JP2010110724A - 反応メカニズム解析装置、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラム - Google Patents

反応メカニズム解析装置、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】計算負荷が小さくかつ正確なフルケミストリ解析を可能とする。
【解決手段】素反応機構と空間零次元で時間一次元化された方程式とを用いて混合ガスの温度変化を算出し、当該温度変化からシミュレーションによってシミュレーション温度分布を算出し、シミュレーション温度分布が実験にて得られた空間一次元の温度分布に合うように素反応機構に含まれるパラメータを調整する。
【選択図】図4

Description

本発明は、複数種類の初期物質同士の化学反応を構成する素反応を解析する反応メカニズム解析装置、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムに関するものである。
ある初期物質同士が化学反応によって最終生成物となる場合には、その化学反応の過程において中間生成物が生成される。そして、ある初期物質が最終生成物となる化学反応は、上記中間生成物が生成される複数の素反応の組み合わせによって記述される。この素反応の数は非常に多く、例えば最も単純な水素と酸素の燃焼反応においても、37種の素反応を有している。これが灯油等の分子量が大きな物質の燃焼反応では、生成される中間生成物の種類も非常に多くなり、5000以上の素反応を有する場合も珍しくない。
近年は、コンピュータの進歩により、様々な現象をシミュレーションによって解析することが可能となっている。そして、このようなシミュレーションによって化学反応等を含む実現象を正確に解析するためには、上述の素反応によって生成される中間生成物の濃度変化や混合ガス(初期物質同士のみが混合された予混合ガスのみからなるガス、あるいは当該予混合ガスと中間生成物とが混合したガスの両方を含む)の温度変化をコンピュータに組み込むことによって、素反応を考慮してシミュレーションを行う必要がある。このため、シミュレーションに先立ち、各素反応によって生成される中間生成物の濃度変化や混合ガスの温度変化を明らかにする、いわゆるフルケミストリ解析が行われる。
例えば、エンジン等の燃焼機関における流場をCFD(Computational Fluid Dynamics)解析する場合には、より正確なCFD解析を可能とするために、CFD解析に先立ち、燃料が燃焼反応する際に生成される中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化を明らかにするためのフルケミストリ解析を行う。
一般的にフルケミストリ解析を行う場合には、実験によって燃料が燃焼反応する際の温度分布を実験データとして取得し、予め分子動力学法(特許文献1参照)等によって算出された素反応式に関連付けられたパラメータを実験データに合うように調整することによって行われる。
より詳細には、例えば非特許文献1に記載されたいわゆるASTM(American Standard of Testing Method)法等の何らかの実験手法を用いて燃料が燃焼反応する際の温度分布を測定する。続いて、実験空間を複数の領域に分割し、予め与えられた複数の素反応式及びこれらの素反応式に関連付けられたパラメータを用いて各領域の温度をシミュレーションにて算出することによって温度分布を取得する。そして、シミュレーションによって得られた温度分布と実験データが示す温度分布との差が許容可能範囲内となるまで、繰り返し素反応式に関連付けられたパラメータ(例えば頻度係数及び活性化エネルギ)を調整し、最終的に実験データと一致するシミュレーションデータを導き出せるパラメータの解を取得する。
そして、上述のように導き出されたパラメータを用いることによって、任意の時間における中間生成物の濃度や混合ガスの温度が算出可能となり、より正確なCFD解析等のシミュレーションを行うことが可能となる。
特開2005−34843号公報 板垣晴彦,産業安全研究所研究報告 NIIS−RR−2002(2003) 「可燃性液体の発火温度の圧力依存性について」,Research Reports of the National Institute of Industrial Safety, NIIS-RR-2002(2003) UDC 614.841.41+543.87:662.612.1「The Dependence of Initial Pressure on the Autoignition Temperature of Flammable Liquid」(www.jniosh.go.jp/publication/RR/pdf/RR-2002-06.pdf)
しかしながら、従来の実験方法では、実験空間が三次元性を持っており、例えばASTM法では、容量が500mlの丸底フラスコの内部が実験空間とされている。このため、正確なフルケミストリ解析を行うためには実験空間を数万の領域に分割する必要がある。そして、燃料として上述の灯油を想定した場合には、数万の分割領域の各々に対して5000以上の素反応式の計算を行い、さらに最終的に実験データと一致するシミュレーションデータが得られるまで素反応式に関連付けられたパラメータを繰り返し調整しながら同様の計算を繰り返し行う必要がある。このため、計算能力に優れたスーパーコンピュータを用いたとしても、現実的な時間内にて実験データと一致するシミュレーションデータを導き出せるパラメータの解を取得することは難しい。
なお、実験空間の位置を、温度の従属変数としてとらえ、中間生成物の濃度変化を算出する計算を空間零次元化して計算量を減少させることができる。
しかしながら、例えばASTM法による測定方法では、大きな容積をもつ丸底フラスコに可燃性液体を滴下させて着火させるため、丸底フラスコ内の温度分布が不均一となり、測定される温度分布が実験環境における不確定要因に影響を受ける場合がある。また、丸底フラスコ内に滴下された可燃性液体は、着火前に蒸発して混合気となる。そして、着火温度は混合気の濃度に依存して変化するが、ASTM法では、混合気の濃度が一定である保証はない。つまり、実験空間が三次元性を持つ実験方法にて測定された温度分布は、少なからず実験環境における不確定要因の影響を受けた値である。
このため、実験空間が三次元性を持つ実験方法にて得られた実験データに合わせてシミュレーションデータを導き出せる素反応式に関連付けられたパラメータの解を取得すると、当該解は、少なからず実験環境における不確定要因の影響を含むものとなる。よって、中間生成物の濃度変化や混合ガスの温度変化も実験環境における不確定要因の影響を含むものとなり、正確なフルケミストリ解析を行うことができない。したがって、例えば、得られた素反応式に関連付けられたパラメータの解を用いてCFD解析を行った場合には、正確なCFD解析結果が得られない虞がある。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、計算負荷が小さくかつ正確なフルケミストリ解析を可能とすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、複数種類の初期物質同士の化学反応を構成する素反応を解析する反応メカニズム解析装置であって、実験により得られた上記化学反応の際の空間一次元の温度分布を実験データとして記憶する実験データ記憶手段と、上記化学反応を記述する複数の素反応式及び該素反応式に関連付けられたパラメータを素反応データとして記憶する素反応データ記憶手段と、上記素反応データからシミュレーションデータを算出するための空間零次元で時間一次元化された方程式を演算データとして記憶する演算データ記憶手段と、上記素反応データ及び上記空間零次元で時間一次元化された方程式を用いて上記シミュレーションデータを算出する算出部と、上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であるかを判定する判定部と、上記素反応データに含まれる上記パラメータを調整可能なパラメータ調整手段と、上記判定部において上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であると判定されるまで、上記パラメータ調整手段による上記パラメータの調整及び調整後の上記パラメータを用いた上記算出部による上記シミュレーションデータの算出を繰り返し実行させる制御手段とを備えるという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記空間零次元で時間一次元化された方程式が、中間生成物の濃度変化を示す項を含む質量保存の式と、素反応によって生成される中間生成物と上記初期物質との混合体の内部エネルギを示す項、上記素反応により移動するエネルギを示す項、及び上記混合体と外部との熱伝達により移動するエネルギを示す項を含むエネルギ保存の式とを有するという構成を採用する。