JP5050840B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置、および当該定着装置を備える画像形成装置に関し、特に定着装置における定着ローラなどの回転体の部分的な過昇温を防止する技術に関する。
レーザプリンタや複写機、FAX、複合機等に代表される画像形成装置は、定着装置を備え、記録媒体(紙、OHPシート等)である記録シートにトナー画像を転写した後、定着装置において、当該記録シートを定着ローラなどで加熱して熱定着するようになっている。
この定着装置において、ハロゲンヒータを熱源として定着ローラを加熱する方式が従来から用いられているが、近年、画像形成装置においてもコンパクト化・省エネに対する要求が高まる中、定着ローラを電磁誘導で加熱する方式が提案されている。
特に、定着ローラの外周部に導電発熱層を含む定着ベルトを設け、励磁コイルによって磁束を発生させて、フェライトコアなどの磁性体コアで定着ローラの導電発熱層に導き、導電発熱層を発熱させるタイプが採用されている。
このタイプの定着装置では、導電発熱層の熱容量を小さくできるので、ウオームアップ時間を短縮することができ、コンパクトで高い熱変換効率が得られるが、記録シートが通過する領域(通紙領域)で定着ローラ表面から記録シートに熱が奪われ、非通紙領域と比べて低温になりやすい。したがって、搬送される記録シートのサイズが小さい場合、特に連続的に通紙する場合などに、定着ローラの通紙領域を定着温度に維持すると、記録シートが通過しない非通紙領域(両端領域)で過昇温し、定着ローラや励磁コイルが耐熱限界を越えて破損するといった不具合がある。
これに対して、特許文献1には、定着ローラの内部に励磁コイル及び磁性体コアを設け、ローラ端部に近い磁性体コアにキュリー温度の低い材料を用いることによって定着ローラの発熱分布を調整する技術が開示されている。
この特許文献1の技術によれば、定着ローラにおける昇温した部分の熱が磁性体コアに幅射・伝導され、磁性体コアがキュリー温度を超えると磁界が弱まって誘導加熱が抑えられ、それによって、定着ローラを誘導加熱するときの磁界分布が自動調整される。
したがって、キュリー温度が相対的に低いコア材料を用いた端部領域が非通紙領域となるようなサイズの記録シートを定着するときに、定着ローラの通紙領域の温度を定着に適した温度に調整しかつ非通紙領域の過昇温を抑える効果が得られるというものである。
特開2000‐162912号公報
しかしながら、特許文献1に記載された定着装置のように、電磁誘導加熱手段が定着ローラの内部に設けられていると、定着ローラの内部に熱が蓄積されると共に、熱がローラ軸方向に流れ、さらには軸方向に隣接する磁性体コア同士の温度やや励磁コイル自体の発熱の影響を強く受けるため、非通紙領域の範囲に存する磁性体コアの温度が、その位置における定着ローラの表面温度のみに追随して変化するわけではなく、応答性がよいとは言えない。
一方、電磁誘導方式の加熱においては、熱容量を小さくするため導電発熱層の厚みは小さく設定されており、軸方向への熱量の移動はそれほど多くないので、記録シートにより熱を奪われない非通紙領域の表面温度が急激に上昇するが、上述のように内部の磁性体コアの温度変化は、その位置に対応する表面温度の変化に対して応答性がよいとは言えず、定着ローラの表面温度が上昇しても磁性体コアがキュリー温度に達しない場合もあり、過昇温を防止する効果が十分に得られない。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、電磁誘導加熱方式の定着装置において定着ローラなどの回転体の非通紙領域での過昇温を確実に抑制することができるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、一対の回転体を近接配置して定着ニップ部を形成し、当該一対の回転体のうち少なくとも一方の回転体を電磁誘導加熱手段により加熱すると共に、被定着画像が形成された記録シートを前記定着ニップ部に通紙して熱定着する定着装置であって、前記電磁誘導加熱手段は、前記加熱対象の回転体の周面に沿って配設された励磁コイルと、前記励磁コイルに沿って、前記記録シートの搬送方向と直交する方向に配設された複数の磁性体コアと、前記複数の磁性体コアのうち、定着対象となる記録シートの通紙領域と重ならない範囲に配設された磁性体コアを特定する特定手段と、前記特定された磁性体コアの温度が、当該範囲に配設された磁性体コアのキュリー温度よりも高くなるように調整するコア温度調整手段とを備え、前記コア温度調整手段は、前記複数の磁性体コアを空冷するとともに、前記記録シートの搬送方向と直交する方向において、複数の磁性体コアの中で中央領域に対する風量が端部領域に対する風量よりも大きくなるように風量分布を形成する空冷手段と、前記空冷手段の全体の風量を調整することにより、前記風量分布において前記特定された磁性体コアのみが前記回転体の温度上昇に追随してキュリー温度を超えるように、前記特定された磁性体コアの風量を低減もしくは停止させる制御手段と、を有する。
本発明に係る定着装置によれば、特定手段が、複数の磁性体コアのうち、定着対象となる記録シートの通紙領域と重ならない範囲に配設された磁性体コアを特定し、コア温度調整手段が、特定された磁性体コアの温度が、そのキュリー温度よりも高くなるように温度調整する。ここで、磁性体コアの温度が、キュリー温度よりも高くなるとその透磁率が顕著に低下するので、励磁コイルの作動に伴って回転体に形成される磁束密度は、この範囲で小さくなり、非通紙領域における過昇温が抑制され、回転体や励磁コイルの破損が防止される。
さらに、本発明の定着装置では、電磁誘導加熱手段を、回転体の周面に沿って配された励磁コイルと、当該励磁コイルに沿い、記録シートの搬送方向に直交する方向に配列された複数の磁性体コアとで構成した。
空冷手段は、さらに記録シートの搬送方法と直交する方向において複数の孔を有し、かつ端部領域における孔の開口率が中央領域における孔の開口率よりも小さい風量規制部を備え、ファンから通気路を経由して風量規制部を通して複数の磁性体コアに冷却風を導くことにより、風量分布を形成してもよい。
