本発明は、加工食品、特に植物を原料に含む加工食品の原料品種を高精度に判定する方法に関するものである。
植物の新品種育成者の権利は、植物品種保護制度が整備され、国際的にも保護されている。ところが、近年、国内の農業研究機関などが開発した新品種の農作物を許可なく海外で栽培し、加工食品として輸入するといった不正行為が増加しており、国内の農家を圧迫するという問題が生じている。また、消費者保護の観点から、加工食品の原料の不正表示を防止することも重要な課題となっている。しかしながら、加工食品の原料に使用されている植物の品種を判定する技術は未だ開発されておらず、加工食品の原料品種を鑑定する実用化技術の開発が待ち望まれている。
一方、植物の品種を識別する技術としては、DNAの多型検出法が注目されている。具体的には、RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)、AFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)、SSR(Simple Sequence Repeat)、CAPS(Cleaved Amplified Polymorphic Sequence)、ISSR(Inter-Simple Sequence Repeat)、SNP(Single Nucleotide Polymorphism)などが検討されており(非特許文献1参照)、イネ、イグサ、イチゴ、インゲンなどでは、上記の方法を用いた品種識別技術が実用化されている。
植物のゲノム中には、転移因子が存在する。転移因子は、「転移性遺伝因子」または「可動性遺伝因子」とも呼称されるが、染色体上のある部位から別の部位へ転移する能力を備えた、あるいは、進化の過程で染色体上を転移したことが示されたDNA配列である。転移因子の転移に伴い、DNAの重複、欠失、あるいは、染色体の再編成が生じる。自然界で起こる突然変異の約70〜80%は、このような転移因子の活動が原因であるとされている。
レトロトランスポゾンは、転移因子の一種である。レトロトランスポゾンの転移は、ゲノム中の配列が転写された後、逆転写反応により元の配列の複製となったDNAがゲノムに挿入されるという過程をとり、一旦挿入された配列は安定的に遺伝する(非特許文献2)。植物ゲノムには、進化の過程でこのようにして複製された配列が多数存在するが、そのほとんどは、転移活性を失っている。また、レトロトランスポゾンの多数の複製配列はゲノム中に散在しており、優れた遺伝子マーカーとなることが知られている(非特許文献3〜5参照)。
ゲノムにおけるレトロトランスポゾンの個々の挿入位置は、制限酵素処理末端へのアダプター付加法(S-SAP:Sequence-Specific Amplification Polymorphism法)(非特許文献5参照)により、挿入位置近傍のゲノム配列(制限酵素認識部位)とLTR配列間の核酸増幅により区別できる。
矢野博、DNA多型分析による品種識別の可能性−植物におけるDNA多型検出技術とその応用−、農業および園芸、79:131-136(2004)
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上述のように、加工食品からその原料植物の品種を判定することは、新品種育成者の権利保護および消費者保護の観点から非常に重要である。しかしながら、加工食品の原料に使用されている植物の品種を判定する技術は未だ開発されておらず、加工食品の原料品種を判定する実用化技術の開発が待ち望まれている。
加工食品の原料品種判定技術が未だ開発されていない理由としては、上述の植物品種判定技術をそのまま加工食品の原料品種判定に適用することが困難であることを挙げることができる。加工食品の原料品種判定にDNA多型を利用する植物品種判定方法やレトロトランスポゾンの挿入部位の多型を利用する植物品種判定方法を適用することが困難であるのは、加工食品に含まれる原料品種由来のDNAが、製造工程における加工処理により劣化・断片化していることが原因である。そこで、以下に具体例を挙げて説明する。
上述のDNA多型を利用する植物品種判定方法のうち、現在主流となりつつあるのはSSR(Simple Sequence Repeat)を利用する品種判定方法である。この方法は、マイクロサテライトと呼ばれるものなど、短い配列が反復して現れるゲノム上の部分をPCRにより増幅し検出するものである。このような反復数は変異が生じやすく、多型の出現頻度が高い。また、反復配列に隣接する固有の領域にプライマーを設定してPCRを行うため、SSRマーカーはそれぞれ特定の遺伝子座として、また、反復数の違いは対立遺伝子として扱うことができる。反復配列は、植物のゲノム上の様々な場所に多数存在するので、複数の遺伝子座における複数の対立遺伝子の組み合わせによって、品種を識別する。
この方法を、多種類の作物に適用し、さらに、それらの加工品から原料となった品種を識別する場合には、まず、倍数性の作物では品種識別性が低いという問題に加えて、PCR等の核酸増幅の対象となるDNA断片は反復配列とその両隣のプライマーを設定する領域となるため、本発明が品種識別のために核酸増幅の対象とするDNA断片よりも大きいという問題がある。
すなわち、SSRは共優性マーカーであり、2倍性の作物では、各遺伝子座において、同型接合と異型接合の遺伝子型が電気泳動によるバンドパターンやキャピラリー電気泳動での検出(表現型)から特定できる。しかし、作物では、コムギ(6倍体)、オート(4または6倍体)、ジャガイモ(4倍体)、サツマイモ(6倍体)など、倍数体が多数見られる。これらの倍数体では、異型接合の表現型から対立遺伝子の組み合わせを特定することは極めて困難であり、品種識別には、2倍性の植物と比べてより多数のSSR遺伝子座の情報を組み合わせる必要が生じる。しかも、倍数性作物には栄養繁殖性のものが多く見られ、これらは異質接合性の高い遺伝組成となっているため、SSR遺伝子座の多くは、識別効率が低い。
これに対して、レトロトランスポゾンのゲノム特定部位への挿入の有無をPCRによって判定する本発明の方法は、優性マーカーであり、分析対象の倍数性や異質接合性の影響を受けることがなく、また、レトロトランスポゾンはこれまでに調査されたすべての作物において見いだされているので、すべての作物に適用できる。
次に、加工食品に含まれる原料品種由来のDNAは、製造工程における加工処理により劣化・断片化しているために、品種識別のために核酸増幅の対象とするDNA断片が大きなSSR法は不適である。
また、上述のDNA多型を利用する植物品種判定方法のうち、RAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)やCAPS(Cleaved Amplified Polymorphic Sequence)を利用する品種判定方法も実用化されている。これらの方法は、特定の断片の増幅を前提としているが、一定の長さより短い増幅断片のみを使って判定できるようにゲノム上の部位を多数見出すことは困難である。特に、RAPDを利用する方法は1種類のプライマーを用いるものなので、加工処理により劣化・断片化が進んだDNAにおいて、品種比較に問題が生じないように短い断片が増幅される部位を見出すことはほとんど不可能と考えられる。
また、従来のレトロトランスポゾンの挿入部位の多型を利用する植物品種判定方法は、レトロトランスポゾン挿入部位の品種間での違いを網羅的に示すことで品種識別を行っている(例えば、上述のS-SAP法のようなディスプレイを行う、サザン分析を行う等)。このように網羅的な解析を行うためには、利用するDNAの質がよいこと、すなわちDNA抽出などの操作により断片化していないことが、結果の再現性および信頼性の必須条件となる。したがって、これらの方法は加工食品の原料品種判定には適していない。
一方、餡(あん)、小麦粉、麺、パンなど、原料を練り物、あるいは、粉体とする工程を経て製造される加工品においては、複数の品種が原料として使われた場合、加工製品の内容物を、使われた原料品種ごとに仕分けすることは技術的に不可能である。従って、原料品種の識別においては、加工製品そのものを分析することとなる。かかる場合、従来のDNAを利用した品種識別技術は、品種多型を示す遺伝子座の多型を利用して、それぞれの遺伝子座において、個々の品種が持つ対立遺伝子の種類を組み合わせて、その組み合わせの特徴から品種を特定するものであるので、混合されている品種の対立遺伝子の種類が同時に検出されることとなる。このため、調査した加工製品において、特定の品種が持つ対立遺伝子の種類の組み合わせが検出されても、それらの種類は、その特定の品種が実際に製品に含まれているために検出されたのか、または、製品に使われた複数の品種の対立遺伝子によって、偶然その組み合わせが検出されたのかを特定することは困難である。このような困難性を端的に示す例としては、調査する品種の両親品種の両方を原料とする製品では、調査する品種が実際に使われていなくても、調査する品種の対立遺伝子の全てがその製品の中から検出されることがあげられる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は加工食品に含まれる劣化・断片化したDNAにも適用でき、かつ、加工食品の原料植物の品種を高精度に判定できる方法を提供することにある。また、複数の品種の原料植物を含む加工食品においても、加工食品の原料植物の品種を高精度に判定できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、植物のゲノム中に存在する転位因子の1つであるレトロトランスポゾンがゲノムの特定部位に挿入されているか否かを核酸増幅により検出する方法は、加工食品に含まれる劣化・断片化したDNAにおいても適用できることを見出し、この方法により高精度に加工食品の原料品種を判定することが可能であることを見出した。また、レトロトランスポゾンの中でも、栄養繁殖による増殖の過程で転移し転移後は栄養繁殖において品種の維持が行われるものや、配偶子形成、受精などの過程で転移するものに着目し、かかる転移によるレトロトランスポゾンの挿入部位は、その品種に固有であることに思い至った。そしてかかる固有の挿入部位の有無により、加工品の原料品種が複数の品種である場合でも、その加工品にその品種が含まれているかの判定を正確かつ迅速に行うことができることを確認して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る原料品種判定方法は、加工食品に含まれる原料植物の品種を判定する方法であって、植物ゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かを検出することによって原料植物の品種を判定することを特徴としている。したがって、レトロトランスポゾン挿入部位の品種間多型を利用して、簡便かつ正確な品種判定を行うことが可能となる。
上記植物ゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かの検出には、植物ゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されている品種の、当該レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとを組み合わせたプライマーセットを用いて、加工食品から調製したDNAを鋳型として核酸増幅反応を行い、増幅産物の有無を確認する方法を用いることが好ましい。上記プライマーセットにより増幅される断片の長さを任意に設計できるため、短い断片が増幅されるようにプライマーセットを設計すれば、加工食品中のDNAが高度に断片化している場合でもこれを鋳型として増幅断片の有無を確認することが可能となる。また、増幅産物の有無を確認するものであるため、簡便な電気泳動により確認でき、結果の判定に熟練を要しない。従来、レトロトランスポゾン挿入部位の多型を利用する品種判別方法は報告されているが、本発明のように核酸増幅産物の有無により判定できる方法は報告されていない。
