JP5035162B2 - 熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱延鋼板およびその製造方法に関する。具体的には、本発明は、自動車や各種の産業機械に用いられる構造部材の素材、なかでも自動車の足廻り部品やシャーシ、バンパーの補強材等に代表される構造部材の素材として用いるのに好適な、延性、形状凍結性および靭性に優れた980MPa以上の引張強さを有する高強度熱延鋼板及びその製造方法に関する。
連続熱間圧延によって製造される、いわゆる熱延鋼板は、比較的安価な構造材料として、自動車を始めとする各種の産業機器に広く使用されている。特に自動車の燃費向上に大きく寄与することから、高強度熱延鋼板は、自動車の大型部品、シャーシ、バンパー、足廻り部品への適用が増加しつつある。
最近は、環境問題へのさらなる意識の高まりを受けて、部品重量のさらなる軽量化が指向されている。これに伴って、熱延鋼板に対する高強度化の要望も一層高まっており、超高強度である980MPa以上の引張強さを有する熱延鋼板が要望されるようになってきている。
従来、自動車のシャーシや足廻り用の高強度部材は、含有するTiの析出強化を用いて高強度化を実現していた。例えば、特許文献1〜4にはTiの析出強化を主体に高強度化を行う発明が開示されている。
一方、高強度化を図る別の方法として、変態強化を利用する方法がある。例えば、特許文献5には、低温巻取により変態強化を利用し、980MPa以上の超高強度を実現する発明が開示されている。
さらに特許文献6には、Ti、Vの析出強化を主体に高強度化を行う発明が開示されている。
特開平6−200351号公報 特開平6−228708号公報 特開平8−199298号公報 特開平11−193443号公報 特開2000−282175号公報 特開2004−360046号公報
しかし、特許文献1〜4に記載された発明では、引張強さで980MPa以上の超高強度は得られていない。その理由は、Tiの含有量を多くすることにより980MPa以上の引張強さを得ようとすると、粗大なTi炭窒化物が析出し、これが破壊の起点になって強度及び靭性が低下し、製品価値が著しく低下するためである。
また、特許文献5に記載された発明では、ベイナイト主体の鋼組織であるため結晶方位が揃い易く、靭性が不足するという課題があった。
さらに、特許文献6に記載された発明では、マルテンサイトと残留オーステナイトの合計体積率が5%未満であるため降伏比が高い。これは、縁石衝突時の変形を防止する必要があるホイールリムのような用途への適用を考慮してのものであり、斯かる用途へ適用した場合には優れた特性が発揮される。しかし、高い形状凍結性が要求される用途への適用することは困難であった。
本発明の目的は、上述したような従来の技術が有する課題を解決し、圧延直角方向の引張強さ(TS)が980MPa以上でありながら、延性、形状凍結性および靭性に優れた鋼板、例えば、全伸び(El)が12.0%以上、降伏比(YR)が0.85以下、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが85J/cm以上でシャルピー脆性破面率が0%である鋼板を、提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下の知見1〜4を得た。
(知見1)
鋼組成に関しては、Tiの含有量よりもVの含有量を多くすることにより、靭性に優れた超高強度鋼板を得ることができる。
(知見2)
鋼組織に関しては、フェライトの面積率を40%以上とすることにより良好な延性を確保するとともに、マルテンサイトとオーステナイトの合計面積率を5%超とすることにより降伏比(YR)を0.85以下にして良好な形状凍結性を確保し、さらに、フェライトの平均粒径を10μm以下、JIS G 0555に規定される清浄度を0.05%以下、粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度を30個/mm以下とすることにより良好な靭性を確保することができる。これにより、延性、形状凍結性および靭性を高いレベルで確保することができる。さらに、鋼板表層部における粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度を10個/mm以下とすることにより、靭性は一層向上する。ここで、鋼板表層部とは鋼板表面から50μm深さまでの領域である。
(知見3)
製造方法に関しては、靭性を改善するためには、製鋼段階におけるアルミナ系介在物の混入を低減することが有効である。具体的には、アルミナ系介在物の混入を低減するために、溶鋼の液相線温度からの加熱温度を5℃以上高い温度とし、かつ、溶鋼鋳込み量を6.0トン/分以下とすることが有効である。これにより、鋳造時の溶鋼温度の低下や、鋳型内における縦方向の溶鋼流動が過大となることを抑制でき、アルミナ系介在物がスラブ内に捕捉されることを抑制できる。そのため、この製法により、清浄度を0.05%以下に抑えることができる。
