JP2004120868A - 直流モータ及び直流モータにおける構成部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】整流子のセグメント及びブラシを一般的なカーボン材及び金属材料で構成しながら、小型化・長寿命化を図ることができる直流モータを提供すること。
【解決手段】モータ1は、セグメント4aを有した整流子4と、ブラシ10とを備えている。セグメント4aはカーボン材で形成され、ブラシ10は銅で形成される。
【選択図】 図2
【解決手段】モータ1は、セグメント4aを有した整流子4と、ブラシ10とを備えている。セグメント4aはカーボン材で形成され、ブラシ10は銅で形成される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流モータ及び直流モータにおける構成部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、直流モータの回転軸には、銅(又は、銅を主とする合金)製のセグメントを有する整流子が設けられ、その整流子には、導電性のカーボン材で形成される給電用のブラシが当接されている。ブラシは、回転軸の径方向に延びるブラシホルダ内にて保持され、スプリングの付勢力にて整流子側に付勢されている。このように保持されたブラシは、整流子(セグメント)を介して電気子コイルに駆動電源を供給する。
【0003】
ところが、セグメントは銅(又は、銅を主とする合金)で形成されるのに対し、ブラシは該セグメントより機械的強度が低いカーボンで形成されているため、摺接や通電によるブラシの摩耗が整流子(セグメント)よりも極端に早いという問題があった。
【0004】
そこで、ブラシの寿命を長くするために、該ブラシを大きく(軸方向又は径方向に大きく)したり、ブラシを整流子側に付勢するスプリングのストロークを長くする等の方法が考えられる。しかし、これらの方法では、整流子、ブラシ周辺の構造が大きくなってしまい、結果として直流モータの体格が必要以上に大きくなってしまうといった問題があった。
【0005】
そのため、例えば機械的強度の高い無定形炭素をカーボン材に含有してブラシを形成し、該ブラシの耐摩耗性を向上させ、モータの小型化・長寿命化を図るようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−162923号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無定形炭素を用いるとブラシの耐摩耗性が向上するが、その反面、無定形炭素を用いない一般的なブラシに比べてコストが上昇するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、整流子のセグメント及びブラシを一般的なカーボン材及び金属材料で構成しながら、小型化・長寿命化を図ることができる直流モータ及び直流モータにおける構成部品の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数個のセグメントを有する整流子と、前記セグメントに摺接し、電源供給を行うブラシとを備えたモータにおいて、前記セグメントは、導電性のカーボン材で形成され、前記ブラシは、前記セグメントよりも機械的強度の高い金属材料で形成されていることをその要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の直流モータにおいて、前記セグメントは、前記ブラシがカーボン材で形成された場合における該ブラシの摩耗量に応じた厚さで形成され、前記ブラシは、前記セグメントが金属材料で形成された場合における該セグメントの摩耗量に応じた長さで形成されていることをその要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の直流モータにおいて、前記金属材料は、銅又は銅を主とする合金であることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、複数個のセグメントを備えた整流子と、前記セグメントに摺接して、電源供給を行うブラシとを備えた直流モータにおける構成部品の製造方法において、導電性のカーボン材で形成される仮のブラシの長さと、その仮のブラシより機械的強度の高い金属材料で形成される仮のセグメントの厚さとを設定する工程と、前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの摺接時における各摩耗量を測定する工程と、本来使用するセグメント及びブラシの材料と、前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの材料とを入れ替えるとともに、前記測定の結果をもとに本来使用するセグメントの厚さを、前記仮のブラシがカーボン材で形成された場合における該ブラシの摩耗量に応じて設定し、本来使用するブラシの長さを、前記仮のセグメントが金属材料で形成された場合における該セグメントの摩耗量に応じて設定する工程と、前記設定に基づいて本来使用する前記ブラシ及び前記セグメントを製造する工程とを有することをその要旨とする。
