JP2018087110A - 金属黒鉛質材料及び金属黒鉛質ブラシ - Google Patents

金属黒鉛質材料及び金属黒鉛質ブラシ Download PDF

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優希 中村
直明 志村
Naoaki Shimura
直明 志村
晃 永井
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永井  晃
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浩一 上田
美香 小舩
Mika Kofune
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Abstract

【課題】整流子表面の荒損を抑えつつ整流子表面に生成する黒化皮膜の量を低減することで接触電圧降下を抑え、モータ出力に優れる金属黒鉛質ブラシを形成可能な金属黒鉛質材料の提供。【解決手段】金属と、樹脂処理黒鉛と、モース硬度が2〜3である無機粒子と、を含有する金属黒鉛質材料。【選択図】なし

Description

本発明は、金属黒鉛質材料及び金属黒鉛質ブラシに関する。
金属黒鉛質ブラシの製造には、摺動性及び導電性を付与する観点から黒鉛粒子と、銅、銀等の金属とを含有する金属黒鉛質材料が用いられている。金属黒鉛質ブラシは、例えば、小型直流モータ用のブラシとして用いられる。
従来の金属黒鉛質ブラシは、固体の摺動摩耗材料としての天然黒鉛粉、導電性を向上させる銅粉、潤滑性を向上させる二硫化モリブデン、鉛等の無機粒子、及び天然黒鉛粒子のバインダとして溶解したノボラック型フェノール樹脂、フルフラール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂を主原料としている。例えば、金属黒鉛質ブラシは、天然黒鉛粉と溶解フェノール樹脂とを湿式混合して造粒して粉末を作り、その粉末に銅粉と無機粒子とを混合し、この後に所定形状に成形し、焼成を行うことによって製造される(例えば、特許文献1参照)。
ところが、上記に示す金属黒鉛質ブラシを用いたモータは整流子表面に凹凸及び荒れが生じることによって火花の発生が多くなる。その結果、黒化皮膜が過剰に生成し、接触電圧降下が増大することでモータ出力が悪化するという問題点がある。
そこで、金属黒鉛質ブラシにWC(炭化タングステン)、SiО(二酸化ケイ素)等の耐摩耗物質に鍍銅処理を施した物質を添加して、整流子表面に過剰に生成した黒化皮膜を研削する手法が一般的に用いられている。(例えば、特許文献2参照) 。
特許第2641695号公報 特開2004−71177号公報
しかし、WC及びSiОはモース硬度が高いことから、黒化皮膜を研削するだけでなく、整流子表面を荒損させ、金属黒鉛質ブラシの摩耗を促進するおそれがある。
本発明は、整流子表面の荒損を抑えつつ整流子表面に生成する黒化皮膜の量を低減することで接触電圧降下を抑え、モータ出力に優れる金属黒鉛質ブラシを形成可能な金属黒鉛質材料及びこの金属黒鉛質材料を用いて形成された金属黒鉛質ブラシを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 金属と、樹脂処理黒鉛と、モース硬度が2〜3である無機粒子と、を含有する金属黒鉛質材料。
<2> 前記無機粒子が層状ケイ酸塩化合物を含む<1>に記載の金属黒鉛質材料。
<3> 前記無機粒子が雲母を含む<1>又は<2>に記載の金属黒鉛質材料。
<4> 前記無機粒子の含有率は、金属黒鉛質材料の総質量に対して0.01質量%〜5質量%である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の金属黒鉛質材料。
<5> 前記金属が銅を含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の金属黒鉛質材料。
<6> <1>〜<5>のいずれか1つに記載の金属黒鉛質材料を用いて形成された金属黒鉛質ブラシ。
<7> 直流モータ用ブラシとして用いられる、<6>に記載の金属黒鉛質ブラシ。
本発明によれば、整流子表面の荒損を抑えつつ整流子表面に生成する黒化皮膜の量を低減することで接触電圧降下を抑え、モータ出力に優れる金属黒鉛質ブラシを形成可能な金属黒鉛質材料及びこの金属黒鉛質材料を用いて形成された金属黒鉛質ブラシを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において、各粒子の平均粒子径は、レーザー回折法により測定される体積基準の粒度分布において小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)である。
