従来、パケットのヘッダを圧縮するヘッダ圧縮技術として、RFC3095に規定されるROHC(RObust Header Compression)、RFC3545に規定されるEnhanced CRTP等が知られており、これらのヘッダ圧縮技術を実際の伝送システムに適用するための開発が進められてきた。例えば、端末及びサーバにより構成される伝送システムにおいて、上りチャンネルの回線と下りチャンネルの回線とが異なる非対象の伝送路であってもスループットが低下しないように、ヘッダ情報を圧縮して復元(解凍)するパケットと圧縮しないパケットとを区別して伝送する技術が知られている(特許文献1を参照)。また、圧縮されたヘッダ情報を有するパケットの紛失またはエラーが発生しても、そのヘッダ情報を正しく再構成できるように、特定のパケットを後続のパケットと共に、所定の条件が満たされるまで送信する技術が知られている(特許文献2を参照)。
一方、前述したヘッダ圧縮技術を用いた伝送システムのうち、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるIPヘッダ情報を圧縮し、ヘッダ圧縮したパケット(ヘッダ圧縮パケット)として伝送するシステムがある(非特許文献1を参照)。この伝送システムは、全てのパケットが全てのヘッダ情報を備えて送信する代わりにヘッダ圧縮パケットを送信し、伝送システムにおける伝送効率の向上を図るものである。ここで、IPヘッダ情報はCIDと呼ばれるコンテクスト識別子に置き換えられて圧縮され、CIDはヘッダ圧縮パケットのIPデータフローを特定するための情報として用いられる。
図8は、IPパケットのIPヘッダ情報を圧縮しヘッダ圧縮パケットとして伝送するシステムの概略構成を示す図である。この伝送システムは、高度BSデジタル放送を実現する衛星放送システムであり、放送局に設けられたファイル送出装置及び多重化装置(送信端末1)、並びに、例えば一般家庭に設けられたチューナー装置(受信端末2)及びアプリケーション装置を備えて構成される。送信端末1と受信端末2とは、放送衛星を介して、放送伝送路である一方向伝送路3により接続される。また、放送局内のファイル送出装置と送信端末1とはIPネットワークにより接続され、一般家庭内の受信端末2とアプリケーション装置4とはホームネットワークを構成するIPネットワークにより接続される。
送信端末1は、コンテンツファイルを送出するファイル送出装置からIPパケットを受信し、受信したIPパケットを多重化し、一方向伝送路3を介して放送波を受信端末2へ送信する。具体的には、送信端末1は、テレビ放送サービスを実現するための情報、及び、コンテンツロードサービスを実現するためのコンテンツを含むTLV(Type Length Value)を生成する。このとき、送信端末1は、IPパケットのIPヘッダ情報を圧縮してCIDに置き替え、CIDを含むヘッダを有するパケットをTLVに格納して送信する。尚、TLVには、配信されるコンテンツおよびダウンロードの制御に必要なダウンロード制御情報等を含むIPパケットが格納される。
受信端末2は、送信端末1から一方向伝送路3を介して放送波を受信し、受信した放送波のパケットからCIDを取り出してIPヘッダ情報に復元し、IPパケットを生成する。そして、受信端末2は、生成したIPパケットを、IPネットワークを介してアプリケーション装置4へ送信する。アプリケーション装置4は、IPパケットを受信し、IPパケットのペイロードから所望のデータグラムを取得する。このように、一般家庭内のアプリケーション装置4は、ダウンロードアプリケーションのソフトウェアによって、放送局に設けられたファイル送出装置から、送信端末1、一方向伝送路3及び受信端末2を経由して、オペレータが所望するコンテンツのIPパケットを受信し、所望のデータグラムを取得することができる。これにより、オペレータは所望のコンテンツを視聴または録画することができる。
図9は、送信端末1においてヘッダ情報を圧縮し、受信端末2においてヘッダ情報を復元するヘッダ圧縮方式を説明する図である。図9を参照して、IPパケットは、「IPヘッダ」「UDPヘッダ」「ペイロード」により構成される。ヘッダ圧縮パケットはフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットに区別され、フルヘッダパケットは、「フルヘッダ」「ペイロード」により構成され、圧縮ヘッダパケットは、「圧縮ヘッダ」「ペイロード」により構成される。
送信端末1は、送信したいIPパケットを受信し、IPパケットに付加されたIPヘッダ及びUDPヘッダに基づいてIPパケットを区別し、IPデータフローを特定する。ここで、IPヘッダにはプロトコル種別、送信元IPアドレス及び宛先IPアドレスが含まれており、UDPヘッダには送信元ポート番号及び宛先ポート番号が含まれており、これらのデータによりIPデータフローが特定される。IPデータフローとは、IPヘッダ及びUDPヘッダに含まれる、プロトコル種別、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、送信元ポート番号及び宛先ポート番号の5つのフィールドの値がユニークな組み合わせを持つIPパケットの集合をいう。つまり、IPヘッダ及びUDPヘッダに含まれる情報により特定されるIPデータフローは、図8に示したファイル送出装置により送出される同一のコンテンツファイルにおけるIPパケットの集合である。
送信端末1は、特定したIPデータフロー毎に割り当て可能なCIDを特定し、CID及びヘッダ情報からなるCIDテーブルを生成する。ここで、CIDは、前述したIPデータフローを識別するために用いる識別子である。
図11は、CIDテーブルの構成を示す図である。(1)は、IPヘッダがIPv4の場合のCIDテーブルであり、(2)は、IPヘッダがIPv6の場合のCIDテーブルである。(1)において、IPv4のCIDテーブルは、CID、IPv4ヘッダ及びUDPヘッダにより構成される。IPv4ヘッダは、IPヘッダのバージョンを示すVersion(バージョン)、IHL(Internet Header Length:IPヘッダ長)、TOS(Type Of Service:サービスタイプ)、IP−ID(IP−Identification:IP識別番号)、Flag(フラグ)、Fragment Offset(フラグメントオフセット)、TTL(Time To Live)、Protocol(プロトコル)、SrcAddr(送信元IPアドレス)及びDstAddr(宛先IPアドレス)により構成される。また、UDPヘッダは、SrcPort(送信元ポート番号)及びDstPort(宛先ポート番号)により構成される。IPv4ヘッダには、上記の他、Total Length(パケット長)、Header Checksum(ヘッダチェックサム)があり、UDPヘッダには、上記の他、Length(データ長)、Checksum(チェックサム)があるが、これらは、パケット毎に値が異なることが想定されることから、CIDテーブルには保持されない。
また、(2)において、IPv6のCIDテーブルは、CID、IPv6ヘッダ及びUDPヘッダにより構成される。IPv6ヘッダは、IPヘッダのバージョンを示すVersion(バージョン)、Traffic Class(トラフィッククラス)、Flow Label(フローラベル)、Next Header(ネクストヘッダ)、Hop Limit(ホップリミット)、SrcAddr(送信元IPアドレス)及びDstAddr(宛先IPアドレス)により構成される。また、UDPヘッダは、SrcPort(送信元ポート番号)及びDstPort(宛先ポート番号)により構成される。IPv6ヘッダには、上記の他、Payload Length(ペイロード長)があり、UDPヘッダには、上記の他、Length(データ長)、Checksum(チェックサム)があるが、これらは、パケット毎に値が異なることが想定されることから、CIDテーブルには保持されない。
