JP5059325B2 - 炭素鋼の腐食抑制方法およびその装置 - Google Patents

炭素鋼の腐食抑制方法およびその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5059325B2
JP5059325B2 JP2006001256A JP2006001256A JP5059325B2 JP 5059325 B2 JP5059325 B2 JP 5059325B2 JP 2006001256 A JP2006001256 A JP 2006001256A JP 2006001256 A JP2006001256 A JP 2006001256A JP 5059325 B2 JP5059325 B2 JP 5059325B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chemical
carbon steel
ions
treatment liquid
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006001256A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007182604A (ja
Inventor
誠 長瀬
秀幸 細川
諭 森澤
元昭 坂下
勝男 横田
一郎 片岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2006001256A priority Critical patent/JP5059325B2/ja
Publication of JP2007182604A publication Critical patent/JP2007182604A/ja
Priority to US12/491,737 priority patent/US20090290675A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP5059325B2 publication Critical patent/JP5059325B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)

Description

本発明は、発電プラントなどに用いられる炭素鋼部材の腐食を抑制する技術に関する。
発電プラントとして、例えば、沸騰水型原子力発電プラント(以下、BWR)や、加圧水型原子力発電プラント(以下、PWR)が知られている。BWRは、燃料棒が収容された圧力容器を有する原子炉に給水系から水を供給し、供給水を原子炉内で沸騰させて蒸気を生成し、その蒸気の大部分を蒸気タービンに導入し、蒸気タービンから排出された蒸気を復水系で復水した後に給水系に戻す。PWRは、原子炉内の圧力を高めた後に給水系から水を供給し、供給水を原子炉内で昇温し、昇温した水を蒸発器などの二次系で蒸気に変えてタービンに導入する。
このようなBWRやPWRなどの発電プラントでは、圧力容器などの主要な構成部は、腐食を抑制するために、水が接触する接水部にステンレス鋼やニッケル基合金などが用いられる。ただし、給水系や復水系などの構成部は、プラントの製造所要コストを低減する観点、あるいは給水系や復水系を流れる高温水に起因するステンレス鋼の応力腐食割れを避ける観点などから、主として炭素鋼部材が用いられる。
しかし、給水系や復水系などを構成する炭素鋼部材についても、水が接触する接水部を有するから、その接水部に腐食が生じるおそれがある。その場合、炭素鋼部材が浄化装置の下流側に配置されていると、炭素鋼部材の腐食生成物は、原子炉の放射性腐食生成物の元になることがある。また、炭素鋼部材の腐食生成物に起因してPWRの二次系の熱交換効率が低下する原因になる場合がある。
そこで、プラントを構成する炭素鋼部材の腐食を抑制する手法として、例えば、プラントの給水系に酸素を注入して炭素鋼部材の表面に酸化膜を形成する方法や、プラントの給水系にアンモニアやヒドラジンなどの薬品を添加してpHをアルカリ側に制御する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)
特開2000−292589号公報
しかし、プラントの供給水に酸素を注入する従前の方式は、酸素の注入を停止すると腐食抑制効果が得られないことから、プラント運転中に酸素を注入し続けることが余儀なくされる。またプラントの腐食を抑制する観点から、炉内の環境を還元性に保持すべきという最近の傾向に反することになる。
また、プラントの供給水に薬品を添加してpHをアルカリ側に制御する特許文献1などの従前の方式も同様に、プラント運転中に薬品を添加し続けることが余儀なくされる。また添加後の薬剤が復水浄化装置の負荷を増大させる結果、復水の廃棄物含有量が増大するおそれがある。
本発明の課題は、プラントを構成する炭素鋼部材の腐食を抑制するのにより好適な方法及びその方法を実施する装置を実現することにある。
上記課題を解決するため、種々の検討を行った結果、水に対する溶解度の小さなフェライト(例えば、マグネタイト、ニッケルフェライト)からなる緻密な皮膜を炭素鋼部材の表面に形成することにより、そのフェライト皮膜は、炭素鋼部材に水が接触するのを遮断する保護膜になることから、炭素鋼部材の接水部の腐食を効果的に抑制できることを明らかにした。
図2を参照して、炭素鋼部材の腐食抑制効果についての実験結果を説明する。図2の縦軸は、試料A,B,Cの重量変化の相対値を示している。ここでの試料Aは、炭素鋼の表面を機械的に研磨した試料である。試料Bは、炭素鋼の表面にマグネタイトの皮膜を形成した試料である。試料Cは、炭素鋼の表面にニッケルフェライトの皮膜を形成した試料である。このような試料A,B,Cを常温の純水中に浸漬して10日後の試験片の重量変化を調べた。
図2から明らかなように、マグネタイト皮膜を有する試料B及びニッケルフェライト皮膜を有する試料Cは、試料Aよりも重量減少が小さい。すなわち、試料B,Cは、試料Aよりも腐食が抑制されている。試料Bの抑制効果が試料Cよりも小さくなったのは、試料Bの皮膜の耐久性が不十分な部分から腐食が進行し、その腐食部から周辺の皮膜が破壊されるからである。
なお、フェライト皮膜を形成する方法としては、発電プラントの構成部材の腐食を抑制する技術ではなく、磁気記録媒体のフェライト膜を形成する技術ではあるが、例えば、特公昭63−15990号公報に記載の方法を適用することができる。ただし、同公報に記載の方法は塩素を用いているが、発電プラントの構成部材の健全性(例えば、耐腐食性)を確保する観点から、塩素を用いることができないので、同公報に記載の方法と異なる方法を採用する。
本発明は、上記の課題を解決するため、塩素を使用しない薬剤を用いて発電プラントを構成する炭素鋼部材の表面に鉄(II)イオンを吸着させ、常温乃至200℃、好ましくは常温乃至100℃、さらに好ましくは60乃至100℃の温度条件下で、前記吸着した鉄(II)イオンを酸化してフェライト皮膜を成膜し、該フェライト皮膜により前記炭素鋼部材の腐食を抑制することを特徴とする。
すなわち、有機酸又は炭酸などに溶解した2価の鉄イオン(鉄(II)イオン)を含む薬剤と、鉄(II)イオンを鉄(III)イオンに酸化する過酸化水素などの酸化剤と、溶液のpHを5.5乃至9.0に調整するpH調整剤とを処理液に注入する。そして、この処理液を炭素鋼部材の表面に接触させることにより、炭素鋼部材の表面にフェライト皮膜を形成する。
特に、原子力発電プラントで使用した薬剤は放射性廃棄物になるおそれがあるため、鉄(II)イオンを溶解させるものとして処理後に分解可能な有機酸を用いるのが望ましい。有機酸は、成膜処理後に二酸化炭素と水に分解される。分解の容易性を考慮した有機酸としては、ギ酸、マロン酸、ジグリコール酸、シュウ酸などがある。図2で用いた試料B、Cは、ギ酸を用いてフェライト皮膜を形成したものである。例えば、試料Bは、鉄(II)イオンだけを溶解させたギ酸溶液を用いてフェライト皮膜が形成されたものである。試料Cは、鉄(II)イオンにニッケルイオンをニッケルフェライトの化学組成比と同じになるように、ニッケル濃度を鉄の半分としたギ酸溶液を用いてフェライト皮膜が形成されたものである。
試料Cの表面に形成されたフェライト皮膜をレーザーラマン法で分析した結果を図3に示す。図3に示すように、試料Cのフェライト皮膜のラマン強度のピーク位置は、ニッケルフェライトの標準スペクトルのピーク位置に対して若干ずれているが、組成から見てニッケルフェライトが形成されているとみなせる。ここでのピーク位置のずれは、ニッケルフェライトにマグネタイトが混入した不定比の影響と考えられる。
本発明の炭素鋼部材の腐食抑制方法を適用する対象は、発電プラントの復水系又は給水系を構成する炭素綱部材が好適である。ただし、これに限るものではない。例えば、補機冷却水系統やクーリングタワーを用いる冷却水系統など水が接触する炭素鋼部材の腐食抑制技術にも本発明を適用できる。要するに、炭素鋼部材に水が接触する場合に本発明を適用すればよい。
また、本発明の炭素鋼の腐食抑制方法を実施するフェライト皮膜の成膜装置は、処理液を貯留するサージタンクと、該サージタンク内の処理液を吸引する循環ポンプと、該循環ポンプにより吸引された前記処理液を成膜対象であってプラントを構成する炭素鋼部材である配管系に供給する処理液供給管と、該処理液供給管の処理液に注入する鉄(II)イオンを貯留する第1の薬液タンクと、前記処理液供給管の処理液に注入する酸化剤を貯留する第2の薬液タンクと、前記処理液供給管の処理液をpH5.5乃至9.0に調整するpH調整剤を貯留する第3の薬液タンクと、前記成膜対象の配管系から戻される処理液を前記サージタンクに戻す処理液戻り管と、前記処理液の温度を60℃乃至100℃に加熱する加熱手段を備えて構成される。
本発明によれば、プラントを構成する炭素鋼部材の腐食を抑制するのにより好適な方法及びその方法を実施する装置を実現できる。
以下、本発明の発電プラントを構成する炭素鋼の腐食抑制方法について、実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した炭素鋼の腐食抑制方法の一実施の形態を示すフローチャートである。図4は、沸騰水型原子力発電プラント(BWRプラント)の給水系配管に本発明を適用してなる全体系統構成を示す図である。図5は、本発明の腐食抑制方法を実施する成膜装置の詳細系統構成を示す図である。
図4に示すように、BWRプラントは、蒸気を発生する燃料棒を圧力容器に収容してなる原子炉1と、原子炉1に連結された主蒸気配管2と、主蒸気配管2に連結された蒸気タービン発電機3と、蒸気タービン発電機3の蒸気排出口に連結された復水器4などを備えている。復水器4で凝縮された復水は、復水ポンプ5によって抜き出された後に給水配管系10を介して原子炉1の給水として戻される。ここでの給水配管系10は、復水器4側から順に、復水浄化装置としての復水脱塩器6と、給水ポンプ7と、低圧給水加熱器8と、高圧給水加熱器9などを有する。なお、低圧給水加熱器8と高圧給水加熱器9の熱源は、蒸気タービン発電機3の抽気により賄われる。
