JP5063415B2 - 一体押出成形された複合材からなるサッシ構成部材 - Google Patents
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Description
また、アルミ形材を用いることなく合成樹脂のみにてサッシを作成した、いわゆる樹脂サッシも最近見られるが、強度や合成樹脂であるための熱収縮等の問題がある。
なお、本発明において「サッシ構成部材」とは、スライド式や開き戸式の室内外出入り口や窓等のサッシに用いられる縦枠、横枠、外周フレーム材、レール材、障子枠、框材、額縁材等を含む概念である。
また、芯材の表面には、合成樹脂層が被覆されているので、アルミ独特の見た目の冷たさがなく、暖かい印象を与えることができるとともに、断熱性が向上し、結露の問題も低減される。
図1は、本発明にいう「サッシ構成部材」の意味を例示的に説明する簡略図である。一般家庭において、室内への外出入り口や窓に使用されているものが代表例であるが、「サッシ構成部材」とは、図1(a)に示したような扉のフレームを構成する縦枠A、横枠B、あるいは、図1(b)に示したようなガラス板を保持する外周フレームC、レール部材Dのいずれをも含む概念である。また、これ以外にも、障子枠、框材、額縁材等も本発明に言う「サッシ構成部材」に含まれる。
図2は、本発明における縦枠Aの断面形状を例示している。サッシ構成部材は、一般的に断面形状が複雑であるが故に、加工性のよいアルミ部材で構成される。本発明においても、芯材10は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されている。
図3は、本発明における横枠Bの断面形状を例示している。横枠Bにおいても、縦枠Aの場合と同様、芯材10と合成樹脂層30で構成される。図3に示した断面形状は例示的なものであって、本発明においては他の断面形状を採用することが可能である。一般的に、横枠の断面形状も、単純な矩形や円形ではなく、多くの溝を含む複雑な形状である。
次に、図4を参照して、サッシ構成部材の製法について説明する。
(1)芯材10は、図2または3に例示したような断面形状を有しており、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いて、押出成形等、一般に知られた方法で予め成形されたものである。
芯材10の厚みは、本発明においては特に限定されるものではないが、例えば0.5〜3.0mmとすることができ、その範囲の厚みの場合には、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押出成形が可能であり、したがって非常に容易に、複雑断面の芯材を得ることが出来るというメリットがある。
なお、芯材10の表面に長手方向に沿って0.05〜1.0mm程度の細かい溝を形成しておくと、その上に一体押出成形される接着層またはアイオノマー樹脂層の接着性を高めることができる。このような溝は、アルミニウムの押出成形時に付与することが可能である。また、アルミニウムまたはアルミニウム合金に、アルマイト処理によるアルマイト層、その他接着力向上等を目的とした加工や処理を施してもよい。アルマイト処理については、接着性を鑑み、いわゆる封孔処理を行わないアルマイト処理が最も好ましい。
なお、合成樹脂層30としてアイオノマー樹脂を使用する場合には、アイオノマー自身がアルミ材に対する接着性を有しているので、ポリエステル樹脂層(接着層)20は不要となり、したがって、いずれか一方の押出機を省略することができる。
合成樹脂層30の厚みは、本発明において特に限定されるものではないが、例えば0.1〜5.0mmとするが好ましい。0.1mm未満では、断熱性の点であまり効果が期待できず、また樹脂特有の表面加飾を施すことが困難となる。また5.0mmを超える場合には、サッシ構成部材自体の厚みが厚くなりすぎるため加工性が低下し、またコスト的にも問題がある。好ましくは、0.2〜3.5mm、特に好ましくは0.3〜2.5mmである。
なお、図2、3では、芯材10は全周面に渡って合成樹脂層30で被覆されているが、場合によっては、芯材10が一部露出していてもよい。例えば、レール部材の裏面や他部材と係止するための係止片部分等は露出していてもよい。