上記特定手段が磁性体コアを特定する方法として、定着対象となる記録シートの搬送方向と直交する方向における幅に関する情報を取得するシート幅情報取得手段を設けて、その取得結果に基づいて特定したり、加熱対象となる回転体の記録シートの搬送方向と直交する方向における異なる位置の表面温度を検出する温度検出手段を設けて、その検出結果に基づいて特定すれば、搬送される記録シートの通紙幅に合わせて適宜特定することができる。
以下、本発明に係る定着装置および当該定着装置を備えた画像形成装置の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(1)画像形成装置の全体構成
図10は、本実施の形態にかかる画像形成装置1000の全体構成を示す概略断面図である。
同図に示すように、画像形成装置1000は、画像形成部1500、給紙搬送部1515、定着器1520、制御部100などから構成されている。
画像形成部1500は、駆動ローラ1505及び従動ローラ1504に張架されて矢印A方向に回転駆動される中間転写ベルト1502と、当該中間転写ベルト1502の下方に列設されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)に対応する4つの作像ユニット1506Y,1506M,1506C,1506K、およびプリントヘッド部1509Y〜1509Kなどからなる。
各作像ユニット1506Y〜1506Kは、感光体ドラム1507Y〜1507Kを有し、各感光体ドラム1507Y〜1507Kの周囲には、その回転方向に沿って順に、帯電器1508Y〜1508K、現像器1510Y〜1510Kと、1次転写ローラ1511Y〜1511Kなどが配設されている。
中間転写ベルト1502における駆動ローラ1505で支持された部分には、2次転写ローラ1503が圧接されており、2次転写ローラ1503と中間転写ベルト1502とのニップ部が2次転写領域1530となっている。
画像形成部1500の下方には、給紙カセット1517が着脱可能に配置されている。
この給紙カセット1517には、複数のサイズ(P1,P2,P3,P4)のうち選択された一のサイズの記録シートPを収納することができ、不図示のセンサにより収納されている記録シートのサイズを検出できるようになっている。
定着器1520は、定着ローラ1と加圧ローラ2を備え、定着ローラ1と加圧ローラ2との圧接部分が定着ニップ領域1531となっている。
このような画像形成装置1000の構成において、制御部100が、LANなど介して接続された外部の端末からプリントジョブを受信すると、その受信したプリントジョブにおける画像信号をイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックに色変換したデジタル画像信号を作成し、当該デジタル画像信号に基づいて、各作像ユニット1506Y,1506M,1506C,1506Kのプリントヘッド部1509Y〜1509Kを発光させて露光走査を行う。これにより、各感光体ドラム1507Y〜1507Kの表面には、各色用の静電潜像が形成される。
この静電潜像は、各現像器1510Y〜1510Kにより現像されて各色のトナー画像となり、各1次転写ローラ1511Y〜1511Kの作用により、中間転写ベルト1502上に順次1次転写されて重ね合わせられる。
一方、給紙カセット1517内に積載収容された記録シートPは、給紙ローラ1518によって最上部のものから1枚ずつ搬送路1540に送り出される。タイミングローラ1570は、所定のタイミングで、記録シートPを2次転写領域1530に搬送する。
2次転写領域1530において、重ね合わされた各色トナー画像は、2次転写ローラ1503の作用により、搬送された記録シートPに一括して2次転写される。
トナー画像が2次転写された記録シートPは、定着ニップ領域1531に達し、定着器1520でトナー画像が記録シートPに定着される。トナー画像が定着された記録シートPは、排紙ローラ1514を介して排紙トレイ1513に排出される。
(2)定着器1520の構成
図1は、定着器1520の構成を示す概略断面図である。
同図に示すように、本実施の形態に係る定着器1520は、記録シートPを加熱・加圧する定着ローラ1及び加圧ローラ2、定着ローラ1を誘導加熱する電磁誘導加熱装置3などからなる。
定着ローラ1と加圧ローラ2は並行に配列され、各軸の両端は不図示の軸受部材に回転自在に軸支されている。加圧ローラ2は、バネなどの付勢手段を用いた不図示の加圧機構によって定着ローラ1に向けて付勢され、定着ローラ1の表面を所定圧力で圧接して、所定幅の定着ニップ領域1531が形成される。
加圧ローラ2は、不図示の駆動機構により矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。定着ローラ1は、加圧ローラ2の回転に従って従動回転する。
加圧ローラ2の周面には、定着ニップ領域1531を通過した記録シートPを定着ローラ1の外周面から強制的に分離してジャムを防止するための分離爪8が当該定着ローラ1の周面に沿って配設されている。
図2は、定着ローラ1の積層構造を示すための部分断面図である。
定着ローラ1は、内側から外側に向けて、順に、支持層としての芯金11,断熱層12,電磁誘導発熱層13,弾性層14,離型層15の5層構造であって、外周部分にある電磁誘導発熱層13,弾性層14,離型層15で定着ベルト16が構成されている。
この定着ベルト16は、円筒体であってその軸が通紙幅方向(定着ローラ1の軸方向)に伸び、本発明で電磁誘導加熱される回転体に相当する。定着ローラ1全体の硬度は、例えばASKER−C硬度で30〜90度である。
芯金11の材質は、支持層としての強度が確保できれば、鉄、PPS(ポリフェニレンサルファイド)のような耐熱性のモールドのパイプを使用することも可能であるが、芯金が発熱するのを防ぐ為に電磁誘導加熱の影響が少ない非磁性または低抵抗な材料を用いるのが望ましい。芯金11の具体例として、例えば、径32mmのアルミ製のものが挙げられる。
断熱層12は、電磁誘導発熱層13を断熱保持する為のものであり、耐熱性及び弾性を有するゴム材や樹脂材のスポンジ体(断熱構造体)が用いられる。これにより、電磁誘導発熱層13を断熱保持すると共に、電磁誘導発熱層13のたわみを許容して圧接ニップ幅を増やし、ローラ硬度を小さくして排紙性や記録シート分離性能を向上させる役割を果たす。