図9に戻って、送信端末1は、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダを含むヘッダ情報を付加したフルヘッダパケットを生成して間欠的に送信する。また、それ以外のときに、CIDを含むヘッダ情報を付加した圧縮ヘッダパケットを生成して送信する。このように、フルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットは、圧縮されたヘッダ情報が付加されたヘッダ圧縮パケットとして送信される。
図12は、ヘッダ圧縮パケット(フルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケット)の構成を示す図である。(1)は、IPv4のフルヘッダパケットの構成を示し、(2)は、IPv4の圧縮ヘッダパケットの構成を示し、(3)は、IPv6のフルヘッダパケットの構成を示し、(4)は、IPv6の圧縮ヘッダパケットの構成を示している。尚、数字は、それぞれのデータ項目のバイト長を示している(図13〜15においても同じ)。
(1)において、IPv4のフルヘッダパケットは、CID、同一のCIDを持つパケットの順序を示すSN(シーケンス番号)、ヘッダ情報のタイプを示すCID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x20)、IPv4_header_wo_length、UDP_header_wo_length及びデータバイトにより構成される。CID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)、IPv4_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthは、図9に示したフルヘッダパケットを構成するフルヘッダ部に相当し、データバイトはペイロード部に相当する。また、IPv4_header_wo_lengthは、IPパケットのIPヘッダ情報に含まれるIPv4ヘッダに対する部分的なIPvヘッダ(部分IPvヘッダ)であり、IPv4ヘッダからパケット長及びヘッダチェックサムを除いたものである。さらに、UDP_header_wo_lengthは、IPパケットのIPヘッダ情報に含まれるUDPヘッダに対する部分的なUDPヘッダ(部分UDPヘッダ)であり、IPパケットのUDPヘッダからデータ長及びチェックサムを除いたものである。
また、(2)において、IPv4の圧縮ヘッダパケットは、CID、同一のCIDを持つパケットの順序を示すSN(シーケンス番号)、CID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x21)、IPv4ヘッダの識別番号を示すidentification(識別番号)及びデータバイトにより構成される。CID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)、identificationは、図9に示した圧縮ヘッダパケットを構成する圧縮ヘッダ部に相当し、データバイトはペイロード部に相当する。
また、(3)において、IPv6のフルヘッダパケットは、CID、同一のCIDを持つパケットの順序を示すSN(シーケンス番号)、CID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x60)、IPv6_header_wo_length、UDP_header_wo_length及びデータバイトにより構成される。CID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)、IPv6_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthは、図9に示したフルヘッダパケットを構成するフルヘッダ部に相当し、データバイトはペイロード部に相当する。また、IPv6_header_wo_lengthは、IPパケットのIPヘッダ情報に含まれるIPv6ヘッダに対する部分的なIPvヘッダ(部分IPvヘッダ)であり、IPv6ヘッダからペイロード長を除いたものである。さらに、UDP_header_wo_lengthは、IPパケットのIPヘッダ情報に含まれるUDPヘッダに対する部分的なUDPヘッダ(部分UDPヘッダ)であり、IPパケットのUDPヘッダからデータ長及びチェックサムを除いたものである。
また、(4)において、IPv6の圧縮ヘッダパケットは、CID、同一のCIDを持つパケットの順序を示すSN(シーケンス番号)、CID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x61)及びデータバイトにより構成される。CID、SN及びCID_header_type(CIDヘッダタイプ)は、図9に示した圧縮ヘッダパケットを構成する圧縮ヘッダ部に相当し、データバイトはペイロード部に相当する。
これらのフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットにおけるCID_header_type(CIDヘッダタイプ)により、(1)〜(4)が区別される。また、(1)によるIPv4のフルヘッダパケットにおけるIPv4_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthが、図11(1)に示したIPv4のCIDテーブルにおけるIPv4ヘッダ及びUDPヘッダにそれぞれ相当する。また、(3)によるIPv6のフルヘッダパケットにおけるIPv6_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthが、図11(2)に示したIPv6のCIDテーブルにおけるIPv6ヘッダ及びUDPヘッダにそれぞれ相当する。
図13は、図12(1)に示したIPv4のフルヘッダパケットにおけるIPv4_header_wo_lengthの構成を示す図である。このIPv4_header_wo_lengthは、IPパケットのバージョンを示すVersion(バージョン)、IHL、TOS(Type Of Service:サービスタイプ)、IP−ID(IP−Identification:IP識別番号)、Flag(フラグ)、Fragment Offset(フラグメントオフセット)、TTL(Time To Live)、Protocol(プロトコル)、SrcAddr(送信元IPアドレス)及びDstAddr(宛先IPアドレス)により構成される。
図14は、図12(3)に示したIPv6のフルヘッダパケットにおけるIPv6_header_wo_lengthの構成を示す図である。このIPv6_header_wo_lengthは、IPパケットのバージョンを示すVersion(バージョン)、Traffic Class(トラフィッククラス)、Flow Label(フローラベル)、Next Header(ネクストヘッダ)、Hop Limit(ホップリミット)、SrcAddr(送信元IPアドレス)及びDstAddr(宛先IPアドレス)により構成される。
図15は、図12(1)(3)に示したIPv4,6のフルヘッダパケットにおけるUDP_header_wo_lengthの構成を示す図である。このUDP_header_wo_lengthは、SrcPort(送信元ポート番号)及びDstPort(宛先ポート番号)により構成される。尚、図12〜図15に示した構成の詳細については、非特許文献1を参照されたい。
