JP5051563B1 - 面ファスナー機能性布帛、及び、面ファスナー機能性布帛の製造方法 - Google Patents

面ファスナー機能性布帛、及び、面ファスナー機能性布帛の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】面ファスナーにおける係合フックを有することで生じる「如何にも面ファスナー様形」の表面性状をなくすと共に、係合フックとして形成した溶融塊が係合することで面ファスナーとして十分な剥離力(引張せん断強さ)を確保し、更に、布帛として優れた柔軟性を有する面ファスナー機能性布帛を得る。
【解決手段】単繊維繊度Mが0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維から成る立毛繊維11で構成される立毛層12を表裏の少なくとも一方の面に備えた布帛において、立毛層12にレーザー光線を照射して、このレーザー光線の照射によって立毛繊維11を溶融して形成され且つ最大寸法Dが立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下である溶融塊13を有した雄状繊維14と、溶融塊13を有していない非雄状繊維15とが存在している。
【選択図】図3

Description

本発明は、布帛表面の外観や質感を保ったままで雄状繊維と非雄状繊維を形成した面ファスナー機能性布帛、この面ファスナー機能性布帛の製造方法に関するものである。
従来、面ファスナーとしては、ループ要素に係合するフック要素であって、フック要素は、ベースと、ベースと一体にモールド(鋳造)された多数の係合フックとを備え、ベースはプラスチック樹脂を備えた面ファスナーが知られている(ベルクロ(登録商標)社の特許文献1)。
この面ファスナーは、複数の平行列の係合フックが、シート型のベースから延びるように、ベースに一体的にモールドされている。モールドされた各係合フックは、ベースが広い先細りした側面視三角形状のペデスタル部(台座部)と、この台座部の最上部からアーチ形に曲がったわん曲部とを有している。
又、面ファスナー機能を備え、立毛部と地組織部とで構成される立毛布帛も知られている(特許文献2参照)。
この立毛布帛は、地組織部に、単繊維径5μm以下のフィラメント糸Aと、単繊維径5μmより大の弾性繊維糸Bとが含まれており、伸縮性に優れ、面ファスナーの雌材と雄材とを分離する際に生じる剥離音を抑制するものである。
特表2000−512174号公報 特開2010−209476号公報
しかしながら、特許文献1に記載された面ファスナーにおける係合フックは、ベースからの高さHが0.020インチ(508μm)以下であり、係合フックのわん曲部の幅Wc は0.013インチ(330μm)であり、高さHc は0.005インチ(127μm)であり、厚さは0.006インチ(152μm)等である。
このような係合フックの寸法に対して、特許文献1では、「寸法公差」を約0.001インチ(25μm)としており、「寸法公差」とは、「機械加工の工作物の、許容される誤差の最大寸法と最小寸法との差」のことを言うことから、係合フックの高さH自体や、わん曲部の幅Wc 及び厚さなどがその寸法公差より小さくなることは有り得ない。
更に、係合フックの最小寸法であっても、寸法公差に近い値にはならないことから、係合フックは、高さHやわん曲部の幅Wc 等が、0.001インチ(25μm)より明らかに大きい値となる。
このような寸法を持ち、シート型のベースがプラスチック樹脂と一体的にモールドされた特許文献1の面ファスナーを、自動車等の内装材や、衣類、靴、鞄、手袋などの止め具として用いたとしても、係合フックを明らかに目視でき、如何にも面ファスナーを取り付けた美感となり、デザインが制約される。
一方、特許文献2に記載された立毛布帛は、立毛部に、敢えて、カギ状またはキノコ状のフック部を形成しないことで、剥離音の抑制を図っている。
しかし、フック部を一切有さない特許文献2は、所定太さの糸を地組織部に用いただけで、従来の立毛布帛と何ら変わりなく、その剥離力は、フック部を有するものに比べて、明らかに劣る。
更に、硬いフック部を有さないため、布帛としての伸縮性を確保できるのは、当然であり、逆に、特許文献2は「従来のフック部を形成すれば、布帛の伸縮性が低下すること」を示唆している。
そこで本発明は、単繊維繊度が0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維から成る立毛繊維で構成される立毛層を表裏の少なくとも一方の面に備えた布帛において、立毛層にレーザー光線を照射して、このレーザー光線の照射によって立毛繊維を溶融して最大寸法が立毛繊維の単繊維径の2倍以上5倍以下である溶融塊を有した雄状繊維と、溶融塊を有していない非雄状繊維とを存在させることで、「溶融塊を不可視としつつ、その溶融塊によって所定の剥離力(引張せん断強さ)を確保すること」と「布帛としての伸縮性・柔軟性」を両立した面ファスナー機能性布帛を得ることを目的とする。
又、本発明は、単繊維繊度が0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維から成る立毛繊維で構成される立毛層を備えた布帛において、立毛層に、所定のエネルギー密度のレーザー光線を照射して立毛繊維を溶融させることで、「溶融塊を不可視としつつ、その溶融塊によって所定の剥離力(引張せん断強さ)を確保すること」と「布帛としての伸縮性・柔軟性」を両立した面ファスナー機能性布帛の製造方法を得ることを目的とする。
本発明に係る面ファスナー機能性布帛は、単繊維繊度Mが0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維から成る立毛繊維11で構成される立毛層12を表裏の少なくとも一方の面に備えた布帛において、前記立毛層12にレーザー光線を照射して、このレーザー光線の照射によって前記立毛繊維11を溶融して形成され且つ最大寸法Dが前記立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下である溶融塊13を有した雄状繊維14と、前記溶融塊13を有していない非雄状繊維15とが存在していることを第1の特徴とする。
本発明に係る面ファスナー機能性布帛の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記溶融塊13を非雄状繊維15の先端部より布帛厚み方向の高位置に形成した雄状繊維14が存在している点にある。
本発明に係る面ファスナー機能性布帛の第3の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記溶融塊13は、この溶融塊13が形成された雄状繊維14に隣接する他の雄状繊維14及び前記溶融塊13が形成された雄状繊維14に隣接する非雄状繊維15と未融着状態である点にある。
これらの特徴により、本発明に係る面ファスナー機能性布帛1では、単繊維繊度Mが0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維の立毛層12を表裏の少なくとも一方の面に備えた布帛において、レーザー光線の照射によって最大寸法Dが立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下である溶融塊13が形成された雄状繊維14と、溶融塊13が形成されていない非雄状繊維15とを存在させることによって、フック部に相当する溶融塊13を、実際に形成しているにも関わらず、肉眼で見えない(図2参照)。
従って、面ファスナー機能性布帛1の表面が「如何にも面ファスナー様形」とはならないと同時に、そのような大きさの溶融塊13であれば、立毛繊維11が溶融されても、繊維としての柔軟性を失うことがない。この柔軟性によって、自動車や車両等における内装面や椅子表面などの曲面に対しても、曲面形状に確りと沿わせながらはりつける(係合)させることが可能となる。
更に、雄状繊維14に形成された溶融塊13が、雌状布帛22(織編布帛や不織布を構成する繊維の間やシンカーループ等)に係合することで、面ファスナーとして必要な剥離力を確保できる。
これに加えて、溶融塊13を、立毛層12に照射したレーザー光線によって立毛繊維11を溶融させて形成することで、モールドする型を作成したり、フォトレジストのように多くの工程を経ることなしに、所望の溶融塊13を形成することが可能となって、生産効率の向上や、製造コストの低減が図れる。
尚、本発明には、前記立毛繊維11で構成される立毛層12を裏表両面に備えた布帛表裏の両方の面において雄状繊維14と非雄状繊維15とが存在している布帛も、当然に含まれ、更には、布帛の一方面に雄状繊維14及び非雄状繊維15を存在させ、同じ布帛の他方面に雄状繊維14が引っ掛かり可能な部分(ループ等)を設けた布帛も含まれる。
