JP5064195B2 - ブラシのカーボン特定方法 - Google Patents

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本発明は、電動モータ用のブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合を特定するためのブラシのカーボン特定方法に関する。
一般に、電動モータは、永久磁石が配置されたヨークと、コイルが巻装されたアーマチュアと、ヨークに軸受を介して回転自在に支持されたアーマチュア軸と、アーマチュア軸に設けられてコイルと電気的に接続されたコンミテータと、外部電源と電気的に接続されたブラシとを備え、ブラシをコンミテータに摺接しながらコイルヘの給電を行うと共に、コイルを励磁させて、永久磁石の磁界との電磁的な作用によりアーマチュアを回転駆動する。
また、このような電動モータでは、黒鉛を含むカーボン製のブラシ(カーボンブラシという。)が用いられている。しかしながら、このカーボンブラシは、コンミテータと摺接されるため、コンミテータとの間に摩耗が生じると、整流性の悪化による火花放電を発生させたり、耐久性を低減させたりすることがある。このため、電動モータでは、このようなカーボンブラシの摩耗や整流性の悪化等を抑制することが課題となっている。
ところで、カーボンブラシでは、コンミテータとの摺接によって、その摺接面にカーボン被膜が形成され、このカーボン被膜によって摩耗や整流性の悪化を抑制することが可能となっている。一方、このカーボン被膜の形成には、ブラシとコンミテータとの摺接部分における使用環境、例えば温度や湿度などの影響を強く受けることが知られている。例えば、カーボンブラシの摺接部分の温度が高温となる場合には、カーボン被膜の形成が損なわれてしまうために、ブラシとコンミテータとの摺動状態が悪化し、火花の発生が増加して耐久性が劣るといった問題が発生してしまう。
このため、カーボンブラシでは、上述したカーボン被膜の形成を使用環境に合わせて制御することが電動モータの整流性能や耐久性を向上させる上で必要となっている。その一例として、ブラシの原料に天然黒鉛を用い、この天然黒鉛にバインダ、添加剤及び銅を加えて、プレス成形した後、焼結加工することによってブラシを作製し、更に、このブラシの内部の気孔に、水よりも沸点の高い液体を含浸させたブラシが提案されている(特許文献1を参照。)。
この特許文献1に記載のブラシでは、高温(例えば摺接面温度が100℃以上)の環境下において、気孔に含浸された液体によりカーボン被膜が形成され、このカーボン被膜により高温域でのブラシ及びコンミテータの摩耗が低減されることによって、耐久性の向上を図ることが可能となっている。
しかしながら、上述した特許文献1に記載のブラシでは、工程数の増加により製造が煩雑となるだけでなく、含浸加工が難しく、生産性が劣るためコストアップを招くといった課題がある。
さらに、近年では、車両等に搭載される電動モータのように、複数の電動モータを用いてアクチュエータを構成したものが提案されている。この場合、電動モータを小型化すると共に、高電圧化することが要求される。しかしながら、電動モータを小型化及び高電圧化した場合には、小型化されたブラシとコンミテータとの間で高電圧が作用することになるため、上述した整流性の悪化や、火花の発生が増加し、ブラシやコンミテータの摩耗が一層顕著なものとなる。したがって、この場合は、カーボン被膜の形成を制御するだけでは不充分である。
そこで、本出願人は、高電圧及び難整流モータ用のブラシとして、ブラシの原材料に結晶性の異なる黒鉛、具体的には天然黒鉛と人造黒鉛とを混合したものを用いたカーボンブラシを提案した(特許文献2を参照。)。このカーボンブラシの場合、天然黒鉛と人造黒鉛との配合比を最適化することによって、整流特性の安定化や耐久寿命の向上を図ることが可能となっている。
特開2004−173486号公報 国際公開第07/055164号パンフレット