また、粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度を30個/mm以下にするには、中心偏析低減処理が有効である。この中心偏析低減処理により、スラブ厚中心部にTiが濃化することを防止でき、粗大なTiNの析出を抑制できる。ここで、「中心偏析低減処理」とは、溶鋼が最終凝固する位置において、Fe以外の成分の濃化を減少させる処理を意味する。溶鋼が最終凝固する位置とは、溶鋼が徐々に冷やされて凝固する際に、液相状態から液相及び固相混合状態を経て、最終的に固相へと変化する時の最終凝固位置を意味する。具体的な中心偏析低減処理は、溶鋼が最終凝固する位置の近傍の未凝固部において、電磁攪拌及び/又は圧下を施すことを例示できる。
さらに、フェライトの面積率を40%以上、フェライトの平均粒径を10μm以下とするには、スラブを加熱炉に装入して1200℃以上に加熱してから熱間圧延を開始し、Ar点以上で熱間圧延を完了し、その後3秒間以内に冷却を開始し、平均冷却速度20℃/秒以上100℃/秒以下で冷却し、750℃以下500℃以上で冷却を完了することが有効である。
また、Ti、V系析出物が粗大化するのを防止するには、スラブを加熱炉から抽出してから上記冷却完了までの時間を10分間以内とすることが有効である。
すなわち、靭性に優れた高強度鋼板を製造するには、まず、連続鋳造中にスラブ内部へのアルミナ系介在物の混入を防止するとともに、中心偏析低減処理を行うことによりTiやVのスラブ中心部への偏析を抑制する。そして、スラブを加熱炉から抽出してから冷却終了までの時間を短時間化することにより粗大なTi、V系析出物の生成を抑制する。さらに最適な鋼組織に造り込むことが有効なのである。
なお、連続鋳造機の鋳型内において、移動磁場による溶鋼の攪拌を実施することで、凝固殻の先端近傍におけるアルミナ系介在物の捕捉が抑制される。これにより、鋼板表層部における粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度を10個/mm以下とすることができ、靭性をさらに向上することができる。
(知見4)
製造方法に関して、熱間圧延の巻取温度を500℃以下にすることによりマルテンサイトとオーステナイトの合計面積率が5%超の鋼組織とすることができる。これにより、980MPa以上の引張強さ(TS)を確保しつつ降伏比(YR)を0.85以下とすることができ、良好な形状凍結性を確保することができる。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、引張強さが980MPa以上の高強度鋼板を製造するものである。
本発明は、C:0.08%以上0.20%以下(本明細書では特に断りがない限り組成に関する「%」は「質量%」を意味する)、Si:0.1%以上1.5%以下、Mn:1.0%超3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%超0.5%以下、N:0.01%以下、V:0.1%超0.5%以下、Ti:0.05%以上0.25%未満およびNb:0.005%以上0.10%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるとともに下記式(1)を満足する鋼組成を有し、フェライトの面積率が40%以上であり、マルテンサイトと残留オーステナイトの合計面積率が5%超であり、フェライトの平均粒径が10μm以下であり、清浄度dが0.05%以下であるとともに粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が30個/mm以下である鋼組織を有し、さらに、引張強さ(TS)が980MPa以上であるとともに降伏比(YR)が0.85以下である機械特性を有することを特徴とする熱延鋼板である。
0.30%<Ti+Nb+V<0.60% ・・・・・・・(1)
ここで、式(1)中の各元素記号は、各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
この本発明に係る熱延鋼板は、鋼組成が、Feの一部に代えて、
(a)Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有すること、および/または
(b)REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有すること
が望ましい。
これらの本発明に係る熱延鋼板は、さらに、鋼板表層部における粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が10個/mm以下であることが望ましい。
別の観点からは、本発明は、下記工程(A)〜(D)を備えることを特徴とする熱延鋼板の製造方法である。
(A)上述した本発明に係る熱延鋼板の鋼組成を有する溶鋼を、溶鋼の加熱温度を液相線温度から5℃以上高い温度とし、単位時間当たりの溶鋼鋳込み量を6.0トン/分以下とし、さらに、凝固殻内の溶鋼が完全凝固する前に中心偏析低減処理を施す連続鋳造法によりスラブとする連続鋳造工程;