又、溶融塊13を非雄状繊維15の先端部より布帛厚み方向の高位置に形成した雄状繊維14が存在することで、雌状布帛22との係合時に、溶融塊13が非雄状繊維15より先に雌状布帛22と触れることとなり、溶融塊13と雌状布帛22とが係合し易くなる。更には、雌状布帛22と非雄状繊維15が接触する程に近接した際には、当然に、溶融塊13は、雌状布帛22のより深い位置まで入り込み、溶融塊13を有する雄状繊維14を周りの非雄状繊維15が支えるため、引張せん断強さFが向上する。
そして、溶融塊13を、この溶融塊13が形成された雄状繊維14に隣接する他の雄状繊維14と、前記溶融塊13が形成された雄状繊維14に隣接する非雄状繊維15に対して、未融着状態とすることで、溶融塊13自体が必要以上に大きくなることを防ぎ、雌状布帛22に対する所望の引張せん断強さFを持たせることが可能となる。
本発明に係る面ファスナー機能性布帛の製造方法は、単繊維繊度Mが0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維から成る立毛繊維11で構成される立毛層12を備えた布帛において、前記立毛層12に、エネルギー密度が0.70J/cm 2 以上51.00J/cm 2 以下のレーザー光線を照射し、このレーザー光線の照射によって前記立毛繊維11を溶融させることを第1の特徴とする。
本発明に係る面ファスナー機能性布帛の製造方法の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記立毛層12に照射するレーザー光線は、レーザー出力が10W以上100W以下である点にある。
本発明に係る面ファスナー機能性布帛の製造方法の第3の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記立毛層12に照射するレーザー光線は、ビームスポットの移動速度が100mm/秒以上10000mm/秒以下である点にある。
本発明に係る面ファスナー機能性布帛の製造方法の第4の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記立毛層12に照射するレーザー光線は、ビームスポット径が0.2mm以上1.0mm以下である点にある。
これらの特徴により、本発明に係る面ファスナー機能性布帛の製造方法では、単繊維繊度Mが0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維の立毛層12を表裏の少なくとも一方の面に備えた布帛において、最大寸法Dが立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下である溶融塊13が形成された雄状繊維14と、溶融塊13が形成されていない非雄状繊維15とを存在させることが可能となって、「溶融塊を不可視としつつ、その溶融塊によって所定の剥離力(引張せん断強さ)を確保すること」と「布帛としての伸縮性・柔軟性」を両立できる。
単繊維繊度が0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維の立毛層を表裏の少なくとも一方の面に備えた布帛において、立毛層にレーザー光線を照射して、このレーザー光線の照射によって最大寸法が立毛繊維11の単繊維径の2倍以上5倍以下である溶融塊を有した雄状繊維と、溶融塊を有さない非雄状繊維とを存在させることで、表面が「如何にも面ファスナー様形」とならないと共に、布帛として優れた柔軟性と、面ファスナーとして十分な剥離力を同時に確保できる。
又、単繊維繊度が0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維から成る立毛繊維で構成される立毛層を備えた布帛において、立毛層に、所定のエネルギー密度のレーザー光線を照射して立毛繊維を溶融させることで、「溶融塊を不可視としつつ、その溶融塊によって所定の剥離力(引張せん断強さ)を確保すること」と「布帛としての伸縮性・柔軟性」を両立できる。
(a)は、本発明に係る面ファスナー機能性布帛を示す斜視図であり、(b)は、面ファスナー機能性布帛を有する繊維製品を示す斜視図である。 本発明(実施例1)に係る溶融塊を有する布帛(図中、右「加工A」布帛)の表面性状と、溶融塊を有さない布帛(図中、左「ブランク」布帛)の表面性状を示す図面代用写真である。 本発明(実施例1)で得られた面ファスナー機能性布帛の表面を示す図面代用写真である。 本発明(実施例2)で得られた面ファスナー機能性布帛の表面を示す図面代用写真である。 本発明(実施例3)で得られた面ファスナー機能性布帛の表面を示す図面代用写真である。 本発明(実施例4)で得られた面ファスナー機能性布帛の表面を示す図面代用写真である。 本発明(実施例4)で得られた面ファスナー機能性布帛の側断面を示す図面代用写真である。 本発明(実施例7)で得られた面ファスナー機能性布帛の表面を示す図面代用写真である。
図1(a)にて示されたように、本発明に係る面ファスナー機能性布帛1は、トリコットやダブルラッシェル等の編パイル布帛や、フェルト、モケット、別珍、コール天等の織パイル布帛(両面パイル織物を含む)、モール糸やリング糸等の有毛糸条を織編み込んだ有毛糸条布帛、静電植毛布帛などにおいて、表面・裏面の少なくとも何れか一方を、起毛ロール等で起毛(立毛)処理した起毛編物、起毛織物、起毛不織布等の起毛布帛(立毛布帛)が用いられる。
この立毛布帛の立毛繊維11は、立毛布帛の基布組織に対して立ち上がっており、この立ち上がった立毛繊維11で構成される立毛層12を、本発明は備えている。
尚、本発明の立毛繊維11は熱可塑性合成繊維から成るが、本発明の面ファスナー機能性布帛1は、熱可塑性合成繊維だけでなく、非熱可塑性合成繊維を含んでいても良い。
又、立毛布帛の「基布組織」とは、編物を基布として立毛して成る立毛布帛では基布である編物を構成している編糸のニードルループやシンカーループや挿入糸の構成する編目を言い、織物を基布として立毛して成る立毛布帛では基布である織物を構成している経糸や緯糸が交絡している織目のこと等を意味する。
更に、「基布組織」とは、パイル織物やパイル編物ではパイルを係止している基布を構成している地糸やパイル糸が交絡している織目や編目であり、起毛不織布(フェルト)では毛羽層の浮出繊維から続くフェルト内部の繊維の絡み合った不織布様の絡合構造のことを意味する。尚、この「基布組織」は、立毛繊維11を植設したシート状物(プラスチックフィルムや金属薄膜シート、紙など)であっても良い。
立毛繊維11の単繊維繊度Mは、0.3dtex以上10.0dtex以下であって、好ましくは、0.3dtex以上5.0dtex以下であり、更に好ましくは、0.5dtex以上4.0dtex以下である。
これは、立毛繊維11の単繊維繊度Mが0.3dtex未満であれば、立毛状態を維持し難く、溶融塊13を雌状布帛22に係合させるために溶融塊13を雌状布帛22に押し付けても、立毛繊維11(雄状繊維14の溶融塊13以外の部分)が溶融塊13を支えることが出来ず、溶融塊13を雌状布帛22に押し込めず、十分な剥離力(引張せん断強さ)が得られないからである。
又、立毛繊維11の単繊維繊度Mが10.0dtexを越える場合、雌状布帛22への係合に適さないと共に、この立毛繊維11を溶融させて更に大きい(単繊維径tの2〜5倍)溶融塊13が形成されることから、更に、雌状布帛22のループ等に係合し難くなる。
更に、単繊維繊度Mが10.0dtexを越える立毛繊維11に形成された溶融塊13は、肉眼で目視可能となって「面ファスナー様形」とした表面性状となることに加え、肌身に触れた際に刺痛感を与えたり、縫製し難くなる。
上述した立毛繊維11による立毛層12を備えた面ファスナー機能性布帛1の布帛表裏の少なくとも一方の面において、雄状繊維14と非雄状繊維15とが隣接して存在している。
つまり、本発明には、立毛繊維11による立毛層12を裏表両面に備えた布帛表裏の両方の面において、雄状繊維14と非雄状繊維15とが隣接して存在している布帛も、当然に含まれる。
又、1枚の布帛において、表裏の一方の面に雄状繊維14と非雄状繊維15が隣接して存在し、同じ布帛の他方の面に雄状繊維14が引っ掛かり可能な部分(例えば、雌状布帛22におけるループ等のような引っ掛かる部分22a)が存在している布帛も、本発明に含まれる。
更には、布帛表裏の少なくとも一方の面において、隣接して存在している雄状繊維14と非雄状繊維15と共に、雄状繊維14が引っ掛かり可能な部分22aが、同一面に存在している布帛も、本発明に含まれる。
このうち、雄状繊維14とは、立毛繊維11を溶融して溶融塊13が形成されており、この溶融塊13の最大寸法Dは、立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下であって、好ましくは2倍以上4倍以下である。