図9に戻って、受信端末2は、ヘッダ圧縮パケットを受信する。具体的には、受信端末2は、まずフルヘッダパケットを受信し、その後に引き続き圧縮ヘッダパケットを受信する。受信端末2は、圧縮されたヘッダ情報を送信時と同じIPヘッダ及びUDPヘッダに復元し、IPパケットを生成する必要がある。これは、アプリケーション装置4が、IPパケットを受信し、これらのヘッダ(IPヘッダ及びUDPヘッダ)に格納された送信元IPアドレス、宛先IPアドレス及び宛先ポート番号等に基づいてIPパケットを特定する必要があり、特定したIPパケットから所望のデータグラムを取得するためである。
受信端末2は、受信したヘッダ圧縮パケットがフルヘッダパケットの場合、フルヘッダパケットのフルヘッダに含まれるCIDとIPヘッダ及びUDPヘッダとの間の対応付けを行い、これらの情報をCIDテーブルに保存する。また、受信端末2は、受信したヘッダ圧縮パケットが圧縮ヘッダパケットの場合、圧縮ヘッダパケットの圧縮ヘッダに含まれるCIDに基づいてCIDテーブルを検索し、CIDに対応付いているIPヘッダ及びUDPヘッダを取得し、CIDを元のIPヘッダ及びUDPヘッダに復元する。このようにして、受信端末2は、IPパケットを生成してアプリケーション装置4へ送信する。
図10は、従来の受信端末2及びアプリケーション装置4の構成を示すブロック図であり、受信端末2がヘッダ圧縮パケットを受信してからアプリケーション装置4が所望のデータグラムを取得するまでの間の各処理を行う構成部を示している。この受信端末2は、CID識別部51、タイプ識別部52、CID・ヘッダ情報保存部53及びヘッダ復元部54を備えている。また、アプリケーション装置4は、フィルタ部55及びペイロード取り出し部56を備えている。
受信端末2がヘッダ圧縮パケットを受信すると、CID識別部51は、ヘッダ圧縮パケットを入力し、ヘッダ圧縮パケットのヘッダ情報からCIDを取り出し、CIDを識別する。そして、CID識別部51は、識別したCIDをCID・ヘッダ情報保存部53に出力し、入力したヘッダ圧縮パケットをタイプ識別部52に出力する。ヘッダ圧縮パケットのヘッダ(圧縮されたヘッダ)は、識別されたCID毎に、後段のヘッダ復元部54において元のIPヘッダ及びUDPヘッダに復元される。
タイプ識別部52は、CID識別部51からヘッダ圧縮パケットを入力し、ヘッダ圧縮パケットのヘッダ情報からCID_header_type(CIDヘッダタイプ)を取り出し、CIDヘッダタイプを識別する。図12に示したように、CIDヘッダタイプには、CID_header_type=0x20,0x21,0x60,0x61の4つが割り当てられている。タイプ識別部52は、CID_header_type=0x20の場合、ヘッダ圧縮パケットがIPv4のフルヘッダパケットであることを判定し、CID_header_type=0x21の場合、ヘッダ圧縮パケットがIPv4の圧縮ヘッダパケットであることを判定し、CID_header_type=0x60の場合、ヘッダ圧縮パケットがIPv6のフルヘッダパケットであることを判定し、CID_header_type=0x61の場合、ヘッダ圧縮パケットがIPv6の圧縮ヘッダパケットであることを判定する。
タイプ識別部52は、入力したヘッダ圧縮パケットがフルヘッダパケットであると判定した場合、フルヘッダパケットからヘッダ情報を取り出し、CID・ヘッダ情報保存部53に出力する。また、入力したヘッダ圧縮パケットをヘッダ復元部54に出力する。ここで、ヘッダ情報とは、図12に示したように、IPv4のフルヘッダパケットの場合、CID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)、IPv4_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthであり、IPv6のフルヘッダパケットの場合、CID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)、IPv6_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthである。
CID・ヘッダ情報保存部53は、CID識別部51からCIDを入力すると共に、タイプ識別部52からヘッダ情報を入力し、入力したCIDと入力したヘッダ情報に含まれるCIDとを比較する。そして、CID・ヘッダ情報保存部53は、CIDが同じであると判定した場合に、入力したCIDと入力したヘッダ情報とを対応付け、図11に示したように、CIDレコードを生成しCIDテーブルに保存する。
ヘッダ復元部54は、タイプ識別部52からヘッダ圧縮パケットを入力し、タイプ識別部52においてタイプを識別してヘッダ圧縮パケットの種類を判定したのと同様の処理を行い、ヘッダ圧縮パケットがフルヘッダパケットであると判定した場合、フルヘッダパケットのヘッダ情報からCID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)を取り除く。
ヘッダ復元部54は、TLVの‘データの長さ’フィールドから算出したlengthにより、IPv4の場合はIPヘッダ中のパケット長及びヘッダチェックサムを算出し、IPv6の場合はペイロード長を算出し、また、UDPヘッダ中のデータ長及びチェックサムを算出する。そして、ヘッダ復元部54は、IPv4の場合は算出したパケット長及びヘッダチェックサムを部分IPv4ヘッダであるIPv4_header_wo_lengthに付加し、IPv6の場合は算出したペイロード長を部分IPv6ヘッダであるIPv6_header_wo_lengthに付加してIPヘッダに復元する。また、算出したデータ長及びチェックサムをUDP_header_wo_lengthに付加してUDPヘッダに復元する。そして、ヘッダ復元部54は、復元したIPヘッダ及びUDPヘッダをIPヘッダ情報として、IPパケットを生成する。
一方、ヘッダ復元部54は、ヘッダ圧縮パケットが圧縮ヘッダパケットであると判定した場合、圧縮ヘッダパケットのヘッダ情報からCIDを取り出し、CIDをキーとしてCID・ヘッダ情報保存部53のCIDテーブルからCIDレコードを読み出す。そして、ヘッダ復元部54は、CIDレコードから部分IPv4,6ヘッダ及び部分UDPヘッダを取得し、前述したようにデータ長等を算出し、圧縮されたヘッダをIPヘッダ及びUDPヘッダに復元してIPパケットを生成する。受信端末2は、ヘッダ復元部54により生成されたIPパケットをアプリケーション装置4へ送信する。
アプリケーション装置4が受信端末2からIPパケットを受信すると、フィルタ部55は、IPパケットを入力し、IPパケットのヘッダ情報を参照し、所望するデータグラムを取得するために指定されたIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及びポート番号(宛先ポート番号)を有するIPパケットのみを選定し、フィルタリングを行う。
具体的には、受信端末2とアプリケーション装置4との間には、IPマルチキャストパケットの受信制御プロトコルであるRFC2236に規定されるIGMP(Internet Group Management Protocol)またはRFC3810に規定されるMLD(Multicast Listener Discovery)等のプロトコルによる通信が確立している。アプリケーション装置4は、このようなプロトコルに従って、所望のIPマルチキャストグループアドレスを指定し、受信端末2から所望のIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を有するIPパケットのみを受信する。そして、フィルタ部55は、そのIPパケットのうち、所望のポート番号(宛先ポート番号)を有するIPパケットのみを選択するためのフィルタリングを行い、所望のIPパケットをペイロード取り出し部56に出力する。
