JP5042486B2 - 深絞り用高強度鋼板及び溶融めっき冷延鋼板 - Google Patents

深絞り用高強度鋼板及び溶融めっき冷延鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、自動車及び家電等の分野に適用される深絞り用高強度冷延鋼板及びその製造方法並びに溶融めっき鋼板及びその製造方法に関し、特に自動車の燃料タンク用途に好適な深絞り用高強度冷延鋼板及びその製造方法並びに溶融めっき鋼板及びその製造方法に関する。
近年、自動車用鋼板においては、車体重量軽減による燃費向上を目的として、高強度化が進んでいる。燃料タンク用鋼板でも同様に、タンクの軽量化及び車体デザインの複雑化、更には燃料タンクの収納設置場所の関係から、燃料タンク形状の複雑化が進み、優れた成形性及び高強度化が要求されている。従来、このような成形性と高強度との両立の要望を満足させるために、極低炭素鋼にTi及びNbのような炭窒化物形成元素を添加したIF(Interstitial Free)鋼に、P、Si及びMn等の固溶強化元素を添加した高強度IF鋼が開発されてきた。
しかしながら、IF鋼はCをTi又はNbによって炭化物として固定するため、結晶粒界が非常に清浄になり、成形後に粒界破壊によって二次加工脆化が発生しやすくなるという問題点がある。また、高強度IF鋼の場合、固溶強化元素で粒内が強化され、相対的な粒界強度の低下が顕著になるため、二次加工脆化が促進されるという問題点もある。
更に、燃料タンクは、上面と下面とが別々にプレス成形され、これらを溶接により接合して用いられる。このため、鋼板を高強度化しても、溶接継手強度が鋼板の高強度化に見合ったように高くならないという問題点がある。同時に、燃料タンクは重要保安部品であるため、低温地域において衝突による衝撃を受けた場合の耐破壊性を向上させる必要があるが、従来技術により高強度化した鋼板で燃料タンクを製造した場合、低温衝撃で溶接部が脆性破壊される懸念がある。
これらの問題点のうち、二次加工脆化については、発生を回避するためのいくつかの方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。例えば、特許文献1では、粒界偏析による耐二次加工脆化の劣化を回避するため、Ti添加IF鋼をベースに、P含有量をできるだけ低減させ、その分、Mn、Siを多量に添加することで、耐二次加工脆性に優れた高張力鋼板を得る技術が提案されている。また、特許文献2では、極低炭素鋼板を用いて、Ti及びNbに加えてBを添加することで、粒界強度を上昇させ、耐二次加工脆性を高める技術が提案されている。この特許文献2に記載の技術では、耐二次加工脆性の向上及びオーステナイト粒の再結晶の遅れに伴う熱間圧延時の負荷の増大防止を目的として、B含有量を最適化している。
また、溶接性を改善する目的でもいくつかの提案がなされている(例えば、特許文献3〜5参照。)。例えば、特許文献3に記載の技術は、Ti及び/又はNbを添加した極低炭素鋼板を焼鈍時に浸炭し、表層にマルテンサイト及びベイナイト組織を形成し、スポット溶接性を向上しようとするものである。また、特許文献4に記載の技術は、極低炭素鋼にCuを添加し、溶接時の熱影響部を広くすることにより、スポット溶接継手強度を高めようとするものである。更に、特許文献5に記載の技術は、鋼にMgを添加して鋼板中にMg酸化物及び/又はMg硫化物を生成させることにより、ピニング効果により、溶接部、熱影響部の細粒化を図り、溶接部の疲労強度の劣化を防止する技術である。
特開平5−59491号公報 特開平6−57373号公報 特開平7−188777号公報 特開平8−291364号公報 特開2001−288534号公報
しかしながら、前述した特許文献1及び2に記載の方法では、加工性及び耐二次加工脆性は良好であるが、溶接継手効率が低いという問題点が残る。また、特許文献3に記載の方法は、焼鈍中に浸炭するため、実際の製造設備では通板速度、雰囲気ガス組成及び温度が一定でないため、浸炭量が変化し、製造される鋼板の間で材質のバラツキが大きくなり、安定した鋼板の製造が困難である。更に、特許文献4に記載の方法はCuを多量に添加するため、Cuによる表面欠陥が多発し、歩留まりが低下するという問題点がある。更にまた、特許文献5に記載の方法は、比較的溶接後の冷却速度が遅いアーク溶接等では効果があるが、冷却速度が速いシーム溶接等ではその効果が認められないという欠陥がある。また、薄鋼板において、溶接部の靭性を向上させようとする技術がないばかりか、溶接部の靭性に関する問題提起すらされていないが現状である。
本発明はかかる現状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、自動車分野、特に燃料タンク用途に適用可能なプレス成形性を有し、且つ耐二次加工脆性及び溶融継ぎ手効率が優れた深絞り用高強度鋼板及びその製造方法、並びに溶融めっき鋼板及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係る深絞り用高強度冷延鋼板は、質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(1)により表されるT*が0.04%未満であり、且つP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(2)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れたことを特徴とする。