また、原子炉1内の冷却水を循環する炉水再循環系は複数設けられている。炉水再循環系は、原子炉1の底部に連結された複数の再循環ポンプ21により炉水を抜き出し、抜き出された炉水を再循環ポンプ21のそれぞれに連結された炉水再循環配管22を介して原子炉1の上部に戻して循環させる。
また、原子炉1の炉水を浄化する炉水浄化系は、炉水再循環配管22に連結された浄化系ポンプ24により炉水を抜き出し、抜き出された炉水を再生熱交換器25及び非再生熱交換器26を介して冷却し、冷却された炉水を炉水浄化装置27により浄化し、浄化された炉水を再生熱交換器25で昇温した後、給水系の高圧給水加熱器9の下流側から原子炉1に戻す。
ここで、図4に示すように、本発明を適用したフェライト皮膜の成膜装置30は、BWRプラントの給水系に仮設配管で連結されている。すなわち、原子炉1の供用運転が停止されたとき、例えば復水脱塩器6の出口に設置されているバルブ23のボンネットを開放して復水脱塩器6側を閉止するとともに、バルブ23のフランジを用いて成膜装置30の仮設配管の一端を給水配管10の低圧給水加熱器8の上流側に接続する。それと同時に、高圧給水加熱器9の下流側の給水配管10(例えば、ドレン配管やサンプリング配管)を切り離し、その切り離し部分に成膜装置30の仮設配管の他端を接続する。なお、本例では、成膜装置30を給水系配管に接続しているが、これに限られず、復水系や補機冷却水系やクーリングタワーを用いる冷却水系統など、プラントを構成する炭素鋼部材に水が接触する部分に成膜装置30を適用してもよい。
本実施形態の成膜装置30は、化学洗浄処理に兼用できるように構成されている。例えば、成膜装置30は、図5に示すように、処理に用いる水が充填されるサージタンク31と、サージタンク31の水を抜き出してバルブ33、34を介して給水配管10の一端に供給する循環ポンプ32などを備えている。ここでのバルブ33、34を結ぶ処理液配管35は、バルブ38と注入ポンプ39を介して、処理液のpH調整用の薬剤を貯留する薬液タンク40が連結されている。ここでの薬液タンク40は、処理液のpH調整用の薬剤としてヒドラジンが貯留されている。また、循環ポンプ32の吐出側からバルブ36、エゼクタ37を介してサージタンク31に戻る流路が形成されている。エゼクタ37は、配管内の汚染物を酸化溶解するための過マンガン酸、あるいは配管内の汚染物を還元溶解するためのシュウ酸を投入するためのホッパを有する。
処理液配管35は、バルブ41、42及び注入ポンプ43、44を介して、薬液タンク45、46が連結されている。薬液タンク45、46は、フェライト皮膜生成に用いられる薬剤を貯留している。例えば、薬液タンク45は、鉄をギ酸で溶解して調製した鉄(II)イオンを含む薬剤が保管されている。なお、鉄を溶解させる薬剤は、ギ酸に限らず、鉄(II)イオンの対アニオンとなる有機酸又は炭酸を適用できる。薬液タンク46は、フェライト皮膜生成時の酸化剤としての過酸化水素が貯蔵されている。
一方、循環ポンプ32によって給水配管10の一端に供給された処理液は、給水配管10内を通って他端からバルブ47に戻される。戻された処理液は、循環ポンプ48、バルブ49、加熱器53とバルブ55、56、57を介してサージタンク31に戻される。バルブ49は、バルブ50とフィルタ51が並列に連結されている。加熱器53とバルブ55は、冷却器58とバルブ59が並列に連結されている。バルブ56は、イオン交換樹脂塔60(例えば、カチオン交換樹脂)がバルブ61を介して並列に連結されているとともに、混床樹脂塔62がバルブ63を介して並列に連結されている。バルブ57は、分解装置64がバルブ65を介して並列に接続されている。
分解装置64は、バルブ54を介して薬液タンク46に接続された注入ポンプ44の吐出側に連結されている。これによって分解装置64は、薬液タンク46に貯留された過酸化水素水を分解装置64に注入可能になっている。なお、本例では、フェライトメッキに必要な酸化剤と処理後の分解に必要な酸化剤が同一の過酸化水素であるから、薬液タンクと注入ポンプを共用することで設備を簡素にしているが、設置場所により接続配管が長くなる場合には分けて設置してもよい。
また、酸化剤を注入するバルブ42は、鉄(II)イオンを注入するバルブ41の下流側の位置、かつpHを調整する薬剤を注入するバルブ38の上流側の位置に配設されている。また、pHを調整する薬剤を注入するバルブ38は、酸化剤を注入するバルブ42の下流側の位置、かつ処理対象部位にできるだけ近い位置に配設されるのが好ましい。また、フェライトメッキ施工時は、循環ポンプ48の出口側にフィルタ51を通水可能にするのが好ましい。
さらに、鉄(II)イオンを含む薬剤を貯蔵する薬液タンク45とサージタンク31は、水溶液中の酸素を除去するために、窒素又はアルゴンなどの不活性ガスをバブリングすることが好ましい。また、分解装置64は、鉄(II)イオンの対アニオンとして使用される有機酸や、pH調整剤として使用されるヒドラジンを分解できる。つまり、ここでの鉄(II)イオンの対アニオンとして、廃棄物量の低減を考慮して水や二酸化炭素に分解できる有機酸、又は気体として放出可能で廃棄物量を増やさない炭酸が用いられている。なお、薬剤の使用量を抑制するには、余分な反応生成物を分離除去して未反応薬剤を回収し、回収後の未反応薬剤を再利用することが好ましい。
このように構成される成膜装置30のフェライト膜生成処理の手順を、図1に示したフローチャートに沿って説明する。まず、本発明方法を実施するに際しては、成膜装置30を処理対象としての炭素鋼部材の配管系に連結することから始まる(S1)。例えば、図4及び図5に示すように、炭素鋼部材から形成された給水系配管に成膜装置30が連結される。
