JP5039093B2 - バイオリアクター素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオテクノロジーの分野に属し、特に、バイオリアクターに適用可能な中空糸型のバイオリアクター素子、ならびに、該バイオリアクター素子を製造する方法及び使用する方法に関する。
微生物や酵素を固定化して物質の合成、分解、化学変換などを行うバイオリアクター(bioreactor)については、近年、数多くの研究がなされている。このうちBOD物質(BOD原因物質)の酸化除去、硝化(アンモニア性窒素の酸化)、及び脱窒(硝酸イオン(もしくは亜硝酸イオン)の還元除去)が可能なバイオリアクターは、水処理技術に広く適用されており、その主な方式としては、標準活性汚泥法、流動層型リアクター、バイオフィルムリアクターなどがある。
標準活性汚泥法は、活性汚泥(汚泥)に含まれる微生物により汚水を浄化(有機物を分解)する方法であり、多種の好気性微生物を曝気により活性化させ、汚水中の有機物を二酸化炭素と水とに分解させる工程を繰り返すことにより、廃水を浄化する。また、流動層型リアクターは、天然高分子又は合成高分子を固定化担体として用い、これらのゲル中に微生物菌体や酵素を物理的に包括固定化してビーズ状とし、流通式反応器に充填し連続的な生化学反応を行わせる方法であり、その種類としては、例えば、ポリプロピレン不織布、PVA(ポリビニルアルコール)ゲルビーズ、PAAM(ポリアクリルアミド)ゲルビーズ、アルギン酸ゲルビーズ、光硬化樹脂ビーズがある。
バイオフィルムリアクターは、回転円盤を用いた流動層により高分子担体表面に薄膜を形成する方法であり、その種類としては、例えば、RBC(Rotating Biological Contactor;回転生物接触装置)、MBBR(Moving Bed Biofilm Reactor;移動層生物膜反応器)、SABF(Submerged Aerated Biological Filter)がある。
現状では、これらの3つの方式は、水処理能率が低いために大規模な設備とともに高いコストが必要とされている。具体的には、標準活性汚泥法は、脱窒速度及びBOD酸化除去速度が遅いことから設備の大規模化が必要であり、高いコストが必要となる。また、流動層型リアクターは、高分子ゲルの機械的強度が小さいことから安定的な運転が困難であり、また、ゲル菌体への酸素供給のための曝気電力の消費が大きく、また、窒素除去に有効なバクテリアがゲル表面に局在しているために触媒効率が低い。また、バイオフィルムリアクターは、菌体薄膜の剥離により活性が低くなり、また、菌体への酸素の供給効率が低いためにBOD酸化及び硝化速度が小さい。
上記の従来技術の他に、中空糸膜を、硝化菌を含む汚泥の担体として用い、中空糸膜内部に酸素又は酸素と炭酸ガス或はこれを含む気体を導入することにより、中空糸膜の壁膜を通して中空糸状膜外面に形成された汚泥層に酸素又は酸素と炭素源を供給する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開昭55−142596号公報
しかし、上記の中空糸(中空糸膜)を用いるバイオリアクターは、硝化反応を阻害する有機物であるBOD物質(BOD原因物質)を可能な限り除外して、その代替として炭酸ガスを使用して、硝化菌を中空糸膜表面に固定化することから、固定化に長時間を必要とする等の課題を有する。さらに、中空糸を用いて脱窒反応を効果的に行う技術は見当たらない。
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、中空糸の表面に硝化菌又は脱窒菌を効果的に短時間に固定化することができ、BOD物質(BOD原因物質)の酸化除去、硝化(アンモニア性窒素の酸化)、及び脱窒(硝酸イオン(もしくは亜硝酸イオン)の還元除去)における高い能力を有し、一般下水道水から工場廃液までの幅広い分野における水処理等に適用可能なバイオリアクターの提供を目的とする。
本発明者は、研究を重ねた結果、硝化菌又は脱窒菌の中空糸への固定化及びそれらの菌が固定化された中空糸をリアクターとして用いる場合の馴養の際の特性に注目し、これを利用することにより新規のバイオリアクターの提供が可能であることを見出し、上記の目的を達成した。
すなわち、本発明は、先ず、その基本発明として、中空糸の表面に脱窒菌又は硝化菌を固定して成るバイオリアクター素子を提供する。このようなバイオリアクター素子は、種々のバイオリアクターを構築する素子として使用することができる。
さらに、本発明者は、このようなバイオリアクター素子が、菌体及び炭素源を含む懸濁液をバイオリアクター素子に循環させるか、又は該懸濁液に該バイオリアクター素子を浸漬させて製造できることも見出している。かくして、本発明は、中空糸の表面に脱窒菌又は硝化菌を固定して成るバイオリアクター素子の製造方法であって、脱窒菌又は硝化菌を含有する汚泥物質と、アルコール類、糖類及び有機酸塩のうち少なくとも1つからなる0.1wt%以上の有機物と、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムからなる群より選択される1000mg/L以上の無機塩とを含懸濁液を、中空糸を多数束ねた中空糸エレメントに循環させるか、又は該懸濁液に該中空糸エレメントを浸漬させ、前記中空糸エレメントの表面に前記脱窒菌又は硝化菌の菌体を固定化する工程を含むバイオリアクター素子製造方法を提供する。