(B)スラブを加熱炉に装入して1200℃以上の温度に加熱し、加熱炉から抽出したスラブにAr点以上の温度域で圧延を完了する熱間圧延を施して熱延鋼板とする熱間圧延工程;
(C)熱延鋼板に、熱間圧延の完了後3秒間以内に冷却を開始して加熱炉からの抽出から10分間以内に冷却を完了する冷却であって、平均冷却速度が20℃/秒以上100℃/秒以下であるとともに冷却完了温度が750℃以下500℃以上である冷却を施す冷却工程;および
(D)冷却工程を経た熱延鋼板を500℃以下の温度域で巻取る巻取工程。
この本発明に係る熱延鋼板の製造方法では、連続鋳造工程において、連続鋳造機の鋳型内の溶鋼に移動磁場による攪拌を施すことが望ましい。
本発明に係る熱延鋼板は、高強度でありながら優れた延性と形状特結性を有し、さらに靭性に優れている。そのため、自動車や各種の産業機械に用いられる構造部材の素材、特に自動車のシャーシ、バンパーや足廻り部品に代表される構造部材の素材として、最適である。
以下、本発明に係る高強度鋼板及びその製造方法の実施の形態を、具体的に説明する。
(A)鋼組成
[C:0.08%以上0.20%以下]
Cは、高強度化に有効な元素である。C含有量が0.08%未満では980MPa以上の引張強さを確保することが困難となる。したがって、C含有量は0.08%以上とする。好ましくは0.10%以上である。一方、C含有量が0.20%超では溶接性の劣化が著しくなる。さらに、例えばパーライト、ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイト等といった第2相の増加により加工性が低下する。したがって、C含有量は0.20%以下とする。好ましくは0.16%以下である。
[Si:0.1%以上1.5%以下]
Siは、高強度化に有効な元素である。Si含有量が0.1%未満では高強度化の効果を十分に得ることが困難である。したがって、Si含有量は0.1%以上とする。好ましくは0.2%以上である。一方、Si含有量が1.5%超では化成処理性の低下や島状スケール疵と呼ばれる表面不良の発生が著しくなる。したがって、Si含有量は1.5%以下とする。好ましくは0.6%以下である。
[Mn:1.0%超3.0%以下]
Mnは、高強度化に有効な元素である。変態点を低下させることにより、V析出物の析出状態を制御するのに寄与するとともに、変態強化によって高強度化にも寄与する。Mn含有量が1.0%以下では上記作用による効果を十分に得ることができない。したがってMn含有量を1.0%超とする。好ましくは1.2%以上である。一方、Mn含有量が3.0%超では溶接性の劣化が著しくなる。したがって、Mn含有量を3.0%以下とする。好ましくは1.6%未満である。
[P:0.05%以下]
Pは、不純物として含有され、靱性を劣化させる元素である。P含有量が0.05%超では靭性の劣化が著しくなる。したがって、P含有量は0.05%以下とする。好ましくは0.02%以下、さらに好ましくは0.015%以下である。
[S:0.01%以下]
Sは、不純物として含有され、鋼中にMnSを形成して靭性を劣化させる元素である。S含有量が0.01%超では靭性の劣化が著しくなる。したがってS含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.008%以下、さらに好ましくは0.004%以下である。
[Al:0.1%超0.5%以下]
Alは、フェライトの生成を促進し、鋼板の加工性を向上させる元素である。Al含有量が0.1%以下では上記作用による効果を十分に得ることが困難である。したがって、Al含有量は0.1%超とする。好ましくは0.2%以上である。一方、Al含有量が0.5%超では溶接性の劣化が著しくなる。したがって、Al現有量は0.5%以下と限定する。好ましくは0.4%以下である。
[N:0.01%以下]
Nは、不純物として含有され、鋼中に窒化物を形成して靭性を劣化させる元素である。N含有量が0.01%超では粗大なTiNが鋼中に析出してしまい靭性の劣化が著しくなる。したがってN含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.008%以下、さらに好ましくは0.005%以下である。N含有量は少なければ少ないほど好ましいのでN含有量の下限は特に限定する必要はない。しかし、N含有量の低減には製鋼コストの増加を伴うので0.0005%以上とすることが好ましい。
[V:0.1%超0.5%以下]
Vは、本発明で最も重要な元素である。比較的低い温度で析出し、高強度化に大きく寄与する。V含有量が0.1%以下では高強度化の効果を十分に得ることができない。したがって、V含有量は0.1%超とする。好ましくは0.20%超である。一方、V含有量が0.5%超では化成処理性の劣化が著しくなる。したがって、V含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.45%以下である。
[Ti:0.05%以上0.25%未満]