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記算出部が、上記素反応によって生成される中間生成物の濃度変化及び上記初期物質と上記中間生成物との混合体の温度変化とを上記シミュレーションデータとして算出し、上記判定部が、上記混合体の温度変化を空間一次元化することによって空間一次元のシミュレーション温度分布を算出し、該シミュレーション温度分布と上記実験データとして記憶された上記温度分布とを比較し、上記シミュレーション温度分布が上記実験データとして記憶された温度分布との差が許容範囲内である場合に上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であると判定するという構成を採用する。
第4の発明は、上記第1〜第3の発明において、上記実験データとして記憶される空間一次元の温度分布が、複数の上記初期物質が混合された予混合ガスを、常温における消炎径よりも小さな直径に設定された内部流路を備えると共に流れ方向に上記予混合ガスの着火温度以上まで連続的に昇温するように加熱された管に、火炎形成位置が安定しかつ上記予混合ガスの流速に依存しなくなる流量で供給した際に得られる温度分布であるという構成を採用する。
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、解析された素反応を基に解析を行う際の解析条件を記憶する解析条件記憶手段と、上記化学反応を記述する複数の素反応式を上記解析条件に基づいて選択する選択手段とを備え、上記制御手段が、上記判定部において上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であると判定された場合に上記選択手段による上記素反応式の選択を実行させるという構成を採用する。
第6の発明は、複数種類の初期物質同士の化学反応を構成する素反応を解析する反応メカニズム解析方法であって、上記化学反応を記述する複数の素反応式及び該素反応式に関連付けられたパラメータを有する素反応データ及び該素反応データからシミュレーションデータを算出するための空間零次元で時間一次元化された方程式を有する演算データを用いてシミュレーションデータを算出する算出工程と、上記シミュレーションデータが、実験により得られた上記化学反応の際の空間一次元の温度分布を有する実験データを導出可能であるかを判定する判定工程と、上記素反応データに含まれる上記パラメータを調整可能なパラメータ調整工程とを有し、上記判定工程において上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であると判定されるまで、上記パラメータ調整工程及び調整後の上記パラメータを用いた上記算出工程を繰り返し行うという構成を採用する。
第7の発明は、上記第6の発明において、上記空間零次元で時間一次元化された方程式が、中間生成物の濃度変化を示す項を含む質量保存の式と、素反応によって生成される中間生成物と上記初期物質との混合体の内部エネルギを示す項、上記素反応により移動するエネルギを示す項、及び上記混合体と外部との熱伝達により移動するエネルギを示す項を含むエネルギ保存の式とを有するという構成を採用する。
第8の発明は、上記第6または第7の発明において、上記算出工程にて、上記素反応によって生成される中間生成物の濃度変化及び上記初期物質と上記中間生成物との混合体の温度変化とを上記シミュレーションデータとして算出し、上記判定工程にて、上記混合体の温度変化を空間一次元化することによって空間一次元のシミュレーション温度分布を算出し、該シミュレーション温度分布と上記実験データとして記憶された上記温度分布とを比較し、上記シミュレーション温度分布が上記実験データとして記憶された温度分布との差が許容範囲内である場合に上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であると判定するという構成を採用する。
第9の発明は、上記第6〜第8いずれかの発明において、複数の上記初期物質が混合された予混合ガスを、常温における消炎径よりも小さな直径に設定された内部流路を備えると共に流れ方向に上記予混合ガスの着火温度以上まで連続的に昇温するように加熱された管に、火炎形成位置が安定しかつ上記予混合ガスの流速に依存しなくなる流量で供給した際に得られる温度分布を上記化学反応の際の空間一次元の温度分布として取得する実験工程を有するという構成を採用する。
第10の発明は、上記第6〜第9いずれかの発明において、解析された素反応を基に解析を行う際の解析条件に基づいて上記化学反応を記述する複数の素反応式を選択する選択工程を有し、上記判定工程において上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であると判定された場合に上記選択工程を行うという構成を採用する。
第11の発明は、反応メカニズム解析プログラムであって、コンピュータを、実験により得られた上記化学反応の際の空間一次元の温度分布を実験データとして記憶する実験データ記憶手段と、上記化学反応を記述する複数の素反応式及び該素反応式に関連付けられたパラメータを素反応データとして記憶する素反応データ記憶手段と、上記素反応データからシミュレーションデータを算出するための空間零次元で時間一次元化された方程式を演算データとして記憶する演算データ記憶手段と、上記素反応データ及び上記空間零次元で時間一次元化された方程式を用いて上記シミュレーションデータを算出する算出部と、上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であるかを判定する判定部と、上記素反応データに含まれる上記パラメータを調整可能なパラメータ調整手段と、上記判定部において上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であると判定されるまで、上記パラメータ調整手段による上記パラメータの調整及び調整後の上記パラメータを用いた上記算出部による上記シミュレーションデータの算出を繰り返し実行させる制御手段として機能させるという構成を採用する。
第12の発明は、上記第11の発明において、上記コンピュータを上記算出部として機能させる場合に、中間生成物の濃度変化を示す項を含む質量保存の式と、素反応によって生成される中間生成物と上記初期物質との混合体の内部エネルギを示す項、上記素反応により移動するエネルギを示す項、及び上記混合体と外部との熱伝達により移動するエネルギを示す項を含むエネルギ保存の式とを上記空間零次元で時間一次元化された方程式として用いて上記シミュレーションデータを算出させるという構成を採用する。
第13の発明は、上記第11または第12の発明において、上記コンピュータを上記算出部として機能させる場合に、上記素反応によって生成される中間生成物の濃度変化及び上記初期物質と上記中間生成物との混合体の温度変化とを上記シミュレーションデータとして算出させ、上記コンピュータを上記判定部として機能させる場合に、上記混合体の温度変化を空間一次元化することによって空間一次元のシミュレーション温度分布を算出させ、該シミュレーション温度分布と上記実験データとして記憶された上記温度分布とを比較させ、上記シミュレーション温度分布が上記実験データとして記憶された温度分布との差が許容範囲内である場合に上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であると判定させるという構成を採用する。
第14の発明は、上記第11〜第13いずれかの発明において、上記コンピュータを判定部として機能させる場合に、複数の上記初期物質が混合された予混合ガスを、常温における消炎径よりも小さな直径に設定された内部流路を備えると共に流れ方向に上記予混合ガスの着火温度以上まで連続的に昇温するように加熱された管に、火炎形成位置が安定しかつ上記予混合ガスの流速に依存しなくなる流量で供給した際に得られる温度分布を上記実験データとして記憶される上記空間一次元の温度分布として用いるという構成を採用する。
