JP5058771B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Description

本発明は、概してゴルフクラブに関する。特に、金属−ウッドドライバーといわれるゴルフクラブに関する。

最近のゴルフクラブの設計の進歩には、主にゴルフティー上にあるゴルフボールを打つために使用されるドライバーの改良がある。この改良によって、ドライバーは、多くの場合スチールやチタン等の金属で作製される中空シェルから成るクラブヘッドを有することとなった。中空金属シェルから成るゴルフクラブヘッドの一例が、Ｒｕｇｇｅらの特許文献１に開示されている。しかしながら、これらの空洞金属−ウッドドライバーの性能を高めるために、ゴルフクラブ製作者によって、ヘッド体積が、Ｒｕｇｇｅらによって開示された２５０ｃｍ^３という適度な体積から、近年では４００ｃｍ^３を超えるまでに増大した。金属―ウッドドライバーの打面は、ゴルフボールとの衝突によって発生する衝突力に耐えるためにある程度の最低の厚みが必要となる。したがって、ヘッドサイズが増加すると、これらの特大のドライバーのクラブヘッドの重さを許容限度内に維持しつつクラブヘッドのクラウン部、ソール部及びスカート部を作製するのに利用できる材料が少なくなってくる。

特許文献２では、あるゴルフクラブ製作者が、例えば、複合材料や熱可塑性材料のような非金属材料から成る後部ボディに金属フェイスを接着したクラブヘッドを提案している。軽量のプラスチック後部ボディによって、より多くの金属を打面に使用することができるが、多くのゴルファーは、低共振で高減衰の非金属後部ボディを有するクラブが発生するインパクト音を嫌った。さらに、全複合材料または熱可塑性の後部ボディと打面との不連続によって、打面が後部ボディによって十分に支持されていない。その結果、より多くの金属を打面自身に使用しなければならず、非金属後部ボディによる重量低減のほとんどが相殺される。

特許文献３において、Ｌｉｏｕは、クラウン部とスカート部に大きな開口部を有するメタル−ウッドドライバーを提案している。この開口部は、クラブヘッドのクラウン部とスカート部に適合するグラファイトカバーによって覆われている。クラウン部および／またはスカート部の大きな開口部によって多くの金属を打面に使用することができるようになった。しかしながら、この大きな開口部によって、打面がクラウン部および／またはソール部に十分に支持されていない。したがって、多くの金属を打面自身に使用しなければならず、大きな開口部による重量低減のほとんどが相殺される。打面がクラウン部に支持されていないクラブヘッドの不具合を暗に認めており、特許文献３には、フェイスが、フェイスに垂直にクラウン部の開口部を二等分するシングルリブによって支持されている実施例が開示されている。しかしながら、シングル垂直リブ自身には、フェイスの後方のクラウン延伸部と結合する位置で応力集中が発生する。さらに、シングルリブには、フェイスとゴルフボールとの衝突による１次曲げモードの振動が容易に発生する。このように、シングル垂直リブは、フェイスの支持を弱くするだけでなく、振動によるぐらつきによって衝突エネルギーを放散させ、これにより、ゴルフボールに伝わるエネルギーをより小さくする。

したがって、ボールの衝突により発生するクラウン部の曲げモーメントによって活性化しない領域に意図的に配置され、その結果、クラウン部の剛性の低減やその固有振動数が低下することなく、クラウン部からクラブヘッドの他の領域への材料の転換を許容するクラウン部の開口部を有するクラブヘッドが必要とされている。

