JP5045635B2 - 重合体コンポジット - Google Patents

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Description

本発明は、カーボンナノチューブと直鎖状共役系重合体からなる重合体コンポジットに関するものである。
カーボンナノチューブ(以下、CNTと言う)はナノテクノロジーの有力な素材として、広範な分野で応用の可能性が検討されている。用途としてはトランジスターや顕微鏡用プローブなどのようにCNTの単線を使用する方法と、電子放出電極や燃料電池用電極、あるいはCNTを分散した導電性コンポジットなどのように多数のCNTをまとめてバルクとして使用する方法とに分けられる。導電性コンポジットではマトリックス材となる重合体中などに良好に分散できることが必須であるが、一般にCNTは分散しにくいという問題がある。このためCNT表面の改質、化学修飾などによって分散性を向上する方法が採られている。
しかし、CNTの表面を改質すると、本来のCNTの特性、たとえば高導電性が損なわれるという問題がある。CNTの表面を改質せずに、CNTを重合体に分散させる方法としては、CNTを螺旋状の重合体に分散させる方法が知られている。このような重合体としては、たとえば、ポリ−m−フェニレンビニレン−co−ジオクトキシ−p−フェニレンビニレン(特許文献1参照)やポリビニルピロリドン(非特許文献1参照)や、ポリ−フェニルアセチレンが使用されている。
特開2000−44216号公報 Chemical Physics Letters 342(2001)265−271 第267頁
しかし、一般に螺旋構造をとると共役系が十分つながらないため、重合体内での電荷の動きが遅く、導電性や半導体特性を利用するには不十分であるという問題点がある。そこで本発明は上記問題点を解決すべく、CNTの分散性に優れ、CNTの濃度により電導度を制御することのできる重合体コンポジットを提供することをその目的とするものである。
上記課題を達成するために、本発明は下記の構成からなる。すなわち、本発明は単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブと直鎖状共役系重合体とからなる重合体コンポジットであって、直鎖状共役系重合体に対する単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブの重量比率が100重量%以上、900重量%以下である重合体コンポジットである。
本発明の重合体コンポジットは、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブと直鎖状共役系重合体からなるものであるため、カーボンナノチューブの分散性に優れ、カーボンナノチューブの量を調整することで、半導体素材、電導体素材として優れた素材として使用できる。
本発明者らはCNTと重合体からなる重合体コンポジットを開発すべく重合体へのCNTの分散を鋭意検討した結果、螺旋構造をとらない重合体であっても良好に分散できることを見出した。さらに、本発明において使用される重合体は螺旋構造をとらないため、共役系構造が発達しており導電性や半導体特性を利用するには有利であるという特長がある。
一般に、共役系高分子はドーピングによって半導体領域から金属領域まで導電性を制御することができことが知られている。ドーピングは、電子受容性または電子供与性の有機化合物をドーパントとして共役系高分子に添加することによって行われている。しかし、ドーピングされた共役系高分子は一般に熱や湿度に対して安定性に欠け、高温や高湿度にさらされると電導度が大きく減少するという問題点がある。これは主としてこのような条件下ではドーパントが共役系高分子から離脱するためである。本発明のCNTと重合体からなる重合体コンポジットでは、CNTの濃度によって電導度を制御することができ、かつ熱や湿度に対する安定性も優れるという特長がある。
以下、本発明について詳述する。本発明においてコンポジットを構成する重合体は、直鎖状共役系重合体である必要がある。ここで直鎖状とは、高分子の骨格構造が安定状態(外力が加わっていない状態)において螺旋構造を取らず、まっすぐ延びているものを意味し、また、共役系重合体とは高分子骨格の炭素−炭素の結合が1重結合と2重結合が交互に連なっている重合体を意味する。
