JP5046865B2 - 吸収性物品及びその製造方法 - Google Patents
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本実施形態の使い捨ておむつ10は、図1及び図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性ないし撥水性(以下、これらを総称して液不透過性という)の裏面シート3及びこれら両シート2,3間に配置された吸収体1を有し、実質的に縦長に形成されている展開型のものである。
吸収体1は、実質的に縦長で、全体として長手方向中央部が内方に括れた砂時計状の形状となっており、その長手方向をおむつ10の長手方向に一致させて該おむつ10の幅方向中央部に配されている。吸収体1と表面シート2との間、及び吸収体1と裏面シート3との間は、何れもホットメルト粘着剤等の接合手段により接合されている。
尚、以下の説明において、「長手方向」及び「幅方向」というときは、それぞれ「吸収性物品の長手方向」及び「吸収性物品の幅方向」を意味する。「上面」及び「下面」というときは、それぞれ「肌当接面(側の面)」及び「非肌当接面(側の面)」を意味する。
おむつ10は、股下部Cの両側縁が内向きの円弧状に湾曲しており、全体として長手方向中央部が内方に括れた砂時計状の形状となっている。表面シート2は、吸収体1よりも外形寸法の大きい略矩形状の平面視形状を有しており、裏面シート3の幅方向中央部に配されている。裏面シート3は、おむつの外形形状に一致する砂時計状の外形を有している。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ吸収体1の長手方向両端縁部1a,1a及び幅方向両側縁部(図示せず)から外方に延出しており、それらの延出部において直接的に又は他の部材を介在させて互いに接合されている。
背側部Aにおける胴回り部Eは、図1に示すようにおむつ10を、その各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態(展開状態)とし、背側部A側を上側、腹側部B側を下側と考えた場合に、ウエスト部Dよりも下方に位置し且つ股下部Cよりも上方に位置する領域である。胴回りギャザーの長手方向に沿った長さL1は、おむつ10の長手方向の全長に対して、好ましくは5〜15%である。
このように、吸収体1の長手方向両端縁部1a,1bが、それぞれ吸収体1の他の部分に比して厚みの薄い薄肉部となっていることにより、吸収体の長手方向両端縁部が薄肉部となっていない場合に比して、柔軟な該薄肉部がおむつ着用者の肌に追従するので、おむつと身体との間に生じる隙間が小さくなり、これにより良好なフィット性が得られる。このような、長手方向両端縁部が薄肉部となっている吸収体は、後述する本発明の吸収体の製造方法によって得ることができる。
また、吸収体1の長手方向両端縁部(薄肉部)1a,1b以外の部分の厚みをT2とした場合、厚みT2に対する厚みT1の割合〔(T1/T2)×100〕(%)は、好ましくは25〜80%、更に好ましくは40〜65%である。この割合が25%未満であると、吸収体1の段差部分(前記薄肉部)と身体との間に隙間が生じやすくなり、また、この割合が80%を超えると、前記薄肉部の肌への追随性が損なわれるため、好ましくない。
これに対し、本実施形態では、上述したように吸収体1の長手方向両端縁部1a,1bの厚みを該吸収体1の他の部分に比して薄くすることで、吸収体1の厚みが長手方向両端縁部1a,1bに向かって段階的に薄くなる構成とし、これにより、ファスニングテープ12の貼付に起因する長手方向端縁部1a,1bの着用者に対する押し付け力を分散させている。そして、更に、本実施形態では、特に押し付け力が集中しやすい吸収性コア4の平面視における4隅1ab,2abを、それぞれ内方に向かって括れた形状にすることで、これら4隅の着用者に対する押し付け力を分散しており、これらの作用により、より肌に優しいおむつ構成を実現している。
