JP5053697B2 - 漆塗装の下塗剤 - Google Patents

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本発明は、漆塗装の下塗剤、漆塗装物及びその製造方法に関する。
木造住宅等の木製建造物における、柱、梁、床材、羽目板、手摺り、カウンター、ドア等や、家具等の多くは、木部の保護や美観の向上を目的に塗装されることが多い。今日、使用されている塗料の殆どは、優れた性能や取り扱いの簡便さのために、石油系の合成樹脂を主成分とした合成塗料である。このような合成樹脂の代表的なものとしては、ラッカー樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フツ素樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂等があるが、これらは資源の枯渇問題や地球温暖化ガスの放出問題等の環境問題を抱えている。
近年、環境保護意識や身近な物質に対する安全意識の高まりから、自然素材を積極的に活用しようとする機運が高まっている。自然素材を活用した例としては、トウモロコシ澱粉を主原料にしたポリ乳酸塗料の開発等が挙げられる。
また、日本の伝統的な自然塗料の一つとして漆がある。漆塗膜はふっくらとした質感や深みのある艶を呈し、また、耐水性、耐熱性、耐摩耗性に優れており、古くから主に工芸品の塗装の用途に用いられてきた。また、近年の技術としては、特許文献1に、天然産生漆又は精製漆を混練して得られる漆系塗料であって、油中水滴型エマルションの粒径が10〜80nmであるものが、高い光沢の塗膜を与え得るものとして提案されている。
しかし、漆を塗装する対象の木材はその殆どが広葉樹材であり、また、漆塗装品の殆どは漆器などに代表される伝統工芸品である。即ち、柱、梁、床材、羽目板、手摺り、カウンター、ドア等の建築部材、特にスギやヒノキ等の針葉樹材に漆を塗装することは殆どなかった。
尚、柿渋を用いた技術としては、柿渋及びニカワを用いた塗布剤(特許文献2参照)や、製材した木材に柿渋を塗布した後、火炎で焦げ目を付け、更に柿渋を塗布することにより、木材の表面に、年代を経た古代色を呈するような着色を付ける技術が知られている(特許文献3参照)。
特開2007−9023号公報 特開2000−355675号公報 特開2003−53707号公報
建築部材に漆が用いられない理由は、建築部材の多くが工芸品に比べて広い塗装面積を有するため、塗装むらが目立ち易いこと、特に針葉樹材の場合は、塗料の吸い込み量が多いことため、塗装むらが色むらとして、より目立ち易くなること等にあると考えられる。
漆の吸い込み量が多いと、塗装面が黒色を呈して木目が見え難くなったり、漆の使用量が多くなるため塗装コストが増大したりする等の問題もある。漆の吸い込み量が多いと、更に、被塗装物の表面に充分な厚みのある漆塗膜が形成されにくく、漆特有の艶も得られにくくなる。
一般に、塗装むらを軽減したり、塗料の吸い込みを抑制する目的で、下地塗装にプライマーと呼ばれる類の塗装を施すことが多い。しかしながら、従来のプライマーは合成樹脂であることが多く、合成樹脂からなるプライマーを用いることは、自然素材である漆により塗装し、環境に与える負荷を軽減するという観点から好ましくない。
従って、本発明の目的は、色むらが少なく、外観に優れた漆塗装物を得ることのできる、漆塗装の下塗剤を提供することにある。
また、本発明の目的は、色むらが少なく、外観に優れた漆塗装物、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討したところ、被塗装物に下塗剤(プライマー)として、自然素材である柿渋を塗装することにより、塗装むらを少なくすることができるが、市販されている一般的な柿渋の塗布のみでは、その効果が充分ではないこと、及び金属がチタンである特定の有機金属化合物を含有させた柿渋を下塗剤として用いることで充分な効果が得られることを見出した。
本発明は、このような知見に基づき、更に研究を重ねて完成されたものである。
即ち、本発明は、柿渋と使用時に該柿渋に混合される有機金属化合物とからなり、前記有機金属化合物は、配位子が乳酸であるチタンのキレート化合物であることを特徴とする漆塗装の下塗剤を提供することにより前記目的を達成したものである。
