JP7276301B2 - 反応解析装置、反応解析システム、および反応解析方法 - Google Patents

反応解析装置、反応解析システム、および反応解析方法 Download PDF

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Description

本発明は、反応解析装置、反応解析システム、および反応解析方法に関する。
有機化学反応を用いる医薬品やファインケミカル素材の生産時には、生産の効率化のために反応条件の最適化が重要である。反応条件には、例えば、溶媒種や試薬の選択、濃度、温度、および反応時間等がある。最適化の工程では、効率化のために、高い収率を得られる条件を探索する。最適化の工程では、各項目を順に最適化していくが、その指標としては主に反応時間における生成物の濃度をサンプリングにより計測した収率や反応速度が使用される。なお、生成物の合成には、例えば第1の溶液と第2の溶液を供給装置に注入し、ミキサーで混合して合成するフローリアクタが用いられる(例えば特許文献1参照)。
特開2020-11948号公報
しかしながら、従来の技術では、実験から反応速度を求めるためにある反応時間における反応流体をサンプリングし、そのサンプリングした反応流体に対して生成物の抽出や濃度計測等を行う工程が必要であり、1つの条件下における濃度を算出するまでに少なくとも数時間の作業時間を要する。従来の技術では、最適化項目の数によっては数十回以上、条件変更と抽出を行うトライアンドエラーの工程を繰り返す必要がある。また、従来の技術では、複数の温度条件下での濃度データが必要となるため、より多くの工数を要する。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、複数の実験を実施することなく従来よりも短時間で反応速度等の反応状態を検出することが可能になる反応解析装置、反応解析システム、および反応解析方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る反応解析装置は、フローリアクタを流れる反応流体の反応状態を特定する反応解析装置であって、反応流体の流れ方向に沿う反応開始直後の反応流体の温度分布から得られる反応流体の反応状態を示す反応パラメータに基づいて、反応流体の反応状態を特定する処理部、を備える。
また、本発明の一態様に係る反応解析装置において、前記処理部は、反応流体の温度を実測することにより得られる実測結果と、反応開始直後の反応流体の温度分布を推定することにより得られる推定温度分布とを比較することにより、前記反応パラメータを取得するようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析装置において、前記第1パラメータは、前記推定温度分布は、反応開始直後の反応流体の温度分布を推定する支配方程式により求められるものであり、前記支配方程式は、反応開始直後の反応流体の温度分布のピーク値に関連する第一の反応パラメータと、反応開始直後の反応流体の温度分布のピーク位置に関連する第二の反応パラメータとを有するものであるようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析装置において、前記第一の反応パラメータは、単位物質量当たりの発熱量を示すものであり、前記第二の反応パラメータは、反応速度の温度依存性を示すものであるようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析装置において、前記処理部は、前記実測結果と前記推定温度分布との差が所定値以内になるように、前記第一の反応パラメータおよび前記第二の反応パラメータを調整し、調整された前記第一の反応パラメータおよび前記第二の反応パラメータを記憶部に記憶するようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析装置において、前記処理部は、前記記憶部に記憶された前記第一の反応パラメータおよび前記第二の反応パラメータに基づいて、反応流体の反応速度、複数の反応物の濃度、反応流体に含まれる生成物の濃度または収率の少なくとも一つを算出するようにしてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析装置において、前記処理部によって特定した反応流体の反応状態と、当該反応状態の目標値とを比較し、前記フローリアクタにおける反応流体の反応条件を制御する制御部を、備えてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析装置において、前記制御部は、前記フローリアクタの流路出口における前記反応状態を、前記目標値以上とする第1制御を行ってもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析装置において、前記制御部は、前記反応状態が前記目標値に達してから前記フローリアクタの流路出口までの、反応流体の滞留時間を最小化する第2制御を行ってもよい。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る反応解析システムは、フローリアクタを流れる反応流体の反応状態を特定する反応解析システムであって、前記フローリアクタの反応流路に沿う反応流体の温度を実測する温度測定部と、先に記載の反応解析装置と、前記処理部は、前記温度測定部により得られる実測結果から得られる反応流体の反応状態を示す反応パラメータに基づいて、反応流体の反応状態を特定する。
また、本発明の一態様に係る反応解析システムにおいて、前記温度測定部は、前記反応流路において、少なくとも反応流体の温度分布のピーク位置を挟むように設けられていてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析システムにおいて、前記フローリアクタは、化学反応に供される複数の反応物をそれぞれ供給する複数の供給流路と、前記複数の供給流路と接続されて複数の反応物を混合する混合器と、前記混合器と接続されて複数の反応物が混合されて得られる反応流体が流通される反応流路と、を備えてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析システムにおいて、前記フローリアクタは、反応流体の化学反応を進行させる触媒を備えてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析システムにおいて、前記フローリアクタを流れる反応流体に対し、電磁波を照射する電磁波照射装置を備えてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析システムにおいて、前記フローリアクタを流れる反応流体を加熱する加熱装置を備えてもよい。
また、本発明の一態様に係る反応解析システムにおいて、前記フローリアクタを流れる反応流体に対して通電する通電装置を備えてもよい。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る反応解析方法は、フローリアクタを流れる反応流体の反応状態を特定する反応解析方法であって、反応流体の流れ方向に沿う反応開始直後の反応流体の温度分布から得られる反応流体の反応状態を示す反応パラメータに基づいて、反応流体の反応状態を特定する。
本発明によれば、複数の実験を実施することなく従来よりも短時間で反応速度等の反応状態を検出することが可能になる。