Figure 0005042486
Figure 0005042486
本発明に係る他の深絞り用高強度冷延鋼板は、質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有すると共に、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%及びMo:0.01〜1.0%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、上記数式(1)により表されるT*が0.04%未満であり、且つP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が上記数式(2)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れたことを特徴とする。
本発明に係る深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、上記数式(1)により表されるT*が0.04%未満である組成の溶鋼を連続鋳造してスラブを得る工程と、前記スラブを熱間圧延して熱延コイルを得る工程と、前記熱延コイルを50%以上の圧延率で冷間圧延して所定の厚さの冷延板とする工程と、前記冷延板を再結晶温度以上の温度で焼鈍する工程と、を有し、P含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が上記数式(2)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れたことを特徴とする。
本発明に係る深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有すると共に、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%及びMo:0.01〜1.0%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、上記数式(1)により表されるT*が0.04%未満である組成の溶鋼を連続鋳造してスラブを得る工程と、前記スラブを熱間圧延して熱延コイルを得る工程と、前記熱延コイルを50%以上の圧延率で冷間圧延して所定の厚さの冷延板とする工程と、前記冷延板を再結晶温度以上の温度で焼鈍する工程と、を有し、P含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が上記数式(2)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れたことを特徴とする。
本発明に係る溶融めっき冷延鋼板は、冷延鋼板と、前記冷延鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を有し、前記冷延鋼板は、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、上記数式(1)により表されるT*が0.04%未満である組成を有し、且つ前記冷延鋼板のP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が上記数式(2)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れたことを特徴とする。
本発明に係る溶融めっき冷延鋼板は、冷延鋼板と、前記冷延鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を有し、前記冷延鋼板は、質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有すると共に、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%及びMo:0.01〜1.0%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、上記数式(1)により表されるT*が0.04%未満である組成を有し、且つ前記冷延鋼板のP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が上記数式(2)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れたことを特徴とする。
本発明に係る溶融めっき冷延鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、上記数式(1)により表されるT*が0.04%未満である組成の溶鋼を連続鋳造してスラブを得る工程と、前記スラブを熱間圧延して熱延コイルを得る工程と、前記熱延コイルを50%以上の圧延率で冷間圧延して所定の厚さの冷延鋼板とする工程と、前記冷延鋼板を再結晶温度以上の温度で焼鈍すると共に、その冷却過程において前記冷延鋼板の表面に溶融めっきを施す工程と、を有し、前記冷延鋼板のP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が上記数式(2)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れたことを特徴とする。
