JP4337396B2 - 異方性高分子コンポジット膜 - Google Patents

異方性高分子コンポジット膜 Download PDF

Info

Publication number
JP4337396B2
JP4337396B2 JP2003135492A JP2003135492A JP4337396B2 JP 4337396 B2 JP4337396 B2 JP 4337396B2 JP 2003135492 A JP2003135492 A JP 2003135492A JP 2003135492 A JP2003135492 A JP 2003135492A JP 4337396 B2 JP4337396 B2 JP 4337396B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
poly
polymer composite
composite film
anisotropic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003135492A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004339301A (ja
JP2004339301A5 (ja
Inventor
遵 塚本
淳二 真多
毅 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2003135492A priority Critical patent/JP4337396B2/ja
Publication of JP2004339301A publication Critical patent/JP2004339301A/ja
Publication of JP2004339301A5 publication Critical patent/JP2004339301A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4337396B2 publication Critical patent/JP4337396B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共役系高分子とカーボンナノチューブからなる高分子コンポジット膜、特に膜面方向で光学特性または電気特性が異方性を有するコンポジット膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
共役系高分子は半導体特性を有することから従来のシリコンや化合物半導体に代わる素材として注目されている。このような高分子が半導体素材として使用できれば、素材の安価さ、素子製造プロセスの大幅な削減が期待される。しかし、共役系高分子はキャリアの移動度が遅いために半導体素材として使用されておらず、従来、結晶のシリコン、ガリウムヒ素、非晶性シリコンなどの無機化合物が使用されている。
【0003】
半導体素材には、一般にその素材が有するキャリア(電子、正孔)に高い移動度が要求されるが、共役系高分子では従来の無機結晶半導体や非晶質シリコンと比べて移動度が低いという欠点がある。これは高分子の非晶領域や高分子鎖間でのキャリアの散乱やトラップによるキャリアの捕捉によるものと考えられる。このため、共役系高分子を用いた電界効果型トランジスタ(Field Effect Transistor、以下FETと略す)などの半導体素子の特性が十分でなかった。
【0004】
一方、共役系高分子には高分子鎖方向とそれと垂直な方向とで電気的特性が大きく異なる(すなわち異方性を有する)という特徴がある。そこで、共役系高分子を半導体素子として使用する場合には高分子鎖の方向を制御(配向制御)して最適の方向で用いれば素子特性を向上させることが可能となる。原理的には共役系高分子フィルムを延伸することによって異方性を発現・制御することはできる(非特許文献1参照)。
【0005】
一方で、カーボンナノチューブ(CNT)と共役系高分子からなる高分子コンポジットが得られることが分かっている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
【非特許文献1】
J. Tsukamoto: Advances in Physics, vol.41, 509-546, (1992).
【0007】
【特許文献1】
特開2003−96313号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
