JP5062563B2 - 張弦梁およびその施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、上弦材と下弦材とを束材を介して一体化した構造の張弦梁、およびその施工方法に関する。
周知のように、張弦梁は圧縮材としての上弦材と引張材としての下弦材とを、圧縮材としての束材を介して一体化したものであって、トラス構造よりも小さい断面でローコストに大スパンを実現できることから、各種の構造のものが提案され実用化されており、たとえば特許文献1には上弦材を梯子状としたものが提案されている。
特開2000−129859号公報
ところで、従来一般の張弦梁ではその下弦材として単なる引張材としてのケーブルやタイロッドを使用することが最も一般的であるが、下弦材としてケーブルやタイロッドを使用する場合には当然にそれらの部材断面が小さいことから、張弦梁全体の剛性や振動特性を適正に確保するような設計は必ずしも容易ではない。
また、下弦材としてのケーブルやタイロッドを上弦材や束材に対して接合するためには、その接合部の構造が徒に複雑になったり(たとえば接合部にフォークエンドを設ける必要がある)、接合部の施工が極めて煩雑になったりして、そのために要するコストが嵩む問題がある。
以上の点から、張弦梁における下弦材としてはケーブルやタイロッドよりも高剛性の部材を用いることが有利であるとも考えられるが、そのようなことを可能とする有効適切な張弦梁の構造は提供されていない。
なお、特許文献1には下弦材としてワイヤーや鋼棒の他に鋼板も使用し得る旨の記載があり、下弦材として鋼板を用いれば張弦梁の剛性を高めることができると考えられる。
特許文献1には、鋼板を下弦材として使用する場合の具体例については何らの言及がないが、その場合には多数の鋼板を連結して所謂アイバーチェーン(eye bar chain)とすることが考えられる。アイバーチェーンは鋼製ケーブルが一般化する以前の近代的な吊り橋等における軽微な引張材や吊り材として多用されていたものであって、図4(a)に示すように細長い鋼板1(bar)の両端部に円形拡幅部2を形成してその中心にピン穴3(eye)を形成し、それらの鋼板1どうしを水平ピン4によりチェーンのように多数連結することによって全体として長尺のケーブルと同様に機能させるものである。
上記のようなアイバーチェーンに対して図4(a)に示すように束材5を接合することによって、それをケーブルやタイロッドに代えて張弦梁の下弦材として使用することは可能とは思われるが、アイバーチェーンを形成するための鋼板1を一般的な構造用鋼材により形成することではその所要断面がかなり大きなものとなって見栄えが劣るし、各鋼板1には両端部に円形拡幅部2を加工する必要もあることからその製作にはかなりのコストを要するものとなり、以上のことからそのようなアイバーチェーンを張弦梁の下弦材として用いることは現実的ではない。
しかも、一般的なアイバーチェーンは各鋼板1の端部どうしを直接重ね合わせてピン接合することから、必然的に図4(b)に示すように接合部の両側での鋼板1の枚数が異なるものとなる(図示例では一方が3枚、他方が2枚)か、あるいは(c)に示すように両側での枚数を敢えて同数(図示例では3枚ずつ)とする場合には横方向に芯ずれが生じることが不可避であり、したがっていずれにしても構造的なアンバランスと下から見上げた際の意匠的なアンバランスが生じるから、この点においても張弦梁の下弦材としてアイバーチェーンを用いることは好ましくない。
上記事情に鑑み、本発明は張弦梁の下弦材として単なる帯板状の鋼板であるフラットバーを使用することを可能とし、以て、下弦材としてケーブルやタイロッドないしアイバーチェーンを使用する従来一般の張弦梁よりも有効な構造の張弦梁を実現し、併せてその合理的な施工方法を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、上弦材と、上端部が前記上弦材に接合されて該上弦材の長さ方向中間部においてその下方に設置された束材と、中間部が前記束材により支持されかつ両端部が前記上弦材の両端部に接合されることによって該上弦材の下方においてその両端部間にわたって設置された下弦材とにより構成される張弦梁であって、前記上弦材、束材、下弦材はいずれも鋼材からなり、前記下弦材は、両端部にピン穴が形成された帯板状のフラットバーがその幅方向が鉛直面に沿う縦姿勢とされた状態で接合部材の両端部に対してそれぞれ水平ピンを介して鉛直面内において相対回転自在に、かつ前記接合部材の両側にそれぞれ同一枚数の前記フラットバーが対称をなすようにピン接合されることによって、複数の前記フラットバーが前記接合部材を介して連結された一連のフラットバーチェーンとして機能するとともに、前記接合部材が前記束材の下端部に接合されて該束材により支持されて設置されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の張弦梁であって、下弦材を形成しているフラットバーおよび接合部材としての鋼材は、引張強度が650N/mm以上の高強度鋼からなることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の張弦梁であって、上弦材は直線状のH形鋼からなり、かつ該上弦材は略水平に架設されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の張弦梁の施工方法であって、複数のH形鋼どうしを仮締結した状態で下弦材としてのフラットバーチェーンを施工して該H形鋼に対して接合した後、該H形鋼どうしを本締結して上弦材を施工することを特徴とする。
本発明の張弦梁によれば、次のような格別顕著な効果を奏する。
下弦材にケーブルやタイロッドを使用せずに平鋼であるフラットバーを接合部材より連結した構成のフラットバーチェーンを使用するので、その下弦材に対する緊張作業は不要であり、接合部が極めて簡略化され、煩雑な施工も必要とせず、張弦梁の施工についての工費短縮、工期削減を図ることができる。
下弦材としてのフラットバーチェーンの断面を適切に設定して適切な剛性を持たせる設計とすることが可能であり、それにより下弦材がケーブルやタイロッドの場合には実現できない剛性を持たせることができ、張弦梁全体の曲げ剛性を大きくでき、たわみを低減でき、振動特性も改善することができる。
下弦材としてのフラットバーチェーンは、フラットバーどうしを直接連結せずに接合部材を介して連結した構成であり、しかもフラットバーを縦姿勢とした状態で接合部材の両側にそれぞれ同一枚数のフラットバーを対称をなすようにピン接合することにより、フラットバーどうしの接合部の構造を対称形としてそこで構造的、意匠的なアンバランスが生じることがない。また、束材の下端部を接合部材に対して接合することにより、その束材による下弦材の支持を単純かつ明快な接合構造により確実に行うことができる。
特に、下弦材を形成しているフラットバーおよび接合部材として引張強度が650N/mm以上の高強度鋼を用いることにより、小断面でありながら充分な高強度が得られ、また、下弦材に要求される軸力に応じて各フラットバーの断面積を大きくするかその枚数を増やすだけで容易に対応でき、設計自由度に優れる。
また、上弦材を直線状のH形鋼により施工してこれを水平に架設することにより、たとえばペデストリアンデッキや屋上広場のような大スパンかつ平坦な架構を合理的に構築することができる。
さらに、本発明の施工方法によれば、上弦材となるH形鋼どうしを仮締結した状態で下弦材としてのフラットバーチェーンを施工してH形鋼に接合した後、H形鋼どうしを本締結して上弦材を施工することにより、架構が完成した時点でその自重により下弦材としてのフラットバーチェーンに対して自ずと所定の緊張力が付与され、またフラットバーチェーンの施工時にピン接合に逃げ寸法がなくても容易に寸法調整することが可能であるので、効率的な施工が可能である。
図1〜図2を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本実施形態の張弦梁10を4本平行に架設してそれらを小梁20により連結して構築された架構を示すものであり、図2は本実施形態の張弦梁10の要部(図1(b)におけるII部)の拡大図である。
本実施形態の張弦梁10は、基本的には従来一般の張弦梁と同様に上弦材11と束材12と下弦材13とにより構成され、かつそれらの部材はいずれも鋼材からなるものであるが、本実施形態では圧縮材である上弦材11と束材12とは一般的な構造用鋼材からなるものの、引張材である下弦材13はそれよりも高強度の高強度鋼(詳細後述)からなり、かつその下弦材13は多数のフラットバー14がチェーン状に連結されたフラットバーチェーンとして形成されているものである。