また、本発明者は、このようなバイオリアクター素子を束ねることで、硝化リアクター又は脱窒リアクターとして使用できる方法も見出している。かくして、本発明者は、このようなバイオリアクター素子を束ねて硝化反応用の硝化リアクターとして使用する使用方法、又は、脱窒反応用の脱窒リアクターとして使用する使用方法を提供する。
また、本発明に従えば、上記のような脱窒リアクターとしてのバイオリアクター素子の製造方法として、前記中空糸エレメントの内部及び外部に窒素を通して中空糸表面を嫌気状態とし、pH値をpH5〜10の範囲に調整し、硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素、リン及びカリウムを含む原水に水素供与体として有機炭素源を連続的にあるいは回分で添加し、前記有機炭素源を添加した原水を徐々に脱窒リアクター槽内に通液し、前記脱窒リアクターを馴養する工程を有する方法が提供される。
また、本発明に従えば、上記のような硝化リアクターとしてのバイオリアクター素子の製造方法であって、中空糸の内部及び外部に空気を通して中空糸表面を好気状態とし、pH値をpH5〜11の範囲に調整し、リン、カリウム、及びアンモニア性窒素を含む原水を硝化リアクターに通液し、前記硝化リアクターを馴養する工程を有する方法を提供する。
また、本発明者は、このようなバイオリアクター素子を束ねた硝化反応用の硝化リアクターと、このようなバイオリアクター素子を束ねた脱窒反応用の脱窒リアクターとを組み合せて使用する方法も見出している。かくして、本発明者は、バイオリアクター素子を束ねた硝化反応用の硝化リアクターと、バイオリアクター素子を束ねた脱窒反応用の脱窒リアクターとを組み合せて使用する使用方法を提供する。
本発明に従えば、硝化菌の中空糸膜表面への固定化に際して、従来は1ヶ月程度必要としたところを1〜2日程度で実施することができ、さらに硝化菌のみならず、脱窒菌も同様に迅速に固定化することができる。このようにして、硝化菌又は脱窒菌が固定化された中空糸をバイオリアクター素子とする硝化リアクター及び脱窒リアクターとして使用すると、硝化、脱窒及びBOD物質(BOD原因物質)の酸化除去において高い能力を発揮する。
本発明のバイオリアクター素子の説明図 本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターのph値と反応速度との相関図 本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターを含むプロセスフロー図 本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターの説明図 本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターに菌体が固定化されたSEM像 本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターに通液させる人工排水の説明図 本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターによる水処理実験の結果 本発明のバイオリアクター素子からなる硝化リアクターのPCR法によるアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌の検出結果 本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターの実地試験の結果
本発明のバイオリアクター素子を構成する中空糸としては、内部に連続的な空洞(一般的には、径が約400〜600μmの空洞)を有するとともに、該空洞から外表面に向かってガスが浸透し得る細孔(一般的には、径0.1〜1.0μmの細孔)を有し、内部に十分なガスが充満できるような長さ(一般的には、1000mmLの長さ)を有するような各種の中空糸が使用可能である。また、使用する中空糸の素材の例としては、物理的強度及び化学的耐性に優れたポリフッ化ビニリデン(PolyVinylidene DiFluoride; PVDF)が主に使用される。なお、この他に、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、セルロースなどを中空糸の素材として使用することもできるが、これらに限定されるものではない。
