JP5051659B2 - 反応メカニズム解析装置及び反応メカニズム解析プログラム - Google Patents
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Description
例えば、エンジン等の燃焼機関における流場をCFD(Computational Fluid Dynamics)解析する場合には、より正確なCFD解析を可能とするために、CFD解析に先立ち、燃料が燃焼反応する際に生成される中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化を明らかにするためのフルケミストリ解析を行う。
より詳細には、例えば非特許文献1に記載されたいわゆるASTM(American Standard of Testing Method)法等の何らかの実験手法を用いて燃料が燃焼反応する際の温度分布を測定する。続いて、実験空間を複数の領域に分割し、予め与えられた複数の素反応式及びこれらの素反応式に関連付けられたパラメータを用いて各領域の温度をシミュレーションにて算出することによって温度分布を取得する。そして、シミュレーションによって得られた温度分布と実験データが示す温度分布との差が許容可能範囲内となるまで、繰り返し素反応式に関連付けられたパラメータ(例えば頻度係数及び活性化エネルギ)を調整し、最終的に実験データと一致するシミュレーションデータを導き出せるパラメータの解を取得する。
そして、上述のように導き出されたパラメータを用いることによって、任意の時間における中間生成物の濃度や混合ガスの温度が算出可能となり、より正確なCFD解析等のシミュレーションを行うことが可能となる。
しかしながら、例えばASTM法による測定方法では、大きな容積をもつ丸底フラスコに可燃性液体を滴下させて着火させるため、丸底フラスコ内の温度分布が不均一となり、測定される温度分布が実験環境における不確定要因に影響を受ける場合がある。また、丸底フラスコ内に滴下された可燃性液体は、着火前に蒸発して混合気となる。そして、着火温度は混合気の濃度に依存して変化するが、ASTM法では、混合気の濃度が一定である保証はない。つまり、実験空間が三次元性を持つ実験方法にて測定された温度分布は、少なからず実験環境における不確定要因の影響を受けた値である。
このため、実験空間が三次元性を持つ実験方法にて得られた実験データに合わせてシミュレーションデータを導き出せる素反応式に関連付けられたパラメータの解を取得すると、当該解は、少なからず実験環境における不確定要因の影響を含むものとなる。よって、中間生成物の濃度変化や混合ガスの温度変化も実験環境における不確定要因の影響を含むものとなり、正確なフルケミストリ解析を行うことができない。したがって、例えば、得られた素反応式に関連付けられたパラメータの解を用いてCFD解析を行った場合には、正確なCFD解析結果が得られない虞がある。
また、本発明によれば、空間一次元の温度分布に一致するように、素反応データに含まれるパラメータの調整が行われる。このため、実験環境における不確定要因に影響されずに、実現象である燃焼反応を的確に予測可能とするパラメータの解を得ることができ、正確なフルケミストリ解析を行うことが可能となる。
このように、本発明によれば、計算負荷が小さくかつ正確なフルケミストリ解析が可能となる。
本実施形態の反応メカニズム解析装置及び反応メカニズム解析方法は、燃料と酸素との燃焼反応(化学反応)をフルケミストリ解析するためのものであり、後述するマイクロフローリアクタ(実験装置)を用いて得られた空間一次元の温度分布(実験データ)と、素反応式、該素反応式に関連付けられたパラメータ、及び空間零次元で時間一次元化された方程式を用いて得られたシミュレーションデータとを比較し、シミュレーションデータが実験データを導出可能となるまで上記パラメータを調整しながら収束計算を行うことによってパラメータの解を得るものである。
なお、ここで言う空間零次元で時間一次元化された方程式とは、位置情報がパラメータとして含まれておらず、空間の概念が除外された方程式を意味する。
図1は、マイクロフローリアクタ100の概略構成を示す模式図である。この図に示すように、マイクロフローリアクタ100は、管110と、供給装置120と、ヒータ130と、温度測定装置140と、測定処理部150とを備えている。
この供給装置120は、管110に供給する予混合ガスGの流量を調節可能であり、管110に供給する予混合ガスGの流量を連続的に減少させて、その流量が管110の内部流路111に形成された火炎が安定しかつ火炎の形成位置が予混合ガスGの流速に影響されない条件を満たす流量となるように設定する。なお、管110の内部流路111に形成された火炎が安定しかつ火炎の形成位置が予混合ガスGの流速に影響されない条件を満たす流量については、後に詳説する。
また、供給装置120は、測定処理部150と電気的に接続されており、測定処理部150からの指令に基づいて、予混合ガスGの流量や温度、予混合ガスGにおける燃料と酸化剤との割合(すなわち燃料と酸化剤との初期濃度)を調節可能とされている。