ここで、「吸収性コアの長手方向両端縁部が、被覆シートの長手方向端両縁部と一致している」とは、吸収性コア4の長手方向両端縁部4a,4bそれぞれにおいて、その長手方向端縁4aa(4ba)と被覆シート5の長手方向端縁5aa(5ba)との間の位置ズレが、5mm以内、好ましくは3mm以内、最も好ましくは1mm以内であることを意味する。
このように、吸収性コア4とこれを被覆する被覆シート5とが擬似接合している吸収体は、後述する本発明の吸収性物品の製造方法によって得ることができる。即ち、本発明の吸収性物品の製造方法は、複数の吸収性コア4の前駆体40がその長手方向に一列に連接されてなり且つその外面が長尺の被覆シート70,71で被覆されてなる、コア連続体41を、該被覆シート70,71と共に該前駆体40の一単位毎に切断する切断工程を有しており、上述した、「吸収性コア4の長手方向端縁部4a(4b)と被覆シート5の長手方向端縁部5a(5b)とが密接している部分」は、この切断工程によって生じた切断端部である。
また、吸収性コア4の長手方向端縁部4a,4bが、被覆シート5の長手方向端縁部5a,5bに一致している状態で、該端縁部4a(4b)と該端縁部5a(5b)とが密接(擬似接合)していることにより、吸収体1の長手方向両端縁部における被覆シート5のめくれや剥がれ(いわゆる口開き)を防止することができ、これにより、おむつの製造過程やおむつの使用時に、吸収性コア4の内部に存在している吸収性ポリマーの脱落を防止することができる。
吸収性コア4を構成するパルプ繊維の平均繊維長に特に制限は無いが、一般的な範囲として、1〜5mmであることが好ましい。
吸収性コア4におけるパルプ繊維の含有量は、吸収性コア4の重量に対して、好ましくは25〜75重量%、更に好ましくは40〜60重量%である。
被覆シート5における合成繊維の含有量は、前記パルプ繊維の重量に対して、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは25重量%以下である。被覆シート5における合成繊維の含有量が50重量%を超えると、その分、パルプ繊維の含有量が減ることになり、その結果、被覆シート5と吸収性コア4との間の擬似接合の接合力が弱まったり、あるいは擬似接合が発生しなくなったりするおそれがある。
また、被覆シート5の坪量(上部被覆シート51、下部被覆シート52それぞれの坪量)は、好ましくは5〜305g/m2、更に好ましくは10〜20g/m2である。
ここで、「吸収体1の長手方向端縁部1bが、ランディングテープ13の端縁部13bと一致している」とは、長手方向端縁部1bの長手方向端縁1baと端縁部13bの長手方向端縁13baとの間の位置ズレが、10mm以内、好ましくは8mm以内、最も好ましくは5mm以内であることを意味する。
このように、吸収体1の一方の長手方向端縁部1bが、ランディングテープ13における、おむつ10の長手方向端縁に最も近接する端縁部13bと一致していることにより、吸収体1の長手方向において、液保持性の吸収性コア4が設けられていない領域による段差が存在しなくなるため、ランディングテープ13上に段差や吸収体1の段差に対応する位置に発生する皺が発生するのを抑制することができる。これにより、ファスニングテープ12をランディングテープ13に止着する際により確実な係合がされうるという効果が奏される。
一対の前記胴回りギャザー間の間隔をW1、吸収体1の他方の長手方向端縁部1aの幅方向の長さ(端縁部1aの最大幅)をW2とした場合、間隔W1に対する長さW2の比(W2/W1)は、好ましくは0.5〜1.5、更に好ましくは0.8〜1.2である。
即ち、本実施形態の使い捨ておむつ10においては、吸収体1は、上述したように長手方向両端縁部1a,1bが何れも該吸収体1の他の部分に比して厚みの薄い薄肉部となっていることに加えて、更に、図3及び図4に示すように吸収性コア4の長手方向両端縁部4a,4bが、被覆シート5(上部被覆シート51及び下部被覆シート52)の長手方向両端縁部5a,5bと一致した構成となっている。