本実施形態の張弦梁10における上弦材11は、全長にわたって直線状(つまり、従来一般の張弦梁のようにアーチ状とされていない)とされたH形鋼からなるものであり、その両端部が柱6(あるいは適宜の構造体)に支持されてそれら柱6あるいは構造体の間にほぼ水平に架設されているものである。
なお、この上弦材11には必要に応じて水勾配を確保するための若干のむくりや傾斜を設けても良いが、その上部に水平かつ平坦なスラブを設けて人が有効に利用できるよう、上弦材11は実質的に直線状でありかつ実質的に水平であることが好ましい。
この上弦材11としてのH形鋼は一般的な構造用鋼材(たとえばSN490等)で良い。
一方、本実施形態における下弦材13は、図2に示すように幅寸法一定の単なる帯板状の平鋼であるフラットバー14(但し、その両端部は半円弧状に加工されてそこにはピン穴16が形成されている)を主体として、それらフラットバー14が同じく単なる板状の接合部材15の両端部に対して水平ピン17により鉛直面内において相対回転自在にピン接合されることによって形成されている。すなわち、図2に示されているように、下弦材13は、帯板状の平鋼であるフラットバー14がその幅方向が鉛直面に沿うような縦姿勢とされた状態でその端部が同じく縦姿勢とされている接合部材15に対して重ね合わせられてそれらが水平ピン17によりピン接合され、かつ接合部材15の両側にそれぞれ同一枚数(図2では片側に2枚づつ)のフラットバー14が対称をなすように配置された状態でピン接合されることによって全体としてチェーン状に連結されたものであり、したがってそれらフラットバー14と接合部材15の全体が一連のフラットバーチェーンとして機能するものとされている。
そして、フラットバー14と接合部材15の全体により形成された一連のフラットバーチェーンとしての下弦材13は、その両端部が上弦材11の下フランジに溶接されているガセットプレート18に対して同じく水平ピン17によりピン接合され、かつこのフラットバーチェーンの中間部は上記の接合部材15が束材12の下端部に接合されることによってその束材12により支持されており、これによりこの下弦材13は図1(b)に示すように束材12の位置で折られた状態で全体として下に凸となる折れ線形状をなして張設されている。
下弦材13を形成しているフラットバー14および接合部材15としてはいずれも一般的な構造用鋼材よりも高強度である高強度鋼が使用され、本実施形態においてはその高強度鋼として引張強度が650N/mm以上のもの(たとえばYS650)が好適に採用可能である。YS650はその降伏強度が一般的な構造用鋼材であるSN490に比べて2倍程度の高強度ながら単価は1.5倍程度であり、ローコストで充分な強度を有するという優れた特性の鋼材である。
また、同等の高強度鋼としては、たとえば社団法人日本鉄鋼連盟の規格による引張強度が690N/mm以上のもの、具体的にはHT690(引張強度690N/mm)やHT780(同780N/mm)、HT950(同950N/mm)も好適に採用可能である。
なお、図2(b)に示すように図示例の下弦材13は2枚のフラットバー14が1枚の接合部材15を挟み込む状態でそれらの全体が連結されているが、たとえば図3に示すように3枚のフラットバー14の間に2枚の接合部材15を挟み込む状態で連結することでも良く、さらに一般化すればn枚のフラットバー14の間にn−1枚の接合部材15を挟む込む状態で連結すれば良い。
いずれにしても、フラットバー14どうしを接合部材15を介して連結することを前提として、接合部材15の両端部にそれぞれ同一枚数のフラットバー14を対称をなすようにピン接合することにより、接合部材15を挟んでその両側に対象配置されるフラットバー14どうしは自ずと同一鉛直面内に位置するものとなり、図4に示した従来のアイバーチェーンのように鋼板1どうしを直接接合するがためにその接合部の両側で鋼板1の枚数に差が生じたり、接合部において横方向への芯ずれが生じるようなことはない。したがって本実施形態の張弦梁10では、下弦材13としてのフラットバーチェーンにはフラットバー14どうしの接合部において構造的および意匠的なアンバランスが生じることはなく、従来のアイバーチェーンに比べて構造上および意匠上の双方において好ましいものとなっている。
また、本実施形態における束材12としては鋼管(図示例では円形鋼管であるが、角形鋼管でも良い)が使用され、その上端部が上弦材11としてのH形鋼の下フランジに直接固着されているとともに、図2(a)に示したように束材12の下端部に溶接されたベースプレート19が下弦材13を形成している接合部材15に対して溶接されることにより、上弦材11と下弦材13との間にその束材12がほぼ鉛直姿勢で設置されたものとなっている。