本発明のバイオリアクター素子は、このような中空糸の外表面に、菌体である硝化菌又は脱窒菌が固定化されて存在していることを特徴とする。従来は、中空糸にこのような菌を固定化させる場合には、BOD物質(BOD原因物質)で代表される有機物をできるだけ除いた菌体の通常の栄養培地、すなわちリン酸化合物、カリウム化合物、炭酸イオン、アンモニウムイオン等を含む水を処理装置に循環させ、水中のpHを適当に調節しながら、中空糸に酸素又は窒素を供給する手法が採られているが、この手法によれば、菌体の中空糸表面への固定化が完了するまでに1ヶ月程度の長時間を必要とし、設備形成の効率性が低いという問題がある。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、硝化菌又は脱窒菌を含有する汚泥物質を用いて、そのイオン強度を高めることにより、中空糸の表面に硝化菌又は脱窒菌を短時間で効果的に付着させることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明に従えば、中空糸周囲のイオン強度は、0.001より大きくなるまで上昇させる。本発明のこのイオン強度により、菌体の中空糸表面への不可逆的な付着を促進することができる。また、中空糸周囲のイオン強度は、好ましくは、0.2〜0.3まで上昇させるものとする。このイオン強度により、菌体の中空糸表面への直接的なしかも不可逆的な付着を短時間内に行うことができる。
ここで、菌体の中空糸表面への固定化に関しては、中空糸表面に直接接触する第1層の菌体を薄膜上に固定化することが重要である。第1層が十分に固定化されていれば、第1層の菌体上に固定化される第2層以降は、第1層の菌体をベースとして菌体の強固な薄膜が容易に形成される。
本発明では、イオン強度を著しく高めることにより、菌体の中空糸表面への付着を数日内に行うことに成功した。具体的には、常温にて48時間程度で固定化することができる。これに対し、イオン強度を高めない従来の方法においては、菌体の中空糸表面への第1層の形成には、2〜3週間もの長時間が必要である。中空糸表面に固定化された硝化菌又は脱窒菌を同定する方法としては、PCR(Polymerase Chain Reaction;ポリメラーゼ連鎖反応)法を用いて確認することができる。また、脱窒菌を同定する方法としては、脱窒菌が硝化菌と比較して培養が容易なために、培養による確認を行うことも可能である。
本発明に従い上記のようにイオン強度を高めた懸濁液を得るためには、懸濁液にアルコール類、糖類及び有機酸塩のうち少なくとも1つからなる有機物と無機塩類とを含有させることが必要である。イオン強度を高める無機塩類としては、代表的には塩化ナトリウムがあり、この他に塩化カリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムなども使用することができる。また、イオン強度を高める有機物のうち、アルコール類としてはエタノール、メタノールおよびプロパノールなど、糖類としては、ブドウ糖、果糖、蔗糖およびオリゴ糖など、また有機酸塩としては酢酸ソーダ、クエン酸ソーダ、乳酸ソーダおよびリンゴ酸ソーダなどが挙げられ、特に好ましい例としては、ブドウ糖及び/又はペプトンがある。
さらに、本発明では、上記に記載した本発明のバイオリアクター素子を束ねて硝化反応用の硝化リアクターとして使用することや、脱窒反応用の脱窒リアクターとして使用することができる。
図1は、本発明のバイオリアクター素子の説明図を示すものである。リアクター100の装置本体は、一般にパイレックス(登録商標)ガラス製とする。中空糸1は、第1層菌体薄膜21及び第2層菌体薄膜22から成る培地が多層化されたバイオフィルムを外周部に備え、内部と外部を貫通する多孔性の細孔12を複数備える。この細孔12の孔径は、0.1μm程度である。中空糸1を束ねてその端部を樹脂、例えば、エポキシ樹脂で固めたモジュール2を装置本体10の内部に取り付ける。中空糸1のもう一方の端部11は、中空糸1と同じ素材で閉塞し、内部にガスを充満させることができる。また、中空糸1を折り曲げずに使用することから、原水との接触面積を大きく確保できることとなり、脱窒及び硝化反応速度を高く保持することができる。以下、各リアクターとしての使用方法について詳述する。
(1.脱窒リアクター)
本発明で用いる脱窒リアクターとは、硝酸イオン(NO3-)(場合によっては亜硝酸イオン(NO2-)も)を還元性物質と反応させて無害な窒素ガスに変換する脱窒反応(硝酸還元反応)を起こさせるリアクターである。本発明に従う脱窒リアクターを排液処理に適用する場合、還元性物質としては、一般に、原水としての排水中のBOD物質(BOD原因物質)に含まれる有機炭素源を反応させる。有機炭素源をメタノールとした場合の脱窒反応の一例を下記の化学式1で示す。有機炭素源は、排水中に含まれる有機炭素源であればメタノールに限定されず、例えば、ブドウ糖、果糖、エタノール、メタノール、エタノールアミンおよびプロパノールなどでもよい。これは、脱窒反応が、硝酸イオンと水素との反応によるもので、水素は通常の有機炭素源に含まれているためである
このように、本発明で用いる脱窒リアクターは、硝酸性窒素を除去する他に、有機炭素源としてBOD物質(BOD原因物質)を酸化除去するという側面を有する。このため、この脱窒リアクターを後述する硝化リアクターと組み合せて用いれば、脱窒リアクターにより有機炭素源としてBOD物質(BOD原因物質)を酸化除去した後に、硝化リアクターで硝化反応を行うことによりBOD物質(BOD原因物質)による阻害を受けることなく、硝化反応を効率的に実施することができる。
〔化1〕
6NO3- + 5CH3OH → 3N2 + 5CO2 + 7H2O + 6OH-(化学式1)