[金属黒鉛質材料]
本実施形態に係る金属黒鉛質材料は、金属と、樹脂処理黒鉛と、モース硬度が2〜3である無機粒子と、を含有する。これにより、整流子表面の荒損を抑えつつ整流子表面に生成する黒化皮膜の量を低減することで接触電圧降下を抑えることができ、さらに、モータ出力に優れる金属黒鉛質ブラシを形成可能である。
(金属)
本実施形態で用いられる金属としては、特に制限されない。金属は、導電性の観点から、銅、銀等が好ましく、製造コストの観点から銅がより好ましい。また、金属は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
金属は、金属粉の状態が好ましく、銅粉、銀粉等がより好ましい。また、金属は、製造コストの観点から銅粉が好ましく、電解銅粉がより好ましい。金属の平均粒子径は、直流モータ用ブラシとした際の出力向上及び機械的強度向上の観点から、5μm〜75μmであることが好ましく、10μm〜60μmであることがより好ましく、15μm〜55μmであることがさらに好ましい。
本実施形態で用いられる金属の表面が樹脂で被覆されていてもよい。被覆に用いられる樹脂は、直流モータ用ブラシとした際のブラシ性能に問題がなければ特に制限はなく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの中では、特にエポキシ樹脂、又はフェノール樹脂を用いることが好ましい。
樹脂を用いて金属を被覆する手段としては特に制限はなく、例えば、樹脂を、塗布、吹き付け、浸漬又は含浸させる方法により金属を被覆することができ、中でも、より安定した被覆状態とする観点から、含浸させる方法により金属を被覆することが好ましい。樹脂の被覆率としては、金属黒鉛質材料の総質量に対して、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。この被覆率が0.05質量%以上の場合、金属が十分に被覆されて酸化が抑制される傾向にある。また被覆率が5質量%以下の場合、ブラシの抵抗が低く抑えられる傾向にある。
金属黒鉛質材料において、金属の含有率は、特に制限されない。金属の配合量を抑え、かつ良好な導電性を発現する観点からは、金属の含有率は、金属黒鉛質材料の総質量に対して、33質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、28質量%以下であることがさらに好ましい。必要な導電性を発現する観点からは、金属の含有率は、金属黒鉛質材料の総質量に対して10質量%以上であることが好ましい。
金属黒鉛質材料において、後述する樹脂処理黒鉛と金属の配合割合は、樹脂処理黒鉛が10質量部〜90質量部に対して、金属が10質量部〜90質量部であることが好ましく、樹脂処理黒鉛が20質量部〜90質量部に対して、金属が10質量部〜80質量部であることがより好ましい。
金属は、高温下又は高温多湿下での比抵抗の増加抑制の観点から、亜鉛、マンガン等の酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属を含有してもよい。
酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属の含有率は、金属黒鉛質材料の総質量に対して0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜4.5質量%であることがより好ましい。
また、酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属の平均粒子径は、0.1μm〜100μmであることが好ましく、3μm〜80μmであることがより好ましく、5μm〜60μmであることがさらに好ましい。
(樹脂処理黒鉛)
本実施形態の金属黒鉛質材料は、樹脂処理黒鉛を含有する。金属黒鉛質材料が樹脂処理黒鉛を含有することにより、ブラシ強度向上によるブラシ摩耗量を低減することができる。
樹脂処理黒鉛に用いる黒鉛の種類は特に制限されず、天然黒鉛であっても、人造黒鉛であってもよい。中でも、結晶の発達した潤滑性により優れる天然黒鉛が好ましい。黒鉛は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