また、本発明に係る原料品種判定方法は、加工食品に含まれる原料植物の品種を判定する方法であって、判定対象とする複数の品種について、ゲノム中のレトロトランスポゾン挿入部位を比較して多型が認められるレトロトランスポゾン挿入部位を複数選択し、選択された各レトロトランスポゾン挿入部位のレトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとを組み合わせたプライマーセットを設計し、加工食品から調製したDNAを鋳型として各プライマーセットによる核酸増幅反応を行い、各核酸増幅反応における増幅産物の有無を確認し、それらの結果を組み合わせることによって原料植物の品種を判定することを特徴としている。例えば、S-SAP法などにより、植物の品種間でレトロトランスポゾンのゲノムへの挿入部位を比較することにより、特定の品種についてのみ見られる挿入部位を見いだせば、加工食品に含まれる原料植物の品種が1種類である場合のみでなく、複数の品種が含まれている場合でも品種判定を正確かつ迅速に行うことができる。また、品種間の多型が認められるレトロトランスポゾン挿入部位の選択を工夫することにより、少数の増幅反応で多数の品種判定を行うことが可能となる。
さらに、本発明に係る原料品種判定方法は、加工食品に含まれる原料植物の品種を判定する方法であって、判定対象とする複数の品種について、ゲノム中のレトロトランスポゾン挿入部位を比較して多型が認められるレトロトランスポゾン挿入部位を複数選択し、レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて1種類のプライマーを設計し、当該1種類のプライマーと組み合わせる各プライマーを、各プライマーセットを用いた核酸増幅反応により得られる増幅断片が全て異なる長さとなるように、選択された各レトロトランスポゾン挿入部位のレトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計し、加工食品から調製したDNAを鋳型として、上記レトロトランスポゾンの塩基配列に基づくプライマーと上記レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づく各プライマーを全て用いて1つの核酸増幅反応を行い、各プライマーセットにおける増幅産物の有無を確認し、それらの結果を組み合わせることによって原料植物の品種を判定することを特徴としている。すなわち、1つの増幅反応で複数の品種判定を行うことができるため、より迅速かつ簡便に原料品種の判定を行うことができる。
上記増幅産物の断片長は40bp〜600bpであることが好ましい。増幅産物の長さが短くなるようにプライマーを設計することにより、加工食品から抽出されるDNAが高度に断片化したものであっても、それを鋳型として核酸増幅反応を行うことが可能となる。
上記レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列は、当該領域を含むDNA断片をシーケンスすることにより得ることができる。こうして得られた塩基配列に基づいて特異性の高いプライマーを設計することができる。また、レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域を含むDNA断片をクローニングした後にシーケンスすることが好ましい。シーケンス解析の正確性が向上するからである。
本発明に係る原料品種判定方法の対象とする加工食品は、サツマイモを原料に含むことが好ましく、サツマイモ加工食品を対象とする場合には、利用するレトロトランスポゾンはRtsp−1であることが好ましい。
上記Rtsp−1を利用してサツマイモ品種の判定を行う場合、Rtsp−1に隣接するゲノム領域を含むDNA断片をシーケンスすることにより得られる塩基配列として、配列番号1ないし9に示される塩基配列を挙げることができる。すなわち、配列番号1ないし9に示される塩基配列に含まれるRtsp−1に隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて、プライマーを設計することができる。
上記配列番号1ないし9に示される塩基配列に含まれるRtsp−1に隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーとしては、配列番号10ないし18に示される塩基配列からなるプライマーを挙げることができる。また、Rtsp−1の塩基配列に基づいて設計されるプライマーは配列番号19に示される塩基配列からなるプライマーを挙げることができる。なお、配列番号10ないし19に示されるプライマーも本発明に含まれる。
また、本発明に係る原料品種判定方法がサツマイモ加工食品を対象とする場合には、利用するレトロトランスポゾンはLIbであってもよい。
上記LIbを利用してサツマイモ品種の判定を行う場合、LIbに隣接するゲノム領域を含むDNA断片をシーケンスすることにより得られる塩基配列として、配列番号24または25に示される塩基配列を挙げることができる。すなわち、配列番号24または25に示される塩基配列に含まれる、LIbに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて、プライマーを設計することができる。
上記配列番号24または25に示される塩基配列に含まれる、LIbに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーとしては、配列番号26または27に示される塩基配列からなるプライマーを挙げることができる。また、LIbの塩基配列に基づいて設計されるプライマーは配列番号28に示される塩基配列からなるプライマーを挙げることができる。なお、配列番号26、27または28に示されるプライマーも本発明に含まれる。
本発明に係る原料品種判定キットは、上記本発明に係る原料品種判定方法を実施するためのキットであって、レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとを含むことを特徴とプライマーを含むキットとすることにより、本発明に係る原料品種判定方法をより迅速かつ簡便に実施することが可能となる。
上記キットに含まれるプライマーとしては、配列番号10ないし18に示される塩基配列からなるプライマーのうち少なくともいずれか2つ以上と、配列番号19に示される塩基配列からなるプライマーとを挙げることができる。これにより、サツマイモ品種判定キットを構成することができる。
また、上記キットに含まれるプライマーの他の例としては、配列番号26に示される塩基配列からなるプライマーおよび/または配列番号27に示される塩基配列からなるプライマーと、配列番号28に示される塩基配列からなるプライマーとを挙げることができる。
本発明に係る原料品種判定方法は、植物ゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かを核酸増幅反応を用いて検出するものであるので、鋳型とするDNAが極めて微量であっても検出することができる。したがって、本方法によれば、加工食品から抽出されるDNAが劣化したものであり、また抽出可能なDNAが微量であっても原料植物の品種を判定できるという効果を奏する。また、核酸増幅反応により増幅される断片が極めて短くなるようにプライマーを設計することにより、加工食品から抽出されるDNAが高度に断片化されたものであっても原料植物の品種を判定することができるという効果を奏する。
また、品種に固有のレトロトランスポゾンの挿入部位を選択して判定に用いる場合には、かかる挿入部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かを検出することによって、複数の品種の原料植物が含まれている加工食品においても、かかる固有の挿入部位を有する品種が含まれているかを高精度に判定することができる。
さらに、本発明に係る原料品種判定方法は、増幅される断片の長さを比較するものではなく、増幅産物の有無を確認するものであるため、簡便な電気泳動により正確な判定ができる。したがって、高価な分析機器を必要とせず、低コストで実施できるという効果を奏する。さらに、判定に熟練を要しないという効果を奏する。
また、本発明に係る原料品種判定キットは、本発明に係る原料品種判定方法を実施するためのキットであるため、本方法をより迅速かつ簡便に実施できるという効果を奏する。
以上のように、本発明によれば、加工食品の原料品種を迅速、簡便かつ正確に判定することができるので、本方法を用いて加工食品の原料品種を判定すれば、新品種育成者の権利を保護することができ、また、加工食品の原料品種の不正表示を防止することができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係る原料品種判定方法は、加工食品に含まれる原料植物の品種を判定する方法であって、植物ゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かの検出を、複数の部位について行うことによって原料植物の品種を判定する方法である。
対象とする加工食品は、原料に植物が含まれるものであって、当該加工食品から原料植物のDNAを抽出可能なものであれば特に限定されるものではない。また、原料植物体の全部または一部、あるいは原料植物から得られる収穫物(果実、種子等)に対して加熱、乾燥等の加工処理を施したものが加工食品に該当する。したがって、加工食品には最終製品のみではなく、中間加工品も含まれる。
また、上記加工食品は、単一の品種の原料植物を含む加工食品に限定されるものではなく、複数の品種の原料植物を含む加工食品であってもよい。特に、後述する方法によって、品種に固有のレトロトランスポゾンの挿入部位を選択し、かかる挿入部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かを検出することによって、複数の品種の原料植物が含まれている加工食品においても、かかる固有の挿入部位を有する品種が含まれているかの判定を行うことができる。
レトロトランスポゾンは転移因子の一種であり、進化の過程で自身の複製を作り、ゲノムに挿入するという形式で転移していた遺伝因子である。多くの植物において、多種類のレトロトランスポゾンが複製された状態で存在する。現在の植物ゲノムにおいては、レトロトランスポゾンのほとんどの配列は転移活性を失っており、ゲノムに挿入された状態で安定的に遺伝している。レトロトランスポゾンに隣接するゲノム配列は、それぞれの挿入部位によって固有のものである。さらに、ある品種ではレトロトランスポゾンの挿入が見られるゲノムの場所に、別の品種では挿入が見られないという、品種間の多型が存在する。
本発明に係る原料品種判定方法に利用可能なレトロトランスポゾンは、植物に存在するレトロトランスポゾンであれば特に限定されるものではない。すなわち、公知のレトロトランスポゾンのみならず、今後新たに見出されるレトロトランスポゾンも利用することができる。
LTR型のレトロトランスポゾンは、今まで調査された範囲では、全ての高等植物に存在しており、主要な作物については、個別の配列が多数単離され、命名されている (Johns et al (1985) A low copy number, copia-like transposon in maize. EMBO J 8: 1093-1102.、Manninen and Schulman (1993) BARE-1, a copia-like retroelement in barley (Hordeum vulgare L.). Plant Mol Biol 22: 829-846.、Laten et al. (1998) SIRE-1, a copia/Ty1-like retroelement from soybean, encodes a retroviral envelope-like protein. Proc Natl Acad Sci USA 95: 6897-6902.、Kumekawa et al. (1999) Identification and characterization of novel retrotransposons of the gypsy type in rice. Mol Gen Genet 260: 593-602.)。
レトロトランスポゾンのうち、LTRを有しないものは、non-LTR型と呼ばれる。non-LTR型のレトロトランスポゾンには、LINE(Long Interspersed Nucleotide Element)と呼ばれる転移に必要な酵素配列のフレームを持つものと、SINE(Short Interspersed Nucleotide Element)と呼ばれるこのようなフレームの大部分を欠失した短い配列が存在する。LINEは、今までに調査された範囲では、全ての高等植物に存在しており、個別の配列も単離され、命名されている(Leeton, P.R.J. and Smyth, D.R. (1993) An abundant LINE-like element amplified in the genome of Lilium speciosum. Mol. Gen. Genet., 237, 97-104.
