JP5060003B2 - 有機el表示デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の文字、絵等を表示する表示デバイスの一種に、複数の有機EL素子(セグメント)で構成された有機EL表示デバイスがある。各セグメントは基板と、その上に積層された陽極及び陰極と、陽極と陰極との間に配置された有機発光層とから成る。有機EL表示デバイスは自己発光のため、視認性に優れ、かつ数ボルトから数十ボルトの低電圧で駆動できるため、軽量化が可能である長所がある。
【0003】
有機EL表示デバイスを構成するセグメントは発光の繰り返しにより化学的に劣化し、それにより輝度が低下する。駆動条件にもよるが、輝度はセグメントの駆動(使用)時間の経過につれて低下し、駆動時間は駆動頻度にほぼ比例する。
【0004】
複数のセグメントの駆動頻度は異なり、駆動頻度の高いセグメントの輝度は相対的に短期間で低下し、駆動頻度の低いセグメントの輝度は相対的に長期間で低下する。その結果、複数のセグメント間において輝度のばらつき(輝度むら)が生ずる。そして、使用後輝度が最も明るいセグメントに対する最も暗いセグメントの比が一定値(例えば90%)よりも小さくなると、有機EL表示デバイスを見る者に不快感を与え、その有機EL表示デバイスは品位不良とされる。
【0005】
尚、上記輝度むらとは別に、有機EL表示デバイスにおいて駆動後に何れかのセグメントの輝度が初期輝度に対して所定の割合(例えば50%、以下「半減寿命」と呼ぶ)に達したとき、その有機EL表示デバイスは「寿命」であると判断される。たとえ輝度むらはなくても、セグメントの輝度が暗く、見難いからである。このように、有機EL表示デバイスには輝度むらのないこと及び寿命が長いことの両方が要求される。
【0006】
従来から、各セグメント間に生ずる輝度むらを小さくし、かつ寿命を延ばすために種々の工夫がなされている。例えば、特開2001−75572号公報に開示された有機EL表示デバイスは、駆動頻度が最も高いセグメントa、2番目に高いセグメントb、3番目に高いセグメントc及び最も低いセグメントd(何れも不図示)から成る。この有機EL表示デバイスにおいて、相対的に駆動頻度が高いセグメントの初期輝度を、相対的に駆動頻度が低いセグメントの初期輝度よりも暗く設定している。即ち、図5に示すように、駆動頻度が最も高いセグメントaの初期輝度を210cd/m2に、駆動頻度が最も低いセグメントdの初期輝度300cd/m2にそれぞれ設定する。そして、セグメントb及びcは210と300cd/m2との間の初期輝度に設定する。この有機EL表示デバイスにおいて、セグメントaの輝度は曲線L2に沿って、セグメントdの輝度は曲線L1に沿って、セグメントb及びcの輝度は曲線L2とL1との間に位置する曲線に沿って、それぞれ低下する。これにより、駆動頻度が高く輝度が低下しやすいセグメントaの寿命を延ばし、表示デバイス全体の寿命を延ばそうとするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数のセグメントaからdの初期輝度を上記のように設定しても、輝度むらが小さくなるとは限らない。即ち、セグメントaからdの輝度は、使用開始後しばらくの期間(諸条件にもよるが、この従来例では約1万5千時間)は比較的早く低下し、作動が比較的不安定である。
【0008】
また、初期輝度が明るいセグメントdは発光頻度が低いが、初期輝度が暗いセグメントaは発光頻度が高い。例えば、セグメントaの発光頻度がセグメントdの発光頻度の2.5倍とする。この場合、図6に示すように、初期輝度Ldに設定されたセグメントdの輝度は駆動時間t1の経過後はLd’に低下し、初期輝度Laに設定されたセグメントaの輝度は駆動時間t2=t1×2.5の経過後は輝度La’に低下する。その結果、初期輝度の差Δ1=Ld−Laは、駆動後には差Δ2=Ld’−La’になる。Δ2の大きさはΔ1の大きさに比べて大差ない。
【0009】
このように、駆動後の輝度の差Δ2は初期輝度の差Δ1と比べて余り縮まらず、場合によっては差Δ1よりも広がることもある。この事情は、使用後に輝度が明るく発光頻度の高いセグメントdの輝度に対する、使用後に輝度が暗く発光頻度の低いセグメントaの輝度の比率を考えても同じであり、比率は殆ど変化しないか、場合によっては小さくなることもある。
