JP5037305B2 - 無線伝送装置 - Google Patents

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Description

本発明は無線伝送装置に関し、特に、送受信局で複数のアンテナを用いて信号伝送を行う無線伝送装置に関するものである。
無線通信において高速信号伝送を行う信号伝送方法として、近年送受信局で複数のアンテナを用いるMIMO(Multi−Input Multi−Output)システムの研究が盛んに行われている。MIMOシステムでは、送受信局で複数のアンテナを用いることにより、送受信局で1アンテナのみを用いる場合に比べて、高容量が達成可能であることが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
MIMOシステムでは、スペースタイムコーディング(Space−Time Coding)を用いる手法とビーム形成を用いる手法がある。スペースタイムコーディングを用いる手法では、図15に示すように送信側で信号の符号化を行ない、各アンテナから無相関の信号を送信する。本構成では、送信局で信号への重み付け乗算を行わないため、重み付け乗算を行う後述の本発明とは構成が大きく異なる。
そこで、スペースタイムコーディングを用いる手法ではなく、従来の技術として、ビーム形成を用いる場合について述べる。ビーム形成を用いる従来例としては、例えば、唐沢、"時空間通信モデリング"、2001SITAワークショップ、Nov.2001.に記載されているものがある。図16に、送受信ビーム形成を行う際の送受信局の構成を示す。図16において、101は送信用ウエイト乗算装置(送信局)、102は伝搬路、103は受信用ウエイト乗算装置(受信局)である。この方法では、送信局で送信ビーム形成を行い、受信局で受信ビーム形成を行うが、この方法の信号処理構成について以下では説明を行う。ここでは、送信アンテナをN本、受信アンテナをM本として説明を進める。また、送信アンテナnから受信アンテナmへの伝搬係数をhmnとし、送受信局間の伝搬特性を行列H=[hmn]と表す。
図16に示すように、送信局では、送信すべき時間系列のデータS(t)に対し、アンテナごとに送信ウエイトW1nを乗じて信号を送信する。送信信号は伝搬路H(符号102)を通って、M本の受信アンテナで信号受信される。受信局では、M本のアンテナでの受信信号に対し、アンテナmでウエイトv1mを乗じた後、信号合成を行なう。
以下では、この一連の課程を数式を用いて表す。受信アンテナmにおける受信信号をx(p)とすると、受信ベクトルx(p)=[x(p),・・・,x(p)]は次式で与えられる。
x(p)=Hws(p)+z(p)
ここで、w=[w,・・・,wは送信ウエイトベクトル、z(p)はアンテナmでの干渉雑音成分、z(p)=[z(p),・・・,z (p)]は干渉雑音ベクトルを表す。また、受信側でのウエイト乗算、信号合成後の最終出力yは次式で与えられる。
y(p)=vx(p)
=v Hws(p)+vz(p)
送信ウエイトw,受信ウエイトvにはさまざまな決定方法が考えられるが、なるべく受信信号レベルが高くなるよう送受信ウエイト決定する。
この一連の信号処理は、図17に示す送受信ビームパターンを用いて説明することもできる。送信側では複数アンテナからの重み付け送信により、方向によって送信信号電力が異なり、送信ビームが形成される。また、受信側でも同様に受信ビームが形成される。このように送受信局がそれぞれビーム形成を行うことにより、高い信号電力での信号受信することが可能となる。なお、図16の信号処理構成と図17のビームパターンは同一の現象を異なる説明法で示したのみである。特に、ビームパターンは直観的に理解しやすい利点がある。逆に、信号処理構成は厳密な説明を記述する際に適しており、以下では、信号処理の詳細に重点をおいて説明する。
特表2001−505723号公報 特開2001−237751号公報
従来のビーム形成法では、1対1通信において1つの信号を送受信する際に、複数の信号を同時に並列伝送することができなかった。そのため、送信可能な信号の伝送速度には制限が生じていた。このため、さらに高速な無線通信を行いたいというユーザの要求に対して十分対応できないという問題点があった。
この発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、通信を行わない相手に対して送信停止信号を送信して、通信のさらなる安定化を図ることが可能な無線伝送装置を得ることを目的としている。
この発明は、K個(K≧2)の信号をN個(N=2又は4)の送信アンテナから送信する無線伝送装置であって、上記K個の信号それぞれに上記N個の送信アンテナに対応したN個の成分を持ち互いに直交関係にある送信ウエイトを乗じて生成したK個の乗算結果を合成して合成信号とし、該合成信号を上記N個の送信アンテナから送信し、1の上記送信ウエイトは、所定の値と、該所定の値の正負の符号を反転した値と、を成分として含む。
この発明は、K個(K≧2)の信号をN個(N=2又は4)の送信アンテナから送信する無線伝送装置であって、上記K個の信号それぞれに上記N個の送信アンテナに対応したN個の成分を持ち互いに直交関係にある送信ウエイトを乗じて生成したK個の乗算結果を合成して合成信号とし、該合成信号を上記N個の送信アンテナから送信し、1の上記送信ウエイトは、所定の値と、該所定の値の正負の符号を反転した値と、を成分として含む構成にしたため、複数の信号を同時に並列伝送することができるので、無線通信のさらなる高速化を図ることができる。
実施の形態1.
本実施の形態は、複数の送受信ビームを用いて伝送する方式に関するものである。図1は、本実施の形態の構成を示す構成図である。図1において、1は送信信号、2は送信アンテナ(アレーアンテナ)、3は受信アンテナ(アレーアンテナ)、4は受信信号、5は送信局(送信用ウエイト乗算装置)、6は伝搬路、7は受信局(受信用ウエイト乗算装置)である。送信用ウエイト乗算装置5内には、図に示すように、送信信号s(t)をN個複写するための信号コピー手段と、当該N個の送信信号s(t)に異なるウエイトwkn(k=1,・・・,K、n=1,・・・,N)を乗ずる乗算器とが設けられている。以下、図1を用いて本発明の概要について説明する。
本実施の形態では、1対1通信において、送受信局がそれぞれ複数のビームを用いて複数の信号を並列伝送する。図1において、送信局では、まず、K個の信号1s(t),・・・,s(t),・・・,s(t)を用意し、それぞれをN個ずつ複写して、N個の信号s(t)に対してウエイトw=[wk1,・・・,wkN (k=1,・・・,K)のN個の成分をそれぞれ乗じた後、K個ずつ信号合成して、N個のアンテナ2から信号を送信する。このような構成により、送信局ではK個のビーム形成が行われる。
伝搬路6を経た後、受信側ではM個のアンテナ3を用いて信号を受信する。従って、受信ベクトルは、M個の構成要素からなるK個の受信ベクトルとなる。すなわち、受信ベクトルx(p)=[x(p),・・・,x(p)]は次式で与えられる。
x(p)=Σk=1 H w(p)+z(p)
ここで、z(p)=[z,・・・,zは干渉雑音ベクトルを表す。上式において、信号kの受信ベクトルはHwで与えられるが、これは各信号によって異なるものとなる。すなわち、受信局において各信号は異なる受信ベクトルで受け取られ、受信方法によっては相互を分離受信することも可能となる。
また、受信側ではアンテナmでウエイトvkmを乗算し、信号kのための信号合成を行う。他の信号に対しても同様であり、受信側ではK個のビームが形成される。このように、本実施の形態の送受信局では、送信局及び受信局で複数のビーム形成を行って信号受信する。図2に本実施の形態を用いた場合の送受信ビームの形成の一例を示す。図2において、1は送信信号、2は送信アンテナ、3は受信アンテナ、4は受信信号、5は送信局(送信用ウエイト乗算装置)、6は伝搬路、7は受信局(受信用ウエイト乗算装置)である。図2の構成において、信号kに対するウエイト乗算、信号合成後の最終出力4y(p)は次式で与えられる。
(p)=v x(p)
=Σk'=1 Hwk'k'(p)+v z(p)
送信ウエイトw,受信ウエイトvにはさまざまな決定方法が考えられるが、なるべく信号kの受信レベルが高くなるよう送受信のウエイトを決定する。
以上のように、本実施の形態においては、送受信局で複数のビームを形成することにより、複数の信号を同時に並列伝送することができるので、さらなる高速な無線通信を行いたいというユーザの要求に対して対応できるという効果が得られる。
実施の形態2.
