JP4077659B2 - 燃焼装置における触媒の寿命予測方法 - Google Patents

燃焼装置における触媒の寿命予測方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4077659B2
JP4077659B2 JP2002149297A JP2002149297A JP4077659B2 JP 4077659 B2 JP4077659 B2 JP 4077659B2 JP 2002149297 A JP2002149297 A JP 2002149297A JP 2002149297 A JP2002149297 A JP 2002149297A JP 4077659 B2 JP4077659 B2 JP 4077659B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
combustion
reaction rate
equation
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002149297A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003343814A (ja
Inventor
靖 小沢
義久 栃原
公司 香川
克博 鷺森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Research Institute of Electric Power Industry
Kansai Electric Power Co Inc
Original Assignee
Central Research Institute of Electric Power Industry
Kansai Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Research Institute of Electric Power Industry, Kansai Electric Power Co Inc filed Critical Central Research Institute of Electric Power Industry
Priority to JP2002149297A priority Critical patent/JP4077659B2/ja
Publication of JP2003343814A publication Critical patent/JP2003343814A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4077659B2 publication Critical patent/JP4077659B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Gas Burners (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒の寿命予測方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、触媒出口温度を1000℃以下に制御しながら触媒燃焼反応を行う燃焼装置における触媒の寿命予測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
含窒素化合物を含まない燃料を燃焼しても、空気中の窒素と酸素が高温の燃焼場で反応して、大気汚染の原因となる窒素酸化物(以下、NOxと表記する)を発生する。このNOxを発生せずに燃焼を行う方法として、触媒の酸化促進作用によって燃料を酸化・燃焼させる触媒燃焼法がある。触媒燃焼法を燃焼器に適用する場合、触媒を燃焼器内に充填し、触媒に燃料と空気を供給し、触媒表面で燃料と酸素を反応させて高温の燃焼ガスを発生させる。この触媒燃焼法によれば、燃焼を安定化させるために高濃度の燃料を供給する必要がなく、局所的な高温域を発生せずに燃焼することができるので、NOxの発生を抑えることができる。
【0003】
触媒としては、セラミックスまたは金属の母材の表面に比表面積が高いセラミックスのウォッシュコート粉が担持され、さらにその表面に活性成分の微細な粒子が担持されたものが通常使用される。触媒燃焼を行うと、時間と共に触媒の性能が徐々に低下し、必要な燃焼性能が得られなくなり、ついには触媒の交換が必要になる。この時間が触媒の寿命と判断される。従来の燃焼装置における触媒の寿命予測方法では、一般に、触媒寿命が無くなるまで燃焼試験を行って触媒寿命を確認している。
【0004】
ところで、脱硝装置において、予め実験的に得た反応速度式に反応器の入口および出口のNOx濃度などを代入して反応速度定数を求め、この反応速度定数を用いて脱硝性能を推定する方法が提案されている(特開昭58−207930号公報)。
【0005】
また、触媒充填乾式固気接触反応装置において、触媒充填管の入口と出口の間の複数点の温度を測定し、温度分布のピーク点が管出口近傍に表れたことによって劣化を検知して、寿命を予測する方法が提案されている(特開昭60−147226号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、触媒寿命が無くなるまで燃焼試験を行って触媒寿命を確認する方法は、長時間を要し、高額な試験費が必要となる。
【0007】
一方、触媒の劣化要因に基づいて触媒の寿命を予測できれば、長時間の燃焼試験が不要となるが、そのためには、触媒の温度および触媒を通過するガス温度が触媒の入口から出口にかけて大きく変化する燃焼装置において、劣化要因に基づく反応速度の低下、または物質移動速度の低下から、燃料の反応率を計算する必要がある。この燃料反応率を計算することは、物質収支やエネルギ収支などに基づいた複雑な連立微分方程式を解くことによって理論的には可能である(参考文献:A. E. Cerkanowicz, et al., "Catalytic Combustion Modeling; Comparisons With Experimental Data", ASME Paper NO. 77-GT-85 (1977))。しかしながら、当該計算には高度な数値計算技術及びコンピュータ資源を要し、やはり膨大な費用と時間を要する。
【0008】
また、特開昭58−207930号公報に示されるような脱硝装置では、触媒の温度分布の幅が小さく、触媒および触媒を通過するガスの温度を一つの温度で代表して計算できるため、装置の運転条件から反応速度定数を容易に求めることができるが、触媒の温度および触媒を通過するガス温度が触媒の入口から出口にかけて大きく変化する燃焼装置において反応速度定数を求めるためには、既知の理論に基づくとやはり複雑な連立微分方程式を解く必要がある。したがって、高度な数値計算技術及びコンピュータ資源を要し、やはり膨大な費用と時間を要する。
【0009】
また、特開昭58−207930号公報では、上記脱硝性能を推定する方法を用いて触媒寿命を推定する方法として、多数のデータを取得して当該多数のデータを統計的に処理する方法を提示しているが、多数のデータの取得が必要になるとともに、短時間のデータの統計処理のみで長時間の性能を推定するために、誤差を生じる虞がある。
【0010】
また、燃焼装置においては、触媒温度は触媒入口から急激に上昇した後、触媒出口にかけてほぼ一定の温度となるため、特開昭60−147226号公報に示されているような温度分布のピーク点の移動の検知は困難である。
【0011】
そこで本発明は、短時間の燃焼試験のデータから長時間の燃料反応率を簡易かつ正確に予測し、触媒の寿命の確認に要する時間と費用を節減できる燃焼装置における触媒の寿命予測方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法は、入口と出口と入口から出口までの貫通孔とを有する触媒を装着し、燃料と酸素を含むガスを触媒に供給し、触媒出口温度を1000℃以下に制御しながら触媒燃焼反応を行う燃焼装置において、触媒の触媒表面反応速度定数を触媒表面温度と燃焼時間の関数として実測値に基づいて求めると共に、入口から出口に向かう軸方向の触媒表面温度および軸方向のガス温度を軸方向の距離の関数または軸方向距離及び燃焼時間の関数として実測値に基づいて求め、当該求めた関数を用いて燃焼装置における燃料の物質収支式を立て、複数の異なる燃焼時間について物質収支式を解くことによって燃料反応率の経時変化のシミュレーション値を求め、当該求めた燃料反応率の経時変化のシミュレーション値が燃焼装置における燃料反応率の経時変化の実測値に適合するように物質収支式をフィッティングし、当該フィッティングされた物質収支式を用いて将来の燃料反応率を推定するようにしている。
【0013】
燃焼装置における触媒層の温度は、通常、軸方向に大きく変化し、軸方向に移動する間に、触媒反応は触媒表面反応速度律速から物質移動速度律速に変化する。そこで、軸方向の触媒表面温度およびガス温度を軸方向距離の関数または軸方向距離及び燃焼時間の関数として求めることで、エネルギ保存式などに基づく式などを含む複雑な連立微分方程式を解く必要が無く、物質収支に基づいた単独の微分方程式によって燃料反応率のシミュレーション値を求めることができる。シミュレーション値を求める物質収支式には、触媒表面反応速度定数、ガス境膜物質移動係数、気相反応速度定数の値が必要となるが、ガス境膜物質移動係数や気相反応速度定数は、例えば公知文献に示された値などから求めることができる。触媒表面反応速度定数は、触媒表面温度と燃焼時間の関数として、実測値に基づいて予め求めることができる。そして、計算された燃料反応率のシミュレーション値を燃料反応率の実測値に適合するように物質収支式をフィッティングし、適正化された物質収支式を用いて、燃料反応率の実測値を求めた試験時間よりも長時間後の燃料反応率を推定する。推定される燃料反応率が予め定めた許容燃料反応率の下限値を下回る時間を求めれば、当該求めた時間が触媒の寿命と推定される。
【0014】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法において、触媒表面温度を表す関数が、軸方向距離の双曲線関数であるものとしている。この場合、実際の温度分布との相似性が高まり、少ない測定点でより正確な計算が可能となる。