【0010】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、使用開始から長期間に亘ってセグメント間の所定値以上の輝度むらの発生を防止することができる有機EL表示デバイスを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願の発明者は、セグメントの駆動時間の経過につれて、セグメント間の輝度の差が縮まるように初期輝度を設定することを思い付いて、本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明にかかる有機EL表示デバイスは、基板と、該基板の上に形成された陽極と、該陽極の上に積層された有機発光層と、該有機発光層上に積層された陰極と、から成ると共に、駆動時間と輝度の低下との関係が所定の直線で近似されるように、該陽極と該陰極との間に電流を印加するエージング処理が施された複数のセグメントと;相対的に最も駆動頻度が高い前記セグメントを最も明るい初期輝度に、相対的に最も駆動頻度が低い前記セグメントを最も暗い初期輝度に、その他の各前記セグメントを該最も明るい初期輝度と該最も暗い初期輝度との間の初期輝度に設定すると共に、各前記セグメントの駆動時間と輝度の低下との関係を表す各前記直線が同一の交点を通過するように設定する設定手段と;から成ることを特徴とする。
【0013】
本発明の作用効果を図1に示す。駆動頻度が高いセグメントA(不図示)の初期輝度をLAに設定し、駆動頻度が低いセグメントB(不図示)の初期輝度をこれよりも低いLBに設定する。ここで、有機EL表示デバイスが所定時間駆動された場合のセグメントAの駆動時間とセグメントBの駆動時間との比を2.5:1とする。すると、時間t3作動したセグメントBの輝度はLB’になり、時間t4(=t3×2.5)作動したセグメントAの輝度はLA’になる。この傾向は、有機EL表示デバイスの製造時に、各セグメントの陽極と陰極との間に電流を印加させて、エージング処理を施すことにより顕著になる。
【0014】
その結果、駆動後の輝度の差Δ4=LA’−LB’は初期輝度の差Δ3=LA−LBよりも小さくなり、輝度むらが認知され難くなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について説明する。
<有機EL表示デバイス>
有機EL表示デバイスの用途は特に限定されず、自動車のインストルメンタルパネルや、携帯電話及び各種メータ等において使用される。有機EL表示デバイスを構成するセグメントの形状、個数及び配列方向には特別の制約はない。
<セグメント>
セグメントは基板と、陽極及び陰極と、有機発光層とから成る。基板はガラス基板や合成樹脂基板から成ることができる。
【0016】
陽極は有機発光層に正孔を注入する役割を果たし、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)等の導電性金属酸化物や、金、銀、クロム等の金属等から成ることができる。
【0017】
陰極は有機発光層に電子を注入する役割を果たし、インジウム、マグネシウム、金、銀、アルミニウム等の金属や、これらの合金から成ることができる。
【0018】
有機発光層は、電界を与えられた電極間において陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とを輸送して再結合させ、再結合により発光させるものである。通常、正孔輸送層と電子輸送層とに分割される。
【0019】
セグメントの製造時、基板の上に陽極、有機発光層、陰極がこの順で積層される。積層は真空蒸着法又はスパッタリング法によることができる。例えば、ガラス基板の上にITOをスパッタリングで形成し、エッチングでITOをパターニングすることにより、陽極を形成する。その後、蒸着により有機層及び陰極を積層し、最後に封止することができる。
【0020】
有機EL表示デバイスを構成するセグメントの駆動頻度の比に特別の制約はない。よって、最も駆動頻度が低いセグメントに対する最も駆動頻度が高いセグメントの比は、例えば1から5の間で適宜選定することができる。
【0021】
本発明においては、各セグメントの製造時にエージング処理を施す。「エージング処理」とは、駆動時(使用時)におけるセグメントの輝度の低下を抑制するために、製造時に陽極と陰極との間に電流を印加することである。エージング処理は、セグメントに印加する電流の電流密度(印加電圧/セグメントの表面積)を調整し輝度を上げて行う。
【0022】