管110は内部流路111が予混合ガスGの着火温度以上に加熱されている。このためて、管110の内部流路111に供給された予混合ガスGは、管110の内部流路111を一端部から他端部に向かうに連れて加熱され、着火温度以上に加熱された時点で着火する。
一方、管110の内部流路111における予混合ガスGの流速が遅い場合には、連続的に燃焼状態が維持され、火炎が安定する。
そこで、本実験では、まず先に管110の内部流路111における流速が十分に速くなるような流量の予混合ガスGを管110に供給し、その後予混合ガスGの流量を徐々に減少させ、火炎が安定されるまで予混合ガスGの流量を減少させる。
また、管110を内部が目視可能な材料によって形成し、撮像装置等によって火炎の形成位置を確認しながら、火炎の形成位置が安定するまで予混合ガスGの流量を減少させるようにしても良い。
図2は、管110の内部流路111における予混合ガスGの流速と、安定火炎位置、着火位置及び消火位置との関係を示したグラフである。なお、図2に示すグラフは、直径が2mmの管110に対して、メタンと空気の量論比の予混合ガスGを供給することによって得られたデータに基づくものである。
この図に示すように、予混合ガスGの流速が速い場合(40〜100cm/s)には、火炎は安定するが、火炎の形成位置が流速に影響されることが分かる。また、これよりも予混合ガスGの流速が遅い場合(5〜40cm/s)には、火炎が振動することが分かる。そして、さらに予混合ガスGの流速が遅い場合(0.2〜5cm/s)には、火炎が安定すると共に火炎の形成位置が流速に影響されないことが分かる。このように、管110の内部流路111における予混合ガスGの流速に応じて、火炎の状態が変化する。
そして、本実験では、予混合ガスGの流速が、火炎が安定すると共に火炎の形成位置が流速に影響されない流速となるように、予混合ガスGの流量が設定される。
また、本実験においては、火炎の形成位置が予混合ガスGの流速に依存せず、さらにヒータ130による管110の加熱を行うことによって内部流路111が外部から熱管理されるため内部流路111における熱授受の影響は明確になっている。このため、実験環境における不確定要因の影響を排除して温度分布を取得することができる。
このように、本実験においては、実験環境における不確定要因の影響が排除された空間一次元の温度分布を取得することができる。
図3は、本実施形態の反応メカニズム解析装置のハードウェア構成を示すブロック図である。本実施形態の反応メカニズム解析装置A1は、例えばワークステーションやスーパーコンピュータ等のコンピュータによって具現化されるものであり、図3に示すように、外部記憶装置10と、内部記憶装置20と、入力装置30と、出力装置40と、CPU(Central Processing Unit)50とを備えている。
なお、外部記憶装置10と、内部記憶装置20と、入力装置30と、出力装置40と、CPU50とは、システムバス60によって互いに接続されている。
そして、このような外部記憶装置10としては、例えばハードディスク装置やリムーバブルメディア装置を用いることができる。なお、実験データ11、素反応データ12、演算データ13及び反応メカニズム解析プログラム14は、予め光ディスクやメモリ等のリムーバブルメディアに記憶され、当該リムーバブルディスクが外部記憶装置10の一構成要件として反応メカニズム解析装置に接続されることによって外部記憶装置10に記憶されても良いし、またネットワークを介してダウンロードされるあるいは入力装置30を介して入力されることによって外部記憶装置10の一構成要件であるハードディスクに記憶されても良い。
この素反応機構としては、例えば「GRI−mech 3.0」や「C1−Chemistry」等を用いることができる。
また、上述のような予め得られた素反応機構が存在しない場合には、素反応機構は、分子動力学法等によって得ることができる。
なお、ここで言う混合ガスとは、未反応の予混合ガスや燃焼反応の過程で生成される中間生成物が混合されたガスである。
これらの式(1)と式(2)との連立方程式によって、中間生成物の濃度変化や混合ガスの温度変化が算出される。ここで、式(1)と式(2)とは、独立変数が時間であり、従属変数が濃度と温度であり、さらに位置をパラメータとして含んでいないものであり、空間零次元で時間一次元の方程式である。そして、中間生成物の濃度変化や混合ガスの温度変化は、上述のように空間の概念が除外されて空間零次元で時間一次元化された方程式によって算出される。
なお、マイクロフローリアクタ100における管110の熱容量は小流量の予混合ガスによる発熱量より十分に大きい。このため、火炎による管壁温度分布の変化は無視することができる。したがって、管壁温度分布は管110の位置に対する関数として与えられる。よって、下式(3),(4)によって上述の式(1),(2)を用いて算出された混合ガスの温度変化を空間一次元化することが可能となる。