ところで、上述した天然黒鉛と人造黒鉛とを混合した原材料を用いて形成されるカーボンブラシでは、このブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との配合比や分布状態が性能に大きく影響することになる。このため、ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との配合比や分布状態が不明な場合には、それを知るための新たな方法が必要となる。一般に、配合比については、X線回折によっておよその特定はできるが、定量的な評価には確度が下がる。また、分布状態については特定することができない。
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、ブラシが天然黒鉛と人造黒鉛とを含む場合に、当該ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合を定量的に求めることができ、その分布状態も特定することができるブラシのカーボン特定方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に係る本発明は、電動モータの回転子に巻装されるコイルに給電するブラシが天然黒鉛と人造黒鉛とを含む場合に、当該ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合を特定するブラシのカーボン特定方法であって、ブラシの表面を複数のエリアに区分して、各エリアをラマン分光分析により解析するステップと、ラマン分光分析による解析結果から、エリア毎のラマンスペクトルのDピークとGピークとのピーク比を算出するステップと、ピーク比が所定の閾値を超えたエリアとそれ以外のエリアとの面積比を求めるステップと、エリアの面積比に基づいて、ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合を特定するステップとを含むことを特徴とするブラシのカーボン特定方法である。
このブラシのカーボン特定方法では、ブラシの表面を複数のエリアに区分して、各エリアをラマン分光分析により解析し、このラマン分光分析による解析結果から、エリア毎のラマンスペクトルのDピークとGピークとのピーク比を算出し、ピーク比が所定の閾値を超えたエリアとそれ以外のエリアとの面積比を求めることによって、ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合をエリアの面積比に基づいて定量的に求めることができ、更に、ブラシ表面のエリア毎に天然黒鉛と人造黒鉛との割合を求めることによって、天然黒鉛と人造黒鉛との分布状態も容易に特定することができる。
また、請求項2に係る発明は、ピーク比として、Dピーク強度Iに対するGピーク強度Iの比I/Iを算出することを特徴とする請求項1に記載のブラシのカーボン特定方法である。
このブラシのカーボン特定方法では、ピーク比として、Dピーク強度Iに対するGピーク強度Iの比I/Iを算出することによって、このピーク比が閾値を超えたエリアを天然黒鉛を含むエリアとし、このピーク比が当該閾超えなかったエリアを人造黒鉛を含むエリアとして区別することができる。
なお、ピーク比として、Gピーク強度Iに対するDピーク強度Iの比I/Iを算出した場合には、このピーク比が閾値を超えたエリアを人造黒鉛を含むエリアとし、このピーク比が当該閾超えなかったエリアを天然黒鉛を含むエリアとして区別することができる。
以上のように、本発明によれば、ブラシが天然黒鉛と人造黒鉛とを含む場合に、電動モータの整流特性の安定化や耐久寿命の向上に影響を与える天然黒鉛と人造黒鉛との配合比やその分布状態などを定量的に求めることが可能である。
また、本発明によれば、上記ブラシのカーボン特定方法を用いることによって、ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との最適な配合比を特定し、ブラシの整流特性の安定化や耐久寿命の向上を図ることが可能である。
以下、本発明を適用したブラシのカーボン特定方法及びブラシについて、図面を参照して詳細に説明する。
例えば図1に示す電動モータ(回転電機)1は、高電圧対応型のファンモータである。この電動モータ1は、モータ軸(アーマチュア軸)1aを有し、このモータ軸1aの一端が有底筒状のヨーク2の底部2aに軸受2bを介して軸支されている。また、ヨーク2の底部2aから外方に突出するモータ軸1aの先端部には負荷が設けられている。一方、モータ軸1aの他端は、ヨーク2の開口端を覆うエンドブラケット3に軸受3aを介して軸支されている。また、モータ軸1aのエンドブラケット3側には、コンミテータ4が一体的に外嵌され、このコンミテータ4よりもヨーク2の底部2a側には、複数枚の鉄心5が外嵌されている。そして、これら鉄心5の外周に複数のコイル5aが巻装されている。