第15の発明は、上記第11〜第14いずれかの発明において、上記コンピュータを、解析された素反応を基に解析を行う際の解析条件を記憶する解析条件記憶手段と、上記化学反応を記述する複数の素反応式を上記解析条件に基づいて選択する選択手段として機能させ、上記判定部において上記シミュレーションデータが上記実験データを導出可能であると判定された場合に上記コンピュータを上記選択手段として機能させるという構成を採用する。
本発明によれば、シミュレーションデータが空間零次元で時間一次元化された方程式に基づいて算出されるため、シミュレーションデータを算出する計算を空間零次元で時間一次元化して計算量を減少させることが可能となる。
また、本発明によれば、空間一次元の温度分布に一致するように、素反応データに含まれるパラメータの調整が行われる。このため、実験環境における不確定要因に影響されずに、実現象である燃焼反応を的確に予測可能とするパラメータの解を得ることができ、正確なフルケミストリ解析を行うことが可能となる。
このように、本発明によれば、計算負荷が小さくかつ正確なフルケミストリ解析が可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る反応メカニズム解析装置、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムの一実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本実施形態の反応メカニズム解析装置及び反応メカニズム解析方法は、燃料と酸素との燃焼反応(化学反応)をフルケミストリ解析するためのものであり、後述するマイクロフローリアクタ(実験装置)を用いて得られた空間一次元の温度分布(実験データ)と、素反応式、該素反応式に関連付けられたパラメータ、及び空間零次元で時間一次元化された方程式を用いて得られたシミュレーションデータとを比較し、シミュレーションデータが実験データを導出可能となるまで上記パラメータを調整しながら収束計算を行うことによってパラメータの解を得るものである。
なお、ここで言う空間零次元で時間一次元化された方程式とは、位置情報がパラメータとして含まれておらず、空間の概念が除外された方程式を意味する。
まず最初に、本実施形態の反応メカニズム解析装置及び反応メカニズム解析方法において用いられる実験データを得るためのマイクロフローリアクタについて説明する。
図1は、マイクロフローリアクタ100の概略構成を示す模式図である。この図に示すように、マイクロフローリアクタ100は、管110と、供給装置120と、ヒータ130と、温度測定装置140と、測定処理部150とを備えている。
管110は円筒形状の直管である。そして、管110の内部流路111の直径は、常温において内部流路111に形成される火炎が伝播できずに消炎する限界値である消炎距離よりも小さく設定されている。つまり、管110の内部流路111は、常温における消炎径よりも小さな直径に設定されている。
供給装置120は、燃焼反応される初期物質である燃料と酸化剤(例えば、酸素や外気)とが混合された予混合ガスGを管110に供給するものであり、管110の一端から管110の内部流路111に予混合ガスGを流入させることによって管110に予混合ガスGを供給する。
この供給装置120は、管110に供給する予混合ガスGの流量を調節可能であり、管110に供給する予混合ガスGの流量を連続的に減少させて、その流量が管110の内部流路111に形成された火炎が安定しかつ火炎の形成位置が予混合ガスGの流速に影響されない条件を満たす流量となるように設定する。なお、管110の内部流路111に形成された火炎が安定しかつ火炎の形成位置が予混合ガスGの流速に影響されない条件を満たす流量については、後に詳説する。
また、供給装置120は、測定処理部150と電気的に接続されており、測定処理部150からの指令に基づいて、予混合ガスGの流量や温度、予混合ガスGにおける燃料と酸化剤との割合(すなわち燃料と酸化剤との初期濃度)を調節可能とされている。
ヒータ130は、管110を加熱するものであり、内部流路111の温度が常温から予混合ガスGの流れ方向に連続的に昇温して途中部位において予混合ガスGの想定着火温度以上となるように管110を加熱する。
温度測定装置140は、管110の内部流路111におけるガス温度を計測するものである。この温度測定装置140は、測定処理部150と電気的に接続されており、測定結果を測定処理部150に入力する。
測定処理部150は、温度測定装置140から入力される測定結果を管110の位置に対応付けて記憶することによって温度分布を取得するものである。また、測定処理部150は、供給装置120から管110に供給される予混合ガスGの流量や温度、予混合ガスGに含まれる燃料や酸化剤の種類、及び燃料と酸化剤との初期濃度等の実験条件を記憶している。
次に、上述のように構成されたマイクロフローリアクタ100を用いた実験方法(以下、本実験と称する)について説明する。
供給装置120から燃料と酸化剤とが所定の初期濃度で混合された予混合ガスGが、管110の内部流路111に供給される。
管110は内部流路111が予混合ガスGの着火温度以上に加熱されている。このためて、管110の内部流路111に供給された予混合ガスGは、管110の内部流路111を一端部から他端部に向かうに連れて加熱され、着火温度以上に加熱された時点で着火する。
予混合ガスGが着火されることによって形成された火炎は、管110の内部流路111における予混合ガスGの流速が速い場合には振動する。これは、予混合ガスGの着火と消火が短時間で繰り返されることに起因する。
一方、管110の内部流路111における予混合ガスGの流速が遅い場合には、連続的に燃焼状態が維持され、火炎が安定する。
そこで、本実験では、まず先に管110の内部流路111における流速が十分に速くなるような流量の予混合ガスGを管110に供給し、その後予混合ガスGの流量を徐々に減少させ、火炎が安定されるまで予混合ガスGの流量を減少させる。
なお、内部流路111における混合ガス(予混合ガスのみからなるガス、あるいは当該予混合ガスと中間生成物とが混合したガスの両方の意味を含み本発明の混合体に相当)の温度は、火炎が形成される位置において急激に上昇する。このため、内部流路111における混合ガス温度が急上昇する位置を温度測定装置140から入力される測定結果に基づいて解析し、当該位置が変動しなくなるまで予混合ガスGの流量を減少させることによって火炎を安定化させる。
また、管110を内部が目視可能な材料によって形成し、撮像装置等によって火炎の形成位置を確認しながら、火炎の形成位置が安定するまで予混合ガスGの流量を減少させるようにしても良い。
なお、予混合ガスGの流量が、火炎が安定されるまで減少されると、火炎の形成位置は予混合ガスGの流速に影響されなくなる。
図2は、管110の内部流路111における予混合ガスGの流速と、安定火炎位置、着火位置及び消火位置との関係を示したグラフである。なお、図2に示すグラフは、直径が2mmの管110に対して、メタンと空気の量論比の予混合ガスGを供給することによって得られたデータに基づくものである。
この図に示すように、予混合ガスGの流速が速い場合(40〜100cm/s)には、火炎は安定するが、火炎の形成位置が流速に影響されることが分かる。また、これよりも予混合ガスGの流速が遅い場合(5〜40cm/s)には、火炎が振動することが分かる。そして、さらに予混合ガスGの流速が遅い場合(0.2〜5cm/s)には、火炎が安定すると共に火炎の形成位置が流速に影響されないことが分かる。このように、管110の内部流路111における予混合ガスGの流速に応じて、火炎の状態が変化する。
そして、本実験では、予混合ガスGの流速が、火炎が安定すると共に火炎の形成位置が流速に影響されない流速となるように、予混合ガスGの流量が設定される。
このようにして火炎を形成位置が予混合ガスGの流速に依存しないように安定させた後に、測定処理部150は、温度分布を取得して出力する。