第1実施形態に係る反応解析システムの構成例を示すブロック図である。 位置と温度の関係、時間と温度の関係を示す図である。 第1実施形態に係る反応場の温度分布から反応パラメータを算出する方法を説明するための図である。 第1実施形態に係る反応解析の処理手順であって、反応流体の流れ方向に沿う混合直後の反応流体の温度分布に基づいて反応流体の反応状態を特定するためのフローチャートである。 反応物と生成物の濃度の位置変化(時間変化)を示す図である。 第1実施形態に係る反応解析装置の構成例を示す図である。 第1実施形態に係る反応解析装置の接続例と構成例を示す図である。 第2実施形態に係る反応解析システムの構成例を示すブロック図である。 第2実施形態の一変形例に係る反応解析システムの構成例を示すブロック図である。 第2実施形態の一変形例に係る反応解析システムの構成例を示すブロック図である。 第2実施形態の一変形例に係る反応解析システムの構成例を示すブロック図である。 第2実施形態の一変形例に係る反応解析システムの構成例を示すブロック図である。 第2実施形態の一変形例に係る反応解析システムの構成例を示すブロック図である。 第3実施形態の一変形例に係る反応解析システムの構成例を示すブロック図である。 第3実施形態に係る反応解析からの反応条件制御の処理手順を示すフローチャートである。 位置と推定温度の関係、位置と推定濃度の関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。
<反応解析システム1の構成>
図1は、第1実施形態に係る反応解析システム1の構成例を示すブロック図である。図1のように、反応解析システム1は、第1ポンプ11、送液管111、第2ポンプ12、送液管112、混合器13、反応管14(反応流路)、温度調整器15、温度測定部16、および反応解析装置20を備えている。温度測定部16は、第1の温度測定部161(温度測定部)、第2の温度測定部162(温度測定部)、第3の温度測定部163(温度測定部)、および第4の温度測定部164(温度測定部)を備えている。フローリアクタ10は、第1ポンプ11、送液管111、第2ポンプ12、送液管112、混合器13、および反応管14を備える。反応解析装置20は、CPU23(処理部)を備えている。
図1に示すフローリアクタ10は、化学反応に供される複数の反応物をそれぞれ供給する複数の供給流路(第1ポンプ11と送液管111、第2ポンプ12と送液管112)と、これら複数の供給流路に接続されて複数の反応物を混合する混合器13とを備えたものであり、流路状に形成される。
第1ポンプ11は、送液管111を介して混合器13の第1の導入口に接続されている。第2ポンプ12は、送液管112を介して混合器13の第2の導入口に接続されている。混合器13は、2つの導入口と1つの排出口を備えている。混合器13の排出口は、複数の反応物が混合されて得られる反応流体が流通される反応管(反応流路)14に接続されている。
温度測定部16は、反応管14に沿う複数の位置における反応流体の温度を測定可能なように、例えば、混合器13の前後で流路に沿って複数配置される第1の温度測定部161、第2の温度測定部162、第3の温度測定部163、および第4の温度測定部164を有する。
第1の温度測定部161は、混合器13の入力側に設置され、この第1の温度測定部161により、複数の反応物を混合させて得られる反応流体の初期温度(混合器13の排出口における反応流体の温度)を計測(推定)することができる。
第2の温度測定部162、第3の温度測定部163、および第4の温度測定部164は、混合器13の出力側の反応管14に設置され、これら第2の温度測定部162~第4の温度測定部164により、反応流体の流れ方向に沿う混合直後(反応開始直後)の反応流体の温度(温度分布)を計測することができる。なお、「反応開始直後」とは、反応流体が実際に反応を開始した直後の意味ではなく、反応が開始される状態に反応流体が置かれた直後(第1実施形態では、複数の反応物が混合された直後)の意味である。
送液管111、送液管112、混合器13および反応管14は、温度調整器15内に設置される。
<反応解析システム1の動作(反応解析方法)>
反応解析システム1は、フロー合成型の化学反応装置における反応流体の反応状態を特定するものである。反応解析システム1は、反応前の温度と、反応後の複数箇所の温度とを計測し、計測した温度に基づいて反応パラメータを推定する。第1ポンプ11と第2ポンプ12に投入される反応物は、液体であっても気体であってもよい。反応パラメータは、反応流体の反応状態を示すものであって、後述するように、例えば化学反応場の温度分布に影響を及ぼすパラメータである。反応解析システム1によって生成される生成物は、例えばペプチド合成物である。
第1ポンプ11には、第1反応物Aが投入される。第1ポンプ11は、投入された第1反応物Aを、例えば第1流速、第1流量で、送液管111(第1流路)を介して混合器13に供給する。
第2ポンプ12には、第2反応物Bが投入される。第2ポンプ12は、投入された第2反応物Bを、例えば第2流速、第2流量で、送液管112(第2流路)を介して混合器13に供給する。
混合器13は、第1ポンプ11から供給された第1反応物Aと、第2ポンプ12から供給された第2反応物Bと、を混合し、混合した生成物を反応管14に供給する。
反応管14には、混合器13の排出口から生成物が供給される。混合器13内部の空間内では、第1反応物Aと第2反応物Bとの混合が開始される。そして、フローリアクタでは、混合器13内部から反応管14内部において反応が起き、生成物を含む例えば溶液が反応管14内を移動する。そして、フローリアクタでは、生成物を含む例えば溶液が、反応管14を通して反応管14の外部に排出される。
温度調整器15は、例えば恒温水槽であり、反応解析装置20の制御に応じて、混合器13、反応管14の温度を所定の温度に調整する。
温度測定部16は、化学反応場の温度を測定するセンサであり、例えば熱電対である。
温度測定部16は、非接触型の、例えば光学式温度センサであってもよい。温度測定部16は、反応管14(反応流路)に沿う反応流体の温度分布を検出し、検出した温度を示す温度情報(実測温度分布)を反応解析装置20に出力する。なお、化学反応場は、混合器の下流側において混合された反応物の化学反応が生ずる領域である。
第1の温度測定部161は、反応前の位置p1に設置されている。なお、設置箇所は、第1ポンプ11側および第2ポンプ12側のうち少なくとも1つであってもよく、第1ポンプ11側および第2ポンプ12側の両方であってもよい。第1ポンプ11側および第2ポンプ12側の両方に第1の温度測定部161を設置する場合は、第1ポンプ11側の温度と、第2ポンプ12側の温度と、の平均値を反応解析装置20に出力するようにしてもよい。なお、平均値は、反応解析装置20が算出するようにしてもよい。なお、混合器の上流側の温度を測定することは、必ずしも必須ではない。例えば、反応物の温度が一定に保たれている場合に第1の温度測定部161は不要である。
第2の温度測定部162は、反応後の位置p2に設置されている。位置p2は、位置p2~p4の中で最も混合器13の排出口に近い位置である。第2の温度測定部162は、位置p2の温度を測定し、測定した温度を示す情報を反応解析装置20に出力する。
第3の温度測定部163は、反応後の位置p3に設置されている。位置p3は、位置p2と位置p4の間の位置であり、位置p2より混合器13の排出口からの距離が長い。第3の温度測定部163は、位置p3の温度を測定し、測定した温度を示す情報を反応解析装置20に出力する。
第4の温度測定部164は、反応後の位置p4に設置されている。位置p4は、位置p2~p4の中で最も混合器13の排出口から遠い位置である。第4の温度測定部164は、位置p4の温度を測定し、測定した温度を示す情報を反応解析装置20に出力する。
