JP5046093B2 - バイオサーファクタントの生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グリセロールを原料として、バイオサーファクタントの一種であるマンノシルエリスリトールリピッドを製造する方法に関する。
近年、地球環境問題解決のために石油代替・再生産可能資源である植物油脂を活用した技術、事業に注目が集まっている。植物原料からの物質生産は京都議定書に示された規定においても、二酸化炭素の排出量がゼロカウントとされている。しかし、原料油脂の利用に伴い、グリセロールが副生するため、その有効活用が急務の課題となっている。例えば、バイオディーゼル燃料は、一般的に植物油をメチルエステル化し、ディーゼル機関用燃料としたものであるが(例えば、特許文献5、6を参照)、副産物としてグリセロールが生じる。バイオディーゼル燃料利用において、このグリセロールなどの有効利用は今後の課題となっている。
このグリセロールの利用技術としては、例えば、1,3−プロパンジオール(例えば、非特許文献13、特許文献3を参照)やコハク酸(例えば、非特許文献14、特許文献4を参照)を、グリセロールから微生物転換によって製造する方法が提案されており、 この技術は、グリセロールから新しい機能性物質や、多種の有用製品へ変換可能な基幹化合物を生産するという点で有効なグリセロールの利用技術といえる。
グリセロールは植物油脂利用の副生成物として生じるため、安価な原材料であり、バイオプロセスによる物質生産において、生産コストの低減が期待できる。このため、今後ますます、積極的なグリセロールの利用技術の開発が進められてくることが予想される。
一方、糖脂質は、脂質に1〜数十個の単糖が結合した物質であり、生体内において細胞間の情報伝達に関与し、神経系及び免疫系の機能維持にも重要な役割を果たしていることなどが明らかにされつつある。また、糖脂質は,糖の性質に由来する親水性と脂質の性質に由来する親油性の二つの性質を合わせ持つ両親媒性物質であり、このような性質を有する両親媒性物質は界面活性物質と呼ばれている。石油化学工業が隆盛となるまでは、レシチン、サポニン等の生体成分由来の界面活性剤(バイオサーファクタント)が利用されていた。近年、石油化学工業の発展により合成界面活性剤が開発され、その生産量が飛躍的に増加し、日常生活には無くてはならない物質となったが、この合成界面活性剤の使用量の拡大に伴って環境汚染が広がり、社会問題が生じている。このため、安全性が高く、環境に対する負荷を低減できる生分解性の高い界面活性物質の開発が望まれている。
従来より、微生物が生産する界面活性物質としては、糖脂質系、アシルペプタイド系、リン脂質系、脂肪酸系及び高分子系の界面活性物質の5つに分類されている。これらの中でも、糖脂質系の界面活性剤が最もよく研究されており、細菌及び酵母による多くの種類の界面活性物質が報告されている。
前記細菌としては、Pseudomonas属によるラムノリピッド(非特許文献1及び2参照)とユスチラジン酸(非特許文献3参照)、Rhodococcus属によるトレハロースリピッド(非特許文献4参照) などが知られている。しかし、いずれも生産量は15g/L以下である。
前記酵母としては、Candida属によるソホロースリピッドとマンノシルエリスリトールリピッド(特許文献1参照)などが知られている。
前記ソホロースリピッドについては、Candida bombicolaを用いてグルコースとオレイン酸の流 加培養法により200時間で180g/Lの効率的なソホロースリピッドの生産が可能であることが報告されている(非特許文献5参照)。