本実施の形態では、上述の実施の形態1の複数の送受信ビームを用いた伝送方法において、特定の受信ウエイトを用いる場合について述べる。
実施の形態1において、複数の送信ウエイトを用いて送信した場合の受信ベクトルx(p)=[x(p),・・・,x(p)]は次式で与えられた。
x(p)=Σk=1 H w(p)+z(p)
ここで、信号kの受信ベクトルはHwで与えられるが、これは各信号によって異なるものとなる。すなわち、受信局において各信号は異なる受信ベクトルで受け取られ、受信方法によっては複数の信号を相互に分離受信することも可能となる。
そこで、本実施の形態では、受信ベクトルをMMSE合成基準に従って決定する。MMSE合成機準では、SMIアルゴリズム、RLSアルゴリズム、LMSアルゴリズム等があるが、ここで用いるアルゴリズムはそのいずれであっても構わない。例えば、信号kの信号の受信ウエイトをSMIアルゴリズムを用いて決定する際には、受信ウエイトvは次式で与えられる。ここで、Φは相関行列、Φ−1はその逆行列である。
=Φ−1
Φ=Σp=1 p=po x(p)x(p)
=Σp=1 p=po x(p)s(p)
ここで、p0はウエイト演算サンプル数を表す。この演算アルゴリズム自体は従来方法と同じものを用いており、RLSアルゴリズム、LMSアルゴリズムの場合にも同様に演算することができる。図3にSMIアルゴリズムを用いた場合の受信局の構成を示す。図3において、1は送信信号、2は送信アンテナ、3は受信アンテナ、4は受信信号、5は送信局(送信用ウエイト乗算装置)、6は伝搬路、7は受信局(受信用ウエイト乗算装置)である。本実施の形態においては、受信局7が、図に示すように、受信ウエイトを決定するためのSMIアルゴリズム等のMMSE基準アルゴリズムを内部に備えている。
本実施の形態では、(1つではなく)複数のビームを用いて1対1通信において送受信を行う際に、複数の受信ウエイトの決定において、SMIアルゴリズム等のMMSE基準アルゴリズムを用いることに特徴を持つ。なお、図3の例においては、SMIアルゴリズムを用いる場合が示されているが、この場合に限らず、例えば、RLSアルゴリズムやLMSアルゴリズム等のMMSE基準アルゴリズムを用いるようにしても同様の効果が得られる。
また、MMSE基準型アルゴリズム以外に、最大比合成型ウエイト演算法を用いる方法も可能である。この場合には、受信ウエイトは次式に従い決定する。
=u
=Σp=1 p=po x(p)s(p)
また、MMSE基準型アルゴリズムや最大比合成型以外にも従来型の多くのウエイト演算アルゴリズムが存在し、本発明の複数ビームを用いた1対1通信に適用することが可能である。すなわち、本実施の形態では、受信ウエイトの決定において特定のウエイト演算アルゴリズムを用いて信号受信することで、より効率的な各信号の受信を行う。
以上のように、本実施の形態によれば、受信ウエイトをMMSE合成基準または最大比合成法を用いて決定するようにしたので、信号受信にふさわしい受信ビームのウエイト演算法を用いることにより、高品質な信号受信が可能となる。
実施の形態3.
上述の実施の形態2において、受信ウエイトの演算にSMIアルゴリズムを用いる場合には、各受信ビームで相関行列共通化を行うことも可能である。この信号処理方法を図4に示す。図4において、1は送信信号、2は送信アンテナ、3は受信アンテナ、4は受信信号、5は送信局(送信用ウエイト乗算装置)、6は伝搬路、7は受信局(受信用ウエイト乗算装置)、10は受信アンテナ3によって受信された受信信号x(p)が入力されて、受信ベクトルx(p)から、相関行列Φ=Σp=1 p=po x(p)x(p)およびその逆行列Φ−1を演算する相関行列演算部である。相関行列演算部10で求められた相関行列Φおよびその逆行列Φ−1は、各受信ウエイトの演算を行う際に、SMIアルゴリズムにて共通に用いられる。
以上のように、本実施の形態においては、基本構成は実施の形態2と同じであるが、ここでは、相関行列演算部10を設けたことにより、各ビームで用いる相関行列演算及びその逆行列演算を共通化している。このような構成により受信ウエイトを計算する際の演算量を削減することが可能となる。
実施の形態4.
本実施の形態では、実施の形態1の複数の送受信ビームを用いた伝送方法において、特定の送信ウエイトを用いて信号伝送の効率化を行う方法について述べる。図5に本実施の形態における送受信局の構成を示す。図5において、1は送信信号、2は送信アンテナ、3は受信アンテナ、4は受信信号、5は送信局(送信用ウエイト乗算装置)、6は伝搬路、7は受信局(受信用ウエイト乗算装置)である。上述したように、複数の送信ウエイトを用いて送信した場合の受信ベクトルx(p)=[x(p),・・・,x(p)]は次式で与えられた。
x(p)=Σk=1 H w(p)+z(p)
ここで、信号kの受信ベクトルはHwで与えられるが、これは各信号によって異なるものとなる。この際、ベクトルHwが信号によって大きく異なるほど、受信側で個々の信号に対して独自のビームを形成し、信号分離することが容易となる。
そこで、本実施の形態では、送信ウエイトwが相互に直交関係にあるように送信ビーム形成を行う。直交関係は次式で与えられる。
k1 k2=0 k1,k2=1,・・・,K (1)
送信アンテナがN個の場合、このような直交ビームは最大でN個作成可能であり、この手法を用いる場合のKの最大値はNということになる。このように、直交した送信ウエイトを用いて送信すると、各信号の受信ベクトルHwは相互に異なるベクトルとなる可能性が高い。相互のベクトルHwが大きく異なる場合には、各信号の離受信が容易となり、並列信号伝送を高品質に行うことが可能となる。
なお、式(1)を満たす直交送信ウエイトを決定する手段としてはさまざまな方法が考えられる。例えば、Nが2,4,8,16,32,・・・といった2の累乗の場合には、
=[wk1,・・・,wkN
の各要素をウォルシュ符号などを用いて表現することにより、ウエイトベクトルの相関が相互に0となる状態を作ることができる。4アンテナの場合には
=[ 1, 1, 1, 1]
=[ 1, 1, −1, −1]
=[1, −1, 1, −1]
=[1, −1, −1, 1]
となる。この他にも一般的なNに対してグラムシュミットの直交化法を用いてウエイトベクトルを決定する方法も可能である。また、その他の手法による直交化ベクトルを用いることによっても、本手法の伝送品質を向上することが可能である。
以上のように、本実施の形態によれば、送信局において相互に直交した送信ウエイトを用いて送信することにより、伝播情報などを用いなくても、相互のチャネルを直交に近い状態とすることが可能となる。
実施の形態5.