また、合成樹脂層は単層でもよいが、中間被覆層、表面被覆層からなる2以上の合成樹脂層からなっていてもよい。その場合、複数層で構成される合成樹脂層全体の厚みが上記範囲内(0.1〜5.0mm)となればよい。押出成形性の容易さの点からすれば、好ましい合成樹脂層の実施形態は単層または2層型被覆層である。
合成樹脂層30の具体的な材質は、本発明において特に限定されるものではないが、押出成形可能な熱可塑性樹脂であればよく、特に、アイオノマー樹脂を使用することが好ましい。アイオノマー樹脂は、アルミニウムに対する接着性を有するので、芯材10と合成樹脂層30の間に接着層を設ける必要がない。さらに、着色剤や艶消し剤等の加飾用添加剤を添加することが可能であり、表面外観に優れたサッシ構成部材を得ることが可能となる。また、合成樹脂層を2層以上とする場合には、中間被覆層としてのアイオノマー樹脂層にマイカ粉粒体、有機繊維、バーミキュライト粉体、ガラスチップ等を添加し、表面被覆層としてのアイオノマー樹脂層に透明または半透明の合成樹脂層を用いることで、深みのある外観を得ることも可能となる。
ここで、耐候性の高い樹脂とは、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合樹脂、メチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂などのアクリル系樹脂やアクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等である。
なお、接着層20が必要となる場合であっても、本発明においては、一体押出成形を利用するため、予め接着剤を芯材10の表面に塗布しておくことは必ずしも必要ではなく、製造工程は比較的簡単である。
本発明においては、合成樹脂層30に加飾用添加剤を添加するのが好ましい。サッシ構成部材に優れた外観を付与することが可能となるからである。加飾用添加剤は、例えば、着色剤、艶消し剤、種剤、マイカ粉粒体、有機繊維、バーミキュライト粉体、ガラスチップ等が挙げられる。中でも着色剤、艶消し剤が好ましく使用される。
合成樹脂層30に、艶消し剤を含有させておくと、製品の重厚感あるいは高級感を増すことができる。艶消し剤は、被覆層である合成樹脂層30に含有させることによって当該層表面を荒らして光沢を低減できる物質である。建築資材用多層成形体の分野で従来から使用されている有機系または無機系のいずれの艶消し剤を使用してもよい。艶消し剤の具体例として、例えば、アクリル系樹脂および粒状ゴム等の有機系艶消し剤、およびシリカ粉、マイカ粉および炭酸カルシウム等の無機系艶消し剤が挙げられる。
また、合成樹脂層を2層以上とする場合には、中間被覆層としてのアイオノマー樹脂層にマイカ粉粒体、有機繊維、バーミキュライト粉体、ガラスチップ等を添加し、表面被覆層としてのアイオノマー樹脂層に透明または半透明の合成樹脂層を用いることで、深みのある外観を得ることも可能となる。
実施例2では、最外層の表面被覆層として透明アイオノマー樹脂を、実施例3では、最外層の表面被覆層として茶色のポリメチルメタクリレート樹脂を採用している。
[芯材]
中空状芯材として、押出成形により、図2に示すようなサッシ構成部材形状のものを製造した。芯材のアルミ部分の厚みは一様に1.2mmであった。なお、アルミ芯材には、アルマイト処理(未封孔処理)及び長手方向に延びる溝深さ0.1mmのローレット加工が施されている。
[合成樹脂]
合成樹脂として、白色に着色したアイオノマー樹脂ペレット(三井・デュポンポリケミカル社製「ハイミラン」)100重量部に艶消し剤(三菱レイヨン社製「メタブレン」を3重量部混合したものを用いた。
[サッシ構成部材の製造方法]
図4に示した共押出式の一体化押出成形機によって一体押出成形体を製造した。詳しくは、上記合成樹脂を押出機から押出し、ダイス40内でアルミ製芯材10に積層・被覆して、アルミ製芯材の外表面における周方向の全部に被覆層を有する一体押出成形体を製造した。
なお、押出条件、芯材条件は次の通りである。一体化押出成形機は、図4の成形機から一方の押出機を省略し、1つの押出機のみを備えたものを使用した。
押出機:40φ、一軸押出機(押出温度約150℃)
冷却後の樹脂層厚みは0.8mmである。
アルミ製芯材は、ダイス内に挿入直前に予備加熱(約100℃)を行う。
得られたサッシ構成部材は、白色外観で温かみがあるとともに、表面に合成樹脂層が被覆されているためアルミ単体に比べ、断熱性にも優れるものであった。
[芯材]