【0015】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法において、ガス温度を表す関数が、軸方向距離の1次関数であるものとしている。この場合、実際の温度分布との相似性が高まり、少ない測定点でより正確な計算が可能となる。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法において、ガス温度を表す関数を、触媒入口のガス温度と触媒出口のガス温度から求めるようにしている。この場合、触媒入口におけるガス温度と触媒出口におけるガス温度との2点で求めれば足り、貫通孔内のガス温度の測定が困難である場合等であっても、容易に軸方向のガス温度分布を得ることができる。
【0017】
また、請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法において、燃焼装置は、触媒出口温度を1000℃以下に制御しながら触媒燃焼反応を行う装置であり、触媒の化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として求め、尚且つ触媒の触媒表面反応速度定数を化学吸着量の関数として求めるようにしている。
【0018】
1000℃以下の燃焼条件では、触媒の細孔構造の変化が小さく、触媒活性成分の揮発および構造変化も小さく、このため触媒表面反応速度を触媒の化学吸着量の関数として表すことができる。したがって、触媒の化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として求め、尚且つ触媒の触媒表面反応速度定数を当該化学吸着量の関数として求めることができる。
【0019】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法において、炉を用いて予め定めた温度条件及び時間で熱処理を行った触媒について化学吸着量を測定して、当該測定値に基づき化学吸着量を触媒表面温度と処理時間の関数として表す式を求め、当該求めた関数式を、燃焼装置を用いて予め定めた温度条件及び燃焼時間で燃焼試験を行った触媒について測定した化学吸着量の値に適合するようにフィッティングすることによって、燃焼装置に用いる触媒についての化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式を求めるようにしている。この場合、費用と労力が必要な燃焼試験の代わりに、炉を用いて触媒に熱処理(焼成処理やエージング処理など)を施すことによって、触媒表面反応速度定数を簡易に求めることができる。
【0020】
また、請求項7記載の発明は、請求項5または請求項6記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法において、化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式が、触媒の単位表面積を基準として導出し且つ単位はSI単位系を用いた場合に、次式で表されるものとしている。
【0021】
【数4】
Figure 0004077659
但し、
Rna;化学吸着量の減少率[−]
Na;化学吸着量[mol/m
Na;初期化学吸着量[mol/m
n,kna;定数[−]
Ena;活性化エネルギ[J/mol]
R;気体定数[J/(mol・K)]
Ts;触媒表面温度[K]
t;燃焼時間[s]
【0022】
1000℃以下の燃焼条件では、活性成分粒子の焼結による化学吸着量の減少が触媒の主な劣化要因となる場合が多く、活性成分粒子からの酸素の乖離による化学吸着量の減少が劣化要因となる場合も、化学吸着量は数式4で表すことができる場合が多い。このため、焼結速度に基づく数式4を用いることによって、少ないデータでより正確な寿命予測が可能となる。
【0023】
また、請求項8記載の発明は、請求項7記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法において、触媒表面反応速度定数を化学吸着量の関数として表す式が、触媒の単位表面積を基準として導出し且つ単位はSI単位系を用いた場合に、次式で表されるものとしている。
【0024】
【数5】
ks=f(Rna)・exp{−Eac/(R・Ts)}
但し、
ks;触媒表面反応速度定数[m/s]
Rna;化学吸着量の減少率[−]
f(Rna);Rnaの関数[m/s]
Eac;活性化エネルギ[J/mol]
R;気体定数[J/(mol・K)]
Ts;触媒表面温度[K]
【0025】
この場合、化学反応速度定数の温度変化に関する式として一般に知られるアレニウスの式に、焼結速度に基づく化学吸着量の減少率の関数を組み込むことによって、少ないデータでより正確な寿命予測が可能となる。
【0026】
また、請求項9記載の発明は、請求項1から8記載のいずれかに記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法において、物質収支式が、触媒の単位表面積を基準として導出し且つ単位はSI単位系を用いた場合に、次式で表されるものとしている。
【0027】
【数6】
dCf/dz=−(Cf/G)[1/{1/(A・ks)+1/(B・kl)}+kg]
但し、
境界条件;z=0のとき、Cf=Cf、T=Ts=T
Cf;気相燃料濃度[mol/m
Cf;触媒入口における気相燃料濃度[mol/m
z;軸方向距離[m]
G;ガス流量と触媒量とによって定まる数[m/s]
T;ガス温度[K]
;触媒入口におけるガス温度[K]
Ts;触媒表面温度[K]
ks;触媒表面反応速度定数[m/s]
kl;ガス境膜物質移動係数[m/s]
kg;気相反応速度定数[m/s]
A,B;補正係数[−]
【0028】
したがって、物質収支に基づいた単独の微分方程式である数式6によって気相燃料濃度を求めることができる。また、補正係数(A,B)をフィッティングすることによって、数式6を燃料反応率の実測値に適合するように調整することができる。
【0029】
なお、数式4(特許請求の範囲に記載した数式1)、数式5(特許請求の範囲に記載した数式2)、数式6(特許請求の範囲に記載した数式3)は、触媒の単位表面積を基準として導出し且つ単位はSI単位系を用いた場合を示しているが、必ずしも当該場合に限定されるものではなく、基準とする量に従って各数式を変形可能であり、使用する単位系によって異なる単位としても良い。例えば触媒の単位体積や触媒の単位重量などを基準として計算する場合、それに従って適宜各数式を変形しても良い。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の触媒の寿命予測方法について詳細に説明する。
【0031】
本実施形態では、入口と出口と当該入口から出口までの貫通孔とを有する触媒を装着し、燃料と酸素を含むガスをその触媒に供給し、触媒燃焼反応を行う燃焼装置における触媒の寿命予測を、例えば次のステップにより行う。即ち、燃焼装置に用いる触媒の触媒表面反応速度定数を触媒表面温度と燃焼時間の関数として実測値に基づいて求めると共に、触媒入口から出口に向かう軸方向(以下、単に軸方向と呼ぶ。)の触媒表面温度および軸方向のガス温度(気相温度とも呼ぶ。)を軸方向距離の関数または軸方向距離及び燃焼時間の関数として実測値に基づいて求め、当該求めた関数を用いて燃焼装置における燃料の物質収支式を立て、複数の異なる燃焼時間について物質収支式を解くことによって燃料反応率の経時変化のシミュレーション値を求め、当該求めた燃料反応率の経時変化のシミュレーション値が燃焼装置における燃料反応率の経時変化の実測値に適合するように物質収支式をフィッティング(調整)し、当該フィッティングされた物質収支式を用いて将来の燃料反応率を推定するようにしている。
【0032】
本実施形態において用いる触媒は、燃料の燃焼(すなわち触媒燃焼反応)に用いる触媒であって、例えばハニカム形状またはそれに類似の形状を有する。その貫通孔の表面(以下、触媒の表面とも呼ぶ。)には触媒の活性成分が担持されており、その貫通孔表面の近傍にガス境膜が形成される。貫通孔を通過する原料(すなわち燃料と酸素を含むガスである。以下、単にガスと呼ぶ。)は、ガス境膜物質移動速度で触媒の表面を移動し、触媒表面において触媒表面反応速度で反応する。同時に、条件によっては、貫通孔を通過するガスは、貫通孔内において気相反応速度で直接反応する。ガス境膜物質移動係数および気相反応速度定数は、公知文献(ガス境膜物質移動係数については、例えば、伝熱工学資料改訂第4版、日本機械学会編、丸善、(1986)がある。以下、本実施形態ではこの文献を公知文献1と呼ぶ。また、気相反応速度定数については、例えば、Yoshine et al., "Concept and Preliminary Test Results of Hybrid Catalytic Combustor," Proc. of 18th CIMAC(1989)がある。以下、本実施形態ではこの文献を公知文献2と呼ぶ。)に示された値などから求めることができる。しかしながら、触媒表面反応速度定数は、触媒表面温度と燃焼時間の関数として、予め実験的に求める必要がある。
【0033】
例えば本実施形態における燃焼装置では、触媒出口温度を1000℃以下に制御しながら触媒燃焼反応を行うものとしている。ここで、本願発明者等は、1000℃以下の燃焼条件では、触媒の細孔構造の変化が小さく、触媒活性成分の揮発および構造変化も小さく、このため触媒表面反応速度を触媒の化学吸着量の関数として表すことができることに着目した。そこで、本実施形態では、触媒の化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として求め、尚且つ当該触媒の触媒表面反応速度定数を化学吸着量の関数として求めるようにしている。ただし、触媒表面反応速度定数を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式および当該式を導く方法が、本実施形態で挙げる例に必ずしも限定されるものではない。
【0034】