Tiは、本発明では重要な元素である。析出強化により鋼板の高強度化に寄与するとともに、V析出物の析出核として働くので、高強度化に大きく寄与する。Ti含有量が0.05%未満では高強度化の効果を十分に得ることが困難である。したがって、Ti含有量は0.05%以上とする。好ましくは0.07%以上である。一方、Ti含有量が0.25%以上では、高強度化の効果が飽和するのみならず、Tiによる析出強化を主体に高強度化を行うと、粗大なTi炭窒化物などが析出して靭性を劣化させる。したがって、Ti含有量は0.25%未満とする。好ましくは0.20%以下である。
[Nb:0.005%以上0.10%以下]
Nbは、鋼組織の細粒化および析出強化により鋼板の高強度化に寄与する元素である。Nb含有量が0.005%未満では高強度化の効果を十分に得ることが困難である。したがってNb含有量は0.005%以上とする。好ましくは0.01%以上である。一方、Nb含有量が0.10%超では、高強度の効果が飽和して徒にコストの増加を招く。したがって、Nb含有量は0.10%以下とする。
[0.30%<Ti+Nb+V<0.60%]
析出強化元素であるTi、VおよびNbの合計含有量が0.30%以下では、980MPa以上の引張強さを確保することが困難となる。したがって、これらの元素の合計含有量を0.30%超とする。好ましくは0.35%以上である。一方、Ti、NbおよびVの合計含有量が0.60%以上では、析出強化の効果が過剰となり、降伏比(YR)が増加してしまい、形状凍結性が劣化する。したがって、これらの元素の合計含有量を0.60%未満とする。好ましくは0.50%以下である。
次に、任意添加元素について説明する。
[Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下からなる群から選ばれた1種又は2種以上]
Cr、Mo、Cu、NiおよびBは、いずれも、固溶強化により鋼板の強度をさらに高める作用を有する元素であり、2種以上含有させてもそれぞれの作用は失われない。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。上記作用は、Cr、Mo、CuおよびNiについてはそれぞれ1.0%を超えて含有させても、Bについては0.01%を超えて含有させても飽和してしまい、徒にコストが嵩む。したがって、これらの元素を含有させる場合には、Cr、Mo、CuおよびNiについてはそれぞれ1.0%以下、Bについては0.01%以下とすることが好ましい。上記作用による効果をより確実に得るには、Cr、Mo、CuおよびNiについてはそれぞれ0.05%以上、Bについては0.0002%以上含有させることが好ましい。]
[REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下からなる群から選ばれた1種又は2種以上]
REM、MgおよびCaは、硫化物や酸化物等の介在物を球状化することにより加工性を向上させる作用を有する元素であり、2種以上含有させてもそれぞれの作用は失われない。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。上記作用は、REMについては0.1%を超えて含有させても、MgおよびCaにつては0.01%をそれぞれ超えて含有させても飽和してしまい、徒にコストが嵩む。したがって、これらの元素を含有させる場合には、REMについては0.1%以下、MgおよびCaについてはそれぞれ0.01%以下とすることが好ましい。上記作用による効果をより確実に得るには、REMについては0.005%以上、MgおよびCaについてはそれぞれ0.0005%以上含有させることが好ましい。
ここで、REMとは、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素を指し、ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加される。なお、本発明では、REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を指す。
上記以外の組成は、Fe及び不純物である。
(B)鋼組織
980MPa以上の引張強さを有し、かつ延性、形状凍結性および靭性に優れた鋼板を得るために、フェライトの面積率が40%以上であり、マルテンサイトと残留オーステナイトの合計面積率が5%超であり、フェライトの平均粒径が10μm以下であり、清浄度dが0.05%以下であるとともに粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が30個/mm以下である鋼組織とする。さらに、より一層靭性を向上させるには、鋼板表層部における粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度を10個/mm以下にすることが有効である。