本実施の形態では、複数の送受信ビームを用いた伝送方法におけるブロック構成について示す。図18は、本実施の形態を示すブロック構成図である。図18において、(a)はデータ送信要求局の構成、(b)はデータ受信局の構成を示したものである。
図18(a)において、S51は送信信号、52は、通信を行うことを相手方に要求するための通信要求信号S52を生成する通信要求信号生成部、51は送信信号と通信要求信号とを切り替えるスイッチ、53はスイッチ51から出力される送信信号S53に、重み付け信号S56に基づいて各ビーム毎のウエイトを乗算するウエイト制御部、55は、各ビーム毎、各アンテナ毎に重み付け合成された情報S54を送信するとともに、通信要求信号に対する受信局からの通信要求応答信号を受信するアレーアンテナ、S55は受信局からの通信要求応答信号の各アンテナ出力、54はアンテナ出力S55を解析し、使用チャネル毎の重み付け信号S56を生成するウエイト解析部である。また、図18(b)において、56は受信局側アレーアンテナ、S56は送信要求局からの通信要求信号の各アンテナ出力、57はアンテナ出力S56の情報から、各送受信アンテナ間の伝送路応答S57を推定する伝送路推定部、58は伝送路応答S57を解析し、各通信チャネルの状態S58を出力する通信チャネル検索部、59は通信チャネルの状態S58を元に使用チャネルの選択を行う使用チャネル選択部、60は使用チャネルに関する情報S59を元に各チャネルの電力割り当てを決定する電力配分計算部、61は各チャネルの電力割り当てを含むチャネル情報S60を利用し、各チャネル、各アンテナのウエイトを計算するウエイト計算部、62は通信要求応答信号S62を生成する通信要求応答信号生成部、63はウエイト情報S61に基づいて各アンテナのウエイトを制御し、通信要求応答信号S62の重み付け信号S63の生成や、アンテナ出力S64を重み付け合成して受信信号S65を生成するウエイト制御部である。
本実施の形態の動作を説明する。送信要求の発生したデータ送信要求局(以下A局)は通信要求信号S52を生成し、アンテナ55から送信を行う。この際、ウエイト制御は行わないのが普通である。通信要求信号を受信したデータ受信局(以下B局)は通信要求信号のアンテナ出力S56を用いて送信アンテナ55と受信アンテナ56との間の伝送路推定を行い、伝送路応答S57を生成する。この伝送路応答S57を基に通信チャネル検索部58では各通信チャネル(ビーム)の状態を調べチャネル状態情報S58を生成する。通信チャネルの最大数は送受信アンテナの数によって規定されるが、使用チャネル選択部59では各チャネルの状態をもとにA局・B局間の通信に使用するチャネルを選択する。さらに、各使用チャネルに関する種々の情報から、最も効率的な通信が可能となるよう、電力配分計算部60により各チャネルの電力配分を計算し、次に、ウエイト計算部61により電力割り当てを含むチャネル情報S60からデータ送受信時のアンテナウエイトS61を計算する。その後、通信要求応答信号生成部62により各チャネルで直行する通信要求応答信号S62を生成し、計算されたアンテナウエイトS61を用いて重み付け合成を行い、A局に向けて重み付け信号S63の送信を行う。A局では、ウエイト解析部54において、B局からの通信要求応答信号S62を受信した際の各アンテナ出力S55を解析することにより、使用通信チャネル(ビーム)を知ることができるため、この情報に基づいて各チャネルのアンテナウエイトS56を決定する。ウエイト制御部53ではこのウエイト情報S56に従って重み付けを行い、データの送信を開始する。B局ではA局からの受信情報S64にすでに設定済のウエイトS61で重み付け合成を行い、受信信号S65を取り出す。なお、A局において伝送路情報が既知の場合には通信要求応答信号S62は各チャネル毎に直交する必要は無い。
以上のように、本実施の形態においては、上記のような構成を取ることで、送受信局間で使用チャネルの同期を取ることが可能であり,複数チャネル(ビーム)を利用した効率的な通信が可能となる。
以下の実施の形態では、本構成を実現する種々の実施例を示す。
実施の形態6.
本実施の形態では、実施の形態5の複数の送受信ビームを用いた伝送方法において、特定の送受信ウエイトを用いて信号伝送の効率化を行う方法について述べる。図6に本実施の形態における送受信局の構成を示す。図6において、5は送信局(送信用ウエイト乗算装置)、6は伝搬路、7は受信局(受信用ウエイト乗算装置)である。
本実施の形態では、行列HHの固有ベクトルを用いて送信ビーム形成を行う。なお、ここで、行列Hとは、行列Hの複素共役転置行列である。そこで、行列HHの性質について以下に概要を示す。行列HHの固有値をλn、固有ベクトルをe(n=1,2,・・・,N)とし、
E=[e,e,・・・,e
Λ=diag[λ,λ,・・・,λ
を定義すると、次式が成り立つ。
H=EΛE
ここで、HHはエルミート行列であり、行列Eはユニタリ行列となる。従って、以下の関係を満たす。
E=EE=I
このような行列の性質を用いて本実施の形態の方法について説明する。
本実施の形態では、ウエイト制御部53において送信ウエイトをw=eとして伝送する。このとき、受信ベクトルx(p)=[x(p),・・・,x(p)]は次式で与えられる。
x(p)=Σk=1 (p)+z(p)
= H w
ここで、aは受信局から見た等価的な信号kの伝搬ベクトルである。行列A=[a,・・・,a],W=[w,・・・,w]を定義すると、次式が成り立つ。
A=WH W
=EH E
=Λ
この結果より、等価伝搬ベクトルaは互いに直交することが分かる。従って、ウエイト制御部63において受信ウエイトv=a を用いてアンテナ間でアレー信号処理を行うと、信号kに対する出力kは
(p)=a x(p)
=λ(p)+ a z(p)
となり、他の信号は除去される。このように、ウエイト制御部53で送信ウエイトをw=eとし、ウエイト制御部63で受信ウエイトをv=(H wとすることにより、K個の送信信号を相互に干渉なく伝送できる。この通信路を以下直交チャネルと呼ぶ。この方法により、通信品質の劣化なく、従来方法よりも高速な伝送に対応可能となる。なお、固有方程式 HHw=λの左側からHを加えると、H=λの関係が成り立つ。従って、送信ウエイトvはHの固有ベクトルとなっている。なお、ここで、Hは、行列Hの共役転置行列であり、Hは、行列Hの転置行列である。
また、ここでは本実施の形態の通信容量を把握するため、シャノン容量の指標に基づいて通信容量を測定する。簡単のため、雑音ベクトルが受信局の各アンテナで無相関である状態、すなわちE[z z]=PIの関係を満たす場合を想定する。また、K=Nとし、各送信ビームに対して同一電力Psの送信電力を用いるものとする。このとき、aの間の直交性より、各出力における雑音a z(p)は無相関となる。結局、信号kの信号電力はPsλ 雑音電力はPλとなり、送信ウエイトw受信ウエイトvで形成されるk番目の直交チャネルのSINRは(Ps/P)λで与えられる。送受信局間では等価的にN個の直交チャネルが形成され、通信容量は次式で与えられる。
C = Σk=1 log(1+(Ps/P )λ
従来のビーム形成では、通信容量はこの1チャネル分であったので、本方法によって通信容量は大きく向上する。
また、スペースタイムコーディングを用いた場合の通信容量は次式で与えられる。
C = log det(I+(P/P)HH)
= Σk=1 log (1+(P/P)λ
このように、各ビームへ同一送信電力を割当てた場合には、通信容量はスペースタイムコーディングを用いた場合と一致する。
なお、本実施の形態では伝搬ベクトルHの情報を用いてウエイト決定する。伝搬ベクトルHの推定方法としてこれまでにさまざまな方法が考えられているが、ここでは既存のどのような方法でHを推定しても構わない。また、必ずしも各送信ビームの電力を全て一定としなくても良い。(全送信電力一定のもとで)送信ビームごとの電力を変化させると、さらに全体の通信容量を向上させることも可能である。その際には、スペースタイムコーディングを用いた場合よりもさらに通信容量を向上させることもできる。
このように、本実施の形態の方法を用いると、従来のビーム形成法よりも大きな通信容量が可能である。また、スペースタイムコーディングを用いる手法と比べても同等若しくはそれ以上の通信容量を確保することが可能である。
以上のように、本実施の形態によれば、伝搬路情報を用いて送信ウエイトを決定することにより、複数の相互に干渉のない直交チャネルを構築することが可能となる。
実施の形態7.
