JP5048193B2 - 固相合成法及び試薬 - Google Patents

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Description

【0001】
本願は米国を除く全ての国を指定国とする、2001年2月6日にSurmodics, Inc.という米国国籍の企業を出願人とするPCT国際特許出願として出願されたものである。
【0002】
技術分野
1つの態様において、本発明は固相(例えば、反復合成もしくはコンビナトリアル合成(以下において、「組み合わせ合成」とも呼ぶ)(repetitive or combinatorial合成における使用のための方法、試薬及び支持体表面に関する。別の態様において、本発明は、置換されたポリアクリルアミド試薬に関する。さらに別の態様において、本発明は支持体表面を変性するのに使用するための試薬に関し、特に、このような試薬をこのような表面に結合させるための光化学手段の使用に関する。
【0003】
発明の背景
R.B. Merrifieldの1963年の発展性のある研究以来、固相合成は極端に発展してきた。典型的には、使用される反応は通常の合成と同一であるが、試薬のうちの1つは固体支持体上に固定されている。固相合成は、例えば、ポリヌクレオチド、ポリサッカリド及びポリペプチドの合成、並びに、反復及び組み合わせ化学における他の応用において使用できる。
【0004】
固相技術の基本的な利点は、支持体(それに結合している全ての試薬を含む)は不溶性のままであり、それ故、他の全ての試薬から容易に分離されることである。過剰の試薬、他の反応生成物及び副生成物は溶剤を除去するときにすばやくかつ効率的に除去される。固相種の精製も、急速かつ完全であり、全プロセスは自動化されうる。
【0005】
近年、固相合成の原理は「組み合わせ化学(combinatorial chemistry)」として知られている新たな方法に応用されてきた。一団となって効率的にスクリーニングされうる分子の大きな集団又はライブラリーを形成するために組み合わせ化学を科学者は使用する。より大きな、より多様な化合物ライブラリーを製造することにより、有意な治療及び商業的価値のある新規の化合物を見出す可能性が企業にとって高まる。この分野は、微細化、ロボティックスおよびレセプター開発において基礎的な進歩により可能になる化学と生物学との集約である。
【0006】
従来の医薬設計と同様に、組み合わせ化学は有機合成法にたよるものである。その相違は単一の化合物を合成する代わりに範囲にわたるものであり、組み合わせ化学は化合物の大きな集団(ライブラリー)を合成するために自動化及び微細化を用いる。しかし、大きな集団は独立に活性化合物を生じないので、科学者はこれらの巨大な集団内に活性化合物を見つけ出す必要もある。このように、組み合わせ有機合成は、化学「構築ブロック」のセットを用いた、ランダムでなく規則的で繰り返しのものであり、多様な分子のセットを形成する。
【0007】
組み合わせ有機合成には少なくとも3つの共通のアプローチがある。配列された、空間的にアドレス可能な合成の間に、構築ブロックは個々の反応ウェル又は位置において系統的に反応し、「個別の分子」を生成する。活性化合物は、グリッド上のその位置により特定される。この方法は、スケールにおいても(Parke-Davis Pharmaceutical DIVERSOMER技術)、また、小型でも(Affymax "VLSIPS"技術)応用されている。第二の技術は、エンコード化混合物合成としても知られており、ヌクレオチド、ペプチド又は他のタイプのより不活性な化学タグを用いて各化合物を特定する。
【0008】
第三のアプローチである脱巻(deconvolution)の間に、一連の化合物の混合物は組み合わせで合成され、各時間はある特定の構造特徴を作る。各混合物は混合物として検定され、そして最も活性な組み合わせが探求される。次のラウンドは管理可能な数の別個の構造が合成されそしてスクリーニングされるまで、系統的に他の構造特徴を作る。ペプチドを研究している科学者は、例えば、数百万の可能性から最も活性なペプチドシーケンスを最適化し又は見つけ出すために脱巻を使用することができる。
【0009】
関連する主題で、反応性基又は他の所望の官能性を提供するように変性された表面はポリマー及び非ポリマー分子の両方の固相合成を行なうために使用されてきた。種々の固相樹脂は市販されており、例えば、Polystyrene, ArgoGel(商標)及びArgoPore(商標)樹脂のラインを含むArgonaut Technologiesから入手可能なものである。同様のラインにそって、Argonaut Technologiesに譲受された公開された国際特許出願WO9727226(高官能化ポリエチレングリコールグラフト化ポリスチレン支持体)は、ポリ(メチルスチレン)の主鎖及びポリ(エチレンオキシド)の側鎖を有するポリマー及びグラフトコポリマーを記載している。
【0010】
このような支持体はJW Labadie("Polymeric Supports for Solid Phase Synthesis"), Current Opinions in Chemical Biology 2:346(1998)にも記載されている。この論文は、例えば、官能性スチレンモノマーを用いて、又は、後官能化工程において、軽度に架橋したポリスチレン中に官能基を導入することができる方法を記載している。しかしながら、両方のアプローチでは、例えば事前に存在する支持体に別個のコーティングとして追加するのとは対照的に、支持体(例えば、ビーズ)自体を形成するために使用されるポリスチレンポリマーに官能基が明らかに結合されている。
【0011】
Labadieの論文は、また、PEG−グラフト化されたポリスチレン、例えば、ヒドロキシル官能性ポリスチレンにエチレンオキシドをグラフト化することにより製造されるTentaGel製品の形態の使用を記載している。この論文は、さらに、ベース樹脂としてポリスチレンジオールを使用することによりポリスチレングラフト結合で分岐を有する設計であるArgoGel(商標)として特定されるグラフト樹脂により、PEGグラフト樹脂に関連する種々の「欠点」を克服する方法を記載している。これらのアプローチの各々では、得られるポリマーは、ポリマー鎖に沿った複数の位置で官能基を有するではなく、末端での官能基に限定されるようである。
【0012】
さらに別の主題において、種々のポリマー組成物は電気泳動ゲルとしての使用について記載されている。ポリアクリルアミドゲル電気泳動における最近の進歩を記載しているRighettiら、J. Chromatog. B. Biomed. Sci.10;699(1-2):63-75(1997)を概して参照されたい。
【0013】
例えば、米国特許第5,470,916号明細書("Formulations for Polyacrylamide Matrices in Electrokinetic and Chromatographic Methodologies")を参照されたい。’916号特許明細書は独特のクラスのモノマーの重合又は共重合により得られる配合物を記載している。