次に、本実施形態の場合は、給水系配管の表面に形成された酸化皮膜などの腐食生成物を成膜装置30により化学的な処理で洗浄して除去する(S2)。なお、本発明の炭素鋼の腐食抑制方法を実施するに際し、化学洗浄を実施することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。要は、本発明の炭素鋼の腐食抑制方法を実施する前に、フェライト膜の生成対象である炭素鋼部材の表面が露出されていれば、研磨などのような機械的な洗浄処理を適用してもよい。
ステップ2の化学洗浄は、原子炉再循環系の化学除染にも適用されている周知の方法であるが、ここで、簡単に説明しておく。まず、バルブ33、34、47、49、55、56、57を開いた状態にするとともに、他のバルブを閉じた状態にする。次いで、循環ポンプ32、循環ポンプ48を起動することにより、化学洗浄の対象の給水配管10内にサージタンク31内の処理液を循環させる。そして、加熱器53により処理液の温度を約90℃まで昇温する。続いて、バルブ36を開くことにより、エゼクタ37に連結したホッパから所要量の過マンガン酸カリウムをサージタンク31に注入する。サージタンク31で溶解した薬剤により、洗浄対象部に形成されている酸化皮膜などの腐食生成物の一部が酸化溶解して除去される。
このようにして腐食生成物の除去処理が終了した後、処理液中に残っている過マンガン酸イオンを分解するため、エゼクタ37に連結したホッパからシュウ酸をサージタンク31に注入する。なお、給水系は、酸化溶解の対象となるクロムなどの酸化物量は少ないので、このステップを省略してもよい。次に、腐食生成物の還元溶解を行うため、シュウ酸を更に処理液中に注入する。それと同時に、処理液のpHを調整するため、バルブ38を開放して注入ポンプ39を起動することにより、薬液タンク40からヒドラジンを処理液中に注入する。このようにしてシュウ酸とヒドラジンを注入した後に、バルブ61を開くと共にバルブ56の開度を調整することにより、処理液の一部をイオン交換樹脂塔60に通流させる。これによって処理液中に溶出した金属陽イオンは、イオン交換樹脂塔60に吸着して処理液中から除去される。
還元溶解が終了した後、処理液中のシュウ酸を分解するため、分解装置64の出口側のバルブ65の開度を調整すると共に、分解装置64をバイパスさせるバルブ57の開度を調整することにより、処理液の一部を分解装置64に通流させる。このとき、バルブ54を開けると共に注入ポンプ44を起動することにより、分解装置64に流入する処理液中に薬液タンク46の過酸化水素を注入する。これによって処理液中のシュウ酸及びヒドラジンは分解される。
シュウ酸とヒドラジンが分解された後、処理液中の不純物を除去するため、加熱器53をオフにすると共に、バルブ55を閉じる。それと同時に、冷却器58のバルブ59を開けることにより、冷却器58に処理液を通流させる。これによって処理液の温度が下がる。処理液の温度が混床樹脂塔62に通水できる温度(例えば、60℃)まで下げた後に、イオン交換樹脂塔60のバルブ61を閉じると共に、混床樹脂塔62側のバルブ63を開くことにより、混床樹脂塔62に処理液を通流させる。これによって処理液中の不純物が除去される。
上述の昇温から酸化溶解、酸化剤分解、還元溶解、還元剤分解、浄化運転という一連の処理により、洗浄対象部位としての炭素鋼部材の酸化皮膜を含む腐食生成物を溶解して除去できる。除去が不十分な場合は、一連の洗浄ステップを繰り返せばよい。
このようにして、炭素鋼部材の酸化皮膜を含む腐食生成物を除去した後、本発明に係るフェライト皮膜の生成処理に切り換える。まず、洗浄ステップの浄化運転の終了後に、バルブ50を開くと共にバルブ49を閉じることにより、フィルタ51に処理液を通流させる。また、フィルタ51を通過した処理液を加熱器53により所定温度に調整する(S3)。フィルタ51に処理液を通流させるのは、処理液に微細な固形物が残留していると、フェライト皮膜の生成処理の際に固形物表面でも皮膜生成が生じるから、無駄な薬剤が使用されることになるため、これを防止するためである。また、フィルタ51に処理液を通流させるのを化学洗浄中に実施すると、溶解してきた高い濃度の鉄に起因する水酸化物でフィルタの圧力損失が高くなるおそれがあるため適切ではない。また、バルブ56を開放すると共にバルブ63を閉止することにより、浄化系運転で使用していた混床樹脂塔62に対する通水を停止する。
ここでの処理液の温度は、75℃程度が好ましいが、これに限られない。要は、原子炉の供用運転時の炭素鋼の腐食を抑制できる程度に、結晶等の膜構造が緻密なフェライト皮膜を成膜できればよい。したがって、給水系の最高使用温度以下、少なくとも200℃以下の温度条件が好ましい。また下限は常温でもよいが、膜の生成速度が実用範囲になる60℃以上の温度条件が好ましい。100℃以上の温度条件とすると、処理液の沸騰を抑制するための加圧が必要になる結果、その加圧に対する仮設設備の耐圧性が要求されるなど、設備コストが増大する。したがって、成膜処理の温度条件は、100℃以下がより好ましい。
フェライト皮膜を形成させるためには、鉄(II)イオンが成膜対象部の表面に吸着する必要がある。しかし、溶液中に酸素が残留すると、溶液中の鉄(II)イオンが溶存酸素により化学式1に従って鉄(III)イオンに酸化される。鉄(III)イオンは、鉄(II)イオンよりも溶解度が低いため、化学式2に従って水酸化鉄として析出することから、フェライト皮膜が形成されないおそれがある。そこで、処理液中の溶存酸素を除去するため、不活性ガスのバブリング又は真空脱気を行うことが好ましい。
(化学式1)
4Fe2++O+2HO→4Fe3++4OH
(化学式2)
Fe3++3OH→Fe(OH)

