従来、IPパケットを送受信する伝送システムにおいて、IPパケットを送信する際に、IPパケットのヘッダを圧縮し、CID及びヘッダの一部のみを含む圧縮ヘッダを付加した圧縮ヘッダパケットを送信する方式が知られている(非特許文献1を参照)。この方式は、全てのパケットが全てのヘッダを備えて送信する代わりに圧縮ヘッダパケットを送信し、伝送システムにおける伝送効率の向上を図るものである。ここで、CIDは、ヘッダ圧縮を行うパケットのIPデータフローを特定するための情報である。
図18は、フルヘッダパケット、圧縮ヘッダパケット及びCIDテーブルによるヘッダ圧縮方式を説明する図である。このヘッダ圧縮方式では、送信端末は、送信したいIPパケットを入力し、IPパケットに付加されたIPヘッダ及びUDPヘッダに基づいてCIDを特定し、CID及びヘッダ情報からなるCIDテーブルを生成する。そして、送信端末は、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダを含むヘッダを付加したフルヘッダパケットを間欠的に送信し、それ以外のときに、CIDを含む圧縮ヘッダを付加した圧縮ヘッダパケットを送信する。
受信端末は、フルヘッダパケットを受信すると、フルヘッダパケットのヘッダに含まれるCIDとIPヘッダ及びUDPヘッダとの間の対応付けを、CIDテーブルに保存する。そして、受信端末は、圧縮ヘッダパケットを引き続き受信し、圧縮ヘッダパケットのヘッダに含まれるCIDに基づいてCIDテーブルを検索し、CIDに対応付いているヘッダ情報を取得し、CIDを元のIPヘッダ及びUDPヘッダに復元する。そして、受信端末は、IPパケットを生成し出力する。
このように、図18に示したヘッダ圧縮方式では、送信端末と受信端末との間で、CIDとヘッダ情報とを予め対応付けておいたCIDテーブルを共有し、送信端末から受信端末へ、フルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットを送信する。これにより、送信端末と受信端末との間で、CIDをキーとして、全てのヘッダ情報を共有することができる。
このようなヘッダ圧縮方式においては、様々な課題に着目した技術が知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。特許文献1には、ヘッダ圧縮効率及びパケット伝送効率の低下を抑制するために、フルヘッダパケットを送信する間隔を制限する技術が記載されている。
また、特許文献2には、フルヘッダパケットまたは圧縮ヘッダパケットの喪失に起因した圧縮ヘッダパケットの破棄数を減らすために、喪失後の圧縮ヘッダパケットを保持し、その後に受信したフルヘッダパケットに基づいて、保持していた圧縮ヘッダパケットを復元する技術が記載されている。
また、特許文献3には、データの欠落する期間を短くするために、受信したフルヘッダパケットまたは圧縮ヘッダパケットに連続してエラーが検出された場合、フルヘッダパケットを送信するように受信端末から送信端末へ要求してCIDテーブルを更新する技術が記載されている。
このようなヘッダ圧縮方式を用いた伝送システムにおいて、送信端末は、圧縮ヘッダパケットを送信する場合、前もってフルヘッダパケットを送信することにより、送信端末及び受信端末との間で共通するCIDテーブルを保持することができる。従来のヘッダ圧縮方式では、IPv4またはIPv6のバージョンにおけるIPヘッダの圧縮を行っている。
図19は、CIDテーブルの構成を示す図である。(1)は、IPヘッダがIPv4の場合のCIDテーブルであり、(2)は、IPヘッダがIPv6の場合のCIDテーブルである。(1)において、IPv4のCIDテーブルは、CID、IPv4ヘッダ及びUDPヘッダから構成される。IPv4ヘッダは、IPヘッダのバージョンを示すVersion(バージョン)、IHL(Internet Header Length:IPヘッダ長)、TOS(Type Of Service:サービスタイプ)、IP−ID(IP−Identification:IP識別番号)、Flg(フラグ)、Fragment Offset(フラグメントオフセット)、TTL(Time To Live)、Protocol(プロトコル)、SrcAddr(送信元IPアドレス)及びDstAddr(あて先IPアドレス)から構成される。また、UDPヘッダは、SrcPort(送信元ポート番号)及びDstPort(あて先ポート番号)から構成される。IPv4ヘッダには、上記の他、Total Length(パケット長)、Header Checksum(ヘッダチェックサム)があり、UDPヘッダには、上記の他、Length(ペイロード長)、Checksum(チェックサム)があるが、これらは、パケット毎に値が異なることが想定されることから、CIDテーブルには保持しない。
また、(2)において、IPv6のCIDテーブルは、CID、IPv6ヘッダ及びUDPヘッダから構成される。IPv6ヘッダは、IPヘッダのバージョンを示すVersion(バージョン)、Traffic Class(トラフィッククラス)、Flow Label(フローラベル)、Next Header(ネクストヘッダ)、Hop Limit(ホップリミット)、SrcAddr(送信元IPアドレス)及びDstAddr(あて先IPアドレス)から構成される。また、UDPヘッダは、SrcPort(送信元ポート番号)及びDstPort(あて先ポート番号)から構成される。IPv6ヘッダには、上記の他、Payload Length(ペイロード長)があり、UDPヘッダには、上記の他、Length(ペイロード長)、Checksum(チェックサム)があるが、これらは、パケット毎に値が異なることが想定されることから、CIDテーブルには保持しない。
図20は、フルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットの構成を示す図である。(1)は、IPv4のフルヘッダパケットの構成を示し、(2)は、IPv4の圧縮ヘッダパケットの構成を示し、(3)は、IPv6のフルヘッダパケットの構成を示し、(4)は、IPv6の圧縮ヘッダパケットの構成を示している。尚、数字は、それぞれのデータ項目のバイト長を示している(図4〜図7、図21、図22及び図23においても同じ)。
(1)において、IPv4のフルヘッダパケットは、CID、同一のCIDを持つパケットの順序を示すSN(シーケンス番号)、ヘッダ情報のタイプを示すCID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x20)、IPv4_header_wo_length、UDP_header_wo_length及びデータバイトにより構成される。
また、(2)において、IPv4の圧縮ヘッダパケットは、CID、同一のCIDを持つパケットの順序を示すSN(シーケンス番号)、CID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x21)、IPv4ヘッダの識別番号を示すidentification(識別番号)及びデータバイトにより構成される。
また、(3)において、IPv6のフルヘッダパケットは、CID、同一のCIDを持つパケットの順序を示すSN(シーケンス番号)、CID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x60)、IPv6_header_wo_length、UDP_header_wo_length及びデータバイトにより構成される。