特に、断熱層12にシリコンスポンジ材を用いることが望ましく、その場合、厚さを2〜10mm、特に3〜7mmに設定し、硬度をアスカーゴム硬度計で20〜60度の範囲、特に30〜50度の範囲に設定することが望ましい。なお、断熱層12を、シリコンスポンジ材ゴム材及びスポンジ体の2層構成としてもよい。
電磁誘導発熱層13は、無端ベルトであって、電磁誘導によって発熱して容易に昇温できるように、透磁率μが比較的高く適当な抵抗率ρを持つ材料からなる。具体例としてニッケル電鋳ベルトが挙げられ、その厚さは10〜100μm、望ましくは20〜50μmである。電磁誘導発熱層13の材料として、その他に磁性ステンレスやパーマロイのような磁性材料(磁性金属)が挙げられる。
また、磁性材料に限らず、非磁性材料であってもよく、例えば金属など導電性のある非磁性材料を薄膜状に形成して用いてもよい。
さらに電磁誘導発熱層13には、樹脂に発熱粒子を分散させた材料を用いても良いし、樹脂に発熱材をコーティングしたものを用いても良い。電磁誘導発熱層13に樹脂ベースの材料を用いる事によって、定着ローラ1に対する記録シートPの分離性を良くすることができる。
弾性層14は、記録シートと定着ローラ表面との密着性を高める役割を持ち、耐熱性・弾性を有するゴム材や樹脂材で形成されている。材料の具体例として、定着温度での使用に耐えられるシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性エラストマーを挙げることができる。弾性層14に、熱伝導性や補強等を付与するために各種充填剤を混入してもよい。熱伝導性粒子として、ダイヤモンド,銀,銅,アルミニウム,大理石,ガラス等を用いてもよいが、実用的には、シリカ,アルミナ,酸化マグネシウム,室化ホウ素,酸化ベリリウムを用いることが好ましい。
弾性層14の厚みは、10〜800μmの範囲が好ましく、特に100〜300μmの範囲が好ましい。これは、弾性層の厚さが10μm未満であると、厚み方向の弾力性を得ることが難しくなり、一方800μmを超えると、発熱層で発生した熱が定着ベルト外周面に達しにくくなり、熱効率が悪化する傾向があるからである。
弾性層14にシリコンゴムを用いる場合、JIS硬度で1〜80度、望ましくは5〜30度であることが好ましい。このJIS硬度範囲であれば、弾性層の強度低下や密着性不良を防止しつつ、トナーの定着性不良を防止できる。
シリコンゴムとしては、1成分系、2成分系又は3成分系以上のシリコンゴム、LTV型、RTV型又はHTV型のシリコンゴム、縮合型又は付加型のシリコンゴム等を使用できる。ここでは、弾性層14は、JIS硬度10度、厚さ200μmのシリコンゴム層とする。
離型層15は、最外層であって、定着ローラ1の表面におけるトナーの離型性を高める役割を果たす。離型層15は、定着温度での使用に耐えられる上にトナー離型性を有する材料、具体的には、シリコンゴム、フッ素ゴム、PFA,PTFE,FEP,PFEP等のフッ素樹脂、もしくはそれらを混合したものを用いることが好ましい。
離型層の厚さは、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。また、弾性層14と離型層15との層間接着力を向上させるために、プライマ一等による接着処理を行ってもよい。なお、離型層15の中に、必要に応じて、導電材,耐摩耗材,良熱伝導材をフィラーとして添加することもできる。
図3は、加圧ローラ2の積層構造を示すための部分断面図である。
加圧ローラ2は、上記定着ローラ1と同様、芯金21の外周に、断熱層22、および表面の離型性を高める離型層25を設けたローラである。芯金21の材質は、強度が確保できればよく、例えば鉄、PPS(ポリフェニレンサルファイド)のような耐熱性材料をモールドしたパイプを使用することも可能であるが、電磁誘導で発熱するのを防ぐ為に非磁性材料を用いることが望ましい。
加圧ローラ2の具体例として、芯金21は例えば径27mmのアルミ製であり、断熱層22は厚さ3〜10mmのシリコンスポンジゴム、あるいはPTFEやPFA等、離型層25は厚さ10〜50μmのフッ素系樹脂製離型層で形成する。
加圧ローラ2は、定着ローラ1に対して荷重300〜500Nで加圧される。この場合のニップ幅は約5〜15mmとなるが、荷重を変えることでニップ幅が変わる。
上記断熱層22におけるシリコンスポンジゴム層の厚さは、使用条件に合わせて適宜変更可能である。断熱層22を、シリコンゴム及びシリコンスポンジの2層構成としてもよい。
(3)電磁誘導加熱装置3の構成
定着器1520における電磁誘導加熱装置3は、図1に示すように励磁コイル31、磁性体コア32、一部の磁性体コア32を加熱するためのコアヒータ37、および励磁コイルを巻回した状態で保持するためのコイルボビン33からなり、定着ローラ1の外周面の外側に設けられてなる。
図4(a)は、定着装置1520を、図1の矢印B方向からみたときの図である。同図に示すように励磁コイル31は、定着ローラ1の長手方向に沿って導線を長円形状に巻回した構造であり、かつ、その横断面は、図1に示すように、定着ローラ1の周面に沿って弧を描くようにして巻回されてなる。
励磁コイル31には、高周波インバータ110(図5参照)から10〜100[KHz]、100〜2000[W]の高周波電力が供給されるため、素線を数十から数百本を束ねてリッツ線にしたものを用い、加熱時の絶縁性を考慮して、耐熱性の樹脂で被覆したものを用いることが好ましい。なお、この励磁コイル31は、通電時に自己発熱し、耐熱温度を超えると絶縁性が維持できないため、ファンなどで空冷してもよい。
磁性体コア32は、メインコア34,端部コア35,裾コア36で構成され、漏れ磁束を少なくし、励磁コイル31で発生した磁束が、効率的に定着ローラ1の誘電発熱層13を通過するような磁気回路を構成する。その材料として、高透磁率かつ低損失のもの、例えばパーマロイが用いられる。