共役系高分子を半導体素材として使用する場合には非常に薄い膜を基板上に直接形成させることが必要であり、延伸する方法は現実には使用できない。すなわち、基板上に異方性を持つ共役系高分子の薄膜を形成することは難しく、そのため異方性が制御された共役系高分子を利用した半導体素子を作製するのは容易ではない。本発明は共役系高分子の高分子鎖方向を制御、すなわち異方性を制御することによって、移動度の向上した異方性高分子コンポジット膜を提供し、さらにそれを半導体素子として用いた電界効果型トランジスタを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、直鎖状共役系高分子にカーボンナノチューブが分散されて成り、該膜面内における最大の透過光強度の方向での透過強度と最小の透過光強度の方向での透過強度との比が2以上であるか、または膜面内における最大の電導度が得られる方向での電導度と最小の電導度が得られる方向での電導度との比が2以上である異方性高分子コンポジット膜である。このような異方性を有する共役系高分子薄膜は直鎖状共役系高分子にカーボンナノチューブが分散されたコンポジット溶液を基板上で一方方向に塗布することによって製造される。また、上記記載の異方性高分子コンポジット膜を半導体素材として用いることによって電界効果型トランジスタの特性の向上を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明でコンポジット膜を構成する直鎖状共役系高分子としては、溶剤に可溶なものが好ましく使用される。共役系高分子とは高分子骨格の炭素−炭素の結合が1重結合と2重結合が交互に連なっている高分子であって、直鎖状共役系高分子が用いられる。ここで直鎖状高分子とは高分子の骨格構造が安定状態(外力が加わっていない状態)において螺旋構造を取らず、まっすぐ延びている高分子を言う。
【0011】
このような直鎖状共役系高分子としてはポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体などが挙げられる。これらの直鎖状共役系高分子は、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体の場合にはそれぞれチオフェン環、ピロール環の2、5位でモノマ単位がつながる必要がある。ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体ではフェニレン基のパラ位で高分子骨格がつながっているので直鎖状となる。上記の重合体のなかでも本発明には、ポリチオフェン系重合体が特に好ましく使用される。ポリチオフェン系重合体とはポリチオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖が付いた構造を有するものである。具体的にはポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−デシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェンが挙げられる。これらのうちで、CNTとチオフェン環との間で強い相互作用があるためポリ−3−アルキルチオフェンおよび/またはポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましく用いられ、ポリ−3−アルキルチオフェンとしてはポリ−3−ブチルチオフェンおよび/またはポリ−3−ヘキシルチオフェンが好ましく用いられる。なお、上記の重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、例えば直鎖状共役系からなるオリゴマであっても良い。
【0012】
本発明の高分子コンポジット膜のもう一方の構成素材であるカーボンナノチューブ(CNT)はアーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、いずれの方法によって作製されたCNTも本発明に使用することができる。カーボンナノチューブには1枚の炭素膜(グラッフェン・シート)が円筒筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と、2層以上複数のグラッフェン・シートが同心円状に巻かれた複層カーボンナノチューブ(MWCNT)とがある。本発明にはSWCNT、またはMWCNTのそれぞれが単体で使用されるが、双方を同時に使用することも可能である。なかでもSWCNTは高分子コンポジット膜の移動度を高めて半導体特性を向上させるには好ましい。
【0013】
上記の方法でSWCNTやMWCNTを作製する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生産物として生成され、またニッケル、鉄、コバルト、イットリウムなどの触媒金属も残存するので、これらの不純物を精製する必要がある。また、CNTは一般には紐状に形成されるが、コンポジットを導電性の低い範囲で、あるいは半導体として使用する場合にはCNTを使用前にカットして短繊維状のもの、または繊維状のものとすることが好ましい。以上の不純物の精製や短繊維へのカットには、硝酸、硫酸などによる酸処理とともに超音波処理が有効であり、またフィルターによる分離を併用することは純度を向上させる上でさらに好ましい。本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、1nm以上、100nm以下、より好ましくは50nm以下が良好に使用される。
【0014】