また、(4)において、IPv6の圧縮ヘッダパケットは、CID、同一のCIDを持つパケットの順序を示すSN(シーケンス番号)、CID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x61)及びデータバイトにより構成される。
これらのフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットにおけるCID_header_type(CIDヘッダタイプ)により、(1)〜(4)が区別される。また、(1)によるIPv4のフルヘッダパケットにおけるIPv4_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthが、図19(1)に示したIPv4のCIDテーブルにおけるIPv4ヘッダ及びUDPヘッダにそれぞれ相当する。また、(3)によるIPv6のフルヘッダパケットにおけるIPv6_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthが、図19(2)に示したIPv6のCIDテーブルにおけるIPv6ヘッダ及びUDPヘッダにそれぞれ相当する。
図21は、図20(1)に示したIPv4のフルヘッダパケットにおけるIPv4_header_wo_lengthの構成を示す図である。このIPv4_header_wo_lengthは、IPパケットのバージョンを示すVersion(バージョン)、IHL、TOS(Type Of Service:サービスタイプ)、IP−ID(IP−Identification:IP識別番号)、Flag(フラグ)、Fragment Offset(フラグメントオフセット)、TTL(Time To Live)、Protocol(プロトコル)、SrcAddr(送信元IPアドレス)及びDstAddr(あて先IPアドレス)により構成される。
図22は、図20(3)に示したIPv6のフルヘッダパケットにおけるIPv6_header_wo_lengthの構成を示す図である。このIPv6_header_wo_lengthは、IPパケットのバージョンを示すVersion(バージョン)、Traffic Class(トラフィッククラス)、Flow Label(フローラベル)、Next Header(ネクストヘッダ)、Hop Limit(ホップリミット)、SrcAddr(送信元IPアドレス)及びDstAddr(あて先IPアドレス)により構成される。
図23は、図20(1)(3)に示したIPv4,6のフルヘッダパケットにおけるUDP_header_wo_lengthの構成を示す図である。このUDP_header_wo_lengthは、SrcPort(送信元ポート番号)及びDstPort(あて先ポート番号)により構成される。尚、図20〜図23に示した構成の詳細については、非特許文献1を参照されたい。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態による送信端末及び受信端末が用いられる伝送システムについて説明する。図1は、その伝送システムの概略構成を示す図である。この伝送システムは、高度BSデジタル放送を実現する衛星放送システムであり、放送局に設けられたファイル送出装置及び多重化装置(送信端末1)、並びに、例えば一般家庭に設けられた高度BSチューナー(受信端末2)及びネットワーク端末装置を備えて構成される。送信端末1と受信端末2とは、放送衛星を介して、放送伝送路である一方向伝送路3により接続される。
送信端末1は、ファイル送出装置から入力したIPパケットを多重化し、放送波を一方向伝送路3を介して受信端末2へ送信する。具体的には、送信端末1は、テレビ放送サービスを実現するための情報、及び、コンテンツロードサービスを実現するためのコンテンツを含むTLV(Type Length Value)を生成し、放送波として送信する。このとき、TLVには、配信されるコンテンツのIPパケット、伝送制御信号であるアドレスマップテーブル(AMT)等が格納される。TLV及びAMTについては後述する。
受信端末2は、送信端末1から一方向伝送路3を介して放送波を受信し、受信した放送波からIPパケットを取得し、ホームネットワークを介してネットワーク端末装置に出力する。このようにして、一般家庭内のネットワーク端末装置は、ダウンロードアプリケーションによって、放送局に設けられたファイル送出装置から、送信端末1、一方向伝送路3及び受信端末2を経由して、オペレータが所望するコンテンツのIPパケットを受信し、コンテンツを視聴または録画することができる。
このような伝送システムにおいて、図18に示したように、送信端末1は、入力したIPパケットから、CIDテーブルを用いて圧縮ヘッダパケットを生成し、生成した圧縮ヘッダパケットを受信端末2へ送信する。そして、受信端末2が、圧縮ヘッダパケットを受信し、受信した圧縮ヘッダパケットに含まれるCIDを、CIDテーブルを用いてヘッダ情報に復元し、IPパケットを生成して出力する。
以下、受信端末2が、CID及びヘッダ情報の対応関係が送信端末1と整合したCIDテーブルを用いて、受信した圧縮ヘッダパケットのCIDを正しいヘッダ情報に復元する手法を説明する。実施例1は、CIDレコード更新パケット、CIDレコード削除パケット等の制御パケットを用いることにより、CIDテーブルを更新するものである。実施例2は、制御タイプのTLVコンテナにより伝送される伝送制御信号であるAMTを用いることにより、CIDテーブルを更新するものである。実施例3は、予め設定された固定のCID及びヘッダ情報が格納されたCIDテーブルを用いるものである。
〔実施例1〕
まず、実施例1について説明する。実施例1は、CIDレコード更新パケット、CIDレコード削除パケット等の制御パケットを用いてCIDテーブルを更新することにより、CID及びヘッダ情報の対応関係の不整合を回避する。
(送信端末)
送信端末の構成について説明する。図2は、実施例1の送信端末の構成を示すブロック図である。この送信端末1−1は、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11、制御パケット生成部12、送信制御部13及びCIDテーブル10を備えている。CIDテーブル10は、記憶手段に記憶されており、図19に示したCIDテーブルと同一の構成をしている。
フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、IPパケットを入力し、入力した複数のIPパケットを、IPパケットのヘッダに記述されている情報(IPヘッダ及びUDPヘッダ)に基づいて区別し、IPデータフローを特定する。ここで、IPデータフローとは、IPヘッダ及びUDPヘッダに含まれる、プロトコル種別、送信元IPアドレス、あて先IPアドレス、送信元ポート番号及びあて先ポート番号の5つのフィールドの値がユニークな組み合わせを持つIPパケットの集合である。
そして、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、特定したIPデータフロー毎に割り当て可能なCIDを決定し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダの各種データからなるCIDレコードを生成し、CIDテーブル10に保存する。また、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、図20〜図23に示したフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットを生成し、送信制御部13に出力する。尚、後述する実施例1−1,1−3では、フルヘッダパケットを生成しないで、圧縮ヘッダパケットのみを生成する。