Noma, K., Ohtsubo, E. and Ohtsubo, H. (1999) Non-LTR retrotransposons (LINEs) as ubiquitous components of the plant genomes. Mol. Gen. Genet., 261, 71-79. Schwarz-Sommer, Z., Leclercq, L., Gobel, E. and Saedler, H. (1987) Cin4, an insert altering the structure of the A1 gene in Zea mays, exhibits properties of non-viral retrotransposons. EMBO J, 6, 3873-3880.)。
LTR型のレトロトランスポゾンのうち、Ty1-Copia型に分類されるものについては、逆転写酵素領域に存在するアミノ酸保存配列をターゲットとするPCRにより、同酵素領域の配列が多数の植物から単離されている(Voytas et al. (1992) copia-like retrotransposons are ubiquitous among plants. Proc Natl Acad Sci USA 89: 7124-7128.、Hirochika et al. (1992) Retrotransposon families in rice. Mol Gen Genet 233: 209-216.)。したがって、レトロトランスポゾンの全長配列が調べられていない作物であっても、DNAデータベースにおいて既知の、あるいは、新たに逆転写酵素領域の配列を同定すれば、その延長配列を単離するTAIL(Thermal Asymmetric InterLaced)PCR(Liu et al. (1995) Efficient isolation and mapping of Arabidopsis thaliana T-DNA insert junctions by thermal asymmetric interlaced PCR. Plant Journal 8:457-463.)、Suppression PCR(Siebert et al. (1995) An improved PCR method for walking in uncloned genomic DNA. Nucleic Acids Res. 23:1087-1088.)やその他の方法(Pearse et al. (1999) Rapid isolation of plant Ty1-copia group retrotransposon LTR sequences for molecular marker studies. Plant Journal 19: 711-717.)により、末端のLTR配列までを同定することができる。
また、本発明では、栄養繁殖による増殖の過程で転移し転移後は栄養繁殖において品種の維持が行われるレトロトランスポゾンや配偶子形成、受精などの過程で転移するレトロトランスポゾンを好適に用いることができる。
例えばサツマイモ等の植物は、栄養繁殖を行うことで品種の維持と増殖が行われる。本発明者らは、栄養繁殖による増殖の過程で、特定のクローンにおいて、これまでのサツマイモ品種には挿入が見られなかった染色体の場所にレトロトランスポゾンが転移し、この転移が生じたクローンから栄養繁殖したものについては、転移した染色体の場所にレトロトランスポゾンが挿入された形で維持されていることを見いだした。このため、このレトロトランスポゾンの挿入は、転移したクローンを繁殖させて栽培すれば、そのクローンの生産物についてのみ見られる挿入であり、この挿入の調査により、加工品の原料品種が1種類である場合のみでなく、複数の品種が含まれている場合でも、その加工品にその品種が含まれているかの判定を正確かつ迅速に行うことができることを見いだした。そして、かかる栄養繁殖による増殖の過程で転移し転移後は栄養繁殖において品種の維持が行われるレトロトランスポゾンは、サツマイモに限らず他の植物においても広く存在すると考えられ、かかる他の植物におけるレトロトランスポゾンも好適に用いることができる。
また、交配によって品種を育成する場合、親品種の個体における配偶子の形成、配偶子(花粉と卵)の受精、その後の細胞分裂と器官分化などの過程を経る。レトロトランスポゾンの中には、例えば、ヒトのLINE-1のように、配偶子において転移示すものが知られているほか、交配を契機に受精細胞で転移した例も示されている。このため、サツマイモを始めとして、植物において、配偶子形成、受精などの過程で転移するレトロトランスポゾン配列を見いだすことで、交配によって育成する品種についても、品種固有の挿入を見いすことが可能である。かかる品種に固有の挿入の調査により、加工品の原料品種が1種類である場合のみでなく、複数の品種が含まれている場合でも、その加工品にその品種が含まれているかの判定を正確かつ迅速に行うことができる。
植物ゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かの検出とは、植物ゲノムの特定部位におけるレトロトランスポゾンの存在の有無を検出することを意味する。上述のように、レトロトランスポゾンの挿入部位には品種間多型、すなわち、ある品種ではレトロトランスポゾンの挿入が見られるゲノムの場所に、別の品種では挿入が見られない現象が存在するため、特定部位におけるレトロトランスポゾンの有無を明らかとすることにより、品種判定を行うものである。
上記特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かの検出は、複数の部位について行うことが好ましい。上述のように植物ゲノムには多数のレトロトランスポゾン配列が存在するため、S-SAP法などにより、特定の品種のみに存在する挿入部位を見いだせば、その部位における挿入の有無により品種を特定できる。また、このような品種に固有の挿入部位を多数の品種について見いだすことで加工食品中に複数の品種が含まれる場合でも本発明の原料品種判定方法を適用できる。さらに、複数の部位の選択を工夫すれば、少数の増幅反応で多数の品種判定を行うことが可能となる。後述の実施例で示すように、本発明者らは12種類のサツマイモ品種の識別が、5種類のプライマーセットによる核酸増幅により可能であることを示している。
上記複数の部位の選択は、判定対象とする複数の品種について、ゲノム中のレトロトランスポゾン挿入部位を比較して多型が認められるレトロトランスポゾン挿入部位を複数選択すればよい。なお、ゲノム中のレトロトランスポゾン挿入部位の多型を検出する方法については後述する。
植物ゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かを検出する方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜選択して用いればよいが、核酸増幅反応を用いることが好ましい。核酸増幅反応を用いる方法としては、例えば、植物ゲノムの特定部位にレトロトランスポゾンが挿入されている品種の、当該レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとを組み合わせたプライマーセットを用いて、加工食品から調製したDNAを鋳型として核酸増幅反応を行い、増幅産物の有無を確認する方法を挙げることができる。
レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域はレトロトランスポゾン配列の5’側に隣接する領域でも3’側に隣接する領域でもよい。レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマー(以下「隣接プライマー」と略記する。)とレトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマー(以下「RTPプライマー」と略記する。)とは、これらを組み合わせたプライマーセットにより核酸増幅が可能な向きに設計されていればよい。
隣接プライマーは、レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計すればよいが、当該領域の塩基配列の中で特異性の高い部分の塩基配列に基づいて設計されることが好ましい。配列特異性の高いプライマーが設計できれば、非特異的増幅産物の出現を抑制することができ、結果の判定が正確かつ容易となるからである。
また、RTPプライマーは、レトロトランスポゾンの塩基配列のうち高度に保存されている配列部分に基づいて設計されることが好ましい。高度に保存されている配列部分に基づいてRTPプライマーを設計すれば、個々の隣接プライマーに対応するRTPプライマーを別々に設計する必要がなく、あらかじめ設計したRTPプライマーと個々の隣接プライマーとの組み合わせによりプライマーセットを構成することが可能となる。
核酸増幅反応の鋳型DNAは加工食品から調製したDNAである。加工食品からDNAを調製する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いればよい。例えば、「遺伝子組換え食品の検査と分析のマニュアル」(JAS 分析試験ハンドブック 2002)に記載の方法を挙げることができる。
核酸増幅反応は、公知の核酸増幅手段を適宜選択して用いればよい。具体的には、例えば、PCR法、ICAN法、UCAN法、LAMP法、プライマーエクステンション法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でもPCR法が、本原料品種判定方法に用いる増幅方法として好適である。