これは、溶融塊13の最大寸法Dが、立毛繊維11の単繊維径tの2倍未満であれば、雌状布帛22(織編布帛や不織布、例えば、緯編布帛を構成する繊維の間や、シンカーループ等)に係合しても、雌状布帛22との引っ掛かる部分(つまり溶融塊13)が小さいことから、十分な引張せん断強さFを保持できないからである。
一方、溶融塊13の最大寸法Dが、立毛繊維11の単繊維径tの5倍を越える場合は、視認可能となったり、柔軟性が失われて肌触りが悪くなる等の不都合が生じる。
尚、立毛繊維11の単繊維径tとは、立毛繊維11の径方向(立毛繊維11が湾曲している場合には、立毛繊維11の長手方向に略直交する方向)に沿った長さである。
溶融塊13の最大寸法Dとは、立毛繊維11の径方向に沿った方向における最大の寸法、又は、立毛繊維11の長手方向に沿った方向における最大の寸法をいう。
立毛繊維11は、熱可塑性合成繊維から成るが、この熱可塑性合成繊維とは、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルや、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリルなどの素材から成る繊維のほか、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6,6(共にデュポン株式会社製)等)やビニロンから成る繊維などである。
ここで、立毛繊維11は、断面が略円形断面であって、比重がρであるとすると、立毛繊維11の単繊維繊度Mと単繊維径tとの間には、以下の式(1)の関係式が成り立つ。
尚、この式(1)における繊維長さLは、単位がdtexであることから、L=10000(104 )m=107 mm=1010μmである。
このLの値とπの値を上記式(1)に代入して、tについて解くと、以下の式(2)となる。
この式(2)より、例えば、立毛繊維11の単繊維繊度Mが0.5dtexで、比重ρが1.38(PETの場合)であれば、単繊維径tは6.7920μm≒7μmとなる。このときの溶融塊13の最大寸法Dは、単繊維径tの2倍以上5倍以下であるから、14μm以上35μm、好ましくは、14μm以上28μm(2倍以上4倍以下)となる。
又、単繊維繊度Mが10.0dtexで、比重ρが1.14のポリアミドから成る場合の立毛繊維11は、上記式(2)より、単繊維径tが33.4197μm≒33μmとなる。この場合における溶融塊13の最大寸法Dは、66μm以上165μmとなり、好ましくは、66μm以上132μmとなる。
このような最大寸法Dを持つ溶融塊13は、例えば、熱風によって雰囲気温度350℃下で加熱処理したり、敢えて切れ味の鈍い刃でシャーリングしたり、サンドペーパーでバッフィング研削するなど、何れかの溶融手段(面ファスナー機能性布帛の製造方法)で形成すると良い。
そして、熱風による加熱処理で面ファスナー機能性布帛を製造する場合には、その雰囲気温度を変えることにより、又、サンドペーパーでバッフィング研削して面ファスナー機能性布帛を製造する場合には、研削量や研削負荷を変えることで、溶融塊13の大きさや数を調整することが可能となる。
このように、立毛繊維11を溶融して溶融塊13の大きさや数を調整できるのであれば、何れの面ファスナー機能性布帛の製造方法であっても良いが、立毛層12にレーザー光線を照射して、立毛繊維11を溶融させ、溶融塊13を形成することが望ましい。
それは、このレーザー光線の照射の場合には、レーザー出力(ワット数)、ビームスポットの移動速度、ビームスポット径、発振周波数、焦点距離等を変えて、立毛布帛に与えるエネルギー密度(布帛上における単位面積当りのエネルギー)を所定の値にすることにより、溶融塊13の大きさや数を調整することが可能となるからである。
尚、本発明におけるビームスポット径とは、以下で詳述するが、所定の焦点距離をもつレンズによってレーザー光線が集光された集光近傍(レンズから焦点距離だけ離れた地点の近傍)におけるレーザー光線の直径を言う。この集光近傍は、エネルギー密度が高く、効率のよい溶融加工に適した領域である。
このレーザー光線を立毛層12に照射する場合において、立毛繊維11は、基本的には、立毛層12の表面に近い部分、つまり、立毛繊維11の先端から溶融する(尚、立毛繊維11が基本的に先端から溶融することは、熱風による加熱処理や、鈍い刃でのシャーリング、サンドペーパーでのバッフィング研削の場合でも、同様である)。溶融塊13を適切な(つまり、単繊維径tの2倍以上5倍以下となる)範囲内で小さくしたい場合には、エネルギー密度が高くなるように、レーザー光線のレーザー出力そのものを下げたり、ビームスポットの移動速度を速くしたり、ビームスポット径を大きくする等の調整を行い、溶融塊13を適切な範囲内で大きくしたい場合には、その逆を行う。
従って、面ファスナー機能性布帛1の表面が「如何にも面ファスナー様形」とはならないと同時に、そのような大きさの溶融塊13であれば、立毛繊維11が溶融されても、繊維としての柔軟性を失うことがない。この柔軟性によって、自動車や車両等における内装面や椅子表面などの曲面に対しても、曲面形状に確りと沿わせながらはりつける(係合)させることが可能となる。
更に、雄状繊維14に形成された溶融塊13が、雌状布帛22(織編布帛や不織布を構成する繊維の間)に係合することで、面ファスナーとして必要な引張せん断強さFを確保できる。
これに加えて、図面で示したように、立毛層12の表面における所定範囲において、任意の雄状繊維14aの周りには、「隣接する非雄状繊維15」が存在している。
つまり、立毛層12の表面を、その表面(又は基布組織)の法線方向から見た図面において、任意の雄状繊維14aの溶融塊13aと、任意の非雄状繊維15aの先端部との間は、他の雄状繊維14bの溶融塊13bによって遮られておらず、上記雄状繊維14aの溶融塊13aの隣には、上記任意の非雄状繊維15aの先端部が存在することとなる。
これが、「雄状繊維14と非雄状繊維15とが隣接して存在している」ことの意味であって、雄状繊維14と非雄状繊維15の隣接によって、雌状布帛22に係合してテンション(張力)がかかった溶融塊13の周りを、係合しない非雄状繊維15で囲んで支えることとなって、引張せん断強さFが更に強まる。
尚、レーザー光線の照射は、レーザー出力だけでなく、ビームスポットの移動速度、ビームスポット径なども同時に変更させることによって、溶融塊13を意図する大きさに形成しながら、溶融させる範囲までもが調整可能となるため、上述したように、溶融手段(面ファスナー機能性布帛の製造方法)として好ましい。
そこで、面ファスナー機能性布帛の製造方法の中でも、レーザー光線を照射する場合について、詳解する。
このレーザー光線の照射によって、溶融塊13の大きさや数を調整することも可能であり、照射装置への入力信号として、定常信号を入力したり、パルス信号を入力しても良い。特に、パルス信号の入力の場合、実際に出力されるレーザー光線も間欠的になり、レーザー光線による溶融塊13を有した雄状繊維14のそばに、溶融塊13を有さない非雄状繊維15が、隣接して存在し易くなる。逆に、隣接して存在しないように調整することも出来る。
このように、隣接具合、溶融塊13の大きさや数を変える際に、「溶融塊を不可視としつつ、その溶融塊によって所定の剥離力(引張せん断強さ)を確保すること」と「布帛としての伸縮性・柔軟性」を両立するには、立毛布帛に照射するレーザー光線のエネルギー密度を、0.70J/cm2 以上51.00J/cm2 以下、好ましくは、0.70J/cm2 以上15.00J/cm2 以下とすれば良い。
これは、レーザー光線のエネルギー密度が0.70J/cm2 未満であれば、溶融塊13の最大寸法Dが立毛繊維11の単繊維径tの2倍未満となり、雌状布帛22に係合しても十分な引張せん断強さFを保持できないからである。
又、レーザー光線のエネルギー密度が51.00J/cm2 を越える場合は、溶融塊13の最大寸法Dが立毛繊維11の単繊維径tの5倍より大きくなることで、視認可能となったり、柔軟性が失われて肌触りが悪くなる等の不都合が生じる。
尚、レーザー光線のエネルギー密度を、0.70J/cm2 以上51.00J/cm2 以下で出来るのであれば、レーザー出力(ワット数)、ビームスポットの移動速度、ビームスポット径、発振周波数、焦点距離等は、何れの値にしても良いが、特に、レーザー出力、ビームスポットの移動速度、ビームスポット径のそれぞれを、以下の値にすることで、望ましいエネルギー密度を実現しても良い。
レーザー光線のエネルギー密度が上述の範囲であると同時に、レーザー出力(ワット数)は、具体的には、5W以上100W以下であって、好ましくは5W以上80W以下、更に好ましくは20W以上80W以下である。これは、レーザー出力が5W未満の場合、立毛繊維11を溶融して溶融塊13を形成する時間が掛かるために生産効率が低下し、レーザー出力が100Wを越えると、溶融塊13の肥大化を招き、隣接する雄状繊維14や非雄状繊維15に融着してしまう。