【0014】
例えば、米国特許第5,785,832号明細書("Covalently Cross-linked, Mixed-bed Agarose-polyacrylamide Matrices for Electrophoresis and Chromatography")を参照されたい。それは新規のクラスのN−モノ及び二置換アクリルアミドモノマーをベースとするポリアクリルアミドマトリックスを記載している。’832号特許明細書は共有結合した(架橋した)ポリアクリルアミド−アガロースのタイプの混合ベッドマトリックスは核酸の断片、特に中サイズ(50〜5,000塩基対)のDNA及び高分子量タンパク(>500,000Da)の分離に有用であることを記載している。’832号特許明細書は、中サイズの核酸の断片の分離における使用に適切である、共有結合したポリアクリルアミド−アガロース混合ベッドマトリックスを提供している。
【0015】
上記のような置換ポリアクリルアミドは電気泳動ゲルの製造における使用に限定されており、出願人の知るところでは、以前には、固相合成表面を提供する目的でそのまま又は光化学手段により表面に結合させたことはない。
【0016】
別の主題では、本発明の譲受人は以前に種々の目的で、種々の試薬を用いて表面の改質を記載してきた。特に、これらの試薬は、例えば、支持体表面へのポリマー及び他の分子の結合のために、光化学の使用を一般に伴い、特に光反応性基の使用を伴う。例えば、米国特許第4,722,906号、同第4,979,959号、同第5,217,492号、同第5,512,329号、同第5,563,056号、同第5,637,460号、同第5,714,360号、同第5,741,551号、同第5,744,515号、同第5,783,502号、同第5,858,653号及び同第5,942,555号明細書を参照されたい。
【0017】
発明の要旨
本発明は固相合成を行うための方法であって、
a)固相合成における使用に適合した表面を提供する支持体材料を提供すること、
b)下記式
【化18】
Figure 0005048193
【0018】
(式中、R1は水素であるか又はC1〜C6アルキルであり、そしてR2及びR3は互いに独立に、水素であるか、
【0019】
【化19】
Figure 0005048193
から選ばれる1個以上の反応性置換基を含有するC1〜C6アルキルもしくはフェニルである(R4は、1個以上の窒素原子を含有する複素環もしくはC1〜C6アルキルであり、R5はC1〜C6アルキルもしくはフェニルであって、
【0020】
【化20】
Figure 0005048193
から選ばれる1個以上の反応性置換基を含有する))のモノマーの重合により生成されるポリマー試薬を提供すること、
c)前記ポリマー試薬を前記支持体表面に適用して、前記ポリマー試薬を前記支持体表面に共有結合させること、
d)例えば、ヌクレオチド及びアミノ酸から選ばれる、固相合成に適合した第一の反応性モノマーを提供すること、前記モノマーは結合した反応性置換基と熱化学的に反応性である対応する基を含み、そして好ましくは、固相合成において次の第二のモノマー単位と反応性である1個以上の基をも含む、
e)前記結合した反応性置換基と前記対応する基を反応させるために適切な条件下に前記支持体表面上で前記ポリマー試薬を前記第一のモノマーと接触させそして反応させ、成長しているポリマー鎖を提供すること、及び、
f)前記成長しているポリマー鎖に次のモノマーを提供しそして順次に結合させて、所望のポリマー生成物を得ること、
の工程を含む、方法を提供する。
【0021】
この様式で一旦生成されると、得られたポリマー生成物は保持されそして現場で(例えば、その結合状態で)使用され、又は、支持体上のその位置から解離されそして取り出され、異なる様式で使用されてよい。
【0022】
別の態様において、本発明は高密度の反応性基を有する表面を提供するために支持体表面上に被覆されるように適合したポリマー試薬組成物を提供する。このように被覆された表面は適切な目的に使用することができ、そして特に固相合成用支持体表面としての使用に特に好適である。そして、合成支持体表面は、ポリヌクレオチド、ポリペプチド及びポリサッカリドの合成などの繰り返し及び組み合わせ合成において使用されうる。ポリマーコーティング(被覆物)は、特に、ビーズ又はシリコンウェハの表面などの支持体表面の有効面積自体が制限されている状況で、高められた有効表面積を提供するために使用できる。そうすることで、ポリマーコーティングは反応性基密度及び表面積もしくは体積などの特性の最適な組み合わせを提供する。
【0023】
好ましい態様において、ポリマー試薬は安定な共有結合を介して支持体表面上に被覆されるように適合した親水性もしくは両親媒性ポリマー試薬の形態で提供され、それにより、ペプチド、オリゴヌクレオチド、他のオリゴマー(例えば、ペプチド核酸)もしくは非ポリマー性有機化合物の固相合成に適する、高いが制御可能な官能基の密度を有する表面を提供する。
【0024】
特に好ましい態様において、試薬は下記式
【化21】
Figure 0005048193
【0025】
(式中、R1は水素又はC1〜C6アルキルであり、R2及びR3は、互いに独立に、水素であるか、
【化22】
Figure 0005048193
から選ばれる1個以上の反応性置換基を含有するC1〜C6アルキルもしくはフェニルであり、ここで、R4 はC 1〜C6アルキルもしくは1個以上の窒素原子を含有する複素環であり、そしてR5
【化23】
Figure 0005048193
から選ばれる1個以上の反応性置換基を含有するC1〜C6アルキルもしくはフェニルである)の1種以上の官能基含有モノマーの重合により製造される。
【0026】
このタイプの特定のモノマーは、例えば、Righetti('832)に記載されており、その開示を参照により本明細書中に取り込む。本発明の1つの好ましい態様において、ポリマー試薬は加水分解に対して極端に耐性である高度に親水性のモノマーであるN−アクリロイル−アミノ−エトキシエタノール(AAEE)を含むモノマーから製造される(Chiari, Micheletti,Nesi,Fazio,Righetti;Electrophoresis15, 1994,177-186)。このタイプの他のモノマーは米国特許第5,858,653号明細書に記載されており、その開示を参照により本明細書中に取り込む。
【0027】
本発明の方法及び試薬は、合成能力(容量)を、反応体積を対応して又は過度に増加させる必要なしに高めることが望まれる状況で特に有用性を見出す。本発明の試薬はポリマー分子がこれまで可能でなかった様式で精製、特性化及び制御されうる、予備形成されたポリマー組成物を提供する。
【0028】