増幅産物の有無を確認する方法としては、例えば電気泳動を挙げることができるが、これに限定されるものではない。本発明の原料品種判定方法は、増幅産物の長さの違いを検出するものではなく、目的とするおおよその大きさの増幅産物の有無を検出するものであることが大きな特徴の1つである。そのため、シーケンサー等の機器を用いて数塩基の違いを検出するような厳密な電気泳動を行う必要がなく、アガロースゲル電気泳動等の簡便な電気泳動でも正確な判定が可能である。したがって、低コストで実施でき、また、判定や機器の操作に熟練を要しないという利点がある。
品種判定は、上述のように、レトロトランスポゾンの挿入がある複数の部位における増幅産物の有無の組み合わせパターンにより行ってもよいし、特定の品種のみに存在する挿入部位であればその挿入部位のみにおける増幅産物の有無により行うこともできる。
本方法が加工食品の原料品種判定に特に適している特徴点として、増幅産物の長さを変更することが可能であるという点を挙げることができる。すなわち、上記隣接プライマーをRTPプライマーから遠い位置に設計すれば増幅断片長は長くなり、隣接プライマーをRTPプライマーから近い位置に設計すれば増幅断片長は短くなる。例えば、RTPプライマーをレトロトランスポゾン配列の5’末端または3’末端に設計し、隣接プライマーをRTPプライマーに接するように設計すれば、理論的には、両プライマーを合わせた長さ程度の増幅断片とすることも可能である。通常加工食品から得られるDNAは断片化が進んでいるため、増幅断片長を可能な限り短く設計しておけば、高度に断片化が進んだ加工食品由来のDNAを鋳型とした場合でも品種判定が可能となる。したがって、本発明に係る原料品種判定方法は、DNAが劣化・断片化した加工食品の原料品種の判定に非常に適した方法であるといえる。ただし、常に増幅断片長が最も短くなるようにプライマーを設計する必要はなく、対象とする加工食品に含まれるDNAがどの程度断片化されているかを確認し、その程度に断片化されたDNAを鋳型としても増幅可能となるようにプライマーを設計すればよい。
具体的には、隣接プライマーは、レトロトランスポゾン配列のいずれか一方の末端から500bp以内の隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されることが好ましい。より好ましくは、400bp以内、さらに好ましくは300bp以内である。また、隣接プライマーとRTPプライマーとの組み合わせによる増幅産物の断片長は40bp〜600bpであることが好ましい。より好ましくは40bp〜400bp、さらに好ましくは40bp〜300bpである。このような範囲内に隣接プライマーを設計し、増幅産物の長さをコントロールすれば、より多くの加工食品に本発明に係る原料品種判定方法を適用することが可能となる。
本発明に係る原料品種判定方法に、いわゆるMultiplex-PCRを適用することができる。この方法は、RTPプライマーを1種類のみ設計し、1つのPCR反応液中に、複数の隣接プライマーと1種類のRTPプライマーを添加して核酸増幅を行うものである。この方法によれば、1回のPCRにより複数の部位にレトロトランスポゾンが挿入されているか否かの検出を行うことができる。
Multiplex-PCRを用いる場合、RTPプライマーは1種類とする。そのため、RTPプライマーはレトロトランスポゾンの塩基配列のうち高度に保存されている配列部分に基づいて設計されることが好ましい。レトロトランスポゾンの特定の配列がある時期に転移すると、ゲノム中に複製が挿入される。一度挿入された複製は、遺伝的に安定であり、後代に残されていくが、長い期間には、自然突然変異などにより、配列に塩基置換などの変異が発生する。自然突然変異は、確率的な現象であり、発生する配列上の位置や塩基の置換のあり方は、それぞれの配列ごとに機械的に決まるので、複製が作られた時には同じであった配列は、時間の経過に応じて、複製間で次第に異なったものとなる。したがって、同一個体のゲノムに存在する同一種類のレトロトランスポゾン配列であっても、全塩基配列が一致するものではない。また、変異が生じやすい部分と変異が生じ難い部分があることも知られている。例えば、本発明者らがサツマイモゲノムから同定し、本発明の実施例として用いているRtsp-1の場合、クローニングした配列間で比較すると、5’末端側のU3(Unique at 3’)領域では配列が多様であり、R(Repeated terminus of a transcript)および3’末端のU5(Unique at 5’)領域では配列が非常に高く保存されていた。なお、RTPプライマーと隣接プライマーとにより増幅される断片の長さが短くなるように、レトロトランスポゾン配列の5’末端または3’末端に近い部分の保存された配列に基づいてRTPプライマーを設計することが好ましい。
一方、隣接プライマーは、各隣接プライマーと上記1種類のRTPプライマーを組み合わせたプライマーセットによる増幅産物の長さが異なるように設計することが好ましい。複数のプライマーセットによる増幅産物の長さが類似していると、正確な判定が困難になるからである。例えば、適切な濃度のアガロースゲルを用いて増幅産物を電気泳動したときに、目視によりバンドの位置が異なることを確認できるように各隣接プライマーを設計することが好ましい。
次に、ゲノム中のレトロトランスポゾン挿入部位の多型を検出する方法について説明する。
ゲノム中のレトロトランスポゾン挿入部位の多型を検出するためには、判定対象の品種間のレトロトランスポゾン挿入部位を正確に比較することが重要である。レトロトランスポゾン挿入部位を比較する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、制限酵素処理末端へのアダプター付加法(Sequence-Specific Amplification Polymorphism法、非特許文献5参照、以下「S-SAP法」と略記する。)を挙げることができる。S-SAP法を用いてレトロトランスポゾン挿入部位の多型を検出する手順の概略を以下に説明する。
まず、判定対象の品種からそれぞれ調製したゲノムDNAを制限酵素で完全に消化後、これにより生じた断片の末端にアダプターDNAを付加する。植物からのゲノムDNAの調製法は特に限定されるものではなく、公知の方法を用いればよい。例えば、CTAB(cetyltrimethylammonium bromide)法(早川孝彦(1997)タバコのDNA・RNA単離法.“新版植物のPCR実験プロトコール”島本功,佐々木卓治監修.秀潤社,東京,49-56.)を挙げることができる。用いる制限酵素は、次の核酸増幅によって増幅される断片に含まれるレトロトランスポゾン配列中に認識部位を持たない制限酵素であればよい。アダプターDNAは、上記制限酵素処理によりDNA断片の末端に生じた粘着末端と同じ粘着末端を片側に持つ二重鎖DNA(アダプターDNA)であればよい。結合の処理としては、一般にDNAのライゲーションに用いられる方法を用いることができる。
次に上記アダプターDNAを付加したゲノムDNA断片を鋳型としてレトロトランスポゾンの塩基配列に基づくプライマーとアダプターの塩基配列に基づくプライマーとを用いて品種ごとに核酸増幅を行う。この際、レトロトランスポゾンの塩基配列に基づくプライマーを標識しておけば、増幅断片の比較が容易となる。標識としては、蛍光標識、放射線標識等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。例えば、蛍光標識されたプライマーを用いた場合は、増幅産物を当該蛍光物質の検出が可能なDNAシーケンサー等によって電気泳動し、各品種から得られた増幅産物のバンドパターンを比較すればよい。全ての品種について同じ位置にバンドが検出される場合は、いずれの品種においてもゲノム中の同一部位にレトロトランスポゾンが挿入されており、多型がないと判断できる。同じ位置にバンドが検出される品種とバンドが検出されない品種がある場合にはレトロトランスポゾンの挿入位置に品種間多型があると判断できる。このようにして、品種間多型の認められるレトロトランスポゾン挿入部位を選択すればよい。
選択したレトロトランスポゾン挿入部位について、レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列は、実際にその領域をシーケンスすることにより決定することができる。塩基配列の決定には公知の遺伝子工学的方法を用いればよい。例えば、上記S-SAP法と同様にアダプターを付加した制限酵素消化断片を鋳型としてRTPプライマーとアダプタープライマーとを用いてPCRを行い、増幅断片を適当なプラスミドベクターにクローニングする。当該ベクターを大腸菌等の適当な宿主に導入して増殖させた後、プラスミドを抽出・精製し、公知のシーケンス反応を行ってシーケンサーに供すればよい。または、上記増幅断片をクローニングせずに、ダイレクトシーケンスすることも可能である。
以上により、決定されたレトロトランスポゾンと隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて、各隣接プライマーを設計することができる。
また上述したように栄養繁殖による増殖の過程で転移し転移後は栄養繁殖において品種の維持が行われるレトロトランスポゾンや配偶子形成、受精などの過程で転移するレトロトランスポゾンの転移では、その転移による新しい挿入部位は品種に固有であるため、品種の判定には非常に有用である。かかる品種に固有の挿入部位を検出する手順の一例を以下に説明する。
植物の新品種の育成は、異なる品種間で交配を行い、栄養繁殖性の植物の場合には、その交配により得られる雑種第1代の個体の中から望ましい個体を選抜することにより、また、種子繁殖性の作物の場合には、その交配により得られた雑種またはその後代の個体の中から、望ましい個体またはその両親などの組み合わせを選抜することで進められている。このようにして育成される品種について、その品種に固有のレトロトランスポゾンの挿入は、その品種と両親系統との間でレトロトランスポゾンの挿入位置を比較し、その品種には存在するが、両親系統のいずれにも見られない挿入として見いだせばよい。かかる多型を検出する方法も、特に限定されるものではないが、例えば、上述したS-SAP法を好適に用いることができる。レトロトランスポゾンの転移先は、ゲノム配列や構造などに特異性がなく、同じレトロトランスポゾン配列が、別の個体において、同じ染色体の同じ配列の場所に挿入する確率は、実際には0(零)であると見なせる。このため、両親に見られないことで見いだされた、品種に固有の挿入が、両親以外の品種に存在する確率は0と見なせるからである。この原理は、交配によって育成される全ての作物の品種にあてはまるものであり、さらに、上述したクローンの栄養繁殖の過程における転移で生じた挿入は、そのクローンに固有であることを示すものでもある。