【0012】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、セグメントはカーボン材で形成され、ブラシはセグメントよりも機械的強度の高い金属材料で形成される。直流モータの作動中において、ブラシは常にセグメントと摺接することにより摩耗するが、セグメントは、周方向に配置される全セグメントの表面全体で摩耗を分担する。つまり、1つのセグメントは、ブラシと接触している時のみ、即ち、間欠的に摩耗する。従って、従来と比べ、ブラシは摩耗量が小さくなりそれに伴って径方向の長さを小さくすることができ、セグメントは全体の摩耗量が大きくなるが、1つのセグメントが分担する摩耗量が小さく、結果として径方向の厚さの増加量を小さくすることができる。その結果、整流子のセグメント及びブラシを一般的なカーボン材及び金属材料で構成しながら、小型化・長寿命化を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、セグメントの厚さは、カーボン材で形成されたブラシの摩耗量に応じて設定され、ブラシの長さは、金属材料で形成されたセグメントの摩耗量に応じて設定される。従って、セグメント及びブラシの寸法設定が容易にでき、又、それらの製造も容易とすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、ブラシは安価な銅、又は、銅を主とする合金で形成されるので、コストの低減を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、本来使用するセグメントの厚さは、カーボン材で形成された仮のブラシの摩耗量に応じて設定され、本来使用するブラシの長さは、金属材料で形成された仮のセグメントの摩耗量に応じて設定される。従って、本来使用するセグメント及びブラシの寸法設定が容易で、又、それらの製造も容易とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、直流モータ(以下、単にモータという)1のハウジング2には、アーマチャ3及び整流子4を装着した回転軸5が軸受6を介して回転可能に支持されている。又、ハウジング2の内周面には、アーマチャ3と対向した位置に複数のマグネット7が固着されている。さらに、ハウジング2内には、整流子4と隣接した位置にブラシ装置8が配設されている。
【0016】
整流子4は、略円筒形状に形成されている。整流子4の外周面には複数のセグメント4aが設けられ、各セグメント4aは導電性のカーボン材で形成されている。セグメント4aは、径方向において後述するブラシ10の摺接部10aの摩耗量に応じた厚さで形成される。
【0017】
ブラシ装置8は、一対のブラシ10と、ブラシホルダ11と、後板12と、コイルスプリング13とを備えている。
ブラシ10は、略直方体状をなし、整流子4のセグメント4aと摺接可能な部位を摺接部10aとしている。摺接部10aは、径方向においてセグメント4aの摩耗量に応じた長さで形成される(図2中、先端から2点鎖線までの長さ)。尚、摺接部10aが全て摩耗する時間が寿命である。ブラシ10は、カーボン材で形成されるセグメント4aよりも機械的強度が高い金属材料としての銅(又は、銅を主とする合金)で形成される。つまり、本実施形態では、ブラシ10及びセグメント4aの材料を逆にしている。そのため、ブラシ10の摩耗量はセグメント4aの摩耗量よりも小さくなる。
【0018】
ブラシホルダ11はブラシ10を収容すべく略矩形状に形成されている。ブラシホルダ11の後端開口部(反整流子側開口部)は、ブラシホルダ11に一体に形成された後板12によって塞がれている。
【0019】
コイルスプリング13はブラシホルダ11内のブラシ10の後端面(反整流子側端面)と後板12の間に圧縮して収容されている。コイルスプリング13はブラシ10を整流子4に向かって付勢している。
【0020】
ここで、モータ1の作動中においては、ブラシ10の摺接部10aは常にセグメント4aと摺接することにより摩耗する。一方、セグメント4aは、周方向に配置される全セグメントの表面全体で摩耗を分担する。つまり、1つのセグメント4aは、摺接部10aと接触している時のみ、即ち、間欠的に摩耗する。つまり、従来と比べ、摺接部10aは摩耗量が小さくなりそれに伴って径方向の長さを小さくすることができ、セグメント4aは全体の摩耗量が大きくなるが、1つのセグメント4aが分担する摩耗量が小さく、結果として径方向の厚さの増加量を小さくすることができる。
【0021】
次に、図3において、整流子20のセグメント20aを銅(又は、銅を主とする合金)製とし、ブラシ21を導電性のカーボン材で形成した一般のモータMを示し、図2において、整流子4のセグメント4aを導電性のカーボン材で形成し、ブラシ10を銅(又は、銅を主とする合金)製とした本実施形態のモータ1を示し、両モータM,1の直径を比較してみる。比較のために、モータMのセグメント及びブラシの摩耗量と、モータ1のセグメント及び摺接部の摩耗量とは同量とする。尚、両図2,3において、図面が煩雑になるのを防止するために、各セグメント4a,20a間の区切る線を省略してある。
【0022】
まず、一般のモータMの場合について説明する。図3(a)は、モータMの整流子20及びブラシ21の要部断面図、図3(b)は要部側面図を示す。
整流子20は、セグメント20aの厚さT1を含む直径D1で形成されている。この時、整流子20の限界摩耗径(ブラシ21との摺接によりセグメント20aが摩耗される限界径)dとする。又、ブラシ21との摺接によって摩耗されるセグメント20aの摩耗量(摩耗体積)C1とする。
【0023】