脱窒リアクターの作製方法として、中空糸を多数束ねた中空糸エレメントをリアクター槽内に設置し、下水処理場の曝気槽懸濁液(微生物濃度として1000mg/L程度)あるいは返送汚泥(微生物濃度として3000〜10000mg/L)にブドウ糖等の糖類あるいはアルコール類あるいは酢酸ソーダ等の有機酸塩を0.1wt%以上溶解した懸濁液を中空糸エレメントに循環させる。また、この懸濁液を中空糸エレメントに循環する代わりに、中空糸エレメントをこの懸濁液に浸漬してもよい。
懸濁液には、1000mg/L以上の塩化ナトリウム等の無機塩類および有機物であるブドウ糖やペプトンが含まれることが望ましい。これにより、菌体の栄養源を一定量確保するとともに、懸濁液のイオン強度を高めることができる。この操作により懸濁液のイオン強度を0.001より高め、好ましくは0.2〜0.3まで高めることにより、菌体の固定化を効率的に促進させることができる。
常温で1〜24時間循環(又は浸漬)させることにより、脱窒菌をはじめとする雑多な微生物群は著しく増殖して活性化されると共に、有機物からはクエン酸、乳酸等の有機酸類が生成される。この有機酸類の生成と無機塩類の電解が寄与することにより、液のpHは3.5〜4.0程度まで低下する。このように、有機酸類の生成と無機塩類の電解により中空糸周囲のイオン強度が増大することとなり、菌体が活性化する。この活性化された菌体の増大により中空糸表面への菌体の付着を促進することができ、この菌体付着によりバイオフィルムを形成して脱窒菌の強固な固定化を尚一層促進することができる。
このようにして脱窒菌が確実に固定化した中空糸は複数本(一般的には1000本〜2000本)束ねられたリアクター素子として脱窒リアクターに供される。なお、上記のように、中空糸表面への脱窒菌(及び硝化菌)の固定化は、一般に、当初から中空糸を複数本束ねた状態で行われる。脱窒リアクターとして使用するに際しては、リアクター素子を馴養、すなわち、脱窒反応に適した環境下に馴らすことが必要である。本発明に従えば、この馴養は、中空糸の内部及び外部に窒素を通して中空糸表面を嫌気状態とし、pH値をpH5〜10の範囲に調整し、硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素、リン及びカリウムを含む原水に水素供与体として有機炭素源を連続的にあるいは回分で添加し、徐々に脱窒リアクター槽内に通液することによって行われる。以下この馴養条件に関して詳述する。
懸濁液のpHは5〜10、好ましくはpH6〜9に調整する。このpH調整は、脱窒反応に伴い発生する水酸化物イオン(OH-)に対して塩酸を添加することにより制御することができる。ここで、図2は、本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターのpH値と反応速度との相関図を示すものであり、この最適なpH調整は、図2(a)に示すように、本発明者が、pH値と脱窒速度との相関に関する実験を行うことにより見出したものである。
その後引き続いて、硝酸性窒素(または亜硝酸窒素)に加えて、10mg/L以上のリン及びカリウムを含む人工原水に、水素供与体としての有機炭素源(メタノール、エタノール等)を、窒素に対するTOC (Total Organic Carbon;全有機炭素)の比率であるTOC ratio(TOC比)が0.71より大きい範囲となるように連続的にあるいは回分で添加し、徐々にリアクター槽内に通液する。ここで、還元除去の対象である硝酸性窒素は、一般下水道から工場排出までの幅広い規模(20〜1000mg-N/L)に対応することができる。
TOC ratioの値としての0.71は、メタノールを水素源とした場合に脱窒反応(例えば化学式1)から得られるTOC ratioの理論値である。TOC ratioを0.71以上にすることにより、TOC ratioが0.71より小さい場合に生じる脱窒反応速度の低下を防ぐこととなり、化学式1で表されるような脱窒反応を促進させることができる。
さらに、好ましくは、TOC ratioは、0.71から1.5の範囲に含まれるようにする。TOC ratioが1.5より大きい場合には過剰のTOCが未反応のまま系外に流出してしまうが、TOC ratioを1.5より小さくすることにより、この流出を未然に防止できることとなり、未反応のTOCの系外流出による環境汚染を防止することができる。
ここで、中空糸内部および外部に窒素ガスを通し中空糸表面を嫌気状態、望ましくは溶存酸素量(Dissolved Oxygen;DO)が1.5mg/L以下、酸化還元電位(Oxidation-Reduction Potential; ORP)が-10mV以下とし、さらに化学式1の脱窒反応で発生する水酸化物イオンに塩酸を添加してpH6〜10の範囲に調整することにより中空糸表面における脱窒菌の増殖を促進する。このような方法により、20〜30℃の常温で48時間以内に馴養することができる。
例えば、中空糸内部を1気圧程度の窒素圧とし、中空糸の0.1μm程度の細孔を通して拡散で外表面に固定化されている菌体に窒素を供給すると同時に、外部から窒素ガスを導入させることで、溶存酸素量(Dissolved Oxygen;DO)を1.5mg/L以下とする。また、菌体が十分に活性化された後は、化学式1で表されるような脱窒反応により窒素ガスが副産物として生成されるために窒素ガスの外部からの供給は不要となり、一般的なリサイクル・パージ操作をプロセスに組み込むことで再利用によるプロセスの効率化を図ることができる。
(2.硝化リアクター)
本発明で用いる硝化リアクターは、硝化反応を起こさせるリアクターである。硝化反応は、下記の化学式2で示され、アンモニウムイオン(NH4+)を排水中の酸素と反応させて硝酸イオン(NO3-)に変換させる。
〔化2〕
NH4+ + 2O2 → NO3- + H2O + 2H+(化学式2)
硝化リアクターの作製方法として、脱窒リアクターの場合と同様に、中空糸を多数束ねた中空糸エレメントをリアクター槽内に設置し、下水処理場の曝気槽懸濁液(微生物濃度として1000mg/L程度)あるいは返送汚泥(微生物濃度として3000〜10000mg/L)にブドウ糖等の糖類あるいはアルコール類あるいは酢酸ソーダ等の有機酸塩を0.1wt%以上溶解した懸濁液を中空糸エレメントに循環させる。また、この懸濁液を中空糸エレメントに循環させる代わりに、中空糸エレメントを懸濁液に浸漬してもよい。
懸濁液には、1000mg/L以上の塩化ナトリウム等の無機塩類および有機物であるブドウ糖やペプトンが含まれることが望ましい。これにより、菌体の栄養源を一定量確保するとともに、懸濁液のイオン強度を高めることができる。この操作により懸濁液のイオン強度を0.001より高め、好ましくは0.2〜0.3まで高めることにより、菌体の固定化を効率的に促進させることができる。
常温で1〜24時間循環(又は浸漬)させることにより、硝化菌をはじめとする雑多な微生物群は著しく増殖して活性化されると共に、有機物からはクエン酸、乳酸等の有機酸類が生成される。この有機酸類の生成と無機塩類の電解が寄与することにより、液のpHは3.5〜4.0程度まで低下する。このように、有機酸類の生成と無機塩類の電解により中空糸周囲のイオン強度が増大することとなり、菌体が活性化する。この活性化された菌体の増大により中空糸表面への菌体の付着を促進することができ、この菌体付着によりバイオフィルムを形成して硝化菌の強固な固定化を尚一層促進することができる。
このようにして硝化菌が確実に固定化した中空糸は複数本(一般的には1000本〜2000本)束ねられたリアクター素子として硝化リアクターに供される。なお、上記のように、中空糸表面への硝化菌(及び脱窒菌)の固定化は、一般に、当初から中空糸を複数本束ねた状態で行われる。硝化リアクターとして使用するに際しては、リアクター素子を馴養、すなわち、硝化反応に適した環境下に馴らすことが必要である。本発明に従えば、この馴養は、中空糸の内部及び外部に空気を通して中空糸表面を好気状態とし、pH値をpH5〜11の範囲に調整し、リン、カリウム、無機炭素源(炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)及びアンモニア性窒素を含む原水を硝化リアクターに通液することによって行われる。以下この馴養条件に関して詳述する。
液のpHは5〜11、好ましくは6〜10に調整する。このpH調整は、硝化反応に伴い発生する硝酸イオンに対して、苛性ソーダを添加することにより制御することができる。ここで、この最適なpH調整は、図2(b)に示すように、本発明者が、pH値と硝化速度との相関に関する実験を行うことにより見出したものである。なお、現在稼動中の標準活性汚泥法では、一般的にpH値が7.3近傍で稼動しており、本発明の硝化リアクターもこのpH値にて最適に稼動することから、本発明の硝化リアクターが、従来からの運転操作に大きな変更を与えることなく移行できることとなり、既存の水処理装置から本発明の硝化リアクターへの移行における運用面の負担を抑制することができる。
その後引き続いて、アンモニア性窒素に加えて、10mg/L以上のリン及びカリウムを含む人工原水をリアクター槽内に通液する。この場合、中空糸内部及び外部に空気を導通させて中空糸表面を好気状態とする。この好気状態においては、DOが4mg/L以上であることが望ましい。この好気条件により、硝化菌の増殖性を高めることとなり、より迅速に硝化菌を固定化することができる。
さらに、化学式2の硝化反応で発生する硝酸イオン(NO3-)を中和させるために、水酸化ナトリウムを添加してpH6〜10の範囲に調整することによって中空糸表面における硝化菌の増殖を促進する。このような方法により、20〜30℃の常温で48時間以内に硝化菌を馴養することができる。
ここで、図3は、本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターを含むプロセスフロー図を示す。この図3に示すように、以上の手順により馴養した脱窒リアクター及び硝化リアクターを、脱窒リアクター、硝化リアクターの順に連結して使用することにより、脱窒・硝化循環フローを形成し、原水としての排水(廃水)に含まれるBOD及びアンモニア性窒素の同時除去を実現することができる。図3において、脱窒リアクター100aと、硝化リアクター100bと、排水(廃水)を一時的に貯留する受水層200と、リアクター間で受け渡す流体を一時的に貯留する中間タンク300と、気液分離を行う気液分離器400を備える構成である。ここで、脱窒リアクター100a及び硝化リアクター100bは、各々2基連結しているが、これは、リアクターとしての処理能力をリアクターの連結により向上させるものであり、この連結するリアクター数は、水処理の規模に応じて柔軟に変更することができる。
上記の硝化リアクターの馴養で用いた原水、すなわちリン、カリウム及びアンモニア性窒素を含む人工原水を通液する。硝化リアクターから排出される硝化液(硝酸、亜硝酸を含む)の一部は脱窒リアクターに循環する。この時点で、脱窒リアクターには水素供与体としてのメタノールをTOC ratioとして1.5程度供給する。窒素除去が確実に行われていることを確認次第、原水を人工原水から実排水に切り替えて運転を継続する。
また、図4は、本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターの説明図を示す。脱窒リアクターは、図4(a)に示すように、中空糸内部に窒素ガスを導通させ、中空糸外表面において化学式1で示したように、脱窒反応(硝酸還元反応)を発生させ、TOCを酸化するとともに、無害な窒素ガスを発生させる。硝化リアクターは、図4(b)に示すように、中空糸内部に空気を導通させ、中空糸外表面において化学式2で示したように、硝化反応を発生させる。
脱窒反応では、有機物を消費、除去するとともに、硝酸及び亜硝酸を窒素ガスに変換してパージガスとして大気中に放散する。この時点で、実排水中に水素供与体としての有機物(BOD)がTOC ratioとして0.7から1.5の範囲で存在する場合はそのまま原水としてリアクター系へ供給することができるが、これより低い場合はこの範囲になるように水素供与体、例えば、メタノールを添加することが望ましい。
また、この範囲以上の場合は、処理されずに処理水に排出され、系外の環境を汚染するのみならず、TOC値の高い液体が、脱窒リアクターに連結された硝化リアクターに供給されてしまうことにより、硝化リアクターの活性が著しく低下する。そこで、脱窒リアクターの前段にTOCを酸化分解する曝気層を設置することで、十分にTOCを減少させることとなり、TOCの阻害による硝化リアクターの活性低下を防止することができる。
脱窒リアクターが含まれる脱窒槽への硝化液の循環は、硝化槽から硝化液として処理水中に放流する液量に対する脱窒槽への循環液量を循環比として定義し、通常は循環比2〜3として実施する。以上のプロセスにより、排水中のアンモニア性窒素を高速且つ連続的に除去することができる。
本発明のバイオリアクターによる水処理の適用範囲としては、化学工場の廃液、都市下水、焼酎粕排液、畜産糞尿排水など、広範囲に及ぶ。なお、上記のように、脱窒リアクター及び硝化リアクターを連結して水処理を行うことも可能であるが、この2種類のリアクターを連結する使用方法に限定されることはなく、脱窒リアクター、硝化リアクターを別々に独立して使用することも可能である。特に、LSI工場に代表されるような化学工場からの廃液に高濃度の硝酸が含まれている場合には、脱窒リアクターのみで十分な水処理を行うことができる。
以下、本発明の特徴をさらに明らかにするため実施例に沿って本発明を説明するが、本発明はこの実施例によって制限されるものではない。
(脱窒リアクター)
本発明に従う脱窒リアクターは、外径1.0mm(内径0.6mm、厚さ0.2mm)の中空糸(クラレ社製)を束ねてその端部をエポキシ樹脂(アラルダイト社製2液混合タイプ)で固めたモジュールを装置本体の内部に取り付け、上記手順に従い、脱窒菌を固定化した。
脱窒菌は、培養が容易な性質を有することから多くの細菌が報告されており、一般的に主な従属栄養性の脱窒菌はPseudomonas denitrificansやPseudomonas stutzeriであり、本発明の脱窒リアクターの固定化菌についてもこれに属することが培養により確認され、また、本発明の脱窒リアクターが後述する脱窒反応を行うことと合わせても、脱窒菌が固定化されたことが確認された。また、図5は、本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターに菌体が固定化されたSEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)像を示す。脱窒菌は、図5(a)に示すように、本発明のバイオリアクター素子の外周部に層を成して形成していることが確認できる。
このように脱窒菌を固定化して得られた脱窒リアクターにより水処理を行った。ここで、図6は、本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターに通液させる人工排水の説明図を示す。水処理の対象となる原水としての人工排水は、図6(a)に記載した組成を標準とし、一般的な下水道と同水準である20mg-N/Lの硝酸性窒素濃度に対して水処理実験を行った。
脱窒リアクターは、2.6L〜12L容積のジャケット式二重管型リアクターを使用し、この脱窒リアクターに上記人工排水を1L/H〜10L/Hの範囲で供給した。また、温度は、通常で20℃〜30℃、温度依存性の実験では15℃〜35℃の範囲にて実験した。脱窒リアクターの外部に種々の温度の水を流し、リアクター内温度を調整した。脱窒反応に伴って発生する水酸化物イオンを4%の塩酸で制御し、pH6〜9の範囲にpH調整した。
また、中空糸の内部は1.5気圧程度の窒素圧とし、中空糸の細孔(0.1μm)を通して拡散で外表面に固定化されている菌体に窒素を供給した。同時に外部からは1〜3L/分の窒素ガスを流し、結果的にリアクター内液のDO(溶存酸素濃度)を1.5mg/L以下とした。なお、菌体が十分に活性化された後は脱窒反応により窒素ガスが生成するため、外部から窒素ガスを供給することは不要となる。また、水素供与体としてメタノールを用い原水中の窒素濃度に対する添加メタノール中の炭素濃度(TOC)の比を0.7から1.5の範囲に制御して脱窒反応を促進する。
ここで、図7は、本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターによる水処理実験の結果を示す。本脱窒リアクターによる水処理実験の結果を比較例とともに、図7(a)に示す。これらの比較例は、以下の非特許文献3〜8から引用したものである。なお、流動層型リアクター(担体:ポリプロピレン不織布)の場合は、200mg-N/Lの硝酸性窒素濃度に対して水処理実験を行った結果である。この結果から、本発明に従う脱窒リアクターは、従来の他の方法と比較して、数十倍の硝化速度にて硝化反応が行えることが示された。
(硝化リアクター)
本発明に従う硝化リアクターは、上記の脱窒リアクターと同様の中空糸を束ねてその端部をエポキシ樹脂で固めたモジュールを装置本体の内部に取り付け、上記手順に従い、硝化菌を固定化した。
硝化菌については、硝化リアクターの槽内より、硝化菌の遺伝子の検出を行った。硝化菌に特異的なプライマー(以下、非特許文献1、2参照)を用いて、上述のPCR法により硝化菌(アンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌)の16S rDNAの増幅による硝化菌の検出を行った。
図8は、本発明のバイオリアクター素子からなる硝化リアクターのPCR法によるアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌の検出結果を示す。図8に示すように、レーン1より、硝化リアクターの槽内には、亜硝酸酸化細菌の一種であるNitrospira属を含む亜硝酸酸化細菌が存在することが示唆された。また、レーン2より、アンモニア酸化細菌(Nitrosomonas属)が硝化リアクターの槽内に存在することが示唆された(レーンPは、ポコティブコントロールを示す)。以上の結果より、硝化リアクターの槽内で硝化菌の微生代謝による硝化が行われていることが遺伝子工学的に示された。なお、これまでの文献に依れば、硝化菌としては、Nitrosomonas europeaおよびNitrobacter agilisが知られている。また、硝化菌は、図5(b)に示すように、本発明のバイオリアクター素子の外周部に層を成して形成していることがSEM像からも確認できる。
このように硝化菌を固定化して得られた硝化リアクターにより水処理を行った。水処理の対象となる原水としての人工排水は、図6(b)に記載した組成を標準とし、一般的な下水道と同水準である20mg-N/Lのアンモニア性窒素濃度に対して水処理実験を行った。
硝化リアクターは、2.6L〜12L容積のジャケット式二重管型リアクターを使用し、この硝化リアクターに上記人工排水を1L/H〜10L/Hの範囲で供給した。また、温度は、通常で20℃〜30℃、温度依存性の実験では15℃〜35℃の範囲にて実験した。硝化リアクターの外部に種々の温度の水を流し、リアクター内温度を調整した。発生する硝酸及び亜硝酸を4%の水酸化ナトリウムを用いて制御し、pH6〜10の範囲にpH調整した。また、中空糸の内部は1.5気圧程度の空気圧とし、中空糸の細孔(0.1μm)を通して拡散で外表面に固定化されている菌体に酸素を供給した。同時に外部からは1〜5L/分の空気を流し、結果的にリアクター内液のDO(溶存酸素濃度)を4mg/L以上とした。
本硝化リアクターによる水処理実験の結果を比較例とともに、図7(a)に示す。これらの比較例は、以下の非特許文献3〜8から引用したものである。なお、流動層型リアクター(担体:ポリプロピレン不織布)の場合は、200mg-N/Lのアンモニア性窒素濃度に対して水処理実験を行った結果である。
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この結果から、本発明に従う硝化リアクターは、95mg-N/(L・h)を示し、従来の他の方法と比較して、数十倍の硝化速度にて硝化反応が行えることが示された。また、本発明に従う硝化リアクターは、20mg-N/Lのアンモニア性窒素濃度に対して95mg-N/(L・h)を示したことから、工場廃水水準の一例としての200mg-N/Lのアンモニア性窒素濃度に対しては、硝化速度のアンモニア性窒素に対する濃度依存性から換算して300mg-N/(L・h)もの硝化速度が得られると判断できる。