ペイロード取り出し部56は、フィルタ部55からIPパケットを入力し、IPパケットのペイロードからデータグラムを取り出す。このようにして、アプリケーション装置4のダウンロードアプリケーションのソフトウェアは、所望のデータグラムを取得することができる。
"情報通信審議会情報通信技術分科会(第60回) 資料60−1−2放送システム委員会報告"、[online]、平成20年7月29日、情報通信審議会、[平成20年11月12日検索]、インターネット<URL:http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/bunkakai/080729_1.html>
特許第3540641号公報
特許第3559019号公報
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明の特徴は、受信端末が、IPヘッダ情報が圧縮されたヘッダ情報を持つパケットを受信し、受信したパケットのヘッダ情報を元のIPヘッダ情報に復元することなく、所望のパケットを選定し、選定したパケットのペイロードから所望のデータグラムを取得することにある。尚、以下に示す実施例1〜4では、受信端末2−1〜2−4として、図8に示した受信端末2とアプリケーション装置4とを一体化した装置を想定している。以下、実施例1〜4について詳細に説明する。
〔実施例1〕
実施例1は、受信したパケットのヘッダ情報を元のIPヘッダ情報に復元することなく、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を用いて所望のパケットを選定し、選定したパケットのペイロードから所望のデータグラムを取得する。この場合、異なる複数の宛先ポート番号を持つパケットも選定されてしまうが、1つの宛先ポート番号のみを使用するように制限することにより、所望のデータグラムを取得することができる。
図1は、本発明の実施形態(実施例1)による受信端末の構成を示すブロック図である。この受信端末2−1は、CID識別部51、タイプ識別部52、アプリケーション部21−1、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部(CID特定部)22、IGMP/MLD処理部23、フィルタ部24及びペイロード取り出し部25−A〜25−Cを備えている。尚、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22のCIDテーブルには、アプリケーション部21−1により指定される1つのIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)に対して3つの宛先ポート番号が存在するそれぞれのCIDレコードが保存されており、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22が3つのCIDを特定し、フィルタ部24がCID毎に3つのヘッダ圧縮パケットA〜Cを選定し、ペイロード取り出し部25−A〜25−CがCID毎に3つのデータグラムA〜Cを取り出すものとする。
CID識別部51及びタイプ識別部52は、図10に示したCID識別部51及びタイプ識別部52と同様の機能を有するので、説明を省略する。アプリケーション部21−1は、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を指定し、所望のデータグラムを取得する。IGMP/MLD処理部23は、アプリケーション部21−1が受信制御プロトコルであるIGMP、MLD等を用いて指定するIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22に通知する。
CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、図10に示したCID・ヘッダ情報保存部53のように、CID識別部51からCIDを入力すると共に、タイプ識別部52からヘッダ情報を入力し、CIDとヘッダ情報とを対応付け、図11に示したように、CIDレコードを生成しCIDテーブルに保存する。さらに、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、IGMP、MLD等の受信制御プロトコルによって通知されたIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を用いてCIDテーブルを検索し、CIDを特定する。
フィルタ部24は、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22により特定されたCIDを持つパケットのみを選定するためのフィルタリングを行う。ペイロード取り出し部25−A〜25−Cは、フィルタ部24により選定されたパケットのペイロードからデータグラムA,B,Cをそれぞれ取り出す。
次に、図1に示した受信端末2−1の処理について説明する。図2は、実施例1による受信端末2−1の処理について説明するフロー図である。まず、アプリケーション部21−1は、所望のデータグラムを取得するため、取得したいデータグラムのパケットに付加されるIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を指定し、フィルタ部24においてフィルタリングを開始させるための受信制御開始の指令をIGMP/MLD処理部23に出力する。受信制御開始の指令は、IGMP/MLD処理部23及びCID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22を介してフィルタ部24に出力され、フィルタ部24においてフィルタリングによる受信制御が開始される。
IGMP/MLD処理部23は、アプリケーション部21−1からIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を含む受信制御開始の指令を入力し、IGMPまたはMLDの受信制御プロトコルによってそのIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を含む受信制御開始の指令をCID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22に通知する(ステップS21,22)。
CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、IGMP/MLD処理部23からIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を含む受信制御開始の指令を受け、CIDテーブルを検索し、そのIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)と同じデータを有するCIDレコードをCIDテーブルから読み出し、CIDを特定する(ステップS23)。CIDテーブルには、CIDと、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を含むヘッダ情報とが対応付けられたCIDレコードが保存されているから、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)に基づいてCIDを特定することができる。そして、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、特定したCIDを含む受信制御開始の指令を、入力したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を含む受信制御開始の指令の応答としてフィルタ部24に出力する。