また、本発明は、柿渋及び有機金属化合物の混合物からなる下塗剤を被塗装物に塗布して形成した下地及び該下地上に形成された漆塗膜を有する漆塗装物であって、前記有機金属化合物は、配位子が乳酸であるチタンのキレート化合物であることを特徴とする漆塗装物を提供するものである。
更に、本発明は、前記漆塗装物の製造方法であって、前記被塗装物に、前記下塗剤を塗布した後、有機溶剤で希釈した漆を塗布することを特徴とする漆塗装物の製造方法を提供するものである。
本発明の漆塗装の下塗剤は、漆の塗布前に混合して下塗剤として用いることにより、色むらが少なく、外観に優れた漆塗装物を得ることができる。
本発明の漆塗装物は、色むらが少なく、外観に優れている。
本発明の漆塗装物の製造方法によれば、色むらが少なく、外観に優れた漆塗装物を効率よく製造することができる。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の漆塗装の下塗剤は、柿渋と、使用時に該柿渋に混合される有機金属化合物(但し、金属はチタンである)とからなる。
本発明の漆塗装物は、柿渋及び有機金属化合物(但し、金属はチタンである)が混合された下塗剤を用いて得られる。
本発明で用いる柿渋は、柿を搾汁することで得られる液状物を発酵させたものであり、そのようなものを、特に制限なく用いることができる。柿の品種、柿渋の発酵年数、発酵に用いられる菌種、柿渋のタンニン含有量、ボーメ度、酸性度、添加物の有無等についても特に制限されない。
好ましく用いられる柿渋の一例としては、品種は天王柿で、発酵年数が半年、タンニン含有量が5%で、酸性度が3〜4のものを挙げることができる。柿渋は、例えば、タンニンの含有割合が0.5〜10重量%、特に1〜5重量%となるように調整して用いることが好ましい。
本発明で用いる有機金属化合物は、金属がチタンである有機金属化合物である。
このような有機金属化合物としては、水溶性のものを用いることができる。
本発明で用いる有機金属化合物は、配位子が乳酸であるチタンのキレート化合物である。有機金属化合物は、水中で安定なもの(分解しにくいもの)が好ましい。
チタンキレート(錯体)としては、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム塩(ジヒドロキシビスアンモニウムラクテートチタニウム等等が挙げられる。
本発明で用いるチタンのキレート化合物は、チタンを中心金属元素とし、ラクテート(乳酸)を配位子とする、チタンラクテート又はその塩であり、安全性や価格面、更には効果との関係で好ましい。
上述した各種の有機金属化合物は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を任意に組み合わせて用いることもできる。
本発明の漆塗装の下塗剤は、その使用時、即ち被塗装物に下塗剤を塗布する際に、柿渋と上記の有機金属化合物とを混合して用いる。また、本発明の漆塗装物及びその製造方法においては、柿渋と上記の有機金属化合物とが混合された状態の下塗剤を用いる。柿渋と上記の有機金属化合物とを混合した後、被塗装物に塗布する迄の時間は、特に制限されるものではないが、好ましくは3日以内であり、より好ましくは24時間以内、更に好ましくは3時間以内である。
上記の有機金属化合物は、柿渋に非水溶液の状態(例えば粉体の状態)で混合しても良いが、水溶液の状態に調製したものを柿渋と混合することが好ましい。有機金属化合物と柿渋とを混合する方法は、各種公知の方法を特に制限なく採用することができる。各種のミキサー(例えば、ハンドミキサー、ペンキミキサー、ロールミル、ボールミル等)を用いることもできるし、柿渋を入れた容器に有機金属化合物の水溶液を加えた後、容器を振っても良い。
本発明の漆塗装の下塗剤の販売形態としては、柿渋を収容した第1の容器と有機金属化合物(粉体でも水溶液でも良い)を収容した第2の容器とをセットにして販売したり、柿渋を収容した第1の収容部と有機金属化合物(粉体でも水溶液でも良い)を収容した第2の収容部を有する複合容器を販売したりすることが考えられるが、これらに限られるものではない。