前記マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)については、Candidaasp.B-7株を用いて5質量%の大豆油から5日間で35g/L(生産速度:0.3g/L/h、原料収率:70質量%)のMELの生産が可能であることが報告されている(非特許文献6及び7参照)。また、Candida antarctica T-34株を用いて8質量%の大豆油から8日間で38g/L(生産速度:0.2g/L/h、原料収率: 48質量%)のMELの生産が可能であることが報告されている(非特許文献8及び9参照)。同じく、 Candida antarctica T-34株を用いて6日間隔で計3回の逐次流加により24日後に25質量% のピーナッツ油から110g/L(生産速度:0.2g/L/h、原料収率:44質量%)のMELの生産が可能であることが報告されている(非特許文献10参照)。
Candida sp.SY-16株を用いて10質量%の植物油脂から回分培養法により200時間で50 g/L(生産速度:0.25g/L/h、原料収率:50質量%)のMELの生産が可能であると共に、流加培養法により20質量%の植物油から200時間で120g/L(生産速度:0.6g/L/h、原料収率:50質量%)のMELの生産が可能であることが報告されている(非特許文献11参照)。
Pseudozyma aphidis株を用いて80質量%の植物油脂から流加培養法により24時間で13.9g/ L(生産速度:0.57g/L/h、原料収率:92質量%)のMELの生産が可能であることが報告されている(非特許文献12参照)。
また、醤油醸造工程において副産物として生産されるしょうゆ油(あぶら)を原料としてCandida antarctica T-34株を用いて7日間で8質量%のしょうゆ油から17g/L(生産速度:0.1g/L /h、原料収率:21質量%)のMELの生産が可能であることが提案されている(特許文献2参照)。
特開2002−45195号公報 特開2002−101847号公報 特開2003−507022号公報 特開2005−211041号公報 特開2002−233393号公報 特開2005−220227号公報 S.Itoh, H.Honda, Ftonami and T.Suzuki: J. Antibiotics,23,885(1971). M.Yamaguti, A.Sato and R.Yukuyama: Chem.Ind.,17,741(1976). S.S.Bhattacharijee, R.H.Haskins and P.A.Golin: Carbohyd.Res.,13,235(1970). P.Rapp, H.Boch, V.Wary and F.Wagner: J.Gen.Microbiol.,115,491(1979). U.Rau, C.Manzke and F.Wagner: Biotechnol.Lett., 18, 149(1996). T.Nakahara, H.Kawasaki, T.Sugisawa, Y.Takamori and T.Tabuchi: J.Ferment.Technol., 61, 19(1983). H.Kawasaki, T.Nakahara, M.Oogaki and T.Tabuchi: J.Ferment.Technol., 61, 143(1983). D.Kitamoto, S.Akiba, C.Hioki and T.Tabuchi: Agric.Biol.Chem., 54, 31(1990). D.KItamoto, K.Haneishi, T.Nakahara and T.Tabuchi: Agric.Biol.Chem., 54, 37(1990). D.Kitamoto, K.Fijishiro, H.Yanagishita, T.Nakane and T.Nakahara: Biotechnol.Lett., 14, 305(1992). 金,伊炳大,桂樹徹,谷吉樹:平成10年日本生物工学会大会要旨,p195. U.Rau, L.A.Naguyen, H.Roeper, H.Koch and S.Lang: Appl.Microbiol.Biotechnol.,(2005). Th..Willke, K.-D.Vorlop: Appl.Microbiol.Biotechnol.,66,131(2004). C.L.Pyung,G.L.Woo,Y.L.Sang,N.C.Ho:Biotechnol.Bioeng.,72,41(2001).