なお、反応メカニズム解析プログラム14については、後の図4を参照する反応メカニズム解析装置A1の機能構成の説明において合わせて詳説する。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、実験データ11、素反応データ12及び演算データ13を記憶する外部記憶装置10、あるいは、実験データ11、素反応データ12及び演算データ13を移した内部記憶装置20を実験データ記憶部1、素反応データ記憶部2及び演算データ記憶部3として機能させる。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された実験データ11、素反応データ12及び演算データ13に基づいてCPU50に中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化を算出させることによって、反応メカニズム解析装置A1を算出部4として機能させる。
具体的には、判定部5は、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化を演算データ記憶部3に演算データ13として記憶された上式(3),(4)を用いて空間一次元化して、シミュレーション温度分布を算出する。そして、判定部5は、シミュレーション温度分布と、実験データ記憶部1に実験データ11に含まれる温度分布とを比較する。判定部5は、比較の結果、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布と一致若しくは許容される変動範囲に収まっている場合には、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能なものであると判定し、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布から許容される変動範囲に収まっていない場合には、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化(すなわちシミュレーションデータ)が実験データに含まれる温度分布を導出不能なものであると判定する。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された演算データ13及び算出された混合ガスの温度変化に基づいてCPU50にシミュレーション温度分布を算出させ、さらにCPU50に外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された実験データ11に含まれる温度分布とシミュレーション温度分布とを比較させ、算出された混合ガスの温度変化が実験データに含まれる温度分布を導出可能なものであるかを判定させることによって、反応メカニズム解析装置A1を判定部5として機能させる。
具体的には、パラメータ調整部6は、予め定められた順序にて素反応データに含まれる素反応式に関連付けられたパラメータを所定の値分だけ増加あるいは減少させることによって、素反応データ12に含まれるパラメータを調整する。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された素反応データ12に含まれるパラメータをCPU50に調整させることによって、反応メカニズム解析装置A1をパラメータ調整部6として機能させる。
そして、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1において制御部7は、判定部5が算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能であると判定した場合には、フルケミストリ解析が完了したと判断し、その時点で外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された最新の中間生成物の濃度変化、混合ガスの温度変化及び素反応データ12に含まれるパラメータを解析結果として出力装置40に入力する。
一方、制御部7は、判定部5において算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データに含まれる温度分布を導出不能であると判定した場合には、パラメータ調整部6に素反応データ12に含まれるパラメータを調整させ、再度算出部4に中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化を算出させ、さらに判定部5に算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる管壁分布温度を導出可能なものであるかの判定をさせる。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、CPU50を制御部7として機能させる。
なお、本実施形態における反応メカニズム解析方法においては、実験データ11、素反応データ12及び演算データ13が既に実験データ記憶部1、素反応データ記憶部2、演算データ記憶部3(外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20)に記憶されているものとする。
この際、算出部4は、演算データ記憶部3に演算データ13として記憶された空間零次元で時間一次元化された方程式である上式(1),(2)、実験データ記憶部1に記憶された実験データ11に含まれる実験条件、素反応データ記憶部2に記憶された素反応データ12を用いて中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化を算出する。