柿渋と上記の有機金属化合物とを混合すると、得られた混合物は比較的早めにゲル化する。ゲル化の進行を遅らせ、下塗剤として使用できる時間(可使時間)を伸ばす観点から、柿渋に、有機金属化合物と共にカルボン酸を混合(配合)することが好ましい。柿渋に対する有機金属化合物及びカルボン酸の配合の順序は特に制限されないが、有機金属化合物及び柿渋の何れか一方又は双方にカルボン酸を配合した後、該有機金属化合物と該柿渋とを混合することが可使時間の調整が一層容易となるので好ましい。
カルボン酸は、柿渋又は有機金属化合物に予め混合しておいても良いし、柿渋及び有機金属化合物とは独立にカルボン酸も有するものであっても良い。例えば、柿渋を収容した第1の容器と有機金属化合物(粉体でも水溶液でも良い)を収容した第2の容器のセットにおける、何れかの容器にカルボン酸を併せて収容しておいても良いし、柿渋を収容した第1の容器と有機金属化合物(粉体でも水溶液でも良い)を収容した第2の容器とは別にカルボン酸を収容した第3の容器を用意し、これらをセットにして取り扱っても良い。
カルボン酸としては、モノカルボン酸、ポリカルボン酸及びこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも一種のカルボン酸又はその誘導体が用いられる。
モノカルボン酸及びその誘導体としては、ギ酸、酢酸グルコン酸、プロピオン酸、酪酸及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても良く、また2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。
ポリカルボン酸及びその誘導体としては、シュウ酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても良く、また2種以上を任意に組み合わせて使用しても良い。また、モノカルボン酸及びその誘導体からなる群から選択されるカルボン酸と、ポリカルボン酸及びその誘導体からなる群から選択されるカルボン酸の、いずれか一方のみを用いても良いし、両者を組み合わせて用いても良い。
有機金属化合物の水溶液中のチタンの割合(水溶液の重量に対する割合)は、特に制限されないが、例えば0.1〜50重量%とすることができ、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜10%重量である。
また、有機金属化合物の水溶液のpHについては、本発明の効果を妨げない限り、特に制限されないが、例えば0.1〜12とすることができ、好ましくは1〜10である。
有機金属化合物の水溶液とカルボン酸との配合割合については、使用する柿渋の種類、濃度や含有物によって異なり、一律に規定することはできないが、一例として、チタンの割合について0.1〜0.2mol/Lであるキレート水溶液1部に対して、クエン酸の総量として0.1mol/Lのクエン酸水溶液をl〜200部、好ましくは2.5〜100部、更に好ましくは5〜50部となる割合を挙げることができる。
有機金属化合物の水溶液又は該水溶液とカルボン酸との混合液の、柿渋との配合割合としては、使用する柿渋の種類や濃度、特に柿渋原液への加水の程度に応じて適宜に設定することができるが、一例としては、柿渋(原液)100重量部に対して、有機金属化合物の水溶液又は該水溶液とカルボン酸若しくはその誘導体の水溶液との混合液がl〜300重量部、好ましくはl〜150重量部、より好ましくはl〜50重量部となる割合を挙げることができる。
なお、有機金属化合物の水溶液又は該水溶液とカルボン酸との混合液は、本発明の効果を妨げないことを限度として、pH調整剤や緩衝剤、乾燥を促進させるアルコール、下地の性能を高める無機充填剤等を含んでいても良い。
有機金属化合物の水溶液又は該水溶液とカルボン酸との混合液の調整方法は、カルボン酸とチタンが所望の割合で含有されるように調整でき、特に制限されるものではない。例えば、所定量のカルボン酸を水に溶解したものをチタンキレートの水溶液に添加することによって調製する方法;所定量のカルボン酸をチタンキレートの水溶液に添加することによって調製する方法等を例示することができる。より具体的には、所定量のクエン酸をチタンキレートの水溶液に添加する方法、所定量のクエン酸を含有する水溶液を、チタンキレートの水溶液に添加する方法を挙げることができる。