触媒の化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式は、特に限定されないが、例えば焼結速度の基礎式に基づく次式を採用できる。尚、数式中の添え字のbは、初期値を示す。また、化学吸着量(数式7中のNaおよびNa)は、触媒の一つの流路(セル)の表面積(即ち、σ・L)を基準とした値としている。
【0035】
【数7】
Figure 0004077659
但し、
Rna;化学吸着量の減少率[−]
Na;化学吸着量[mol/m
Na;初期化学吸着量[mol/m
kb,n,kna;定数[−]
Ena;活性化エネルギ[J/mol]
R;気体定数[J/(mol・K)]
Ts;触媒表面温度[K]
t;燃焼時間[s]
σ;貫通孔の浸辺長[m]
L;触媒長[m]
【0036】
触媒の化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式を導く方法は、特に限定されない。例えば、燃焼装置を用いて種々の温度および時間で燃焼試験を行った触媒について種々の触媒表面温度の化学吸着量を測定し、各処理時間についての測定値(触媒表面温度(Ts)および化学吸着量の減少率(Rna))を、横軸が触媒表面温度の逆数(1/Ts)で縦軸が化学吸着量の減少率の対数(ln(Rna))であるグラフにプロット(即ち、アレニウスプロット)する。当該プロットした点を直線でフィッティングし、その直線の傾きが−Ena/Rになることから、当該傾きを求めると共に当該傾きに−R(気体定数にマイナス1を乗じた値)を乗じて活性化エネルギ(Ena)を求める。例えば、このように求めた活性化エネルギ(Ena)の複数の値の平均値を採用して、数式7中の活性化エネルギ(Ena)を決定することができる。さらに、当該決定した活性化エネルギ(Ena)と化学吸着量の測定試験条件(触媒表面温度と燃焼時間)を数式7に代入し、数式7を実際に測定された化学吸着量にフィッティングすることによって数式7中の定数(n,kna)を決定することができる。以上により、触媒の化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式を導くことができる。
【0037】
また、より簡易に化学吸着量の式を導く方法として、例えば、炉(例えば、電気炉等)を用いて予め定めた温度条件及び時間で熱処理(例えば、焼成処理、エージング処理等)を行った触媒について化学吸着量を測定して、当該測定値に基づき化学吸着量を触媒表面温度と処理時間の関数として表す式を求め、当該求めた関数式を、燃焼装置を用いて予め定めた温度条件及び燃焼時間で燃焼試験を行った触媒について測定した化学吸着量の値に適合するようにフィッティングすることによって、燃焼装置に用いる触媒についての化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式を求めることができる。
【0038】
例えば本実施形態では、より簡易な方法である後者を採用し、電気炉を用いて予め定めた温度条件及び時間でエージング処理を行った触媒について化学吸着量を測定して、各処理時間についての測定値(触媒表面温度(Ts)および化学吸着量の減少率(Rna))を、横軸が触媒表面温度の逆数(1/Ts)で縦軸が化学吸着量の減少率の対数(ln(Rna))であるグラフにアレニウスプロットし、当該プロットした点を直線でフィッティングし、その直線の傾きが−Ena/Rになることから、当該傾きを求めると共に当該傾きに−R(気体定数にマイナス1を乗じた値)を乗じて活性化エネルギ(Ena)を求め、当該求めた活性化エネルギ(Ena)の値の平均値を採用することで数式7中の活性化エネルギ(Ena)を決定し、当該決定した活性化エネルギ(Ena)と化学吸着量の測定試験条件(触媒表面温度と燃焼時間)を数式7に代入し、数式7を実際に測定された化学吸着量にフィッティングすることによって数式7中の定数(n,kna)を仮決定するようにしている。さらに、決定した活性化エネルギ(Ena)と、仮決定した定数(n,kna)とを代入した数式7を、燃焼装置を用いて予め定めた温度条件及び燃焼時間で燃焼試験を行った触媒について測定した化学吸着量の値に適合するようにフィッティングして、数式7中の定数(n,kna)を決定するようにしている。尚、燃焼装置に用いる触媒についての化学吸着量の測定対象としては、水素または一酸化炭素が一般的であり、例えば本実施形態では一酸化炭素(CO)の吸着量を測定するようにしている。
【0039】
触媒表面反応速度定数を化学吸着量の関数として表す式は、例えば本実施形態では、アレニウスの式に触媒化学吸着量の減少率の関数であるf(Rna)を組み込んだ次式を用いている。
【0040】
【数8】
ks=f(Rna)・exp{−Eac/(R・Ts)}
但し、
ks;触媒表面反応速度定数[m/s]
Rna;化学吸着量の減少率[−]
f(Rna);Rnaの関数[m/s]
Eac;活性化エネルギ[J/mol]
R;気体定数[J/(mol・K)]
Ts;触媒表面温度[K]
【0041】
数式8中の活性化エネルギー(Eac)は、例えば次のように求めることができる。即ち、種々の触媒表面温度および時間で熱処理または燃焼試験を行った各触媒について、それぞれ種々の触媒表面温度(Ts)の触媒表面反応速度定数(ks)を測定し、当該測定値を横軸が触媒表面温度の逆数(1/Ts)で縦軸が触媒表面反応速度定数の対数(ln(ks))であるグラフにアレニウスプロットする。当該プロットした点を直線でフィッティングし、その直線の傾きが−Eac/Rになることから、当該傾きを求めると共に当該傾きに−R(気体定数にマイナス1を乗じた値)を乗じて活性化エネルギ(Eac)を求める。例えば、このように求めた活性化エネルギ(Eac)の複数の値の平均値を採用して、数式8中の活性化エネルギ(Eac)を決定することができる。
【0042】
数式8中の化学吸着量の減少率の関数(f(Rna))は、例えば次のように求めることができる。即ち、上記アレニウスプロットにより得られた直線で横軸である触媒表面温度の逆数(1/Ts)が0になるときの縦軸である触媒表面反応速度定数の対数(ln(ks))の値が、ln{f(Rna)}となることから、上記アレニウスプロットを行ったグラフを用いて、種々の触媒表面温度および時間で熱処理または燃焼試験を行った各触媒についてのf(Rna)の値を求める。当該求めたf(Rna)の値と対応するRnaの値とを用いて、横軸が化学吸着量の減少率(Rna)で縦軸が化学吸着量の減少率の関数(f(Rna))であるグラフにプロットを行う。当該プロットしたグラフ上の点を化学吸着量の減少率の関数としてフィッティングすることで、化学吸着量の減少率の関数(f(Rna))を求めることができる。
【0043】
数式8中の触媒表面反応速度定数(ks)は、例えば、空気大過剰の条件下で、触媒燃焼反応が燃料の一次反応で進行すると仮定し、触媒表面反応速度の測定実験の結果から、次式によって求めることができる。
【0044】
【数9】
ks=(Vg/S)・ln(1−CR/100)
但し、
ks;触媒表面反応速度定数[m/s]
Vg;全ガス流量[m /s]
;触媒全表面積[m
CR;燃料反応率[%]
【0045】
一方、軸方向の触媒表面温度および軸方向のガス温度を、軸方向距離の関数または軸方向距離及び燃焼時間の関数として実測値に基づいて求めるにあたっては、触媒出口温度一定で燃焼する場合は、軸方向の触媒表面温度および軸方向のガス温度を軸方向距離の関数として求め、触媒出口温度を変化させて燃焼する場合は、軸方向の触媒表面温度および軸方向のガス温度を軸方向距離及び燃焼時間の関数として求める。本実施形態では、触媒出口温度略一定の条件で燃焼を行うものとし、軸方向の触媒表面温度および軸方向のガス温度を軸方向距離の関数として求めるようにしている。
【0046】
燃焼時における軸方向の触媒表面温度分布は、例えば、触媒入口ガス温度に加えて触媒表面温度を軸方向に2点以上測定することによって求めることができる。本発明者等が、種々実験検討した結果、触媒表面温度を表す関数を軸方向距離の双曲線関数とすると、実際の温度分布との相似性が高いことが知見された。そこで、本実施形態では、触媒表面温度を表す関数を軸方向距離の双曲線関数として、次式を用いて表すようにしている。尚、数式中の添え字の0は、触媒入口における値を示し、添え字のeは、触媒出口における値を示す。
【0047】
【数10】
Ts=C1(Ts−T)z/(C2+z)+T
但し、
Ts;触媒表面温度[K]
Ts;触媒出口における触媒表面温度[K]
;触媒入口におけるガス温度[K]
C1,C2;定数[−]
z;軸方向距離[m]
【0048】
数式10中の定数(C1,C2)は、例えば、触媒表面温度の実測値と測定条件(触媒表面温度の実測値に対応する軸方向距離、触媒出口における触媒表面温度、触媒入口におけるガス温度)に適合するように数式10をフィッティングすることによって、決定することができる。
【0049】
燃焼時における軸方向のガス温度分布は、例えば、触媒入口ガス温度に加えてガス温度を軸方向に2点以上測定することによって求めることができる。本発明者等が、種々実験検討した結果、ガス温度を表す関数を軸方向距離の1次関数とすると、実際の温度分布との相似性が高いことが知見された。そこで、本実施形態では、ガス温度を表す関数を軸方向距離の1次関数として、例えば次式を用いて表すようにしている。尚、数式中の添え字の0は、触媒入口における値を示し、添え字のeは、触媒出口における値を示す。
【0050】
【数11】
T={(T−T)/L}z+T
但し、
T;ガス温度[K]
;触媒出口におけるガス温度[K]
;触媒入口におけるガス温度[K]
z;軸方向距離[m]
L;触媒長[m]
【0051】
数式11を用いる場合、触媒入口におけるガス温度と触媒出口におけるガス温度との2点で求めれば足り、貫通孔内のガス温度の測定が困難である場合等であっても、容易に軸方向のガス温度分布を得ることができる。
【0052】
本願発明者等は、燃焼装置における触媒層の温度(触媒表面温度及び触媒の一つの流路(セル)内のガス温度を含む。)は、通常、軸方向に大きく変化し、軸方向に移動する間に、触媒反応は触媒表面反応速度律速から物質移動速度律速に変化することに着目し、上述した実測値に基づいた触媒表面温度分布およびガス温度分布を用いることによって、エネルギ収支式などを省略し、物質収支に基づいた単独の微分方程式によって燃料反応率を求めることができるとの着想に至った。