又、上述のようなエネルギー密度の範囲であると同時に、レーザー光線のビームスポット移動速度は、300mm/秒以上10000mm/秒以下、好ましくは300mm/秒以上9000mm/秒以下、更に好ましくは700mm/秒以上9000mm/秒以下であり、これは、ビームスポット移動速度が300mm/秒未満であれば、生産効率が落ちると共に溶融塊13の過度な肥大化を招き、ビームスポット移動速度が10000mm/秒を越える場合には、逆に、立毛繊維11が十分に溶融できず、溶融塊13を形成し難くなる。
このようなレーザー光線の照射は、面ファスナー機能性布帛1における立毛層12において、レーザー光線を照射する範囲が正確にコントロール出来、溶融塊13が部分的に形成し易い点でも好適である。
尚、上述のようなエネルギー密度の範囲であると同時に、レーザー光線のビームスポット径を、0.2mm以上1.0mm以下としても良い。
溶融塊13を部分的に形成することで、布帛における必要部分のみに面ファスナー機能を発現させることが可能となり、不必要な溶融塊13を形成を抑えて製造コストを低減することが出来る。又、溶融塊13を形成していない部分を、剥離の際の把持部とするなど、係合する布帛としての利便性を容易に向上できる。
これに加え、立毛層12に照射したレーザー光線によって溶融塊13を形成することで、特許文献1のように、モールドする型を作成したり、フォトレジストのように多くの工程を経ることなしに、所望の溶融塊13を形成することが可能となって、生産効率の向上や、製造コストの低減が図れる。
上述した「任意の雄状繊維14aの溶融塊13a」は、隣接する他の雄状繊維14bや、非雄状繊維15と未融着状態であっても良い。未融着状態とは、ある溶融塊13aが隣接する他の雄状繊維14bや非雄状繊維15との間に十分な距離を有しており、これは、それぞれの溶融塊13が、溶融しても隣接する雄状繊維14及び非雄状繊維15には接触しないことを意味する。
このように各溶融塊13が、周りの繊維14、15から独立していれば、隣接した繊維14、15と接触せず、溶融塊13としての最大寸法Dが、隣接する繊維14、15と一体化することで意図せずに大きくなることを防ぐことが出来る。
尚、レーザー光線を照射する場合には、レーザー光線のレーザー出力等で調整しなくとも、面ファスナー機能性布帛1の立毛層12に、立毛繊維11の溶融を妨げる防融剤を付与した後に、レーザー光線を照射するものとしても良い。
この付与された防融剤によって、レーザー光線の照射による立毛繊維11の溶融が、立毛層12の全体として抑制されて溶融塊13が過度に膨張するのを防ぎ、面ファスナー機能性布帛1の表面性状として、レーザー光線を照射した部分と、未照射の部分との違いが殆どなくなる。
上述の防融剤には、レーザー光線を受けて気化・蒸発し、レーザー光線によって加熱される立毛繊維11から気化熱を奪って冷却作用をなす水や、脂肪酸ナトリウム塩等の界面活性剤、メタノール等の水溶性有機溶剤が含まれている。
又、立毛層12に付与された防融剤は、隣接する立毛繊維11の間に入り込み、各立毛繊維11の周りを取り囲むこととなる。
従って、立毛層12にレーザー光線が照射されても、立毛繊維11の周りを取り囲む防融剤が、立毛繊維11から熱を奪い、溶融塊13の横への拡がり(つまり、隣接する繊維14、15への近接)が抑えられる。
よって、防融剤の立毛層12への付与によっても、各溶融塊13の隣接する繊維14、15からの未融着状態が実現し易くなる。
ここで、上述した「立毛繊維11は基本的に先端から溶融すること」を鑑みれば、溶融した分だけ、通常は、非雄状繊維15よりも雄状繊維14の方が低いとも考えられる。
これは、溶融手段(面ファスナー機能性布帛の製造方法)によって、立毛繊維11の先端に単繊維径tより(2〜5倍)太い溶融塊13が発生する過程では、その溶融した容積(つまり、溶融塊13の容積)に相応する長さだけ、立毛繊維11の繊維長さが縮むことになる。
又、敢えて、溶融塊13を基布組織から引き出し、溶融塊13が、非雄状繊維15の先端部より布帛厚み方向の高位置にあるように、本発明に係る面ファスナー機能性布帛1における溶融塊13を引き出すように構成しても良い。
つまり、図7で示された状態のように、任意の溶融塊13Aを任意の非雄状繊維15Aの先端部より高位置(側面視において基布組織から遠い位置)に形成した雄状繊維14Aが、存在することとなる。
尚、本発明に係る面ファスナー機能性布帛1を雌状繊維22に繰り返し係合させることによっても、溶融塊13が引き出され、雌状布帛22に対して更に係合し易くなる。
これによって、雌状布帛22との係合時に、溶融塊13Aが非雄状繊維15Aより先に雌状布帛22と触れる(即ち、溶融塊13Aが、非雄状繊維15Aより先に触れる位置にある)こととなり、溶融塊13Aと雌状布帛22とが係合し易くなる。
更には、雌状布帛22と非雄状繊維15Aが接触する程に近接した際には、当然に、溶融塊13Aは、雌状布帛22のより深い位置まで入り込み、溶融塊13Aを有する雄状繊維14Aを周りの非雄状繊維15Aが支えるため、引張せん断強さFが向上する。
又、本発明の面ファスナー機能性布帛1が持つ引張せん断強さFについて言及する。
面ファスナー機能性布帛1に係合する布帛としては、例えば、既存の自動車内装材、車両内装材、航空機内装材、室内内装材、衣料、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、支持帯、基布、サポーター、拭取り用具、スキンケア用具、化粧用具などに用いられている「単繊維繊度が0.07dtexのマルチフィラメント糸と単繊維繊度が5.5dtexのマルチフィラメント糸によって構成され、ウェール密度が23.2個/cm(≒59個/25.4mm)である緯編布帛(東レ株式会社製品名:トレシー(登録商標)MK)」がある。
この緯編布帛に対して、本発明の面ファスナー機能性布帛1が有する引張せん断強さFは、JIS−L−3416(7.4.1)に従って測定すれば、その値が1.0N/cm2 以上となる。
尚、上述した緯編布帛における単繊維繊度等は、東レ株式会社の2011年1月版の製品カタログに記載の値に由る。
この緯編布帛は、規格がダブルジャージであって、単繊維繊度が5.5dtexのマルチフィラメント糸と、単繊維繊度が0.07dtexのマルチフィラメント糸の2種類で表地・裏地を編成している。
又、上述の緯編布帛におけるウェール密度やコース密度の値は、布帛自体の伸縮や出荷ロットごとに多少異なり、ウェール密度、コース密度は1割ほどの公差を含む。
つまり、具体的な公差を含めて示せば、ウェール密度23.2個/cmとは、23.2個/cm±2.3個/cm(≒59個/25.4mm±5.9個/25.4mm)であり、コース密度21.7個/cmとは、21.7個/cm±2.2個/cm(≒55個/25.4mm±5.5個/25.4mm)である。
更に、ウェール密度とコース密度との積で表される組織密度(起毛させていればパイル密度P’)503.44個/cm2 に着目しても良く、この組織密度503.44個/cm2 とは、503.44個/cm2 ±100個/cm2 (≒3245個/(25.4mm)2 ±650個/(25.4mm)2 )である。
このような引張せん断強さFを、実際に測定・比較した実施例等について、以下に述べる。
[実施例1]
フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成する。
この経編機のフロント筬に、溶解成分の溶解除去によって単糸繊度が0.58dtexの極細繊維に分割される総繊度84dtexのポリエステル複合繊維(アルカリ割繊フィラメント)をフロント編糸として通し、フロント筬を編組織パターン/1−0/4−5/………の順に操作する。
経編機のミドル筬に、単繊維繊度2.33dtex、フィラメント数24本、総繊度56dtexのポリエステル繊維マルチフィラメント糸をミドル編糸として通し、ミドル筬を編組織パターン/1−0/1−2/………の順に操作する。
経編機のバック筬に、単繊維繊度2.75dtex、フィラメント数12本、総繊度33dtexのポリエステル繊維マルチフィラメント糸をバック編糸として通し、バック筬を編組織パターン/2−3/1−0/………の順に操作する。
このように3枚の筬を操作して編成した経編布帛を、アルカリ減量処理液(水酸化ナトリウム等)に浸漬してフロント編糸の中のアルカリ割繊フィラメントの溶解成分を溶解除去し、その各割繊フィラメントを単糸繊度が0.58dtexである144本の極細繊維フィラメントに分割されて、フロント編糸は、単糸繊度が0.58dtex、総繊度が84dtexの極細繊維(ポリエステル繊維マルチフィラメント)に変わる。