このようにして処理液の温度が所定温度に達した際、バルブ41を開放すると共に注入ポンプ43を起動することにより、薬液タンク45から薬剤を処理液中に注入する(S4)。これによって薬剤中の鉄(II)イオンは、処理対象の炭素鋼表面に吸着する。ここでの薬剤は、鉄をギ酸で溶解して調製した鉄(II)イオンを含むものである。続いて、処理対象の炭素鋼表面に吸着した鉄(II)イオンをフェライト化させるため、バルブ42を開放すると共に注入ポンプ44を起動することにより、薬液タンク46から酸化剤を処理液中に注入する(S5)。ここでの酸化剤は、洗浄剤を分解する際にも使用される過酸化水素を適用するが、オゾンや酸素を溶解した溶液を用いてもよい。最後に、バルブ38を開放すると共に注入ポンプ39を起動することにより、薬液タンク40からpH調整剤を処理液中に注入する(S6)。ここでのpH調整剤は、例えばヒドラジンである。ステップ6の処理により、処理液は、反応開始条件となるpH5.5〜9.0に調整される。これによってフェライト皮膜の生成反応が進行する。ステップ4〜ステップ5の処理により、炭素鋼の接水部の表面にマグネタイトを主成分とするフェライト皮膜の酸化皮膜(以下、マグネタイト皮膜という。)が形成される。
ステップ4,5,6は連続的に実施されることが好ましい。より具体的には、処理液に鉄イオンが注入された後、その注入後の処理液が酸化剤注入ポイントに達したときに酸化剤の注入が開始されるのが好ましいし、その鉄イオンと酸化剤が混合した処理液がpH調整剤注入ポイントに達したときにpH調整剤の注入が直ちに実施されることが好ましい。鉄イオンだけ先に注入して系統を循環させると、系統内に残留する溶存酸素で酸化反応が生じる結果、無駄な反応による薬剤の損失と反応の阻害原因になるおそれがある。
鉄イオンに酸化剤が供給されると、鉄イオンの酸化反応が開始されるので、鉄(II)イオンと鉄(III)イオンの存在比率が皮膜生成反応に適した条件となる。ただし、この状態の処理液は酸性であるから、皮膜生成反応が進行しない。その処理液にpH調整剤を添加することにより、皮膜生成反応が開始される。したがって、仮設配管内面への無駄な皮膜形成を防止するため、pH調整剤の注入ポイントは処理対象物に近く、仮設設備の本設設備との接続点に近い部分に設けるのが好ましい。
ステップ4,5,6で説明したように、薬液の注入順序は、鉄イオン、酸化剤、pH調整剤とした。なお、酸化剤、鉄イオン、pH調整剤の順でもよいが、酸化剤としての過酸化水素は温度が高い金属表面で分解し易いため、過酸化水素を先に注入するとその一部が無駄に消費される場合がある。また、鉄イオン、pH調整剤、酸化剤の順番にすると、フェライト皮膜は成膜されるが、その皮膜を形成するマグネタイトの粒子の大きさが比較的増大する。要するに、ステップ4,5,6に示した順序で薬剤を注入することにより、薬剤を有効に活用するとともに、より緻密なマグネタイト皮膜を形成できる。
皮膜処理が完了した際は、廃液処理工程が実施される(S7、S8)。一方、皮膜処理が完了していない場合は、ステップ7からステップ4に戻って一巡してきた処理液に薬液の追加供給を継続することにより、必要な厚みのマグネタイト皮膜を生成する。
マグネタイト皮膜の形成に寄与した処理液は、処理後においてもギ酸やヒドラジンが残存する。この処理液を排水するに際しては、ステップ8の廃液処理を実施して、それらの不純物を除去する必要がある。ただし、処理液中の残存物をイオン交換樹脂塔60で処理すると、イオン交換樹脂塔60の廃棄物が増えることになる。そこで、ステップ8の廃液処理は、除染系統にある分解装置64により、処理液中のギ酸を二酸化炭素と水に分解するとともに、処理液中のヒドラジンを窒素と水に分解するのが好ましい。これにより、イオン交換樹脂塔60の負荷を減らすことができるし、イオン交換樹脂塔60の廃棄物量を減らすことができる。
なお、分解処理は、シュウ酸の分解と同様に、分解装置64のバルブ65の開度を調整すると共に、分解装置64をバイパスするバルブ57の開度を調整することにより、処理液の一部を分解装置64に流入させる。そして、分解装置64に流入する処理液中に過酸化水素を注入することにより、処理液中のギ酸及びヒドラジンの分解を行う。
本実施例によれば、イオン交換樹脂塔60の廃棄物発生量を抑制しながら、処理対象部位(炭素鋼部材)の表面にマグネタイト皮膜が形成される。これにより、通常の原子炉供用運転中における対象部位の腐食を抑制することができる。その結果、これまでの腐食抑制対策として実施されてきた給水への酸素注入を停止することが可能になる。また、成膜処理で塩素などの薬剤を用いていないため、原子炉構成部材の健全性(例えば、耐腐食性)を害することがない。
本実施例は、フェライト皮膜としてニッケルフェライト皮膜を形成する点で、マグネタイト皮膜を形成する実施例1と相違する。
上述の実施例1では、給水系の炭素鋼配管の表面にマグネタイト皮膜を形成する場合の手順と装置を示した。図2に示す常温で純水中の浸漬試験においては、マグネタイト皮膜もニッケルフェライト皮膜も腐食抑制効果に大きな差が見られなかった。しかし、高温で純水中になる実機の給水系の環境においては、ニッケルフェライトは、その溶解度がマグネタイトよりも小さいことから、腐食抑制作用が長続きするという効果を発揮する。そこで、本実施例は、炭素鋼部材の接水部の表面にニッケルフェライト皮膜を形成することにしている。
図6は、本発明の炭素鋼の腐食抑制方法としてニッケルフェライト皮膜を形成する場合の一実施の形態を示すフローチャートである。図7は、ニッケルフェライト皮膜を形成する成膜装置の詳細系統構成を示す図である。