【0053】
ここで、本実施形態では、触媒層の軸方向の温度分布・ガス組成分布と比較して、触媒層の半径方向の温度分布・ガス組成分布が小さいことから、一次元のシミュレーションを用いる。また、本実施形態では、計算の簡単のため、次の近似を行う。即ち第一に、触媒層温度は400℃から800℃程度までの範囲であり、この温度域では触媒層内で気相反応はほとんど生じないと考えられる(参考文献;町田正人他、九州大学大学院総合理工学研究科報告、(14),1,1(1992))。そこで、気相反応を除外する。第二に、本発明者等が種々実験した結果、1000℃以下の燃焼試験では、触媒の細孔構造(細孔径)の変化が小さいことが知見されたことから、細孔構造は一定と仮定する。第三に、触媒有効係数(η)は一定と仮定する。第四に、触媒層全体の入口から出口まで、同一の式で一度に計算するために、触媒の形状などは平均値を用いる。
【0054】
触媒の一つの流路(セル)において、気相での燃料の物質収支は次式で表すことができる。尚、ガス境膜物質移動係数(数式12中のkl)は、触媒の一つの流路(セル)の表面積(即ち、σ・L)を基準とした値としている。
【0055】
【数12】
S・v(dCf/dz)+σ・kl(Cf−Cfs)=0
但し、
S;触媒の貫通孔の流路断面積[m
v;触媒の貫通孔中の流速[m/s]
Cf;気相燃料濃度[mol/m
z;軸方向距離[m]
σ;触媒の貫通孔の浸辺長[m]
L;触媒長[m]
kl;ガス境膜物質移動係数[m/s]
Cfs;触媒表面燃料濃度[mol/m
【0056】
また、触媒の一つの流路(セル)において、触媒表面での燃料の物質収支は次式で表すことができる。尚、ガス境膜物質移動係数(数式13中のkl)および触媒表面反応速度定数(数式13中のks)は、触媒の一つの流路(セル)の表面積(即ち、σ・L)を基準とした値としている。
【0057】
【数13】
kl(Cf−Cfs)=η・ks・Cfs
但し、
kl;ガス境膜物質移動係数[m/s]
Cf;気相燃料濃度[mol/m
Cfs;触媒表面燃料濃度[mol/m
η;触媒有効係数[−]
ks;触媒表面反応速度定数[m/s]
【0058】
数式12と数式13をまとめると、次式となる。
【0059】
【数14】
dCf/dz=−{σ・Cf/(S・v)}[1/{1/(η・ks)+1/kl}]
【0060】
触媒表面反応速度定数(数式14中のks)は、先に説明した数式8から求める。ガス境膜物質移動係数(数式14中のkl)は、アナロジーが成立すると仮定し、乱流における助走区間の空気に対する次式を適用する(公知文献1等参考)。
【0061】
【数15】
kl=0.022(D/dh)Re0.8・Sc0.5[1+0.8{1+(Re/1700)−1.5}/(z/dh)]
但し、
kl;ガス境膜物質移動係数[m/s]
D;空気中における燃料成分の拡散係数[m/s]
dh;触媒の一つの流路(セル)の水力直径[m]
Re;レイノルズ数[−]
Sc;シュミット数[−]
z;軸方向距離[m]
【0062】
数式15中の空気中における燃料成分の拡散係数(D)、触媒の一つの流路(セル)の水力直径(dh)、レイノルズ数(Re)、シュミット数(Sc)は、ぞれぞれ数式16〜数式19を用いて求める。尚、空気中における燃料成分の拡散係数(D)は、本実施形態ではメタンの値を使用する。また、ガス密度(ρ)は、本実施形態では空気の値を使用する。
【0063】
【数16】
D=19.6×10−6(T/273.15)1.75・101325/P
但し、
D;空気中における燃料成分の拡散係数[m/s]
T;ガス温度[K]
P;圧力[Pa]
【0064】
【数17】
dh=4S/σ
但し、
dh;触媒の一つの流路(セル)の水力直径[m]
S;触媒の貫通孔の流路断面積[m
σ;触媒の貫通孔の浸辺長[m]
【0065】
【数18】
Re=ρ・v・dh/μ
但し、
Re;レイノルズ数[−]
ρ;ガス密度[kg/m
v;触媒の貫通孔中の流速[m/s]
dh;触媒の一つの流路(セル)の水力直径[m]
μ;粘度[Pa・s]
【0066】
【数19】
Sc=μ/(ρ・D)
但し、
Sc;シュミット数[−]
μ;粘度[Pa・s]
ρ;ガス密度[kg/m
D;空気中における燃料成分の拡散係数[m/s]
【0067】
粘度(μ)の値は、例えば公知文献1に示された値を基に、次式に示す2次式でフィッティングして求める。
【0068】
【数20】
μ=6.421×10−6+4.516×10−8T−8.221×10−12
但し、
μ;粘度[Pa・s]
T;ガス温度[K]
【0069】
ところで、数式15の適用範囲は、レイノルズ数が3000から5×10までで且つ助走区間(軸方向距離)が径の約20倍までとなる。本実施形態の条件においてとり得るレイノルズ数の値は、6000から8000程度であり、数式15の適用範囲となる。一方、軸方向距離は、数式15に適応しない範囲を生じ得る。軸方向距離が径の20倍以上の範囲において、流れが十分発達した領域には、次式が適用される(公知文献1等参考)。
【0070】
【数21】
kl=0.022(D/dh)Re0.8・Sc0.5
但し、
kl;ガス境膜物質移動係数[m/s]
D;空気中における燃料成分の拡散係数[m/s]
dh;触媒の一つの流路(セル)の水力直径[m]
Re;レイノルズ数[−]
Sc;シュミット数[−]
【0071】
しかしながら、本願発明者等が実験検討したところ、本実施形態の条件においては、数式15と数式21との計算結果との差違は2%から4%程度と少ないことが知見されたため、本実施形態では全域について数式15を適用する。
【0072】
ここで、数式8から計算により求めた触媒表面反応速度定数(ks)と、実際の触媒表面反応速度定数(数式8中のksと区別するためks”と表記する。)とは、現実には一致しない場合があり得る。また、実際の物質移動面積は触媒の一つの流路(セル)の浸辺長(σ)と触媒長(L)を乗じた単純面積とは異なると考えられることから、数式15から計算により求めたガス境膜物質移動係数(kl)と、実際のガス境膜物質移動係数(数式15中のklと区別するためkl”と表記する。)とは、現実には一致しない場合があり得る。燃料の物質収支式(数式14)は、実際の触媒表面反応速度定数(ks”)と実際のガス境膜物質移動係数(kl”)とを用いると、次式で表される。
【0073】
【数22】
dCf/dz=−{σ・Cf/(S・v)}[1/{1/(η・ks”)+1/kl”}]
【0074】
本実施形態では、数式8から求めた触媒表面反応速度定数(ks)を、実際の触媒表面反応速度定数(ks”)に適合するために、次式に示すように、触媒有効係数(η)も含めた補正係数(A)を導入する。
【0075】
【数23】
η・ks”=A・ks
但し、
η;触媒有効係数[−]
ks”;実際の触媒表面反応速度定数[m/s]
ks;数式8から求めた触媒表面反応速度定数[m/s]
A;補正係数[−]
【0076】
また、数式15から求めたガス境膜物質移動係数(kl)を、実際のガス境膜物質移動係数(kl”)に適合するために、次式に示すように、面積の補正係数(B)を導入する。
【数24】
kl”=B・kl
但し、
kl”;実際のガス境膜物質移動係数[m/s]
kl;数式15から求めたガス境膜物質移動係数[m/s]
B;補正係数[−]
【0077】
数式23及び数式24を数式22に代入すると、次式となる。
【数25】
dCf/dz=−{σ・Cf/(S・v)}[1/{1/(A・ks)+1/(B・kl)}]
但し、
境界条件;z=0のとき、Cf=Cf、v=v、T=Ts=T
Cf;気相燃料濃度[mol/m
Cf;触媒入口における気相燃料濃度[mol/m
z;軸方向距離[m]
σ;触媒の貫通孔の浸辺長[m]
S;触媒の貫通孔の流路断面積[m
v;触媒の貫通孔中のガス流速[m/s]
;触媒入口におけるガス流速[m/s]
T;ガス温度[K]
;触媒入口におけるガス温度[K]
Ts;触媒表面温度[K]
ks;数式8から求めた触媒表面反応速度定数[m/s]
kl;数式15から求めたガス境膜物質移動係数[m/s]
A,B;補正係数[−]
【0078】
尚、数式25を一般化すると、次式で表すことができる。
【数26】
dCf/dz=−(Cf/G)[1/{1/(A・ks)+1/(B・kl)}+kg]
但し、
境界条件;z=0のとき、Cf=Cf、T=Ts=T
Cf;気相燃料濃度[mol/m
Cf;触媒入口における気相燃料濃度[mol/m
z;軸方向距離[m]
G;ガス流量と触媒量とによって定まる数[m/s]
T;ガス温度[K]
;触媒入口におけるガス温度[K]
Ts;触媒表面温度[K]
t;燃焼時間[s]
ks;触媒表面反応速度定数[m/s]
kl;ガス境膜物質移動係数[m/s]
kg;気相反応速度定数[m/s]
A,B;補正係数[−]
【0079】
ここで、本実施形態では、媒表面反応速度定数(ks)およびガス境膜物質移動係数(kl)を、触媒の貫通孔の浸辺長(σ)と触媒長(L)とを乗じたもの(すなわち貫通孔の表面積σ・L)を基準にして算出している。この場合、数式26中のガス流量と触媒量とによって定まる数(G)は、次式で表すことができる。
【0080】
【数27】
G=(S・v)/σ
但し、
G;ガス流量と触媒量とによって定まる数[m/s]
S;触媒の貫通孔の流路断面積[m
v;触媒の貫通孔中のガス流速[m/s]
σ;触媒の貫通孔の浸辺長[m]
【0081】
尚、本実施形態では、気相反応を除外する近似を行っているので、気相反応速度定数(kg)を省略している。気相反応を考慮する場合は、気相反応速度定数(kg)を省略していない数式26を用いれば良い。気相反応速度定数(kg)は、公知文献2等に示された一般に用いられる数式を適用して良い。触媒入口における気相燃料濃度(Cf)、触媒入口におけるガス温度(T)、触媒の貫通孔の流路断面積(S)、触媒入口におけるガス流速(v)、触媒の貫通孔の浸辺長(σ)は、測定したデータを使用して良い。
【0082】
燃料反応率は、例えば本実施形態では次式により求めるようにしている。尚、数式中の添え字の0は、触媒入口における値を示し、添え字のeは、触媒出口における値を示し、添え字のNは、標準状態(273.15K、1.0132×10Pa)に換算した値を示す。
【0083】
【数28】