本発明者らは、本発明に係る原料品種判定方法を用いて、サツマイモ(Ipomoea batatas (L.) Lam)を原料とした加工食品である「蒸切干し甘しょ」(「蒸切干しイモ」とも称する。)および「いもようかん」を対象として品種判定の検討を行っている。そこで以下に、サツマイモを原料とした加工食品の原料品種判定方法について説明する。
発明者らが対象としている「蒸切干し甘しょ」や「いもようかん」はサツマイモを原料とした加工食品の一例であって、サツマイモを原料とした加工食品としては、原料にサツマイモを含んでいるものであれば特に限定されるものではない。例えば、蒸切干し甘しょ、いもようかん、いもあん、きんとん等を挙げることができる。なお、サツマイモは塊根部分のみを意味するものではなく、植物体としてのサツマイモ全体を意味するものである。
また、いもようかん、いもあん、きんとんなどのサツマイモを原料にする加工食品は、加工の過程において、いもを潰して練り物とする。このため、これら製品のうち、複数の品種が加工に利用されたものでは、製品の内容物を、使われた原料品種ごとに仕分けすることは技術的に不可能であり、複数の品種が混合している製品そのものから、特定の品種が原料として使われているかを判定する必要がある。以下に、サツマイモを原料とした加工食品の原料品種判定方法について説明する。
利用可能なレトロトランスポゾンは、サツマイモに存在するレトロトランスポゾンであれば特に限定されるものではない。発明者らは、カルスにおいて転移するLTR(Long Terminal Repeat:末端反復配列)型レトロトランスポゾン配列(Rtsp-1)をサツマイモゲノムから独自に同定し(Tahara, M., T. Aoki, S. Suzuka, H. Yamashita, M. Tanaka, S. Matsunaga and S. Kokumai (2004) Isolation of an active element from a high-copy-number family of retrotransposons in the sweetpotato genome. Mol Gen Genomics 272: 116-127.)、さらに、カルスや植物体において転移するLINE(Long Interspersed Nucleotide Element)タイプのレトロトランスポゾン配列(LIb)をサツマイモゲノムから独自に同定した。これらのRtsp−1またはLIbを用いて原料品種の判定を行っているが、Rtsp−1およびLIbはサツマイモに存在するレトロトランスポゾンの一例であり、他のレトロトランスポゾンも利用可能であることはいうまでもない。
発明者らは、上記蒸切干し甘しょの原料品種である12種類のサツマイモ品種(タマユタカ、タマオトメ、泉13号、沖縄100号、宇薯2号、畑薯6号、ヘルシーレッド、関東119号、関東120号、九州122号、九州127号および九州139号)を識別するために、これらの品種についてRtsp-1の挿入部位に多型が認められるゲノム上の特定部位を9箇所選択した。この9箇所の部位を含むDNA断片を、上述のS-SAP法を用いて増幅し、増幅断片をプラスミドベクターにクローニングして、Rtsp-1に隣接するゲノム領域を含む各断片をシーケンスした。これら9個のクローンの塩基配列が、配列番号1〜9に示される塩基配列である。配列番号1〜9について、レトロトランスポゾン(Rtsp-1)に隣接するゲノム領域の塩基配列部分を以下に示す。
配列番号1:第21位〜第121位
配列番号2:第21位〜第121位
配列番号3:第21位〜第103位
配列番号4:第21位〜第112位
配列番号5:第21位〜第73位
配列番号6:第21位〜第36位
配列番号7:第21位〜第84位
配列番号8:第21位〜第62位
配列番号9:第21位〜第299位
なお、配列番号1〜5および9に示される塩基配列は、サツマイモ品種高系14号についてS-SAP法により増幅された断片の塩基配列であり、配列番号6〜8に示される塩基配列は、サツマイモ品種タマユタカについてS-SAP法により増幅された断片の塩基配列である(実施例参照)。なお、配列番号1〜9に示される塩基配列は日本DNAデータバンクに登録されている(表1参照)。
発明者らは、上記配列番号1〜9に示される塩基配列のレトロトランスポゾン(Rtsp-1)に隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて、各隣接プライマーを設計し、Rtsp-1の塩基配列に基づいて、RTPプライマーを設計している。発明者らが実際に使用した隣接プライマーは、配列番号10〜18に示される塩基配列からなるプライマーであり、RTPプライマーは、配列番号19に示される塩基配列からなるプライマーである。これらのプライマーを用いて本発明に係る原料品種判定方法を実施すれば、少なくともタマユタカ、タマオトメ、泉13号、沖縄100号、宇薯2号、畑薯6号、ヘルシーレッド、関東119号、関東120号、九州122号、九州127号および九州139号の12品種を識別することが可能である。さらに、上記12品種については、上記9種類の隣接プライマーのうち、5種類(配列番号10、11、16、17および18)のプライマーを、RTPプライマーと共に用いることにより識別することが可能である(表2参照)。なお、上記配列番号10〜19に示されるプライマーも本発明に含まれる。
また、本発明者らは、上記「いもようかん」や「きんとん」の原料としても使われる高系14号のクローンと、高系14号の変異系統であるなると金時のクローンとを、これらのクローン相互間、または、これらの品種と他の品種との間で識別するために、S-SAP法によって、これらのクローン相互間、または、これらの品種と他の品種との間のLIbレトロトランスポゾン挿入部位の多型を検出した。多型が認められる2箇所を選択し、かかるLIbレトロトランスポゾンの挿入部位をクローニングして、LIbに隣接するゲノム領域を含む断片をシーケンスした。これら2個のクローンの塩基配列が、配列番号24と25に示される塩基配列である。配列番号24と25について、レトロトランスポゾン(LIb)に隣接するゲノム領域の塩基配列部分を以下に示す。
配列番号24:第104位〜第431位
配列番号25:第104位〜第260位
なお、配列番号24は、サツマイモ品種高系14号の系統SZについてS-SAP法により増幅された断片の塩基配列である(実施例参照)。配列番号24の配列は、実験に用いた高系14号の系統SZに固有であり、高系14号の他の系統をはじめ、なると金時など、他のサツマイモ品種には存在しないLIbの挿入部(LIb配列とそれに隣接するゲノム配列)のものである。
また、配列番号25は、サツマイモ品種なると金時の系統8-3正についてS-SAP法により増幅された断片の塩基配列である(実施例参照)。配列番号25の配列は、実験に用いたなると金時の系統8-3正に固有であり、なると金時の他の系統をはじめ、高系14号など、他のサツマイモ品種には存在しないLIbの挿入部(LIb配列とそれに隣接するゲノム配列)のものである。
発明者らは、上記配列番号24と25に示される、レトロトランスポゾン(LIb)に隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて、各隣接プライマーを設計し、LIbの塩基配列に基づいて、RTP−LIbプライマーを設計している。発明者らが実際に使用した隣接プライマーは、配列番号26および27に示される塩基配列からなるプライマーであり、RTP−LIbプライマーは、配列番号28に示される塩基配列からなるプライマーである。配列番号26および28のプライマーを用いて本発明に係る原料品種判定方法を実施すれば、高系14号SZ系統を識別することが可能である。また、配列番号27および28のプライマーを用いれば、なると金時の系統8-3正を識別することが可能である。なお、上記配列番号24〜28に示されるプライマーも本発明に含まれる。
本発明に係る原料品種識別キットは、本発明に係る原料品種判定方法を実施するためのキットであって、レトロトランスポゾンに隣接するゲノム領域の塩基配列に基づいて設計されるプライマーと、レトロトランスポゾンの塩基配列に基づいて設計されるプライマーとを含むものであればよい。キットには、プライマー以外に対象とする加工食品からDNAを抽出・精製するために用いる試薬・器具、核酸増幅反応に用いる試薬・器具、電気泳動に用いる試薬・器具等を含むことが好ましい。
また、本発明に係るサツマイモ品種識別キットは、本発明に係る原料品種判定方法をサツマイモを含む加工食品を対象として実施するためのキットであって、上記配列番号10〜18に示される塩基配列からなるプライマーうち少なくともいずれか2つ以上を含み、かつ、配列番号19に示される塩基配列からなるプライマーを含むものであればよい。また、キットには、プライマー以外に対象とする加工食品からDNAを抽出・精製するために用いる試薬・器具、核酸増幅反応に用いる試薬・器具、電気泳動に用いる試薬・器具等を含むことが好ましい。
なお本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1.サツマイモ品種間のRtsp-1レトロトランスポゾン挿入部位の多型検出と品種判定〕