好ましい態様において、試薬は、予備形成された合成ポリマーの表面への結合(支持体上での現場での重合により形成されるものとは区別される)を含み、そしてより好ましくは、予備形成されたポリマーの光化学手段による結合を含む。官能基がポリマー主鎖にそって複数の位置で存在していることも好ましい。官能基の数(又は平均数)及び位置はポリマーを形成するために使用されるモノマーの選択、例えば、官能基含有モノマーと「希釈」モノマーとの比により制御できる。
【0029】
本発明のポリマー試薬組成物は膨潤性、官能基密度、反応性、透過性、親水性及び加水分解安定性などの特性の最適な組み合わせを提供する。特に好ましい態様において、試薬組成物は1種以上の異なる反応性基を提供するポリマー誘導体を含む。試薬組成物は適切な様式で表面に結合されることができ、そして好ましくは、表面に共有結合され、より好ましくは光反応性基の使用により結合される。
【0030】
適切な支持体材料は、ビーズ、スライド、ウェハ、フィルム、ディスク及びプレート(例えば、マイクロウェルプレート)を含み、オルガノシラン処理されたガラス、オルガノシラン処理されたシリコン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリスチレン(場合により、ジビニルベンゼンで架橋されている)などの材料から製造される。さらなる支持体材料は、グラフト化ポリアクリルアミドビーズ、ラテックスビーズ、ジメチルアクリルアミドビーズ(場合により、N,N’−ビス−アクリロイルエチレンジアミンにより架橋されている)、疎水性ポリマーで被覆されたガラスビーズなど(すなわち、硬質もしくは半硬質表面を有する)を含む。ジビニルベンゼンで架橋した、ポリエチレングリコールグラフト化ポリスチレン型ビーズも使用できる。
【0031】
特に好ましい態様において、試薬はヒドロキシル置換されたポリアクリルアミド試薬を含む。このような試薬は所望の様式及び濃度で、例えば、光化学的に表面に結合されて、所望の反応性基の密度(例えば、第一級ヒドロキシル)基を有する表面を提供することができる。
【0032】
本発明のポリマーは、適切な手段、例えば、1種以上の官能基を提供するモノマーと、1種以上の反応性コモノマー(例えば、光反応性基を提供するモノマー)及び/又は1種以上の非反応性コモノマー(例えば、光反応性基も官能基も含まない「希釈」モノマー)とを反応させることにより製造できる。関連する技術の当業者は、この記述によって、本発明のポリマーは所望の表面特性を達成するようにあつらえられたモノマーの濃度及び比率を用いてラジカル重合によって合成されうることを理解するであろう。このようにして、官能基の相対及び絶対濃度、並びに、ポリマーの分子量(及び枝分かれの程度など)、及びポリマーの固定化の手段(例えば、その長さ方向にそった光活性化可能な基の数及び/又は位置)は性能を最適化するように全て調節されうる。
【0033】
種々のタイプ及び反応性の官能基を有するコモノマーも選択されうる。唯一の決定因子ではないが、最終的なポリマーの主鎖及び官能基の間に含まれることができるスペーサーの長さは官能基の反応性に予測可能な又は決定可能な効果を有することができる。さらに、比較的に不活性なモノマーは希釈モノマーとして有効に含まれることができ、それにより、官能基の密度を所望のレベルに調節することができ、そして所望のポリマー特性を達成し、例えば、その親水性、疎水性又は両親媒性を調節してその溶媒和特性に影響を及ぼすことができる。
【0034】
最後に、表面にポリマーを固定化するための反応性基を提供するコモノマーも含まれてよい。このようなモノマーは好ましくは光活性化基を含み、又は、熱化学的反応性基を含むことができ、ポリマーを表面上の対応する反応性サイト又は基に直接的に結合させるか、光活性化基を提供する別の試薬に結合させることができる。例えば、ヒドロキシル基は種々の活性化剤(例えば、1,1−カルボニルジイミダゾール、2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルクロリド又は2−フルオロ−1−メチルピリジニウムp−トルエンスルホネート)により活性化されうる。このような反応はアミン基を有する表面(例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシランで被覆したガラス)上にヒドロキシルポリマーを固定化するために使用できる。この例において、表面上のアミンと反応しない過剰の活性化ヒドロキシル基は加水分解されて、遊離ヒドロキシル基に戻ることができる。ポリマー中のコモノマーの分布を最適化するために、異なる重合速度を有するコモノマーを選択することもできる。場合により、又は、さらに、コモノマーの分布はブロックコポリマーの調製及び使用により制御されそして影響を受けることができる。
【0035】
安定な共有結合を介して表面に固定化するための手段及びここに記載されているタイプの複数の官能基を有する親水性もしくは両親媒性ポリマーも提供されうる。このようなポリマーは、ペプチド、オリゴヌクレオチド、同様のタイプのポリマー(例えば、ペプチド核酸)及び非ポリマー性有機化合物の固相合成に特に有用性を見出す。予備合成されたポリマーの使用は、例えば、グラフト化ポリマー又は現場で形成さるものとは対照的に、多くの利点を有し、このような利点は固定化前にポリマーを精製しそして特性化することができることを含む。
【0036】
さらに別の態様において、本発明は表面上に反応性基を提供するための方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載された試薬組成物で表面を被覆する工程を含む。さらなる態様において、本発明はこのような試薬組成物で被覆された支持体表面を提供する。
【0037】
詳細な説明
好ましい態様において、本発明の試薬は官能基を含有するモノマーを、場合によりそして好ましくは他のモノマー、例えば、他の有用な基を含有するモノマー、希釈モノマーなどとの組み合わせで重合することにより調製される。
【0038】
好ましい態様において、本発明のポリマーは下記の群、
【化24】
Figure 0005048193
【0039】
(式中、R1は水素又はC1〜C6アルキルであり、R2及びR3は互いに独立に、水素であるか、又は、
【0040】
【化25】
Figure 0005048193
【0041】
から選ばれる1個以上の反応性置換基を含有するC1〜C6アルキルもしくはフェニルであり、ここで、R4 はC 1〜C6アルキルもしくは1個以上の窒素原子を含有する複素環であり、そしてR5
【0042】
【化26】
Figure 0005048193
【0043】
から選ばれる1個以上の反応性置換基を含有するC1〜C6アルキルもしくはフェニルである)から選ばれる1種以上のモノマーの重合により製造される。
【0044】
場合によりそして好ましくは、得られるポリマーは、また、例えば、光基含有共重合性モノマーによりポリマー中に1個以上の光基を取り込むことにより、光化学手段により表面に結合される。
【0045】