CR=100(Cf0N−CfeN)/CF0N
但し、
CR;燃料反応率[%]
Cf;気相燃料濃度[mol/m
Cf0N;触媒入口における気相燃料濃度を標準状態に換算した値[mol/m
CfeN;触媒出口における気相燃料濃度を標準状態に換算した値[mol/m
【0084】
以上をまとめると、本実施形態の燃焼装置における触媒の寿命予測方法は、例えば以下のようにして行われる。
【0085】
即ち、燃焼装置を用いた燃焼試験を行って、数式10及び数式11に基づいた軸方向の触媒表面温度分布および軸方向のガス温度分布を求めると共に、燃料反応率の経時変化の実測値を求める。この燃焼試験は、触媒寿命が無くなるまで行うような長時間を要するものではなく、軸方向の触媒表面温度分布および軸方向のガス温度分布を求めることができ、且つ燃焼装置における燃料反応率の経時変化の実測値を求めることができ、且つ当該燃料反応率の実測値の各時点における条件データ(例えば数式8,数式10,数式11,数式15,数式25等を用いた計算に必要となるデータである。)を測定できるものであれば足りる。
【0086】
そして、炉(例えば電気炉)を用いて予め定めた温度条件及び時間で熱処理(例えばエージング処理)を行った触媒について化学吸着量を測定して、測定値(種々の触媒表面温度(Ts)の化学吸着量の減少率(Rna))のアレニウスプロットを行って、当該アレニウスプロットをフィッティングした直線の傾きに基づいて活性化エネルギ(Ena)を求め、当該求めた活性化エネルギ(Ena)の値の平均値を採用することで数式7中の活性化エネルギ(Ena)を決定する。さらに、当該決定した活性化エネルギ(Ena)と試験条件(触媒表面温度と燃焼時間)を数式7に代入し、数式7を実際に測定された化学吸着量にフィッティングすることによって数式7中の定数(n,kna)を仮決定する。次に、決定した活性化エネルギ(Ena)と、仮決定した定数(n,kna)とを代入した数式7を、燃焼装置を用いて予め定めた温度条件及び燃焼時間で燃焼試験を行った触媒について測定した化学吸着量の値に適合するようにフィッティングして、数式7中の定数(n,kna)を決定する。
【0087】
また、種々の触媒表面温度および時間で熱処理または燃焼試験を行った各触媒について、種々の触媒表面温度(Ts)における触媒表面反応速度定数(ks)を測定し、数式8に代入してアレニウスプロットを行い、当該アレニウスプロットをフィッティングした直線の傾きに基づいて活性化エネルギ(Eac)を求め、当該求めた活性化エネルギ(Eac)の値の平均値を採用することで数式8中の活性化エネルギ(Eac)を決定する。さらに、上記アレニウスプロットを行ったグラフを用いて種々の触媒表面温度および時間で熱処理または燃焼試験を行った各触媒についてのf(Rna)の値を求め、当該求めたf(Rna)の値を対応するRnaの値の関数としてフィッティングすることで、化学吸着量の減少率の関数(f(Rna))を求める。
【0088】
そして、数式8,数式10,数式11,数式15,数式25,数式28と、燃焼試験で得た条件データとを用いて数値計算を行い、燃料反応率の経時変化のシミュレーション値を求める。そして、計算で求めた燃料反応率の経時変化のシミュレーション値が、燃焼試験により明らかとなっている燃料反応率の経時変化の実測値に適合するように、補正係数(A,B)をフィッティング(調整)する。そして、フィッティングされた補正係数(A,B)及び燃焼試験で得た条件データとを代入した数式25を用いて、燃焼試験を行った期間より更に長時間後の燃料反応率を推定する。そして、推定される燃料反応率が、予め定めた許容燃料反応率の下限値を下回る時間を求める。当該時間が、触媒の寿命と推定される。
【0089】
【実施例】
以上に説明した実施形態に基づいて燃焼装置における触媒の寿命予測方法を実際に実施した具体例について、図1から図11を用いて以下に説明する。
【0090】
先ず、燃焼試験を行って燃料反応率の経時変化の実測値を求めた。図1に、本実施例で用いた加圧基礎燃焼試験装置の構成図を示す。この燃焼試験装置は、空気加熱器1と、プリバーナ2と、スタティックミキサ3と、燃料混合器(ベンチュリミキサ)4と、触媒が装着された触媒反応部5と、燃料分析装置(ガスクロマトグラフ)6と、連続式ガス分析装置7と、予混合燃焼部8と、焼却炉9と、冷却器10と、触媒出口温度を1000℃以下に制御する制御装置11等から主に構成されている。燃焼試験装置に供給される空気は、空気加熱器1で昇温され、プリバーナ2で予熱され、スタティックミキサ3で均一化された後、ベンチュリミキサ4で燃料と混合されて、触媒反応部5に供給される。反応後のガスは、焼却炉9で燃焼され、冷却器10、減圧弁(図示省略)を経て煙突(図示省略)から排出される。燃料はLNG(液化天然ガス)を使用した。燃料組成はガスクロマトグラフ6で分析した。触媒入口および触媒出口におけるガスの性状を連続式ガス分析装置7で分析した。触媒反応部5の反応温度をほぼ一定に保持するようにして、触媒反応部5における燃料反応率を測定して触媒性能の経時変化を測定した。燃料反応率は、乾燥ガス中のメタン換算燃料濃度を測定したため、数式28の代わりに、例えば次式を用いて計算した。尚、数式中の添え字の0は、触媒入口における値を示し、添え字のeは、触媒出口における値を示す。
【0091】
【数29】
CR=100(Va+Vf)(CH−CH)/{(Va+Vf)CH−2Vf・CH
但し、
CR;燃料反応率[%]
CH;メタン換算燃料濃度(Dry)[vol%]
CH;触媒入口におけるメタン換算燃料濃度(Dry)[vol%]
CH;触媒出口におけるメタン換算燃料濃度(Dry) [vol%]
Va;空気量[m /h]
Vf;燃料量[m /h]
【0092】
触媒をガスタービン用複合型触媒燃焼器に適用する場合、触媒の許容燃料反応率の下限値は一般に19%となるため、本実施例では、燃料反応率19%を触媒寿命の指標とした。燃焼試験の諸条件を表1に示す。
【0093】
【表1】
Figure 0004077659
【0094】
尚、本実施例に用いた触媒の構造は、触媒入口から順に四段で構成されるものとし、第一段目の触媒及び第二段目の触媒のセル密度は60cpiとし、第三段目の触媒及び第四段目の触媒のセル密度は200cpiとした。また、各段の触媒長は25mmとし、従って、合計触媒長は100mmであった。燃焼試験は、触媒の積算反応時間が460時間となるまで行った。
【0095】
燃焼試験の結果を図2に示す。燃料反応率は時間経過とともに低下するが、燃料反応率の低下速度は時間とともに遅くなり、積算反応時間が460時間における燃料反応率は、約35%程度となった。
【0096】
また、燃焼試験において、触媒反応部5の入口及び出口のガス温度を測定するとともに、触媒反応部5の入口及び出口及び入口と出口の間の触媒表面温度を測定し、これら実測値について同一の軸方向距離ごとの平均値を求め、当該平均値及び測定条件に適合するように数式10及び数式11をフィッティング(調整)した(図6参照)。数式10をフィッティングした結果を数式30に示し、数式11をフィッティングした結果を数式31に示す。
【0097】
【数30】
Ts=1.025(Ts−T)z/(0.00261+z)+T
【数31】
T=10(T−T)z+T
【0098】
また、燃焼試験において、触媒入口における気相燃料濃度を測定した。触媒入口におけるガス温度(T)、触媒出口におけるガス温度(T)、触媒出口における触媒表面温度(Ts)、触媒入口における気相燃料濃度(Cf)の経時変化を図8に示す。
【0099】
本実施例では、上記燃焼試験を行った触媒の物性を分析するとともに、燃焼試験に用いた触媒と同一の触媒(即ち材質・形状・構造等が同一のもの)について燃焼試験を行わずエージング処理を行い当該エージング処理後の触媒の物性を分析した。エージング処理は、電気炉を用いて、600℃で25時間行なう場合と、800℃で25時間行なう場合と、800℃で100時間行なう場合と、800℃で400時間行なう場合と、1000℃で25時間行なう場合との5種類について、それぞれ別個の触媒を用いて行った。燃焼試験を行った触媒の物性分析については、40時間燃焼後および460時間燃焼後の触媒について行った。分析の対象は、平均細孔径、比表面積、化学吸着量、触媒活性成分の値とした。平均細孔径の測定は、マイクロメリティックス社製 Autopore 9220を用いて行った。比表面積の測定は、マイクロメリティックス社製 GEMINI 2360を用いて、試料表面に吸着した水分などを除去するために窒素気流中200℃で2時間の前処理を行った後、BET多点法に基づいて行った。化学吸着量の測定は、大倉理研製 MODEL R6015を用いて測定した。前処理としてヘリウム気流中で室温から400℃まで10℃/minで昇温後、400℃で15分水素還元し、その後15分脱気した後、50℃まで10℃/minで降温してCO吸着量を測定した。吸着したCO分子の数を化学吸着量とした。触媒活性成分の定量分析は、高周波プラズマ発光分光分析(日本ジャーレル・アッシュ製 IRIS Advantage ICAP)を用いて行った。800℃で400時間のエージング処理を行った触媒についての分析結果を図3に示す。同図から明らかなように、触媒活性成分担持量(貴金属量)及び平均細孔径はほとんど変化しなかったが、比表面積と化学吸着量が大きく変化した。
【0100】
エージング処理における化学吸着量の分析結果とエージング処理条件(触媒表面温度と処理時間等)とを代入した数式7に基づく化学吸着量の減少率(Rna)のアレニウスプロットから、数式7中の活性化エネルギ(Ena)を求め、当該求めた活性化エネルギ(Ena)の値の平均値を採用することで数式7中の活性化エネルギ(Ena)を決定した。また、当該決定した活性化エネルギ(Ena)と試験条件(触媒表面温度と燃焼時間)を数式7に代入し、数式7を実際に測定された化学吸着量にフィッティングすることによって数式7中の定数(n,kna)を仮決定した。なお、本実施例では、燃焼試験における触媒層温度の範囲が800℃以下であったことから(表1参照)、熱処理試験における1000℃のデータは除外し、600℃と800℃のデータを基にフィッティングを行い、活性化エネルギ(Ena)を算出した。
【0101】