中空状芯材として、押出成形により、図3に示すようなサッシ構成部材形状のものを製造した。芯材のアルミ部分の厚みは一様に1.2mmであった。なお、アルミ芯材には、アルマイト処理(未封孔処理)及び長手方向に延びる溝深さ0.1mmのローレット加工が施されている。
[合成樹脂]
中間被覆層用の合成樹脂として、白色半透明に着色したアイオノマー樹脂ペレット(三井・デュポンポリケミカル社製「ハイミラン」)100重量部に着色マイカ0.5重量部混合したものを用いた。また、表面被覆層用の合成樹脂層として、透明アイオノマー樹脂を用いた。
[サッシ構成部材の製造方法]
図4に示した共押出式の一体化押出成形機によってサッシ構成部材を製造した。詳しくは、中間被覆層用合成樹脂および表面被覆層用合成樹脂をそれぞれ押出機25および押出機35から同時に押出し、ダイス40内でアルミ製芯材10に積層・被覆して、アルミ製芯材の外表面における周方向の全部に2層型被覆層を有する一体押出成形体を製造した。
なお、押出条件、芯材条件は次の通りである。
表面層用押出機35:40φ、一軸押出機(押出温度約150℃)
中間層用押出機25:40φ、一軸押出機(押出温度約150℃)
冷却後の中間被覆層厚みは0.7mmである。
冷却後の表面被覆層厚みは0.8mmである。
アルミ製芯材は、ダイス内に挿入直前に予備加熱(約100℃)を行う。
得られたサッシ構成部材は、石目調外観で深みがあるとともに、表面に合成樹脂層が被覆されているためアルミ単体に比べ、断熱性にも優れるものであった。
[芯材]
中空状芯材として、押出成形により、図2に示すようなサッシ構成部材形状のものを製造した。芯材のアルミ部分の厚みは一様に1.2mmであった。なお、アルミ芯材には、アルマイト処理(未封孔処理)及び長手方向に延びる溝深さ0.1mmのローレット加工が施されている。
[合成樹脂]
接着層用の合成樹脂として、ポリエステル系樹脂(東亞合成社製「アロンメルト」)を用いた。また、表面被覆層用の合成樹脂層として、茶色に着色したポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レイヨン社製「アクリペット」)を用いた。
[サッシ構成部材の製造方法]
図4に示した共押出式の一体化押出成形機によってサッシ構成部材を製造した。詳しくは、接着層用合成樹脂および表面被覆層用合成樹脂をそれぞれ押出機25および押出機35から同時に押出し、ダイス40内でアルミ製芯材10に積層・被覆して、アルミ製芯材の外表面における周方向の全部に2層型被覆層を有する一体押出成形体を製造した。
なお、押出条件、芯材条件は次の通りである。
表面層用押出機35:40φ、一軸押出機(押出温度約150℃)
中間層用押出機25:40φ、一軸押出機(押出温度約150℃)
冷却後の中間被覆層厚みは0.4mmである。
冷却後の表面被覆層厚みは0.5mmである。
アルミ製芯材は、ダイス内に挿入直前に予備加熱(約100℃)を行う。
得られたサッシ構成部材は、表面に合成樹脂層が被覆されているためアルミ単体に比べて、断熱性にも優れるものであった。
B 横枠
C レール部材
D 外周フレーム
10 芯材
20 接着層
25 中間層用押出機
30 合成樹脂層
35 表面層用押出機
40 ダイス
Claims (3)
- 押出成形によって長手方向に延びる深さ0.05〜1.0mmの溝を有して形成された後、表面に封孔処理を行わないアルマイト処理を施したアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される芯材(10)と、
一体押出成形により、芯材の表面に被覆された厚さ0.1〜5.0mmの合成樹脂層(30)と、を備え、
上記芯材(10)が0.5〜3.0mmの厚さを有し、
上記合成樹脂層(30)が、加飾用添加剤を含有する、サッシ構成部材。
- 押出成形によって長手方向に延びる深さ0.05〜1.0mmの溝を有して形成された後、表面に封孔処理を行わないアルマイト処理を施したアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される芯材(10)と、
一体押出成形により、芯材の表面に被覆された厚さ0.1〜5.0mmの合成樹脂層(30)と、を備えてなるサッシ構成部材。
- 上記芯材(10)が0.5〜3.0mmの厚さを有する、請求項2記載のサッシ構成部材。
以上
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