このような共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体などが挙げられる。これらの共役系重合体が直鎖状であるためには、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体はそれぞれチオフェン環、ピロール環の2、5位でモノマ単位がつながる必要がある。また、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体ではフェニレン基のパラ位で高分子骨格がつながっている。上記重合体の中でも本発明においては、ポリチオフェン系重合体が特に好ましく使用される。
ポリチオフェン系重合体とはポリ−p−チオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖が付いた構造を有するものである。具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−デシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数はとくに制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)が挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましく、前者としては特にポリ−3−ヘキシルチオフェンが好ましい。また、上記重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、直鎖状共役系からなるオリゴマであってもよい。
CNTはアーク放電法、化学気相成長法(以下CVD法とする)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、本発明に使用されるCNTはいずれの方法によって得られたものであってもよい。また、CNTには1枚の炭素膜(グラッフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(以下、SWCNTと言う)と、2枚以上の複数のグラッフェン・シートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(以下、MWCNTと言う)とがあり、本発明においてSWCNT、MWCNTをそれぞれ単体で、もしくは双方を同時に使用する。特に、SWCNTは重合体コンポジットの移動度を高めて半導体特性を向上させる点で好ましく用いられる。
上記の方法でSWCNTやMWCNTを作製する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生産物として生成され、またニッケル、鉄、コバルト、イットリウムなどの触媒金属も残存するので、これらの不純物を精製する必要がある。また、CNTは一般には紐状に形成されるが、コンポジットを導電性の低い範囲で、あるいは半導体として使用する場合にはCNTを短繊維状のもの、または繊維状のものを使用前にカットすることが好ましい。上記不純物の精製や短繊維へのカットには、硝酸、硫酸などによる酸処理とともに超音波処理が有効であり、またフィルターによる分離を併用することは純度を向上させる上でさらに好ましい。本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、1nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下である。
あらかじめCNTを短繊維状に作製する方法としては、たとえば基板上に鉄、コバルトなどの触媒金属を形成し、その表面にCVD法により700〜900℃で炭素化合物を熱分解してCNTを気相成長させることによって基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。このようにして作製された短繊維状CNTは基板から剥ぎ取るなどの方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTはポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることもできる。触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVD法を行うことによって基板上にCNTを作製する方法でも配向した短繊維状のCNTを作製することができる。さらには、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向した短繊維状CNTを得ることもできる。
本発明では直鎖状共役系重合体にCNTを適当な溶媒中で分散させたものを混合することによってコンポジット溶液を調製し、該コンポジット溶液より本発明の重合体コンポジットを得ることができる。