次に、決定した活性化エネルギ(Ena)と、仮決定した定数(n,kna)とを代入した数式7を、40時間燃焼後および460時間燃焼後の触媒についての化学吸着量の各分析値に適合するようにフィッティングして、数式7中の定数(n,kna)を決定した。尚、この計算に際し、40時間燃焼後および460時間燃焼後の触媒の化学吸着量の各分析値については、二段目の触媒(60cpi)と四段目の触媒(200cpi)のデータの平均値を用い、また燃焼試験において測定した触媒反応部5の各部温度の平均値を用いた。数式7をフィッティングした結果を図7に示す。燃焼試験を行った触媒についての化学吸着量の分析値に合わせたため、計算結果は、エージング処理を行った触媒についての化学吸着量の分析値と合致しない部分を生じた。これは、燃焼によって、活性点の減少速度が加速された結果と考えられる。
【0102】
次に、上記燃焼試験後の触媒について触媒表面反応速度を測定し、且つ上記エージング処理後の触媒について触媒表面反応速度を測定し、且つ燃焼試験もエージング処理も行っていない触媒について触媒表面反応速度を測定した。触媒表面反応速度の測定は、流通式反応管を用いて行った。流通式反応管はインコネル外管と石英ガラス内管の二重構造となっているものを用いた。燃料を触媒の手前で予熱空気と混合して触媒に供給した。生成ガスを連続分析装置で定量分析した。燃料は、LNGの組成を模擬するために、CHが89.5vol%、Cが5vol%、Cが3.5vol%、C10が2vol%の混合ガスを用いた。圧力0.8MPa、空間速度280000h−1、燃料濃度0.3vol%、昇温速度5℃/minの条件で、数式28により20%までの燃料反応率を測定した。空気大過剰の条件下で、触媒燃焼反応が燃料の一次反応で進行すると仮定し、数式9によって 各触媒の燃料反応率20%までの触媒表面反応速度定数を求めた。次に、当該求めた触媒表面反応速度定数を数式8に代入してアレニウスプロットを行い、当該アレニウスプロットをフィッティングした直線の傾きに基づいて活性化エネルギ(Eac)を求め、当該求めた活性化エネルギ(Eac)の値の平均値を採用することで数式8中の活性化エネルギ(Eac)を求めた。さらに、上記アレニウスプロットを行ったグラフを用いて種々の触媒表面温度および時間で熱処理または燃焼試験を行った各触媒についてのf(Rna)の値を求め、当該求めたf(Rna)の値を対応するRnaの値の関数としてフィッティングすることで、数式8中の化学吸着量の減少率の関数(f(Rna))を求めた。アレニウスプロットの結果を図4に示す。アレニウスプロットは、ほぼ直線になり、活性化エネルギの各条件における相違はほとんど無く、活性化エネルギは約80kJ/molとなった。また、触媒表面温度が350℃の場合における触媒表面反応速度定数と化学吸着量の関係を図5に示す。同図から、化学吸着量と触媒表面反応速度定数がほぼ比例関係にあることが確認できる。上述したように各条件の活性化エネルギ(Eac)が同程度であったことから、触媒表面反応速度定数(ks)をexp{−Eac/(R・Ts)}で除した値は、化学吸着量の減少率の関数(f(Rna))として示すことができ、数式8が成立すると考えられる。特に、本実施例では、触媒表面速度定数が化学吸着量に比例したことから、数式8に示す化学吸着量の減少率の関数(f(Rna))は、次式に示すように、化学吸着量の減少率(Rna)の比例式として表すことができる。
【0103】
【数32】
f(Rna)=Ac・Rna
但し、
f(Rna);Rnaの関数[m/s]
Ac;定数[m/s]
Rna;化学吸着量の減少率[−]
【0104】
そして、数式8,数式10,数式11,数式15,数式25,数式28と、燃焼試験で得た条件データとを用いて、四次のRunge-Kutta法により数値計算を行い、燃焼試験により実際に燃料反応率を測定した時刻と同時刻における燃料反応率のシミュレーション値を求めた。尚、計算に際して、軸方向距離(z)の刻み値は、計算結果が収束するように0.001[m]とした。また、化学吸着量の減少率(Rna)の計算において、各時点の触媒出口における触媒表面温度(Ts)から求めた触媒表面温度(Ts)を用いると、触媒出口における触媒表面温度(Ts)の経時変化によって大きな誤差を生じることから、触媒出口における触媒表面温度(Ts)の積算反応時間が460時間までの平均値(Tsem)を用いた。その他の計算に必要な触媒表面温度(Ts)については、各時点の触媒出口における触媒表面温度(Ts)から求めた触媒表面温度(Ts)を用いた。また、一部のデータにおいて、二段目の触媒の方が四段目の触媒より触媒表面温度が高くなったが、その場合は二段目の触媒の触媒表面温度を採用した。
【0105】
そして、計算で求めた燃料反応率の経時変化のシミュレーション値が、燃焼試験により明らかとなっている燃料反応率の経時変化の実測値に適合するように、補正係数(A,B)をフィッティング(調整)した。計算に用いた触媒の各種データおよびフィッティングによって求めた補正係数(A,B)を表2に示す。
【0106】
【表2】
Figure 0004077659
【0107】
また、シミュレーション結果の一例として、燃焼時間が9時間経過後における触媒層内において、数式8等に基づいて計算された触媒表面反応速度定数(ks)、数式15等に基づいて計算されたガス境膜物質移動係数(kl)、数式28等に基づいて計算された燃料反応率(CR)、下記の数式33に基づいて計算された総括反応速度定数(k)のそれぞれついて、軸方向距離(z)との関係を表す分布曲線を図9に示す。
【0108】
【数33】
k=1/{1/(A・ks)+1/(B・kl)}
但し、
k;総括反応速度定数[m/s]
ks;触媒表面反応速度定数[m/s]
kl;ガス境膜物質移動係数[m/s]
A,B;補正係数[−]
【0109】
図9から、ガス境膜物質移動係数(kl)は触媒層入口の助走区間で急激に減少した後、緩やかな増加に転じていることが確認できる。一方、触媒表面反応速度(ks)は触媒層入口から急速に上昇し、徐々に上昇速度が緩やかになることが確認できる。これらの結果、全体の反応速度は、触媒層入口から出口にかけて、触媒表面反応速度律速からガス境膜物質移動律速に変化する。これらの状況は、従来の研究結果(参考文献;町田正人他、九州大学大学院総合理工学研究科報告、(14),1,1(1992)等)と矛盾しないものと考えられる。また、図9に示されるように、燃料反応率(CR)は触媒層入口から出口にかけてほぼ直線的に上昇しており、ガス温度は燃料反応率にほぼ比例して上昇すると考えられることから、ガス温度の一次式による近似は概ね妥当と考えられる。なお、図9に示されるように、触媒層入口の短い距離において燃料反応率が負になることから、触媒入口におけるガスの温度上昇率は数式11よりも少ない可能性があるが、負になる燃料反応率は燃料反応率全体と比較すると僅かであることから、その影響は無視できるものと考えられる。
【0110】
燃料反応率についての燃焼試験結果(実測値)とシミュレーション結果(計算値)との比較を図10に示す。シミュレーション結果は燃焼試験結果と全域にわたり概ね合致した。本実施例のシミュレーションによる燃料反応率の計算結果は、実験値とほぼ類似の傾向を示すことが確認できた。このことから、触媒の活性低下は、主としてシンタリング機構またはシンタリング機構と同様の変化速度式を有する機構に基づいて化学吸着量が減少し、化学吸着量に比例して触媒表面反応速度が低下することに起因すると判断される。その結果、燃焼試験時間(460時間)以降も上記機構によって触媒が劣化し、例えば、圧力、流速、入口温度などの条件が一定に保持され、且つ触媒温度分布も一定である場合等には、信頼性の高い触媒の寿命予測が可能になる。
【0111】
フィッティングされた補正係数(A,B)及び燃焼試験で得た各種条件データとを代入した数式25を用いて、燃焼試験を行った460時間より更に長時間後の燃料反応率の推算結果を図11に示す。図11から、8500時間で触媒の許容燃料反応率の下限値19%を下回ることから、当該触媒の寿命は8500時間と予測される。
【0112】
本発明の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、軸方向の触媒表面温度およびガス温度を軸方向距離の関数としているため、エネルギ保存式などに基づく式などを含む複雑な連立微分方程式を解く必要が無くなり、計算が単純化されて高速で収束性の高い計算が可能となる。その結果、短時間の燃焼試験で更に長時間後の触媒の燃焼性能を予測でき、触媒の寿命の確認に要する時間と費用を大幅に節減できる。
【0113】
また、軸方向の触媒表面温度を軸方向距離の双曲線関数として表すことで、実際の温度分布との相似性が高まり、少ない測定点でより正確な計算が可能となる。また、軸方向のガス温度を軸方向距離の一次関数として表すことで、実際の温度分布との相似性が高まり、少ない測定点でより正確な計算が可能となる。
【0114】
また、費用と労力が必要な燃焼試験の代わりに、炉を用いて触媒に熱処理(焼成処理やエージング処理など)を施すことによって、触媒表面反応速度定数を簡易に求めることができる。
【0115】
また、1000℃以下の燃焼条件では触媒表面反応速度定数が触媒の化学吸着量の関数となることに着目し、化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として示す式を利用することによって、他の劣化要因に基づく式を組み合わせずに触媒の寿命予測が可能となり、計算が単純化されて高速な計算が可能となる。
【0116】
また、1000℃以下の燃焼条件では活性成分粒子の焼結による化学吸着量の減少が、触媒の主な劣化要因となる場合が多く、他の劣化要因も焼結速度に基づく数式で変化速度を表すことができるので、焼結速度に基づく数式7を用いることによって、少ないデータでより正確な寿命予測が可能となる。
【0117】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0118】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、エネルギ保存式などに基づく式などを含む複雑な連立微分方程式を解く必要が無く、物質収支に基づいた単独の微分方程式によって燃料反応率のシミュレーション値を求めることができるので、計算が単純化されて高速で収束性の高い計算が可能となる。その結果、短時間の燃焼試験で更に長時間後の触媒の燃焼性能を予測でき、触媒の寿命の確認に要する時間と費用を大幅に節減することができる。
