JP5047908B2 - 最大電力制御装置および最大電力制御方法 - Google Patents

最大電力制御装置および最大電力制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、最大電力制御装置および最大電力制御方法に関する。
近年、太陽電池と蓄電池とを組み合わせた太陽電池システムが数多く提案されている(特許文献1、特許文献2など)。太陽電池システムは、例えば、昼間、太陽電池の出力電力を負荷に供給するとともに余剰電力を用いて蓄電池を充電し、夜間、蓄電池に充電された電力を負荷に供給する。
ところで、従来、太陽電池の出力電力が最大となるように太陽電池の出力電圧および出力電流をI−V特性に基づいて制御する最大電力制御(MPPT:Maximum Power Point Tracker)が行われている。例えば、特許文献3には、太陽電池の動作点を少しずつ変化させ、出力電力が増加すれば動作点を変化させる方向を維持し、減少すれば動作点を変化させる方向を反転させることで、出力電力が最大となる動作点(以下、最大電力点)を探索する手法が開示されている。
特開2000−250646号公報 特開2001−069688号公報 特開平6−83465号公報
ところで、上記した従来の技術では、太陽電池の最大電力点を精度良く追尾することができないという課題があった。すなわち、太陽電池のI−V特性は、日射量や温度の影響を受けて変動する。このため、太陽電池の最大電力点も日射量や温度の影響を受けて変動するが、従来の最大電力制御は、日射量や温度の影響を考慮するものではない。
そこで、本発明は、上記した従来の技術の課題を解決するためになされたものであり、太陽電池の最大電力点を精度良く追尾することが可能な最大電力制御装置および最大電力制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、太陽電池の出力電力が最大となるように制御する最大電力制御装置であって、前記太陽電池の短絡電流を計測する短絡電流計測手段と、前記太陽電池の温度を計測する温度計測手段と、前記短絡電流計測手段によって計測された短絡電流と前記温度計測手段によって計測された温度とを用いて、前記太陽電池の出力電力が最大となる最大電力点における当該太陽電池の電圧値を導出する最大電力点導出手段と、前記最大電力点導出手段によって導出された電圧値の電圧が前記太陽電池から出力されるように、当該太陽電池からの出力をスイッチング制御するスイッチング制御手段と、を備えたことを特徴とする。
太陽電池の最大電力点を精度良く追尾する。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る最大電力制御装置および最大電力制御方法の実施例を詳細に説明する。まず、実施例1に係る最大電力制御装置の概要を説明し、続いて、最大電力制御装置の構成、処理手順、実施例1の効果を説明する。その後、他の実施例を説明する。
[実施例1に係る最大電力制御装置の概要]
まず、図1を用いて、実施例1に係る最大電力制御装置の概要を説明する。図1は、実施例1に係る最大電力制御装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施例1に係る最大電力制御装置1において、まず、短絡制御部33aが、FET(電界効果トランジスタ、Field Effect Transistor)(Q1)12を制御して『ON』の状態とし、FET(Q2)13を制御して『OFF』の状態とする。すると、抵抗11に太陽電池10の短絡電流が流れるので、電流計測部21が、太陽電池10の短絡電流を計測する。また、温度計測部22が、太陽電池10の温度を計測する。
続いて、最大電力点電圧導出部31が、電流計測部21によって計測された太陽電池10の短絡電流と、温度計測部22によって計測された太陽電池10の温度とを用いて、最大電力点における太陽電池10の電圧値(以下、最大電力点電圧)を導出する。
