JP5043081B2 - 生体試料中のl−リジンの定量法 - Google Patents
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Description
[1]
L−オルニチンを含有する可能性がある生体試料を含有する検体に、L−リジンε−オキシダーゼを作用させ、生じた生成物を定量することを含む、前記生体試料に含有されるL−リジンの測定方法。
[2]
L−リジンε−オキシダーゼがマリノモナス・メディテラネア(Marinomonas mediterranea)由来の酵素である[1]に記載のL−リジンの測定方法。
[3]
前記生成物が過酸化水素である[1]または[2]に記載のL−リジンの測定方法。
[4]
過酸化水素を、ペルオキシダーゼ反応を用いて測定する[3]に記載のL−リジンの測定方法。
[5]
過酸化水素を、過酸化水素電極を用いた電流検出型センサーにより測定する[3]に記載のL−リジンの測定方法。
[6]
前記生成物がアンモニアである[1]または[2]に記載のL−リジンの測定方法。
[7]
アンモニアを、アンモニア検出薬を用いて測定する[6]に記載のL−リジンの測定方法。
[8]
前記生成物がL−リジンの脱アミノ化生成物2-アミノアジピン酸 6-セミアルデヒドである[1]または[2]に記載のL−リジンの測定方法。
[9]
L−リジンの2-アミノアジピン酸 6-セミアルデヒドを、アルデヒドデヒドロゲナーゼまたはアルコールデヒドロゲナーゼを用いて測定する[8]に記載のL−リジンの測定方法。
[10]
L−オルニチンを含有する可能性がある生体試料が血漿、血清、または尿である[1]〜[9]のいずれかに記載のL−リジンの測定方法。
[11]
以下の試薬を含む、L−オルニチンを含有する可能性がある検体におけるL−リジンの測定用キット。
(1)L−リジンε−オキシダーゼ
(2)L−リジンε−オキシダーゼにより生成する生成物検出用試薬
[12]
生成物検出用試薬がペルオキシダーゼ及びペルオキシダーゼ用発色剤を含む[11]に記載の測定用キット。
[13]
生成物検出用試薬がアンモニア検出薬を含む[11]に記載の測定用キット。
[14]
生成物検出用試薬がアルコールデヒドロゲナーゼを含む[11]に記載の測定用キット。
[15]
反応用緩衝液をさらに含む[11]〜[14]のいずれかに記載の測定用キット。
[16]
L−リジンε−オキシダーゼを用いることを特徴とするL−オルニチンを含有する可能性がある検体におけるL−リジンの測定用酵素センサー。
[17]
L−リジンε−オキシダーゼから生成される生成物の定量反応に用いられる酵素をさらに用いる[16]に記載の酵素センサー。
[18]
電気化学メディエーターをさらに用いる[16]または[17]に記載の酵素センサー。
[19]
L−リジン測定用である[16]〜[18]のいずれかに記載のセンサー。
本発明のL−リジンの測定方法は、生体試料を含有する検体に、L−リジンε−オキシダーゼを作用させ、生じた生成物を定量することを含むものである。
(1)L−リジンε−オキシダーゼ
(2)L−リジンε−オキシダーゼにより生成する生成物検出用試薬
本発明は、L−リジンε−オキシダーゼを用いることを特徴とする酵素センサーに関する。このセンサーは、L−リジン測定用アミノ酸センサーとして利用できる。
酵素電極:カーボン電極上にペルオキシダーゼ、L−リジンε−オキシダーゼを固定化
酵素電極:カーボン電極上にペルオキシダーゼ、L−リジンε−オキシダーゼを固定化
電気化学メディエーター:3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン
酵素電極:金電極上にL−リジンε−オキシダーゼ、ジアホラーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼを固定化
電気化学メディエーター:フェロセンメタノール
*試料中にNAD+を添加
