JP5035567B2 - 作業適性判定システム - Google Patents
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Description
習熟度がそれほど問題にならない簡単な作業の場合には、はじめから高い作業精度が得られる。しかし、ある程度の習熟度が求められる複雑な作業の場合には、その作業に慣れるまでに少し時間が必要で、その間はそれほど作業精度が上がらないのが実情である。
いずれにしても、あるレベルまで作業精度を達成できたとしても、ある程度の時間が経過すると、疲れたり、飽きてきたりして、作業精度が落ちてしまうのが通常である。
そこで、求められる作業精度がどのくらいの時間持続できるかどうかで、その者の作業適性を判定することができる。
このようなことから、時間と作業精度との相対関係だけで適性を判定しようとする従来の判定方法では、必ずしも正確な判定ができないという問題があった。
この発明の目的は、外見的な条件と、内面的な条件との相関性を基にして、より具体的な適性を正確に判定できるシステムを提供することである。
なお、上記テスト作業とは、適性を判定する特定の作業に要求される能力を求められる作業が適切である。例えば、当該作業そのものや、作業の種類を同じにした模擬作業あるいは作業の種類が異なっても要求される能力が同じ作業などが含まれる。
なお、上記音声データから算出する大脳新皮質の活性度指数は、非特許文献1に記載されたSiCECAアルゴリズムによって算出される脳活性度指数のことである。
第4の発明は、演算部が、シナリオの単位長さ当たりの作業精度を演算するとともに、この作業精度とシナリオの単位長さに対応づけられた大脳新皮質の活性度指数とを関連付けて、対応テーブルを作成するものである。
第7の発明は、ディスプレイを備えるとともに、このディスプレイには、テストシナリオ記憶部に記憶されているシナリオに基づいた作業ストーリーを表示させ、この作業ストーリーに基づいて被験者が模擬作業を実行するものである。
また、この発明では、大脳新皮質の活性度から見て余裕のある状態で、要求作業精度を維持しているのかどうかを判定できるので、被験者の内面的要素を加味した正確な作業適性が分かることになる。
第3の発明によれば、作業精度と大脳新皮質の活性度指数との相対関係をいつも正確に保つことができる。
第4の発明によれば、作業進捗度に応じて作業精度と大脳新皮質の活性度指数との相対関係を正確に保つことができる。
第6の発明によれば、作業適性を判定するために、被験者が行なうテスト作業が実際の作業そのものなので、その作業に対する適性をより正確に判定することができる。
第7の発明によれば、現実性の高い模擬作業に基づいて適性を判定できるので、テストをするのに大がかりな設備等を必要としない。しかも、判定する適性に応じて適切なストーリーを自由に構築することができる。
そして、この実施形態のシステムは、データを処理する演算部1を備え、この演算部1には、被験者の音声データを入力するための音声データ入力部2と、テスト作業の実行結果である作業データを入力する作業データ入力部3とを接続している。
上記音声データ入力部2は、この発明の生体情報入力部を構成するもので、後で説明する被験者の大脳新皮質の活性度指数を算出する基になる音声データを取り込むためのものである。具体的にはマイクロホンと、A/D変換手段とからなる。また、作業データ入力部3には、被験者が作業データを入力するための、マウスやキーボードなどの操作部4を接続している。
データ出力部9は、演算部1での処理結果などを出力する機能を備えている。この実施形態では上記データ出力部9にディスプレイ10を接続し、演算部1での処理結果をこのディスプレイ10に表示させるようにしている。ただし、このディスプレイ10には、上記処理結果だけでなく、被験者に実行させる模擬のテスト作業も表示させるようにしている。
図2に示すテスト作業画面は、例えば、交通速度違反の取締りで違反者を認定する担当警察官用のテスト作業を示すもので、動画に表示された自動車の情報を、作業者に入力させるようにしたものである。なお、作業者が入力すべき自動車の情報とは、走行中の車線や、大型車、普通車、軽自動車などの別、あるいは色、ナンバーなどである。自動車が通過している道路を映した動画で、この動画に表示された自動車の情報を、被験者に入力させるようにしたものである。なお、被験者が入力すべき自動車の情報とは、走行中の車線や、大型車、普通車、軽自動車などの別、あるいは色、ナンバーなどである。
そして、被験者は、これらの入力ボタンをマウスでクリックした後に、エンターボタン10fをクリックして、動画エリア10a内を通過する自動車の情報を入力するようにする。ここでは、車線番号入力ボタン10bがクリックされると、一時的に動画が停止して自動車を静止させて見え易くする。また、型入力ボタン10c、色入力ボタン10d、ナンバー入力ボタン10eをクリックしてエンターボタン10fをクリックすると動画が再起動されるようにしている。