【0119】
さらに、請求項2記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、触媒表面温度を表す関数を軸方向距離の双曲線関数としているので、実際の温度分布との相似性が高く、少ない測定点でより正確な計算が可能となる。
【0120】
さらに、請求項3記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、ガス温度を表す関数を軸方向距離の1次関数としているので、実際の温度分布との相似性が高く、少ない測定点でより正確な計算が可能となる。
【0121】
さらに、請求項4記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、ガス温度を表す関数を求めるにあたって、触媒入口におけるガス温度と触媒出口におけるガス温度との2点で求めれば足り、貫通孔内のガス温度の測定が困難である場合等であっても、容易に軸方向のガス温度分布を得ることができる。
【0122】
さらに、請求項5記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、1000℃以下の燃焼条件では触媒表面反応速度定数が触媒の化学吸着量の関数となることに着目し、化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として示す式を利用することによって、他の劣化要因に基づく式を組み合わせずに触媒の寿命予測が可能となり、計算が単純化されて高速な計算が可能となる。
【0123】
さらに、請求項6記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、費用と労力が必要な燃焼試験の代わりに、炉を用いて触媒に熱処理(焼成処理やエージング処理など)を施すことによって、触媒表面反応速度定数を簡易に求めることができる。
【0124】
さらに、請求項7記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、1000℃以下の燃焼条件では、活性成分粒子の焼結による化学吸着量の減少が触媒の主な劣化要因となる場合が多く、他の劣化要因も焼結速度に基づく数式で変化速度を表せる場合が多いため、焼結速度に基づく数式を用いることによって、少ないデータでより正確な寿命予測が可能となる。
【0125】
さらに、請求項8記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、化学反応速度定数の温度変化に関する式として一般に知られるアレニウスの式に、焼結速度に基づく数式を組み込むことによって、少ないデータでより正確な寿命予測が可能となる。
【0126】
さらに、請求項9記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法によれば、物質収支に基づいた単独の微分方程式によって気相燃料濃度を求めることができ、補正係数(A,B)をフィッティングすることによって、燃料反応率の実測値に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒の寿命予測方法に用いた燃焼試験装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の触媒の寿命予測方法における燃焼試験の結果の一例を示すグラフであり、縦軸は燃料反応率の実測値を表し、横軸は時間経過を表す。
【図3】本発明の触媒の寿命予測方法における熱処理後の触媒の物性分析の結果の一例を示すグラフであり、触媒活性成分担持量(貴金属量)、平均細孔径、比表面積、化学吸着量について、熱処理により変化した割合を示す。
【図4】本発明の触媒の寿命予測方法において、測定された触媒表面反応速度定数と触媒表面温度とをプロットした結果の一例を示すグラフであり、縦軸は触媒表面反応速度定数の自然対数の値を表し、横軸は触媒表面温度の逆数の値を表す。
【図5】本発明の触媒の寿命予測方法において、測定された触媒表面反応速度定数と化学吸着量とをプロットした結果の一例を示すグラフであり、縦軸は触媒表面反応速度定数の値を表し、横軸は化学吸着量の値を表す。
【図6】本発明の触媒の寿命予測方法において、軸方向の触媒表面温度およびガス温度を表す式を実測値に基づいてフィッティングした結果の一例を示すグラフであり、縦軸は触媒表面温度およびガス温度を表し、横軸は軸方向距離を表す。また、グラフ中の○は触媒表面温度の実測値を示し、グラフ中の×はガス温度の実測値を示し、グラフ中の実線はフィッティング結果を表す。
【図7】本発明の触媒の寿命予測方法において、触媒の化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式を、化学吸着量の実測値に基づいてフィッティングした結果の一例を示すグラフであり、縦軸は化学吸着量の減少率の値を表し、横軸は時間経過を表す。
【図8】本発明の触媒の寿命予測方法において、触媒入口におけるガス温度、触媒出口におけるガス温度、触媒出口における触媒表面温度、触媒入口における気相燃料濃度の経時変化をの一例を示すグラフであり、縦軸はガス温度及び触媒表面温度及び気相燃料濃度の値を表し、横軸は時間経過を表す。
【図9】本発明の触媒の寿命予測方法におけるシミュレーション結果の一例を示すグラフであり、計算された触媒表面反応速度定数、ガス境膜物質移動係数、燃料反応率、総括反応速度定数のそれぞれついて、軸方向距離との関係を表す分布曲線を示す。縦軸は、触媒表面反応速度定数、ガス境膜物質移動係数、燃料反応率、総括反応速度定数の値を表し、横軸は軸方向距離の値を表す。
【図10】燃料反応率についての燃焼試験結果(実測値)とシミュレーション結果(計算値)との比較の一例を示すグラフであり、縦軸は燃料反応率の値を表し、横軸は時間経過を表す。また、グラフ中の○は燃焼試験結果(実測値)を表し、グラフ中の実線はシミュレーション結果(計算値)を表す。
【図11】燃焼試験を行った時間より更に長時間後の燃料反応率の推算結果の一例を示すグラフであり、縦軸は燃料反応率の値を表し、横軸は時間経過を表す。また、グラフ中の○は燃焼試験結果(実測値)を表し、グラフ中の実線はシミュレーション結果(計算値)を表し、グラフ中の一点鎖線は触媒の許容燃料反応率の下限値を表す。
【符号の説明】
1 空気加熱器
2 プリバーナ
3 スタティックミキサ
4 燃料混合器(ベンチュリミキサ)
5 触媒反応部
6 燃料分析装置(ガスクロマトグラフ)
7 続式ガス分析装置
8 予混合燃焼部
9 焼却炉
10 冷却器
11 制御装置

Claims (9)

  1. 入口と出口と前記入口から前記出口までの貫通孔とを有する触媒を装着し、燃料と酸素を含むガスを前記触媒に供給し、触媒出口温度を1000℃以下に制御しながら触媒燃焼反応を行う燃焼装置において、前記触媒の触媒表面反応速度定数を触媒表面温度と燃焼時間の関数として実測値に基づいて求めると共に、前記入口から前記出口に向かう軸方向の触媒表面温度および前記軸方向のガス温度を前記軸方向の距離の関数または前記軸方向距離及び燃焼時間の関数として実測値に基づいて求め、当該求めた関数を用いて前記燃焼装置における燃料の物質収支式を立て、複数の異なる燃焼時間について前記物質収支式を解くことによって燃料反応率の経時変化のシミュレーション値を求め、当該求めた燃料反応率の経時変化のシミュレーション値が前記燃焼装置における燃料反応率の経時変化の実測値に適合するように前記物質収支式をフィッティングし、当該フィッティングされた物質収支式を用いて将来の燃料反応率を推定することを特徴とする燃焼装置における触媒の寿命予測方法。
  2. 前記触媒表面温度を表す関数が、前記軸方向距離の双曲線関数であることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法。
  3. 前記ガス温度を表す関数が、前記軸方向距離の1次関数であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法。
  4. 前記ガス温度を表す関数を、触媒入口のガス温度と触媒出口のガス温度から求めることを特徴とする請求項3記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法。
  5. 前記燃焼装置は、触媒出口温度を1000℃以下に制御しながら触媒燃焼反応を行う装置であり、前記触媒の化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として求め、尚且つ前記触媒の触媒表面反応速度定数を前記化学吸着量の関数として求めることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法。
  6. 炉を用いて予め定めた温度条件及び時間で熱処理を行った触媒について化学吸着量を測定して、当該測定値に基づき化学吸着量を触媒表面温度と処理時間の関数として表す式を求め、当該求めた関数式を、前記燃焼装置を用いて予め定めた温度条件及び燃焼時間で燃焼試験を行った触媒について測定した化学吸着量の値に適合するようにフィッティングすることによって、前記燃焼装置に用いる触媒についての化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式を求めることを特徴とする請求項5記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法。
  7. 前記化学吸着量を触媒表面温度と燃焼時間の関数として表す式が、前記触媒の単位表面積を基準として導出して単位はSI単位系を用いた場合に、次式で表されることを特徴とする請求項5または請求項6記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法。
    <数1>
    Rna=Na/Na
    =[kna・exp{−Ena/(R・Ts)}t+1]-1 /(n−1)
    但し、
    Rna;化学吸着量の減少率[−]