あらかじめCNTを短繊維状に作製する方法としては、たとえば基板上に鉄、コバルトなどの触媒金属を形成し、その表面にCVD法により700〜900℃で炭素化合物を熱分解してCNTを気相成長させることによって基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。このようにして作製された短繊維状CNTは基板から剥ぎ取るなどの方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTはポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることもできる。触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVDを行うことによって基板上にCNTを作製する方法でも配向した短繊維状のCNTを作製することができる。さらには、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向した短繊維状CNTを得ることもできる。
【0015】
本発明の高分子コンポジット膜は異方性を呈するものであって、異方性の有無は膜面内の偏光光透過率または導電性から以下のようにして知ることができる。
【0016】
まず、偏光光透過率の測定には偏光子と検光子がそれぞれの吸収軸が直角の関係にあるように上下に配置する。次に、高分子コンポジット膜が形成された基板を偏光子と検光子の間に配置して、偏光子、該コンポジット膜、及び検光子の3者を透過する透過光強度を測定する。この場合、該コンポジット膜の塗布方向を偏光子の吸収軸に対して回転させた時に最大の透過光強度の方向に配置した時の透過強度(T1)と、最小の透過光強度の方向での透過強度(T2)を測定する。透過光の測定は可視光領域の波長(400nm〜650nm)で行い、T1、T2は可視光波長の全線透過量であってもよいし、可視光内の単一波長の透過量であっても良い。本発明の高分子コンポジット膜では、この時の偏光光透過率の強度比(T1/T2)が2以上である。
【0017】
もう一つの測定方法は導電性の異方性を測定する方法である。基板上に対向する電極膜を設け、該基板上にブレードを用いて一定方向にコンポジット塗液を塗布する。このようにして得られた塗膜の電導度を対向する電極に印加した電圧と流れた電流から求める。この時、最大の電導度が得られた塗布方向の電導度(C1)、及び最小の電導度が得られる方向の電導度を求める。本発明の高分子コンポジット膜は電導度比(C1/C2)が2以上である。本発明では上記2つの方法のいずれかで異方性が認められればよい。
【0018】
共役系高分子中に異方性が生じるのは高分子鎖方向とそれに垂直方向では電子的、光学的特性が異なるためである。高分子鎖の方向がランダムな場合にはこれらの特性が全方向で平均化されてしまうため異方性は生じない。したがって、ランダムな場合には方向によって良好な特性があっても平均化され、良好な特性が取り出せない。異方性がある場合には方向を限定することによってより良好な特性をとりだすことができるため、異方性は高いほど好ましい。
【0019】
次に、本発明の異方性高分子コンポジット膜の製造方法について説明する。先ず、直鎖状共役系高分子にCNTを適当な溶媒中で分散することによってコンポジット溶液を調製する。ここで使用される溶媒としてはメタノール、トルエン、キシレン、クロロホルムなど直鎖状共役系高分子が可溶なものであれば好ましく使用される。このようにして得られた溶液に、好ましくは超音波洗浄機で超音波を数時間、好ましくは約20時間照射した後、1日程度放置して塗布用の塗液を得ることができる。上記の直鎖状共役系高分子は溶液状態でCNTを良好に分散するだけでなく、特にSWCNTでは束状に凝集したCNTを解きながら分散させるという特長も備えている。一般にSWCNTは製造された状態では束状に凝集しており、コンポジットではCNTがこの束状態から解かれて分散されることが好ましい。また、一般にSWCNTを分散させる場合には、SWCNTに官能基を付加させる等の方法により化学修飾を施すことによって分散性を付与している。しかし、本発明ではこのような化学修飾を特に施さなくても分散が可能である。CNTに化学修飾を施すとCNTを構成するπ共役系が破壊されやすいので、CNT本来の特性が損なわれるという問題がある。
【0020】
本発明において使用されるCNTの量は、直鎖状共役系重合体に対して特に限定されない。ただし、高分子コンポジットを半導体素材として利用する場合にはCNTを直鎖状共役系高分子に対し重量分率で0.01%以上3%以下の範囲で混合することが好ましい。この範囲の添加によって移動度を大きく増大させることができる。すなわち、重合体間または結晶子などドメインの間をキャリアが移動するに際し、重合体間やドメイン間の構造の乱れによってキャリアがトラップされたり、散乱されるため、外部に観測される移動度は本来重合体が有する移動度より大きく低下している。一方、CNTを適度に含む重合体では、重合体間やドメイン間を移動度の高いCNTが橋渡しするため、高移動度が得られると考えられる。
【0021】
3重量%を越えてCNTを混合すると、CNT間の接触する割合がふえ、重合体の導電性が急激に増加して金属状態に近づくため導電材料として利用するには好ましい。一方、0.01重量%より少ないとCNTを添加する効果が弱くなる。
【0022】
前述のように、本発明において高分子コンポジットを半導体素材として使用する場合には、該半導体素材を挟む電極間の短絡を防ぐために、短いCNTを使用することが望ましい。すなわち、この場合のCNTの平均長さは好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。従って、短繊維状にカットしたCNTや予め短繊維状に作製したCNTが望ましく、これらは前述のようにして得ることができる。