なお、図中符号10gは、入力されたナンバーを表示するナンバー表示欄であり、符号10hは、入力データを訂正するためのクリアボタンである。
そして、上記テスト作業のための画面を表示させ、被験者によって入力される作業データに応じて、動画を停止させたり再生したりするプログラムは、テスト作業のシナリオとして、上記テストシナリオ記憶部5に予め記憶させておく。
また、上記評価基準記憶部6には、動画中に現れる全ての自動車に関する上記情報を、例えば、動画の再生開始からの経過時間や、動画の進行などに対応づけ、正解データとして記憶させておく。上記演算部1は、この正解データと被験者が入力した作業データとを対比して、後で説明する作業精度を算出する。
そして、演算部1は、上記発生誘引信号を出力するとともに、それと同時に音声データ入力部2の機能をオンにして、被験者の音声を取り込めるようにしている。
演算部1は、スタート信号が入力されると、テストシナリオ記憶部5が記憶しているシナリオに基づいて、ディスプレイ10に、動画ウインドウ10aを含むテスト作業画面を表示させる。
被験者は、マウスなどの操作部4を操作して必要情報を入力するが、テスト作業を開始する前に、被験者情報も入力するようにしている。被験者情報とは、氏名や性別などで、テスト作業を実行する被験者を特定するための情報である。ただしこのシステムに予め被験者属性などを記憶させておいて、テスト作業時には、被験者IDだけを入力させるようにしてもよい。
また、演算部1は、上記シナリオを進行させながら、上記した発声誘引タイミングになったときには、発声誘引信号として朗読画面をディスプレイ10に表示させ、音声データ入力部2から音声データを取り込む。演算部1は、取り込んだ音声データも、シナリオの進行度に対応づけて上記データ記憶部8に記憶させる。
まず、演算部1は、収集した作業データを、上記評価基準記憶部6が記憶している正解データと対比して、シナリオの進行に応じた単位長さあたりの作業精度を算出する。なお、この単位長さは、時間やコマ数など、テスト作業ごとに設定しておくことができる。
そして、作業精度は、上記単位長さ中に入力された作業データと、その単位長さ中に入力されるべき正解データとを対比して、被験者が入力した作業データの正誤、入力データ数の過不足、データ入力タイミングなどから算出されたもので、特定のテスト作業をどれだけ正確にできたかを示す値である。そして、正解と判断する基準や、作業精度の算出方法は、テスト作業ごとに、予め評価基準記憶部6に記憶させておく。
そして、項目ごとに、その評価基準によって作業データを評価し、その結果を総合化したものを作業精度として算出する。
さらに、演算部1は、収集した音声データから、非特許文献1に記載されたSiCECAアルゴリズムに従って大脳新皮質の活性度指数を算出する。
図3に示すように、テスト作業が連続的に行われ、テスト作業データも連続的に入力された場合、演算部1は、テスト作業の進行時間を単位時間Δt1、Δt2、・・・に区切って、この単位時間ごとに作業精度を算出する。一方、音声データV1がΔt1内に入力され、別の音声データV2がΔt2内に入力された場合、上記音声データV1に基づいて算出した大脳新皮質の活性度指数を単位時間Δt1の作業精度に対応づけ、音声データV2に基づいて算出した大脳新皮質の活性度指数を単位時間Δt2の作業精度に対応づける。
ただし、大脳新皮質の活性度指数が高い状態は緊張常態であり、低い常態は弛緩状態ということができるので、特定作業を長時間継続した場合には、疲労により弛緩状態になり、大脳新皮質の活性度指数が低くなる傾向がある。
また、この作業適性判定システムとは別の実験によって、同一被験者の場合、同一作業を行なっている間、作業時間にかかわりなく、大脳新皮質の活性度指数が同じなら作業精度がほとんど同じであることを確認している。従って、大脳新皮質の活性度指数と作業精度との相関を示した図4に示すグラフ特性は、当該作業における個人の基本的な能力を表すものと考えられる。
例えば、上記要求作業精度をA1とした場合、図4のグラフG1が、これを満足する大脳新皮質の活性度指数範囲はSxということになる。言い換えれば、この被験者は、大脳新皮質の活性度指数が上記活性度指数範囲Sx内にあるとき、このシステムで実行したテスト作業の要求作業精度を満足することになる。
上記大脳新皮質の活性度指数範囲Sxが、データ出力部9を介してディスプレイ10に表示されれば、この値によって被験者が上記テスト作業に対して適性を備えているかどうか判定することができる。
上記の作業適性の判定基準に関しては、上記要求作業精度を満足する大脳新皮質の活性度指数範囲がどれだけあれば適性があるとするかを実験的に決めておくことができる。
上記したように、大脳新皮質の活性度指数と作業精度との相関特性は、個人の能力を表すものと考えることができ、この実施形態の判定システムでは、このような能力を作業精度と大脳新皮質の活性度指数とによって定量的に評価できるようになったので、作業適性を定量的に評価できることになる。