制御パケット生成部12は、CIDテーブル10からCIDレコードを読み出し、CIDレコードの内容に基づいて、CIDレコード更新パケット、CIDレコード削除パケット及びCIDレコード全削除パケットの制御パケットを生成し、送信制御部13に出力する。尚、後述する実施例1−1では、CIDレコード更新パケット及びCIDレコード削除パケットを生成し、実施例1−2では、CIDレコード削除パケットのみを生成し、実施例1−3では、全てのCIDレコードを削除するためのCIDレコード全削除パケット及びCIDレコード更新パケットを生成する。
図4は、CIDレコード更新パケットの構成を示す図である。図4(1)に示すように、IPv4のCIDレコード更新パケットは、CID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x2F)、IPv4_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthにより構成される。また、図4(2)に示すように、IPv6のCIDレコード更新パケットは、CID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x6F)、IPv6_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthにより構成される。受信端末2において、CIDレコード更新パケットのうちのCID、IPv4,6_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthがCID、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるCIDレコードとして、CIDテーブルに保存される。このCIDレコード更新パケットは、図20(1)に示したIPv4のフルヘッダパケットのうちのフルヘッダ、及び図20(3)に示したIPv6のフルヘッダパケットのうちのフルヘッダと同様の構成をしている。すなわち、CIDレコード更新パケットは、これらのフルヘッダパケットからデータバイト領域を取り除いた構成と同等である。
図5は、CIDレコード削除パケットの構成を示す図である。図5に示すように、CIDレコード削除パケットは、CID、SN及びCID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x80)により構成される。受信端末2において、CIDレコード削除パケットのCIDが示すCIDレコードがCIDテーブルから削除される。
図6は、複数のCIDレコードを削除するCIDレコード削除パケットの構成を示す図である。図6に示すように、CIDレコード削除パケットは、CID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x80)及びCIDにより構成される。受信端末2において、CIDレコード削除パケットの複数のCIDが示すCIDレコードがCIDテーブルから削除される。
図7は、CIDレコード全削除パケットの構成を示す図である。図7に示すように、CIDレコード全削除パケットは、CID、SN及びCID_header_type(CIDヘッダタイプ:0x81)により構成される。受信端末2において、CIDレコード全削除パケットにより全てのCIDレコードがCIDテーブルから削除される。
表1は、フルヘッダパケット、圧縮ヘッダパケット、CIDレコード更新パケット、CIDレコード削除パケット及びCIDレコード全削除パケットにおけるCID_header_type(CIDヘッダタイプ)の割り当てを示す。CIDヘッダタイプは、CIDレコード削除パケット及びCIDレコード全削除パケットを除き、IPv4、IPv6に応じて異なる値になっている。
図2に戻って、送信制御部13は、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11により生成されたフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットを入力すると共に、制御パケット生成部12により生成された制御パケット(CIDレコード更新パケット、CIDレコード削除パケット、CIDレコード全削除パケット)を入力する。そして、送信制御部13は、予め設定された送信順序に従って、それぞれのパケットを一方向伝送路3へ送信する。ここで、パケットは、TLVに格納されて送信される。TLVは、将来予約、TLVパケットタイプ、データの長さ及びデータの各フィールドから構成され、データのフィールドに、パケット、AMT等の実際の情報が格納される。TLVの詳細については、非特許文献1を参照されたい。
(受信端末)
次に、受信端末の構成について説明する。図3は、実施例1の受信端末の構成を示すブロック図である。この受信端末2−1は、受信制御部21、制御パケット処理部22、フルヘッダパケット処理部23、圧縮ヘッダパケット処理部24及びCIDテーブル20を備えている。CIDテーブル20は、記憶手段に記憶されており、図19に示したCIDテーブルと同一の構成をしている。
受信制御部21は、一方向伝送路3からパケットを受信し、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)に基づいて、フルヘッダパケット、圧縮ヘッダパケット及び制御パケットに区別する。そして、受信制御部21は、フルヘッダパケットをフルヘッダパケット処理部23に、圧縮ヘッダパケットを圧縮ヘッダパケット処理部24に、制御パケットを制御パケット処理部22にそれぞれ出力する。ここで、受信制御部21は、パケットを格納したTLVを受信するから、TLVからパケットを認識して取り出す処理を行う。また、TLVにはAMT等の伝送制御信号等も含まれており、それぞれの情報に従った処理を行う。
フルヘッダパケット処理部23は、受信制御部21からフルヘッダパケットを入力し、フルヘッダパケットからCID、IPv4,6_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthを取り出し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるCIDレコードを生成し、CIDテーブル20に保存する。そして、フルヘッダパケット処理部23は、フルヘッダパケットからCID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)を取り除き、TLVの‘データの長さ’フィールドから算出したlengthを付加し、さらに、チェックサムを計算して付加し、IPパケットを生成して出力する。
圧縮ヘッダパケット処理部24は、受信制御部21から圧縮ヘッダパケットを入力し、圧縮ヘッダパケットから圧縮ヘッダであるCIDを取り出し、CIDをキーとしてCIDテーブル20を検索し、同じCIDを有するCIDレコードのIPヘッダ及びUDPヘッダを読み出す。そして、圧縮ヘッダパケット処理部24は、圧縮ヘッダパケットからCID、SN、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)を取り除き、TLVの‘データの長さ’フィールドから算出したlengthを付加し、さらに、チェックサムを計算して付加し、IPパケットを生成して出力する。尚、フルヘッダパケット処理部23及び圧縮ヘッダパケット処理部24は、フルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットのSNに従って、その順番にIPパケットを出力する。