ブラシ21の摺接部21aは、モータMの径方向に対して長さLb1、周方向に対して幅W、軸方向に対して高さHで形成されている。摺接部21aは、セグメント20aとの摺接によって摩耗する摩耗量(摩耗体積)B1とする。
【0024】
これより、T1=[−d+√{d2+4×C1/(π×H)}]/2であり、Lb1=B1/(W×H)である。ブラシ21の摺接部21a及び整流子20の径方向における全体の長さL1とすると、L1=2×B1/(W×H)+√{d2+4×C1/(π×H)}である。
【0025】
これに対し、本実施形態のモータ1について説明する。図2(a)は、モータ1の整流子4及びブラシ10の要部断面図、図2(b)は要部側面図を示す。
整流子4は、セグメント4aの厚さT2を含む直径D2で形成されている。この時、整流子4の限界摩耗径dであり、前記モータ1と同径とする。又、ブラシ10との摺接によって摩耗されるセグメント4aの摩耗量(摩耗体積)C2とする。
【0026】
ブラシ10の摺接部10aは、モータ1の径方向に対して長さLb2、周方向に対して幅W、軸方向に対して高さHで形成されている。摺接部10aは、セグメント4aとの摺接によって摩耗する摩耗量B2とする。
【0027】
これより、T2=[−d+√{d2+4×C2/(π×H)}]/2であり、Lb2=B2/(W×H)である。ブラシ10の摺接部10a及び整流子4の全体の長さをL2とすると、L2=2×B2/(W×H)+√{d2+4×C2/(π・H)}である。ここで、モータMのセグメント20aの摩耗量C1とモータ1の摺接部10aとの摩耗量B2は同量であり、又、モータMの摺接部21aの摩耗量B1とモータ1のセグメント4aとの摩耗量C2は同量である。つまり、C2=B1、B2=C1であるので、L2=2×C1/(W×H)+√{d2+4×B1/(π×H)}となる。
【0028】
そして、モータMのセグメント20aの摩耗量C1と、摺接部21aの摩耗量B1との比をαとすると、B1=α×C1となり、L1及びL2の式に代入すると、L1=2×B1/(W×H)+√{d2+4×C1/(π×H×α)}、L2=2×C1/(W×H×α)+√{d2+4×B1/(π×H×α)}となる。ここで、モータMの摺接部21aの摩耗量B1がセグメント20aの摩耗量C1より大きい(α>1)とすると、L1>L2となる。
【0029】
つまり、ブラシ10の摺接部10aの機械的強度をセグメント4aより高くすることで、本実施形態のモータ1では、セグメント4aの厚さT2がわずかに増加するが、該摺接部10aの長さLb2をその厚さT2の増加分よりも大きく減少させることができる。そのため、上記のように長さL2を十分小さくできるので、寿命の長さを維持しながらモータ1の体格の小型化を図ることができる。
【0030】
又、コイルスプリング13の必要ストロークが短くできるため、寿命後期での荷重低下による摩耗の加速が少なくなり、長寿命化を図ることができる。又、コイルスプリング13のバネ定数を大きくし、長さを短くすれば、モータ1の体格をより小型化することができ、コストの低減を図ることができる。又、モータ1の長さL2をモータMの長さL1と同じとなるように、セグメント4aの厚さT2とブラシ10の摺接部10aの長さLb2を増加すれば、モータ1の体格を大きくすることなく寿命を長くすることができる。
【0031】
次に、本実施形態の直流モータ1における構成部品(セグメント4a及びブラシ10)の製造方法について説明する。
まず、一般的な構成のモータMにおいて、導電性のカーボン材で形成されるブラシ21(仮のブラシ)の摺接部21aの径方向の長さLb1と、摺接部21aより機械的強度が高い銅(又は、銅を主とする合金)で形成される整流子20のセグメント20a(仮のセグメント)の径方向の厚さT1とを設定する。
【0032】
次いで、整流子20を回転させ、ブラシ21の摺接部21a及びセグメント20aの摩耗量B1,C1を測定する。
次いで、本来使用するセグメント4a及びブラシ10の材料と、セグメント20a(仮のセグメント)及びブラシ21(仮のブラシ)との材料を入れ替え、測定したブラシ21の摺接部21aの摩耗量B1に基づいて本実施形態の整流子4のセグメント4aの厚さT2を設定する。同様に、測定したセグメント20aの摩耗量C1に基づいて摺接部10aの長さLb2を設定する。
【0033】
そして、モータ1が所望の体格及び寿命となるようにコイルスプリング13の長さ及びバネ定数を設定する。このようにして寸法などが設定されたブラシ10、セグメント4a及びコイルスプリング13に基づいてこれら部品が製造され、モータ1が製造される。
【0034】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)モータ1は、ブラシ10が銅(又は、銅を主とする合金)で形成され、整流子4のセグメント4aがカーボン材で形成されている。つまり、ブラシ10の摺接部10aの機械的強度をセグメント4aより高くすることで、本実施形態のモータ1では、セグメント4aの厚さT2がわずかに増加するが、該摺接部10aの長さLb2をその厚さT2の増加分よりも大きく減少させることができる。従って、モータ1の整流子4とブラシ10との径方向における全体の長さL2を短くすることができるので、モータ1の体格を小さくすることができる。又、モータ1の長さL2をモータMの長さL1と同じとなるようにセグメント4aの厚さとブラシ10の摺接部10aの長さを設定すれば、モータ1の体格を大きくすることなく寿命を長くすることができる。又、この場合、ブラシ10及びセグメント4aは一般的なカーボン材及び金属材料で構成できる。