S-SAP法においてサツマイモ品種間多型を検出したRtsp-1レトロトランスポゾンの挿入部位をクローニングし、決定した塩基配列に基づき設計したプライマーを用いてPCRを行い、各品種について、それらのゲノム上の位置における挿入の有無を判定することにより、蒸切干しイモ用の品種を識別し、さらに、蒸切干しイモから抽出したDNAを基に原料となった品種を同定する方法について検討した。
(1)材料
サツマイモ品種としては、タマユタカ、タマオトメ、泉13号、沖縄100号、宇薯2号、畑薯6号、ヘルシーレッド、関東119号、関東120号、九州122号、九州127号、九州139号および高系14号を用いた。タマユタカ、タマオトメ、ヘルシーレッドは日本の蒸切干し用の育成品種で、泉13号は古くから蒸切干しイモに用いられてきた日本の在来品種である。沖縄100号は戦前の日本の育成品種で、戦中期に中国に導入され、「勝利100号」として中国で普及するとともに、多くの中国品種の交配親となった品種である。宇薯2号、畑薯6号は中国品種である。関東119号、関東120号、九州139号は蒸切干しイモ用新品種の候補系統で、九州122号および九州127号は、これらの交配母本として利用されている系統である。高系14号はS-SAP産物のクローニングに用いた。
蒸切干しイモは、タマユタカ、泉13号、沖縄100号、宇薯2号、畑薯6号、ヘルシーレッドおよび関東120号をそれぞれ原料とし、90分間の蒸し煮の後、温度約12度、湿度約30%で5日間乾燥させることにより作製した。
(2)DNA抽出
植物体のゲノムDNAは、CTAB(cetyltrimethylammonium bromide)法(早川孝彦(1997)タバコのDNA・RNA単離法.“新版植物のPCR実験プロトコール”島本功,佐々木卓治監修.秀潤社,東京,49-56.)を基本に、新鮮な葉100mgから抽出した。
蒸切干しイモのDNAは、「遺伝子組換え食品の検査と分析のマニュアル」(JAS 分析試験ハンドブック 2002)に従い、イオン交換樹脂カラム(QIAGEN Genomic-tip 20/G)を用いて2gの蒸切干しイモから抽出した。対照とするため、加工処理を行っていない沖縄100号の塊根の内部組織から、蒸切干しイモと同様の方法でDNAを抽出した。
抽出したゲノムDNAについては、RNaseA処理によりRNAを分解した。
蒸切干しイモから抽出したDNAおよび対照の沖縄100号塊根の内部組織から抽出したDNAをアガロースゲル電気泳動に供した。結果を図1に示した。図1から明らかなように、加熱・乾燥処理を行っていない塊根から抽出したDNAは高分子の状態であるが、蒸切干しイモからのものは、ほとんどが500bp以下に断片化していた。なお、260nmの吸光度により抽出されたDNAを定量すると、2gの生イモ(塊根内部組織)からは104μg、2gの蒸切干しイモからは平均約21μgであった。
(3)制限酵素処理末端へのアダプター付加法(S-SAP法)
サツマイモの各品種の葉から抽出したゲノムDNA5μgに制限酵素MseI 2U、10×NEBbuffer2(50mM塩化ナトリウム、10mM トリス塩酸(Tris-HCl)、10mM塩化マグネシウム(MgCl2)、1mMジチオスレオトール(DTT))、100×Purified BSAを加え滅菌水で50μlに定容した。37℃で12時間反応させた後、65℃で酵素を失活させた。PCI(フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=25:24:1)処理により、制限酵素を除き、さらにエタノール沈殿により、DNAを精製し、最終的に50μlのTE緩衝液に溶解した。
次に、制限酵素処理したゲノムDNAにアダプターを付加した。アダプターは2種類のオリゴヌクレオチド(5'-gacgatgagtcctgag-3'(配列番号20)および5'-tactcaggactcat-3'(配列番号21))をそれぞれ1nmolずつ混合後、アニーリングさせて準備した。アダプターの付加は、制限酵素処理産物10μlにアダプター15pmol、T4 DNA Ligase 1U、10×Ligase Buffer(50mM Tris-HCl、10mM MgCl2、10mM DTT、1mM ATP、25μg/ml BSA)を加え、20μlに定容後、16℃で2時間インキュベートして行った。
次に、ライゲーション産物を鋳型としてPCR増幅を行った。Rtsp-1の内部配列による増幅を避け、5’末端とそれに繋がるゲノム配列を選択的に増幅するため、semi-nested PCRを行うこととし、LTR特異的プライマーとして、Rtsp-1の5’側LTR配列内側のPBS(primer binding site)領域を含むPBS_compプライマー(5'-CAGAAGGCTCTGATACCAATTGTTGCGC-3'(配列番号22))とその約150bp上流のLTR領域を含み、5’末端をTexasRedで標識したExt_Rプライマー(5'-ccactctctaactaacaagga-3'(配列番号19))を準備した。また、アダプター用のプライマーとして、MseIプライマー(5'-gacgatgagtcctgagtaa-3'(配列番号23))を準備した。
1回目のPCR反応はMseIプライマーとPBS_compプライマーとで行った。容量25μlの反応液中に、ライゲーション産物2μl、Taq DNA Polymerase 0.5U(Sigma社製)、10mM Tris-HCl pH8.3、50mM塩化カリウム、2.5mM MgCl2、200μM dNTPs、各プライマー0.4pmolを含むように調製し、94℃4分間の変性、94℃1分間・63℃1分間・72℃2分間を30サイクル、72℃5分間の最終伸張反応のサイクリング条件で行った。semi-nested PCRに相当する2回目のPCR反応は、鋳型として1回目の反応液の1000分の1量を、またプライマーとして、5’末端をTexasRedで標識したExt_RプライマーとMseIプライマーの3’末端にアデニン1塩基を付加したプライマーとを用い、これら以外の反応液組成は1回目と同様として実施した。サイクリング条件は、アニーリング温度を54℃に変更した以外は1回目と同様とした。増幅産物は95℃2分間の処理で変性させ、氷中に挿して急冷し、そのうちの2μlにloading dye(94% ホルムアミド、 10mM EDTA、 0.5mg/mlブロモフェニル・ブルー)0.5μlを加えて電気泳動のサンプルとした。電気泳動は、6%変性ポリアクリルアミドゲルを装着したSQ-5500 DNA Sequencer(日立製)で実施した。
結果を図2に示した。図2から明らかなように、各品種に多数の増幅産物が得られ、また、品種間で明瞭な多型が検出された。使用したExt_RプライマーからLTRの5’末端までの長さは310bp程度であり、それよりも長い各増幅断片は、Rtsp-1がサツマイモのゲノムに挿入された場所において、宿主側の配列に存在する直近の制限酵素(MseI)認識部位までの長さの違い、すなわち、挿入場所の違いを反映している。
(4)S-SAP増幅産物のクローニングとシークエンス
タマユタカを鋳型としたS-SAP増幅産物をクローニングした。クローニング用には、2回目のPCRにおいてTexasRed標識を行っていないExt_Rプライマーを用いた。S-SAP増幅産物をアガロースゲル電気泳動に供し、上記S-SAP分析の結果(図2参照)品種間多型を示す断片が多く観察された350〜450bp領域のゲル部分を切り出し、QIAquick Gel Extraction kit(QIAGEN社製)を用いてDNAを精製した。精製したDNAは、TOPO TA Cloning kit(Invitrogen社製)を利用してクローニングした。
形質転換された大腸菌コロニーの菌体を鋳型として、上記semi-nested PCRの2回目と同じプライマーセット(5’末端をTexasRedで標識したExt_RプライマーおよびMseIプライマーの3’末端にアデニン1塩基を付加したプライマーの組み合わせ)を用いてPCRを行い、熱変性後、タマユタカのS-SAPサンプルとともに6%変性ポリアクリルアミドゲルを装着したSQ-5500 DNA Sequencer(日立製)で電気泳動を実施した。
結果を図3に示した。電気泳動の結果から、S-SAP分析においてタマユタカ以外の一部の品種では増幅が見られなかった断片と一致するものがインサートされた大腸菌のコロニーを選定した。
高系14号のDNAについても、タマユタカの場合と同様の方法でS-SAP増幅産物をクローニングし、蒸切干しイモ用の品種間で多型を示すと見られた断片と一致するものがインサートされたコロニーを選定した。
選定したタマユタカおよび高系14号由来の9コロニーについて、LB培地を用いて37℃で18時間振盪培養後、プラスミドDNAを抽出した。抽出したプラスミドをシーケンスに供した。すなわち、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(Applied Biosystems社製)で反応を行い、ABI PRISMTM310NT Genetic Analyzerで分析した。これにより決定した塩基配列が配列番号1〜9に示される塩基配列である。配列番号1〜5および9に示される塩基配列は高系14号由来であり、配列番号6〜8に示される塩基配列はタマユタカ由来である。これらの塩基配列は日本DNAデータバンクに登録されている。
(5)決定した塩基配列に基づく隣接プライマー設計およびPCR増幅
塩基配列を決定したS-SAP増幅産物のレトロトランスポゾンと隣接する塩基配列に基づいて、LTR配列上のExt_Rプライマー(RTPプライマー)と組み合わせることによりPCR増幅が可能になる向きに隣接プライマーを設計した。設計したプライマーを表1に示した。表1中、アクセッション番号は上記各クローンの日本DNAデータバンクにおける登録番号であり、断片長は各クローンの塩基対数であり、増幅断片長期待値は各クローンの配列に基づいて設計した隣接プライマーとRTPプライマー(Ext_R)とによるPCRで増幅される断片の期待値(塩基対数)である。