本実施の形態では、上述の実施の形態5の複数の送受信ビームを用いた伝送方式における伝搬路Hの推定法の一例について述べる。図7に本実施の形態における送受信局の構成を示す。図7において、6は伝搬路、7は受信局(受信用ウエイト乗算装置)、20は送信信号に対応する受信フィルタである。
送信局では、伝搬路Hを推定するにあたり、通信要求信号生成部52においてアンテナごとに異なる信号を送信する。この際、送信する信号がサンプル1〜サンプルp0の範囲内で、直交するように各送信信号を設定する。すなわち、各アンテナに対応する送信信号s(t),・・・,s(t),・・・,s(t)は次式の関係を満たす。
Σp=1 p=pok1(p)sk2(p)=p0 k1=k2のとき
=0 その他のとき
このような直交信号を各アンテナから送信する。この際、各送信信号は同一シンボル時間を有し、同一タイミングでアンテナから送信される。
受信アンテナmでの受信信号x(p)は次式で表される。
(p)= Σn=1 mn(p) +z(p)
各受信アンテナ56に続く伝搬路推定部57では各送信信号に対応する整合フィルタが用意されている。受信アンテナm、信号kに対応する整合フィルタ20の出力g(m,k)は次式で与えられる。
g(m,k)=(1/p0)Σp=1 po(p)(p)
=hmk +(1/p0)Σp=1 po(p)(p)
第2項は雑音項であり、p0が大きければ大きいほど雑音は小さくなる。
このように、送信側の各アンテナから直交信号を送信することにより、伝搬路推定を行うことができる。
ここでは送信側から信号を送信し、受信側の伝送路推定部57で伝搬路推定を行う方法について説明した。得られた伝搬路情報に基づき、受信ウエイトを決定することが可能である。ウエイト決定法の一例は実施の形態6に示しているが、それ以外のウエイト決定法にも適用可能である。なお、実施の形態6に基づけば、推定されたHを用いて、ウエイト計算部61で行列Hの固有値分解を行い、M個の固有ベクトルを各ビームの受信ウエイトとする。このウエイト決定方法を図11に示す。なお、必ずしもM個の全てのウエイトを用いる必要はなく、1〜M個の範囲内において受信ビームを形成することが可能となる。
ここまでは、送信側(A局)から直交信号を送信し、受信側(B局)で伝搬路推定を行った。逆に、同様の制御を受信側(B局)から送信側(A局)に行うことも可能である。すなわち、B局の各アンテナから直交信号を送信し、送信側(A局)で伝搬路推定を行う。図8に本制御における送受信局の構成を示す。このように、A,B局相互で伝搬路推定を行うことが可能となる。
なお、実施の形態6に基づけば、推定されたHを用いて行列HHの固有値分解を行い、N個の固有ベクトルを情報通信時の各ビームの送信ウエイトとする。このウエイト決定方法を図12に示す。なお、必ずしもN個の全てのウエイトを用いる必要はなく、1〜N個の範囲内において送信ビームを形成することが可能となる。
このように、A,B局相互で伝搬路情報を把握することにより、伝搬路推定結果Hを用いて送受信ウエイトを決定できる。
以上のように、本実施の形態によれば、伝搬路情報を用いて受信ウエイトを決定することにより、複数の相互に干渉のない直交チャネルを構築することが可能となる。
実施の形態8.
本実施の形態では、実施の形態5の複数の送受信ビームを用いた伝送方法において、受信側で干渉信号が存在する場合の効果的な送受信ウエイトの決定法に関するものである。図9に本実施の形態における送受信局の構成を示す。図9において、5は送信局(送信用ウエイト乗算装置)、6は伝搬路、7は受信局(受信用ウエイト乗算装置)である。
本実施の形態では実施の形態1と同様に、受信ベクトルx(p)=[x(p),・・・,x(p)]は次式で与えられる。
x(p)=Σk=1 H w(p)+z(p)
ここで、z(p)は干渉雑音ベクトルであり、雑音のみならず干渉成分も含んでいる。また、アンテナ間でも相関が存在し、RIN =E[z(p)z(p)]の関係を満たす。
本実施の形態では、受信側でRIN −1*の固有ベクトルを用いて受信ビームを形成する。また、送信側ではHIN −1Hの固有ベクトルを用いて送信ビームを形成する。すなわち、送受信ベクトルはそれぞれ次式を満たす。
IN −1Hw=ρ
IN −1*=ρ
ここで、RINは受信局における干渉雑音行列でありある。また、ρは固有値を表すが、HIN −1HとRIN −1*は同一固有値を持つ。
このようなウエイトを用いると、受信局で干渉信号が存在する場合にも干渉を抑えつつ、所望の送信局からの信号を高品質に受信することが可能となる。なお、受信局においてRIN,Hを推定するさまざまな方法が考えられるが、その方法はどのような方法であっても構わない。
また、RINの代わりに全受信信号の相関行列R=E[x(p)x(p)]を用いる構成でも良い受信品質が得られる。図10に本実施の形態における送受信局の構成を示す。この場合には、送受信ウエイトの満たす固有方程式はそれぞれ
−1*=ρ
となる。このような構成によっても、受信局で干渉信号が存在する場合にも干渉を抑えつつ、所望の送信局からの信号を高品質に受信することが可能となる。なお、受信局においてR,Hを推定するさまざまな方法が考えられるが、その方法はどのような方法であっても構わない。
以上のように、本実施の形態においては、伝搬路情報を用いて送信ウエイトを決定することにより、受信局においてアンテナ間で相関のある干渉成分が存在する場合にも、複数の相互に干渉のない直交チャネルを構築することが可能となる。
実施の形態9.
本実施の形態では、実施の形態8における受信ウエイト形成法のうち、特に高速ウエイト演算を可能とする方法に関するものである。図13に本実施の形態における送受信局の構成を示す。
本実施の形態では、情報通信開始前に受信ウエイトを決定するにあたり、送信局からアンテナごとに異なる信号を送信する。この際、送信信号がサンプル1〜サンプルp0の範囲内で、直交するように各送信信号を設定する。すなわち、各アンテナに対応する送信信号s(t),・・・,s(t),・・・,s(t)は次式の関係を満たす。
Σp=1 p=pok1(p)sk2(p)=p0 k1=k2のとき
=0 その他のとき
このような直交信号を各アンテナから送信する。この際、各送信信号は同一シンボル時間を有し、同一タイミングでアンテナから送信される。
受信アンテナmでの受信信号x(p)は次式で表される。
(p)= Σn=1 mn(p) +z(p)
ここで、z(p)は干渉雑音成分であり、アンテナ間で相関を有している。
各受信アンテナに後続する伝搬路推定部57では各送信信号に対応する整合フィルタが用意されている。受信アンテナm、信号kに対応する整合フィルタの出力g(m,k)は次式で与えられる。
g(m,k)=(1/p0)Σp=1 po(p)(p)
=hmk +(1/p0)Σp=1 po(p)(p)(2)
第2項は干渉雑音項であり、p0が大きければ大きいほど雑音は小さくなる。このように、送信側の各アンテナから直交信号を送信することにより、伝搬路Hを推定することができる。
さらに、受信信号の相関行列を次式により推定する。
Φ=Σp=1 p=p1 x(p)x(p) (3)
ここで、式(2)と式(3)のΣの範囲は異なっていても構わない。
ここでは送信側から信号を送信し、受信側の伝送路推定部57で伝搬路推定を行う方法について説明した。得られた伝搬路情報に基づき、受信ウエイトを決定することが可能である。ウエイト決定法の一例は実施の形態8に示しているが、それ以外のウエイト決定法にも適用可能である。なお、実施の形態8に基づけば、推定されたΦ,Hを用いて、ウエイト計算部61で行列Φ−1*の固有値分解を行い、M個の固有ベクトルを各ビームの受信ウエイトとする。このウエイト決定方法を図11に示す。なお、必ずしもM個の全てのウエイトを用いる必要はなく、1〜M個の範囲内において受信ビームを形成することが可能となる。
以上のように、本実施の形態においては、高精度な伝搬路推定を用いて高精度なウエイトの決定が可能となる。
実施の形態10.