フェライトの面積率が40%未満であると、軟質で加工性に富む相であるフェライトの割合が少ないために良好な延性を確保することができない。また、そのフェライトの平均粒径が10μm超であると、亀裂伝播を抑制する働きを有する粒界の密度が少ないため良好な靭性を確保することができない。さらに、残留オーステナイトとマルテンサイトの合計面積率が5%以下であると、降伏比が高くなり良好な形状凍結性を確保することができない。これは、加工過程において残留オーステナイトから変態したマルテンサイトや製造過程において変態したマルテンサイトの近傍には、その変態に伴う体積変化によって生じた応力場を緩和するために可動転位が導入されるが、残留オーステナイトとマルテンサイトが少ないと、このような可動転位も少なくなるからである。なお、上記以外の鋼組織を構成する相または組織としては、パーライト、セメンタイトおよびベイナイトを例示できる。
また、清浄度dが0.05%超であると、母材と介在物および析出物との界面から割れが発生しやすくなり、靭性が劣化する。清浄度dが0.05%以下であっても、粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が30個/mm超であると、十分な靭性は得られない。これは、同じ清浄度であっても、靭性には粒径5μm以上の大型の介在物および析出物が大きく影響し、これらの大型の介在物および析出物が割れ等の起点となって靭性劣化を招くからである。なお、清浄度dは、JIS G 0555の方法に基づいて求められる。
靭性をより一層向上させるには、鋼板表層部における粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度を10個/mm以下にすることが有効である。亀裂は鋼板表面から入りやすいので、鋼板表面から50μm深さ位置までの領域である鋼板表層部における粒径5μm以上の大型の介在物および析出物が靭性に大きく影響を及ぼすからである。
(C)製造条件
上述した鋼板を得るには以下のような製造条件を適用することが有効である。
[連続鋳造工程]
溶鋼を連続鋳造してスラブとする連続鋳造工程において、液相線温度からの溶鋼加熱温度を5℃以上とし、単位時間当たりの溶鋼鋳込み量を6.0トン/分以下とし、さらに、凝固殻内の溶鋼が完全凝固する前に中心偏析低減処理を施す。
溶鋼の液相線温度からの溶鋼加熱温度が5℃未満では、溶鋼の粘度が高くなり過ぎて、また、単位時間当たりの溶鋼鋳込み量が6.0トン/分超では、溶鋼の流動が大きくなり過ぎて、いずれもアルミナ系介在物がスラブ内部に捕捉され易くなり、清浄度dが0.05%超となる場合がある。
また、中心偏析低減処理を実施しないと、スラブ厚中心部にTiが濃化し、粗大なTiNが多く析出するため、粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が30個/mm超となる場合がある。
なお、溶鋼の液相線温度からの溶鋼加熱温度の上限は特に規定する必要はないが、操業性や生産性の観点からは80℃以下とすることが好ましい。また、単位時間当たりの溶鋼鋳込み量の下限も特に規定する必要はないが、生産性の観点からは1.0トン/分以上とすることが好ましい。
靱性をより一層向上させるには、連続鋳造機の鋳型内において、移動磁場による溶鋼の攪拌を実施することが有効である。鋼板表層部に存在する粒径5μm以上の介在物と析出物の多くは、凝固殻の先端近傍に捕捉されたアルミナ系の物が主体である。鋳型内で電磁攪拌をすることにより介在物が補足され難くなり、鋼板表層部における粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度を10個/mm以下にすることができ、靭性がさらに向上する。
ここで、移動磁場による溶鋼の攪拌は、鋳型から20mm位置における流速が10cm/秒以上100cm/秒以下となるように行うことが好ましい。上記流速が10cm/未満では介在物捕捉抑制作用が十分でない場合があり、100cm/秒超ではパウダーの巻き込みにより介在物が増加する場合があるからである。上記流速は、例えばカルマン渦式流量計を用いて測定することができる。
[熱間圧延工程]
このようにして製造したスラブを加熱炉に装入して1200℃以上の温度に加熱し、加熱炉から抽出したスラブにAr点以上の温度域で圧延を完了する熱間圧延を施す。
スラブ加熱温度が1200℃未満では、連続鋳造中またはその後のスラブの冷却中に析出したTi、V系析出物が十分に固溶せずに熱間圧延に供されることになり、析出強化が不十分となり980MPa以上の引張強さを確保することが困難となる。また、粗大なTi、V系析出物が残存してしまい、粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が30個/mm超になってしまうため靭性が劣化する。スラブ加熱温度の上限は特に規定しないが、生産性およびコストの観点から1320℃以下とすることが好ましい。980MPa以上の引張強さを安定して確保するには、スラブ加熱時間を30分間以上とすることが好ましい。
熱間圧延の完了温度がAr点未満では、フェライト域圧延によりフェライトが異常粒成長を起こし、フェライトの平均粒径が10μm超になってしまう。