反応解析装置20は、温度調整器15を制御する。反応解析装置20は、第1ポンプ11と第2ポンプ12の流量の制御を行う。反応解析装置20は、温度測定部16が出力する測定された温度を示す情報を取得する。反応解析装置20は、取得した温度を示す情報を用いて、複数の反応物を混合させて得られる反応流体の反応状態を特定する。反応状態は、例えば、反応流体の反応速度、複数の反応物の濃度、反応流体に含まれる生成物の濃度または収率である。反応解析装置20は、例えば位置と温度の関数を推定することで反応を解析する。なお、推定方法等は後述する。
なお、図1に示した構成は一例であり、これに限らない。例えば、第1反応物と第2反応物とを第1の混合器で混合して第1の生成物を生成し、この第1の生成物と第3反応物とを第2の混合器で混合して第2の生成物を生成する構成であってもよい。この場合は、第1の混合器の前後(上下流側)または下流側のみに温度測定部を取り付け、第2の混合器の前後(上下流側)または下流側のみに温度測定部を取り付けることにより、第1の混合器による第1反応物と第2反応物の混合直後の反応流体の温度分布を検出すると共に、第2の混合器による第1の生成物と第3反応物の混合直後の反応流体の温度分布を検出するようにしてもよい。
<温度分布の例>
次に、位置xと温度の関係例を説明する。
図2は、位置と温度の関係および時間と温度の関係、具体的には反応管14における混合器13からの流路距離に対する反応流体の温度分布および混合器13による混合後の経過時間(反応時間)に対する反応流体の温度分布を示す図である。図2において、下の横軸は時間であり、上の横軸は位置であり、縦軸は温度(℃)である。
曲線g21は、フローリアクタ10において第1反応物Aと第2反応物Bを混合した場合に温度測定部16により得られる実測温度分布を示す曲線である。この場合、反応の約t11後(混合器13の排出口からL11の位置)の実測温度がT12であり、反応のt12後(混合器13の排出口からL12の位置)の実測温度がT13であり、反応のt13後(混合器13の排出口からL13の位置)の実測温度がT14である。第1反応物Aと第2反応物Bを混合した場合の反応パラメータは、ΔH(第一の反応パラメータ)が例えば180kJ/molであり、ΔG(第二の反応パラメータ)が例えば74kJ/molである。なお、反応パラメータΔH、ΔGについては後述する。
ここで、温度測定部16の取り付け位置について説明する。
温度測定部16のうち、第1の温度測定部161は、反応前の位置(図1のp1)に取り付ける。第2の温度測定部162~第4の温度測定部164は、反応後の位置(図1のp2~p4)に位置に取り付ける。第2の温度測定部162~第4の温度測定部164を取り付ける位置は、図2のように、第1反応物Aと第2反応物Bとの反応熱による反応直後の反応流体の温度の変化を捉える箇所が好ましい。反応直後の反応流体の温度の変化とは、温度変化の最大値または極大値のように、短時間での温度変化である。反応直後においては、反応物の濃度が最も高いので、反応速度が大きく、単位時間当たりの発熱量が大きいことから、短時間での温度変化が生じやすい。また、反応直後の反応流体の温度の変化を捉える箇所とは、温度変化のピーク位置(最大値または極大値となる混合器13からの流路距離または混合後の経過時間の位置)を挟むような配置箇所であり、少なくとも温度変化のピーク値(最大値または極大値の温度値)に向けて昇温している箇所と温度変化のピーク値から降温している箇所とを含む。
このため、最大値の位置がL4の場合は、この位置の最大値の変化を捉える位置、例えばL3、L5、L6の位置に第2の温度測定部162~第4の温度測定部164を取り付けるようにする。
なお、最大値が発生する時間や位置が不明の場合、例えば反応後に3つ以上の温度測定部16を取り付けるようにしてもよい。そして、反応解析装置20は、測定された温度に基づいて反応直後の温度の変化を捉える箇所の温度測定部16を選択するようにしてもよい。
<反応場の温度分布から反応パラメータの算出方法>
次に、反応場の温度分布から反応パラメータを算出する方法について説明する。
図3は、第1実施形態に係る反応場の温度分布から反応パラメータを算出する方法を説明するための図である。符号g1の領域の図は、パラメータ調整前またはパラメータ調整中の温度分布例である。符号g1の領域の図において、横軸は位置、縦軸は温度である。
実測値T1は、位置p1における温度である。実測値T2は、位置p2における温度である。実測値T3は、位置p3における温度である。実測値T4は、位置p4における温度である。
関数T(x)は、混合直後の反応流体の温度分布を推定する支配方程式の解であり、位置xに対する温度の関数である。
推定値T(p1)は、関数T(x)による位置p1の温度の推定値である。推定値T(p2)は、関数T(x)による位置p2の温度の推定値である。推定値T(p3)は、関数T(x)による位置p3の温度の推定値である。推定値T(p4)は、関数T(x)による位置p4の温度の推定値である。
つまり、図3における符号g1の領域の図(関数T1(x)のグラフ)は、混合直後の反応流体の温度分布を推定することにより得られる推定温度分布を示している。
△t1は、位置p1における推定値T(p1)と実測値T1との差である。△t2は、位置p2における推定値T(p2)と実測値T2との差である。△t3は、位置p3における推定値T(p3)と実測値T3との差である。△t4は、位置p4における推定値T(p4)と実測値T4との差である。
つまり、反応流体の温度を実測することにより得られる実測結果(ここでは実測温度分布)と、混合直後の反応流体の温度分布を推定することにより得られる推定温度分布とを比較すると、符号g1の領域に示す例では、用いた関数T(x)が適切ではないため、推定値と実測値との間に大きい差が生じている。
符号g2の領域の図は、パラメータ調整後の温度分布例である。符号g2の領域の図において、横軸は位置、縦軸は温度である。
関数T(x)は、混合直後の反応流体の温度分布を推定する支配方程式の解であり、位置xに対する温度の関数である。
推定値T(p1)は、関数T(x)による位置p1の温度の推定値である。推定値T(p2)は、関数T(x)による位置p2の温度の推定値である。推定値T(p3)は、関数T(x)による位置p3の温度の推定値である。推定値T(p4)は、関数T(x)による位置p4の温度の推定値である。
つまり、図3における符号g1の領域の図(関数T(x)のグラフ)は、混合直後の反応流体の温度分布を推定することにより得られる推定温度分布を示している。
図3における符号g1の領域の図(関数T(x)のグラフ)において、位置p1における推定値T(p1)と実測値T1との差である△t1、位置p2における推定値T(p2)と実測値T2との差である△t2、位置p3における推定値T(p3)と実測値T3との差である△t3、および位置p4における推定値T(p4)と実測値T4との差である△t4は、所定値以内で微小であるため図示を省略している。
つまり、反応流体の温度を実測することにより得られる実測温度分布と、混合直後の反応流体の温度分布を推定することにより得られる推定温度分布とを比較すると、符号g2の領域に示す例では、用いた関数T(x)が適切であるため、推定値と実測値との差が所定値以内である。第1実施形態では、推定値と実測値との差が所定値以内を、実測値と関数T(x)とが一致していると見なす。
第1実施形態では、温度測定部16(第2の温度測定部162~第4の温度測定部164)による各温度測定位置(各位置xに相当)における反応流体の温度の実測値と、関数T(x)による各位置xにおける反応流体の温度の推定値との差が所定値内になる反応パラメータを設定する。
ここで、反応パラメータ、関数T(x)について説明する。
関数T(x)は、混合直後の反応流体の温度分布を推定する支配方程式の解であり、次式(1)のように、位置x、反応パラメータΔH、ΔGの関数である。
Figure 0007276301000001