フロント編糸を割繊した後、起毛ロールで経編地のシンカーループ面に起毛(立毛)処理を施した。
シンカーループ面で立毛繊維11を基布組織から立毛させた経編地に対して、立毛面にシャーリングを施して立毛層12を形成し、染色工程に通してトリコット経編パイル布帛に仕上げた。
次いで、このトリコット経編パイル布帛のシンカーループ面(立毛層12)に、CO2 レーザー照射装置(coherent社製K−300、レーザー出力42W、ビームスポット移動速度6000mm/秒、ビームスポット径0.4mm(これらの条件から、後述するエネルギー密度は、2.23J/cm2 )、発振周波数10kHz、焦点距離1040mm)から発射されて直進するレーザー光線を照射して、実施例1の面ファスナー機能性布帛1を得た。
このようにして得られた面ファスナー機能性布帛1は、ウェール密度21.7個/cm(≒55個/25.4mm)、コース密度31.5個/cm(≒80個/25.4mm)、パイル密度P683.55個/cm2 (≒4400個/(25.4mm)2 )と、このパイル密度の2倍(2P)と、フロント編糸のフィラメント数144との積(2P×144)で示されるパイル本数密度196862.4本/cm2 (≒1267200本/(25.4mm)2 )であって、目付けが402(g/m2 )、総厚み1.42mmで、パイル長さが0.93mmとなっている。
又、図2にて示す如く、実施例1(図2中、右「加工A」布帛)は、レーザー光線の照射によって、立毛層12の表面に溶融塊13が形成されている(図3)にも関わらず、実施例1の表面性状は、溶融塊13が形成されていないもの(図2中、左「ブランク」布帛(比較例1))と違いは見えない。
尚、図3右下における1目盛りが30μmであることから、この1目盛りと、図3中の符号Dで示した長さとを比較することにより、実施例1における溶融塊13の最大寸法Dは、立毛繊維11の径方向に沿った方向における最大の寸法をとった21.1μmである。
又、図3で示されたように、各溶融塊13は、この溶融塊13が形成された雄状繊維14と隣接する他の雄状繊維14や、非雄状繊維15と融着しておらず、溶融塊13は、隣接する雄状繊維14及び非雄状繊維15と未融着状態である。
このとき、立毛繊維11が0.58dtexのポリエステル繊維(比重ρ=1.38)であることから、実施例1の単繊維径tが7.3153μm≒7.3μm(上記式(2)より)となり、溶融塊13の最大寸法Dは、立毛繊維11の単繊維径tの2.9倍(≒21.1μm÷7.3μm)となっている。
[実施例2]
実施例2も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、実施例1と同様のフロント編糸、ミドル編糸、バック編糸を用い、編組織パターン、アルカリ減量処理、シンカーループ面の起毛処理等は、実施例1と同様であるが、立毛層12へ照射するレーザー光線のレーザー出力を、実施例1より上げた54Wとしており、図4で示すように、実施例2の溶融塊13の最大寸法Dは、24.7μmである(立毛繊維11の単繊維径tの3.4倍(≒24.7μm÷7.3μm))。
又、実施例2の目付け、総厚み、パイル長さは、実施例1と同様である。
[実施例3]
実施例3も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、実施例1と同様のフロント編糸、ミドル編糸、バック編糸を用い、アルカリ減量処理、編組織パターン、アルカリ減量処理、シンカーループ面の起毛処理等は、実施例1と同様であるが、立毛層12へ照射するレーザー光線のレーザー出力を、実施例2よりも更に上げた66Wとし、実施例3の溶融塊13の最大寸法Dは、図5に示す如く、28.2μmとなっている(立毛繊維11の単繊維径tの3.9倍(≒28.2μm÷7.3μm))。
尚、図5にて示したように、実施例3における溶融塊13のうち幾つかは、隣接する雄状繊維14の溶融塊13に一部が融着しているが、図5中の符号Dで示した長さ、つまり、溶融塊13の最大寸法Dを、融着した各溶融塊13における一方の連結部分の中間から他方の連結部分の中間までの長さとする。
又、実施例3の目付け、総厚み、パイル長さは、実施例1と略同様である。
[比較例1]
一方、比較例1も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、実施例1と同様のフロント編糸、ミドル編糸、バック編糸を用い、アルカリ減量処理、編組織パターン、アルカリ減量処理、シンカーループ面の起毛処理等は、実施例1と同様であるが、立毛層12へレーザー光線を照射しておらず、溶融塊13は、一切形成されていない。
又、比較例1の目付け、総厚み、パイル長さも、実施例1と略同様である。
続いて、実施例1〜3等よりも、立毛繊維11を太い(単繊維繊度Mの大きい)トリコット経編パイル布帛についての実施例4〜6と比較例2を、以下に示す。
[実施例4]
実施例4も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、シンカーループ面の起毛処理は、実施例1と同様であるが、経編機のフロント筬には、単繊維繊度1.75dtex、フィラメント数48本、総繊度84dtexのポリエステル繊維マルチフィラメント糸をフロント編糸として通し、経編機のミドル筬に、単繊維繊度1.75dtex、フィラメント数48本、総繊度84dtexのポリエステル繊維マルチフィラメント糸をミドル編糸として通し、経編機のバック筬に、単繊維繊度3.50dtex、フィラメント数24本、総繊度84dtexのポリエステル繊維マルチフィラメント糸をバック編糸として通す。
尚、フロント編糸、ミドル編糸、バック編糸における編組織パターンは、実施例1〜3と同様である。
このように編成し且つシンカーループ面を起毛したトリコット経編パイル布帛の立毛層12に、CO2 レーザー照射装置(coherent社製K−300、レーザー出力42W、ビームスポット移動速度6000mm/秒、ビームスポット径0.4mm(エネルギー密度は、2.23J/cm2 )、発振周波数10kHz、焦点距離1040mm)から発射されて直進するレーザー光線を照射して、実施例4の面ファスナー機能性布帛1を得た。
この面ファスナー機能性布帛1は、ウェール密度18.1個/cm(≒46個/25.4mm)、コース密度23.2個/cm(≒59個/25.4mm)、パイル密度P419.92個/cm2 (≒2714個/(25.4mm)2 )と、このパイル密度の2倍(2P)と、フロント編糸のフィラメント数48との積(2P×48)で示されるパイル本数密度40312.32本/cm2 (≒260544本/(25.4mm)2 )であって、目付けが360(g/m2 )、総厚み1.60mmで、パイル長さが1.10mmとなっている。
尚、実施例4も、実施例1の如く、レーザー光線の照射によって表面に溶融塊13が形成されているにも関わらず、表面性状は、溶融塊13が形成されていないと視認できない。
又、図6で示すように、実施例4における溶融塊13の最大寸法Dは、34.3μmである。
このとき、立毛繊維11が1.75dtexのポリエステル繊維(比重ρ=1.38)であることから、これらを上記式(2)に代入して、実施例1の単繊維径tが12.7068μm≒12.7μmとなり、溶融塊13の最大寸法Dは、立毛繊維11の単繊維径tの2.7倍(≒34.3μm÷12.7μm)である。
[実施例5]
実施例5も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、実施例4と同様のフロント編糸、ミドル編糸、バック編糸を用い、編組織パターン、アルカリ減量処理、シンカーループ面の起毛処理等は、実施例4と同様であるが、立毛層12へ照射するレーザー光線のレーザー出力を実施例4より上げた54Wとしており、実施例5の溶融塊13の最大寸法Dは、40.1μmである(立毛繊維11の単繊維径tの3.2倍(≒40.1μm÷12.7μm))。
又、実施例5の目付け、総厚み、パイル長さは、実施例1と略同様である。
[実施例6]
実施例6も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、実施例4と同様のフロント編糸、ミドル編糸、バック編糸を用い、アルカリ減量処理、編組織パターン、アルカリ減量処理、シンカーループ面の起毛処理等は、実施例4と同様であるが、立毛層12へ照射するレーザー光線のレーザー出力を、実施例5よりも更に上げた66Wとし、実施例6の溶融塊13の最大寸法Dは、46.1μmとなっている(立毛繊維11の単繊維径tの3.6倍(≒46.1μm÷12.7μm))。
又、実施例6の目付け、総厚み、パイル長さは、実施例4と略同様である。
[比較例2]