例えば、実施例1における最大電力点電圧記憶部32は、太陽電池10の短絡電流と温度との組合せに対応づけて、最大電力点電圧を記憶している。このため、最大電力点電圧導出部31は、電流計測部21によって計測された短絡電流と温度計測部22によって計測された温度とを用いて最大電力点電圧記憶部32を参照し、計測された短絡電流と温度との組合せに対応づけて記憶されている最大電力点電圧を検索することで、最大電力点電圧を導出する。
そして、スイッチング制御部33bが、FET(Q1)12を制御して『OFF』の状態とし、FET(Q2)13をスイッチング制御する。すなわち、スイッチング制御部33bは、最大電力点電圧導出部31によって導出された最大電力点電圧が太陽電池10から出力されるように、太陽電池10からの出力をスイッチング制御する。
このように、実施例1に係る最大電力制御装置1は、太陽電池10の短絡電流および温度を計測し、計測した短絡電流および温度を用いて最大電力点電圧を導出した上で太陽電池10からの出力を制御するので、太陽電池10の最大電力点を精度良く追尾することが可能になる。
すなわち、太陽電池10の最大電力点は、日射量や温度の影響を受けて変動する。この点、実施例1に係る最大電力制御装置1は、計測した短絡電流および温度を用いて最大電力点電圧を導出することで、日射量や温度の影響を受けた最大電力点の変動を考慮する。このため、実施例1に係る最大電力制御装置1は、太陽電池10の最大電力点を精度良く追尾することが可能になるのである。
[実施例1に係る最大電力制御装置1の構成]
次に、図1〜図5を用いて、実施例1に係る最大電力制御装置1の構成を説明する。実施例1に係る最大電力制御装置1は、図1に示すように、太陽電池10と、抵抗11と、FET(Q1)12と、FET(Q2)13と、ダイオード14と、コイル15と、コンデンサ16と、蓄電池17と、負荷18と、電流計測部21と、温度計測部22と、電圧計測部23と、制御部30とを備える。なお、図1において、回路図と制御部30等との間の点線の矢印は、回路と制御部30等との間の信号線を意味する。
太陽電池10は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する機器である。具体的には、太陽電池10は、図1に示すように、FET(Q2)13、ダイオード14、コイル15、およびコンデンサ16で構成される降圧型コンバータを介して蓄電池17や負荷18に接続され、太陽電池10の出力電力は、蓄電池17や負荷18に供給される。
抵抗11は、太陽電池10の出力電流を計測するための素子である。具体的には、抵抗11は、図1に示すように、太陽電池10、FET(Q1)12、およびFET(Q2)13に接続される。なお、抵抗11の抵抗値は十分に小さく(例えば、数10mΩ)、太陽電池10の出力性能に影響を与えない。
FET(Q1)12およびFET(Q2)13は、スイッチング素子である。具体的には、FET(Q1)12およびFET(Q2)13は、図1に示すように、太陽電池10の一端に接続される。
最大電力制御装置1において、FET(Q1)12が『ON』の状態に制御され、FET(Q2)13が『OFF』の状態に制御されると、抵抗11に太陽電池10の短絡電流が流れる。また、最大電力制御装置1において、FET(Q1)12が『OFF』の状態に制御され、FET(Q2)13が『ON』の状態に制御されると、太陽電池10の出力電力は、蓄電池17や負荷18に供給される。この時、最大電力制御装置1において、FET(Q2)13がスイッチング制御されることで、太陽電池10からの出力が制御される。
最大電力制御装置1において、FET(Q2)13、ダイオード14、コイル15、およびコンデンサ16は、降圧型コンバータを構成する。実施例1においては、最大電力点電圧の値が蓄電池17(12V)の電圧よりも高いことから、最大電力制御装置1は、降圧型コンバータを備えることとした。なお、コンデンサ16は、出力電圧を平滑化するための素子である。
蓄電池17は、太陽電池10によって発電された電力を蓄える素子である。なお、実施例1においては、12V100Ahの蓄電池17を想定する。負荷18は、太陽電池10によって発電された電力を消費する素子である。