(1)L−リジンオキシダーゼ活性測定用試薬の調製
反応試薬A(20 mL)
0.6 mL 1M リン酸カリウムバッファー(pH7.0)
50 mg フェノール
脱イオン水で20 mLに調整
2 mg 西洋わさび由来ペルオキシダーゼ(Wako),
30 mg 4-アミノアンチピリン
脱イオン水で3 mL に調整
0.1M L−リジン塩酸塩
反応試薬A 1 mL
反応試薬B 20 μL
基質溶液 0.5 mL
上述のL−リジンオキシダーゼ活性測定試薬 0.15 mLを96ウェルマイクロプレートに加え、最終容量が0.2 mLとなるように脱イオン水を加えた後、適量(50μL以下)の酵素サンプルの添加により反応を開始した。活性の測定は、TECAN Infinite M200を用いて、500 nmの吸光度を測定し行った。
Marinomonas mediterranea NBRC 103028T は、NBRCより入手したものを使用した。前培養として5 mLのMarine broth 2216 (Difco)を含む試験管で25℃、200 rpmで12時間培養後、500 mLのMarine brothを含む2 Lのバッフル付き三角フラスコに殖菌し、25℃、150 rpmで48時間培養した。培養後、5000xg, 10分間遠心分離し、培養上清を得た。
培養上清を、冷却済みの脱イオン水で3倍に希釈し50 mM リン酸カリウムバッファー(KPB)(pH7.0)で平衡化したDEAE-sephacel (GEヘルスケア)を充てんしたカラムに添加した。0.1、0.2、0.3 MのNaClを含む50 mM KPB (pH7.0)で順次溶出を行い、上記活性測定法により検出した活性画分(0.3 M溶出)を集め50 mM KPB(pH 7.0)に透析した。続いて同じく50 mM KPB (pH 7.0)で平衡化したDEAE-sephacelを充てんしたカラムに透析したサンプルを添加し、NaCl濃度0〜0.35 Mまでのリニアグラジェント溶出を行い、活性画分を分取した。再度、透析後50 mM KPB (pH7.0)で平衡化したMonoQに添加し、0〜0.5 Mのリニアグラジェント溶出を行い活性画分を同様の緩衝液に透析した。最終的に精製酵素として比活性36.9 U/mg proteinを得た。図1に精製酵素のSDS-PAGEを示す。図1から明らかなように、上記3段階の精製操作によりSDS−PAGE的に単一なタンパク質として精製された。
上述の活性測定における基質溶液を、20種すべてのタンパク質構成アミノ酸およびL−オルニチンでそれぞれ作成し、上述の精製酵素および市販のL−リジン α−キシダーゼ(YAMASA)で基質特異性の比較を行った結果を表2に示す。
(1)L−リジン 定量反応試薬の調製
定量反応試薬(10回分)
反応試薬A(上記) 0.1 mL
反応試薬B(上記) 50 μL
L−リジンε−オキシダーゼ 1 U
脱イオン水を加え1.5 mLに調整
試料溶液 50μLを96ウェルマイクロプレートに添加し、上記定量反応試薬、150μLを加えた後、30℃で20分間振蕩した。反応終了後直ちにTECAN Infinite M200を用いて、500 nmの吸光度を測定した。
前述の定量法に則り0, 50, 100, 200, 300, 500μMのリジン塩酸塩水溶液を標準試料として用いて検量線を作成した。作成した検量線を図2に示す。
図2で明らかなように本定量法では、0〜500μMの範囲で、直線的な吸光度の増加がみられた。得られた直線の関係は、y = 0.8585x + 0.0455(R2 = 0.9999)[ここでのyは500 nmの吸光度、xは、L−リジン濃度、Rは、相関係数を示す]であって正確なL-リジン定量が可能であることが分かった。
100μMおよび500μMの L−オルニチンと150μMのL−リジン塩酸塩を含む試料溶液について、前述の検量線を用いてL−リジンの定量を行った結果を表3に示す。
表3から明らかなようにL-オルニチンは、L-リジン ε−オキシダーゼを用いた定量には、影響を与えないことが分かった。