又、比較例2も、フロント筬とミドル筬とバック筬との3枚筬を具備するトリコット経編機を用いて編成し、実施例4と同様のフロント編糸、ミドル編糸、バック編糸を用い、アルカリ減量処理、編組織パターン、アルカリ減量処理、シンカーループ面の起毛処理等も、実施例4と同様であるが、立毛層12へレーザー光線を照射しておらず、溶融塊13は、一切形成されていない。
又、比較例2の目付け、総厚み、パイル長さは、実施例4と略同様である。
尚、実施例1〜6と比較例1、2については、以下の表1にて、編成仕様(ウェール密度、コース密度、パイル密度P、パイル本数密度)や目付け、総厚み、パイル長さ、バック編糸(単繊維繊度、総繊度、バック筬組織)、ミドル編糸(単繊維繊度、総繊度、ミドル筬組織)、フロント編糸(単繊維繊度、総繊度、フロント筬組織)、照射するレーザー光線の出力強度、溶融塊13の最大寸法D、引張せん断強さFを示す。
[評価]
実施例1〜6と比較例1、2の評価は、測定した各例の引張せん断強さFと、溶融塊の最大寸法Dや、布帛として表面性状や質感等によって判断する。
尚、本発明における引張せん断強さFは、上述した要件を満たす緯編布帛(東レ株式会社製品名:トレシー(登録商標)MK)に対しての引張せん断強さである。尚、この緯編布帛の総厚みは0.56mmで、目付けは210(g/m2 )である。
この引張せん断強さFの値は、JIS−L−3416:2000(7.4.1)に従って測定され、引張せん断強さFの目標値は、1.0N/cm2 以上とする。
これは、例えば、30cN/cm2 (=0.3N/cm2 )程度であれば、自動車等の内装材などで、垂直面に貼り付けたとしても自重で落下してしまい、衣服や寝具だけではなく、自動車等の交通機関や室内における内装材などにも使用する場合には、不十分だからである。
続いて、引張せん断強さFの評価を、トリコット経編パイル布帛の種類ごと、つまり、実施例1〜3、比較例1と、実施例4〜6、比較例2の2つのグループに分けて、引張せん断強さFの目標値と比較する。
まず、実施例1〜3、比較例1について、実施例1は、引張せん断強さFが3.65N/cm2 であることから、衣類等だけでなく、垂直面を有したもの(内装材)等に用いても、十分な引張せん断強さFが発揮されている。
これは、実施例2、3においても同様で、実施例2の引張せん断強さFは2.74N/cm2 であり、実施例3の引張せん断強さFは1.05N/cm2 であることから、何れの実施例も引張せん断強さFの目標値を越えている。
又、実施例1〜3のように立毛繊維11の繊度が0.58dtexと非常に細い場合、表1で示されたように、実施例1から実施例3にかけて照射するレーザー光線のレーザー出力を上げるごとに、若干引張せん断強さFが下がっているものの、何れの溶融塊13の最大寸法Dが、立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下の範囲内であることから、引張せん断強さFの目標値は確保できている。
一方、溶融塊13が一切形成されていない比較例1では、実施例1〜3と同じパイル布帛を用いているにも関わらず、引張せん断強さFの値が、0.17N/cm2 と極端に低いことから、溶融塊13の有無で大きく引張せん断強さFが異なっている。
これは、実施例1〜3のように、立毛繊維11の単繊維繊度Mを0.3dtex以上10.0dtex以下と細くし、これに形成する溶融塊13の最大寸法Dを立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下とすることによって、図2に示された如く「溶融塊を不可視としつつ、その溶融塊によって所定の引張せん断強さFを確保すること」が実現できる。
このような大きさの溶融塊13であれば、立毛繊維11が溶融されても、繊維としての柔軟性を失うことがないため、自動車や車両等における内装面や椅子表面などの曲面に対しても、曲面形状に確りと沿わせながらはりつける(係合)させることが可能となる。
尚、上記実施例1〜6においては、溶融塊13の最大寸法Dとして、立毛繊維11の径方向に沿った方向における最大の寸法を用いたが、立毛繊維11の長手方向に沿った方向における最大の寸法であっても良く、立毛繊維11の径方向、又は、長手方向に沿った最大の寸法の何れかが、立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下の範囲内であれば良い(以下の実施例7〜9でも同様である)。
次に、実施例4〜6、比較例2について述べると、実施例4は、引張せん断強さFが4.68N/cm2 と目標値を大きく超えるのを筆頭に、実施例5は5.64N/cm2 、実施例6は6.16N/cm2 と、照射するレーザー光線のレーザー出力を上がるごとに、引張せん断強さFも上がっている。
これは、実施例4〜6の立毛繊維11における元々の単繊維繊度Mが、実施例1〜3の単繊維繊度Mの3倍近くで太いため、レーザー光線のレーザー出力に対する引張せん断強さFのピークが実施例1〜3より高いからである。
更に、溶融塊13の最大寸法D自体が、実施例1〜3の溶融塊13よりも大きいため、絶対的な引張せん断強さFの値も、実施例1〜3の時よりも大きくなっている。
尚、立毛繊維11が比較例1より多少太くなった比較例2であっても、その引張せん断強さFの値は0.41N/cm2 と、目標値に及ばないことから、立毛繊維11の繊度(太さ)ではなく、溶融塊13の有無によって、十分な引張せん断強さFを得られるかが決まる。
ここまでの実施例等は、編パイル布帛に溶融塊13を形成したものであったが、次に、織パイル布帛に溶融塊13を形成した実施例等を示す。
[実施例7]
単繊維繊度2.08dtex、フィラメント数192本、総繊度400dtexのポリエステル繊維マルチフィラメントを、パイル糸として使用し、単繊維繊度333dtex、フィラメント数2本、総繊度666dtexのポリエステル繊維マルチフィラメントを緯糸として使用し、単繊維繊度295dtex、フィラメント数2本、総繊度590dtexのポリエステル繊維マルチフィラメントを経糸として使用して、モケットを織成する。
織成したモケットのパイル層(立毛繊維11から成る立毛層12)に、CO2 レーザー照射装置(coherent社製K−300、レーザー出力42W、ビームスポット移動速度6000mm/秒、ビームスポット径0.4mm(エネルギー密度は、2.23J/cm2 )、発振周波数10kHz、焦点距離1040mm)から発射されて直進するレーザー光線を照射して、実施例7の面ファスナー機能性布帛1を得た。
このようにして得られた面ファスナー機能性布帛1は、ウェール密度13.89個/cm(≒35.28個/25.4mm)、コース密度17.2個/cm(≒43.7個/25.4mm)、パイル密度P238.908個/cm2 (≒1541.736個/(25.4mm)2 )と、このパイル密度の2倍(2P)と、フロント編糸のフィラメント数192との積(2P×192)で示されるパイル本数密度91740.672本/cm2 (≒592026.624本/(25.4mm)2 )であって、目付けが526(g/m2 )、パイル長さが2.00mmで、総厚みが2.34mmとなっている。
尚、実施例7も、実施例1と同様で、レーザー光線の照射によって表面に溶融塊13を形成しても、表面性状は、溶融塊13を形成していないものと、違いはない。
又、図8で示すように、実施例7における溶融塊13の最大寸法Dは、38.8μmである。
このとき、立毛繊維11が2.08dtexのポリエステル繊維(比重ρ=1.38)であることから、上記式(2)より、実施例7の単繊維径tが13.8531μm≒13.9μmとなり、溶融塊13の最大寸法Dは、立毛繊維11の単繊維径tの2.8倍(≒38.8μm÷13.9μm)である。
[実施例8]
実施例8も、パイル糸、緯糸、経糸や、織組織パターン等が実施例7と同様であるが、立毛層12へ照射するレーザー光線のレーザー出力を実施例7より上げた54Wとしており、実施例8の溶融塊13の最大寸法Dは、45.9μmである(立毛繊維11の単繊維径tの3.3倍(≒45.9μm÷13.9μm))。
又、実施例8の目付け、総厚み、パイル長さは、実施例7と略同様である。
[実施例9]
実施例9も、パイル糸、緯糸、経糸や、織組織パターン等が実施例7と同様であるが、立毛層12へ照射するレーザー光線のレーザー出力を、実施例8よりも更に上げた66Wとし、実施例9の溶融塊13の最大寸法Dは、52.5μmである(立毛繊維11の単繊維径tの3.8倍(≒52.5μm÷13.9μm))。
又、実施例9の目付けは、476(g/m2 )であり、総厚み、パイル長さは、実施例7と略同様である。
[比較例3]
一方、比較例3も、パイル糸、緯糸、経糸や、織組織パターン等が実施例7と同様であるが、立毛層12へレーザー光線を照射しておらず、溶融塊13は、一切形成されていない。