図4(a)に示すように、複数(ここでは12個)のメインコア34が、定着ローラ1の軸方向(通紙幅方向)に所定の間隔をおいて配置されている。各メインコア34は、励磁コイル31の外側を覆うように、定着ローラ1の軸方向に対して垂直な面に沿ってアーチ状(図1参照)に伸び、その長さは例えば100mmである。
このように磁性体コア34を配列することによって、励磁コイル31に通電されると、定着ローラ1の軸に垂直な面に沿ってメインコア34と定着ローラ1の電磁誘導発熱層13の一部を通過する磁束のループ(図1中、破線Φ)が形成される。
ここで、高周波インバータ110から励磁コイル31に供給される高周波電流に伴って磁束Φの密度が変化するので、電磁誘導発熱層13には渦電流が流れて層自体がジュール発熱する。この電磁誘導発熱層13の発熱で定着ベルト16が加熱される。
なお、メインコア34の中央部に、突出部分を設けて横断面E字形状に形成し、その突出部を励磁コイル31の穴に嵌め込んで定着ローラ1の方に近づければ、電磁誘導による発熱効率を高めることができる。
裾コア36は、横断面が矩形であり、定着ローラ1の軸方向全長にわたって各メインコア34の端部を結ぶように連続配置されている。端部コア35は、横断面が矩形で、その長辺の長さは5〜10mmであり、定着ローラ1の軸方向両端に略対応する位置に配置されている。
本実施の形態では、過昇温が生じやすい非通紙領域でメインコア34の温度をコアヒータ37で強制的に加熱してキュリー温度以上に上昇させることによって、当該メインコアの透磁率を低下させる制御を行う。このようなコア温度制御のために、非通紙領域となる可能性がある領域に存在するメインコア34の定着ローラ1と反対側の面にコアヒータ37a〜37dを設置している。
図4(a)に示すように記録シートPが定着ローラ1の中央を通過することを想定して、コアヒータ37a〜37dは対をなしており、複数のメインコア34のうち、両端部の4個ずつに配され、定着ローラ1の軸方向中央に対してミラー対称に配置されている。そして、通紙領域と重なる領域のメインコア34(中央の4個)にはコアヒータは設けていない。
なお、記録シートPの通過位置が偏ることが想定される場合には、それに合わせて非通紙領域にある磁性体コアを加熱するようにコアヒータの配置位置もずらせばよい。
また、対をなすコアヒータ37a〜37d(以下、単に「コアヒータ37a〜37d」という。)は、図1に示すように対応するメインコア34の定着ローラ1と反対側の表面に接触させた状態で配設されている。
コアヒータ37a〜37dとしては、例えばコイルヒータでも使用可能ではあるが、メインコア34の温度をそのキュリー温度よりも若干高くなるように加熱でき、且つあまりスペースを占めないものが適している。具体的には、面状ヒータを用いれば、嵩が小さいので装置小型化に適している。例えば、ニッケル合金、ステンレス、カーボンブラックなどの発熱抵抗体をポリイミド、シリコーンラバーなどの絶縁シートで挟み込んだ薄膜状の面状ヒータで、厚みが0.1〜0.3mm程度、耐熱温度250〜300℃を有するものを用い、これを耐熱シリコーン接着剤でメインコア34に貼着すればよい。
本実施の形態においては、このコアヒータとして、公知のPTC(positive temperature coefficient)ヒータを使用している。このPTCヒータは、主にセラミクス素子からなりそのキュリー点以上の温度になると急激に抵抗が増加して、発熱量が少なくなるため、一定温度となるよう自己制御されるので、磁性体コア温度の制御が容易に行えるという利点がある。
なお、コアヒータ37a〜37dは、各メインコア34を加熱できれば、必ずしも磁性体コアに接着されていなくても良い。また、コアヒータ37a〜37dを設ける対象は、メインコア34だけでもよいが、端部コア35や裾コア36にも設けても良い。
(4)磁性体コア32のキュリー温度について
次に、メインコア34をはじめとする磁性体コア32の材料、特にキュリー温度について考察する。
定着動作時において、磁性体コア32は、定着ベルト16から輻射熱および伝導熱を受け、また、励磁コイル31の自己発熱による影響も受けながら、外部へ放熱する。
コアヒータ37a〜37dで加熱しないときのメインコア34の温度は、定着時における定着ベルト16の温度変化に追随して変化し、定着ベルト16の表面温度と比べてほぼ一定の温度差αだけ低い温度となる。従って、中央領域のメインコア34の温度Tcは、定着温度Trよりαだけ低くなる(Tc=Tr−α)。このαは、メインコア34の構造や周辺の構造などによって変わる。
メインコア34のキュリー温度は、上記温度Tcより低いと、定着ベルト16が定着温度Trまで昇温しにくくなるので、上記温度Tc=(Tr−α)以上に設定することが好ましい。
一方、中央領域にあるメインコア34のキュリー温度は高くてもよいが、コアヒータ37a〜37dが配設されているメインコア34のキュリー温度は、あまり高いと、コアヒータでメインコア34を加熱してもメインコア34の温度がキュリー温度に達するのに時間がかかり、また、キュリー温度に達したときに定着ベルト16などが耐熱温度(220℃程度)を越えてしまう。従って、コアヒータ37a〜37dが配設されているメインコア34のキュリー温度は、耐熱温度(220℃)−αより低く設定する。
安全率を考えるとメインコア34の設定されるべきキュリー温度の上限は200℃とするのが好ましい。また、定着温度Trは160℃〜180℃であることを考慮すると、メインコア34をはじめとする磁性体コア32のキュリー温度は140℃以上あるのが好ましく、特に160℃以上が好ましい。
なお、パーマロイのような合金では、合金組成によってキュリー温度が変わるので、適当なキュリー温度を持つ合金組成を選べばよい。例えば、Fe-Ni合金では、原子パーセント(at%)で、Fe70%、Ni30%の場合、キュリー温度約100℃が得られ、Fe-Ni-Cr合金では、at%でNi31%,Fe61%,Cr8%の場合、キュリー温度約70℃が得られる。そして、このキュリー温度は、Ni含有量に応じて変化する。
なお、パーマロイのような合金では、高周波によるコア内の渦電流損失が大きくなるため積層構造にしてもよい。また、励磁コイル31や磁性体コア32などの磁気回路部分に、樹脂材に磁性粉を分散させたものを用いると、透磁率は比較的低いが自由に形状を設定する事ができる。