または、関数T(x)は、次式(2)のように、位置x、反応パラメータΔH、Eの関数である。
Figure 0007276301000002
反応パラメータΔHは、反応モルエンタルピー(kJ/mol)である。反応モルエンタルピーとは、モルあたり(単位物質量当たり)の反応熱を表す量である。反応パラメータΔHは、位置と温度の関係の図3のグラフにおける最大値(または極大値)すなわち混合直後の反応流体の温度分布のピーク値に関連する。
反応パラメータΔGは、活性化自由エネルギー(kJ/mol)である。活性化自由エネルギーとは、反応前と反応遷移状態の自由エネルギーの差であり、反応速度の温度依存性を示すものである。反応パラメータΔGは、混合直後の反応流体の温度分布のピーク値およびピーク位置に関連する。
反応パラメータEは、活性化エネルギー(kJ/mol)である。活性化エネルギーとは、反応速度と温度の関係を表したアレニウスの式のパラメータであって反応前と反応遷移状態のエネルギーの差であり、反応速度の温度依存性を示すものである。反応パラメータEは、混合直後の反応流体の温度分布のピーク値およびピーク位置に関連する。
また、以下の説明では、温度の実測値(温度分布計測値)T(x)は、次式(3)で表す。
Figure 0007276301000003
次に、反応解析システム1における反応解析の処理手順例を説明する。
図4は、第1実施形態に係る反応解析の処理手順であって、反応流体の流れ方向に沿う混合直後の反応流体の温度分布に基づいて反応流体の反応状態を特定するためのフローチャートである。なお、以下の処理では、反応パラメータがΔH、ΔGである場合を説明する。
(ステップS11)反応解析装置20は、温度測定部16が計測した温度に関する情報(反応流体の温度を実測することにより得られる実測温度分布)を取得する。これにより、反応解析装置20は、温度分布計測値T(x)を読み込む。なお、反応解析装置20は、温度測定部16が設置されている位置x(図1のp1~p4)を記憶している。
(ステップS12)反応解析装置20は、反応パラメータΔHn、ΔG を仮設定して、温度分布計算値T(x)を算出する(混合直後の反応流体の温度分布を推定することにより得られる推定温度分布を取得する)。なお、反応解析装置20は、ステップS12の処理が一回目の場合、反応パラメータΔH、ΔG を自部が記憶する例えば初期値に設定して、温度分布計算値T(x)を算出する。
(ステップS13)反応解析装置20は、関数T(x)により推定される各位置pm(mは例えば1~4の整数)の温度推定値と、温度測定部16により実測される各位置pmの温度実測値Tmとの差Δtmを算出する(実測温度分布と推定温度分布とを比較する)。反応解析装置20は、温度の測定箇所が4つの場合、Δt1(=T1-T(p1))、Δt2(=T2-T(p2))、Δt3(=T3-T(p3))、Δt4(=T4-T(p4))が全て、自装置の記憶する所定値以内であるか否かを判別することで、T(x)がT(x)にほぼ一致するか否かを判別する。反応解析装置20は、T(x)がT(x)にほぼ一致すると判別した場合(ステップS13;YES)、ステップS15の処理に進める。反応解析装置20は、T(x)がT(x)にほぼ一致しないと判別した場合(ステップS13;NO)、ステップS14の処理に進める。なお、実測温度分布と推定温度分布との比較に用いられる所定値は、各測定箇所に対して共通して設定されるものであってもよく、また各測定箇所に対して各々設定されるものであってもよい。
(ステップS14)反応解析装置20は、反応パラメータの値を調整する。例えば、Δt1~Δt4が全て正の場合、最大値の高さを高くするように反応パラメータΔHをΔHより大きな値にする。例えば、Δt1~Δt4が全て負の場合、最大値の高さを低くするように反応パラメータΔHをΔHより小さな値にする。処理後、反応解析装置20は、ステップS12の処理に戻す。また、仮にΔt2のみが負で、その他が正の場合(例えば推定温度分布のピーク位置が計測した温度分布に比べて後方に位置している場合)、推定温度分布のピーク位置が前方に来るようにΔG を小さな値にする。
(ステップS15)反応解析装置20は、反応パラメータΔH、ΔGを出力する。
(ステップS16)反応解析装置20は、生成物と反応物の濃度分布P(x)を算出し、算出した生成物と反応物の濃度分布P(x)を出力する。
なお、反応解析装置20が算出して出力する生成物と反応物の濃度分布P(x)は、反応パラメータがΔH、ΔGである場合、次式(4)の微分方程式を解くことで得られる。
Figure 0007276301000004
式(4)において、[A]は第1反応物Aの濃度、[B]は第2反応物Bの濃度、hはプランク定数(6.62607004×10-34(mkg/s))、kはボルツマン定数(1.380649×10-23(JK-1))、Rは気体定数、Tは流体の温度である。
また、反応解析装置20が算出して出力する生成物と反応物の濃度分布P(x)は、反応パラメータがΔH、Eである場合、次式(5)のように表される。
Figure 0007276301000005
式(5)において、[A]は第1反応物Aの濃度、[B]は第2反応物Bの濃度、Aはアレニウスの式における頻度因子、Rは気体定数、Tは流体の温度である。
図5は、反応物と生成物の濃度の位置変化(時間変化)を示す図である。図5において、下の横軸は時間であり、上の横軸は位置であり、縦軸は反応物および生成物の濃度である。なお、第1反応物Aと第2反応物Bに対する縦軸の値は、反応物の濃度を表している。また、図5は、反応解析装置20が、求めた反応パラメータと式(4)または式(5)を用いて生成物と反応物の濃度分布P(x)を求め、求めた濃度を収率に換算した結果例である。なお、収率とは、反応において収量の理論収量に対する比率である。収量は、実際に得られた生成物の量である。理論収量は、用いた基質あるいは試薬に対して理論上得ることができる最大量である。
曲線g31は、混合後の第1反応物Aの時間と濃度の関係、位置と濃度の関係である。
曲線g32は、混合後の第2反応物Bの時間と濃度の関係、位置と濃度の関係である。
曲線g33は、混合後の生成物の時間と収率の関係、位置と収率の関係である。
図5の例では、t1~t2で第1反応物Aの濃度がほぼ0になり、t1~t2で第2反応物Bの濃度が[B]xに収束し、t1~t2で生成物の濃度が[P]xに収束している。
このように、第1実施形態では、実測値を用いて反応パラメータを推定することで、フローリアクタ中の任意の位置および任意の時間における反応物と生成物の濃度と反応速度を推定することができる。
また、濃度を推定することで、フローリアクタ中の任意の位置および任意の時間における生成物の収率を推定することができる。
<反応解析装置20の構成例>
次に、反応解析装置20の構成例を説明する。
図6は、第1実施形態に係る反応解析装置20の構成例を示す図である。図6のように、反応解析装置20は、外部記憶装置21、内部記憶装置22、CPU23、入力装置24、および出力装置25を備えている。外部記憶装置21は、実験データ記憶部211、流体物性データ記憶部212、反応器熱特性データ記憶部213、反応データ記憶部214、演算データ記憶部215、および反応解析プログラム記憶部216を備えている。
外部記憶装置21、内部記憶装置22、CPU23、入力装置24、および出力装置25は、システムバス26を介して接続されている。
実験データ記憶部211は、実験データ(例えば、各種センサ等によって実測された温度など)を記憶する。流体物性データ記憶部212は、解析に必要な定数または変数としての流体物性データ(例えば、密度、比熱、熱伝導率、粘性係数など)を記憶する。反応器熱特性データ記憶部213は、解析に必要な定数または変数としての反応器熱特性データ(例えば、フローリアクタにおける壁面の熱伝導率、比熱など)を記憶する。反応データ記憶部214は、反応データ(例えば、化学反応式に関するデータであって、反応パラメータ等)を記憶する。演算データ記憶部215は、演算データ(例えば、数式で解かれた温度、流速、濃度などの各種分布)を記憶する。反応解析プログラム記憶部216は、反応解析プログラム(例えば、推定温度分布の算出に用いられるシミュレーションを解くプログラムなど)を記憶する。