そして、本実験においては、内部流路111が常温における消炎径よりも小さな直径に設定された非常に細長い直管である管110の内部流路111において燃焼反応が起こっている。このため、本実験における実験空間は、ASTM法による三次元に広がりを有する実験空間と異なり、流れ方向のみに広がりを有するものである。したがって、本実験の実験結果として取得された温度分布は、空間一次元における温度変化であると考えることができる。
また、本実験においては、火炎の形成位置が予混合ガスGの流速に依存せず、さらにヒータ130による管110の加熱を行うことによって内部流路111が外部から熱管理されるため内部流路111における熱授受の影響は明確になっている。このため、実験環境における不確定要因の影響を排除して温度分布を取得することができる。
このように、本実験においては、実験環境における不確定要因の影響が排除された空間一次元の温度分布を取得することができる。
続いて、本実施形態の反応メカニズム解析装置及び反応メカニズム解析方法について説明する。
図3は、本実施形態の反応メカニズム解析装置のハードウェア構成を示すブロック図である。本実施形態の反応メカニズム解析装置A1は、例えばワークステーションやスーパーコンピュータ等のコンピュータによって具現化されるものであり、図3に示すように、外部記憶装置10と、内部記憶装置20と、入力装置30と、出力装置40と、CPU(Central Processing Unit)50とを備えている。
なお、外部記憶装置10と、内部記憶装置20と、入力装置30と、出力装置40と、CPU50とは、システムバス60によって互いに接続されている。
外部記憶装置10は、CPU50の演算処理に用いられる各種データ及びプログラム等を記憶するものであり、本実施形態においては、実験データ11、素反応データ12、演算データ13及び反応メカニズム解析プログラム14を格納している。
そして、このような外部記憶装置10としては、例えばハードディスク装置やリムーバブルメディア装置を用いることができる。なお、実験データ11、素反応データ12、演算データ13及び反応メカニズム解析プログラム14は、予め光ディスクやメモリ等のリムーバブルメディアに記憶され、当該リムーバブルディスクが外部記憶装置10の一構成要件として反応メカニズム解析装置に接続されることによって外部記憶装置10に記憶されても良いし、またネットワークを介してダウンロードされるあるいは入力装置30を介して入力されることによって外部記憶装置10の一構成要件であるハードディスクに記憶されても良い。
実験データ11は、上述したマイクロフローリアクタ100によって得られた実験データ及び実験条件を有している。より詳細には、実験データ11は、実験環境における不確定要因の影響が排除された空間一次元の温度分布、供給装置120から管110に供給される予混合ガスGの流量や温度、予混合ガスGに含まれる燃料や酸化剤の種類、及び燃料と酸化剤との初期濃度等を有している。
素反応データ12は、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1にて反応メカニズムを解析する(すなわちフルケミストリ解析を行う)対象である燃料と酸化剤との燃焼反応を記述する複数の素反応式と、これらの素反応式に関連するパラメータ(例えば頻度係数や活性化エネルギ)とが集められたデータベースである。なお、以下の説明において、当該データベースを素反応機構と称する。
この素反応機構としては、例えば「GRI−mech 3.0」や「C1−Chemistry」等を用いることができる。
また、上述のような予め得られた素反応機構が存在しない場合には、素反応機構は、分子動力学法等によって得ることができる。
演算データ13は、CPU50が素反応データ12及び入力装置30から入力されるパラメータに基づいて中間生成物の濃度変化や混合ガスの温度変化を算出するための計算式である下式(1),(2)を有している。
なお、ここで言う混合ガスとは、未反応の予混合ガスや燃焼反応の過程で生成される中間生成物が混合されたガスである。
Figure 2010110724
Figure 2010110724
そして、式(1)は、通常の空間零次元で時間一次元定圧燃焼における質量保存の式である。また、式(2)は、エネルギ保存の式であり、左辺第一項が混合ガスの内部エネルギを示す項であり、左辺第二項が素反応により移動するエネルギを示す項であり、左辺第三項が混合ガスと外部との熱伝達により移動するエネルギ(すなわち混合ガスとマイクロフローリアクタ100の壁面(管110の内面)との間の熱伝達によって移動するエネルギ)を示す項である。
これらの式(1)と式(2)との連立方程式によって、中間生成物の濃度変化や混合ガスの温度変化が算出される。ここで、式(1)と式(2)とは、独立変数が時間であり、従属変数が濃度と温度であり、さらに位置をパラメータとして含んでいないものであり、空間零次元で時間一次元の方程式である。そして、中間生成物の濃度変化や混合ガスの温度変化は、上述のように空間の概念が除外されて空間零次元で時間一次元化された方程式によって算出される。
また、演算データ13は、上述の式(1),(2)を用いて算出された混合ガスの温度変化を空間一次元化するための下式(3),(4)を有している。
なお、マイクロフローリアクタ100における管110の熱容量は小流量の予混合ガスによる発熱量より十分に大きい。このため、火炎による管壁温度分布の変化は無視することができる。したがって、管壁温度分布は管110の位置に対する関数として与えられる。よって、下式(3),(4)によって上述の式(1),(2)を用いて算出された混合ガスの温度変化を空間一次元化することが可能となる。
Figure 2010110724
Figure 2010110724
反応メカニズム解析プログラム14は、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1を、後に説明する図3に示す各機能構成として機能させるためのプログラムである。
なお、反応メカニズム解析プログラム14については、後の図4を参照する反応メカニズム解析装置A1の機能構成の説明において合わせて詳説する。
内部記憶装置20は、CPU50の動作プログラムを記憶すると共に、CPU50の制御の下、外部記憶装置20に記憶された各種データ及びプログラムを一時的に記憶し、さらにCPU50の演算結果を一時的に記憶するものである。そして、この内部記憶装置20としては、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等が用いられる。
入力装置30は、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1に対して外部からデータを入力するためのものであり、例えばキーボードやマウスが用いられる。ただし、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1に対して通信路を介してデータの入力が行われる場合には、通信路とのインターフェイスとなる通信装置を入力装置30として用いる場合もある。
出力装置40は、CPU50の制御の下、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶されたデータを出力するものであり、例えばデータを可視化するためのディスプレイやプリンタが用いられる。ただし、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1から通信路を介してデータの出力が行われる場合には、通信路とのインターフェイスとなる通信装置を出力装置40として用いる場合もある。
CPU50は、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1の動作全体を制御するものである。そして、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1においてCPU50は、反応メカニズム解析プログラム14に基づいて、中間生成物の濃度変化や混合ガスの温度変化の算出、シミュレーションデータと実験データとの比較及び判定、素反応機構が含むパラメータの調整等を行う。
図4は、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1の機能構成を示すブロック図である。この図に示すように、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1は、上述の反応メカニズム解析プログラム14によって、実験データ記憶部1(実験データ記憶手段)と、素反応データ記憶部2(素反応データ記憶手段)と、演算データ記憶部3(演算データ記憶手段)と、算出部4(算出手段)と、判定部5(判定手段)と、パラメータ調整部6(パラメータ調整手段)と、制御部7(制御手段)として機能する。