【0023】
上記の方法で調製された有機溶媒、直鎖状共役系高分子、CNTからなる塗液を用い、以下の方法により薄膜を基板上に形成することによって、異方性を有する薄膜を得ることができる。すなわち、ブレードなどを用いて上記の塗液を一方方向に塗布することによって異方性を有する直鎖状共役系高分子の薄膜を得ることができる。異方性薄膜が形成される機構は明確ではないが、一方方向に塗布することによって塗液中のCNTが塗布方向に並び、その結果としてCNTに付着している直鎖状共役系高分子も配向するためと考えられる。
【0024】
本発明で得られた異方性重合体コンポジット膜は、FET用半導体素材として利用することによって、移動度、オンオフ比を高めることができる。また、トランジスタ以外にも、太陽電池、センサーなどの材料として、制電材料、電極材料、導電塗料などの電導体素材として、さらにはCNTの高い熱伝導性を利用したヒートシンクなどの分野でも利用できる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0026】
なお、コンポジットの移動度μはFET特性の測定から以下の式(1)に基づき、以下のようして求めた。
μ=(∂Id/∂Vg) L・D/(W・εr・ε・Vsd)(1)。
【0027】
上記(1)式において、Idはソース・ドレイン間の電流、Vsdはソース・ドレイン間の電圧、Vgはゲート電圧、Dはゲート絶縁層の厚み、Lはチャンネル長、Wはチャンネル幅さεrは絶縁層の比誘電率(ここではSiO2の3.9を使用)、εは真空の誘電率(8.85×10-12F/m)である。本実施例で用いた櫛形電極の大きさはL=20μm、W=750μm、D=300nmである。上記(1)式を用いて電流−電圧特性結果から得られらた傾き(∂Id/∂Vg)から移動度μを求めた。移動度は高いほど好ましいが、具体的には10-2cm2/V・sec以上が好ましい。
【0028】
実施例1
ポリ−3−ブチルチオフェン(P3BT)とSWCNTとからなり、P3BTに対するSWCNTの重量比率が0.4%である高分子コンポジット塗膜を以下のようにして作製した。
【0029】
先ず、SWCNT(サイエンスラボラトリーズ製、純度95%)50mgを硫酸(和光純薬工業(株)製、純度95%以上)と硝酸(和光純薬工業(株)製、密度1.38)の体積比率が3:1の混酸200mLに入れ、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W、2.6L)を用いて19時間超音波照射した。この混酸とSWCNTとからなる混合物を孔径0.1μmのポリ4フッ化エチレン(PTFE)メンブレンフィルター(ミリポアコーポレーション製、フィルタータイプ:JH)で濾過することによってSWCNTを濾別した。次に、該SWCNT0.2mgをクロロホルム10mLに加え、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製)0.2mgを加えて氷冷しながら超音波ホモジナイザー(SONICS社製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波照射しSWCNTの分散液を得た。得られたSWCNT分散液を丸底フラスコに移し、P3BT50mgを加え、冷却器を取りつけ70℃で30分間環流してP3BTを溶解した。環流溶解することによりP3BT/CNT0.4%の高分子コンポジット塗液を得た。該塗液を、3cm角のガラス基板上に0.2mL滴下し、基板両端に設けた厚み100μmの厚みをスペーサーとしてブレードで一方方向に塗布することによって、厚み約100nmの塗膜を作製した。
【0030】
次に、偏光光透過率の測定を以下のようにして行った。偏光子と検光子として2枚の偏光フィルムを用い、それぞれの吸収軸が直角の関係にあるように配置した。上記のガラス基板に形成された高分子コンポジット薄膜を偏光子と検光子との間に配置して透過率の測定を行った。光源としては3波長管を用い、透過光量としては400nm〜650nmの全線透過量をトプコン製「BM−5A」を用いて測定した。このとき、高分子コンポジット薄膜の塗布方向と偏光子の吸収軸の方向を一致させた場合の透過率(T2)は0.065であった。一方、高分子コンポジット薄膜の塗布方向が偏光子の吸収軸に対して45°方向にした場合の透過率(T1)は2.5であった。すなわち、透過比率が38.4の異方性薄膜が得られた。
【0031】
比較例1
クロロホルム10mLにP3BT50mgを加え、冷却器を取りつけ70℃で30分間環流してP3BTを溶解することによって、SWCNTを含まないP3BT溶液を調製した。次に、該溶液を3cm角のガラス基板上に滴下し、基板両端に設けた厚み100μmの厚みをスペーサーとしてブレードで一方方向に塗布することによって、厚み約100nmのP3BTの塗膜を作製した。
【0032】
次に、偏光光透過率の測定を実施例1と同じ方法で行った。P3BT薄膜の塗布方向と偏光子の吸収軸の方向を一致させた場合の透過率(T2)は0.103であり、一方、塗布方向が偏光子の吸収軸に対して45°方向にした場合の透過率(T1)は0.104であり、透過比率は1.01と低く、異方性は認められなかった。