本発明において下塗剤を塗布する対象の被塗装物としては、木造住宅等の木造建築物に用いられる木材からなる各種の建築部材や、木製家具を構成する木材等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。建築部材としては、例えば、木造住宅における、柱、梁、床材、羽目板、手摺り、カウンター、ドア等が挙げられる。
また、被塗装物が木材である場合、該木材は、広葉樹材であっても良いが、本発明は、特にスギやヒノキ等の針葉樹材の場合に有益である。針葉樹材は、一般に広葉樹材に比べて液の吸い込み量が多いため、広葉樹材に比べて塗布むらや色むらが生じやすく、本発明の下塗剤で処理するか否かによる色むらの差は、広葉樹材に比べて針葉樹材の場合に特に顕著である。針葉樹材に、柿渋及び上記の有機金属化合物の混合物を下塗剤として塗装することで、一般に、針葉樹材であることの多い建築部材に漆塗装を適用することが容易となる。
尚、広葉樹材、針葉樹材といった木材は、無垢材の他、各種の木質材であっても良い。木質材としては、集成材、合板、単板積層材(LVL)、パーティクルボード、MDF等が挙げられる。
下塗剤の塗布方法としては、刷毛塗り、ロールコーター、スプレーコーター、ウエス等、木材の塗装に従来用いられている各種公知の塗布方法を特に制限なく用いることができるが、刷毛塗りが好ましい。下塗剤を塗る回数は、1回でも充分であるが、複数回でも良い。
また、下塗剤の塗布量(乾燥後の重量)は、0.01〜10g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5g/m2である。
本発明で用いる漆は、漆科植物から得られる生漆、生漆をクロメ(加熱脱水)処理して得られる精製漆など、漆による塗装に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。生漆は、日本産、中国産、台湾産、インドネシア産、ミャンマー産、ベトナム産などの何れを使用しても良い。漆の塗布方法としては、刷毛塗り、ロールコーター、スプレーコーター、ウエス等、各種公知の塗布方法を特に制限なく用いることができるが、刷毛塗りが好ましい。
また、漆の塗布量(乾燥後の重量)は、0.01〜50g/m2であることが好ましく、より好ましくは0.03〜10g/m2である。
漆の塗布は、下塗剤を塗布した後、乾燥させてから行うことが好ましい。また、下塗剤の塗布後、余分な下塗剤をウエス等で拭き取った後に乾燥することも好ましい。下塗剤の乾燥は、常温による自然乾燥、あるいは加熱による強制乾燥でも良い。
漆は、有機溶剤で希釈して用いることが、色むらになりにくいので好ましい。有機溶剤としては、アセトン、テレビン油、樟脳油、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、トルエン、リモネン、キシレン等が挙げられるが、好ましくは、テレビン油、樟脳油、リモネン等の天然系溶剤である。
漆と有機溶剤との配合割合は、重量比(前者:後者)で100:10〜100:300であることが好ましい。
漆を塗る回数は、1回でも良いが、複数回塗る重ねることが好ましく、特に有機溶剤に溶解した漆を塗布し、更に漆を塗り重ねることが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
市販の柿渋(株式会社トミヤマ製の「柿渋」、タンニンを5重量%含む液状物)100重量部に、チタンラクテート水溶液(松本製薬工業(株)製の「オルガチックス TC−315」、チタン濃度8〜9重量%)5重量部及びクエン酸水溶液(クエン酸濃度30重量%)8重量部を混合し、この混合物を下塗剤(プライマー)としてヒノキ材に塗布した。そして、余分な塗布液をウエスで拭き取った後、常温にて自然乾燥させた。
次に、乾燥後のヒノキ材の下塗剤塗布面に、漆((有)田島漆店から入手、商品名「上生漆」)を、該漆と同重量(重量比=1:1)のテレビン油で希釈したものを刷毛で塗布し、次いで、余分な漆液をウエスで拭き取った後、温度20℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿槽内に放置して塗布した漆を硬化させた。このようにして、漆塗膜を有する漆塗装物を得た。この漆塗装物は、柿渋及び有機金属化合物の混合物からなる下塗剤が被塗装物に塗布されて形成された下地と該下地上に形成された漆塗膜とを有している。