束材12は圧縮材であるので、この束材21としての鋼管は一般的な構造用鋼材(たとえばSTK400等)からなるもので良く、その下端部に設けるベースプレート19も同じく一般的な構造用鋼材(たとえばSN490等)からなる鋼板で充分である。
なお、束材12は鉛直姿勢で設置することが一般的であるが、たとえば図1(b)に鎖線で示しているように鉛直に対して傾斜させた複数本の束材12を1セットとして設置することでも良い。
さらに、本実施形態では、図2(b)に示すように接合部材15の一側面にガセットプレート21を介して振れ止め部材22としての鋼管が連結されている。その振れ止め部材22は図1(c)に示すように小梁20と下弦材13との間に設置されることによって下弦材13および束材12の側方への倒れ込みを防止するためのものであり、この振れ止め部材22も圧縮材として機能させれば良いので束材12と同様にSTK400等の構造用鋼材からなる鋼管を用いれば良い。
本実施形態の張弦梁10によりペデストリアンデッキや屋上広場等を用途とする実質的に水平かつ平坦な架構を構成する場合の一設計例を以下に示す。
図1(b)に示すようにスパン(張弦梁10の長さ)を30m、束材12を2本として上弦材11を3等分するように両端からそれぞれ10mの位置に設置し、その長さ(上弦材11と下弦材13の間隔)を2.4mとする。
上弦材11はH-900×300×16×28(構造用鋼材SN490)とする。
下弦材13は、フラットバー14を2PL−30×230(高強度鋼YS650)、接合部材15をPL−60(同)とし、それらフラットバー14および接合部材15の両端部に形成するピン穴16をそれぞれ100φとする。フラットバー14を上弦材11に接合するためのガセットプレート18もPL−60(同)とし、それらを連結するための水平ピン17はPin−φ100(同)とする。つまり、下弦材13としてのフラットバーチェーンの全体およびそれを上弦材11に対して接合するための要素は全て高強度鋼YS650により形成する
束材12はP−φ216.3×8.2(構造用鋼材STK400)、そのベースプレート19はPL−32×270φ(構造用鋼材SN490)とする。
図1(c)に示すように張弦梁10間の間隔を5m、張弦梁10間に架設される小梁20はH−350×175×7×11(構造用鋼材SN490)とする。振れ止め部材22はP−φ101.6×4.2(同STK400)とする。
上記設計例の架構によれば、中央部におけるたわみはδ=61mmとなり、その固有振動数はf=2.5Hzとなり、ペデストリアンデッキや屋上広場等として優れた変形性能と振動性能を有するものであることが確認できた。特に、ペデストリアンデッキや屋上広場等を歩行する歩行者の歩調はほぼ2Hz程度であることから、それとの共振による振動障害を防止するためには架構の固有振動数は1.5〜2.3Hzの範囲を避ける必要があるとされているが、上記設計例ではそのような要求品質を充分に満たすものとなっている。
それに対し、比較例として下弦材をフラットバーチェーンから通常のタイロッドROD−φ100に変更した以外は上記と同様の設計とした架構の場合には、中央部におけるたわみはδ=88mm、固有振動数はf=2.0Hzであって、変形性能と振動性能のいずれにおいても劣り、特に歩調との共振は不可避であることが確認された。
このことから、張弦梁における下弦材をタイロッドのような単なる引張材から、剛性を有するフラットバーチェーンに変更することのみで、張弦梁とそれによる架構の高剛性化とそれに伴う短周期化を実現でき、したがってその変形性能や振動性能を改善し得ることが確認できた。
上記設計例の張弦梁10による架構の施工方法を以下に説明する。
上弦材11となるH形鋼を所定数に分割した状態で現場に搬入し、その全体をボルト締結により連結して仮置きするが、この段階ではボルトを仮締めとして各H形鋼どうしを仮締結するに留めておく。
このH形鋼には、下弦材13としてのフラットバーチェーンの両端部をピン接合するためのガセットプレート18を予め溶接しておく他、束材12の上端部を予め溶接しておき、その束材12の下端部には下弦材13としてのフラットバーチェーンの要素である接合部材15を予め溶接しておくと良い。さらに、この時点で接合部材15にフラットバー14を仮接合しておいても良い。