(1)定量用ヒト血清およびヒト血漿の前処理
血清及び血漿試料は、コージンバイオよりそれぞれ3本づつ(pool 1、個体別 2)を購入し-20℃で保管した。使用時には、流水で解凍後、測定の前処理として13,600 rpm 10分遠心分離後、上清を回収し変性タンパク質等の浮遊物を沈殿として除去した。タンパク質の除去は、Microcon YM-10 (Millipore)により行った。
L−リジン定量の比較対象として、超高速アミノ酸分析システムを用いたプレカラム誘導体化法による定量を行った。前述の前処理済み血清及び血漿試料0.01 mLをWaters AccQ-Tag Ultra derivatization kitを用いて誘導化し、超高速アミノ酸分析システム[Waters Acquity ultra performance LC (UPLC)]を用いて分析を行った。誘導体化条件を以下に示す。
トータルリカバリーバイアルに試料10μLに対し70μLのホウ酸塩緩衝液を加え混和後20μLのAccQ-Tag Ultra試薬を加え攪拌後室温で1分静置したのち、55℃で10分間加温し誘導体化試料とした。
注入量 :1μL
検出 :蛍光検出器
移動相 :A: 10% AccQ-Tag Ultra 溶離濃縮液A
B: AccQ-Tag Ultra 溶離濃縮液B(原液)
分析温度 :60℃
メソッド :FLR_Cell_Cult_Seq07
各定量法による結果を図3に示す。血漿の結果が上部、血清の結果が下部である。図中の「α−オキシダーゼ」が、L−リジンα−オキシダーゼ用いた酵素法の結果、「ε−オキシダーゼ」がL−リジンε−オキシダーゼを用いた酵素法の結果、「アミノ酸分析」が超高速アミノ酸分析システムを用いた結果である。図3が示すとおり、いずれの試料においてもL-リジン α−オキシダーゼを用いた酵素法に比べ本発明によるL−リジン ε−オキシダーゼによる方法は、超高速アミノ酸分析システムと近い値を示した。したがってL-リジン ε−オキシダーゼは、L−リジン α−オキシダーゼに比べ、正確な定量が可能であることが分かった。
Claims (7)
- L−オルニチンを含有する可能性がある生体試料を含有する検体に、L−リジンε−オキシダーゼを作用させてL−リジンε−オキシダーゼによるL−リジンの酸化反応終了後に、前記酸化反応で生じた過酸化水素を定量することを含む、前記生体試料に含有されるL−リジンの測定方法であって、
前記検体及びL−リジンε−オキシダーゼを含有する反応液は、前記検体に由来するL−オルニチンの最大濃度が125μMである、前記測定方法。 - L−リジンε−オキシダーゼがマリノモナス・メディテラネア(Marinomonas mediterranea)由来の酵素である請求項1に記載のL−リジンの測定方法。
- 過酸化水素を、ペルオキシダーゼ反応を用いて測定する請求項1または2に記載のL−リジンの測定方法。
- 前記L−オルニチンを含有する可能性がある生体試料が血漿、血清、または尿である請求項1〜3のいずれかに記載のL−リジンの測定方法。
- 以下の試薬を含む、L−オルニチンを含有する可能性がある検体におけるL−リジンの測定用キットであって、前記検体及び下記L−リジンε−オキシダーゼを含有する反応液は、前記検体に由来するL−オルニチンの最大濃度が125μMであり、L−リジンε−オキシダーゼによるL−リジンの酸化反応終了後に前記酸化反応で生じた過酸化水素を定量することによる前記検体に含まれるL−リジンの測定に用いるための前記キット。
(1)L−リジンε−オキシダーゼ
(2)L−リジンε−オキシダーゼにより生成する過酸化水素検出用試薬 - 過酸化水素検出用試薬がペルオキシダーゼ及びペルオキシダーゼ用発色剤を含む請求項5に記載の測定用キット。
- 反応用緩衝液をさらに含む請求項5〜6のいずれかに記載の測定用キット。
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