【0033】
実施例2
本発明の異方性コンポジット薄膜を半導体層として利用した図1の模式断面図に示すようなトップコンタクト型のFET素子を作製した。基板1に熱酸化膜(膜厚300nm)付きのアンチモンドープシリコンウエハー(抵抗率0.02Ωcm以下)を用いた。ここで、シリコンウエハーは基板1であると同時に、ゲート電極2であり、熱酸化膜は絶縁層3となる。
【0034】
次に、半導体層4として用いる有機高分子半導体と単層CNT(以下、SWCNTと言う)からなる半導体性コンポジットの作製方法を示す。
【0035】
SWCNT(サイエンスラボラトリー社製、純度95%)50mgを硫酸(和光純薬工業(株)製、純度95%以上)と硝酸(和光純薬工業(株)製、密度1.38)の体積比率が3:1の混酸200mLに入れ、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W、2.6L)を用いて19時間超音波攪拌処理を行いSWCNTの長さを500nm以下にした。この混酸とSWCNTの混合物をポリ4フッ化エチレン(PTFE)メンブレンフィルター(ミリポアコーポレーション製、フィルタータイプ:JH)で濾過することにより短いSWCNT(以下s−SWNTと言う)を濾別した。
【0036】
クロロホルム10mLに上記s−SWCNT0.2mgを加え、有機高分子半導体としてポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、レジオレギュラー)0.2mgを加えて氷冷しながら超音波ホモジナイザー(SONICS社製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波攪拌してs−SWCNT分散液を得た。得られたSWCNT分散液にさらにポリ−3−ヘキシルチオフェン50mgを加え、超音波洗浄機を用いて30分間超音波攪拌することによりポリ−3−ヘキシルチオフェンと0.4重量%のs−SWCNTを成分とする半導体性コンポジットのクロロホルム溶液を得た。このクロロホルム溶液を上記基板1上に滴下した後、ブレードコート法により一方方向に塗布し膜厚50nmの薄膜を形成した。これを70℃の真空オーブン中に2時間放置して溶媒を除去し、半導体層を形成した。
【0037】
次に電極パターン加工してあるニッケル箔製蒸着マスクを用いて真空蒸着法で、上記半導体層上に金のソース電極5およびドレイン電極6を形成した。この際、半導体薄膜層の塗布方向と垂直となるようにマスクを配置して電極を形成した。これらの電極で形成されるチャネル幅は750μm、チャネル長は20μm、電極の幅は25μm、高さは40nmとした。
【0038】
この時、ソース・ドレイン間の電導度を測定したところ3.8×10-4S/cmであった。また、上記の方法と全く同一の方法で作製した素子で、半導体薄膜層の塗布方向とが平行となるように電極を形成したところのみが異なる素子でソース・ドレイン間の電導度を測定したところ2.7×10-2S/cmであり、電導度比(異方性)は71であった。
【0039】
次に、上記FET素子のゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定することによりFET特性を調べた。測定にはヒューレット・パッカード社製ピコアンメータ/ボルテージソース4140Bを用い、減圧下(1torr以下)で測定し、結果として得られた電流(Id)−電圧(Vsd)特性から式(1)からキャリア移動度を求めたところ、2.72×10-2cm2/V・secであった。また、Vsd=−5Vにおいて、Vgの範囲−50〜+50Vの条件でのオンオフ比は1.10×103であった。
【0040】
比較例2
実施例2の半導体性コンポジットに代えて該コンポジットを作製する際に用いた同じポリ−3−ヘキシルチオフェンのみを使用したこと以外は一方方向塗布による薄膜形成も含めて実施例2の方法と同様の操作を行い、FET素子を作製した。半導体層のポリ−3−ヘキシルチオフェンの膜厚は実施例2と同じく50nmであった。
【0041】
この時、ソース・ドレイン間の電導度を測定したところ8.5×10-5S/cmであり、半導体薄膜層の塗布方向とが平行とした場合と比べて電導度の異方性は認められなかった。
【0042】
実施例2と同様にゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定し、この結果から式(1)を用いてキャリア移動度を求めたところ、3.00×10-3cm2/V・secであった。また、Vsd=−5Vにおける、Vgの範囲−50〜+50Vでのオンオフ比は4.1であった。すなわち、実施例2と比べて移動度もオンオフ比とも低かった。
【0043】
【発明の効果】
カーボンナノチューブおよび共役系高分子からなる高分子コンポジットの異方性を制御することよって、半導体素材、電導体素材として優れた素材が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における電界効果型トランジスタの模式断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 ゲート電極
3 絶縁層
4 異方性高分子コンポジット薄膜
5 ソース電極
6 ドレイン電極