図6に示すように、実施例1(例えば図1)と異なる点は、フェライトメッキを施工するに際し、ニッケルイオンを含む薬剤を処理液中に注入するステップ4’が追加されていることである。このステップ4’は、鉄(II)イオンを含む薬剤を処理液中に注入するステップ4の後、かつ酸化剤としての過酸化水素水を処理液中に注入するステップ5の前に実施される。なお、ステップ4’を実現するために、図7に示すように、ニッケルイオンを貯蔵するタンク68と、注入ポンプ67および弁66が追加されている。それ以外の手順および装置は実施例1と基本的に同じである。
また、本実施例では、ニッケルイオンを貯蔵するタンク68は、鉄(II)イオンを貯蔵するタンク45とは別に設けられている。これは、鉄(II)イオンを含む溶液にギ酸を用いる場合、その溶液中にニッケルイオンが共存すると沈殿物を生成するからである。したがって、ニッケルイオンを含む溶液としては炭酸ニッケルを用いるのがよい。なお、鉄(II)イオンとニッケルイオンを同時に溶解可能な溶液を用いる場合は、本実施例のようにタンクを分ける必要はなく、その溶液にニッケルイオンを含ませることにより、実施例1と同じ手順と装置でニッケルフェライトの皮膜を生成することができる。
本実施例によれば、炭素鋼の表面に形成されたニッケルフェライトの皮膜は、マグネタイト皮膜よりも水に対する溶解が小さいので、比較的長い時間にわたって炭素鋼の腐食を抑制できる。
本実施例は、加圧水型原子力発電プラント(PWR)の二次系の給水配管に成膜装置30を配設した点で、沸騰水型原子力発電プラント(BWR)の給水配管に成膜装置30を配設した実施例1と相違する。図8は、PWRプラントの二次系の給水系配管に本発明を適用してなる全体系統構成を示す図である。なお、図8では、一次系の系統構成を省略し、蒸気発生器69を含む二次系のみを示している。
図8に示すように、実施例1(例えば図4)のBWRプラントの給水系に適用した場合と異なる点は、低圧給水加熱器8と高圧給水加熱器9の間に脱気器70が配設されたことである。ここでの脱気器70は、給水中のガス成分を除去するためのものである。成膜装置30を給水系の系統に接続する方法や皮膜形成プロセスに関しては、実施例1や実施例2と同様である。PWR二次系においては、アンモニアやヒドラジンなどの薬品を用いて炭素鋼の腐食を抑制するのが一般的であるが、本発明を適用することにより、それらの薬品処理が不要になるので、環境にやさしいプラント運転の実現と装置のランニングコストの低減を図ることができる。
本実施例は、火力プラントの給水配管に成膜装置30を配設した点で、PWR二次系の給水配管に成膜装置30を配設した実施例3と相違する。図9は、火力プラントの給水系配管に本発明を適用してなる全体系統構成を示す図である。図9に示すように、実施例3(例えば図8)のPWRプラント二次系と異なる点は、蒸気発生器69に代えて、ボイラ71を適用したことである。
成膜装置30を給水系の系統に接続する方法や皮膜形成プロセスに関しては、実施例1〜3と同様である。火力プラントの給水系においてもPWR二次系と同様に、アンモニアやヒドラジンなどの薬品を用いて炭素鋼の腐食を抑制するのが一般的であるが、本発明を適用することにより、これらの薬品処理が不要になるから、環境にやさしいプラント運転の実現と装置のランニングコストの低減を図ることができる。
本実施例は、成膜装置30の他の形態を説明するものである。図10は、本発明を適用した成膜装置30の他の実施形態の系統構成を示す図である。図10に示すように、実施例1(例えば図5)の成膜装置30と異なる点は、サージタンク31に窒素バブリング装置72を接続して設けたこと、および、鉄(II)イオンの薬液タンク45に窒素パージ装置73を接続して設けたことである。
本実施例によれば、サージタンク31内の溶液中の溶存酸素を排出させることができるから、サージタンク31内の溶液を実質的に酸素が含まないものにすることができる。また、薬液タンク45に貯蔵する鉄(II)イオンの酸化を抑制することができる。したがって、マグネタイト皮膜の成膜に寄与しない鉄(III)イオンが溶液中に生成されることを低減できる。その結果、マグネタイト皮膜の生成反応が低下するのを抑制できるので、良好なマグネタイト皮膜を形成することができる。
本発明を適用した炭素鋼の腐食抑制方法の一実施の形態を示すフローチャートである。 炭素鋼部材の腐食抑制効果についての実験結果を示す図である。 ニッケルフェライトの皮膜をレーザーラマンで分析した結果を示した図である。 BWRプラントの給水配管に本発明を適用してなる一実施の形態の全体系統構成を示す図である。 本発明の炭素鋼の腐食抑制方法を実施する成膜装置の詳細系統構成を示す図である。 本発明を適用した炭素鋼の腐食抑制方法としてニッケルフェライト皮膜を形成する場合の一実施の形態を示すフローチャートである。 ニッケルフェライト皮膜を形成する成膜装置の詳細系統構成を示す図である。 PWRプラント二次系の給水配管に本発明を適用してなる一実施の形態の全体系統構成を示す図である。 火力プラントの給水配管に本発明を適用してなる一実施の形態の全体系統構成を示す図である。 本発明を適用した成膜装置の他の実施形態の詳細系統構成を示す図である。
符号の説明
30 成膜装置
31 サージタンク
32 循環ポンプ
35 処理液配管
39,43,44 注入ポンプ
40 化学洗浄用又はpH調整用の薬剤の薬液タンク
45 鉄(II)イオンを含む薬剤の薬液タンク
46 酸化剤としての過酸化水素を含む薬剤の薬液タンク
53 加熱器
68 ニッケルイオンを含む薬剤の薬液タンク
72 窒素バブリング装置
73 窒素パージ装置