内部記憶装置22は、解析中のデータ(例えば、反応パラメータ、各種分布など)を一時的に記憶する。
CPU23は、例えばパーソナルコンピュータであり、反応解析システム1の制御、データの取得、データの解析、推定を行う。
入力装置24は、例えばキーボード、マウス、表示装置上に設けられたタッチパネルセンサー等であり、利用者の操作を検出する装置である。
出力装置25は、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置、プリンタ等の出力装置である。
図7は、第1実施形態に係る反応解析装置20の接続例と構成例を示す図である。図7のように、CPU23は、制御部231、算出部232、判定部233、およびパラメータ調整部234を備えている。実験データ記憶部211、流体物性データ記憶部212、反応器熱特性データ記憶部213、反応データ記憶部214、演算データ記憶部215は、制御部231に接続されている。
制御部231は、温度測定部16による反応流体の温度の実測値の取得を行う(図4のステップS11の処理)。制御部231は、推定した反応パラメータΔH、ΔG(またはE)を反応データ記憶部214に出力する(図4のステップS15の処理)。また、制御部231は、温度調整器15の設定温度(反応物および反応流体の温度)を制御してもよい。また、制御部231は、第1ポンプ11と第2ポンプ12の設定流量(反応物および反応流体の流量)を制御してもよい。
算出部232は、温度分布計算値T(x)を算出する(図4のステップS12の処理)。算出部232は、生成物と反応物の濃度分布P(x)を算出する(図4のステップS16の処理)。
判定部233は、温度測定部16による温度の実測値と温度分布計算値T(x)による温度の推定値との差が全て、自装置の記憶する所定値以内であるか否かを判別することで、T(x)がT(x)にほぼ一致するか否かを判別する(図4のステップS13の処理)。
パラメータ調整部234は、反応パラメータΔH、ΔG(またはE)を調整する(図4のステップS14の処理)。
なお、図6、図7に示した構成は一例であり、これに限らない。例えば、外部記憶装置21は、内部記憶装置22とCPU23と入力装置24と出力装置25に、ネットワークを介して接続されていてもよい。また、外部記憶装置21の各記憶部は、内部記憶装置22が備えていてもよい。
<温度分布を表す関数T(x)>
ここで、温度分布を表す関数T(x)の求め方の一例を説明する。
CPU23は、温度分布を表す関数T(x)を、下の3つの式を例えば空間一次元に近似して解いて求める。なお、CPU23は、近似の際、3つの式を例えば空間二次元以上に近似して解いて求めるようにしてもよい。
流体シミュレーションにおける支配方程式は、次式(6)の質量保存式、次式(7)の運動量保存式、次式(8)のエネルギー保存式の3つからなる。
Figure 0007276301000006
Figure 0007276301000007
Figure 0007276301000008
式(6)~式(8)において、ρは化学種sの密度であり、uは反応流体の流速ベクトルであり、Mは化学種sの分子量であり、Jは化学種sの拡散質量流束であり、ω は化学種sのモル生成速度であり、ρは反応流体の密度であり、pは反応流体の圧力である。Iは単位テンソルであり、Vは粘性応力テンソルであり、Tは反応流体の温度であり、hは化学種sの生成モルエンタルピーであり、Nは生成物の数(種類)であり、cvは反応流体の定積比熱である。
なお、上述した例では、第1反応物と第2反応物を混合した際に得られる生成物が1つの例を説明したが、生成物は2つ以上であってもよい。
従来の手法でフローリアクタ中の反応物の濃度と生成物の濃度および収率とこれらの反応速度とを推定した場合は、カットアンドトライで行うため、処理に1日程度かかる。
第1実施形態によれば、流路状の反応器(フローリアクタ)の温度分布を計測することで、複数の実験を実施することなく短時間で化学反応の活性化自由エネルギー等の反応パラメータを算出することが可能になる。第1実施形態によれば、算出された反応パラメータを用いて反応シミュレーションを実施することで、濃度や温度等の運転条件やリアクタの構造を変更した場合においても反応中の任意の位置における生成物の生成速度や濃度を解析することが可能となる。
また、第1実施形態によれば、混合器前後の温度計測を行うことで、混合直後から進行する反応にも対応することができる。
また、第1実施形態によれば、運動量保存則を含む流体シミュレーションを用いることで、流体そのものが反応物となる気体のように流速変化の大きい対象であっても対応できる。
また、第1実施形態によれば、推定した反応パラメータを用いて、流路状の任意の位置における生成物の濃度を数秒程度のリアルタイムに推定することが可能となる。
また、第1実施形態によれば、流路状の任意の位置における生成物の濃度を数秒程度のリアルタイムに推定できるので、反応条件の最適化に要する工数が従来の1/100以下程度に短縮することが可能となる。なお、従来手法では、パラメータが多いため、トライアンドエラーを行う必要があったため、工数が多かった。
また、第1実施形態によれば、濃度計測やパラメータ算出等の工数を短縮できるので、ケモインフォマティクスにおいて課題であった条件に対するデータ取得の効率が100倍以上程度とハイスループット化が可能となる。
また、第1実施形態によれば、流路状の任意の位置における生成物の推定した濃度から収率に換算することで、最適な流路長さや反応器の流路内径・流路壁肉厚・材質等の熱的特性といった反応器のハード設計にも活用することができる。
ここで、収率に関し、第1反応物Aと第2反応物Bから1つの生成物Pが生じる場合の時間tにおける収率は、次式(9)のように表される。
Figure 0007276301000009
上式において、[P](t)は時間tにおける生成物Pの濃度、[A]は第1反応物Aの投入濃度、[B]は第2反応物Bの投入濃度であり、minは最小値を抽出する関数である。
<応用例>
第1実施形態の反応解析システム1は、例えば以下のような装置やシステムに適用可能である。
第1の応用例は、反応モニタリングのためのソフトセンサである。この応用例では、温度計測結果から反応物・生成物の濃度をリアルタイムに算出することが可能となる。
第2の応用例は、第1の応用例のソフトセンサの出力結果をもとに、温度や流量、材料の濃度、後述する反応流路の切り替えなどの運転条件を制御することで化学反応を制御するシステムである。この応用例では、反応流体をサンプリングして生成物の濃度計測等を行うことなく、インラインで反応をリアルタイムモニタリングしながら反応を制御することが可能となる。
第3の応用例は、第2の応用例の反応制御システムを用いて、医薬品の原薬やファインケミカル系の機能性素材を生産する生産技術である。この応用例では、反応流体をサンプリングして生成物の濃度計測等を行うことなく、インラインで反応流体(反応)をリアルタイムモニタリングしながら素材を生産することが可能となる。
なお、上述した応用例は一例であり、これに限らない。反応解析システム1を他のシステム、装置、工程等に適用してもよい。
以上のような反応解析システム1及び反応解析装置20は、複数の反応物の混合により反応流体の化学反応が進行するフローリアクタ10のみならず、以下の第2実施形態に示すようなフローリアクタ10にも適用可能である。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8は、第2実施形態に係る反応解析システム1Aの構成例を示すブロック図である。