制御パケット処理部22は、受信制御部21から制御パケットを入力し、表1に示したCID_header_type(CIDヘッダタイプ)に基づいて、CIDレコード更新パケット、CIDレコード削除パケット及びCIDレコード全削除パケットに区別する。
そして、制御パケット処理部22は、入力したパケットがCIDレコード更新パケットの場合、CIDレコード更新パケットからCID、IPv4,6_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthを取り出し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるCIDレコードを生成し、CIDレコード20に保存する。また、制御パケット処理部22は、入力したパケットがCIDレコード削除パケットの場合、CIDレコード削除パケットからCIDを取り出し、そのCIDが示すCIDレコードをCIDテーブル20から削除する。さらに、制御パケット処理部22は、入力したパケットがCIDレコード全削除パケットの場合、全てのCIDレコードをCIDテーブル20から削除する。
次に、図2に示した送信端末1−1及び図3に示した受信端末2−1による、前述の制御パケットを用いた具体的な実施例を説明する。
〔実施例1−1〕
まず、実施例1−1について説明する。この実施例1−1は、フルヘッダパケットを用いることなく、CIDレコード更新パケット及びCIDレコード削除パケットを用いることにより、CID及びヘッダ情報の対応関係について送信端末と受信端末との間の不整合を回避する。
図8は、実施例1−1によるCIDレコード更新パケット、CIDレコード削除パケット及び圧縮ヘッダパケットの送信順序を説明する図である。図8に示すように、同一ファイルを伝送する場合、CIDレコード更新パケット、圧縮ヘッダパケット及びCIDレコード削除パケットが、この順序で送信される。
以下、具体的に説明する。まず、送信端末1−1の処理について説明する。送信端末1−1のフルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、ファイル1のIPパケットを入力すると、IPデータフローを特定してCIDを決定し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるCIDレコードを新たに生成してCIDテーブル10に保存する。そして、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、入力したIPパケットから図20に示した圧縮ヘッダパケットを生成する。
一方、制御パケット生成部12は、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11により新たに保存されたCIDレコードをCIDテーブル10から読み出して、図4に示したCIDレコード更新パケットを生成する。この場合、制御パケット生成部12は、読み出したCIDレコードのCID、IPヘッダ及びUDPヘッダを、CIDレコード更新パケットのCID、IPv4_header_wo_length及びUDP_header_wo_lengthにそれぞれ設定し、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11により特定されたIPデータフローのプロトコル種別に応じてCID_header_type(CIDヘッダタイプ)を設定する。
送信制御部13は、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11により生成された圧縮ヘッダパケットを入力すると共に、制御パケット生成部12により生成されたCIDレコード更新パケットを入力する。そして、送信制御部13は、圧縮ヘッダパケットを送信する前にCIDレコード更新パケットを送信する。これにより、受信端末2−1は、CIDレコード更新パケットを用いて、送信端末1−1と整合のとれたCID及びヘッダ情報を取得することができる。送信制御部13は、CIDレコード更新パケットを送信した後、圧縮ヘッダパケットを送信する。尚、送信されるパケットのSNにはシーケンス番号が設定される。
フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、入力したファイル1のIPパケットについて、全ての圧縮ヘッダパケットの生成を完了すると、保存したCIDレコードをCIDテーブル10から削除する。
一方、制御パケット生成部12は、CIDテーブル10を参照してCIDレコードが削除されたことを認識し、図5に示したように、削除されたCIDレコードのCIDを含むCIDレコード削除パケットを生成する。
送信制御部13は、制御パケット生成部12により生成されたCIDレコード削除パケットを入力し、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11により生成された全ての圧縮ヘッダパケットの送信を完了すると、CIDレコード削除パケットを送信する。
引き続いてファイル2を伝送する場合も、前述のファイル1を伝送する場合と同様の処理が行われる。尚、ファイル1及びファイル2を同一のヘッダ情報で送信する場合には、同一のCIDを用いることができる。このため、送信制御部13は、ファイル1を構成する圧縮ヘッダパケットを送信した後に、ファイル1の伝送に関するCIDレコード削除パケット及びファイル2の伝送に関するCIDレコード更新パケットを送信する必要がない。すなわち、送信制御部13は、ファイル1を構成する圧縮ヘッダパケットを送信した後に、ファイル2を構成する圧縮ヘッダパケットを送信し、その圧縮ヘッダパケットの送信が完了した後にCIDレコード削除パケットを送信する。
次に、受信端末2−1の処理について説明する。受信端末2−1の受信制御部21は、送信端末1−1により送信されたパケットを受信すると、そのCID_header_type(CIDヘッダタイプ)に基づいてCIDレコード更新パケット、圧縮ヘッダパケット及びCIDレコード削除パケットに区別する。
制御パケット処理部22は、受信制御部21により区別されたCIDレコード更新パケットを入力し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるCIDレコードを生成し、CIDテーブル20に保存する。
圧縮ヘッダパケット処理部24は、受信制御部21により区別された圧縮ヘッダパケットを入力し、CIDをキーとしてCIDテーブル20からIPヘッダ及びUDPヘッダを読み出し、IPパケットを生成して出力する。
そして、制御パケット処理部22は、受信制御部21により区別されたCIDレコード削除パケットを入力し、CIDが示すCIDレコードをCIDテーブル20から削除する。