フィルタ部24は、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22からCIDを含む受信制御開始の指令を入力し、そのCIDを持つヘッダ圧縮パケットのみを選定し、フィルタリングを行う(ステップS24)。CIDはIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)によって特定された識別子であるから、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22が複数のCIDを特定する場合もある。このため、フィルタ部24は、指定されたIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を持つヘッダ圧縮パケットであって、異なる宛先ポート番号を持つヘッダ圧縮パケットも選定してしまう。
例えば、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22が3つのCIDを特定した場合、フィルタ部24は、これらの3つのCID毎にフィルタリングを行う。そして、図1に示したように、フィルタ部24は、指定されたIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を持つヘッダ圧縮パケットであって、第1の宛先ポート番号を持つヘッダ圧縮パケットAを選定し、ペイロード取り出し部25−Aに出力する。また、指定されたIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を持つヘッダ圧縮パケットであって、第2の宛先ポート番号を持つヘッダ圧縮パケットBをペイロード取り出し部25−Bに出力する。また、指定されたIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を持つヘッダ圧縮パケットであって、第3の宛先ポート番号を持つヘッダ圧縮パケットCをペイロード取り出し部25−Cに出力する。
ペイロード取り出し部25−Aは、フィルタ部24から第1の宛先ポート番号を持つヘッダ圧縮パケットAを入力し、ペイロードからデータグラムAを取り出し、アプリケーション部21−1に出力する(ステップS25)。同様に、ペイロード取り出し部25−Bは、フィルタ部24から第2の宛先ポート番号を持つヘッダ圧縮パケットBを入力し、ペイロードからデータグラムBを取り出し、アプリケーション部21−1に出力する。また、ペイロード取り出し部25−Cは、フィルタ部24から第3の宛先ポート番号を持つヘッダ圧縮パケットCを入力し、ペイロードからデータグラムCを取り出し、アプリケーション部21−1に出力する。
アプリケーション部21−1は、ペイロード取り出し部25−A〜25−CからデータグラムA〜Cを入力する。これにより、アプリケーション部21−1は、指定したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)に対応した所望のデータグラムを、宛先ポート番号毎に取得することができる(ステップS26)。
アプリケーション部21−1は、所望のデータグラムの取得を終了するため、受信制御が行われているIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を指定し、フィルタ部24においてフィルタリングを停止させるための受信制御終了の指令をIGMP/MLD処理部23に出力する。受信制御終了の指令は、IGMP/MLD処理部23及びCID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22を介してフィルタ部24に出力され、フィルタ部24においてフィルタリングによる受信制御が終了する(ステップS27)。この場合、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、IGMP/MLD処理部23を介してアプリケーション部21−1からIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を入力し、CIDテーブルを検索してCIDを特定し、特定したCIDを含む受信制御終了の指令をフィルタ部24に出力する。これにより、アプリケーション部21−1は、指定したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)に対応したデータグラムの入力を停止することができる。
以上のように、実施例1の受信端末2−1によれば、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22が、指定されたIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を用いてCIDを特定し、フィルタ部24が、そのCIDにより所望のヘッダ圧縮パケットを選定し、ペイロード取り出し部25−A〜25−Cが、所望のヘッダ圧縮パケットからデータグラムを取り出すようにした。これにより、アプリケーション部21−1は、指定したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)に対応する所望のデータグラムを取得することができる。したがって、受信端末2−1は、受信したヘッダ圧縮パケットのヘッダ情報を元のIPヘッダ情報に復元することなく、所望のデータグラムを取得することができるから、簡易な構成により、処理負荷を低減することが可能となる。また、処理負荷が低減するから、高パケットレートの受信が可能となる。
また、実施例1の受信端末2−1によれば、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22が、CID識別部51により識別されたCIDと、タイプ識別部52によりフルヘッダパケットが判定された場合のヘッダ情報とを入力し、CIDレコードを生成してCIDテーブルに保存することに加えて、入力したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)を用いてCIDテーブルを参照しCIDを特定する。これにより、CIDテーブルにはCIDとヘッダ情報とが対応付いたCIDレコードが保存され、CIDとIPデータフローとはフルヘッダパケットのヘッダ情報を用いて対応付けられるため、CIDの運用は従来技術と同様になり、制限を受けることはない。
尚、IGMP及びMLDは、IPマルチキャストパケットの受信開始及び終了を制御するために広く用いられており、実施例1では、IPアドレスを通知するための手段としてIGMP/MLD処理部23によるIGMPまたはMLDの受信制御プロトコルを用いたが、これらの受信制御プロトコルを用いることは必須ではない。
〔実施例2〕
実施例2は、受信したパケットのヘッダ情報を元のIPヘッダ情報に復元することなく、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を用いて所望のパケットを選定し、選定したパケットのペイロードから所望のデータグラムを取得する。実施例1と実施例2とを比較すると、実施例1では、特定したCIDによってフィルタリングしても、異なる複数の宛先ポート番号を持つパケットも選定してしまう。これに対し、実施例2では、特定したCIDでフィルタリングすることにより、所定の1つの宛先ポート番号を持つパケットのみを選定する。
図3は、本発明の実施形態(実施例2)による受信端末の構成を示すブロック図である。この受信端末2−2は、CID識別部51、タイプ識別部52、アプリケーション部21−2、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部(CID特定部)22、フィルタ部24及びペイロード取り出し部25を備えている。
