JP5057059B2 - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
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Description
下記式(A):
で表わされる化合物および
下記式(B):
で表わされる化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、特定化合物ということがある)を含有することを特徴とする液晶配向剤により達成される。
式(A)で表わされる化合物を特定化合物1ということにする。
式(A)において、R1〜R8はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基または芳香族基である。アルキル基およびアルコキシル基としては、具体的には、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−メチル−プロピル基、3−メチル−プロピル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。また、R1〜R8の芳香族基としてはフェニル基が挙げられる。R9、R10は芳香族基であり、具体的にはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。R10、R12 はグリシジル基である。
式(A)において、好ましくは、R2、R4、R5およびR7は水素であり、R1、R3、R6およびR8はそれぞれ独立して水素、メチル基またはエチル基であり、R9、R11はいずれもフェニル基である。
特定化合物1の具体的な化合物としては、以下のものが挙げられる。
式(B)で表わされる化合物を特定化合物2ということにする。
式(B)において、R13、R14はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシ基または芳香族基である。アルキル基およびアルコキシル基としては、具体的には、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、2−メチル−プロピル基、3−メチル−プロピル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。また、R13、R14の芳香族基としてはフェニル基が挙げられる。R15、R17は芳香族基であり、具体的にはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。R16、R18はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基またはグリシジル基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を挙げることができる。
Xは2価の有機基、−O−または−NH−である。好ましい2価の有機基としては、例えば−CH2−または−CH2CH2−が挙げられる。
式(B)において、好ましくは、R13、R14は水素であり、R15、R17はいずれもフェニル基であり、R16、R18はグリシジル基であり、Xは−NH−、−CH2−または−CH2CH2−である。
特定化合物2の具体的な化合物として、以下のものが挙げられる。
<テトラカルボン酸二無水物>
上記ポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物または芳香族テトラカルボン酸二無水物が用いられる。これらのうち脂環式テトラカルボン酸二無水物が好ましい。脂環式テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボニル−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−ジ無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ「5.3.1.02,6」ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、下記式(I)および(II)で表される化合物、
その他、ブタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(1)〜(4)で表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
これらテトラカルボン酸二無水物のうち、脂環式テトラカルボン酸二無水物が全テトラカルボン酸二無水物に対して50モル%以上であることが好ましい。
ポリアミック酸の合成に用いられるジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、などの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;下記式(V)で表されるジアミノオルガノシロキサンなどが挙げられる。これらのジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのうちp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル−2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、などが好ましい。
上記式(Q−1)において、R6で表される炭素数10〜20のアルキル基としては、例えば、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などが挙げられる。また、上記式(Q−1)におけるR6および上記式(Q−2)におけるR7で表される炭素数4〜40の脂環式骨格を有する有機基としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカンなどのシクロアルカン由来の脂環式骨格を有する基;コレステロール、コレスタノールなどのステロイド骨格を有する基;ノルボルネン、アダマンタンなどの有橋脂環式骨格を有する基などが挙げられる。これらの中で、特に好ましくはステロイド骨格を有する基である。上記脂環式骨格を有する有機基は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子や、フルオロアルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基で置換された基であってもよい。
特定ジアミンの全ジアミン量に対する使用割合は、発現させたいプレチルト角の大きさによっても異なるが、TN型、STN型液晶表示素子の場合には0〜5モル%、垂直配向型液晶表示素子の場合には5〜100モル%が好ましい。
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。
本発明の液晶配向剤におけるポリイミドは、上記ポリアミック酸の一部または全部を脱水閉環することにより合成することができる。
ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。
イミド化率は下記方法によって求めることができる。
イミド化重合体を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させ、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定し、下記式(ii)で示される式により求めることができる。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 −−−−−−(ii)
A1:NH基のプロトン由来のピーク面積(10ppm)
A2:その他のプロトン由来のピーク面積
α :重合体の前駆体(ポリアミック酸)における、NH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合
本発明で用いられる特定重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
本発明の配向剤に使用する重合体は、10%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの粘度を持つものであることがより好ましい。
なお、重合体の溶液粘度(mPa・s)は、所定の溶媒を用い、所定の固形分濃度に希釈した溶液ついてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
本発明の液晶配向剤は、上記特定重合体が、通常、有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜200℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
なお、特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば、スピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
片面全面にITO膜が形成された127mm(D)×127mm(W)×1.1mm(H)のガラス基板を用意し、このガラス基板に液晶配向膜塗布用印刷機(日本写真印刷(株)製 オングストローマー S−40L)を用いて上記実験で得られた液晶配向剤を孔径0.2μmのマイクロフィルターで濾過した後、透明電極面に塗布した。80℃に設定したホットプレート密着式予備乾燥機で乾燥し、200℃で60分間焼成してITO膜付きガラス基板上に液晶配向膜を形成した。得られた配向膜のムラを目視にて評価した。
液晶表示素子に60℃下、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。
図1に示したようなITO電極を持つセルを作製した。電極Aに直流電圧6.0V、電極Bに直流電圧0.5Vを室温にて24時間印加した。ストレス解放後、電極A、Bに直流電圧0.1〜5.0Vを0.1V刻みに印加。それぞれの電圧での電極A,Bの輝度差により焼き付き特性を判断した。輝度差が大きい場合、焼き付き特性悪いと判断した。
<特定化合物の合成>
合成例1(参考例)
次に、アニリン18.3g(0.196mol)のトルエン溶液200mlを加えた後、ナトリウム−tert−ブトキシド15.86g(0.165mol)を入れ、4時間加熱還流し反応させた。反応終了後、容器中へ水を加え、ジエチルエーテルにより抽出した。硫酸ナトリウムにより脱水後、硫酸ナトリウムをろ別し、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去した。粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して特定化合物(A−1)を得た。
次に、アニリン18.3g(0.196mol)のトルエン溶液200mlを加えた後、ナトリウム−tert−ブトキシド15.86g(0.165mol)を入れ、4時間加熱還流し反応させた。反応終了後、容器中へ水を加え、ジエチルエーテルにより抽出した。硫酸ナトリウムにより脱水後、硫酸ナトリウムをろ別し、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去した。粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して特定化合物(B−1)を得た。特定化合物(B−1)の1H−NMRスペクトルを図2に示す。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン157g(0.50モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン96g(0.89モル)、3,3’−(テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル)ビス(プロピルアミン)25g(0.10モル)、および3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン13g(0.020モル)、モノアミンとしてn−オクタデシルアミン8.1g(0.030モル)をN−メチル−2−ピロリドン960gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液を小量分取し、NMPを加えて固形分濃度10重量%の溶液で粘度を測定したところ、60mPa・sであった。次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン2,700gを追加し、ピリジン396gおよび無水酢酸409gを添加し110℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなγ−ブチロラクトンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度15重量%、固形分濃度6.0重量%時(γ−ブチロラクトン溶液)の溶液粘度16mPa・s、イミド化率約95重量%のイミド化重合体(これを「ポリイミド(ア−1)」とする。)溶液約2,000gを得た。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物224g(1.0モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン108g(1・0モル)、およびコレスタリル−3,5−ジアミノベンゾエート7.8g(0.015モル)をN−メチル−2−ピロリドン3,039gに溶解させ、60℃で6時間反応させることにより溶液粘度約260mPa・sのポリアミック酸溶液を得た。次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン2,700gを追加し、ピリジン396gおよび無水酢酸306gを添加し110℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなγ−ブチロラクトンで溶剤置換し(本操作にてイミド化反応に使用したピリジン、無水酢酸を系外に除去した)、固形分濃度約9.0重量%、固形分濃度5.0重量%時(γ−ブチロラクトン溶液)の溶液粘度72mPa・s、イミド化率約89%のイミド化重合体(これを「イミド化重合体(ア−2)」とする。)溶液約3,000gを得た。
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196g(1.0モル)、ジアミン化合物として2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル212g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン370g、γ−ブチロラクトン3,300gに溶解させ、40℃で3時間反応させた溶液粘度160mPa・sのポリアミック酸(これをポリアミック酸(イ−1)とする)溶液約3,700gを得た。
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物95g(0.50モル)、ピロメリット酸二無水物109g(0.50モル)、ジアミン化合物として2,7−ジアミノフルオレン196g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン230g、γ−ブチロラクトン2,060gに溶解させ、40℃で3時間反応させた後、γ−ブチロラクトン1,350gを追加し、固形分濃度10重量%での溶液粘度125mPa・sのポリアミック酸(これをポリアミック酸(イ−2)とする。)溶液約3,600gを得た。
ポリイミド合成例1で得られたポリイミド(ア−1)およびポリアミック酸合成例1で得られたポリアミック酸(イ−1)を、ポリイミド:ポリアミック酸=20:80(重量比)になるように、γ−ブチロラクトン/N−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ混合溶剤(重量比71/17/12)に溶解させて、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを重合体100に対して2重量部加え、特定化合物(A−1)を重合体100に対して10重量部加え、固形分濃度3.5重量%の溶液および、6.0重量%の溶液を作成した。それぞれの溶液を十分な攪拌後、孔径1μmのフィルターを用いて濾過し、液晶配向剤を調製した。
固形分濃度6.0重量%の溶液を用い、上記記載の方法に従って印刷性評価を行った。
ポリイミド、ポリアミック酸、特定化合物は表1に記した物を使用した他は実施例1と同じ手順で行った。
ポリイミド合成例2で得られたポリイミド(ア−2)を、N−メチル−2−ピロリドン/ブチルセロソルブ混合溶剤(重量比50/50)に溶解させて、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを重合体100に対して2重量部加え、特定化合物(A−1)を重合体100に対して10重量部加え、固形分濃度3.5重量%の溶液および、6.0重量%の溶液を作成した。それぞれの溶液を十分な攪拌後、孔径1μmのフィルターを用いて濾過し、本発明の液晶配向剤を調製した。液晶表示素子の作成方法、液晶表示素子の評価方法、および配向剤印刷性評価方法は実施例1と同じ方法で行った。
特定化合物は表1に記した物を使用した他は実施例9と同じ手順で行った。
ポリイミド、ポリアミック酸は表1に記した物を使用し、特定化合物を加えなかった他は実施例1と同じ手順で行った。
特定化合物を加えなかった他は実施例9と同じ手順で行った。
ポリイミド、ポリアミック酸は表1に記した物を使用し、特定化合物の代わりとして N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン(化合物Z)を使用した他は実施例1と同じ手順で行った。
特定化合物の代わりとしてN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン(化合物Z)を使用した他は実施例9と同じ手順で行った。
Claims (5)
- 下記式(A):
で表わされる化合物および
下記式(B):
で表わされる化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする液晶配向剤。
- 上記式(I−1)で示されるポリアミック酸および上記式(I−2)で示されるポリイミドの合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物が2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物を含む請求項2に記載の液晶配向剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の液晶配向剤を用いて得られる液晶配向膜。
- 請求項4に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする液晶表示素子。
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