他方、従来の使い捨ておむつにおいては、図8に示すように、被覆シート6の長手方向端縁部6Aの口開きを防止するために、被覆シート6の長手方向端縁部6Aに十分な幅を有するシール部6Bを形成しているため、液保持性に関与する吸収性コア5を被覆シート6の長手方向端縁部6Aから後退した位置に配設しなければならず、その結果、その長手方向端縁部6Aから漏れが生じ易くなってしまう。また、そのような液保持性の問題を解決すべく、吸収体4を長手方向端縁部6A寄りに配置すると、表面シート2と裏面シート3とを接着する領域を十分に確保できないためにその領域の接着が弱くなってしまい、これにより、おむつ使用時において、尿を吸収して膨潤した吸収性ポリマーやパルプ等の吸収性コア5の構成部材が、おむつ着用者の体圧や動作などにより、おむつの長手方向端部から押し出されてしまうという問題があった。
これに対し、本実施形態の使い捨ておむつ10は、吸収体1の長手方向両端縁部1a,1b(図3中、斜線を付した部分)を該吸収体1の他の部分に比して厚みの薄い薄肉部としているため、吸収体の長手方向端縁部にそのような薄肉部を有しないおむつに比べて、プレスロールの可動軸の変位追随性がより良好となり、表面シートと裏面シートとを吸収体のおむつ前駆体の搬送方向下流側端縁部のより近傍まで圧着することができるから、吸収性ポリマーが着用者の肌に付着してしまうといった問題が生じにくい。
尚、後述する本発明の製造方法の説明においては、上述した実施形態と同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、上述した実施形態の説明が適宜適用される。
こうして形成されたコア連続体41においては、リブ64に対応する部分42は、該部分42以外の他の部分に比して、リブ64の厚みに相当する分だけ吸収体材料が少ないため、厚みの薄い肉薄部42となる。
尚、リブ64が通気性のない材料から構成される場合、周壁部62からリブ64までの深さ(周壁部62の外面からリブ64の外面までの深さ)に対して、リブ64の幅(コア連続体41の長手方向に沿った長さ)が長すぎると、リブ64上に吸収体材料が堆積にくくなる。このような観点から、リブ64の幅をW、周壁部62からリブ64までの深さをDとした場合、幅Wに対する深さDの割合〔(W/D)×100〕(%)は、好ましくは300%以下、更に好ましくは250%以下である。
また、リブ64の幅(コア連続体41の長手方向に沿った長さ)は、5mm以上であることが好ましい。リブ64の幅が5mm未満では、後工程にプレスロールなどによる圧縮工程がある場合には吸収性コアの薄肉部が不明瞭になったり、後のコア連続体41を薄肉部において切断する工程でカット位相の制御が難しくなる。
また、リブ64は、底部61上における、コア連続体41の隣り合う前駆体40,40間の境界40Lに対応する位置に、該境界40Lをドラム周方向に跨ぐように設けられることが好ましい。
第1被覆シート70におけるコア連続体41との重合面には、ホットメルト供給手段67によって、コア連続体41が重ね合わされる前にホットメルト接着剤が塗布される。
この切断工程においては、コア連続体41のリブ64に対応する部分42、即ち、薄肉部42を切断する。通常、コア連続体41の隣り合う前駆体40,40間の境界40Lにて、該コア連続体41を切断する。
切断工程において切断されるコア連続体41の薄肉部42は、上述した回転ドラム60の凹部63内に設けられた突出部63,63により、図7に示すように、平面視において内方に括れた括れ部となっているので、切断位置が分かり易く、切断箇所を間違える等のミスを誘発し難い。こうして、吸収体1が製造される。
また、前記切断工程で切断されるコア連続体41の切断部の厚みが薄いため、該切断部の厚みが厚い場合に比して、切断時の剪断応力による切断端部の硬化が少なく、結果として、柔軟な切断端部(長手方向端縁部1a,1b)が得られる。吸収体1の長手方向端縁部1a,1bが柔軟であると、おむつ着用者に対するフィット性が高まる。
また吸収体1は、複数の吸収性コア4の前駆体40が該前駆体40の長手方向に一列に連接されてなる、コア連続体41を経て製造されているため、このような吸収体の連続体を作らずに最初から一単位毎に吸収体を製造する場合、即ち、前記吸収体材料を回転ドラム60の周面に不連続に堆積させる場合に比して、吸収性ポリマーの分布を均一にすることができ、この結果、良好な液吸収性が得られる。