    Na;化学吸着量[mol/m
    Na;初期化学吸着量[mol/m
    n,kna;定数[−]
    Ena;活性化エネルギ[J/mol]
    R;気体定数[J/(mol・K)]
    Ts;触媒表面温度[K]
    t;燃焼時間[s]
  8. 前記触媒表面反応速度定数を前記化学吸着量の関数として表す式が、次式で表されることを特徴とする請求項7記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法。
    <数2>
    ks=f(Rna)・exp{−Eac/(R・Ts)}
    但し、
    ks;触媒表面反応速度定数[m/s]
    Rna;化学吸着量の減少率[−]
    f(Rna);Rnaの関数[m/s]
    Eac;活性化エネルギ[J/mol]
    R;気体定数[J/(mol・K)]
    Ts;触媒表面温度[K]
  9. 前記物質収支式が、次式で表されることを特徴とする請求項1から8記載のいずれかに記載の燃焼装置における触媒の寿命予測方法。
    <数3>
    dCf/dz=−(Cf/G)[1/{1/(A・ks)+1/(B・kl)}+kg]
    但し、
    境界条件;z=0のとき、Cf=Cf、T=Ts=T
    Cf;気相燃料濃度[mol/m
    Cf;触媒入口における気相燃料濃度[mol/m
    z;軸方向距離[m]
    G;ガス流量と触媒量とによって定まる数[m/s]
    T;ガス温度[K]
    ;触媒入口におけるガス温度[K]
    Ts;触媒表面温度[K]
    ks;触媒表面反応速度定数[m/s]
    kl;ガス境膜物質移動係数[m/s]
    kg;気相反応速度定数[m/s]
    A,B;補正係数[−]
JP2002149297A 2002-05-23 2002-05-23 燃焼装置における触媒の寿命予測方法 Expired - Fee Related JP4077659B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002149297A JP4077659B2 (ja) 2002-05-23 2002-05-23 燃焼装置における触媒の寿命予測方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002149297A JP4077659B2 (ja) 2002-05-23 2002-05-23 燃焼装置における触媒の寿命予測方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003343814A JP2003343814A (ja) 2003-12-03
JP4077659B2 true JP4077659B2 (ja) 2008-04-16

Family

ID=29767512

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002149297A Expired - Fee Related JP4077659B2 (ja) 2002-05-23 2002-05-23 燃焼装置における触媒の寿命予測方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4077659B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PL1762844T3 (pl) * 2004-06-28 2015-03-31 Chugoku Electric Power Sposób testowania katalizatora denitrującego
JP5051659B2 (ja) * 2008-11-07 2012-10-17 国立大学法人東北大学 反応メカニズム解析装置及び反応メカニズム解析プログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003343814A (ja) 2003-12-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Jiaqiang et al. Effect analysis on pressure drop of the continuous regeneration-diesel particulate filter based on NO2 assisted regeneration
Spadaccini et al. Deposit formation and mitigation in aircraft fuels
Hegedus Temperature excursions in catalytic monoliths
Liu et al. Reversing flow catalytic converter for a natural gas/diesel dual fuel engine
Lee et al. Modeling of CO2 gasification of carbon for integration with solid oxide fuel cells
El-Genk et al. Validation of gasification model for NBG-18 nuclear graphite
JP4077659B2 (ja) 燃焼装置における触媒の寿命予測方法
Depcik et al. Review and a methodology to investigate the effects of monolithic channel geometry
Torkashvand et al. Formaldehyde oxidation over platinum: on the kinetics relevant to exhaust conditions of lean-burn natural gas engines
JP2020510804A (ja) 連続燃焼システムの効率を向上させる方法
Boehman et al. Conversion of various hydrocarbons over supported Pd during simulated cold-start conditions
Fröjd et al. A three-parameter transient 1D catalyst model
Aslanjan et al. Simulation of a three-way catalyst using transient single and multi-channel models
Rodríguez et al. Monolithic reactor for VOCs abatement: influence of non-uniformity in the coating
Cozzolini et al. Advanced modeling of diesel particulate filters to predict soot accumulation and pressure drop
Sang et al. Characteristic analysis of a rotary regenerative type catalytic combustion reactor for ultra low calorific value gas
Seo et al. Experimental and numerical studies on combustion characteristics of a catalytically stabilized combustor
Chan et al. Heat transfer and chemical kinetics in the exhaust system of a cold-start engine fitted with a three-way catalytic converter
CN106874641A (zh) 氮化硅被动氧化模型实验校验方法以及氧化层厚度影响因素确定方法
Lee et al. Experimental investigation of soot oxidation characteristic with NO2 and O2 using a flow reactor simulating DPF
Uenishi et al. Research on numerical analysis code of oxidation behavior of hydrocarbon on diesel oxidation catalyst
Irwin et al. Further Analysis of the Effect of Oxygen Concentration on the Thermal Aging of Automotive Catalysts
Blondeau et al. A semi-empirical method to quantify the impact of mass transfer on lab-scale SCR deNOx catalyst activity testing
Odenbrand The kinetics of the oxidation of ammonia on a V2O5/TiO2 SCR catalyst deactivated in an engine rig. Part I. Determination of kinetic parameters by simulation
More et al. Heat and mass transfer limitations in pre-turbocharger catalysts

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071113

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110208

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees