JP5040936B2 - 車両懸架装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の車体側部と車輪側部との間に設けられる懸架装置に関するものであり、特に、車体側部に作用する加速度に起因する車体側部の傾きの防止に関するものである。
車両懸架装置は、車体を主体とする車体側部と、車輪および車輪保持装置を主体とする車輪側部との間に配設され、車輪側部の振動が車体側部に伝達されることを抑制しつつ、車輪側部に車体側部を支持させる装置である。車輪側部の振動が車体側部に伝達されることを抑制するためには、懸架装置を車体側部と車輪側部との相対変位を許容するものとすることが必要であるが、そのような懸架装置は同時に、車体側部の加速度に起因する慣性力によって車体側部が変位することを許容する。特許文献1に記載された車両懸架装置は、車体側部のロール,ピッチ、ヒーブ等をそれぞれ良好に抑制するとともに、車輪側部から車体側部への振動の伝達を良好に遮断し得るものである。
特開2003−146043号公報
本発明の課題は、従来の車両懸架装置を改良することであり、例えば、乗り心地の向上を図ったり、設置性の向上を図ったりすることである。
上記特許文献1に記載の車両懸架装置は、通常の状態では車輪側部の振動の車体側部への伝達を良好に遮断し得るのであるが、車体側部のロール,ピッチ、ヒーブ等を抑制している状態では振動伝達の遮断機能が低下することがある。そこで、車体側部のロールとピッチとの少なくとも一方を良好に抑制し得るとともに、その抑制中においても車輪側部から車体側部への振動の伝達を良好に遮断し得る車両懸架装置を提供することが本発明の課題である。あるいは、車両懸架装置の小形化を図ることにより設置性を向上させることが本発明の課題である。
請求項1に記載の車両懸架装置は、(a)車両の車輪側部と車体側部との間に配設され、車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に伴って作動する複数の懸架シリンダと、(b)それら複数の懸架シリンダの一つから別の一つに向かっての液体の流れを可能にする液通路と、(c)前記一つの懸架シリンダと別の一つの懸架シリンダとにそれぞれ対応して設けられ、前記懸架シリンダの各々の液圧により作動可能な2つのロータリアクチュエータである懸架用ロータリアクチュエータと、(d)前記車体側部に作用する加速度に起因する車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位である第一相対変位に起因する前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制することによって前記液通路の液体の流れを抑制するとともに、その抑制中においても、前記車体側部に作用する加速度に起因しない車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位である第二相対変位に基づく前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を許容することによって前記液通路の液体の流れを許容する回転制御部とを含むものとされる。
請求項2に記載の車両懸架装置は、(i)前記車体側部に作用する加速度に起因する前記第一相対変位を抑制する抑制部と、(ii)その抑制部による前記第一相対変位の抑制中に、前記加速度に起因しない前記第二相対変位は許容する許容部とを含み、前記回転制御部が、(a)前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの少なくとも一方に負荷を付与する負荷付与装置と、(b)その負荷付与装置を前記車体側部に作用する加速度に基づいて制御することにより、前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの少なくとも一方に付与される負荷を制御する負荷制御部とを含み、前記負荷付与装置および前記負荷制御部が前記2つの懸架用ロータリアクチュエータと共同して前記抑制部を構成し、前記回転制御部のうち前記抑制部による抑制中にも前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を許容する部分が前記液通路、前記2つの懸架シリンダおよび前記2つの懸架用ロータリアクチュエータと共同して前記許容部を構成するものとされる。
請求項3に記載の車両懸架装置は、前記負荷付与装置が、前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの各々に、前記懸架シリンダの液圧によって前記懸架用ロータリアクチュエータに加えられる回転トルクと、自身に加えられる回転トルクとが逆向きに作用する状態で連結された容量可変型の2つの負荷調整用ロータリアクチュエータを含み、車両懸架装置が、それら2つの負荷調整用ロータリアクチュエータを連通させる前記液通路とは異なる液通路を含み、前記負荷制御部が、前記車体側部に作用する加速度に基づいて前記2つの懸架シリンダのうちの一方の液圧が他方の液圧より高くなることが取得された場合に、その一方の懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を、他方の懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくすることにより、前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制する回転抑制部を含むものとされる。
請求項4に記載の車両懸架装置は、前記2つの負荷調整用ロータリアクチュエータにアキュムレータが接続されたものとされ、請求項5に記載の車両懸架装置は、前記回転抑制部が、前記2つの負荷調整用ロータリアクチュエータの容量の各々を、前記懸架用ロータリアクチュエータに前記懸架シリンダの液圧により加えられる回転トルクと、前記負荷調整用ロータリアクチュエータに前記アキュムレータの液圧により加えられる回転トルクとが釣り合うように制御する制御部を含むものとされる。
また、請求項6に記載の車両懸架装置は、前記回転抑制部が、前記車両の旋回時に、前記車両の旋回外側に位置する懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を、旋回内側に位置する懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくするロール抑制部と、前記旋回外側の負荷調整用ロータリアクチュエータの容量と前記旋回内側の負荷調整用ロータリアクチュエータの容量との比率を、前記車両の横加速度に基づいて決定する比率決定部とを含むものとされ、請求項7に記載の車両懸架装置においては、前記回転抑制部が、前記車両の制動中に、前記車両の前輪側に位置する懸架用シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を、後輪側に位置する懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくするピッチ抑制部を含むものとされ、請求項8に記載の車両懸架装置は、前記回転制御部が、前記懸架用ロータリアクチュエータと前記負荷調整用ロータリアクチュエータとの間に設けられた変速機を含むものとされる。
本発明に係る車両懸架装置においては、車体側部に作用する加速度に起因する車体側部と車輪側部との間の相対変位が抑制部により抑制される。したがって、車体側部に作用する加速度が前後方向の加速度である場合には、車体側部のピッチが抑制され、横方向の加速度である場合には、車体側部のロールが抑制される。しかも、抑制部による抑制中であっても、車体側部に作用する加速度に起因しない車体側部と車輪側部との間の相対変位は
許容部により許容されるため、路面の凹凸に起因する車輪側部の振動の車体側部への伝達は良好に遮断される。
また、車両懸架装置が、ロータリアクチュエータを備えたものであるため、レシプロアクチュエータ(reciprocating actuator)を備えた装置より、小形化することができる。
特許請求可能な発明
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)車両の車体側部と車輪側部との間に設けられる懸架装置であって、
前記車体側部に作用する加速度に起因する車体側部と車輪側部との間の上下方向の相対変位である第一相対変位を抑制する抑制部と、
その抑制部による前記第一相対変位の抑制中に、前記加速度に起因しない前記車体側部と前記車輪側部との間の上下方向の相対変位である第二相対変位は許容する許容部と
を含むことを特徴とする車両懸架装置。
(2)車両の車輪側部と車体側部との間に配設され、車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に伴って作動する複数の懸架シリンダと、
それら複数の懸架シリンダの一つから別の一つに向かっての液体の流れを可能にする液通路と、
前記車体側部に作用する加速度に起因するその車体側部と前記車輪側部との上下方向の相対変位に基づく前記液通路の液体の流れを抑制するとともに、その抑制中においても、前記車体側部に作用する加速度に起因しない前記車体側部と前記車輪側部との相対変位に基づく前記液通路の液体の流れは許容する流通制御装置と
を含み、その流通制御装置の前記液体の流れを抑制する部分が前記複数の懸架シリンダおよび前記液通路と共同して前記抑制部を構成し、前記抑制部による抑制中にも液体の流れを許容する部分が前記複数の懸架シリンダおよび前記液通路と共同して前記許容部を構成する(1)項に記載の車両懸架装置。
本車両懸架装置においては、一つの懸架シリンダと別の一つの懸架シリンダとが液通路により接続される。ただし、この液通路は、一つの懸架シリンダから別の一つに向かっての液体の流れを可能にするものであればよく、両懸架シリンダの液室を直接互いに連通させるものであることは不可欠ではない。流通制御装置が、車体側部に作用する加速度に起因する車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に基づく液通路の液体の流れを抑制すれば、その液通路により接続されている一対の懸架シリンダの伸縮が抑制され、それら一対の懸架シリンダに対応する車輪側部と車体側部との接近,離間が抑制される。したがって、車体側部に作用する加速度に起因する車体側部の移動が抑制される、例えば、車体側部に作用する加速度が前後方向の加速度であれば車体のピッチが抑制され、横方向の加速度であればロールが抑制される。しかも、流通制御装置はこの抑制中においても、車体側部に作用する加速度に起因しない車体側部と車輪側部との相対変位に基づく液通路の液体の流れは許容するため、車輪側部の車体側部に対する相対変位が許容され、車輪側部の振動が車体側部に伝達されることが良好に回避される。懸架シリンダは、単純な単動シリンダでもよく、ショックアブソーバでもよい。
(3)前記複数の懸架シリンダが、前記車両の前輪と後輪とにそれぞれ対応して配設されたものを含み、前記抑制部が、前記車体側部に作用する前後方向の加速度に起因する車体側部と前記車輪側部との上下方向の相対変位に基づく前記液通路の液体の流れを抑制することにより前記車体側部のピッチを抑制するピッチ抑制部を含む(2)項に記載の車両懸架装置。
(4)前記複数の懸架シリンダが、前記車両の右側輪と左側輪とにそれぞれ対応して配設されたものを含み、前記抑制部が、前記車体側部に作用する横方向の加速度に起因する車体側部と前記車輪側部との上下方向の相対変位に基づく前記液通路の液体の流れを抑制することにより前記車体側部のロールを抑制するロール抑制部を含む(2)項に記載の車両懸架装置。
(5)前記抑制部が、前記車体側部に作用する加速度に起因するその車体側部と前記車輪側部との上下方向の相対変位に基づく前記液通路の液体の流れを抑制する流通抑制装置を含み、前記許容部が、その流通抑制装置による流れの抑制中においても、前記車体側部に作用する加速度に起因しない前記車体側部と前記車輪側部との相対変位に基づく前記液通路の液体の流れは許容する流通許容装置を含む(2)項ないし(4)項のいずれかに記載の車両懸架装置。
(6)前記一つの懸架シリンダと別の一つの懸架シリンダとにそれぞれ対応して設けられ、前記懸架シリンダの各々の液圧により作動可能な2つのロータリアクチュエータである懸架用アクチュエータを含み、
前記流通制御装置が、前記車体側部に作用する加速度に起因する車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に起因する前記2つのロータリアクチュエータの回転を抑制することによって前記液通路の液体の流れを抑制するとともに、その抑制中においても、前記車体側部に作用する加速度に起因しない前記車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に基づく前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を許容することによって前記液通路の液体の流れを許容する回転制御部を含み、その回転制御部の前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制する部分が前記2つの懸架用ロータリアクチュエータと共同して前記抑制部を構成し、前記抑制部による抑制中にも前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を許容する部分が前記2つの懸架用ロータリアクチュエータと共同して前記許容部を構成する(2)項に記載の車両車両懸架装置。
2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転が抑制されれば、液通路における液体の流れが抑制されて、2つの懸架シリンダの作動が抑制される。2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転が許容されれば、液通路における液体の流れが許容されて、2つの懸架シリンダの作動が許容される。加速度に起因する車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に基づいて、2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転が抑制された状態において、加速度に起因しない上下方向の相対変位が生じれば、それに応じて懸架用ロータリアクチュエータが回転させられ、液通路における液体の流れが許容され、懸架シリンダの作動が許容される。
懸架用ロータリアクチュエータは、懸架シリンダの液圧室に連通させられ、液体の供給により作動可能な液圧式の懸架用ロータリアクチュエータとすることができる。懸架用ロータリアクチュエータは、懸架シリンダにそれぞれ対応して、液通路の途中に設けられる。
このように、懸架用ロータリアクチュエータを使用することによって、懸架装置の小型化を図ることができる。
(7)前記回転制御部が、(a)前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの少なくとも一方に負荷を付与する負荷付与装置と、(b)その負荷付与装置を前記車体側部に作用する加速度に基づいて制御することにより、前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの少なくとも一方に付与される負荷を制御する負荷制御部とを含む(6)項に記載の車両懸架装置。
負荷付与装置は、2つの懸架用ロータリアクチュエータの少なくとも一方に負荷を加え得るものであり、2つの懸架用ロータリアクチュエータ各々に別個に加えるものであっても、いずれか一方に加えるものであってもよい。また、負荷付与装置は、負荷の大きさを変え得るものである。負荷は連続的に可変であっても段階的に可変であってもよい。さらに、負荷付与装置は、懸架用ロータリアクチュエータに液圧により負荷を付与するものとしたり、電磁力(電動モータによる駆動力を含む)により負荷を付与するものとしたりすること等ができる。
負荷付与装置によって少なくとも一方の懸架用ロータリアクチュエータに付与される負荷が、車体側部に作用する加速度に基づいて制御されることにより、2つの懸架用ロータリアクチュエータに加えられる負荷の比率が制御され、2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転が抑制される。
(8)前記負荷付与装置が、前記2つの懸架用ロータリアクチュエータにそれぞれ連結された容量可変型の2つの負荷調整用ロータリアクチュエータを含み、当該車両懸架装置が、それら2つの負荷調整用ロータリアクチュエータを連通させる液通路を含む(7)項に記載の車両懸架装置。
負荷調整用ロータリアクチュエータと懸架シリンダに接続された懸架用ロータリアクチュエータとは、前述のように一体的に回転可能に連結されても、変速機を介して連結されてもよい。負荷調整用ロータリアクチュエータが、例えば、アキュムレータに連通させられた場合には、負荷調整用ロータリアクチュエータにはアキュムレータの液圧が加えられ、懸架用ロータリアクチュエータには懸架シリンダの液圧が加えられる。負荷調整用、懸架用の2つのロータリアクチュエータは、アキュムレータの液圧による回転トルクと懸架シリンダの液圧による回転トルクとが逆向きに作用する状態で連結される。この状態において、負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を大きくすれば、負荷調整用ロータリアクチュエータは回転し易くなるが、負荷調整用ロータリアクチュエータを回転させようとする回転トルクが懸架用ロータリアクチュエータについての負荷となり、懸架用ロータリアクチュエータは回転し難くなる。
そこで、車体側部に作用する加速度に基づいて、一の懸架シリンダの液圧が別の懸架シリンダの液圧より高くなることが取得された場合に、一の懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を別の負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくすれば、2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制することができる。
また、アキュムレータ圧および負荷調整用ロータリアクチュエータの容量は、車両の定常状態(荷重が標準状態であって、水平な路面を停止または定速直進走行している場合)に、懸架用ロータリアクチュエータにおいて懸架シリンダの液圧により発生させられる回転トルクと負荷調整用ロータリアクチュエータにおいてアキュムレータの液圧により発生させられる回転トルクとが釣り合う状態となる大きさに決定することができる。
なお、負荷調整用ロータリアクチュエータがアキュムレータに接続されることは不可欠ではない。複数の懸架用ロータリアクチュエータに連結して設けられた負荷調整用ロータリアクチュエータは、互いに液通路によって接続されるようにすることができる。液通路の液圧は、その液通路によって接続されたすべての負荷調整用ロータリアクチュエータに対して同じで、各車輪に加えられる荷重の和に応じた大きさとなるのであり、負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を制御することにより、車両の定常状態において、車体側部がほぼ水平な姿勢に保たれ、かつ、すべてのロータリアクチュエータが回転しない状態を実現することができる。
(9)前記負荷調整用ロータリアクチュエータがアキュムレータに連通させられ、かつ、前記懸架用ロータリアクチュエータに、前記懸架用ロータリアクチュエータに前記懸架シリンダの液圧によって加えられる回転トルクと、前記負荷調整用ロータリアクチュエータに前記アキュムレータの液圧によって加えられる回転トルクとが逆向きに作用する状態で連結された(8)項に記載の車両懸架装置。
(10)前記負荷制御部が、前記車体側部に作用する加速度に基づいて前記2つの懸架シリンダのうちの一方の液圧が他方の液圧より高くなることが取得された場合に、その液圧が高くなる方の懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を、他方の懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくすることにより、前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制する回転抑制部を含む(9)項に記載の車両懸架装置。
(11)前記回転抑制部が、前記車両の旋回時に、前記車両の旋回外側に位置する懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を、旋回内側に位置する懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくする手段と、前記旋回外側の負荷調整用ロータリアクチュエータの容量と前記旋回内側の負荷調整用ロータリアクチュエータの容量との比率を、前記車両の横加速度に基づいて決定する比率決定部とを含む(10)項に記載の車両懸架装置。
(12)前記回転抑制部が、前記車両の制動中に、前記車両の前輪側に位置する懸架用シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を、後輪側に位置する懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくする手段を含む(10)項または(11)項に記載の車両懸架装置。
(13)当該車両懸架装置が、さらに、前記少なくとも1つの懸架用ロータリアクチュエータの回転状態を制御することにより、車両の複数種類の姿勢変化のうちの少なくとも1種類を制御する姿勢制御装置を含む(6)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