樹脂処理黒鉛に用いるバインダ樹脂は、特に制限されず、フェノール樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。バインダ樹脂の状態は特に制限されず、液状、固形状、粉状等のいずれであってもよい。バインダ樹脂は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
バインダ樹脂は、機械強度及び耐熱性の観点からは、フェノール樹脂が好ましい。フェノール樹脂は、レゾール樹脂であっても、ノボラック樹脂であっても、これらの組み合わせであってもよい。フェノール樹脂は、所望の特性に応じて各種変性剤で変性された変性フェノール樹脂であってもよい。具体的には、レゾルシン変性フェノール樹脂、クレゾール変性フェノール樹脂、アルキル変性フェノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、芳香族炭化水素樹脂変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、油変性フェノール樹脂、フラン変性フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
黒鉛の平均粒子径は、特に制限されず、10μm〜200μmであることが好ましく、15μm〜150μmであることがより好ましく、20μm〜100μmであることがさらに好ましい。
樹脂処理黒鉛の平均粒子径は、特に制限されず、30μm〜500μmであることが好ましく、50μm〜400μmであることがより好ましい。
また、樹脂処理黒鉛は、平均粒子径が異なる2種以上の組み合わせであってもよい。例えば、平均粒子径が200μmを超えている樹脂処理黒鉛と、平均粒子径が200μm以下の樹脂処理黒鉛とを組み合わせてもよい。この場合、比抵抗の観点からは、平均粒子径が200μmを超えている樹脂処理黒鉛の割合が樹脂処理黒鉛全体の25質量%〜75質量%であることが好ましく、30質量%〜70質量%であることがより好ましく、35質量%〜65質量%であることがさらに好ましい。
樹脂処理黒鉛は、例えば、黒鉛及びバインダ樹脂を含有する組成物を混練した後、造粒することで得られる。混錬方法としては、通常の方法を用いることができる。組成物は、必要に応じて固体潤滑剤、硬化剤、可塑剤等を含有していてもよい。
(無機粒子)
本実施形態で用いられる無機粒子は、モース硬度が2〜3である。モース硬度が2〜3である無機粒子を金属黒鉛質材料に添加して金属黒鉛質ブラシを形成することによって、整流子表面に生成した黒化皮膜が研磨され、黒化皮膜の量が低減する。黒化皮膜の量が低減することによって、接触電圧降下が小さくなり、その結果、モータ出力が向上する。
また、モータ特性にはモータ出力以外にもブラシの摩耗量等が挙げられる。無機粒子のモース硬度が3以下であるため、研磨性が強すぎず、整流子の荒損、火花発生の増加及びブラシ摩耗量の増加を抑制することができる。無機粒子のモース硬度が2以上であるため、十分な研磨性を確保でき、黒化皮膜の量を低減する効果が奏される。
モース硬度が2〜3である材料としては、石膏、方解石、ホウ砂、セピオライト、雲母、緑泥石等が挙げられ、特に雲母が好ましい。
なお、モース硬度は、滑石、石膏、方解石、ホタル石、燐灰石、正長石、石英、黄玉、鋼玉、及びダイヤモンドを標準物質として、モース硬度計を用いて調べることができる。
本実施形態で用いられる無機粒子は層状ケイ酸塩化合物を含むことが好ましい。層状ケイ酸塩化合物には雲母、緑泥石等が挙げられ、特に雲母が好ましい。
雲母とはIM10又はIM10で表される化合物である。IはK、Na、Ca、Ba、Rb、Cs、又はNHである。MはAl、Mg、Fe2+、Li、Ti、Mn、Cr、Zn、及びVからなる群より選択される少なくとも一つである。TはSi、Al、Fe3+、Be、及びBからなる群より選択される少なくとも一つである。AはOH、F、Cl、及びOからなる群より選択される少なくとも一つである。
無機粒子の含有率は、金属黒鉛質材料の総質量に対して0.01質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜4質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜3質量%であることがさらに好ましい。無機粒子の含有率が0.01質量%以上であることにより、黒化皮膜の量を低減する効果が十分に得られ、無機粒子の含有率が5質量%以下であることにより、研磨性が強くなりすぎず、整流子の荒損を好適に抑制することができる。