電流計測部21は、太陽電池10の短絡電流を計算する。具体的には、電流計測部21は、短絡制御部33aから太陽電池10を短絡した旨を通知されると、抵抗11の両端に発生する電位差をセンサ機能によって計測し、計測した電位差と抵抗値とを用いて太陽電池10の短絡電流を計算する。また、電流計測部21は、計算した太陽電池10の短絡電流を最大電力点電圧導出部31に通知する。なお、実施例1においては、電流計測部21が、計測した電位差から短絡電流を計算し、計算した短絡電流を最大電力点電圧導出部31に通知する手法を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、最大電力点電圧記憶部32が、電位差と温度との組合せに対応づけて最大電力点電圧を記憶していれば、電流計測部21は、計測した電位差を最大電力点電圧導出部31に通知すればよい。この場合には、電流計測部21における処理負荷が軽減される。
温度計測部22は、センサ機能によって太陽電池10の温度を計測する。具体的には、温度計測部22は、短絡制御部33aから太陽電池10を短絡した旨を通知されると、太陽電池10の温度を計測する。また、温度計測部22は、計測した太陽電池10の温度を最大電力点電圧導出部31に通知する。
ここで、図2を用いて、太陽電池10のI−V特性を説明する。図2は、太陽電池のI−V特性を説明するための図である。太陽電池10のI−V特性は、図2の(A)に示すように、曲線を描く。開放電圧Voは、太陽電池10の出力を開放した時の出力電圧であり、短絡電流Isは、太陽電池10の出力を短絡した時の出力電流である。
例えば、太陽電池10に負荷を接続し、太陽電池10の出力電圧がV1、出力電流I1である時、太陽電池10が発電する発電電力W1は、W1=V1×I1と計算される。すなわち、図2の(A)の斜線で示す領域の面積が、太陽電池10が発電する発電電力W1に相当する。このため、実施例1に係る最大電力制御装置1は、太陽電池10の出力電力が最大となるように、すなわち、斜線で示す領域の面積が最大となるように、出力電圧を制御する。
ここで、太陽電池10のI−V特性は、日射量や温度の影響を受けて変動する。具体的には、太陽電池10は、図2の(B)に示すように、日射量が減ると短絡電流Isが減るというI−V特性を示す。また、太陽電池10は、図2の(C)に示すように、温度が上がると開放電圧Voが減るというI−V特性を示す。このため、実施例1に係る最大電力制御装置1において、電流計測部21が、太陽電池10の短絡電流を計測し、温度計測部22が、太陽電池10の温度を計測する。
電圧計測部23は、センサ機能によって太陽電池10の電圧を計測する。具体的には、電圧計測部23は、スイッチング制御部33による制御が行われている際に、太陽電池10の電圧を計測する。また、電圧計測部23は、計測した電圧をスイッチング制御部33に通知する。
制御部30は、図1に示すように、最大電力点電圧導出部31と、最大電力点電圧記憶部32と、FET制御部33とを備える。
最大電力点電圧導出部31は、太陽電池10の最大電力点電圧を導出する。具体的には、最大電力点電圧導出部31は、電流計測部21から通知された太陽電池10の短絡電流と、温度計測部22から通知された太陽電池10の温度とを用いて、最大電力点電圧記憶部32を参照する。そして、最大電力点電圧導出部31は、計測された短絡電流と温度との組合せに対応づけて記憶されている最大電力点電圧を検索することで、最大電力点電圧を導出し、導出した最大電力点電圧をスイッチング制御部33bに通知する。
最大電力点電圧記憶部32は、太陽電池10の最大電力点電圧に関する情報を記憶する。例えば、最大電力点電圧記憶部32は、図3に示すように、太陽電池10の短絡電流と温度との組合せに対応づけて、最大電力点電圧を記憶している。図3は、最大電力点電圧記憶部を説明するための図である。
図3の例では、最大電力点電圧記憶部32は、定格90W、開放電圧21V、短絡電流5.5Aの太陽電池10の最大電力点電圧に関する情報を記憶する。例えば、最大電力点電圧記憶部32は、太陽電池10の短絡電流5.0Aと温度15℃との組合せに対応づけて、最大電力点電圧17.6Vを記憶する。