(14)前記回転制御部が、前記懸架用ロータリアクチュエータと前記負荷調整用ロータリアクチュエータとの間に設けられた変速機を含む(6)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
(15)前記回転制御部が、前記車体側部に作用する加速度に基づいて前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの少なくとも一方の回転の容易性を制御することにより、それら2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制する手段を含む(6)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
2つの懸架用ロータリアクチュエータの少なくとも一方の回転容易性を、車体側部に作用する加速度に基づいて制御することにより、2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転の容易性の関係を制御し、加速度に起因する懸架シリンダの液圧による2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制する。
車体側部に作用する加速度は前述のように加速度取得部によって検出され、加速度に基づけば、2つの懸架シリンダに対応する車輪側部と車体側部との間の相対変位、懸架シリンダ各々の液圧等が取得される。それらの少なくとも1つに基づいて2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転容易性の関係を制御すれば、2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制することができる。
例えば、車体側部に加えられる加速度に基づいて、一の車輪に対応する一の懸架シリンダの液圧が別の車輪に対応する別の懸架シリンダの液圧より高くなることが取得された場合に、一の懸架シリンダに対応する懸架用ロータリアクチュエータについて、別の懸架シリンダに対応する懸架用ロータリアクチュエータより、回転し難くする。その結果、2つの懸架用ロータリアクチュエータ各々において加えられる懸架シリンダの液圧が異なっても、2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制することができる。
(16)車両の車輪側部と車体側部との上下方向の相対変位に伴って作動可能な複数のロータリアクチュエータを含み、
当該車両懸架装置が、前記車体側部に作用する加速度に起因する前記車体側部と前記車輪側部との相対変位に基づく前記複数のロータリアクチュエータの回転を抑制するとともに、その抑制中においても、前記車体側部に作用する加速度に起因しない前記車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に基づく前記複数のロータリアクチュエータの回転を許容する回転制御部を含み、その回転制御部の前記複数のロータリアクチュエータの回転を抑制する部分が前記複数のロータリアクチュエータと共同して前記抑制部を構成し、前記抑制部による抑制中にも前記複数のロータリアクチュエータの回転を許容する部分が前記複数のロータリアクチュエータと共同して前記許容部を構成する(1)項に記載の車両懸架
装置。
ロータリアクチュエータの回転が抑制されることにより、車輪側部と車体側部との間の上下方向の相対移動が抑制され、ロータリアクチュエータの回転が許容されることにより、それらの間の上下方向の相対移動が許容される。ロータリアクチュエータの回転が、車体側部に作用する加速度に基づいて抑制された状態において、例えば路面入力が生じた場合には、それに基づくロータリアクチュエータの回転が許容され、車輪側部と車体側部との相対移動が許容される。
ロータリアクチュエータは、車輪側部と車体側部との上下方向の相対変位に伴って作動させられるものである。車輪側部と車体側部との間に、それらの上下方向の相対変位に伴って作動させられる懸架シリンダを設け、その懸架シリンダの作動に応じて作動可能なものとすることができる。この場合には、懸架シリンダの液圧室に連通させられ、その液圧室の液圧によって作動可能な液圧式のロータリアクチュエータとしたり、液圧室から遮断された状態で設けられ、ピストンとハウジングとの上下方向の相対移動に応じて作動可能な機械式のロータリアクチュエータとしたりすること等ができる。また、懸架シリンダが設けられない場合には、車輪側部と車体側部とのいずれか一方に上下方向に相対移動不能に設けられた第1部材と、車輪側部と車体側部とのいずれか他方に上下方向に相対移動不能に設けられた第2部材との間の上下方向の相対移動に応じて作動可能な機械式のロータリアクチュエータとすることができる。例えば、第1部材と第2部材とのいずれか一方にラックを設け、他方に相対回転可能にピニオンを設け、ピニオンの回転に伴って作動させられるものとすることができる。ラックとピニオンとは、それぞれ、懸架シリンダのピストンロッドとハウジングとに設けることもできる。
いずれにしても、ロータリアクチュエータは、車輪側部と車体側部との間に加えられる上下方向の力、例えば、懸架シリンダが設けられる場合には、その液圧室の液圧に応じた力が加えられるのであり、その意味において、ロータリアクチュエータを懸架用ロータリアクチュエータと称することができる。
ロータリアクチュエータが懸架シリンダの作動に応じて作動させられるものである場合には、ロータリアクチュエータの回転が抑制されることにより、懸架シリンダの作動が抑制され、ロータリアクチュエータの回転が許容されることにより懸架シリンダの作動が許容される。
本項に記載の車両懸架装置には、(2)項ないし(15)項のいずれかに記載の技術的特徴を
採用することができる。
(17)前記回転制御部が、前記複数のロータリアクチュエータのうちの2つのロータリアクチュエータの回転を抑制するものであり、それら2つのロータリアクチュエータの少なくとも一方に設けられた負荷付与装置を含む(16)項に記載の車両懸架装置。
負荷付与装置によって、2つのロータリアクチュエータの少なくとも一方に負荷が加え
られる。その加えられる負荷が制御されることにより、2つのロータリアクチュエータに加えられる負荷の比率を制御することができる。負荷の比率は、加速度に基づいて制御されるようにすることができる。
負荷付与装置は、例えば、上述の懸架用ロータリアクチュエータと連結して設けられた負荷調整用ロータリアクチュエータとすることができる。
(18)前記2つのロータリアクチュエータの一つから別の一つへ向かう液体の流れを可能にする液通路を含み、前記回転制御部が、前記2つのロータリアクチュエータの回転を抑制することにより、前記液通路における液体の流れを抑制する抑制部と、その抑制部によって流れが抑制された状態において、加速度に起因しない上下方向の相対変位に基づく前記2つのロータリアクチュエータの回転を許容することにより液体の流れを許容する許容部とを含む(16)項または(17)項に記載の車両懸架装置。
2つのロータリアクチュエータの回転が、車体側部に加えられる加速度に基づいて抑制された状態で、例えば路面入力があっても(加速度に起因しない上下方向の相対変位の原因が生じても)、2つのロータリアクチュエータの間で液体の授受が可能であるため、その路面入力に基づく2つのロータリアクチュエータの作動が許容される。
液通路によって、2つのロータリアクチュエータの間の作動液の授受が可能となるが、例えば、ロータリアクチュエータが懸架シリンダの液圧室に連通した状態で設けられたものである場合には、2つの懸架シリンダの間においても作動液の授受が実質上可能となる。一つの懸架シリンダと別の一つの懸架シリンダとの間の作動液の流れを可能とする液通路の途中にロータリアクチュエータがそれぞれ設けられる場合がその一例である。
(19)当該車両懸架装置が、前記車輪側部と車体側部との間に設けられた複数の液圧シリンダであって、前記車輪側部と前記車体側部とのいずれか一方に上下方向に相対移動不能に設けられたハウジングと、前記車輪側部と前記車体側部とのいずれか他方に上下方向に相対移動不能に設けられ、前記ハウジングに摺動可能に嵌合されたピストンとを含む複数の懸架シリンダを含み、前記ロータリアクチュエータが前記複数の懸架シリンダにそれぞれ対応して設けられるものである(16)項ないし(18)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
本項に記載の車両懸架装置において、ロータリアクチュエータは、車輪側部と車体側部との間に設けられた懸架シリンダに対応して設けられる。
(20)前記2つのロータリアクチュエータにそれぞれ連結された負荷調整用ロータリアクチュエータと、それら2つの負荷調整用ロータリアクチュエータの一方から他方に向かう液体の流れを許容する液通路とを含む(16)項ないし(19)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
2つのロータリアクチュエータの回転が加速度に基づいて抑制される状態において、加速度に起因しない上下方向の相対変位の原因が生じた場合に、2つの負荷調整用ロータリアクチュエータの間の作動液の授受が可能であるため懸架シリンダの作動が許容される。
このように、1つの懸架シリンダについて、懸架用ロータリアクチュエータと負荷調整用ロータリアクチュエータとの両方が設けられる場合には、2つの懸架シリンダについて、2つの懸架用ロータリアクチュエータの間において液体の流れを可能とする液通路(例えば、〔実施例〕の図34)と、2つの負荷調整用ロータリアクチュエータの間において液体の流れを可能とする液通路(例えば、〔実施例〕の図34,40)と、2つの懸架シリンダの間において液体の流れを可能とする液通路(例えば、〔実施例〕の図34)とのうちの少なくとも1つが設けられる。これら液通路によって、加速度に基づくロータリアクチュエータの回転が抑制された状態で、加速度に起因しないロータリアクチュエータの回転が許容され得るのである。
(21)前記複数のロータリアクチュエータの各々が、前記車輪側部と車体側部とのいずれか一方に上下方向に相対移動不能な部材に設けられたラックに係合させられ、前記車輪側部と車体側部とのいずれか他方に上下方向に相対移動不能な部材に相対回転可能に設けられたピニオンを含む(16)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
ロータリアクチュエータを、車輪側部と車体側部との間に設けられた懸架シリンダに対応して設けることは不可欠ではない。この場合には、ラックを車輪側部材に上下方向に像体移動不能な部材に設け、ピニオンを車体側部材に上下方向に相対移動不能な部材に相対回転可能に設けることが望ましい。
車輪側部と車体側部との間の上下方向の相対移動に伴って、ピニオンが回転させられ、ロータリアクチュエータが回転させられる。
なお、車輪側部と車体側部との間に懸架シリンダが設けられた場合に、ラックをピストンロッドに設け、ピニオンをハウジングに相対回転可能に設けることができる。ハウジングを車体側部材に上下方向に相対移動不能に設け、ピストンおよびピストンロッドを車輪側部材に上下方向に相対移動不能に設けることが望ましい。
(22)前記2つのロータリアクチュエータが、前記一つの懸架シリンダの液圧によって発生させられる回転トルクの向きと前記別の懸架シリンダの液圧によって発生させられる回転トルクの向きとが互いに逆になるように連結された(6)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
(23)前記2つのロータリアクチュエータが、それらの作動に伴って、前記一つの懸架シリンダから液体が流出し、前記別の一つの懸架シリンダに液体が流入する状態で連結された(6)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
一つの懸架シリンダの液圧による回転トルクの向きと別の懸架シリンダの液圧による回転トルクの向きとが逆になるように2つのロータリアクチュエータが連結される。また、2つのロータリアクチュエータは、これらの回転において、一つの懸架シリンダから液体が流出し、別の懸架シリンダに液体が流入する状態で連結される。2つのロータリアクチュエータは、一体的に回転可能に連結しても、変速機を介して連結してもよい。いずれか一方の回転に伴って他方が必ず回転するとともに、これら回転数の比率が決められた大きさにある状態で連結される。
(24)前記2つのロータリアクチュエータが、前記一つの懸架シリンダの液圧によって
発生させられる回転トルクの向きと前記別の懸架シリンダの液圧によって発生させられる回転トルクの向きとが互いに逆になるように連結され、前記回転制御部が、前記車体側部に作用する加速度に基づいて前記一方のロータリアクチュエータに作用する前記懸架シリンダの液圧による回転トルクと、前記他方のロータリアクチュエータに作用する前記懸架シリンダの液圧による回転トルクとが同じ大きさになるように、前記2つのロータリアクチュエータのうちの少なくとも一方の容量を制御する容量制御部を含む(6)項ないし(23)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
本項に記載の車両懸架装置において、2つのロータリアクチュエータのうちの少なくとも一方は容量が可変なものとされ、その少なくとも一方のロータリアクチュエータの容量が制御されることにより、2つのロータリアクチュエータの容量の比率が制御される。
ロータリアクチュエータが懸架シリンダの液圧室に連通させられた状態で設けられた場合において、ロータリアクチュエータの容量が大きい場合は小さい場合より、懸架シリンダの液圧室の同じ液圧に対してロータリアクチュエータが回転し易くなる。
したがって、車体側部に作用する加速度に基づいて容量の比率を制御すれば、2つのロータリアクチュエータにおいて、互いに逆向きにかつ同じ大きさの回転トルクが発生させられることになり、これらの回転を抑制することができる。
この状態において、車輪が路面の突部に乗り上げる等して加速度に起因しない懸架シリンダの荷重の変化が生じれば、回転トルクが釣り合わなくなり、2つのロータリアクチュエータの回転が許容され、懸架シリンダの作動が許容される。
(25)前記回転制御部が、前記2つのロータリアクチュエータの間に設けられた変速機と、その変速機の変速比を前記車体側部に作用する加速度に基づいて制御することにより、前記2つのロータリアクチュエータの回転を抑制する変速比制御部とを含む(24)項に記載の車両懸架装置。
2つのロータリアクチュエータは、変速機を介して、懸架シリンダの液圧によって互いに逆方向に回転する状態で連結される。変速機による変速比を制御することにより、2つのロータリアクチュエータの回転トルクが異なっても、2つのロータリアクチュエータの回転を抑制することができる。
変速機は、変速比が可変なものであるが、無段階で(連続的に)可変なものとしたり、段階的に可変なものとしたりすることができる。
例えば、加速度に基づいて一の懸架シリンダの液圧が別の懸架シリンダの液圧より高いことが取得された場合に、一の懸架シリンダの液圧が加えられるロータリシリンダの回転速度を増速して別の懸架シリンダの液圧が加えられるロータリシリンダに伝達されるように制御すれば、2つのロータリアクチュエータの回転を抑制することができる。変速比は、加速度に基づいて決定される。
(26)前記懸架シリンダが、前記車両の前後左右の4つの車輪に対応してそれぞれ設けられるとともに前記ロータリアクチュエータが前記4つの懸架シリンダにそれぞれ対応して設けられ、かつ、当該車両懸架装置が、(a)右側の前後輪に対応して設けられた懸架シ
リンダに対応する2つのロータリアクチュエータと、左側の前後輪に対応して設けられた懸架シリンダに対応する2つのロータリアクチュエータとが、右側の2つの懸架シリンダの液圧によって発生させられる回転トルクの向きと左側の2つの懸架シリンダの液圧によって発生させられる回転トルクの向きとが逆になる状態で連結された第1ロータリアクチュエータ群と、(b)前側の左右輪に対応して設けられた懸架シリンダに対応する2つのロ
ータリアクチュエータと、後側の左右輪に対応して設けられた懸架シリンダに対応する2つのロータリアクチュエータとが、前側の2つの懸架シリンダの液圧によって発生させられる回転トルクの向きと後側の2つの懸架シリンダの液圧によって発生させられる回転トルクの向きとが逆になる状態で連結された第2ロータリアクチュエータ群との少なくとも一方を含む(6)項ないし(25)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
第1ロータリアクチュエータ群によれば、ロールを制御することができ、第2ロータリアクチュエータ群によれば、ピッチを制御することができる。第1ロータリアクチュエータ群をロール制御装置と称し、第2ロータリアクチュエータ群をピッチ制御装置と称することができる。
(27)車両の車体側部と車輪側部との間に設けられる車両懸架装置であって、
前記車輪側部と前記車体側部との上下方向の相対変位に伴って作動可能な少なくとも1つのロータリアクチュエータと、
その少なくとも1つのロータリアクチュエータのうちの少なくとも1つの回転状態を制御することにより、車両の複数種類の姿勢変化のうちの少なくとも1種類を制御する姿勢制御装置と
を含むことを特徴とする車両懸架装置。
ロータリアクチュエータは、車体側部の前後左右の各位置のうちの少なくとも一箇所に(例えば、前後左右の各車輪のうちの少なくとも1つに対応して)設けることができる。ロータリアクチュエータは、それぞれの位置に、1つ設けても複数個設けてもよく、2箇所以上の位置に対して1つ以上設けてもよい(例えば、1つの車輪に対応して1つ設けても複数個設けてもよく、2つ以上の車輪に対応して1つ以上設けてよい)。
車輪側部と車体側部との間に懸架シリンダが設けられる場合には、その懸架シリンダに
関して、1対1の関係で設けても、多対1の関係で設けても、1対多、多対多の関係で設けてもよい。例えば、ロータリアクチュエータは、複数の懸架シリンダに対応して、例えば、2つの懸架シリンダの間に設けることができる。また、1つの懸架シリンダに対して複数のロータリアクチュエータを設けることもできる。
ロータリアクチュエータの回転状態の制御により、車輪側部と車体側部との上下方向の相対移動の状態が制御される。したがって、ロータリアクチュエータの回転状態を制御すれば、車両の複数種類の姿勢変化のうちの少なくとも1種類を制御することができる。
本項に記載の車両懸架装置には、(1)項ないし(26)項のいずれかに記載の技術的特徴を
採用することができる。
(28)前記少なくとも1つのロータリアクチュエータに連結された車高調整用ロータリアクチュエータと、その少なくとも1つの車高調整用ロータリアクチュエータを作動させることにより、車輪側部と車体側部との間の距離を調整するアクチュエータ制御部とを含む(27)項に記載の車両懸架装置。
(29)前記車高調整用ロータリアクチュエータが、アキュムレータに接続されるとともに、自身の容量が可変なものであり、前記アクチュエータ制御部が、前記車高調整用ロータリアクチュエータの容量を制御することにより前記車輪側部と車体側部との間の距離を調整する容量制御部を含む(28)項に記載の車両懸架装置。
例えば、車高調整用ロータリアクチュエータと懸架用ロータリアクチュエータとは、車高調整用ロータリアクチュエータがアキュムレータの液圧により回転させられる場合に、懸架用ロータリシリンダが車輪側部と車体側部との間の相対距離を大きくする向きに作動させられる状態で連結される。
車高調整用ロータリアクチュエータの容量が大きい場合は小さい場合より、車高調整用ロータリアクチュエータがアキュムレータの液圧により作動させられ易くなる。
また、前後左右のすべての車輪についての車高調整用ロータリアクチュエータの容量が同様に制御されれば、車両全体において車高を調整することができる。
(30)前記ロータリアクチュエータが、車体側部の前後左右の位置にぞれぞれ設けられるとともに、当該車両懸架装置が、前記前後左右に設けられたロータリアクチュエータにそれぞれ連結して設けられた荷重制御用ロータリアクチュエータと、互いに対角位置にある一方の組の荷重制御用ロータリアクチュエータの容量を、他方の組の荷重制御用ロータリアクチュエータの容量より大きくすることにより、前記一方の組の荷重制御用ロータリアクチュエータに対応する車輪に加えられる荷重を他方の組の荷重制御用ロータリアクチュエータに対応する車輪に加えられる荷重より大きくする容量制御部とを含む荷重制御装置を含む(27)項ないし(29)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
荷重制御用ロータリアクチュエータは、例えば、車高調整用ロータリアクチュエータと同様のものとし、同様の状態で懸架用ロータリアクチュエータと連結されるものとすることができる。荷重制御用ロータリアクチュエータの容量を大きくすれば、車輪側部と車体側部との間に加えられる上下方向の力に起因して作動させられるロータリアクチュエータが回転し難くなり、荷重を大きくすることができる。
なお、車高調整用ロータリアクチュエータと荷重制御用ロータリアクチュエータとは共通のものとすることができる。
(31)当該車両懸架装置が、前記車体側部の前後左右のそれぞれの位置において車輪側部との間に設けられ、車輪側部と車体側部との間の上下方向の相対変位に伴って作動する4つの懸架シリンダを含み、前記ロータリアクチュエータが、それぞれ、左右前輪の懸架シリンダの間と、左右後輪の懸架シリンダの間とに設けられ、当該車両懸架装置が、それら2つのロータリアクチュエータを連結する駆動軸と、回転トルク付与装置と、その回転トルク付与装置と前記駆動軸とを接続する状態と切断する状態とに切り換え可能なクラッチとを含む荷重制御装置を含む(27)項ないし(30)項のいずれか1つに記載の車両用懸架装置。
2つのロータリアクチュエータが、前輪側において、液体が左前輪の懸架シリンダから