尚、比較例3の目付けは、486(g/m2 )であり、総厚み、パイル長さは、実施例7と略同様である。
尚、実施例7〜9と比較例3については、以下の表2にて、織成仕様(ウェール密度、コース密度、パイル密度P、パイル本数密度)や目付け、総厚み、パイル長さ、経糸(単繊維繊度、総繊度)、緯糸(単繊維繊度、総繊度)、パイル糸(単繊維繊度、総繊度)、照射するレーザー光線の出力強度、溶融塊13の最大寸法D、引張せん断強さFを示す。
[評価]
実施例7〜9と比較例3の評価も、測定した各例の引張せん断強さFと、溶融塊の最大寸法Dや、布帛として表面性状や質感等によって判断し、引張せん断強さFの目標値も、実施例1〜6や比較例1、2と同じ緯編布帛に対する同じ値である1.0N/cm2 以上とする。
実施例7は、引張せん断強さFが3.13N/cm2 であることから、十分な引張せん断強さFを有しており、その後、レーザー光線のレーザー出力が上がるにつれて、一旦、実施例8では上昇して引張せん断強さFが6.63N/cm2 となり、更にレーザー光線が強まった実施例9では、3.84N/cm2 となっている。
この実施例7〜9にかけての引張せん断強さFや、実施例1〜6の結果を考慮するに、単繊維繊度Mが0.3dtex以上10.0dtex以下の立毛繊維11を溶融して形成される溶融塊13は、最大寸法Dを立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下となる範囲にすればこそ、所定の引張せん断強さFを発揮し得る。
これは、実施例7〜9の立毛繊維11の単繊維繊度Mは、実施例4〜6の単繊維繊度Mより更に太いが、編成か織成かなど、その元となる布帛の構造が、レーザー光線のレーザー出力に対する引張せん断強さFのピークに影響している。
尚、実施例8における引張せん断強さFの値は、本発明の実施例、比較例中の最高値である。
一方、立毛繊維11が比較例2より更に太くなった比較例3では、逆に、引張せん断強さFが、比較例2(比較例1よりも)下がり、その値は0N/cm2 である。
溶融塊13のない比較例1〜3においても、単純に、立毛繊維11を太くすれば、引張せん断強さFが向上する訳ではなく、布帛自体の構成にも影響するが、少なくとも溶融塊13を有さない限り、引張せん断強さFが目標値を超えることはない。
ここで、実施例1〜6及び比較例1、2に、様々な雌状布帛22(Fe−1〜5)を係合させた際の引張せん断強さFについて、以下に示す。
このとき使用した各雌状布帛22については、以下の表3で、の品種・規格、ウェール密度、コース密度、パイル密度P、パイル本数密度、立毛層を構成する糸の総繊度、フィラメント数、単繊維繊度、接結点間隔、組織を示す。
又、これらの雌状布帛22のうち、Fe−1〜4に対する引張せん断強さFを以下の表4で示す。
上記表4を鑑みるに、溶融塊13を有さない比較例1、2は、Fe−1〜4の何れの雌状布帛22に対しても、全て引張せん断強さFは、0N/cm2 であった。
つまり、立毛繊維11の単繊維繊度Mが0.58dtexである(比較例1)か、1.75dtexである(比較例2)かを問わず、雌状布帛22に対して十分な引張せん断強さFは発揮できない。
一方、溶融塊13を形成する本発明は、Fe−1〜4の何れの雌状布帛22に対しても、単繊維繊度Mが0.58dtexである実施例1〜3のうち、必ず何れかの実施例の引張せん断強さFは、目標値を越えている。
つまり、雌状布帛22の性状にあわせて、レーザー光線のレーザー出力を調整すれば、必ず所望する引張せん断強さFをもつ面ファスナー機能性布帛が得られることを意味する。
又、これは、単繊維繊度Mが1.75dtexと約3倍の太さになった実施例4〜6の場合も同様で、レーザー光線のレーザー出力をさえ調整すれば、本発明は、トリコットなど、既存の様々な布帛に対しても、十分な引張せん断強さFを得ることが可能となる。
尚、雌状布帛22のうち、Fe−3、5については、以下の表5に、静止摩擦力も示す。
この表5から、溶融塊13を形成した実施例1〜6は、何れも静止摩擦係数が70であるのに比べ、溶融塊13を有さない比較例1、2は、Fe−3、5の雌状布帛22に対する静止摩擦係数が、70に満たない。
つまり、本発明のように、所定の単繊維繊度Mを有する立毛繊維11に対して、所定の最大寸法Dをもつ溶融塊13を形成することで、引張せん断強さが向上するだけでなく、所定値以上の静止摩擦係数を確保できる(すなわち、面ファスナー機能性布帛1と雌状布帛22との係合面に働く垂直な力に比例する摩擦力が、より大きくなる)。
従って、本発明は、立毛繊維11の単繊維繊度Mを0.3dtex以上10.0dtex以下と細くし、これに形成する溶融塊13の最大寸法Dを立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下とすることによって、所定以上の引張せん断強さFと共に、静止摩擦係数(力)も十分に働き、総合的な剥離力が確保される。
これと同時に、表面が「如何にも面ファスナー様形」とならず、布帛として優れた柔軟性を持った面ファスナー機能性布帛を実現できる。
[照射するレーザー光線の数値例]
次に、面ファスナー機能性布帛の製造方法の中で、上述のようにレーザー光線を、単繊維繊度Mが0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維から成る立毛繊維11で構成される立毛層12に照射する場合について、所定のビームスポット径、レーザー出力、ビームスポット移動速度等におけるレーザー光線のエネルギー密度の数値例を、下記の表6〜23に示す。
ここで、表6〜23中の「パワー密度」とは、レーザー光線が照射される立毛布帛上の単位面積(1cm2 )当りにおけるレーザー出力を言い、「照射時間」としては、大きさを無視できる熱源(レーザー光線の光軸)が「ビームスポット径」分の距離を移動するのに掛かる時間に相当するとして算出している。
表6〜23における各欄中の数値は、「パワー密度(各欄の上方の値)」と、レーザー光線の「照射時間(各欄の左方の値)」の積である「エネルギー密度」を示し、所定の「パワー密度」であるレーザー光線がどれだけの時間照射されたかを示す。
例えば、表6の場合、ビームスポット径が0.8mm(0.08cm)であるから、レーザー光線が当っている略円形と仮定したスポットの面積は、π×0.04×0.04≒3.14×0.04×0.04=0.0050240cm2 となる。
このとき、レーザー出力が30Wであれば、「パワー密度」は、30÷0.0050240=5971.337579…≒5971.34W/cm2 である。
ここで、ビームスポット移動速度が8000mm/秒であれば、極めて小さいサイズの熱源(レーザー光線の光軸)が、0.8mmの距離(ビームスポット径)を、8000mm/秒の速さ移動することとなり、そのときに掛かる時間(つまり「照射時間」)は、0.8÷8000=0.00010秒となる。
従って、「パワー密度」が5971.34W/cm2 で、「照射時間」が0.00010秒であるので、5971.34×0.00010=0.59713…≒0.60J/cm2 の「エネルギー密度」と算出される。
つまり、「エネルギー密度」は、レーザー出力、ビームスポットの移動速度、そして、ビームスポット径等によって、変わり得る。
このように、様々な要因によって「エネルギー密度」が変わり得るレーザー光線を、立毛布帛に照射した結果、その布帛の表面性状が、上述した実施例1〜9と同等となる適正条件(適正なレーザー出力、ビームスポットの移動速度、ビームスポット径の値)かを、「◎」、「○」の記号や、色の濃さで、下記表6〜23の各欄中に示す。
詳解すれば、表6〜23における各欄中の「◎(色が一番濃い欄)」や、「○(2番目に色が濃い欄)」、「無印(色が一番薄い欄)」は、レーザー光線を照射された立毛布帛の表面性状の様子を示している。
「◎」や「○」の欄で示した条件(ビームスポット径、レーザー出力、ビームスポット移動速度)のレーザー光線を照射すると、実施例1〜9と同等の(表面性状が「如何にも面ファスナー様形」でなく、且つ、所定の引張せん断強さを確保できる)外観であることを示している。尚、「◎」の欄で示す条件は、「○」の欄よりも更に望ましい表面性状となる条件である。
一方、「無印」の欄は、実施例1〜9と同等の外観を有さず、表面性状が「如何にも面ファスナー様形」となるか、又は、所定の引張せん断強さを確保できない。
尚、表6〜23のレーザー出力は、上述したcoherent社製K−300(表6〜17)や、同じくcoherent社製のG−100(表18〜23)等のレーザー照射装置における理論値であり、表6〜11の発振周波数は10kHzで、表12〜17の発振周波数は5kHzで、表18〜23の発振周波数は5kHzである。