また、無機粒子の平均粒子径は、0.1μm〜50μmであることが好ましく、0.5μm〜40μmであることがより好ましく、1μm〜30μmであることがさらに好ましい。無機粒子の平均粒子径が0.1μm以上であることにより、黒化皮膜の量を低減する効果が十分に得られ、無機粒子の平均粒子径が50μm以下であることにより、研磨性が強くなりすぎず、整流子の荒損を好適に抑制することができる。
(離型剤)
金属黒鉛質材料は、離型剤を含有してもよい。離型剤の種類は特に制限されず、金属黒鉛質材料及び金属黒鉛質ブラシの用途等に応じて選択できる。離型剤として具体的には、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、硬化油等が挙げられる。離型剤は1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
金属黒鉛質材料が離型剤を含有する場合、その含有率は特に制限されない。例えば、金属黒鉛質材料の総質量に対して0.01質量%〜1.5質量%であってよい。
(その他の成分)
金属黒鉛質材料は、必要に応じて金属、樹脂処理黒鉛、無機粒子及び離型剤以外のその他の成分を含有してもよい。例えば、潤滑性の観点から、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等の金属硫化物固体潤滑剤を含有してもよい。
金属黒鉛質材料が金属硫化物固体潤滑剤を含有する場合、金属硫化物固体潤滑剤の含有率は、金属黒鉛質材料の総質量に対して0.05質量%〜6質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.7質量%〜4質量%がさらに好ましい。
金属硫化物固体潤滑剤の平均粒子径は、特に制限されず、0.5μm〜50μmであることが好ましく、3μm〜40μmであることがより好ましい。
[金属黒鉛質ブラシ]
本実施形態に係る金属黒鉛質ブラシは、前述の金属黒鉛質材料を用いて形成されたものであってもよく、前述の金属黒鉛質材料を構成する各成分を用いて形成されたものであってもよい。金属黒鉛質ブラシは、整流子表面の荒損を抑えつつ整流子表面に生成する黒化皮膜の量を低減することで接触電圧降下を抑えることができ、さらに、モータ出力に優れる。また、金属黒鉛質ブラシは、例えば、直流モータ用ブラシとして用いられる。
金属黒鉛質ブラシは、前述の金属黒鉛質材料を200MPa〜400MPa程度の圧力で成形プレスし、その後、還元性雰囲気で焼結(例えば、600℃〜800℃で6時間〜10時間)し、所定の形状及び寸法に機械加工することで製造してもよい。
また、金属黒鉛質ブラシは、前述の金属、樹脂処理黒鉛、無機粒子、必要に応じて離型剤及びその他の成分を混合機で均一に混合した後、200MPa〜400MPa程度の圧力で成形プレスし、その後、還元性雰囲気で焼結(例えば、600℃〜800℃で6時間〜10時間)し、所定の形状及び寸法に機械加工することで製造してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1、比較例1〜3〕
天然黒鉛粉(平均粒子径:30μm)84質量%、二硫化モリブデン粉1.0質量%及びフェノール樹脂15質量%を均一となるように混練、乾燥、粉砕、及び分級し、平均粒子径が300μmの樹脂処理黒鉛A及び平均粒子径が100μmの樹脂処理黒鉛Bを得た。
次に、これらの樹脂処理黒鉛に銅粉(平均粒子径:35μm)、離型剤(ステアリン酸カルシウム)、及び無機粒子を表1に示す配合組成で配合し、V型混合機で均一となるように混合し、全成分が分散した混合粉を得た。
表1に示すように、実施例1、比較例2及び比較例3では、それぞれ無機粒子A〜Cを用いた。表1中の無機粒子Aはセリサイト(平均粒子径:5μm、雲母)、無機粒子Bはチタン酸カリウム(平均粒子径:6μm)、無機粒子Cは酸化亜鉛(平均粒子径:2μm)である。一方、比較例1では、無機粒子を用いなかった。
その後、実施例1、及び比較例1〜3で得た混合粉をそれぞれ金型に充填し、さらに所定の位置にリード線を埋設した後、単軸の粉末成形機で294MPaの圧力で成形し、次いで還元性雰囲気で700℃の温度で焼成して金属黒鉛質ブラシを得た。
次に、実施例1及び比較例1〜3で得られた金属黒鉛質ブラシを大気雰囲気下、試験温度は20℃、回転数は1700min−1(周速4m/s)、荷重は0.5MPa、摺動面の面積は100mm、試験時間は1時間、相手材は銅板(無酸素銅)、の条件で、無通電状態で試験した後、銅板に付着した黒化皮膜の量をSEM−EDX(エネルギー分散型X線分析装置付きの走査型電子顕微鏡)にて分析した。