FET制御部33は、図1に示すように、短絡制御部33aと、スイッチング制御部33bとを備える。
短絡制御部33aは、太陽電池10を短絡するように制御する。具体的には、短絡制御部33aは、FET(Q1)12およびFET(Q2)13を制御し、太陽電池10を短絡した旨を電流計測部21および温度計測部22に通知する。
例えば、短絡制御部33aは、図4に示すように、FET(Q1)12を制御して『ON』の状態とし、FET(Q2)13を制御して『OFF』の状態とする。すると、図4に示すように、抵抗11に太陽電池10の短絡電流が流れる。なお、図4は、短絡制御を説明するための図である。
スイッチング制御部33bは、太陽電池10からの出力を制御する。具体的には、スイッチング制御部33bは、FET(Q2)13を制御する。
ここで、スイッチング制御部33bによるスイッチング制御を詳述する。スイッチング制御部33bによるスイッチング制御は、FET(Q2)13へPWM信号を送信することにより行われる。PWM信号とは、周期(周波数)とデューティー比とで決まるON/OFF繰り返し信号である。デューティー比とは、ON時間/(ON+OFF時間)で決まるON時間の割合で、デューティー比が大きいほど、ON時間(つながっている時間)が長くなる。例えば、周期50μsec、デューティー比50%というPWM信号は、25μsecの間はON、25μsecの間はOFFという信号を繰り返すことになる。周期は50μsecのままデューティー比を80%に上げると、40μsecの間はON、10μsecの間はOFFという信号を繰り返すことになる。
ところで、実施例1において、スイッチング制御部33bが、太陽電池10からの出力をスイッチング制御するとは、目標とする最大電力点電圧を太陽電池10が出力するように、FET(Q2)13へのPWM信号のデューティー比を調整することである。スイッチ制御部33bがスイッチング制御を開始すると、FET(Q2)13へ適当なPWM信号(初期値)が送信される。すると、回路自体は降圧型コンバータであるので、ある比率で降圧が起こり、電圧計測部23によって計測された太陽電池10の出力電圧が判明する。
すなわち、スイッチング制御部33bは、電圧計測部23から太陽電池10の出力電圧を通知されると、通知された出力電圧が目標とする最大電力点電圧を超えている場合には、デューティー比を上げるように調整する。デューティー比を上げるとON時間の比率が高くなるので、より多くの充電電流が蓄電池17へ流れ、太陽電池10の出力電圧が低下する。
逆に、スイッチング制御部33bは、通知された出力電圧が目標とする最大電力点電圧を下回る場合には、デューティー比を下げるように調整する。デューティー比を下げるとON時間の比率が下がるので、充電電流が減少し、太陽電池10の出力電圧が上昇する。スイッチング制御部33bは、このようなデューティー比の増減制御を行うことによって、太陽電池10の出力電圧が目標とする最大電力点電圧となるように制御する。
[実施例1に係る最大電力制御装置による処理手順]
次に、図5を用いて、実施例1に係る最大電力制御装置1による処理手順を説明する。図5は、実施例1に係る最大電力制御装置による処理手順を示すフローチャートである。
まず、最大電力制御装置1において、短絡制御部33aが、太陽電池10を短絡するタイミングであるか否かを判定する(ステップS101)。例えば、短絡制御部33aは、太陽電池10を短絡するタイミングとして、1分毎など定期的なタイミングを定め、そのタイミングであるか否かを判定する。タイミングでないと判定した場合には(ステップS101否定)、短絡制御部33aは、タイミングを判定する処理に戻る。
一方、太陽電池10を短絡するタイミングであると判定した場合には(ステップS101肯定)、短絡制御部33aは、FET(Q1)12を制御して短絡し、FET(Q2)13を制御して開放する(ステップS102)。そして、短絡制御部33aは、太陽電池10を短絡した旨を電流計測部21および温度計測部22に通知する。