(比較例1,コントロール)
実施例1において、ヒノキ材に、柿渋及びチタンラクテート水溶液の混合物を塗布しない以外は、実施例1と同様にして漆塗装物を得た。
(比較例2)
実施例1において、ヒノキ材に、柿渋及びチタンラクテート水溶液の混合物を塗布したのに代えて、ヒノキ材に、市販の水性アクリル樹脂プライマー(和信ペイント(株)製の「水性サイディングシーラー」)を塗布した以外は、実施例1と同様にして漆塗装物を得た。
(比較例3)
実施例1において、ヒノキ材に、柿渋及びチタンラクテート水溶液の混合物を塗布したのに代えて、ヒノキ材に、市販の溶剤型ニトロセルロースラッカー(和信ペイント(株)製の「ネオラックニス」)を塗布した以外は、実施例1と同様にして漆塗装物を得た。
(比較例4)
実施例1において、ヒノキ材に、柿渋及びチタンラクテート水溶液の混合物を塗布したのに代えて、ヒノキ材に、市販の溶剤型セラックニス(和信ペイント(株)製の「木のヤニ止めニス」)を塗布した以外は、実施例1と同様にして漆塗装物を得た。
(比較例5)
実施例1において、ヒノキ材に、柿渋及びチタンラクテート水溶液の混合物を塗布したのに代えて、ヒノキ材に、チタンラクテート水溶液が混合されていない市販の柿渋(株式会社トミヤマ製の「柿渋」、タンニンを5重量%含む液状物)を塗布した以外は、実施例1と同様にして漆塗装物を得た。
(色むらの評価)
実施例及び比較例で得られた各漆塗装物について、硬化後の漆塗装面の色むらを目視にて観察し、その結果を以下に示した。
実施例1:漆塗装面に色むらは殆ど生じなかった。
比較例1:漆塗装面に顕著な色むらが生じた。
比較例2:水性アクリル樹脂がテレビン油と漆の混合溶液によって溶解し、漆塗装面に顕著な色むらが生じた。
比較例3:ニトロセルローススラッカーがテレビン油と漆の混合溶液によって溶解し、漆塗装面に顕著な色むらが生じた。
比較例4:セラックニスがテレビン油と漆の混合溶液によって溶解し、漆塗装面に顕著な色むらが生じた。
比較例5:比較例1に比べると色むらがやや軽減されたが、実施例1に比較すると、色むらは顕著であった。比較例5の色むらの程度が、比較例1と実施例1の何れに近いかを判断すると、実施例1との差は非常に大きく、比較例1との差はわずかであった。
これらの結果から、柿渋と上記の有機金属化合物との混合物を漆塗装の下塗剤(プライマー)として用いた場合には、下塗剤(プライマー)として、アクリル樹脂やニトロセルロースラッカー、セラックニスを用いたものや、有機金属化合物と混合しない柿渋を用いたものに比べて、色むらを顕著に低減でき、外観の良好な被塗装物が得られることが判る。
本発明によれば、このように色むらが低減されるので、従来、適用が困難であった建築用途など、大面積への漆塗装、特に針葉樹材の大面積への漆塗装が可能となる。例えば、塗装面の面積が0.1〜50m2の建築部材等の塗装に漆を用いることができる。

Claims (5)

  1. 柿渋と使用時に該柿渋に混合される有機金属化合物とからなり、
    前記有機金属化合物は、配位子が乳酸であるチタンのキレート化合物であることを特徴とする漆塗装の下塗剤。
  2. 前記柿渋若しくは前記有機金属化合物に予め該有機金属化合物の一部分を構成しないカルボン酸が混合されているか、又は前記柿渋及び前記有機金属化合物に加えて更にカルボン酸とからなる、請求項1に記載の漆塗装の下塗剤。
  3. 柿渋及び有機金属化合物の混合物からなる下塗剤を被塗装物に塗布して形成した下地及び該下地上に形成された漆塗膜を有する漆塗装物であって、
    前記有機金属化合物は、配位子が乳酸であるチタンのキレート化合物であることを特徴とする漆塗装物。
  4. 前記被塗装物が、針葉樹材であることを特徴とする請求項記載の漆塗装物。
  5. 請求項3又は4記載の漆塗装物の製造方法であって、
    前記被塗装物に、前記下塗剤を塗布した後、有機溶剤で希釈した漆を塗布することを特徴とする漆塗装物の製造方法。
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