Claims (14)

  1. プラントを構成する炭素鋼部材の接水部の表面に、鉄(II)イオンを含む第1の薬剤と、前記鉄(II)イオンの少なくとも一部を鉄(III)イオンに酸化する第2の薬剤と、前記第1の薬剤と前記第2の薬剤を混合した処理液のpHを5.5乃至9.0に調整する第3の薬剤とを含む前記処理液を接触させてフェライト皮膜を成膜する炭素鋼の腐食抑制方法。
  2. 前記第1の薬剤は、ニッケルイオンを含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素鋼の腐食抑制方法。
  3. 前記第1の薬剤は、鉄(II)イオンを含有したギ酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭素鋼の腐食抑制方法。
  4. 前記第2の薬剤は、過酸化水素水、酸素、オゾンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の炭素鋼の腐食抑制方法。
  5. 前記第3の薬剤は、ヒドラジンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の炭素鋼の腐食抑制方法。
  6. プラントを構成する炭素鋼部材の接水部の表面に、鉄(II)イオンを含む第1の薬剤と、前記鉄(II)イオンの少なくとも一部を酸化する第2の薬剤と、ニッケルイオンを含む第3の薬剤と、前記第1の薬剤と前記第2の薬剤と前記第3の薬剤を混合した処理液のpHを5.5乃至9.0に調整する第4の薬剤とを含む前記処理液を接触させてフェライト皮膜を成膜する炭素鋼の腐食抑制方法。
  7. 前記第1の薬剤は、鉄(II)イオンを含有したギ酸であることを特徴とする請求項6に記載の炭素鋼の腐食抑制方法。
  8. 前記第2の薬剤は、過酸化水素水、酸素、オゾンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の炭素鋼の腐食抑制方法。
  9. 前記第4の薬剤は、ヒドラジンであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の炭素鋼の腐食抑制方法。
  10. 前記フェライト皮膜の成膜処理を60℃乃至100℃の温度条件下で実施することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の炭素鋼の腐食抑制方法。
  11. 前記第1の薬剤を貯留するタンクの気相部を不活性ガスでパージすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の炭素鋼の腐食抑制方法。
  12. 処理液を貯留するサージタンクと、該サージタンク内の処理液を吸引する循環ポンプと、該循環ポンプにより吸引された前記処理液を成膜対象であってプラントを構成する炭素鋼部材である配管系に供給する処理液供給管と、該処理液供給管の処理液に注入する鉄(II)イオンを貯留する第1の薬液タンクと、前記処理液供給管の処理液に注入する酸化剤を貯留する第2の薬液タンクと、前記処理液供給管の処理液をpH5.5乃至9.0に調整するpH調整剤を貯留する第3の薬液タンクと、前記成膜対象の前記配管系から戻される処理液を前記サージタンクに戻す処理液戻り管と、前記処理液の温度を60℃乃至100℃に加熱する加熱手段を備えていることを特徴とする炭素鋼部材の腐食抑制用のフェライト膜を成膜する成膜装置。
  13. ニッケルイオンを貯留する第4の薬液タンクを備えたことを特徴とする請求項12に記載の成膜装置。
  14. 前記第1の薬液タンクは、鉄をギ酸で溶解して調製した鉄(II)イオンを含む薬剤を貯留することを特徴とする請求項12又は13に記載の成膜装置。
JP2006001256A 2006-01-06 2006-01-06 炭素鋼の腐食抑制方法およびその装置 Active JP5059325B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006001256A JP5059325B2 (ja) 2006-01-06 2006-01-06 炭素鋼の腐食抑制方法およびその装置
US12/491,737 US20090290675A1 (en) 2006-01-06 2009-06-25 Method and apparatus for suppressing corrosion of carbon steel, method for suppressing deposit of radionuclide onto carbon steel members composing a nuclear power plant, and film formation apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006001256A JP5059325B2 (ja) 2006-01-06 2006-01-06 炭素鋼の腐食抑制方法およびその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007182604A JP2007182604A (ja) 2007-07-19
JP5059325B2 true JP5059325B2 (ja) 2012-10-24

Family

ID=38338937

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006001256A Active JP5059325B2 (ja) 2006-01-06 2006-01-06 炭素鋼の腐食抑制方法およびその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5059325B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4945487B2 (ja) * 2008-03-18 2012-06-06 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 炭素鋼部材へのフェライト皮膜形成方法及びその皮膜形成装置
WO2010053079A1 (ja) * 2008-11-04 2010-05-14 株式会社東芝 放射線被ばく低減方法
JP5317650B2 (ja) * 2008-11-28 2013-10-16 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 プラント構成部材の表面へのフェライト皮膜の形成方法及びフェライト皮膜形成装置
JP5377147B2 (ja) * 2009-03-06 2013-12-25 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 炭素鋼部材へのニッケルフェライト皮膜形成方法
JP4898877B2 (ja) * 2009-08-04 2012-03-21 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 炭素鋼部材の防食方法
JP5420472B2 (ja) 2010-05-17 2014-02-19 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 プラント構成部材へのフェライト皮膜形成方法
JP6034149B2 (ja) 2012-08-03 2016-11-30 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子力プラントの構成部材への貴金属付着方法
JP2014098192A (ja) * 2012-11-15 2014-05-29 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 原子力プラントにおける炭素鋼部材へのフェライト皮膜形成方法及び皮膜形成装置
JP6620081B2 (ja) 2016-09-20 2019-12-11 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子力プラントの炭素鋼部材への貴金属の付着方法及び原子力プラントの炭素鋼部材への放射性核種の付着抑制方法

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS56151394A (en) * 1980-04-25 1981-11-24 Hitachi Ltd Method of protecting gap corrosion of core material in bwr type plant
JPS59111929A (ja) * 1982-12-15 1984-06-28 Masanori Abe フエライト膜作製方法
JPH076072B2 (ja) * 1986-08-08 1995-01-25 日本ペイント株式会社 フエライト膜の形成方法
JPH05164890A (ja) * 1991-12-13 1993-06-29 Toshiba Corp 沸騰水型原子炉プラントの停止方法
JP3281213B2 (ja) * 1995-03-24 2002-05-13 株式会社東芝 沸騰水型原子炉プラントの水質管理方法
JP2001124891A (ja) * 1999-07-09 2001-05-11 Hitachi Ltd 原子力プラント構造物の表面処理方法および原子力プラント
JP4015789B2 (ja) * 1999-09-10 2007-11-28 株式会社東芝 給水加熱器用伝熱管の製造方法、同方法により製造された給水加熱器用伝熱管および同伝熱管を用いた給水加熱器
JP2008500151A (ja) * 2004-05-28 2008-01-10 独立行政法人科学技術振興機構 パターン膜形成方法、装置と材料および製品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007182604A (ja) 2007-07-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5059325B2 (ja) 炭素鋼の腐食抑制方法およびその装置
JP4567542B2 (ja) 原子力プラント構成部材への放射性核種の付着抑制方法
JP3945780B2 (ja) 原子力プラント構成部材の放射性核種の付着抑制方法および成膜装置
JP4898877B2 (ja) 炭素鋼部材の防食方法
JP4567765B2 (ja) 原子力プラント構成部材への放射性核種の付着抑制方法及び成膜装置
JP2008304381A (ja) 原子力プラント構成部材への放射性核種の付着抑制方法及びフェライト皮膜形成装置
US20090290675A1 (en) Method and apparatus for suppressing corrosion of carbon steel, method for suppressing deposit of radionuclide onto carbon steel members composing a nuclear power plant, and film formation apparatus
JP2012247322A (ja) プラント構成部材への白金皮膜形成方法
JP2007192672A (ja) 原子力プラントの炭素鋼部材表面にフェライト皮膜を成膜する方法および装置
JP4607775B2 (ja) フェライト皮膜を形成する薬剤の再生方法およびその装置
JP5500958B2 (ja) 原子力部材へのフェライト皮膜形成方法、応力腐食割れの進展抑制方法及びフェライト成膜装置
JP2008180740A (ja) 原子力プラント構成部材
JP5377147B2 (ja) 炭素鋼部材へのニッケルフェライト皮膜形成方法
US8821973B2 (en) Method of forming Fe3-xCrxO4 (O<X≦0.1) film on structural member in a plant
JP3972050B1 (ja) フェライト皮膜形成後における溶液の処理方法
JP2009210307A (ja) 原子力プラント構成部材への放射性核種の付着抑制方法及びフェライト皮膜形成装置
JP2010127788A (ja) プラント構成部材の表面へのフェライト皮膜の形成方法及びフェライト皮膜形成装置並びに水晶振動子電極装置
JP4945487B2 (ja) 炭素鋼部材へのフェライト皮膜形成方法及びその皮膜形成装置
WO2019123788A1 (ja) プラントの炭素鋼部材の腐食抑制方法
JP3967765B1 (ja) 放射性核種の付着抑制方法
JP2015028432A (ja) 原子力プラントの炭素鋼部材の化学除染方法
JP4959196B2 (ja) 原子力発電プラント用交換部材及び原子力発電プラント用部材の取扱方法
JP6894862B2 (ja) 原子力プラントの炭素鋼部材への放射性核種付着抑制方法
JP4197534B2 (ja) 放射性核種の付着抑制方法
JP7001534B2 (ja) 原子力プラントの構造部材への放射性核種の付着抑制方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081010

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120706

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120731

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120802

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150810

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5059325

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150