なお、具体的には、CPU50が、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された実験データ11に含まれる実験条件と、素反応データ12に含まれるパラメータと、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された演算データ13に含まれる式(1),(2)とを用い、さらに式(1)と式(2)とを連立させて濃度変化と温度変化について解くことによって中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化が算出される。
この際、判定部5は、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化を演算データ記憶部3に演算データ13として記憶された上式(3),(4)を用いて空間一次元化して、シミュレーション温度分布を算出する。そして、判定部5は、シミュレーション温度分布と、実験データ記憶部1に記憶された実験データ11に含まれる温度分布とを比較する。判定部5は、比較の結果、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布と一致若しくは許容される変動範囲に収まっている場合には、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能なものであると判定し、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布から許容される変動範囲に収まっていない場合には、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出不能であると判定する。
具体的には、CPU50が、算出された混合ガスの温度変化を外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された演算データ13に含まれる式(3),(4)を用いて空間一次元化することでシミュレーション温度分布を算出する。そして、CPU50が、シミュレーション温度分布と外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された実験データ11に含まれる温度分布とを比較する。続いてCPU50が、算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能なものであるかを判定する。
具体的には、CPU50が外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された素反応データ12に含まれるパラメータを調整する。
そして、パラメータ調整工程S4が完了すると、再度算出工程S1に移行する。
また、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムによれば、マイクロフローリアクタによって得られた実験環境における不確定要因に影響されない空間一次元の温度分布に合うように、素反応データ12に含まれるパラメータの調整が行われる。このため、実験環境における不確定要因に影響されずに、実現象である燃焼反応を的確に予測可能とするパラメータの解を得ることができ、正確なフルケミストリ解析を行うことが可能となる。
このように、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムによれば、計算負荷が小さくかつ正確なフルケミストリ解析が可能となる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、解析条件15を記憶する外部記憶装置10、あるいは、解析条件15を移した内部記憶装置20を解析条件記憶部8として機能させる。
具体的には、選択部9は、解析条件記憶部8に記憶された解析条件15に基づいて選択すべき素反応式(CFD解析等により解析したい中間生成物を含む素反応式)を優先して選択し、さらにCFD解析等を行う場合に許容される計算負荷を満足するように選択する素反応式の数を決定し、これらに基づいて素反応式の選択を行う。
また、選択部9は、選択した素反応式のみを用いて再度シミュレーション温度分布を算出し、実験データ11が含む温度分布と比較し、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布に対して許容範囲に収まらない場合には、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布に対して一致若しくは許容範囲に収まるまで繰り返し選択した素反応式に関連するパラメータを調整して上記計算を繰り返す。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20及びCPU50を用いて本実施形態のメカニズム解析装置A1を選択部9として機能させる。