(5)定着ローラ1の表面温度を検出する温度センサについて
本実施の形態においては、図4(b)に示すように、定着ローラ1の外周面の軸方向に沿って、温度センサ61〜64が配置されている。
温度センサ61は、通紙領域の温度を検出できるように、定着ローラ1の中央に近い位置(図4では中央を「0」として−5mmだけ外れた位置)に配置されている。
また、温度センサ62〜64は、非通紙領域となり得る領域(コアヒータ37a〜37dが配置されている領域)に分散して配され、その位置での定着ローラ1の表面温度を検出することができるようになっている。
図4(b)に示す例では、記録シートが定着ローラ1の中央領域を通過する想定の下で、中央から144mm,−85mm,−40mm外れた位置に配置されている。
各温度センサ61〜64は、定着ローラ1の表面に対して接触式でも非接触式でもよく、赤外センサ(商品名NCセンサ),サーミスタなどを用いることができる。ここでは、温度センサ61として赤外センサを用い、温度センサ62〜64にはサーミスタを用いることとする。
温度センサ61〜64で検出する定着ローラ1の各領域の表面温度検出信号が制御部100に入力され、定着ローラ1の表面温度制御のために用いられる。
(6)制御部100の構成
図5は、画像形成装置における各部の動作を制御する制御部の構成を示すブロック図である。
同図に示すように制御部100は、CPU101、画像信号処理部102、RAM103及びROM104などを備える。
不図示の通信インターフェースを介して、外部の端末(パーソナルコンピュータ)からプリントジョブのデータを受信すると、画像信号処理部102は、そのR,G,Bの画像データにスムージング処理やエッジ強調処理などの必要な処理を加えると共に、色変換処理を行ってYMCKの各現像色のデジタル画像信号を生成する。
ROM104には、画像形成動作に必要な制御プログラム、定着器1520における定着ローラ1の温度制御のプログラムなどが格納されている。
RAM105は、上記各プログラムが実行される際におけるワークエリアとなる。
CPU101は、ROM104から制御に必要なプログラムを読み出して、画像信号処理部105、中間転写部1500、給紙搬送部1515、定着器1520等の動作を統括的に制御して、円滑な画像形成動作を実現する。
コアヒータ37a〜37dは、スイッチ120a〜120dを介してコアヒータ用電源40に接続されており、制御部100からの指示(ON/OFF信号)に基づいて、これらのスイッチをON/OFFされる。スイッチ120a〜120dとして、例えばSSR(Solid State Relay)が用いられる。
CPU101は、温度センサ61〜64からの検出信号に基づき、次に述べるように、励磁コイル31を駆動する高周波インバータ110の出力制御並びにコアヒータ37a〜37dへの通電をON/OFFを制御して、定着時における定着ローラ1の通紙領域の温度を所定の目標温度に保つと共に、その非通紙領域における過昇温を効率的に抑制する。
(7)定着ローラ1の温度制御
画像形成動作時における定着ローラ1の温度制御として、制御部100は、(a)励磁コイル31の出力制御、および(b)磁性体コア32の温度制御を並行して実行する。
(a)励磁コイル31の出力制御
制御部100は、温度センサ61から出力された検出信号に基づき、定着ローラ1の中央付近の表面温度が、あらかじめ設定されている定着温度Tr(例えば170℃)となるように、高周波インバータ110から励磁コイル31への電力供給量を制御する。
具体的には、高周波インバータ110には、励磁コイルとLC発振回路を形成するメインコンデンサ、LC発振回路をON/OFFするIGBTなどからなり、制御部100は、温度センサ61からの検出温度を監視しながら、当該検出信号が定着温度Trに近づくようにIGBTをON/OFF制御する。
このように高周波インバータ110から励磁コイル31への出力を制御することによって、定着ローラ1の中央領域の表面温度は、定着温度Tr付近に維持される。
記録シートPが定着ローラ1の圧接ニップ部を通過するときにおいて、定着ベルト16から記録シートPに熱が奪われるが、奪われた分の熱量は電磁誘導加熱装置3によってすぐに定着ベルト16に補給されるので、定着ローラ1の中央領域の表面温度はほぼ定着温度Trに維持される。
(b)磁性体コアの温度制御
連続して定着動作を実行すると、定着ローラ1の通紙領域の温度は上記(a)により一定の温度に維持されるが、非通紙領域では、記録シートにより熱が奪われない上に、電磁誘導発熱層13は熱容量が小さいので急速に温度が上昇して過昇温となるおそれがある。

そこで、本実施の形態では非通紙領域に対応する位置にある磁性体コアの温度をコアヒータで加熱してそのキュリー温度以上とすることにより透磁率を低下させて、その部分における定着ローラ1の電磁誘導発熱層13を通過する磁束密度を低減することにより温度上昇を抑制する。
図6は、制御部100が、上記励磁コイル31の出力制御と並行して実行する磁性体コアの温度制御処理の一例を示すフローチャートであって、画像形成動作時に繰り返し実行されるものである。
まず、ステップS1において、温度センサ61による検出温度が所定の処理開始温度以上となっているか否かを判断する。
この「処理開始温度」は、磁性体コアの温度制御を開始する温度としてあらかじめ設定されている温度であって、安全率を考慮して上記定着温度Trより所定温度β(例えば、10℃)だけ低い温度に設定される。
温度センサ61で検出される温度が処理開始温度未満のときには、コアヒータ37a〜37dは作動させない(ステップS1:NO、ステップS6)。
したがって、温度センサ61で検出される温度が処理開始温度に到達するまでは、磁性体コア32はキュリー温度よりも低温に保たれ、その透磁率は高い状態のままなので、励磁コイル31に通電すると、通紙幅方向全体領域において定着ベルト16に高密度の磁束が鎖交して迅速に昇温させることができる。
一方、温度センサ61で検出される温度が処理開始温度以上となり、且つ励磁コイル31が動作している場合には(ステップS1,S2ともにYES)、非通紙領域において過昇温になるおそれがあるので、温度センサ62〜64で検出される温度に基づきコアヒータ37a〜37dを選択的にON/OFF制御する(ステップS3〜S9)。