生分解性が高く、低毒性で環境に優しく、新規な生理機能を持つといわれるマンノシルエリスリトールリピッドなどのバイオサーファクタントを食品工業、医薬品工業、化学工業などで広く普及させていくためには、マンノシルエリスリトールリピッドの生産効率を高め、生産コストの低減を図ることが必要である。
現在のところ、マンノシルエリスリトールリピッドの生産方法において、生産条件の最適化による生産効率(生産速度、対原料収率、及び収率)の向上が試みられてきた。 しかしながら、いずれの方法も、脂肪酸あるいは脂肪酸トリグリセリド、若しくはこれらを含有する原料を培地に添加して、マンノシルエリスリトールリピッド生産菌を培養するものであり、脂肪酸給源を培地に添加して、マンノシルエリスリトールリピッドを生産するものであった。
一方、副生成グリセロールを主原料としてマンノシルエリスリトールリピッドを生産できれば、原材料コストの大幅な低減が可能になり、余剰の副生成グリセロールの処理も同時に達成できる。さらに、グリセロールは水溶性物質であるため、脂溶性物質である生産物(マンノシルエリスリトールリピッド)との分離が容易になり、精製プロセスの簡素化も期待できる。
上記したように、現在のマンノシルエリスリトールリピッド生産技術は油脂原料を用いることを特徴としており、これまで、グリセロールからマンノシルエリスリトールリピッドを生産できる微生物の探索は成されていなかった。
したがって、本発明の課題は、グリセロールからマンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物を探索し、これを用いて、バイオサーファクタントの生産を効率的に行うと共に、上記グリセロールの有効利用を図ることにある。
前記課題を解決するため、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、グリセロールを資化し、かつマンノシルエリスリトールを生産する能力を有する微生物を見いだし、該微生物を用いることにより、脂肪酸、あるいは油脂類等の脂肪酸給源を添加しなくとも、グリセロールからマンノシルエリスリトールを生産可能であることを確認し、本発明を完成させたものである。すなわち、本発明は以下(1)〜(6)に示すとおりである。
(1) グリセロール資化性を有するマンノシルエリスリトールリピッド生産菌を、グリセロール含有培地で培養することを特徴とする、マンノシルエリスリトールリピッドの生産方法。

(2) グリセロール資化性を有するマンノシルエリスリトールリピッド生産菌が、シュードザイマ属、クリプトコッカス属又はロドトルーラ属に属する微生物であることを特徴とする、上記(1)に記載の生産方法。

(3) シュードザイマ属、クリプトコッカス属又はロドトルーラ属に属する微生物がそれぞれ、シュードザイマ・アンタクティカ(Pseudozyma antarctica)、クリプトコッカ・ルテオラス(Cryptococcus luteorus)、又はロドトルーラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum) に属する微生物であることを特徴とする、上記(2)に記載の生産方法。

(4) グリセロール含有培地が、脂肪酸給源を含まないものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の生産方法

(5) 培地の初発グリセロール濃度が5〜20重量%の範囲で培養を行うことを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の生産方法。

(6) 培地組成及び培養条件が、以下に示されるものであることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の生産方法。
酵母エキス:0.1〜2g/L
硝酸ナトリウム:0.1〜1g/L
リン酸2水素カリウム:0.1〜2g/L
硫酸マグネシウム:0.1〜1g/L
グリセロール:100〜200g/L
培養温度:26〜32℃

(7) グリセロールが植物油の分解あるいはエステル交換の際の副生物であることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の生産方法。
本発明は、グリセロール資化性を有し、マンノシルエリスリトールリピッドを生成する能力を有する微生物を使用するものであり、これにより余剰の副生成グリセロールから高付加価値な基幹化合物であるマンノシルエリスリトールリピッドを生産することが可能となった。
また、本発明においては、植物油等の油脂類を培地に含有させなくとも、マンノシルエリスリトールリピドの生産が可能であるため、これら由来の油分が生成物に混入せず、マンノシルエリスリトールリピッドの分離精製においても有利である。