本実施の形態は、実施の形態8における受信ウエイト形成法のうち、特に高速ウエイト演算を可能とする実施の形態9とは異なる方法に関するものである。具体的には、相関行列演算方法が異なる。図19に本実施の形態における送受信機の構成を示す。
本実施の形態では、情報通信開始前に受信ウエイトを決定するにあたり、送信機からアンテナごとに異なる送信信号s(t),・・・,s(t),・・・,s(t)を各アンテナから送信する。この際、各送信信号は同一シンボル時間を有し、同一タイミングでアンテナから送信される。
受信アンテナmでの受信信号x(p)は次式で表される。
(p)= Σn=1 mn(p)+z(p)
ここで、z(p)は干渉雑音成分であり、アンテナ間で相関を有している。ここで、p=1は送信信号s(p)の開始サンプルであり、p=<0ではs(p)=0である。
各受信アンテナに後続する伝搬路推定部57(図18参照)では各送信信号に対応する整合フィルタが用意されている。受信アンテナm、信号kに対応する整合フィルタの出力g(m,k)は次式で与えられる。
g(m,k)=(1/p0)Σp=1 po(p)(p)
=hmk+(雑音干渉項)
第2項は干渉雑音項であり、p0が大きければ大きいほど雑音は小さくなる。このように、送信側の各アンテナから信号を送信することにより、伝搬路Hの(m,k)要素をg(m,k)として推定する。
また、本実施の形態では、受信信号の相関行列を次式により推定する。
ΦIN=Σp<=0 x(p)x(p)
ここでは、p<=0の送信信号s(p)が存在しない区間を用いて干渉雑音成分のみを推定している。
このように計算した結果から行列ΦIN −1*の固有値分解を行い、M個の固有ベクトルを各ビームの受信ウエイトとする。このウエイト決定方法を図11に示す。なお、必ずしもM個の全てのウエイトを用いる必要はなく、1〜M個の範囲内において受信ビームを形成することが可能となる。
本実施の形態では、送信信号s(t),・・・s(t),・・・,s(t)の存在しない区間を用いて、あらかじめ干渉雑音成分の相関行列ΦINを計算する。このように干渉雑音成分の相関行列演算を予め行うことにより、精度のよい相関行列を得ることができる。また、ΦIN −1 の固有値分解の際によい受信ウエイトと固有値を得ることが可能となる。
実施の形態11.
本実施の形態では、実施の形態5の複数の送受信ビームを用いた伝送方式において、送信ウエイトを決定する一方法に関するものである。本実施の形態では、受信ウエイトvを先に決め、その結果を利用して送信ウエイトを決定する。図14に本実施の形態における送受信局の構成を示す。
B局の受信ウエイトvが決まると受信局では通信要求応答信号生成部62において送信信号r(p)を用意し、ウエイト制御部63において既に決定したウエイトvを乗じた後各アンテナから送信する。A局では信号r(p)の整合フィルタを各アンテナに用意し、各アンテナでの検出値qknをベクトル化(q=[qk1,qk2,・・・,qkN)する。また、最終的にウエイト解析部54において送信ウエイトをw=q 又はw=q /|q|として推定する。ここで、|・|はベクトルのノルムを表す。この方法は、受信局におけるvの決定方法にかかわらず用いることが可能である。
この関係を数式的に説明すると、以下のようになる。実施の形態5〜8では、送信ウエイトwと受信ウエイトvは以下の関係を満たしている。
= (Hw
つまり、V=[v,・・・,v],W=[w,・・・,w]を用いると、次式に書きなおすこともできる。
HW=V
HW=H
WA=H
Λ=H
この式において、右辺はB局からベクトルvで信号送信を行った際にA局で受け取る受信ベクトルを表している。このように、A局ではB局からの信号を用いて送信ウエイトを決定することが可能となる。
以上のように、本実施の形態によれば、受信側のビーム形成に用いる受信ウエイトを最初に決定し、受信ウエイトを用いて受信側から信号を伝送して送信側で該信号を受信し、その受信データをもとに送信ウエイトを決定することで、送信ウエイトを少ない制御量で効率的に決定することができる。
実施の形態12.
本実施の形態では、実施の形態11において端末Bの各アンテナから送信する信号r(p)に関するものである。
本実施の形態では、送信信号r(p)として以下に示す時間的に直交した信号を用いる。
Σp=1 p=pok1(p)rk2(p)=p0 k1=k2のとき
=0 その他のとき
このような直交信号を用いることにより、A局でのより高精度な伝搬路推定を行う。
以下に、A局での詳細な信号処理を示す。A局では以下に示す信号を受信する。
(p) = Σn=1 (p)+z(p)
ここで、z(p)は端末Aにおける雑音成分を表す。A局では信号を受信すると信号r(p)に対応した整合フィルタを用いて、次式の相関演算を行う。
=(1/p0)Σp=1 po(p)(p)
= H+(雑音成分)
実施の形態11で説明したように、Hn=λ n*の関係にある。そこで、送信ウエイトをw=q 又はw=q /|q|として推定する。
本実施の形態では、B局からの送信信号として時間的に直交関係にある信号を複数のビームから同時送信することによって、A局における伝搬路推定ベクトルqをよい精度で推定することができる。
実施の形態13.
本実施の形態では、実施の形態5の複数の送受信ビームを用いた伝送方式において、一部の直交チャネル(ビーム)のみを選定して通信を行う方法に関するものである。
実施の形態7では送信側から信号を送信し、受信側の伝送路推定部57で伝搬路推定を行う方法について説明した。本実施の形態では、通信チャネル検索部58において、伝搬路推定部57からでの推定結果に基づき、行列Hの固有値分解を行い、M個の固有値λを算出する。
実施の形態6では各直交チャネルのSINRは(Ps/P)λで与えられ、行列Hの固有値と大きく関連していることを示したが、ここでは固有値λを用いて該直交チャネルが利用可能であるか否かの判断を行う。すなわち、使用チャネル選択部59では固有値λの値に応じて利用の可否を決定する。具体的な決定方法の1つとしては固有値λが閾値λth以上であれば利用し、それ以外の場合には利用しない構成が考えられる。しかし、他の決定方法であっても構わない。
次に、電力配分計算部60では、選択した固有値λを用いて必要な送信電力値を決定し、直交チャネルで用いる送信電力値を決定する。電力配分計算部60で特別な処理を行わない場合には、選択したチャネルに対して均等な電力が配分される。また、直交チャネルごとに変調方式又は符号化方法を変えることも可能である。この場合にも固有値λkに基づき、利用する変調方式又は符号化方法を決定する。また、特別な処理を行わない場合には、標準的なQPSK信号が選択される。
図20に送信電力、変調方式及び符号化方法を決定する方法の一例を示す。本図に示すように、B局は固有値λkに対応して送信電力、変調方式及び符号化方法を決定するためのテーブルを有している。B局は固有値λkを算出すると本図のテーブルに基づき、固有値λkの大きさに応じて変調方式と符号化方法を決定する。なお、本図では一例として送信電力、変調方式及び符号化方法を同時に決定する場合を示したが、固有値λkから送信電力、変調方式または符号化方法の一部のみを決定することも可能である。
また、B局は選択した直交チャネル及びそのチャネルで用いる電力配分、変調方式、符号化法を決定すると、実施の形態7と同じくウエイト計算部61において受信ウエイトをvとする。ここで、受信ウエイトは行列Hの固有ベクトルとして与えられるが、固有ベクトルは、通信チャネル検索部58において、行列Hの固有値を計算する際に同時に得ることも可能である。ここでは、ウエイト計算部61において独立に計算を行っても通信チャネル検索部58での結果を利用しても構わない。
このように、受信ウエイトvを決定すると、B局は実施の形態11に示す方法により、通信要求応答信号生成部62において送信信号r(p)を用意し、ウエイトvに対応した送信ビームを用いてA局に信号を伝送する。図21にB局からA局へ送信する信号フォーマットの一例を示す。本送信信号はでは送信信号r(p)のあとに、さらに要求送信電力、要求変調方式、要求符号化方法に関するデータが含まれている。実施の形態11に示すようにA局ではB局からの信号を受信すると、ウエイト解析部54において送信ウエイトをw=q 又はw=q /|q|として推定する。また、要求送信電力、要求変調方式、要求符号化方法に関するデータを受信することにより、通信時に用いる送信電力、変調方式、符号化方法を決定することができる。なお、図21の信号フォーマットは一例であり、他のフォーマットでも構わない。
このような一連の操作によって、送受信局では直交チャネルの中からいくつかのチャネルを選択して、通信に利用することができる。なお、ここでは実施の形態7の伝送方式の場合を例に固有値λに応じて、ビームを選定して通信を行う方法を示したが、実施の形態8、9で示す干渉信号が存在する場合には、行列Φ−1*の固有値分解を行い、得られた固有値ρに応じて同様のビーム選定、送信電力、変調方式、符号化法の決定を行う。従って、本実施の形態で述べたビーム選定、送信電力、変調方式、符号化法の決定は行列Φ−1*の固有値分解を行う場合にも適用可能である。
実施の形態14.