図8に示す反応解析システム1Aは、反応流体と触媒30との接触により反応流体の化学反応が進行するフローリアクタ10を備えている。フローリアクタ10は、送液管111、反応管14、排出管113、及び触媒30を備えている。
反応管14には、触媒30が収容されている。反応管14は、1つの導入口と、1つの排出口を備えている。反応管14の導入口には、送液管111が接続されている。反応管14の排出口には、排出管113が接続されている。
温度測定部16は、第1の温度測定部161~第5の温度測定部165を備えている。第1の温度測定部161は、反応管14より上流側(反応前)の送液管111の位置p1に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、反応管14において、反応流体の流れに沿って位置p2~位置p5の順に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、反応流体の流れ方向に沿う触媒30との接触直後(反応開始直後)の反応流体の温度(温度分布)を計測することができる。
反応解析装置20は、温度測定部16が出力する測定された温度を示す情報を取得する。反応解析装置20は、取得した温度を示す情報を用いて、反応流体と触媒30との接触による反応流体の反応状態を特定する。
図9は、第2実施形態の一変形例に係る反応解析システム1Bの構成例を示すブロック図である。
図9に示す反応解析システム1Bは、反応流体に対する電磁波31Aの照射により反応流体の化学反応が進行するフローリアクタ10を備えている。反応解析システム1Bは、電磁波照射装置31を備えている。電磁波照射装置31は、フローリアクタ10の反応流路に電磁波31Aを照射する。
温度測定部16は、第1の温度測定部161~第5の温度測定部165を備えている。第1の温度測定部161は、電磁波31Aの照射範囲より上流側(反応前)の位置p1に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、電磁波31Aの照射範囲において、反応流体の流れに沿って位置p2~位置p5の順に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、反応流体の流れ方向に沿う電磁波31Aの照射直後(反応開始直後)の反応流体の温度(温度分布)を計測することができる。
反応解析装置20は、温度測定部16が出力する測定された温度を示す情報を取得する。反応解析装置20は、取得した温度を示す情報を用いて、反応流体に対する電磁波31Aの照射による反応流体の反応状態を特定する。
図10は、第2実施形態の一変形例に係る反応解析システム1Cの構成例を示すブロック図である。
図10に示す反応解析システム1Cは、図9に示す反応解析システム1Bと同様に、反応流体に対する電磁波31Aの照射により反応流体の化学反応が進行するフローリアクタ10を備えている。フローリアクタ10は、送液管111、螺旋状の反応管14、排出管113、及び電磁波照射装置31を備えている。
反応管14は、電磁波照射装置31の周囲を螺旋状に周回している。電磁波照射装置31は、螺旋状の反応管14の径方向内側から外側に向かって電磁波31Aを照射する。
温度測定部16は、第1の温度測定部161~第5の温度測定部165を備えている。第1の温度測定部161は、電磁波31Aの照射範囲より上流側(反応前)の送液管111の位置p1に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、電磁波31Aの照射範囲である反応管14において、反応流体の流れに沿って位置p2~位置p5の順に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、反応流体の流れ方向に沿う電磁波31Aの照射直後(反応開始直後)の反応流体の温度(温度分布)を計測することができる。
反応解析装置20は、温度測定部16が出力する測定された温度を示す情報を取得する。反応解析装置20は、取得した温度を示す情報を用いて、反応流体に対する電磁波31Aの照射による反応流体の反応状態を特定する。
図11は、第2実施形態の一変形例に係る反応解析システム1Dの構成例を示すブロック図である。
図11に示す反応解析システム1Dは、反応流体に対する加熱により反応流体の化学反応が進行するフローリアクタ10を備えている。反応解析システム1Dは、フローリアクタ10を流れる反応流体を加熱する加熱装置32(ヒーター)を備えている。加熱装置32は、フローリアクタ10の反応流路に沿って配置されている。
温度測定部16は、第1の温度測定部161~第4の温度測定部164を備えている。第1の温度測定部161は、加熱装置32との対向領域より上流側(反応前)の位置p1に設置されている。第2の温度測定部162~第4の温度測定部164は、加熱装置32との対向領域において、反応流体の流れに沿って位置p2~位置p4の順に設置されている。第2の温度測定部162~第4の温度測定部164は、反応流体の流れ方向に沿う加熱直後(反応開始直後)の反応流体の温度(温度分布)を計測することができる。
反応解析装置20は、温度測定部16が出力する測定された温度を示す情報を取得する。反応解析装置20は、取得した温度を示す情報を用いて、反応流体に対する加熱による反応流体の反応状態を特定する。
図12は、第2実施形態の一変形例に係る反応解析システム1Eの構成例を示すブロック図である。
図12に示す反応解析システム1Eは、図11に示す反応解析システム1Dと同様に、反応流体に対する加熱により反応流体の化学反応が進行するフローリアクタ10を備えている。フローリアクタ10は、送液管111、螺旋状の反応管14、排出管113、及び加熱装置32を備えている。
反応管14は、加熱装置32の周囲を螺旋状に周回している。加熱装置32は、螺旋状の反応管14を径方向内側から加熱する。
温度測定部16は、第1の温度測定部161~第5の温度測定部165を備えている。第1の温度測定部161は、反応管14より上流側(反応前)の送液管111の位置p1に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、加熱装置32との対向領域である反応管14において、反応流体の流れに沿って位置p2~位置p5の順に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、反応流体の流れ方向に沿う加熱直後(反応開始直後)の反応流体の温度(温度分布)を計測することができる。
反応解析装置20は、温度測定部16が出力する測定された温度を示す情報を取得する。反応解析装置20は、取得した温度を示す情報を用いて、反応流体に対する加熱によるによる反応流体の反応状態を特定する。
図13は、第2実施形態の一変形例に係る反応解析システム1Fの構成例を示すブロック図である。
図13に示す反応解析システム1Fは、反応流体に対する電流の通電により反応流体の化学反応が進行するフローリアクタ10を備えている。反応解析システム1Fは、フローリアクタ10を流れる反応流体に対して通電する通電装置33を備えている。通電装置33は、フローリアクタ10の反応流路を挟んで配置された一対の電極33aを備えている。
温度測定部16は、第1の温度測定部161~第5の温度測定部165を備えている。第1の温度測定部161は、一対の電極33aの対向領域より上流側(反応前)の位置p1に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、一対の電極33aの対向領域において、反応流体の流れに沿って位置p2~位置p5の順に設置されている。第2の温度測定部162~第5の温度測定部165は、反応流体の流れ方向に沿う通電直後(反応開始直後)の反応流体の温度(温度分布)を計測することができる。