電流密度は、例えばエージング処理時の輝度が通常使用時の輝度の1倍から数十倍になるように調整することができる。例えば、通常使用時の輝度が400cd/m2の場合、エージング処理時の輝度は400から8000cd/m2とすることができるが、これに制約されるものではない。エージング処理は、セグメントの初期特性が所定状態に変化するまで行う。尚、電流密度が高すぎると、セグメントに絶縁破壊等が生ずるおそれがあり望ましくない。
【0023】
また、エージング処理に要する時間を短縮するためには、環境温度を使用温度(例えば25℃)からこれよりも高い処理温度(例えば85から105℃)に上昇させることができる。尚、処理温度が105℃を超えることは、薄膜の構造変化が起こることがあるので望ましくない。
<設定手段>設定手段は、相対的に最も駆動頻度が高いセグメントを最も明るい初期輝度に、相対的に最も駆動頻度が低いセグメントを最も暗い初期輝度に、その他の各セグメントをその間の初期輝度に設定する。その他の各セグメントの初期輝度を設定時は、それぞれのセグメントの駆動頻度に比例させて、駆動頻度が高いものを低いものよりも明るく設定する。
【0024】
尚、有機EL表示デバイスが所定の駆動時間駆動されると、セグメントの輝度が明暗反転し、初期輝度を明るく設定したセグメントの輝度が、初期輝度を暗く設定したセグメントの輝度よりも暗くなることもある(輝度の反転)。そして、反転後のセグメント間の輝度の差又は比が大きくなると、輝度むらとして認識される。よって、設定手段は、係る輝度の反転をも考慮して、初期輝度を設定する。
【0025】
設定手段は、例えば電源と、該電源から各セグメントに印加される電流の大きさを調整する電流調整部とを含むことができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図2、図3及び図4を基にして説明する。
【0027】
図2に示すように、有機EL表示デバイス50は「8」形状に配置された細長い矩形状の7個のセグメント10、15,20,25,30,35及び40と、各セグメント10から40に所定の初期輝度を設定する駆動回路(設定手段)45とから成る。
【0028】
図3に示すように、セグメント10は細長い矩形状を持ち、ガラス基板11と、その上に順に積層された透明陽極12、有機発光層13及び陰極14とから成る。透明陽極12はITOから成り、有機発光層13は正孔注入層及び電子注入層から成る。陰極14はアルミニウムから成る。
【0029】
尚、他のセグメント15から40はセグメント10と同じ構成を持つ。
【0030】
図2に戻って、駆動回路45は、各セグメント10から40の透明陽極11等と陰極12等との間に駆動電圧Vを印加する電源46と、各セグメント10から40に印加される電流値を調整する電流調整部48とを含む。
【0031】
7個のセグメント10から45は全て製造時にエージング処理を施されている。エージング処理は有機EL表示デバイス全体を温度85℃の高温槽に入れた状態で、各セグメントの当初の輝度が8000cd/m2となり、約13時間経過後の輝度が5600cd/m2(8000cd/m2の70%に相当)になるように電流量を調整した。これにより各セグメント10から40は作動安定領域に達した。
【0032】
エージング処理した7個のセグメント10から45は、車両のインストルメンタルパネルにおいて、温度25度で、初期輝度は400から360cd/m2の間で駆動頻度を考慮して設定される。
【0033】
即ち、有機ELデバイス50を作動させて各セグメントを「0」から「9」まで発光させたとき、最も駆動頻度の低いセグメント30に対する、セグメント10,25及び40の駆動頻度の比は1.75,セグメント15及び20の駆動頻度の比は2,セグメント35の駆動頻度の比は2.25である。つまり、駆動頻度に関し7つのセグメント10から40は4つのグループに分類される。
【0034】
初期輝度は、最も駆動頻度が高いセグメント35は400cd/m2に、最も駆動頻度が小さいセグメント30は360cd/m2に、2番目に駆動頻度が高いセグメント15及び20は369cd/m2に、3番目に駆動頻度が高いセグメント10,25及び40は364cd/m2に、それぞれ設定する。具体的には、そのような輝度になるように電流調整部48を調整する。
【0035】