[冷却工程]
熱間圧延を経た熱延鋼板に、熱間圧延の完了後3秒間以内に冷却を開始して加熱炉抽出から10分間以内に冷却を完了する冷却であって、平均冷却速度が20℃/秒以上100℃/秒以下で、冷却完了温度が750℃以下500℃以上である冷却を施す。
ここでいう冷却とは、水冷による連続的な冷却であり、熱間圧延設備に連続する水冷設備は前段バンクと後段バンクとから構成されるのが一般的であるが、この場合における前段バンクによる一連の冷却を意味する。すなわち、冷却の開始とは前段バンクにおける水冷開始であり、冷却の完了とは前段バンクにおける冷却の完了であり、平均冷却速度とは前段バンクにおける冷却開始時の温度と冷却完了時の温度との差を冷却時間で除した値である。
冷却の開始が熱間圧延完了後3秒後を超えて遅れると、フェライト粒の粒成長が過度に進行してしまい、フェライトの平均粒径が10μm超になって靭性が劣化する場合がある。
また、スラブの加熱炉からの抽出から冷却完了までの時間が10分間を過ぎると、高温域に滞在する時間が長くなるため、Ti、V系析出物が粗大化し、粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が30個/mm超になってしまい、靭性が劣化する場合がある。さらに、析出強化に寄与する微細なTi、V系析出物が減少するため、980MPa以上の引張強さを確保することが困難となる。
また、平均冷却速度が20℃/秒未満では、冷却速度が低過ぎるため、フェライト粒径が10μm超になってしまう。逆に平均冷却速度が100℃/秒超では、冷却速度が高過ぎるため、フェライト面積率が40%未満になってしまう場合がある。
また、冷却完了温度が750℃超であると、フェライト粒の粒成長が過度に進行してしまい、フェライトの平均粒径が10μm超になってしまう。逆に冷却完了温度が500℃未満であると、フェライト面積率40%以上を確保することが困難となる。
この冷却工程を経た鋼板に対しては、後述する巻取温度まで必要に応じて適宜冷却する。すなわち、熱間圧延設備に連続する水冷設備が前段バンクと後段バンクとから構成される場合においては、後段バンクにおいて必要に応じて適宜冷却を施す。なお、特段の水冷を施さずとも目的とする巻取温度を確保できる場合には、水冷を施さずともよい。
[巻取工程]
冷却工程を経た熱延鋼板を500℃以下の温度域で巻取る。
巻取温度が500℃超では、パーライトやベイナイトの生成量が過剰となり、マルテンサイトと残留オーステナイトの合計面積率を5%超とすること困難となる。
[その他]
鋼板特性を均一化するために、熱間圧延工程が、スラブを粗バーとする粗熱間圧延と粗バーを熱延鋼板とする仕上熱間圧延工程とからなる場合には、仕上熱間圧延前の粗バーに粗バーヒーターにより加熱を施してもよい。ここで、粗バーヒーターとは、粗バーを加熱する装置を意味する。加熱方法は、一般に誘導加熱装置が用いられるが、均一にバーを加熱できる装置であるならばガスバーナー等を用いてもよい。
このようにして、本実施の形態により、高強度で優れた延性、形状凍結性を有し、さらに靭性に優れるために、自動車や各種の産業機械に用いられる構造部材の素材、特に自動車のシャーシ、バンパーや足廻り部品に代表される構造部材の素材として最適な高強度熱延鋼板、具体的には、圧延直角方向の引張強さ(TS)が980MPa以上でありながら、延性、形状凍結性および靭性に優れた熱延鋼板、例えば、全伸び(El)が12.0%以上、降伏比(YR)が0.85以下、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが85J/cm以上でシャルピー脆性破面率が0%である熱延鋼板が提供される。
さらに、本発明を、実施例を参照しながらさらに具体的に説明する。
表1に示す組成を有する鋼を、試験転炉を用いて溶製した後、試験連続鋳造機にてスラブとした。中心偏析低減処理としては、最終未凝固部の上下対のロール間を狭くし、圧下率1.0%で圧下を行った。一部の供試材については、連続鋳造機の鋳型内において、移動磁場による溶鋼の攪拌を実施した。そのスラブで試験熱間仕上圧延機を用いて熱間圧延を行い、板厚2.3mmの熱延鋼板を製造した。
Figure 0005035162
次いで、得られた熱延鋼板について、試験用の酸洗設備にてスケール除去を行った。製造条件を表2に示す。
Figure 0005035162
そして、圧延直角方向にJIS5号引張試験片を採取して引張試験を行った。また、得られた鋼板からシャルピー試験片を切り出し、シャルピー衝撃試験を行った。試験片の形状は、JIS Z 2202に規定されるUノッチシャルピー試験片とした。試験方法は、JIS Z 2242に規定される方法に準じ、−50℃温度における吸収エネルギーを調査した。
また、鋼板の圧延方向に平行な断面について、切り出し、ナイタールエッチングを行った。そして、走査型電子顕微鏡を用いて、鋼組織を観察した。