本発明に係る溶融めっき冷延鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有すると共に、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%及びMo:0.01〜1.0%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、上記数式(1)により表されるT*が0.04%未満である組成の溶鋼を連続鋳造してスラブを得る工程と、前記スラブを熱間圧延して熱延コイルを得る工程と、前記熱延コイルを50%以上の圧延率で冷間圧延して所定の厚さの冷延鋼板とする工程と、前記冷延鋼板を再結晶温度以上の温度で焼鈍すると共に、その冷却過程において前記冷延鋼板の表面に溶融めっきを施す工程と、を有し、前記冷延鋼板のP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が上記数式(2)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れたことを特徴とする。
本発明によれば、従来、固溶強化元素とされていたPを引張り強さと特定の関係以下に低減し、Mn含有量を高め、且つ、Ti、P及びNの含有量を特定の関係を満足させているため、優れたプレス成形性を有すると共に、優れた耐二次加工脆性及び溶接継手効率を併せ持つ高強度冷延鋼板及び高強度溶融めっき鋼板が得られる。この効果は、鋼板の高強度化を可能とし、自動車の車体重量軽減による燃費向上を可能とする。とりわけ、燃料タンクの軽量化、車体デザインの複雑化を可能となる。この効果は工業的には極めて大きい。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、深絞り用高強度冷延鋼板(以下、単に冷延鋼板という)を例にして詳細に説明する。以下、組成における質量%は、単に%と記載する。また、継ぎ手効率とは、この冷延鋼板を溶接した溶接継手における溶接部の強度及び靭性を指す。
本発明者等は、従来技術では極めて困難であった優れたプレス成形性を有し、且つ優れた耐二次加工脆性及び溶接継手効率を併せ持つ高強度冷延鋼板及び高強度溶融めっき鋼板を得るため、鋭意検討を重ねた結果、従来、固溶強化元素とされていたPの含有量をできだけ低減すると共に、Mn含有量を高め、また、加工性を高めるために鋼中のC及びNを固定するTi及びNb量を規定し、更に、Ti、N及びP含有量の関係が特定の条件を満足するようにすると、溶接継手効率及び耐二次加工脆性を一段と改善できることを見出した。
以下、本発明の冷延鋼板を構成する各成分の添加理由及び数値限定理由について説明する。
本発明の冷延鋼板は、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.01〜0.060%、Nb:0.01〜0.150%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0005〜0.0050%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有する。そして、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(3)により表されるTが0.04%未満であり、且つP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(4)を満たすものである。
Figure 0005042486
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C:0.0005〜0.015%
Cは、鋼の強度を制御する最も基本的な元素であり、本発明において極めて重要な元素である。具体的には、Cは、Nb及びTiと結合して炭化物を形成し、高強度化を達成するために極めて有効な元素である。しかしながら、Cが0.015%を超えて添加されると、加工性の低下を招くと共に、溶接継手効率の低下を招くため、C含有量は0.015%以下とする。また、極めて高い加工性を要求される場合には、C含有量を0.0060%以下とすることが好ましい。一方、本発明の冷延鋼板においては、C含有量が低くても、ある程度は他の強化方法で補うことができる。しかしながら、C含有量が0.0005%未満では強度確保が困難になると共に、C含有量を0.0005%未満に低下させるには製鋼時の脱炭コストの上昇を招く。よって、C含有量は0.0005%以上とする。
Si:0.05〜0.50%
Siは、固溶強化元素として一般に知られている元素である。しかしながら、Si含有量が多くなると、具体的には、Si含有量が0.50%を超えると、溶融めっき性が損なわれる。よって、本発明においては、Siは0.50%以下の範囲で添加する。一方、Siの含有量が少なくなると、具体的には、Si含有量が0.05%未満になると、鋼板の強度が低下するため、Si含有量は0.05%以上とする。
Mn:1.2〜3.0%
Mnは、Siと同様に固溶強化により素材強度を上昇させる元素であり、耐二次加工性脆性の向上を目的とした本発明の冷延鋼板を高強度化するために重要な元素の1つである。Mnには、組織を微細化して高強度化する機構と、固溶強化による高強度化機構とがあるが、Mn含有量が1.2%未満の場合、その添加効果が得られない。一方、Mnの含有量が3.0%を超えると、深絞り性の指標であるr値の面内異方性が大きくなり、プレス成形性が損なわれる。よって、Mn含有量は1.2〜3.0%とする。なお、Mn含有量の好ましい範囲は1.4〜2.0%であり、これにより、鋼板の強度及び成形性をより高めることができる。
P:0.05%以下