さらに、現段階では、本発明によるマンノシルエリスリトールリピッドの収量はそれほど高くはないものの、遺伝子工学的手法等による微生物の改良技術により生産性の向上が期待でき、上記本発明の油脂類を使用しない利点を併せて考察すれば、本発明は極めて有用なものである。
したがって、本発明は、医薬等種々用途への使用が期待されるバイオサーファクタント生産技術の発展と産業廃棄物としてのグリセロールの処理の両方に、大いに貢献するものである。
(目的生産物)
本発明の目的生産物であるマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)は、下記構造式(1)で表される化合物である。
前記構造式(1)において、R〜Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アセチル基、又は炭素原子数1〜14、好ましくは3〜12の飽和若しくは不飽和の脂肪酸残基を表す。
前記マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)は、高い界面活性作用を有し、界面活性剤又はファインケミカルの種々の触媒として用いられる。ヒト急性前骨髄性白血病細胞性HL60株にマンノシルエリスリトールリピッドを作用させると顆粒系を分化させる白血病細胞の細胞分化誘導作用があり、また、ラット副腎髄質褐色細胞腫由来のPC12細胞にマンノシルエリスリトールリピッドを作用させると神経突起の伸長が生ずる神経系細胞株分化誘導作用等の生理活性作用を有する。更に、微生物産生の糖脂質として初めて、メラノーマ細胞のアポトーシスを誘導することが可能となり(X. Zhao et. al., Cancer Research,59, 482−486(1999))、癌細胞増殖抑制作用がある。これらの生理作用からみて、マンノシルエリスリトールリピッドには抗ガン剤等の医薬としての用途が期待されている。また、マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)には生分解性があり、高い安全性を有すると考えられているものである。
(使用微生物)
本発明の使用微生物は、グリセロール資化性を有し、かつマンノシルエリスリトールリピッド生産する能力を有する微生物である。より具体的には、シュードザイマ属、ロドトルーラ属、クリプトコッカス属に属し、グリセロールからマンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物であり、これらとしては、特に、シュードザイム・アンタクチカ、ロドトルーラ・アケニオラム、クリプトコッカス・ルテオラスに属する微生物が挙げることができる。
なお、これら微生物の最適生育温度は28℃であり、 生育可能な温度範囲は24〜36℃である。
本発明の使用微生物は、グリセロールを主要な炭素源とし、他の炭素源を培地に添加しなくとも生育可能であり、また、脂肪酸、植物油等の油脂類等、脂肪酸給源を培地に含有させなくとも、グリセロールを基質として、マンノシルエリスリトールリピッドを生産することが可能である。
マンノシルエリスリトールリピッド生産菌としては、上記したようにシュードザイマ(Pseudozyma)属の微生物を含め、種々の微生物が知られているが、これらは全てマンノシルエリスリトールリピッド生産のために、脂肪酸、脂肪酸トリグリセリド等の脂肪酸エステル、あるいはこれらを含有する植物油等の脂肪酸給源を培地に含有させることを特徴としている。つまり、これら油成分ではなく、グリセロールからマンノシルエリスリトールリピッドを生産できる微生物の存在は全く知られておらず、このことは、本発明者の新知見にかかるものである。
(マンノシルエリスリトールリピッドの生産)
本発明における使用微生物の培養においては、培地に、グリセロールを微生物の炭素源及び基質として含有させるが、このほかの条件については、特に制限はなく、適宜選定することができる。例えば、酵母に対して一般に用いられる培地を使用でき、このような培地として、例えば、YPD培地(イーストイクストラクト10g、ポリペプトン20g、及びグルコース100g)を挙げることができる。
本発明のマンノシルエリスリトールリピッドの製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、種培養、本培養及びマンノシルエリスリトールリピッド生産培養の順にスケールアップしていくことが望ましい。
これらの培養における、培地、培養条件を具体的に例示すると以下のとおりである。
a)種培養;グリセロール20g/L、酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウム1g/L、リン酸2水素カリウム0.5g/L、及び硫酸マグネシウム0.5g/Lの組成の液体培地4mLが入った試験管に1白金耳接種し、30℃で1日間振とう培養を行う。
b)本培養;上記種培養と同じ組成の培地100mLの入った坂口フラスコに接種して、30℃で2日間培養を行う。