実験データ記憶部1は上記実験データ11を記憶する。また、素反応データ記憶部2は上記素反応データ12を記憶する。また、演算データ記憶部3は上記演算データ13を記憶する。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、実験データ11、素反応データ12及び演算データ13を記憶する外部記憶装置10、あるいは、実験データ11、素反応データ12及び演算データ13を移した内部記憶装置20を実験データ記憶部1、素反応データ記憶部2及び演算データ記憶部3として機能させる。
算出部4は、演算データ記憶部3に演算データ13として記憶された空間零次元で時間一次元化された方程式である上式(1),(2)、実験データ記憶部1に記憶された実験データ11に含まれる実験条件、及び素反応データ記憶部2に記憶された素反応データ12を用いて中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化を算出する。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された実験データ11、素反応データ12及び演算データ13に基づいてCPU50に中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化を算出させることによって、反応メカニズム解析装置A1を算出部4として機能させる。
判定部5は、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化(シミュレーションデータ)と実験データ11とを比較し、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布(内部流路111におけるガス温度分布)を導出可能なものであるかの判定を行う。
具体的には、判定部5は、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化を演算データ記憶部3に演算データ13として記憶された上式(3),(4)を用いて空間一次元化して、シミュレーション温度分布を算出する。そして、判定部5は、シミュレーション温度分布と、実験データ記憶部1に実験データ11に含まれる温度分布とを比較する。判定部5は、比較の結果、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布と一致若しくは許容される変動範囲に収まっている場合には、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能なものであると判定し、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布から許容される変動範囲に収まっていない場合には、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化(すなわちシミュレーションデータ)が実験データに含まれる温度分布を導出不能なものであると判定する。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された演算データ13及び算出された混合ガスの温度変化に基づいてCPU50にシミュレーション温度分布を算出させ、さらにCPU50に外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された実験データ11に含まれる温度分布とシミュレーション温度分布とを比較させ、算出された混合ガスの温度変化が実験データに含まれる温度分布を導出可能なものであるかを判定させることによって、反応メカニズム解析装置A1を判定部5として機能させる。
パラメータ調整部6は、素反応データ記憶部2に記憶された素反応データ12に含まれるパラメータ(頻度係数や活性化エネルギ)を調整する。
具体的には、パラメータ調整部6は、予め定められた順序にて素反応データに含まれる素反応式に関連付けられたパラメータを所定の値分だけ増加あるいは減少させることによって、素反応データ12に含まれるパラメータを調整する。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された素反応データ12に含まれるパラメータをCPU50に調整させることによって、反応メカニズム解析装置A1をパラメータ調整部6として機能させる。
制御部7は、実験データ記憶部1、素反応データ記憶部2、演算データ記憶部3、算出部4、判定部5及びパラメータ調整部6の動作手順等の制御を行う。
そして、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1において制御部7は、判定部5が算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能であると判定した場合には、フルケミストリ解析が完了したと判断し、その時点で外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された最新の中間生成物の濃度変化、混合ガスの温度変化及び素反応データ12に含まれるパラメータを解析結果として出力装置40に入力する。
一方、制御部7は、判定部5において算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データに含まれる温度分布を導出不能であると判定した場合には、パラメータ調整部6に素反応データ12に含まれるパラメータを調整させ、再度算出部4に中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化を算出させ、さらに判定部5に算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる管壁分布温度を導出可能なものであるかの判定をさせる。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、CPU50を制御部7として機能させる。
続いて、上述した反応メカニズム解析装置A1を用いた反応メカニズム解析方法について、図5のフローチャートを参照して説明する。
なお、本実施形態における反応メカニズム解析方法においては、実験データ11、素反応データ12及び演算データ13が既に実験データ記憶部1、素反応データ記憶部2、演算データ記憶部3(外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20)に記憶されているものとする。
まず最初に制御部7の制御の下、算出部4によって中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化が算出される(算出工程S1)。
この際、算出部4は、演算データ記憶部3に演算データ13として記憶された空間零次元で時間一次元化された方程式である上式(1),(2)、実験データ記憶部1に記憶された実験データ11に含まれる実験条件、素反応データ記憶部2に記憶された素反応データ12を用いて中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化を算出する。
なお、具体的には、CPU50が、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された実験データ11に含まれる実験条件と、素反応データ12に含まれるパラメータと、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された演算データ13に含まれる式(1),(2)とを用い、さらに式(1)と式(2)とを連立させて濃度変化と温度変化について解くことによって中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化が算出される。
続いて、制御部7の制御の下、判定部5によって、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能なものであるかの判定を行う(判定工程S2)。