ここで使用される溶媒としては、メタノール、トルエン、キシレン、クロロホルムなど直鎖状共役系重合体が可溶なものを好ましく挙げることができる。このようにして得られた溶液に、例えば超音波洗浄機で超音波を数時間、好ましくは約20時間照射した後、1日程度放置してスピナー塗布用の塗液を得ることができる。
上記の共役系重合体は溶液状態でCNTを良好に分散するだけでなく、特にSWCNTでは束状に凝集したCNTを解きながら分散させるという特長も備えている。一般にSWCNTは製造された状態では束状に凝集しており、コンポジットではCNTがこの束状態から解かれて分散されることが好ましい。このためSWCNTを分散させる場合にはScience誌vol.282,p95(1998)にも見られるように、SWCNTに官能基を付加させる等の方法により化学修飾を施し分散性を付与した上で使用される。しかし、CNTに化学修飾を施すとCNTを構成するπ共役系が破壊されやすいので、CNT本来の特性が損なわれるという問題点がある。本発明ではこのような化学修飾を特に施さなくてもCNTの分散が可能である。
本発明の重合体コンポジットに含まれるCNTの重量比率は直鎖状共役系重合体に対し100重量%以上、900重量%以下である。例えば直鎖状共役系重合体に対しCNTの分率が3重量%を超える場合には導電性を飛躍的に高めることができる。CNTの分率が3重量%以下では、導電性を大きく増加させることはできないが静電荷を逃がす程度の導電性を付与することができる。特に、CNTの重量比率が直鎖状共役系重合体に対し0.1重量%以上1重量%以下であると、重合体コンポジットを半導体素材として使用した場合の電荷の移動度を高めることができ、高性能半導体素材として利用することができ好ましい。一方、CNTの重量比率が増えると重合体コンポジットの導電性を飛躍的に向上させることができるので導電体材料として利用できる。特にCNTの重量比率が3重量%を超え900重量%以下の場合には導電体材料として扱うことができる。さらに、CNTの重量比率が100重量%以上、900重量%以下の場合には、マトリックスがCNTとなり、CNTの隙間に重合体が存在するような形態の導電体コンポジットを得ることができる。このコンポジットはフィルム状に成形することができるので、コンポジットフィルムを得ることができ、フィルムとしての強度と導電性と結着力を高度にバランスできるので好ましく用いることができる。
フィルム状のコンポジットを得る方法としては、例えば、直鎖状共役系重合体とCNTと溶媒からなり直鎖状共役系重合体に対するCNTの重量比率が3重量%以上、900重量%以下であるCNT分散溶液から、直鎖状共役系重合体が結着したCNTを分別することによって得ることができる。分別方法には、フィルターを用いて分散溶液を濾別したり、分散溶液から溶媒をエバポレートまたは風乾して分別する方法などがあるが、特に濾別を行った場合には、直鎖状共役系重合体に対するCNTの重量比率が100重量%以上のコンポジットフィルムを得ることができる。なお、コンポジットフィルムにおけるCNTと直鎖状共役系重合体との比率は、元素分析による炭素、水素、窒素、硫黄の比から算出することができる。また、この比率は、CNT分散液における直鎖状共役系重合体とCNTの配合比を変えたり、濾別したコンポジットフィルムを溶媒で洗浄するなどして任意に制御することができる。しかも、直鎖状共役系重合体はCNTとの親和性が非常に高いため、溶媒で数回洗浄しても、直鎖状共役系重合体はCNTに対して10重量%以上付着してCNT間を結着している。このようにして得られたコンポジットフィルムは、乾燥後に切断して目的箇所に貼り付けたり、あるいは未乾燥のまま転写して目的箇所で乾燥させることにより強固に結着させることができる。
本発明の重合体コンポジットは、半導体素材としては、トランジスタ、太陽電池、センサーなどの材料、電導体素材としては制電材料、電極材料、導電塗料などに、またCNTの高い熱伝導性を利用したヒートシンクなどの分野でも利用できる。さらに本発明のコンポジットフィルムは、CNT単体からなるフィルムと比べて導電性がそれほど低下しないにも関わらず、均一性と結着性を飛躍的高めることができるため、信頼性が向上し、電導体素材としての応用範囲を広げることができる。
なお本発明において、重合体コンポジットの電導度は以下のようにして求められる。すなわち、先ずガラス基板に金属層(白金、金など)をスパッタリングで一方の電極を形成した後、この金属表面上にコンポジット重合体をスピナーを用いて塗布する。次に、この塗布膜表面に金属薄膜をスパッタリングすることによってもう一方の電極を形成する。重合体コンポジットを挟む上記二つの電極間に電圧(V)を印加してその時の電流(I)を求め、V−I特性から電導度を測定する(2端子法)。また、櫛形状の電極2組が対向して形成されたガラス基板上に重合体コンポジットを塗布して、2組の電極間に電圧を印加して、そのときの電流から電導度を求める方法も使用される。なお、コンポジット重合体薄膜の電導度が低い場合にはガードリング付きの3端子法で、また電導度が高い場合には4つの電極を用いた4端子法から電導度を求められる。