例えば、前記実施形態では、本発明の吸収性物品の適用例の一つとしていわゆる展開型の使い捨ておむつを挙げたが、予めパンツ型に成形されたパンツ型の使い捨ておむつの他、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等にも適用することができる。
1 吸収体
1a,1b 吸収体の長手方向端縁部
4 吸収性コア
4a,4b 吸収性コアの長手方向端縁部
5 被覆シート
51 上部被覆シート
52 下部被覆シート
5a,5b 被覆シートの長手方向端縁部
2 表面シート
3 裏面シート
12 ファスニングテープ
13 ランディングテープ
A 背側部
B 腹側部
C 股下部
D ウエスト部
E 胴回り部
60 回転ドラム
40 吸収性コアの前駆体
40L コア連続体における隣り合う前駆体間の境界
41 コア連続体
42 コア連続体のリブに対応する部分(薄肉部)
61 底部
62 周壁部
63 凹部
64 リブ
65 突出部
70,71 長尺の被覆シート
Claims (4)
- 表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に配置された吸収体を具備し、背側部、腹側部及びこれらの間に位置する股下部を長手方向に有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、パルプ繊維及び吸収性ポリマーを含む縦長の吸収性コアと、該吸収性コアを被覆する被覆シートとを含んで構成されており、該吸収体の長手方向両端縁部が該吸収体の他の部分に比して厚みの薄い薄肉部となっており、且つ該吸収性コアの平面視における4隅が内方に向かって括れており、
前記吸収性コアの長手方向両端縁部は、前記被覆シートの長手方向両端縁部と一致しており、且つ該吸収性コアの長手方向端縁部と該被覆シートの長手方向端縁部とが、密接しており、
前記被覆シートは、前記吸収性コアの長手方向両端縁部それぞれの端面については全く又はほとんど被覆しておらず、
前記吸収体の前記裏面シート側には、前記薄肉部の存在により、段差が生じているものの、該吸収体の前記表面シート側には該吸収体の厚み差に起因する段差が無く、該表面シート側は平滑である
前記背側部における胴回り部の左右両側部それぞれに、複数本の弾性部材が配設されて左右一対の胴回りギャザーが形成されており、一対の該胴回りギャザーの間に、前記吸収体の他方の長手方向端縁部が位置している吸収性物品。 - 前記背側部の左右両側縁部に一対のファスニングテープが設けられ、前記腹側部の非肌当接面上に該ファスニングテープ止着用のランディングテープが貼付されており、
前記吸収体の一方の長手方向端縁部が、前記ランディングテープにおける前記腹側部の長手方向端縁寄りの端縁部と一致している請求項1記載の吸収性物品。 - 請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法であって、
パルプ繊維及び吸収性ポリマーを含む吸収体材料を飛散させて、該吸収体材料を、底部及び周壁部を有する凹部が周面に形成されている回転ドラムの該底部上に堆積させ、複数の前記吸収性コアの前駆体が該前駆体の長手方向に一列に連接されてなる、コア連続体を得る連続体形成工程と、
前記コア連続体を長尺の前記被覆シートで被覆する被覆工程と、
前記被覆シートで被覆された前記コア連続体を、該被覆シートと共に前記前駆体の一単位毎に切断する切断工程とを有し、
前記凹部内の前記底部上における隣り合う前記前駆体間の境界に対応する位置に、所定の厚みを有するリブが設けられ、前記コア連続体の該リブに対応する部分が、該コア連続体の他の部分に比して厚みが薄くなるようになされており、
前記切断工程において、前記コア連続体の前記リブに対応する部分を切断する吸収性物品の製造方法。 - 前記凹部内の前記周壁部に、前記リブに連接された突出部が設けられ、前記コア連続体の該リブに対応する部分が、該コア連続体の平面視において内方に括れるようになされている請求項3記載の吸収性物品の製造方法。
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