反応解析装置20は、温度測定部16が出力する測定された温度を示す情報を取得する。反応解析装置20は、取得した温度を示す情報を用いて、反応流体に対する電流の通電による反応流体の反応状態を特定する。
以上のような反応解析システム1(1A~1F)及び反応解析装置20は、各種様々なフローリアクタ10における反応流体の反応状態を特定するのみならず、以下の第3実施形態に示すような特定した反応状態の推定値(反応物の推定濃度等)に基づく、反応流体の反応条件の制御にも適用可能である。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図14は、第3実施形態に係る反応解析システム1Gの構成例を示すブロック図である。
図14に示す反応解析システム1Gは、送液管111、反応管14、及び複数の排出管113A~113Dを備えている。また、反応管14には、上述した触媒30、電磁波照射装置31、加熱装置32、及び通電装置33のいずれか一つが設けられている。
温度測定部16は、第1の温度測定部161~第10の温度測定部170を備えている。第1の温度測定部161は、反応管14より上流側(反応前)の送液管111の位置p1に設置されている。第2の温度測定部162~第10の温度測定部170は、反応管14において、反応流体の流れに沿って位置p2~位置p10の順に設置されている。
反応管14には、複数のバルブ114a~バルブ114cが設けられている。具体的に、バルブ114aは、位置p4と位置p5との間に設置されている。バルブ114bは、位置p7と位置p8との間に設置されている。バルブ114cは、位置p10の下流側に設置されている。
排出管113Aは、反応管14のバルブ114aの上流側であって、位置p3と位置p4との間に接続されている。排出管113Aには、バルブ113aが設置されている。排出管113Bは、反応管14のバルブ114aの下流側且つバルブ114bの上流側であって、位置p6と位置p7との間に接続されている。排出管113Bには、バルブ113bが設置されている。
排出管113Cは、反応管14のバルブ114bの下流側且つバルブ114cの上流側であって、位置p9と位置p10との間に接続されている。排出管113Cには、バルブ113bが設置されている。排出管113Dは、反応管14のバルブ114cの下流側であって、反応管14の排出口に接続されている。
バルブ113a~バルブ113c及びバルブ114a~バルブ114cは、反応解析装置20に接続されると共に、制御部231(上述した図7参照)に制御され、反応流路の切り替えや、反応流体の流量の調整を行う。制御部231は、上記特定した反応流体の反応状態を示す推定値と、所定の目標値とを比較し、フローリアクタ10における反応流体の反応条件を制御する。
例えば、反応管14に触媒30が設けられている場合、反応流体の反応条件は、フローリアクタ10における反応流路を切り替えることで制御できる。具体的に、反応管14のバルブ114aを閉じ、排出管113Aのバルブ113aを開くことで、排出管113Aから反応流体が排出され、反応流体が反応管14において触媒30に触れる距離を短くすることができる。同様に、排出管113A~排出管113Dのいずれか一つから反応流体が排出されるようにバルブ113a~バルブ113c及びバルブ114a~バルブ114cを開閉することで、反応流体の反応条件を制御することができる。
また、反応管14に電磁波照射装置31、加熱装置32、及び通電装置33のいずれか一つが設けられている場合も同様に、反応流体の反応条件は、フローリアクタ10における反応流路を切り替えることで制御できる。なお、電磁波照射装置31、加熱装置32、及び通電装置33の場合、反応流体の反応条件は、反応流路を切り替えなくても制御可能である。例えば、電磁波照射装置31の場合は、図示しない電磁波遮蔽壁を移動させ、電磁波31Aの照射範囲を可変させたり、電磁波の照射の出力を可変させることで、反応条件を制御できる。また、加熱装置32の場合は、加熱温度を可変させることで、反応条件を制御できる。また、通電装置33の場合は、通電量を可変させることで、反応条件を制御できる。
図15は、第3実施形態に係る反応解析からの反応条件制御の処理手順を示すフローチャートである。図16は、位置と推定温度の関係、位置と推定濃度の関係を示す図である。
制御部231は、図15に示すフローチャートに従って、反応流体の反応条件を制御する。なお、第3実施形態において、流体シミュレーションにおける支配方程式は、上述した式(8)を改良した、次式(10)に示すエネルギー保存式を用いる。
Figure 0007276301000010
式(10)は、上述した式(8)にQを追加したものである。Qは、フローリアクタ10において、反応流体に対する電磁波の照射により反応流体の化学反応が進行する場合に、次式(11)で表される。また、Qは、フローリアクタ10において、反応流体に対する電流の通電により反応流体の化学反応が進行する場合に、次式(12)で表される。また、Qは、上記以外の場合は0(ゼロ)である。
Figure 0007276301000011
Figure 0007276301000012
式(11)は、反応流体の電磁波の照射による輻射発熱に伴う発熱を考慮したものであり、κは輻射の吸収係数であり、Iは電磁波照射装置31の出力である。なお、式(11)は、厳密には輻射解析または電磁場解析から算出されるとよい。式(12)は、反応流体の通電による電熱発熱を考慮したものであり、σは電気伝導率であり、iは電流値である。なお、式(12)は、厳密には電磁場解析から算出されるとよい。
図15に示すフローチャートは、上述した図4に示すステップS11~ステップS16に、ステップS17及びステップS18を追加したものである。よって、ステップS11~ステップS16に係る説明は、重複のため割愛する。
(ステップS17)制御部231は、ステップS16にて算出した生成物と反応物の濃度分布P(x)から、フローリアクタ10の流路出口(x=反応管14の排出口)における推定値Pを求め、推定値Pが所定の目標値Pset以上か否かを判定する。さらに、推定値Pが所定の目標値Psetに達してからフローリアクタ10の流路出口までの、反応流体の滞留時間(time)が最小化(minimum)であるか否かを判定する。制御部231は、ステップS17における判定がNOの場合、ステップS18に移行する。
(ステップS18)制御部231は、フローリアクタ10の流路出口における推定値Pを、目標値Pset以上とする第1制御と、推定値Pが目標値Psetに達してからフローリアクタ10の流路出口までの、反応流体の滞留時間を最小化する第2制御と、を行う。なお、第2制御は、反応流体の副反応抑制のための制御である。
第1制御の具体例としては、フローリアクタ10の流路出口における推定値P(推定濃度)が目標値Pset(目標濃度)を下回る場合(P!(x)<Psetの場合)、制御部231は、バルブ114a~バルブ114cを制御し、反応流体の流量を下げ、反応流路中の滞留時間を延ばすことで反応時間を延長する。また、例えば、制御部231は、バルブ113a~バルブ113c及びバルブ114a~バルブ114cを制御し、反応流路を切り替え、流路長を伸ばすことで反応時間を延長する。また、例えば、制御部231は、アクチュエーター(電磁波照射装置31、加熱装置32、及び通電装置33)の出力を上げ、反応流体の反応性を上げる等する。