この際、判定部5は、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化を演算データ記憶部3に演算データ13として記憶された上式(3),(4)を用いて空間一次元化して、シミュレーション温度分布を算出する。そして、判定部5は、シミュレーション温度分布と、実験データ記憶部1に記憶された実験データ11に含まれる温度分布とを比較する。判定部5は、比較の結果、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布と一致若しくは許容される変動範囲に収まっている場合には、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能なものであると判定し、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布から許容される変動範囲に収まっていない場合には、算出部4によって算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出不能であると判定する。
具体的には、CPU50が、算出された混合ガスの温度変化を外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された演算データ13に含まれる式(3),(4)を用いて空間一次元化することでシミュレーション温度分布を算出する。そして、CPU50が、シミュレーション温度分布と外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された実験データ11に含まれる温度分布とを比較する。続いてCPU50が、算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能なものであるかを判定する。
そして、判定工程S2において、算出工程S1にて算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能であると判定された場合には、制御部7(CPU50)は、フルケミストリ解析が完了したと判断し、その時点で外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された最新の中間生成物の濃度変化、混合ガスの温度変化及び素反応データ12に含まれるパラメータを解析結果として出力装置40に入力する(出力工程S3)。
一方、判定工程S2において、算出工程S1にて算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出不能であると判定された場合には、制御部7の制御の下、パラメータ調整部6によって、素反応データ記憶部2に記憶された素反応データ12に含まれるパラメータを調整する(パラメータ調整工程S4)。
具体的には、CPU50が外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20に記憶された素反応データ12に含まれるパラメータを調整する。
そして、パラメータ調整工程S4が完了すると、再度算出工程S1に移行する。
このような本実施形態の反応メカニズム解析方法によれば、判定工程S2において、算出工程S1にて算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能となるまで繰り返し素反応データ12に含まれるパラメータの調整が行われる。そして、算出工程S1にて算出された混合ガスの温度変化が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能となった場合、すなわちシミュレーション温度分布が実験データ11が含む温度分布に対して一致する若しくは許容範囲内となる上記パラメータが収束計算にて算出された場合には、当該パラメータ及び該パラメータに基づいた中間生成物の濃度変化及び混合ガスの温度変化が出力され、フルケミストリ解析が終了する。
以上のような本実施形態の反応メカニズム解析装置A1、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムによれば、シミュレーションデータが空間零次元で時間一次元化された方程式に基づいて算出されるため、計算量を減少させることが可能となる。
また、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムによれば、マイクロフローリアクタによって得られた実験環境における不確定要因に影響されない空間一次元の温度分布に合うように、素反応データ12に含まれるパラメータの調整が行われる。このため、実験環境における不確定要因に影響されずに、実現象である燃焼反応を的確に予測可能とするパラメータの解を得ることができ、正確なフルケミストリ解析を行うことが可能となる。
このように、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムによれば、計算負荷が小さくかつ正確なフルケミストリ解析が可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
本実施形態の反応メカニズム解析装置A2は、図6に示すように、外部記憶装置10に、解析された素反応を基に行われる解析(例えばCFD解析)の解析条件15が格納されている。なお、ここで言う解析条件とは、CFD解析等において許容される計算量や、CFD解析等によって解析したい中間生成物の種類等の情報を含むものである。
そして、本実施形態の反応メカニズム解析装置A2は、図7に示すように、反応メカニズム解析プログラム14によって、解析条件記憶部8(解析条件記憶手段)と、選択部9(選択手段)として機能される。
解析条件記憶部8は上記解析条件15を記憶する。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、解析条件15を記憶する外部記憶装置10、あるいは、解析条件15を移した内部記憶装置20を解析条件記憶部8として機能させる。
選択部9は、化学反応を記述する複数の素反応式を解析条件15に基づいて選択すると共に選択された素反応式に関連付けられたパラメータを調整するものである。
具体的には、選択部9は、解析条件記憶部8に記憶された解析条件15に基づいて選択すべき素反応式(CFD解析等により解析したい中間生成物を含む素反応式)を優先して選択し、さらにCFD解析等を行う場合に許容される計算負荷を満足するように選択する素反応式の数を決定し、これらに基づいて素反応式の選択を行う。
また、選択部9は、選択した素反応式のみを用いて再度シミュレーション温度分布を算出し、実験データ11が含む温度分布と比較し、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布に対して許容範囲に収まらない場合には、シミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布に対して一致若しくは許容範囲に収まるまで繰り返し選択した素反応式に関連するパラメータを調整して上記計算を繰り返す。
そして、反応メカニズム解析プログラム14は、外部記憶装置10あるいは内部記憶装置20及びCPU50を用いて本実施形態のメカニズム解析装置A1を選択部9として機能させる。
そして、本実施形態の反応メカニズム解析装置A1において制御部7は、判定部5においてシミュレーション温度分布が実験データ11に含まれる温度分布を導出可能であると判定された場合に制御部9による素反応式の選択及びパラメータの調整を実行させる。
つまり、本実施形態の反応メカニズム解析方法においては、図8に示すように、判定工程S2と出力工程S3との間に、素反応式の選択及び選択された素反応式に関連付けられたパラメータの調整を行う選択工程S5が実行される。
このような本実施形態の反応メカニズム解析装置A2、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムによれば、正確なフルケミストリ解析によって得られた素反応式を、解析された素反応を基に行われる解析の解析条件に最適化することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る反応メカニズム解析装置、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムの好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、燃料と酸化剤との燃焼反応を構成する素反応の解析を行う場合について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他の物質同士の化学反応を構成する素反応の解析に用いることもできる。