以上のように、実施例1−1によれば、送信端末1−1は、CIDレコード更新パケット、圧縮ヘッダパケット及びCIDレコード削除パケットの順序で送信し、受信端末2−1は、CIDレコード更新パケットにより新たなCIDレコードをCIDテーブル20に保存し、圧縮ヘッダパケットの受信処理が完了した後、CIDレコード削除パケットによりそのCIDレコードをCIDテーブル20から削除するようにした。これにより、受信端末2−1は、CIDレコード更新パケットの直後の送信に用いるCID及びヘッダ情報を含むCIDレコード更新パケットを受信し、CID及びヘッダ情報の関係について送信端末1−1と整合したCIDレコードをCIDテーブル20に保存するから、CID及びヘッダ情報の対応関係の不整合を回避することができる。また、受信端末2−1は、圧縮ヘッダパケットを受信したときには、送信端末1−1と整合のとれたCID及びヘッダ情報のCIDレコードが含まれるCIDテーブル20により、CIDをヘッダ情報に復元するから、圧縮ヘッダを誤ったヘッダ情報に復元することがない。
尚、実施例1−1では、送信端末1−1が、ファイル2のCIDレコード更新パケットを、ファイル1の送信処理のときにまたはそれ以前に送信するようにしてもよい。これにより、ファイル2の送信処理に先立って、ファイル2を送信するためのCIDレコードを、CIDテーブル10,20に予め確保しておくことができる。
〔実施例1−2〕
次に、実施例1−2について説明する。この実施例1−2は、CIDレコード更新パケットを用いることなく、フルヘッダパケット及びCIDレコード削除パケットを用いることにより、CID及びヘッダ情報の対応関係について送信端末と受信端末との間の不整合を回避する。
図9は、実施例1−2によるCIDレコード削除パケット、フルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットの送信順序を説明する図である。図9に示すように、同一ファイルを伝送する場合、フルヘッダパケット、圧縮ヘッダパケット及びCIDレコード削除パケットが、この順序で送信される。また、フルヘッダパケットは、一定量の圧縮ヘッダパケットが送信される毎に送信される。
以下、具体的に説明する。まず、送信端末1−1の処理について説明する。送信端末1−1のフルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、ファイル1のIPパケットを入力すると、IPデータフローを特定してCIDを決定し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるCIDレコードを新たに生成してCIDテーブル10に保存する。そして、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、入力したIPパケットから図20に示したフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットを生成する。この場合、フルヘッダパケットは、一定量の圧縮ヘッダパケットが送信される毎に送信されるように、生成される。
送信制御部13は、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11により生成されたフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットを入力し、図9に示す順序で送信する。これにより、受信端末2−1は、フルヘッダパケットを用いて、送信端末1−1と整合のとれたCID及びヘッダ情報を取得することができる。
フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、入力したファイル1のIPパケットについて、全てのフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットの生成を完了すると、保存したCIDレコードをCIDテーブル10から削除する。
一方、制御パケット生成部12は、CIDテーブル10を参照してCIDレコードが削除されたことを認識し、図5に示したように、削除されたCIDレコードのCIDを含むCIDレコード削除パケットを生成する。
送信制御部13は、制御パケット生成部12により生成されたCIDレコード削除パケットを入力し、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11により生成された全てのフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットの送信を完了すると、制御パケット生成部12により生成されたCIDレコード削除パケットを送信する。
引き続いてファイル2を伝送する場合も、前述のファイル1を伝送する場合と同様の処理が行われる。尚、ファイル1及びファイル2を同一のヘッダ情報で送信する場合には、同一のCIDを用いることができる。このため、送信制御部13は、ファイル1を構成するフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットを送信した後に、CIDレコード削除パケットを送信する必要がない。すなわち、送信制御部13は、ファイル1を構成するフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットを送信した後にファイル2を構成するフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットを送信し、その圧縮ヘッダパケットの送信が完了した後にCIDレコード削除パケットを送信する。
次に、受信端末2−1の処理について説明する。受信端末2−1の受信制御部21は、送信端末1−1により送信されたパケットを受信すると、そのCID_header_type(CIDヘッダタイプ)に基づいてフルヘッダパケット、圧縮ヘッダパケット及びCIDレコード削除パケットに区別する。
フルヘッダパケット処理部23は、受信制御部21により区別されたフルヘッダパケットを入力し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるCIDレコードを生成し、CIDテーブル20に保存する。また、フルヘッダパケット処理部23は、IPパケットを生成して出力する。
圧縮ヘッダパケット処理部24は、受信制御部21により区別された圧縮ヘッダパケットを入力し、CIDをキーとしてCIDテーブル20からIPヘッダ及びUDPヘッダを読み出し、IPパケットを生成して出力する。
そして、制御パケット処理部22は、受信制御部21により区別されたCIDレコード削除パケットを入力し、CIDが示すCIDレコードをCIDテーブル20から削除する。
以上のように、実施例1−2によれば、送信端末1−1は、フルヘッダパケット、圧縮ヘッダパケット及びCIDレコード削除パケットの順序で送信し、受信端末2−1は、フルヘッダパケットにより新たなCIDレコードをCIDテーブル20に保存し、全てのフルヘッダパケット及び圧縮ヘッダパケットの受信処理が完了した後、CIDレコード削除パケットによりそのCIDレコードをCIDテーブル20から削除するようにした。これにより、受信端末2−1は、CID及びヘッダ情報を含むフルヘッダパケットを受信し、CID及びヘッダ情報の関係について送信端末1−1と整合のとれたCIDレコードをCIDテーブル20に保存するから、CID及びヘッダ情報の対応関係について送信端末1−1との不整合を回避することができる。また、受信端末2−1は、圧縮ヘッダパケットを受信したときには、送信端末1−1と整合のとれたCID及びヘッダ情報のCIDレコードが含まれるCIDテーブル20により、CIDをヘッダ情報に復元するから、圧縮ヘッダを誤ったヘッダ情報に復元することがない。