【0035】
(2)セグメント4aの厚さは、カーボン材で形成されたブラシ21の摺接部21aの摩耗量に応じて設定され、ブラシ10の摺接部10aの長さは、金属材料で形成されたセグメント20aの摩耗量に応じて設定される。従って、セグメント4a及び摺接部10aの寸法設定が容易にでき、又、それらの製造も容易にすることができる。
【0036】
(3)ブラシ10は安価な銅(又は、銅を主とする合金)で形成されるので、コストの低減を図ることができる。
(4)コイルスプリング13は、モータ1が所望の体格及び寿命となるような長さ及びバネ定数で形成されている。従って、コイルスプリング13の必要ストロークが短くできるため、寿命後期での荷重低下による摩耗の加速が少なくなり寿命がさらに延びることが期待できる。又は、モータ1のコイルスプリング13の長さを短く、バネ定数を大きく形成すれば、モータ1の体格をより小型化することができ、コストの低減を図ることができる。
【0037】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、製造方法において、カーボン材で形成した摺接部21aと銅で形成したセグメント20aとの摩耗量B1,C1を測定し、該摩耗量B1,C1に応じて本実施形態の摺接部10a及びセグメント4aを形成している。しかし、これに限らず、カーボン材と金属材料との機械的強度の関係から摩耗量を求め、セグメント4aの厚さT2と摺接部10aの長さLb2とを算出するようにしても良い。この場合、予めカーボン材で形成されるセグメント4aより機械的強度の高い金属材料で摺接部10aを形成すれば、本実施形態の製造効率を向上することができる。
【0038】
○上記実施形態では、ブラシ10は銅(又は、銅を主とする合金)で形成されていたが、ブラシ10の機械的強度がセグメント4a(カーボン材)より高く、モータ1を正常に動作できれば他の金属材料で形成しても良い。
【0039】
上記実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)複数個のセグメントを備えた整流子と、前記セグメントに摺接して、電源供給を行うブラシとを備えた直流モータにおける構成部品の製造方法において、
導電性のカーボン材で形成される仮のブラシの長さと、その仮のブラシより機械的強度の高い金属材料で形成される仮のセグメントの厚さとを設定する工程と、
前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの摺接時における各摩耗量を算出する工程と、
本来使用するセグメント及びブラシの材料と、前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの材料とを入れ替えるとともに、前記算出の結果をもとに本来使用するセグメントの厚さを、前記仮のブラシがカーボン材で形成された場合における該ブラシの摩耗量に応じて設定し、本来使用するブラシの長さを、前記仮のセグメントが金属材料で形成された場合における該セグメントの摩耗量に応じて設定する工程と、
前記設定に基づいて本来使用する前記ブラシ及び前記セグメントを製造する工程と
を有する直流モータにおける構成部品の製造方法。
【0040】
このようにすれば、本来使用するセグメントの厚さは、カーボン材で形成された仮のブラシの摩耗量に応じて設定され、本来使用するブラシの長さは、金属材料で形成されたセグメントの摩耗量に応じて設定される。従って、本来使用するセグメント及びブラシの寸法設定が容易で、又、それらの製造も容易にすることができる。しかも、仮のセグメント及び仮のブラシの摺接時における各摩耗量を算出するようにしているので、その摩耗量を実際に測定する工程を設けなくてすみ、その分だけコストを低減することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、整流子のセグメント及びブラシを一般的なカーボン材及び金属材料で構成しながら、小型化・長寿命化を図ることができる直流モータ及び直流モータにおける構成部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータの概略図である。
【図2】(a),(b)は整流子とブラシの説明図である。
【図3】(a),(b)は整流子とブラシの説明図である。
【符号の説明】
1…直流モータ、4,20…整流子、4a,20a…セグメント、8…ブラシ装置、10,21…ブラシ、10a,21a…摺接部、13…コイルスプリング、B1,B2,C1,C2…摩耗量、L1,L2,Lb1,Lb2…長さ、M…一般的なモータ、T1,T2…厚さ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流モータ及び直流モータにおける構成部品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、直流モータの回転軸には、銅(又は、銅を主とする合金)製のセグメントを有する整流子が設けられ、その整流子には、導電性のカーボン材で形成される給電用のブラシが当接されている。ブラシは、回転軸の径方向に延びるブラシホルダ内にて保持され、スプリングの付勢力にて整流子側に付勢されている。このように保持されたブラシは、整流子(セグメント)を介して電気子コイルに駆動電源を供給する。
【0003】