すると、短絡制御部33aから太陽電池10を短絡した旨を通知されると、電流計測部21は、抵抗11に流れる短絡電流を計測し、温度計測部22は、太陽電池10の温度を計測する(ステップS103)。そして、電流計測部21は、計測した短絡電流を最大電力点電圧導出部31に通知し、温度計測部22は、計測した温度を最大電力点電圧導出部31に通知する。
続いて、最大電力点電圧導出部31は、電流計測部21から通知された太陽電池10の短絡電流と、温度計測部22から通知された太陽電池10の温度とを用いて、最大電力点を与える太陽電池10の出力電圧を導出する(ステップS104)。そして、最大電力点電圧導出部31は、導出した出力電圧をスイッチング制御部33bに通知する。
すると、スイッチング制御部33bは、まず、FET(Q1)12を制御して開放し(ステップS105)、次に、最大電力点電圧導出部31によって導出された最大電力点電圧が太陽電池10から出力されるように、FET(Q2)13をスイッチング制御する(ステップS106)。そして、最大電力制御装置1は、処理を終了する。
[実施例1の効果]
上記してきたように、実施例1に係る最大電力制御装置1は、FET(Q1)12を短絡し、太陽電池10の短絡電流を計測する。また、最大電力制御装置1は、太陽電池10の温度を計測する。また、最大電力制御装置1は、計測した短絡電流と計測した温度とを用いて、太陽電池10の出力電力が最大となる最大電力点における太陽電池10の電圧値を導出する。そして、最大電力制御装置1は、導出した電圧値の電圧が太陽電池10から出力されるように、FET(Q2)13をスイッチング制御する。
このようなことから、実施例1に係る最大電力制御装置1は、太陽電池10の短絡電流および温度を計測し、計測した短絡電流および温度を用いて最大電力点電圧を導出した上で太陽電池10からの出力を制御するので、太陽電池10の最大電力点を精度良く追尾することが可能になる。
すなわち、太陽電池10の最大電力点は、日射量や温度の影響を受けて変動する。この点、実施例1に係る最大電力制御装置1は、計測した短絡電流および温度を用いて最大電力点電圧を導出することで、日射量や温度の影響を受けた最大電力点の変動を考慮する。このため、実施例1に係る最大電力制御装置1は、太陽電池10の最大電力点を精度良く追尾することが可能になるのである。
また、実施例1に係る最大電力制御装置1は、最大電力点における太陽電池10の電圧値を、太陽電池10の短絡電流と温度との組合せに対応づけて記憶する最大電力点電圧記憶部32を備える。また、最大電力制御装置1は、計測した短絡電流と温度とを用いて最大電力点電圧記憶部32を参照することで、短絡電流と当該温度との組合せに対応づけて記憶されている電圧値を、最大電力点における太陽電池10の電圧値として導出する。このようなことから、実施例1に係る最大電力制御装置1は、容易な手法で、太陽電池10の最大電力点を精度良く追尾することが可能になる。
[他の実施例]
さて、これまで本発明の実施例1について説明してきたが、本発明は上記した実施例1以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
[最大電力点電流]
実施例1においては、最大電力制御装置1が、太陽電池10の最大電力点における電圧値を導出する手法を説明してきた。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。最大電力制御装置1が、太陽電池10の最大電力点における電流値を導出する手法にも、本発明を同様に適用することができる。この場合には、最大電力制御装置1は、太陽電池10の短絡電流を計測する電流計測部21と、計測した短絡電流を用いて太陽電池10の出力電力が最大となる最大電力点における太陽電池10の電流値を導出する最大電力点電流導出部と、導出した電流値の電流が太陽電池10から出力されるように、太陽電池からの出力をスイッチング制御するスイッチング制御部33bとを備える。