右前輪の懸架シリンダに向かって流れる場合に、後輪側において、右後輪の懸架シリンダから左後輪の懸架シリンダに向かって流れる状態で連結される。駆動軸と回転トルク付与装置とが切断されている場合には、前輪側のロータリアクチュエータは、右前輪の懸架シリンダの液圧と左前輪の懸架シリンダの液圧とのうちの高い方の液圧により回転させられ、後輪側のロータリアクチュエータは、右後輪の懸架シリンダの液圧と左後輪の懸架シリンダの液圧との高い方の液圧によって回転させられる。この場合において、左前輪の懸架シリンダの液圧、右後輪の懸架シリンダの液圧がより高い場合には、2つのロータリアクチュエータは、それぞれ、左前輪の懸架シリンダから右前輪の懸架シリンダに向かって液体が流れるとともに右後輪の懸架シリンダから左後輪の懸架シリンダに向かって流れる状態で回転させられる。それによって、アーティキュレーションが許容される。
駆動軸と回転トルク付与装置とが接続され、回転トルク付与装置によって、ロータリアクチュエータの左前輪、右後輪の懸架シリンダから右前輪、左後輪の懸架シリンダに向かって液体が流れる向きの回転とは逆向きの回転トルク(回転を抑制する向きの回転トルク)が加えられた場合には、2つのロータリアクチュエータは、左前輪、右後輪の懸架シリンダから右前輪、左後輪の懸架シリンダに向かって液体が流れる向きの回転は困難になるが、逆の、右前輪、左後輪の懸架シリンダから左前輪、右後輪の懸架シリンダに向かって液体が流れる向きの回転が容易になる。それによって、左前輪、右後輪の荷重を右前輪、左後輪の荷重より大きくすることができる。
(32)当該車両懸架装置が、前記車体側部の前後左右のそれぞれの位置において車輪側部との間に設けられ、車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に伴って作動する4つの懸架シリンダを含み、前記ロータリアクチュエータが、それぞれ、左右前輪の懸架シリンダの間と、左右後輪の懸架シリンダの間とに設けられ、当該車両懸架装置が、それら2つのロータリアクチュエータの回転トルクの比を制御することにより、ロール剛性配分を制御するロール剛性配分制御装置を含む(27)項ないし(31)項のいずれか1つに記載の車両用懸架装置。
前輪側と後輪側とで、ロータリアクチュエータの回転トルクが大きい方は小さい方よりロール剛性が大きくなる。前輪側の方がロール剛性が大きい場合はロール剛性配分は前輪よりとなり、アンダステア傾向となる。後輪側の方がロール剛性が大きい場合はロール剛性配分は後輪よりとなり、オーバステア傾向となる。
(33)前記ロール剛性配分制御装置が、前記回転トルク比を、目標旋回状態と実旋回状態との偏差に基づいて制御するものである(32)項に記載の車両懸架装置。
回転トルク比が大きい場合は小さい場合より、アンダステア傾向やオーバステア傾向が大きくなり、早急に、目標旋回状態に近づけることができる。
(34)前記ロール剛性配分制御装置が、2つのロータリアクチュエータの間に設けられた変速機と、その変速機の変速比を制御することにより、2つのロータリアクチュエータの回転トルク比を制御する変速比制御部とを含む(32)項または(33)項に記載の車両懸架装置。
変速機において、一方のロータリアクチュエータの回転速度が増速されて他方のロータリアクチュエータに伝達される状態において、一方のロータリアクチュエータの方が他方のロータリアクチュエータより回転トルクが大きくなる。また、2つのロータリアクチュエータの間における回転トルクの関係は、変速機の変速比を制御することによって制御することができる。
(35)当該車両懸架装置が、前記車体側部の前後左右のそれぞれの位置において車輪側部との間に設けられ、車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に伴って作動する懸架シリンダを含み、前記ロータリアクチュエータが、それぞれ、左側の前後輪の懸架シリンダの間と、右側の前後輪の懸架シリンダの間とに設けられ、当該車両懸架装置が、それら2つのロータリアクチュエータの回転トルク比を制御することにより、ピッチ剛性配分を制御するピッチ剛性配分制御装置を含む(27)項ないし(34)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
右側と左側とで、ロータリアクチュエータの回転トルクが大きい方は小さい方よりピッチ剛性が大きくなる。それにより、ピッチ剛性が右側よりになったり、左側よりになったりする。
例えば、またぎ路走行中に制動した(アンチロック制御中)場合等に、低μ側のピッチ剛性を小さくすることによって接地荷重の低下を抑制し、出力可能な制動力を大きくすることができる。
ピッチ剛性配分制御装置は、ロール剛性配分制御装置における場合と同様に、2つのロータリアクチュエータの間に設けられた変速機と変速比制御部とを含むものとすることができる。
(36)前記ピッチ剛性配分制御装置が、前記回転トルク比を、制動中における路面の摩擦係数の左右差に基づいて制御するトルク比制御部を含む(35)項に記載の車両懸架装置。
左右路面μの差の大きさ、車輪のスリップ状態の大きさ等に基づいて回転トルク比を決定することができる。
(37)前記車輪側部材が、車両の車体側部に上下方向に揺動可能に連結されたアーム部を有し、前記複数の懸架シリンダが、車両の車体側部と前記アーム部の各々との上下方向の相対変位に伴って作動するものであり、前記流通制御装置が、(a)それら複数の懸架シ
リンダのうち液通路によって接続された2つの懸架シリンダの少なくとも一方を、前記車輪側部と車体側部との間において保持する装置であって、その少なくとも一方の懸架シリンダの前記車輪側部側の被保持部を、その被保持部の前記アーム部の実効長さが変化する状態で、相対移動可能に保持する保持装置と、(b)その保持装置によって保持された被保
持部を移動させる被保持部移動装置と、(c)その被保持部移動装置を前記車体側部に作用
する加速度に基づいて制御することにより、前記2つの懸架シリンダの前記アーム部の長さの比率であるアーム比を制御するアーム比制御部とを含む(2)項に記載の車両懸架装置。
アーム部の実効長さ(アーム部の車体側部への取付部から懸架シリンダにより車輪側部に加えられる力の作用線までの距離)が長い場合は短い場合より、車輪側部と車体側部との間に加えられる力が同じである場合に、これらの間の相対変位が小さくなる。懸架シリンダによる支持力が同じである場合に、アーム部の実効長さが長い場合は短い場合より、相対変位を抑制できるのであり、アーム部の実効長さが長い場合は短い場合より相対変位を抑制するための懸架シリンダの支持力が小さくて済む。
したがって、車輪側部と車体側部との間に加えられる力が大きい方のアーム部の実効長さをこれらの間に加えられる力が小さい方のアーム部の実効長さより長くすれば、車輪側部と車体側部との相対変位を生じ難くすることができ、加速度に基づく懸架シリンダの作動を抑制することができる。
この場合において、2つの懸架シリンダの間の作動液の授受が液通路を介して可能とされているため、加速度に起因する上下方向の相対変位が抑制されている状態において加速度に起因しない上下方向の相対変位に伴う懸架シリンダの作動が許容される。
本項に記載の車両懸架装置においては、2つの懸架シリンダ、液通路によって許容部が構成され、2つの懸架シリンダ、アーム比制御部により抑制部が構成される。
(38)車両の車体側部と、その車体側部に上下方向に揺動可能に連結された少なくとも1つのアーム部を有する車輪側部との間に設けられる車両懸架装置であって、
車両の車体側部と少なくとも1つのアーム部の各々との上下方向の相対変位に伴って作動する少なくとも1つの懸架シリンダと、
その少なくとも1つの懸架シリンダを各々前記車輪側部と前記車体側部との間において保持する装置であって、前記少なくとも1つの懸架シリンダの各々の前記車輪側部側の被保持部を、その被保持部の前記アーム部の実効長さの変化を伴う状態で、相対移動可能に保持する保持装置と、その保持装置によって保持された被保持部を移動させる被保持部移動装置とを含み、前記少なくとも1つの懸架シリンダにおける前記アーム部の実効長さを制御するアーム長さ制御装置と
を含むことを特徴とする車両懸架装置。
本項の車両懸架装置は、アーム部の実効長さを制御することにより、車両の姿勢変化または姿勢を制御可能とすることを課題として得られたものである。
アームの実効長さを制御することにより、車体側部と車輪側部との間に同じ力が加わった場合のこれらの間の相対変位の生じ易さを制御することができる。
本項に記載の車両懸架装置には、(1)項ないし(37)項のいずれかに記載の技術的特徴を
採用することができる。
(39)前記懸架シリンダが複数設けられ、前記アーム長さ制御装置が、前記車体側部に作用する加速度に基づいて前記複数の懸架シリンダのうちの一つの実効アーム長さと別の懸架シリンダの実効アーム長さとの比率であるアーム比を制御するアーム比制御部を含む(38)項に記載の車両懸架装置。
アーム比の制御により、ロールを制御したり、ピッチを制御したりすることができる。また、懸架シリンダが前後左右の4つ設けられている場合には、対角位置にある一方の組の車輪に対応する懸架シリンダのアームの長さを他方の組の車輪に対応するアームの長さより大きくすることによって、一方の組の車輪の荷重を他方の組の車輪の荷重より大きくすることができる。
(40)前記複数の懸架シリンダの一つから別の一つに向かって液体の流れを許容する液通路が設けられた(38)項または(39)項に記載の車両懸架装置。
液通路にアキュムレータが接続された場合には、複数の懸架シリンダのアームの長さを長くすることにより、車体全体の車高を高くすることができる。
(41)前記許容部が、
互いに離間して配設され、その離間方向と交差する方向にそれぞれ伸縮可能な一対の制御シリンダであって、それら制御シリンダの各液室がそれぞれ前記複数の懸架シリンダの一つと別の一つとの各液室と前記液通路により接続されたものと、
少なくとも前記離間方向および前記伸縮方向に直角な回動軸線まわりに回動可能に設けられ、前記一対の制御シリンダを、一方の制御シリンダの液室の容積が増大するとき他方の制御シリンダの液室の容積が減少するように連携させるレバー体と
を含み、前記抑制部が
前記車体側部に作用する加速度に応じて、前記レバー体の前記一対の制御シリンダについてのレバー比を、前記加速度に起因する前記液通路の液体の流れを抑制する向きに変更するレバー比変更装置
を含む (2)項ないし(40)項のいずれかに記載の車両懸架装置。
一対の懸架シリンダは、液通路により、一対の制御シリンダおよびレバー体を介して間接的に互いに接続されていることになり、一方が収縮する場合には他方が伸長するように互いに連携させられる。レバー体の自由な回動が許される限り、一対の懸架シリンダは自由に伸縮できるのである。それに対して、車体側部に加速度が作用し、慣性力により車体側部が移動させられようとする場合には、レバー比変更装置により一対の制御シリンダに対してのレバー体のレバー比が変更される。レバー比の変更は、加速度に起因する慣性力により荷重が大きくなる側の懸架シリンダと接続された側の制御シリンダに対するアーム部が、反対側のアーム部に比較して相対的に短くなるように行われる。レバー体は回動支点から延びる2つのアーム部を備え、それら2つのアーム部の各々に一対の制御シリンダが、レバー体を互いに逆向きに回動させるように作用するようにされるのであるが、加速度に起因する慣性力により荷重が大きくなる側の懸架シリンダと接続された側の制御シリンダ側のアーム部が反対側のアーム部に比較して相対的に短くされるのである。そのため、その制御シリンダがレバー体を回動させるために必要な力が大きくなり、その制御シリンダ内の圧力が高くなって、結局、加速度に起因する慣性力により荷重が大きくなる側の懸架シリンダが作動しにくくなり、加速度に起因する車体側部の移動が抑制される。しかも、その抑制中においても、レバー体は回動支点まわりに自由に回動可能であるため、路面の凹凸に起因して車輪側部に加えられる上下方向の運動は妨げられず、車輪側部から車体側部への振動の伝達は良好に遮断される。
一対の制御シリンダは、互いに平行に設けてもそうでなくてもよい。また、ある姿勢変化が生じた場合の伸縮方向は同じであっても異なっていてもよい。制御シリンダは、レシプロアクチュエータの一態様である。
(42)前記レバー比変更装置が、前記車体側部に作用する加速度を取得する加速度取得部を含み、その加速度取得部により取得された加速度に基づいて、その加速度に起因する前記車体側部の移動が抑制されるように前記レバー比を変更するものである (41)項に記載の車両懸架装置。
加速度取得部は、車体側部に作用する加速度を自ら検出して取得する加速度検出部でもよく、他の装置が検出した加速度の情報を受け取ることにより取得する加速度情報受取部でもよい。いずれにしても、加速度取得部により取得された加速度に基づいてレバー比変更装置がレバー比の変更を行うようにすれば、車体側部の加速度に起因する移動を確実に抑制することができる。
(43)前記レバー体が、少なくとも前記一対の制御シリンダの伸縮方向および前記離間方向に直角な回動軸線まわりに回動可能に回動支点に支持されており、前記レバー比変更装置が、その回動支点を、少なくとも前記離間方向に移動させることにより前記レバー体のレバー比を変更する支点移動装置を含む(41)項または(42)項に記載の車両懸架装置。
レバー体の回動支点を少なくとも一対の制御シリンダの離間方向に移動させれば、一対の制御シリンダがそれぞれレバー体に作用する作用点と回動支点との相対位置が変わり、レバー体のレバー比が変わる。レバー体に対して回動支点を移動させても、回動支点をレバー体ごと制御シリンダに対して移動させてもよい。
(44)前記一対の制御シリンダの前記レバー体への作用点を変更する作用点変更装置を含み、前記レバー比変更装置がその作用点変更装置を含む(41)項ないし(43)項のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
回動支点を移動させることなく、一対の制御シリンダのレバー体への作用点を変更してもレバー体のレバー比を変え得る。
(45)前記作用点変更装置が、
前記レバー体に少なくとも前記離間方向に移動可能に保持された可動部材と、
その可動部材を前記少なくとも離間方向に移動させる移動装置と
を含み、前記制御シリンダの前記レバー体への作用部が前記可動部材に連結された(44)項に記載の車両懸架装置。
移動装置に可動部材を移動させれば、その可動部材に連結されている制御シリンダのレバー体に対する作用点が変わる。可動部材の移動につれて制御シリンダが平行移動するようにしてもよいが、次項におけるように制御シリンダが回動するようにする方が装置コストを安くし得ることが多い。
(46)前記一対の制御シリンダが、それぞれ前記作用部において前記可動部材に、少なくとも各制御シリンダの伸縮方向および前記離間方向に直角な軸線まわりに回動可能に連結され、その作用部とは反対側の被支持部において、静止部材に、少なくとも各制御シリンダの伸縮方向および前記離間方向に直角な軸線まわりに回動可能に連結された(45)項に記載の車両懸架装置。
一対の制御シリンダが、可動部材と静止部材とに、上記軸線まわりに回動可能に連結されれる場合には、制御シリンダは一対の制御シリンダの離間方向および伸縮方向に平行な平面内で回動可能となり、制御シリンダのレバー体への作用点は、制御シリンダが伸縮しない状態で、制御シリンダの静止部材への連結点を中心とする一円周上を移動可能となり、制御シリンダの伸縮を伴えば半径の異なる2円周に挟まれた平面上の任意の位置へ移動可能となる。制御シリンダは、可動部材と静止部材とに、1点まわりのあらゆる方向に回動可能に連結されてもよく、その場合には、制御シリンダのレバー体への作用点は、制御シリンダが伸縮しない状態で一球面上のあらゆる位置へ移動可能となり、制御シリンダの伸縮を伴えば、厚さを有する球殻内の任意の位置へ移動可能となる。レバー体に対する制御シリンダの作用点の位置が変わればレバー比が変化するが、制御シリンダおよびレバー体の回動に伴って、制御シリンダのレバー体に対する相対角度が変化し、レバー体のアーム部の有効長さが変化するため、それによってもレバー比が変化する。
(47)前記一対の制御シリンダが、互いに平行にかつ出力部材が同じ向きに伸びる状態で配置され(41)項ないし(46)項に記載の車両懸架装置。
一対の制御シリンダは前述のように回動可能とすることもできるが、互いに平行にかつ出力部材が同じ向きに伸びるように配置することも可能である。制御シリンダがピストンおよびピストンロッドを備えたものであれば、ハウジングが静止部材に取り付けられ、ピストンロッドが出力部材とされることが多いが、ピストンロッドを静止部材に取り付け、ハウジングを出力部材とすることも可能である。レバー体のレバー比を変えるため等の目的で、一対の制御シリンダの少なくとも一方を離間方向と平行な方向に移動可能とすることも可能であるが、共に移動不能とすれば構成を単純化し得る。
(48)前記複数の懸架シリンダが、車両の前後左右の4つの車輪にそれぞれ対応して設けられた4つの懸架シリンダを含み、前記一対の制御シリンダの一方が左前輪および左後輪に対応する2つの懸架シリンダと接続された2つの左用制御シリンダであり、前記一対の制御シリンダの他方が右前輪および右後輪に対応する2つの懸架シリンダと接続された2つの右用制御シリンダであって、それら左用制御シリンダおよび右用制御シリンダが前記レバー体およびレバー比変更装置と共同して、前記車体側部のロールを制御する(41)項ないし(47)項のいずれかに記載の車両懸架装置。
上記「2つの左用制御シリンダ」,「2つの右用制御シリンダ」は、それぞれ個別の単動シリンダが直列に接続されたものでもよく、後に実施例の項で詳述するように段付きピストンを備えて一体的に構成されてもよい。本態様によれば、4つの懸架シリンダを制御するために、1つのレバー体およびレバー比変更装置を設ければよく、構成を単純化し得る。左前輪用制御シリンダと右前輪用制御シリンダとに対して1組のレバー体およびレバー比変更装置を設け、左後輪用制御シリンダと右後輪用制御シリンダとに対して別の1組のレバー体およびレバー比変更装置を設けても、同様の目的を達し得るが、本態様による方が構成を単純化し得るのである。上記「ロールを制御する」とは、レバー比の制御によりロール許容の程度を変更することであり、ロールを阻止することも包含される。
本車両懸架装置においては、ピッチが阻止されてロールが制御される。
(49)前記複数の懸架シリンダが、車両の前後左右の4つの車輪にそれぞれ対応して設けられた4つの懸架シリンダを含み、前記一対の制御シリンダの一方が左前輪および右前輪に対応する2つの懸架シリンダと接続された2つの前用制御シリンダの各々であり、前記一対の制御シリンダの他方が左後輪および右後輪に対応する2つの懸架シリンダと接続された2つの後用制御シリンダの各々であって、それら前用制御シリンダおよび後用制御シリンダが前記レバー体およびレバー比変更装置と共同して前記車体側部のピッチを制御する(41)項ないし(48)項のいずれかに記載の車両懸架装置。
本態様については、ロールとピッチとの違いの他は前項の説明が当てはまる。
本車両懸架装置においては、ロールが阻止されてピッチが制御される。
(50)前記複数の懸架シリンダが、車両の前後左右の4つの車輪にそれぞれ対応して設けられた4つの懸架シリンダを含み、当該車両懸架装置が前記制御シリンダを各懸架シリ
ンダに対応して4つ含み、前記レバー体が中央部が一点を中心にあらゆる方向に回動可能に支持されたものであり、そのレバー体の前記一点から隔たった部分に前記4つの制御シリンダの作用部が係合させられてそれら4つの制御シリンダの、少なくとも左前輪と左後輪、右前輪と右後輪にそれぞれ対応するもの同士、および左前輪と右前輪、左後輪と右後輪にぞれぞれ対応するもの同士の4対がそれぞれ前記一対の制御シリンダとして機能し、前記レバー比変更装置が、それら4対の制御シリンダ対のうち少なくとも左前輪および右前輪に対応する2つの前用制御シリンダと左後輪および右後輪に対応する2つの後用制御シリンダとに対するレバー比と、左前輪および左後輪に対応する2つの左用制御シリンダと右前輪および右後輪の対応する2つの右用制御シリンダとに対するレバー比とを変更する部分を含む(41)項ないし(49)項のいずれかに記載の車両懸架装置。
本態様によれば、左前輪および右前輪に対応する2つの前用制御シリンダと左後輪および右後輪に対応する2つの後用制御シリンダとに対するレバー比の変更により、車体のピッチを抑制することができ、左前輪および左後輪に対応する2つの左用制御シリンダと右前輪および右後輪の対応する2つの右用制御シリンダとに対するレバー比の変更により、ロールを抑制することができる。レバー比変更装置を、4つの制御シリンダそれぞれに対するレバー比を個別に変えるものとすれば、4つの車輪の接地荷重の配分を任意に変更することも可能となる。
(51)車両の車輪側部と車体側部との間に配設され、車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に伴って作動する複数の懸架シリンダと、それら懸架シリンダの各々と直列に前記車体側部と車輪側部との間に配設された懸架スプリングとを含む(1)項ないし(50)項のいずれかに記載の車両懸架装置。
前述のように、懸架シリンダ,制御シリンダおよびレバー体によっても車輪側部の振動の車体側部への伝達を遮断することができるが、懸架スプリングを懸架シリンダと直列に設ければ、振動の車体側部への伝達、特に周波数の高い振動の伝達を遮断することが容易となる。
(52)前記懸架スプリングがトーションバーを含む(51)項に記載の車両懸架装置。
懸架スプリングとしてコイルスプリング等別のスプリングを採用することも可能であるが、トーションバーを採用すれば、懸架シリンダと懸架スプリングとの合計高さを小さくすることができる。
(53)前記懸架スプリングの弾性変形に基づく前記車体側部と前記車輪側部との相対変位を抑制する向きに前記懸架シリンダを作動させることにより懸架スプリングの弾性変形の少なくとも一部を補償する補償装置を含む(51)項または(52)項に記載の車両懸架装置。
懸架スプリングを懸架シリンダと直列に設ければ、前述のように車輪側部の振動の車体側部への伝達を遮断することが容易となる効果が得られるのであるが、車体側部材に作用する加速度に起因する荷重変化に対応する懸架スプリングの弾性変形の増減によって車体の移動量が増大する。補償装置を設ければ、この移動量の増大を抑制し得る。懸架スプリングの弾性変形によって車体側部と車輪側部とが互いに接近する場合には懸架シリンダが伸長させられ、互いに離間する場合には懸架シリンダが収縮させられて、車体側部と車輪側部との接近,離間が抑制されるようにするのである。接近,離間しないようにされれば、車体側部材の移動、例えば、ピッチやロールが完全に防止されるが、接近,離間距離が減少させられれば効果がある。
(54)前記車輪側部が複数であり、それら複数の車輪側部の少なくとも1つの前記車体側部に対する相対運動を少なくとも1つの別の車輪側部に伝達する伝達装置を含み、その伝達装置が、
回動支点により少なくとも一軸線まわりに回動可能に支持されたレバー体と、
そのレバー体の第一入力部に前記複数の車輪側部の少なくとも1つの相対運動を伝達する第一伝達部と、
前記レバー体の前記回動支点に対して前記第一入力部とは反対側の第二入力部に前記複数の車輪側部の少なくとも別の1つの相対運動を伝達する第二伝達部と、
前記車体部に作用する加速度に応じて前記レバー体の前記第一入力部と第二入力部とに対するレバー比を変更するレバー比変更装置と
を含み、前記第一伝達部,前記第二伝達部および前記レバー体が前記許容部を構成し、前記第一伝達部,前記第二伝達部,前記レバー体および前記レバー比変更装置が前記抑制部を構成する(1)項に記載の車両懸架装置。
レバー体の回動支点まわりの自由な回動が許容されれば、少なくとも1つの車輪側部の車体側部に対する相対運動が少なくとも一つの別の車輪側部に伝達され、それによって上記少なくとも1つの車輪側部の昇降が車体側部に伝達されることが良好に回避され、乗り心地が向上する。それに対し、車体側部に作用する前後加速度あるいは横加速度に応じて、レバー比変更装置によりレバー体のレバー比が変更されれば、車輪側部と車体側部との相対運動が抑制され、車体側部のピッチあるいはロールが抑制されて乗り心地が向上する。しかも、その抑制中においても、加速度に基づかない車輪側部の車体側部に対する相対運動はレバー体の回動により許容されるため、路面の段差部乗り越え等に起因する車輪側部の昇降は許容される。
(55)前記第一伝達部と前記第二伝達部との少なくとも一方が弾性変形により前記車輪側部の前記車体側部に対する相対運動の少なくとも一部を吸収する弾性部材を含む(54)項に記載の車両懸架装置。
伝達部を弾性部材を含むものとすれば、その弾性部材に、車輪側部の車体側部に対する相対運動の少なくとも一部を吸収させることができる。極端な場合には、車体側部の水平方向の加速度に基づく車輪側部の車体側部に対する相対運動のすべてを弾性部材に吸収させ、レバー体は回動しないようにすることもできるのである。
(56)前記車輪側部が前後左右の4つであり、それら4つの車輪側部の各々の前記車体側部に対する相対運動を他の車輪側部に伝達する伝達装置を含み、その伝達装置が、
回動支点によりあらゆる方向に回動可能に支持されたレバー体と、
そのレバー体の4つの入力部に前記4つの車輪側部の各々の前記相対運動を伝達する4つの伝達部と、
前記車体側部の水平方向の加速度に応じて前記レバー体の前記4つの入力部に対するレバー比を変更するレバー比変更装置と
を含み、前記伝達部および前記レバー体が前記許容部を構成し、前記伝達部,前記レバー体および前記レバー比変更装置が前記抑制部を構成する(1)項に記載の車両懸架装置。
(57)前記伝達部の各々が、弾性変形により前記車輪側部の前記車体側部に対する相対運動の少なくとも一部を吸収する弾性部材を含む(56)項に記載の車両懸架装置。
(58)前記弾性部材がトーションバーである(56)項または(57)項に記載の車両懸架装置。
弾性部材をトーションバーとすれば、運動を伝達する伝達部材と弾性部材との両方の役割を果たさせることができ、構成を単純化し得る。また、コイルスプリングを弾性部材として用いる場合に比較して、弾性部材の上下方向の寸法を小さくすることが容易である。
請求可能発明の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 図1に示す懸架装置のロールに関連する系を表すブロック図である。 図1に示す懸架装置のピッチに関連する系を表すブロック図である。 上記懸架装置の原理を説明するための図である。 上記懸架装置の原理を説明するための図である。 上記懸架装置の原理を説明するための図である。 上記懸架装置の原理を説明するための図である。 上記懸架装置の原理を説明するための図である。 上記懸架装置の作動を説明するための図である。 上記懸架装置の作動を説明するための図である。 別の実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 上記懸架装置おける可動プレートの案内機構の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御装置を示すブロック図である。 さらに別の実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 上記懸架装置の作動を説明するための図である。 上記懸架装置の作動を説明するための図である。 上記懸架装置の作動を説明するための図である。 本図の(a)はさらに別の実施例である懸架装置の要部を概念的に示す平面図であり、(b)はその懸架装置のロール・ピッチ制御装置を概念的に示す側面図である。 上記ロール・ピッチ制御装置を示す正面断面図である。 本図の(a),(b)は図18(a)、(b)の懸架装置の作動を説明するための図である。 図18の懸架装置の作動を説明するための図である。 本図の(a),(b)は図18(a)、(b)の懸架装置の作動を説明するための図である。 本図の(a),(b)は図18(a)、(b)の懸架装置の作動を説明するための図である。 本図の(a),(b)は図18(a)、(b)の懸架装置の作動を説明するための図である。 本図の(a),(b)は図18(a)、(b)の懸架装置の作動を説明するための図である。 さらに別の実施例である懸架装置の要部を概念的に示す斜視図である。 さらに別の実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 上記懸架装置のロータリアクチュエータの断面図である。 上記懸架装置の作動を説明するための図である。 上記懸架装置におけるロータリアクチュエータの制御の一例を示す図である。 さらに別の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 さらに別の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 さらに別の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 さらに別の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 さらに別の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 さらに別の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 さらに別の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 さらに別の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 上記懸架装置の制御の一例を示す図である。 さらに別の一実施例である懸架装置の要部を概念的に示す図である。
以下、請求可能発明のいくつかの実施形態を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した種々の態様で実施することができる。
図1に、請求可能発明の一実施例としての車両懸架装置を示す。符号10,12,14,16はそれぞれ左前輪,右前輪,左後輪,右後輪に対応して設けられた懸架シリンダである。懸架シリンダ10等は、車体を主体とする車体側部と、車輪および車輪支持部材を主体とする車輪側部との間に設けられ、両部の上下方向の相対移動を許容しつつ車輪側部に車体側部を支持させる。懸架シリンダ10等は、ハウジング18,ピストン20およびピストンロッド22を備え、ハウジング18が車輪側部に、ピストンロッド22が車体側部にそれぞれ連結されている。図示の例では、ピストン20の両側の液室間はシールされておらず、実質的に単一の液室24を備えた単動液圧シリンダとして機能するようにされているが、ピストン−ハウジング間をシールするとともに、ピストン20に絞りを有する連通路を設け、かつ、作動液を加圧下に蓄えるアキュムレータを接続して、懸架シリンダ10等がショックアブソーバとして機能するようにすることも可能である。
懸架シリンダ10等は、ロール制御装置30,ピッチ制御装置32,アーティキュレーション制御装置34およびヒーブ制御装置36に接続されている。ロール制御装置30は2つの制御シリンダ40,42を備えている。各制御シリンダ40,42は、大径部44と小径部46とを備えた段付ピストン48と、それが液密かつ摺動可能に嵌合されたハウジング50とを備え、それら段付ピストン48とハウジング50とによって2つの液室52,54が形成されている。制御シリンダ40,42は、互いに一定距離離間して互いに平行に、かつ、出力部材としてのピストンロッド56が互いに同じ向きに延び出す状態で配設されている。図においてはこれら2つの制御シリンダ40,42のハウジング50が一体のものとして示されているが、別体に製造し、相対位置を固定して配設することも勿論可能である。
アーティキュレーションとは、互いに対角位置にある2つの車輪がそれぞれ属する2つの組において、一方の組に属する車輪と他方の組に属する車輪とで、車輪側部と車体側部との上下方向の逆向きの相対移動をいう。
上記制御シリンダ40,42の各ピストンロッド56は、レバー体に、少なくとも押し力を伝達可能に係合させられる。図示の例では、レバー体は支持軸62の軸線まわりに回動可能な一体のレバー60により構成されており、両ピストンロッド56はレバー60の
支持軸62に支持された被支持部から互いに反対向きに延び出す2つのアーム部64,66にそれぞれ当接させらている。図示は省略するが、ピストンロッド56の係合部たる先端部にはローラが取り付けられ、摩擦が軽減されている。レバー60は支持軸62を介して可動部材70に支持されている。可動部材70は制御シリンダ40,42の離間方向に平行に延びたガイド72により、直線的に平行移動可能に支持されている。可動部材70は図示を省略するボールナットを備え、そのボールナットがボールねじ74に螺合されている。ボールねじ74は、ガイド72に平行に、かつ、軸方向に移動不能に設けられており、アクチュエータ76により回転させられることによって、可動部材40,支持軸62およびレバー60を制御シリンダ40,42の離間方向に平行な方向に移動させる。それにより、制御シリンダ40,42のピストンロッド56のレバー60に対する作用点と、レバー60の回動支点たる支持軸62の軸線との、制御シリンダ40,42の離間方向と平行な方向の距離が変わり、レバー60の制御シリンダ40,42に対するレバー比が変わる。本実施例においては、アクチュータ76はサーボモータにより構成されているが、回転角度を任意に制御可能な回転駆動源であればよい。
以上ロール制御30について説明したが、ピッチ制御装置32の構成も同様である。したがって、ロール制御30の各構成要素に対応する各構成要素には同一の符号を付して説明に代える。ただ、ロール制御装置30の制御シリンダ40の2つの液室52,54には、左前輪および左後輪に対応する懸架シリンダ10,14の液室24がそれぞれ液通路80,82によって接続されているのに対し、ピッチ制御装置32の制御シリンダ40の2つの液室52,54には、右前輪および左前輪に対応する懸架シリンダ10,12の液室24がそれぞれ液通路80,84によって接続されている点において異なっている。ピッチ制御装置32の制御シリンダ42に接続されている懸架シリンダも、ロール制御装置30の制御シリンダ42に接続されている懸架シリンダとは異なっている。また、アクチュータ88は前記アクチュータ76と同様のものであるが、説明の都合上異なる符号を用いることとする。
アーティキュレーション制御装置34は、制御シリンダ90,92を備えている。制御シリンダ90は、ハウジング94内にピストン96が液密かつ摺動可能に嵌合されることにより、ピストン96の両側に液室98,100が形成されたものである。ピストン96から両側へ延び出したピストンロッド102の一方が、レバー体としてのレバー104と係合させられている。制御シリンダ92も同様の構成であり、制御シリンダ90におけると同一の符号を用いて構成要素の対応関係を示し、説明は省略する。制御シリンダ90の2つの液室98,100はそれぞれ左前輪、右前輪に対応する懸架シリンダ10,12の液室24と接続されており、制御シリンダ92の2つの液室98,100はそれぞれ左後輪、右後輪に対応する懸架シリンダ14,16の液室24と接続されている。
レバー104は、支持軸110を介して可動部材112に回動可能に支持されており、互いに反対向きに延び出したアーム部114を備えている。各アーム部114にはそれらの長手方向に長い係合部としての長穴116が形成されており、それら長穴116に各制御シリンダ90,92のピストンロッド102が係合させられている。各ピストンロッド102は各アーム部114の長手方向に相対移動可能に、かつ、ピストンロッド102の押し力と引き力との両方を伝達可能に係合させられている。図示は省略するが、各ピストンロッド102の各長穴116との係合部にはローラが設けられて、摩擦の軽減が図られている。可動部材112を移動させる装置の構成は、前記ロール制御装置30におけるものと同様であり、ガイド120,ボールねじ122,アクチュエータ124等を備えている。
ヒーブ制御装置36は、制御シリンダ130,132を備えている。制御シリンダ130,132の構成は前記ロール制御装置30のそれと類似しており、ハウジング134,
段付ピストン136,液室138,140等を備えている。ただ、2つの段付ピストン136がレバーに係合させられる代わりに互いに結合されて一体的に移動するようにされており、かつ、液室142およびそれに接続されたアキュムレータ144が設けらている点において異なっている。制御シリンダ130の液室138,140はそれぞれ右前輪、左前輪とに対応する懸架シリンダ10,12の液室24と接続されており、制御シリンダ132の2つの液室138,140はそれぞれ右後輪、左後輪とに対応する懸架シリンダ14,16の液室24と接続されている。
前記ロール制御装置30およびピッチ制御装置32のアクチュエータ76、88はそれぞれ図2および図3のコントローラ160,162により制御される。図2および図3は、本懸架装置を備えた車両のピッチおよびロールに関連する系を表すブロック図であり、コントローラ160には横加速度センサ164が、コントローラ162には前後加速度センサ166がそれぞれ接続されており、それらセンサ164,166により検出された横加速度および前後加速度がそれぞれコントローラ160,162に入力される。さらに、コントローラ160にはロール角検出装置168が、コントローラ162にはピッチ角検出装置170がそれぞれ接続されており、これら検出装置168,170により検出されたロール角およびピッチ角の、それらの目標値からの偏差もコントローラ160,162に入力される。ロール角検出装置168およびピッチ角検出装置170としては、例えば、ロールレイトセンサ,ピッチレイトセンサを備え、それらセンサにより検出されたロールレイトやピッチレイトを積分することによりロール角やピッチ角を取得するものや、前後左右の車輪に対応する部分の車高、すなわち車輪側部と車体側部との上下方向距離を検出する4つの車高センサの出力に基づいてロール角やピッチ角を演算するものを採用することができる。
上記ピッチ制御装置32は以下の技術思想に基づいて構成されたものである。まず、図4に示すように、車輪側部180と車体側部182とがそれぞれ一体的に構成され、車体側部182が1つの支点184のまわりにあらゆる方向に回動自在な状態で車輪側部180に支持されているモデルを考える。支点184は重心186の真下に位置するため、車体側部182は回動しない。この車両モデル190が走行中に、図5に示すように、前輪192が路面の突部194に乗り上げたとする。この場合には、前輪192は上昇するが、後輪196は上昇しない。また、車輪側部180と車体側部182とは支点184のまわりに相対回動自在であるため、車輪側部180のみが支点184のまわりに回動し、車体側部182は回動しない。
それに対し、前輪192および後輪196のブレーキが作用させられ、図6に示すように制動力198が発生させられた場合には、重心186に車両前方に向かう慣性力200が作用し、車体側部182に支点から重心186までの距離と慣性力200との積で表される正のピッチモーメントが作用する。この正ピッチモーメントによる車体側部182のピッチを防止するためには、図7に示すように、支点184を前輪192側へ移動させ、車体側部182の重力202に基づく負のピッチモーメントを発生させて上記正ピッチモーメントと釣り合わせればよい。
しかしながら、実際の車両を上記のように構成することは困難であるので、図8に示すように、車両モデル210を想定し、その車両モデル210の懸架シリンダ212,214に支持されるべき部分に制御シリンダ216,218互いに平行にかつピストンロッド220,222が同じ向きに伸び出す状態で設け、それぞれ対応するシリンダ同士を液通路224,226により接続する。そして、制御シリンダ216,218のピストンロッド220,222をレバー228に係合させるとともに、そのレバー228の回動支点230を制御シリンダ216,218の並び方向に移動させれば、懸架シリンダ212,214に対して、図7に示す車輪側部180と車体側部182との相対回動の支点184を
移動させたに等しいこととなる。
以上の考えの下に構成されたのが、図1におけるピッチ制御装置32であり、制御シリンダ40,42が制御シリンダ216、218に、液通路80,84が液通路224,226にそれぞれ対応する。車両加速時においては、慣性力が車両後方に向かう向きに作用する以外は同じであり、ピッチ制御装置32はこの場合にも有効である。また、車両旋回時に作用する横加速度について同様に考えて構成されたのがロール制御装置30であり、このロール制御装置30は右旋回時にも左旋回時にも有効である。
次に、作動を説明する。図9に示すように、車両の走行時に、左右の前輪250,252が路面の段差部260に乗り上げた場合には、懸架シリンダ10,12が収縮しようとする。懸架シリンダ10,12が収縮するためには、それらから排出された作動液が制御シリンダ40に収容されることが必要である。それに対して、左右の前輪250,252が路面の段差部260に乗り上げた場合には、アクチュエータ88は作動させられず、支持軸62が静止状態に保たれるため、レバー60は自由に回動することができ、制御シリンダ40の伸長および制御シリンダ42の収縮が許容され、懸架シリンダ10,12から制御シリンダ40への作動液の流出が許容される。一方、制御シリンダ42の収縮により、懸架シリンダ14,16が伸長させられる。このピッチ制御装置32の作用により、懸架シリンダ10,12の収縮が許容されることにより、車体262の上昇が抑制され、乗り心地が向上する。左右の前輪250,252が段差部260から降りる場合、および左右の後輪256,258が段差部260に乗り上げる場合には、ピッチ制御装置32の作動方向が逆になるが、同様にして車体の上昇あるいは下降が軽減され、乗り心地が向上する。左右の後輪256,258が段差部260から降りる場合は、ピッチ制御装置32が、左右の前輪250,252が段差部260に乗り上げる場合と同じ方向に作動して、乗り心地を向上させる。
1つの車輪、例えば、左前輪10のみが路面の突部に乗り上げた場合には、懸架シリンダ10が収縮し、そこから排出された作動液がアーティキュレーション制御34の制御シリンダ90の液室98に流入する。それにより、ピストン96が液室100側へ移動し、液室100から排出された作動液が右前輪252の懸架シリンダ12に流入する。また、上記ピストン96の移動に伴ってレバー104が回動し、制御シリンダ92のピストン96が液室98側へ移動する。その結果、左後輪256の懸架シリンダ14が伸長し、右後輪258の懸架シリンダ16が収縮する。この際、支持軸110が静止状態に保たれ、レバー104の自由な回動が許容されるため、上記懸架シリンダ10,12,14,16の自由な収縮,伸長が許容され、車体262の揺れが良好に抑制される。
また、前輪250,252および後輪256,258と車体262とが一斉に接近,離間するヒーブは、ヒーブ制御装置36により許容され、乗り心地が向上する。
以上の作動時には、各制御装置30,32,34,36は複数の懸架シリンダ10,12,14,16の作動液の自由な流出、流入を許容して乗り心地を向上させるのであるが、車体262に前後方向の加速度あるいは横方向の加速度が作用した場合には、複数の懸架シリンダ10,12,14,16の作動液の流出、流入を抑制することにより、車体262の傾きを抑制し、乗り心地を向上させる。
例えば、図10に示すように、車輪250,252,256,258に制動力が発生させられ、車体262に前方への慣性力272が作用した場合には、前後加速度センサ166により前後加速度(この場合には車両前進方向について減速度)が検出され、その検出加速度に基づいて慣性力272が演算され、アクチュエータ88が制御される。慣性力272により車体262には前部が下がり、後部が上がるピッチが生じようとする。懸架シ