ところが、セグメントは銅(又は、銅を主とする合金)で形成されるのに対し、ブラシは該セグメントより機械的強度が低いカーボンで形成されているため、摺接や通電によるブラシの摩耗が整流子(セグメント)よりも極端に早いという問題があった。
【0004】
そこで、ブラシの寿命を長くするために、該ブラシを大きく(軸方向又は径方向に大きく)したり、ブラシを整流子側に付勢するスプリングのストロークを長くする等の方法が考えられる。しかし、これらの方法では、整流子、ブラシ周辺の構造が大きくなってしまい、結果として直流モータの体格が必要以上に大きくなってしまうといった問題があった。
【0005】
そのため、例えば機械的強度の高い無定形炭素をカーボン材に含有してブラシを形成し、該ブラシの耐摩耗性を向上させ、モータの小型化・長寿命化を図るようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−162923号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無定形炭素を用いるとブラシの耐摩耗性が向上するが、その反面、無定形炭素を用いない一般的なブラシに比べてコストが上昇するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、整流子のセグメント及びブラシを一般的なカーボン材及び金属材料で構成しながら、小型化・長寿命化を図ることができる直流モータ及び直流モータにおける構成部品の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数個のセグメントを有する整流子と、前記セグメントに摺接し、電源供給を行うブラシとを備えたモータにおいて、前記セグメントは、導電性のカーボン材で形成され、前記ブラシは、前記セグメントよりも機械的強度の高い金属材料で形成されていることをその要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の直流モータにおいて、前記セグメントは、前記ブラシがカーボン材で形成された場合における該ブラシの摩耗量に応じた厚さで形成され、前記ブラシは、前記セグメントが金属材料で形成された場合における該セグメントの摩耗量に応じた長さで形成されていることをその要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の直流モータにおいて、前記金属材料は、銅又は銅を主とする合金であることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、複数個のセグメントを備えた整流子と、前記セグメントに摺接して、電源供給を行うブラシとを備えた直流モータにおける構成部品の製造方法において、導電性のカーボン材で形成される仮のブラシの長さと、その仮のブラシより機械的強度の高い金属材料で形成される仮のセグメントの厚さとを設定する工程と、前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの摺接時における各摩耗量を測定する工程と、本来使用するセグメント及びブラシの材料と、前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの材料とを入れ替えるとともに、前記測定の結果をもとに本来使用するセグメントの厚さを、前記仮のブラシがカーボン材で形成された場合における該ブラシの摩耗量に応じて設定し、本来使用するブラシの長さを、前記仮のセグメントが金属材料で形成された場合における該セグメントの摩耗量に応じて設定する工程と、前記設定に基づいて本来使用する前記ブラシ及び前記セグメントを製造する工程とを有することをその要旨とする。
【0012】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、セグメントはカーボン材で形成され、ブラシはセグメントよりも機械的強度の高い金属材料で形成される。直流モータの作動中において、ブラシは常にセグメントと摺接することにより摩耗するが、セグメントは、周方向に配置される全セグメントの表面全体で摩耗を分担する。つまり、1つのセグメントは、ブラシと接触している時のみ、即ち、間欠的に摩耗する。従って、従来と比べ、ブラシは摩耗量が小さくなりそれに伴って径方向の長さを小さくすることができ、セグメントは全体の摩耗量が大きくなるが、1つのセグメントが分担する摩耗量が小さく、結果として径方向の厚さの増加量を小さくすることができる。その結果、整流子のセグメント及びブラシを一般的なカーボン材及び金属材料で構成しながら、小型化・長寿命化を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、セグメントの厚さは、カーボン材で形成されたブラシの摩耗量に応じて設定され、ブラシの長さは、金属材料で形成されたセグメントの摩耗量に応じて設定される。従って、セグメント及びブラシの寸法設定が容易にでき、又、それらの製造も容易とすることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、ブラシは安価な銅、又は、銅を主とする合金で形成されるので、コストの低減を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、本来使用するセグメントの厚さは、カーボン材で形成された仮のブラシの摩耗量に応じて設定され、本来使用するブラシの長さは、金属材料で形成された仮のセグメントの摩耗量に応じて設定される。従って、本来使用するセグメント及びブラシの寸法設定が容易で、又、それらの製造も容易とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、直流モータ(以下、単にモータという)1のハウジング2には、アーマチャ3及び整流子4を装着した回転軸5が軸受6を介して回転可能に支持されている。又、ハウジング2の内周面には、アーマチャ3と対向した位置に複数のマグネット7が固着されている。さらに、ハウジング2内には、整流子4と隣接した位置にブラシ装置8が配設されている。