すなわち、最大電力制御装置1は、最大電力点電圧記憶部32の代わりに、最大電力点電流記憶部を備える。最大電力点電流記憶部は、例えば、定格90W、開放電圧21V、短絡電流5.5Aの太陽電池10について、短絡電流が5.0Aの場合に4.8A、短絡電流が3.0Aの場合に2.9A、短絡電流が1.0Aの場合に0.9A、といった最大電力点電流を記憶する。なお、最大電力点電流は、太陽電池10の温度によっても変化するが、その変化が非常に小さいことから、ここでは、同じ値を用いることとする。
また、最大電力制御装置1は、最大電力点電圧導出部31の代わりに、最大電力点電流導出部を備える。そして、最大電力点電流導出部は、電流計測部21から通知された短絡電流を用いて最大電力点電流記憶部を参照し、計測された短絡電流に対応づけて記憶されている最大電力点電流を検索することで、最大電力点電流を導出し、導出した最大電力点電流をスイッチング制御部33bに通知する。なお、最大電力点電流記憶部が、短絡電流と温度との組合せに対応づけて最大電力点電流を記憶している場合には、最大電力点電流導出部は、温度計測部22から通知された温度も用いて最大電力点電流記憶部を参照することになる。
そして、スイッチング制御部33bは、実施例1と同様、PWM信号をFET(Q2)13に送信する。実施例2においてスイッチング制御部33bが目標とするのは、最大電力点電流である。このため、スイッチング制御部33bは、電流計測部21によって計算された電流値を電流計測部21から通知されると、通知された出力電流が目標とする最大電力点電流を超えている場合には、デューティー比を下げるように調整する。デューティー比を下げるとON時間の比率が下がるので、出力電流が減少する。
逆に、スイッチング制御部33bは、通知された出力電流が目標とする最大電力点電流を下回る場合には、デューティー比を上げるように調整する。デューティー比を上げるとON時間の比率が上がるので、出力電流が増加する。スイッチング制御部33bは、このようなデューティー比の増減制御を行うことによって、太陽電池10の出力電流が目標とする最大電力点電流となるように制御する。
[最大電力点電圧、最大電力点電流の導出]
また、実施例1においては、最大電力点電圧記憶部32が、太陽電池10の短絡電流と温度との組合せと予め計算された最大電力点電圧との対応表を記憶しており、最大電力点電圧導出部31が、最大電力点電圧記憶部32の対応表を参照することで、最大電力点電圧を導出する手法を説明してきた。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、最大電力制御装置1は、太陽電池10のI−V特性を示す計算式を記憶していてもよい。すなわち、最大電力点電圧導出部31は、電流計測部21から通知された短絡電流と温度計測部22から通知された温度とをI−V特性を示す計算式に代入し、計算式を計算することで、太陽電池10の最大電力点電圧をその都度導出してもよい。この手法によれば、最大電力制御装置1は、太陽電池10の最大電力点電圧をより精度良く導出することが可能になる。
もっとも、計算式による手法では、計算量が膨大になり、計算方法が複雑になる。すなわち、最大電力点電圧導出部31は、I−Vカーブを求め、面積(発電量)と電圧の関係を求め、さらに、最大電力を与える電圧を求めることになる。このため、通常は対応表による手法の方を適用することになると考えられるが、例えば、制御部30の性能が高性能な場合などには、計算式による手法を適用してもよい。なお、最大電力制御装置1が、最大電力点電圧導出部31の代わりに最大電力点電流導出部を備える場合も同様に、最大電力制御装置1は、太陽電池10のI−V特性を示す計算式を記憶していてもよい。
[短絡の契機]