Pは、添加しても加工性の劣化が少なく、固溶強化で高強度化に有効な元素である。しかしながら、Pは、粒界に偏析して耐二次加工脆性を劣化させると共に、溶接部に凝固偏析を生じ、溶接継手効率を低下させる元素でもある。そこで、本発明においては、粒界への偏析を防止するため、P含有量は0.05%以下とする。なお、P含有量の下限は特に規定する必要はないが、P含有量を0.005%未満にするためには、精錬コストが高くなるため、P含有量は0.005%以上とすることが好ましい。更に、P含有量のより好ましい範囲は、0.01〜0.04%である。
Al:0.005〜0.090%
Alは脱酸に必要な元素であり、鋼中の介在物量を減少させ、加工性を良好にする効果がある。しかしながら、Al含有量が0.005質量%では、その効果が得られない。一方、Al含有量が0.090質量%を超えると、クラスター状のアルミナ介在物が多くなり、加工性が低下したり、表面性状が劣化したりする。よって、Al含有量は0.005〜0.090%とする。
Ti:0.01〜0.060%
Tiは、N及びCとの親和力が強く、凝固時に炭窒化物を形成し、鋼中に固溶しているN及びCを低減して、加工性を高める効果がある。しかしながら、Ti含有量が0.01%未満では、この効果が得られない。一方、Tiの含有量が多くなると、具体的には、Ti含有量が0.060%を超えると、溶接継手の溶接部の強度及び靭性、即ち、溶接継手効率が劣化する。よって、Ti含有量は0.01〜0.060%とする。
Nb:0.01〜0.150%
Nbは、Tiと同様に炭窒化物を形成し、鋼中に固溶しているN及びCを低減して、加工性を高める効果がある。しかしながら、Nb含有量が0.01%未満では、この効果が得られない。一方、Nb含有量が多くなると、具体的には、Nb含有量が0.150%を超えると、再結晶温度が高くなり、高温焼鈍が必要になるため、r値の面内異方性が大きくなり、プレス成形性が損なわれる。よって、Nb含有量は0.01〜0.150%とする。
N:0.0010〜0.0070%
Nは鋼の精錬時に不可避的に混入する元素である。また、Nは、Ti、Al及びNbの窒化物を形成し、加工性には悪影響を及ぼさないが、溶接性を劣化させる元素である。このため、N含有量は0.0070%以下に規制する必要がある。一方、N含有量を0.0010%未満に低減するには、製造コストが高くなる。よって、N含有量は0.0010〜0.0070%とする。
B:0.0005〜0.0050%
Bは、粒界に偏析することにより、粒界強度を高め、耐二次加工脆性を良好にする元素である。しかしながら、B含有量が0.0005%未満の場合、その効果が得られない。一方、B含有量が多くなると、具体的には、B含有量が0.0050%を超えると、その添加効果が飽和するだけでなく、再結晶温度が高くなり、高温焼鈍が必要となるため、製造コストの上昇を招くと共に、加工性が劣化する。よって、B含有量は、0.0005〜0.0050%とする。なお、B含有量の好ましい範囲は、0.0010〜0.0035%である。
|TS|>|P|×10
前述したように、Pは添加による加工性の劣化が少なく、固溶強化による高強度化に有効な元素である。このため、従来は高強度を得るために、Pを多量に添加する傾向があったが、本発明者等は、強度に対して特定量以上にPを添加すると、具体的には、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が、P含有量(%)の絶対値|P|の10倍以下になると、耐二次加工脆性及び溶接継手効率が急激に劣化することを知見した。よって、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が、P含有量(%)の絶対値|P|の10倍を超えるようにする。一般に、鋼材の引張り強度は、主に鋼成分に依存し、製造条件は副次的に影響する。そこで、鋼成分設計に際しては、P添加量を極力少なくすると共に、溶接性、加工性、耐二次加工脆性、めっき性に悪影響を及ぼさない範囲でSi及びMnの含有量を多くする必要がある。また、製造する際は、強度の低下を防止するため、熱間圧延時の巻取り温度を高温にしないようにすると共に、850℃を超える高温での焼鈍を行わないようにすることが好ましい。
:0.04%未満
本発明者等は、上記数式(3)により規定されるTの値が大きくなると、溶接継手効率が劣化することを見出した。なお、上記数式(3)における[Ti]はTi含有量(%)、[N]はN含有量(%)、[P]はP含有量(%)である。Tの値が0.04%以上の場合、特に、低温における継手効率の劣化が顕著となり、脆性破壊破面が生じる温度が高温になって、溶接部の靭性が劣化する。以上の理由から、Tの値を0.04%未満とする。
更に、本発明の冷延鋼板においては、必要に応じて、Ni、Cr及びMoから選択された少なくとも1種の元素を添加することができる。以下、これらの元素の添加理由及び数値限定理由について説明する。
Ni:0.01〜1.0%
Niは、Mnと同様に高強度化に有効な元素である。しかしながら、Ni含有量が0.01%未満の場合、その効果が得られない。一方、Niは、1.0%を超えて添加すると、製造コストの上昇を招く。よって、Niを選択元素として添加する場合は、0.01〜1.0%の範囲とする。
Cr:0.01〜1.0%
Crは、加工性を劣化させることなく、高強度化を実現するために有効な元素である。しかしながら、Cr含有量が0.01%未満では、その効果が得られない。一方、Crの含有量が1.0%を超えると、製造コストの上昇を招くと共に、めっき性が阻害される。よって、選択元素としてCrを添加する場合は、0.01〜1.0%の範囲とする。