そして、フラットバー14の両端部をそれぞれ接合部材15にピン接合してそれらフラットバー14どうしを接合部材15を介して一体に連結することにより、フラットバー14と接合部材15の全体で一連のフラットバーチェーンを形成するとともに、その両端部をガセットプレート18に対してピン接合して下弦材13を施工する。
しかる後に、H形鋼どうしを仮締めしておいたボルトを本締めしてH形鋼どうしを本締結し、全体を一体化して上弦材11を施工する。
以上により施工される各張弦梁10間には適宜の時点で小梁20を架設するとともに振れ止め部材22を取り付け、その上にデッキ等の床構造を施工し、床版配筋を行い、スラブコンクリートを打設して架構全体を完成させる。
なお、上弦材11となるH形鋼の上フランジにスタッドを設けてスラブを一体化することにより、上弦梁11とスラブとによる合成梁が形成され、それにより上弦材11の圧縮力をスラブも負担することから、H形鋼の断面を合理化できる。
以上の施工手順によれば、架構が完成した時点でその自重により下弦材13としてのフラットバーチェーンに対して自ずと所定の緊張力が付与される。特に、上記のように上弦材11を仮締結した状態で下弦材13としてのフラットバーチェーンを施工し、しかる後に上弦材11を本締結することにより、フラットバーチェーンの形成時にピン接合に逃げ寸法がなくても容易に寸法調整することが可能であるので効率的な施工が可能である。
なお、上記実施形態で例示したように、下弦材13として使用する高強度鋼としては引張強度が650N/mm以上のもの、特に一般的な構造用鋼材の2倍程度の降伏強度を有しかつ充分にローコストであるYS650が好適に採用可能であるが、必ずしもそれに限るものではなく、下弦材13としては施工するべき張弦梁のスパンや梁成、要求される剛性や振動特性その他の諸条件を考慮して最適な強度を有する鋼材を適宜選択して使用すれば良く、その限りにおいて一般的な構造用鋼材を用いることでも良い。
また、圧縮材である上弦材11や束材12は一般的な構造用鋼材を用いることで充分であってそれらまでも高強度鋼を使用することは無駄であるので、下弦材13として高強度鋼を用いる場合であってもそれはあくまで下弦材13としてのフラットバーチェーンのみに限定して使用し、上弦材11と束材21には一般的な構造用鋼材を使用するという適材適所の合理的な使い分けをすべきである。
以下、上記実施形態の張弦梁10による効果を列挙する。
(1)通常の張弦梁のように下弦材にケーブルやタイロッドを使用せず、単なるフラットバー14(平鋼)をピン接合したフラットバーチェーンを下弦材13とするので、下弦材13に対する緊張作業もなく、下弦材13を上弦材11や束材12に対して接合するための構造も簡略化でき、そのための煩雑な施工も必要とせず、工費短縮、工期削減を図ることができる。
(2)下弦材13としてのフラットバーチェーンを高強度鋼により形成すれば、一般的な構造用鋼材によってフラットバーチェーンを構成する場合と比較して所要断面を充分に小さくでき(通常のタイロッドと同等程度で済む)、充分にスリムな外形となり、見栄えも良い。特に、下から見上げた場合、下弦材となるフラットバー14の板厚が見えるだけであるので、スリムな見栄えとなる。
(3)フラットバーチェーンを形成するためのフラットバー14は単なる平鋼なので、下弦材13に要求される軸力が大きい場合には各フラットバー14の断面積を大きくするか、フラットバー14の枚数を増やすだけで容易に対応でき、設計自由度に優れる。
(4)下弦材13としてのフラットバーチェーンはケーブルやタイロッドでは実現できない剛性を自ずと有するものであるから、その断面を適正に設計することにより、ケーブルやタイロッドを下弦材としている従来一般の張弦梁に比べて全体の曲げ剛性を大きくでき、したがってたわみを低減できるし、振動特性も改善することができる。
(5)フラットバー14どうしを直接連結せずに接合部材15を介して連結してフラットバーチェーンを形成し、しかもフラットバー14を縦姿勢として接合部材15の両側にそれぞれ同一枚数のフラットバー14を対称をなすようにピン接合することにより、接合部の構造を対称形とでき、従来のアイバーチェーンによる場合のような構造的、意匠的なアンバランスが生じることがない。