また本発明において重合体コンポジットの移動度は以下のようにして求められる。すなわち、先ずガラス基板に金属層(白金、金など)をスパッタリングで形成した後、この金属表面上にコンポジット重合体をスピナーを用いて塗布する。次に、この塗布膜表面に金属薄膜をスパッタリングにより形成する。コンポジット重合体を挟む電極間に電圧(V)を印加し、その時の電流(I)を求めた。電流(I)は次式
I= 9εμV/8d (1)
で表される。電圧Vを増して行くとIがVに比例するオーミックな挙動から、Vの2乗に比例する空間電荷制限電流の領域に入る。
上記式(1)において、εは重合体コンポジットの誘電率、μは移動度、dは塗布膜の厚みである。この領域で式(1)から移動度μが算出される。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
比較例1
まず、100mLのフラスコの中にCNT(単層カーボンナノチューブ:サイエンスラボラトリーズ製、純度95%)を1g入れ、クロロホルム50mL加え、超音波洗浄機を用いて1時間分散した。次に、直鎖状共役系重合体としてポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ製、分子量:Mw20000)を10g加えてさらに超音波洗浄機で10時間分散した。得られたポリチオフェン系重合体コンポジット溶液(直鎖状共役系重合体に対するCNTの比率10重量%)を0.3mL取り出し、2組の櫛形電極が形成されたガラス基板上に塗布して塗膜を作製した。この塗膜の電導度はV−I特性から1.5×10−1S/cmであった。
一方、ポリ−3−ヘキシルチオフェンのみの電導度を測定するため3端子法ガードリング付きの円形電極の形成されたガラス基板上にポリ−3−ヘキシルチオフェンのみのクロロホルム溶液を滴下し、スピンコートすることでポリ−3−ヘキシルチオフェンのみの薄膜を得た。この薄膜の電導度を3端子法によって測定したところ、約2×10−9S/cmであった。すなわち、CNTの分散によって約8桁の電導度の向上が図れた。
比較例
コンポジットの重合体として使用するポリフェニレンビニレン(PPV)誘導体であるポリ(m−フェニレンビニレン−co−2,5−ジオクトキシ−p−フェニレンビニレン(以下、PmPVと言う)の合成を公知の方法(Synthetic Metals,vol.109,2478(1999))で行った。得られたPmPVをトルエン溶媒中に10−3モル濃度溶解させ、CNTをPmPVに対し重量分率で10%混合して、コンポジット溶液を調製した。なお、CNTは比較例1と同じものを使用した。該溶液に対し超音波洗浄機で超音波を照射し塗液を得た。この塗液を比較例1と同様にして2組の櫛形電極が形成されたガラス基板上に塗布して塗膜を作製した。この塗膜の電導度を比較例1と同様にして測定したところ、1.8×10−3S/cmであり、比較例1で得られたコンポジットの約1/100の電導度であった。なお、PmPVのみの場合の電導度は約1×10−12S/cmであった。
比較
CNTの量を0.4g(CNTの重量比率4重量%)に変えた以外は比較例1と同様にコンポジット重合体薄膜を作製した。比較例1と同様に櫛形電極を用いて電導度を測ったところ、2×10−4S/cmであった。
比較例
PmPV(分子量:Mw15000)に対するCNTの重量比率を4重量%に変えた以外は比較例と同様にコンポジット重合体薄膜を作製し、比較例1と同様に櫛形電極を用いて電導度を測定したところ、電導度は1×10−10S/cmであった。
比較
CNTの量を0.07gに変えた以外は比較例1と同様にコンポジット溶液(CNTの重量比率:0.7重量%)を調製した。該溶液に対し比較例1と同様に超音波洗浄機で超音波を照射した後、1日程度放置してスピナー塗布用の塗液を得た。予め蒸着によりアルミニウム電極1を作製したガラス基板上にこの溶液を塗布し約1μm厚の膜を形成した。さらにこの膜上に蒸着によりアルミニウム電極2を形成し、アルミニウム電極1と2の間に電圧を印加しながら、塗布膜の電圧−電流特性を測定した。
この電圧−電流特性の測定結果から式(1)をもとに移動度を求めたところ、6×10−3cm/V・secであった。