つまり、本実施形態の反応メカニズム解析方法においては、図8に示すように、判定工程S2と出力工程S3との間に、素反応式の選択及び選択された素反応式に関連付けられたパラメータの調整を行う選択工程S5が実行される。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他の物質同士の化学反応を構成する素反応の解析に用いることもできる。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、燃焼反応の際の正確な空間一次元の温度分布を取得可能な装置であれば、空間一次元の温度分布を他の実験装置によって取得しても良い。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、火炎の形成位置が予混合ガスGの流速に影響されない条件を満たす場合には、内部流路111を流れるガスと管110の管壁温度とがほぼ等しくなるため、管110の壁面温度分布(管壁温度分布)を空間一次元の温度分布として用いることも可能である。
また、予混合ガスGの流速が速い場合には火炎の形成位置が振動するが、この場合の実験結果を実験データ11に含め、当該実験結果を素反応データ12に含まれるパラメータの調整に用いることもできる。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば実験により得られた温度分布を空間零次元で時間一次元化して、空間零次元で時間一次元化された方程式を用いて算出された混合ガスの温度変化と比較して判定を行う構成を採用することもできる。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、最終的に解析が完了する前の各種データ(例えば、判定工程においてNGとされたパラメータ及び該パラメータに基づく中間生成物の濃度変化、混合ガスの温度変化等)を出力するようにしても良い。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、管110の内部流路111における中間生成物の濃度変化から濃度分布をシミュレーションデータとして算出し、実験データとして管110の内部流路111における中間生成物の濃度分布を取得し、シミュレーションデータとして算出された濃度分布と実験データとされる濃度分布を比較し、これによってシミュレーションデータが実験データを導出可能であるかを判定しても良い。
なお、中間生成物の濃度は、管110の内部流路111における混合ガスをサンプリングする、あるいはレーザ計測による測定を行うことによって実験データとして取得することが可能である。また、これらの濃度計測は管110のいずれの位置で実施しても良い。このため、例えば、冷炎と熱炎が発生するような場合、冷炎と熱炎との中間位置で濃度計測を行うことで冷炎からの中間生成物濃度のみを計測することも可能である。
Claims (8)
- 複数種類の初期物質同士の化学反応を構成する素反応を解析する反応メカニズム解析装置であって、
流通方向に対してのみ物質移動及び熱移動が起こりうると近似された内部流路を有する管の一端側から複数の前記初期物質が混合された予混合ガスを導入して化学反応させる実験より得られた前記流通方向における位置に対する温度分布を実験データとして記憶する実験データ記憶手段と、
前記化学反応を記述する複数の素反応式及び該素反応式に関連付けられたパラメータを素反応データとして記憶する素反応データ記憶手段と、
前記素反応データからシミュレーションデータを算出するための方程式であって、空間座標に基づかず、時間に対する変数を含むと共に温度の次元を有する方程式を演算データとして記憶する演算データ記憶手段と、
前記素反応データ及び前記演算データとして記憶された方程式を用いて、前記素反応によって生成される中間生成物と前記初期物質との混合体の温度変化を前記シミュレーションデータとして算出する算出部と、
前記混合体の移動速度と、前記混合体の温度と、前記予混合ガスの供給速度と、前記予混合ガスの初期温度と、前記流通方向の位置と、時間との関係式に基づいて、前記シミュレーションデータから、前記管に前記予混合ガスを導入して化学反応させたときの前記流通方向における位置に対する温度分布を算出してシミュレーションデータに基づく温度分布とし、前記シミュレーションデータに基づく温度分布と前記実験データに基づく温度分布との差異が許容範囲にあることを導出可能であると定義し、前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であるかを判定する判定部と、
前記素反応データに含まれる前記パラメータを調整可能なパラメータ調整手段と、
前記判定部において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定されるまで、前記パラメータ調整手段による前記パラメータの調整及び調整後の前記パラメータを用いた前記算出部による前記シミュレーションデータの算出を繰り返し実行させる制御手段と
を備えることを特徴とする反応メカニズム解析装置。 - 前記演算データとして記憶された方程式は、
中間生成物の濃度変化を示す項を含む質量保存の式と、