【0016】
整流子4は、略円筒形状に形成されている。整流子4の外周面には複数のセグメント4aが設けられ、各セグメント4aは導電性のカーボン材で形成されている。セグメント4aは、径方向において後述するブラシ10の摺接部10aの摩耗量に応じた厚さで形成される。
【0017】
ブラシ装置8は、一対のブラシ10と、ブラシホルダ11と、後板12と、コイルスプリング13とを備えている。
ブラシ10は、略直方体状をなし、整流子4のセグメント4aと摺接可能な部位を摺接部10aとしている。摺接部10aは、径方向においてセグメント4aの摩耗量に応じた長さで形成される(図2中、先端から2点鎖線までの長さ)。尚、摺接部10aが全て摩耗する時間が寿命である。ブラシ10は、カーボン材で形成されるセグメント4aよりも機械的強度が高い金属材料としての銅(又は、銅を主とする合金)で形成される。つまり、本実施形態では、ブラシ10及びセグメント4aの材料を逆にしている。そのため、ブラシ10の摩耗量はセグメント4aの摩耗量よりも小さくなる。
【0018】
ブラシホルダ11はブラシ10を収容すべく略矩形状に形成されている。ブラシホルダ11の後端開口部(反整流子側開口部)は、ブラシホルダ11に一体に形成された後板12によって塞がれている。
【0019】
コイルスプリング13はブラシホルダ11内のブラシ10の後端面(反整流子側端面)と後板12の間に圧縮して収容されている。コイルスプリング13はブラシ10を整流子4に向かって付勢している。
【0020】
ここで、モータ1の作動中においては、ブラシ10の摺接部10aは常にセグメント4aと摺接することにより摩耗する。一方、セグメント4aは、周方向に配置される全セグメントの表面全体で摩耗を分担する。つまり、1つのセグメント4aは、摺接部10aと接触している時のみ、即ち、間欠的に摩耗する。つまり、従来と比べ、摺接部10aは摩耗量が小さくなりそれに伴って径方向の長さを小さくすることができ、セグメント4aは全体の摩耗量が大きくなるが、1つのセグメント4aが分担する摩耗量が小さく、結果として径方向の厚さの増加量を小さくすることができる。
【0021】
次に、図3において、整流子20のセグメント20aを銅(又は、銅を主とする合金)製とし、ブラシ21を導電性のカーボン材で形成した一般のモータMを示し、図2において、整流子4のセグメント4aを導電性のカーボン材で形成し、ブラシ10を銅(又は、銅を主とする合金)製とした本実施形態のモータ1を示し、両モータM,1の直径を比較してみる。比較のために、モータMのセグメント及びブラシの摩耗量と、モータ1のセグメント及び摺接部の摩耗量とは同量とする。尚、両図2,3において、図面が煩雑になるのを防止するために、各セグメント4a,20a間の区切る線を省略してある。
【0022】
まず、一般のモータMの場合について説明する。図3(a)は、モータMの整流子20及びブラシ21の要部断面図、図3(b)は要部側面図を示す。
整流子20は、セグメント20aの厚さT1を含む直径D1で形成されている。この時、整流子20の限界摩耗径(ブラシ21との摺接によりセグメント20aが摩耗される限界径)dとする。又、ブラシ21との摺接によって摩耗されるセグメント20aの摩耗量(摩耗体積)C1とする。
【0023】
ブラシ21の摺接部21aは、モータMの径方向に対して長さLb1、周方向に対して幅W、軸方向に対して高さHで形成されている。摺接部21aは、セグメント20aとの摺接によって摩耗する摩耗量(摩耗体積)B1とする。
【0024】
これより、T1=[−d+√{d2+4×C1/(π×H)}]/2であり、Lb1=B1/(W×H)である。ブラシ21の摺接部21a及び整流子20の径方向における全体の長さL1とすると、L1=2×B1/(W×H)+√{d2+4×C1/(π×H)}である。
【0025】
これに対し、本実施形態のモータ1について説明する。図2(a)は、モータ1の整流子4及びブラシ10の要部断面図、図2(b)は要部側面図を示す。
整流子4は、セグメント4aの厚さT2を含む直径D2で形成されている。この時、整流子4の限界摩耗径dであり、前記モータ1と同径とする。又、ブラシ10との摺接によって摩耗されるセグメント4aの摩耗量(摩耗体積)C2とする。
【0026】
ブラシ10の摺接部10aは、モータ1の径方向に対して長さLb2、周方向に対して幅W、軸方向に対して高さHで形成されている。摺接部10aは、セグメント4aとの摺接によって摩耗する摩耗量B2とする。
【0027】
これより、T2=[−d+√{d2+4×C2/(π×H)}]/2であり、Lb2=B2/(W×H)である。ブラシ10の摺接部10a及び整流子4の全体の長さをL2とすると、L2=2×B2/(W×H)+√{d2+4×C2/(π・H)}である。ここで、モータMのセグメント20aの摩耗量C1とモータ1の摺接部10aとの摩耗量B2は同量であり、又、モータMの摺接部21aの摩耗量B1とモータ1のセグメント4aとの摩耗量C2は同量である。つまり、C2=B1、B2=C1であるので、L2=2×C1/(W×H)+√{d2+4×B1/(π×H)}となる。