また、束材12の下端部を接合部材15に対して接合しているので、束材12による下弦材13としてのフラットバーチェーンの支持を単純かつ明快な接合構造により確実に行うことができるし、下弦材13および束材12の倒れ込みを防止するための振れ止め部材22も接合部材15に対して容易に接合することができる。
(6)従来一般の張弦梁と同様に、柱6に対しては上弦材11の両端部を接合するのみで良いし、特に上弦材11をアーチとせずに直線状のH形鋼を水平に架設することが可能であるので、ペデストリアンデッキや屋上広場、あるいは体育館や講堂等の大スパン施設の上部を床として利用する場合のように、大スパンの平坦かつ実質的に水平な架構を構築する場合に適用して最適である。
なお、上弦材11を水平に架設する場合にはその上弦材11に曲げ応力が生じるが、束材12からの圧縮力によりその曲げ応力は極めて小さなものとなるので特に支障はない。勿論、必要であれば上弦材11をアーチ状に湾曲させることも妨げるものではない。また、上弦材11としては単なるH形鋼を用いることが合理的であり現実的であるが、H形鋼に限らず他の鋼材を用いることも妨げるものではない。
(7)上記実施形態の施工方法によれば、従来一般の張弦梁の施工と同様に現場作業に特別な技量や機器を必要とせずに効率的な施工が可能であり、水平ないし低ライズの大スパン構造を比較的小さな構造部材で構成できることから、ローコストで施工性に優れた工法であるといえる。
(8)上弦材11としてH形鋼を使用する場合、H形鋼どうしを仮締結した状態で下弦材13としてのフラットバーチェーンを施工してH形鋼に接合し、しかる後にH形鋼どうしを本締結するという工程とすることにより、架構が完成した時点でその自重により下弦材13としてのフラットバーチェーンに対して自ずと所定の緊張力が付与されるし、フラットバーチェーンの形成時にピン接合に逃げ寸法がなくても容易に寸法調整することが可能であるので効率的な施工が可能である。
また、上弦材11となるH形鋼の上フランジにスタッドを設けてスラブを一体化することにより、上弦梁11とスラブとによる合成梁が形成され、それにより上弦材11の圧縮力をスラブも負担することから、H形鋼の断面を合理化できる。
本発明の実施形態である張弦梁による架構の一例を示す図である。 同、張弦梁の要部を示す拡大図である。 同、フラットバーチェーンを構成しているフラットバーと接合部材との接合部を示す図である。 従来のアイバーチェーンの一例を示す図である。
符号の説明
10 張弦梁
11 上弦材(H形鋼)
12 束材
13 下弦材(フラットバーチェーン)
14 フラットバー(平鋼)
15 接合部材
16 ピン穴
17 水平ピン
18 ガセットプレート
19 ベースプレート
20 小梁
21 ガセットプレート
22 振れ止め部材

Claims (4)

  1. 上弦材と、上端部が前記上弦材に接合されて該上弦材の長さ方向中間部においてその下方に設置された束材と、中間部が前記束材により支持されかつ両端部が前記上弦材の両端部に接合されることによって該上弦材の下方においてその両端部間にわたって設置された下弦材とにより構成される張弦梁であって、
    前記上弦材、束材、下弦材はいずれも鋼材からなり、
    前記下弦材は、両端部にピン穴が形成された帯板状のフラットバーがその幅方向が鉛直面に沿う縦姿勢とされた状態で接合部材の両端部に対してそれぞれ水平ピンを介して鉛直面内において相対回転自在に、かつ前記接合部材の両側にそれぞれ同一枚数の前記フラットバーが対称をなすようにピン接合されることによって、複数の前記フラットバーが前記接合部材を介して連結された一連のフラットバーチェーンとして機能するとともに、前記接合部材が前記束材の下端部に接合されて該束材により支持されて設置されていることを特徴とする張弦梁。
  2. 請求項1記載の張弦梁であって、
    下弦材を形成しているフラットバーおよび接合部材としての鋼材は、引張強度が650N/mm以上の高強度鋼からなることを特徴とする張弦梁。
  3. 請求項1または2記載の張弦梁であって、
    上弦材は直線状のH形鋼からなり、かつ該上弦材は略水平に架設されていることを特徴とする張弦梁。
  4. 請求項3記載の張弦梁の施工方法であって、
    複数のH形鋼どうしを仮締結した状態で下弦材としてのフラットバーチェーンを施工して該H形鋼に対して接合した後、該H形鋼どうしを本締結して上弦材を施工することを特徴とする張弦梁の施工方法。
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