本実施の形態では、実施の形態13の複数の送受信ビームを用いた伝送方式において、一部の直交チャネル(ビーム)のみを選定して通信を行う際に、基地局が利用する直交チャネルを認識する方法に関するものである。
実施の形態13において、B局は使用チャネル検索部において利用するチャネルを決定する。受信ウエイトvを決定した後、B局は通信要求応答信号生成部62において送信信号r(p)を用意するが、この際に利用チャネルに対応する受信ウエイトvのみを用いてA局へ送信信号r(p)を送信する。
また、A局ではウエイト解析部54において送信信号r(p)に対応する整合フィルタを用いて信号受信(実施の形態11)し、ベクトルqを算出するが、検出されるベクトルqは利用チャネルに対応するベクトルのみとなる。これは、利用チャネルに対応する送信信号r(p)のみをB局から送信するためである。従って、A局ではウエイト解析部54において検出されたベクトルqの電力レベルにより、B局が利用しようとしているチャネルを認識することができる。この場合には、制御情報を送らなくてもA局はベクトルqの電力レベルにより、利用しようとするチャネルを認識できる。
また、A局は利用チャネルのベクトルqから送信ウエイトwを決定し、利用チャネルのみを用いてA局からB局への情報通信を開始することができる。なお、特別な処理を行わない場合にはA局は利用する各直交チャネルにおいてあらかじめ決められた同一の電力で信号送信を行う。
以上のように、本実施の形態によれば、制御信号を用いることなく利用するチャネルを他方の局に通知することができる。
実施の形態15.
本実施の形態では、実施の形態13の複数の送受信ビームを用いた伝送方式において、一部の直交チャネル(ビーム)のみを選定して通信を行う際に、基地局が利用する直交チャネルと同時に情報通信時の送信電力及び変調方法を認識する方法に関するものである。
実施の形態13において、B局は使用チャネル検索部58において利用するチャネルを決定する。受信ウエイトvを決定した後、B局は通信要求応答信号生成部62において送信信号r(p)を用意するが、この際に利用チャネルに対応する受信ウエイトvのみを用いてA局へ送信信号r(p)を送信する。この際、B局からの送信信号r(p)には情報通信を行う際の要求送信電力及び要求変調方式が含まれる。送信信号r(p)内での要求送信電力及び要求変調方式の記述方法はあらかじめ決定される方法に従うが、一例としてスペクトル拡散を利用する方法がある。すなわち、B局の各ビームからの直交した送信信号r(p)を拡散信号として、その上に要求送信電力及び要求変調方式の情報を乗じて送信する。A局では、ウエイト解析部において、対応する整合フィルタを用いて信号受信することにより逆拡散を行い、要求送信電力及び要求変調方式に関するデータを抽出する。
このような方法により、A局は利用する各直交チャネルにおける要求送信電力及び要求変調方式を把握できる。
実施の形態16.
本実施の形態は、MIMOシステムにおいて送受信ウエイトを決定する制御方法と同時にアクセス制御を行う方法に関するものである。
図22は本実施の形態の制御方法及びアクセス方法を説明する図であり、送受信を行う端末A,B以外にも端末C,Dが存在している。以下では、送信局を端末A、受信局を端末Bとして本実施の形態のウエイト制御方法及びアクセス方法を説明する。本実施の形態では、端末Aからの端末Bへ要求(REQ;request)信号を送信し、端末Bから端末Aへのチャネル通知(REP;report)信号を返信する。この2段階の信号伝送を用いて送受信ウエイトを決定する。図23は本実施の形態の制御で用いる信号フォーマットの一例である。図23(a)はREQ信号の一例、(b)はREP信号の一例を表している。図24、25、26はそれぞれ本実施の形態におけるREQ信号、REP信号、通信信号伝送時の各端末における動作を示している。
以下、本実施の形態について説明する。端末Aは送信したい情報が発生すると、REQ信号を用いて端末Bにその旨を通知する。この段階で端末Aは端末Bの正確な位置を把握しておらず、端末Aの周辺には端末B以外にも端末C,Dが存在する。このような状況の中で、REQ信号を用いて端末B,C,Dの中から端末Bをサーチし、通信開始要求を行う。
図23(a)に見られるように、REQ信号はパイロット信号部と制御信号により構成される。ここで、パイロット信号の一例としては実施の形態9で示した端末Aから時間的に直交した信号を送信する構成がある。また、制御信号部の一例としては図23(a)に示す送受信端末のユーザIDを含む構成がある。ここで、REQ信号のパイロット信号部は周辺の端末B,C,Dに既知の信号系列である。
端末Aの周辺に存在する端末B,C,DはREQ信号のパイロット信号部を検出すると、REQ信号が到来したことを認識する。次に、各端末はREQ信号の制御信号部を確認する。制御信号のユーザIDを確認することにより、REQ信号が自端末に対する通信要求か否かを確認できる。
図24に示すように端末BはREQ信号が自端末への通信要求であることを確認すると、パイロット信号部を用いて端末A,B間の伝搬状態を測定する。また、伝搬測定結果に基づき直交チャネルを算出し、各直交チャネルの利用の可否を決定する。具体的な直交チャネルの算出手順としては実施の形態9に述べた例がある。
一方、端末C,DはREQ信号が自端末への要求信号でないことを確認すると、以後の処理を行うことなく、待機状態に入る。このように、REQ信号の送信により、多くの端末の中から通信の対象である端末Bに要求信号を送ることができる。
端末Bは直交チャネルを算出し、要求送信電力または変調方式または符号化方法を決定する。また、必要な情報をREP信号を用いて端末Aへ通知する。REP信号の一例としては、図23(b)に示すパイロット信号部と制御信号部を有する構成がある。パイロット信号部の一例としては、実施の形態11で述べた構成が考えられる。また、制御信号部の一例として図23(b)に示すユーザIDと要求送信電力または要求変調方式または要求符号化方法などを含む構成がある。なお、REP信号のパイロット信号部は周辺の端末A,C,Dに既知の信号系列である。
図25に示すように端末AはREP信号を受信すると、その伝搬係数を推定することにより、送信ウエイトを決定する。送信ウエイトの決定方法の一例としては実施の形態11で述べた方法がある。また、周辺端末C,D もREP信号の検出を行い、これから端末Bが通信を受信する状態に入ることを認識する。このとき、端末C,Dは端末Bの信号受信を妨害しないように新たな送信を控える。すなわち、端末C,DがREP信号受信後に新たな送信を控えることで、端末Bは妨害を受けることなく安定した通信を行うことが可能となる(図26)。
このように、REQ信号とREP信号を用いた制御により送受信ウエイト制御を行うと同時にアクセス制御を行う。具体的には、REQ信号により端末Aは端末Bのサーチを行う。同時に、端末BはREQ信号を利用して伝搬路推定及び直交チャネルの決定を行う。また、REP信号では端末Bから端末Aに通信に必要なデータを通知する。同時に端末C,Dにおける新たな通信の停止を行う。端末C,Dの新たな通信の停止により端末A,Bは安定した通信を行うことが可能となる。
このようにREQ信号とREP信号を用いてウエイト制御と同時にアクセス制御を行うことにより、数多くの端末の中から対象の端末をサーチし、通信時には安定した通信を行うことが可能となる。このような制御により、無線LANに見られる分散型のネットワーク環境でも安定した通信が可能となる。
なお、本実施の形態に示すように、端末Bは端末AへのREP信号を送信することにより同時に周辺端末C,Dへ通信停止要求を行う。この際、REP信号は通信に必要な空間チャネルに対してのみ通信停止要求を行うため、利用しない空間チャネルでは他の端末の通信停止は要求されない。従って、必要な空間領域のみでの通信停止を行い、周辺端末の不必要な通信停止を低減する。