これら9種類の隣接プライマーとRTPプライマー(Ext_R)を用いて、各品種の葉および蒸切干しイモから抽出したゲノムDNAを鋳型にPCRを行った。容量25μlの反応液中に、ゲノムDNA20ng、Taq DNA Polymerase 0.5U(Sigma社製)、10mM Tris-HCl pH8.3、50mM塩化カリウム、2.5mM MgCl2、200μM dNTPs、各プライマー0.4pmolを含むように調製し、94℃4分間の変性、94℃1分間・57℃1分間・72℃1分30秒間を30サイクル、72℃5分間の最終伸張反応のサイクリング条件で行った。増幅産物をアガロースゲル電気泳動に供し、エチジウムブロマイドで染色して観察した。なお、それぞれの葉または蒸切干しイモから抽出したDNAは、1つのバッチとして調製し、そのバッチを全てのPCRの鋳型として用いた。
各品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型とした場合の結果を表2に示した。
また、図4〜図8には、葉から抽出したDNAおよび蒸切干しイモから抽出したDNAを鋳型として、表1に記載の隣接プライマーのうち、5種類のプライマー(KB4-7GS1、KB4-8GS1、KB4-20GS1、KB4-22GS1およびS40_Rev)とRTPプライマー(Ext_R)とを組み合わせた各プライマーセットを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示した。すなわち、図4には隣接プライマーとしてKB4-7GS1を用いた結果を示し、図5には隣接プライマーとしてKB4-8GS1を用いた結果を示し、図6には隣接プライマーとしてKB4-20GS1を用いた結果を示し、図7には隣接プライマーとしてKB4-22GS1を用いた結果を示し、図8には隣接プライマーとしてS40_Revを用いた結果を示した。
表2および図4〜図8から明らかなように、それぞれの品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行った結果、予想された長さの断片が増幅する品種と増幅しない品種が見られた。また、表2より、9種類の隣接プライマーのうち、最少5種類(KB4-7GS1、KB4-8GS1、S17_REV、S40REVおよびSRNRN)の隣接プライマーを用いたPCR増幅産物の有無の組み合わせにより、蒸切干しイモに関係する12品種の識別が可能であることが明らかとなった。さらに、図4〜図8から明らかなように、蒸切干しイモから抽出したDNAを鋳型としてPCRを行った結果、葉から抽出したDNAを鋳型とした場合と同じ長さのPCR産物の増幅が見られ、また、葉から抽出したDNAにおいて増幅が見られた品種では、蒸切干しイモから抽出したDNAでも増幅が見られた。なお、図示していないが、隣接プライマー(KB4-24GS1、S2_Rev、S17_RevおよびSRNRN)とRTPプライマー(Ext_R)とを組み合わせた各プライマーセットを用いたPCR増幅産物についても同様の結果が得られた。
以上の結果から、レトロトランスポゾンについて、ゲノム上の特定部位における挿入の有無を核酸増幅によって判定し、その結果を組み合わせることで品種を特定するという、本発明に係る原料品種判定方法は、DNAが断片化された加工食品の品種判定方法として非常に適していることが明らかとなった。
〔実施例2.サツマイモ品種間のLIbレトロトランスポゾン挿入部位の多型検出と品種判定〕
発明者らは、上記「いもようかん」や「きんとん」の原料としても使われる高系14号のクローンと高系14号の変異系統であるなると金時のクローンとを、これらの品種間やこれらと他の品種間で識別するために、S-SAP法により、高系14号のクローンとその変異系統であるクローンとの間でのLIbレトロトランスポゾンの挿入位置の多型を検出した。多型が認められた挿入部位は、高系14号変異体のそれぞれのクローンにおいて生じた新規の転移によるものであり、それらのクローンに固有のものである。このような多型を検出したLIbレトロトランスポゾンの挿入部位をクローニングして、LIbに隣接するゲノム領域を含む断片をシーケンスした。決定した塩基配列に基づき設計したプライマーを用いてPCRを行い、各品種について、それらのゲノム上の位置における挿入の有無を判定することにより、「いもようかん」、「きんとん」などの加工品に用いられるサツマイモの品種を、複数の品種が加工品の原料となっている場合も識別し、さらに、いもようかんから抽出したDNAを分析して、原料となった品種を同定する方法について検討した。
(1)材料
サツマイモ品種は、高系14号の変異系統間でのLIbの転移を調査するS-SAP分析の対象としては、高系14号SZ系統、高系14号の変異系統であるなると金時および生産農協(徳島県JA松茂)において、ウイルスフリー苗(メリクロン苗)の作出過程において選抜されたなると金時の4系統(8-3正、8-6正、8-6白および8-6ピンク)の計6系統を用いた。
また、このS-SAP分析により、高系14号SZ、または、なると金時8-3正に固有の断片としてクローニングした産物から同定したLIBの挿入が、高系14号SZ、または、なると金時8-3正に固有のものであることを確認するために、高系14号SZ系統、なると金時の2系統(8-3正、8-6正)、高系14号に人為放射線を照射した系統、高系14号照65と高系14号照93、高系14号の自然突然変異体とされる高系14号中国、高系14号大網白里、紅高系、土佐金時、土佐紅、千葉赤およびさぬき金時の合計12の高系14号の変異系統を用いて分析した。なお、高系14号は西日本におけるサツマイモの中心品種であり、また、なると金時は、徳島県の特産品として知られている。
いもようかんは、高系14号SZ系統、タマユタカおよびベニアズマをそれぞれ原料とし、皮を剥いで小さく切ったいもを15分間煮て、裏ごしし、生いもの重量の20%にあたる重さの白砂糖と、同じく5%にあたるバターを加えて、よく練り合わせて作製した。これら3品種から作製したいもようかんは、後述の比率でよく混合してDNAを抽出した。
(2)DNA抽出
植物体のゲノムDNAは、実施例1(2)と同様にして抽出した。
いもようかんのDNAは、「遺伝子組換え食品の検査と分析のマニュアル」(JAS 分析試験ハンドブック 2002)に従い、イオン交換樹脂カラム(QIAGEN Genomic-tip 20/G)を用いて抽出した。
抽出したゲノムDNAについては、RNaseA処理によりRNAを分解した。
(3)制限酵素処理末端へのアダプター付加法(S-SAP法)
実施例1(3)と同様にして、葉から抽出したゲノムDNAを制限酵素処理し、アダプターを付加した。
得られたライゲーション産物を鋳型としてPCR増幅を行った。LIbの3’末端とそれに繋がるゲノム配列を選択的に増幅するため、semi-nested PCRを行うこととし、1回目のPCR用のプライマーとして、L_D4プライマー(5'- ACATTCTTCGCGAAGGCAACCAAT -3'(配列番号29))とその約90bp下流で、5’末端をTexasRedで標識したL_D3プライマー(5'- CCGATGATCTGAGGATTTTTCTCC -3'(配列番号28))を準備した。また、アダプター用のプライマーとして、Mse Iプライマー(5'-gacgatgagtcctgagtaa-3'(配列番号23))を準備した。
1回目のPCR反応はMse IプライマーとL_D4プライマーを用いて行った。容量25μlの反応液中に、ライゲーション産物2μl、Taq DNA Polymerase 0.5U(Sigma社製)、10mM Tris-HCl pH8.3、50mM塩化カリウム、2.5mM MgCl2、200μM dNTPs、各プライマー0.4pmolを含むように調製し、94℃4分間の変性、94℃1分間・58℃1分間・72℃2分間を30サイクル、72℃5分間の最終伸張反応のサイクリング条件で行った。semi-nested PCRに相当する2回目のPCR反応は、鋳型として1回目の反応液の1000分の1量を、またプライマーとして、5’末端をTexasRedで標識したL_D3プライマーとMse Iプライマーとを用い、これら以外の反応液組成は1回目と同様として実施した。サイクリング条件は、アニーリング温度を54℃に変更した以外は1回目と同様とした。増幅産物は95℃2分間の処理で変性させ、氷中に挿して急冷し、そのうちの2μlにloading dye(94% ホルムアミド、 10mM EDTA、 0.5mg/mlブロモフェニル・ブルー)0.5μlを加えて電気泳動のサンプルとした。電気泳動は、6%変性ポリアクリルアミドゲルを装着したSQ-5500 DNA Sequencer(日立製)で実施した。
結果を図9に示した。図9から明らかなように、高系14号SZ系統、高系14号の変異系統であるなると金時とそのクローン系統に類似した増幅産物のパターンが得られたが、これらのクローン系統間で明瞭な多型も検出された。使用したL_D3プライマーからLIbの3’末端までの長さは110bp程度であり、それよりも長い各増幅断片は、LIbがサツマイモのゲノムに挿入された場所において、宿主側の配列に存在する直近の制限酵素(Mse I)認識部位までの長さの違い、すなわち、挿入場所の違いを反映している。
(4)S-SAP増幅産物のクローニングとシークエンス
図9中矢印で示す、高系14号SZ系統およびなると金時8-3正系統に固有の断片をそれぞれクローニングした。
まず、高系14号SZ系統を鋳型としたS-SAP増幅産物をクローニングした。クローニング用には、2回目のPCRにおいてTexasRed標識を行っていないL_D3プライマーを用いた。S-SAP増幅産物をアガロースゲル電気泳動に供し、上記S-SAP分析の結果(図9参照)、この系統に固有の断片が観察された400〜450bp領域のゲル部分を切り出し、QIAquick Gel Extraction kit(QIAGEN社製)を用いてDNAを精製した。精製したDNAは、TOPO TA Cloning kit(Invitrogen社製)を利用してクローニングした。