上述したように、本発明者は、上記のように原水として作成した人工排水に対する水処理の実験を実施したが、さらに、原水としての実排水(もしくは廃水)に対する水処理の実験も実施した。その結果を以下の実施例に記載する。
(LSI工場硝酸排水への応用)
図9は、本発明のバイオリアクター素子からなるバイオリアクターの実地試験の結果を示す。上記に記載した本発明に従う脱窒リアクターを用いて、LSI工場における硝酸排水の流量を日ごとに増大させて、硝酸排水に対する水処理を行った結果を図9(a)に示す。硝酸性窒素の負荷量を増す毎に脱窒速度は増大し、最終的に800mg-N/(L・h)まで到達すると同時に、窒素除去率も平均90%を維持することができた。このように本発明の脱窒リアクターは、硝酸排水に対して、硝化リアクターとの連結無しで単独使用することができ、硝酸排水の流量が増大した場合でも、窒素除去率が低下することなく高い窒素除去率を維持することができ、実地にて十分な水処理を行えることが示された。
(焼酎粕排液への応用)
上記に記載した図3と同様の構成にて、本発明に従う脱窒リアクター及び硝化リアクターを連結して用いて、焼酎粕排液に対する水処理を行った結果を図9(b)に示す。同図において、TOC及び窒素の除去率が共に90%、TOC濃度が400mg/L、T-N(Total Nitrogen;全窒素)濃度が500mg/Lとなる時点でのTOC除去速度、硝化速度及び脱窒速度を、従来の標準活性汚泥法と本発明の中空糸型バイオリアクターとで比較した。本発明の中空糸型バイオリアクターは、焼酎粕排液を流量1L/hにて通液し、従来の標準活性汚泥法に対して約50倍のTOC除去速度、約10倍の硝化速度、約40倍の脱窒速度を示した。このように、本発明の中空糸型バイオリアクターは、高濃度の焼酎粕排液に対しても、高い除去率が実現できることが示された。
1 中空糸
11 端部
12 細孔
21 第1層菌体薄膜
22 第2層菌体薄膜
100 リアクター
100a 脱窒リアクター
100b 硝化リアクター
200 受水層
300 中間タンク
400 気液分離器

Claims (8)

  1. 中空糸の表面に脱窒菌又は硝化菌を固定して成るバイオリアクター素子の製造方法であって、脱窒菌又は硝化菌を含有する汚泥物質と、アルコール類、糖類及び有機酸塩のうち少なくとも1つからなる0.1wt%以上の有機物と、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムからなる群より選択される1000mg/L以上の無機塩とを含懸濁液を、中空糸を多数束ねた中空糸エレメントに循環させるか、又は該懸濁液に該中空糸エレメントを浸漬させ、前記中空糸エレメントの表面に前記脱窒菌又は硝化菌の菌体を固定化する工程を含む
    バイオリアクター素子製造方法。
  2. 請求項1に記載のバイオリアクター素子製造方法において、
    懸濁液が、無機塩として塩化ナトリウムを含有し、有機物としてブドウ糖及び/又はペプトンを含有する
    バイオリアクター素子製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のバイオリアクター素子製造方法において、
    前記バイオリアクターが、表面に脱窒菌が固定された脱窒リアクターであり、
    前記中空糸エレメントの内部及び外部に窒素を通して中空糸表面を嫌気状態とし、pH値をpH5〜10の範囲に調整し、硝酸性窒素又は亜硝酸性窒素、リン及びカリウムを含む原水に、水素供与体として有機炭素源を連続的にあるいは回分で添加し、前記有機炭素源を添加した原水を徐々に脱窒リアクター槽内に通液し、前記脱窒リアクターを馴養する工程を有する
    バイオリアクター素子製造方法。
  4. 請求項3に記載のバイオリアクター素子製造方法において、
    前記馴養時の窒素に対する有機炭素源の全有機炭素の比率が0.71以上である
    バイオリアクター素子製造方法。
  5. 請求項4に記載のバイオリアクター素子製造方法において、
    前記馴養時の窒素に対する有機炭素源の全有機炭素の比率が0.71から1.5の範囲のTOC比を示す
    バイオリアクター素子製造方法。
  6. 請求項3ないし5のいずれかに記載のバイオリアクター素子製造方法において、
    前記馴養時のpH値をpH6〜9の範囲に調整する
    バイオリアクター素子製造方法。
  7. 請求項1または2に記載のバイオリアクター素子製造方法において、
    前記バイオリアクターが、表面に硝化菌が固定された硝化リアクターであり、
    中空糸の内部及び外部に空気を通して中空糸表面を好気状態とし、pH値をpH5〜11の範囲に調整し、リン、カリウム、及びアンモニア性窒素を含む原水を硝化リアクターに通液し、前記硝化リアクターを馴養する工程を有する
    バイオリアクター素子製造方法。
  8. 請求項7に記載のバイオリアクター素子製造方法において、
    前記馴養時のpH値をpH6〜10の範囲に調整する
    バイオリアクター素子製造方法。
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