コモノマーは、所望の反応性を含む所望の特性もしくは機能を提供するように選択できる。唯一の決定因子ではないが、官能基及びポリマー主鎖の間のスペーサーの長さはしばしば官能基の反応性に影響を及ぼす。
【0046】
さらに、「不活性」又は「希釈」モノマーは、最適な溶媒和特性を得るための親水性又は両親媒性ポリマーなどの所望のポリマー特性を達成するために、そして官能基の濃度を最適なレベルに調節するために使用できる。このようなモノマーの例は、例えば、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、メタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルピリジン、N−ビニルカプロラクタム、スチレン、酢酸ビニル及びN−アクリロイルモルホリンを含む。
【0047】
本発明の好ましい組成物は共重合性モノマーに直接的又は間接的に共有結合され又は結合されるように適合した1個以上の潜反応性(好ましくは光反応性)ペンダント基を含む。光反応性基は、本明細書中に規定され、そして好ましい基はこのような特性を保持する条件下に貯蔵されるのに十分に安定である。例えば、米国特許第5,002,582号明細書を参照されたい。この開示を参照により本明細書中に取り込む。潜反応性基は種々の部分の電磁スペクトルに応答性であるように選択されることができ、紫外部分及び可視部分のスペクトルに応答性であるもの(本明細書中で「光反応性」と呼ぶ)は特に好ましい。
【0048】
光反応性基は特定の施用された外部刺激に対して応答して活性種を生成し、例えば、同一又は異なる分子により提供されるような隣接の化学構造に共有結合を生じる。光反応性基は貯蔵条件下には変化しない共有結合を保持するが、外部エネルギー源による活性化時に他の分子と共有結合を形成する分子中の原子群である。
【0049】
光反応性基は、ラジカル及び特にニトレン、カルベン及びケトンの励起状態などの活性種を電磁エネルギーの吸収時に発生する。光反応性基は種々の部分の電磁線スペクトルに応答するように選択されることができ、そして、例えば、紫外及び可視部分のスペクトルに応答性である光反応性基は好ましく、そして本明細書中において「光化学基」又は「光基」ともしばしば呼ばれることがある。
【0050】
光反応性アリールケトンは好ましく、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アントラキノン、アントロン及びアントロン様複素環(すなわち、10−位にN,O又はSを有するようなアントロンの複素環類似体)又はその置換(例えば、環置換)誘導体である。好ましいアリールケトンの例はアクリドン、キサントン及びチオキサントンを含むアントロンの複素環誘導体及びその環置換誘導体を含む。
【0051】
このようなケトンの官能基は好ましい。というのは、それらは明細書中に記載される活性化/不活性化/再活性化サイクルを容易に経験することができるからである。ベンゾフェノンは特に好ましい光反応性部分である。というのは、それは、トリプレット状態への系内移行(intersystem crossing)を経験する励起シングレット状態の初期形成を伴う光化学励起を経験することができるからである。励起されたトリプレット状態は(例えば、支持体表面から)水素原子を引き抜くことにより、炭素−水素結合中に入り、それにより、ラジカル対を生成することができる。ラジカル対が次いで崩壊すると、新規の炭素−炭素結合が生成する。反応性結合(例えば、炭素−水素)が結合のためにないならば、ベンゾフェノン基の紫外光線誘導励起は可逆性であり、そして分子はエネルギー源の除去時に基底状態のエネルギーレベルに戻る。ベンゾフェノン及びアセトフェノンなどの光活性化性アリールケトンは、これらの基が水中で複数回の再活性化を受けそして高められたコーティング効率を提供するので特に重要である。
【0052】
アジドはさらなる好ましいクラスの光反応性基を構成し、そしてフェニルアジド及び特に4−フルオロ−3−ニトロフェニルアジドなどのアリールアジド(C653)、ベンゾイルアジド及びp−メチルベンゾイルアジドなどのアシルアジド(−CO−N3)、エチルアジドホルメート、フェニルアジドホルメートなどのアジドホルメート(−O−CO−N3)、ベンゼンスルホニルアジドなどのスルホニルアジド(−SO2−N3)及び、ジフェニルホスホリルアジド及びジエチルホスホリルアジドなどのホスホリルアジド(RO)2PON3を含む。アジド化合物は別のクラスの光反応性基を構成し、そしてジアゾメタン及びジフェニルジアゾメタンなどのアゾアルカン(−CHN2)、ジアゾアセトフェノン及び1−トリフルオロメチル−1−ジアゾ−2−ペンタノンなどのジアゾケトン(−CO−CHN2)、t−ブチルジアゾアセテート及びフェニルジアゾアセテートなどのジアゾアセテート(−O−CO−CHN2)及びt−ブチルαジアゾアセトアセテートなどのβ−ケト−α−ジアゾアセテート(−CO−CN2−CO−O−)を含む。他の光反応性基は3−トリフルオロメチル−3−フェニルジアジリンなどのジアジリン(−CHN2)及びケテン及びジフェニルケテンなどのケテン(−CH=C=O)を含む。
【0053】
光反応性基の活性化時に、試薬分子は光反応性基の残基による共有結合により、互いに及び/又は材料の表面に共有結合される。例示の光反応性基及び活性化時のその残基は以下に示すとおりである(R及びR’はどの非阻害性有機基であってもよい)
【0054】
【表1】
Figure 0005048193
【0055】
本発明の光活性化性モノマーは炭素−水素結合を有するいかなる表面に対して施用してもよく、炭素−水素結合と光反応性基は反応して、得られるポリアクリルアミドを表面に固定化する。適切な基材の例は、限定するわけではないが、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)、パリレン及び、ガラス及び他の無機表面を予備処理するために使用される各種オルガノシランを含む。
【0056】
本発明のポリマーは好ましくは所望の表面特性を達成するようにあつらえられた濃度及び比率のモノマーを用いたラジカル重合により合成される。このように、官能基のレベル、ポリマーの分子量及びポリマーの固定化の手段(例えば、光活性化基の導入による)は、所望の製品を得るために及び/又は1つ以上の性能又は物理化学特性を最適化するために当業者により調節されうる。
【0057】
本発明の試薬は固相合成における使用のための官能化支持体表面を提供するために種々の方法で使用されうる。1つの態様において、試薬は別個に包装されそして提供され、そして場合により、バルクで提供され、使用時に使用者により表面に適用されてよい。別の態様において、試薬は支持体自体の製造時に支持体に適用されそして共有結合され(例えば、光化学手段による)、そして得られた被覆された支持体材料が実質的に使用できる状態で包装されそして販売されてよい。
【0058】
【化27】
Figure 0005048193
【0059】