形質転換された大腸菌コロニーの菌体を鋳型として、上記semi-nested PCRの2回目と
同じプライマーセット(5’末端をTexasRedで標識したL_D3プライマーおよびMse Iプライマーの組み合わせ)を用いてPCRを行い、熱変性後、高系14号SZ系統のS-SAPサンプルとともに6%変性ポリアクリルアミドゲルを装着したSQ-5500 DNA Sequencer(日立製)で電気泳動を実施した。
電気泳動の結果から、S-SAP分析において高系14号SZ系統固有の増幅産物と一致するものがインサートされた大腸菌のコロニーを選定した。
なると金時8-3正系統のDNAについても、高系14号SZ系統の場合と同様の方法でS-SAP増幅産物をクローニングし、なると金時8-3正系統に固有の断片と一致するものがインサートされたコロニーを選定した。
選定した高系14号SZ系統およびなると金時8-3正由来のコロニーについて、LB培地を用いて37℃で18時間振盪培養後、プラスミドDNAを抽出した。抽出したプラスミドをシーケンスに供した。すなわち、BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(Applied Biosystems社製)で反応を行い、ABI PRISMTM310NT Genetic Analyzerで分析した。これにより決定した塩基配列が配列番号24と25に示される塩基配列である。
(5)決定した塩基配列に基づく隣接プライマー設計およびPCR増幅
塩基配列を決定したS-SAP増幅産物のレトロトランスポゾンと隣接する塩基配列に基づ
いて、LTR配列上のL_D3プライマー(RTP−LIbプライマー)と組み合わせることによりPCR増幅が可能になる向きに隣接プライマーを設計した。設計したプライマーの塩基配列は、配列番号24の断片については、(Ko23_Anti1プライマー、配列番号26)5’-CTTTCAGTTAGCTCCCTCTAATCTCTC-3’であり、配列番号25の断片については、(8-3_32Anti2プライマー、配列番号27)5’- CATCAAGCCACTAGGACAATTACC-3’である。
これら2種類の隣接プライマーとRTP−LIbプライマーとを用いて、品種各クローン系統の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型にPCRを行った。容量25μlの反応液中に、ゲノムDNA20ng、Taq DNA Polymerase 0.5U(Sigma社製)、10mM Tris-HCl pH8.3、50mM塩化カリウム、2.5mM MgCl2、200μM dNTPs、各プライマー0.4pmolを含むように調製し、94℃4分間の変性、94℃1分間・57℃1分間・72℃1分30秒間を30サイクル、72℃5分間の最終伸張反応のサイクリング条件で行った。増幅産物をアガロースゲル電気泳動に供し、エチジウムブロマイドで染色して観察した。
各品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型として、Ko23_Anti1プライマーとRTP−LIbプライマーを用いた場合のアガロース電気泳動の結果を図10に、および、8-3_32Anti2プライマーとRTP−LIbプライマーを用いた場合の結果図11に示した。
図から明らかなように、それぞれの品種のクローン系統の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型としてPCRを行った結果、プライマーの設計位置から予想された高系14号SZ系統またはなると金時8-3正に限って固有の断片(330塩基対または167塩基対)が増幅した。すなわち、それぞれの系統にLIbの固有の挿入部位が存在することが示された。
高系14号SZ系統固有の挿入に関わるKo23_Anti1プライマーとRTP−LIbプライマーを用いて、いもようかんから抽出したゲノムDNAを鋳型にPCRを行った。PCRの条件や増幅産物の確認方法は、葉から抽出したDNAを鋳型とした場合と同様である。
上述した3品種からそれぞれ作製したいもようかんを種々の比率でよく混合したいもようかんから抽出したゲノムDNAを鋳型として、Ko23_Anti1プライマーとRTP−LIbプライマーを用いた場合のアガロース電気泳動の結果を図12に示した。
図から明らかなように、高系14号SZ系統のみをいもようかんの原料としたもの(レーン1)ばかりでなく、高系14号SZ系統、タマユタカおよびベニアズマから作ったいもようかんをそれぞれ、1:1:1(レーン3)、1:15:15(レーン4)および1:50:50(レーン5)混合したものにおいても、プライマーの設計位置から予想された高系14号SZ系統に固有の断片(330塩基対)が増幅した。一方、タマユタカおよびベニアズマを1:1の割合で混ぜて作ったいもようかん(レーン2)では、当該断片は増幅しなかった。このため、本発明による品種識別は、複数の品種を原料とするいもようかんにおいても、識別対象の品種の識別が可能であり、しかも、識別対象の品種の混入割合が1%程度と低くても、識別可能である。
本発明は、加工食品の原料品種の判定を正確かつ簡便にできるものであるため、食品産業に広く利用可能である。さらに、食品の不正表示や、海外で不正に栽培された品種を原料とした輸入加工食品等の検査に利用すれば、違法食品の取り締まりに大きく貢献できるものと期待される。
蒸切干しイモから抽出したDNAおよび対照の加熱処理を行っていない沖縄100号塊根の内部組織から抽出したDNAのアガロースゲル電気泳動結果を示す画像である。
サツマイモの12品種を試料としてS-SAP法を行い、各S-SAP増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。
タマユタカのS-SAP増幅産物をプラスミドベクターにクローニングし、当該ベクターで形質転換した大腸菌コロニーの菌体を鋳型としてS-SAP用プライマーセットを用いてPCRを行った増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。
(a)は各サツマイモ品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型として、隣接プライマー(KB4-7GS1)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像であり、(b)は各サツマイモ品種を原料とした蒸切干しイモから抽出したDNAを鋳型として、隣接プライマー(KB4-7GS1)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。
(a)は各サツマイモ品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型として、隣接プライマー(KB4-8GS1)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像であり、(b)は各サツマイモ品種を原料とした蒸切干しイモから抽出したDNAを鋳型として、隣接プライマー(KB4-8GS1)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。
(a)は各サツマイモ品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型として、隣接プライマー(KB4-20GS1)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像であり、(b)は各サツマイモ品種を原料とした蒸切干しイモから抽出したDNAを鋳型として、隣接プライマー(KB4-20GS1)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。
(a)は各サツマイモ品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型として、隣接プライマー(KB4-22GS1)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像であり、(b)は各サツマイモ品種を原料とした蒸切干しイモから抽出したDNAを鋳型として、隣接プライマー(KB4-22GS1)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。
(a)は各サツマイモ品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型として、隣接プライマー(S40_Rev)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像であり、(b)は各サツマイモ品種を原料とした蒸切干しイモから抽出したDNAを鋳型として、隣接プライマー(S40_Rev)とRTPプライマー(Ext_R)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。
高系14号SZ系統および高系14号の変異系統を試料としてS-SAP法を行い、各S-SAP増幅産物の電気泳動した結果を示す画像である。
各サツマイモ品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型として、隣接プライマー(Ko23_Anti1)とRTPプライマー(RTP−LIb)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。
各サツマイモ品種の葉から抽出したゲノムDNAを鋳型として、隣接プライマー(8-3_32Anti2)とRTPプライマー(RTP−LIb)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。
いもようかんから抽出したDNAを鋳型として、隣接プライマー(Ko23_Anti1)とRTPプライマー(RTP−LIb)とを用いたPCR増幅産物の電気泳動結果を示す画像である。