Mo:0.01〜1.0%
Moは、固溶体強化で鋼板の強度を高める元素である。また、本発明者等は、Moを添加することにより、加工性が良好となることを見出した。しかしながら、Mo含有量が0.01%未満の場合、これらの効果が得られない。一方、Mo含有量が1.0%を超えると、効果が飽和し、製造コストの上昇を招く。よって、本発明においては、Moは、特に加工性が必要となる場合に、0.01〜1.0%の範囲で添加する。
なお、本発明の冷延鋼板における残部、即ち、上述した各元素以外の成分は、Fe及び不可避的不純物である。
本発明においては、従来、固溶強化元素とされていたPの含有量を低減すると共に、Mn含有量を高め、且つ、Ti含有量、P含有量及びN含有量が特定の関係を満足するようにしているため、優れたプレス成形性を有し、且つ優れた耐二次加工脆性及び溶接継手効率を併せ持つ冷延鋼板が得られる。これにより、鋼板の高強度化が可能となり、自動車の車体重量軽減による燃費向上が実現できる。特に、燃料タンクの軽量化及び車体デザインの複雑化を可能となる。この効果は工業的には極めて大きい。
なお、本発明の冷延鋼板においては、上述した各元素以外に、S及びCu等の元素を、通常の範囲で添加することもでき、それにより上述した本発明の特徴が損なわれることはない。
また、本発明の冷延鋼板は、その表面に亜鉛、Al合金、Sn及びSn−Zn合金等からなるめっき層を設けることにより、溶融めっき鋼板として使用することができる。
次に、本発明の冷延鋼板の製造方法について説明する。本発明の冷延鋼板を製造する際は、先ず上述した鋼組成となるように、原料を転炉又は電気炉に投入し、真空脱ガス処理してスラブを造り、このスラブを熱間圧延に供して熱延コイルとする。この熱延コイルは通常、脱スケール後に冷間圧延して、所定の板厚に調整された後、焼鈍される。この焼鈍鋼板は調質圧延され、更に、電気めっき等の表面処理が施された後、出荷される。
その際、熱間圧延の加熱温度は、何℃に設定しても本発明の特徴を損なわれないため、圧延の操業に支障がない範囲で選べばよい。また、熱間圧延の仕上温度がAr温度未満であると、鋼板の加工性が損なわれることがあるため、熱間圧延の仕上げはAr温度以上で行うことが好ましい。更に、熱間圧延後の巻取り温度が800℃を超える高温になると、冷延焼鈍後の鋼板の強度が低下するため、巻取り温度は800℃以下とすることが好ましい。更にまた、冷間圧延率が50%未満の場合、焼鈍後の鋼板の強度が低下し、深絞り加工性が劣化する。よって、本発明の冷延鋼板を製造する際は、冷間圧延率を50%以上とする。なお、冷間圧延率は65〜80%とすることが好ましく、これにより、強度及び深絞り加工性が優れた冷延鋼板が得られる。
本発明の冷延鋼板は、冷間圧延後に焼鈍されるが、その際の焼鈍温度は、再結晶温度以上にする必要がある。一方、焼鈍温度が高くなると鋼板の強度が低下するため、焼鈍は850℃以下の温度で実施することが好ましい。また、連続焼鈍方式で焼鈍する場合は、冷却中に過時効処理が存在しても、しなくても本発明の特徴を損なわれないので、過時効処理は実施しても、しなくてもどちらでもよい。
更に、本発明の冷延鋼板を溶融めっき鋼板として使用する場合は、前述の焼鈍工程の冷却過程において、表面に亜鉛、Al合金、Sn及びSn−Zn合金等が溶融めっきされる。
次に、本発明の実施例1について説明する。先ず、下記表1に示す鋼組成のスラブを、1200℃に加熱保持した後、熱延仕上温度が850〜880℃、巻き取り温度が600〜650℃の条件で、板厚が3.7mmの熱延鋼板とし、更に、酸洗した後で厚さが1.2mmとなるまで冷間圧延した。次に、この冷延板を800℃で65秒間保持するサイクルの焼鈍を行った後、1.0%の調質圧延を行った。なお、下記表1における下線は、本発明の範囲外であることを示す。
Figure 0005042486
次に、上述の方法で作製した実施例及び比較例の各鋼板の引張り特性、深絞り加工の指標であるr値、耐二次加工脆性及び溶接継手効率について調査した。以下、その評価方法について説明する。
引張り特性は、各鋼板から引張り方向が圧延方向と並行になるようにして採取したJIS5号試験片を使用して引張り試験を行い、その引張り強度及び伸びにより評価した。そして、引張り強度TSが440MPa以上ので、伸びElが35%以上のものを合格とした。
r値の評価は、各鋼板から圧延方向に平行方向、45°方向、直角方向の3方向について夫々JIS5号引張り試験片を採取し、各試験片についてr値を測定した。そして、圧延方向に平行なr値をr、45°方向のr値をr45、直角方向のr値をr90としたとき、下記数式(5)により求められる各方向のr値の平均値raveにより評価した。なお、本実施例においてはraveが1.50以上のものを合格とした。
Figure 0005042486
耐二次加工脆性は、鋼板(板厚:1.2mm)を直径105mmにブランキングした後、外径が50mmのポンチで円筒絞りを行い、その絞りカップを30°の円錐台に載せ、種々の温度条件下で、高さ1m位置から重さ5kgの錘を落下させて、カップに割れが発生しない最低の温度(耐二次加工脆性温度)を求めた。この耐二次加工脆性温度は、鋼板の板厚及び試験方法により変化するが、本実施例においては、−50℃以下を合格とした。