測定は、板厚表層部、(1/4)t部、(1/2)t部について、倍率1000倍で実施し、各供試材の各板厚位置について10視野ずつ測定した。得られた画像をもとに各組織の面積率、フェライトの結晶粒径を算術計算にて求めた。フェライトの平均粒径は、JIS G 0552に準拠して測定した。
また、得られた鋼板を鏡面研磨した後、エッチングをせず、鋼板表層部、板厚(1/4)t部、(1/2)t部について走査型電子顕微鏡を用い倍率2000倍で実施した。各供試材の各板厚位置について10視野ずつ測定し、粒径5μm以上の介在物および析出物の個数をカウントし、合計の数密度に換算した。また、鋼板表層部についてのみの数密度も求めた。
ここで、粒径の算出にあたっては、介在物と析出物を画像解析することでそれらの実面積を求め、この実面積を円に置き換え、その円の直径を算出することにより粒径を求めた。
清浄度dは、JIS G 0555の方法に基づき算出した。
結果を表3にまとめて示す。
Figure 0005035162
本発明例である供試材No.1〜No.15は、引張強さ980MPa以上で、伸び(全伸び)が14.2%以上で降伏比も0.84以下と加工性に優れていた。また、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーも90J/cm以上で、−50℃でのシャルピー脆性破面率も0%であり靭性も良好であった。特に、連続鋳造機の鋳型内において、移動磁場による溶鋼の攪拌を実施した供試材No.1、7、9および13は、鋼板表層部における粒径5μm以上の介在物ならびに析出物の合計の数密度が10個/mm以下になり、シャルピー吸収エネルギーも100J/cm以上とさらに向上した。
これに対し、供試材No.16〜28は、本発明で規定する条件を満足しない比較例である。
供試材No.16は、溶鋼を連続鋳造する際に溶鋼の加熱温度が液相線温度から5℃未満であった。このため、清浄度が0.062%と悪化し、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが62J/cm、−50℃でのシャルピー脆性破面率が25%と靭性が劣化した。
供試材No.17は、連続鋳造をする際の単位時間当たりの溶鋼鋳込み量が6.0トン/分超であった。このため、清浄度が0.070%と悪化し、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが54J/cm、−50℃でのシャルピー脆性破面率が35%と靭性が劣化した。
供試材No.18は、スラブが完全凝固する前に中心偏析低減処理を実施しなかった。このため、粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が35個/mmとなり、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが52J/cm、−50℃でのシャルピー脆性破面率が40%と靭性が劣化した。
供試材No.19は、スラブ加熱温度が1200℃未満であった。このため、析出強化の効果が小さくなり、引張強さが960MPaと980MPa未満となった。また、粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度も38個/mmと30個/mm超になった。そのため、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが60J/cm、−50℃でのシャルピー脆性破面率が35%と靭性が劣化した。
供試材No.20は、熱間圧延完了温度がAr点温度未満であった。したがって、フェライト粒が異常粒成長し、フェライトの平均粒径が12.0μmとなった。そのため、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが64J/cm、−50℃でのシャルピー脆性破面率が15%と靭性が劣化した。
供試材No.21は、熱間圧延完了後冷却開始までの時間が3秒間超であった。そのため、フェライト粒の成長が過剰に進行し、フェライトの平均粒径が11.5μmとなった。そのため、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが62J/cm、−50℃でのシャルピー脆性破面率が20%と靭性が劣化した。
供試材No.22は、平均冷却速度が20℃/秒未満であった。そのため、フェライト粒の成長が過剰に進行し、フェライトの平均粒径が11.8μmとなった。そのため、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが60J/cm、−50℃でのシャルピー脆性破面率が15%と靭性が劣化した。
供試材No.23は、平均冷却速度が100℃/秒超であった。そのため、冷却速度が速すぎて、フェライト面積率が35%となった。伸びが9.0%と延性が劣化した。
供試材No.24は、冷却完了温度が750℃超であった。そのため、フェライト粒の成長が過剰に進行し、フェライトの平均粒径が11.3μmとなった。そのため、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが57J/cm、−50℃でのシャルピー脆性破面率が20%と靭性が劣化した。