また、上記実施形態においては、実験データ11として含まれる温度分布を、マイクロフローリアクタ100によって取得する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、燃焼反応の際の正確な空間一次元の温度分布を取得可能な装置であれば、空間一次元の温度分布を他の実験装置によって取得しても良い。
また、上記実施形態においては、内部流路111を流れるガスの温度分布を空間一次元の温度分布として用いる構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、火炎の形成位置が予混合ガスGの流速に影響されない条件を満たす場合には、内部流路111を流れるガスと管110の管壁温度とがほぼ等しくなるため、管110の壁面温度分布(管壁温度分布)を空間一次元の温度分布として用いることも可能である。
また、予混合ガスGの流速が速い場合には火炎の形成位置が振動するが、この場合の実験結果を実験データ11に含め、当該実験結果を素反応データ12に含まれるパラメータの調整に用いることもできる。
また、上記実施形態においては、空間零次元で時間一次元化された方程式を用いて算出された混合ガスの温度変化を一次元化することによってシミュレーション温度分布を算出し、シミュレーション温度分布と実験により得られた温度分布とを比較して判定する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば実験により得られた温度分布を空間零次元で時間一次元化して、空間零次元で時間一次元化された方程式を用いて算出された混合ガスの温度変化と比較して判定を行う構成を採用することもできる。
また、上記実施形態においては、最終的に解析が完了した後に、中間生成物の濃度変化、混合ガスの温度変化及び素反応データに含まれるパラメータを解析結果として出力する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、最終的に解析が完了する前の各種データ(例えば、判定工程においてNGとされたパラメータ及び該パラメータに基づく中間生成物の濃度変化、混合ガスの温度変化等)を出力するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、管110の内部流路111における混合ガスの温度変化から混合ガスのシミュレーション温度分布を算出し、実験データとして管110の内部流路111における混合ガスの温度分布を取得し、上記シミュレーション温度分布と実験データとされる温度分布とを比較し、これによってシミュレーションデータが実験データを導出可能であるかを判定する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、管110の内部流路111における中間生成物の濃度変化から濃度分布をシミュレーションデータとして算出し、実験データとして管110の内部流路111における中間生成物の濃度分布を取得し、シミュレーションデータとして算出された濃度分布と実験データとされる濃度分布を比較し、これによってシミュレーションデータが実験データを導出可能であるかを判定しても良い。
なお、中間生成物の濃度は、管110の内部流路111における混合ガスをサンプリングする、あるいはレーザ計測による測定を行うことによって実験データとして取得することが可能である。また、これらの濃度計測は管110のいずれの位置で実施しても良い。このため、例えば、冷炎と熱炎が発生するような場合、冷炎と熱炎との中間位置で濃度計測を行うことで冷炎からの中間生成物濃度のみを計測することも可能である。
本発明の第1実施形態における反応メカニズム解析装置、反応メカニズム解析方法及び反応メカニズム解析プログラムに用いられる実験データを得るためのマイクロフローリアクタ100の概略構成を示す模式図である。 図1に示すマイクロフローリアクタにおいて火炎が安定されかつ供給される予混合ガスの流速に依存されない流量が存在することを説明するためのグラフである。 本発明の第1実施形態における反応メカニズム解析装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態における反応メカニズム解析装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態における反応メカニズム解析方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2実施形態における反応メカニズム解析装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態における反応メカニズム解析装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態における反応メカニズム解析方法を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
A1,A1……反応メカニズム解析装置、1……実験データ記憶部(実験データ記憶手段)、2……素反応データ記憶部(素反応データ記憶手段)、3……演算データ記憶部(演算データ記憶手段)、4……算出部(算出手段)、5……判定部(判定手段)、6……パラメータ調整部(パラメータ調整手段)、7……制御部(制御手段)、8……解析条件記憶部(解析条件記憶手段)、9……選択部(選択手段)

Claims (15)

  1. 複数種類の初期物質同士の化学反応を構成する素反応を解析する反応メカニズム解析装置であって、
    実験により得られた前記化学反応の際の空間一次元の温度分布を実験データとして記憶する実験データ記憶手段と、
    前記化学反応を記述する複数の素反応式及び該素反応式に関連付けられたパラメータを素反応データとして記憶する素反応データ記憶手段と、
    前記素反応データからシミュレーションデータを算出するための空間零次元で時間一次元化された方程式を演算データとして記憶する演算データ記憶手段と、
    前記素反応データ及び前記空間零次元で時間一次元化された方程式を用いて前記シミュレーションデータを算出する算出部と、
    前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であるかを判定する判定部と、
    前記素反応データに含まれる前記パラメータを調整可能なパラメータ調整手段と、
    前記判定部において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定されるまで、前記パラメータ調整手段による前記パラメータの調整及び調整後の前記パラメータを用いた前記算出部による前記シミュレーションデータの算出を繰り返し実行させる制御手段と
    を備えることを特徴とする反応メカニズム解析装置。
  2. 前記空間零次元で時間一次元化された方程式は、
    中間生成物の濃度変化を示す項を含む質量保存の式と、
    素反応によって生成される中間生成物と前記初期物質との混合体の内部エネルギを示す項、前記素反応により移動するエネルギを示す項、及び前記混合体と外部との熱伝達により移動するエネルギを示す項を含むエネルギ保存の式と
    を有することを特徴とする請求項1記載の反応メカニズム解析装置。
  3. 前記算出部が、前記素反応によって生成される中間生成物の濃度変化及び前記初期物質と前記中間生成物との混合体の温度変化とを前記シミュレーションデータとして算出し、
    前記判定部が、前記混合体の温度変化を空間一次元化することによって空間一次元のシミュレーション温度分布を算出し、該シミュレーション温度分布と前記実験データとして記憶された前記温度分布とを比較し、前記シミュレーション温度分布が前記実験データとして記憶された温度分布との差が許容範囲内である場合に前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の反応メカニズム解析装置。
  4. 前記実験データとして記憶される空間一次元の温度分布は、