尚、実施例1−1,1−2では、送信端末1−1の制御パケット生成部12が、一つのCIDレコードを削除するために、図5に示したCIDレコード削除パケットを生成するようにしたが、複数のCIDレコードを同時に削除するために、図6に示したCIDレコード削除パケットを生成するようにしてもよい。例えば、送信端末1−1の制御パケット生成部12は、使用済みのCIDを記憶しておき、CIDテーブル10に保存されていないCIDであって、かつ使用済みのCIDを特定する。そして、特定したCIDのCIDレコードを受信端末2−1のCIDテーブル20から削除するために、CIDレコード削除パケットを生成する。これにより、受信端末2−1において、あるCIDの使用終了後にそのCIDレコードを削除するだけではなく、その直前に使用したCIDまたは同時に使用していないCIDのCIDレコードについて、同時に削除することができる。つまり、送信端末1−1のCIDテーブル10に保存されていないCIDレコードを、受信端末2−1のCIDテーブル20から削除することができる。
また、実施例1−1,1−2では、ファイル1,2を送信する場合の例を示したが、ファイルを送信する場合に限らず、コンテンツのストリーミングを送信する場合にも適用がある。つまり、新たなIPデータフローが特定されてCIDが切り替わるタイミングで、実施例1−1ではCIDレコード更新パケットを送信し、実施例1−2ではフルヘッダパケットを送信する。そして、そのストリーミングが終了すると、実施例1−1,1−2ではCIDレコード削除パケットを送信する。
〔実施例1−3〕
次に、実施例1−3について説明する。この実施例1−3は、CIDレコード全削除パケット及びCIDレコード更新パケットを用いることにより、CID及びヘッダ情報の対応関係について送信端末と受信端末との間の不整合を回避する。
図10は、実施例1−3によるCIDレコード全削除パケット、CIDレコード更新パケット及び圧縮ヘッダパケットの送信順序を説明する図である。図10に示すように、同一ファイルを伝送する場合、そのファイル伝送が行われる前に、CIDレコード全削除パケットが予め送信され、そして、CIDレコード更新パケット及び圧縮ヘッダパケットが、この順序で送信される。
以下、具体的に説明する。まず、送信端末1−1の処理について説明する。送信端末1−1のフルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、ファイル1のIPパケットを入力すると、IPデータフローを特定してCIDを決定し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるCIDレコードを新たに生成してCIDテーブル10に保存する。そして、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、入力したIPパケットから図20に示した圧縮ヘッダパケットを生成する。
一方、制御パケット生成部12は、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11により新たに保存されたCIDレコードをCIDテーブル10から読み出して、図4に示したCIDレコード更新パケットを生成する。また、このとき、CIDレコード全削除パケットも生成する。
送信制御部13は、フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11により生成された圧縮ヘッダパケットを入力すると共に、制御パケット生成部12により生成されたCIDレコード全削除パケット及びCIDレコード更新パケットを入力する。そして、送信制御部13は、CIDレコード更新パケット及び圧縮ヘッダパケットを送信するのに先立って、CIDレコード全削除パケットを送信する。これにより、受信端末2−1は、CIDテーブル20から全てのCIDレコードを削除することができる。そして、送信制御部13は、CIDレコード更新パケットを送信する。これにより、受信端末2−1は、CIDレコード更新パケットを用いて、送信端末1−1と同一のCIDレコードをCIDテーブル20に保存することができる。送信制御部13は、CIDレコード更新パケットを送信した後、圧縮ヘッダパケットを送信する。
フルヘッダパケット・圧縮ヘッダパケット生成部11は、入力したファイル1のIPパケットについて、全ての圧縮ヘッダパケットの生成を完了すると、保存したCIDレコードをCIDテーブル10から削除する。
次に、受信端末2−1について説明する。受信端末2−1の受信制御部21は、送信端末1−1により送信されたパケットを受信すると、そのCID_header_type(CIDヘッダタイプ)に基づいてCIDレコード全削除パケット、CIDレコード更新パケット及び圧縮ヘッダパケットに区別する。
制御パケット処理部22は、受信制御部21により区別されたCIDレコード全削除パケットを入力し、全てのCIDレコードをCIDテーブル20から削除する。
そして、制御パケット処理部22は、受信制御部21により区別されたCIDレコード更新パケットを入力し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダからなるCIDレコードを生成し、CIDテーブル20に保存する。
そして、圧縮ヘッダパケット処理部24は、受信制御部21により区別された圧縮ヘッダパケットを入力し、CIDをキーとしてCIDテーブル20からIPヘッダ及びUDPヘッダを読み出し、IPパケットを生成して出力する。
以上のように、実施例1−3によれば、送信端末1−1は、CIDレコード全削除パケット、CIDレコード更新パケット及び圧縮ヘッダパケットの順序で送信し、受信端末2−1は、CIDレコード全削除パケットにより全てのCIDレコードをCIDテーブル20から削除し、CIDレコード更新パケットにより新たなCIDレコードをCIDテーブル20に保存するようにした。これにより、受信端末2−1は、ファイル伝送に先立ってCIDテーブル20をクリアした後に、CIDレコード更新パケットの直後の送信に用いるCID及びヘッダ情報を含むCIDレコード更新パケットを受信し、CID及びヘッダ情報の関係について送信端末1−1と整合したCIDレコードをCIDテーブル20に保存するから、CID及びヘッダ情報の対応関係の不整合を回避することができる。また、受信端末2−1は、圧縮ヘッダパケットを受信したときには、送信端末1−1と整合のとれたCID及びヘッダ情報のCIDレコードが含まれるCIDテーブル20により、CIDをヘッダ情報に復元するから、圧縮ヘッダを誤ったヘッダ情報に復元することがない。
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。実施例2は、伝送制御信号であるAMTを用いてCIDテーブルを更新することにより、CID及びヘッダ情報の対応関係について送信端末と受信端末との間の不整合を回避する。
(送信端末)
まず、送信端末の構成及び処理について説明する。図11は、実施例2の送信端末の構成を示すブロック図である。この送信端末1−2は、圧縮ヘッダパケット生成部14、AMT生成部15、送信制御部16及びCIDテーブル10を備えている。CIDテーブル10は、記憶手段に記憶されており、図19に示したCIDテーブルと同一の構成をしている。