供試材No.25は、冷却完了温度が500℃未満であった。そのため、フェライト面積率が30%となり、伸びが8.0%と延性が劣化した。
供試材No.26は、加熱炉抽出から冷却完了までの時間が12分間となった。したがって析出物が粗大化した。そのため、粒径5μm以上の介在物ならびに析出物の合計の数密度が32個/mmと30個/mm超になった。そのため、−50℃でのシャルピー吸収エネルギーが51J/cm、−50℃でのシャルピー脆性破面率が30%と靭性が劣化した。また、微細なTi、Nb、V系析出物が減少したため強度が950MPaとなった。
供試材No.27は、巻取温度が520℃であった。そのためマルテンサイトと残留オーステナイトの合計面積率が3%となり、降伏比(YR)が0.94%となり、形状凍結性が不芳であった。
さらに、供試材No.28は、Ti、NbおよびVの合計含有量が0.60%以上であった。そのため、析出強化が過剰に寄与してしまい、降伏比(YR)が0.96%となり、形状凍結性が不芳であった。
本発明に係る熱延鋼板は、高強度であって延性と形状凍結性を確保しつつ靭性に優れている。そのため、自動車や各種の産業機械に用いられる構造部材の素材、特に自動車のシャーシ、バンパーや足廻り部品に代表される構造部材の素材として最適である。また安価に製造できるので産業上格段の効果を奏する。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.08%以上0.20%以下、Si:0.1%以上1.5%以下、Mn:1.0%超3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Al:0.1%超0.5%以下、N:0.01%以下、V:0.1%超0.5%以下、Ti:0.05%以上0.25%未満およびNb:0.005%以上0.10%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるとともに下記式(1)を満足する鋼組成を有し、
    フェライトの面積率が40%以上であり、マルテンサイトと残留オーステナイトの合計面積率が5%超であり、前記フェライトの平均粒径が10μm以下であり、清浄度dが0.05%以下であるとともに粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が30個/mm以下である鋼組織を有し、さらに、
    引張強さ(TS)が980MPa以上であるとともに降伏比(YR)が0.85以下である機械特性を有すること
    を特徴とする熱延鋼板。
    0.30%<Ti+Nb+V<0.60% ・・・・・・・(1)
    ここで、式(1)中の各元素記号は、各元素の含有量(単位:質量%)を示す。
  2. 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびB:0.01%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 前記鋼組成が、Feの一部に代えて、質量%で、REM:0.1%以下、Mg:0.01%以下およびCa:0.01%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱延鋼板。
  4. 鋼板表層部における粒径5μm以上の介在物および析出物の合計の数密度が10個/mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の熱延鋼板。
  5. 下記工程(A)〜(D)を備えることを特徴とする熱延鋼板の製造方法:
    (A)請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の鋼組成を有する溶鋼を、溶鋼の加熱温度を液相線温度から5℃以上高い温度とし、単位時間当たりの溶鋼鋳込み量を6.0トン/分以下とし、さらに、凝固殻内の溶鋼が完全凝固する前に中心偏析低減処理を施す連続鋳造法によりスラブとする連続鋳造工程;
    (B)前記スラブを加熱炉に装入して1200℃以上の温度に加熱し、前記加熱炉から抽出した前記スラブにAr点以上の温度域で圧延を完了する熱間圧延を施して熱延鋼板とする熱間圧延工程;
    (C)前記熱延鋼板に、前記熱間圧延の完了後3秒間以内に冷却を開始して前記抽出から10分間以内に冷却を完了する冷却であって、平均冷却速度が20℃/秒以上100℃/秒以下であるとともに冷却完了温度が750℃以下500℃以上である冷却を施す冷却工程;および
    (D)前記冷却工程を経た熱延鋼板を500℃以下の温度域で巻取る巻取工程。
  6. 前記連続鋳造工程において、連続鋳造機の鋳型内の溶鋼に移動磁場による攪拌を施すことを特徴とする請求項5に記載の熱延鋼板の製造方法。
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