c)マンノシルエリスリトールリピッド生産培養所定量のグリセロールと酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウム1g/L、リン酸2水素カリウム0.5g/L、及び硫酸マグネシウム0.5g/Lの組成の液体培地1.4Lが入ったジャーファメンターに接種して、30℃で800rpmの撹拌速度で培養を行う。この培養においては、培養途中からグリセロールを培養容器中に流下させて、培地中のグリセロール濃度を50〜200g/Lに保持することが望ましい。
生成したマンノシルエリスリトールリピドは、培養液中に不溶性物質として蓄積される。したがって、遠心分離することにより、マンノシルエリスリトールリピドを分離、採取することができる。

以下に、本発明について実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
Pseudozyma antarctica(JCM10317)Cryptococcus luteorus(NBRC0411)Rhodotorula acheniorum(NBRC10052)の培養〕
a)保存培地(麦芽エキス3g/L、酵母エキス3g/L、ペプトン5g/Lグルコース10g/L、寒天30g/L)に保存しておいた上記の酵母菌株を、グリセロール20g/L、酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウムム1g/L、リン酸2水素カリウム0.5g/L、及び硫酸マグネシウム0.5g/Lの組成の液体培地4mLが入った試験管に1白金耳接種し、30℃で振とう培養を行い、次いで、
b)得られた菌体培養液を同じ組成の培地20mLの入った坂口フラスコに接種して、30℃で振とう培養を行い、さらに
c)これを所定量のグリセロールと酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウム1g/L、リン酸2水素カリウム 0.5g/L、及び硫酸マグネシウム0.5g/Lの組成の液体培地1.4Lが入ったジャーファメンターに接種して、30℃で800rpmの撹拌速度で培養を行った。
上記a)〜c)の各培養により得られた菌体培養液を使用して、以下の(1)と(2)に示す試験を行った。
〔試験手法、結果〕
(1)上記の酵母菌株のマンノシルエリスリトールリピッド生産能の確認
a)の培養を1日間行った後、b)の培養を10日間行った。培養液を採取して等量の酢酸エチルで生産された糖脂質および脂質成分を抽出し、これを用いて上記の酵母菌株のマンノシルエリスリトールリピッド生産性を薄層クロマトグラフィーで確認した。図1中、レーン1はMEL標準を示し、MEL−A,MEL−B及びMEL−Cはそれぞれ順に一般式中(R=炭素原子数1〜14の脂肪酸残基、R=アセチル基)、同(R=炭素原子数1〜14の脂肪酸残基、R=水素原子、R=アセチル基)及び同(R=炭素原子数1〜14の脂肪酸残基、R=アセチル基、R=水素原子)で表される化合物を示す。結果を図1に示す。なお、図中、左端はマンノシルエリスリトールリピッドの標準である。これによれば、上記の酵母菌株は全て、グリセロールからマンノシルエリスリトールリピッドを生産している。
(2)マンノシルエリスリトールリピッド生産用培地で同リピッドの生産
上記の酵母菌株を用い、a)の培養を1日間行った後、b)の培養を10日間行った。さらに、c)の培養を10日間行った後、培養液中の脂質成分を等量の酢酸エチルで抽出し、該抽出液についてそのMEL生産量を定量するために高速液体クロマトグラフィーを行った。図2は既知のマンノシルエリスリトールリピッド標準溶液と該抽出液より得られる高速液体クロマトグラフィーの結果を示す。図2によると、該抽出液中に含まれる脂質成分はマンノシルエリスリトールリピッドであり、高速液体クロマトグラフィーの結果からも、上記の酵母菌株は、グリセロールを基質としてマンノシルエリスリトールリピッドを確実に生産していることが分かる。さらに、図3は、高速液体クロマトグラフィーで定量したMEL生産量をグラフにした結果である。この実験条件でグリセロールからのMEL生産量は最大で3.5g/Lであった。
(3)マンノシルエリスリトールリピッド生産に対する温度の影響
Pseudozyma antarctica(JCM10317)株を用い、a)の培養を1日間行った後、b)の培養をグリセロール100g/L、酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウム1g/L、リン酸2水素カリウム0.5g/L、及び硫酸マグネシウム0.5g/Lの組成の液体培地20mLの入った坂口フラスコに接種して、所定の温度で振とう培養を7日間行った。その後、培養液中の脂質成分を等量の酢酸エチルで抽出し、該抽出液についてそのMEL生産量を定量するために高速液体クロマトグラフィーを行った。図4は定量結果に基づいて作成したグラフである。図4によると、MEL生産温度は25〜30℃が望ましい。