Claims (8)

  1. 直鎖状共役系高分子にカーボンナノチューブが分散されて成り、膜面内における最大の透過光強度の方向での透過強度と最小の透過光強度の方向での透過強度との比が2以上であるか、または膜面内における最大の電導度が得られる方向での電導度と最小の電導度が得られる方向での電導度との比が2以上である異方性高分子コンポジット膜。
  2. 直鎖状共役系高分子がポリチオフェン系重合体である請求項記載の異方性高分子コンポジット膜。
  3. ポリチオフェン系重合体がポリ−3−アルキルチオフェンおよび/またはポリ−3−アルコキシチオフェンである請求項記載の異方性高分子コンポジット膜。
  4. ポリ−3−アルキルチオフェンが、ポリ−3−ブチルチオフェンおよび/またはポリ−3−ヘキシルチオフェンである請求項記載の異方性高分子コンポジット膜。
  5. 共役系高分子に対するカーボンナノチューブの重量比率が0.01重量%以上3重量%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の異方性高分子コンポジット膜。
  6. カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである請求項1〜のいずれか1項に記載の異方性高分子コンポジット膜。
  7. 共役系高分子にカーボンナノチューブが分散されたコンポジット塗液を基板上で一方方向に塗布することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の異方性高分子コンポジット膜の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の異方性高分子コンポジット膜を半導体素材として用いた電界効果型トランジスタ。
JP2003135492A 2003-05-14 2003-05-14 異方性高分子コンポジット膜 Expired - Fee Related JP4337396B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003135492A JP4337396B2 (ja) 2003-05-14 2003-05-14 異方性高分子コンポジット膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003135492A JP4337396B2 (ja) 2003-05-14 2003-05-14 異方性高分子コンポジット膜