【化28】
Figure 0005048193
【0060】
【化29】
Figure 0005048193
【0061】
【化30】
Figure 0005048193
【0062】
【化31】
Figure 0005048193
【0063】
以下の実施例は本発明を例示するために提供するが、それを制限しない。本発明は好ましい態様について記載したが、当業者は本発明が添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内で変更して実施できることを認識するであろう。
【0064】
実施例
例1
4−ベンゾイルベンゾイルクロリド(BBA−Cl)の調製(化合物I)
反応性光基を調製するために、4−ベンゾイル安息香酸(BBA)1.0kg(4.42モル)を、還流凝縮器及びオーバーヘッドスタラーを装備した乾燥した5リットルモートンフラスコに添加し、次いで、645ml(8.84モル)のチオニルクロリド及び725mlのトルエンを添加した。ジメチルホルムアミド3.5mlを、その後、添加し、そして混合物を還流下に4時間加熱した。冷却後に、溶剤を減圧下に除去し、そして残留チオニルクロリドを3×500mlのトルエンを用いた3回の蒸発により除去した。生成物を1:4のトルエン:ヘキサンから再結晶化して、真空炉内での乾燥後に988g(91%収率)を提供した。生成物の融点は92〜94℃であった。80MHz(1HNMR(CDCl3))での核磁気共鳴(NMR)分析は所望の生成物:芳香族プロトン7.20−8.24(m,9H)と一致した。全てのケミカルシフト値はテトラメチルシラン内部標準からのppmダウンフィールドである。最終の化合物は、例えば、例3に記載されるとおりの光活性化可能なポリマーの合成に使用されるモノマーの調製における使用のために貯蔵した。
【0065】
例2
N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロリド(AMPA)の調製(化合物II)
アミン含有モノマー中間体を製造するために、1000mlのCH2Cl2中の1,3−ジアミノプロパン1910g(25.77モル)の溶液を12リットルモートンフラスコに添加し、アイスバスで冷却した。250mlのCH2Cl2中のt−ブチルフェニルカーボネート1000g(5.15モル)の溶液を、その後、反応温度を15℃未満に維持する速度で滴下して加えた。添加の後に、混合物を室温に温め、2時間攪拌した。反応混合物を90mlのCH2Cl2及び500gの氷で希釈し、次いで、2500mlの2.2NのNaOHをゆっくりと添加した。溶液が塩基性であることを確認する試験の後に、生成物を分液漏斗に移し、そして有機相を除去し、抽出物1としてよけた。その後、水性相を3×1250mlのCH2Cl2で抽出し、各抽出物を別個のフラクションとして保存した。4つの有機抽出物を、1つの1250mlの0.6NNaOHで順次にフラクション1から始めてフラクション4まで洗浄した。この洗浄手順を2回目に新鮮な1250mlの0.6NNaOHで繰り返した。その後、有機抽出物を合わせ、そしてNa2SO4上で乾燥した。恒量重量にまでろ過しそして溶剤を蒸発させることにより、825gのN−モノ−t−BOC−1,3−ジアミノプロパンを提供し、それをさらなる精製を行わずに使用した。
【0066】
1020mlのCHCl3中の無水メタクリル酸806g(5.23モル)の溶液を、オーバーヘッドスタラーを装備した12リットルモートンフラスコに入れ、そしてアイスバスで冷却した。フェノチアジン60mgを開始剤として添加し、次いで、825mlのCHCl3中のN−モノ−t−BOC−1,3−ジアミノプロパン825g(4.73モル)を滴下して添加した。添加の速度は全時間にわたって反応温度を10℃未満に維持するように制御した。添加を完了した後に、アイスバスを取り除き、そして混合物を一晩攪拌した。その後、生成物を2400mlの水で希釈し、そして分液漏斗に移した。徹底的な混合の後に、水性相を除去し、そして有機相を2400mlの2NNaOHで洗浄し、水性相を塩基性に確保した。その後、有機相をNa2SO4上で乾燥し、そして乾燥剤を除去するためにろ過した。CHCl3溶剤の一部を、生成物と溶剤との合計重量が約3000gとなるまで減圧下に除去した。所望の生成物を、その後、攪拌されたCHCl3溶液に11.0リットルのヘキサンをゆっくり添加することにより沈殿させ、次いで4℃で一晩保管した。生成物をろ過により分離し、そして固体を900mlのヘキサン及び150mlのCHCl3の溶剤の組み合わせで2回濯いだ。固体の徹底した乾燥により、900gのN−[N’−(t−ブチルオキシカルボニル)−3−アミノプロピル]−メタクリルアミドを提供し、それは示差走査熱量法(DSC)によりm.p.が85.8℃である。NMR分光分析器での分析は所望の生成物と一貫していた:1HNMR(CDCl3)アミドNH’s6.30−6.80,4.55−5.10(m,2H),ビニルプロトン5.65,5.20(m,2H),Nに隣接するメチレン2.90−3.45(m,4H),メチル1.95(m,3H),残りのメチレン1.50−1.90(m,2H)及びt−ブチル1.40(s,9H)。
【0067】
3つ口の2リットル丸底フラスコはオーバーヘッドスターラー及びガススパージチューブを装備していた。メタノール700mlをフラスコに添加し、そしてアイスバスで冷却した。攪拌しながら、約5リットル/分の速度で合計40分間、HClガスを溶剤中にバブリングした。最終のHCl/MeOH溶液モル濃度は指示薬としてフェノールフタレインを用いて1NNaOHで滴定して8.5Mであると決定された。N−[N’−(t−ブチルオキシカルボニル)−3−アミノプロピル]メタクリルアミド900g(3.71モル)を、オーバーヘッドスターラー及びガスアウトレットアダプターを装備した5リットルモートンフラスコに添加し、次いで、1150mlのメタノール溶剤を添加した。ある量の固形分がこの溶剤体積とともにフラスコ中に残った。フェノチアジン30mgを抑制剤として添加し、次いで、655ml(5.57モル)の8.5MHCl/MeOH溶液を添加した。固形分はガスを発生しながらゆっくりと溶解したが、反応は発熱性ではなかった。混合物を室温で一晩攪拌して、完全な反応を確保した。その後、すべての固形分をろ過により除去し、さらなる30mgのフェノチアジンを添加した。その後、溶剤を減圧下にストリッピングし、得られた固体残留物を減圧下での蒸発で、3×1000mlのイソプロパノールとともに共沸させた。最終的に、生成物を2000mlの還流用イソプロパノール中に溶解し、そして攪拌しながらゆっくりと4000mlの酢酸メチルを添加した。混合物をゆっくりと冷却し、4℃で一晩保存した。化合物IIをろ過により分離し、恒量まで乾燥し、630gの収量を与え、DSCでの融点は124.7℃であった。NMR分光分析器での分析は所望の生成物と一貫していた:1HNMR(D2O)ビニルプロトン5.60,5.30(m,2H),アミドNに隣接するメチレン3.30(t,2H),アミンNに隣接するメチレン2.95(t,2H),メチル1.90(m,3H),残りのメチレン1.65−2.10(m,2H)。最終の化合物は、例えば例3に記載されるとおりの光活性化可能なポリマーの合成におけて使用されるモノマーの製造における使用のために貯蔵した。