すなわち、まず、ステップS3において、温度センサ62の検出温度が、上限温度以上になっているか否かを判断する。ここでの「上限温度」は、定着ベルト16や励磁コイル31などの耐熱上限温度(220℃程度)より所定温度だけ低く、上記定着温度Trよりも高い範囲内で設定される温度(例えば、200℃)である。
もし、ステップ3において、温度センサ62の検出温度が上限温度以上でないと判断された場合には、定着ローラ1の全範囲において続けて昇温させる必要があるので、全てのコアヒータを動作させない(ステップS3:NO、ステップS6)。
しかし、温度センサ61で検出される温度が上限温度以上となった場合には、次に温度センサ63の検出温度が上記上限温度以上であるか否かを判断する(ステップS3:YES、ステップS4)。
ここで、温度センサ63が、上限温度以上でなければ、通紙している記録シートのサイズは、図4(b)により用紙幅サイズBであると推定されるので、コアヒータ37aのみをONにし、他のコアヒータ37b〜37dはOFFのままとする(ステップS4:ON、ステップS7)。
一番両端にある磁性体コア32のメインコア34が加熱されてキュリー温度よりも高くなり、その透磁率は急速に低下する。電磁誘導作用による発熱量は磁束密度が大きいほど大きいので、磁束密度が低下した領域では、電磁誘導発熱層13で発生する発熱量も小さくなる(一般に電磁誘導による発熱量は透磁率の1/2乗に比例する)。
そのため、定着ローラの非通紙領域において過昇温とならない。
一方、定着ローラ1の表面温度が上限温度未満の領域では、コアヒータがOFFとなるので、メインコアの温度はキュリー温度未満に保たれる。従って、励磁コイル31によって形成される磁束密度は低下しないので、電磁誘導発熱層13での発熱も大きく、通紙により奪われる熱量を補充することができる定着不良が生じない。
ステップS4において温度センサ63も上限温度以上であると判断された場合には次に温度センサ64の検出温度が上限温度以上か否かを判断し(ステップS4:YES、ステップS5)、このセンサの検出温度が上限温度以上でなければ、通紙されている記録シートPのサイズは、サイズCと推定できるので(図4(b)参照)、非通紙領域にあるメインコア34のコアヒータ37a、37bに通電する。
また、ステップS5において、温度センサ64も上限温度以上であると判断された場合には、この部分も非通紙領域であると推定できるので、コアヒータ37a〜37cの全てに通電するように制御する。
なお、本実施の形態では、コアヒータ37a〜37dとしてメインコア34のキュリー温度より若干高めの温度で自己温度調整されるPTCヒータを用いることにより、メインコア34の上限温度を制御することができる。磁性体コアの温度がキュリー温度を10℃〜20℃超えると透磁率が1近くに低下するので、その程度の温度で自己調整できるPCTヒータが選択されるのが好ましい。
もっとも、通常の面状ヒータであっても、例えば、一番端のメインコア34の温度を検出するセンサを別個設けて、この出力に基づき該当するスイッチ120a〜120dのON/OFF制御して、加熱すべきメインコア34の温度が過度にならないように制御するようにしてもよい。
以上のように定着時における温度センサ62〜64の検出温度の値により、定着ローラ1の非通紙領域を推測することができ、当該非通紙領域に位置するメインコア34に設けられたコアヒータを動作させて、当該メインコア34をそのキュリー温度以上に強制的に加熱することにより、非通紙領域における過昇温を効果的に抑制することができる。
よって、通紙サイズが変わっても、安定した定着を行いながら、非通紙領域における過昇温を抑制することができる。
(8)本実施の形態における効果
図11は、本実施の形態における効果を示すためのグラフであり、図1,4に示した定着器を用いて、上述したように温度センサに基づいてコアヒータをON/OFF制御しながら、用紙サイズP1,P2,P3の各サイズの用紙をそれぞれ多数枚通過させ、そのときの定着ローラ表面の通紙幅方向温度分布を測定したものである。
ここでは、通紙領域の定着温度はいずれも約160℃とした。
この測定結果から分かるように、本実施の形態に係る定着器では、用紙サイズP1(通紙幅A),P2(通紙幅B),P3(通紙幅C)のいずれの場合も、定着ベルト16の各部分の温度は180℃程度以下に抑えられており、この結果は、過昇温防止と定着画質品質を両立できる用紙サイズの範囲が広いことを示している。
<変形例>
(1)上記実施の形態においては、複数の温度センサ62〜64で定着ローラ1の表面温度を検出し、その結果に基づいて、コアヒータ37a〜37dを選択的にON/OFFしたが、温度センサ62〜64は設けないで、代わりに、給紙カセット1517の記録シートサイズセンサから記録シートサイズを取得し、それに基づいてコアヒータ37a〜37dを選択的にON/OFFしてもよい。
図7は、通紙サイズに応じて、コアヒータ37a〜37dを選択的にON/OFFするときに用いる対応表の一例である。
W1,W2,W3,W4は、コアヒータ同士の間隙に基づいて設定された長さであって、図4に示されるように、1対のコアヒータ37a同士の間隔>W1>1対のコアヒータ37b同士の間隔>W2>1対のコアヒータ37c同士の間隔>W3>1対のコアヒータ37d同士の間隔>W4である。また、Wは搬送される記録シートの幅である。
この対応表によって、記録シート幅Wと、コアヒータ37a〜37dのON/OFFとが対応づけられており、各サイズの記録シートが通過するとき、通紙領域に位置するコアヒータはON、非通紙領域に位置するコアヒータはOFFされるように対応づけられている。
制御部100のROM104内に、このような対応表を記憶させておいて、プリント動作時には以下のように制御する。
制御部100は、上記図6のフローチャートで、ステップS1,S2までは、同様に処理するが、ステップS3〜S5の処理の代わりに、給紙カセット1517に収納されているシートサイズを取得し、その紙幅Wと、図7の対応表とを参照することによって、コアヒータ37a〜37dの中で高温にすべきものを選択してONする。