圧縮ヘッダパケット生成部14は、IPパケットを入力し、入力した複数のIPパケットを、IPパケットのヘッダに記述されている情報(IPヘッダ及びUDPヘッダ)に基づいて区別し、IPデータフローを特定する。そして、圧縮ヘッダパケット生成部14は、特定したIPデータフロー毎に割り当て可能なCIDを決定し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダの各種データからなるCIDレコードを生成し、CIDテーブル10に保存する。また、圧縮ヘッダパケット生成部14は、図20に示した圧縮ヘッダパケットを生成し、送信制御部16に出力する。
AMT生成部15は、CIDテーブル10から全てのCIDレコードを読み出し、既にファイル伝送に先立って生成されているAMTに対し、それぞれのCIDを付加する。
図13は、実施例2で用いるAMTの構成を示す図である。このAMTは、IPパケットのマルチキャストグループとサービスID(サービス識別子)とを関連付けるテーブルである。図13に示すように、AMTは、サービスID(service_id)及びIPバージョン(ip_ver)に加えて、送信元IPアドレスの範囲を示すsrc_addr及びsrc_mask、あて先IPアドレスの範囲を示すdst_addr及びdst_mask、並びに、これらのデータに対応付けたCIDにより構成される。src_maskは、src_addrとして記述されるIPアドレスの先頭から何ビットまでを識別するかを示す情報である。また、dst_maskは、dst_addrとして記述されるIPアドレスの先頭から何ビットまでを識別するかを示す情報である。
AMTは、高度BSデジタル放送を実現する衛星放送システムにおいて、制御タイプのTLVコンテナを用いて全ての受信端末に伝送される伝送制御信号の一つである。このため、AMTは、本来的に、図13に示した構成からCIDを除いたデータにより構成されている。実施例2では、図13に示したように、これらのデータにCIDが付加されている。
具体的に説明すると、AMT生成部15は、CIDテーブル10から全てのCIDレコードを読み出し、そのうちの送信元IPアドレス(SrcAddr)及びあて先IPアドレス(DstAddr)と、既にファイル伝送に先立って生成されているAMTの送信元IPアドレス(src_addr)及びあて先IPアドレス(dst_addr)とが一致するAMTのレコードを特定し、そのレコードのCIDフィールドに、読み出したCIDレコードのCIDを格納する。このようにして生成したAMTを送信制御部16に出力する。尚、AMT生成部15は、所定の時間間隔のタイミングにて前述の処理を行い、AMTを送信制御部16に出力する。
図11に戻って、送信制御部16は、圧縮ヘッダパケット生成部14により生成された圧縮ヘッダパケットを入力すると共に、AMT生成部15により生成されたAMTを入力する。そして、送信制御部16は、圧縮ヘッダパケットの送信に先立って、その圧縮ヘッダパケットのCIDが含まれるAMTをTLV(制御用TLV)に格納して送信する。そして、送信制御部16は、圧縮ヘッダパケットをTLVに格納して送信する。尚、送信制御部16は、AMT生成部15から入力したAMTを、定期的にTLV(制御用TLV)に格納して送信する。
図14は、実施例2において、AMTによりCIDテーブルを更新する場合の送信順序を説明する図である。AMTは、定期的にTLVに格納して送信され、当該圧縮ヘッダパケットが送信される前に送信される。図14に示すように、受信端末においてCIDテーブル20が更新されている状況の下で、ファイル1の圧縮ヘッダパケットが送信され、ファイル2の圧縮ヘッダパケットが送信される。
(受信端末)
次に、受信端末の構成及び処理について説明する。図12は、実施例2の受信端末の構成を示すブロック図である。この受信端末2−2は、受信制御部25、AMT処理部26、圧縮ヘッダパケット処理部27及びCIDテーブル20を備えている。CIDテーブル20は、記憶手段に記憶されており、図19に示したCIDテーブルと同一の構成をしている。
受信制御部25は、一方向伝送路3からTLVを受信し、TLVからパケット、AMT等を取り出し、パケットについてはCID_header_type(CIDヘッダタイプ)に基づいて圧縮ヘッダパケットに区別する。そして、受信制御部25は、区別した圧縮ヘッダパケットを圧縮ヘッダパケット処理部27に出力する。また、受信制御部25は、AMTをAMT処理部26に出力する。
AMT処理部26は、受信制御部25からAMTを入力し、AMTから全てのCID、ip_ver、src_addr及びdst_addrを取り出し、CIDレコードを構成するCID、IPヘッダにおけるVersion、SrcAddr及びDstAddrに設定する。そして、これらのデータ以外のCIDレコードを構成するデータを固定にして(予め設定されているデータを用いて)、CIDレコードを生成し、CIDテーブル20に保存する。ここで、AMTは、CID、ip_ver、src_addr(送信元IPアドレス)及びdst_addr(あて先IPアドレス)を格納するフィールドがあり、CIDレコードに格納すべき送信元ポート番号(SrcPort)及びあて先ポート番号(DstPort)等のヘッダ情報は含まない。しかしながら、一方向伝送路3では、プロトコル種別がUDPと運用制限をしても差し障りがないこと、送信元ポート番号(SrcPort)及びあて先ポート番号(DstPort)等のデータは、アプリケーションにより予め設定することができ、商用サービスでは、これらの値を固定的に用いることができる。そこで、AMT処理部26は、AMTから取り出したCID、Version、SrcAddr及びDstAddrをそのまま設定し、また、これらのデータ以外のCIDレコードを構成するデータを固定にして設定することにより、CIDレコードを生成しCIDテーブル20に保存する。この場合、AMT処理部26は、CIDテーブル20の全てのCIDレコードを削除した後に、生成した全てのCIDレコードをCIDテーブル20に保存する。
圧縮ヘッダパケット処理部27は、受信制御部25から圧縮ヘッダパケットを入力し、圧縮ヘッダパケットから圧縮ヘッダであるCIDを取り出し、CIDをキーとしてCIDテーブル20を検索し、同じCIDを有するCIDレコードのIPヘッダ及びUDPヘッダを読み出す。そして、圧縮ヘッダパケット処理部27は、IPパケットを生成して出力する。
このように、送信端末1−2のAMT生成部15は、図13に示すように、本来のAMTにCIDを付加して送信することにより、これを受信した受信端末2−2は、サービスを構成するIPパケットのマルチキャストグループ、すなわちCIDを特定することができる。また、受信端末2−2は、CIDからIPパケットのマルチキャストグループを特定することができる。
以上のように、実施例2によれば、送信端末1−2は、CIDを付加したAMTを、そのCIDを用いる圧縮ヘッダパケットを送信する前に送信し、受信端末2−2は、AMTを受信する毎にCIDテーブル20をクリアし、AMTのデータ及び予め設定されたデータを用いて、新たなCIDレコードをCIDテーブル20に保存するようにした。これにより、受信端末2−2は、CID及びヘッダ情報の一部を含むAMTを受信する毎に、固定データを用いることにより不足しているヘッダ情報を補い、CIDテーブル20を更新することができるから、CID及びヘッダ情報の対応関係について送信端末1−2との不整合を回避することができる。また、受信端末2−2は、圧縮ヘッダパケットを受信したときには、送信端末1−2と整合のとれたCID及びヘッダ情報のCIDレコードが含まれるCIDテーブル20により、CIDをヘッダ情報に復元するから、圧縮ヘッダを誤ったヘッダ情報に復元することがない。
〔実施例3〕