【0068】
例3
N−[3−(4−ベンゾイルベンズアミド)プロピル]メタクリルアミド(BBA−APMA)の製造(化合物III)
以下のように、例1の反応性基及び例2のアミンモノマーを反応させて(アミド結合により)、光基含有モノマーを生成した。例2に記載の一般法により製造した化合物II、120g(0.672モル)を、オーバーヘッドスターラーを装備した乾燥した2リットル3つ口丸底フラスコに添加した。フェノチアジン、23〜25mgを抑制剤として添加し、次いで800mlのクロロホルムを添加した。アイスバス上で懸濁液を10℃未満に冷却し、そして例1に記載される一般法により製造した172.5g(0.705モル)の化合物Iを固体として添加した。50mlのクロロホルム中のトリエチルアミン207ml(1.485モル)を、その後、1〜1.5時間にわたって滴下して添加した。アイスバスを取り除き、そして周囲温度での攪拌を2.5時間続けた。その後、生成物を600mlの0.3NHCl及び2×300mlの0.07NHClで洗浄した。硫酸ナトリウム上での乾燥の後に、クロロホルムを減圧下で除去し、そして、重合を抑制するために各再結晶化において23〜25mgのフェノチアジンを用いて、生成物を4:1のトルエン:クロロホルムから2回再結晶化した。化合物IIIの典型的な収率は90%であり、融点は147〜151℃であった。NMR分光分析器での分析は所望の生成物と一貫していた:1HNMR(CDCl3)芳香族プロトン7.20−7.95(m,9H)、アミドNH6.55(広いt,1H),ビニルプロトン5.65,5.25(m,2H),アミドNに隣接するメチレン3.20−3.60(m,4H),メチル1.95(s,3H),残りのメチレン1.50−2.00(m,2H)。最終の化合物は、例えば、例8〜11及び13に記載されるとおりに、光活性化可能なポリマーの合成における使用のために貯蔵した。
【0069】
例4
N−(3−ヒドロキシプロピル)アクリルアミド(HPA)の製造(化合物IV)
ヒドロキシル基の形の官能基を含有するモノマーを以下のとおりに製造した。アクリロイルクロリド53ml(0.66モル)を、イソプロパノール/ドライアイスバス中に浸漬した3つ口丸底フラスコ中で−40℃に冷却した。フラスコは滴下漏斗、温度計及びアルゴンインレットを装備していた。エタノール(1000ml)を−40℃に冷却し、冷たいアクリロイルクロリドに添加した。3−アミノ−1−プロパノール100ml(1.3モル)を1000mlのエタノール中に溶解した。この溶液を滴下漏斗に移し、そしてアクリロイルクロリドに滴下して添加した。溶液をエタノール/ドライアイスバス中で2時間攪拌し、次いで、4℃で一晩攪拌した。溶剤を蒸発させた。25mgのフェノチアジンを添加した後に、残留物をクロロホルム中に溶解し、そしてシリカゲル上で精製した。クロロホルムで洗浄した後に、生成物をアセトンで溶離し、69.1g(82%の収率)を生じた。
【0070】
例5
N−(2−エトキシ−(2−ヒドロキシエチル))アクリルアミド(HEEA)の製造(化合物V)
別のヒドロキシル基含有モノマーを例4と本質的に同一の手順で製造したが、40.4ml(0.5モル)のアクリロイルクロリドを100.2ml(1.0モル)の2−(2−アミノエトキシ)エタノールと反応させた。化合物をシリカゲルからアセトンを用いて溶離し、94.6g(119%収率)を与えた。
【0071】
例6
N−アクリルアミド−D−グルコサミン(AGA)の製造(化合物VI)
ヒドロキシル基の形の官能基を含有する別の代わりのモノマーを以下のとおりに製造した。グルコサミンヒドロクロリド10.0g(0.0464モル)を12mlの3.8M水酸化ナトリウムに添加した。炭酸カリウム0.30g(0.0022モル)及び亜硝酸ナトリウム0.35g(0.0051モル)をその後に添加し、透明な溶液が得られるまで混合物を攪拌した。この透明な溶液に10mlのクロロホルムを添加し、そして混合物をアイスバス中で激しく攪拌した。アイスバス中で攪拌しながら、5mlのクロロホルム中のアクリロイルクロリド4.45g(4.0ml:0.0492モル)の溶液を100マイクロリットル部分として、55μlの10N水酸化ナトリウム(4.95ml合計)と交互に添加した。添加の完了後に攪拌を30分間続けた。クロロホルムを除去した。pHを3に調節し、次いで、アクリル酸を除去するためにクロロホルムの3×10ml抽出を行った。水溶液を約4℃で貯蔵した。AGAの重合における使用は例12及び13に記載されている。
【0072】
例7
N−(2−メルカプトエチル)−2,6−ビス(4−ベンゾイルベンズアミド)ヘキサンアミドの製造(化合物VII)
光活性化可能な連鎖移動試薬を以下のとおりに製造した。リシンモノヒドロクロリド3.65g(20ミリモル)を8mlの2N水酸化ナトリウムに溶解させ、アイスバス中で冷却した。例1に記載の一般法により製造した、10.77g(44ミリモル)の4−ベンゾイルベンゾイルクロリドの17mlのクロロホルム中の溶液を4.48gの水酸化ナトリウムの19mlの水中の溶液と同時に添加した。反応物をアイスバス上で2時間攪拌し、その後、3時間で室温にまで温めた。塩酸を用いてpHを1に調節し、さらに60mlのクロロホルムを添加した。遠心分離器を用いて層を分離し、水性相を3×50mlのクロロホルムで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥した。得られた固体生成物を80%酢酸から再結晶化しようと試みたが、生成物の回収性は低かった。母液を水で希釈し、生成物を沈殿させ、その後、それをクロロホルム中に溶解させ、10%の重炭酸ナトリウムで洗浄し、1Nの塩酸そして最後に水で洗浄した。この溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして生成物を精製することなく使用した。NMR分光分析器での分析は所望の生成物と一貫するものであった:1HNMR(CDCl3)酸プロトン8.45(広いs,1H)、芳香族及びアミドプロトン7.00−8.10(m,20H),CH4.50−4.90(m,1H),Nに隣接するメチレン3.30−3.70(m,2H),残りのメチレン1.10−2.25(m,6H)。
【0073】
リシン誘導体4.35g(7.73ミリモル)及びN−ヒドロキシスクシンイミド0.901g(7.83ミリモル)を40mlの乾燥1,4−ジオキサン中に溶解させ、次いで、10mlのジオキサン中の1.951g(9.45ミリモル)の1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を添加した。混合物を室温で一晩攪拌した。得られた白色固体をろ過し、そして2×25mlの1,4−ジオキサンで洗浄した。溶剤を減圧下に除去し、残留物を3×25mlのヘキサンで濯ぎ、過剰のDCCを除去した。得られたN−オキシスクシンイミド(NOS)エステル4.10g(81%収率)をさらに精製せずに使用した。