溶接継手効率は、鋼板(板厚:1.2mm)を2枚重ねてシーム溶接し、その溶接部の強度及び靭性について評価した。その際、溶接部の強度は、剪断引張り強度と母材の引張り強度との比(剪断引張り強度/母材の引張り強度)により評価した。また、溶接部の靭性は、図1に示す形状の鋼板1a,1bをシーム溶接して試験片を作製し、その溶接部2について、温度を変えてピール試験を行った。そして、破断面をSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)で観察し、破断面に脆性破面が見られない最低の温度を調べた。なお、本実施例においては、剪断引張り強度が母材の引張り強度の60%以上のもの、及びピール試験において脆性破面が生じない最低温度が−30℃以下のものを合格とした。以上の試験結果を下記表2に示す。
Figure 0005042486
上記表2に示すように、Ti及びNbを略同量複合添加した本発明の範囲内の実施例であるNo.1の鋼板及びNo.2の鋼板は、r値(rave)が1.6以上、伸びが35%以上と優れた加工特性を有すると共に、耐二次加工脆性が−60℃であり、溶接継手効率が良好な特性を有していた。また、No.3の鋼板及びNo.4の鋼板は、Tiを添加した本発明の範囲内の実施例である。これらの鋼板も優れた加工特性を有すると共に、耐二次加工脆性及び溶接継手効率についても良好な特性を有していた。No.5の鋼板はTi及びNbにCrを添加した本発明の範囲内の実施例である。この鋼板の引っ張り強さTSは450MPaであり、また、P含有量の絶対値の10倍よりも大きいという条件を満足しているため、加工特性が良好であり、更に、耐二次加工脆性及び溶接継手効率も良好であった。No.6の鋼板はTi及びMoを添加した本発明の範囲内の実施例である。この鋼板も、優れた加工特性、耐二次加工脆性及び溶接継手効率を有していた。
一方、No.7の鋼板は、P量が0.0070%と本発明の範囲から外れた比較例である。この鋼板は、加工特性は良好であるが、縦割れ発生温度(耐二次加工脆性温度)が20℃であり、耐二次加工脆性が劣っていた。No.8の鋼板は、C量が0.0190%と本発明の範囲から外れた比較例である。この鋼板は伸びが12%しかなく、r値の測定ができなかった。また、カップ絞り成形時に割れが生じ、耐二次加工脆性試験もできなかった。No.9の鋼板は、Ti量が0.090%、Tの値が0.071%と本発明の範囲から外れた比較例である。この鋼板は、耐二次加工脆性温度が−20℃と劣ると共に、溶接継手効率に関しても剪断力及びピール試験における脆性破面が生じる温度が0℃と劣っていた。No.10の鋼板は、Mn量が3.5%と本発明の範囲の上限から外れた比較例である。この鋼板は、r値(rave)が1.15と加工特性が劣ると共に、耐二次加工脆性及び溶接継手効率が劣っていた。
No.11の鋼板は、Si含有量が本発明の範囲の下限値よりも少ない比較例であり、No.12の鋼板はMn含有量が本発明の範囲の下限値よりも少ない比較例である。これらの鋼板は、引張り強度が380〜540MPaの範囲になっておらず、本発明の目的を満たしていなかった。No.13の鋼板は、Ti含有量が本発明の範囲から外れた比較例である。この鋼板は、r値(rave)が1.25と劣っており、本発明の目的に合致していなかった。No.14の鋼板は、B含有量が本発明の範囲から外れた比較例であり、加工性及び溶接継手効率が劣っていた。No.15の鋼板は、Nb含有量が本発明の範囲から外れた比較例である。この鋼板は、伸びが9.5%しかなく、また、r値の測定ができず、更に、カップ絞り成形時に割れが生じたため、耐二次加工脆性試験が行えなかった。
次に、本発明の実施例2について説明する。下記表3に示す鋼組成のスラブを、1200℃に加熱保持した後、熱延仕上温度が850〜880℃、巻き取り温度が600〜650℃の条件で、板厚が3.7mmの熱延鋼板とし、更に、酸洗した後で厚さが1.2mmとなるまで冷間圧延した。次に、この冷延板を800℃で65秒間保持する熱サイクルの焼鈍を行い、その冷却途中で、無酸化炉還元タイプのラインを使用して鋼板の表面に溶融アルミニウムめっきを行った。溶融アルミニウムめっきは、浴組成をAl:90%、Si:10%として行い、めっき後ガスワイピング法によりめっき付着量が両面で60g/mになるように調整した後、冷却し、ゼロスパングル処理を施した。更に、上述の方法で溶融めっき処理した鋼板に、更にCr3+主体のクロメート処理を施し、インラインで1.0%の調質圧延を行った。なお、下記表3における下線は、本発明の範囲外であることを示す。
Figure 0005042486
次に、上述の方法で作製した実施例及び比較例の各溶融めっき鋼板の引張り特性、深絞り加工の指標であるr値、耐二次加工脆性及び溶接継手効率について調査した。なお、各項目の調査方法及び評価基準は前述の実施例1と同様にした。また、上記項目に加えて、目視によりめっき層表面の状況(めっき性)を調査した。このめっき性は、不めっき部の有無で評価し、不めっきが全くないものを〇、不めっきがあるものを×とした。以上の評価結果を下記表4に示す。
Figure 0005042486
上記表4に示すように、Ti及びNbを複合添加した本発明の範囲内の実施例であるNo.16の鋼板及びNo.17の鋼板は、r値(rave)が1.6以上、伸びが35%以上と優れた加工特性を有すると共に、耐二次加工脆性が夫々−50℃及び−60℃であり、溶接継手効率が良好な特性を有し、更にめっき性も良好であった。また、No.18の鋼板及びNo.19の鋼板は、Tiを添加した本発明の範囲内の実施例である。これらの鋼板も優れた加工特性を有すると共に、耐二次加工脆性及び溶接継手効率についても良好な特性を有し、めっき性も優れていた。No.20の鋼板はTi及びNbにCrを添加した本発明の範囲内の実施例である。この鋼板も加工性、耐二次加工脆性、溶接継手効率及びめっき性のいずれも優れた特性を有していた。No.21の鋼板は、Ti及びMoを添加した本発明の範囲内の実施例である。この鋼板も、優れた加工特性、耐二次加工脆性、溶接継手効率及びめっき性を有していた。