【0028】
そして、モータMのセグメント20aの摩耗量C1と、摺接部21aの摩耗量B1との比をαとすると、B1=α×C1となり、L1及びL2の式に代入すると、L1=2×B1/(W×H)+√{d2+4×C1/(π×H×α)}、L2=2×C1/(W×H×α)+√{d2+4×B1/(π×H×α)}となる。ここで、モータMの摺接部21aの摩耗量B1がセグメント20aの摩耗量C1より大きい(α>1)とすると、L1>L2となる。
【0029】
つまり、ブラシ10の摺接部10aの機械的強度をセグメント4aより高くすることで、本実施形態のモータ1では、セグメント4aの厚さT2がわずかに増加するが、該摺接部10aの長さLb2をその厚さT2の増加分よりも大きく減少させることができる。そのため、上記のように長さL2を十分小さくできるので、寿命の長さを維持しながらモータ1の体格の小型化を図ることができる。
【0030】
又、コイルスプリング13の必要ストロークが短くできるため、寿命後期での荷重低下による摩耗の加速が少なくなり、長寿命化を図ることができる。又、コイルスプリング13のバネ定数を大きくし、長さを短くすれば、モータ1の体格をより小型化することができ、コストの低減を図ることができる。又、モータ1の長さL2をモータMの長さL1と同じとなるように、セグメント4aの厚さT2とブラシ10の摺接部10aの長さLb2を増加すれば、モータ1の体格を大きくすることなく寿命を長くすることができる。
【0031】
次に、本実施形態の直流モータ1における構成部品(セグメント4a及びブラシ10)の製造方法について説明する。
まず、一般的な構成のモータMにおいて、導電性のカーボン材で形成されるブラシ21(仮のブラシ)の摺接部21aの径方向の長さLb1と、摺接部21aより機械的強度が高い銅(又は、銅を主とする合金)で形成される整流子20のセグメント20a(仮のセグメント)の径方向の厚さT1とを設定する。
【0032】
次いで、整流子20を回転させ、ブラシ21の摺接部21a及びセグメント20aの摩耗量B1,C1を測定する。
次いで、本来使用するセグメント4a及びブラシ10の材料と、セグメント20a(仮のセグメント)及びブラシ21(仮のブラシ)との材料を入れ替え、測定したブラシ21の摺接部21aの摩耗量B1に基づいて本実施形態の整流子4のセグメント4aの厚さT2を設定する。同様に、測定したセグメント20aの摩耗量C1に基づいて摺接部10aの長さLb2を設定する。
【0033】
そして、モータ1が所望の体格及び寿命となるようにコイルスプリング13の長さ及びバネ定数を設定する。このようにして寸法などが設定されたブラシ10、セグメント4a及びコイルスプリング13に基づいてこれら部品が製造され、モータ1が製造される。
【0034】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)モータ1は、ブラシ10が銅(又は、銅を主とする合金)で形成され、整流子4のセグメント4aがカーボン材で形成されている。つまり、ブラシ10の摺接部10aの機械的強度をセグメント4aより高くすることで、本実施形態のモータ1では、セグメント4aの厚さT2がわずかに増加するが、該摺接部10aの長さLb2をその厚さT2の増加分よりも大きく減少させることができる。従って、モータ1の整流子4とブラシ10との径方向における全体の長さL2を短くすることができるので、モータ1の体格を小さくすることができる。又、モータ1の長さL2をモータMの長さL1と同じとなるようにセグメント4aの厚さとブラシ10の摺接部10aの長さを設定すれば、モータ1の体格を大きくすることなく寿命を長くすることができる。又、この場合、ブラシ10及びセグメント4aは一般的なカーボン材及び金属材料で構成できる。
【0035】
(2)セグメント4aの厚さは、カーボン材で形成されたブラシ21の摺接部21aの摩耗量に応じて設定され、ブラシ10の摺接部10aの長さは、金属材料で形成されたセグメント20aの摩耗量に応じて設定される。従って、セグメント4a及び摺接部10aの寸法設定が容易にでき、又、それらの製造も容易にすることができる。
【0036】
(3)ブラシ10は安価な銅(又は、銅を主とする合金)で形成されるので、コストの低減を図ることができる。
(4)コイルスプリング13は、モータ1が所望の体格及び寿命となるような長さ及びバネ定数で形成されている。従って、コイルスプリング13の必要ストロークが短くできるため、寿命後期での荷重低下による摩耗の加速が少なくなり寿命がさらに延びることが期待できる。又は、モータ1のコイルスプリング13の長さを短く、バネ定数を大きく形成すれば、モータ1の体格をより小型化することができ、コストの低減を図ることができる。
【0037】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、製造方法において、カーボン材で形成した摺接部21aと銅で形成したセグメント20aとの摩耗量B1,C1を測定し、該摩耗量B1,C1に応じて本実施形態の摺接部10a及びセグメント4aを形成している。しかし、これに限らず、カーボン材と金属材料との機械的強度の関係から摩耗量を求め、セグメント4aの厚さT2と摺接部10aの長さLb2とを算出するようにしても良い。この場合、予めカーボン材で形成されるセグメント4aより機械的強度の高い金属材料で摺接部10aを形成すれば、本実施形態の製造効率を向上することができる。