第2制御の具体例としては、推定値P(推定濃度)が目標値Pset(目標濃度)に達してからフローリアクタ10の流路出口までの滞留時間が長い場合、制御部231は、バルブ114a~バルブ114cを制御し、反応流体の流量を上げ、反応流路中の滞留時間を短縮する。また、例えば、制御部231は、バルブ113a~バルブ113c及びバルブ114a~バルブ114cを制御し、反応流路を切り替え、流路長を短くすることで反応時間を短縮する。また、例えば、制御部231は、アクチュエーター(電磁波照射装置31、加熱装置32、及び通電装置33)の出力を下げ、反応流体の反応性を下げることで、目標値Pset(目標濃度)に到達するまでの時間を延ばす。
ステップS18の次は、ステップS11に戻り、上述した第1実施形態と同様に生成物と反応物の濃度分布P(x)を求める。そして、ステップS17の判定でYESになった場合、理想の反応条件が得られたとして処理を終了する。
以上のような第3実施形態によれば、各種様々なフローリアクタ10における反応流体の反応状態を特定するのみならず、反応流体の副反応を抑制しつつ目標濃度の反応物が得られるように、フローリアクタ10における反応条件を制御することが可能となる。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
例えば、上記一実施形態では、反応流体の温度分布のピーク位置を把握するため、温度測定部16の一部(例えば反応流体の温度分布のピーク位置を挟むように配置された第2の温度測定部162及び第3の温度測定部163)から反応流体の温度分布のピーク位置を検出していた。このように、温度測定部は、フローリアクタの反応流路において複数個所に設けられていたが、反応流体の温度分布のピーク位置が、1点目の温度測定部の前後のどちらかにあるか事前に想定できる場合は、温度測定部は当該1点目だけでも構わない。具体的には、1点目の温度測定部を反応流体の反応開始点の近傍に設置するケースが該当する。このケースにおいて、反応流体の流速が十分に速い場合は、当該1点目の温度測定部よりも後方に温度ピークが来ると想定されるため、温度測定部が1点だけであっても、その実測結果から上述した支配方程式より推定温度分布を得ることができる。
また、上記一実施形態では、図15に示すステップS18において、フローリアクタ10の流路出口における推定値Pを、目標値Pset以上とする第1制御と、推定値Pが目標値Psetに達してからフローリアクタ10の流路出口までの、反応流体の滞留時間を最小化する第2制御と、を行う、としたが、第2制御は不要な場合もあるため、第1制御のみでも構わない。
1…反応解析システム、10…フローリアクタ、11…第1ポンプ、12…第2ポンプ、13…混合器13、14…反応管、15…温度調整器、16,161,162,163,164…温度測定部、20…反応解析装置、21…外部記憶装置、22…内部記憶装置、23…CPU、24…入力装置、25…出力装置、26…システムバス、30…触媒、31…電磁波照射装置、32…加熱装置、33…通電装置、211…実験データ記憶部、212…流体物性データ記憶部、213…反応器熱特性データ記憶部、214…反応データ記憶部、215…演算データ記憶部、216…反応解析プログラム記憶部、231…制御部、232…算出部、233…判定部、234…パラメータ調整部

Claims (17)

  1. フローリアクタを流れる反応流体の反応状態を特定する反応解析装置であって、
    反応流体の流れ方向に沿う反応開始直後の反応流体の温度分布から得られる反応流体の反応状態を示す反応パラメータに基づいて、反応流体の反応状態を特定する処理部、
    を備える反応解析装置。
  2. 前記処理部は、反応流体の温度を実測することにより得られる実測結果と、反応開始直後の反応流体の温度分布を推定することにより得られる推定温度分布とを比較することにより、前記反応パラメータを取得する、
    請求項1に記載の反応解析装置。
  3. 前記推定温度分布は、反応開始直後の反応流体の温度分布を推定する支配方程式により求められるものであり、
    前記支配方程式は、反応開始直後の反応流体の温度分布のピーク値に関連する第一の反応パラメータと、反応開始直後の反応流体の温度分布のピーク位置に関連する第二の反応パラメータとを有するものである、
    請求項2に記載の反応解析装置。
  4. 前記第一の反応パラメータは、単位物質量当たりの発熱量を示すものであり、
    前記第二の反応パラメータは、反応速度の温度依存性を示すものである、
    請求項3に記載の反応解析装置。
  5. 前記処理部は、前記実測結果と前記推定温度分布との差が所定値以内になるように、前記第一の反応パラメータおよび前記第二の反応パラメータを調整し、調整された前記第一の反応パラメータおよび前記第二の反応パラメータを記憶部に記憶する、
    請求項3または請求項4に記載の反応解析装置。
  6. 前記処理部は、前記記憶部に記憶された前記第一の反応パラメータおよび前記第二の反応パラメータに基づいて、反応流体の反応速度、複数の反応物の濃度、反応流体に含まれる生成物の濃度または収率の少なくとも一つを算出する、
    請求項5に記載の反応解析装置。
  7. 前記処理部によって特定した反応流体の反応状態と、当該反応状態の目標値とを比較し、前記フローリアクタにおける反応流体の反応条件を制御する制御部を、備える、
    請求項1~6のいずれか一項に記載の反応解析装置。
  8. 前記制御部は、前記フローリアクタの流路出口における前記反応状態を、前記目標値以上とする第1制御を行う、
    請求項7に記載の反応解析装置。
  9. 前記制御部は、前記反応状態が前記目標値に達してから前記フローリアクタの流路出口までの、反応流体の滞留時間を最小化する第2制御を行う、
    請求項8に記載の反応解析装置。
  10. フローリアクタを流れる反応流体の反応状態を特定する反応解析システムであって、
    前記フローリアクタの反応流路に沿う反応流体の温度を実測する温度測定部と、
    請求項1~9のいずれか一項に記載の反応解析装置と、を備え、
    前記処理部は、前記温度測定部により得られる実測結果から得られる反応流体の反応状態を示す反応パラメータに基づいて、反応流体の反応状態を特定する、
    反応解析システム。
  11. 前記温度測定部は、前記反応流路において、少なくとも反応流体の温度分布のピーク位置を挟むように設けられている、
    請求項10に記載の反応解析システム。
  12. 前記フローリアクタは、
    化学反応に供される複数の反応物をそれぞれ供給する複数の供給流路と、
    前記複数の供給流路と接続されて複数の反応物を混合する混合器と、
    前記混合器と接続されて複数の反応物が混合されて得られる反応流体が流通される反応流路と、を備える、
    請求項10または請求項11に記載の反応解析システム。
  13. 前記フローリアクタは、反応流体の化学反応を進行させる触媒を備える、
    請求項10または請求項11に記載の反応解析システム。
  14. 前記フローリアクタを流れる反応流体に対し、電磁波を照射する電磁波照射装置を備える、
    請求項10または請求項11に記載の反応解析システム。
  15. 前記フローリアクタを流れる反応流体を加熱する加熱装置を備える、
    請求項10または請求項11に記載の反応解析システム。
  16. 前記フローリアクタを流れる反応流体に対して通電する通電装置を備える、
    請求項10または請求項11に記載の反応解析システム。
  17. フローリアクタを流れる反応流体の反応状態を特定する反応解析方法であって、
    反応流体の流れ方向に沿う反応開始直後の反応流体の温度分布から得られる反応流体の反応状態を示す反応パラメータに基づいて、反応流体の反応状態を特定する、
    反応解析方法。
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