このように制御することによって、温度センサ61で検出される温度が処理開始温度以上となり、且つ励磁コイルが動作しているときに、搬送される記録シートの幅に応じて、コアヒータ37a〜37dのうち、非通紙領域に存在するものだけONされる。
従って、通紙領域に存在するメインコア34の透磁率は低下せず、非通紙領域におけるメインコア34の透磁率が低下するので、電磁誘導によって形成される磁束密度は通紙領域で高く、非通紙領域で低くなる。それによって、通紙領域では定着ローラ1の表面温度は定着温度Trに維持され、非通紙領域では定着ベルト16の過昇温が抑えられるので、 通紙サイズが変わっても、安定した定着を行いながら、非通紙領域における過昇温を低減することができる。
また、定着ローラの温度検出と記録シートサイズ検出の組み合わせに基づいてコア温度制御を行ってもよい。例えば、温度センサ62〜64のうち、端部に位置する温度センサ62だけを設け、温度センサ62の検出温度が上限値未満のときはコアヒータ37a〜37bを全部OFFにして、上限値以上のときだけ、記録シートサイズ検出に基づくコア温度制御処理を行うこともでき、これによっても同様の効果が得られる。
また、図6のフローチャートでは、ステップS1で温度センサ61の検出温度が開始温度のときだけ、続くステップS2〜S5の処理を行いコアヒータのON/OFF制御を行うようにしたが、ステップS1を省略して、プリント動作のはじめからコアヒータの制御を行うようにしてもよい。
(2)上記実施の形態では、複数のメインコア34の温度分布を制御するのに、コアヒータ37を用いる方法を示したが、上記複数のメインコア34に対する冷却量の分布を調整することによっても、非通紙領域におけるメインコア34の温度を通紙領域のものよりも相対的に高温にすることができる。
本実施形態における定着器は、図1に示したものと同様、定着ローラ1、励磁コイル31,磁性体コア32などを備えたものを用いるが、コアヒータ37a〜37dの代わりに空冷式のコア冷却装置を備えている。
定着動作時において、磁性体コア32は、空冷しなければ定着ベルト16から輻射熱・伝導熱を受けて、複数のメインコア34の温度も、上述した定着温度Trより低い温度Tc=(Tr−α)となるが、本例では風冷するのでその分温度が下がる。この点を考慮して、メインコア34のキュリー温度は、上記実施の形態における温度Tc=(Tr−α)と同程度か、それより若干低く設定しておく。
そして、以下のように、複数のメインコア34に対する冷却量の分布を調整することによって、メインコア34の温度分布を制御する。
図8に、空冷方式によるコア冷却装置の一例を示す。
このコア冷却装置では、画像形成装置内に設けられたファン91から定着器のメインコア34に風を導くダクト92が設けられている。ファン91の風量は、その駆動電圧を調整することによってコントロールする。
ダクト92の出口側には、通紙幅方向に風が分配されるように通気路94が形成され、ファン91からの風は、ダクト92から通気路94を経由して、複数のメインコア34の外表面に導かれて、通気口93から排出される。
ここで、複数のメインコア34の中で、中央領域に存在するものに対する風量が大きくなるように風量分布を形成する。
このような通紙幅方向の風量分布は、通気路94の形状を調整することによっても可能であるが、例えば、図8に示すように、通気路94から複数のメインコア34に到る経路に風量調整板95を設け、この風量調整板95において、通紙幅方向中央部においては孔95aの開口率を大きく、端部においては孔95bの開口率を小さく設定すれば、所望の風量分布に調整するのが容易である。
図9に示す曲線L1〜L5は、風量を変化させたときに複数のメインコア34に形成される温度分布を示す図である。曲線L1はファン91が風量1で小さいときの温度分布を示し、曲線L2,L3,L4,L5はファン91の風量を2,3,4,5とだんだん大きくしたときの温度分布を示す。
これら曲線L1〜L5はいずれも中央が凹んでおり、中央領域ではメインコア34の温度が低く、端部領域ではメインコア34の温度が高い温度分布であることが示されている。また、曲線L1,L2,L3,L4,L5の順で低温側にシフトし、キュリー温度以下の範囲が広がっている。
これは、ファン91の風量を1,2,3,4,5と大きくするにつれて、複数のメインコア34の温度がキュリー温度以下となる範囲が、領域X4,領域X3,領域X2,領域X1、そして全域と広がることを示している。
このように、定着器が動作しているときに、ファン91の風量を制御することによって複数のメインコア34の温度分布を調整することができるので、コアヒータ37a〜37dに代わりにこのコア冷却装置を用いても、上記説明したのと同様に定着ローラ1の温度を検出した結果に基づいて、風量を複数のメインコア34の温度制御を行ったり、記録シートサイズ検出結果に基づいて複数のメインコア34の温度制御を行うことができる。そして、それによって、通紙サイズが変わっても、安定した定着を行いながら、非通紙領域における過昇温を低減することができる。
なお、本例のように空冷によってメインコア34の温度分布を調整する場合、定着ベルト16とメインコア34との温度差αがあまり大きいと、空冷によるメインコア34の温度分布制御が難しくなるので、温度差αを小さくすることが好ましい。そのためにメインコア34が定着ベルト16からの熱の影響をより受けやすい構成、例えば、メインコア34の一端が、もしくは両端が、定着ローラ1の周面に近接する位置まで延びるような形状にしたり、メインコア34が、定着ローラ1の上方に来るように配設することが好ましい。
このようなコア冷却装置を用いたものについて、図11と同様な実験をしたところ、各用紙サイズで定着ローラの各領域の温度は180℃程度以下に抑えられ、良好な結果が得られた。
(3)以上の説明では、温度情報や通紙サイズに基づいて、複数のメインコア34の中から、相対的に高温に温度調整するメインコアを選択する手段を設けたが、複数のメインコア34の中で相対的に高温に温度調整するメインコアをあらかじめ選択しておいてもよい。ただしこの場合、定着品質と過昇温防止とを両立できる用紙サイズの範囲は限られる。