(4)マンノシルエリスリトールリピッド生産に対するグリセロール濃度の影響
Pseudozyma antarctica(JCM10317)株を用い、a)の培養を1日間行った後、b)の培養を所定量のグリセロール、酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウム1g/L、リン酸2水素カリウム0.5g/L、及び硫酸マグネシウム0.5g/Lの組成の液体培地20mLの入った坂口フラスコに接種して、30℃で振とう培養を7日間行った。その後、培養液中の脂質成分を等量の酢酸エチルで抽出し、該抽出液についてそのMEL生産量を定量するために高速液体クロマトグラフィーを行った。図5は定量結果に基づいて作成したグラフである。図5によると、グリセロールの濃度は6〜12g/Lが望ましく、10g/Lがより望ましい。
(5)ジャーファメンター培養によるマンノシルエリスリトールリピッドの生産
Pseudozyma antarctica(JCM10317)株を用い、a)の培養を1日間行った後、b)の培養を10日間行い、さらに、c)の培養を、グリセロール100g/L、マンノース20g/L、酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウム1g/L、リン酸2水素カリウム0.5g/L、及び硫酸マグネシウム0.5g/Lの組成の液体培地1.4Lが入ったジャーファメンターに接種して、30℃で800rpmの撹拌速度で、1週間培養を行った。その後、培養液を酢酸エチルで抽出し、該抽出液をエバポレーターに供し、該抽出液中のMEL量を計測した。その結果、ジャーファメンターを用いて、3gのMELを生産できた。
Pseudozyma antarctica株Cryptococcus luteorus株及びRhodotorula acheniorum株がグリセロールからマンノシルエリスリトールリピドを生産しうることを示す、該培養物についての薄層クロマトグラフィー写真である。 Pseudozyma antarctica株Cryptococcus luteorus株及びRhodotorula acheniorum株によってMELが生産されることを確認した高速液体クロマトグラフィーの結果である。 Pseudozyma antarctica株Cryptococcus luteorus株及びRhodotorula acheniorum株によるMEL生産量を高速液体クロマトグラフィーで定量した結果に基づき作成したグラフである。 Pseudozyma antarctica株のMEL生産に対する酵母エキス濃度の影響を示すグラフである。 Pseudozyma antarctica株のMEL生産に対する温度の影響を示すグラフである。

Claims (5)

  1. グリセロール資化性を有するマンノシルエリスリトールリピッド生産菌を、脂肪酸給源を含まないグリセロール含有培地で培養し、マンノシルエリスリトールリピッドを産生させ、培地中に分泌させることを特徴とする、マンノシルエリスリトールリピッドの生産方法であって、
    グリセロール資化性を有するマンノシルエリスリトールリピッド生産菌が、シュードザイマ属、クリプトコッカス属又はロドトルーラ属に属する微生物であることを特徴とする、方法。
  2. シュードザイマ属、クリプトコッカス属又はロドトルーラ属に属する微生物がそれぞれ、シュードザイマ・アンタクティカ(Pseudozyma antarctica)、クリプトコッカ・ルテオラス(Cryptococcus luteorus)、又はロドトルーラ・アケニオラム(Rhodotorula acheniorum)に属する微生物であることを特徴とする、請求項に記載の生産方法。
  3. 培地の初発グリセロール濃度が5〜20重量%の範囲で培養を行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の生産方法。
  4. 培地組成及び培養条件が、以下に示されるものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の生産方法。
    酵母エキス:0.1〜2g/L
    硝酸ナトリウム:0.1〜1g/L
    リン酸2水素カリウム:0.1〜2g/L
    硫酸マグネシウム:0.1〜1g/L
    グリセロール:100〜200g/L
    培養温度:26〜32℃
  5. グリセロールが植物油の分解あるいはエステル交換の際の副生物であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の生産方法。
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