一方、No.22の鋼板は、P量が0.0070%と本発明の範囲から外れた比較例である。この鋼板は、加工特性は良好であるが、縦割れ発生温度(耐二次加工脆性温度)が20℃と高く、溶接継手効率も本発明範囲内の実施例の鋼板に比べて劣っていた。No.23の鋼板は、Ti量が本発明範囲から外れた比較例である。この鋼板は耐二次加工脆性及びめっき性が本発明の目標(合格基準値)に達していなかった。No.24の鋼板は、Mn量が本発明の範囲の上限よりも多い比較例である。この鋼板は、加工性の指標の1つであるr値(rave)が低く、めっき性も劣っていたため、本発明の目的に合致しなかった。No.25の鋼板は、Ti量が本発明の範囲の下限よりも少ない比較例である。この鋼板は、加工性の指標であるr値(rave)が低く、溶接継手効率が劣っていたため、本発明の目的に合致しなかった。No.26の鋼板は、B含有量が本発明の範囲の上限よりも多い比較例である。この鋼板も加工性の指標であるr値(rave)が低く、溶接継手効率が劣っていたため、本発明の目的に合致しなかった。
ピール試験方法を示す断面図である。
符号の説明
1a,1b 鋼板
2 溶接部

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C:0.0005〜0.015%、
    Si:0.05〜0.50%、
    Mn:1.2〜3.0%、
    P:0.05%以下、
    Al:0.005〜0.090%、
    Ti:0.010〜0.060%、
    Nb:0.015〜0.025%、
    N:0.0010〜0.0070%、
    B:0.0010〜0.0050%を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(A)により表されるT*が0.04%未満であり、
    且つP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(B)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、
    引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れた深絞り用高強度冷延鋼板。
    Figure 0005042486
  2. 質量%で、
    C:0.0005〜0.015%、
    Si:0.05〜0.50%、
    Mn:1.2〜3.0%、
    P:0.05%以下、
    Al:0.005〜0.090%、
    Ti:0.010〜0.060%、
    Nb:0.015〜0.025%、
    N:0.0010〜0.0070%、
    B:0.0010〜0.0050%を含有すると共に、
    Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%及びMo:0.01〜1.0%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(A)により表されるT*が0.04%未満であり、
    且つP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(B)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、
    引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れた深絞り用高強度冷延鋼板。
    Figure 0005042486
  3. 質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(A)により表されるT*が0.04%未満である組成の溶鋼を連続鋳造してスラブを得る工程と、
    前記スラブを熱間圧延して熱延コイルを得る工程と、
    前記熱延コイルを50%以上の圧延率で冷間圧延して所定の厚さの冷延板とする工程と、
    前記冷延板を再結晶温度以上の温度で焼鈍する工程と、を有し、
    P含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(B)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、
    引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れた深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法。
    Figure 0005042486
  4. 質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有すると共に、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%及びMo:0.01〜1.0%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(A)により表されるT*が0.04%未満である組成の溶鋼を連続鋳造してスラブを得る工程と、
    前記スラブを熱間圧延して熱延コイルを得る工程と、