銅板に付着した黒化皮膜の量の測定方法は以下の通りである。Philips社製走査型電子顕微鏡(ESEM XL30)を用いて、高真空モード、倍率は100倍、ビーム強度は10kV、黒化皮膜表面から電子銃までの距離を10mmとして、黒化皮膜を構成する元素の定性及び定量分析を行った。その結果、黒化皮膜の構成元素は炭素、酸素、及び銅であり、この3元素の存在率の和を100質量%としたときの炭素の存在率を黒化皮膜の量とした。
皮膜粗さPa及び皮膜粗さPzは株式会社ミツトヨ製の表面粗さ測定機を用いて測定した。掃引距離は7mm、掃引速度は0.5mm/s、掃引方向は摺動方向と直角である。皮膜粗さPaは算術平均粗さを示し、皮膜粗さPzは最大高さを示しており、いずれも値が小さいほど表面の荒れが小さいことを示している。
その結果を表1に示す。
金属及び樹脂処理黒鉛を含み、無機粒子A(セリサイト)を1質量%含有する実施例1は、無機粒子を添加していない比較例1に比べて黒化皮膜の量は低減している。これはセリサイトの添加により黒化皮膜の量が低減することを示している。さらに、実施例1の皮膜粗さPaは比較例1の皮膜粗さPaよりも小さく、実施例1の皮膜粗さPzは比較例1の皮膜粗さPzと同等である。これは無機粒子A(セリサイト)を添加しても整流子表面を荒損させていないことを示している。
金属及び樹脂処理黒鉛を主成分とし、無機粒子A(セリサイト)を含有する実施例1は、無機粒子B(チタン酸カリウム)を含有する比較例2、及び無機粒子C(酸化亜鉛)を含有する比較例3に比べて黒化皮膜の量が低減している。これは、無機粒子B(チタン酸カリウム)及び無機粒子C(酸化亜鉛)よりも無機粒子A(セリサイト)のほうが黒化皮膜を低減する効果が大きいことを示している。さらに、実施例1の皮膜粗さPaは比較例2及び比較例3の皮膜粗さPaよりも小さく、実施例1の皮膜粗さPzは比較例2及び比較例3の皮膜粗さPzよりも小さくなっている。これは無機粒子A(セリサイト)の添加によって整流子表面の荒損を抑え、黒化皮膜の量を低減していることを示している。
黒化皮膜の量、皮膜粗さPa及び皮膜粗さPzに関して、比較例2及び比較例3が実施例1よりも悪化した原因として、無機粒子Aであるセリサイトのモース硬度が3であるのに対し、無機粒子Bであるチタン酸カリウム及び無機粒子Cである酸化亜鉛のモース硬度がいずれも4であることが影響していると考えられる。比較例2、3のように、モース硬度が高い場合、黒化皮膜だけでなく整流子を研磨してしまい、整流子表面が荒れてしまう。さらに、比較例3のように、荒れた整流子にブラシが接触した場合、荒れていない整流子に接触する場合よりもブラシの摩耗が大きくなり、発生した摩耗粉が整流子表面に蓄積してしまい、その結果、黒化皮膜の量は増大すると考えられる。
実施例1では、整流子表面の荒損を抑えつつ整流子表面に生成する黒化皮膜の量を低減させることによって接触電圧降下が小さくなり、これによってモータ出力等のモータ特性が向上することがわかる。

Claims (7)

  1. 金属と、
    樹脂処理黒鉛と、
    モース硬度が2〜3である無機粒子と、
    を含有する金属黒鉛質材料。
  2. 前記無機粒子が層状ケイ酸塩化合物を含む請求項1に記載の金属黒鉛質材料。
  3. 前記無機粒子が雲母を含む請求項1又は請求項2に記載の金属黒鉛質材料。
  4. 前記無機粒子の含有率は、金属黒鉛質材料の総質量に対して0.01質量%〜5質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属黒鉛質材料。
  5. 前記金属が銅を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属黒鉛質材料。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の金属黒鉛質材料を用いて形成された金属黒鉛質ブラシ。
  7. 直流モータ用ブラシとして用いられる、請求項6に記載の金属黒鉛質ブラシ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108832439A (zh) * 2018-07-02 2018-11-16 汉寿县祥顺碳制品有限公司 一种汽车电子扇电机用碳刷及其制备方法
CN111799958A (zh) * 2019-04-01 2020-10-20 株式会社电装 直流电动机
WO2021260771A1 (ja) * 2020-06-22 2021-12-30 昭和電工マテリアルズ株式会社 金属黒鉛質材料及び電刷子

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