mm)を用いて海水(pH8.0、カルシウム濃度400mg/L、マグネシウム濃度1300mg/L)を軟化した。そして、軟化した海水を透過流束7m/dayで精密ろ過膜(孔径0.1μm)に通水し、得られたろ過水のSDI(Silt Density Index)を測定した。また、圧力計を用いてろ過時の膜間差圧を測定した。SDIおよび膜間差圧の測定結果を図4に示す。なお、SDIはASTM(Standard Test Method for Silt Density Index of Water D4189−95)に従い測定することができる。具体的には、以下の計算式を用いてSDIを算出することができる。
SDI15=(1−T /T15)×100/15
:孔径0.45μm、直径47mmのメンブレンフィルターを用いて圧力206kPaで試料をろ過した際に初期の試料500mlをろ過するのに要する時間(秒)
15:ろ過を15分継続した後、更に試料500mlをろ過するのに要する時間(秒)
その結果、1日1回のCEB実施頻度で、膜間差圧の上昇なく連続的に運転することができた。また、ろ過水のSDIの平均値は2.6であり、非常に良好な水質であった。
(比較例)
図3に示す軟化装置(容積230L)を用いた以外は実施例1と同様にして海水の軟化およびろ過を行い、ろ過水のSDIおよびろ過時の膜間差圧を測定した。結果を図5に示す。
その結果、1日24回のCEB実施頻度でなければ膜間差圧が上昇してしまい、連続的に運転することができなかった。また、ろ過水のSDIの平均値は3.3であり、実施例よりも水質が悪かった。
1 前処理装置
2 軟化装置
3 膜ろ過装置
4 被処理水槽
5 軟化槽
6 アルカリ接触槽
7 凝集混和槽
8 沈降槽
9 ポンプ
10 アルカリ剤注入手段
11 凝集剤注入手段
12 ホッパー
13 配管
14 ポンプ
20 前処理装置
21 軟化装置
22 膜ろ過装置
23 被処理水槽
24 軟化槽
25 アルカリ接触槽
26 凝集混和槽
27 沈降槽
28 ポンプ
29 アルカリ剤注入手段
30 撹拌機
31 凝集剤注入手段
32 撹拌機
33 ホッパー
34 配管
35 ポンプ
50 前処理装置
60 晶析反応槽
61 第1槽
62 第2槽
63 アルカリ注入手段
64 原水供給手段
65 凝集剤注入手段
66 撹拌機
67 集積部
68 排泥手段
69 ポンプ
70 膜ろ過装置

Claims (5)

  1. 硬度成分を含む被処理水を軟化する装置であって、
    被処理水を貯留する被処理水貯留部と、
    前記被処理水とアルカリ剤とを接触させて被処理水中の硬度成分を析出物として析出させるアルカリ接触部と、
    前記被処理水貯留部から前記アルカリ接触部へ前記被処理水を供給する被処理水供給手段と、
    前記アルカリ接触部へ前記アルカリ剤を注入するアルカリ剤注入手段と、
    前記アルカリ接触部から流出した析出物含有水と、凝集剤とを混合し、前記析出物を凝集させて凝集物とする凝集混和部と、
    前記凝集混和部へ前記凝集剤を注入する凝集剤注入手段と、
    前記凝集混和部から流出した凝集物含有水が上向流で流れる沈降部と、
    前記沈降部内を流れる前記凝集物含有水の一部を引き抜くと共に、引き抜いた凝集物含有水の少なくとも一部を前記被処理水貯留部へ返送し、残りの凝集物含有水を排出する引抜・返送手段と、
    を備える軟化装置。
  2. 前記凝集混和部が前記アルカリ接触部の上部に設けられており、
    前記沈降部が前記凝集混和部の上部に設けられている、請求項1に記載の軟化装置。
  3. 前記引抜・返送手段が、前記アルカリ接触部および前記凝集混和部を通って前記沈降部まで延在する配管を備えている、請求項2に記載の軟化装置。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の軟化装置を運転する方法であって、
    前記引抜・返送手段で前記沈降部から引き抜く前記凝集物含有水の量を、前記アルカリ接触部へ供給される前記被処理水の量と、前記アルカリ接触部へ注入されるアルカリ剤の量と、前記凝集混和部に注入される凝集剤の量との合計の0.01〜0.5倍とする、軟化装置の運転方法。
  5. 前記被処理水貯留部へ返送する凝集物含有水の量を、前記引抜・返送手段で前記沈降部から引き抜いた凝集物含有水の量の0.8〜0.99倍とする、請求項4に記載の運転方法。
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