現在、無線LANの分野では周辺端末の通信停止を要求する一つの方法として、RTS(Request to send)/CTS(Clear to send)プロトコルが知られている。そこでは通信を開始するに当たって、受信端末(受信局)は全方向に対して一様にCTS(Clear to send)信号を送信し、CTS信号を受信した周辺端末は一定時間通信を停止する。
しかし、本実施の形態に見られるように、方向別に必要な空間チャネルのみに対して通信停止要求を行うことにより、不必要な周辺端末の通信停止を低減することができる。この通信停止制御は受信局がビーム形成を行うあらゆる環境で適用可能である。
本実施の形態では、送信局及び受信局が複数のアンテナを用いる場合に対して、他の端末C,Dの通信停止を行う場合の説明を行ったが、方向別の通信停止制御の利用方法は、その場合に限られるものではない。通信停止の制御方法は、上述の本実施の形態に限らず、送信局及び受信局が単一のアンテナを用いる場合をはじめ、受信局がビーム形成を行うあらゆる環境で適用可能である。
実施の形態17.
本実施の形態は、マルチキャリア通信システムにおいてMIMOシステムを実現する方法に関するものである。
最近無線通信では、より高速伝送、高速移動の可能なシステムへの要求が高く、無線周波数帯において広帯域な信号の伝送を行う必要が生じている。広帯域信号の伝送に関しては、複数のキャリアを同時に用いて信号の並列伝送を行うマルチキャリア方式が特に注目を集めている。マルチキャリア伝送方式では、低速なデータを周波数上で並列に配置し、異なるキャリアを用いて同時に送信する。信号の並列伝送を行うことによって伝送速度の向上を図っている。
図27にマルチキャリア通信システムの基本構成図を示す。図に示すように、信号送信部では複数の信号を異なる複数の周波数に多重し、信号伝送する。また、受信側では異なる複数の周波数に多重した信号を分離し、各キャリアの受信信号とする。図28は複数キャリアに多重された信号を表した図である。本図に示すように、マルチキャリア信号送信部で多重された信号は複数の周波数に多重されて伝送される。この際、各キャリアで伝送される信号は独立に扱うことができる。すなわち、シングルキャリア伝送の場合と同じく、各キャリアごとに個別に扱うことができる。
従って、実施の形態1〜16ではシングルキャリア伝送の場合を対象に説明したが、同様の信号処理はマルチキャリア伝送方式でも適用できる。
図29にマルチキャリア伝送システムに本発明のMIMOシステムを適用した信号処理構成を示す。本図に示すように各キャリアごとに実施の形態1〜16に示すMIMOシステムを構成することにより、マルチキャリア伝送方式に対しても本発明のMIMOシステムを適用することができる。また、マルチキャリア伝送方式に適用することによって、周波数と空間領域を有効に利用した高速伝送が可能となる。
この発明は、以上のように構成されているので、下記の効果を奏する。
この発明は、K個の送信信号をそれぞれN個ずつ複写し、それぞれに対して異なる送信用ウエイトを乗算し、それらをK個ずつ信号合成することによりN個の送信ビームを形成して送信する1以上の送信局と、送信されたN個の前記送信ビームをM個の構成要素からなるK個の受信ベクトルとして受信し、それぞれに対して異なる受信用ウエイトを乗算し、それらをM個ずつ信号合成することによりK個の受信ビームを形成する1以上の受信局とを備えた無線伝送装置であるので、複数の送受信ビームを用いることにより、複数の信号を同時に並列伝送することが可能となる。
また、前記受信局の前記受信用ウエイトは、MMSE合成基準または最大比合成法を用いて決定されるので、信号受信にふさわしい受信ビームのウエイト演算法を用いることにより、高品質な信号受信が可能となる。
また、前記受信局の個々の前記受信ビームにおける前記受信用ウエイトの乗算演算において、共通の相関行列を用いるので、複数の受信ビーム形成に際してウエイト演算の際の相関行列演算を共通化することにより、演算量の削減が可能となる。
また、前記送信局において用いられる各前記送信用ウエイトは、相互に直交しているため、送信局において相互に直交した送信用ウエイトを用いて送信することにより、伝播情報等を用いなくとも相互のチャネルを直交に近い状態とすることが可能となる。
また、前記送信局はN本の送信アンテナを有し、前記受信局はM本の受信アンテナを有しており、N本のうちの1つの送信アンテナnからM本のうちの1つの受信アンテナmへの伝搬係数をhmn、送受信局間の伝搬特性を行列H=[hmn]、干渉成分のアンテナ間の相関行列をRIN、全受信信号のアンテナ間の相関行列をRと表したときに、行列HH、行列HIN −1H、または、行列H−1Hの複数の固有ベクトルを前記送信用ウエイトとして用いるので、伝搬路情報を用いて送信ウエイト決定することにより、受信局においてアンテナ間で相関のある干渉成分が存在する場合にも、複数の相互に干渉のない直交チャネルを構築することが可能となる。
また、前記送信局はN本の送信アンテナを有し、前記受信局はM本の受信アンテナを有しており、N本のうちの1つの送信アンテナnからM本のうちの1つの受信アンテナmへの伝搬係数をhmn、送受信局間の伝搬特性を行列H=[hmn]、干渉成分のアンテナ間の相関行列をRIN、全受信信号のアンテナ間の相関行列をRと表したときに、行列H、行列RIN −1*、または、行列R−1*の複数の固有ベクトルを前記送信用ウエイトとして用いるので、伝搬路情報を用いて送信用ウエイトを決定することにより、受信局においてアンテナ間で相関のある干渉成分が存在する場合にも、複数の相互に干渉のない直交チャネルを構築することが可能となる。
また、前記送信局はN本の送信アンテナを有し、前記受信局はM本の受信アンテナを有しており、N本のうちの1つの送信アンテナnからM本のうちの1つの受信アンテナmへの伝搬係数をhmn、送受信局間の伝搬特性を行列H=[hmn]、干渉成分のアンテナ間の相関行列をRIN、全受信信号のアンテナ間の相関行列をRと表したときに、行列H、行列RIN −1*、または、行列R−1*の複数の固有値を用いて、前記送受信ビーム、変調方式、送信電力および/または符号化方法を決定するので、伝搬路情報を用いて利用すべき直交チャネルを選択することが可能となる。
また、この発明は、送受信局はそれぞれ複数のアンテナを備え、送受信局の一方からアンテナ間で時間的に直交する信号をアンテナごとに個別に送信し、前記送受信局の他方は、送信された信号に対応する整合フィルタをアンテナごとに備え、前記整合フィルタの出力を用いて伝搬路推定を行うので、伝搬路推定を行う際に、アンテナごとに時間的に直交する信号を用いて伝送することにより、高精度な伝搬路推定が可能となる。
また、前記送受信局はそれぞれ複数のアンテナを備え、送受信局の一方からアンテナ間で時間的に直交する信号をアンテナごとに個別に送信し、前記送受信局の他方は、送信された信号に対応する整合フィルタをアンテナごとに備え、前記整合フィルタの出力を用いて伝搬路推定を行うので、整合フィルタを用いた高精度な伝搬路推定を用いて高精度なウエイト決定が可能となる。
また、前記受信局で用いる前記受信用ウエイトを最初に決定し、当該受信用ウエイトを用いて前記受信局から信号を伝送して、前記送信局で当該信号を受信し、その受信データをもとに前記送信局で使用する前記送信用ウエイトを決定するので、送信ウエイトを少ない制御量で効率的に決定することができる。
また、前記受信用ウエイトを用いて前記受信局から信号を伝送する際に、予め選定されたチャネルのみを用いて信号を伝送することにより、使用するチャネルを他方の局に通知するため、制御信号を用いることなく利用するチャネルを他方の局に通知できる。
また、前記受信用ウエイトを用いて前記受信局から信号を伝送する際に、信号伝送する信号に要求送信電力または要求変調方式を付加することにより、情報通信時の各送受信ビームにおける要求送信電力または要求変調方式を他方の局に通知するため、各直交チャネルにおける要求送信電力、要求変調方式を通知できる。