リンダ10,12からの作動液の自由な流出、および懸架シリンダ14,16への作動液の自由な流入が許容されれば、上記ピッチが実際に発生するのであるが、本懸架装置においては、アクチュエータ88のフィードフォワード制御により、支持軸62が、演算された慣性力272に基づくピッチモーメントと丁度釣り合うピッチ防止モーメントを発生させる液圧差を制御シリンダ90,92に生じさせる位置へ移動させられ、ピッチの発生が防止される。その上、図3に示すピッチ角検出装置170によりピッチ角が検出され、この検出ピッチ角と目標ピッチ角との差が小さくなるように、コントローラ160によりアクチュエータ88がフィードバック制御される。本実施例においては、ピッチ角はピッチレイトセンサにより検出されたピッチレイトを積分することによりピッチ角を取得するものとされており、また、目標ピッチ角は0に設定されている。
また、車両が右に旋回すれば車体262に左向きの慣性力が作用し、左に旋回すれば右向きの慣性力が作用する。それに対し、図2に示すように、横加速度センサ164により横加速度が検出され、その検出横加速度に基づいて右向きまたは左向きの慣性力が演算され、アクチュエータ76のフィードバック制御が行われるとともに、ロール角検出装置168によりロール角が検出され、検出ロール角が目標ロール角(本実施例においては0度に設定される)と等しくなるようにフィードバック制御が行われる。それにより、車体262のロールが防止される。
上記のようにして、前後方向あるいは横方向の荷重移動の発生にもかかわらず、車体262を水平に維持する制御が行われている間でも、いずれかの車輪が路面の段差部や突部に乗り上げた場合には、先に説明したように、ピッチ制御装置32やアーティキュレーション制御34におけるレバー60,104の自由な回動が許容されるために、車輪の車体に対する比較的自由な接近、離間が許され、乗り心地の低下が良好に回避される。
図11に別の実施例としての車両懸架装置を示す。本実施例は上記実施例におけるロール制御装置30とピッチ制御装置32との構成を、一体的なロール・ピッチ制御装置298に変更したものであり、互いに対応する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図11において、符号300は車体に固定の支持部材であり、支持部材300に4本の制御シリンダ302,304,306,308が連結されている。これら制御シリンダ302等は懸架シリンダ10等と同様の構成のものである。各制御シリンダのピストンロッド310の先端部は、可動プレート312に連結されている。制御シリンダ302等とそれらのピストンロッド310とは、支持部材300と可動プレート310とに図示を省略するボールジョイントによりあらゆる方向に相対回動可能に連結されている。ただし、支持部材300および可動プレート312に対する相対回動角度は比較的小さいため、懸架装置において広く用いられているゴムブッシュを介して連結することも可能である。制御シリンダ302,304,306,308はそれぞれ液通路80,84,82,86により懸架シリンダ10,12,14,16と接続されている。
上記支持部材300から一定距離離れた位置に、一対の固定ガイド314が支持部材300と平行に設けられている。これら固定ガイド314に可動ガイド316が移動可能に保持され、その可動ガイド316に可動部材318が移動可能に保持されている。可動ガイド316と可動部材318との移動方向は、支持部材300に平行でかつ互いに直交している。可動ガイド316はアクチュエータ320およびボールねじ322を備えた第一駆動装置324により移動させられ、その可動ガイド316に沿って可動部材318が、アクチュエータ326およびボールねじ328を備えた第二駆動装置330により移動させられる。それによって、可動部材318は支持部材300に平行な一平面内の任意の位置に移動可能である。
可動部材318には、球形の支点部材332が回転可能に保持されており、その支点部材332が前記可動プレート312を、制御シリンダ302,304,306,308とは反対側から、あらゆる方向に回動可能に支持している。制御シリンダ302等には懸架シリンダ10等の液圧がそれぞれ作用しており、その液圧によりピストンロッド310が伸長方向に付勢されて、可動プレート312を固定ガイド314側へ押しているが、その力に抗して支点部材332が可動プレート312を支持しているのである。その結果、懸架シリンダ10,12,14,16により支持されている車体262が、制御シリンダ302,304,306,308および可動プレート312を介して支点部材332に支持されていることになり、車体262自体が支点部材332により1点支持されているに等しいことになる。
なお、図11においては、煩雑さを避けるために図示されていないが、可動プレート312は、案内装置により、あらゆる方向の回動は自由であるが、制御シリンダ302,304,306,308の軸方向と直交する方向には殆ど移動しないように案内されている。その案内装置の一例を図12に示す。この案内装置は、1本の主ガイドロッド334および2本の副ガイドロッド335と、1個の主ガイド穴336および2個の副ガイド穴338とを備えている。主ガイド穴336は、可動プレート312の1隅に設けられ、主ガイドロッド334と、そのガイドロッド334の軸方向の相対移動と相対回動とが可能な状態で嵌合されている。副ガイド穴338は、主ガイド穴336が設けられた1隅に隣接する2隅の各々に設けられ、互いに直交する方向に長い長穴とされている。これら副ガイド穴338は、可動プレート312の主ガイドロッドまわりの回動を防止する一方、可動プレート312の傾きは許容する状態で副ガイドロッド335と嵌合される。
上記アクチュータ320,326は、図13に示すように、駆動回路340,342を介してコントローラ344により制御される。コントローラ344はコンピュータを主体とするものであり、車体262と左前輪250,右前輪252,左後輪256および右後輪258との間の相対距離で表される車高をそれぞれ検出する4つの車高センサ346,348,350,352と、車両の前後方向および横方向の加速度を検出する前後加速度センサ354および横加速度センサ356とが接続されている。コントローラ344は、前後加速度センサ354および横加速度センサ356の検出結果に基づくフィードフォワード制御と、各車高センサの検出結果に基づくフィードバック制御とにより、車体262の4隅の車高がいずれも設定範囲内となるように、支点部材300を位置決めすべくアクチュエータ320,326を制御する。その結果、車体262はほぼ水平に保たれる。しかも、一車輪のみが路面の突部に乗り上げた場合には、懸架シリンダ10,12,14,16のいずれかが収縮し、それに対応する制御シリンダ302,304,306,308のいずれかが伸長して、可動プレート312を回動させる。この回動は他の制御シリンダの伸縮により許容されるため、それら制御シリンダと接続された懸架シリンダも伸縮することとなるが、その量は比較的小さく、乗り心地の低下が良好に回避される。2つの車輪が路面の段差部に乗り上げた場合にも、類似した効果が得られる。以上の説明から明らかなように、本実施例においては、可動プレート312がレバー体として機能する。
別の実施例を図14に示す。本実施例は、図1の実施例からアーティキュレーション制御装置34およびヒーブ制御装置36を除き、代わりに、ショックアブソーバ370および懸架スプリング372をそれぞれの懸架シリンダ10,12,14,16に対して設けたものである。ショックアブソーバ370,懸架スプリング372および懸架シリンダ10等は、車体側部としての車体262と車輪側部としての車輪保持部材374との間に設けられている。その他の部分は、前記図1の実施例と同じであるので、対応する構成要素に同じ符号を付して、説明を省略する。
ショックアブソーバ370は通常のものであり、ハウジング376内を2つの液室378,380に仕切るピストン382、ピストン382から延びるピストンロッド384、ピストン382に設けられた絞り弁386、一方の液室378と加圧ガス室388とを仕切るピストン390を備えている。懸架スプリング372は、図示の例では圧縮コイルスプリングにより構成されている。各懸架スプリング372は前記懸架シリンダ10,12,14,16の各々と直列に配設されており、これら直列配置の懸架スプリング372および懸架シリンダに対して、各ショックアブソーバ370が並列に配設されている。したがって、車体292の4隅には、それぞれ懸架スプリング372および懸架シリンダ10等の力と、ショックアブソーバ370の力とが並列に作用することとなる。
本懸架装置を備えた車両において、例えば、制動が行われて前輪側への荷重移動が生じた場合には、懸架スプリングとショックアブソーバとが並列配置された通常の懸架装置と同様に、左右の前輪250,252に対応する懸架スプリング372とショックアブソーバ370とが収縮する。懸架スプリング372が収縮すれば復元力が増大し、懸架シリンダ10,12の荷重が増大する。一方、左右の後輪256,258に対応する懸架スプリング372とショックアブソーバ370とが伸長し、懸架シリンダ14,16の荷重が減少する。したがって、支持軸62の位置が変えられなければ、制御シリンダ40,42によりレバー60に加えられる荷重が不釣り合いとなって、レバー60が回動することになるのであるが、本懸架装置では、図13に示す制御装置と同様に、コントローラ344によるアクチュエータ88の制御によって、車体の4隅の車高がすべて設定範囲内に保たれるように、支持軸62の位置が変更される。つまり、懸架スプリング372の収縮(前輪側)あるいは伸長(後輪側)に伴う懸架シリンダ10,12,14,16に対する荷重の変動によって、レバー60が回動させられないようにされるのみならず、図15に示すように、レバー60が逆方向に回動させられて懸架スプリング372の収縮あるいは伸長分を打ち消すように、懸架シリンダ10,12が伸長させられ、懸架シリンダ14,16が収縮させられるように支持軸62の位置が制御されるのである。その結果、車体262は前方への荷重移動の発生にもかかわらず水平に維持されることとなる。
しかし、これは不可欠のことではなく、荷重移動が発生した場合には、懸架スプリング372が収縮あるいは伸長する分は車体262が傾くことが許容されるようにしてもよい。車体の262の4隅の車高の設定範囲がそのように設定されるようにしてもよいのである。この場合には、懸架シリンダ10,12,14,16への負荷の不釣り合いに起因するレバー60の回動が防止されるように、支持軸62の位置の制御が行われることとなる。
以上は制動による車両前方への荷重移動の発生時について説明したが、加速による車両後方への荷重移動が生じた場合、あるいは右旋回や左旋回による車両左方や右方への荷重移動が生じた場合にも、ピッチ制御装置32あるいはロール制御装置30の制御によって、車体262が水平に維持され、あるいはレバー60の回動が防止される。図16に、右旋回時にロール制御装置30により車体262が水平に維持される状態を示す。
また、図9に示したように、左右の前輪250,252が段差部260に乗り上げた場合には、図17に示すように、ピッチ制御装置32の支持軸62は移動させられず、レバー60の自由な回動が許容されるために、左右前輪250,252に対応する懸架シリンダ10,12の収縮が許容され、左右後輪256,258に対応する懸架シリンダ14,16が伸長させられる。これらの収縮,伸長は殆ど自由に行われるため、前輪側においても後輪側においても懸架スプリング372の長さは殆ど不変である。このように、段差部260への乗上げ時における左右前輪250,252の車体262への殆ど自由な接近が許されることにより、車体262の上下動が軽減され、乗り心地の低下が防止される。この機能は、荷重移動の発生に伴う車体のピッチあるいはロールの防止中であっても発揮さ
れ得る。
以上は、車輪の段差部への乗上げにより、1Hz程度の低周波数の移動が生じた場合であるが、路面に小さい凹凸が存在し、例えば、10Hz以上の周波数の移動が加えられた場合には、ピッチ制御装置32やロール制御装置30が追従しないためにレバー60は回動せず、ピッチ制御装置32やロール制御装置30を備えない通常の懸架装置におけると同様に、懸架スプリング372とショックアブソーバ370とにより車輪の振動が吸収され、車体262への伝達が良好に遮断される。
なお、上記懸架スプリング372をトーションバーにより構成することが望ましい場合がある。例えば、圧縮コイルスプリングから成る懸架スプリング372と懸架シリンダ10等とを直列に配設する場合には、懸架シリンダ10等の長さが比較的短く制限されることを避け得ないのであるが、トーションバーを使用すれば、懸架シリンダ10等を十分に長くすることができる。トーションバーは車両の横方向に延びる状態で配設することも、前後方向に延びる状態で配設することも可能である。いずれの場合にも、トーションバーの一端を車体に固定し、他端に設けたアーム部の先端部を懸架シリンダのハウジングまたはピストンロッドに連結すればよい。
図18ないし図20に、さらに別の実施例を示す。本実施例は、図14に示した実施例においてロール制御装置30およびピッチ制御装置32を、一体的なロール・ピッチ制御装置400に変更したものであり、他の部分は同一であるため、互いに対応する構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。ロール・ピッチ制御装置400は、図19に示すように、車体に固定の保持部材401に取り付けられたフック形の自在継手402により、あらゆる方向に回動可能に保持されたハブ部材404を備え、そのハブ部材404には、4本の回動アーム406が互いに平行な4本の軸線のまわりに回動可能に取り付けられ、ハブ部材404から放射状に延び出している。各回動アーム406には、可動部材408が、回動アーム406の長手方向に移動可能に保持されており、アクチュエータ410およびボールねじ412を備えた駆動装置414によって移動させられる。
各可動部材408には、制御シリンダ420が連結されている。制御シリンダ420は、ハウジング422,ピストン423およびピストンロッド424を備え、ハウジング422がボールジョイント426により車体に固定の支持部材428に連結される一方、ピストンロッド424がボールジョイント426により可動部材408に連結されている。したがって、アクチュエータ410により可動部材408が移動させられることによって、制御シリンダ420の回動アーム406に対する作用点が変わる。また、各回動アーム406はアクチュエータ436により、任意の方向に回動させることが可能である。結局、ハブ部材404および4本の回動アーム406によってレバー体438が構成されており、そのレバー体438に対する4本の制御シリンダ420の各作用点の位置をそれぞれ任意に変更することができる構成とされていることになる。レバー体438は、1枚の平板と観念することができ、その平板上の任意の位置へ、各制御シリンダ420の作用点を移動させることができるのである。
例えば、車両の走行中に制動が行われ、前方への荷重移動が発生した場合には、図20(a)に示すように、左右の前輪250,252に対応する懸架スプリング372および懸架シリンダ10,12に対する荷重が増大し、左右の後輪256,258に対応する懸架スプリング372および懸架シリンダ14,16に対する荷重が減少する。したがって、もし何らの制御も行われないとすれば、レバー体438が回動させられ、車体262の前部が下がり、後部が上がるピッチが発生するのであるが、本実施例においては、図13に示した制御装置におけると同様に、前後加速度センサ354および横加速度センサ356の検出結果に基づくフィードフォワード制御と、車高センサ346,348,350,
352の検出結果に基づくフィードバック制御とにより、ロール・ピッチ制御装置400が作動させられ、上記ピッチが防止される。
すなわち、左右の前輪250,252に対応する一対の回動アーム406が、左右の後輪256,258に対応する一対の回動アーム406に近づく向きに回動させられるとともに、制御シリンダ420の回動アーム406への作用点が回動アーム406の基端側へ移動させられる一方、左右の後輪256,258に対応する一対の回動アーム406が、左右の前輪250,252に対応する一対の回動アーム406から遠ざかる向きに回動させられるとともに、制御シリンダ420の回動アーム406への作用点が回動アーム406の先端側へ移動させられるのである。その結果、レバー体438および制御シリンダ420は、図20(a)の右方から見た場合に図20(b)に概念的に示す状態となる。理解を容易にするために、レバー体438,制御シリンダ420及び支持部材428をそれぞれ線分で表せば、それらの関係は図21に示す通りであり、レバー体438の、左右前輪250,252に対応する制御シリンダ420に対する有効アーム長Bが、左右後輪256,258に対応する制御シリンダ420に対する有効アーム長Aに比較して短くなる。そのため、左右前輪250,252に対応する制御シリンダ420の液室の液圧が、左右後輪256,258に対応する制御シリンダ420の液室の液圧より高くなり、左右前輪250,252に対応する懸架シリンダ10,12が伸長させられる一方、左右後輪256,258に対応する懸架シリンダ14,16が収縮させられる。
懸架シリンダ10,12の収縮は、荷重移動に伴う懸架スプリング372の収縮を打ち消すように行われ、懸架シリンダ14,16の伸長は、荷重移動に伴う懸架スプリング372の伸長を打ち消すように行われる。そのように、アクチュエータ410,436が制御されるのである。なお、制動に伴うピッチを防止する際には、アクチュエータ410による可動部材408の移動と、アクチュエータ436による回動アーム406の回動とは、可動部材408の移動軌跡が図20(a)において上下方向に延びる直線となるように行われる。このことは不可欠ではないが、望ましいことである。左右の前輪250,252に対応する一対の可動部材408は、図20(a)において、ハブ部材404の中心を通り、上下に延びる直線を対称軸として線対称の関係を保って移動させさえすれば、車体262が横に傾くことを防止しつつレバー体438のレバー比を任意に変えることができ、例えば、一対の可動部材408の移動軌跡がハブ部材404に近い部分ほど互いに接近するようにすることもできるのであるが、一対の可動部材408の間隔はできる限り広いことが、車体262の姿勢制御の精度を確保する上で望ましいのである。
車両が右旋回する場合の制御状態を図22(a)に示す。右旋回時には左方への荷重移動が生じ、左前輪250および左後輪256(左側輪250,256)に対応する懸架シリンダ10,14およびそれらと直列に配設された懸架スプリング372の荷重が増大し、右前輪252および右後輪258(右側輪252,258)に対応する懸架シリンダ12,16およびそれらと直列に配設された懸架スプリング372の荷重が減少する。それに対し、左側輪250,256に対応する一対の回動アーム406が右側輪252,258に対応する一対の回動アーム406に近づく向きに回動させられるとともに、制御シリンダ420の回動アーム406への作用点が回動アーム406の基端側へ移動させられる一方、右側輪252,258に対応する一対の回動アーム406が左側輪250,256に対応する一対の回動アーム406から遠ざかる向きに回動させられるとともに、制御シリンダ420の回動アーム406への作用点が回動アーム406の先端側へ移動させられる。
その結果、レバー体438および制御シリンダ420は、図22(a)の下方から見た場合に図22(b)に概念的に示す状態となり、レバー体438の、左側輪250,256に対応する制御シリンダ420に対する有効アーム長が、右側輪252,258に対応
する制御シリンダ420に対する有効アーム長に比較して短くなる。そのため、左側輪250,256に対応する制御シリンダ420の液室の液圧が、右側輪252,258に対応する制御シリンダ420の液室の液圧より高くなり、左側輪250,256に対応する懸架シリンダ10,14が伸長させられる一方、右側輪252,258に対応する懸架シリンダ12,16が収縮させられる。懸架シリンダ10,14の伸長は、荷重移動に伴う懸架スプリング372の収縮を打ち消すように行われ、懸架シリンダ12,16の収縮は、荷重移動に伴う懸架スプリング372の伸長を打ち消すように行われる。そのように、アクチューエタ410,436が制御されるのである。
また、制動時であって、ピッチ剛性配分を右寄りにする必要がある場合には、図23(a),(b)に示すように、右側輪252,258に対応する一対の回動アーム406および可動部材408が図20(a)におけると同様な配置にされる一方、左側輪250,256に対応する一対の回動アーム406が互いに近づく向きに回動させられ、かつ、可動部材408が共に回動アーム406の基端側へ移動させられる。その結果、右前輪252に対応する懸架シリンダ12が大きく伸長させられるとともに懸架スプリング372が大きく収縮させられる一方、右後輪258に対応する懸架シリンダ16が大きく収縮させられるとともに懸架スプリング372が大きく伸長させられる。それに対して、左側輪250,256に対応する懸架シリンダ10,14および懸架スプリング372の伸縮量は比較的小さくなる。ピッチモーメントに対抗して車体262のピッチを抑制するピッチ対抗モーメントの多くが、右側輪12,16により発生させられるのである。それにより、右前輪252の接地荷重が著しく大きくなるとともに右後輪258の接地荷重が著しく小さくなる一方、左側輪250,256の接地荷重の変化が小さくなる。例えば、左側の摩擦係数が右側のそれに比較して著しく小さいまたぎ路においてアンチロック制御が行われる場合に、左後輪256の接地荷重の減少を小さく抑え得ることは、左右の制動力の不均衡を回避しつつ車両全体としての制動力を増大させる上で有効である。回動アーム406の配置を図23(a)の場合とは逆にすれば、ピッチ剛性配分を左寄りにすることができることは勿論である。