コンミテータ4は、樹脂部材からなる筒状の嵌合部4aを有し、この嵌合部4aの外周面には、周回り方向に複数の導電性の整流子片4bが一体に設けられている。また、整流子片4bの一端側には、それぞれ外側に折り返し折曲されたライザ片4cが設けられている。そして、これらライザ片4cにコイル5aを電気的に接続することによって回転子(アーマチュア)6が構成されている。なお、この電動モータ1では、アーマチュア6を構成する鉄心5の両端を大径のリング体とし、モータ軸1aの外周に空間を形成し、この空間にコンミテータ4の嵌合部4aの一端を配置することによって、軸長方向のコンパクト化が図られている。
電動モータ1は、ブラシBを保持するブラシホルダステー7を有し、このブラシホルダステー7の外周部7aは、エンドブラケット3とヨーク2の開口端との間に挟持されている。また、ブラシホルダステー7の一側面には、ブラシホルダ7bが周回り方向に複数形成されている。そして、各ブラシホルダ7b内には、ブラシBがそれぞれ径方向に揺動自在に収納されている。さらに、各ブラシホルダ7bには、ブラシBを内径方向(モータ軸1aの軸芯方向)に向けて押圧するための弾機8が配置されている。これにより、各ブラシBは、その先端面をコンミテータ4の整流子片4bに押し付けながら摺接することが可能となっている。
そして、この電動モータ1では、ブラシBから引き出されるピグテール(図示せず。)を介してブラシBと外部電源とが電気的に接続されると共に、ブラシBをコンミテータ4に摺接しながら、コイル5aヘの給電を行うと共に、コイル5aを励磁させて、ヨーク2の内周面に固着された永久磁石2cの磁界との電磁的な作用によって、アーマチュア6を回転駆動することが可能となっている。
ところで、上記電動モータ1には、天然黒鉛と人造黒鉛とを混合した原料を用いて形成されたブラシ(カーボンブラシという。)Bが用いられている。
ここで、天然黒鉛は、その結晶子の形状が鱗状又は鱗片状をしており、人造黒鉛に比べて結晶子が大きく、比抵抗が小さいといった特性を有している。このため、天然黒鉛を用いた場合、常温雰囲気下では摺接面にカーボン被膜が形成されにくいものの、滑り性がよく、コンミテータ4の摩耗速度を抑制することができる。一方、天然黒鉛の割合が多くなると、比抵抗が小さいことから整流性が悪化し、摩耗が促進されることになる。さら、高温雰囲気下では、天然黒鉛の結晶子が大きいことから、カーボン被膜が不足して、コンミテータ4の摩耗が促進されることになる。
これに対して、人造黒鉛は、その結晶子の形状がフレーク状をしており、天然黒鉛に比べて結晶子が小さく、比抵抗が大きいといった特性を有している。このため、人造黒鉛を用いた場合、常温雰囲気下では天然黒鉛を用いた場合よりも摺接面にカーボン被膜が一層形成されにくくなり、摩耗が促進されることになる。一方、人造黒鉛は、結晶子が小さく、結晶子の比表面積が大きいことから、高温雰囲気下では逆にカーボン被膜が形成されやすくなる。このため、コンミテータ4と共に摩耗速度を抑制することができる。
したがって、カーボンブラシBでは、天然黒鉛と人造黒鉛との配合比を最適化することによって、このカーボンブラシBとコンミテータ4(整流子片4b)との摺動部分における雰囲気温度が常温又は高温雰囲気下の何れにおいても、摩耗速度を抑制して、安定した整流状態を得ると共に、耐久性の向上を図ることが可能となる。
具体的に、本発明を適用したカーボンブラシBは、天然黒鉛と人造黒鉛との配合比(質量比)を2:8〜8:2の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは3:7〜7:3の範囲であり、最も好ましくは5:5である。これにより、摩耗速度を抑制して、安定した整流状態を得ると共に、耐久性の向上を図ることが可能である。