素反応によって生成される中間生成物と前記初期物質との混合体の内部エネルギを示す項、前記素反応により移動するエネルギを示す項、及び前記混合体と外部との熱伝達により移動するエネルギを示す項を含むエネルギ保存の式と
を有することを特徴とする請求項1記載の反応メカニズム解析装置。 - 前記実験データとして記憶される前記流通方向における位置に対する温度分布は、
複数の前記初期物質として燃料と酸化剤とが混合された予混合ガスを、前記予混合ガスの着火温度以上まで連続的に昇温するように加熱された管に、火炎形成位置が安定する流量で供給した際に得られる温度分布である
ことを特徴とする請求項1または2記載の反応メカニズム解析装置。 - 解析された素反応を基に解析を行う際の解析条件を記憶する解析条件記憶手段と、前記化学反応を記述する複数の素反応式を前記解析条件に基づいて選択すると共に選択された素反応式に関連付けられたパラメータを調整可能な選択手段とを備え、
前記制御手段は、前記判定部において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定された場合に前記選択手段による前記素反応式の選択及び前記パラメータの調整を実行させる
ことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の反応メカニズム解析装置。 - コンピュータを、
流通方向に対してのみ物質移動及び熱移動が起こりうると近似された内部流路を有する管の一端側から複数の前記初期物質が混合された予混合ガスを導入して化学反応させる実験より得られた前記流通方向における位置に対する温度分布を実験データとして記憶する実験データ記憶手段と、
前記化学反応を記述する複数の素反応式及び該素反応式に関連付けられたパラメータを素反応データとして記憶する素反応データ記憶手段と、
前記素反応データからシミュレーションデータを算出するための方程式であって、空間座標に基づかず、時間に対する変数を含むと共に温度の次元を有する方程式を演算データとして記憶する演算データ記憶手段と、
前記素反応データ及び前記演算データとして記憶された方程式を用いて、前記素反応によって生成される中間生成物と前記初期物質との混合体の温度変化を前記シミュレーションデータとして算出する算出部と、
前記混合体の移動速度と、前記混合体の温度と、前記予混合ガスの供給速度と、前記予混合ガスの初期温度と、前記流通方向の位置と、時間との関係式に基づいて、前記シミュレーションデータから、前記管に前記予混合ガスを導入して化学反応させたときの前記流通方向における位置に対する温度分布を算出してシミュレーションデータに基づく温度分布とし、前記シミュレーションデータに基づく温度分布と前記実験データに基づく温度分布との差異が許容範囲にあることを導出可能であると定義し、前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であるかを判定する判定部と、
前記素反応データに含まれる前記パラメータを調整可能なパラメータ調整手段と、
前記判定部において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定されるまで、前記パラメータ調整手段による前記パラメータの調整及び調整後の前記パラメータを用いた前記算出部による前記シミュレーションデータの算出を繰り返し実行させる制御手段と
して機能させる反応メカニズム解析プログラム。 - 前記コンピュータを前記算出部として機能させる場合に、
中間生成物の濃度変化を示す項を含む質量保存の式と、素反応によって生成される中間生成物と前記初期物質との混合体の内部エネルギを示す項、前記素反応により移動するエネルギを示す項、及び前記混合体と外部との熱伝達により移動するエネルギを示す項を含むエネルギ保存の式とを前記演算データとして記憶された方程式として用いて前記シミュレーションデータを算出させることを特徴とする請求項5記載の反応メカニズム解析プログラム。 - 前記コンピュータを判定部として機能させる場合に、
複数の前記初期物質として燃料と酸化剤とが混合された予混合ガスを、前記予混合ガスの着火温度以上まで連続的に昇温するように加熱された管に、火炎形成位置が安定する流量で供給した際に得られる温度分布を、前記実験データとして記憶される前記流通方向における位置に対する温度分布として用いることを特徴とする請求項5または6記載の反応メカニズム解析プログラム。 - 前記コンピュータを、解析された素反応を基に解析を行う際の解析条件を記憶する解析条件記憶手段と、前記化学反応を記述する複数の素反応式を前記解析条件に基づいて選択すると共に選択された素反応式に関連付けられたパラメータを調整可能な選択手段として機能させ、
前記判定部において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定された場合に前記コンピュータを前記選択手段として機能させる
ことを特徴とする請求項5〜7いずれかに記載の反応メカニズム解析プログラム。
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