さらに、右旋回時にロール剛性配分を前寄りにする必要がある場合には、回動アーム406および可動部材408が図24(a),(b)に示す配置とされる。その結果、左前輪250に対応する懸架シリンダ10が大きく伸長させられるとともに懸架スプリング372が大きく収縮させられる一方、右前輪252に対応する懸架シリンダ10が大きく収縮させられるとともに懸架スプリング372が大きく伸長させられる。それに対して、後側輪256,258に対応する懸架シリンダ14,16および懸架スプリング372の伸縮量は共に比較的小さくなる。それにより、例えば、右旋回時における右後輪258の接地荷重の減少を比較的小さく抑えることができる。回動アーム406の配置を図24(a)の場合とは逆にすれば、ロール剛性配分を後寄りにすることもできる。
また、前輪250,252が路面の段差部に乗り上げ、前輪250,252の上昇の周波数が比較的低い場合、例えば1Hz程度である場合には、図25(a),(b)に示すように、回動アーム406および可動部材408の制御は行われず、レバー体438の回動により、前輪250,252に対応する懸架シリンダ10,12の収縮と、後輪256,258に対応する懸架シリンダ14,16の伸長とが許容される。そのために、車体262の前部の上昇が比較的小さくて済み、乗り心地が向上する。この機能は、前述のように、ピッチやロールの抑制制御中においても発揮され、従来避け得なかった乗り心地の低下が良好に回避される。前輪250,252が路面の段差部を降りる場合、あるいは段差部を乗り越える場合は勿論、後輪256,258の段差部乗り上げ等においても同様に乗り心地の低下が回避される。
また、前後左右の車輪が、路面の凹凸に起因して比較的高い周波数、例えば10Hz以
上の周波数で振動する場合には、懸架シリンダ10,12,14,16,レバー体438,制御シリンダ420等の作動が液圧変化に追従しない。そのため、懸架スプリング372の伸縮により各車輪の振動が吸収され、車体262への伝達が良好に遮断される。
図26にさらに別の実施例を示す。本懸架装置は図11に示したロール・ピッチ制御装置298と類似のロール・ピッチ制御装置450を備えている。ただし、ロール・ピッチ制御装置298における制御シリンダ302,304,306,308の代わりに、4本の支持ロッド452を備えており、これら伝達部材の一種である支持ロッド452は支持部材300に支持される代わりに、トーションバー456,458,460,462に係合させられている。図においては、簡略化のために、各トーションバー456,458,460,462が、棒状の本体部464と、その本体部464の両端から延び出た2つのアーム部466、468とを備えたものとして示されており、各支持ロッド452が一方のアーム部468に単純に支持された状態が示されているが、実際には、各支持ロッド450の両端は、ボールジョイントあるいはゴムブッシュにより、アーム部468と可動プレート312とに相対回動可能に連結されることが望ましい。ロール・ピッチ制御装置450の主要部は、ロール・ピッチ制御装置398のそれと同じであるため、互いに対応する構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
各トーションバー456,458,460,462の本体部464は軸線まわりの回転は可能であるが、軸方向には移動不能に車体262に保持されている。各トーションバー456,458,460,462の支持ロッド452と連結された側とは反対側の各アーム部466は、左前輪250、右前輪252、左後輪256および右後輪258の各々を保持する図示しない車輪保持部材に係合させられるとともに、ショックアブソーバ470,472,474,476と係合させられている。例えば、これらがボールジョイントやゴムブッシュにより相対回動可能に連結されているのである。ショックアブソーバ470,472,474,476のピストンロッド480は図示しない車体262の4隅に係合させられている。例えば、ボールジョイントやゴムブッシュにより相対回動可能に連結されているのである。
可動プレート312は、図11に示したロール・ピッチ制御装置298におけると同様に、支点部材332によりあらゆる方向に回動可能に支持されている。そして、前後加速度や横加速度に応じて、第一、第二駆動装置324,330により支点部材332の位置が変えられることによって、レバー体としての可動プレート312の、各支持ロッド452に対するレバー比が変えられる。それによって、前記各実施例におけると同様に、車体のピッチやロールが防止される。あるいは、可動プレート312の支点部材332まわりの自由な回動に伴って各支持ロッド452がほぼ軸方向に移動し、各アーム部468の回動量が変わる。それによって、例えば、各アーム部466が図示の位置にある状態、すなわち左前輪250等車輪が中立位置にある状態で、各トーションバーの本体部464のねじり量を互いに異ならせることができる。換言すれば、車体262のピッチやロールを防止しつつ複数の車輪の接地荷重を制御することができるのである。しかも、本実施例においては、各トーションバーのアーム部468がアーム部466に比較して短くされているため、可動プレート312の比較的小さな回動角度によって、トーションバーのねじり量を十分に変更し得る。あるいは、左前輪250等車輪の昇降量(上下動量)に対して支持ロッド452の軸方向移動量が小さくて済み、可動プレート312の回動角度が小さくて済む。例えば、路面の段差部,突部、くぼみ等による車輪の比較的低い周波数の昇降(上下動)を許容するための可動プレート312の回動角度が小さくて済むのである。また、比較的高い周波数の車輪の昇降は、殆ど可動プレート312の回動を伴うことなく、トーションバーのねじり変形により吸収され、車体への伝達が良好に遮断される。
以上の説明から明らかなように、本懸架装置においては、可動プレート312がレバー
体を構成し、トーションバー456,458,460,462および支持ロッド支持ロッド452が伝達部を構成し、第一、第二駆動装置324,330および支点部材332がレバー比変更装置を構成している。
さらに別の実施形態を図27〜図29に示す。前述の図1に示す実施形態においては、ロール制御装置30、ピッチ制御装置32,アーティキュレーション制御装置34,ヒーブ制御装置36が、それぞれレシプロアクチュエータとしての液圧シリンダを含むものであったが、本実施形態においては、ロータリアクチュエータを含むものである。
ロール制御装置510,ピッチ制御装置512,アーティキュレーション制御装置514,ヒーブ制御装置516は、それぞれ、4つの容量可変式のロータリアクチュエータ520〜526を含む。ロータリアクチュエータ520〜526は、各車輪250〜256にそれぞれ対応して設けられた懸架シリンダ10〜16とリザーバ528との間に設けられたものであり、共通の駆動軸530によって連結されている。
ロータリアクチュエータ520〜526は、それぞれ、懸架シリンダ10〜16に液通路80〜86を介して接続される。
ロータリアクチュエータ520〜526は、例えば、図28に示すように、斜板式の液圧ロータリアクチュエータとすることができる。ロータリアクチュエータ520〜526は、ハウジング550、駆動軸530,斜板560,複数のシリンダ562等を含む。駆動軸530は、ハウジング550に相対回転可能に保持され、斜板560は駆動軸530に傾斜可能かつ相対回転可能に保持される。また、複数のシリンダ562が設けられたシリンダブロック564が駆動軸530に相対回転不能に保持される。
シリンダブロック564には、周方向に隔てて複数のシリンダボア566が形成され、それらシリンダボア566の各々にピストン568が摺動可能に嵌合されている。ピストン568が斜板560に、ピストン568の先端にボールジョイントを介して設けられたシュー569aが斜板560に設けられたシュープレート569b上を摺動可能な状態で係合させられる。また、ピストン568とシリンダボア566とによってポンプ室としての液圧室570が形成される。
一方、ハウジング550には、図示しない第1,第2の2つのポートが設けられ、第1ポートが第1溝572に連通させられ、第2ポートが第2溝573に連通させられる。第1溝572,第2溝573に液圧室570の連通路574が対向すると、第1溝572,第2溝573が液圧室570に連通させられ、液体が吸入されたり吐出したりする。
斜板560が、図28の矢印Aが示す反時計方向に傾斜した状態で使用される場合には、図28の上方が液圧室570の容積が最大となる下死点となり、下方が液圧室570の容積が最小となる上死点となる。
斜板560の傾斜角度は傾斜角度調整シリンダ580によって調整される。傾斜角度調整シリンダ580は、ハウジング582とハウジング582に摺動可能に係合されたピストン584とを含む。本実施形態においては、ハウジング582の先端部がボールジョイントを介して斜板560に連結され、ピストン584がハウジング550に軸方向に相対移動不能に設けられる。ピストン584とハウジング582とによって液圧室586が形成されるが、液圧室586は、連通路588を介して第3ポート590に連通させられる。ピストン584はストッパとしての機能も有する。
液圧室586の液圧を調整することにより、ハウジング582とピストン584との間の長さを調整することができ、それによって、斜板560の傾斜角度を調整することができる。斜板560の傾斜角度が大きい場合は小さい場合より、汲み上げ量、吐出量が大きくなる。以下、単に容量が大きいと称する。
第3ポート590には、図示しない電磁弁が接続され、電磁弁の制御等により傾斜角度調整シリンダ580の液圧室586の液圧等が制御される。なお、符号592は、ガイドシリンダを示す。
本実施形態においては、ロータリアクチュエータ520〜526各々についての容量がコントローラ630の指令に基づいて制御される。コンピュータを主体とするコントローラ630には、前記実施形態における場合と同様に、各車輪毎に設けられた車高センサ346〜352、前後加速度センサ354,横加速度センサ356等が接続されるとともにロータリアクチュエータ520〜526が接続される。車高センサ346〜352によって検出された車高に基づいて取得されるロール角やピッチ角、前後加速度センサ354,横加速度センサ356によって検出される前後加速度、横加速度等に基づいて、ロータリアクチュエータ520〜526の容量が別個独立に制御される。
ロータリアクチュエータ520〜526において、第1ポートと第2ポートとのいずれか一方に懸架シリンダ10〜16が接続され、他方にリザーバ528が接続される。ロータリアクチュエータに高圧の液体が吸入される場合にはモータとして機能する。懸架シリンダに接続されたポートが吸入側のポートとなり、下死点、上死点を経て吐出する向きに駆動軸530が回転させられる。4つのロータリアクチュエータ520〜526は、共通の駆動軸530によって連結されているため、これらは一体的に回転させられる。
この場合に、懸架シリンダの液圧(ロータリアクチュエータに加えられる液圧)が同じ場合には、斜板560の傾斜角度が大きい場合は小さい場合(容量が大きい場合は小さい場合)より、回転し易くなる。また、容量が同じである場合には、懸架シリンダの液圧が高い場合は低い場合より回転し易くなる。
ロール制御装置510においては、ロータリアクチュエータ520〜526が、ロータリアクチュエータ520,524を含む左側群600と、ロータリアクチュエータ522,526を含む右側群602とに分けられる。これら左側群600,右側群602において、接続状態が逆である。例えば、左側群600に属するロータリアクチュエータ520,524においては第1ポートに懸架シリンダ10,14が接続されて第2ポートにリザーバ528が接続され、右側群602に属するロータリアクチュエータ522,526においては第1ポートにリザーバ528が接続され第2ポートに懸架シリンダ12,16が接続される。換言すれば、ロール制御装置510の作動状態(駆動軸530が回転している状態)においては、左側群600、右側群602のいずれか一方において懸架シリンダから液体が流出させられ、他方において懸架シリンダに液体が流入させられる状態で接続されるのであり、非作動状態において、左側群600と右側群602とで、懸架シリンダの液圧が、駆動軸530を互いに逆向きに回転させようとする向きに加えられることになる。
本実施形態においては、車両の積載状態が標準状態で、ほぼ水平な路面を停止または定速で直進走行している場合に、ロータリアクチュエータ520〜526が非作動状態に保たれるように、それぞれの容量が制御される。
この状態において、ロール制御装置520においては、左側群600と右側群602とで回転トルクの大きさが同じであり、これらは釣り合った状態にある。
図29に示すように、右側輪がバウンドするロール方向の路面変位があった場合には、右側の懸架シリンダ12,16の液圧が高くなる。右側群602に属するロータリアクチュエータ522,526が回転させられ、それによって、左側群600に属するロータリアクチュエータ520,524も回転させられる。懸架シリンダ12,16から作動液が流出し、懸架シリンダ10,14に流入する。逆に、左側輪がバウンドした場合には、左側群600に属するロータリアクチュエータ520,524が回転させられて、それによって、すべてのロータリアクチュエータ520〜526が回転させられる。懸架シリンダ10,14から作動液が流出し、懸架シリンダ12,16に作動液が流入する。懸架シリンダ10,14と懸架シリンダ12,16との間で、みかけ上、作動液の授受が行われることになり、上下方向の相対変位に起因する車体側部への振動の伝達が抑制される。
左旋回時には、旋回外輪である右側輪に対応する懸架シリンダ12,16の液圧が高くなって、旋回内輪である左側輪の懸架シリンダ10,14の液圧が低くなる。この場合に、図30に示すように、ロータリアクチュエータ522,526の容量がロータリアクチュエータ520,524の容量より小さくされる。右側群602に属するロータリアクチュエータ522,526の容量と左側群600に属するロータリアクチュエータ520,524の容量とが横加速度に基づいて制御されるのであり、左側群600,右側群602とで、容量と懸架シリンダの液圧とで決まるロータリアクチュエータに加えられる回転トルクが同じ大きさとなるように制御される。なお、左側群600,右側群602とで、それぞれの群に属する2つのロータリアクチュエータ同士は容量が同じになるように制御される。これらは、容量が同じになるように機械的に連結することも可能である。
このように、左側群600に属するロータリアクチュエータ520,524の容量,右側群602に属するロータリアクチュエータ522,526の容量が、駆動軸530が回転しない大きさに決められているため、左旋回時のロールを抑制することができる。また、このロールが抑制された状態において、例えば、路面入力等に起因して左側輪の懸架シリンダ10、14の液圧が大きくなると、それによって、ロータリアクチュエータ520、524が回転させられ、すべてのロータリアクチュエータ520〜526が回転させられる。左側輪の懸架シリンダ10,14から作動液が流出し、右側輪の懸架シリンダ12,16に作動液が流入する。路面入力に起因する上下方向の相対変位が許容され、車体側部への振動伝達を抑制することができる。
右側輪の懸架シリンダ12,16の液圧が高くなった場合も同様であり、車体側部に作用する横加速度に起因する上下方向の相対移動の抑制中に、路面入力があった場合に、その路面入力に起因する上下方向の相対移動を許容することができる。
本実施形態においては、ロールが生じた場合に、すべてのロータリアクチュエータ520〜526の容量が、回転を抑制し得る過小な大きさに設定されるわけではなく、横加速度に基づいて決まる大きさに制御される。そのため、その状態において路面入力に起因する上下方向の加速度が加えられれば、ロータリアクチュエータ520〜526を回転させることができるのであり、懸架シリンダの作動が許容されるのである。
ピッチ制御装置512においては、図27に示すように、ロータリアクチュエータ520、522を含む前側群604と、ロータリアクチュエータ524,526を含む後側群606とに分けられ、ロール制御装置510における場合と同様に連結される。ロータリアクチュエータ520〜526の作動状態において、前輪の懸架シリンダ10,12から作動液が流出し、後輪の懸架シリンダ14,16に作動液が流入する状態で接続される。
そして、制動による前後加速度が加わった場合には、図30に示すように、左右前輪の懸架シリンダ10,12の液圧が高くなり、左右後輪の懸架シリンダ14,16の液圧が低くなるため、ロータリアクチュエータ520,522の容量がロータリアクチュエータ524,526の容量より小さくされる。駆動による前後加速度が作用した場合には、逆である。
アーティキュレーション制御装置514においては、ロータリアクチュエータ520,526を含む第1対角群610とロータリアクチュエータ522,524を含む第2対角群612とで、接続状態が逆にされる。例えば、対角位置にある懸架シリンダ10,16から作動液が流出し、別の対角位置にある懸架シリンダ12,14に流入するように接続される。
ヒーブ制御装置516において、ロータリアクチュエータ520〜526が、同じように接続される。すなわち、懸架シリンダ10〜16の液圧がアキュムレータ622の液圧に対して高くなった場合に、懸架シリンダ10〜16から作動液が流出し、アキュムレータ622に供給され、アキュムレータ622の液圧が懸架シリンダ10〜16の液圧に対
して相対的に高くなれば、駆動軸530の回転方向が逆になり、アキュムレータ622の作動液が懸架シリンダ10〜16に供給される。
このように、本実施形態においては、ロータリアクチュエータを利用することによって、車両の姿勢変化が制御される。
また、車体側部に加えられる加速度に起因するロール、ピッチを抑制しつつ加速度に起因しない、例えば、路面入力に起因する上下方向の相対移動を許容することができる。路面入力に起因する上下方向の相対移動は、ロール制御装置510,ピッチ制御装置512においても許容されるが、アーティキュレーション制御装置514,ヒーブ制御装置516においても許容され得る。
さらに、レシプロアクチュエータではなくロータリアクチュエータを利用することにより、懸架装置を小型化することができる。
また、すべてのロータリアクチュエータ520〜526が容量可変型のものであるため、2つの群のそれぞれの容量の比率の制御範囲を広くすることができる。換言すれば、ロータリアクチュエータ各々の容量の可変の範囲が狭くても、容量の比率の制御範囲を加速度に起因する上下方向の相対変位を抑制し得る広さとすることができるのである。
本実施形態においては、コントローラ630の2つの群の容量をそれぞれ制御する部分等により回転制御部が構成される。回転制御部は容量制御部、姿勢制御装置でもある。また、第1ロータリアクチュエータ群がロール制御装置510に対応し、第2ロータリアクチュエータ群がピッチ制御装置512に対応する。
なお、上記実施形態においては、車体側部182に作用する加速度に基づいて、2つの群のそれぞれに属するロータリアクチュエータの容量がそれぞれ制御されるようにされていたが、すべてのロータリアクチュエータの容量がそれぞれ制御されるようにすることは不可欠ではない。2つの群のうちの一方の群のロータリアクチュエータの容量が一定とされた場合に他方の群のロータリアクチュエータの容量を、その一定の容量と、加速度に基づいて決まる比率とに基づいて取得される大きさに制御されるようにすることもできる。
また、ロール制御装置510,ピッチ制御装置512,アーティキュレーション制御装置514のそれぞれに含まれるロータリアクチュエータ520〜526すべてを容量可変なものとする必要はない。
さらに、1つの群に含まれる2つのロータリアクチュエータの容量を同じ大きさに制御することもできるのであり、加速度に起因する姿勢変化を抑制し得る大きさに制御することもできる。
また、ロール制御装置510において、ロールの向き(旋回の方向)に応じて、液圧が高くなる方(旋回外輪側)のロータリアクチュエータの容量のみが小さくされるようにしたり、すべてのロータリアクチュエータの容量を設定値以下としたりすることができる。2つの群の間の容量の比率を制御すればよいのである。
さらに、上記実施形態においては、ロータリアクチュエータとして、容量可変型の斜板式の液圧式ロータリアクチュエータが利用されたが、容量可変型のものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、複数のベーンを有する容量可変型のロータリアクチュエータを利用することもできる。
また、複数のロータリアクチュエータの間あるいは2つの群の間に、変速機を設けることができる。これら複数のロータリアクチュエータは、一体的に回転可能に連結しなくても、1つのロータリアクチュエータの回転に伴って別のロータリアクチュエータが決まった規則で回転可能な状態で連結されればよいのである。
さらに、ロータリアクチュエータすべてを容量が一定のものとすることができる。この場合には、2つの群の間に変速機が設けられる。その一例を図31に示す。
本実施形態においては、ロータリアクチュエータ650〜656がそれぞれ懸架シリン
ダ10〜16に対応して設けられる。ロータリアクチュエータ650〜656は、上記実施形態における容量可変式の斜板式のロータリアクチュエータ520〜526において斜板560の傾斜角度が一定とされたものを用いることができる。また、斜板560の傾斜角度が不変なものとしたり、ベーンや歯車を有し、容量が不変なものとしたりすることができる。
ロール制御装置660において、ロータリアクチュエータ650,654が左側群662に属し、ロータリアクチュエータ652,656が右側群664に属する。左側群662においては駆動軸670が共通とされ、右側群664においては駆動軸672が共通とされる。これら駆動軸670,672の間には、これらを互いに逆方向に回転する状態で連結する変速機700が設けられる。駆動軸670,672が互いに逆方向に回転した場合に、左側群、右側群662、664の一方の群において懸架シリンダから作動液が流出させられて他方の群において懸架シリンダに作動液が流入させられる状態で、ロータリアクチュエータ650〜656、変速機700が設けられるのである。