なお、カーボンブラシBは、天然黒鉛及び人造黒鉛を混合したものに、バインダ及び添加剤を加えて混練し、プレス成形した後、焼結加工することによって作製することができる。バインダとしては、例えばフェノール樹脂やエポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂などを用いることができる。添加剤としては、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)などを用いることができる。なお、カーボンブラシBの原料としては、天然黒鉛や人造黒鉛の他にも、銅などを加えることもできる。
このような天然黒鉛と人造黒鉛とを混合した原材料を用いて形成されるカーボンブラシBでは、上述したように、当該ブラシBに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との配合比や分布状態が性能に大きく影響するため、当該ブラシBに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との配合比や分布状態が不明な場合には、それを知るための新たな方法が必要となる。
そこで、本発明は、ブラシBが天然黒鉛と人造黒鉛とを含む場合に、このブラシBに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合を特定する方法として、以下のブラシのカーボン特定方法を提供する。
本発明を適用したブラシのカーボン特定方法は、図2に示すように、ブラシの表面を複数のエリアに区分して、各エリアをラマン分光分析により解析する第1のステップS1と、ラマン分光分析による解析結果から、エリア毎のラマンスペクトルのDピークとGピークとのピーク比を算出する第2のステップS2と、ピーク比が所定の閾値を超えたエリアとそれ以外のエリアとの面積比を求める第3のステップS3と、エリアの面積比に基づいて、ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合を特定する第4のステップS4とを含むことを特徴とする。
具体的に、本発明を適用したブラシのカーボン特定方法では、先ず、ステップS1においては、カーボンブラシBの表面を升目状に区画し、顕微ラマンのビームを順次走査しながら、区画された各エリアに照射し、これら複数のエリア毎にラマン分光分析による解析を行う。これにより、各エリアのラマンスペクトルを得ることができる。なお、升目状に区画された1つのエリアの大きさは、1〜2μm角とすることが好ましい。
ここで、ラマンスペクトルには、天然黒鉛及び人造黒鉛に起因した2つのピークが出現する。このうち、一方のピークは、「Dピーク」と呼ばれるものであり、およそ1230〜1440cm−1の範囲に出現し、1360cm−1付近にピーク強度Iを有している。他方のピークは、「Gピーク」と呼ばれるものであり、およそ1474〜1675cm−1の範囲に出現し、1560cm−1付近にピーク強度Iを有している。
次に、ステップS2においては、各エリアのラマンスペクトルから、エリア毎のラマンスペクトルのDピークとGピークとのピーク比、具体的には、Dピーク強度Iに対するGピーク強度Iの比I/Iを算出する。なお、ラマンスペクトルは、天然黒鉛に対して人造黒鉛の割合が増加した場合に、Dピーク強度Iが増加し、Gピーク強度Iが低下する傾向にある。また、天然黒鉛及び人造黒鉛を含むカーボンブラシの場合、一般にピーク強度IがGピーク強度Iを超えて出現することはなく、I<Iの関係を満足する。
次に、ステップS3においては、全エリアのうち、ピーク比が所定の閾値を超えたエリアと、それ以外のエリア、すなわちピーク比が所定の閾値を超えなかったエリアとを特定し、その面積比を求める。具体的には、ピーク比が閾値を超えたエリアの総数と、ピーク比が所定の閾値を超えなかったエリアの総数との比を求める。
ここで、閾値は、ピーク比が最大となるエリアのピーク値をAとしたとき、その5分の1の値(A/5)に設定することが好ましい。例えば、ピーク比が最大となるエリアと最小となるエリアとの間を1〜50の範囲で分級し、各エリアのピーク比を相対比較した場合には、閾値を10に設定する。
そして、ピーク比が閾値を超えたエリアを天然黒鉛を含むエリアとし、ピーク比が閾値を超えなかったエリアを人造黒鉛を含むエリアとして区別する。この場合、閾値は、エリアの面積比と、ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合とがほぼ一致する値に設定することができ、上述したエリアの面積比は、そのままブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合として見ることができる。