CID識別部51及びタイプ識別部52は、図10に示したCID識別部51及びタイプ識別部52と同様の機能を有するので、説明を省略する。アプリケーション部21−2は、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を指定し、所望のデータグラムを取得する。
CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、図10に示したCID・ヘッダ情報保存部53のように、CID識別部51からのCIDとタイプ識別部52からのヘッダ情報とを対応付け、図11に示したように、CIDレコードを生成しCIDテーブルに保存する。さらに、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を用いてCIDテーブルを検索し、CIDを特定する。
フィルタ部24は、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22により特定されたCIDを持つパケットのみを選定するためのフィルタリングを行う。ペイロード取り出し部25は、フィルタ部24により選定されたパケットのペイロードからデータグラムを取り出す。
次に、図3に示した受信端末2−2の処理について説明する。図4は、実施例2による受信端末2−2の処理について説明するフロー図である。まず、アプリケーション部21−2は、所望のデータグラムを取得するため、取得したいデータグラムのパケットに付加されるIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を指定し、フィルタ部24においてフィルタリングを開始させるための受信制御開始の指令をCID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22に出力する。受信制御開始の指令は、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22を介してフィルタ部24に出力され、フィルタ部24においてフィルタリングによる受信制御が開始される(ステップS41,42)。
CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、アプリケーション部21−2からIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を含む受信制御開始の指令を受け、CIDテーブルを検索し、そのIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号と同じデータを有するCIDレコードをCIDテーブルから読み出し、CIDを特定する(ステップS43)。CIDテーブルには、CIDと、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を含むヘッダ情報とが対応付けられたCIDレコードが保存されているから、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号に基づいてCIDを特定することができる。そして、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、特定したCIDを含む受信制御開始の指令を、入力したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を含む受信制御開始の指令の応答としてフィルタ部24に出力する。
フィルタ部24は、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22からCIDを含む受信制御開始の指令を入力し、そのCIDを持つヘッダ圧縮パケットのみを選定し、フィルタリングを行う(ステップS44)。CIDは、アプリケーション部21−2が指定したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号によって特定された識別子であるから、アプリケーション部21−2が所望するデータグラムを持つヘッダ圧縮パケットのみが、フィルタ部24によって選定される。フィルタ部24は、選定したヘッダ圧縮パケットをペイロード取り出し部25に出力する。
ペイロード取り出し部25は、フィルタ部24からヘッダ圧縮パケットを入力し、ペイロードからデータグラムを取り出し、アプリケーション部21−2に出力する(ステップS45)。
アプリケーション部21−2は、ペイロード取り出し部25からデータグラムを入力する。これにより、アプリケーション部21−2は、指定したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号に対応した所望のデータグラムを取得することができる(ステップS46)。
アプリケーション部21−2は、所望のデータグラムの取得を終了するため、受信制御が行われているIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を指定し、フィルタ部24においてフィルタリングを停止させるための受信制御終了の指令をCID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22に出力する。受信制御終了の指令は、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22を介してフィルタ部24に出力され、フィルタ部24においてフィルタリングによる受信制御が終了する(ステップS47)。この場合、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22は、アプリケーション部21−2からIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を入力し、CIDテーブルを検索してCIDを特定し、特定したCIDを含む受信制御終了の指令をフィルタ部24に出力する。これにより、アプリケーション部21−2は、指定したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号に対応したデータグラムの入力を停止することができる。
以上のように、実施例2の受信端末2−2によれば、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22が、指定されたIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を用いてCIDを特定し、フィルタ部24が、そのCIDにより所望のヘッダ圧縮パケットを選定し、ペイロード取り出し部25が、所望のヘッダ圧縮パケットからデータグラムを取り出すようにした。これにより、アプリケーション部21−2は、指定したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号に対応する所望のデータグラムを取得することができる。したがって、受信端末2−2は、受信したヘッダ圧縮パケットのヘッダ情報を元のIPヘッダ情報に復元することなく、所望のデータグラムを取得することができるから、簡易な構成により、処理負荷を低減することが可能となる。また、処理負荷が低減するから、高パケットレートの受信が可能となる。