又、表6〜23中のデューティー比は、レーザー光線の1周期中において、実際にレーザー光線が照射されている割合を示し、この割合を変化させることによって、レーザー出力を調整している。
上述したように、表6〜23で表面性状が適正とされた「◎」欄か「○」欄において、最も小さい値は、表11中の「◎」欄で「エネルギー密度」が0.80J/cm2 の場合であり、最も大きい値は、表10中の「○」欄で「エネルギー密度」が45.86J/cm2 の場合である。
従って、ビームスポット径、レーザー出力、ビームスポット移動速度などが関連するものの、少なくとも「エネルギー密度」は0.70J/cm2 以上51.00J/cm2 以下の範囲内にある。
尚、上述したビームスポット径、レーザー出力、ビームスポット移動速度などの値は、あくまで数値例であって、上述のような所定の「エネルギー密度」をもつレーザー光線を照射して、単繊維繊度Mが0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維の立毛層12に、最大寸法Dが立毛繊維11の単繊維径tの2倍以上5倍以下である溶融塊13を形成できる(「溶融塊を不可視としつつ、その溶融塊によって所定の引張せん断強さを確保すること」と「布帛としての伸縮性・柔軟性」を両立できる)のであれば、何れのレーザー条件であっても良い。
このような適正な条件であるレーザー光線を布帛に照射できるのであれば、どのようなレーザー光線照射装置を用いても良く、基布組織や、発振周波数、焦点距離等による大きな差は見られない。
「ビームスポット径」は、アクリル樹脂板の表面にレーザー光線のスポットを当てて表面の熱溶解のパターンを観察してビームスポット径を推定するアクリルバーンパターン法によって求められる値や、レーザー光線の放射強度がピーク値(光軸上の値)の1/e2 になる値や理論式等によって求められる。
実際のレーザー出力は、一般に径時変化をし、使用による光学系の劣化や、汚れ、充填ガスの劣化などにより、理論値より低下するが、入射光子数に比例した電気信号を出力するフォトダイオードセンサや、吸収体でレーザー光線を吸収して熱に変換し温度変化を測定するサーモパイルセンサなどの検出器(ディテクタ)によって、理論値に応じた(比例した)実際のレーザー出力(実測値)が得られる。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。面ファスナー機能性布帛1の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
上述した実施例1〜6ではトリコット経編パイル布帛のシンカーループ面にレーザー光線を照射したが、経編布帛のニードルループ面に起毛(立毛)処理して立毛層12を形成しているのであれば、ニードルループ面にレーザー光線を照射して、溶融塊13を形成することとしても良い。
更に、経編布帛の表裏両面(シンカーループ面及びニードルループ面)を起毛したのであれば、表裏の何れか一方の面、又は、表裏両面にレーザー光線を照射して、溶融塊13を形成しても良い。
又、立毛繊維11における断面は、略円形断面としたが、図8に示すように略十字断面としたり、3つの略円形が横に連結した三山断面(複数の略円形が横に連結した断面)としても良い。
ここまで、本発明の面ファスナー機能性布帛1(雄状布帛21)について述べてきたが、この雄状布帛21や、これに係合する布帛(雌状布帛22)、雄状布帛21と雌状布帛22とを有した雌雄一対面ファスナー布帛は、様々な繊維製品31に利用できる。
具体的には、自動車内装材、車両内装材、航空機内装材、室内内装材、衣料、履物、鞄、帽子、手袋、靴下、寝具、支持帯、基布、サポーター、拭取り用具、スキンケア用具、化粧用具であって、これらの繊維製品31の一部に利用する(つまり、面ファスナー機能性布帛1等を有する繊維製品31)ことが出来る。
更には、自動車内装材の一種である自動車シートのカバーの場合など、面ファスナー機能性布帛1自体が繊維製品31を構成する(つまり、面ファスナー機能性布帛1等から成る繊維製品31)ことも可能である。
例えば、図1(b)で示した繊維製品31(係脱自在バンド)は、所定長さ・幅を有した帯状布帛の一方面21aに雄状繊維14と非雄状繊維15とが存在した面ファスナー機能性布帛1(雄状布帛21)と、この雄状布帛21の他方面21bにホットメルトで貼付された雌状布帛22とを有している。
雄状布帛21は、帯状布帛おける表裏のうち一方面21aにおいて、立毛繊維11で構成される立毛層12が設けられ、この立毛層12(立毛繊維11)にレーザー光線を一方面21aの全面に照射されている。
このレーザー光線の照射によって、帯状布帛の一方面21aにおいて、溶融塊13を有した雄状繊維14と非雄状繊維15とが隣接して存在している。
一方、帯状布帛(雄状布帛21)の一端部における他方面21bには、雌状布帛22が雄状布帛21と係合可能な面(ループ等の雄状繊維14が引っ掛かり可能な部分)を露出させる向きに貼付されている。
尚、雌状布帛22の貼付は、ホットメルト、つまり、エチレン酢酸ビニルや、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂成分の固形接着剤を、加熱し融解した状態にして流動性を付与(ホットメルト)した上で塗布した後に冷却することにより、雄状布帛21の他方面21bに雌状布帛22を接着(貼付)するものであるが、縫製や、ホットメルトなしに熱融着させる等で貼付したものでも良い。
又、この係脱自在バンド31は、雄状布帛21に雌状布帛22を貼付するのではなく、雄状布帛21(面ファスナー機能性布帛1)の一方面21aに、雄状繊維14と非雄状繊維15を存在させ、同じ布帛21の他方面21bに、ループ等の雄状繊維14が引っ掛かり可能な部分22aを設けても良い。
更に、帯状布帛の部分に弾性糸を用いて、繊維製品31を長手方向や幅方向に沿って伸縮自在としても良い。
本発明に係る繊維製品31(係脱自在バンド)は、複数の書籍・書面を纏めたり、弁当箱様の蓋や各段を止める等をしても良く、又、血圧測定時のカフとして用いるなど、係脱自在なバンドとして様々な物品・場面に用いることが出来る。
1 面ファスナー機能性布帛
11 立毛繊維
12 立毛層
13 溶融塊
14 雄状繊維
15 非雄状繊維
21 雄状布帛
22 雌状布帛
23 雌雄一対面ファスナー布帛
31 繊維製品
M 立毛繊維の単繊維繊度
D 溶融塊の最大寸法
t 立毛繊維の単繊維径
F 引張せん断強さ

Claims (7)

  1. 単繊維繊度(M)が0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維から成る立毛繊維(11)で構成される立毛層(12)を表裏の少なくとも一方の面に備えた布帛において、
    前記立毛層(12)にレーザー光線を照射して、このレーザー光線の照射によって前記立毛繊維(11)を溶融して形成され且つ最大寸法(D)が前記立毛繊維(11)の単繊維径(t)の2倍以上5倍以下である溶融塊(13)を有した雄状繊維(14)と、前記溶融塊(13)を有していない非雄状繊維(15)とが存在していることを特徴とする面ファスナー機能性布帛。
  2. 前記溶融塊(13)を非雄状繊維(15)の先端部より布帛厚み方向の高位置に形成した雄状繊維(14)が存在していることを特徴とする請求項1に記載の面ファスナー機能性布帛。
  3. 前記溶融塊(13)は、この溶融塊(13)が形成された雄状繊維(14)に隣接する他の雄状繊維(14)及び前記溶融塊(13)が形成された雄状繊維(14)に隣接する非雄状繊維(15)と未融着状態であることを特徴とする請求項1又は2に記載の面ファスナー機能性布帛。
  4. 単繊維繊度(M)が0.3dtex以上10.0dtex以下の熱可塑性合成繊維から成る立毛繊維(11)で構成される立毛層(12)を備えた布帛において、前記立毛層(12)に、エネルギー密度が0.70J/cm 2 以上51.00J/cm 2 以下のレーザー光線を照射し、
    このレーザー光線の照射によって前記立毛繊維(11)を溶融させることを特徴とする面ファスナー機能性布帛の製造方法。
  5. 前記立毛層(12)に照射するレーザー光線は、レーザー出力が10W以上100W以下であることを特徴とする請求項4に記載の面ファスナー機能性布帛の製造方法。
  6. 前記立毛層(12)に照射するレーザー光線は、ビームスポットの移動速度が100mm/秒以上10000mm/秒以下であることを特徴とする請求項4に記載の面ファスナー機能性布帛の製造方法。
  7. 前記立毛層(12)に照射するレーザー光線は、ビームスポット径が0.2mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の面ファスナー機能性布帛の製造方法。
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