【0074】
2−アミノエタンチオールヒドロクロリド0.75g(6.6ミリモル)をアルゴン雰囲気下に15mlのクロロホルム及び1.09mlのトリエチルアミンで希釈した。25mlのクロロホルム中のNOSエステル4.10g(6.22ミリモル)を30分にわたって室温で滴下して加えた。4時間の反応の後に、混合物を水及び0.05N塩酸で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥した。95:5のCHCl3:CH3OH溶剤系を用いて生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、2.30gの生成物を59%の収率で得た。NMR分光分析器での分析は所望の生成物と一貫するものであった:1HNMR(CDCl3)芳香族及びアミドプロトン6.90−8.00(m,21H),CH4.40−4.85(m,1H),Nに隣接するメチレン3.00−3.75(m,4H),残りのメチレン1.00−2.95(m,8H)及びSH1.40(t,1H)。
【0075】
例8
アクリルアミド、BBA−APMA及び(HPA)のコポリマーの製造(ランダムフォトPA−HPA)(化合物VIII)
本発明の光活性化可能なコポリマーを以下のとおりに製造した。本明細書中に記載される「希釈」モノマーとしての使用のためのアクリルアミド1.69g(23.8ミリモル)を、例3に記載される一般法により製造された0.17g(0.49ミリモル)のBBA−AMPA(光基含有モノマー、化合物III)、例4に記載される一般法により製造された3.14g(24.3ミリモル)のHPA(OH含有モノマー、化合物IV)、0.10g(0.58ミリモル)の2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及び0.049ml(0.32ミリモル)のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)とともに43.5mlのDMSO中に溶解した。この溶液を4分間のヘリウムスパージで脱酸素した。ヘッドスペースをアルゴンで置換し、そして容器を一晩シールして55℃に加熱した。反応溶液を透析チューブ(12−14,000MWCO)中に入れ、5日間、脱イオン水に対して透析した。水溶液を親液化し、フォトロード(photo load)0.094μモル/mg(理論値0.097μモル/mg)の4gの白色固体を得た。
【0076】
例9
BBA−APMA及び(HPA)のコポリマー(ランダムフォトHPA)の製造(化合物VIII)
本発明の光活性化可能なコポリマーを以下のとおりに(アクリルアミドなどの「希釈」モノマーを使用せずに)製造した。例3に記載の一般法により製造されたBBA−AMPA(化合物III)0.17g(0.49ミリモル)を、例4に記載の一般法により製造された4.87g(37.73ミリモル)のHPA(化合物IV)、0.08g(0.46ミリモル)のAIBN及び0.038ml(0.25ミリモル)のTEMEDとともに33mlのDMSO中に溶解した。この溶液を4分間のヘリウムスパージで脱酸素した。ヘッドスペースをアルゴンで置換し、そして容器を一晩シールして55℃に加熱した。反応溶液を透析チューブ(12−14,000MWCO)中に入れ、5日間、脱イオン水に対して透析した。水溶液を親液化し、フォトロード(photo load)0.073μモル/mg(理論値0.076μモル/mg)の4.27gの白色固体を得た。
【0077】
例10
アクリルアミド、BBA−APMA及び(HEEA)のコポリマーの製造(ランダムフォトPA−HEEA)(化合物IX)
本発明の光活性化可能なコポリマーを以下のとおりに製造した。アクリルアミド1.48g(20.8ミルモル)を、例3に記載の一般法により製造された0.15g(0.42ミリモル)のBBA−AMPA(化合物III)、例5に記載の一般法により製造された3.38g(21.2ミリモル)のHEEA、0.084g(0.51ミリモル)のAIBN及び0.043ml(0.28ミリモル)のTEMEDとともに37.3mlのDMSO中に溶解した。この溶液を4分間のヘリウムスパージで脱酸素した。ヘッドスペースをアルゴンで置換し、そして容器を一晩シールして55℃に加熱した。反応溶液を透析チューブ(12−14,000MWCO)中に入れ、5日間、脱イオン水に対して透析した。水溶液を親液化し、フォトロード(photo load)0.092μモル/mg(理論値0.085μモル/mg)の3.7gの白色固体を得た。
【0078】
例11
BBA−APMA及び(HEEA)のコポリマーの製造(ランダムフォトHEEA)(化合物IX)
本発明の光活性化可能なコポリマーを以下のとおりに製造した。例3に記載の一般法により製造されたBBA−APMA(化合物III)0.11g(0.31ミリモル)を、例5に記載の一般法により製造された4.89g(30.72ミリモル)のHEEA(化合物V)、0.06g(0.37ミリモル)のAIBN及び0.031ml(0.21ミリモル)のTEMEDとともに26mlのDMSO中に溶解した。この溶液を4分間のヘリウムスパージで脱酸素した。ヘッドスペースをアルゴンで置換し、そして容器を一晩シールして55℃に加熱した。反応溶液を透析チューブ(12−14,000MWCO)中に入れ、6日間、脱イオン水に対して透析した。水溶液を親液化し、フォトロード(photo load)0.061μモル/mg(理論値0.062μモル/mg)の化合物IXとして指定される4.35gの白色固体を得た。
【0079】
上記の手順を用いて、上の段落で記載したのと同様の化合物を製造したが、精製されたHEEAの代わりに粗HEEAを用いた。以下の成分装填量を用いて、フォトHEEA(化合物IX)を提供した。例3に記載の一般法により製造されたBBA−AMPA(化合物III)0.043g(0.12ミリモル)、例5に記載の一般法により製造された1.96g(12.29ミリモル)のHEEA(化合物V)、0.024g(0.15ミリモル)のAIBN及び0.012ml(0.083ミリモル)のTEMED。溶液を4分間のヘリウムスパージで脱酸素した。ヘッドスペースをアルゴンで置換し、そして容器を一晩シールして55℃に加熱した。反応溶液を透析チューブ(12−14,000MWCO)中に入れ、6日間、脱イオン水に対して透析した。水溶液を親液化し、フォトロード(photo load)0.078μモル/mg(理論値0.062μモル/mg)の化合物IXとして指定される1.33gの白色固体を得た。
【0080】
例12
末端フォトグルコサミンポリマー(末端ジ−BBA−AGA)の製造(化合物X)