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004339301A JP2004339301A (ja) 2004-12-02
JP2004339301A5 JP2004339301A5 (ja) 2006-06-22
JP4337396B2 true JP4337396B2 (ja) 2009-09-30

Family

ID=33525734

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003135492A Expired - Fee Related JP4337396B2 (ja) 2003-05-14 2003-05-14 異方性高分子コンポジット膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4337396B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006265035A (ja) * 2005-03-24 2006-10-05 National Institute Of Advanced Industrial & Technology カーボンナノチューブ含有薄膜、同薄膜の製造方法、同薄膜を備えた光電変換材料及び光電変換素子並びに電界発光材料及び電界発光素子
JP2006312677A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Tatsuhiro Takahashi 炭素繊維配向連接フィルムおよびその製造方法
JP4856900B2 (ja) * 2005-06-13 2012-01-18 パナソニック株式会社 電界効果トランジスタの製造方法
JP5076319B2 (ja) * 2005-08-19 2012-11-21 東レ株式会社 カーボンナノチューブ分散液
KR100847987B1 (ko) 2007-02-27 2008-07-22 삼성전자주식회사 탄소나노튜브용 분산제 및 이를 포함하는 탄소나노튜브조성물
EP1965451B1 (en) 2007-02-27 2016-08-10 Samsung Electronics Co., Ltd. Dispersant for carbon nanotubes and carbon nanotube comosition comprising the same
FR2921759B1 (fr) * 2007-09-27 2010-01-01 Commissariat Energie Atomique Matrices hybrides pour transistors a couches minces
EP2401747B1 (de) * 2009-02-27 2014-04-30 Siemens Aktiengesellschaft Elektrisches bauteil und verfahren zur herstellung eines elektrischen bauteils

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004339301A (ja) 2004-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Tang et al. Tunable band gaps and p-type transport properties of boron-doped graphenes by controllable ion doping using reactive microwave plasma
Lu et al. Semiconducting graphene: converting graphene from semimetal to semiconductor
JP5061414B2 (ja) 薄膜トランジスタ素子
Sun et al. A review of carbon nanotube‐and graphene‐based flexible thin‐film transistors
Chang et al. Regulating infrared photoresponses in reduced graphene oxide phototransistors by defect and atomic structure control
Akbar et al. Graphene synthesis, characterization and its applications in nanophotonics, nanoelectronics, and nanosensing
Li et al. Structural and electronic properties of graphane nanoribbons
Zhu et al. Graphene and graphene oxide: synthesis, properties, and applications
Ding et al. Growth of high-density parallel arrays of long single-walled carbon nanotubes on quartz substrates
Bae et al. Large-area graphene films by simple solution casting of edge-selectively functionalized graphite
Weiss et al. Graphene: an emerging electronic material
Su et al. Electrical and spectroscopic characterizations of ultra-large reduced graphene oxide monolayers
Qian et al. Facile preparation of nitrogen-doped few-layer graphene via supercritical reaction
Hwang et al. Highly tunable charge transport in layer-by-layer assembled graphene transistors
Cui et al. Low-temperature synthesis of multilayer graphene/amorphous carbon hybrid films and their potential application in solar cells
Liu et al. Direct fabrication of functional ultrathin single-crystal nanowires from quasi-one-dimensional van der Waals crystals
Sultana et al. Synthesis, modification, and application of black phosphorus, few-layer black phosphorus (FLBP), and phosphorene: a detailed review
Singh et al. Graphene: Potential material for nanoelectronics applications
Shekhirev et al. Interfacial self-assembly of atomically precise graphene nanoribbons into uniform thin films for electronics applications
Wei et al. Synthesis and photoelectric properties of coaxial Schottky junctions of ZnS and carbon nanotubes
JP4337396B2 (ja) 異方性高分子コンポジット膜
Vishnyakova et al. Structural studies of hydrographenes
JP4834950B2 (ja) 電界効果半導体装置の製造方法
JP2003292801A (ja) 重合体コンポジット
Ghatule et al. Study and analysis on synthesis of graphene and its applications in solar cells

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060509

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060509

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090609

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090622

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120710

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120710

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130710

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140710

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees