JP5055163B2 - クリープ損傷の評価方法 - Google Patents
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Description
即ち、図4(A)において、図示しない管寄せ(母材)に溶接板1を溶接部3で溶接し、かかる溶接部3のクリープ損傷を検知する際には、溶接部3の表面にフィルム11を貼って、該フィルム11を通して、溶接部3に発生する無数のボイド5aの数と分布を検知し、かかるボイド5aの数と分布とを解析して、溶接部3の寿命消費率を推定していた。
図4(B)に明らかなように、寿命消費率は溶接部3の表面(図のA)よりも溶接部3の表面直下の方が短くなる。
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1)
で算出する第1算出工程と、前記第1の箇所とは前記管材の円周方向にて位置が異なる前記管材の溶接側の第2の箇所に装着された垂直探触子によって、前記第2の箇所に超音波を照射して前記管材の内面からの反射エコーを繰り返し受信する第2受信工程と、前記第2受信工程で受信された超音波に基づき、第1回目の反射エコーの高さ(B1)と、第2回目の反射エコーの高さ(B2)と、前記管材の板厚(W1)と、前記第2回目の反射エコーが出るときの板厚原点からの距離(W2)を用いて、減衰率Dbを次式:
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1)
で算出する第2算出工程と、前記第1算出工程及び前記第2算出工程でそれぞれ算出された減衰率Dbにより、前記管材の溶接側の円周方向でのクリープ損傷の程度の分布を検出し、評価する評価工程と、を備えることを特徴とする(請求項1)。
前記第3受信工程で受信された超音波に基づき、第1回目の反射エコーの高さ(B1)と、第2回目の反射エコーの高さ(B2)と、前記管材の板厚(W1)と、前記第2回目の反射エコーが出るときの板厚原点からの距離(W2)を用いて、減衰率Dbを次式:
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1)
で算出する第3算出工程と、
前記第1の箇所、前記第2の箇所及び前記第3の箇所とは前記管材の円周方向にて位置が異なる前記管材の溶接側の第4の箇所に装着された垂直探触子によって、前記第4の箇所に超音波を照射して前記管材の内面からの反射エコーを繰り返し受信する第4受信工程と、
前記第4受信工程で受信された超音波に基づき、第1回目の反射エコーの高さ(B1)と、第2回目の反射エコーの高さ(B2)と、前記管材の板厚(W1)と、前記第2回目の反射エコーが出るときの板厚原点からの距離(W2)を用いて、減衰率Dbを次式:
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1)
で算出する第4算出工程と、を更に備え、
前記評価工程では、前記第1算出工程、前記第2算出工程、前記第3算出工程及び前記第4算出工程でそれぞれ算出された減衰率Dbにより、前記管材の溶接側の円周方向でのクリープ損傷の程度の分布を検出し、
前記母材の長手方向に一致する前記管材の円周方向の位置を90°及び270°としたときに、前記第1の箇所、前記第2の箇所、前記第3の箇所及び前記第4の箇所の円周方向の位置はそれぞれ0°、90°、180°及び270°である(請求項3)。
管材の軸方向の曲げ荷重に対して、円周方向の少なくとも2箇所に装着した垂直探触子からの反射エコーの高さ(B1)と(B2)を対比して計測することにより、曲げ荷重に対する円周方向におけるクリープ損傷の程度の分布を検出し、評価することができる。
また、垂直探触子とこれに付随した超音波解析装置を備えるのみという、きわめて簡単な手法で且つ低コストの装置で以って、管材の溶接側の表面から表面直下におけるクリープ損傷の程度を評価することができる。
図1(A)において、2は管寄せ(母材)で、これに溶接管1を溶接で溶接している。3は溶接部である。
かかる陸用ボイラーシステのプラント配管の溶接構造においては、管寄せ2(母材)に多くの溶接管1を溶接する溶接部3が、高温、長時間の使用で生じるクリープ損傷によって、管寄せの強度に比べて大幅に低下する。従って、かかるプラント配管の溶接構造の健全性を確保するには、クリープ損傷を高精度に且つ早期に検出する必要がある。
かかるクリープ損傷の評価装置において、垂直探触子4からの超音波を溶接管1の溶接部3の側(管材の溶接側)に照射し、管材の溶接側の底面からの反射エコーを垂直探触子4を経由して超音波解析装置9で繰り返し受信する。
そして、図1(B)の超音波の波形線図のように、第1回目の反射エコーの高さB1と第2回目の反射エコーの高さB2と、前記溶接材1の板厚T=W1と前記第2回目の反射エコーが出るときの板厚原点からの距離W2を計測する。
減衰率Dbは、
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1) (1)
この減衰率Dbにより、前記管材の溶接側のクリープ損傷の程度を評価することができる。
図3は、かかる前記参考例1における減衰率Dbの実験値に基づいて、算出した値Sである。
これにより、前記減衰率の算出値Dbを許容値Dbmに対比しつつ、クリープ損傷による破損の時期を検出できる。
これにより、前記第1回目の反射エコーの高さB1と第2回目の反射エコーの高さB2を対比して計測することにより、管材の溶接側の表面から深さ方向に正しく、クリープ損傷の程度を評価することができる。
この実施例1においては、管寄せ2(母材)に多くの(この例では2本の)溶接管1、1を溶接する溶接部3が、図2(A)のような曲げ荷重Yを受ける場合には、前記垂直探触子4を円周方向に沿って2箇所以上に設ける。
以下の作動は前記参考例1と同様である。
即ち、実施例1においては、前記溶接部3に接近して設けた各垂直探触子4の検知出力を超音波解析装置9に入力し、図1(B)の超音波の波形線図のように、第1回目の反射エコーの高さB1と第2回目の反射エコーの高さB2と、前記溶接管1の板厚T=W1と前記第2回目の反射エコーが出るときの板厚原点からの距離W2を計測する。
そして、前記超音波解析装置9において、次の(1)式から減衰率Dbを求める。
減衰率Dbは、
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1) (1)
この減衰率Dbにより、前記管材の溶接側のクリープ損傷の程度を評価することができる。
従って管材1の軸方向の曲げ荷重Yに対して、円周方向の少なくとも2箇所に装着した垂直探触子4からの反射エコーの高さB1とB2を対比して計測することにより、曲げ荷重Yに対する円周方向におけるクリープ損傷の程度の分布を検出し、評価することができる。
そして、第2回目の反射エコーB2が得られ難いときには、ボイドノイズが前記反射エコーの高さB1付近で一定値よりも大きくなったら、損傷予兆の状態にあるものと判定する。
これにより、第2回目の反射エコーB2が得られ難い、厚肉の溶接管1の場合でも、管材の溶接側の表面直下における状況も含んだ、クリープ損傷を検知できる。
2 管寄せ(母材)
3 溶接部
4 垂直探触子
9 超音波解析装置
B1 第1回目の反射エコーの高さ
B2 第2回目の反射エコーの高さ
T 板厚
Claims (3)
- 母材に溶接された管材の溶接側のクリープ損傷の程度を評価するクリープ損傷の評価方法であって、
前記管材の溶接側の第1の箇所に装着された垂直探触子によって、前記第1の箇所に超音波を照射して前記管材の内面からの反射エコーを繰り返し受信する第1受信工程と、
前記第1受信工程で受信された超音波に基づき、第1回目の反射エコーの高さ(B1)と、第2回目の反射エコーの高さ(B2)と、前記管材の板厚(W1)と、前記第2回目の反射エコーが出るときの板厚原点からの距離(W2)を用いて、減衰率Dbを次式:
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1)
で算出する第1算出工程と、
前記第1の箇所とは前記管材の円周方向にて位置が異なる前記管材の溶接側の第2の箇所に装着された垂直探触子によって、前記第2の箇所に超音波を照射して前記管材の内面からの反射エコーを繰り返し受信する第2受信工程と、
前記第2受信工程で受信された超音波に基づき、第1回目の反射エコーの高さ(B1)と、第2回目の反射エコーの高さ(B2)と、前記管材の板厚(W1)と、前記第2回目の反射エコーが出るときの板厚原点からの距離(W2)を用いて、減衰率Dbを次式:
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1)
で算出する第2算出工程と、
前記第1算出工程及び前記第2算出工程でそれぞれ算出された減衰率Dbにより、前記管材の溶接側の円周方向でのクリープ損傷の程度の分布を検出し、評価する評価工程と、
を備えることを特徴とするクリープ損傷の評価方法。 - 予め実験によって前記減衰率Dbの許容値Dbmを求めておき、前記減衰率の算出値Dbが前記許容値Dbmを超えたとき、前記管材の溶接側のクリープ損傷を判定することを特徴とする請求項1に記載のクリープ損傷の評価方法。
- 前記第1の箇所及び前記第2の箇所とは前記管材の円周方向にて位置が異なる前記管材の溶接側の第3の箇所に装着された垂直探触子によって、前記第3の箇所に超音波を照射して前記管材の内面からの反射エコーを繰り返し受信する第3受信工程と、
前記第3受信工程で受信された超音波に基づき、第1回目の反射エコーの高さ(B1)と、第2回目の反射エコーの高さ(B2)と、前記管材の板厚(W1)と、前記第2回目の反射エコーが出るときの板厚原点からの距離(W2)を用いて、減衰率Dbを次式:
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1)
で算出する第3算出工程と、
前記第1の箇所、前記第2の箇所及び前記第3の箇所とは前記管材の円周方向にて位置が異なる前記管材の溶接側の第4の箇所に装着された垂直探触子によって、前記第4の箇所に超音波を照射して前記管材の内面からの反射エコーを繰り返し受信する第4受信工程と、
前記第4受信工程で受信された超音波に基づき、第1回目の反射エコーの高さ(B1)と、第2回目の反射エコーの高さ(B2)と、前記管材の板厚(W1)と、前記第2回目の反射エコーが出るときの板厚原点からの距離(W2)を用いて、減衰率Dbを次式:
Db=20(log(B1/B2))/(W2−W1)
で算出する第4算出工程と、を更に備え、
前記評価工程では、前記第1算出工程、前記第2算出工程、前記第3算出工程及び前記第4算出工程でそれぞれ算出された減衰率Dbにより、前記管材の溶接側の円周方向でのクリープ損傷の程度の分布を検出し、
前記母材の長手方向に一致する前記管材の円周方向の位置を90°及び270°としたときに、前記第1の箇所、前記第2の箇所、前記第3の箇所及び前記第4の箇所の円周方向の位置はそれぞれ0°、90°、180°及び270°である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のクリープ損傷の評価方法。
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