したがって、ステップS4においては、このエリアの面積比に基づいて、ブラシBに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合を直接的に求めることができる。また、上述したピーク比が閾値を超えたエリアと、ピーク比が閾値を超えなかったエリアとの分布状態から、ブラシBの表面における天然黒鉛と人造黒鉛との分布状態も直接的に求めることができる。すなわち、画像処理装置によってピーク比が閾値を超えたエリアとそれ以外のエリアとに分けた画像データを作成すれば、この画像データからブラシBの表面における天然黒鉛と人造黒鉛との分布状態を視覚的に捉えることができる。
なお、ステップS2では、上記ピーク比として、Gピーク強度Iに対するDピーク強度Iの比I/Iを算出することができる。そして、ステップ3では、このピーク比が閾値を超えたエリアを人造黒鉛を含むエリアとし、このピーク比が当該閾超えなかったエリアを天然黒鉛を含むエリアとして区別することができる。したがって、この場合も、エリアの面積比に基づいて、ブラシBに含まれる人造黒鉛と天然黒鉛との割合を直接的に求めることができる。また、上述したピーク比が閾値を超えたエリアと、ピーク比が閾値を超えなかったエリアとの分布状態から、ブラシBの表面における人造黒鉛と天然黒鉛との分布状態も直接的に求めることができる。
以上のように、本発明を適用したブラシのカーボン特定方法では、ブラシBの表面を複数のエリアに区分して、各エリアをラマン分光分析により解析し、このラマン分光分析による解析結果から、エリア毎のラマンスペクトルのDピークとGピークとのピーク比を算出し、ピーク比が所定の閾値を超えたエリアとそれ以外のエリアとの面積比を求めることによって、ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合をエリアの面積比に基づいて定量的に求めることができ、更に、ブラシ表面のエリア毎に天然黒鉛と人造黒鉛との割合を求めることによって、天然黒鉛と人造黒鉛との分布状態も容易に特定することができる。
したがって、本発明によれば、ブラシBが天然黒鉛と人造黒鉛とを含む原料からなる場合に、電動モータの整流特性の安定化や耐久寿命の向上に影響を与える天然黒鉛と人造黒鉛との配合比やその分布状態などを定量的に求めることが可能である。
そして、本発明では、上記ブラシのカーボン特定方法を用いることによって、ブラシBに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との最適な配合比を特定し、ブラシBの整流特性の安定化や耐久寿命の向上を図ることが可能である。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
本発明では、天然黒鉛と人造黒鉛との配合比が5:5からなるカーボンブラシを実際に作製し、上記ブラシのカーボン特定方法を用いて、カーボンブラシの表面における天然黒鉛と人造黒鉛との割合について調べた。
具体的には、先ず、図3に示すフローチャートに従って、カーボンブラシを作製した。
すなわち、このカーボンブラシを作製する際は、先ず、天然黒鉛として日本黒鉛工業製のCB−100(商品名)、人造黒鉛として日本黒鉛工業製のPAG−60(商品名)を用いて、これら天然黒鉛と人造黒鉛とを50重量%ずつ混合し、これにバインダとしてフェノール樹脂を総重量に対して30重量%加えて、50℃の温度条件下で1時間混練した。次に、混練したものを乾燥、粉砕し、粒度選別することにより、平均粒径が200μmの黒鉛粒子を得た。次に、この黒鉛粒子に添加剤として二硫化モリブデンを黒鉛粒子の総重量に対して3重量%加えて、均質となるまでよく混合した。次に、混合したものを所定の成形用型枠に入れ、1mm当たり200Nの圧力でプレス成形した後に、500℃の温度で2時間焼成することによって焼結体を得た。そして、この焼結体を研削加工することによって、所定の形状のカーボンブラシを作製した。