一方、CNTを含まないポリ−3−ヘキシルチオフェンのみのを上記と同様の方法で測定したところ、移動度は2×10−4cm/V・secであった。この結果から、CNTの分散により約30倍の移動度の向上が見られた。
比較
CNTの量を2.5g(直鎖状共役系重合体に対するCNTの重量比率25重量%)に変えた以外は比較例1と同様にコンポジット重合体薄膜を作製した。比較例1と同様に櫛形電極を用いて電導度を測ったところ、1.5S/cmであった。
実施例
CNTの量を5gに、クロロホルムの量を500mL変えた以外は比較例1と同様にコンポジット溶液(直鎖状共役系重合体に対するCNTの重量比率:50重量%)を調製した。該溶液5mLをクロロホルムで100mLに希釈し、PTFEの孔径0.1μm、直径90mmのメンブレンフィルター(アドバンテック社製)を用いて濾別した。フィルター上に捕集された直鎖状共役系重合体の結着したCNTをガラス基板上に転写し乾燥させ、コンポジットフィルムを得た。該コンポジットフィルムはガラス基板に強固に結着しており、電導度を3端子法によって測定したところ、60S/cmであった。また、元素分析によりCNT重量比率を算出したところ110重量%であった。
実施例
実施例で調製したコンポジット溶液を実施例と同様に希釈し、メンブレンフィルターを用いて濾別し、乾燥させ、フィルターから剥がすことでフィルムを得た。該コンポジットフィルムは任意のサイズにカットすることができ、微量のクロロホルムに膨潤させて乾燥させることで任意の箇所に強固に貼り付けることが可能であった。
実施例
実施例で調製したコンポジット溶液を実施例と同様に希釈し、メンブレンフィルターを用いて濾別し、フィルター上に捕集した直鎖状共役系重合体で結着されたCNTを再びクロロホルム500mLに溶解し、該分散液を超音波洗浄機で10分間分散させ、同様のフィルターで濾別した。フィルター上に捕集された直鎖状共役系重合体で結着されたCNTをガラス基板上に転写し乾燥させ、直鎖状共役系重合体で結着されたCNTのフィルムを得た。該コンポジットフィルムはガラス基板に強固に結着しており、電導度を3端子法によって測定したところ、95S/cmであった。また、元素分析によりCNT重量比率を算出したところ900重量%であった。
実施例
実施例と同じ方法によってコンポジット溶液を処理し、直鎖状共役系重合体で結着されたCNTをフィルター上に捕集し乾燥させ、フィルターから剥がすことでコンポジットフィルムを得た。該コンポジットフィルムは任意のサイズにカットすることができ、微量のクロロホルムに膨潤させて乾燥させることで任意の箇所に強固に貼り付けることが可能であった。
比較例
100mLのフラスコの中にCNTを1g入れ、クロロホルム50mL加え、超音波洗浄機を用いて1時間分散した。さらにこの分散液5mLを分取し100mLに希釈してさらに超音波洗浄機を用いて1時間分散した。CNTは一部凝集したままであったが、実施例と同様にフィルター上にCNTを濾別し、フィルター上に捕集されたCNTをガラス基板上に転写し乾燥させ、CNTフィルムを得た。電導度を3端子法によって測定したところ1.2×10S/cmであったが、該CNTフィルムはガラス基板への結着力が非常に小さく、軽い摩擦でCNTは剥がれてしまう程度であった。

Claims (6)

  1. 単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブと直鎖状共役系重合体とからなる重合体コンポジットであって、直鎖状共役系重合体に対する単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブの重量比率が100重量%以上、900重量%以下である重合体コンポジット
  2. 直鎖状共役系重合体がポリチオフェン系重合体である請求項1記載の重合体コンポジット。
  3. ポリチオフェン系重合体がポリ−3−アルキルチオフェンおよび/またはポリ−3−アルコキシチオフェンである請求項2記載の重合体コンポジット。
  4. ポリ−3−アルキルチオフェンがポリ−3−ヘキシルチオフェンである請求項3に記載の重合体コンポジット。
  5. フィルム状である請求項1〜4いずれか記載の重合体コンポジット。
  6. 直鎖状共役系重合体とカーボンナノチューブと溶媒からなり直鎖状共役系重合体に対するカーボンナノチューブの重量比率が3重量%以上、900重量%以下であるカーボンナノチューブ分散溶液から、直鎖状共役系重合体が結着したカーボンナノチューブを濾別することを特徴とする請求項記載のフィルム状重合体コンポジットの製造方法。
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