この実施形態によれば、外見的なことだけでなく、内面的なことも判断材料にできるので、従来のような問題は発生せず、正確な適性判定ができる。
なお、上記実施形態では、一定の速度で変化するシナリオを用いて、瞬間的な認識力や判断力をテストするのに適したテスト作業を実行させるようにしたが、実作業に近い模擬テスト作業や、実作業そのものをテスト作業として実行させてもよい。
いずれにしても、この発明においては、作業データの入力は、被験者が手動で入力してもよいし、作業中に発生するデータを自動的に入力するようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、テスト作業のシナリオに、発声誘引タイミングを設定しているが、テスト作業が発話を伴う作業の場合には、被験者が必然的に発生せざるを得ないので、特別な発声誘引信号は不要である。
ただし、これらの方法では、上記実施形態のように音声データを基に大脳新皮質の活性度指数を算出する方法と比べて、生体情報入力部が大型化してしまううえ、検出装置を取り付けることによって被験者に負担をかけるという欠点がある。
なお、異なる生体情報を基にして算出した大脳新皮質の活性度指数を対比する場合には、両者のスケールを合わせる必要がある。
2 音声データ入力部
3 作業データ入力部
5 テストシナリオ記憶部
6 評価基準記憶部
7 要求作業精度記憶部
9 データ出力部
V1,V2 音声データ
Δt1、Δt2 単位時間
S 大脳新皮質の活性度指数
A 作業精度
A1 要求作業精度
Sx、Sy 活性度指数適性範囲
Claims (7)
- 作業精度の評価基準を記憶した評価基準記憶部と、特定の作業に対応付けたテスト作業のシナリオを記憶したテストシナリオ記憶部と、特定の作業に応じて予め設定された要求作業精度を記憶した要求作業精度記憶部と、上記評価基準記憶部、テスト作業シナリオ記憶部、及び要求作業精度記憶部に連係した演算部と、この演算部に、被験者のテスト作業の結果である作業データを入力する作業データ入力部と、上記演算部に、被験者の生体情報を入力する生体情報入力部と、データ出力部とを備え、上記演算部は、テストシナリオ記憶部が記憶しているシナリオを進行させる機能と、このシナリオに応じて被験者がテスト作業を実行するとともに、テスト作業の実行に従って、上記作業データ入力部から入力された作業データを、評価基準記憶部に予め記憶された上記評価基準に基づいた正解数や処理時間等と対比して、シナリオの進行に応じた単位長さあたりの作業精度を算出する機能と、上記生体情報入力部から入力された生体情報から大脳新皮質の活性度指数を算出する機能と、上記算出した大脳新皮質の活性度指数と上記作業精度とを対応づけた対応テーブルを作成する機能と、作成した対応テーブルから、上記要求作業精度記憶部に予め記憶されている要求作業精度を満足する大脳新皮質の活性度指数範囲を特定する機能と、この特定された大脳新皮質の活性度指数範囲を上記特定の作業に対する適性度合としてデータ出力部へ出力する機能とを備えた作業適性判定システム。
- 上記生体情報入力部が、被験者の音声信号を入力する音声データ入力部であり、上記演算部は、上記作業の実行に対応して、上記音声データ入力部から入力された音声データを基にして上記単位長さに対応した被験者の大脳新皮質の活性度指数を算出し、この大脳新皮質の活性度指数と上記作業精度とを対応づけた上記対応テーブルを作成する請求項1に記載の作業適性判定システム。
- 上記演算部は、単位時間当たりの作業精度を演算するとともに、この作業精度と単位時間に対応づけられた大脳新皮質の活性度指数とを関連付けて、上記対応テーブルを作成する請求項1または2に記載の作業適性判定システム。
- 上記演算部は、シナリオの単位長さ当たりの作業精度を演算するとともに、この作業精度とシナリオの単位長さに対応づけられた大脳新皮質の活性度指数とを関連付けて、上記対応テーブルを作成する請求項1に記載の作業適性判定システム。
- 上記演算部は、テストシナリオ記憶部には、発声タイミングが予め特定されたテストシナリオを記憶させ、演算部は、上記テストシナリオで特定された発生タイミングに発声誘引信号を出力する請求項2〜4のいずれか1に記載の作業適性判定システム。
- テストシナリオ記憶部に記憶されているシナリオで特定されるテスト作業が、実際の作業そのものである1〜5のいずれか1に記載の作業適性判定システム。
- ディスプレイを備えるとともに、このディスプレイには、テストシナリオ記憶部に記憶されているシナリオに基づいた作業ストーリーを表示させ、この作業ストーリーに基づいて被験者が模擬作業を実行する1〜5のいずれか1に記載の作業適性判定システム。
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