変速機700は、変速比を無段階で(連続的に)調整可能なものであり、例えば、一対のプーリと、これらの間に掛け渡されたベルトと、一方のプーリに係合させられた歯車と、一対のプーリのうちの少なくとも一方のVベルトが掛け渡される半径を変更する半径変更装置とを含むものとすることができる。駆動軸670、672の一方がプーリの他方に連結され、他方が一方のプーリ(の歯車)に連結される。半径変更装置によって一対のプーリのうちの少なくとも一方のVベルトが掛け渡される半径が調整されることにより、一対のプーリの半径の比率が変更され、変速比が変更される。
変速機700において、半径が小さいプーリと半径が大きいプーリとでは、半径が大きいプーリの方が回転角速度が小さくなり(おそくなり)、伝達される回転トルクが大きくなる。
換言すれば、変速機700において、懸架シリンダの液圧が高い方のロータリアクチュエータの回転速度が増速されて、液圧が低い方のロータリアクチュエータに伝達されるようにすれば、ロータリアクチュエータ650〜656に加えられる回転トルクが異なっても、ロータリアクチュエータ650〜656を非回転状態とすることができる。この場合の変速比は、車体側部182に作用する加速度に基づいた大きさに制御される。
例えば、左旋回中には、横加速度に基づいて変速機700の変速比が制御され、旋回内輪側である左側群662のロータリアクチュエータ520,524の駆動軸670の回転速度が減速されて旋回外輪側である右側群664のロータリアクチュエータ522,526の駆動軸672に伝達されるようにすれば、左旋回中にロータリアクチュエータ650〜656の回転を抑制することができ、ロールを抑制することができる。
この状態において、路面入力が生じ、懸架シリンダ10〜16のいずれかの液圧が高くなると、左側群662,右側群664のバランスが崩れ、ロータリアクチュエータ650〜656が回転させられるのであり、懸架シリンダ10〜16の間の作動液の授受が許容され、懸架シリンダ10〜16の作動が許容される。
ピッチ制御装置710についても同様であり、左右前輪のロータリアクチュエータ650,652が駆動軸712によって連結されるとともに左右後輪のロータリアクチュエータ654,656が駆動軸714によって連結され、これら駆動軸712,714の間に変速機700が設けられる。前側群716に属するロータリアクチュエータ650,652の駆動軸712の回転速度と、後側群718に属するロータリアクチュエータ654,656の駆動軸714の回転速度との比率が、前後加速度に基づいて制御されることにより、これらの回転が抑制される。
アーティキュレーション制御装置722についても同様であり、左前輪250、右後輪256の懸架シリンダ10,16に対応するロータリアクチュエータ650,656が第1対角群724に属し、右前輪252、左後輪254の懸架シリンダ12,14に対応するロータリアクチュエータ652,654が第2対角群726に属する。これら第1対角群724,第2対角群726の駆動軸730,732が変速機700を介して連結される。変速比が1である場合には、上記実施形態における場合と同様に、一対の対角位置にある車輪の懸架シリンダと他の一対の対角位置にある車輪の懸架シリンダとの間でみかけ上作動液の授受が行われ、アーティキュレーションが許容される。
それに対して、変速比を1以外の値とし、例えば、第1対角群724の駆動軸730の回転速度を第2対角群726の駆動軸732の回転速度より大きくすれば(第1対角群724の駆動軸730の回転速度を減速して第2対角群726の駆動軸732に伝達される状態とすれば)、釣り合い状態において、第2対角群726の駆動軸732の回転トルクが駆動軸730の回転トルクより大きくなり、第2対角群726の左後輪254,右前輪252の懸架シリンダ12,14の液圧を第1対角群724の右後輪256,左前輪250の懸架シリンダ10,16の液圧より大きくすることができ、左後輪254,右前輪252の荷重を左前輪250,右後輪256の荷重より大きくすることができる。
ヒーブ制御装置740については、各ロータリアクチュエータ650〜656が、共通の駆動軸742によって連結され、作動状態において、懸架シリンダ10〜16とアキュムレータ622との間で作動液の授受が行われる。
本実施形態においては、コントローラ630等により変速比制御部が構成される。
なお、アーティキュレーション制御装置722に含まれる変速機700は無段階変速機とすることは不可欠ではない。段階的に変速比を変更可能なものとしてよい。
また、アーティキュレーション制御装置は、図32に示す構造のものとすることができる。アーティキュレーション制御装置750は、左前輪の懸架シリンダ10と右前輪の懸架シリンダ12との間に設けられたロータリアクチュエータ752と、右後輪の懸架シリンダ16と左後輪の懸架シリンダ14との間に設けられたロータリアクチュエータ754と、共通の駆動軸756と、駆動軸756に連結された電動モータ758と、電磁クラッチ760とを含む。
本実施形態においては、左前輪の懸架シリンダ10から右前輪の懸架シリンダ12に作動液が流れる場合に右後輪の懸架シリンダ16から左後輪の懸架シリンダ14に作動液が流れる状態で、ロータリアクチュエータ752,754および駆動軸756が設けられる。電動モータ758は正・逆両方向に回転可能なものであり、電磁クラッチ760は、接続状態と切断状態とに切り換え可能なものである。
ロータリアクチュエータ752は、左右前輪の懸架シリンダ10,12のうち液圧が高い方の液圧により回転させられ、ロータリアクチュエータ754は、左右後輪の懸架シリンダ14,16のうち液圧が高い方の液圧により回転させられる。
電磁クラッチ760の切断状態において、例えば、左前輪の懸架シリンダ10の液圧が高くなったことに起因してロータリアクチュエータ752が回転させられると、それに伴ってロータリアクチュエータ754も回転させられる。その結果、左前輪の懸架シリンダ10から右前輪の懸架シリンダ12に作動液が流れるとともに、右後輪の懸架シリンダ16から左後輪の懸架シリンダ14に作動液が流れる。それによって1輪の上下方向の相対変位が許容される。
電磁クラッチ760を接続状態とし、電動モータ758により回転トルクを付与すれば、左前輪250,右後輪256の荷重と、右前輪252,左後輪243の荷重とのいずれか一方を大きくすることができる。例えば、電動モータ758により、駆動軸756が、右前輪252,左後輪254の懸架シリンダ12,14から左前輪250,右後輪256の懸架シリンダ10,16に向かって作動液が流れる方向に回転し難くなる回転トルクが
付与されれば、右前輪252,左後輪254の荷重を大きくし、左前輪250,右後輪256の荷重を小さくすることができる。電動モータ758の回転トルクを逆方向とすれば、左前輪250,右後輪256の荷重を大きくし、右前輪252,左後輪254の荷重を小さくすることができる。
なお、上記実施形態においては、ロータリアクチュエータ752,754が左右前輪の懸架シリンダ10,12の間、左右後輪の懸架シリンダ14,16の間にそれぞれ設けられていたが、右側の前後輪の懸架シリンダ10,14の間、左側の前後輪の懸架シリンダ12,16の間に、それぞれ設けることもできる。この場合にも、アーティキュレーションを許容しつつ、対角位置にある車輪の荷重を制御することができる。
また、アーティキュレーション制御装置に代えて、または、上記各実施形態における懸架装置に加えて、ロール剛性配分制御装置、ピッチ剛性配分制御装置を設けることができる。その一例を図33に示す。
本実施形態においては、ロール剛性配分制御装置800とピッチ剛性配分制御装置802とが設けられる。
ロール剛性配分制御装置800は、左右前輪250,252の懸架シリンダ10,12の間に設けられた前側ロータリアクチュエータ810と、左右後輪254,256の懸架シリンダ14,16の間に設けられた後側ロータリアクチュエータ812と、これらの駆動軸814,816の間に設けられた変速機818とを含む。変速機818は、上記実施形態における変速機700と同様なものであり、駆動軸814,816を互いに逆方向に回転可能に連結する。変速機818は、変速比を連続的に変更可能なものである。
ロータリアクチュエータ810,812および変速機818は、前側ロータリアクチュエータ810、後側ロータリアクチュエータ812において、左右いずれか一方の同じ側の懸架シリンダからいずれか他方の同じ側の懸架シリンダに向かって作動液が流れる状態で接続される。例えば、前側ロータリアクチュエータ810において、右前輪の懸架シリンダ12から左前輪の懸架シリンダ10に向かって作動液が流れる場合に、後側ロータリアクチュエータ812において、右後輪の懸架シリンダ16から左後輪の懸架シリンダ14に向かって作動液が流れるように設けられるのである。
例えば、右旋回において、旋回内輪側である右側の荷重が小さくなって、旋回外輪側である左側の荷重が大きくなった場合には、ロータリアクチュエータ810,812のそれぞれにおいて、左側の懸架シリンダ10,14から右側の懸架シリンダ12,16に向かって作動液が流れる。この場合に、変速機818の制御により、後側ロータリアクチュエータ812におけるより前側ロータリアクチュエータ810における方が回転速度が小さくなるようにすれば(後側ロータリアクチュエータ812の回転速度が減速されて、前側ロータリアクチュエータ810に伝達されるようにすれば)、釣り合い状態において、前側ロータリアクチュエータ810の回転トルクが後側ロータリアクチュエータ812の回転トルクより大きくなる。前輪側のロール剛性が後輪側のロール剛性より大きくなり、ロール剛性配分がフロントよりとなり、旋回時の収束性を向上させる(アンダステア傾向)ことができる。逆に、後側ロータリアクチュエータ812におけるより前側ロータリアクチュエータ810における方が回転速度が大きくなるように(後側ロータリアクチュエータ812の回転速度が増速されて、前側ロータリアクチュエータ810に伝達されるように)すれば、前輪側のロール剛性を後輪側のロール剛性より小さくすることができ、ロール剛性配分がリヤよりとなり、旋回時の回頭性を向上させる(オーバステア傾向)ことができる。
ピッチ剛性配分制御装置802は、左側の前後輪250,254の懸架シリンダ10,14の間に設けられた左側ロータリアクチュエータ820および右側の前後輪252,256の懸架シリンダ12,16の間に設けられた右側ロータリアクチュエータ822と、
これらの駆動軸824,826の間に設けられた変速機828とを含む。
ピッチ剛性配分制御装置812においては、左側、右側ロータリアクチュエータ820,822、変速機828は、それぞれ、左側、右側ロータリアクチュエータ820,822において、前、後輪の同側から他方の同じ側に作動液が流れる状態で、すなわち、左側ロータリアクチュエータ820において前輪の懸架シリンダ10から後輪の懸架シリンダ14に向かって作動液が流れる場合に右側ロータリアクチュエータ822において前側の懸架シリンダ12から後輪の懸架シリンダ16に向かって作動液が流れる状態で接続される。
この場合に、例えば、左側、右側のロータリアクチュエータ820,822とで、左側のロータリアクチュエータの方の回転速度を小さく(回転トルクを大きく)すれば、左側の方のピッチ剛性を大きくすることができ、ピッチ剛性配分を左よりにすることができる。その結果、右側において接地荷重の変化を小さくすることができ、右側の路面μが低いまたぎ路等の走行中に制動した場合(アンチロック制御が行われた場合)に制動トルクの低下を抑制することができ、有効である。
本発明のさらに別の実施形態を図34〜38に示す。本実施形態においては、各車輪の懸架シリンダ10〜16に対応してロータリアクチュエータ対850〜856が設けられる。ロータリアクチュエータ対850〜856は同じ構成を成したものであり、それぞれ、2つずつのロータリアクチュエータを含む。一方のロータリアクチュエータ860〜866は、懸架シリンダ10〜16に接続され、容量が一定のものであり、他方のロータリアクチュエータ870〜876は、アキュムレータ868に接続され、容量可変型のものである。
ロータリアクチュエータ860〜866は、車輪側部180と車体側部182との間に設けられた懸架シリンダ10〜16に接続されたものであるため懸架用ロータリアクチュエータと称し、ロータリアクチュエータ870〜876は、負荷調整装置としての機能を有するものであるため、負荷調整用ロータリアクチュエータと称する。負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876は、上記実施形態におけるロータリアクチュエータと同じ構造を成したものとすることができる。
ロータリアクチュエータ対850〜856に属する2つのロータリアクチュエータ同士は、本実施形態においては、共通の駆動軸890〜896によって連結される。また、これら懸架用ロータリアクチュエータ860〜866は互いに液通路898によって連通させられ、負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876は液通路900によって連通させられる。
また、懸架用ロータリアクチュエータ860〜866と負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876とは、懸架シリンダ10〜16から液体が流出する場合に、リザーバ902からアキュムレータ868に液体が供給される状態で連結される。以下、ロータリアクチュエータ対850について説明し、他のロータリアクチュエータ対についての説明を省略する。
懸架用ロータリアクチュエータ860には、懸架シリンダ10の液圧が加えられ、負荷調整用ロータリアクチュエータ870には、アキュムレータ868の液圧が加えられる。これらによる回転トルクの大きさが同じである場合には、駆動軸890が回転することはない。
負荷調整用ロータリアクチュエータ870の容量が大きい場合は小さい場合より、懸架用ロータリアクチュエータ860に加えられる負荷が大きくなり、懸架シリンダ10の液圧が同じである場合に懸架用ロータリアクチュエータ860が回転し難くなる。また、負荷調整用ロータリアクチュエータ870の容量が大きい場合は小さい場合よりアキュムレータ868からリザーバ902に向かって作動液が流れ易くなる。
負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876は、コントローラ908の指令に基づいて制御される。コントローラ908には、前後加速度センサ354、横加速度センサ
356、各車輪毎に設けられた車高センサ346〜352等が接続されるとともに、負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876等が接続される。
各負荷調整用アクチュエータ870〜876の容量は、車両の定常状態(荷重が標準状態であり、かつ、ほぼ水平な路面を停止または定速直進走行している場合)に、すべてのロータリアクチュエータ対850〜856が非作動状態に保たれ得る大きさとされる。換言すれば、負荷調整用アクチュエータ870〜876にアキュムレータ868の液圧により加えられる回転トルクが、懸架シリンダ10〜16の液圧により懸架用ロータリアクチュエータ860〜866に加えられる回転トルクとが同じ大きさになるようにされるのである。
例えば、車両の定常状態において、各車輪250〜256における車輪側部と車体側部との間の相対変位が標準値より大きい車輪について容量を小さくし、相対変位が標準値より小さい車輪について容量を大きくする。それによって、車両の姿勢を標準的な姿勢(例えば、ほぼ水平な姿勢)とすることができる。
この状態において、路面入力等に起因して、左前輪250において車輪側部と車体側部との間の相対距離が小さくなると、懸架シリンダ10の液圧が大きくなり、懸架用ロータリアクチュエータ860が回転させられ、それによって負荷調整用ロータリアクチュエータ870が回転させられる。懸架シリンダ10から液体が流出し、負荷調整用ロータリアクチュエータ870の作動によりアキュムレータ868に供給される。また、それによって、アキュムレータ868の液圧が高くなると、他のロータリアクチュエータ対において負荷調整用ロータリアクチュエータが回転させられ、それに対応する懸架用ロータリアクチュエータが回転させられる。それによって、他の懸架シリンダ12〜16に液体が供給されるのであり、左前輪250における上下方向の相対変位が生じた場合の車体側部への振動の伝達を抑制することができる。
このように、懸架用ロータリアクチュエータ860〜866は、懸架シリンダ10〜16の液圧によって駆動される場合や、負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876により駆動される場合がある。また、負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876は、懸架用ロータリアクチュエータ860〜866によって回転させられる場合や、アキュムレータ868の液圧により作動させられる場合がある。換言すれば、懸架用、負荷調整用ロータリアクチュエータ860〜866,870〜876のいずれもが、モータとして機能したり、ポンプとして機能したりするのである。
右旋回中においては、旋回外輪である左側輪の懸架シリンダ10,14の液圧が高くなり、旋回内輪である右側輪の懸架シリンダ12,16の液圧が低くなる。それによって、懸架用ロータリアクチュエータ860,864が回転させられる。また、ロータリアクチュエータ860,864から吐出された作動液が負荷調整用ロータリアクチュエータ870,874によりアキュムレータ868へ供給される、また、アキュムレータ側の液圧により負荷調整用ロータリアクチュエータ872,876が回転させられ、ロータリアクチュエータ862,866の作動により、液体が懸架シリンダ12,16に供給される。このように、懸架シリンダ10,14と懸架シリンダ12,16との間の作動液の授受が許容され、ロールが許容される。
この場合に、図35に示すように、負荷調整用ロータリアクチュエータ870,874の容量が負荷調整用ロータリアクチュエータ872,876の容量より大きくされる。懸架用ロータリアクチュエータ860,864が懸架シリンダ10,14の液圧により回転させられ難くなり、負荷調整用ロータリアクチュエータ872,876がアキュムレータ868の液圧により回転させられ難くなる。ロータリアクチュエータ対850〜856すべてが非作動状態に保たれ、ロールが抑制されるのであり、旋回外輪の支持力が大きくなる。
負荷調整用ロータリアクチュエータ870、874の容量と負荷調整用ロータリアクチュエータ872,876の容量との比率は、横加速度に基づいて決定される。
横加速度に基づいてロータリアクチュエータの回転が抑制された状態において、路面入力に起因して前後左右の少なくとも1輪の懸架シリンダの液圧が大きくなると、それに対応する懸架用ロータリアクチュエータが回転させられ、負荷調整用ロータリアクチュエータが回転させられる。それによって、他の負荷調整用ロータリアクチュエータ、懸架用ロータリアクチュエータも回転させられることになり、懸架シリンダの間で作動液の授受が許容される。それによって、路面入力に起因する上下方向の相対変位が許容される。ロール抑制中に路面入力が生じた場合に、路面入力に起因する上下方向の相対変位が許容されるのである。
また、制動中にピッチを抑制する場合には、車体側部182に加えられる前後方向の加速度に基づいて、図36に示すように、前輪側の負荷調整用ロータリアクチュエータ870,872の容量を後輪側の負荷調整用ロータリアクチュエータ874,876の容量より大きくする。
ヒーブが生じた場合には、懸架シリンダ10〜16とアキュムレータ868との間で懸架用ロータリアクチュエータ860〜866を介して作動液の授受が行われる。
また、車高を高くする場合には、図37に示すように、すべての負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876の容量を大きくする。その結果、アキュムレータ868の液圧により負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876が回転させられ、それによって、懸架用ロータリアクチュエータ860〜866が回転し、リザーバ902から各懸架シリンダ10〜16に作動液が供給される。それによって、各車輪の懸架シリンダ10〜16の液圧室24の作動液量を多くすることができ、車高を高くすることができる。
荷重を大きくする必要が生じた場合に、その車輪を含む対角位置にある2つの車輪に対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量が大きくされる。例えば、左前輪の荷重を大きくする必要がある場合には、図38に示すように、左前輪および右後輪に対応する負荷調整用ロータリアクチュエータ870,876の容量が大きくされる。懸架用ロータリアクチュエータ860、866に加えられる負荷が大きくなり、懸架シリンダ10,16の液圧が高くなっても回転し難くなる。それによって、懸架シリンダ10,16の最大液圧を大きくすることができ、荷重を大きくすることができる。
このように、本実施形態においては、ロータリアクチュエータの作動により、車両の姿勢の変化を制御することができる。また、車高を調整したり、接地荷重を制御したりすることもできる。さらに、ロータリアクチュエータの制御により、ロール、ピッチ、アーティキュレーションをそれぞれ別個に制御することができる。また、車体側部に加えられる加速度に起因する上下方向の相対変位を抑制しつつ、路面入力に起因する上下方向の相対変位を許容することができる。
なお、上記実施形態においては、各ロータリアクチュエータ対850〜856において、2つのロータリアクチュエータが一体的に回転可能に連結されていたが、変速機を介して連結することができる。変速機は変速比が可変なものとする必要は必ずしもない。例えば、負荷調整用ロータリアクチュエータの回転速度が懸架用ロータリアクチュエータの回転速度に対して小さくなる状態で連結されれば、アキュムレータの液圧を小さくすることができ、小型化を図ることができる。