なお、セグメント35及び30の初期輝度をそれぞれ400cd/m2及び360cd/m2に設定したのは、温度25℃で、最も明るいセグメント35の初期輝度400cd/m2としたき、輝度むらの規格を10%に選定したためである。つまり、最も明るいセグメント35に対して最も暗いセグメント30の輝度の比が90%以下になったとき、輝度むらが発生したと判断する。加えて、何れかのセグメントの輝度がその当初輝度の半分になったとき、有機EL表示デバイス50は寿命に達したと判断する。
【0036】
セグメント10から40へのエージング処理による効果を確認すべく以下の実験を行った。セグメント10から40をそれぞれ上述した初期輝度に設定し、85℃に温度加速した状態で、有機EL表示デバイス50を数千時間駆動した結果を図4に示す。
【0037】
図4において、初期輝度が400cd/m2に設定されたセグメント35の輝度は直線kで、初期輝度が360cd/m2に設定されたセグメント30の輝度は直線lで、初期輝度が369cd/m2に設定されたセグメント15及び20の輝度は直線mで、初期輝度が364cd/m2に設定されたセグメント10,25及び40の輝度は直線nでそれぞれ示す。何れの直線も、駆動時間の経過に比例して低下している。
【0038】
尚、セグメント35以外、即ちセグメント10、15、25、30及び40の輝度の低下曲線l,m,nは、セグメント35の輝度の低下を示す直線kをもとに求めた。発明者の実験によると、輝度400cd/m2に対して輝度がn倍になると、寿命は1/n1.2になることがわかったので、この計算式に基づき直線l等を決定した。
【0039】
図4のグラフの直線kによれば、セグメント35の輝度は駆動時間500時間で約355cd/m2に、駆動時間1000時間で約315cd/m2にそれぞれ低下している。一方、セグメント30の輝度は、直線lで示すように、駆動時間500時間で約345cd/m2に、駆動時間1000時間で約330cd/m2に、それぞれ低下している。そして、駆動時間約700時間で、直線kとlとが上下反転している。他の2本の直線m及びnも、直線kとlとの交点を通過している。
【0040】
これから明らかなように、駆動時間が0から700時間の間は、駆動時間の経過につれて、セグメント35と30との間の輝度の差が次第に縮まっている。そして、700時間が経過して輝度の明暗が反転し、セグメント35の輝度285cd/m2に対するセグメント30の輝度320cd/m2の比率が90%になったのは駆動時間が約1300時間経過した時点であった。
【0041】
一方、当初輝度400cd/m2のセグメント35の輝度が200cd/m2 になったのは駆動時間が約2300時間経過した時点であり、当初輝度360cd/m2のセグメント30の輝度が180cd/m2になったのはこれよりも後であった。よって、本実施例の有機EL表示デバイス50における規格内寿命は1300時間となる。
【0042】
ここで、発明者の試算によれば、温度85℃における駆動時間1300時間は、通常の使用温度(約25℃)における車両の走行距離に換算すると数万kmに相当し、使用年数に換算すると数年に相当すると考えられる。これにより、本実施例の有機EL表示デバイスは自動車のインストルメンタルパネルに配置され、長期間に亘って所定の文字や絵を表示することができることが分かる。
【0043】
次に、上記従来例における輝度むら認知及び半減寿命について説明する。尚、従来例ではセグメントaからdにエージング処理を施していないが、本実施例と比較するためエージン処理を施したと仮定して、輝度むら及び寿命を調べた。
【0044】
従来例では輝度むらの規格を30%に設定しているが、上記実施例との比較を容易にするため、規格は10%とした。
【0045】
本実施例と同様に、温度が85℃で、各セグメントaからdの初期輝度が8000cd/m2となるように電流量を調整した。その上で、前述した従来例の考え方に沿って、駆動頻度の最も低いセグメントaの初期輝度を400cd/m2に、最も高いセグメントdの初期輝度を360cd/m2にそれぞれ設定した。その他のセグメントb及びcの初期輝度はその間の輝度に設定した。
【0046】
その結果、駆動開始後200時間にはセグメントdの輝度が346cd/m2になり、セグメントaの輝度が392cd/m2になり、10%の輝度むらが認知された。これより従来例の規格内寿命は200時間となる。
【0047】
本実施例と従来例とを比較すると、半減寿命は2300時間と2000時間とで大差はない。しかし、輝度むらが認知されるまでの時間は1300時間と200時間とで、大差がある。本実施例において、輝度むらが認知されるまでの時間及び半減寿命が従来例よりも長くなったのは、セグメント10から40の製造時にエージング処理を施し、その上で駆動頻度に応じて4つのグループに分け、駆動頻度に対応させて駆動頻度が高いもの程、初期輝度を明るく設定したからである。