アクリルアミド(400mg、5.6ミリモル)を10mlのジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させた。その溶液に、400mg(1.48ミリモル)のN−アクリロイルグルコサミン(化合物VI)を添加した。さらに、34mgのN−(2−メルカプトエチル)−2,6−ビス(4−ベンゾイルベンズアミド)へキサンアミド、200mgのAIBN及び50μlのTEMEDを添加した。溶液を窒素でスパージし、その後、一晩、55℃の炉内に入れた。得られたポリマー溶液をSpectraPor1(隔膜)透析膜を用いて脱イオン水に対して透析した。透析の後に、溶液を親液化した。得られた乾燥ポリマーは0.58gの重量であった。脱イオン水中0.1mg/mlで、ポリマーは265nmで0.202の吸光度を有した。
【0081】
例13
アクリルアミド、BBA−APMA及びAGAのコポリマー(ランダムフォトPA−AGA)の製造(化合物XI)
200mg(0.74ミリモル)のN−アクリロイルグルコサミン(化合物VI)の5mlのDMSO中の溶液に、500mgのアクリルアミド(7.0ミリモル)及び98mgのBBA−APMA(0.28ミリモルの化合物III)、50mgのアゾビスシアノバレエート及び100μlのTEMEDを添加した。溶液を窒素でスパージし、その後、55℃の炉内に一晩入れた。ポリマーを脱イオン水に対して透析し、その後、親液化した。
【0082】
例14
ポリHPAで被覆した表面の製造
PAのポリマーを例4により合成したHPAモノマーを用い、BBA−APMAを省いた以外は例9の手順に従った重合反応を用いて製造した。親液化したポリマーをホルムアミド中の1,1’−カルボニルジイミダゾールの溶液中に溶解し、そして1時間反応させた。ガラススライドをアミノプロピルトリメトキシシランで被覆し、洗浄しそして乾燥した。活性化したポリHPA溶液をアミン変性したスライドに塗布し、そして1時間インキュベートした。その後、スライドを、0.1Mエタノールアミンを含有する0.1M炭酸ナトリウム溶液中に1時間浸漬し、残っているカルボニルイミダゾール基をブロックし又は加水分解した。その後、このスライドを脱イオン水中で洗浄しそして乾燥した。
【0083】
例15
フォトポリHEEA被覆した表面の製造
例10により製造したHEEA(化合物V)及びBBA−APMA(化合物III)のコポリマーを、2.0mg/mlで脱イオン水中に溶解した。ポリスチレン顕微鏡スライドをポリマー溶液中に浸漬し、その後、平坦な表面上に置き、波長330〜340nmで照射強度が約2.0mW/cm2となる距離で400ワット中圧水銀バルブを有するDymax 照射装置を用いて、まだ湿潤している間に1分間照射した。その後、スライドを脱イオン水で洗浄しそして乾燥した。

Claims (8)

  1. a)コンビナトリアル合成における使用に適合した表面を提供する支持体材料を提供すること、
    b)下記式
    Figure 0005048193
    (式中、R1は水素又はC1〜C6アルキル基であり、R2及びR3は、互いに独立に、水素であるか、
    Figure 0005048193
    から選ばれる1個以上の反応性置換基を含有するC1〜C6アルキルもしくはフェニルであり、ここで、R4はC1〜C6アルキルもしくは1個以上の窒素原子を含有する複素環であり、R5は、
    Figure 0005048193
    から選ばれる1個以上の反応性置換基を含有するC1〜C6アルキルもしくはフェニルである)
    のモノマーの重合により生成されるポリマー試薬を提供すること、
    c)前記ポリマー試薬を前記支持体の表面に適用し、前記支持体の表面にポリマー試薬を共有結合させること、
    d)ヌクレオチド及びアミノ酸から選ばれる第一の反応性モノマーを提供すること、ここで、前記モノマーは、結合した反応性置換基と熱化学的に反応性である対応する基を含む、
    e)前記結合した反応性置換基と前記対応する基とを反応させるのに適する条件下に前記支持体の表面上で前記ポリマー試薬と前記第一のモノマーとを接触させそして反応させ、成長しているポリマー鎖を提供すること、及び、
    f)前記成長しているポリマー鎖に次のモノマーを提供して順次に結合させて、所望のポリマー生成物を得ること、
    の工程を含む、固相合成を実施するための方法。
  2. 得られるポリマー生成物をその場に維持しそして使用する、請求項1記載の方法。
  3. 得られるポリマー生成物を解離しそして支持体のその位置から取り外す、請求項1記載の方法。
  4. 前記ポリマー生成物はポリヌクレオチド、及びポリペプチドからなる群より選ばれる、請求項1記載の方法。
  5. 前記支持体はビーズ、ウェハ、フィルム、ディスク又はプレートである、請求項1記載の方法。
  6. 前記支持体はオルガノシラン処理したガラス、オルガノシラン処理したケイ素、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリスチレンから選ばれる材料を含む、請求項5記載の方法。
  7. a)コンビナトリアル合成における使用に適合した表面を提供する支持体材料を提供すること、
    b)、i)
    Figure 0005048193
    (式中、Xは0〜5モル%であり、Yは5〜100モル%であり、そしてZは0〜95モル%である)と、
    ii)
    Figure 0005048193
    (式中、xは0〜5モル%であり、yは5〜100モル%であり、そしてzは0〜95モル%である)と、
    ii)
    Figure 0005048193
    (式中、mは15〜45であり、nは50〜150である)と、
    iv)
    Figure 0005048193
    (式中、xは0〜5モル%であり、yは5〜100モル%であり、そしてzは0〜95モル%である)と、
    の群から選択されたポリマー試薬を提供すること、
    c)前記ポリマー試薬を前記支持体の表面に適用し、前記支持体の表面にポリマー試薬を共有結合させること、
    d)ヌクレオチド及びアミノ酸から選ばれる第一の反応性モノマーを提供すること、ここで、前記モノマーは、結合した反応性置換基と熱化学的に反応性である対応する基を含む、
    e)前記結合した反応性置換基と前記対応する基とを反応させるのに適する条件下に前記支持体の表面上で前記ポリマー試薬と前記第一のモノマーとを接触させそして反応させ、成長しているポリマー鎖を提供すること、及び、
    f)前記成長しているポリマー鎖に次のモノマーを提供して順次に結合させて、所望のポリマー生成物を得ること、
    の工程を含む、固相合成を実施するための方法。
  8. 下記式
    Figure 0005048193
    (式中、mは15〜45であり、nは50〜150である)のものである、ポリマー試薬組成物。
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