また、実施例1においては、短絡制御部33aが太陽電池10を短絡するタイミングとして、1分毎などの定期的なタイミングを想定してきた。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。例えば、短絡制御部33aは、太陽電池10からの入力電流が想定値を逸脱した時(例えば、短絡電流5.0Aならば4.8±0.3Aを逸脱した時)に、太陽電池10を短絡してもよい。太陽電池10を短絡している間は蓄電池17を充電することができないので、想定値を逸脱した時に太陽電池10を短絡する手法の方が、定期的なタイミングで短絡する手法よりも効率的であるといえる。もっとも、想定値を逸脱した時に太陽電池10を短絡する手法を用いる場合においては、デューティー比の調整中、目標値に到達する前に逸脱と判定してしまうことがないように、スイッチング制御を開始してから目標値に到達するまで(1秒未満)逸脱の判定を行わないようにする。
[FET]
また、実施例1においては、FET(Q1)12を用いる手法を説明してきたが、本発明はこれに限られるものではなく、FET(Q1)12の代わりに、他のスイッチ(例えば、リレーなど)を用いることもできる。すなわち、FET(Q1)12は、スイッチング制御によるスイッチング動作をするわけではなく、太陽電池10の短絡電流を計測する時に『ON』の状態に制御されるだけである。このため、他のスイッチで代用することもできる。
[システム構成等]
また、明細書や図面で示した処理手順(図5など)、具体的名称(図1〜図5など)、各種のデータやパラメータを含む情報(図3など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、図示した最大電力制御装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。また、最大電力点電圧導出部31、最大電力点電圧記憶部32、FET制御部33は、一つのマイクロプロセッサ上で、ソフトウェア処理によって行うことでもよい。
以上のように、本発明に係る最大電力制御装置および最大電力制御方法は、太陽電池の出力電力が最大となるように制御することに有用であり、特に、太陽電池の最大電力点を精度良く追尾することに適する。
実施例1に係る最大電力制御装置の構成を示すブロック図である。 太陽電池のI−V特性を説明するための図である。 最大電力点電圧記憶部を説明するための図である。 短絡制御を説明するための図である。 実施例1に係る最大電力制御装置による処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 最大電力制御装置
10 太陽電池
11 抵抗
12 FET(Q1)
13 FET(Q2)
14 ダイオード
15 コイル
16 コンデンサ
17 蓄電池
18 負荷
21 電流計測部
22 温度計測部
23 電圧計測部
30 制御部
31 最大電力点電圧導出部
32 最大電力点電圧記憶部
33 FET制御部
33a 短絡制御部
33b スイッチング制御部

Claims (8)

  1. 太陽電池の出力電力が最大となるように制御する最大電力制御装置であって、
    前記太陽電池の短絡電流を計測する短絡電流計測手段と、
    前記太陽電池の温度を計測する温度計測手段と、
    前記短絡電流計測手段によって計測された短絡電流と前記温度計測手段によって計測された温度とを用いて、前記太陽電池の出力電力が最大となる最大電力点における当該太陽電池の電圧値を導出する最大電力点導出手段と、
    前記最大電力点導出手段によって導出された電圧値の電圧が前記太陽電池から出力されるように、当該太陽電池からの出力をスイッチング制御するスイッチング制御手段と、
    を備えたことを特徴とする最大電力制御装置。
  2. 前記最大電力点における太陽電池の電圧値を当該太陽電池の短絡電流と温度との組合せに対応づけて記憶する最大電力点電圧記憶手段をさらに備え、
    前記最大電力点導出手段は、前記短絡電流計測手段によって計測された短絡電流と前記温度計測手段によって計測された温度とを用いて前記最大電力点電圧記憶手段を参照し、当該短絡電流と当該温度との組合せに対応づけて記憶されている電圧値を、前記最大電力点における太陽電池の電圧値として導出することを特徴とする請求項1に記載の最大電力制御装置。
  3. 前記最大電力点における太陽電池の電圧値を当該太陽電池の短絡電流と温度とから計算する計算式を記憶する最大電力点計算式記憶手段をさらに備え、