また、図39に示すように、各懸架スプリング910〜916を懸架シリンダ10〜16と直列に車輪側部と車体側部との間に設けることもできる。本実施形態においては、アキュムレータ868は設けられていない。ヒーブは、懸架スプリング910〜916の弾性変形によって許容されるため、アキュムレータ868を設ける必要はない。本実施形態
においては、負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜876が、高圧側において互いに連通させられているため、アキュムレータ868がなくても、各負荷調整用ロータリアクチュエータ870〜877の容量の制御により、定常状態において、車両の姿勢をほぼ水平に保つことができる。また、ロールの制御、ピッチの制御等は上記実施形態における場合と同様に行われる。
さらに、懸架スプリング910〜916の振動を減衰させるために、直列に設けられた懸架スプリングおよび懸架シリンダと並列に減衰力発生装置(ショックアブソーバ)を設けることができる。
また、本発明の別の一実施形態を図40〜43に示す。本実施形態においては、各車輪に対応して車輪側部180と車体側部182との間に懸架シリンダ940〜946としてのショックアブソーバが設けられる。ショックアブソーバ940〜946に対応してそれぞれ運動変換装置としての機能を有する懸架用ロータリアクチュエータ950〜956が設けられ、懸架用ロータリアクチュエータ950〜956に対応して負荷調整用ロータリアクチュエータ960〜966が設けられる。ショックアブソーバ940〜946に対して、懸架用ロータリアクチュエータ950〜956と負荷調整用ロータリアクチュエータ960〜966とを含むロータリアクチュエータ対970〜976が設けられるのである。
ショックアブソーバ940〜946は、それぞれ、ハウジング980とピストン982とを含むものであり、ハウジング980が車体側部182に上下方向に相対移動不能に設けられ、ピストン982が車輪側部180に上下方向に相対移動不能に設けられる。ピストン982が、ハウジング980に液密かつ摺動可能に嵌合される。ピストン982とハウジング980とによって形成される液圧室984と反対側は大気に開放されている。ピストン982には軸方向に延びる貫通穴は形成されておらず、液圧室984には、絞り985aを介してアキュムレータ985が接続される。ピストン982の作動により、液圧室984とアキュムレータ985との間で作動液の授受が行われ、これらの間の作動液の流速に応じて減衰力が発生させられる。
ピストン982のピストンロッド986の外周部にはラック987が設けられるとともに、ハウジング980に相対回転可能に設けられたピニオン988が係合させられる。ピニオン988は、ハウジング980に対するピストン982の相対移動に伴って回転させられる。ピニオン988には、ロータリアクチュエータ960〜966が連結される。ピニオン988とロータリアクチュエータ960〜966とが一体的に回転可能とされている。本実施形態においては、各ショックアブソーバ940〜946に対応して設けられたラック986に係合させられたピニオン988等により懸架用ロータリアクチュエータ950〜956が構成される。
負荷調整用ロータリアクチュエータ960〜966は、それぞれ、容量可変のものであり、アキュムレータ990とリザーバ992との間に設けられる。負荷調整用ロータリアクチュエータ960〜966は、ピニオン988の回転に伴って回転させられたり、アキュムレータ990の液圧により作動させられ、ピニオン988を回転させたりする。また、負荷調整用ロータリアクチュエータ960〜966の容量を制御することによって懸架用ロータリアクチュエータ950〜956に加えられる負荷が制御される。
本実施形態においては、ショックアブソーバ940〜946同士は液通路によって連通させられておらず、負荷調整用ロータリアクチュエータ960〜966同士が液通路998によって互いに連通させられる。
また、懸架用ロータリアクチュエータ950〜956と負荷調整用ロータリアクチュエータ960〜966とは、ショックアブソーバ940〜946においてピストン982がハウジング980に対して、車輪側部180と車体側部182との間の相対変位が小さくなる向きに相対移動させられた場合に、リザーバ992からアキュムレータ990に液体
が供給される向きに回転させられる状態で連結される。このことは、ショックアブソーバ同士が液通路によって接続される場合に、ショックアブソーバの液圧が高くなった場合にショックアブソーバから液体が流出することと同じであると考えることができる。
車両の定常状態において、各負荷調整用ロータリアクチュエータ960〜966の容量が、上記実施形態における場合と同様に制御される。
この状態において、例えば、左前輪250のショックアブソーバ940の液圧が高くなると、懸架用ロータリアクチュエータ850のピニオン988が回転させられ、負荷調整用ロータリアクチュエータ960が回転させられる。それによって、リザーバ992から液体が汲み上げられてアキュムレータ990に供給される。液通路998の液圧により、他の負荷調整用ロータリアキュムレータ962〜966が回転させられ、懸架用ロータリアクチュエータ852〜856が作動させられ、ショックアブソーバ942〜946において、ピストン982がハウジング980に対して、車輪側部180と車体側部182との間の上下方向の相対距離が大きくなる方向に移動させられる。このように、路面入力に起因する左前輪250の上下方向の相対移動が許容されるのである。
また、ロール抑制制御、ピッチ抑制制御は、上記実施形態における場合と同様に行われる。例えば、右旋回中には、図41に示すように、旋回外輪側の左前輪250,左後輪254の負荷調整用ロータリアクチュエータ960,964の容量を旋回内輪側の右前輪252,右後輪256の負荷調整用ロータリアクチュエータ962,966の容量より大きくし、制動中には、図42に示すように、左右前輪250,252の負荷調整用ロータリアクチュエータ960,962の容量を左右後輪254,256の負荷調整用ロータリアクチュエータ964,966の容量より大きくする。
さらに、車高を高くする場合には、図43に示すように、すべての負荷調整用ロータリアクチュエータ960〜966の容量を大きくし、左前輪250,右後輪256の接地荷重を大きくする場合には、図44に示すように、対角位置にある負荷調整用ロータリアクチュエータ960,964の容量を他の対角位置にある負荷調整用ロータリアクチュエータ962,966の容量より大きくする。
なお、図45に示すように、懸架スプリング1000〜1006をショックアブソーバ940〜946と直列に設けることもできる。本実施形態においてもアキュムレータ990は設けられていない。
また、上記実施形態においては、懸架用ロータリアクチュエータ950〜956がショックアブソーバとしての懸架シリンダ940〜946の作動に応じて作動可能に設けられていたが、懸架シリンダ940〜946は不可欠ではない。懸架用ロータリアクチュエータ950〜956は、車輪側部180と車体側部182との間の上下方向の相対移動に伴って作動可能に設ければよい。例えば、ラックを車輪側部180に上下方向に相対移動不能な第1部材に設け、ピニオンを車体側部182に上下方向に相対移動不能な第2部材に相対回転可能に設け、ピニオンの回転に伴って懸架用ロータリアクチュエータが回転させられるように設けるのである。この場合に、第1部材と第2部材とのいずれか一方に被ガイド部を設け、いずれか他方にガイド部を設けることが望ましい。
さらに、逆に、ラックを第2部材に設け、ピニオンを第1部材に設けてもよい。また、懸架シリンダ940〜946の代わりに懸架シリンダ10〜16とすることもできる。
本発明のさらに別の一実施形態を図46〜50に示す。本実施形態においては、各車輪250〜256に対応して設けられた懸架シリンダ10〜16が車輪側部180に含まれるロアアーム1010と、車体側部182との間に取り付けられる。ロアアーム1010は、車両の幅方向に延びたものであり、車輪250〜256と車体側部180とに、それぞれ、少なくとも上下方向に揺動可能に連結される。懸架シリンダ10〜16のロアアーム1010への被保持部(被取付部と称することもできる)1012は、ロアアーム10
10に、被保持部移動装置1020〜1026によって車幅方向に相対移動可能とされる。被保持部移動装置1020〜1026は、ガイド部材1030,駆動源としての電動モータ1032,電動モータ1032の回転を直線運動に変換する運動変換装置1034等を含む。運動変換装置1034は、例えば、ボールねじ機構を有するものであり、ナット部に懸架シリンダ10〜16のピストンロッド22が軸方向に相対移動可能に係合させられる。
ロアアーム1010に設けられたガイド部材1030は、ロアアーム1010と懸架シリンダ10〜16の車体側部182への取付部1036との間の相対距離が変化しない状態で、すなわち、ロアアーム1010と車体側部182との間の相対距離が同じ場合に、被保持部1012を移動させたことによって、懸架シリンダ10〜16の長さが変わらないように、ガイド面1038が車幅方向に対して曲線(例えば、円弧)を描く形状とされる。
懸架シリンダ10〜16のロアアーム1010に対する被保持部1012の位置が、ロアアーム1010の車輪側にある場合(アームが長い場合)には、車体側にある場合(車幅方向の中央に近い側にある場合:アームが短い場合)より、ロアアーム1010と車体側部材との間に加えられる力が同じ場合に、懸架シリンダ10〜16が作動し難くなる。換言すれば、車輪に加わる荷重が同じで、懸架シリンダの液圧が同じである場合に、アームが長い場合は短い場合より、上下方向の相対変位が生じ難くなるのであり、懸架シリンダによる支持力が大きくなる。
本実施形態においては、各車輪250〜256についてのアームの長さの比率が、車体側部182に作用する加速度に基づいて制御される。なお、アームの長さはアームの実効長さであり、図47に示すように、ロアアーム1010の車体側部182に対する取付部1039から懸架シリンダにより加えられる力の作用線に垂直方向の距離である。
各懸架シリンダ10〜16の液圧室24は、液通路1040によって互いに連通させられ、液通路1040にはアキュムレータ1042が設けられる。
本実施形態においては、前述の図34,40に示す実施形態における場合と同様に作動する。
各車輪のアームの長さは、車両の定常状態において、車体側部182がほぼ水平な姿勢となる大きさに調整される。各車輪に設けられた車高センサによる検出値に基づいて標準車高より小さい車輪についてはアームの実効長さを長くし、標準車高より大きい車輪については短くする。
この状態において、左前輪250について路面入力により車輪側部と車体側部との相対距離が小さくなった場合に、懸架シリンダ10の液体が流出し、液通路1040を介して懸架シリンダ12〜16に供給されるのであり、懸架シリンダ10〜16の間で作動液の授受が許容される。
旋回中、制動中には、上記実施形態における場合と同様に車体側部182に加えられる加速度に基づいてアーム比が制御される。
例えば、右旋回が生じた場合に、図47に示すように、旋回外輪の懸架シリンダ10,14のアームの実効長さを旋回内輪の懸架シリンダ12,16のそれより長くする。旋回外輪についてアーム比を大きくし、旋回内輪についてアーム比を小さくするのである。このようにすれば、システムの液圧が変化することなく、旋回外輪側のサスペンション支持力を旋回内輪側の支持力より大きくすることができ、ロールを抑制することができる。この状態において、路面入力に起因して左前輪の懸架シリンダ10の液圧が高くなると、液通路1040を介して他の懸架シリンダ12〜16との間の液体の授受が可能となり、路面入力に起因する上下方向の相対変位が許容される。
制動中には、図48に示すように、前輪の懸架シリンダ10,12のアームの実効長さを後輪の懸架シリンダ14,16より長くして、前輪側のアーム比を大きくし、後輪側の
アーム比を小さくする。
車高を高くする場合には、図49に示すように、すべての車輪の懸架シリンダのアームの実効長さを定常状態における場合より長くする。それによって、定常状態における場合より懸架シリンダ10〜16の支持力が大きくなるため、車輪に加わる荷重が同じ場合における液通路1040の液圧が低くなり、アキュムレータ1042の作動液が懸架シリンダ10〜16に供給される。それによって、車高が高くなる。
荷重を大きくする場合には、その荷重を大きくする車輪を含む対角車輪についてアームの実効長さを反対側の対角車輪についての実効長さより長くする。荷重を大きくする車輪を含む対角車輪についてアーム比が大きくされれば、懸架シリンダによる支持力を大きくすることができ、荷重を大きくすることができる。
このように、本実施形態においては、各車輪に設けられた懸架シリンダ10〜16のアームの実効長さを変更することにより車両の姿勢を別個に制御することができる。また、旋回時、制動時等には、左右輪、前後輪についてアーム比を制御することによって、ロール、ピッチ等を抑制することができる。さらに、加速度に基づいてアーム比が制御された状態においても液通路1040を介する懸架シリンダの間の作動液の授受が許容される状態にあるため、路面入力等に起因する上下方向の相対変位を許容することができる。
なお、上記実施形態においては、懸架シリンダ10〜16のロアアーム1010側の被保持部が移動可能に保持されたが、車体側部182側の被保持部も移動可能とすることができる。車体側部の被保持部も移動させれば、アームの実効長さを変更することができる。
また、図51に示すように、懸架スプリング1050〜1056を懸架シリンダ10〜16と直列に設けることができる。本実施形態においては、懸架スプリングを保持するリテーナがロアアーム1010に対して移動させられる。また、懸架スプリングおよび懸架シリンダと並列にショックアブソーバを設けることができる。
以上、種々の態様を記載したが、ロータリアクチュエータは斜板式のものに限らず、ベーンを備えたものとしたり、歯車を備えたものとしたりすることができる。
その他、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
10,12,14,16、940,942,944,946:懸架シリンダ 18:ハウジング 20:ピストン 22:ピストンロッド 24:液室 30:ロール制御装置 32:ピッチ制御装置 34:アーティキュレーション制御装置 36:ヒーブ制御装置 40,42:制御シリンダ 44:大径部 46:小径部 48:段付ピストン 50:ハウジング 52,54:液室 56:ピストンロッ
ド 60:レバー 62:支持軸 64,66:アーム部 70:可動部材 72:ガイド 74:ボールねじ 76:アクチュエータ 80,82,84,86:液通路 88:アクチュエー 250:左前輪 252:右前輪 256:左後輪 258:右後輪 262:車体 298:ロール・ピッチ制御装置 300:支持部材 302,304,306,308:制御シリンダ 310:ピストンロッド 312:可動プレート 314:固定ガイド 316:可動ガイド
318:可動部材 324:第一駆動装置 330:第二駆動装置 332:支点部材 370:ショックアブソーバ 372:懸架スプリング 374:車輪保持部材 400:ロール・ピッチ制御装置 402:ブラケット 404:ハブ部材 406:回動アーム 408:可動部材 414:駆動装置 420:制御シリンダ 436:アクチュエータ 438:レバー体 450:ロール・ピッチ制御装置 452:支持ロッド 456,458,460,462:トーションバー
464:本体部 466,468:アーム部 470,472,474,476:ショックアブソーバ 510、660:ロール制御装置 512、710:ピッチ制御装置 520〜526,650〜656、752,754、810,812、820,822、860〜866,870〜876、950〜956,960〜966:ロータリアクチュエータ 530、670,672,712,714、756、812,814、824,826:駆動軸 700、818,828:変速機 750:アーティキュレーション制御装置 758;電動モータ 760:電磁クラッチ 800:ロール剛性配分制御装置 802:ピッチ剛性配分制御装置

Claims (8)

  1. 車両の車輪側部と車体側部との間に配設され、車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位に伴って作動する複数の懸架シリンダと、
    それら複数の懸架シリンダの一つから別の一つに向かっての液体の流れを可能にする液通路と、
    前記一つの懸架シリンダと別の一つの懸架シリンダとにそれぞれ対応して設けられ、前記懸架シリンダの各々の液圧により作動可能な2つのロータリアクチュエータである懸架用ロータリアクチュエータと、
    前記車体側部に作用する加速度に起因する車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位である第一相対変位に起因する前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制することによって前記液通路の液体の流れを抑制するとともに、その抑制中においても、前記車体側部に作用する加速度に起因しない車体側部と車輪側部との上下方向の相対変位である第二相対変位に基づく前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を許容することによって前記液通路の液体の流れを許容する回転制御部と
    を含むことを特徴とする車両懸架装置。
  2. 当該車両懸架装置が、(i)前記車体側部に作用する加速度に起因する前記第一相対変位を抑制する抑制部と、(ii)その抑制部による前記第一相対変位の抑制中に、前記加速度に起因しない前記第二相対変位は許容する許容部とを含み、
    前記回転制御部が、(a)前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの少なくとも一方に
    負荷を付与する負荷付与装置と、(b)その負荷付与装置を前記車体側部に作用する加速度
    に基づいて制御することにより、前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの少なくとも一方に付与される負荷を制御する負荷制御部とを含み、
    前記負荷付与装置および前記負荷制御部が前記液通路、前記2つの懸架シリンダおよび前記2つの懸架用ロータリアクチュエータと共同して前記抑制部を構成し、前記回転制御部のうち前記抑制部による抑制中にも前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を許容する部分が前記液通路、前記2つの懸架シリンダおよび前記2つの懸架用ロータリアクチュエータと共同して前記許容部を構成する請求項1に記載の車両懸架装置。
  3. 前記負荷付与装置が、前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの各々に、前記懸架シリンダの液圧によって前記懸架用ロータリアクチュエータに加えられる回転トルクと、自身に加えられる回転トルクとが逆向きに作用する状態で連結された容量可変型の2つの負荷調整用ロータリアクチュエータを含み、
    当該車両懸架装置が、それら2つの負荷調整用ロータリアクチュエータを連通させる前記液通路とは異なる液通路を含み、
    前記負荷制御部が、前記車体側部に作用する加速度に基づいて前記2つの懸架シリンダのうちの一方の液圧が他方の液圧より高くなることが取得された場合に、その一方の懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を、他方の懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくすることにより、前記2つの懸架用ロータリアクチュエータの回転を抑制する回転抑制部を含む請求項2に記載の車両懸架装置。
  4. 前記2つの負荷調整用ロータリアクチュエータにアキュムレータが接続された請求項3に記載の車両懸架装置。
  5. 前記回転抑制部が、前記2つの負荷調整用ロータリアクチュエータの容量の各々を、前記懸架用ロータリアクチュエータに前記懸架シリンダの液圧により加えられる回転トルクと、前記負荷調整用ロータリアクチュエータに前記アキュムレータの液圧により加えられる回転トルクとが釣り合うように制御する制御部を含む請求項4に記載の車両懸架装置。
  6. 前記回転抑制部が、前記車両の旋回時に、前記車両の旋回外側に位置する懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を、旋回内側に位置する懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくするロール抑制部と、前記旋回外側の負荷調整用ロータリアクチュエータの容量と前記旋回内側の負荷調整用ロータリアクチュエータの容量との比率を、前記車両の横加速度に基づいて決定する比率決定部とを含む請求項3ないし5のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
  7. 前記回転抑制部が、前記車両の制動中に、前記車両の前輪側に位置する懸架用シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量を、後輪側に位置する懸架シリンダに対応する負荷調整用ロータリアクチュエータの容量より大きくするピッチ抑制部を含む
    請求項3ないし6のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
  8. 前記回転制御部が、前記懸架用ロータリアクチュエータと前記負荷調整用ロータリアクチュエータとの間に設けられた変速機を含む請求項3ないし7のいずれか1つに記載の車両懸架装置。
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