次に、実施例3について説明する。実施例3は、予め設定された固定のCID及びヘッダ情報が格納されたCIDテーブルを用いることにより、CID及びヘッダ情報の対応関係について送信端末と受信端末との間で不整合が発生することを回避する。実施例1,2では、IPデータフローを特定するための5つの情報(プロトコル種別、送信元IPアドレス、あて先IPアドレス、送信元ポート番号及びあて先ポート番号)に対して、CIDを任意に割り当てることができる。つまり、同一のIPデータフローであっても、日時が異なれば、異なるCIDを割り当てることがあり、同一のCIDであっても、日時が異なれば、異なるIPデータフローに割り当てられてしまう。これに対し、実施例3では、同一のIPデータフローに対して、常に同一のCIDを割り当てるものであり、また、同一のIPデータフローに対して、時刻に応じて常に同一のCIDを割り当てるものである。
(送信端末)
まず、送信端末の構成及び処理について説明する。図15は、実施例3の送信端末の構成を示すブロック図である。この送信端末1−3は、圧縮ヘッダパケット生成部17、送信制御部18、CIDテーブル管理部19、CIDテーブル10及びフロー・時刻別CID割当テーブル40を備えている。CIDテーブル10は、記憶手段に記憶されており、図19に示したCIDテーブルと同一の構成をしている。また、フロー・時刻別CID割当テーブル40は、記憶手段である不揮発性メモリ等の蓄積媒体に記憶されている。
CIDテーブル管理部19は、図示しないタイマーから時刻情報を入力し、所定時刻になったことを判断すると、フロー・時刻別CID割当テーブル40から、所定時刻に対応するCID及びIPデータフローの各種データ(プロトコル種別、送信元IPアドレス、あて先IPアドレス、送信元ポート番号及びあて先ポート番号)を読み出し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダの各種データからなるCIDレコードを生成し、CIDテーブル10をクリアした後に、生成したCIDレコードをCIDテーブル10に保存する。
図17は、フロー・時刻別CID割当テーブル40の構成を示す図である。図17に示すように、フロー・時刻別CID割当テーブル40は、CIDの有効時間の範囲毎に、事業者Aのフロー1、フロー2等のCID及び事業者Bのフロー1、フロー2等のCIDにより構成され、15分毎の各フローにおけるCIDが格納されている。フロー1、フロー2等は、IPデータフローを示しており、各種データ(プロトコル種別、送信元IPアドレス、あて先IPアドレス、送信元ポート番号及びあて先ポート番号)が格納されている。
ここで、CIDテーブル管理部19は、時刻が0:00から開始して、0:15、0:30等の15分経過したときの時刻を監視する。例えば、時刻が0:15になったことを判断すると、フロー・時刻別CID割当テーブル40から、CIDの有効時間の範囲が0:15〜0:30におけるCID及びIPデータフローの各種データを読み出し、読み出したCID毎に、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダの各種データからなるCIDレコードを生成し、CIDテーブル10をクリアした後に、生成したCIDレコードをCIDテーブル10に保存する。これにより、フロー・時刻別CID割当テーブル40に基づいて、使用するCIDを時刻毎に変更することができる。
圧縮ヘッダパケット生成部17は、IPパケットを入力し、入力した複数のIPパケットを、IPパケットのヘッダに記述されている情報(IPヘッダ及びUDPヘッダ)に基づいて区別し、IPデータフローを特定する。そして、圧縮ヘッダパケット生成部17は、IPデータフローにおける各種データ(プロトコル種別、送信元IPアドレス、あて先IPアドレス、送信元ポート番号及びあて先ポート番号)に対応するCIDを、CIDテーブル10から読み出し、CIDを決定する。また、圧縮ヘッダパケット生成部17は、圧縮ヘッダパケットを生成し、送信制御部18に出力する。
送信制御部18は、圧縮ヘッダパケット生成部17により生成された圧縮ヘッダパケットを入力し、図14に示したように、圧縮ヘッダパケットを一方向伝送路3へ送信する。
(受信端末)
次に、受信端末の構成及び処理について説明する。図16は、実施例3の受信端末の構成を示すブロック図である。この受信端末2−3は、受信制御部28、圧縮ヘッダパケット処理部29、CIDテーブル管理部30、CIDテーブル20及びフロー・時刻別CID割当テーブル50を備えている。CIDテーブル20は、記憶手段に記憶されており、図19に示したCIDテーブルと同一の構成をしている。また、フロー・時刻別CID割当テーブル50は、記憶手段である不揮発性メモリ等の蓄積媒体に記憶されており、前述したフロー・時刻別CID割当テーブル40と同一のテーブルである。つまり、受信端末2−3は、図15に示した送信端末1−3のフロー・時刻別CID割当テーブル40と同一内容のフロー・時刻別CID割当テーブル50を備えている。
CIDテーブル管理部30は、図示しないタイマーから時刻情報を入力し、所定時刻になったことを判断すると、フロー・時刻別CID割当テーブル50から、所定時刻に対応するCID及びIPデータフローの各種データ(プロトコル種別、送信元IPアドレス、あて先IPアドレス、送信元ポート番号及びあて先ポート番号)を読み出し、CID、IPヘッダ及びUDPヘッダの各種データからなるCIDレコードを生成し、CIDテーブル20をクリアした後に、生成したCIDレコードをCIDテーブル20に保存する。CIDテーブル管理部30及びフロー・時刻別CID割当テーブル50については、図15に示した送信端末1−3のCIDテーブル管理部19及びフロー・時刻別CID割当テーブル40と同様であるから、ここでは詳細な説明を省略する。
受信制御部28は、一方向伝送路3からパケットを受信し、CID_header_type(CIDヘッダタイプ)に基づいてパケットを区別する。圧縮ヘッダパケット処理部29は、受信制御部28により区別された圧縮ヘッダパケットを入力し、圧縮ヘッダパケットから圧縮ヘッダであるCIDを取り出し、CIDをキーとしてCIDテーブル20を検索し、同じCIDを有するCIDレコードのIPヘッダ及びUDPヘッダを読み出す。そして、圧縮ヘッダパケット処理部29は、IPパケットを生成して出力する。
以上のように、実施例3によれば、送信端末1−3は、予め設定された固定のデータが格納されたフロー・時刻別CID割当テーブル40を用いて、固定のCID及びヘッダ情報が格納されるCIDテーブル10を生成し、このCIDテーブル10を用いて圧縮ヘッダパケットを生成し送信するようにした。また、受信端末2−3は、フロー・時刻別CID割当テーブル40と同一のフロー・時刻別CID割当テーブル50を用いてCIDテーブル20を生成し、このCIDテーブル20を用いてCIDをヘッダ情報に復元する。ここで、CIDテーブル10とCIDテーブル20とは同じ内容のテーブルになる。このように、送信端末1−3及び受信端末2−3が同一の固定のCIDテーブル10,20を用いることにより、CID及びヘッダ情報の対応関係について送信端末1−3と受信端末2−3との間で不整合が発生することを回避することができる。
尚、図17に示したフロー・時刻別CID割当テーブル40,50は、15分刻みの時刻に応じて、同一のIPデータフローであっても異なるCIDが割り当てられる構成としたが、CIDは時刻が変わっても不変の値とし、終日同じ値が割り当てられる構成としてもよい。