また、実施例2の受信端末2−2によれば、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22が、CIDとヘッダ情報とを対応付けたCIDレコードをCIDテーブルに保存することに加えて、入力したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を用いてCIDテーブルを参照しCIDを特定する。これにより、実施例1と同様に、CIDテーブルにはCIDとヘッダ情報とが対応付いたCIDレコードが保存され、CIDとIPデータフローとはフルヘッダパケットのヘッダ情報を用いて対応付けられるため、CIDの運用は従来技術と同様になり、制限を受けることはない。
また、実施例2の受信端末2−2によれば、アプリケーション部21−2が、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を指定し、所望のデータグラムを取得するようにしたから、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)のみを指定する実施例1に比べて、宛先ポート番号も自由に指定することができる。したがって、実施例1では、複数のデータグラムを取得するのに対し、実施例2では、所望する一つのデータグラムを取得することができる。
〔実施例3〕
実施例3は、受信したパケットのヘッダ情報を元のIPヘッダ情報に復元することなく、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を用いて固定のCIDテーブルを参照して所望のパケットを選定し、選定したパケットのペイロードから所望のデータグラムを取得する。実施例2では、CIDとヘッダ情報とを対応付けたCIDレコードを生成してCIDテーブルに保存するのに対し、実施例3では、予め設定されたCIDレコードからなる固定のCIDテーブルを用いる。つまり、実施例3では、IPデータフローを特定するためのIPヘッダ情報とCIDとの対応付けを固定的に運用する。
図5は、本発明の実施形態(実施例3)による受信端末の構成を示すブロック図である。この受信端末2−3は、アプリケーション部21−3、CID・ヘッダ情報対応テーブル部(CID特定部)26、フィルタ部24及びペイロード取り出し部25を備えている。
実施例3では、図1及び図3に示した実施例1,2のCID識別部51及びタイプ識別部52を備えていない。アプリケーション部21−3は、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を指定し、所望のデータグラムを取得する。
CID・ヘッダ情報対応テーブル部26は、予め設定されたCIDテーブルを不揮発性メモリ等の記憶媒体に備えている。CIDテーブルは、図11に示したように、CID及びIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)等のヘッダ情報を備えて構成されている。
尚、CIDテーブルは、図11に示したヘッダ情報の全てを備えて構成されていなくてもよく、例えば、CID、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号のみを備えて構成されていてもよい。また、アプリケーション部21−3が宛先IPアドレス及び宛先ポート番号のみを指定する場合には、CID、宛先IPアドレス及び宛先ポート番号のみを備えて構成されていてもよく、さらに、送信元IPアドレス及び送信元ポート番号も備えて構成されていてもよい。この場合、少なくともCID、宛先IPアドレス及び宛先ポート番号を備えて構成されていればよい。
CID・ヘッダ情報対応テーブル部26は、アプリケーション部21−3からIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を含む受信制御開始の指令を入力し、IPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を用いてCIDテーブルを検索し、CIDを特定する。
フィルタ部24は、CID・ヘッダ情報対応テーブル部26により特定されたCIDを持つパケットのみを選定するためのフィルタリングを行う。ペイロード取り出し部25は、フィルタ部24により選定されたパケットのペイロードからデータグラムを取り出す。
図5に示した受信端末2−3の処理は、図4に示した処理と同様であるから、説明を省略する。
以上のように、実施例3の受信端末2−3によれば、CID・ヘッダ情報対応テーブル部26が、指定されたIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を用いて固定のCIDテーブルを参照してCIDを特定し、フィルタ部24が、そのCIDにより所望のヘッダ圧縮パケットを選定し、ペイロード取り出し部25が、所望のヘッダ圧縮パケットからデータグラムを取り出すようにした。これにより、アプリケーション部21−3は、CIDとヘッダ情報とを対応付けたCIDテーブルが固定的に運用される場合においても、指定したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号に対応する所望のデータグラムを取得することができる。したがって、受信端末2−3は、受信したヘッダ圧縮パケットのヘッダ情報を元のIPヘッダ情報に復元することなく、所望のデータグラムを取得することができるから、簡易な構成により、処理負荷を低減することが可能となる。また、処理負荷が低減するから、高パケットレートの受信が可能となる。
また、実施例3では、予め設定されたCIDテーブルを用いて固定的に運用するようにしたから、送信端末1は、CIDとヘッダ情報とを対応付けるためのフルヘッダパケットを送信する必要がなく、受信端末2−3は、CID識別部51及びタイプ識別部52を備える必要がない。これにより、受信端末2−3は、IPヘッダ情報の復元処理を省略することに加え、CID識別及びタイプ識別の処理を省略することができるから、処理負荷を一層低減することが可能となる。
〔実施例4〕
実施例4は、受信したパケットのヘッダ情報を元のIPヘッダ情報に復元することなく、指定したCIDによって所望のパケットを選定し、選定したパケットのペイロードから所望のデータグラムを取得する。実施例1〜3では、指定したIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)、またはIPアドレス(送信元IPアドレス及び宛先IPアドレス)及び宛先ポート番号を用いてCIDテーブルを参照することによりCIDを特定するようにしたが、実施例4では、CIDを直接指定する。
図6は、本発明の実施形態(実施例4)による受信端末の構成を示すブロック図である。この受信端末2−4は、アプリケーション部(CID指定部)21−4、フィルタ部24及びペイロード取り出し部25を備えている。
実施例4では、図1及び図3に示した実施例1,2のCID識別部51及びタイプ識別部52を備えておらず、図1及び図3に示した実施例1,2のCID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22、及び、図5に示した実施例3のCID・ヘッダ情報対応テーブル部26も備えていない。
アプリケーション部21−4は、後述するダウンロード制御情報(DCI:Download Control Information)から、所望のデータグラムに対応するCIDを取得し、そのCIDを指定してデータグラムを取得する。
フィルタ部24は、アプリケーション部21−4により指定されたCIDを持つパケットのみを選定するためのフィルタリングを行う。ペイロード取り出し部25は、フィルタ部24により選定されたパケットのペイロードからデータグラムを取り出す。