    前記最大電力点導出手段は、前記短絡電流計測手段によって計測された短絡電流と前記温度計測手段によって計測された温度とを前記最大電力点計算式記憶手段によって記憶された計算式に代入し、当該計算式を計算することで、前記最大電力点における太陽電池の電圧値を導出することを特徴とする請求項1に記載の最大電力制御装置。
  4. 太陽電池の出力電力が最大となるように制御する最大電力制御方法であって、
    前記太陽電池の短絡電流を計測する短絡電流計測工程と、
    前記太陽電池の温度を計測する温度計測工程と、
    前記短絡電流計測工程によって計測された短絡電流と前記温度計測工程によって計測された温度とを用いて、前記太陽電池の出力電力が最大となる最大電力点における当該太陽電池の電圧値を導出する最大電力点導出工程と、
    前記最大電力点導出工程によって導出された電圧値の電圧が前記太陽電池から出力されるように、当該太陽電池からの出力をスイッチング制御するスイッチング制御工程と、
    を含んだことを特徴とする最大電力制御方法。
  5. 太陽電池の出力電力が最大となるように制御する最大電力制御装置であって、
    前記太陽電池からの入力電流が想定値を逸脱したと判定した場合に太陽電池を短絡する短絡制御手段と、
    前記太陽電池の短絡電流を計測する短絡電流計測手段と、
    前記短絡電流計測手段によって計測された短絡電流を用いて、前記太陽電池の出力電力が最大となる最大電力点における当該太陽電池の電流値を導出する最大電力点導出手段と、
    前記最大電力点導出手段によって導出された電流値の電流が前記太陽電池から出力されるように、当該太陽電池からの出力をスイッチング制御するスイッチング制御手段とを備え、
    前記短絡制御手段は、前記想定値を逸脱したと一旦判定すると、前記スイッチング制御が開始されてから前記電流値の電流が前記太陽電池から出力された後に、前記想定値を逸脱するか否かの判定を再開することを特徴とする最大電力制御装置。
  6. 前記最大電力点における太陽電池の電流値を当該太陽電池の短絡電流に対応づけて記憶する最大電力点電流記憶手段をさらに備え、
    前記最大電力点導出手段は、前記短絡電流計測手段によって計測された短絡電流を用いて前記最大電力点電流記憶手段を参照し、当該短絡電流に対応づけて記憶されている電流値を、前記最大電力点における太陽電池の電流値として導出することを特徴とする請求項5に記載の最大電力制御装置。
  7. 前記最大電力点における太陽電池の電流値を当該太陽電池の短絡電流から計算する計算式を記憶する最大電力点計算式記憶手段をさらに備え、
    前記最大電力点導出手段は、前記短絡電流計測手段によって計測された短絡電流を前記最大電力点計算式記憶手段によって記憶された計算式に代入し、当該計算式を計算することで、前記最大電力点における太陽電池の電流値を導出することを特徴とする請求項5に記載の最大電力制御装置。
  8. 太陽電池の出力電力が最大となるように制御する最大電力制御方法であって、
    前記太陽電池からの入力電流が想定値を逸脱したと判定した場合に太陽電池を短絡する短絡制御工程と、
    前記太陽電池の短絡電流を計測する短絡電流計測工程と、
    前記短絡電流計測工程によって計測された短絡電流を用いて、前記太陽電池の出力電力が最大となる最大電力点における当該太陽電池の電流値を導出する最大電力点導出工程と、
    前記最大電力点導出工程によって導出された電流値の電流が前記太陽電池から出力されるように、当該太陽電池からの出力をスイッチング制御するスイッチング制御工程とを含み、
    前記短絡制御工程は、前記想定値を逸脱したと一旦判定すると、前記スイッチング制御が開始されてから前記電流値の電流が前記太陽電池から出力された後に、前記想定値を逸脱するか否かの判定を再開することを特徴とする最大電力制御方法。
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