また、この発明は、通信を行うことを相手方に要求するための通信要求信号を生成する通信要求信号生成部と、生成された前記通信要求信号を相手方に送信するとともに当該通信要求信号に対する相手方からの通信要求応答信号を受信するアレーアンテナ部と、前記アレーアンテナ部において受信される前記通信要求応答信号を解析して各アンテナの送信用ウエイトを計算するウエイト解析部と、前記ウエイト解析部により計算された前記送信用ウエイトに基づいて、各アンテナの送受信用ウエイトを制御するウエイト制御部とを備えた無線伝送装置であるので、送受信局間で使用チャネルの同期を取ることが可能であり、複数チャネルを利用した効率的な通信が可能となる。
また、各アンテナの送受信ウエイトを解析して送受信局の有する各アレーアンテナ間の伝送路を推定する伝送路推定部と、推定された前記伝送路から使用可能な通信チャネルを検索する通信チャネル検索部と、検索された使用可能な前記通信チャネルの中から実際の通信に使用するチャネルを選択する使用チャネル選択部と、選択された使用する各チャネルへの信号電力配分を計算する電力配分計算部と、使用チャネル情報と電力配分情報とから各アンテナの受信用ウエイトを計算するウエイト計算部と、計算された前記受信用ウエイトに基づいて、各アンテナの送受信用ウエイトを制御するウエイト制御部と、前記通信要求信号に対する通信要求応答信号を生成する通信要求応答信号生成部とを備えた無線伝送装置であるので、送受信局間で使用チャネルの同期を取ることが可能であり、複数チャネルを利用した効率的な通信が可能となる。
また、送受信間で用いる複数の空間チャネルに対応する送信ウエイトと受信ウエイトとは、伝搬路に応じて設定されるので、伝搬路に合わせた高精度なウエイト決定が可能となる。
また、前記送信局から制御信号が送信され、前記受信局はその制御信号を用いて複数の空間チャネルを設定するので、通信時に安定した通信を行うことができる。
また、前記受信局は、設定した前記複数の空間チャネルごとに、受信ウエイトと通信品質とを測定するためのパラメータの値を算出し、当該パラメータの値に基づいて、送受信に利用する空間チャネル、変調方式、送信電力、または、符号化方法を選定するので、通信時に安定した通信を行うことができる。
また、選定された前記空間チャネルを用いて前記受信局が前記送信局へ制御信号を送信することにより、前記送信局における前記送信ウエイトが当該制御信号に基づいて決定されるので、通信時に安定した通信を行うことができる。
また、送受信間で伝送する制御信号に基づいて、送受信ウエイトの制御とアクセスの制御の双方を行うので、数多くの端末の中から対象の端末をサーチし、通信時には安定した通信を行うことができる。
また、前記送信局から全方向に信号が伝送されることにより、複数の受信局の中から希望する受信局がサーチされ、サーチされた前記受信局が、利用チャネルを通知する制御信号を指向性アンテナを用いて前記送信局へ送信するので、数多くの端末の中から対象の端末をサーチし、通信時には安定した通信を行うことができる。
また、前記受信局から送信される前記制御信号は、前記送信局へ前記利用チャネルを通知するとともに、送受信の対象でない他の送受信局に対して送信停止を指令するものであるため、送受信の対象でない端末からの新たな通信の発生を停止することができるため、通信のさらなる安定化を図ることができる。
また、この発明は、送受信を行うための複数の端末装置を備えた無線伝送装置であって、前記端末装置は、送受信の対象ではない他の端末に対して、利用方向別に、送信停止を指令するための少なくとも1以上の送信停止信号を送信するので、送受信の対象でない端末からの新たな通信の発生を停止することができるため、通信のさらなる安定化を図ることができる。
本発明の実施の形態1における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態1における送受信ビーム形勢を表す説明図である。 本発明の実施の形態2における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態3における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態4における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態6における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態7における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態7における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態8における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態9における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態7及び9におけるウエイト決定方法を示した説明図である。 本発明の実施の形態7における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態9における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態11における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 従来技術におけるスペースタイムコーディングを利用した送受信信号処理構成の基本構成図である。 従来技術における送受信ビーム形成を用いた送受信信号処理の基本構成図である。 従来技術における送受信ビーム形成を用いた送受信信号処理の送受信ビーム形成を示した説明図である。 本発明の実施の形態5における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態10における無線伝送装置の構成を示したブロック図である。 本発明の実施の形態13における無線伝送装置における送信電力、変調方式および符号化方法を決定するためのテーブルを示した説明図である。 本発明の実施の形態13における無線伝送装置における送信信号の信号フォーマットの一例を示した説明図である。 本発明の実施の形態16における無線伝送装置における制御方法及びアクセス方法を示した説明図である。 本発明の実施の形態16における無線伝送装置の制御で用いる信号フォーマットの一例を示した説明図である。 本発明の実施の形態16における無線伝送装置における制御方法及びアクセス方法を示した説明図である。 本発明の実施の形態16における無線伝送装置における制御方法及びアクセス方法を示した説明図である。 本発明の実施の形態16における無線伝送装置における制御方法及びアクセス方法を示した説明図である。 マルチキャリア通信システムの基本構成を示した構成図である。 複数キャリアに多重された信号を示した説明図である。 マルチキャリア伝送システムに本発明の実施の形態1〜16における無線伝送装置を適用した場合の信号処理構成を示した説明図である。
符号の説明
1 送信信号、2 送信アンテナ、3 受信アンテナ、4 受信信号、10 相関行列演算部、20,21 受信フィルタ、30 伝搬路推定用直交信号、31 固有ベクトル演算法、32 相関行列演算部、33 伝搬行列演算部。

Claims (1)

  1. K個(K≧2)の信号をN個(N=2又は4)の送信アンテナから送信する無線伝送装置であって、
    上記K個の信号それぞれに上記N個の送信アンテナに対応したN個の成分を持ち互いに直交関係にある送信ウエイトを乗じて生成したK個の乗算結果を合成して合成信号とし、該合成信号を上記N個の送信アンテナから送信し、
    1の上記送信ウエイトは、所定の値と、該所定の値の正負の符号を反転した値と、を成分として含む
    ことを特徴とする無線伝送装置。
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