【0038】
○上記実施形態では、ブラシ10は銅(又は、銅を主とする合金)で形成されていたが、ブラシ10の機械的強度がセグメント4a(カーボン材)より高く、モータ1を正常に動作できれば他の金属材料で形成しても良い。
【0039】
上記実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)複数個のセグメントを備えた整流子と、前記セグメントに摺接して、電源供給を行うブラシとを備えた直流モータにおける構成部品の製造方法において、
導電性のカーボン材で形成される仮のブラシの長さと、その仮のブラシより機械的強度の高い金属材料で形成される仮のセグメントの厚さとを設定する工程と、
前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの摺接時における各摩耗量を算出する工程と、
本来使用するセグメント及びブラシの材料と、前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの材料とを入れ替えるとともに、前記算出の結果をもとに本来使用するセグメントの厚さを、前記仮のブラシがカーボン材で形成された場合における該ブラシの摩耗量に応じて設定し、本来使用するブラシの長さを、前記仮のセグメントが金属材料で形成された場合における該セグメントの摩耗量に応じて設定する工程と、
前記設定に基づいて本来使用する前記ブラシ及び前記セグメントを製造する工程と
を有する直流モータにおける構成部品の製造方法。
【0040】
このようにすれば、本来使用するセグメントの厚さは、カーボン材で形成された仮のブラシの摩耗量に応じて設定され、本来使用するブラシの長さは、金属材料で形成されたセグメントの摩耗量に応じて設定される。従って、本来使用するセグメント及びブラシの寸法設定が容易で、又、それらの製造も容易にすることができる。しかも、仮のセグメント及び仮のブラシの摺接時における各摩耗量を算出するようにしているので、その摩耗量を実際に測定する工程を設けなくてすみ、その分だけコストを低減することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、整流子のセグメント及びブラシを一般的なカーボン材及び金属材料で構成しながら、小型化・長寿命化を図ることができる直流モータ及び直流モータにおける構成部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータの概略図である。
【図2】(a),(b)は整流子とブラシの説明図である。
【図3】(a),(b)は整流子とブラシの説明図である。
【符号の説明】
1…直流モータ、4,20…整流子、4a,20a…セグメント、8…ブラシ装置、10,21…ブラシ、10a,21a…摺接部、13…コイルスプリング、B1,B2,C1,C2…摩耗量、L1,L2,Lb1,Lb2…長さ、M…一般的なモータ、T1,T2…厚さ。
Claims (4)
- 複数個のセグメントを有する整流子と、前記セグメントに摺接して、電源供給を行うブラシとを備えたモータにおいて、
前記セグメントは、導電性のカーボン材で形成され、前記ブラシは、前記セグメントよりも機械的強度の高い金属材料で形成されていることを特徴とする直流モータ。 - 請求項1に記載の直流モータにおいて、
前記セグメントは、前記ブラシがカーボン材で形成された場合における該ブラシの摩耗量に応じた厚さで形成され、前記ブラシは、前記セグメントが金属材料で形成された場合における該セグメントの摩耗量に応じた長さで形成されていることを特徴とする直流モータ。 - 請求項1又は2に記載の直流モータにおいて、
前記金属材料は、銅又は銅を主とする合金であることを特徴とする直流モータ。 - 複数個のセグメントを備えた整流子と、前記セグメントに摺接して、電源供給を行うブラシとを備えた直流モータにおける構成部品の製造方法において、
導電性のカーボン材で形成される仮のブラシの長さと、その仮のブラシより機械的強度の高い金属材料で形成される仮のセグメントの厚さとを設定する工程と、
前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの摺接時における各摩耗量を測定する工程と、
本来使用するセグメント及びブラシの材料と、前記仮のセグメント及び前記仮のブラシの材料とを入れ替えるとともに、前記測定の結果をもとに本来使用するセグメントの厚さを、前記仮のブラシがカーボン材で形成された場合における該ブラシの摩耗量に応じて設定し、本来使用するブラシの長さを、前記仮のセグメントが金属材料で形成された場合における該セグメントの摩耗量に応じて設定する工程と、
前記設定に基づいて本来使用する前記ブラシ及び前記セグメントを製造する工程と
を有する直流モータにおける構成部品の製造方法。
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WO2008093393A1 (ja) * | 2007-01-30 | 2008-08-07 | Mitsubishi Electric Corporation | 電動機、電動送風機並びに電気掃除機 |
-
2002
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