例えば、図4の例において、コアヒータ37c,37dは設けず、温度センサ62が上限温度を越えたときにコアヒータ37a,37bをONにする制御を行えば、用紙サイズP2程度の用紙が通過するときに、定着ベルト16の過昇温を防止できるが、用紙サイズP3以下の小さいサイズの場合は、定着ベルト16の過昇温防止効果は低減する。
また、図8の風冷方式の場合も、ファン91の風量調整はせず、ON/OFF制御だけ行ってもよいが、同様に定着品質と過昇温防止とを両立できる用紙サイズの範囲は限られる。
また、コアヒータの配置形態に関して、上記説明では、各メインコア34に独立してコアヒータ37a〜37dを設けたが、メインコア34を配置した領域全体にわたって1枚の面状ヒータを設けても良い。
この場合、中央領域に対して両端領域の発熱量が大きくなるようにしておけば、当該面状ヒータの出力を調整することによって、同様に複数のメインコア34の温度分布を調整することができる。
(4)上記実施の形態では、定着ローラ1の定着ベルト16が、電磁誘導によって発熱する回転体に相当するが、本発明において、この回転体は、1軸ベルトに限らず2軸ベルトであってもよいし、電磁誘導によって発熱し、搬送される記録シートに熱を付与して定着できるものであればよい。
(5)上記実施の形態によれば、定着器をフルカラーのプリンタに搭載した例について説明したが、モノクロのプリンタでもよいし、その他複写機や複合機などおよそトナー像を加熱圧接して熱定着する構成を有する画像形成装置に適用可能である。
本発明は、電磁誘導加熱方式を採用している定着装置を備えた画像形成装置一般に適用できる。
実施形態にかかる定着器の概略構成図である。 実施形態にかかる定着ローラの概略断面図である。 実施形態にかかる加圧ローラの概略断面図である。 実施形態にかかる定着ローラの温度を制御する機構を説明する図である。 実施形態にかかる画像形成装置における制御部の構成を示す図である。 制御部が実行するコアヒータ制御処理の一例を示すフローチャートである。 通紙サイズに応じて、コアヒータを選択的にON/OFFするときに用いる対応表の一例である。 風冷方式によるコア冷却装置の一例を示す図である。 風量を変化させたときに複数のメインコア34に形成される温度分布を示す図である。 実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。 実施の形態に係る定着器の構成により定着ローラの両端部の過昇温が防止されることを実験により示すグラフである。
符号の説明
1 定着ローラ
2 加圧ローラ
3 電磁誘導加熱手段
13 電磁誘導発熱層
16 定着ベルト
31 励磁コイル
32 磁性体コア
33 コイルボビン
34 メインコア
35 端部コア
36 裾コア
37a〜37d コアヒータ
61〜64 温度センサ
91 ファン
92 ダクト
100 制御部
110 高周波インバータ
120a〜120d スイッチ

Claims (6)

  1. 一対の回転体を近接配置して定着ニップ部を形成し、当該一対の回転体のうち少なくとも一方の回転体を電磁誘導加熱手段により加熱すると共に、被定着画像が形成された記録シートを前記定着ニップ部に通紙して熱定着する定着装置であって、
    前記電磁誘導加熱手段は、
    前記加熱対象の回転体の周面に沿って配設された励磁コイルと、
    前記励磁コイルに沿って、前記記録シートの搬送方向と直交する方向に配設された複数の磁性体コアと、
    前記複数の磁性体コアのうち、定着対象となる記録シートの通紙領域と重ならない範囲に配設された磁性体コアを特定する特定手段と、
    前記特定された磁性体コアの温度が、当該範囲に配設された磁性体コアのキュリー温度よりも高くなるように調整するコア温度調整手段と
    を備え
    前記コア温度調整手段は、
    前記複数の磁性体コアを空冷するとともに、前記記録シートの搬送方向と直交する方向において、複数の磁性体コアの中で中央領域に対する風量が端部領域に対する風量よりも大きくなるように風量分布を形成する空冷手段と、
    前記空冷手段の全体の風量を調整することにより、前記風量分布において前記特定された磁性体コアのみが前記回転体の温度上昇に追随してキュリー温度を超えるように、前記特定された磁性体コアの風量を低減もしくは停止させる制御手段と、
    を有する定着装置。
  2. 前記空冷手段は、さらに前記記録シートの搬送方法と直交する方向において複数の孔を有し、かつ前記端部領域における孔の開口率が前記中央領域における孔の開口率よりも小さい風量規制部を備え、
    ファンから通気路を経由して前記風量規制部を通して前記複数の磁性体コアに冷却風を導くことにより、前記風量分布を形成することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 定着対象となる記録シートの搬送方向と直交する方向における幅に関する情報を取得するシート幅情報取得手段を備え、
    前記特定手段は、
    前記取得した記録シートの幅に関する情報に基づき、複数の磁性体コアのうちから前記通紙領域と重ならない範囲に配設された磁性体コアを特定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 前記電磁誘導加熱手段の加熱対象となる回転体の、記録シートの搬送方向と直交する方向における異なる位置の表面温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記特定手段は、
    前記検出した表面温度に基づき、複数の磁性体コアのうちから前記通紙領域と重ならない範囲に配設された磁性体コアを特定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  5. 少なくとも、定着対象となる最小の記録シートの通紙領域と重ならない範囲に配設された磁性体コアのキュリー温度は、140℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の定着装置。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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