【0048】
次に、輝度むらの認知の規格内寿命を30%(従来例における規格に相当する)とした場合について説明する。
【0049】
この場合、本発明では駆動頻度の高いセグメント35の初期輝度を400cd/m2に、駆動頻度の最も低いセグメント30の初期輝度を280cd/m2に、その他のセグメント10,15,20、25及び40の初期輝度をその間の輝度に、それぞれ設定した。この状態で実験したところ、輝度むらが認知されるまでの駆動時間は2500時間であり、半減時間は2300時間であった。よって、規格内寿命は2300時間となる。
【0050】
一方、従来例では駆動頻度が最も高いセグメントdの初期輝度を280cd/m2に、駆動頻度が最も低いセグメントaの初期輝度を400cd/m2に、その他のセグメントb及びcの初期輝度をその間の輝度に、それぞれ設定した。この状態で実験したところ、輝度むらが認知されるまでの駆動時間は200時間であり、半減寿命は2000時間であった。よって、規格内寿命は200時間となる。
【0051】
このように、輝度むらの認知の規格内寿命が30%の場合も、本実施例によれば有機EL表示デバイスの寿命を従来よりも遙かに長くできることが分かる。
【0052】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の有機EL表示デバイスによれば、駆動頻度が高いセグメントの初期輝度を駆動頻度が低いセグメントの初期輝度よりも高く設定したので、所定値以上の輝度むらが認知されるまでの期間が長くなる。この傾向は、セグメントにエージング処理を施したことにより顕著になっている。その結果、長期間に亘って輝度むらが小さく文字や絵が見易い有機EL表示デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機ELデバイスの作用効果を示すグラフである。
【図2】本発明にかかる有機EL表示デバイスの一実施例を示す正面図である。
【図3】有機EL表示デバイスを構成するセグメントの断面図である。
【図4】上記実施例の作動を説明するためのグラフである。
【図5】従来例における経過時間と輝度の低下との関係を示すグラフである。
【図6】上記従来例の作動を説明するグラフである。
【符号の説明】
10,15,20,25,30,35,40:セグメント
11:基板 12:陽極
13:有機発光層 14:陰極
45:設定手段 50:有機EL表示デバイス
Claims (3)
- 基板と、該基板の上に形成された陽極と、該陽極の上に積層された有機発光層と、該有機発光層上に積層された陰極と、から成ると共に、駆動時間と輝度の低下との関係が所定の直線で近似されるように、該陽極と該陰極との間に電流を印加するエージング処理が施された複数のセグメントと、
相対的に最も駆動頻度が高い前記セグメントを最も明るい初期輝度に、相対的に最も駆動頻度が低い前記セグメントを最も暗い初期輝度に、その他の各前記セグメントを該最も明るい初期輝度と該最も暗い初期輝度との間の初期輝度に設定すると共に、各前記セグメントの駆動時間と輝度の低下との関係を表す各前記直線が同一の交点を通過するように設定する設定手段と、から成ることを特徴とする有機EL表示デバイス。 - 各前記セグメントの駆動時間と輝度の低下との関係を表す各前記直線のうちの一つを実験により決定すると共に、その他の各前記直線を計算式に基づき決定し、
前記計算式は、実験により前記直線を求めた前記セグメントの初期輝度に対するその他の各前記セグメントの初期輝度がn倍になると、実験により前記直線を求めた前記セグメントの寿命に対するその他の各前記セグメントの寿命がnを底とし1を超える定数を指数とする値の逆数倍になる関係に基づいた計算式である請求項1記載の有機EL表示デバイス。 - 前記計算式は、実験により前記直線を求めた前記セグメントの初期輝度に対するその他の各前記セグメントの初期輝度がn倍になると、実験により前記直線を求めた前記セグメントの寿命に対するその他の各前記セグメントの寿命がnを底とし1.2を指数とする値の逆数倍になる関係に基づいた計算式である請求項2記載の有機EL表示デバイス。
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