次に、上記ブラシのカーボン特定方法を用いて、作製したカーボンブラシの表面における天然黒鉛と人造黒鉛との割合について調べた。
具体的には、先ず、図4の顕微鏡写真に示すように、カーボンブラシの表面を20×20(=400エリア)の升目状に区画し、顕微ラマンのビームを順次走査しながら、区画された各エリアに照射し、これら複数のエリア毎にラマン分光分析による解析を行い、各エリアのラマンスペクトルを得た。なお、升目状に区画された1つのエリアの大きさは、2μm角である。さらに、全エリアの測定位置を126991ドットまで細分化した。
また、得られたラマンスペクトルの一例を図5に示す。図5に示すように、ラマンスペクトルは、およそ1230〜1440cm−1の範囲にDピークが出現し、1360cm−1付近にDピーク強度Iを有することがわかる。また、およそ1474〜1675cm−1の範囲にGピークが出現し、1560cm−1付近にGピーク強度Iを有することがわかる。
次に、各エリアのラマンスペクトルから、Dピーク強度Iに対するGピーク強度Iの比I/Iを算出した。そして、ピーク比が最大となるエリアと最小となるエリアとの間を1〜50の範囲で分級し、閾値を10.0に設定し、全エリアのうち、ピーク比が閾値を超えたエリアのドット数と、ピーク比が閾値を超えなかったエリアのドット数との比を求めた。その結果、ピーク比が閾値を超えたエリアの総数は60020ドット、ピーク比が閾値を超えなかったエリアの総数は66971ドットであった。
ここで、エリアの面積比は、ピーク比が閾値を超えたエリアの総数と、ピーク比が所定の閾値を超えなかったエリアの総数との比であり、この比はそのままブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合として見ることができる。すなわち、
天然黒鉛:人造黒鉛
=60020:66971
=0.47:0.53
≒5:5
となり、実際のカーボンブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との配合比とほぼ同じ値を示していることがわかる。
また、画像処理装置によって各エリアのピーク比の分布を示す画像を作成したところ、図6に示すような画像データが得られた。本発明では、この画像データからカーボンブラシの表面における天然黒鉛と人造黒鉛との分布状態を視覚的に捉えることが可能である。
以上のように、本発明によれば、ブラシが天然黒鉛と人造黒鉛とを含む場合に、電動モータの整流特性の安定化や耐久寿命の向上に影響を与える天然黒鉛と人造黒鉛との配合比やその分布状態などを定量的に求めることが可能である。
図1は、カーボンブラシを用いた電動モータの一例を示す断面図である。 図2は、本発明を適用したブラシのカーボン特定方法を示すフローチャートである。 図3は、カーボンブラシの作製手順を示すフローチャートである。 図4は、カーボンブラシの表面を示す顕微鏡写真である。 図5は、ラマンスペクトルの一例を示すグラフである。 図6は、カーボンブラシの表面を画像処理した写真である。
符号の説明
1…電動モータ 1a…アーマチュア軸 2…ヨーク 4…コンミテータ 5a…コイル B…ブラシ

Claims (2)

  1. 電動モータの回転子に巻装されるコイルに給電するブラシが天然黒鉛と人造黒鉛とを含む場合に、当該ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合を特定するブラシのカーボン特定方法であって、
    前記ブラシの表面を複数のエリアに区分して、各エリアをラマン分光分析により解析するステップと、
    前記ラマン分光分析による解析結果から、前記エリア毎のラマンスペクトルのDピークとGピークとのピーク比を算出するステップと、
    前記ピーク比が所定の閾値を超えたエリアとそれ以外のエリアとの面積比を求めるステップと、
    前記エリアの面積比に基づいて、前記ブラシに含まれる天然黒鉛と人造黒鉛との割合を特定するステップとを含むことを特徴とするブラシのカーボン特定方法。
  2. 前記ピーク比として、Dピーク強度IDに対するGピーク強度IGの比IG/IDを算出することを特徴とする請求項1に記載のブラシのカーボン特定方法。
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