    複数の前記初期物質が混合された予混合ガスを、常温における消炎径よりも小さな直径に設定された内部流路を備えると共に流れ方向に前記予混合ガスの着火温度以上まで連続的に昇温するように加熱された管に、火炎形成位置が安定しかつ前記予混合ガスの流速に依存しなくなる流量で供給した際に得られる温度分布である
    ことを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の反応メカニズム解析装置。
  5. 解析された素反応を基に解析を行う際の解析条件を記憶する解析条件記憶手段と、前記化学反応を記述する複数の素反応式を前記解析条件に基づいて選択すると共に選択された素反応式に関連付けられたパラメータを調整可能な選択手段とを備え、
    前記制御手段は、前記判定部において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定された場合に前記選択手段による前記素反応式の選択及び前記パラメータの調整を実行させる
    ことを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の反応メカニズム解析装置。
  6. 複数種類の初期物質同士の化学反応を構成する素反応を解析する反応メカニズム解析方法であって、
    前記化学反応を記述する複数の素反応式及び該素反応式に関連付けられたパラメータを有する素反応データ及び該素反応データからシミュレーションデータを算出するための空間零次元で時間一次元化された方程式を有する演算データを用いてシミュレーションデータを算出する算出工程と、
    前記シミュレーションデータが、実験により得られた前記化学反応の際の空間一次元の温度分布を有する実験データを導出可能であるかを判定する判定工程と、
    前記素反応データに含まれる前記パラメータを調整可能なパラメータ調整工程とを有し、
    前記判定工程において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定されるまで、前記パラメータ調整工程及び調整後の前記パラメータを用いた前記算出工程を繰り返し行う
    ことを特徴とする反応メカニズム解析方法。
  7. 前記空間零次元で時間一次元化された方程式は、
    中間生成物の濃度変化を示す項を含む質量保存の式と、
    素反応によって生成される中間生成物と前記初期物質との混合体の内部エネルギを示す項、前記素反応により移動するエネルギを示す項、及び前記混合体と外部との熱伝達により移動するエネルギを示す項を含むエネルギ保存の式と
    を有することを特徴とする請求項6記載の反応メカニズム解析方法。
  8. 前記算出工程にて、前記素反応によって生成される中間生成物の濃度変化及び前記初期物質と前記中間生成物との混合体の温度変化とを前記シミュレーションデータとして算出し、
    前記判定工程にて、前記混合体の温度変化を空間一次元化することによって空間一次元のシミュレーション温度分布を算出し、該シミュレーション温度分布と前記実験データとして記憶された前記温度分布とを比較し、前記シミュレーション温度分布が前記実験データとして記憶された温度分布との差が許容範囲内である場合に前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定する
    ことを特徴とする請求項6または7記載の反応メカニズム解析方法。
  9. 複数の前記初期物質が混合された予混合ガスを、常温における消炎径よりも小さな直径に設定された内部流路を備えると共に流れ方向に前記予混合ガスの着火温度以上まで連続的に昇温するように加熱された管に、火炎形成位置が安定しかつ前記予混合ガスの流速に依存しなくなる流量で供給した際に得られる温度分布を前記化学反応の際の空間一次元の温度分布として取得する実験工程を有することを特徴とする請求項6〜8いずれかに記載の反応メカニズム解析方法。
  10. 解析された素反応を基に解析を行う際の解析条件に基づいて前記化学反応を記述する複数の素反応式を選択すると共に選択された素反応式に関連付けられたパラメータを調整可能な選択工程を有し、
    前記判定工程において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定された場合に前記選択工程を行う
    ことを特徴とする請求項6〜9いずれかに記載の反応メカニズム解析方法。
  11. コンピュータを、
    実験により得られた前記化学反応の際の空間一次元の温度分布を実験データとして記憶する実験データ記憶手段と、
    前記化学反応を記述する複数の素反応式及び該素反応式に関連付けられたパラメータを素反応データとして記憶する素反応データ記憶手段と、
    前記素反応データからシミュレーションデータを算出するための空間零次元で時間一次元化された方程式を演算データとして記憶する演算データ記憶手段と、
    前記素反応データ及び前記空間零次元で時間一次元化された方程式を用いて前記シミュレーションデータを算出する算出部と、
    前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であるかを判定する判定部と、
    前記素反応データに含まれる前記パラメータを調整可能なパラメータ調整手段と、
    前記判定部において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定されるまで、前記パラメータ調整手段による前記パラメータの調整及び調整後の前記パラメータを用いた前記算出部による前記シミュレーションデータの算出を繰り返し実行させる制御手段と
    して機能させる反応メカニズム解析プログラム。
  12. 前記コンピュータを前記算出部として機能させる場合に、
    中間生成物の濃度変化を示す項を含む質量保存の式と、素反応によって生成される中間生成物と前記初期物質との混合体の内部エネルギを示す項、前記素反応により移動するエネルギを示す項、及び前記混合体と外部との熱伝達により移動するエネルギを示す項を含むエネルギ保存の式とを前記空間零次元で時間一次元化された方程式として用いて前記シミュレーションデータを算出させることを特徴とする請求項11記載の反応メカニズム解析プログラム。
  13. 前記コンピュータを前記算出部として機能させる場合に、
    前記素反応によって生成される中間生成物の濃度変化及び前記初期物質と前記中間生成物との混合体の温度変化とを前記シミュレーションデータとして算出させ、
    前記コンピュータを前記判定部として機能させる場合に、前記混合体の温度変化を空間一次元化することによって空間一次元のシミュレーション温度分布を算出させ、該シミュレーション温度分布と前記実験データとして記憶された前記温度分布とを比較させ、前記シミュレーション温度分布が前記実験データとして記憶された温度分布との差が許容範囲内である場合に前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定させる
    ことを特徴とする請求項11または12記載の反応メカニズム解析プログラム。
  14. 前記コンピュータを判定部として機能させる場合に、
    複数の前記初期物質が混合された予混合ガスを、常温における消炎径よりも小さな直径に設定された内部流路を備えると共に流れ方向に前記予混合ガスの着火温度以上まで連続的に昇温するように加熱された管に、火炎形成位置が安定しかつ前記予混合ガスの流速に依存しなくなる流量で供給した際に得られる温度分布を前記実験データとして記憶される前記空間一次元の温度分布として用いることを特徴とする請求項11〜13いずれかに記載の反応メカニズム解析プログラム。
  15. 前記コンピュータを、解析された素反応を基に解析を行う際の解析条件を記憶する解析条件記憶手段と、前記化学反応を記述する複数の素反応式を前記解析条件に基づいて選択すると共に選択された素反応式に関連付けられたパラメータを調整可能な選択手段として機能させ、
    前記判定部において前記シミュレーションデータが前記実験データを導出可能であると判定された場合に前記コンピュータを前記選択手段として機能させる
    ことを特徴とする請求項11〜14いずれかに記載の反応メカニズム解析プログラム。
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