米国特許第５，８５１，１６０号明細書 米国特許第６，４７１，６０４号明細書 米国特許第７，００８，３３２号明細書

本発明は、ゴルフクラブヘッドを軽量化する技術を提供する。

本明細書によって開示される１つの技術は、金属材料で作製され、内側表面、外側表面、ヒール端部、トゥ端部、前壁および後側ボディ部を有するボディであって、前記前壁はボールを打撃するのに適したフェイスを含み、前記後側ボディ部はクラウン部、ソール部および前記トゥ端部から前記ヒール端部まで連続して伸びる縁領域を含み、前記ボディは前記クラウン部に形成された開口部をさらに備えており、その開口部は、円弧状の後側エッジと少なくとも一部が前記フェイスに略平行である前側エッジを有しており、前記開口部を横断する円弧形状であり、前記ボディの前記トゥ端部近傍の前記クラウン部に結合する第一端部から前記ボディの前記ヒール端部近傍の前記クラウン部に結合する第二端部まで伸びている第一リブと、前記開口部に及び前記円弧状の第一リブの中間部から前記縁領域まで伸びる第二リブと、前記開口部に及び前記円弧状の第一リブの中間部から前記縁領域まで伸びる第三リブと、前記開口部に広がって閉口する非金属材料と、備え、前記第二リブ及び第三リブは、前記第一リブの前記第一端部と前記第二端部の間において前記フェイスに対して垂直に伸びる線上の点から略放射状に伸びており、前記点は、前記第二リブの延長線と前記第三リブの延長線との交点であり、前記開口部よりも前側に位置するゴルフクラブヘッドである。
本発明は、金属フェイスを有するボディと開口部を有するクラウン部で形成されたゴルフクラブヘッドを含む。本発明の実施形態によれば、開口部は、円弧状の後端とクラブヘッドフェイスに略平行な前端と有する。また、開口部は、クラウン部のヒール端部に近接する領域からトゥ端部に近接する領域まで伸びる円弧状リブによって切断されている。ボディの縁領域と円弧状リブとをつなげるために一組の直線状リブが、例えば円弧状リブから放射状に外側に向かって伸びている。リブによって開口部に形成された複数の開口部は、例えば、黒鉛エポキシのような有機複合材料によって充填されている。黒鉛グラファイトは、周囲の金属よりも軽量であるため、クラウン部は、同等の全てが金属のクラブヘッドよりも軽量となる。それにもかかわらず、金属製のリブのために、金属合金のクラウン部は、同等の全複合材料のクラウン部や単一の垂直リブによって支持されたクラウン部よりも十分に硬くなる。

また、本明細書によって開示される１つの技術は、ボディと非金属材料を備えるゴルフクラブヘッドである。ボディは、金属材料で作製され、内側表面、外側表面、ヒール端部、トゥ端部、前壁および後側ボディ部を有する。前壁は、ボールを打撃するのに適したフェイスを含んでいる。後側ボディ部は、クラウン部、ソール部およびトゥ端部からヒール端部まで連続して伸びる縁領域を含んでいる。ボディは、さらにクラウン部に形成された少なくとも一つの孔をさらに備えている。その少なくとも一つの孔は環状領域の形状である。非金属材料は、少なくとも一つの孔に広がって閉口する。
このゴルフクラブヘッドによっても、上記した上記したゴルフクラブヘッドと同様の効果を得ることができる。

本実施例に係るクラブヘッドを図面を参照して説明する。図１から４を参照して、ゴルフクラブヘッド１０は、ゴルフボールと衝突するフェイス１６を含む前壁１４を有する金属材料で作製されたボディ１２を備えている。さらに、ボディ１２は、中空シェルを形成するクラウン部２０とソール部２２とスカート部２４を有するボディ部１８を備えている。クラウン部２０とスカート部２４は縁領域２６で交わっており、その縁領域２６は、断面の曲率半径が小さい領域を備えているとともに、ボディ１２のヒール端部２８からトゥ端部３０まで連続する円弧状の軌道で伸びている。ボディ１２は、共に接合やろう付けされる一続きの鍛造金属部材を組み合わせてもよいが、本実施形態では、ボディ１２は、チタンインベストメント鋳造である。クラウン部２０は、隙間のない後方延伸領域３２で形成されている。その後方延伸領域３２は、図３の寸法Ｌで示されるように、フェイス１６から２０〜６０ｍｍ後方に伸びている。好ましくは、その長さが２５〜４５ｍｍであり、より好ましくは約３０ｍｍである。クラウン部２０はさらに、後方延伸領域３２の後側に形成された開口部３４を含んでいる。開口部３４は、円弧状リブ３６によって切断されている。円弧状リブ３６は、ボディヒール端部２８近傍の第１端部３８からボディトゥ端部３０近傍の第２端部４０まで伸びている。

また、開口部３４は、円弧状リブ３６から伸びて縁領域２６に連結される直線状リブ４２，４４によって切断されている。図３を確認することでわかるように、リブ４２と４４は、円弧状リブ３６の中点を通りフェイス１６に垂直に伸びる軸Ｘに対して対称に配置されている。また、直線状リブ４２と４４は、軸Ｘ上に位置する点Ｐから略放射状に突出されている。

円弧状リブ３６と直線状リブ４２，４４とによって、開口部３４は４つの孔４６，４８，５０，５２に分割されている。孔４６，４８，５２は、環状領域の形である一方、孔５０は、円形形状となっている。孔４６，４８，５０，５２は、孔５０の真ん中を通過する軸Ｘに関して対称な構成となるように配置されている。より好適な実施形態では、クラウン部２０の性能を最大にするために、ボールの衝撃力が孔４６，４８，５０，５２とリブ３６，４０，４２のパターンを越えて均一に分散するように、軸Ｘが、所望のボール衝突ゾーンを通過している。

孔４６，４８，５０，５２は、ボディ１２を形成する密度の高い金属材料よりも低い密度の材料によって埋められている。本実施形態では、低密度材料は、軽量の非金属材料５４である。非金属材料５４は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は、ガラス繊維エポキシ樹脂、ガラス繊維ポリエステル、セラミック繊維エポキシ樹脂、アラミドエポキシ樹脂、あるいは他の有機繊維樹脂複合材料等の繊維強化有機樹脂等である。好ましくは、非金属材料５４は、グラファイトエポキシを有しており、延伸部３２の後方から縁領域２６まで伸びるボディ１２の内側表面５６に重なって、ボディ部１８の後部にチタニウムとカーボングラファイトからなる複合材料を形成する。非金属材料５４は、開口部３４に広がって、開口部３４を閉口している。

この実施形態では、非金属材料５４は、グラファイトエポキシのプリプレグ層を有しており、ボディ１２の内側表面５６に重なって、孔４６，４８，５０，５２を広がって、孔４６，４８，５０，５２を閉口している。そして、空気で膨らませる空気袋（図示省略）は、ウェイトポケット６４の底部に配置されている開口部６２を通ってボディ１２の空洞部５８に挿入される。次に、ボディ１２は、ボディ１２の外側表面に一致する型の空洞部に載置される。次に、空気袋が膨らまされて、プリプレグエポキシを矯正するために型が加熱される。

孔４６，４８，５０，５２によって表されるように、クラウン部２０の一部から金属を削除することによって、この実施形態では、体積が４００ｃｃを超えるボディ１２のクラブヘッド１０の重さが１５０ｇ前後であり、複合材料の充填材の重さがおよそ４０ｇである。これにより、フェイス１６を、最大厚さが０．１１０から０．１６０インチで、少なくとも５．００平方インチ（好ましくは５．３平方インチ）に増加させることができる。これは、理想の構造を犠牲にすることなく、所望の全体重量である約２００ｇ質量を超えることなく達成することができる。ボール衝突時のクラウン部の高ストレス領域に対応する円弧状のリブ３６を有するクラウン部の開口部３４の独自の構成は、フェイスを支持するための前例にない有効な軽量構成をもたらす一方、少なくとも３５００Ｈｚの好ましい主要な固有周波数を維持することができる。

以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

本発明の特徴を組み入れたゴルフクラブヘッドの前方斜視図。 図１のゴルフクラブヘッドの後方斜視図。 図１のゴルフクラブヘッドの上面図。 図３のライン４−４における断面図。

符号の説明

１０：クラブヘッド
１２：ボディ
１４：前壁
１６：フェイス
１８：ボディ部
２０：クラウン部
２２：ソール部
２４：スカート部
２６：縁領域
２８：ヒール端部
３０：トゥ端部
３２：延伸部
３４：開口部
３６：円弧状リブ
４２，４４：直線状リブ
４６，４８，５０，５２：孔
５４：非金属材料
５６：内側表面
５８：空洞部

Claims (15)

1. 金属材料で作製され、内側表面、外側表面、ヒール端部、トゥ端部、前壁および後側ボディ部を有するボディであって、
   前記前壁はボールを打撃するのに適したフェイスを含み、
   前記後側ボディ部はクラウン部、ソール部および前記トゥ端部から前記ヒール端部まで連続して伸びる縁領域を含み、
   前記ボディは前記クラウン部に形成された開口部をさらに備えており、
   その開口部は、円弧状の後側エッジと少なくとも一部が前記フェイスに略平行である前側エッジを有しており、
   前記開口部を横断する円弧形状であり、前記ボディの前記トゥ端部近傍の前記クラウン部に結合する第一端部から前記ボディの前記ヒール端部近傍の前記クラウン部に結合する第二端部まで伸びている第一リブと、
   前記開口部に及び前記円弧状の第一リブの中間部から前記縁領域まで伸びる第二リブと、
   前記開口部に及び前記円弧状の第一リブの中間部から前記縁領域まで伸びる第三リブと、
   前記開口部に広がって閉口する非金属材料と、
   を備え、
   前記第二リブ及び第三リブは、前記第一リブの前記第一端部と前記第二端部の間において前記フェイスに対して垂直に伸びる線上の点から略放射状に伸びており、
   前記点は、前記第二リブの延長線と前記第三リブの延長線との交点であり、前記開口部よりも前側に位置するゴルフクラブヘッド。
2. 前記第一リブは、前記ボディの前記前壁に対して凹状であり前記ボディの後側ボディ部に向かって凸状であることを特徴とする請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
3. 前記非金属材料は、前記ボディに接着されていることを特徴する請求項１又は２に記載のゴルフクラブヘッド。
4. 前記非金属材料は、前記ボディの前記内側表面に接着されていることを特徴とする請求項３に記載のゴルフクラブヘッド。
5. 前記開口部は、半円形状であることを特徴とする請求項１から４のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
6. 前記第二リブは前記ボディの前記ヒール端部に向かって伸び、前記第三リブは前記ボディの前記トゥ端部に向かって伸びていることを特徴とする請求項１から５のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
7. 前記第二および第三リブは、前記クラウン部の幾何学的な中心を通る前記フェイスに対して垂直に伸びる軸に対して略対称に配置されていることを特徴とする請求項１から６のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
8. 前記後側ボディ部はスカート部を含み、前記縁領域が前記クラウン部と前記スカート部の間の接合部を形成していることを特徴とする請求項１から７のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
9. 金属材料で作製され、内側表面、外側表面、ヒール端部、トゥ端部、前壁および後側ボディ部を有するボディであって、
   前記前壁はボールを打撃するのに適したフェイスを含み、
   前記後側ボディ部はクラウン部、ソール部および前記トゥ端部から前記ヒール端部まで連続して伸びる縁領域を含み、
   前記ボディは、さらに、
   前記クラウン部に形成された第一、第二、第三及び第四孔と、第一、第二及び第三リブと、前記第一、第二、第三及び第四孔に広がって閉口する非金属材料を備えており、
   前記第一、第二及び第三孔は環状領域の形状であり、
   前記第一リブは、円弧形状であり、前記ボディの前記トゥ端部近傍の前記クラウン部に結合する第一端部から前記ボディの前記ヒール端部近傍の前記クラウン部に結合する第二端部まで伸びており、前記第一、第二及び第三孔と前記第四孔との間に位置し、
   前記第二リブは、前記第一孔と前記第三孔との間に位置し、前記円弧状の第一リブの中間部から前記縁領域まで伸びており、
   前記第三リブは、前記第二孔と前記第三孔との間に位置し、前記円弧状の第一リブの中間部から前記縁領域まで伸びており、
   前記第二リブ及び第三リブは、前記第一リブの前記第一端部と前記第二端部の間において前記フェイスに対して垂直に伸びる線上の点から略放射状に伸びており、
   前記点は、前記第二リブの延長線と前記第三リブの延長線との交点であり、前記第一、第二、第三及び第四孔よりも前側に位置するゴルフクラブヘッド。
10. 前記前記第一、第二及び第三孔は、前記ボディの前記前壁に対して凹状であり前記ボディの後側ボディ部に向かって凸状であることを特徴とする請求項９に記載のゴルフクラブヘッド。
11. 前記第四孔は、略半円形状であることを特徴とする請求項９又は１０に記載のゴルフクラブヘッド。
12. 前記環状領域は、前記フェイスに垂直な面で面対称であることを特徴とする請求項９から１１のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
13. 前記非金属材料は、前記ボディに接着されていることを特徴する請求項９から１２のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
14. 前記非金属材料は、前記ボディの前記内側表面に接着されていることを特徴とする請求項１３に記載のゴルフクラブヘッド。
15. 前記後側ボディ部はスカート部を含み、前記縁領域が前記クラウン部と前記スカート部の間の接合部を形成していることを特徴とする請求項９から１４のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
    
    

Images