    前記熱延コイルを50%以上の圧延率で冷間圧延して所定の厚さの冷延板とする工程と、
    前記冷延板を再結晶温度以上の温度で焼鈍する工程と、を有し、
    P含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(B)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、
    引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れた深絞り用高強度冷延鋼板の製造方法。
    Figure 0005042486
  5. 冷延鋼板と、
    前記冷延鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を有し、
    前記冷延鋼板は、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(A)により表されるT*が0.04%未満である組成を有し、
    且つ前記冷延鋼板のP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(B)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、
    引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れた溶融めっき冷延鋼板。
    Figure 0005042486
  6. 冷延鋼板と、
    前記冷延鋼板の表面に形成された溶融めっき層と、を有し、
    前記冷延鋼板は、質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有すると共に、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%及びMo:0.01〜1.0%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(A)により表されるT*が0.04%未満である組成を有し、
    且つ前記冷延鋼板のP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(B)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、
    引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れた溶融めっき冷延鋼板。
    Figure 0005042486
  7. 質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(A)により表されるT*が0.04%未満である組成の溶鋼を連続鋳造してスラブを得る工程と、
    前記スラブを熱間圧延して熱延コイルを得る工程と、
    前記熱延コイルを50%以上の圧延率で冷間圧延して所定の厚さの冷延鋼板とする工程と、
    前記冷延鋼板を再結晶温度以上の温度で焼鈍すると共に、その冷却過程において前記冷延鋼板の表面に溶融めっきを施す工程と、を有し、
    前記冷延鋼板のP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(B)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、
    引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れた溶融めっき冷延鋼板の製造方法。
    Figure 0005042486
  8. 質量%で、C:0.0005〜0.015%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.2〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.005〜0.090%、Ti:0.010〜0.060%、Nb:0.015〜0.025%、N:0.0010〜0.0070%、B:0.0010〜0.0050%を含有すると共に、Ni:0.01〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%及びMo:0.01〜1.0%からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、P含有量(%)を[P]、Ti含有量(%)を[Ti]、N含有量(%)を[N]としたとき、下記数式(A)により表されるT*が0.04%未満である組成の溶鋼を連続鋳造してスラブを得る工程と、
    前記スラブを熱間圧延して熱延コイルを得る工程と、
    前記熱延コイルを50%以上の圧延率で冷間圧延して所定の厚さの冷延鋼板とする工程と、
    前記冷延鋼板を再結晶温度以上の温度で焼鈍すると共に、その冷却過程において前記冷延鋼板の表面に溶融めっきを施す工程と、を有し、
    前記冷延鋼板のP含有量(%)の絶対値を|P|としたとき、引張り強度TS(MPa)の絶対値|TS|が下記数式(B)を満たし、溶接継手効率が65%以上であり、
    引張り強度が380MPa以上、540MPa未満であり、耐二次加工脆性及び溶接継ぎ手効率に優れた溶融めっき冷延鋼板の製造方法。
    Figure 0005042486
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