ここで、ダウンロード制御情報とは、一般に、データグラムを構成するコンテンツが保存されている所在情報(リンク情報:例えば、放送局のチャネルに相当するサービスID)、コンテンツの配信開始時刻及び配信終了時刻、コンテンツID、ライセンスID、ECG(Electronic Content Guide)メタデータの所在情報等の情報からなり、コンテンツをダウンロードして視聴または録画するために用いられる。
前述したとおり、放送局の送信端末1は、送信すべきコンテンツのIPパケットに対しIPデータフローを特定し、CIDを特定してCID及びヘッダ情報からなるCIDテーブルを生成する。そして、送信端末1は、CIDを含む圧縮されたヘッダ情報が付加されたヘッダ圧縮パケットをTLVに格納して一方向伝送路3を介して送信する。このとき、送信端末1は、カルーセル処理による所定の周期にて、所定期間内に送信されるコンテンツに関するダウンロード制御情報もTLVに格納し、予め送信している。送信端末1は、ヘッダ圧縮パケットの送信に先立って、特定したCIDをダウンロード制御情報に記述して送信する。つまり、送信端末1は、送信すべきコンテンツのヘッダ圧縮パケットの送信に先立って予めCIDを特定する。そして、送信端末1は、その送信すべきコンテンツに関する各種情報に加えて、特定したCIDもダウンロード制御情報に記述し、カルーセル処理による所定の周期にて、ダウンロード制御情報を送信する。そして、受信端末2−4がダウンロード制御情報を受信すると、アプリケーション部21−4は、ダウンロード制御情報から、所望するデータグラムのコンテンツに対応するCIDを取得し、CIDを指定してデータグラムを取得する。
次に、図6に示した受信端末2−4の処理について説明する。図7は、実施例4による受信端末2−4の処理について説明するフロー図である。まず、アプリケーション部21−4は、所望のデータグラムのコンテンツに対応したCIDを、ダウンロード制御情報から取得する(ステップS71)。例えば、アプリケーション部21−4は、オペレータの操作に従って、オペレータが選択したコンテンツのID(コンテンツID)を特定し、ダウンロード制御情報からそのコンテンツIDに対応したCIDを取得する。
アプリケーション部21−4は、取得したCIDを指定し、フィルタリングを開始させるための受信制御開始の指令をフィルタ部24に出力する。これにより、フィルタ部24においてフィルタリングによる受信制御が開始される(ステップS72,73)。
フィルタ部24は、アプリケーション部21−4からCIDを含む受信制御開始の指令を入力し、そのCIDを持つヘッダ圧縮パケットのみを選定し、フィルタリングを行う(ステップS74)。CIDは、アプリケーション部21−4が所望するデータグラムに対応した識別子であるから、アプリケーション部21−4が所望するデータグラムを持つヘッダ圧縮パケットのみが、フィルタ部24によって選定される。そして、フィルタ部24は、選定したヘッダ圧縮パケットをペイロード取り出し部25に出力する。
ペイロード取り出し部25は、フィルタ部24からヘッダ圧縮パケットを入力し、ペイロードからデータグラムを取り出し、アプリケーション部21−4に出力する(ステップS75)。
アプリケーション部21−4は、ペイロード取り出し部25からデータグラムを入力する。これにより、アプリケーション部21−4は、指定したCIDに対応した所望のデータグラムを取得することができる(ステップS76)。
アプリケーション部21−4は、所望のデータグラムの取得を終了するため、受信制御が行われているCIDを指定し、フィルタリングを停止させるための受信制御終了の指令をフィルタ部24に出力する。フィルタ部24は受信制御終了の指令を入力し、フィルタリングによる受信制御が終了する(ステップS77)。これにより、アプリケーション部21−4は、指定したCIDに対応したデータグラムの入力を停止することができる。
以上のように、実施例4によれば、送信端末1が、CIDを記述したダウンロード制御情報を送信し、受信端末2−4のアプリケーション部21−4が、ダウンロード制御情報に含まれるCIDを取得し、所望のデータグラムを取得するためにCIDを指定し、フィルタ部24が、アプリケーション部21−4によって指定されたCIDにより所望のヘッダ圧縮パケットを選定し、ペイロード取り出し部25が、所望のヘッダ圧縮パケットからデータグラムを取り出すようにした。これにより、アプリケーション部21−4は、指定したCIDに対応する所望のデータグラムを取得することができる。したがって、受信端末2−4は、受信したヘッダ圧縮パケットのヘッダ情報を元のIPヘッダ情報に復元することなく、所望のデータグラムを取得することができるから、簡易な構成により、処理負荷を低減することが可能となる。また、処理負荷が低減するから、高パケットレートの受信が可能となる。
また、実施例4では、CIDテーブルが不要であるから、送信端末1は、CIDとヘッダ情報とを対応付けるためのフルヘッダパケットを送信する必要がなく、受信端末2−4は、CID識別部51、タイプ識別部52、及び、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22またはCID・ヘッダ情報対応テーブル部26を備える必要がない。これにより、受信端末2−4は、IPヘッダ情報の復元処理を省略することに加え、CID識別及びタイプ識別の処理を省略し、さらに、CIDテーブルに対する処理も省略することができるから、処理負荷を一層低減することが可能となる。
以上、実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施例1〜3では、IPアドレスとして送信元IPアドレス及び宛先IPアドレスを指定するようにしたが、宛先IPアドレスのみを指定するようにしてもよい。この場合、実施例1では、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22が、アプリケーション部21−1により指定された宛先IPアドレスを用いてCIDテーブルを検索し、CIDを特定する。同様に、実施例2では、CID・ヘッダ情報保存及びCID応答部22が、アプリケーション部21−2により指定された宛先IPアドレス及び宛先ポート番号を用いてCIDテーブルを検索し、CIDを特定する。さらに、実施例3では、CID・ヘッダ情報対応テーブル部26が、アプリケーション部21−3により指定された宛先IPアドレス及び宛先ポート番号を用いてCIDテーブルを検索し、CIDを特定する。
また、前記実施例4では、送信端末1が、特定したCIDをダウンロード制御情報に記述し、そのダウンロード制御情報をカルーセル処理による所定の周期にて一方向伝送路3を介して送信し、受信端末2−4が、一方向伝送路3を介してそのダウンロード制御情報を受信し、CIDを取得するようにした。しかし、本発明はダウンロード制御情報を受信する手法を限定するものではなく、インターネット等の通信回線を介してダウンロード制御情報を受信するようにしてもよい。具体的には、例えば、ダウンロード制御情報が放送局内のサーバに記憶されているものとする。ユーザが視聴または録画を希望するコンテンツの選択操作に従って、受信端末2−4のアプリケーション部21−4は、選択操作されたコンテンツに関するダウンロード制御情報を受信するため、そのリクエストを、通信回線を介して放送局内のサーバへ送信する。放送局内のサーバは、そのリクエストを受信すると送信端末1へ転送し、送信端末1から、そのリクエストが示すコンテンツについて特定したCIDを受信する。そして、サーバは、そのリクエストが示すコンテンツに関するダウンロード制御情報を記憶装置から読み出し、送信端末1から受信したCIDを記述し、通信回線を介して受信端末2−4へ送信する。このようにして、受信端末2−4のアプリケーション部21−4は、インターネット等の通信回線を介して、CIDが記述されたダウンロード制御情報を受信する。